説明

ワクチンのためのマーカー抗原として、およびAmphigenと共同的なアジュバントしてのrmLTの使用

本発明は、動物の所有者または動物性食品の生産者が、難なく動物がワクチン接種された状態を確立できる方法を提供する。より具体的には、本発明は、免疫原でワクチン接種された動物を同定する方法であって、免疫原および大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンの実質的に非毒性な変異体の組換え体(rmLT)を含むワクチン組成物を作り;動物対象にワクチン組成物を投与し;そして、免疫原での動物の以前のワクチン接種の指標として、rmLTに対する特異的な抗体または免疫細胞の動物内での存在を検出することによる、前記方法を提供する。本発明は、免疫原および実質的に非毒性なrmLTを含むワクチン組成物でワクチン接種されたか否かを同定する方法であって、動物が、免疫原での動物の以前のワクチン接種の指標として、rmLTに特異的な抗体または免疫原の動物内での存在を検出することによる、前記方法を提供する。さらに、本発明は、ワクチン組成物をマークするまたは同定する方法であって、ワクチン組成物に実質的に非毒性なrmLTを含ませ、そのようなワクチン組成物を投与された動物内の抗体または免疫細胞の存在の検出することによる、前記方法を提供する。そのうえ、本発明は、ワクチン組成物において免疫原の免疫防御的効果を増進する方法であって、ワクチン組成物に実質的に非毒性なrmLTを含むことによる、前記方法を提供する。免疫原、実質的に非毒性なrmLTおよびAMPHIGEN(アンフィゲン)(登録商標)のような水中油型乳剤アジュバントを含有するワクチン組成物も、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクチンのためのマーカー抗原として、大腸菌の熱不安定なエンテロトキシンの、実質的に非毒性な変異体の使用に関する。本発明は、さらに大腸菌の熱不安定なエンテロトキシンの非毒性な変異体、および免疫原の免疫防御的効果を増進するために、ワクチンにアジュバントとしてのアンフィゲン(AMPHIGEN)(登録商標)の使用に関する。免疫原、実質的に非毒性なrmLT、およびアジュバント(アンフィゲン(登録商標)のような)を含むワクチンの組成物も、本発明により提供される。
【背景技術】
【0002】
微生物が原因となる感染からウシやブタなどの有用な動物を守るため、多くのワクチンが、近年開発され販売されている。しかしながら、動物のワクチン接種歴は、常に動物の付属文書に記録されるとは限られない。免疫原への動物特異的な抗体の存在の検出は、動物が、製品ラベルの指示、規定された指針または指令書、および取扱説明書に従ってワクチン接種されたか否かを同定することにしばし決定的ではない。それゆえに、そこには動物のワクチン摂取状況を同定するため方法を開発する必要性が存在する。
【0003】
腸管毒素産生大腸菌株は、エンテロトキシンの産生を通じて下痢および腸の障害を引き起こす。これらの毒素は2種類あり、そのうちの1つは100℃での処理で生き残るので、熱耐性毒素(ST)と言われている。二つ目の毒素は熱に不安定(LT)で、コレラ毒素に非常に類似する。LTは1つのAサブユニットと、5つの同一のBサブユニットからなる。Aサブユニットは毒素の生物学的および酵素的な活性に重要であるが、その標的受容体に単独では結合できない。Bサブユニットは腸上皮細胞に結合しすることで作用し、それによりAサブユニットの侵入を促進する。Aサブユニットは細胞膜に侵入し、GTP結合タンパクのNAD依存的ADPリボース化によるアデニル酸シクラーゼの活性化を引き起こす。この作用の臨床的効果は、腸内への大量の液体の分泌を引き起こす。
【0004】
LTのバクテリア染色体型は、Pickett C.L.らにより同定され配列が決められた(J. Bacteriol. 169, 5180−5187, (1987))。努力により、腸管毒素原性バクテリアに対して防御的免疫応答の誘導ができる無毒化したLT毒素の開発がされた。Harfordら(Eur. J. Biochem. 183: 311, 1989)は、ブタの病原性LTのAサブユニットにおける、Ser−61−Phe置換、およびGly−79−Lys置換を含有する、トキソイドの産生を記載した。Tsujiら(J. Biol. Chem. 265: 22520, 1990)は、毒性に影響を及ぼすが、タンパク質の免疫原性が変化しない、Glu−112−Lysの単一置換をAサブユニット中に含有する変異体LTを記載する。Clements の米国特許6,019,982は、Aサブユニット中に、Arg−192−Gly、単一置換を含有する、実質的に非毒性な変異体LTを記載する。Clementsに対する米国特許6,033,673は、Aサブユニットの、Arg−192−Glyの置換、およびLeu−211−Alaの置換を含有する、実質的に非毒性な変異体LTを記載する。Domenighiniらに対する米国特許6,149,919においては、Arg−7、Asp−9、Arg−11、His−44、Arg−54、Ser−61、His−70、His−107、Glu−110、Glu−112、Ser−114、Trp−127、Arg−146、またはArg−192の1つまたはそれより多くの置換を含有する、無毒化された、免疫原性のある変異体LTタンパクを記載する。
【0005】
免疫原であることに加えて、LTはアジュバント活性を持つことも報告された。Tumuraらの米国特許5,182,109号は、鼻腔内に投与されたLTは、共に投与した抗原に対する抗体の力価を増強したことを記載する。Clementsらは、また無関係な抗原と経口的に投与した時の、LTのアジュバント活性も実証した(Vaccine 6: 269−277, 1988; Abstract No. B91, 88th Ann. Meet. Am. Soc. Microbiol., 1988)。米国特許6,019,982および米国特許6,033,673はいずれも、無関係な抗原と経口的に投与したとき、実質的には非毒性であるが野生型LTのアジュバント活性を保持する、変異体LTタンパク質を記載する。
【0006】
本発明以前は、ワクチンのマーカー抗原として、またはアンフィゲン(登録商標)のような水中油型乳剤と共同的なアジュバントとしての、実質的に非毒性な変異体LTの使用の報告はされていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
1つの態様において、本発明は、免疫原でワクチン接種された動物を同定する方法であって、免疫原および大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンの実質的に非毒性な変異体の組換え体(rmLT)を含むワクチン組成物を形成し;動物対象へワクチン組成物を投与し;そして、免疫原での以前の動物のワクチン接種の指標として、rmLTに対する特異的な抗体または免疫細胞の動物内での存在を検出する工程を含む前記方法を提供する。
【0008】
もう1つの態様において、本発明は、動物が免疫原および実質的に非毒性なrmLTの組換え体を含むワクチン組成物でワクチン接種されたか否かを同定する方法であって、そのワクチン組成物での以前の動物のワクチン接種の指標として、rmLTに対する特異的な抗体または免疫細胞の動物内での存在の検出することによる、前記方法を提供する。
【0009】
さらにもう1つの態様において、本発明は、免疫原を含有するワクチン組成物をマークするまたは同定するための方法であって、ワクチン組成物にマーカー抗原として実質的に非毒性なrmLTを含み、そして、次いでワクチン組成物でワクチン接種された動物におけるrmLT特異的な抗体または免疫細胞の存在を検出することによる、前記方法を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、ワクチン組成物にアジュバントとして実質的に非毒性なrmLTを含むことにより、ワクチン組成物中の免疫原の免疫防御的効果を増強する方法を提供する。好ましくは、ワクチン組成物は、アンフィゲン(登録商標)などの水中油型乳剤のアジュバントを含む。
【0011】
免疫原、実質的に非毒性なrmLT、およびアンフィゲン(登録商標)などのアジュバントを含むワクチン組成物も、また、本発明によって提供される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、動物の所有者または動物性食品生産者が、容易に動物のワクチン接種された状態を確立し、動物が製品ラベルの指示、規定された指針または指令書、および取扱説明書に従ってワクチン接種されたか否かを同定することができる方法を提供する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、免疫原でワクチン接種された動物を同定する方法を提供する。そのような方法は、免疫原および大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンの実質的に無毒な変異体の組換え体(rmLT)を含むワクチン組成物を提供し;動物対象へのワクチン組成物の投与し;そして、免疫原での動物の以前のワクチン接種の指標として、rmLTに対して特異的な抗体または免疫細胞の動物内での存在を検出する、工程を含む。
【0014】
もう1つの態様において、本発明は、動物が免疫原および実質的に無毒なrmLTの変異体を含むワクチン組成物でワクチン接種されたか否かを同定する方法を提供する。その同定は、そのワクチン組成物での動物の以前のワクチン接種の指標として、rmLTに対して特異的な抗体または免疫細胞の動物内での存在の検出に基づく。
【0015】
さらにもう1つの態様において、本発明は、免疫原を含有するワクチン組成物をマークするまたは同定するための方法であって、ワクチン組成物にマーカー抗原として実質的に非毒性なrmLTを含ませ、そして、次いでワクチン組成物でワクチン接種された動物におけるrmLT特異的な抗体または免疫細胞の存在を検出することによる、前記方法を提供する。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、ワクチン組成物にアジュバントとして実質的に非毒性なrmLTを含むことにより、ワクチン組成物の免疫原の免疫防御的効果を増強する方法を提供する。好ましくは、ワクチン組成物は、またアンフィゲン(登録商標)などの水中油型乳剤のアジュバントを含む。
【0017】
免疫原、実質的に非毒性なrmLT、およびアンフィゲン(登録商標)などのアジュバントを含むワクチン組成物もまた、本発明によって提供される。
明瞭な開示のために、限定の手段ではないが、発明の詳細な説明は、発明の特定の特徴、態様、または応用を記載しまたは説明する、続くサブセクションに分割する。
【0018】
定義および略称
本明細書で使用される「動物」および「動物対象」の用語は、ウシ、ヒツジ、ブタ、および鳥類などの食用動物を含む、すべての非ヒト動物を言う。
【0019】
本明細書で使用される「ウシ」の用語は、非限定的に去勢牛(steer)、雄牛(bulls)、雌牛(cows)および仔牛(calves)を含む、ウシ属動物を言う。
本明細書で使用される「LT」の用語は、大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンを言う。LTは、1つのAサブユニットと5つの同一のBサブユニットからなる。Bサブユニットは、腸上皮細胞への結合し、それによりAサブユニットの侵入を促進する。Aサブユニットは、細胞膜に侵入し、そしてGTP結合タンパクのNAD依存的ADPリボース化によるアデニル酸シクラーゼの活性化を引き起こす。AおよびBサブユニットは、LT遺伝子にコードされ、LT遺伝子中でBサブユニットをコードする部分は、Aサブユニットをコードする部分に近接し、そして下流にあたる。
【0020】
「野生型LT」の用語は、自然に発生する毒性の大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンを言う。ある動物種に対して病原性があり、そしてその動物種から単離された大腸菌により作らた野生型LTは、他の動物種に病原性があり、そしてその他の種の動物から単離された大腸菌により作られた、他の野生型のLTとアミノ酸配列でわずかに異なる場合がある。Domenighiniらの米国特許6,149,919を参照されたい。
【0021】
「mLT」の用語は、自然発生したLTの変異体型で、一般に遺伝子工学により作製されたものを言う。
「rmLT」の用語は、自然発生したLTの組換えにより作製された変異体型を言う。
【0022】
rmLTに関連して使われる「実質的に非毒性」の用語は、野生型のものと比べて実質的により低い毒性を意味する。「実質的に低い」によっては、rmLTは、野生型LTに比べて2%以下、望ましくは1%、さらに望ましく0.1%の毒性を持つことを意味する。毒性は、Y1細胞または野生型LTの影響を受けやすい他の細胞種および細胞株の誘導された形態変化の評価で測定されることが可能である。Y1細胞は、LTを含む溶液で処理すると顕著に丸くなる副腎腫瘍上皮細胞である(Yasamureら Cancer res. 26: 529−535, 1966)。あるいは、毒性は、Clementsへの米国特許6,019,982に記載されるように、実験マウスにおいてrmLTにより誘導される体液分泌を評価することにより評定することもできる。
【0023】
「ワクチン組成物のマークするまたは同定する」は、ワクチン組成物が、成分として実質的に非毒性のrmLTを有することにより同定可能にでき、結果としてそのワクチン組成物を投与された動物は、血清中におけるその動物のrmLTに特異的な抗体または免疫細胞の存在の検出することにより、同定されることが可能であることを意味する。
【0024】
本明細書で使用される「免疫細胞」の用語は、免疫応答の開始および指揮に関与する動物の免疫系の細胞を言い、特にT細胞およびB細胞を含む。
抗体または免疫細胞と関連して使われる「rmLTに特異的」の用語は、rmLTまたはrmLTの一部もしくは断片を認識し反応するが、ワクチン組成物の無関係な抗原もしくは免疫原、またはそのような免疫原もしくは無関係な抗原の一部は認識し反応しない、抗体および免疫細胞を意味する。
【0025】
タンパク質またはポリペプチドと関連して使われる「一部」および「断片」の用語は、少なくとも7または8アミノ酸の長さのポリペプチド配列を言う。
本明細書で使用される「免疫原」の語は、動物における免疫原性のLTまたはrmLTに無関係の抗原または組成物のいずれかを言う。
【0026】
免疫原または組成物に関連して使われる「免疫原性」の用語は、動物における免疫原および組成物(または組成物の成分)への免疫応答を引き起こす、免疫原または組成物の能力を意味する。免疫応答は、主として細胞障害性T細胞により仲介される細胞性免疫応答、または主としてヘルパーT細胞を仲介し、次にそのヘルパーT細胞がB細胞を活性化して抗体産生に至る体液性免疫応答であってよい。
【0027】
「免疫原の免疫防御的効果の増強する」は、免疫原により誘導される防御的免疫応答が大きさにおいて(たとえば、抗体産生の増加)、持続時間において(たとえば、検出できる抗体が存在する総時間)、または種類において(たとえば、新たな抗体のアイソタイプまたはサブタイプの産生)のいずれかで増進されることを意味する。免疫原により誘導される免疫応答における増強は、当業者により難なく同定される。
【0028】
rmLTの調製
本発明の方法およびワクチン組成物の使用に適したrmLTは、実質的に非毒性、すなわち野生型LTと比較して実質的に低い毒性を示すが、野生型LTの免疫学的特性(免疫原性およびアジュバント活性など)を保持したものを含む。実質的により低い毒性とは、ワクチン組成物に使用されるrmLTが下痢などの重大な副作用を招くことなく、十分に低いものであるべきである。「実質的により低い」は、rmLTが野生型LTの2%、または好ましくは1%、またはさらに好ましくは0.1%以下の毒性を有することを意味する。
【0029】
変異体LT(mLT)は、野生型LT遺伝子配列中に1つまたはそれより多くのヌクレオチド変化を導入することで作製され、その結果AまたはBサブユニットのアミノ酸の1つまたはそれより多くの置換、欠失、フレームシフト変異体、または切断が生じる。野生型LTの配列が当該技術分野で知られている。たとえば、Domenighiniらの米国特許6,149,919を参照されたい。ランダムな突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発のいずれかによる、遺伝子配列のヌクレオチド変化を導入する方法もまた、当該技術分野でよく知られており、Sambrookら(2001)Molecular Cloning:A Labolatory Manual,第3版 Cold Spring Horbor Labolatory Press:ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、に一般的に記載されている。
【0030】
好ましくは、変異体Aサブユニットを作製するために、1つまたはそれより多くのヌクレオチド変化が、Aサブユニットをコードする配列に導入される。本発明において、Aサブユニットの好ましい変異体型は以下のアミノ酸部位に1つまたはそれより多くの置換を含む:Arg−7、Asp−9、Arg−11、His−44、Arg−54、Ser−61、His−70、His−107、Glu−110、Glu−112、Ser−114、Trp−127、Arg−146、およびArg−192。アミノ酸部位は、Domenighiniらの米国特許6,149,919に開示されるAサブユニット、LT1−1A、のアミノ酸配列に基づいて数えられる。とりわけ好ましい変異体Aサブユニットは、Clementsの米国特許6,019,982に記載されるように、たとえばArg−192−Glyなどの、Arg−192の置換を含む。もう1つの好ましい変異型AサブユニットはArg−192の置換、並びにたとえばLeu−211などのもう1つのアミノ酸部位の置換を含む。そのような二重の変異体の例は、Clementsの米国特許6,033,673に記載されているような、R192G−L221Aである。
【0031】
望ましい変異体を含有するLT遺伝子配列は、大腸菌株のような適切な宿主細胞において変異体LTの組換え発現をできるベクターに置かれる。高レベルの発現を達成するために、強力なプロモーターが、LT遺伝子の天然のプロモーターの代わりに使用可能である。たとえば、米国特許6,019,982は、天然のLTプロモーターの制御下で野生型LTを発現する組換えプラスミド、pDF82、およびlacプロモーター下でrmLT R192Gを発現する組換えプラスミド、pBD95(ATCC寄託番号69683)を記載する。産生された組換え変異体タンパク質は、次いで任意の周知な精製手順を使用して精製可能である。
【0032】
rmLTの非毒性は、たとえばClementsの米国特許6,019,982に記載されているように、そのY1細胞の形態変化の誘導を欠くこと、またはその実験マウスの最終的な液体分泌の誘導を欠くことにより立証可能である。
【0033】
マーカー抗原としてのrmLTの使用
1つの態様において、本発明は、免疫原でワクチン接種された動物を同定する方法であって、免疫原および実質的に非毒性なrmLTの両方を含むワクチン組成物を提供し;動物対象にワクチン組成物を投与し;そして、免疫原でワクチン接種された動物の指標として、動物においてrmLTに特異的な抗体および免疫細胞の存在を検出する方法を提供することによる、前記方法を提供する。
【0034】
もう1つの態様において、本発明は、動物が免疫原および実質的に非毒性なrmLTを含有するワクチン組成物でワクチン接種されたか否かを同定する方法であって、ワクチン組成物でワクチン接種された動物の指標として、動物においてrmLT特異的な抗体または免疫細胞の存在を検出することによる、前記方法を提供する。
【0035】
さらにもう1つの態様において、本発明は、免疫原を含有するワクチン組成物をマークするまたは同定するための方法であって、マーカー抗原としてワクチン組成物に実質的に非毒性なrmLTを含むことによって、そして次いでワクチン組成物を投与された動物におけるrmLT特異的な抗原または免疫細胞の存在を検出することによる、前記方法を提供する。
【0036】
本発明の使用に適切な免疫原は、以下のものから調製された抗原を含む;マイコプラズマ ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumonia)、ヘモフィルス ソムナス(Haemophilus somnus)、ヘモフィルス パラスイス(Haemophilus parasuis)、ボルデテラ ブロンチセプティカ(Bordetella bronchiseptica)、アクチノバチルス プレウロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumonie)、パスツレラ ムルトシーダ(Pasteurella multocida)、マンヘミア ヘモリティカ(Manheimia hemolytica)、マイコプラズマ ボビス(Mycoplasma bovis)、マイコプラズマ ガラナシウム(Mycoplasma galanacieum)、マイコバクテリウム ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム パラツベルクロシス(Mycobacterium paratuberculosis)、クロストリジウム属の種(Clostridial spp.)、ストレプトコッカス ウベリス(Streptococcus uberis)、ストレプトコッカス スイス(Streptococcus suis)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、エリシペロトリックス ルソパトイエ(Erysipelothrix rhusopathiae)、カンピロバクター属の種(Campylobactor spp.)、フソバクテリウム ネクロフィラム(Fusobacterium necrophorum)、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、サルモネラ エンテリカ セロバルス(Salmonella enterica serovars)、レプトスピラ属の種(Leptospira spp.)などの病原性バクテリア;カンジダ(Candida)などの菌類;クロプトスポリジウム パルバム(Cryptosporidium parvum)、ネオスポラ カニウム(Neospora canium)、トキソプラズマ ゴンデイ(Toxoplasma gondii)、アイメリア属の種(Eimeria spp.)などの原生動物;オステルタジア属(Ostertagia)、クーペリア属(Cooperia)、捻転胃虫属(Haemonchus)、ファスキオラ属(Fasciola)の蠕虫、の不活性化された全体もしくは一部の細胞調製液の形で、または遺伝子組換え技術もしくは化学合成により得られる抗原性の分子の形のいずれかのもの。さらなる免疫原は、ウシヘルペスウイルス−1,3,6、ウシウイルス性下痢ウイルスタイプ1および2、ウシパラインフルエンザウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシ白血病ウイルス、牛疫ウイルス、脚および口疾患ウイルス、狂犬病ウイルス、豚疫ウイルス、アフリカ豚疫ウイルス、ブタパルボウイルス、PRRSウイルス、ブタサーコウイルス、インフルエンザウイルス、ブタ水疱性疾患ウイルス、テクネ熱ウイルス(Techen fever virus)、偽性狂犬病ウイルス、の不活性化された全体もしくは一部のウイルス調製液の形で、または遺伝子組換え技術もしくは化学合成により得られる抗原性分子の形のいずれか、などの病原性ウイルスを含む。
【0037】
好ましい免疫原はマイコプラズマ ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)(あるいはM.hyo)免疫原であり、即ち動物において抗原に対する免疫反応を誘導できる、M.hyoから調製された抗原である。
【0038】
本発明で使用可能であるM.hyo免疫原は、たとえば不活性化された全体もしくは一部のM.hyo調製液、1つもしくはそれより多くのM.hyo由来ポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの免疫原性断片、または1つもしくはそれより多くのM.hyo由来ポリペプチドをコードする1つもしくはそれより多くのM.hyo核酸、またはその免疫原性断片を含んでもよく、ここで核酸は動物内のin vivoで発現することができる。
【0039】
本発明の方法の使用に好ましいM.hyo免疫原は、M.hyoバクテリンである。
M.hyoバクテリンは、M.hyo分離株から調製できる。多くのM.hyo分離株が当業者に知られており、たとえばAmerican Type Culture Collection、10801 University Boulevard、ヴァージニア州マナッサス 20110−2209 から入手できる。これらはたとえば:ATTC NO.25095、25617、25934、27714、および27715を含む。M.hyo分離株は、また知られた技術を使用して自然にまたは実験的に肺病変に感染した動物(たとえば、ブタ)から直接入手可能である。M.hyoバクテリンを入手するために、M.hyo分離株の細胞は、たとえば米国特許5,565,205に記載の二元エチレンイミン(binary ethyleneimine)(BEI)、あるいはホルマリン、熱、ベータプロプリオラクトン(BPL)、照射またはグルタルアルデヒドのような多くの知られた方法を使用して不活性化可能である。
【0040】
本発明の方法に免疫原としての使用に適したM.hyoバクテリンは、また多くの商業的ソースを通じて入手可能である。そのようなソースは、限定されないが、RESPIFEND(Fort Dodge、American Home Products)、HYORESP(Merial Ltd)、M+PAC(Schering Plough)、PROSYSTEM M(Intervet)、INGLEVAC M(Boehringer)、RESPISURE(登録商標)(Pfizer Inc.)、RESPISURE ONETM、STELLAMUNETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)、およびSTELLAMUNE ONETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)を含む。
【0041】
本発明の方法の使用に好ましいM.hyoバクテリンのソースは、RESPISURE(登録商標)(Pfizer Inc.)、RESPISURE ONETM(Pfizer Inc.)、STELLAMUNETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)、およびSTELLAMUNE ONETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)である。
【0042】
本発明の方法の使用に特に好ましいM.hyoバクテリンのソースは、好ましくはBEI処理により不活性化された、Purdue University、米国、から入手された、P−5722−3(NL1 042)株を含有するRESPISURE ONETM (Pfizer Inc.)である。
【0043】
本発明に本方法の使用に適したM.hyo免疫原はまた、限定はされないが、P46,P65,P97,P102,P70,P50およびP44などのM.hyoポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの免疫原性断片を含む。好ましくは、M.hyoポリペプチドの免疫原性断片は、少なくとも7または8、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも50アミノ酸の連続した部分のポリペプチドを含む。
【0044】
あるいは、M.hyo免疫原は、限定はされないが、P46,P65,P97,P102,P70,P50およびP44などのM.hyoポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの免疫原性断片をコードする核酸分子を含む。
【0045】
本発明において、免疫原およびrmLTマーカー抗原は、ワクチン組成物を作るために獣医学的に許容できる担体と組み合わされる。「獣医学的に許容できる担体」の用語は、溶媒、分散媒、コート剤、アジュバント、安定剤、希釈剤、保存料、抗菌および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などのいずれかおよびすべてを含む。希釈剤は、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールおよび同種のものを含んでよい。等張剤は、特に塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含んでもよい。安定剤は、特にアルブミンを含む。
【0046】
本発明における使用に適したアジュバントは、限定されないが、RIBIアジュバントシステム(Ribi Inc.)、ミョウバン、水酸化アルミニウムゲル、コレステロール、アンフィゲン(登録商標)(Hydronics,米国)などの水中油型乳剤;たとえばフロイント完全および不完全アジュバントなどの油中水型乳剤;ブロック共ポリマー(CytRx、ジョージア州アトランタ);SAF−M(Chiron、カリフォルニア州エメリービル);たとえばQuil A、QS−21(Cambridge Biotech Inc.,マサチューセッツ州ケンブリッジ)、GPI−0100(Galenica Pharmaceuticals,Inc.,アラバマ州バーミンガム)または他のサポニン画分のようなサポニン;モノホスホイノシチド脂質A;アブリディン(Avridine)脂質アミンアジュバント;コレラ毒素;またはムラミールジペプチドなど、を含む。
【0047】
本発明のワクチン組成物の使用に好ましいアジュバントは、水中油型乳剤、特にアンフィゲン(登録商標)(Hydronics,米国)である。
免疫原、rmLTマーカー抗原および獣医学的に許容できる担体は、たとえば混合、溶解、懸濁、乳化、カプセル化、吸収などによって、ワクチン組成物を作るための簡便で実用的ないずれかの方法で組み合わせることが可能であり、注射、移植、吸入、摂取などに適した錠剤、カプセル、粉末、シロップや、懸濁剤のような処方に製造可能である。適切な場合、本発明の製薬の組成物はよく知られた手順で無菌的に製造されるべきである。
【0048】
ワクチン組成物のrmLTの量は、免疫するのに効果的にすべきであり、一般的に投与量あたり1−500μgの幅で、好ましくは投与量あたり20−200μgの幅で、そしてより好ましくは投与量あたりおよそ100μgにすべきである。
【0049】
ワクチン組成物の免疫原の量は、動物において防御的免疫反応を誘導するのに効果的にすべきであり、免疫原の性質に依存する。一般的に言えば、免疫原として効果的なM.hyoバクテリンの量は、投与量当たりおよそ1x10からおよそ5x1010の呈色変化単位(CCU)、好ましくはおよそ5x10から5x1010CCU/投与量を含有する。M.hyoポリペプチドまたは免疫原として効果的なそのようなポリペプチドの免疫原性断片の量は、一般的に投与量当たりおよそ0.01μgからおよそ200μgの範囲内にしてもよい。M.hyoポリペプチドまたは免疫原として効果的なそのようなポリペプチドの免疫原性断片をコードする核酸分子の量は、一般的に投与量当たりおよそ0.01μgからおよそ200μgの範囲内にしてもよい。
【0050】
本発明において、ワクチン組成物は、経口、鼻腔内、粘膜局所、経皮、および非経口(たとえば、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、または筋内)を含むよく知られた経路によって動物に投与可能である。投与は、また針のない運搬システムを使用して実現してもよい。投与は、たとえば非経口の経路を使用した第一投与、およびそれに続く粘膜経路を使用した投与のような、経路の組み合わせを使用して実現してもよい。投与の好ましい経路は筋内投与である。
【0051】
動物におけるrmLTに特異的な抗体または免疫細胞の存在を同定するために、試料がその動物から採取される。特異的抗体を検出するために使用可能な試料は、動物の血液、血液の血清画分、ミルク、胆汁および他の体液を含む。あるいは、屠殺された動物からの肉汁も使用可能である。特異的な免疫細胞、特にTリンパ球を検出するために使用可能な試料は、血液、リンパ節、脾臓または全身中のその他のリンパ組織を含む。
【0052】
LTのAサブユニット抗原またはLTを産生する大腸菌株は、普通の家畜管理において、食物連鎖ではなく、ワクチンまたは薬剤としては至らず、それに対する抗体や免疫細胞が動物において自然に作られないことは留意すべきである。従って、好ましい態様において、本方法の検出段階は、LTのAサブユニット特異的な抗体または免疫細胞の検出を含む。
【0053】
特異的な抗体の検出は、DIPSTICK、ELISA(酵素結合免疫吸着剤アッセイ)、EIA(酵素免疫アッセイ)、RIA(放射性免疫アッセイ)、ウエスタンブロット解析、免疫組織学染色などの、酵素免疫学的または免疫化学的検出方法を使用することによって実行可能である。使用したアッセイに依存して、抗原または抗体は、酵素、蛍光体または放射性同位元素によりラベルしてもよい。たとえば、Coliganら Current Protocols in immunology、John Wiley and Sons Inc., ニューヨーク州ニューヨーク(1994);およびFryeら Oncogen 4:1153−1157、1987を参照されたい。好ましくは、検出はDIPSTICKを使用して実行され、ここで標識された抗原は試験スティック上に固定され、当該スティックを屠殺された動物から自然に放出された肉汁などの動物からの体液の試料中に浸ける。
【0054】
抗体の検出において使用可能な抗原は、野生型もしくは変異体LTのAサブユニットもしくはBサブユニット、または野生型もしくは変異体LTのAサブユニットもしくはBサブユニットの抗原性断片であってよい。抗原性断片は一般的に、少なくとも7または8アミノ酸のAまたはBサブユニットの連続断片を含む。
【0055】
本発明によると、LTのAサブユニット抗原に対する抗体の検出に使用の好ましい抗原は、LTのAサブユニットのペプチド断片を含む。より好ましくは、検出に使用される抗原は、配列番号1−9のいずれか1つに示したような配列を有する。2またはそれより多くの抗原の組み合わせは検出のために採用可能である。
【0056】
たとえばリンパ球のような特定の免疫細胞の検出は、全細胞アッセイ、細胞の活性化マーカー発現、遺伝子活性化マーカー発現、サイトカインおよびホルモンの放出、結合アッセイ(たとえば4量体)、遅延型過敏性(皮膚反応試験)、抗原特異的免疫細胞の同定のためのフローサイトメトリーの技術により実行可能である。
【0057】
アジュバントとしてのrmLTの使用
もう一つの態様において、本発明は、実質的に非毒性なrmLTをワクチン組成物に含むことにより、ワクチン組成物において免疫原の免疫防御的効果を増強する方法を提供する。
【0058】
本発明において、多様な免疫原の免疫防御的効果は、rmLTにより増進可能であり、そのような免疫原は以下から調製された抗原を含む;マイコプラズマ ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumonia)、ヘモフィルス ソムナス(Haemophilus somnus)、ヘモフィルス パラスイス(Haemophilus parasuis)、ボルデテラ ブロンチセプティカ(Bordetella bronchiseptica)、アクチノバチルス プレウロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumonie)、パスツレラ ムルトシーダ(Pasteurella multocida)、マンヘミア ヘモリティカ(Manheimia hemolytica)、マイコプラズマ ボビス(Mycoplasma bovis)、マイコプラズマ ガラナシウム(Mycoplasma galanacieum)、マイコバクテリウム ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム パラツベルクロシス(Mycobacterium paratuberculosis)、クロストリジウム属の種(Clostridial spp.)、ストレプトコッカス ウベリス(Streptococcus uberis)、ストレプトコッカス スイス(Streptococcus suis)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、エリシペロトリックス ルソパトイエ(Erysipelothrix rhusopathiae)、カンピロバクター属の種(Campylobactor spp.)、フソバクテリウム ネクロフィラム(Fusobacterium necrophorum)、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、サルモネラ エンテリカ セロバルス(Salmonella enterica serovars)、レプトスピラ属の種(Leptospira spp.)のような病原性バクテリア;カンジダ(Candida)などの菌類;クロプトスポリジウム パルバム(Cryptosporidium parvum)、ネオスポラ カニウム(Neospora canium)、トキソプラズマ ゴンデイ(Toxoplasma gondii)、アイメリア属の種(Eimeria spp.)などの原生動物;オステルタジア属(Ostertagia)、クーペリア属(Cooperia)、捻転胃虫属(Haemonchus)、ファスキオラ属(Fasciola)の蠕虫、の不活性化された全体もしくは一部の細胞調製液の形で、または遺伝子組換え技術もしくは化学合成により得られる抗原性の分子の形のいずれかのもの。さらなる免疫原は、ウシヘルペスウイルス−1,3,6、ウシウイルス性下痢ウイルスタイプ1および2、ウシパラインフルエンザウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシ白血病ウイルス、牛疫ウイルス、脚および口疾患ウイルス、狂犬病ウイルス、豚疫ウイルス、アフリカ豚疫ウイルス、ブタパルボウイルス、PRRSウイルス、ブタサーコウイルス、インフルエンザウイルス、ブタ水疱性疾患ウイルス、テクネ熱ウイルス(Techen fever virus)、偽性狂犬病ウイルス、の不活性化された全体もしくは一部のウイルス調製液の形で、または遺伝子組換え技術もしくは化学合成により得られる抗原性分子の形のいずれか、などの病原性ウイルスを含む。
【0059】
好ましい態様において、実質的に非毒性なrmLTは、M.hyo免疫原、即ち動物において抗原に対する免疫反応を誘導できるM.hyoから調製された抗原、の免疫防御的効果を増進するために使用される。そのようなM.hyo免疫原は、たとえば不活性化された全体または一部のM.hyo細胞調製液、1つもしくはそれより多くのM.hyo由来ポリペプチド、またはそのようなポリペプチドの免疫原性断片、または1つもしくはそれより多くのM.hyo由来ポリペプチドをコードする1つもしくはそれより多くのM.hyo核酸、またはその免疫原性断片、および動物においてin vivoで発現できる核酸を含んでもよい。
【0060】
さらに好ましい態様において、M.hyo免疫原は、本明細書で以上に記載したように入手可能なM.hyoバクテリンで、たとえばRESPIFEND(Fort Dodge,American Home Products)、HYORESP(Merial Ltd)、M+PAC(Schering Plough)、PROSYSTEM M(Intervet)、INGLEVEC M(Boehringer)、RESPISURE(登録商標)(Pfizer Inc.)、RESPISURE ONETM、STELLAMUNETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)、およびSTELLAMUNE ONETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)のような市販のものを含む。
【0061】
本発明の方法の使用に好ましいM.hyoバクテリンソースはRESPISURE(登録商標)(Pfizer Inc.)、RESPISURE ONETM(Pfizer Inc.)、STELLAMUNETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)、およびSTELLAMUNE ONETM Mycoplasma(Pfizer Inc.)である。
【0062】
本発明において、免疫原とrmLTは、ワクチン組成物を作るために獣医学的に許容できる担体と組み合わされる。適した獣医学的に許容できる担体は、本明細書で上述し、溶媒、分散媒、コート剤、アジュバント、安定剤、希釈剤、保存料、抗菌および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などのいずれかおよびすべてを含む。
【0063】
本発明のワクチン組成物の使用に適したアジュバントも、本明細書で上述した。好ましいアジュバントは、水中油型乳剤アジュバント、アンフィゲン(登録商標)(Hydronics,米国)である。
【0064】
免疫原、rmLT抗原および獣医学的に許容できる担体は、混合、溶解、懸濁、乳化、カプセル化、吸収などによって、ワクチン組成物を作るための簡便で実用的ないずれかの方法で組み合わせ可能であり、注射、移植、吸入、摂取などに適した錠剤、カプセル、粉末、シロップや、懸濁剤のような処方に製造可能である。
【0065】
ワクチン組成物のrmLTの量は、一般的に投与量あたり1−500μgの範囲内で;好ましくは投与量あたり20−200μgの範囲内で;より好ましくは投与量あたりおよそ100μgにすべきである。
【0066】
ワクチン組成物の免疫原の量は、動物において防御的免疫反応の誘導に効果的にすべきであり、免疫原の性質に依存する。一般的に言えば、免疫原として効果的なM.hyoバクテリンの量は、投与量当たりおよそ1x10からおよそ5x1010の呈色変化単位(CCU)、好ましくはおよそ5x10からおよそ5x1010CCU/投与量を含有する。M.hyoポリペプチドまたは免疫原として効果的なそのようなポリペプチドの免疫原性断片の量は、一般的に投与量当たりおよそ0.01μgからおよそ200μgの範囲内であってよい。M.hyoポリペプチドまたは免疫原として効果的なそのようなポリペプチドの免疫原性断片をコードする核酸分子の量は、一般的に投与量当たりおよそ0.01μgからおよそ200μgの範囲内であってよい。
【0067】
本発明と合致して、ワクチン組成物は、本明細書で上述したような公知の経路により動物に投与可能である。投与に好ましい経路は、筋内投与である。
免疫原、大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンの実質的に無毒な変異体およびアンフィゲン(登録商標)(Hydronics,米国)などの水中油型乳剤アジュバントを含むワクチン組成物もまた、本発明で提供される。
【0068】
本発明は、以下の非限定的な例によりさらに説明される。
【実施例】
【0069】
実施例1
M.hyoバクテリンの調製
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ産生培養培地は、続く製法および手順に従って調製した:
クリスタルバイオレットなしのppLoブロス 81.00%±2%
塩酸システイン 0.01%±0.005%
酵母エキス 6.25%±0.2%
デキストロース(技術的または分析的グレード) 1.00%±0.2%
放射線照射、熱処理されたブタ血清 10.00%±1%
ppLoブロスのpHは7.0±0.4に調整され、そして0.2ミクロンフィルターを使用してフィルター滅菌した。酵母エキスおよびppLoブロスは、最小限の121℃で15から60分加熱滅菌され、そして60℃未満まで冷却させた。上述の他の成分は、滅菌添加物として加えた。
【0070】
抗原産生培養は、産生培地中にマイコプラズマ・ハイオニューモニエ細菌のストックの冷凍バイアルを溶かすことにより始めた。すべての培養物は37±2℃でインキュベートした。はじめの培養物の拡大はフラスコ中(1リットルまで)で実行し、そして次いでその後は、およそ7.0に調節されたpHおよび最高の25%の溶存酸素下で、発酵容器中で実行した。培養物はおよそ1800リットルまで拡大した。不活性化の前に、培養物を位相差顕微鏡下で特徴的な形態を検査し、そしてグラム染色した調製物でコンタミネーションの存在を検査した。
【0071】
培養物にはコンタミネーションがなく、そして呈色変化単位滴定により決定されたおよそ5x10CCU/mLの抗原濃度を生じた。増殖期間の終わりに、発酵槽中または保持容器中で培養物を不活性化した。培養物のpHは7.8±0.2まで上昇し、そしてこの範囲内で1時間、pHは維持された。この時に、2−ブロモエチルアミン臭化水素酸塩(BEA)のフィルター滅菌された水溶液を、およそ4.0mMの最終濃度で加えた。高められたpHの存在下で、BEAは使用する二元エチレンイミン(BEI)に化学変化する。培養物は37±2℃で、一定の振動で24時間、インキュベートした。24時間のインキュベーション後、過剰なBEIを中和するためにチオ硫酸ナトリウムのフィルター滅菌された水溶液をおよそ4mMの最終濃度で加えた。培養物は、一定の振動でさらに24時間、37±2℃でインキュベートした。
【0072】
不活性化された培養物は滅菌保存容器に移され、そして2−8℃で集合するまで保存した。
実施例2
rmLT抗原の調製
プラスミドpUK21は、rmLT R192Gの組換え体産生のために以下のように生成された。プラスミドpCS95はLT遺伝子の天然調節要素を含有し、そして大腸菌宿主でタンパク質rmLT R192Gを構成的に発現する。このプラスミドはpUCに基づいたベクター中に構築され、そのベクターはアンピシリン耐性マーカーを持つ。天然調節配列を含むrmLT遺伝子はpCS95プラスミドから切り出され、そしてもう一つのpUCに基づくカナマイシン耐性ベクター、pUK21、の中にクローニングし、コンストラクトpUK21/rmLTを生じた。プラスミドpUK21/rmLTは、American Type Culture Collection (ATCC)、10801 University Blvd., ヴァージニア州マナッサス 20110−2209に2003年9月18日に寄託され、そして寄託番号、ATCC#PTA−5546を割り当てられた。
【0073】
プラスミドpUK21/rmLTは、大腸菌宿主株JM83(遺伝子型Fφ80dlacZΔM15Δ(lac−proAB)ara rpsL)の中に形質転換した。2つのトリプトース大豆寒天プレートは、形質転換体(JM83/pUK21/rmLT)の密集的増殖のためにストリークし、そして37℃で18時間インキュベートした。1つのプレートは10mlのエバンス培地中に回収し、そしてこの回収物は滅菌された10リットル発酵容器に植菌するために使用した。エバンス培地は以下を含有する(リットル基準毎):
カザミノ酸−20gm
酵母エキス−6gm
NaCl−2.5gm
HPO−8.7gm
微量元素塩溶液−1ml
50%グルコース−10ml
微量元素塩溶液は、5% MgSO・7HO、0.5% MnCl・4HOおよび0.5% FeCL・6HO(すべて質量/体積)を含有した。培地はリットル毎に100μgの硫酸カナマイシンも含有した。発酵培養は37℃で18時間、穏やかなエアレーションで維持した。細胞集団は、ウエストファリア(Westfalia)遠心分離機を使用した遠心分離により除去された。アフィニティークロマトグラフィーによる精製の前に、濃縮液を0.2μmのデプスフィルターにより浄化した。粗製rmLT画分を精製し、そしてα−D−ガラクトース樹脂のアフィニティークロマトグラフィーにより効果的に濃縮した。TEAN溶出緩衝液(pH=7.5)は以下であった:
0.05M トリス
0.001M EDTA
0.003M アジ化ナトリウム
0.2M NaCl
溶出されたrmLTは、アザイドを除去するために、TEN緩衝液に対する10K A/G Tech hollow fiber filterでダイアフィルトレーション(diafiltration)をした。TEN緩衝液(pH=7.35)は以下であった:
0.05M トリス
0.001M EDTA
0.2M NaCl
ダイアフィルトレートは0.2μmフィルターを通じてろ過した。ラクトースを5%(質量/体積)まで加え、そして調製物を凍結乾燥した。ワクチン中に処方されるまで、凍結乾燥された原料は室温で保存された。
【0074】
実施例3
アジュバントの油層は、AMPHIGEN(登録商標)ベース(40%大豆レシチン、60%ミネラル油)、ドラケオール(Drakeol)(100%ミネラル油)、並びに2種の界面活性剤スパン80(Span80)およびトゥイーン80(Tween80)からなった。体積で25%のアンフィゲン(登録商標)と75%のドラケオールを用いて、AMPHIGEN(登録商標)ベースをドラケオールと混和した。体積で、これら2つの油はワクチンの最終体積の5±0.5%を含んでなった。Span80は最終連続体積の1.2±0.3%で加えた。Tween80は最終連続体積の2.8±0.3%で加えた。産物(乳化を経由)の水層を添加する前に、油層は2時間、37±2℃で混ぜたままにした。ワクチンの水層は、実施例1で調製された塊のM.ハイオニューモニエ抗原を含んだ。塊のM.ハイオニューモニエ抗原をPBSに加えた。油層への添加の前に、十分なrmLTタンパク質を水層に加え、ワクチンの用量毎に10,20または50μgの最終濃度になるようした。ワクチンの処方は:
rmLTあり/なしのPBS−83.75%
塊のM.ハイオニューモニエ抗原−11.25%
オイルアジュバント−5.00%
水性成分を暖かい油層に加え、そして高速混合により乳化した。
【0075】
実施例4
rmLT複合体のAサブユニットに対する血清抗体の検出は、ウエスタン免疫ブロットの手順により達成した。これは、AおよびBサブユニットに特異的なモノクローナル抗体の使用により促進した。サブユニットはポリアクリルアミドゲル電気泳動クロマトグラフィーにより分離した。30μgのrmLTは、10%ポリアクリルアミドビストリスSDSゲルの上に、適した分子量の単量体標準品と共にロードした。ゲルは、45分間150Vで電気泳動した。ゲルからニトロセルロース膜へのrmLTタンパク質の転写は、電気化学的勾配を使用して達成した。膜をすすぎ、そしてTBS中の5%無脂肪乾燥ミルクで2時間ブロッキングし、続いてもう1回すすいだ。試験される血清試料は5%無脂肪乾燥ミルク/TBSで1:800で希釈し、そして続いてバイオラッド@マルチスクリーン装置(Biorad@multi−screen apparatus)を使用して膜の上にロードし、そして穏やかな振動で一晩インキュベートした。311および30として同定された試料は、それぞれ正および負のコントロールとして使用された。次いで膜をすすぎ、そして抗ブタ−AP結合体は5%無脂肪乾燥ミルク/TBSで1:2000で希釈した。2時間のインキュベーション後、膜をすすぎ、そして発色団で発色し抗体により認識されたタンパク質の可視化をした。この場合、もしAサブユニットの抗体が血清試料中に存在したならば、バンドが染色として観察された。もし適切な発色の後にAサブユニットバンドが見えるならば、血清サンプルは陽性と考えられた。
【0076】
実施例5
M.ハイオニューモニエ抗原に対する抗体の検出は、慣用の間接ELISA試験を使用して達成した。抗原は界面活性剤(リン酸で緩衝された生理食塩水中のTween20)により洗浄されたM.ハイオニューモニエ細胞から抽出した。抽出された抗原は使用するまで−70℃で保存した。抗原は96ウェルプレート(Immunol2,Biotekなど)のウェルに加えた。試験の結果は、正のコントロール試料シグナルに対する未知の試験試料に由来するシグナルの比率として記録した。負の試験および希釈されたウェルも、このアッセイの負のコントロールとして使用した。
【0077】
実施例6
動物
およそ12から16日齢のM.ハイオニューモニエが原因の病歴または同じ生物に対するワクチン歴のない、外見上健康な50頭の交雑種のブタ(それぞれ10頭のブタの11群)は、クリスタル リーン 牧場(Crystal Lean Farms)、ミネソタ州ヴィラードより入手した。研究の開始の前に、動物に同一の連続数で2つ耳にタグを付けた。ファイザーバイオメトリクスおよびデータマネージメントにより提供されたランダムな処理割り振り計画に従って、ブタに処理と檻を割り振った。ブタを、ブロッキング因子として体重を使用して、任意抽出の完全ブロックデザインに従った処理群に任意抽出し、そして檻のなかでブロックにより飼育された。
【0078】
テレホート(Terre Haute)に到着時、ストレプトコッカス スイスなどのストレスに関係する感染を予防し、そしてヘモフィルス パラスイスの発生率を減らすために、ブタに標識の指示に従ってセフチオフルナトリウム(NaxcelTM)を3日間連続して腿の筋肉の筋肉内に処理した。研究の開始前に、ブタを最低5日間慣らした。ブタにはいずれか公知の汚染物または殺虫剤のない濃縮された薬用飼料を与え、そして水に自由にアクセスをさせた。チャレンジの前のおよそ2週間、ブタを濃縮された非薬用飼料に転換した。
【0079】
ワクチン接種
本研究で使用される実験ワクチンを下の表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
ブタがおよそ3週齢の時である0日目(右首の筋肉)に、およびブタがおよそ5週齢の時である14日目(左首の筋肉)に、動物を筋肉内の経路により2mlの適切なワクチンまたは偽薬で2回ワクチン接種した。
【0082】
血液サンプリング
−1または0、13または14、28、42、62または63および91日目に、血液試料(血清分離チューブ中のおよそ10mL)はすべてのブタから近位大静脈/頸静脈の刺し傷によって収集した。91日目に、深い麻酔を与えた後に、血液試料を腋窩血管から回収した。M.ハイオニューモニエおよびrmLT抗原への抗体活性が評価されるまで、それぞれの血液試料からの血清は、−20℃で保存された。
【0083】
攻撃
処理群06、07および08のブタを下に記載されているように攻撃した。
2回目のワクチン接種に続くおよそ7週目(63日目)に、ブタを経鼻投与の経路により攻撃した。3日間連続して、5mLのM.ハイオニューモニエ接種材料で、鼻孔毎には2.5mLで、ブタを経鼻で攻撃した。攻撃の前に、kg毎に4.4mgのキシラジン並びにkg毎に4.4mgのチレタミンおよびゾラゼパン(Telazol(登録商標)、Fort Dodge Laboratory Inc.; アイオワ州フォートダッジ)の筋肉内注射により、ブタを麻酔した。
【0084】
攻撃接種材料は、肺ホモジェネート中のM.ハイオニューモニエ懸濁液(M.ハイオニューモニエ株11の誘導体を含有する)であった。接種材料は滅菌フリス(Friis)マイコプラズマ培地で希釈し、1:50希釈を達成し、それはmL毎におよそ10呈色変化単位(CCU)を含有した。接種材料の攻撃に続いて、すべてのブタを毎日観察し、そしていくらかの異常を記録した。
【0085】
検視
攻撃後およそ4週目(91日目)、すべての残った動物を、致死のペントバルビタールナトリウム(3−10ml)の静脈注射で安楽死させ、そして両方の腋窩動脈を切断することにより放血した。中枢神経系を除くすべての主要器官を獣医師または有資格者により十分に検査し、そしてすべての検視所見を記録した。肺を除去し、そしてM.ハイオニューモニエ感染に起因する特徴的損傷を十分に評価した。損傷は標準な肺の図表上にスケッチした。
【0086】
血清学
血清学的力価データは、それぞれの時点でrmLTマーカーに対する抗体の正または負の検出に従って分類した。時点までのマーカーの正/負の状態の発生は処理により要約された。実験ワクチンのM.ハイオニューモニエ成分への血清学的反応は、試験の固相としてのTween20で抽出された抗原調製物を使用したELISAにより決定した。反応の指標が生み出され、それは周知の正のまたは負のコントロール血清と比べた抗体反応を示唆する。
【0087】
ウエスタンブロット解析
組換え体rmLTをSDS−PAGEに供し、そして電気泳動的にナイロン膜に転写した。ブロットは、これらの研究からの抗血清とともにモノクローナル抗体で探査し(probe)、AおよびB両方のサブユニット特異的な抗体活性の証拠を提供した。
【0088】
損傷のある全肺のパーセンテージ
それぞれの肺葉毎の全体関与のパーセントを要約し、そして次いで全肺質量に対する個々の肺葉の続く比率を使用して重さを量った:左頭方部 10%、左中間部 10%、左尾側部 25%、右頭方部 10%、右中間部 10%、右尾側部 25%、および副肺10%。次いで重さを量った肺葉の値を肺葉にわたって合計し、損傷のある全肺のパーセンテージを生じた。解析の前に、アークサイン平方根変換を損傷のある全肺のパーセンテージに適用した。損傷のある全肺のパーセンテージを、ブロックおよび処理の効果を含んだ混合線形モデル(mixed linear model)を使用して解析した。パラメーター推定の一次結合(モデルから得られる)は、偽薬(T08)およびワクチン接種の平均(T04−T07)の間の有意差(P≦0.05、片側検定)を試験した後に、事前対比(priori contrasts)において使用した。比較を処理群間で行った。5%レベルの有意(P≦0.05、片側検定)を使用して、統計学上の差異を評価した。逆の変換された(Back transformed)損傷のある全肺の平均パーセンテージを、アークサイン平方根(損傷のある全肺%)の最小二乗平均から計算した。
【0089】
【表2】

【0090】
結果
血清学的結果を図1および図2に表わした。処理群06および07のウエスタン免疫ブロットは図3に示した。これらのデータは、rmLTタンパク質はRESPISURE(登録商標)処方中で抗原性があり、そしてタンパク質のAサブユニットに対する抗体を恒常的に刺激することを示唆する。加えて、マイコプラズマ抗原に対する抗体反応は損なわれていない。
【0091】
肉眼で見える肺損傷のスコアを表2に要約した。これらの結果は、AMPHIGEN(登録商標)アジュバントと共のrmLTマーカータンパク質およびM.ハイオニューモニエ抗原の組み合わせは、相乗的で深い防御に帰着することを明確に示唆した。
【0092】
【表3】

【0093】
実施例7
ワクチン接種
マウス(12週齢のCF−1メス)を、0日目および14日目に0.2mlの実験ワクチンを皮下に2回ワクチン接種した。血清を21日目に回収した。本研究で使用した実験ワクチンを下の表3に示す。
【0094】
【表4】

【0095】
血清学
血清学的力価データは、21日目に回収された血清中のrmLTマーカーに対する抗体の正または負の検出に従って分類した。図4からわかるように、rmLTのAサブユニットに対する抗体の産生により、マウスはRESPISURE(登録商標)ワクチン処方中のrmLTにも反応する。
【0096】
実施例8
rmLTAサブユニットのエピトープを同定するために、ペプチド毎に5アミノ酸を重複した完全なrmLTのサブユニット配列をスキャンした一連のペプチド(15マー)を構築した。たとえば、ペプチド1はアミノ酸数1から15の連続配列であり;そしてペプチド2はアミノ酸数10から25の連続配列であった。このパターンを続け、rmLTの完全な一次配列をカバーした。ペプチドを樹脂のピンに共有的に結合した。切断できないピンを支持枠に固定し、96ウェル中へのピンの沈降を促進した。こうして、ピン上のそれぞれのペプチドは、ELIZAアッセイの固相となり、試験されたモノクローナル抗体の結合を評価した。ピンのセットを、ブタの免疫付与前および免疫付与後からの血清並びに選択したモノクローナル抗体に対して試験した。結果を図5A−5Cに示した。
【0097】
図5A−5Bに示すように、ペプチド9、12、15、27、31および37および50が、rmLT配列からのマーカーペプチドとして使用することができるエピトープであることを表す。これらのペプチドの配列は以下である:
9−MPRGHNEYFDRGTQM(配列番号1)
12−NINLYDHARGTQTGF(配列番号2)
15−VRYDDGYVSTSLSLR(配列番号3)
27−VSALGGIPYSQIYGW(配列番号4)
31−GVIDERLHRNREYRD(配列番号5)
36−GYRLAGFPPD(配列番号6)
37−PPDHQAWREE(配列番号7)
36/37ハイブリッド−GYRLAGFPPDHQAWREE(配列番号8)
50−YQSEVDIYNRIRNEL(配列番号9)
実施例9
173の研究からの結果
これは、Aサブユニットに対する正の血清学的反応を確認した、以上に例証されたはじめのブタの研究の反復である。図6および表4のデータは、rmLTマーカー抗原は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエからの肺炎の予防のためのRESPISURE(登録商標)の有効性または血清学的反応を干渉せず、そして平均肺損傷スコアがRESPISURE(登録商標)単独で観察されたものよりも低い追加のアジュバント効果を有することを実証した。
【0098】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1A】マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の血清学的結果。処理群4、5および6はrmLTマーカーを伴うワクチンを受けた。処理群1−3もマイコプラズマ・ハイオニューモニエのワクチンを受けた。
【図1B】マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の血清学的結果。処理群4、5および6はrmLTマーカーを伴うワクチンを受けた。処理群1−3もマイコプラズマ・ハイオニューモニエのワクチンを受けた。
【図2】処理群6および7よりの血清試料の応答を%で表したウエスタン・ブロット解析。
【図3A】図2の処理群6および7の実際のウェスタン・ブロット。
【図3B】図2の処理群6および7の実際のウェスタン・ブロット。
【図4】マウス血清のウェスタン・ブロット解析。
【図5A】ELISAによる、免疫付与前および後の血清またはモノクローナル抗体でのrmLTペプチドの反応性。
【図5B】ELISAによる、免疫付与前および後の血清またはモノクローナル抗体でのrmLTペプチドの反応性。
【図5C】ELISAによる、免疫付与前および後の血清またはモノクローナル抗体でのrmLTペプチドの反応性。
【図6】0または14日に異なったマイコプラズマ・ハイオニューモニエワクチンまたは偽薬でワクチン接種されたブタの平均rmLT S/P比。S/P比>0.364は陽性とみなされる。結果はT01、T02、T3およびT06のみを示す。
【配列表】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原でワクチン接種された動物を同定する方法であって、
a.前記免疫原、および実質的に非毒性な大腸菌の熱不安定性エンテロトキシンの変異体である組換え体(rmLT)を含むワクチン組成物を提供し;
b.動物対象に前記ワクチン組成物を投与し;そして
c.前記動物における前記rmLTに特異的な抗体または免疫細胞の存在を検出し、それにより前記ワクチン調製液でワクチン接種された前記動物を同定する
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
免疫原および実質的に非毒性なrmLTを含むワクチン組成物でワクチン接種された動物を同定する方法であって、前記動物において、前記rmLTに特異的な抗体または免疫細胞の存在の検出することを含む、前記方法
【請求項3】
免疫原を含有するワクチン組成物をマークしまたは同定する方法であって、
a.前記ワクチン組成物に、実質的に非毒性なrmLTを添加し;
b.動物に前記ワクチン組成物を投与し;そして
c.前記動物における前記rmLTに特異的な抗体または免疫細胞の存在を検出し、それにより前記ワクチン組成物を同定する
ことを含む、前記方法。
【請求項4】
前記動物が、ウシ、ヒツジ、ブタおよび鳥類からなる群より選択された食用動物である、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫原が、不活性化された全体または一部のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の細胞調製液を含んでなる、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ免疫原である、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記rmLTが、192番目のアミノ酸部位でのGlyのArgへの置換、または211番目のアミノ酸部位でのAlaのLeuへの置換を少なくとも1つを含む、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記rmLTに特異的な前記抗体が、前記動物の血液もしくはミルク中、または処理後の前記動物からの肉汁中に検出される、請求項1−3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、前記rmLTのAサブユニットのペプチド断片を使用した免疫アッセイで検出され、前記ペプチド断片が、配列番号1−9のいずれか1つから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
動物への投与のための、ワクチン組成物中の免疫原の免疫防御的効果を増強する方法であって、前記ワクチン組成物に実質的に非毒性なrmLTを添加することを含んでなる、方法。
【請求項10】
水中油型乳剤のアジュバントがワクチン組成物にさらに追加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水中油型乳剤のアジュバントがアンフィゲン(AMPHIGEN)(登録商標)である、請求項10に記載の方法
【請求項12】
前記免疫原が、不活性化された全体または一部のマイコプラズマ・ハイオニューモニエの細胞調製液を含んでなる、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ免疫原である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記rmLTが、192番目のアミノ酸部位でのGlyのArgへの置換、または211番目のアミノ酸部位でのAlaのLeuへの置換を少なくとも1つを含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
免疫原、実質的に非毒性なrmLT、および水中油型乳剤のアジュバント含んでなる、動物に投与するためのワクチン組成物。
【請求項15】
前記免疫原が、不活性化された全体または一部のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ細胞調製液を含んでなる、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ免疫原であり、前記rmLTが、192番目のアミノ酸部位でのGlyのArgへの置換、または211番目のアミノ酸部位でのAlaのLeuへの置換を少なくとも1つを含んでなり、前記水中油型乳剤のアジュバントがアンフィゲン(AMPHIGEN)(登録商標)である、請求項14のワクチン組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−506615(P2006−506615A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551102(P2004−551102)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005103
【国際公開番号】WO2004/043286
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】