ワイヤーハーネス及びその製造方法
【課題】低コストで、電線の一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、電線保護と低級音対策を行うことができ、且つ、シールド材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制する。
【解決手段】ワイヤーハーネス1は、電線2と、不織布によって形成され且つ電線2の長手方向に延伸しつつ電線2の少なくとも一部を囲繞する第1保護部4と、第1保護部4を囲繞し且つ電線2の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材5と、不織布によって形成され且つシールド部材5を囲繞する第2保護部6とを備えている。
【解決手段】ワイヤーハーネス1は、電線2と、不織布によって形成され且つ電線2の長手方向に延伸しつつ電線2の少なくとも一部を囲繞する第1保護部4と、第1保護部4を囲繞し且つ電線2の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材5と、不織布によって形成され且つシールド部材5を囲繞する第2保護部6とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線保護とノイズ対策と低級音対策を実現可能なワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低電圧系回路の複数の電線と、高電圧系回路の複数の電線と、の間の沿面距離を確保することによって、リーク電流やアーク電流の発生を防止できるワイヤーハーネスが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、熱可塑性材料により構成された2枚の被覆体の間にフラット回路体を挟み込むとともに、2枚の被覆体を加熱及び圧縮することによって、プロテクタを形成する技術も、従来より知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
さらに、アンテナ線からのノイズ干渉を防止する為に、例えば、編組状とされた細い導線又は金属箔等で被覆付き導線の周囲を覆ったシールド電線が、ワイヤーハーネスの電線として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355839号公報
【特許文献2】特開2003−197038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常の電線に代えてシールド電線を採用し、これを特許文献2のように2枚の被覆体の間に挟み込むと、ワイヤーハーネスの価格が上昇する。また、電線保護と低級音対策に関する要請も増加している。そこで、電線の一部に対してノイズ対策を行うと共に電線保護と低級音対策を行おうとすると、電線の一部をシールド材で囲繞した後、シールド材を不織布により形成される保護部で囲繞してから加熱及び加圧することによって、シールド材により電線の一部を電磁的に遮蔽すると共に、保護部により電線の一部とシールド材を保護する構造が考えられる。
【0007】
この場合、シールド材として金属箔や金属網が採用されるため、電線にシールド材を密着させた状態で加圧すると、電線の外周面に傷がつく虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、低コストで、電線の一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、電線保護と低級音対策を行うことができ、且つ、シールド材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネスは、電線と、不織部材によって形成され、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、前記第1保護部を囲繞し、前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、不織部材によって形成され、前記シールド部材を囲繞する第2保護部とを備える。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分が加熱により硬化された。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記不織部材とシールド材と前記不織部材とを積層した積層体が構成され、前記電線に対して前記積層体が巻かれることで、前記第1保護部と前記シールド部材と前記第2保護部が形成された。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記積層体の巻き方向における始端部及び終端部の内周側が対向し、前記シールド部材の巻き方向における始端部及び終端部が、前記第1,第2保護部のうち少なくとも一方よりも露出している。
【0013】
第5の態様は、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記シールド部材の長手方向の両側端部が前記第1,第2保護部よりも露出している。
【0014】
第6の態様は、第1の態様〜第5の態様のいずれか1つに係るワイヤーハーネスであって、前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部が、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化された。
【0015】
第7の態様は、ワイヤーハーネスの製造方法であって、(a)不織部材と、シールド材と、不織部材とを積層して積層体を製造する工程と、(b)電線に対して前記積層体を巻くことにより、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、前記第1保護部を囲繞し且つ前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、前記シールド部材を囲繞する第2保護部とを形成する工程とを備える。
【0016】
第8の態様は、第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、(c)前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分を加熱により硬化させる工程を備える。
【0017】
第9の態様は、第8の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、(d)前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部を、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させる工程を備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様に係るワイヤーハーネスによると、第1,第2保護部により電線保護を行いつつ、シールド部材によりワイヤーハーネスの少なくとも一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、第2保護部により低級音対策を行うことができる。また、電線とシールド部材との間に第1保護部を介在させたので、シールド部材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制できる。さらに、電線を、第1保護部とシールド部材と第2保護部とで囲繞することによって、上記ノイズ対策、低級音対策、電線保護を行うことができるため、低コスト化が可能となる。
【0019】
第2の態様によると、第1保護部の外周部のうちシールド部材に接する部分が硬化されるため、電線の保護性能が向上する。
【0020】
第3の態様によると、電線に対して第1保護部とシールド部材と第2保護部とを正確な位置に取付けることができるので、ワイヤーハーネスの品質が向上する。
【0021】
第4の態様によると、シールド部材の巻き方向における始端部及び終端部から熱を加えることができるので、シールド部材に対する加熱処理を簡単に行うことができる。
【0022】
第5の態様によると、シールド部材の長手方向の両側端部から熱を加えることができるので、シールド部材に対する加熱処理を簡単に行うことができる。
【0023】
第6の態様によると、第2保護部により低級音対策を行いつつ、電線の保護性能が向上する。
【0024】
第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、第1,第2保護部により電線保護を行いつつ、シールド部材によりワイヤーハーネスの少なくとも一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、第2保護部により低級音対策を行うことができる。また、電線とシールド部材との間に第1保護部を介在させたので、シールド部材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制できる。さらに、電線を、第1保護部とシールド部材と第2保護部とで囲繞することによって、上記ノイズ対策、低級音対策、電線保護を行うことができるため、低コスト化が可能となる。
【0025】
第8の態様によると、第1保護部の外周部のうちシールド部材に接する部分が硬化されるため、電線の保護性能が向上する。
【0026】
第9の態様によると、第2保護部により低級音対策を行いつつ、電線の保護性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1に係るワイヤーハーネスを示す概略斜視図である。
【図2】同上のワイヤーハーネスを示す平面図である。
【図3】同上の積層体を示す概略斜視図である。
【図4】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す平面図である。
【図5】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す側面図である。
【図6】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す他の例の平面図である。
【図7】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す他の例の側面図である。
【図8】実施形態2に係るワイヤーハーネスを示す概略斜視図である。
【図9】同上のワイヤーハーネスを示す平面図である。
【図10】同上のワイヤーハーネスを製造するためのホットプレス用成形型の例を示す概略斜視図である。
【図11】同上のホットプレス用成形型を用いたワイヤーハーネスの製造工程を示す説明図である。
【図12】同上のホットプレス用成形型を用いたワイヤーハーネスの製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
{実施形態1}
<ワイヤーハーネスの構成>
以下、実施形態1に係るワイヤーハーネス1について説明する。図1は、ワイヤーハーネス1を示す概略斜視図であり、図2は、ワイヤーハーネス1を示す平面図であり、図3は、ワイヤーハーネス1を構成する積層体8を示す概略斜視図である。
【0029】
ワイヤーハーネス1は、電線2と、電線2の一部を保護し且つ電磁的に遮蔽する保護部3とを備える。電線2としては、車両等において各種電気機器間を相互接続するワイヤーハーネス1を構成するものが想定される。もっとも、保護部3による保護対象は、複数の電線2を束ねた電線束であってもよいし、1本の電線2であってもよい。
【0030】
保護部3は、第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6とを有し、不織布4a(不織部材)と、シールド材5aと、不織布6a(不織部材)とを積層した積層体8が電線2に巻かれることで形成されている。つまり、第1保護部4は不織布4aにより形成され、シールド部材5はシールド材5aにより形成され、第2保護部6は不織布6aにより形成されている。
【0031】
シールド材5aは、銅などの導熱性の高い金属箔により形成されている。このため、加工性に優れるだけでなく、ワイヤーハーネス1の製造コストを抑制できる。尚、シールド材5aは、銅などの導熱性の高い金属網により形成されてもよく、この場合、積層体8を製造する際及び積層体8を電線2に巻く際などにおいてシールド材5aの横ズレを抑制できる。
【0032】
第1保護部4は、電線2の長手方向に延伸しつつ電線2の一部を囲繞している。シールド部材5は、第1保護部4を囲繞しており、第1保護部4を介して電線2の一部を囲繞している。シールド部材5は、ドレイン線(図示省略)と電気的に接続させることでシールド効果を発揮して、電線2の一部を電磁的に遮蔽する。第2保護部6は、シールド部材5を囲繞している。尚、第1保護部4は電線2の全部を囲繞し、且つ、シールド部材5は電線2の全部を電磁的に遮蔽してもよい。
【0033】
不織布としては、加熱工程を経ることにより硬くなることが可能な不織布を用いることができる。かかる不織布として、絡み合う基本繊維と接着樹脂(バインダとも呼ばれる)とを含むものを用いることができる。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点(例えば、110℃〜115℃)を有する樹脂である。そして、不織布を、基本繊維の融点よりも低くかつ接着樹脂の融点よりも高い加工温度に加熱することで、接着樹脂が溶融して基本繊維間に染み込む。この後、不織布が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化する。これより、不織布が加熱前の状態よりも硬くなり、加熱時の成形形状に維持されるようになる。
【0034】
接着樹脂は、粒状であっても繊維状であってもよい。芯繊維の外周に接着樹脂層を形成してバインダ繊維を構成し、これを基本繊維と絡み合わせるようにしてもよい。この場合の芯繊維としては、上記基本繊維と同材料のものを用いることができる。
【0035】
上記基本繊維としては、接着樹脂の融点で繊維状態を保ち得ればよく、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、接着樹脂としては、基本繊維の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。基本繊維と接着樹脂の組み合わせとしては、基本繊維をPET(ポリエチレンテレフタレート)の樹脂繊維とし、接着樹脂をPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂とした例が挙げられる。この場合、基本繊維の融点はおよそ250℃であり、接着樹脂の融点は110℃〜150℃である。このため、不織布を110℃〜250℃の温度に加熱すると、接着樹脂が溶融し、溶融せずに繊維状を保つ基本繊維間に染み込む。そして、不織布が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化し、不織布は硬くなって加熱時の成形形状を維持する。また、不織布同士の接触部分に溶融した接着樹脂が染み込むと、その接着樹脂によって不織布同士が接合される。
【0036】
シールド部材5への加熱により、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分は、電線2を囲繞する形状(ここでは、筒形状)を維持できる程度の硬さに硬化されている。この硬化状態で、シールド部材5及び電線2は、曲げ変形可能な程度の柔軟性を有していてもよい。これにより、ワイヤーハーネス1を車両に対して変形させつつ配索することができる。また、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分は、電線2を所定の経路に沿った形状(直線形状、又は、所定の曲げ形状)に維持できる程度の硬さに硬化されていてもよい。硬化の程度は、加熱温度等を変更することで、調整することができる。尚、シールド部材5を加熱せずに、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分が未硬化状態であってもよい。
【0037】
シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部が、第1,第2保護部4,6の巻き方向における始端部及び終端部よりも露出している。シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を第2保護部6の外周面に沿って折り曲げてから、シールド部材5の折り曲げ部分を含む周辺領域に絶縁処理用のビニールテープ7が貼り付けられている。
【0038】
以上のように構成されたワイヤーハーネス1によると、第1保護部4及び第2保護部6により電線2の保護を行いつつ、シールド部材5によりワイヤーハーネス1の一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、第2保護部6により低級音対策を行うことができる。また、電線2とシールド部材5との間に第1保護部4を介在させたので、シールド部材5によって電線2の外周面に傷がつくのを抑制できる。さらに、電線2を、第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6とで囲繞することによって、上記ノイズ対策、低級音対策、電線保護を行うことができるため、低コスト化が可能となる。電線2に積層体8を巻くことで保護部3が形成されるため、電線2に対して第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6とをそれぞれ正確な位置に取付けることができ、ワイヤーハーネス1の品質が向上する。
【0039】
ワイヤーハーネス1は、電線2と積層体8とで構成され、少ない部品点数で製造できるため、部品管理がしやすくなり製造コストを抑制できる。また、保護部3は、第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6の三層構造で形成され、ワイヤーハーネス1の外装の厚みを抑えることができるため、ワイヤーハーネス1を狭い場所にも使用可能である。さらに、第1保護部4の外周部のうちシールド部材5に接する部分は硬化されたため、電線2の保護性能が向上する。特に、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を、電線2を所定の経路に沿った形状に維持できる程度の硬さに硬化することで、経路規制を行うことができる。
【0040】
<ワイヤーハーネスの製造方法>
ワイヤーハーネス1の製造方法に係る実施形態について説明する。
【0041】
ワイヤーハーネス1は、不織布4aと、シールド材5aと、不織布6aとを積層して積層体8を製造する工程(a)と、電線2に対して積層体8を巻くことにより、電線2の長手方向に延伸しつつ電線2の一部を囲繞する第1保護部4と、第1保護部4を囲繞し且つ電線2の一部を電磁的に遮蔽するシールド部材5と、シールド部材5を囲繞する第2保護部6とを形成する工程(b)と、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を加熱により硬化させる工程(c)とを備える製造方法により製造することができる。
【0042】
ワイヤーハーネス1の製造方法を説明する。電線2を所定の配線ラインに沿って布線する。図3に示すように、不織布4aと不織布6aとの間にシールド材5aを挟み込んで積層体8が製造される。シールド材5aと不織布4a及び不織布6aとは接着剤により接着されているとよい。接着剤の塗布は、例えば、シールド材5aの両面に接着剤を塗布することにより行うことができる。尚、シールド材5aは、接着剤により固定されなくてもよい。
【0043】
次に、積層体8により電線2の一部を囲繞する。具体的には、図4、図5に示すように、電線2に対して積層体8を一巻きさせて、積層体8の巻き方向における始端部及び終端部の内周側が対向する位置に合わせる。この状態で、第1,第2保護部4,6の巻き方向における始端部及び終端部が除去される。これにより、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部が、第1,第2保護部4,6の巻き方向における始端部及び終端部よりも露出する。
【0044】
シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を介して通電することにより、シールド部材5を発熱させ、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を基本繊維の融点よりも低く、且つ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱する。加熱された部分を冷却すると、かかる部分が硬化される。冷却後、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を第2保護部6の外周面に沿って折り曲げてから、シールド部材5の折り曲げ部分を含む周辺領域にビニールテープ7を貼り付けて絶縁処理を行う。露出したシールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部から熱を加えることができるので、シールド部材5に対する加熱処理を簡単に行うことができる。
【0045】
尚、第1,第2保護部4,6のうち少なくとも一方の始端部及び終端部が除去されればよく、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部が、第1,第2保護部4,6のうち除去した方の始端部及び終端部よりも露出していればよい。
【0046】
また、図6、図7に示すように、電線2に対して、積層体8を一巻きさせて、積層体8の巻き方向における始端部に終端部が重なる位置に合わせて、この状態で、第1,第2保護部4,6の長手方向の両側端部が除去されてもよい。これにより、シールド部材5の長手方向の両側端部が第1,第2保護部4,6の長手方向の両側端部よりも露出する。
【0047】
シールド部材5の長手方向の両側端部を介して通電することにより、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を基本繊維の融点よりも低く、且つ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱する。冷却後、シールド部材5における露出部分を巻き方向に沿って折り曲げてから、シールド部材5の折り曲げ部分を含む周辺領域にビニールテープ7を貼り付けて絶縁処理を行う。露出したシールド部材5の長手方向の両側端部から熱を加えることができるので、シールド部材5に対する加熱処理を簡単に行うことができる。尚、電線2に対して、積層体8を2回以上巻いてから、第1,第2保護部4,6の両側端部が除去されてもよい。
【0048】
{実施形態2}
<ワイヤーハーネスの構成>
実施形態2に係るワイヤーハーネス11について説明する。図8は、ワイヤーハーネス11を示す概略斜視図であり、図9は、ワイヤーハーネス11を示す平面図である。尚、本実施形態2の説明において、前記実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
ワイヤーハーネス11は、電線2と、電線2の一部を保護し且つ電磁的に遮蔽する保護部12とを備える。保護部12は、電線2の延在方向に対して略直交する面において、断面円形状に形成されている。保護部12は、シールド部材5を加熱し、且つ、第2保護部6をホットプレス(加熱及び加圧)することにより形成されている。
【0050】
尚、保護部12の断面形状は、円形状に限られるものではなく、矩形状、あるいはその他の多角形状(三角形状、六角形状)であってもよい。また、電線2の延在方向に沿って異なる断面形状であってもよい。
【0051】
ホットプレスとは、加工対象物である不織布を金型間に挟み込み、加熱状態で金型に圧を加えて不織布を成型加工することをいう。第2保護部6へのホットプレスにより、第2保護部6の外周部が、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化されている。ここで、前記第2保護部6の外周部が、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかいとは、例えば、比較対象部分が露出していると想定し、当該比較対象部分に他の硬質な部材が接触したときに、第2保護部6の外周部がより音が発生しにくい状態をいう。保護部12を形成するのに適した加熱及びホットプレスのより具体的な例については後述する。
【0052】
以上のように構成されたワイヤーハーネス11によると、第2保護部6へのホットプレスにより、第2保護部6の外周部は、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化されている。これにより、第2保護部6が他の部材と接触したときに、より音が発生しにくくなり、第2保護部6により低級音対策を行うことができるうえ、電線2の保護性能の向上を図ることができる。また、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接して硬化された部分によっても、電線2の保護を図ることができる。特に、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を、電線2を所定の経路に沿った形状に維持できる程度の硬さに硬化すると、第2保護部6の外周部を上記のようになるべく軟らかくして低級音対策を図りつつ、経路規制を行うことができる。
【0053】
<ワイヤーハーネスの製造方法>
ワイヤーハーネス11の製造方法に係る実施形態について説明する。
【0054】
ワイヤーハーネス11は、実施形態1の工程(a)〜(c)と、第2保護部6へのホットプレス(加熱及び加圧)により、第2保護部6の外周部を、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させる工程(d)とを備える製造方法により製造することができる。
【0055】
図10は、保護部12を製造するためのホットプレス用成形型20の例を示す概略斜視図である。尚、ホットプレス用成形型20の形状は、製造する保護部12の形状に応じて決定されるものであり、図10には、図8と図9に例示する形状の保護部12を製造するのに用いられるホットプレス用成形型20が示されている。
【0056】
ホットプレス用成形型20は、下型21と、上型24とを有している。下型21は、熱伝導性に優れた金属等により形成された長尺部材であり、その一主面(上面)に下型面22が形成されている。下型面22は、概略的には、上方及び両端部に開口する断面円形状の溝23を有している。溝23の延在方向の長さは、電線2における保護対象部分(電線2における保護部12で覆うべき部分)の長さと略同一に形成されている。
【0057】
上型24は、熱伝導性に優れた金属等により形成された長尺部材であり、その一主面(下面)に上型面25が形成されている。上型面25は、下型面22と同形状を有しており、下型面22に対して近接対向配置されることにより、上型面25と下型面22との間で、保護部12が形成される。
【0058】
下型21及び上型24には、加熱装置としてのヒータ26(図11参照)が設けられている。ヒータ26は、下型面22及び上型面25を、基本繊維の融点よりも低く、且つ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱するものである。ここで、ヒータ26の加熱温度は、実施形態1におけるシールド部材5に対する加熱温度よりも低い温度に設定されている。ヒータ26は、例えば、下型21及び上型24内に埋設されたものであってもよいし、下型21及び上型24の外面に熱伝達可能な形態で取付けられたものであってもよい。
【0059】
ホットプレス用成形型20を用いたワイヤーハーネス11の製造方法を説明する。実施形態1の場合と同様に、電線2を所定の配線ラインに沿って布線した後、積層体8を電線2に巻くことで保護部3を形成する。次に、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を介して通電することで、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分が加熱され、加熱された部分を冷却すると、かかる部分が硬化される。
【0060】
図11に示すように、下型21の下型面22上に、電線2と冷却後の保護部3が配設される。具体的には、電線2における保護部3で囲繞された部分が、下型面22の溝23の延在方向に沿って載置される。
【0061】
次に、図12に示すように、下型21と上型24をヒータ26により加熱した状態で、下型21と上型24を近接移動させると、第2保護部6の外周面が加熱される。ヒータ26の加熱温度は、前記シールド部材5に対する加熱温度よりも低い温度に設定されており、第2保護部6の外周部が、加熱によって硬化された第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化される。尚、第2保護部6の外周部を、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させるために、ヒータ26の加熱温度と、ヒータ26の加熱時間と、下型21と上型24との間に作用させる圧のうちの少なくとも1つの値を小さくすればよい。
【0062】
この後、下型21と上型24が離間移動され、両者からワイヤーハーネス11を取り出すと、保護部12が形成される。ホットプレス後の冷却は、下型21と上型24との間に存在する状態で行われてもよいし、それらの間から取り外した状態で行われてもよい。尚、曲げられた溝を有する金型を用い、ホットプレスの際に、第1保護部及び第2保護部を、ワイヤーハーネス11を配設する経路に応じて曲げてもよい。
【0063】
また、シールド部材5を通電するための装置を下型21又は上型24に設け、下型21に上型24を嵌合させた状態で、シールド部材5への通電と第2保護部6への加熱を連続的に行ってもよい。この場合、下型21に上型24を嵌合させた状態でシールド部材5を通電することで、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分が加熱される。そして、加熱された部分を冷却するために、所定時間そのままの状態にしておく。冷却後、ヒータ26により第2保護部6を加熱する。
【0064】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0065】
1,11 ワイヤーハーネス
2 電線
4 第1保護部
4a,6a 不織布
5 シールド部材
5a シールド材
6 第2保護部
8 積層体
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線保護とノイズ対策と低級音対策を実現可能なワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低電圧系回路の複数の電線と、高電圧系回路の複数の電線と、の間の沿面距離を確保することによって、リーク電流やアーク電流の発生を防止できるワイヤーハーネスが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、熱可塑性材料により構成された2枚の被覆体の間にフラット回路体を挟み込むとともに、2枚の被覆体を加熱及び圧縮することによって、プロテクタを形成する技術も、従来より知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
さらに、アンテナ線からのノイズ干渉を防止する為に、例えば、編組状とされた細い導線又は金属箔等で被覆付き導線の周囲を覆ったシールド電線が、ワイヤーハーネスの電線として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355839号公報
【特許文献2】特開2003−197038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通常の電線に代えてシールド電線を採用し、これを特許文献2のように2枚の被覆体の間に挟み込むと、ワイヤーハーネスの価格が上昇する。また、電線保護と低級音対策に関する要請も増加している。そこで、電線の一部に対してノイズ対策を行うと共に電線保護と低級音対策を行おうとすると、電線の一部をシールド材で囲繞した後、シールド材を不織布により形成される保護部で囲繞してから加熱及び加圧することによって、シールド材により電線の一部を電磁的に遮蔽すると共に、保護部により電線の一部とシールド材を保護する構造が考えられる。
【0007】
この場合、シールド材として金属箔や金属網が採用されるため、電線にシールド材を密着させた状態で加圧すると、電線の外周面に傷がつく虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、低コストで、電線の一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、電線保護と低級音対策を行うことができ、且つ、シールド材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネスは、電線と、不織部材によって形成され、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、前記第1保護部を囲繞し、前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、不織部材によって形成され、前記シールド部材を囲繞する第2保護部とを備える。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分が加熱により硬化された。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記不織部材とシールド材と前記不織部材とを積層した積層体が構成され、前記電線に対して前記積層体が巻かれることで、前記第1保護部と前記シールド部材と前記第2保護部が形成された。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記積層体の巻き方向における始端部及び終端部の内周側が対向し、前記シールド部材の巻き方向における始端部及び終端部が、前記第1,第2保護部のうち少なくとも一方よりも露出している。
【0013】
第5の態様は、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記シールド部材の長手方向の両側端部が前記第1,第2保護部よりも露出している。
【0014】
第6の態様は、第1の態様〜第5の態様のいずれか1つに係るワイヤーハーネスであって、前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部が、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化された。
【0015】
第7の態様は、ワイヤーハーネスの製造方法であって、(a)不織部材と、シールド材と、不織部材とを積層して積層体を製造する工程と、(b)電線に対して前記積層体を巻くことにより、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、前記第1保護部を囲繞し且つ前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、前記シールド部材を囲繞する第2保護部とを形成する工程とを備える。
【0016】
第8の態様は、第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、(c)前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分を加熱により硬化させる工程を備える。
【0017】
第9の態様は、第8の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法であって、(d)前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部を、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させる工程を備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の態様に係るワイヤーハーネスによると、第1,第2保護部により電線保護を行いつつ、シールド部材によりワイヤーハーネスの少なくとも一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、第2保護部により低級音対策を行うことができる。また、電線とシールド部材との間に第1保護部を介在させたので、シールド部材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制できる。さらに、電線を、第1保護部とシールド部材と第2保護部とで囲繞することによって、上記ノイズ対策、低級音対策、電線保護を行うことができるため、低コスト化が可能となる。
【0019】
第2の態様によると、第1保護部の外周部のうちシールド部材に接する部分が硬化されるため、電線の保護性能が向上する。
【0020】
第3の態様によると、電線に対して第1保護部とシールド部材と第2保護部とを正確な位置に取付けることができるので、ワイヤーハーネスの品質が向上する。
【0021】
第4の態様によると、シールド部材の巻き方向における始端部及び終端部から熱を加えることができるので、シールド部材に対する加熱処理を簡単に行うことができる。
【0022】
第5の態様によると、シールド部材の長手方向の両側端部から熱を加えることができるので、シールド部材に対する加熱処理を簡単に行うことができる。
【0023】
第6の態様によると、第2保護部により低級音対策を行いつつ、電線の保護性能が向上する。
【0024】
第7の態様に係るワイヤーハーネスの製造方法によると、第1,第2保護部により電線保護を行いつつ、シールド部材によりワイヤーハーネスの少なくとも一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、第2保護部により低級音対策を行うことができる。また、電線とシールド部材との間に第1保護部を介在させたので、シールド部材によって電線の外周面に傷がつくのを抑制できる。さらに、電線を、第1保護部とシールド部材と第2保護部とで囲繞することによって、上記ノイズ対策、低級音対策、電線保護を行うことができるため、低コスト化が可能となる。
【0025】
第8の態様によると、第1保護部の外周部のうちシールド部材に接する部分が硬化されるため、電線の保護性能が向上する。
【0026】
第9の態様によると、第2保護部により低級音対策を行いつつ、電線の保護性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1に係るワイヤーハーネスを示す概略斜視図である。
【図2】同上のワイヤーハーネスを示す平面図である。
【図3】同上の積層体を示す概略斜視図である。
【図4】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す平面図である。
【図5】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す側面図である。
【図6】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す他の例の平面図である。
【図7】同上の電線に積層体を巻いた状態を示す他の例の側面図である。
【図8】実施形態2に係るワイヤーハーネスを示す概略斜視図である。
【図9】同上のワイヤーハーネスを示す平面図である。
【図10】同上のワイヤーハーネスを製造するためのホットプレス用成形型の例を示す概略斜視図である。
【図11】同上のホットプレス用成形型を用いたワイヤーハーネスの製造工程を示す説明図である。
【図12】同上のホットプレス用成形型を用いたワイヤーハーネスの製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
{実施形態1}
<ワイヤーハーネスの構成>
以下、実施形態1に係るワイヤーハーネス1について説明する。図1は、ワイヤーハーネス1を示す概略斜視図であり、図2は、ワイヤーハーネス1を示す平面図であり、図3は、ワイヤーハーネス1を構成する積層体8を示す概略斜視図である。
【0029】
ワイヤーハーネス1は、電線2と、電線2の一部を保護し且つ電磁的に遮蔽する保護部3とを備える。電線2としては、車両等において各種電気機器間を相互接続するワイヤーハーネス1を構成するものが想定される。もっとも、保護部3による保護対象は、複数の電線2を束ねた電線束であってもよいし、1本の電線2であってもよい。
【0030】
保護部3は、第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6とを有し、不織布4a(不織部材)と、シールド材5aと、不織布6a(不織部材)とを積層した積層体8が電線2に巻かれることで形成されている。つまり、第1保護部4は不織布4aにより形成され、シールド部材5はシールド材5aにより形成され、第2保護部6は不織布6aにより形成されている。
【0031】
シールド材5aは、銅などの導熱性の高い金属箔により形成されている。このため、加工性に優れるだけでなく、ワイヤーハーネス1の製造コストを抑制できる。尚、シールド材5aは、銅などの導熱性の高い金属網により形成されてもよく、この場合、積層体8を製造する際及び積層体8を電線2に巻く際などにおいてシールド材5aの横ズレを抑制できる。
【0032】
第1保護部4は、電線2の長手方向に延伸しつつ電線2の一部を囲繞している。シールド部材5は、第1保護部4を囲繞しており、第1保護部4を介して電線2の一部を囲繞している。シールド部材5は、ドレイン線(図示省略)と電気的に接続させることでシールド効果を発揮して、電線2の一部を電磁的に遮蔽する。第2保護部6は、シールド部材5を囲繞している。尚、第1保護部4は電線2の全部を囲繞し、且つ、シールド部材5は電線2の全部を電磁的に遮蔽してもよい。
【0033】
不織布としては、加熱工程を経ることにより硬くなることが可能な不織布を用いることができる。かかる不織布として、絡み合う基本繊維と接着樹脂(バインダとも呼ばれる)とを含むものを用いることができる。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点(例えば、110℃〜115℃)を有する樹脂である。そして、不織布を、基本繊維の融点よりも低くかつ接着樹脂の融点よりも高い加工温度に加熱することで、接着樹脂が溶融して基本繊維間に染み込む。この後、不織布が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化する。これより、不織布が加熱前の状態よりも硬くなり、加熱時の成形形状に維持されるようになる。
【0034】
接着樹脂は、粒状であっても繊維状であってもよい。芯繊維の外周に接着樹脂層を形成してバインダ繊維を構成し、これを基本繊維と絡み合わせるようにしてもよい。この場合の芯繊維としては、上記基本繊維と同材料のものを用いることができる。
【0035】
上記基本繊維としては、接着樹脂の融点で繊維状態を保ち得ればよく、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、接着樹脂としては、基本繊維の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。基本繊維と接着樹脂の組み合わせとしては、基本繊維をPET(ポリエチレンテレフタレート)の樹脂繊維とし、接着樹脂をPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂とした例が挙げられる。この場合、基本繊維の融点はおよそ250℃であり、接着樹脂の融点は110℃〜150℃である。このため、不織布を110℃〜250℃の温度に加熱すると、接着樹脂が溶融し、溶融せずに繊維状を保つ基本繊維間に染み込む。そして、不織布が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化し、不織布は硬くなって加熱時の成形形状を維持する。また、不織布同士の接触部分に溶融した接着樹脂が染み込むと、その接着樹脂によって不織布同士が接合される。
【0036】
シールド部材5への加熱により、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分は、電線2を囲繞する形状(ここでは、筒形状)を維持できる程度の硬さに硬化されている。この硬化状態で、シールド部材5及び電線2は、曲げ変形可能な程度の柔軟性を有していてもよい。これにより、ワイヤーハーネス1を車両に対して変形させつつ配索することができる。また、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分は、電線2を所定の経路に沿った形状(直線形状、又は、所定の曲げ形状)に維持できる程度の硬さに硬化されていてもよい。硬化の程度は、加熱温度等を変更することで、調整することができる。尚、シールド部材5を加熱せずに、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分が未硬化状態であってもよい。
【0037】
シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部が、第1,第2保護部4,6の巻き方向における始端部及び終端部よりも露出している。シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を第2保護部6の外周面に沿って折り曲げてから、シールド部材5の折り曲げ部分を含む周辺領域に絶縁処理用のビニールテープ7が貼り付けられている。
【0038】
以上のように構成されたワイヤーハーネス1によると、第1保護部4及び第2保護部6により電線2の保護を行いつつ、シールド部材5によりワイヤーハーネス1の一部に対してもノイズ対策を行うことができると共に、第2保護部6により低級音対策を行うことができる。また、電線2とシールド部材5との間に第1保護部4を介在させたので、シールド部材5によって電線2の外周面に傷がつくのを抑制できる。さらに、電線2を、第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6とで囲繞することによって、上記ノイズ対策、低級音対策、電線保護を行うことができるため、低コスト化が可能となる。電線2に積層体8を巻くことで保護部3が形成されるため、電線2に対して第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6とをそれぞれ正確な位置に取付けることができ、ワイヤーハーネス1の品質が向上する。
【0039】
ワイヤーハーネス1は、電線2と積層体8とで構成され、少ない部品点数で製造できるため、部品管理がしやすくなり製造コストを抑制できる。また、保護部3は、第1保護部4とシールド部材5と第2保護部6の三層構造で形成され、ワイヤーハーネス1の外装の厚みを抑えることができるため、ワイヤーハーネス1を狭い場所にも使用可能である。さらに、第1保護部4の外周部のうちシールド部材5に接する部分は硬化されたため、電線2の保護性能が向上する。特に、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を、電線2を所定の経路に沿った形状に維持できる程度の硬さに硬化することで、経路規制を行うことができる。
【0040】
<ワイヤーハーネスの製造方法>
ワイヤーハーネス1の製造方法に係る実施形態について説明する。
【0041】
ワイヤーハーネス1は、不織布4aと、シールド材5aと、不織布6aとを積層して積層体8を製造する工程(a)と、電線2に対して積層体8を巻くことにより、電線2の長手方向に延伸しつつ電線2の一部を囲繞する第1保護部4と、第1保護部4を囲繞し且つ電線2の一部を電磁的に遮蔽するシールド部材5と、シールド部材5を囲繞する第2保護部6とを形成する工程(b)と、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を加熱により硬化させる工程(c)とを備える製造方法により製造することができる。
【0042】
ワイヤーハーネス1の製造方法を説明する。電線2を所定の配線ラインに沿って布線する。図3に示すように、不織布4aと不織布6aとの間にシールド材5aを挟み込んで積層体8が製造される。シールド材5aと不織布4a及び不織布6aとは接着剤により接着されているとよい。接着剤の塗布は、例えば、シールド材5aの両面に接着剤を塗布することにより行うことができる。尚、シールド材5aは、接着剤により固定されなくてもよい。
【0043】
次に、積層体8により電線2の一部を囲繞する。具体的には、図4、図5に示すように、電線2に対して積層体8を一巻きさせて、積層体8の巻き方向における始端部及び終端部の内周側が対向する位置に合わせる。この状態で、第1,第2保護部4,6の巻き方向における始端部及び終端部が除去される。これにより、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部が、第1,第2保護部4,6の巻き方向における始端部及び終端部よりも露出する。
【0044】
シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を介して通電することにより、シールド部材5を発熱させ、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を基本繊維の融点よりも低く、且つ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱する。加熱された部分を冷却すると、かかる部分が硬化される。冷却後、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を第2保護部6の外周面に沿って折り曲げてから、シールド部材5の折り曲げ部分を含む周辺領域にビニールテープ7を貼り付けて絶縁処理を行う。露出したシールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部から熱を加えることができるので、シールド部材5に対する加熱処理を簡単に行うことができる。
【0045】
尚、第1,第2保護部4,6のうち少なくとも一方の始端部及び終端部が除去されればよく、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部が、第1,第2保護部4,6のうち除去した方の始端部及び終端部よりも露出していればよい。
【0046】
また、図6、図7に示すように、電線2に対して、積層体8を一巻きさせて、積層体8の巻き方向における始端部に終端部が重なる位置に合わせて、この状態で、第1,第2保護部4,6の長手方向の両側端部が除去されてもよい。これにより、シールド部材5の長手方向の両側端部が第1,第2保護部4,6の長手方向の両側端部よりも露出する。
【0047】
シールド部材5の長手方向の両側端部を介して通電することにより、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を基本繊維の融点よりも低く、且つ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱する。冷却後、シールド部材5における露出部分を巻き方向に沿って折り曲げてから、シールド部材5の折り曲げ部分を含む周辺領域にビニールテープ7を貼り付けて絶縁処理を行う。露出したシールド部材5の長手方向の両側端部から熱を加えることができるので、シールド部材5に対する加熱処理を簡単に行うことができる。尚、電線2に対して、積層体8を2回以上巻いてから、第1,第2保護部4,6の両側端部が除去されてもよい。
【0048】
{実施形態2}
<ワイヤーハーネスの構成>
実施形態2に係るワイヤーハーネス11について説明する。図8は、ワイヤーハーネス11を示す概略斜視図であり、図9は、ワイヤーハーネス11を示す平面図である。尚、本実施形態2の説明において、前記実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
ワイヤーハーネス11は、電線2と、電線2の一部を保護し且つ電磁的に遮蔽する保護部12とを備える。保護部12は、電線2の延在方向に対して略直交する面において、断面円形状に形成されている。保護部12は、シールド部材5を加熱し、且つ、第2保護部6をホットプレス(加熱及び加圧)することにより形成されている。
【0050】
尚、保護部12の断面形状は、円形状に限られるものではなく、矩形状、あるいはその他の多角形状(三角形状、六角形状)であってもよい。また、電線2の延在方向に沿って異なる断面形状であってもよい。
【0051】
ホットプレスとは、加工対象物である不織布を金型間に挟み込み、加熱状態で金型に圧を加えて不織布を成型加工することをいう。第2保護部6へのホットプレスにより、第2保護部6の外周部が、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化されている。ここで、前記第2保護部6の外周部が、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかいとは、例えば、比較対象部分が露出していると想定し、当該比較対象部分に他の硬質な部材が接触したときに、第2保護部6の外周部がより音が発生しにくい状態をいう。保護部12を形成するのに適した加熱及びホットプレスのより具体的な例については後述する。
【0052】
以上のように構成されたワイヤーハーネス11によると、第2保護部6へのホットプレスにより、第2保護部6の外周部は、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化されている。これにより、第2保護部6が他の部材と接触したときに、より音が発生しにくくなり、第2保護部6により低級音対策を行うことができるうえ、電線2の保護性能の向上を図ることができる。また、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接して硬化された部分によっても、電線2の保護を図ることができる。特に、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分を、電線2を所定の経路に沿った形状に維持できる程度の硬さに硬化すると、第2保護部6の外周部を上記のようになるべく軟らかくして低級音対策を図りつつ、経路規制を行うことができる。
【0053】
<ワイヤーハーネスの製造方法>
ワイヤーハーネス11の製造方法に係る実施形態について説明する。
【0054】
ワイヤーハーネス11は、実施形態1の工程(a)〜(c)と、第2保護部6へのホットプレス(加熱及び加圧)により、第2保護部6の外周部を、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させる工程(d)とを備える製造方法により製造することができる。
【0055】
図10は、保護部12を製造するためのホットプレス用成形型20の例を示す概略斜視図である。尚、ホットプレス用成形型20の形状は、製造する保護部12の形状に応じて決定されるものであり、図10には、図8と図9に例示する形状の保護部12を製造するのに用いられるホットプレス用成形型20が示されている。
【0056】
ホットプレス用成形型20は、下型21と、上型24とを有している。下型21は、熱伝導性に優れた金属等により形成された長尺部材であり、その一主面(上面)に下型面22が形成されている。下型面22は、概略的には、上方及び両端部に開口する断面円形状の溝23を有している。溝23の延在方向の長さは、電線2における保護対象部分(電線2における保護部12で覆うべき部分)の長さと略同一に形成されている。
【0057】
上型24は、熱伝導性に優れた金属等により形成された長尺部材であり、その一主面(下面)に上型面25が形成されている。上型面25は、下型面22と同形状を有しており、下型面22に対して近接対向配置されることにより、上型面25と下型面22との間で、保護部12が形成される。
【0058】
下型21及び上型24には、加熱装置としてのヒータ26(図11参照)が設けられている。ヒータ26は、下型面22及び上型面25を、基本繊維の融点よりも低く、且つ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱するものである。ここで、ヒータ26の加熱温度は、実施形態1におけるシールド部材5に対する加熱温度よりも低い温度に設定されている。ヒータ26は、例えば、下型21及び上型24内に埋設されたものであってもよいし、下型21及び上型24の外面に熱伝達可能な形態で取付けられたものであってもよい。
【0059】
ホットプレス用成形型20を用いたワイヤーハーネス11の製造方法を説明する。実施形態1の場合と同様に、電線2を所定の配線ラインに沿って布線した後、積層体8を電線2に巻くことで保護部3を形成する。次に、シールド部材5の巻き方向における始端部及び終端部を介して通電することで、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分が加熱され、加熱された部分を冷却すると、かかる部分が硬化される。
【0060】
図11に示すように、下型21の下型面22上に、電線2と冷却後の保護部3が配設される。具体的には、電線2における保護部3で囲繞された部分が、下型面22の溝23の延在方向に沿って載置される。
【0061】
次に、図12に示すように、下型21と上型24をヒータ26により加熱した状態で、下型21と上型24を近接移動させると、第2保護部6の外周面が加熱される。ヒータ26の加熱温度は、前記シールド部材5に対する加熱温度よりも低い温度に設定されており、第2保護部6の外周部が、加熱によって硬化された第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化される。尚、第2保護部6の外周部を、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させるために、ヒータ26の加熱温度と、ヒータ26の加熱時間と、下型21と上型24との間に作用させる圧のうちの少なくとも1つの値を小さくすればよい。
【0062】
この後、下型21と上型24が離間移動され、両者からワイヤーハーネス11を取り出すと、保護部12が形成される。ホットプレス後の冷却は、下型21と上型24との間に存在する状態で行われてもよいし、それらの間から取り外した状態で行われてもよい。尚、曲げられた溝を有する金型を用い、ホットプレスの際に、第1保護部及び第2保護部を、ワイヤーハーネス11を配設する経路に応じて曲げてもよい。
【0063】
また、シールド部材5を通電するための装置を下型21又は上型24に設け、下型21に上型24を嵌合させた状態で、シールド部材5への通電と第2保護部6への加熱を連続的に行ってもよい。この場合、下型21に上型24を嵌合させた状態でシールド部材5を通電することで、第1保護部4の外周部及び第2保護部6の内周部のうちシールド部材5に接する部分が加熱される。そして、加熱された部分を冷却するために、所定時間そのままの状態にしておく。冷却後、ヒータ26により第2保護部6を加熱する。
【0064】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0065】
1,11 ワイヤーハーネス
2 電線
4 第1保護部
4a,6a 不織布
5 シールド部材
5a シールド材
6 第2保護部
8 積層体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
不織部材によって形成され、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、
前記第1保護部を囲繞し、前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、
不織部材によって形成され、前記シールド部材を囲繞する第2保護部と、
を備えるワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1記載のワイヤーハーネスであって、
前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分が加熱により硬化された、ワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のワイヤーハーネスであって、
前記不織部材とシールド材と前記不織部材とを積層した積層体が構成され、
前記電線に対して前記積層体が巻かれることで、前記第1保護部と前記シールド部材と前記第2保護部が形成された、ワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項3記載のワイヤーハーネスであって、
前記積層体の巻き方向における始端部及び終端部の内周側が対向し、前記シールド部材の巻き方向における始端部及び終端部が、前記第1,第2保護部のうち少なくとも一方よりも露出している、ワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項3記載のワイヤーハーネスであって、
前記シールド部材の長手方向の両側端部が前記第1,第2保護部よりも露出している、ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のワイヤーハーネスであって、
前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部が、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化された、ワイヤーハーネス。
【請求項7】
ワイヤーハーネスの製造方法であって、
(a)不織部材と、シールド材と、不織部材とを積層して積層体を製造する工程と、
(b)電線に対して前記積層体を巻くことにより、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、前記第1保護部を囲繞し且つ前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、前記シールド部材を囲繞する第2保護部とを形成する工程と、
を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
(c)前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分を加熱により硬化させる工程、を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
(d)前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部を、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させる工程、を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項1】
電線と、
不織部材によって形成され、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、
前記第1保護部を囲繞し、前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、
不織部材によって形成され、前記シールド部材を囲繞する第2保護部と、
を備えるワイヤーハーネス。
【請求項2】
請求項1記載のワイヤーハーネスであって、
前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分が加熱により硬化された、ワイヤーハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のワイヤーハーネスであって、
前記不織部材とシールド材と前記不織部材とを積層した積層体が構成され、
前記電線に対して前記積層体が巻かれることで、前記第1保護部と前記シールド部材と前記第2保護部が形成された、ワイヤーハーネス。
【請求項4】
請求項3記載のワイヤーハーネスであって、
前記積層体の巻き方向における始端部及び終端部の内周側が対向し、前記シールド部材の巻き方向における始端部及び終端部が、前記第1,第2保護部のうち少なくとも一方よりも露出している、ワイヤーハーネス。
【請求項5】
請求項3記載のワイヤーハーネスであって、
前記シールド部材の長手方向の両側端部が前記第1,第2保護部よりも露出している、ワイヤーハーネス。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のワイヤーハーネスであって、
前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部が、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化された、ワイヤーハーネス。
【請求項7】
ワイヤーハーネスの製造方法であって、
(a)不織部材と、シールド材と、不織部材とを積層して積層体を製造する工程と、
(b)電線に対して前記積層体を巻くことにより、前記電線の長手方向に延伸しつつ前記電線の少なくとも一部を囲繞する第1保護部と、前記第1保護部を囲繞し且つ前記電線の少なくとも一部を電磁的に遮蔽するシールド部材と、前記シールド部材を囲繞する第2保護部とを形成する工程と、
を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
(c)前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分を加熱により硬化させる工程、を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載のワイヤーハーネスの製造方法であって、
(d)前記第2保護部への加熱により、前記第2保護部の外周部を、前記第1保護部の外周部及び前記第2保護部の内周部のうち前記シールド部材に接する部分よりも軟らかい状態で硬化させる工程、を備えるワイヤーハーネスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−58438(P2013−58438A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197104(P2011−197104)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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