説明

ワックス状の重合性歯科材料

本発明は、重合収縮が小さい歯科組成物、および開環重合を行うワックス状歯科材料からなる群から選択される重合性歯科材料を提供する。この歯科組成物は、修復材料として、および高強度の歯科重合材料からなる人工歯、義歯、修復剤、歯冠およびブリッジを作製するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年11月12日に出願した米国仮出願第60/627,199号の恩典を主張するものである。
本発明は、ワックス状の重合性材料に関する。このワックス状の重合性歯科材料は、速やかにかつ容易に再成形される。この成形されたワックス状の重合性歯科材料は、硬化して、歯冠、ブリッジ、義歯、他の修復デバイスおよび器具などの歯科用製品を形成する。
【背景技術】
【0002】
Volkelらにより、Ivoclarに譲渡された米国特許第6057383号(およびカナダ国特許出願第2207351号)において、歯科用製品全般を作製するためのワックス状の重合性材料が開示されている。従来技術には、義歯または他の強靭性の高い製品を形成するためのワックス状の重合性材料は開示されていない。
【特許文献1】米国仮出願第60/627,199号
【特許文献2】米国特許第6057383号
【特許文献3】カナダ国特許出願第2207351号
【非特許文献1】「ADA(American Dental Association)consistency test specification 19,paragraph 4.3.4」、JAVA(登録商標)、94巻、1997年4月、734〜737頁
【非特許文献2】「Hawley’s Condensed Chemical Dictionary」、1997年、507頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ワックス状の重合性歯科材料および修復ペーストワックス重合性歯科材料を提供する。本発明のワックス状の重合性歯科材料は、重合収縮が小さい。本発明のワックス状材料の重合には、開環重合、および重合収縮を低減させる相変化による体積膨張が伴う。これまでのエポキシ系の樹脂は、ワックス状の取扱適正がなく、相変化による体積膨張を伴わない。ワックス状の重合性歯科材料は、40℃以上で流動性であり、23℃未満で5分以内に寸法安定性になる。ペーストワックス材料は、50℃以上で流動性であり、5分以内に37℃以下で寸法安定性になる。これらの重合性歯科材料は、フィラー粒子、ファイバイおよび/またはゴム変性高分子量樹脂を含むことができる。これらの重合性歯科材料は、歯修復充填物、接着剤、セメント、義歯基材、歯列矯正材料およびシーラントにおいて有用であり、生歯における欠陥の修復のために有用であり、そして、歯冠、ブリッジ、総義歯、部分義歯、義歯ライナー、カスタムトレイ、義歯、生歯の修復、ベニア、義歯修復、義歯リライニング、夜間ガード、スプリント、歯の矯正の固定装置、歯列矯正部品、バーンアウト部品、仮歯科デバイス、インレー、アンレー、歯列矯正器具、口腔整形器具、仮義歯、仮部分義歯、顎顔面補綴、閉鎖具および義眼などを形成するのに有用である。
【0004】
本発明による重合性歯科材料は、0〜約95重量%のフィラー粒子を含むことができる。本発明の好ましい実施形態では、重合性歯科材料は、約5〜約90重量%のフィラーを含む。より好ましくは、これらの重合性歯科材料は、約20〜約85重量%のフィラーを含む。最も好ましくは、これらの重合性歯科材料は、約40〜約80重量%のフィラーを含む。
【0005】
フィラー粒子は、粒子サイズが0.001マイクロメートルから10マイクロメートルの範囲である。フィラー粒子は、好ましくは、有機および/または無機粒子を含み、好ましくは、重合収縮を減少させ、耐摩耗性を改良し、機械的および物理的特性を修正する。好ましいフィラーは、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、ランタン、タンタルおよび/またはタングステンシリケートおよびアルミネートおよび/またはアルミノシリケート、シリカ、石英、セラミック、ナノ粒子から形成される、またはこれらを含むガラスである。好ましくは、フィラー粒子は、粒子サイズが0.001マイクロメートルから10マイクロメートルの範囲である。
【0006】
本発明の重合性歯科材料は、例えば、加温し、温かい内に成型し、次いで体温(37℃)または室温(23℃)まで冷却することにより速やかにかつ容易に再成形される。冷却した重合性歯科材料は、例えば、パッキング、モールディング、シェーピングおよび/またはカービングにより加工することができる。加工した重合性歯科材料は、硬化させる。
【0007】
本発明の重合性歯科材料は、好ましくは、約1〜約100重量%の結晶樹脂と、約0〜99重量%の非晶質成分とを含む。加熱されると、重合性歯科材料は、軟化し、より流動性になり、結晶性がより少なくなる。
【0008】
本発明のワックス状の重合性歯科材料および修復ペーストワックス重合性歯科材料は、顔料、開始剤、触媒、安定剤、可塑剤およびファイバを含むことができる。好ましい安定剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびハイドロキノンのメチルエーテル(MEHQ)である。
【0009】
本発明の重合性歯科材料は、それらを速やかに硬化させるための1つまたは複数の開始システムを含むことができる。光硬化性のワックス状の重合性歯科コンポジットは、好ましくは、少なくとも、光の活性化波長に暴露すると重合を開始させる光増感剤、例えば、カンファーキノン、4−オクチルオキシ−フェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(OPPI)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはメチルベンゾイン;および/または還元化合物、例えば、第3級アミンを含む。
【0010】
室温または加熱活性化触媒システムは、好ましくは、本発明の重合性歯科材料中に含まれる。例えば、室温でまたは加熱により還元剤によって活性化した場合、フリーラジカルを生成することが可能なペルオキシドである。好ましいペルオキシドには、ベンジルペルオキシドおよびラウロイルペルオキシドがある。
【0011】
容易に部分的に結晶化可能であり、本発明の好ましい実施形態に記載のワックス状の重合性歯科材料において有用である化合物には、エポキシ、エポキシメタクリレート(またはアクリレート)、メタクリレート(またはアクリレート)化合物またはそれらの組合せがある。エポキシ化合物は、開環重合により重合し、相転移による体積膨張に加えて、開環プロセスに伴う排除自由体積が増加することにより収縮がより少なくなる。
【0012】
本発明の重合性歯科材料は、好ましくは、速やかに部分的に再結晶化可能である。速やかに再結晶できることにより、重合前のその温度に応じて、重合生成物の緻密化、および流動性と寸法安定性の組合せがもたらされる。重合すると、結晶相は、効果的に溶融し、体積が膨張し、重合収縮が相殺される。相変化による体積膨張と開環プロセスの組合せにより、確実に重合収縮が低くなり、あるいは重合膨張さえもが確実になる。したがって、重合生成物は、収縮が少なく、応力の少ない修復およびデバイスである。本明細書において使用される「結晶性」とは、50℃以下で少なくとも1.0J/gの溶融熱をもたらす、材料以内の規則性および秩序を指す。本明細書において使用される溶融熱は、ASTM793−95により求められる溶融エンタルピーを指す。結晶性のパーセントは、ASTM試験法E793−95に従い示差走査型熱量測定を使用して溶融熱を測定することにより求められる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、ワックス状の重合性歯科材料および修復ペーストワックス重合性ワックス歯科材料を光硬化させることにより形成される歯科重合材料を提供する。本明細書において使用される「曲げ強度および曲げ弾性率」とは、ASTMD790(1997)による試験の結果を指す。
【0014】
本明細書での「ワックス状」とは、40℃以上で流動性(流体)であり、高くとも23℃以下で5分以内に寸法安定性なる(固化する、すなわち、非流体である)材料を指す。したがって、ワックス状材料は、それが40℃以上である場合に流動性であり、それが23℃以下である場合に寸法安定性になる。温度が100℃〜40℃である流動性ワックス状材料は、37℃〜0℃の周囲温度へ暴露して冷却することにより5分以内に寸法安定性になる。温度が100℃〜40℃である流動性ワックス状複合ペーストは、23℃〜0℃の周囲温度へ暴露して冷却することにより4、2、1または0.5分(好ましさが増加する順序で)以内に寸法安定性になる。
【0015】
本明細書での「修復ペースト用ワックス」とは、50℃以上で流動性(流体)であり、高くとも37℃以下で5分以内に寸法安定性になる(固化する、すなわち、非流体である)材料を指す。したがって、修復ペースト用ワックスは、それが50℃以上である場合に流動性であり、それが37℃以下である場合に寸法安定性になる。温度が100℃〜50℃である流動化可能な修復ペースト用ワックスは、37℃〜0℃の周囲温度へ暴露して冷却することにより5分以内に寸法安定性になる。温度が100℃〜50℃である流動性修復ペースト用ワックスは、37℃〜0℃の周囲温度へ暴露して冷却することにより4、2、1または0.5分(好ましさが増加する順序で)以内に寸法安定性になる。修復ペースト用ワックスは、49℃〜38℃の温度範囲のすべてで流動性であり得る;それは、49℃〜38℃の温度範囲のすべてで寸法安定性であり得る;あるいは、それは、49℃〜38℃の温度範囲のある部分において流動性かつある部分において寸法安定性であり得る。
【0016】
寸法安定性は、「ADA(American Dental Association)consistency test specification 19,paragraph 4.3.4」、JAVA(登録商標)、94巻、1997年4月、734〜737頁による試験により23℃において求められる。流体は、それらにかけられる外力に応答して均一に形を変える(流体については、「Hawley’s Condensed Chemical Dictionary」、1997年、507頁を参照されたい)。
【0017】
好ましさが増加する順序において、本発明のワックス状の重合性歯科材料および修復ペースト用の重合性ワックス歯科材料の重合収縮は、3体積%未満、2体積%未満、1.5体積%未満、1体積%未満、0.5体積%未満である。好ましさが増加する順序において、本発明の修復ペースト用の重合性ワックス歯科材料の重合収縮は、3体積%未満、2体積%未満、1.5体積%未満、1体積%未満、0.5体積%未満である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、患者の口腔内の歯中に調製された空洞を提供し、次いでこの空洞は、本発明による歯科充填材料をシリンジから注入することにより充填される。好ましくは、このシリンジは、42℃〜60℃まで加熱され、内径が約0.5〜5.0mmである一般に円筒状の内部通路を備えた容易に取り外され、相互交換可能なノズルを有する。歯科充填材料は、冷却され、約37℃までの歯中に調製された空洞内で速やかに固化する。かくして、内部室およびノズルを備えるシリンジが提供される。このノズルは、内部室と流体流連結されたノズル通路を有する。この内部室により、ワックス状の重合性歯科材料または修復ペースト用の重合性ワックス歯科材料が封入される。次いで、重合性歯科材料は重合される。
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、患者の口腔内の歯中に調製された空洞を提供し、次いでこの空洞は、少なくとも40重量%のフィラーと、ワックス状の重合性歯科材料および修復ペースト用の重合性ワックス歯科材料からなる群から選択される重合性歯科材料とを含む組成物を調製された空洞内に位置させることにより充填される。次いで、重合性歯科材料は、重合中の収縮が2体積%未満である歯科重合材料を形成するために光硬化される。重合性歯科材料は、重合中に溶融する結晶部分を含む。結晶は、オリゴマーの結晶および/またはモノマーの結晶であると考えられる。結晶を溶融することにより形成される液体の体積は、結晶の体積より大である。この膨張により、重合により引き起こされる重合性歯科材料の収縮が減少する。加えて、本発明のワックス状の重合性材料は、開環重合が行われるために重合収縮が少なかった。本発明は、フィラーの有無に拘らず重合収縮の少ない材料を提供する。さらに、重合収縮の少ない材料は、低応力修復、および低い応力で硬化した歯科デバイスを提供する。
【0020】
さらに、本発明の組成物は、速やかなフリーラジカル重合および比較的遅いカチオン重合を開始させるための2つのタイプの開始剤をシステムに提供する。カチオン重合が組み込まれることにより、完全な重合転換プロセスが遅くなり、その結果、重合応力が減少し、溶融相変化および開環重合プロセスからの体積膨張による応力減少がより効果的に導入される。
【0021】
以下の実施例では、別段の指示がない限り、部数およびパーセンテージは、すべて重量である;Lucirin TPOは、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを指し、液体Lucirinは、BASFにより作製されたエチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートを指す。
【0022】
[実施例1A]
エポキシオリゴマーの調製
2−メチルイミダゾール0.2グラムおよびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート41.25グラム、および1,10−デカンジオール26.0グラムを混合することによりエポキシオリゴマーを調製した。次いで、この混合物を窒素下で120〜150℃の温度で8時間攪拌する。反応後、樹脂を黄色液体として回収し、室温まで冷却してゲル状ワックス固体を形成する。
【0023】
[実施例1B]
エポキシオリゴマーの調製
2−メチルイミダゾール0.12グラムおよびビスフェノールAプロキシレートジグリシジルエーテル29.3グラム、1,10−デカンジオール16.2グラムを3つ首フラスコ中で混合することによりエポキシオリゴマーIを調製した。次いで、この混合物を窒素下で100〜150℃の温度で8時間攪拌する。反応後、淡黄色樹脂を回収し、室温まで冷却して軟質ワックス状樹脂を形成する。
【0024】
[実施例2A]
モノマーの調製
1,6−ジイソシアナートヘキサン700グラムを反応フラスコに仕込み、正の窒素圧力下で約70℃まで加熱した。この反応器に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1027グラム、触媒のジラウリン酸ジブチルスズ0.75グラムおよびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)4.5グラムを加えた。添加を2時間にわたってゆっくりと乾燥窒素流下で行った。反応混合物の温度をさらに2時間70℃〜90℃に維持し、続いて純水8.5グラムを加えた。1時間後、反応生成物をプラスチック容器中に透明液体として排出し、冷却して白色固体を形成し、乾燥雰囲気中に保管した。
【0025】
[実施例2B]
モノマーの調製
1,12−ジイソシアナートドデカン43.8グラムを反応フラスコに仕込み、正の窒素圧力下で約80℃まで加熱した。この反応器に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート45.0グラム、触媒のジラウリン酸ジブチルスズ0.075グラムおよびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)0.19グラムを加えた。添加を1時間にわたってゆっくりと乾燥窒素流下で行った。反応混合物の温度をさらに1時間80℃〜90℃に維持し、続いて純水0.15グラムを加えた。1時間後、反応生成物をプラスチック容器中に透明液体として排出し、冷却して白色固体を形成し、乾燥雰囲気中に保管した。
【0026】
[実施例3]
エポキシオリゴマーの調製
2−メチルイミダゾール1部およびビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル59部、ビスフェノールAプロポキシレート40部を混合することによりエポキシオリゴマーを調製する。次いで、この混合物を窒素下において反応器中で異なる3つの温度140、160および180℃で8時間攪拌する。反応後、半固体樹脂を回収する。
【0027】
[実施例4A]
重合性ワックス状材料の調製
ワックス状の重合性歯科材料を、実施例1Cの手順により作製したオリゴマー2.6グラム、ビスフェノールAプロキシレートジグリシジルエーテル1.8グラム、4−オクチルオキシ−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(OPPI)0.063グラム、カンファーキノリン(CQ)0.063グラム、赤色アセテートファイバ0.004グラム、顔料濃縮物0.014グラムの液体混合物を85℃で攪拌することにより調製した。
【0028】
[実施例5]
重合性義歯セットアップ材料の調製
ワックス状の重合性歯科材料を、ビスフェノールAプロキシレートジグリシジルエーテル68.25グラム、1,10−デカンジオール30.0グラム、4−オクチルオキシ−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(OPPI)1.0グラム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF作製のLucirin TPO)0.35グラム、赤色アセテートファイバ0.1グラム、顔料濃縮物0.3グラムの液体混合物を85℃で攪拌することにより調製した。
【0029】
[実施例6]
重合性義歯輪郭材料の調製
ワックス状の重合性歯科材料を、ビスフェノールAプロキシレートジグリシジルエーテル48.25グラム、ポリカプロラクトンジオール(平均M、約2000)50.0グラム、4−オクチルオキシ−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(OPPI)1.0グラム、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF作製のLucirin TPO)0.35グラム、赤色アセテートファイバ0.1グラム、顔料濃縮物0.3グラムの液体混合物を85℃で攪拌することにより調製した。
【0030】
[実施例7Aから7Dまで]
表1は、実施例7Aから7Dまでの組成物の成分を示す。実施例7Aから7Dまでの組成物を、表1に示す成分を90℃で混合することにより調製した。
【表1】

* 平均粒子サイズが約1〜約10マイクロメートルである粒子
** 平均粒子サイズが約0.1〜約1マイクロメートルである粒子
【0031】
[実施例8]
充填材料
患者の口腔内の自然歯中の空洞を、ドリリング、次いでDentsply International inc.から販売されているPRIME & BOND NT二重硬化結合剤約0.02mlでドリリングされた空洞上をブラッシングすることにより調製する。次いで、この結合剤を、Dentsply International inc.から販売されているSpectrum 800光硬化ユニットからの光をその上に30秒間作用させることにより光硬化させる。次いで、調製された空洞を、実施例7Aの生成物0.2gで充填し、次いでDentsply International inc.から販売されているSpectrum 800光硬化ユニットからの光をその上に30秒間当てることにより光硬化させる。
【0032】
[実施例9A]
歯冠
歯冠を、実施例7Bの生成物約0.5gを成型することにより形成する。患者の口腔内の自然歯の表面を、切断および研磨、次いでDentsply International inc.から販売されているPRIME & BOND NT二重硬化結合剤約0.05mlで、研磨表面上をブラッシングすることにより歯冠のために調製する。次いで、歯冠を調製された表面上にセットする。次いで、歯冠および結合剤を、Dentsply International inc.から販売されているSpectrum 800光硬化ユニットからの光をその上に60秒間当てることにより光硬化させる。
【0033】
[実施例9B]
ベニア
ベニアを、実施例7Cの生成物約0.3gを成型することにより形成する。患者の口腔内の自然歯牙の表面を、切断および研磨、次いでDentsply International inc.から販売されているPRIME & BOND NT二重硬化結合剤0.03mlで、研磨表面上をブラッシングすることによりベニアのために調製する。次いで、ベニアを調製された表面上にセットする。次いで、ベニアおよび結合剤を、Dentsply International inc.から販売されているSpectrum 800光硬化ユニットからの光をその上に60秒間当てることにより光硬化させる。
【0034】
[実施例9C]
充填材料
修復を必要とする患者の口腔内の自然歯列を選択する。歯内の空洞を、ドリリング、次いでDentsply International inc.から販売されているPRIME & BOND NT二重硬化結合剤0.02mlでドリリングされた空洞上をブラッシングすることにより調製する。次いで、この結合剤を、Dentsply International inc.から販売されているSpectrum 800光硬化ユニットからの光をその上に30秒間当てることにより光硬化させる。次いで、調製された空洞を、内部通路の直径が約2mmであるノズルを備えるシリンジから実施例7Dの生成物0.2gを空洞内に注入することにより充填する。シリンジを50℃まで加温し、室を実施例7Dの歯科充填材料生成物で充填する。歯科充填材料は、37℃まで冷却し、速やかに固化し、優れた形状安定性を備える。冷却した充填材料を、削り、彫刻して歯の輪郭および形状に合わせる。次いで、冷却した歯科充填材料を、Dentsply International inc.から販売されているSpectrum 800光硬化ユニットからの光をその上に30秒間当てることにより光硬化させる。
【0035】
[実施例10]
緑色歯
歯牙を、実施例7Cの生成物0.6gを成型することにより自然歯の形状に成形する。
【0036】
[実施例11]
高強度歯
実施例10において成形された歯を、Dentsply International inc.から販売されているEclipse光硬化ユニットからの光をその上に10分間当てることにより光硬化させる。重合収縮が2体積%未満である高強度重合人工歯が形成される。
【0037】
本発明は、しかるべきその具体的な実施形態により非常に詳細に説明されたが、本発明は、かかる実施形態に限定されると見なすべきではなく、本発明の趣旨および添付の請求項の範囲から逸脱することなく他の方式において使用することができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された耐収縮性を有する重合性歯科材料であって、溶融することができ、溶融すると体積膨張を示す結晶性材料を含む材料。
【請求項2】
前記結晶性材料が、約40℃を超える温度で流動性であり、約23℃未満で寸法安定性である、請求項1に記載の歯科材料。
【請求項3】
前記結晶性材料が、ワックス状である、請求項1に記載の歯科材料。
【請求項4】
前記結晶性材料に開環重合を行なわせることができる、請求項1に記載の歯科材料。
【請求項5】
前記結晶性材料が、エポキシオリゴマーから形成される、請求項1に記載の歯科材料。
【請求項6】
前記エポキシオリゴマーが、イミダゾールとアジペートとの反応生成物である、請求項5に記載の歯科材料。
【請求項7】
前記イミダゾールが、2−メチルイミダゾールである、請求項6に記載の歯科材料。
【請求項8】
前記アジペートが、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートである、請求項6に記載の歯科材料。
【請求項9】
前記反応生成物も、ジオールの存在下で反応させる、請求項6に記載の歯科材料。
【請求項10】
前記ジオールが、1,10デカンジオールである、請求項9に記載の歯科材料。
【請求項11】
前記エポキシオリゴマーが、イミダゾール、エーテルおよびジオールの反応生成物である、請求項5に記載の歯科材料。
【請求項12】
前記イミダゾールが、2−メチルイミダゾールである、請求項11に記載の歯科材料。
【請求項13】
前記エーテルが、ビスフェノールAプロキシレートジグリシジルエーテルである、請求項11に記載の歯科材料。
【請求項14】
前記ジオールが、1,10デカンジオールである、請求項11に記載の歯科材料。
【請求項15】
請求項5に記載のオリゴマーをエーテルおよびOPPIと反応させることにより調製されるワックス状歯科材料。
【請求項16】
ビスフェノールAプロキシレートジグリシジルエーテル、ジオール、OPPIおよび2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを反応させることにより形成されるワックス状歯科材料。

【公表番号】特表2008−519851(P2008−519851A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541367(P2007−541367)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/040980
【国際公開番号】WO2006/053237
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(590004464)デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド (85)
【Fターム(参考)】