説明

ワイヤーグリッド偏光子

【課題】本発明は、チャンネルを有するマイクロパターン化された基体を含むワイヤーグリッド偏光子に関する。
【解決手段】マイクロパターン化された基体上に、10〜20nmの幅を有し、チャンネルに対して平行または垂直のいずれかに配向した帯状に導電性物質を堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に柔軟性基体上の導電性ワイヤーグリッド偏光子に関する。
【背景技術】
【0002】
基体上にナノスケールパターンを製造するために現在利用可能な方法は、真空ベースの技術であり、一般に費用がかかる。さらに、これらの方法において用いられるフォトリソグラフィー技術は、一般に、ナノスケールパターンの解像度に関して、光の波長により課せられた下限を有する。コストおよびフィーチャーサイズの両方を減少させるために新規技術的アプローチがとられる。非常に有望な新規技術は、周囲条件で基体上に微細なナノスケールパターンを形成するためのジブロックコポリマーの方向性自己集合である。
【0003】
この技術の重要な態様は、「方向性自己集合」なる用語である。プロセスは一般に、ジブロックポリマーを基体上に方向性力の影響下でコーティングすることを含む。方向性力は、その寸法が所望のナノスケールパターンの寸法に匹敵する限定空間、あるいは電場または磁場のように単純であり得る。これは基体上の疎水性または親水性フィーチャーとしての静電場出現であり得る。
【0004】
エレメントの自己集合を方向付けることにより、また表面上のアレイの配置を偏らせることにより、ナノスケールフィーチャーの前例のない気中密度を達成できる。トレンチ(幅約2ミクロン)が表面上にフォトリソグラフィーにより配置されたシリコン基体上にポリスチレン−b−ポリ(エチレンオキシド)のブロックコポリマーがコーティングされた場合、各トレンチ内に六角形に充填されたナノスケールの円筒形ドメインのアレイがあり、ここで、各円筒は〜20nmのサイズであり、各アレイは、隣接するトレンチ中にアレイがある配向レジストリーにある。最も重要なことは、ブロックコポリマーが、調製条件の制御により、形態の外的操作なしに示される構造中に自己集合されるという事実である。
【0005】
Nealeyおよびウィスコンシン大学(University of Wisconsin)の共同研究者(Kim,S.O.;Solak,H.H.;Stoykovich,M.P.;Ferrier,N.J.;de Pablo,J.J.;Nealey,P.F.;Nature、2003、424、411)は、これらのナノスケールドメインの側面配置の制御において別のアプローチをとった。彼らは、軟x線を用いてパターン化された表面上にポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)のブロックコポリマーをコーティングした。表面パターン化はコポリマードメインのサイズと釣り合ったサイズスケールで行われ、各ドメインを表面上で方向付けらた。パターン化なしで、ラメラドメイン(この場合)は表面上にランダムに方向付けされた。パターン化すると、表面全体にわたってドメインの緻密な分布が達成された。
【0006】
本発明者らは、ワイヤーグリッド偏光子として公知の非常に特別な生成物を詳細に議論する。ワイヤーグリッド偏光子は投写型ディスプレーにおいてプレ偏光子、アナライザー、および偏光ビームスプリッターとして用いられてきた[1〜3]。これらは、高熱および高光束耐性をはじめとする多くの利点を有する。これらは偏光リサイクルのための反射偏光子としても用いられてきた[4〜6]。低充填率ワイヤーグリッド偏光子は、同時係属中の特許出願(Miら)米国特許出願公開番号2006/0061862号に開示されている。以下の追加の参考文献は本発明の背景である。
[1]E.Hansen,E.Gardner,R.Perkins,M.LinesおよびA.Robbins、[プロフラックスワイヤーグリッド偏光子のディスプレー用途および物理学(The Display Applications and Physics of the ProFlux Wire Grid Polarizer)]、SID2002シンポジウムダイジェスト第33巻、730〜733ページ(2002)
[2]A.F.Kurtz、B.D.Silverstein、およびJ.M.Cobb、「R−LCOSディスプレーを用いたデジタルシネマ投射(Digital Cinema Projection with R−LCOS Displays)」、SID2004シンポジウムダイジェスト第35巻、166〜169ページ(2004)
[3]J.Chen、M.Robinson、およびG.Sharp、「LCoSパネル補正のための一般的方法(General Methodology for LCoS panel Compensation)」、SID2004シンポジウムダイジェスト第35巻、990〜993ページ(2004)
[4]T.Sergan、J.Kelly、M.Lavrentovich、E.Gardner、D.Hansen、R.Perkins、J.Hansen、およびR.Critchfield、「内部ワイヤーグリッド偏光子を有するツイストネマチック反射ディスプレー(Twisted Nematic Reflective Display with Internal Wire Grid Polarizer)」、SID2002シンポジウムダイジェスト第33巻、514〜517ページ(2002)
[5]J.Grinberg、およびM.Little、「液晶装置(Liquid Crystal Device)」米国特許第4,688,897号(1987)
[6]D.HansenおよびJ.Gunther、「デュアルモード反射/透過性液晶ディスプレー装置(Dual Mode Reflective/Transmissive Liquid Crystal Display Appratus)」、米国特許第5,986,730号(1999)
【0007】
ワイヤーグリッド偏光子は図1において図示され、図中、P、W、およびHはそれぞれワイヤーのピッチ、幅、および高さを示す。理想的には、ワイヤーのピッチPはできるだけ小さいべきであり、興味のある波長の1/3未満であるべきである。これは製造プロセスによってのみ限定される。可視光の使用のために設計されたワイヤーグリッド偏光子に関して、ピッチは〜140nmであり、高さも〜140nmである。ワイヤーは、優れた光学特性を有するアルミニウムから作られる。偏光されていない光がワイヤーグリッド偏光子上に入射する場合、S偏光(ワイヤーに平行)の光は反射され、P偏光(ワイヤーに垂直)の光は透過する。ワイヤーグリッド偏光子は一般的に周知のプロセスにより製作されてきた。例えば、米国特許第4,049,944号(Garvin)および米国特許第4,514,479号(Ferrante)は、フォトレジストにおいて微細な格子構造を形成するためにホログラフィー界面リソグラフィーを使用し、続いて構造を下にある金属フィルム中に転写するためにイオンビームエッチングすることを記載している。Stenkamp(「可視スペクトル領域のグリッド偏光子(Grid Polarizer For The Visible Spectral Region)」、Proceedings of the SPIE、第2213巻、288〜296ページ)は、レジストパターンを作るために直接eビームリソグラフィーを使用し、続いてパターンを金属フィルム中に転写するために反応性イオンエッチングを使用することを記載している。他の高解像度リソグラフィー技術、例えば極紫外線リソグラフィーおよびX線リソグラフィーもレジストパターンを作るために使用できる。レジストから金属フィルムへパターンを転写するために、他の技術、例えば、他のエッチングメカニズムおよびリフトオフプロセスを用いることができる。
【0008】
前記方法は次の問題点を有する。
(1)一般に、ワイヤーグリッド偏光子のピッチは、透過および反射、受光角、およびスペクトル依存性の点で良好な光学性能のためにできるだけ小さいのが好ましい。しかしながら、達成可能なピッチは、基本的に光源の波長および対応するリソグラフィー技術において用いられるフォトレジストの屈折率により限定される。短ピッチのワイヤーグリッド偏光子は短波長の光源および低屈折率を有するフォトレジストを必要とするが、これらはさらに短いピッチの増大し続ける要求を容易に満たすたことはできない。
(2)前記方法は金属ワイヤーおよびフォトレジストを保持するために硬質ガラス基体を必要とする。硬質で平坦なプラスチック基体をガラス基体の代わりに用いることができるが、その後のプロセスにおいて用いられる高温および化学物質のためにほとんどのプラスチック基体は使用が困難である。
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開番号2006/0061862号明細書
【特許文献2】米国特許第4,688,897号明細書
【特許文献3】米国特許第4,514,479号明細書
【特許文献4】米国特許第4,049,944号明細書
【非特許文献1】Nealey;Kim,S.O.;Solak,H.H.;Stoykovich,M.P.;Ferrier,N.J.;de Pablo,J.J.;Nealey,P.F.;Nature、2003、424、411
【非特許文献2】E. Hansen, E. Gardner, R. Perkins, M. Lines, and A. Robbins, ”The Display Applications and physics of the ProFlux Wire Grid Polarizer”, SID 2002 Symposium Digest Vol. 33, pp. 730−733, (2002).
【非特許文献3】A. F. Kurtz, B. D. Silverstein, and J. M. Cobb, ”Digital Cinema Projection with R−LCOS Displays”, SID 2004 Symposium Digest Vol. 35, pp. 166−169, (2004).
【非特許文献4】J. Chen, M. Robinson, and G. Sharp, ”General Methodology for LCOS panel Compensation”, SID 2004 Symposium Digest Vol. 35, pp. 9900−993, (2004).
【非特許文献5】T. Sergan, J. Kelly, M. Lavrentovich, E. Gardner, D. Hansen, R. Perkins, J. Hansen, and R. Critchfield, ”Twisted Nematic Reflective Display with Internal Wire Grid Polarizer”, SID 2002 Symposium Digest Vol. 33, pp. 514−517, (2002).
【非特許文献6】Stenkamp;Grid Polarizer For The Visible Spectral Region、Proceedings of the SPIE、2213、288〜296ページ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、必要なのは、大量生産においてワイヤーグリッド偏光子を形成する方法である。
一般に、機能性物質のナノ構造パターンを形成するのが望ましい。さらに、機能性物質のナノ構造パターンであって、磁性、導電性、半導電性または絶縁性であって、望ましい光学特性、例えば屈折率、フォトルミネッセンスなどを有するナノ粒子で満たされたナノ構造パターンを形成することが望ましい。
【0011】
望ましい生物学的特性を含有する機能性物質のナノ構造パターンを形成することも望ましい。さらに、ある環境にさらされると、物理的、化学的または生物学的反応により、この反応により製造される新たなセットの種のナノパターン構造を形成する特定の反応性種を有するこれらのナノ構造を有することが望ましい。
【0012】
特に、ナノ構造導電性パターンを形成することが望ましい。連続プロセスを用いてナノ構造パターンを形成することが望ましい。さらに、ワイヤーグリッド偏光子として用いることができる基体上にナノ構造アルミニウムパターンを形成することが望ましい。さらに、低充填率を有するワイヤーグリッド偏光子を形成することが望ましい。
【0013】
本発明の一つの目的は、基体上に機能性物質のナノ構造パターンを形成することである。
【0014】
本発明の一つの目的は、基体上に無機、有機またはポリマー性である機能性物質のナノ構造パターンを形成することである。
【0015】
本発明の一つの目的は、基体上に、磁性、導電性、半導電性、または絶縁性であるナノ粒子を含有する、無機、有機またはポリマー性である機能性物質のナノ構造パターンを形成することである。
【0016】
本発明の一つの目的は、基体上に生物学的機能性物質、例えば、DNAのナノ構造パターンを形成することである。
【0017】
本発明の一つの目的は、基体上に、活性化して反応し、新規ナノパターン化種を製造することができる、無機、有機、ポリマー性または生物学的機能性物質のナノ構造パターンを形成することである。
【0018】
本発明の一つの目的は、基体上にナノ構造化導電性パターンを形成することである。
【0019】
本発明のもう一つ別の目的は、大量生産のナノ構造パターンを形成する方法を提供することである。
【0020】
さらなる目的は、大量生産プロセスを用いてワイヤーグリッド偏光子などのナノ構造パターンを形成することである。
【0021】
さらなる目的は、低充填率のワイヤーグリッド偏光子を形成することである。
【0022】
本発明のこれらおよび他の目的は、基体上にパターンを形成する方法であって、基体を提供し、前記基体を機能性物質でコーティングし、前記機能性層をナノ粒子の有無を問わない少なくともAおよびBポリマー鎖のブロックコポリマーでコーティングし、前記ブロックコポリマーを乾燥させて秩序あるナノドメインを形成し、乾燥ブロックコポリマーのAポリマー相および除去された相の下の機能性物質の領域を除去することを含む方法により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、チャンネルを有するマイクロパターン化基体を含むワイヤーグリッド偏光子に関する。導電性物質は、マイクロパターン化基体上に10〜20nmの幅を有し、チャンネルに対して平行または垂直のいずれかに配向した帯状で配置される。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、ワイヤーグリッド偏光子などのナノ構造機能性物質の低コスト製造法を提供する。本発明はさらに、ナノ構造導電性、半導電性、磁性、絶縁性または生物学的パターンを製造するための一般法も提供する。ナノスケールアレイを作成するための本明細書に記載される技術は、これらを製作するために現在使用される通常の真空ベースのプロセスに関して著しく有利である。この技術は、簡単で、高速で、費用効率が高い点で製造に適している。これらは産業に容易に採択可能であり、他の製作工程と適合する。本明細書において記載される技術は、コポリマーテンプレートの自己集合によりナノファブリケーションの一般的有用性を著しく促進する。
【0025】
本発明はさらに、周囲条件下で、柔軟性基体上に異なる形状および外形の高気中密度のナノスケールフィーチャーを作成するための低コスト製造法も提供する。このようなフィーチャーを低コストで提供できる、現在利用可能な他の競合する技術はない。この技術は、現時点では存在しない、非常に低コストのナノファブリケーション技術を迅速に市場に出すために、現在利用可能な生産能力を革新的方法で使用する。潜在的な製品用途は、電子ディスプレー装置、例えば、テレビ、携帯電話および電子製品、例えば、デジタル音楽システム、コンピュータなどである。
【0026】
これは、現在の中流構成員よりサイズが5倍大きな新規「下位中流層」消費者ベースが形成されている現在の世界的市場において特に重要である。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載、および請求の範囲から明らかになるであろう。
【0028】
本発明を、その他の目的、利点および能力と併せてよりよく理解するために、以下の説明および添付の請求の範囲が図面と併せて参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、多くの利点を有する。本発明者らは、一例として大量生産プロセスにおけるワイヤーグリッド偏光子の製造法の詳細を具体的に説明することにより、本発明を説明する。本発明は異なるナノ構造パターン、例えば、ワイヤーグリッド偏光子をパターン化された基体上に製造するための新規方法を提供する。
【0030】
ナノスケール金属ワイヤーグリッドアレイを柔軟性基体、例えばPET上に低コストで製作するための製造法が記載されるが、このような製造法はガラス上で使用できる。金属(例えばアルミニウム)のこれらのワイヤーグリッドアレイは偏光子として有用である。これは、ブロックコポリマーテンプレートを選択的に放射線源に露光してパターン化することにより達成される。これらのジブロックパターンは金属化プラスチック基体上に(ブロックコポリマー化合物の各ポリマーのランダム混合物であらかじめコーティングされているかどうかにかかわらず)形成される。ランダムポリマー混合物コーティングを有するか、または有さない金属化プラスチック基体は、マイクロ複製溝/レッジであるか、またはLCD型配列プロセス(例えば、ラビング(rubbing))で処理されて、その相分離の間にジブロックコポリマーに関して表面上にある配向傾向を誘発することにより交互パッチであらかじめパターン化される。これらの前処理手順は、プラスチック基体上の相分離フィーチャーを秩序ある様式で配列させる様にガイドし、導く。ジブロックポリマーの組成は、ナノサイズラメラ(ワイヤー)アレイなどの所望の表面フィーチャーを提供するために選択される。
【0031】
テンプレートを次いで後製作工程、例えば、架橋に付して、ジブロック中の2つのポリマー成分を化学的および物理的にさらに区別する。ポリマー化合物の1つおよび下にある金属層は次いで溶解、エッチングなどにより空間的に選択的な方法で除去される。第二のポリマーフィーチャーは次に別の溶解またはエッチング法により除去されて、プラスチック基体上にナノラメラ(ワイヤー)グリッド集合体が現れる。
【0032】
本発明の一態様において、本発明者らはマイクロ複製プロセスにより作成される浅いマイクロ溝/レッジのトポグラフィーパターンを有するプラスチック(例えば、PET)基体を使用して、ジブロックコポリマー自己集合をガイドし、導く。プラスチック基体はそれ自体微視的寸法のものであり、溝およびレッジは本来的に微視的である。レッジおよびトラフを次いでアルミニウムなどの金属の薄層で均一にコーティングする。興味のあるジブロックコポリマーの薄いコーティングを次いで金属化基体上に配置する。円筒形を形成するジブロックコポリマーの場合、円筒形ロッドがポリマーの一つから形成される。ジブロックコポリマーの自己集合および相の一つの配向は位相的に制御できることが示されている。Nealyおよびウィスコンシン大学の共同研究者らは、ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)のブロックコポリマーを、軟x線を用いてパターン化された表面上にコーティングした。表面パターン化は、コポリマードメインのサイズに適したサイズスケールで行われ、各ドメインが表面上で方向付けられた。パターン化なしで、ラメラドメイン(この場合)は表面上にランダムに配向されていた(図2(a))。パターン化すると、表面全体にわたってドメインの精密な分布が達成された(図2(b))。基体トポグラフィーは溝およびレッジの方向において相分離ポリマーブロックの配向に影響を及ぼし、配列させる。外力、例えば、静電気力、磁力、流体剪断力などを相分離プロセスの間に適用して、低温でのプロセスを促進することができる。
【0033】
本明細書において用いられる場合、「ナノ」なる用語は、例えば、本明細書において記載されるコポリマー分子の自己集合法を用いて達成されるアレイの特徴的なサイズ範囲を意味する。例えば、ワイヤー直径、ワイヤー長さおよびアレイの期間は、ナノサイズ範囲、すなわち、約1ナノメートルから千ナノメートル超の範囲内であり得る。「ナノワイヤー」は、必ずしも導電性であることに限定されないが、それでもナノスケールアレイにおいて存在する場合に有用である物質を意味する。本明細書において用いられる場合、「ワイヤー」なる用語は、アスペクト比(すなわち、長さの幅に対する比)が少なくとも2:1である幅および長さを有する導電性物質を意味する。本出願において、「マルチレベル」なる用語は、横方向にパターン化されたジブロックコポリマーフィルムで形成される少なくとも1つのレベルを有する、複数の独立したレベルのリソグラフィーにより構築できる構造を意味する。本明細書において、「多層化」なる用語は、1を超える物質を含有するリソグラフィーの単層内の構造的エレメントを意味する。
【0034】
ナノ構造導電性パターンの本発明の製造流れ図を図3に示し、図6(a)〜6(f)においてさらに詳細に説明する。
【0035】
基体は、ポリマー樹脂から押出により製造される。基体は、任意の光学ポリマー物質から作ることができるが、ガラスも基体として用いることができる。それはラジカルポリマーまたは縮合ポリマーであってよい。それは疎水性または親水性ポリマーであってよい。それは任意の天然または合成ポリマーであってよい。本発明の基体ポリマーは異なる構造、すなわち、直鎖、グラフト、分岐鎖または超分岐鎖を有することができる。ポリマーは、熱可塑性であってよい。有用な熱可塑性樹脂の例は、セルロースおよびその誘導体(セルロース系)、セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびシアノエチルセルロース、およびセルロースエステル、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロースおよび硝酸セルロースである。ポリマーは、ポリオレフィン、例えば、(直鎖)低および高密度ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、塩素化低密度ポリ(エチレン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、およびポリ(エチレン)および環状ポリオレフィン、ポリ(スチレン)、ポリキシリエン、ポリイミド、ビニルポリマーおよびそのコポリマー、例えば、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(塩化ビニリデン)、エチレン−酢酸ビニルコポリマーなど、ポリアクリル、そのコポリマー、例えば、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリアクリロニトリル、ポリ(アクリル酸)、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、メタクリル化ブタジエン−スチレンコポリマーなど、ポリカーボネート、例えば、ポリ(メタンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(1,1−エーテルビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(ジフェニルメタンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(1,1−シクロヘキサンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)カーボネートなど、ポリエーテル、ポリケトン、ポリフェニレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリラクトン、例えば、ポリ(ピバロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)など、ポリウレタン、直線状長鎖ジオール、例えば、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(2,3−ブチレンスクシネート)、ポリエーテルジオールなど、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、例えば、ポリ(4−アミノ酪酸)、ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)、ポリ(m−キシリレンアジポアミド)、ポリ(p−キシリエンセバクアミド)、ポリ(2,2,2−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)(Nomex(商標))、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(Kevlar(商標))など、ポリエステル、例えば、ポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレン−1,5−ナフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)(A−Tell(商標))、ポリ(パラ−ヒドロキシベンゾエート)(Ekonol(商標))、ポリ(1,4−シクロへキシリデンジメチレンテレフタレート)(Kodel(商標)(シス)、ポリ(1,4−シクロへキシリデンジメチレンテレフタレート)(Kodel(商標))(トランス)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど、ポリ(アリーレンオキシド)、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)など、ポリ(アリーレンスルフィド)、例えば、ポリ(フェニレンスルフィド)など、ポリエーテルイミド、イオノマー、ポリ(エピクロロヒドリン)、フラン樹脂、例えば、ポリ(フラン)、シリコーン、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルシロキサンコ−フェニルメチルシロキサン)など、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリアセタールを包含する。コポリマーおよび/またはこれらの前記ポリマーの混合物も使用できる。
【0036】
好ましい基体ポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリエステル、ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル、およびポリキシリエン、ポリビニルカルバゾール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリケトン、ポリフェニレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、および環状ポリオレフィンが挙げられる。さらに好ましい基体ポリマーはPETおよびビスフェノースAポリカーボネートである。
【0037】
基体は10ミクロン〜1センチメートルの範囲の異なる厚さを有するものであり得る。
【0038】
基体はマイクロパターン化プロセスに付される。マイクロパターンが基体上に生成される。異なるマイクロパターン化プロセスを利用できる。プレパターン化は機械的または他のよく確立された配列技術であり得る。例えば、プレパターン化は、任意の所望の形状および外形を有するマイクロ複製されたレッジ/溝の存在によるものであり得る。マイクロ複製(米国特許第6800234(B2X6)号)は一般に認識された、柔軟性基体を位相的にパターン化するための低コストの方法である。基体の表面エネルギー制御のもう一つ別の例は、LCD産業において通常用いられる配列技術であって、通常「ラビング」と称する技術を使用することである。本発明において、本発明者らは、ジブロックコポリマー構造の自己集合を配列させ、導くために、プラスチック基体の「プレラビング」を用いる。プレパターン化基体の使用法は、配列プロセスを援助し、促進するための他の外力、例えば、電場、磁場、剪断力などの使用を排除しない。これは、疎水性および親水性ポリマーのパッチのコーティングを用いてパターン化することもできる。好ましくは、これはマイクロ複製溝/レッジである交互パッチでパターン化することができる。マイクロパターンは平らな底を有する溝の、浅い秩序あるアレイであるのが好ましい。溝のピッチは1ミクロンより高く、10ミクロン未満であるのが好ましい。溝の高さは、100nmより高く、1ミクロン未満であるのが好ましい。
【0039】
本発明において、ワイヤーグリッド偏光子の調製法は、導電性物質の薄層をマイクロパターン化基体上に一致するようにに堆積させることを含む。導電性物質は、異なる金属、透明金属酸化物または導電性ポリマーであり得る。金属はアルミニウム、銀、金、ニッケルおよび銅であり得る。金属酸化物はインジウムスズ酸化物(ITO)、およびアンチモンスズ酸化物(AZO)などであり得る。導電性ポリマーは、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびポリアセチレンなどでありうる。堆積法は、堆積される物質に対応する。真空プロセスであっても周囲大気プロセスであってもよい。プラズマ、またはスパッタリングであってよい。溶液コーティングであってもよい。導電性物質の厚さは50nmより厚く、1ミクロン未満である。100nm超、200nm未満であるのがさらに好ましい。
【0040】
本発明者らのプロセスによるワイヤーグリッド偏光子の調製における次の工程として、ナノ粒子を含有しても、含有しなくてもよいブロックコポリマーをアルミニウムコーティング上にコーティングし、コーティングの乾燥中または乾燥フィルムのアニール後に秩序ある相分離が形成される。
【0041】
ポリマー相の乾燥は、幾つかの従来利用可能な方法により達成することができる。例えば、ホットローラーであり、これは方向圧力および剪断および熱も同時に適用する。他の手段、例えば、IR源、マイクロ波源、抵抗ワイヤーコイル、熱風またはガスあるいは両者の組み合わせにより熱を適用することもできる。熱は、放射線源からも適用できる。もう一つ別の例は、ポリマーコーティングを乾燥させるために熱が適用される場合の電場の同時適用である。熱は電化されたヒートローラーによって適用できる。ローラーが電化されていない場合、コロナ装置などの通常用いられる手段により電場を適用することができる。本発明者らは、熱、電場および剪断力も同時に、前記のような技術の組み合わせにより適用することを考え出すことができた。この概念は、範囲が全般的であり、適用技術の性質に限定されない。
【0042】
ブロックコポリマー(ジブロック、トリブロック、テトラブロック、スターブロック、グラフトブロック)をナノスケール(100nm未満)で周期的構造の形成に用いることができる[Stoykovichら、“directed Assembly of Block Copolymer Blends into Nonregular Device−Oriented Structures 、Science 308、1442〜1445ページ(2005)]。2以上の非適合性ポリマー鎖を末端で一緒に結合させることにより、ブロックコポリマーが形成される。相分離は、ポリマー鎖のサイズ、典型的には数十ナノメートルのサイズ、および鎖間の相互作用により決定される。一緒に結合している鎖の長さを変えることにより、成分の体積分率を調節することができ、可動性が鎖に付与される場合、球状ドメイン(S)の体心アレイから六角形に充填された円筒形ドメイン(C)、らせん(G)、交互ラメラドメイン(図4参照)までの範囲の秩序ある形態が自発的に形成される。相反転はポリマー鎖の体積比が変化するにつれ変化する。次いで、反転した六角形に充填された円筒形ドメイン(C)、らせん(G)、および反転した球状ドメイン(S)が形成された。
【0043】
薄膜において、これらのドメインの配向を制御することにより、および標準的フォトリソグラフィープロセスにより成分の一つを選択的に除去することにより、あるいは相選択的化学反応の使用により、新規装置および構造の作成のための、テンプレートおよび骨格としてのナノスケールのエレメントのこれらのアレイの使用に関して豊富な機会が出現する。これらのエレメントの配向に対する制御は、ブロックコポリマー形態の周期(通約性)に対するフィルムの厚さの制御および2つのブロックが下にある基体および表面と相互作用するような方法での操作に原因がある。例えば、ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)ジブロックコポリマーのスピンコーティングされたフィルムが不動態化シリコン基体上に配置され、そのガラス転移温度以上に加熱された場合、走査型力顕微鏡写真は、フィルム表面に対して垂直に配向したPMMAの円筒を示し、この円筒は全体的にフィルムを貫通する。紫外線およびアルコールリンス(標準的工業的実施)にさらされると、孔径がもとのコポリマーの円筒形ドメインのサイズと同一であるナノ多孔質フィルムが製造される。このようなナノ多孔質フィルムはフラッシュメモリー用途におけるフローティングゲートの組み立て用テンプレートとして、そして記憶装置用のナノスケール磁気エレメントの生成用骨格として用いられる。
【0044】
本発明に適しているブロックコポリマーは異なる化学的性質を有し得る。これは、アニオン、カチオン、またはリビングラジカル重合から製造できる。興味のあるブロックポリマーは1より多くのブロックを含み得る。これは、ジブロック、トリブロック、テトラブロック、スターブロック、およびグラフトブロックであり得る。ブロックの一つはランダムコポリマーを含むことができる。ブロックの一つは結晶化できる。ブロックの一つは液晶であり得る。ブロックの一つは室温で可塑性であり得る。ブロックの一つは室温で弾性であり得る。ブロックの一つは疎水性であり得る。ブロックの一つは親水性であり得る。ブロックコポリマーを形成するためにポリマーの例を用いることができ、この例は、これに限定されないが、ポリ(スチレン)、ポリキシリエン、ビニルポリマー、例えば、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(塩化ビニリデン)、エチレン−酢酸ビニルコポリマーなど、ポリアクリル、例えば、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリアクリロニトリル、ポリ(アクリル酸)、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、メタクリル化ブタジエン−スチレンコポリマーなど、ポリジエン、例えば、ポリ(ブタジエン)、ポリ(イソブチレン)、ポリイソプレン、ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど、ポリオール、例えば、ポリビニルアルコールなど、ポリビニルアセテートおよびアセタールを包含する。ジブロックコポリマーの例としては、ポリスチレン−アクリレートが挙げられる。アクリレートはメチルメタクリレートでありうる。
【0045】
幾つかの有用なジブロックコポリマーはポリスチレン−ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリエチレンオキシドである。数分子量は1000〜100000g/モルの範囲であり、一つのブロックの体積分率は0.3〜0.7の範囲である。
【0046】
一つの実施態様において、ジブロックコポリマーは相分離して、基体の面に対して垂直な相を有するラメラ構造になる。相AおよびBの長さは10nm〜100nmである。ジブロックコポリマーの相Aの好ましい長さは、10〜20nmであり、相Bの好ましい長さは20〜50nmである。有用なジブロックコポリマーは、例えば、ポリスチレン−ブロック−ポリブタジエンから作られる。もう一つ別の有用なジブロックコポリマーは、ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)である。ポリスチレンの数分子量が14600で、体積分率が0.5であるならば、ブロックコポリマーは、15nmの周期相長さを有するラメラ構造を形成した。(Corvazierら、J.Mater Chem.、2001、11、2864)。半結晶ジブロックコポリマーがラメラ構造を形成する傾向があることも周知である。
【0047】
エッチングおよびまたは溶解プロセスによりポリマーA相を次いで除去する。ポリスチレン−b−ポリ(メチルメタクリレート)の場合、ポリマーA相はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)であり、ポリマーB相はポリスチレン(PS)である。フィルムを紫外線に露光することにより、ポリマーA相(PMMA)は分解し、ポリマーB相(PS)は架橋する。PMMAはマイクロ電子工学産業において通常用いられる標準的フォトレジストである。ポリスチレン−b−ポリ(ブタジエン)の場合、充填物をオゾンに暴露することにより、PS(相Bポリマー)は架橋し、ポリ(ブタジエン)(相Aポリマー)は分解する。多くの他のブロックコポリマーシステムにおいて、ナノスケール円筒形ドメインを含む微量成分を選択的に除去できる。
【0048】
本発明は、残存するポリマー(レジスト)のセグメントをマスクとして用いるエッチングプロセスによる、相Aポリマーの下のアルミニウム、または他の導電性物質の除去を必要とする。良好なエッチングプロセスの基準はエッチング時間およびレジストの分解などのパラメータ用の大きな時間枠を有することである。エッチングプロセスを2つの方法、乾式および湿式に分類することができる。
【0049】
湿式アルミニウムエッチングにおいて、成分はリン酸、酢酸、および硝酸(PANエッチング)である。これらの成分は、存在し得る他の金属に関して異なるエッチング速度および選択性を達成するために変更することができる。湿式エッチングは、これらが非常に等方性であるという事実に直面する。この結果得られるものは、ポリマーレジストマスクのアンダーカットによる傾斜プロファイルである。非結晶性物質に関して湿式エッチングを用いて非常に高いアスペクト比を得ることは困難である。
【0050】
アルミニウムの最も一般的な乾式エッチングプロセスは、反応性イオンエッチング(RIE)である。反応性イオンエッチングは、低圧ガス中プラズマを発生させるためにマイクロ波を用いる。ガスは、励起された場合に反応性種、例えば、ラジカルおよびイオンを生成できる成分を有する。イオンは電極に対して加速させることができる。典型的には、サンプルは電極の一つの近くにある。イオンは従ってサンプル上に特定の角度、通常は垂直に向けられる。イオンは表面と反応し、物質を化学的にエッチングする。
【0051】
アルミニウムは通常ハロゲンベースのプラズマでエッチングされた反応性イオンである。四塩化炭素またはクロロホルムはハロゲン前駆体としての働きをし、不活性ガスと混合される。プラズマは塩素ラジカルイオンを生成し、これはアルミニウムと反応して、揮発性三塩化アルミニウムを形成する。この種類のアルミニウムエッチングは、イオン流方向の異方性のために高アスペクト比壁を提供することができる。塩化物ラジカルイオンはほとんどの有機物とゆっくり反応して揮発性種を形成するので、レジストはエッチングの間に良好な区別をもたらす。
【0052】
最後に、ポリマーBを除去することにより導電性パターンがマイクロパターン化基体上に形成される。
【0053】
本発明はさらに、円、三角、円筒、ピラミッド型などのジブロックコポリマー相分離フィーチャーであって、その後、実際的関心のある空間的に配列された物質、例えば金属、半導体、磁性体などを堆積させるためのテンプレート/マスクとして用いることができるフィーチャーの自己集合をガイドし導くために、本発明者らがプラスチック基体上での幾つかの形状およびサイズの溝の使用を想定することができるという意味で一般的である。本発明は、それ自体、機能性フィーチャーとしてブロックコポリマー中のポリマーの一つを使用することに一般化することができる。特定の性質を有するナノ物質でコポリマーをあらかじめ充填することにより、例えば、金属、半導電性または絶縁性などの新規特性を有するナノフィーチャーを形成し、ポリマーの一つを除去することができる。これらの秩序あるナノフィーチャーは導電性表面上に配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0054】
これらおよび他の利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0055】
以下の実施例は本発明の実施を説明する。本発明のすべての可能なバリエーションを網羅することは意図されない。部およびパーセンテージは特に記載しない限り重量基準である。
【実施例】
【0056】
PETなどの柔軟性プラスチックのシートまたはロールを、図5および図6(a)において示すような長方形溝のアレイを得るために、マイクロ複製プロセスによりプレパターン化する。P、WおよびDは、溝のピッチ、壁幅および高さであり、溝は、任意および/または製造能力により決定される柔軟性基体の全長にわたって広がる。溝のピッチ(P)は1ミクロンから100ミクロンまで変化し得るが、好ましくは5ミクロンから25ミクロンの範囲でありうる。溝の壁幅(W)は0.5ミクロン〜25ミクロン、好ましくは1ミクロン〜10ミクロンの範囲でありうる。溝の深さ(D)は、0.25ミクロン〜5ミクロン、好ましくは0.5ミクロン〜1ミクロンの範囲でありうる。柔軟性シートまたはロールを次いで金属、好ましくはアルミニウムの薄層で共形的にコーティングする(図6(b))。金属層の厚さは0.05ミクロン〜0.5ミクロンの範囲、好ましくは0.1ミクロン〜0.2ミクロンの範囲でありうる。コーティングの共形性の結果、例えばマイクロ複製パターンを複製するために、溝のトラフおよびレッジを充填する金属コーティングが得られる。金属フィルムを次いでコポリマー混合物(A、B)の薄層でコーティングする(図6(c))。コーティング厚さは0.01ミクロン〜0.1ミクロンの範囲、好ましくは0.02ミクロン〜0.05ミクロンの範囲であり得る。コーティングはここでも、マイクロ複製パターンを複製するために共形性である。ポリマーコーティングを次いでジブロックコポリマーの薄膜でコーティングする。ジブロックコポリマーの成分(A、B)は、コポリマー混合物中の成分と同じである。ジブロックコポリマーの厚さは0.05ミクロン〜1ミクロン、好ましくは0.1ミクロン〜0.25ミクロンの範囲である。
【0057】
幾つかの実施態様に関して、架橋することができる成分を含むブロックコポリマーの使用が望ましい。この成分をもう一つ別の成分の除去前または除去の間に架橋させることができ、従ってコポリマーに構造的一体性を付与することができる。この成分はマトリックス成分と呼ばれうる。好適なマトリックス成分は、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサン、および他のポリマーを包含する。除去される成分は、コア成分と呼ぶことができる。適当なコア成分は、ポリメチルメタクリレート、ポリブタジエン、ポリカプロラクトンまたはフォトレジストを包含する。
【0058】
任意のブロックコポリマー、例えば、アルキル/アルキル、アルキル/アリール、アリール/アリール、親水性/親水性、親水性/疎水性、疎水性/疎水性、正または負帯電/正または負帯電、非荷電/正または負帯電、あるいは非帯電/非帯電などを用いることができる。
【0059】
コポリマーは、金属、半導電性または絶縁性のナノ粒子を含有することができる。ナノ粒子の数例は、金、銀、セレン化カドミウム、珪素、硫化亜鉛などである。ナノ粒子は、ポリマーの相分離の間に、ナノ粒子が一つのポリマーに優先的に分離しうるか、または分離しえないように選択することができる。
【0060】
コポリマーは生物学的物質、例えば、DNAを含有することができる。
【0061】
コポリマーを一般的溶媒または補助溶媒の混合物でコーティングすることができる。コポリマー中の分子を動かすために、サンドイッチ構造をコポリマーのガラス転移温度を超えて加熱することができる。
【0062】
次に、図6(d)に示すように、基体に関連するコポリマーのジブロックコポリマーの成分の一つ(例えば、コア)を除去する。成分の除去は、例えば、放射線(紫外線光、x線、ガンマ線、可視光、熱、または電子線または選択的に微量成分を分解する任意の他の放射線源)に暴露することにより行われる。劣化または分解剤、例えば、オゾンを包含する反応性酸素種、またはエタノールなどの溶媒も用いることができる。紫外線光を用いて、例えば、コア成分としてのポリメチルメタクリレートを分解することができる。例えば、ポリブタジエンを分解させるためにエタノールを使用できる。
【0063】
処理の後に化学的リンスを行って、分解副生成物を除去することができ、典型的にはその結果、数十ナノメートルの範囲の孔(すなわち、開口部)サイズを有する多孔質物質が得られる。任意の残存する成分を除去する工程は、溶媒での洗浄をはじめとする液体での処理、または残存する成分と優先的に反応する物質、例えば酸または塩基での処理を包含し得る。幾つかの実施態様において、残存する分解成分と反応させるために用いられる物質は、例えば、酢酸の希釈形態であり得る。この手順において、金属を溶解させるために幾つかの溶媒または別の溶媒またはエッチング溶液が用いられる。例えば、アルミニウムをエッチングするために水酸化ナトリウムを用いることができる(図6(e))。その時点で除去されたコポリマー成分により、以前には充填されていた体積は、その時点で、フィルムの厚さを貫通して基体(例えば、PET)まで到達する直方体空間を含む。残存する体積は、残りのコポリマー成分により占められ、マトリックスと呼ばれる。直方体空間は、典型的には、マイクロパターン化チャンネルまたは溝に対して平行であるが、かかる溝に対して垂直であってもよい。
【0064】
幾つかの実施態様において、コポリマーフィルムの成分を任意に架橋することが望ましい場合がある。エネルギー源または試薬により分解しない成分の架橋は、フィルムに構造的に強度を与えることができる。幾つかの実施態様において、コポリマー成分は、もう一つ別のコポリマー成分の分解と同時に架橋される。放射線は任意に、そして望ましくはジブロックコポリマーのマトリックス成分を架橋し、マトリックスは実質的に不動態化して、直方体空隙が形成された後でさえもアレイ構造を維持することができる。ナノ多孔性アレイテンプレートが結果として得られる全体的な構造である。例えば、ポリスチレン(PS)マトリックス中のポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合、紫外線はPMMAを分解し、一方、PSを架橋する。コポリマーの初期形態が分解の全プロセスにわたって保持されるのが望ましい。一成分または他の成分を除去する他の方法(例えば、化学的方法)を用いることができる。開口部/空隙の幅は約5nmから約500nm以上の範囲であることができ、周期性は約5.0〜500nmの範囲でありうる。
【0065】
製造プロセスの最終工程(図6(f))は、ジブロックコポリマーのマトリックス成分および任意の下にあるコポリマーコーティングが、適当な溶媒中に溶解させることによるか、または照射などにより除去されることを必要とする。このプロセスは、偏光子として用いることができる金属ワイヤー(例えば、アルミニウム)のナノアレイを示す。
【0066】
本発明をその好ましい実施態様に特に関連して詳細に記載したが、本発明の意図および範囲内で変更および修飾を行うことができると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ワイヤーグリッド偏光子の概略図である。
【図2a】ジブロックポリマーの相分離後の形態を示す。
【図2b】ジブロックポリマーの相分離後の形態を示す。
【図3】ナノ構造導電性パターンの大量生産の製造プロセス流れ図である。
【図4】相分離プロセスの間に自発的に形成される様々なジブロックコポリマーの形態の一連の概略図である。
【図5】マイクロ複製構造を示す。
【図6a】(a)〜(f)はワイヤーグリッド偏光子の製造法の一連の例である。
【図6b】(a)〜(f)はワイヤーグリッド偏光子の製造法の一連の例である。
【図6c】(a)〜(f)はワイヤーグリッド偏光子の製造法の一連の例である。
【図6d】(a)〜(f)はワイヤーグリッド偏光子の製造法の一連の例である。
【図6e】(a)〜(f)はワイヤーグリッド偏光子の製造法の一連の例である。
【図6f】(a)〜(f)はワイヤーグリッド偏光子の製造法の一連の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンネルを有するマイクロパターン化基体;
前記チャンネルに対して平行に配向した10〜20nmの幅を有する帯状に、前記マイクロパターン化基体上に配置された導電性物質:
を含むワイヤーグリッド偏光子。
【請求項2】
チャンネルが、概して平坦な底および10マイクロメートル未満のピッチを含む請求項1記載の偏光子。
【請求項3】
前記チャンネルが50から600ナノメートルの間の深さを有する請求項2記載の偏光子。
【請求項4】
前記導電性物質が、アルミニウム、銀、金、ニッケル、銅、インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびポリアセチレンからなる群から選択される請求項1記載の偏光子。
【請求項5】
前記マイクロパターン化基体が、ガラス、熱可塑性樹脂、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリオレフィン、ポリアクリル、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、メタクリル化ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリカーボネートポリエーテル、ポリケトン、ポリフェニレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリウレタン、直線状長鎖ジオール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ(アリーレンオキシド)、ポリ(アリーレンスルフィド)、ポリエーテルイミド、イオノマー、ポリ(エピクロロヒドリン)、フラン樹脂、例えば、ポリ(フラン)、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリアセタールからなる群から選択される請求項1記載の偏光子。
【請求項6】
チャンネルを有するマイクロパターン化基体;
前記チャンネルに対して垂直に配向した10〜20nmの幅を有する帯状に、前記マイクロパターン化基体上に配置された導電性物質:
を含むワイヤーグリッド偏光子。
【請求項7】
チャンネルが、概して平坦な底および10マイクロメートル未満のピッチを含む請求項6記載の偏光子。
【請求項8】
前記チャンネルが50から600ナノメートルの間の深さを有する請求項7記載の偏光子。
【請求項9】
前記導電性物質が、アルミニウム、銀、金、ニッケル、銅、インジウムスズ酸化物、アンチモンスズ酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびポリアセチレンからなる群から選択される請求項6記載の偏光子。
【請求項10】
前記マイクロパターン化基体が、ガラス、熱可塑性樹脂、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリオレフィン、ポリアクリル、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、アクリロニトリルコポリマー、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、メタクリル化ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリカーボネートポリエーテル、ポリケトン、ポリフェニレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリウレタン、直線状長鎖ジオール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ(アリーレンオキシド)、ポリ(アリーレンスルフィド)、ポリエーテルイミド、イオノマー、ポリ(エピクロロヒドリン)、フラン樹脂、例えば、ポリ(フラン)、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリアセタールからなる群から選択される請求項6記載の偏光子。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【公開番号】特開2008−134599(P2008−134599A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−210222(P2007−210222)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(307010188)ローム アンド ハース デンマーク ファイナンス エーエス (51)
【Fターム(参考)】