ワイヤレス温度センサ
本発明は、ある振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生する手段(2000)と、測定される温度(T)に依存しない、所定の期間内のパルス数をカウントし、パルス列(DATA_IN)中のパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生する手段(3000)と、前記ビットから直列デジタル信号(DATA_OUT)を発生する手段(4000)とからなる内蔵型温度センサ(108)に関し、パルス列(DATA_IN)発生手段(2000)は、測定される温度(T)に依存する遅延をもたらし得る複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を含み、前記手段(2000)は、測定される温度(T)に依存する振動周波数をもつパルス列(DATA_IN)を発生する。本発明は、温度測定方法およびワイヤレスシステム用のトランスポンダにも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵型温度センサ、より具体的には、低コスト低電力消費であるセンサの分野に関し、かつ前記センサを組み込むワイヤレストランスポンダの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電力消費に関して最小限の設計による集積回路が公知である。この傾向は、例えばRFID(無線周波数識別)トランスポンダ、ワイヤレスセンサなど、エネルギー消費が重要である適用分野の飛躍的成長から始まった。
【0003】
こうした回路のほとんどは、非常に限られたエネルギー容量のバッテリを有し(能動回路)、その他の回路は、正しい動作のために、放射電磁波のエネルギーを集め一時的に蓄える(受動回路)。
【0004】
したがって、こうした回路両方において、電力消費を低くすることが望ましい。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0135456号には、その周波数が温度に依存する信号を発生する発振器を備える無線周波数温度センサが記載されている。この温度センサは、熱抵抗器およびコンデンサによって引き起こされる遅延により実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0135456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、米国特許出願公開第2005/0135456号に記載されている温度センサには、RC(抵抗器およびコンデンサ)共振タンクを統合するのに多大な表面積が必要であること、ならびにこのコア(RC)を所望の温度変化範囲に従って適応させるのが難しいことなど、一連の欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、言及したタイプの適用分野(RFIDセンサまたはより全般的には、ワイヤレスセンサ)に有効な低コスト低電力消費の内蔵型温度センサを用いて、上述した問題を解決する。本発明のセンサは、その周波数が温度に依存する信号を発生する発振器を備え、前記依存性は、ある一定の数の論理ゲートからなるチェーンによって引き起こされる遅延により実現される。したがって、RCタンクに基づくセンサ用の同じアクションにより必要となる全体の再設計に対する、論理ゲートの直接スケーリングによって容易に実施することができる(総表面積がほぼ不変なため)所望の温度変化範囲への容易な適応が実現される。
【0009】
本発明の一態様では、能動、半能動または受動RFIDトランスポンダに有効な低コスト低電力消費の内蔵型温度センサが提供される。
【0010】
前記センサは、一定の振動周波数でパルス列を発生する手段と、測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列のパルス数をカウントし、パルス列に含まれるパルス数を示す複数のビットを発生する手段と、前記複数のビットから直列デジタル信号を発生する手段、好ましくはパラレルシリアルコンバータとを備える。パルス列を発生する手段は、測定される温度に依存する遅延をもたらす可能性のある複数の論理ゲート、好ましくは奇数個の否定論理ゲートを備え、前記手段は、測定される前記温度(T)にその振動周波数が依存するパルス列を発生する。
【0011】
このセンサは好ましくは、測定される温度に依存しない少なくとも1つの基準信号により、より好ましくは、第2の初期化信号により、センサのその他の手段を協調させる制御手段をさらに備える。
【0012】
パルス列はさらに、リング発振器によって、測定される温度に依存しない基準信号から発生される。
【0013】
パルス列を発生する前記手段は好ましくは、電源供給電圧活性化/非活性化回路と、好ましくは電源供給電圧の変動からパルス発生器を保護する手段を備える電流源と、前記電流源のためのスタートアップ回路と、パルス発生器とを備える。
【0014】
論理ゲートによってもたらされる、温度に依存する遅延は、温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因する。
【0015】
本センサは、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム、リン化インジウムおよびガリウムヒ素から選ばれる基板上に製作される。
【0016】
本発明の別の態様では、トランスポンダに対する一意の識別コードを格納する手段と、読取り装置から温度要求信号を受信し、測定された温度を表す信号を前記読取り装置に送信することが可能なアンテナと、内蔵型温度センサとを備える、ワイヤレス温度識別システム用トランスポンダが提供される。
【0017】
本発明の別の態様は、アンテナを通して温度要求信号を送信し、測定された温度を表す信号を前記アンテナを通して受信することが可能な少なくとも1つの読取り装置と、少なくとも1つのトランスポンダとを備えるワイヤレス温度識別システムに関する。前記システムは好ましくは、無線周波数識別(RFID)システムである。
【0018】
本発明はまた、一定の振動周波数でパルス列を発生するステップと、測定される温度に依存しない、一定時間内の前記パルス列のパルス数をカウントし、パルス列に含まれるパルス数を示す複数のビットを発生するステップと、前記複数のビットから直列デジタル信号を発生するステップとを含む温度測定方法を提供し、パルス列は、測定される温度に依存する遅延をもたらす可能性がある複数の論理ゲートを備える発振器を用いて発生され、前記パルス列の振動周波数は、測定される温度に依存する。
【0019】
最後に、本発明は、内蔵型温度センサのための較正方法に関する。
【0020】
本発明の文脈において、「およそ」という用語は、前記用語の後に続くものに非常に近い値を示すものと理解されるべきである。示される値からのわずかなずれは、妥当な条件において、測定の不正確さなどのせいで避けられないことが、当業者には理解されよう。
【0021】
本明細書を通して、「備える」という用語およびその派生語は、排他的または限定的意味に解釈されるべきでない。すなわち、その用語が指す要素または概念が付加的な要素またはステップを含む可能性を排除する意味に解釈されるべきでない。
【0022】
以降で行われる説明を補足するために、また、本発明の特徴を、その好ましい実用的実施形態によってよりよく理解するのを助ける目的で、1組の図面を、前記説明の不可欠な部分として添付する。図面には、例示的であり非限定的特徴とともに以下のものを示してある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるセンサを示す全体ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるセンサの制御論理の最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図3】「CTR」、「OSC_START」および「TEMP_MEAS&ENABLE」の3ブロックを備える、制御論理の次の階層レベルを示すブロック図である。
【図4】図3の制御論理の「CTR」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図5】図4の「CTR」ブロックの複数のブロックのうち1つを詳しく示す図である。
【図6】制御論理の「OSC_START」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図7】制御論理の「TEMP_MEAS&ENABLE」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態によるセンサの温度依存発振器の最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態による、図8の温度依存発振器の回路を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によるセンサのバイナリカウンタの最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図11】「バイナリカウンタの単位ブロック」ブロックを備える、バイナリカウンタの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図12】各「バイナリカウンタの単位ブロック」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図13】本発明の一実施形態によるセンサのパラレルシリアルコンバータの最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図14】PBUCPS(パラレルシリアルコンバータの第1の単位ブロック)およびBUCPS(パラレルシリアルコンバータの単位ブロック)ブロックを備える、パラレルシリアルコンバータの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図15】PBUCPSブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図16】BUCPSブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図17】本発明の一実施形態によるセンサを備える温度測定用の読取り装置およびトランスポンダを示す図である。
【図18】本発明の一実施形態による、図17のトランスポンダ101の動作を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態による、ワイヤレス手段によって前記値を温度測定値とともに較正し、読取り装置に送るプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による温度センサ108のブロック図を示す。図1の温度センサ108は概して、RFID(無線周波数識別)トランスポンダ内にも、他のどのワイヤレストランスポンダ内にも実装することができる。
【0025】
図1のセンサ108は、発振器2000、バイナリカウンタ3000、および直列デジタル信号を発生する手段4000を備える。センサ108は好ましくは、制御手段1000をさらに備える。
【0026】
図1は、制御論理ブロックを用いた制御手段1000、温度依存発振器2000、バイナリカウンタ3000およびパラレルシリアルコンバータ4000を示している。本発明の本実施形態において、センサ108への入力はSTARTおよびCLKである。第1の入力(START)は、センサ108の測定プロセスを開始するのに使われるステップ信号である。具体的には、センサ108の起動は、信号「START」の立上りフランク(rising flank)とともに起こる。第2の入力は、論理制御信号の発生用、および(パラレルシリアルコンバータ)デジタルブロック4000の正しい動作の制御用に使われるクロック信号(CLK)である。このクロック信号(CLK)は、トランスポンダに入射する、読取り装置からの信号の抽出によって発生され、いかなる熱依存性ももたず、すなわち、クロックの周波数が温度とともに変化しない。読取り装置およびトランスポンダについては、両方とも後で説明する。センサ108の出力は、温度測定値を表す数ビットからなる直列デジタル表現である、信号DATA_OUTによって決まる。特定の実施形態では、この出力は12ビットで形成されるが、本発明はこの具体的ビット数に限定されない。こうしたブロックそれぞれについては、後で詳しく説明する。
【0027】
図2は、制御手段または制御論理ブロック1000を、その入力および出力とともに示す。このブロック1000は、センサ108のその他のモジュールの正しい調整に必要なデジタル信号(一定の時間内の、「1」の状態であるパルス)の発生を担当する。この発生は、測定される温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により実行される。ブロック1000によって発生されるデジタル信号は、OSC_ENABLE、TEMP_MEASおよびENABLEである。信号OSC_ENABLEは、図1の発振器2000の動作の開始(発振器の立上りフランクで示される)および終了(発振器の立下りフランク(falling flank)で示される)を制御する。具体的には、このパルスの幅により、発振器2000がその出力の中にパルス列を発生する時間が決まる。信号TEMP_MEASに関しては、この信号の幅により、発生器2000の出力パルス列によって引き渡されるパルスが図1のバイナリカウンタ3000においてカウントされる時間が決まる。一方、パルスTEMP_MEASは、パルスOSC_ENABLE中に含まれ(より小さい幅)、したがって、パルス列の始まりおよび終わり(発振器の起動および停止)、すなわちパルス列の振動周波数に影響を与える過渡域(transient region)でパルスがカウントされるのを防ぐ。最後に、パルスENABLEの幅により、温度測定プロセスが始まってから、図1のバイナリカウンタ3000が(例えば、12ビットの)ワードを測定される温度(T)の測定値のデジタル表現として並列に引き渡すまでの、センサ108が動作する時間が定義される。制御論理ブロック1000は、いくつかのサブブロックを備え、こうしたサブブロックは好ましくは、D型フリップフロップ、逆論理ゲート、AND論理ゲート、OR論理ゲートおよびNOR論理ゲートを備える。
【0028】
図3は、ブロック1000(制御論理)の内部ブロック図を示し、好ましくは、CTR1100、OSC_START1200およびTEMP_MEAS&ENABLE1300ブロックを備える。CTRブロック1100は、入力信号STARTおよびCLKそれぞれの2つの修正バージョン(T_STARTおよびCLK_INT)を発生し、これらは、OSC_START1200およびTEMP_MEAS&ENABLE1300ブロック向けの入力として働く。ブロック1200は、出力信号OSC_ENABLEを発生し、この信号は、ブロック1300向けの入力として働く。ブロック1300は、出力信号TEMP_MEASおよびENABLEを発生し、信号ENABLEは、ブロック1100向けの入力信号として働く。
【0029】
図4は、CTRブロック1100の構成内容を示す。信号STARTの修正バージョン、すなわちT_STARTが、T_STARTブロック1110内で発生される。その他の構成要素(インバータ1120、1130、フリップフロップ1140およびAND論理ゲート1150)は、汎用クロックCLKから、信号T_STARTを用いて内部クロックCLK_INTを発生するのに使われる。
【0030】
図5は、T_STARTブロック1110の構成内容を示す。このブロックは、入力信号STARTおよびENABLEから信号T_STARTを発生し、好ましくは5つのインバータからなるチェーン1111、1112と、AND論理ゲート1113と、NOR論理ゲート1114、1115、1116とを備える。
【0031】
図6は、OSC_STARTブロック1200の内部を示す。このブロックは、入力信号CLK_INT、T_STARTから、温度依存発振器2000用の制御信号OSC_ENABLEを発生する。このブロックは好ましくは、フリップフロップ1210、1230、1250およびインバータ1220、1240、1260を備える。
【0032】
図7は、最後のTEMP_MEAS&ENABLE制御ブロック1300の構成内容を示す。このブロックは、バイナリカウンタ3000に必要な制御信号TEMP_MEASと、バイナリカウンタ3000およびパラレルシリアルコンバータ4000両方によって要求される信号ENABLEとを、入力信号CLK_INT、OSC_ENABLEから発生する。図7に見られるように、ブロック1300は好ましくは、インバータ1310、1330、1360、1380と、フリップフロップ1320、1350、1370と、AND論理ゲート1340と、OR論理ゲート1390とを備える。
【0033】
図8は、発振器2000を示す。この発振器2000は、好ましくはリング発振器であり、測定される温度(T)に依存する。発振器の入力OSC_ENABLE(制御論理ブロック1000によって発生される)が、発振器2000がアクティブである時間を制御する。この信号OSC_ENABLEは、測定される温度(T)に依存しない。出力DATA_INは、その振動周波数が温度の関数であるパルス列を表す。より具体的には、この振動周波数は、発振器2000内に備えられる論理ゲートによってもたらされる遅延に依存する。発振器2000がアクティブ状態である間は、前記パルス列が存在する。本発明の一実施形態では、この発振器2000は、パルス発生器と、発振器のその他の構成要素用の電源供給電圧活性化/非活性化回路と、好ましくはパルス発生器に電力を供給する高PSRR(電源除去比)を有する電流源と、電流源の安定動作点を確立するスタートアップ回路とを備える。
【0034】
図9は、発振器2000の回路の可能な一実施形態を示す。前記実施形態は、4つの回路、すなわち第1の「VDDイネーブル」回路2100、第2の「スタートアップ」回路2200、第3の「カスコードブートストラップ電流源」回路2300、および第4の「パルス発生器」回路2400を備える。回路2100の目的は、発振器2000のその他の回路のために、電源供給電圧VDDを活性化/非活性化することである。すなわち、信号OSC_ENABLEが「1」という論理状態にある間、2つのインバータ2110、2120は、電源VDDを回路2100の出力ノードと接続する。したがって、信号OSC_ENABLEが「1」である間にエネルギーを消費するだけなので、センサ108の電力消費が削減される。回路2200は、電流源2300のための安定動作点を確立するのに使われ、可能な一構成では、抵抗器R1 2210および2つのNMOSトランジスタ2220、2230を備える。電流源2300は、回路2400に電力を供給するのに使われる。この電流源は好ましくは、高PSRR(電源除去比)をもつように設計される。この高PSRRにより、発振発生器回路2400は、電源供給電圧中のゆらぎにできるだけ依存しないように作られる。というのは、前記ゆらぎは、発生される振動周波数に影響を与えるからである。上述した電流源2300は、可能な一実施形態において、PMOSトランジスタ2301、2302、2303、2304、2310、2311と、NMOSトランジスタ2306、2307、2309と、抵抗器R2 2305、R3 2308とを備える。最後に、パルス発生器回路2400は好ましくは、閉ループ中に奇数個の否定論理ゲート(NANDゲート2410およびインバータ2420、2430、2440、2450)を備え、閉ループは、出力の所でパルス列(DATA_IN)を生じ、このパルス列の振動周波数は、前記ゲートによってもたらされる遅延の関数である。温度が上昇すると、上述した論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下する。したがって、そうすることによってもたらされる遅延が増加し、発生される振動周波数が減少する。したがって、温度とパルス列DATA_INの振動周波数との間の逆線形関係が成り立つ。NMOSトランジスタ2500は、信号OSC_ENABLEが「0」でありしたがって発振器2000が非活性化されるときの「0」に定義される論理状態に出力DATA_INを維持させる。言い換えると、図9によると、OSC_ENABLEが「0」のとき、トランジスタ2500のゲートソース間電圧、すなわちVGSはVDDであり、前記トランジスタは飽和し、ノードDATA_INをアース(GND)に接続する。対照的に、OSC_ENABLEが「1」であり、したがって発振器2000がアクティブのとき、トランジスタ2500の電圧VGSはゼロになり、トランジスタ2500は開回路になり、出力DATA_IN中でいかなる干渉も起こさない。
【0035】
図10は、ブロックバイナリカウンタ3000をその入力および出力とともに示す。バイナリカウンタ3000は、センサ108のクロック信号から抽出される、一定時間内のパルス数(発振器2000によって引き渡されるパルス列に含まれる)をカウントする。このようなパルス数は、温度では変化しない。バイナリカウンタ3000は、発振器2000によって引き渡されたパルス列を入力DATA_IN中に受け取り、入力TEMP_MEASによって印付けられた温度に依存しない一定時間内のそのパルス数をカウントする。温度測定プロセスが終了し入力信号ENABLEが「0」になると、カウンタ3000がリセットされ(そのカウントが0にされ)、次の測定に備える。このように、温度測定値(T)のバイナリデジタル表現が取得される。測定プロセスが終了すると、カウンタ3000のカウントは、そのバイナリデジタル表現の形で、最下位ビットから最上位ビットへのピン(並列のデジタルワード)によって形成される出力に入れて引き渡される。特定の実施形態では、ピンの数は12であり、したがって最上位ビットは「b11」であり最下位ビットは「b0」である。バイナリカウンタ3000は好ましくは、D型フリップフロップ、D型ラッチ、および逆論理ゲートを備える。
【0036】
図11は、バイナリカウンタ3000の可能な一実施形態を示す。バイナリカウンタ3000は、複数の同一BUCB(バイナリカウンタの単位ブロック)(図11では、3100〜3600で示してある)を備える。特定の実施形態では、BUCBの数は12である。こうした12ブロックはそれぞれ、信号TEMP_MEAS、ENABLE、および直前ブロックの出力を受け取って、バイナリカウントの12ビットのうち1つを出力として引き渡す。
【0037】
図12は、12個のBUCBブロックのいずれかの可能な一実施形態を示す。BUCBブロックは好ましくは、フリップフロップ3010、インバータ3020およびラッチ3030を備える。上で言及したように、入力はTEMP_MEAS、ENABLEおよび直前ブロックの出力(PREV_TAP)であり、出力はi番目のビット「bi」および次のブロック(NEXT_TAP)向けの入力である。
【0038】
図13は、パラレルシリアルコンバータ4000をその入力および出力とともに示す。パラレルシリアルコンバータ4000は、バイナリカウンタ3000によって並列に引き渡されるワードを受け取り、並列ワードに含まれるビットと同じ数(例えば、12)の、クロック信号の連続周期中の直列ワードに変換する。言い換えると、このブロックは、出力DATA_OUT中に、センサのクロックCLKによって課せられたペースで、「b11」から「b0」まで、入力にロードされる温度測定値と並列にバイナリ表現を連続して放出する。例えば、12ビットの直列ワードを出力DATA_OUTに正しく読み込むために、入力信号ENABLEが「0」に落ちたときに「bi」ビットが検討され始めなければならず、その一瞬後に、各クロック周期の間に1ビットが読み出されることになる。したがって、クロックCLKの12連続周期の間に、12ビットのワードが、最上位ビット(「b11」)から最下位ビット(「b0」)まで並べられて取得される。センサ108にパラレルシリアルコンバータを採り入れることにより、コンバータが測定のための適切な情報を単一の出力端末内にもつので、起こり得る測定およびそのテストが容易になる。パラレルシリアルコンバータ4000は好ましくは、D型フリップフロップ、逆論理ゲート、AND論理ゲート、およびOR論理ゲートを備える。この直列ワードは、それ以降の使用(例えば、遠隔読取り装置への送信)のために、揮発性でも不揮発性でもよいレジスタまたはメモリに格納される。このレジスタまたはメモリは、実際のセンサ108の一部を成してもよく、直接その一部を成さなくてもよい。この場合、レジスタまたはメモリは、トランスポンダの一部を成す(後で説明する)。
【0039】
図14は、パラレルシリアルコンバータ4000の可能な一実施形態を示す。パラレルシリアルコンバータ4000は好ましくは、インバータ4100、PBUCPS(パラレルシリアルコンバータの第1の単位ブロック)ブロック4200、およびそれ以外の、図14では4300〜4700で示す11個のBUCPS(パラレルシリアルコンバータの単位ブロック)ブロックを備える。こうしたブロックはすべて、最初のものを除いて、入力として信号ENABLE、
【数1】
CLK、i番目のビット「bi」、および直前ブロックの出力を受け取って、最後のブロックがワードOUT_DATAを引き渡すまで、次のブロックの入力を出力として発生する。
【0040】
図15は、フリップフロップ4210およびインバータ4220を備える、PBUCPSブロック4200の可能な一実施形態を示す。クロック信号CLKおよび最下位ビット「b0」は、入力として作用する。唯一の出力がNEXT_TAPであり、これは次のBUCPS向けの入力である。
【0041】
図16は、11個のBUCPSブロックの任意の1つの構成内容の可能な一実施形態を示す。こうしたブロックは、AND論理ゲート4010、4020、ORゲート4030、フリップフロップ4040およびインバータ4050を備える。上で言及したように、こうしたBUCPSはそれぞれ、最後のブロックが測定値DATA_OUTの最終表現をその出力NEXT_TAPに入れて引き渡すまで、次のブロックの入力となる出力NEXT_TAPを発生する。
【0042】
上で説明したセンサ108は、好ましくはシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム、リン化インジウムおよびガリウムヒ素の中から選ばれる基板上に製作される。
【0043】
図17、18に関連して、トランスポンダ101を備える温度測定システムの可能な一実施形態については後で詳述するが、トランスポンダ101は、本発明による内蔵型温度センサ108を備える。温度測定システムは、少なくとも1つの読取り装置100をさらに備える。
【0044】
それにもかかわらず、本発明の内蔵型温度センサ108は、図17、18の形式、技術および/または実装形態に限定されることなく、異なるトランスポンダ101または温度測定システムの一部を成してよい。
【0045】
図17は、温度測定用の読取り装置100およびトランスポンダ101を備える、温度測定システムの可能な一実施形態を示す。
【0046】
読取り装置100は、ワイヤレスRFID(無線周波数識別子)システムなど、トランスポンダ読取りシステムで使われているもののうち、従来のどの読取り装置でもよく、したがってそれ自体は本発明の目的ではない。読取り装置100の例は、限定的ではなく単なる説明のための例と見なされなければならないが、ユーザとのインターフェースとして作用するディスプレイ102と、トランスポンダ101との間で交換される情報のエミッタ/レシーバとして動作する少なくとも1つのアンテナに接続された無線周波数サブシステム103と、情報をデジタル処理するためのブロック104と、温度安定クロック105とを備える。可能な一実施形態では、このクロック105は、水晶振動子に基づいてよい。このクロック105は任意選択で、何らかのタイプの温度安定化訂正を備えてよい。正常動作モードでは、読取り装置100は、一定の帯域(例えば、動物識別のためには134.2kHzまたは125kHzだが、従来の読取り装置およびトランスポンダによって使われる別のどの周波数帯を使ってもよい)内の無線周波数信号を放出する。
【0047】
したがって、トランスポンダ101は、このエネルギー(信号)を少なくとも1つのアンテナ107を通して受信し、内部的に処理して、それ自体の動作エネルギーを得る。このエネルギーは、1つまたはいくつかのアンテナ107を用いて信号を受信し、続いてトランスポンダ101の動作の直後に電力を供給する直流電圧を得るまで信号を整流する(図18)のを担当する無線周波数フロントエンドまたは無線周波数サブシステム106を用いて処理される。この同一のアンテナ、または複数のアンテナ107は続いて、トランスポンダ101の放出結果を受信し、読取り装置100の無線周波数サブシステムまたは放出/受信システム103と同様にして扱い、そうすることによって、読取り装置100のブロック104によって処理されるべき、必要な情報を抽出することができる。受信された情報は、トランスポンダ101の受動識別であるかセンサ108の読取り結果であるかにかかわらず、ユーザが見やすいように、読取り装置100のディスプレイ102に表示される。
【0048】
トランスポンダ101は、ワイヤレスRFID(無線周波数識別子)システムなど、ワイヤレスシステムで使われているもののうち、従来のどのトランスポンダでもよい。したがって、トランスポンダ101は、前記トランスポンダ101に対する一意の識別コードを格納する手段110と、読取り装置100、6000から温度要求信号を受信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記読取り装置100、6000に送信することができるアンテナ107と、本発明による内蔵型温度センサ108とを少なくとも備える。
【0049】
トランスポンダ101は好ましくは、センサ108の制御手段(1000)によってその他の手段(2000、3000、4000)を協調させるのに使用するために、読取り装置101、6000からの温度要求信号から、測定される温度に依存しない基準信号(CLK)を抽出する手段をさらに備える。
【0050】
トランスポンダ101は、測定された温度(T)を表す直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を格納する手段5000をさらに備える。こうした手段5000は、前記トランスポンダ101に対する一意の識別コードを格納する手段110と同じでも同じでなくてもよい。
【0051】
トランスポンダ101は、基準温度(TREF)を表す基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を格納する手段5000をさらに備えてよい。この場合、アンテナ(107)は、測定された温度(T)を表すデジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)とともに、基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を送信してよい。前記手段も、前記トランスポンダ101に対する一意の識別コードを格納する手段110、または他の異なる手段と同じでよく、測定された温度(T)を表す直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を格納する同じ手段5000でもよい。
【0052】
図17のトランスポンダ101は、1つまたはいくつかの受信/放出アンテナ107と、読取り装置100によって放出されたエネルギーに処理を加え、その情報を読取り装置100に放出し戻すのを担当するアナログ放出/受信システム106と、本発明の目的である内蔵型温度センサ108と、内部情報を管理するのを担当する情報処理ブロック109と、メモリブロック/情報記憶システム110と、エネルギーを格納する負荷キャパシタンス112と、アンテナ107として動作する共振タンクをコイルとともに形成する共鳴キャパシタンス111とを備える。こうしたキャパシタンスは、統合してもよく、外部にあってもよい。メモリブロック/情報記憶システム110は好ましくは、EEPROM、EPROM、OTPタイプの不揮発性110、または電源がない場合は他の任意の固定メモリシステムである。
【0053】
さらに、トランスポンダ101は好ましくは、統合型無線周波数トランスポンダである。その寸法は、用いられる統合技術に依存し、好ましくはおよそ1〜2mm2であり、かつ実施される統合のレベルに依存する。というのは、様々な蓄積および共鳴キャパシタンスを統合することも統合しないことも可能だからである。
【0054】
図18は、本発明の可能な一実施形態によるトランスポンダ101の動作を示す。トランスポンダ101は、読取り装置100による問合せを受けると、読取り装置100によって放出されたエネルギーを、アンテナを用いて受信するが、ダイオード201を用いて入射信号の振幅を制限する。読取り装置100からの入射波は、読取り装置100の安定基準105に基づくので、一定の温度安定周波数をもつ。この安定入射周波数は、クロック信号を取得するのを担当するクロック再生器ブロック202によって、トランスポンダ101内で抽出される。クロック信号は、クロック分周器ブロック204を用いてその周波数を減少された後、トランスポンダシステム101によって使われることになる。読取り装置100の入射エネルギーにより、負荷キャパシタンス112(図17)が、エネルギーリミッターブロック203によって制御される最大値まで徐々に充電される。クロックCLKの回復波は、温度センサブロック205の入力として使われる。取得された温度結果は、(揮発性または不揮発性)メモリブロック206、110に格納されると同時に、メッセージとともに読取り装置100に放出し戻されるのを待つ。システムが支配されるプロトコルに従って、トランスポンダ101が読取り装置100にメッセージを放出し戻さなければならないとき、「温度センサ」ブロック205から収集されメモリ206、110に格納された情報は、トリガブロック208の結果としてアクティブなままである入射信号に基づいて、変調器207によって定義されたプロトコルに従って戻り無線周波数信号上に変調される。
【0055】
図17は、本発明の可能な一実施形態によるワイヤレス温度識別システムも示す。図17のシステムは、アンテナを通して温度要求信号を送信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記アンテナを通して受信することが可能な少なくとも1つの読取り装置(100)と、本発明による少なくとも1つのトランスポンダ(101)とを備える。
【0056】
このワイヤレス温度識別システムは好ましくは、無線周波数識別(RFID)システムである。
【0057】
本発明の目的は、一定の振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生するステップ(2000)と、測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列(DATA_IN)のパルス数をカウントし(3000)、パルス列(DATA_IN)に含まれるパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生するステップと、前記複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生するステップ(4000)とを含む温度測定方法でもあり、パルス列(DATA_IN)は、測定される温度(T)に依存する遅延をもたらす可能性がある複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備える発振器を用いて発生され、前記パルス列(DATA_IN)の振動周波数は、測定される温度(T)に依存する。
【0058】
この方法は好ましくは、測定される温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により、前のステップ(2000、3000、4000)を制御するステップ(1000)を含む。
【0059】
さらに、論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)によってもたらされる温度に依存する前記遅延は、温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因する。
【0060】
この方法は、前記パルス列(DATA_IN)を発生する前に、遠隔読取り装置(100)から温度要求を受信するステップと、直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生した後に、前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)をメモリレジスタ(110)に格納し、フリースペースを通って前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を遠隔読取り装置(100)に送信するステップとをさらに含む。
【0061】
本発明のセンサ、トランスポンダおよびシステムは、公知の温度検出システムに対して、以下のような一連の利点を有する。
本発明のセンサを統合したトランスポンダは、現況技術によるトランスポンダよりかなり小さい統合領域を有する。センサの発振器がいくつかの論理ゲートから設計され、関連論理が完全にデジタルであるので、統合に使われる領域は最終的に、アナログ−デジタルコンバージョンブロックに基づく他のシステムに比較して寸法が削減される。
【0062】
さらに、このような小型装置を、デジタルゲートに基づいて統合することにより、前記装置の電力消費が、公知のシステムよりも基本的に低くなる。このことは、トランスポンダの分野では非常に重要である。というのは、バッテリまたは他の外部電源システムがないことにより、システムの全体的動作におけるボトルネックが防止されるからである。
【0063】
さらに、設計の観点から、本発明のセンサ、トランスポンダおよびシステムは、アナログ−デジタルコンバータの設計からもたらされる複雑さに比較して大幅に簡素である。
【0064】
最後に、図19は、本発明のセンサ108のための較正方法を示す。この方法は、
a)測定される温度が定義済みの既知の基準温度(TREF)である温度測定方法またはプロセスを一度実施し、出力DATA_OUTの中にそのデジタル表現(DATA_OUT@TREF)をある特定数のビット、例えば12ビットで取得するステップと、
b)例えば12ビットの、この取得された基準デジタル信号またはワード(DATA_OUT@TREF)を、トランスポンダ101の揮発性または不揮発性メモリまたはレジスタ110、5000に保存するステップと、
c)測定される温度(T)を用いて同じプロセスを実施し、その結果、同じまたは別のメモリレジスタ110、5000の一部にやはり格納されるワード(DATA_OUT@T)を生じるステップと、
d)最後に、両方のデジタル表現(DATA_OUT@TREF、DATA_OUT@T)を、ワイヤレスインターフェース(フリースペース)を用いて読取り装置100、6000に送るステップとを含む。
【0065】
その後、読取り装置100、6000は、受信することになる今後のワードDATA_OUT@Tの測定された温度を比較し、それによって演繹するための基準値(DATA_OUT@TREF)をもつ。このようにして、全体としての計算負担は読取り装置100、6000に委ねられるので、トランスポンダのマイクロプロセッサが簡素化される。
【0066】
このシステムのトランスポンダ101は、多くの可能な適用範囲において使われるように設計される。
− 生物、例えば動物に受動トランスポンダを埋め込むことに起因する、その体温を測定するための生物内での温度測定。これは、限定的ではなく例えば、トランスポンダ101を動物に埋め込むことによって遂行され、軟骨を貫通させるタグ付けシステムを用いて皮膚の下に注入され、または内蔵の中に置かれる付加的な容器、すなわちセラミック、プラスチック容器とともに内部的に埋め込まれる。
− 建物など、閉じた環境での、受動トランスポンダを用いた温度測定。
− 通信用パッケージに包まれたトランスポンダを用いた、食物容器内の温度測定。
− 無線周波数によって接続された外部装置を用いた、温度測定およびその読取りを伴う他の任意の適用範囲。
【0067】
本説明および1組の図面を鑑み、本発明をいくつかの好ましい実施形態によって説明したが、特許請求される本発明の目的から逸脱することなく、多くの変形形態を前記好ましい実施形態に採り入れることができることが、当業者には理解されよう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵型温度センサ、より具体的には、低コスト低電力消費であるセンサの分野に関し、かつ前記センサを組み込むワイヤレストランスポンダの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電力消費に関して最小限の設計による集積回路が公知である。この傾向は、例えばRFID(無線周波数識別)トランスポンダ、ワイヤレスセンサなど、エネルギー消費が重要である適用分野の飛躍的成長から始まった。
【0003】
こうした回路のほとんどは、非常に限られたエネルギー容量のバッテリを有し(能動回路)、その他の回路は、正しい動作のために、放射電磁波のエネルギーを集め一時的に蓄える(受動回路)。
【0004】
したがって、こうした回路両方において、電力消費を低くすることが望ましい。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0135456号には、その周波数が温度に依存する信号を発生する発振器を備える無線周波数温度センサが記載されている。この温度センサは、熱抵抗器およびコンデンサによって引き起こされる遅延により実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0135456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、米国特許出願公開第2005/0135456号に記載されている温度センサには、RC(抵抗器およびコンデンサ)共振タンクを統合するのに多大な表面積が必要であること、ならびにこのコア(RC)を所望の温度変化範囲に従って適応させるのが難しいことなど、一連の欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、言及したタイプの適用分野(RFIDセンサまたはより全般的には、ワイヤレスセンサ)に有効な低コスト低電力消費の内蔵型温度センサを用いて、上述した問題を解決する。本発明のセンサは、その周波数が温度に依存する信号を発生する発振器を備え、前記依存性は、ある一定の数の論理ゲートからなるチェーンによって引き起こされる遅延により実現される。したがって、RCタンクに基づくセンサ用の同じアクションにより必要となる全体の再設計に対する、論理ゲートの直接スケーリングによって容易に実施することができる(総表面積がほぼ不変なため)所望の温度変化範囲への容易な適応が実現される。
【0009】
本発明の一態様では、能動、半能動または受動RFIDトランスポンダに有効な低コスト低電力消費の内蔵型温度センサが提供される。
【0010】
前記センサは、一定の振動周波数でパルス列を発生する手段と、測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列のパルス数をカウントし、パルス列に含まれるパルス数を示す複数のビットを発生する手段と、前記複数のビットから直列デジタル信号を発生する手段、好ましくはパラレルシリアルコンバータとを備える。パルス列を発生する手段は、測定される温度に依存する遅延をもたらす可能性のある複数の論理ゲート、好ましくは奇数個の否定論理ゲートを備え、前記手段は、測定される前記温度(T)にその振動周波数が依存するパルス列を発生する。
【0011】
このセンサは好ましくは、測定される温度に依存しない少なくとも1つの基準信号により、より好ましくは、第2の初期化信号により、センサのその他の手段を協調させる制御手段をさらに備える。
【0012】
パルス列はさらに、リング発振器によって、測定される温度に依存しない基準信号から発生される。
【0013】
パルス列を発生する前記手段は好ましくは、電源供給電圧活性化/非活性化回路と、好ましくは電源供給電圧の変動からパルス発生器を保護する手段を備える電流源と、前記電流源のためのスタートアップ回路と、パルス発生器とを備える。
【0014】
論理ゲートによってもたらされる、温度に依存する遅延は、温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因する。
【0015】
本センサは、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム、リン化インジウムおよびガリウムヒ素から選ばれる基板上に製作される。
【0016】
本発明の別の態様では、トランスポンダに対する一意の識別コードを格納する手段と、読取り装置から温度要求信号を受信し、測定された温度を表す信号を前記読取り装置に送信することが可能なアンテナと、内蔵型温度センサとを備える、ワイヤレス温度識別システム用トランスポンダが提供される。
【0017】
本発明の別の態様は、アンテナを通して温度要求信号を送信し、測定された温度を表す信号を前記アンテナを通して受信することが可能な少なくとも1つの読取り装置と、少なくとも1つのトランスポンダとを備えるワイヤレス温度識別システムに関する。前記システムは好ましくは、無線周波数識別(RFID)システムである。
【0018】
本発明はまた、一定の振動周波数でパルス列を発生するステップと、測定される温度に依存しない、一定時間内の前記パルス列のパルス数をカウントし、パルス列に含まれるパルス数を示す複数のビットを発生するステップと、前記複数のビットから直列デジタル信号を発生するステップとを含む温度測定方法を提供し、パルス列は、測定される温度に依存する遅延をもたらす可能性がある複数の論理ゲートを備える発振器を用いて発生され、前記パルス列の振動周波数は、測定される温度に依存する。
【0019】
最後に、本発明は、内蔵型温度センサのための較正方法に関する。
【0020】
本発明の文脈において、「およそ」という用語は、前記用語の後に続くものに非常に近い値を示すものと理解されるべきである。示される値からのわずかなずれは、妥当な条件において、測定の不正確さなどのせいで避けられないことが、当業者には理解されよう。
【0021】
本明細書を通して、「備える」という用語およびその派生語は、排他的または限定的意味に解釈されるべきでない。すなわち、その用語が指す要素または概念が付加的な要素またはステップを含む可能性を排除する意味に解釈されるべきでない。
【0022】
以降で行われる説明を補足するために、また、本発明の特徴を、その好ましい実用的実施形態によってよりよく理解するのを助ける目的で、1組の図面を、前記説明の不可欠な部分として添付する。図面には、例示的であり非限定的特徴とともに以下のものを示してある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるセンサを示す全体ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるセンサの制御論理の最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図3】「CTR」、「OSC_START」および「TEMP_MEAS&ENABLE」の3ブロックを備える、制御論理の次の階層レベルを示すブロック図である。
【図4】図3の制御論理の「CTR」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図5】図4の「CTR」ブロックの複数のブロックのうち1つを詳しく示す図である。
【図6】制御論理の「OSC_START」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図7】制御論理の「TEMP_MEAS&ENABLE」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態によるセンサの温度依存発振器の最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態による、図8の温度依存発振器の回路を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によるセンサのバイナリカウンタの最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図11】「バイナリカウンタの単位ブロック」ブロックを備える、バイナリカウンタの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図12】各「バイナリカウンタの単位ブロック」ブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図13】本発明の一実施形態によるセンサのパラレルシリアルコンバータの最上位階層レベルを示すブロック図である。
【図14】PBUCPS(パラレルシリアルコンバータの第1の単位ブロック)およびBUCPS(パラレルシリアルコンバータの単位ブロック)ブロックを備える、パラレルシリアルコンバータの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図15】PBUCPSブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図16】BUCPSブロックの次の階層レベルを示すブロック図である。
【図17】本発明の一実施形態によるセンサを備える温度測定用の読取り装置およびトランスポンダを示す図である。
【図18】本発明の一実施形態による、図17のトランスポンダ101の動作を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態による、ワイヤレス手段によって前記値を温度測定値とともに較正し、読取り装置に送るプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による温度センサ108のブロック図を示す。図1の温度センサ108は概して、RFID(無線周波数識別)トランスポンダ内にも、他のどのワイヤレストランスポンダ内にも実装することができる。
【0025】
図1のセンサ108は、発振器2000、バイナリカウンタ3000、および直列デジタル信号を発生する手段4000を備える。センサ108は好ましくは、制御手段1000をさらに備える。
【0026】
図1は、制御論理ブロックを用いた制御手段1000、温度依存発振器2000、バイナリカウンタ3000およびパラレルシリアルコンバータ4000を示している。本発明の本実施形態において、センサ108への入力はSTARTおよびCLKである。第1の入力(START)は、センサ108の測定プロセスを開始するのに使われるステップ信号である。具体的には、センサ108の起動は、信号「START」の立上りフランク(rising flank)とともに起こる。第2の入力は、論理制御信号の発生用、および(パラレルシリアルコンバータ)デジタルブロック4000の正しい動作の制御用に使われるクロック信号(CLK)である。このクロック信号(CLK)は、トランスポンダに入射する、読取り装置からの信号の抽出によって発生され、いかなる熱依存性ももたず、すなわち、クロックの周波数が温度とともに変化しない。読取り装置およびトランスポンダについては、両方とも後で説明する。センサ108の出力は、温度測定値を表す数ビットからなる直列デジタル表現である、信号DATA_OUTによって決まる。特定の実施形態では、この出力は12ビットで形成されるが、本発明はこの具体的ビット数に限定されない。こうしたブロックそれぞれについては、後で詳しく説明する。
【0027】
図2は、制御手段または制御論理ブロック1000を、その入力および出力とともに示す。このブロック1000は、センサ108のその他のモジュールの正しい調整に必要なデジタル信号(一定の時間内の、「1」の状態であるパルス)の発生を担当する。この発生は、測定される温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により実行される。ブロック1000によって発生されるデジタル信号は、OSC_ENABLE、TEMP_MEASおよびENABLEである。信号OSC_ENABLEは、図1の発振器2000の動作の開始(発振器の立上りフランクで示される)および終了(発振器の立下りフランク(falling flank)で示される)を制御する。具体的には、このパルスの幅により、発振器2000がその出力の中にパルス列を発生する時間が決まる。信号TEMP_MEASに関しては、この信号の幅により、発生器2000の出力パルス列によって引き渡されるパルスが図1のバイナリカウンタ3000においてカウントされる時間が決まる。一方、パルスTEMP_MEASは、パルスOSC_ENABLE中に含まれ(より小さい幅)、したがって、パルス列の始まりおよび終わり(発振器の起動および停止)、すなわちパルス列の振動周波数に影響を与える過渡域(transient region)でパルスがカウントされるのを防ぐ。最後に、パルスENABLEの幅により、温度測定プロセスが始まってから、図1のバイナリカウンタ3000が(例えば、12ビットの)ワードを測定される温度(T)の測定値のデジタル表現として並列に引き渡すまでの、センサ108が動作する時間が定義される。制御論理ブロック1000は、いくつかのサブブロックを備え、こうしたサブブロックは好ましくは、D型フリップフロップ、逆論理ゲート、AND論理ゲート、OR論理ゲートおよびNOR論理ゲートを備える。
【0028】
図3は、ブロック1000(制御論理)の内部ブロック図を示し、好ましくは、CTR1100、OSC_START1200およびTEMP_MEAS&ENABLE1300ブロックを備える。CTRブロック1100は、入力信号STARTおよびCLKそれぞれの2つの修正バージョン(T_STARTおよびCLK_INT)を発生し、これらは、OSC_START1200およびTEMP_MEAS&ENABLE1300ブロック向けの入力として働く。ブロック1200は、出力信号OSC_ENABLEを発生し、この信号は、ブロック1300向けの入力として働く。ブロック1300は、出力信号TEMP_MEASおよびENABLEを発生し、信号ENABLEは、ブロック1100向けの入力信号として働く。
【0029】
図4は、CTRブロック1100の構成内容を示す。信号STARTの修正バージョン、すなわちT_STARTが、T_STARTブロック1110内で発生される。その他の構成要素(インバータ1120、1130、フリップフロップ1140およびAND論理ゲート1150)は、汎用クロックCLKから、信号T_STARTを用いて内部クロックCLK_INTを発生するのに使われる。
【0030】
図5は、T_STARTブロック1110の構成内容を示す。このブロックは、入力信号STARTおよびENABLEから信号T_STARTを発生し、好ましくは5つのインバータからなるチェーン1111、1112と、AND論理ゲート1113と、NOR論理ゲート1114、1115、1116とを備える。
【0031】
図6は、OSC_STARTブロック1200の内部を示す。このブロックは、入力信号CLK_INT、T_STARTから、温度依存発振器2000用の制御信号OSC_ENABLEを発生する。このブロックは好ましくは、フリップフロップ1210、1230、1250およびインバータ1220、1240、1260を備える。
【0032】
図7は、最後のTEMP_MEAS&ENABLE制御ブロック1300の構成内容を示す。このブロックは、バイナリカウンタ3000に必要な制御信号TEMP_MEASと、バイナリカウンタ3000およびパラレルシリアルコンバータ4000両方によって要求される信号ENABLEとを、入力信号CLK_INT、OSC_ENABLEから発生する。図7に見られるように、ブロック1300は好ましくは、インバータ1310、1330、1360、1380と、フリップフロップ1320、1350、1370と、AND論理ゲート1340と、OR論理ゲート1390とを備える。
【0033】
図8は、発振器2000を示す。この発振器2000は、好ましくはリング発振器であり、測定される温度(T)に依存する。発振器の入力OSC_ENABLE(制御論理ブロック1000によって発生される)が、発振器2000がアクティブである時間を制御する。この信号OSC_ENABLEは、測定される温度(T)に依存しない。出力DATA_INは、その振動周波数が温度の関数であるパルス列を表す。より具体的には、この振動周波数は、発振器2000内に備えられる論理ゲートによってもたらされる遅延に依存する。発振器2000がアクティブ状態である間は、前記パルス列が存在する。本発明の一実施形態では、この発振器2000は、パルス発生器と、発振器のその他の構成要素用の電源供給電圧活性化/非活性化回路と、好ましくはパルス発生器に電力を供給する高PSRR(電源除去比)を有する電流源と、電流源の安定動作点を確立するスタートアップ回路とを備える。
【0034】
図9は、発振器2000の回路の可能な一実施形態を示す。前記実施形態は、4つの回路、すなわち第1の「VDDイネーブル」回路2100、第2の「スタートアップ」回路2200、第3の「カスコードブートストラップ電流源」回路2300、および第4の「パルス発生器」回路2400を備える。回路2100の目的は、発振器2000のその他の回路のために、電源供給電圧VDDを活性化/非活性化することである。すなわち、信号OSC_ENABLEが「1」という論理状態にある間、2つのインバータ2110、2120は、電源VDDを回路2100の出力ノードと接続する。したがって、信号OSC_ENABLEが「1」である間にエネルギーを消費するだけなので、センサ108の電力消費が削減される。回路2200は、電流源2300のための安定動作点を確立するのに使われ、可能な一構成では、抵抗器R1 2210および2つのNMOSトランジスタ2220、2230を備える。電流源2300は、回路2400に電力を供給するのに使われる。この電流源は好ましくは、高PSRR(電源除去比)をもつように設計される。この高PSRRにより、発振発生器回路2400は、電源供給電圧中のゆらぎにできるだけ依存しないように作られる。というのは、前記ゆらぎは、発生される振動周波数に影響を与えるからである。上述した電流源2300は、可能な一実施形態において、PMOSトランジスタ2301、2302、2303、2304、2310、2311と、NMOSトランジスタ2306、2307、2309と、抵抗器R2 2305、R3 2308とを備える。最後に、パルス発生器回路2400は好ましくは、閉ループ中に奇数個の否定論理ゲート(NANDゲート2410およびインバータ2420、2430、2440、2450)を備え、閉ループは、出力の所でパルス列(DATA_IN)を生じ、このパルス列の振動周波数は、前記ゲートによってもたらされる遅延の関数である。温度が上昇すると、上述した論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下する。したがって、そうすることによってもたらされる遅延が増加し、発生される振動周波数が減少する。したがって、温度とパルス列DATA_INの振動周波数との間の逆線形関係が成り立つ。NMOSトランジスタ2500は、信号OSC_ENABLEが「0」でありしたがって発振器2000が非活性化されるときの「0」に定義される論理状態に出力DATA_INを維持させる。言い換えると、図9によると、OSC_ENABLEが「0」のとき、トランジスタ2500のゲートソース間電圧、すなわちVGSはVDDであり、前記トランジスタは飽和し、ノードDATA_INをアース(GND)に接続する。対照的に、OSC_ENABLEが「1」であり、したがって発振器2000がアクティブのとき、トランジスタ2500の電圧VGSはゼロになり、トランジスタ2500は開回路になり、出力DATA_IN中でいかなる干渉も起こさない。
【0035】
図10は、ブロックバイナリカウンタ3000をその入力および出力とともに示す。バイナリカウンタ3000は、センサ108のクロック信号から抽出される、一定時間内のパルス数(発振器2000によって引き渡されるパルス列に含まれる)をカウントする。このようなパルス数は、温度では変化しない。バイナリカウンタ3000は、発振器2000によって引き渡されたパルス列を入力DATA_IN中に受け取り、入力TEMP_MEASによって印付けられた温度に依存しない一定時間内のそのパルス数をカウントする。温度測定プロセスが終了し入力信号ENABLEが「0」になると、カウンタ3000がリセットされ(そのカウントが0にされ)、次の測定に備える。このように、温度測定値(T)のバイナリデジタル表現が取得される。測定プロセスが終了すると、カウンタ3000のカウントは、そのバイナリデジタル表現の形で、最下位ビットから最上位ビットへのピン(並列のデジタルワード)によって形成される出力に入れて引き渡される。特定の実施形態では、ピンの数は12であり、したがって最上位ビットは「b11」であり最下位ビットは「b0」である。バイナリカウンタ3000は好ましくは、D型フリップフロップ、D型ラッチ、および逆論理ゲートを備える。
【0036】
図11は、バイナリカウンタ3000の可能な一実施形態を示す。バイナリカウンタ3000は、複数の同一BUCB(バイナリカウンタの単位ブロック)(図11では、3100〜3600で示してある)を備える。特定の実施形態では、BUCBの数は12である。こうした12ブロックはそれぞれ、信号TEMP_MEAS、ENABLE、および直前ブロックの出力を受け取って、バイナリカウントの12ビットのうち1つを出力として引き渡す。
【0037】
図12は、12個のBUCBブロックのいずれかの可能な一実施形態を示す。BUCBブロックは好ましくは、フリップフロップ3010、インバータ3020およびラッチ3030を備える。上で言及したように、入力はTEMP_MEAS、ENABLEおよび直前ブロックの出力(PREV_TAP)であり、出力はi番目のビット「bi」および次のブロック(NEXT_TAP)向けの入力である。
【0038】
図13は、パラレルシリアルコンバータ4000をその入力および出力とともに示す。パラレルシリアルコンバータ4000は、バイナリカウンタ3000によって並列に引き渡されるワードを受け取り、並列ワードに含まれるビットと同じ数(例えば、12)の、クロック信号の連続周期中の直列ワードに変換する。言い換えると、このブロックは、出力DATA_OUT中に、センサのクロックCLKによって課せられたペースで、「b11」から「b0」まで、入力にロードされる温度測定値と並列にバイナリ表現を連続して放出する。例えば、12ビットの直列ワードを出力DATA_OUTに正しく読み込むために、入力信号ENABLEが「0」に落ちたときに「bi」ビットが検討され始めなければならず、その一瞬後に、各クロック周期の間に1ビットが読み出されることになる。したがって、クロックCLKの12連続周期の間に、12ビットのワードが、最上位ビット(「b11」)から最下位ビット(「b0」)まで並べられて取得される。センサ108にパラレルシリアルコンバータを採り入れることにより、コンバータが測定のための適切な情報を単一の出力端末内にもつので、起こり得る測定およびそのテストが容易になる。パラレルシリアルコンバータ4000は好ましくは、D型フリップフロップ、逆論理ゲート、AND論理ゲート、およびOR論理ゲートを備える。この直列ワードは、それ以降の使用(例えば、遠隔読取り装置への送信)のために、揮発性でも不揮発性でもよいレジスタまたはメモリに格納される。このレジスタまたはメモリは、実際のセンサ108の一部を成してもよく、直接その一部を成さなくてもよい。この場合、レジスタまたはメモリは、トランスポンダの一部を成す(後で説明する)。
【0039】
図14は、パラレルシリアルコンバータ4000の可能な一実施形態を示す。パラレルシリアルコンバータ4000は好ましくは、インバータ4100、PBUCPS(パラレルシリアルコンバータの第1の単位ブロック)ブロック4200、およびそれ以外の、図14では4300〜4700で示す11個のBUCPS(パラレルシリアルコンバータの単位ブロック)ブロックを備える。こうしたブロックはすべて、最初のものを除いて、入力として信号ENABLE、
【数1】
CLK、i番目のビット「bi」、および直前ブロックの出力を受け取って、最後のブロックがワードOUT_DATAを引き渡すまで、次のブロックの入力を出力として発生する。
【0040】
図15は、フリップフロップ4210およびインバータ4220を備える、PBUCPSブロック4200の可能な一実施形態を示す。クロック信号CLKおよび最下位ビット「b0」は、入力として作用する。唯一の出力がNEXT_TAPであり、これは次のBUCPS向けの入力である。
【0041】
図16は、11個のBUCPSブロックの任意の1つの構成内容の可能な一実施形態を示す。こうしたブロックは、AND論理ゲート4010、4020、ORゲート4030、フリップフロップ4040およびインバータ4050を備える。上で言及したように、こうしたBUCPSはそれぞれ、最後のブロックが測定値DATA_OUTの最終表現をその出力NEXT_TAPに入れて引き渡すまで、次のブロックの入力となる出力NEXT_TAPを発生する。
【0042】
上で説明したセンサ108は、好ましくはシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム、リン化インジウムおよびガリウムヒ素の中から選ばれる基板上に製作される。
【0043】
図17、18に関連して、トランスポンダ101を備える温度測定システムの可能な一実施形態については後で詳述するが、トランスポンダ101は、本発明による内蔵型温度センサ108を備える。温度測定システムは、少なくとも1つの読取り装置100をさらに備える。
【0044】
それにもかかわらず、本発明の内蔵型温度センサ108は、図17、18の形式、技術および/または実装形態に限定されることなく、異なるトランスポンダ101または温度測定システムの一部を成してよい。
【0045】
図17は、温度測定用の読取り装置100およびトランスポンダ101を備える、温度測定システムの可能な一実施形態を示す。
【0046】
読取り装置100は、ワイヤレスRFID(無線周波数識別子)システムなど、トランスポンダ読取りシステムで使われているもののうち、従来のどの読取り装置でもよく、したがってそれ自体は本発明の目的ではない。読取り装置100の例は、限定的ではなく単なる説明のための例と見なされなければならないが、ユーザとのインターフェースとして作用するディスプレイ102と、トランスポンダ101との間で交換される情報のエミッタ/レシーバとして動作する少なくとも1つのアンテナに接続された無線周波数サブシステム103と、情報をデジタル処理するためのブロック104と、温度安定クロック105とを備える。可能な一実施形態では、このクロック105は、水晶振動子に基づいてよい。このクロック105は任意選択で、何らかのタイプの温度安定化訂正を備えてよい。正常動作モードでは、読取り装置100は、一定の帯域(例えば、動物識別のためには134.2kHzまたは125kHzだが、従来の読取り装置およびトランスポンダによって使われる別のどの周波数帯を使ってもよい)内の無線周波数信号を放出する。
【0047】
したがって、トランスポンダ101は、このエネルギー(信号)を少なくとも1つのアンテナ107を通して受信し、内部的に処理して、それ自体の動作エネルギーを得る。このエネルギーは、1つまたはいくつかのアンテナ107を用いて信号を受信し、続いてトランスポンダ101の動作の直後に電力を供給する直流電圧を得るまで信号を整流する(図18)のを担当する無線周波数フロントエンドまたは無線周波数サブシステム106を用いて処理される。この同一のアンテナ、または複数のアンテナ107は続いて、トランスポンダ101の放出結果を受信し、読取り装置100の無線周波数サブシステムまたは放出/受信システム103と同様にして扱い、そうすることによって、読取り装置100のブロック104によって処理されるべき、必要な情報を抽出することができる。受信された情報は、トランスポンダ101の受動識別であるかセンサ108の読取り結果であるかにかかわらず、ユーザが見やすいように、読取り装置100のディスプレイ102に表示される。
【0048】
トランスポンダ101は、ワイヤレスRFID(無線周波数識別子)システムなど、ワイヤレスシステムで使われているもののうち、従来のどのトランスポンダでもよい。したがって、トランスポンダ101は、前記トランスポンダ101に対する一意の識別コードを格納する手段110と、読取り装置100、6000から温度要求信号を受信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記読取り装置100、6000に送信することができるアンテナ107と、本発明による内蔵型温度センサ108とを少なくとも備える。
【0049】
トランスポンダ101は好ましくは、センサ108の制御手段(1000)によってその他の手段(2000、3000、4000)を協調させるのに使用するために、読取り装置101、6000からの温度要求信号から、測定される温度に依存しない基準信号(CLK)を抽出する手段をさらに備える。
【0050】
トランスポンダ101は、測定された温度(T)を表す直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を格納する手段5000をさらに備える。こうした手段5000は、前記トランスポンダ101に対する一意の識別コードを格納する手段110と同じでも同じでなくてもよい。
【0051】
トランスポンダ101は、基準温度(TREF)を表す基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を格納する手段5000をさらに備えてよい。この場合、アンテナ(107)は、測定された温度(T)を表すデジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)とともに、基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を送信してよい。前記手段も、前記トランスポンダ101に対する一意の識別コードを格納する手段110、または他の異なる手段と同じでよく、測定された温度(T)を表す直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を格納する同じ手段5000でもよい。
【0052】
図17のトランスポンダ101は、1つまたはいくつかの受信/放出アンテナ107と、読取り装置100によって放出されたエネルギーに処理を加え、その情報を読取り装置100に放出し戻すのを担当するアナログ放出/受信システム106と、本発明の目的である内蔵型温度センサ108と、内部情報を管理するのを担当する情報処理ブロック109と、メモリブロック/情報記憶システム110と、エネルギーを格納する負荷キャパシタンス112と、アンテナ107として動作する共振タンクをコイルとともに形成する共鳴キャパシタンス111とを備える。こうしたキャパシタンスは、統合してもよく、外部にあってもよい。メモリブロック/情報記憶システム110は好ましくは、EEPROM、EPROM、OTPタイプの不揮発性110、または電源がない場合は他の任意の固定メモリシステムである。
【0053】
さらに、トランスポンダ101は好ましくは、統合型無線周波数トランスポンダである。その寸法は、用いられる統合技術に依存し、好ましくはおよそ1〜2mm2であり、かつ実施される統合のレベルに依存する。というのは、様々な蓄積および共鳴キャパシタンスを統合することも統合しないことも可能だからである。
【0054】
図18は、本発明の可能な一実施形態によるトランスポンダ101の動作を示す。トランスポンダ101は、読取り装置100による問合せを受けると、読取り装置100によって放出されたエネルギーを、アンテナを用いて受信するが、ダイオード201を用いて入射信号の振幅を制限する。読取り装置100からの入射波は、読取り装置100の安定基準105に基づくので、一定の温度安定周波数をもつ。この安定入射周波数は、クロック信号を取得するのを担当するクロック再生器ブロック202によって、トランスポンダ101内で抽出される。クロック信号は、クロック分周器ブロック204を用いてその周波数を減少された後、トランスポンダシステム101によって使われることになる。読取り装置100の入射エネルギーにより、負荷キャパシタンス112(図17)が、エネルギーリミッターブロック203によって制御される最大値まで徐々に充電される。クロックCLKの回復波は、温度センサブロック205の入力として使われる。取得された温度結果は、(揮発性または不揮発性)メモリブロック206、110に格納されると同時に、メッセージとともに読取り装置100に放出し戻されるのを待つ。システムが支配されるプロトコルに従って、トランスポンダ101が読取り装置100にメッセージを放出し戻さなければならないとき、「温度センサ」ブロック205から収集されメモリ206、110に格納された情報は、トリガブロック208の結果としてアクティブなままである入射信号に基づいて、変調器207によって定義されたプロトコルに従って戻り無線周波数信号上に変調される。
【0055】
図17は、本発明の可能な一実施形態によるワイヤレス温度識別システムも示す。図17のシステムは、アンテナを通して温度要求信号を送信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記アンテナを通して受信することが可能な少なくとも1つの読取り装置(100)と、本発明による少なくとも1つのトランスポンダ(101)とを備える。
【0056】
このワイヤレス温度識別システムは好ましくは、無線周波数識別(RFID)システムである。
【0057】
本発明の目的は、一定の振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生するステップ(2000)と、測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列(DATA_IN)のパルス数をカウントし(3000)、パルス列(DATA_IN)に含まれるパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生するステップと、前記複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生するステップ(4000)とを含む温度測定方法でもあり、パルス列(DATA_IN)は、測定される温度(T)に依存する遅延をもたらす可能性がある複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備える発振器を用いて発生され、前記パルス列(DATA_IN)の振動周波数は、測定される温度(T)に依存する。
【0058】
この方法は好ましくは、測定される温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により、前のステップ(2000、3000、4000)を制御するステップ(1000)を含む。
【0059】
さらに、論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)によってもたらされる温度に依存する前記遅延は、温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因する。
【0060】
この方法は、前記パルス列(DATA_IN)を発生する前に、遠隔読取り装置(100)から温度要求を受信するステップと、直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生した後に、前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)をメモリレジスタ(110)に格納し、フリースペースを通って前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を遠隔読取り装置(100)に送信するステップとをさらに含む。
【0061】
本発明のセンサ、トランスポンダおよびシステムは、公知の温度検出システムに対して、以下のような一連の利点を有する。
本発明のセンサを統合したトランスポンダは、現況技術によるトランスポンダよりかなり小さい統合領域を有する。センサの発振器がいくつかの論理ゲートから設計され、関連論理が完全にデジタルであるので、統合に使われる領域は最終的に、アナログ−デジタルコンバージョンブロックに基づく他のシステムに比較して寸法が削減される。
【0062】
さらに、このような小型装置を、デジタルゲートに基づいて統合することにより、前記装置の電力消費が、公知のシステムよりも基本的に低くなる。このことは、トランスポンダの分野では非常に重要である。というのは、バッテリまたは他の外部電源システムがないことにより、システムの全体的動作におけるボトルネックが防止されるからである。
【0063】
さらに、設計の観点から、本発明のセンサ、トランスポンダおよびシステムは、アナログ−デジタルコンバータの設計からもたらされる複雑さに比較して大幅に簡素である。
【0064】
最後に、図19は、本発明のセンサ108のための較正方法を示す。この方法は、
a)測定される温度が定義済みの既知の基準温度(TREF)である温度測定方法またはプロセスを一度実施し、出力DATA_OUTの中にそのデジタル表現(DATA_OUT@TREF)をある特定数のビット、例えば12ビットで取得するステップと、
b)例えば12ビットの、この取得された基準デジタル信号またはワード(DATA_OUT@TREF)を、トランスポンダ101の揮発性または不揮発性メモリまたはレジスタ110、5000に保存するステップと、
c)測定される温度(T)を用いて同じプロセスを実施し、その結果、同じまたは別のメモリレジスタ110、5000の一部にやはり格納されるワード(DATA_OUT@T)を生じるステップと、
d)最後に、両方のデジタル表現(DATA_OUT@TREF、DATA_OUT@T)を、ワイヤレスインターフェース(フリースペース)を用いて読取り装置100、6000に送るステップとを含む。
【0065】
その後、読取り装置100、6000は、受信することになる今後のワードDATA_OUT@Tの測定された温度を比較し、それによって演繹するための基準値(DATA_OUT@TREF)をもつ。このようにして、全体としての計算負担は読取り装置100、6000に委ねられるので、トランスポンダのマイクロプロセッサが簡素化される。
【0066】
このシステムのトランスポンダ101は、多くの可能な適用範囲において使われるように設計される。
− 生物、例えば動物に受動トランスポンダを埋め込むことに起因する、その体温を測定するための生物内での温度測定。これは、限定的ではなく例えば、トランスポンダ101を動物に埋め込むことによって遂行され、軟骨を貫通させるタグ付けシステムを用いて皮膚の下に注入され、または内蔵の中に置かれる付加的な容器、すなわちセラミック、プラスチック容器とともに内部的に埋め込まれる。
− 建物など、閉じた環境での、受動トランスポンダを用いた温度測定。
− 通信用パッケージに包まれたトランスポンダを用いた、食物容器内の温度測定。
− 無線周波数によって接続された外部装置を用いた、温度測定およびその読取りを伴う他の任意の適用範囲。
【0067】
本説明および1組の図面を鑑み、本発明をいくつかの好ましい実施形態によって説明したが、特許請求される本発明の目的から逸脱することなく、多くの変形形態を前記好ましい実施形態に採り入れることができることが、当業者には理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生する手段(2000)と、
測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列(DATA_IN)のパルス数をカウントし、前記パルス列(DATA_IN)に含まれるパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生する手段(3000)と、
前記複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生する手段(4000)とを備える内蔵型温度センサ(108)において、
パルス列(DATA_IN)を発生する前記手段(2000)が、測定される前記温度(T)に依存する遅延をもたらす可能性のある複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備え、前記手段(2000)が、測定される前記温度(T)にその振動周波数が依存するパルス列(DATA_IN)を発生することを特徴とするセンサ(108)。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ(1)であって、測定される前記温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により、前記センサ(1)のその他の前記手段(2000、3000、4000)を協調させる制御手段(1000)をさらに備えることを特徴とするセンサ(108)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサ(1)であって、前記手段(2000)が、測定される前記温度に依存しない基準信号(OSC_ENABLE)から前記パルス列(DATA_IN)を発生することを特徴とするセンサ(1)。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、パルス列(DATA_IN)を発生する前記手段(2000)がリング発振器であることを特徴とするセンサ(108)。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、パルス列(DATA_IN)を発生する前記手段(2000)が、
電源供給電圧活性化/非活性化回路(2100)と、
電流源(2300)と、
前記電流源(2300)のためのスタートアップ回路(2200)と、
パルス発生器(2400)とを備えることを特徴とするセンサ(108)。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ(1)であって、前記電流源(2300)が、電源供給電圧(VDD)の変動に対して前記パルス発生器(2400)を保護する手段を備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項7】
請求項5または6に記載のセンサ(1)であって、前記パルス発生器(2400)が、複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ(1)であって、前記複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)が奇数個の否定論理ゲートを備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、前記論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)によってもたらされる、前記温度に依存する前記遅延は、前記温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、前記温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因することを特徴とするセンサ(1)。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生する前記手段(4000)が、前記複数のビット(b11、b10、...、b0)を直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)に変換するパラレルシリアルコンバータを備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、前記制御手段(1000)が、第2の信号により、その他の前記手段(2000、3000、4000)を協調させ、前記信号が初期化信号(START)であることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム、リン化インジウムおよびガリウムヒ素の中から選ばれる基板上に製作されることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項13】
ワイヤレス温度識別システム用のトランスポンダ(101)であって、該トランスポンダ(101)に対する一意の識別コードを格納する手段(110)と、
読取り装置(100)から温度要求信号を受信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記読取り装置(100)に送信することが可能なアンテナ(107)とを備えるトランスポンダ(101)において、
請求項1から12のいずれかに記載の内蔵型温度センサ(108)を備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項14】
請求項13に記載のトランスポンダ(101)であって、前記センサ(108)の制御手段(1000)によって前記センサのその他の手段(2000、3000、4000)を協調させるのに使用するために、読取り装置(100)からの温度要求信号から、測定される温度(T)に依存しない基準信号(CLK)を抽出する手段を備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項15】
請求項13または14に記載のトランスポンダ(101)であって、測定された温度(T)を表す前記直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を格納する手段(110、5000)をさらに備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項16】
請求項13から15のいずれかに記載のトランスポンダ(101)であって、基準温度(TREF)を表す基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を格納する手段(110、5000)をさらに備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項17】
請求項16に記載のトランスポンダ(101)であって、前記アンテナ(107)が、測定された温度(T)を表す前記デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)とともに、前記基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を送信することが可能であることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項18】
請求項13から17のいずれかに記載のトランスポンダ(101)であって、内蔵型無線周波数トランスポンダであることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項19】
アンテナを通して温度要求信号を送信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記アンテナを通して受信することができる少なくとも1つの読取り装置(100、6000)を備えるワイヤレス温度識別システムにおいて、
請求項13から18のいずれかに記載の少なくとも1つのトランスポンダ(101)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、無線周波数識別(RFID)システムであることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項19または20に記載のシステムであって、前記トランスポンダ(101)が、体温を測定するために動物に埋め込まれるように設計されることを特徴とするシステム。
【請求項22】
一定の振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生するステップ(2000)と、
測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列(DATA_IN)のパルス数をカウントし(3000)、前記パルス列(DATA_IN)に含まれるパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生するステップと、
前記複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生するステップ(4000)とを含む温度測定方法において、
前記パルス列(DATA_IN)は、測定される温度(T)に依存する遅延をもたらす可能性がある複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備える発振器を用いて発生され、前記パルス列(DATA_IN)の振動周波数は、測定される温度(T)に依存することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、測定される温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により、前のステップ(2000、3000、4000)を制御するステップ(1000)を特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)によってもたらされる、温度に依存する前記遅延は、温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22から24のいずれかに記載の方法であって、
前記パルス列(DATA_IN)を発生する前に、遠隔読取り装置(100、6000)から温度要求を受信するステップと、
直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生した後に、前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)をメモリレジスタ(110、5000)に格納し、フリースペースを通って前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を遠隔読取り装置(100、6000)に送信するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
内蔵型温度センサの較正方法において、
測定される温度が既知の基準温度(TREF)である、請求項22に記載の温度測定方法を実施するステップと、
取得された基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)をメモリレジスタ(110、5000)に格納するステップとを特徴とする較正方法。
【請求項27】
請求項26に記載の較正方法であって、前記取得された基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を、フリースペースを通って遠隔読取り装置(100、6000)に送信するステップを特徴とする方法。
【請求項1】
一定の振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生する手段(2000)と、
測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列(DATA_IN)のパルス数をカウントし、前記パルス列(DATA_IN)に含まれるパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生する手段(3000)と、
前記複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生する手段(4000)とを備える内蔵型温度センサ(108)において、
パルス列(DATA_IN)を発生する前記手段(2000)が、測定される前記温度(T)に依存する遅延をもたらす可能性のある複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備え、前記手段(2000)が、測定される前記温度(T)にその振動周波数が依存するパルス列(DATA_IN)を発生することを特徴とするセンサ(108)。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ(1)であって、測定される前記温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により、前記センサ(1)のその他の前記手段(2000、3000、4000)を協調させる制御手段(1000)をさらに備えることを特徴とするセンサ(108)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサ(1)であって、前記手段(2000)が、測定される前記温度に依存しない基準信号(OSC_ENABLE)から前記パルス列(DATA_IN)を発生することを特徴とするセンサ(1)。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、パルス列(DATA_IN)を発生する前記手段(2000)がリング発振器であることを特徴とするセンサ(108)。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、パルス列(DATA_IN)を発生する前記手段(2000)が、
電源供給電圧活性化/非活性化回路(2100)と、
電流源(2300)と、
前記電流源(2300)のためのスタートアップ回路(2200)と、
パルス発生器(2400)とを備えることを特徴とするセンサ(108)。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ(1)であって、前記電流源(2300)が、電源供給電圧(VDD)の変動に対して前記パルス発生器(2400)を保護する手段を備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項7】
請求項5または6に記載のセンサ(1)であって、前記パルス発生器(2400)が、複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ(1)であって、前記複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)が奇数個の否定論理ゲートを備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、前記論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)によってもたらされる、前記温度に依存する前記遅延は、前記温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、前記温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因することを特徴とするセンサ(1)。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生する前記手段(4000)が、前記複数のビット(b11、b10、...、b0)を直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)に変換するパラレルシリアルコンバータを備えることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、前記制御手段(1000)が、第2の信号により、その他の前記手段(2000、3000、4000)を協調させ、前記信号が初期化信号(START)であることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載のセンサ(1)であって、シリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、シリコンゲルマニウム、リン化インジウムおよびガリウムヒ素の中から選ばれる基板上に製作されることを特徴とするセンサ(1)。
【請求項13】
ワイヤレス温度識別システム用のトランスポンダ(101)であって、該トランスポンダ(101)に対する一意の識別コードを格納する手段(110)と、
読取り装置(100)から温度要求信号を受信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記読取り装置(100)に送信することが可能なアンテナ(107)とを備えるトランスポンダ(101)において、
請求項1から12のいずれかに記載の内蔵型温度センサ(108)を備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項14】
請求項13に記載のトランスポンダ(101)であって、前記センサ(108)の制御手段(1000)によって前記センサのその他の手段(2000、3000、4000)を協調させるのに使用するために、読取り装置(100)からの温度要求信号から、測定される温度(T)に依存しない基準信号(CLK)を抽出する手段を備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項15】
請求項13または14に記載のトランスポンダ(101)であって、測定された温度(T)を表す前記直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を格納する手段(110、5000)をさらに備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項16】
請求項13から15のいずれかに記載のトランスポンダ(101)であって、基準温度(TREF)を表す基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を格納する手段(110、5000)をさらに備えることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項17】
請求項16に記載のトランスポンダ(101)であって、前記アンテナ(107)が、測定された温度(T)を表す前記デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)とともに、前記基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を送信することが可能であることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項18】
請求項13から17のいずれかに記載のトランスポンダ(101)であって、内蔵型無線周波数トランスポンダであることを特徴とするトランスポンダ(101)。
【請求項19】
アンテナを通して温度要求信号を送信し、測定された温度(T)を表す信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を前記アンテナを通して受信することができる少なくとも1つの読取り装置(100、6000)を備えるワイヤレス温度識別システムにおいて、
請求項13から18のいずれかに記載の少なくとも1つのトランスポンダ(101)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、無線周波数識別(RFID)システムであることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項19または20に記載のシステムであって、前記トランスポンダ(101)が、体温を測定するために動物に埋め込まれるように設計されることを特徴とするシステム。
【請求項22】
一定の振動周波数でパルス列(DATA_IN)を発生するステップ(2000)と、
測定される温度(T)に依存しない、一定時間内の前記パルス列(DATA_IN)のパルス数をカウントし(3000)、前記パルス列(DATA_IN)に含まれるパルス数を示す複数のビット(b11、b10、...、b0)を発生するステップと、
前記複数のビット(b11、b10、...、b0)から直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生するステップ(4000)とを含む温度測定方法において、
前記パルス列(DATA_IN)は、測定される温度(T)に依存する遅延をもたらす可能性がある複数の論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)を備える発振器を用いて発生され、前記パルス列(DATA_IN)の振動周波数は、測定される温度(T)に依存することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、測定される温度(T)に依存しない少なくとも1つの基準信号(CLK)により、前のステップ(2000、3000、4000)を制御するステップ(1000)を特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記論理ゲート(2410、2420、2430、2440、2450)によってもたらされる、温度に依存する前記遅延は、温度が上昇すると、前記論理ゲートを形成するトランジスタの電子および空孔の移動度が低下し、温度が低下すると、前記移動度が増すことに起因することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22から24のいずれかに記載の方法であって、
前記パルス列(DATA_IN)を発生する前に、遠隔読取り装置(100、6000)から温度要求を受信するステップと、
直列デジタル信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を発生した後に、前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)をメモリレジスタ(110、5000)に格納し、フリースペースを通って前記信号(DATA_OUT、DATA_OUT@T)を遠隔読取り装置(100、6000)に送信するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
内蔵型温度センサの較正方法において、
測定される温度が既知の基準温度(TREF)である、請求項22に記載の温度測定方法を実施するステップと、
取得された基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)をメモリレジスタ(110、5000)に格納するステップとを特徴とする較正方法。
【請求項27】
請求項26に記載の較正方法であって、前記取得された基準デジタル信号(DATA_OUT@TREF)を、フリースペースを通って遠隔読取り装置(100、6000)に送信するステップを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−506183(P2010−506183A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531864(P2009−531864)
【出願日】平成18年10月9日(2006.10.9)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000562
【国際公開番号】WO2008/043861
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(509102133)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月9日(2006.10.9)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000562
【国際公開番号】WO2008/043861
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(509102133)
【Fターム(参考)】
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