ワイヤレス光結合検出装置および電子機器
【課題】取付け場所の制約が少なく、かつ、高価な生産設備を必要とすることなく製造できるワイヤレス光結合検出装置を実現する。
【解決手段】ワイヤレス光結合検出装置は、光を出射する発光素子部4と、発光素子部4からの光を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部8と、電力受信用コイル9と、信号送信用アンテナ10とを備えている。電力受信用コイル10は、外部からの電波を受けることによって誘電電流を発生させ、該誘電電流を発光素子部4および受光素子部8を駆動するための駆動電流として供給する。信号送信用アンテナ10は、受光素子部8が生成する検出データを外部にワイヤレス送信する。
【解決手段】ワイヤレス光結合検出装置は、光を出射する発光素子部4と、発光素子部4からの光を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部8と、電力受信用コイル9と、信号送信用アンテナ10とを備えている。電力受信用コイル10は、外部からの電波を受けることによって誘電電流を発生させ、該誘電電流を発光素子部4および受光素子部8を駆動するための駆動電流として供給する。信号送信用アンテナ10は、受光素子部8が生成する検出データを外部にワイヤレス送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に設けられ、機構部品の有無及び位置を検出する検出装置に関するものであり、特にデジタルカメラ、携帯電話、DVD装置、プリンター等のデジタル電子機器に設けられるワイヤレス光結合検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の多くの各種電子機器では、機構部品の有無及び位置を検出し、その動きに合わせて各種制御を行うため、機構部品を検出する光結合検出装置(フォトインタラプタ)が使用されている(特許文献1,2)。
【0003】
従来の光結合検出装置について構造を簡単に説明する。ここでは、導電性フレームを用いた遮光板や反射板の有無を検出する光結合検出装置の例を図13及び図14に示す。
【0004】
図13は、遮光板等の対象物の有無を検出する透過検出タイプの構成例である。この構成では、発光チップ151と受光チップ153とを導電性フレーム152、154のそれぞれに接続し、透光性樹脂155、156でモールドすることで発光素子部158および受光素子部159を形成している。さらに、発光素子部158および受光素子部159は、発光チップ151と受光チップ153とを向かい合わせた状態にて、耐熱性樹脂157で同一モールドされている。これにより、図13に示す光結合検出装置が、2重モールド光結合検出装置となっている。
【0005】
図13に示す光結合検出装置は、発光素子部158から出た光が受光素子部159へ入射する構造となっており、機構部品の位置に応じて受光素子部159への入射光が遮断され出力が変化する。上記光結合検出装置は、その変化を判断して遮光板の位置を検出できるものである。
【0006】
図14は、反射板等の対象物の有無を検出する反射検出タイプの構成例である。この構成では、発光チップ161から出た光が、反射板165に反射されることによって受光チップ162へ入射する構造となっている。反射板165の位置に応じて受光チップ162への入射光が発生し出力が変化する。上記光結合検出装置は、その変化を判断して反射板165の位置を検出できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−296321号公報(2001年10月26日公開)
【特許文献2】特開2007−218040号公報(2007年8月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構造の光結合検出装置では、装置本体に電源を供給する必要と、装置本体から信号を取り出す必要とがあるため、装置本体の外面に電気的接続が可能な接続端子を配置する必要がある。
【0009】
また、上記接続端子から、フレキシブル基板等により電気配線を制御基板まで引き回す必要があるため、上記接続端子を取り付ける場所が制約されるという課題がある。
【0010】
更に、光結合検出装置を使用するにあたっては、電気接続を行うために半田付け工程が必要であり、作業方法によっては熱のストレスによる信頼性上の影響を与える可能性もある。このため、生産装置の温度管理等の高度な生産技術が必要であり、実装にはリフロー装置等の高価な生産設備が必要になる。
【0011】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、取付け場所の制約が少なく、かつ、高価な生産設備を必要とすることなく製造できる光結合検出装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明のワイヤレス光結合検出装置は、光信号を出射する発光素子部と、上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、外部からの電波を受けることによって誘電電流を発生させることが可能であり、上記誘電電流によって、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を発生させる電力受信用コイルと、上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を、上記電力受信用コイルに外部からの電波を照射することで非接触に供給できる。また、上記受光素子部が生成する検出データは、上記信号送信用アンテナを用いて外部にワイヤレス送信することができる。これにより、上記ワイヤレス光結合検出装置は、電力供給およびデータ出力のための接続端子を設ける必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することが可能となる。さらに、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備を不要とすることができる。
【0014】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、さらに、上記電力受信用コイルによって生じる誘電電流によって充電可能な蓄電部を備えている構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、上記電力受信用コイルによって生じる上記蓄電部を充電し、上記蓄電部に充電された電力によって上記発光素子部および上記受光素子部を駆動することができる。
【0016】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、さらに、外部からの光を受けて電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する光発電手段を有している構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、上記電力受信用コイルだけでなく、上記光発電手段によっても上記蓄電部を充電することができる。
【0018】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、さらに、当該ワイヤレス光結合検出装置自身の移動によって電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する移動発電手段を有している構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、上記電力受信用コイルだけでなく、上記移動発電手段によっても上記蓄電部を充電することができる。
【0020】
また、本発明の他のワイヤレス光結合検出装置は、光信号を出射する発光素子部と、上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を供給する電池を取り付けるための電池取付け部と、上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を、上記電池から供給することができる。また、上記受光素子部が生成する検出データは、上記信号送信用アンテナを用いて外部にワイヤレス送信することができる。これにより、上記ワイヤレス光結合検出装置は、電力供給およびデータ出力のための接続端子を設ける必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することが可能となる。さらに、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備を不要とすることができる。
【0022】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、上記受光素子部は、受光チップと、ワイヤレス通信機能を有したチップとを分離して備えた構造を有している構成とすることができる。
【0023】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、上記発光素子部は、パルス駆動による点滅光を上記光信号として出射する発光チップを備えている構成とすることができる。上記構成によれば、ワイヤレス光結合検出装置における消費電流を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のワイヤレス光結合検出装置は、光結合検出装置から制御基板までの電気配線を引き回す必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することできるといった効果を奏する。さらに、本発明の光結合検出装置では、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備が不要なワイヤレスでの光結合検出装置を提供することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図13】従来の透過検出タイプの光結合検出装置の構成を示す図である。
【図14】従来の反射検出タイプの光結合検出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
〔実施の形態1〕
(光結合検出装置の構成)
図1右側は、本実施の形態1に係るワイヤレス光結合検出装置(以下、単に光結合検出装置と称する)の断面構造図である。図1に示す光結合検出装置は、発光素子部4と受光素子部8とを備えている。発光素子部4は、光信号を出射する発光チップ1を導電性フレーム2に搭載し、その周囲をエポキシ系等の透光性樹脂3にてモールドした構成となっている。また、受光素子部8は、ワイヤレス通信機能を有した受光チップ5を導電性フレーム6に搭載し周囲をエポキシ系等の透光性樹脂7にてモールドした構成となっている。受光チップ5は、発光チップ1が出射する光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する。また、受光素子部8を受光チップ5の搭載面側から見た形状を図1左側に示す。
【0028】
発光素子部4と受光素子部8とは、発光チップ1の発光面と受光チップ5の受光面とを互いに向かい合わせるように配置され、PPS/PPA等の耐熱性樹脂11にて2次モールドされた構造となっている。この構造により、上記光結合検出装置は、発光素子部4と受光素子部8との間のギャップ14での遮光板等対象物の有無を検出してそのデータを出力する、透過検出タイプの検出装置として機能する。
【0029】
また、2次モールド内部では、発光素子部4および受光素子部8は導電性フレーム13に搭載されており、導電性フレーム13には電力受信用コイル9と信号送信用アンテナ10とが接続されている。電力受信用コイル9および信号送信用アンテナ10も、他の部材と同様に、耐熱性樹脂11によってモールドされている。
【0030】
(光結合検出装置の効果)
上記構造の光結合検出装置では、電力受信用コイル9に外部から電波を当てることで電力受信用コイル9に誘導電流を生じさせ、この誘導電流を当該光結合検出装置の駆動電流として用いることができる。すなわち、上記誘電電流が、発光チップ1及び受光チップ5を駆動する電流となる。
【0031】
また、受光チップ5による検出データは信号送信用アンテナ10を介して外部の制御基板へワイヤレス送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0032】
上記光結合検出装置は、電力受信用コイル9を用いた非接触の電力供給機能、および、信号送信用アンテナ10を用いたワイヤレス通信機能を有しており、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無い。これにより、装置の設計における接続端子の配置の制約を受けることなく、設計における自由度が向上する。また、接続端子における電気接続を得るための半田付け工程が不要となり、生産設備や生産工程を簡略化して生産コストを抑制することができる。
【0033】
(変形例)
図1の光結合検出装置では、受光素子部8はワイヤレス通信機能を有した受光チップ5を備えた1チップ構成となっているが、図2に示すように、受光素子部8に替えて、2チップ構成の受光素子部20を用いても良い。すなわち、受光素子部20は、受光チップ21と、ワイヤレス通信機能を有したチップ22とを分離した状態で導電性フレーム6に搭載している。
【0034】
図2に示す光結合検出装置において、受光素子部20以外の構成は、図1の光結合検出装置と同じであるため、図1と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
〔実施の形態2〕
(光結合検出装置の構成)
図3は、本実施の形態2に係る光結合検出装置の断面構造図である。図3に示す光結合検出装置は、発光素子部34と受光素子部38とを備えている。発光素子部34は、発光チップ31を導電性フレーム32に搭載し、その周囲をエポキシ系等の透光性樹脂33にてモールドした構成となっている。また、受光素子部38は、ワイヤレス通信機能を有した受光チップ35を導電性フレーム36に搭載し周囲をエポキシ系等の透光性樹脂37にてモールドした構成となっている。
【0036】
発光素子部34と受光素子部38とは、発光チップ31の発光面と受光チップ35の受光面とが同一方向を向くように並べて配置され、PPS/PPA等の耐熱性樹脂41にて2次モールドされた構造となっている。この構造により、上記光結合検出装置は、反射板等の対象物45の有無を検出してそのデータを出力する、反射検出タイプの検出装置として機能する。
【0037】
また、2次モールド内部では、発光素子部34および受光素子部38は導電性フレーム43に搭載されており、導電性フレーム43には電力受信用コイル39と信号送信用アンテナ40とが接続されている。電力受信用コイル39および信号送信用アンテナ40も、他の部材と同様に、耐熱性樹脂41によってモールドされている。
【0038】
(光結合検出装置の効果)
上記構造の光結合検出装置では、電力受信用コイル39に外部から電波を当てることで電力受信用コイル39に誘導電流を生じさせ、この誘導電流を当該光結合検出装置の駆動電流として用いることができる。すなわち、上記誘電電流が、発光チップ31及び受光チップ35を駆動する電流となる。
【0039】
また、受光チップ35による検出データは信号送信用アンテナ40を介して外部の制御基板へ送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0040】
上記光結合検出装置は、実施の形態1の光結合検出装置と同様に、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無く、設計における自由度の向上や生産コストの抑制といった効果を得ることができる。
【0041】
(変形例)
図3の光結合検出装置では、受光素子部38はワイヤレス通信機能を有した受光チップ35を備えた1チップ構成となっているが、図3に示すように、受光素子部38に替えて、2チップ構成の受光素子部50を用いても良い。すなわち、受光素子部50は、受光チップ51と、ワイヤレス通信機能を有したチップ52とを分離した状態で導電性フレーム36に搭載している。
【0042】
図4に示す光結合検出装置において、受光素子部50以外の構成は、図3の光結合検出装置と同じであるため、図3と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
〔実施の形態3〕
(光結合検出装置の構成)
図5は、本実施の形態3に係る光結合検出装置の断面構造図である。図5に示す光結合検出装置は、実施の形態1と同様、透過検出タイプの光結合検出装置であり、図1に示す光結合検出装置と類似した構成を有している。このため、図5に示す光結合検出装置において、図1と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
図5に示す光結合検出装置では、発光素子部4および受光素子部8が導電性フレーム13に搭載されており、導電性フレーム13には電力受信用コイル9と信号送信用アンテナ10と蓄電部61とが接続されている。蓄電部61は、他の部材と同様に、耐熱性樹脂11によってモールドされている。
【0045】
(光結合検出装置の効果)
上記構造の光結合検出装置では、電力受信用コイル9に外部から電波を当てることで電力受信用コイル9に誘導電流を生じさせ、この誘導電流によって蓄電部61を充電することが可能である。そして、蓄電部61に蓄えられた電力により、発光チップ1及び受光チップ5を駆動する。
【0046】
また、受光チップ5による検出データは信号送信用アンテナ10を介して外部の制御基板へ送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0047】
上記光結合検出装置は、実施の形態1および2の光結合検出装置と同様に、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無く、設計における自由度の向上や生産コストの抑制といった効果を得ることができる。
【0048】
(変形例)
図6に示す光結合検出装置は、図5に示す構成において、1チップ構成の受光素子部8に替えて、2チップ構成の受光素子部20を用いた構成である。図6に示す光結合検出装置は、図2に示す光結合検出装置と類似した構成を有しているが、さらに蓄電部61が備えられ、電力受信用コイル9に生じさせた誘導電流によって蓄電部61を充電できる点で、図2の光結合検出装置とは異なっている。
【0049】
図7に示す光結合検出装置は、実施の形態2と同様、反射検出タイプの光結合検出装置であり、図3に示す光結合検出装置と類似した構成を有している。このため、図7に示す光結合検出装置において、図3と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
図7に示す光結合検出装置では、発光素子部34および受光素子部38が導電性フレーム43に搭載されており、導電性フレーム43には電力受信用コイル39と信号送信用アンテナ40と蓄電部61とが接続されている。蓄電部61は、他の部材と同様に、耐熱性樹脂41によってモールドされている。
【0051】
図8に示す光結合検出装置は、図7に示す構成において、1チップ構成の受光素子部38に替えて、2チップ構成の受光素子部50を用いた構成である。図8に示す光結合検出装置は、図4に示す光結合検出装置と類似した構成を有しているが、さらに蓄電部61が備えられ、電力受信用コイル9に生じさせた誘導電流によって蓄電部61を充電できる点で、図4の光結合検出装置とは異なっている。
【0052】
本実施の形態3における蓄電部61は、電力受信用コイルに生じた誘電電流によって充電できるものであれば特にその種類が限定されるものではなく、充電式電池やコンデンサ(キャパシタ)等、多種にわたり実現可能である。
【0053】
また、蓄電部61を有した光結合検出装置においては、電力受信用コイル以外に、蓄電部61を充電する手段を設けても良い。例えば、光結合検出装置が検出動作を行っていない時には、受光チップに外部からの光を受光させ、これによって生じる光電流を用いて蓄電部61を充電することも可能である。
【0054】
更に、電力受信用コイルの替わりに太陽電池等の光発電手段を用いることも可能である。また、光結合検出装置を磁界の掛かる場所に設置し、その磁界内で光結合検出装置自らが移動することで電力受信用コイルに誘導電流が流れ、その電流で蓄電部61を充電する移動発電手段を設ける構造とすることも実現可能である。もちろん、太陽電池等の、蓄電部61を充電する各種手段は、電力受信用コイルに替えて使用する形態に限られず、電力受信用コイルと併用する形態であってもよい。
【0055】
〔実施の形態4〕
(光結合検出装置の構成)
図9〜12は、本実施の形態3に係る光結合検出装置の断面構造図である。図9〜図12は、前記実施の形態3で説明した電力受信用コイルおよび蓄電部の替わりに、電池を用いることで充電の必要が無いワイヤレス光結合検出装置とした構成例を示すものである。
【0056】
図9に示す光結合検出装置は、図5に示す光結合検出装置と類似した構成を有している。このため、図9に示す光結合検出装置において、図5と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0057】
図9に示す光結合検出装置は、図5に示す構成において、電力受信用コイル9および蓄電部61に替えて、導電性フレーム13に、電池72を取り付けるための電池取付け部71を備えた構成である。また、図10〜12のそれぞれに示す光結合検出装置は、図6〜8に示す構成において、電力受信用コイル9および蓄電部61に替えて、電池72を取り付けるための電池取付け部71を備えた構成である。
【0058】
(光結合検出装置の効果)
図9〜12に示す光結合検出装置は、電池72から供給される電力により、発光素子部及び受光素子部を駆動することができる。また、受光チップによる検出データは信号送信用アンテナ10を介して外部の制御基板へ送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0059】
上記光結合検出装置は、実施の形態1ないし3の光結合検出装置と同様に、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無く、設計における自由度の向上や生産コストの抑制といった効果を得ることができる。
【0060】
上記各実施形態における光結合検出装置では、発光チップをパルス駆動し点滅光を上記光信号として出射する構造により消費電流を最小限にしたワイヤレス光結合検出装置の実現が可能である。
【0061】
また、上記各実施形態における光結合検出装置では、電力受信用コイルの巻数等を使用する電波の周波数や必要な電力により調整したり、信号送信用アンテナの長さ等を調整したりすることで使用条件に応じた種々の対応が可能となる。さらに、必要に応じてショットキーバリアダイオード等の付加回路を加えることによっても種々の対応が可能となる。また、上記各実施形態において説明した各光結合検出装置は、その使用目的に応じて適切なものを種々選択するものである。
【0062】
上記各実施形態の説明から明らかな通り、本発明に係る光結合検出装置では、光結合検出装置から制御基板までの電気配線を引き回す必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することが可能となっている。このよう取付け場所の制約が少ない光結合検出装置は、デジタルカメラ、携帯電話、DVD装置、プリンター等のデジタル電子機器において利用する際に有益である。
【0063】
さらに、本発明に係る光結合検出装置では、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備が不要なワイヤレスでの光結合検出装置を提供することができる。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、デジタルカメラ、携帯電話、DVD装置、プリンター等のデジタル電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,31 発光チップ
4,34 発光素子部
5,21,35,51 受光チップ
8,20,38,50 受光素子部
22,52 ワイヤレス通信機能を有したチップ
9,39 電力受信用コイル
10,40 信号送信用アンテナ
61 蓄電部
71 電池取付け部
72 電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に設けられ、機構部品の有無及び位置を検出する検出装置に関するものであり、特にデジタルカメラ、携帯電話、DVD装置、プリンター等のデジタル電子機器に設けられるワイヤレス光結合検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の多くの各種電子機器では、機構部品の有無及び位置を検出し、その動きに合わせて各種制御を行うため、機構部品を検出する光結合検出装置(フォトインタラプタ)が使用されている(特許文献1,2)。
【0003】
従来の光結合検出装置について構造を簡単に説明する。ここでは、導電性フレームを用いた遮光板や反射板の有無を検出する光結合検出装置の例を図13及び図14に示す。
【0004】
図13は、遮光板等の対象物の有無を検出する透過検出タイプの構成例である。この構成では、発光チップ151と受光チップ153とを導電性フレーム152、154のそれぞれに接続し、透光性樹脂155、156でモールドすることで発光素子部158および受光素子部159を形成している。さらに、発光素子部158および受光素子部159は、発光チップ151と受光チップ153とを向かい合わせた状態にて、耐熱性樹脂157で同一モールドされている。これにより、図13に示す光結合検出装置が、2重モールド光結合検出装置となっている。
【0005】
図13に示す光結合検出装置は、発光素子部158から出た光が受光素子部159へ入射する構造となっており、機構部品の位置に応じて受光素子部159への入射光が遮断され出力が変化する。上記光結合検出装置は、その変化を判断して遮光板の位置を検出できるものである。
【0006】
図14は、反射板等の対象物の有無を検出する反射検出タイプの構成例である。この構成では、発光チップ161から出た光が、反射板165に反射されることによって受光チップ162へ入射する構造となっている。反射板165の位置に応じて受光チップ162への入射光が発生し出力が変化する。上記光結合検出装置は、その変化を判断して反射板165の位置を検出できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−296321号公報(2001年10月26日公開)
【特許文献2】特開2007−218040号公報(2007年8月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構造の光結合検出装置では、装置本体に電源を供給する必要と、装置本体から信号を取り出す必要とがあるため、装置本体の外面に電気的接続が可能な接続端子を配置する必要がある。
【0009】
また、上記接続端子から、フレキシブル基板等により電気配線を制御基板まで引き回す必要があるため、上記接続端子を取り付ける場所が制約されるという課題がある。
【0010】
更に、光結合検出装置を使用するにあたっては、電気接続を行うために半田付け工程が必要であり、作業方法によっては熱のストレスによる信頼性上の影響を与える可能性もある。このため、生産装置の温度管理等の高度な生産技術が必要であり、実装にはリフロー装置等の高価な生産設備が必要になる。
【0011】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、取付け場所の制約が少なく、かつ、高価な生産設備を必要とすることなく製造できる光結合検出装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明のワイヤレス光結合検出装置は、光信号を出射する発光素子部と、上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、外部からの電波を受けることによって誘電電流を発生させることが可能であり、上記誘電電流によって、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を発生させる電力受信用コイルと、上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を、上記電力受信用コイルに外部からの電波を照射することで非接触に供給できる。また、上記受光素子部が生成する検出データは、上記信号送信用アンテナを用いて外部にワイヤレス送信することができる。これにより、上記ワイヤレス光結合検出装置は、電力供給およびデータ出力のための接続端子を設ける必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することが可能となる。さらに、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備を不要とすることができる。
【0014】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、さらに、上記電力受信用コイルによって生じる誘電電流によって充電可能な蓄電部を備えている構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、上記電力受信用コイルによって生じる上記蓄電部を充電し、上記蓄電部に充電された電力によって上記発光素子部および上記受光素子部を駆動することができる。
【0016】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、さらに、外部からの光を受けて電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する光発電手段を有している構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、上記電力受信用コイルだけでなく、上記光発電手段によっても上記蓄電部を充電することができる。
【0018】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、さらに、当該ワイヤレス光結合検出装置自身の移動によって電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する移動発電手段を有している構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、上記電力受信用コイルだけでなく、上記移動発電手段によっても上記蓄電部を充電することができる。
【0020】
また、本発明の他のワイヤレス光結合検出装置は、光信号を出射する発光素子部と、上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を供給する電池を取り付けるための電池取付け部と、上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を、上記電池から供給することができる。また、上記受光素子部が生成する検出データは、上記信号送信用アンテナを用いて外部にワイヤレス送信することができる。これにより、上記ワイヤレス光結合検出装置は、電力供給およびデータ出力のための接続端子を設ける必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することが可能となる。さらに、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備を不要とすることができる。
【0022】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、上記受光素子部は、受光チップと、ワイヤレス通信機能を有したチップとを分離して備えた構造を有している構成とすることができる。
【0023】
また、上記ワイヤレス光結合検出装置では、上記発光素子部は、パルス駆動による点滅光を上記光信号として出射する発光チップを備えている構成とすることができる。上記構成によれば、ワイヤレス光結合検出装置における消費電流を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のワイヤレス光結合検出装置は、光結合検出装置から制御基板までの電気配線を引き回す必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することできるといった効果を奏する。さらに、本発明の光結合検出装置では、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備が不要なワイヤレスでの光結合検出装置を提供することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置の他の構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係るワイヤレス光結合検出装置のさらに他の構成を示す図である。
【図13】従来の透過検出タイプの光結合検出装置の構成を示す図である。
【図14】従来の反射検出タイプの光結合検出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
〔実施の形態1〕
(光結合検出装置の構成)
図1右側は、本実施の形態1に係るワイヤレス光結合検出装置(以下、単に光結合検出装置と称する)の断面構造図である。図1に示す光結合検出装置は、発光素子部4と受光素子部8とを備えている。発光素子部4は、光信号を出射する発光チップ1を導電性フレーム2に搭載し、その周囲をエポキシ系等の透光性樹脂3にてモールドした構成となっている。また、受光素子部8は、ワイヤレス通信機能を有した受光チップ5を導電性フレーム6に搭載し周囲をエポキシ系等の透光性樹脂7にてモールドした構成となっている。受光チップ5は、発光チップ1が出射する光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する。また、受光素子部8を受光チップ5の搭載面側から見た形状を図1左側に示す。
【0028】
発光素子部4と受光素子部8とは、発光チップ1の発光面と受光チップ5の受光面とを互いに向かい合わせるように配置され、PPS/PPA等の耐熱性樹脂11にて2次モールドされた構造となっている。この構造により、上記光結合検出装置は、発光素子部4と受光素子部8との間のギャップ14での遮光板等対象物の有無を検出してそのデータを出力する、透過検出タイプの検出装置として機能する。
【0029】
また、2次モールド内部では、発光素子部4および受光素子部8は導電性フレーム13に搭載されており、導電性フレーム13には電力受信用コイル9と信号送信用アンテナ10とが接続されている。電力受信用コイル9および信号送信用アンテナ10も、他の部材と同様に、耐熱性樹脂11によってモールドされている。
【0030】
(光結合検出装置の効果)
上記構造の光結合検出装置では、電力受信用コイル9に外部から電波を当てることで電力受信用コイル9に誘導電流を生じさせ、この誘導電流を当該光結合検出装置の駆動電流として用いることができる。すなわち、上記誘電電流が、発光チップ1及び受光チップ5を駆動する電流となる。
【0031】
また、受光チップ5による検出データは信号送信用アンテナ10を介して外部の制御基板へワイヤレス送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0032】
上記光結合検出装置は、電力受信用コイル9を用いた非接触の電力供給機能、および、信号送信用アンテナ10を用いたワイヤレス通信機能を有しており、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無い。これにより、装置の設計における接続端子の配置の制約を受けることなく、設計における自由度が向上する。また、接続端子における電気接続を得るための半田付け工程が不要となり、生産設備や生産工程を簡略化して生産コストを抑制することができる。
【0033】
(変形例)
図1の光結合検出装置では、受光素子部8はワイヤレス通信機能を有した受光チップ5を備えた1チップ構成となっているが、図2に示すように、受光素子部8に替えて、2チップ構成の受光素子部20を用いても良い。すなわち、受光素子部20は、受光チップ21と、ワイヤレス通信機能を有したチップ22とを分離した状態で導電性フレーム6に搭載している。
【0034】
図2に示す光結合検出装置において、受光素子部20以外の構成は、図1の光結合検出装置と同じであるため、図1と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
〔実施の形態2〕
(光結合検出装置の構成)
図3は、本実施の形態2に係る光結合検出装置の断面構造図である。図3に示す光結合検出装置は、発光素子部34と受光素子部38とを備えている。発光素子部34は、発光チップ31を導電性フレーム32に搭載し、その周囲をエポキシ系等の透光性樹脂33にてモールドした構成となっている。また、受光素子部38は、ワイヤレス通信機能を有した受光チップ35を導電性フレーム36に搭載し周囲をエポキシ系等の透光性樹脂37にてモールドした構成となっている。
【0036】
発光素子部34と受光素子部38とは、発光チップ31の発光面と受光チップ35の受光面とが同一方向を向くように並べて配置され、PPS/PPA等の耐熱性樹脂41にて2次モールドされた構造となっている。この構造により、上記光結合検出装置は、反射板等の対象物45の有無を検出してそのデータを出力する、反射検出タイプの検出装置として機能する。
【0037】
また、2次モールド内部では、発光素子部34および受光素子部38は導電性フレーム43に搭載されており、導電性フレーム43には電力受信用コイル39と信号送信用アンテナ40とが接続されている。電力受信用コイル39および信号送信用アンテナ40も、他の部材と同様に、耐熱性樹脂41によってモールドされている。
【0038】
(光結合検出装置の効果)
上記構造の光結合検出装置では、電力受信用コイル39に外部から電波を当てることで電力受信用コイル39に誘導電流を生じさせ、この誘導電流を当該光結合検出装置の駆動電流として用いることができる。すなわち、上記誘電電流が、発光チップ31及び受光チップ35を駆動する電流となる。
【0039】
また、受光チップ35による検出データは信号送信用アンテナ40を介して外部の制御基板へ送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0040】
上記光結合検出装置は、実施の形態1の光結合検出装置と同様に、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無く、設計における自由度の向上や生産コストの抑制といった効果を得ることができる。
【0041】
(変形例)
図3の光結合検出装置では、受光素子部38はワイヤレス通信機能を有した受光チップ35を備えた1チップ構成となっているが、図3に示すように、受光素子部38に替えて、2チップ構成の受光素子部50を用いても良い。すなわち、受光素子部50は、受光チップ51と、ワイヤレス通信機能を有したチップ52とを分離した状態で導電性フレーム36に搭載している。
【0042】
図4に示す光結合検出装置において、受光素子部50以外の構成は、図3の光結合検出装置と同じであるため、図3と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
〔実施の形態3〕
(光結合検出装置の構成)
図5は、本実施の形態3に係る光結合検出装置の断面構造図である。図5に示す光結合検出装置は、実施の形態1と同様、透過検出タイプの光結合検出装置であり、図1に示す光結合検出装置と類似した構成を有している。このため、図5に示す光結合検出装置において、図1と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
図5に示す光結合検出装置では、発光素子部4および受光素子部8が導電性フレーム13に搭載されており、導電性フレーム13には電力受信用コイル9と信号送信用アンテナ10と蓄電部61とが接続されている。蓄電部61は、他の部材と同様に、耐熱性樹脂11によってモールドされている。
【0045】
(光結合検出装置の効果)
上記構造の光結合検出装置では、電力受信用コイル9に外部から電波を当てることで電力受信用コイル9に誘導電流を生じさせ、この誘導電流によって蓄電部61を充電することが可能である。そして、蓄電部61に蓄えられた電力により、発光チップ1及び受光チップ5を駆動する。
【0046】
また、受光チップ5による検出データは信号送信用アンテナ10を介して外部の制御基板へ送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0047】
上記光結合検出装置は、実施の形態1および2の光結合検出装置と同様に、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無く、設計における自由度の向上や生産コストの抑制といった効果を得ることができる。
【0048】
(変形例)
図6に示す光結合検出装置は、図5に示す構成において、1チップ構成の受光素子部8に替えて、2チップ構成の受光素子部20を用いた構成である。図6に示す光結合検出装置は、図2に示す光結合検出装置と類似した構成を有しているが、さらに蓄電部61が備えられ、電力受信用コイル9に生じさせた誘導電流によって蓄電部61を充電できる点で、図2の光結合検出装置とは異なっている。
【0049】
図7に示す光結合検出装置は、実施の形態2と同様、反射検出タイプの光結合検出装置であり、図3に示す光結合検出装置と類似した構成を有している。このため、図7に示す光結合検出装置において、図3と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
図7に示す光結合検出装置では、発光素子部34および受光素子部38が導電性フレーム43に搭載されており、導電性フレーム43には電力受信用コイル39と信号送信用アンテナ40と蓄電部61とが接続されている。蓄電部61は、他の部材と同様に、耐熱性樹脂41によってモールドされている。
【0051】
図8に示す光結合検出装置は、図7に示す構成において、1チップ構成の受光素子部38に替えて、2チップ構成の受光素子部50を用いた構成である。図8に示す光結合検出装置は、図4に示す光結合検出装置と類似した構成を有しているが、さらに蓄電部61が備えられ、電力受信用コイル9に生じさせた誘導電流によって蓄電部61を充電できる点で、図4の光結合検出装置とは異なっている。
【0052】
本実施の形態3における蓄電部61は、電力受信用コイルに生じた誘電電流によって充電できるものであれば特にその種類が限定されるものではなく、充電式電池やコンデンサ(キャパシタ)等、多種にわたり実現可能である。
【0053】
また、蓄電部61を有した光結合検出装置においては、電力受信用コイル以外に、蓄電部61を充電する手段を設けても良い。例えば、光結合検出装置が検出動作を行っていない時には、受光チップに外部からの光を受光させ、これによって生じる光電流を用いて蓄電部61を充電することも可能である。
【0054】
更に、電力受信用コイルの替わりに太陽電池等の光発電手段を用いることも可能である。また、光結合検出装置を磁界の掛かる場所に設置し、その磁界内で光結合検出装置自らが移動することで電力受信用コイルに誘導電流が流れ、その電流で蓄電部61を充電する移動発電手段を設ける構造とすることも実現可能である。もちろん、太陽電池等の、蓄電部61を充電する各種手段は、電力受信用コイルに替えて使用する形態に限られず、電力受信用コイルと併用する形態であってもよい。
【0055】
〔実施の形態4〕
(光結合検出装置の構成)
図9〜12は、本実施の形態3に係る光結合検出装置の断面構造図である。図9〜図12は、前記実施の形態3で説明した電力受信用コイルおよび蓄電部の替わりに、電池を用いることで充電の必要が無いワイヤレス光結合検出装置とした構成例を示すものである。
【0056】
図9に示す光結合検出装置は、図5に示す光結合検出装置と類似した構成を有している。このため、図9に示す光結合検出装置において、図5と同様の構成および機能を有する部材については同じ部材番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0057】
図9に示す光結合検出装置は、図5に示す構成において、電力受信用コイル9および蓄電部61に替えて、導電性フレーム13に、電池72を取り付けるための電池取付け部71を備えた構成である。また、図10〜12のそれぞれに示す光結合検出装置は、図6〜8に示す構成において、電力受信用コイル9および蓄電部61に替えて、電池72を取り付けるための電池取付け部71を備えた構成である。
【0058】
(光結合検出装置の効果)
図9〜12に示す光結合検出装置は、電池72から供給される電力により、発光素子部及び受光素子部を駆動することができる。また、受光チップによる検出データは信号送信用アンテナ10を介して外部の制御基板へ送信することができ、これにより上記光結合検出装置はワイヤレス通信機能を実現している。
【0059】
上記光結合検出装置は、実施の形態1ないし3の光結合検出装置と同様に、電力供給やデータ送信のための接続端子を備える必要が無く、設計における自由度の向上や生産コストの抑制といった効果を得ることができる。
【0060】
上記各実施形態における光結合検出装置では、発光チップをパルス駆動し点滅光を上記光信号として出射する構造により消費電流を最小限にしたワイヤレス光結合検出装置の実現が可能である。
【0061】
また、上記各実施形態における光結合検出装置では、電力受信用コイルの巻数等を使用する電波の周波数や必要な電力により調整したり、信号送信用アンテナの長さ等を調整したりすることで使用条件に応じた種々の対応が可能となる。さらに、必要に応じてショットキーバリアダイオード等の付加回路を加えることによっても種々の対応が可能となる。また、上記各実施形態において説明した各光結合検出装置は、その使用目的に応じて適切なものを種々選択するものである。
【0062】
上記各実施形態の説明から明らかな通り、本発明に係る光結合検出装置では、光結合検出装置から制御基板までの電気配線を引き回す必要が無く、取付け場所の制約が少ないフレキシブルなワイヤレスでの光結合検出装置を実現することが可能となっている。このよう取付け場所の制約が少ない光結合検出装置は、デジタルカメラ、携帯電話、DVD装置、プリンター等のデジタル電子機器において利用する際に有益である。
【0063】
さらに、本発明に係る光結合検出装置では、実装における半田付け工程が省略でき、リフロー装置等の高価な生産設備が不要なワイヤレスでの光結合検出装置を提供することができる。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、デジタルカメラ、携帯電話、DVD装置、プリンター等のデジタル電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,31 発光チップ
4,34 発光素子部
5,21,35,51 受光チップ
8,20,38,50 受光素子部
22,52 ワイヤレス通信機能を有したチップ
9,39 電力受信用コイル
10,40 信号送信用アンテナ
61 蓄電部
71 電池取付け部
72 電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を出射する発光素子部と、
上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、
外部からの電波を受けることによって誘電電流を発生させることが可能であり、上記誘電電流によって、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を発生させる電力受信用コイルと、
上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴とするワイヤレス光結合検出装置。
【請求項2】
さらに、上記電力受信用コイルによって生じる誘電電流によって充電可能な蓄電部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項3】
さらに、外部からの光を受けて電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する光発電手段を有していることを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項4】
さらに、上記ワイヤレス光結合検出装置自身の移動によって電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する移動発電手段を有していることを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項5】
光信号を出射する発光素子部と、
上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、
上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を供給する電池を取り付けるための電池取付け部と、
上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴とするワイヤレス光結合検出装置。
【請求項6】
上記受光素子部は、受光チップと、ワイヤレス通信機能を有したチップとを分離して備えた構造を有していることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項7】
上記発光素子部は、パルス駆動による点滅光を上記光信号として出射する発光チップを備えていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項8】
上記請求項1から7の何れか一項に記載のワイヤレス光結合検出装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
光信号を出射する発光素子部と、
上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、
外部からの電波を受けることによって誘電電流を発生させることが可能であり、上記誘電電流によって、上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を発生させる電力受信用コイルと、
上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴とするワイヤレス光結合検出装置。
【請求項2】
さらに、上記電力受信用コイルによって生じる誘電電流によって充電可能な蓄電部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項3】
さらに、外部からの光を受けて電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する光発電手段を有していることを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項4】
さらに、上記ワイヤレス光結合検出装置自身の移動によって電力を発生し、当該電力にて上記蓄電部を充電する移動発電手段を有していることを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項5】
光信号を出射する発光素子部と、
上記光信号を受信したか否かに応じて対象物の有無を検出し、検出データを生成する受光素子部と、
上記発光素子部および上記受光素子部を駆動するための電力を供給する電池を取り付けるための電池取付け部と、
上記受光素子部が生成する検出データを外部にワイヤレス送信するための信号送信用アンテナとを備えていることを特徴とするワイヤレス光結合検出装置。
【請求項6】
上記受光素子部は、受光チップと、ワイヤレス通信機能を有したチップとを分離して備えた構造を有していることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項7】
上記発光素子部は、パルス駆動による点滅光を上記光信号として出射する発光チップを備えていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のワイヤレス光結合検出装置。
【請求項8】
上記請求項1から7の何れか一項に記載のワイヤレス光結合検出装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−98499(P2013−98499A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242839(P2011−242839)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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