ワークストッカ
【課題】コストアップの少ない簡単且つコンパクトな構成で、而もレイアウトの変更にも対応できて汎用性に優れるワークストッカを提供する。
【解決手段】揺動コンベア3と上コンベア6との端部に、ストッパ32と、相手側のストッパ32と連係してストッパ32を移動させるフック40,41とをそれぞれ設ける一方、下コンベア7の端部に、揺動コンベア3のストッパ32と連係して当該ストッパ32を移動させるフック42を設けて、揺動コンベア3のスライド及び揺動に伴い、揺動コンベア3と上コンベア6との間で互いのフック40,41によって互いのストッパ32を倒伏姿勢に移動させて上コンベア6上のバケットを揺動コンベア3上に搬入可能とし、揺動コンベア3と下コンベア7との間でフック42によって揺動コンベア3のストッパ32を倒伏姿勢に移動させて揺動コンベア3上のバケットを下コンベア6上に搬出可能とした。
【解決手段】揺動コンベア3と上コンベア6との端部に、ストッパ32と、相手側のストッパ32と連係してストッパ32を移動させるフック40,41とをそれぞれ設ける一方、下コンベア7の端部に、揺動コンベア3のストッパ32と連係して当該ストッパ32を移動させるフック42を設けて、揺動コンベア3のスライド及び揺動に伴い、揺動コンベア3と上コンベア6との間で互いのフック40,41によって互いのストッパ32を倒伏姿勢に移動させて上コンベア6上のバケットを揺動コンベア3上に搬入可能とし、揺動コンベア3と下コンベア7との間でフック42によって揺動コンベア3のストッパ32を倒伏姿勢に移動させて揺動コンベア3上のバケットを下コンベア6上に搬出可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをストックして搬出入を行うワークストッカに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマシニングセンタ等の工作機械を複数並設して自動加工ラインを構築する際、各工作機械間でワークの受け渡しを行うローダとの間で、未加工のワークの供給と加工済みのワークの受け取りとを行うワークストッカが必要となる。このワークストッカの形態として、特許文献1に記載のように、上下に揺動自在な中継ローラコンベアと、その中継ローラコンベアに対して下り勾配となる搬入路を形成する上部ローラコンベアと、中継ローラコンベアから下り勾配となる搬出路を形成する下部ローラコンベアとを設けて、上部ローラコンベアから未加工のワークを供給して中継ローラコンベアからローダへワークの供給を行い、ローダから中継ローラコンベアへ渡された加工済みのワークを下部ローラコンベアへ搬出するようにする構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−89608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような上下二段の搬入路と搬出路とを形成する場合、中継ローラコンベアに対するワークの受け渡しが問題となる。上記特許文献1では、上部ローラコンベアに設けた間欠送り機構を、中継ローラコンベアを揺動させるアーム部材の動きに連係させて作動させるようにしているが、アーム部材が大型化する等してコストアップに繋がり、コンパクト化の障害にもなる。また、供給の一時停止は上部ローラコンベアに設けた間欠送り機構のみにおいて行い、中継ローラコンベアから下部ローラコンベアへの搬出は、そのまま下り勾配を利用してストッパを設けない構造であるため、上下のローラコンベアを幅方向に複数並設したり、中継ローラコンベアの左右に上下二段のローラコンベアを配置したりするレイアウトの変更には対応できない。
【0005】
そこで、本発明は、コストアップの少ない簡単且つコンパクトな構成で、而もレイアウトの変更にも対応できて汎用性に優れるワークストッカを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ワークを収納可能なバケットを搬送する中間搬送体と、その中間搬送体を搬送方向へスライドさせて所定の位置で停止させる位置決め装置と、中間搬送体を位置決め装置と共に第1の傾斜位置と第2の傾斜位置との間で揺動させる揺動装置と、バケットを搬送して中間搬送体と第1の傾斜位置で延長状に繋がる上側搬送体と、バケットを搬送して中間搬送体と第2の傾斜位置で延長状に繋がる下側搬送体とを備えるワークストッカであって、
中間搬送体と上側搬送体との互いに隣接する端部に、自身に載置されるバケットに係止する係止位置と、バケットへの係止を解除する係止解除位置とに移動可能なストッパをそれぞれ設けると共に、相手側のストッパに対向し、第1の傾斜位置での位置決め装置及び/又は揺動装置による中間搬送体のスライド及び/又は揺動でストッパと連係してストッパを係止位置及び係止解除位置に移動させる連係部材をそれぞれ設ける一方、下側搬送体における中間搬送体と隣接する端部に、中間搬送体のストッパに対向し、第2の傾斜位置での位置決め装置及び/又は揺動装置による中間搬送体のスライド及び/又は揺動で中間搬送体のストッパと連係して当該ストッパを係止位置及び係止解除位置に移動させる下側連係部材を設けて、第1の傾斜位置での中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、中間搬送体と上側搬送体との間で互いの連係部材によって互いのストッパを係止解除位置に移動させて上側搬送体上のバケットを中間搬送体上に搬入可能とし、第2の傾斜位置での中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、中間搬送体と下側搬送体との間で下側連係部材によって中間搬送体のストッパを係止解除位置に移動させて中間搬送体上のバケットを下側搬送体上に搬出可能としたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ストッパが、上端がバケットに当接する起立姿勢と、上端がバケットから離間する倒伏姿勢との間で回転可能に設けられると共に、その下端に、搬送体に沿ってスライド可能に保持されるスライド体を連結してなり、連係部材及び下側連係部材が、中間搬送体の所定のスライド位置でスライド体に係止するフックであって、スライド体にフックを係止させた状態で中間搬送体をスライドさせることで、ストッパを倒伏姿勢に回転させてバケットを搬出入させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、各搬送体において、それぞれバケットを幅方向に複数列並べて搬送可能として、各バケットの列ごとにストッパ及び連係部材若しくは下側連係部材をそれぞれ設けると共に、列間でストッパと連係部材若しくは下側連係部材とが係止する中間搬送体のスライド位置を相違させて、列ごとにバケットをそれぞれ搬出入可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、バケットの搬出入に専用の駆動装置を設ける必要がなく、ストッパや連係部材を設ける簡単な構造でコンベア間のバケットの移乗が可能となる。よって、コストアップが少ないコンパクトな構成となり、加工ラインでのレイアウトの変更にも容易に対応できて汎用性に優れたものとなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、スライド体及びフックを介してストッパの回転を簡単且つ確実に行うことができる。また、ストッパやフック等が各搬送体で共用できるため、コストの一層の低減に繋がり、メンテナンスも容易に行える。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、ストックできるワークの種類や量が多くなると共に、種類等が相違してもワークを確実に搬出入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ワークストッカの全体図である。
【図2】コンベアの配置を示す説明図で、(A)が揺動コンベアの上昇位置、(B)が揺動コンベアの下降位置をそれぞれ示す。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図2のB矢視図である。
【図5】図3のX−X線断面図である。
【図6】図3のY−Y線断面図である。
【図7】図4のZ−Z線断面図である。
【図8】図3のW−W線断面図である。
【図9】ストッパ装置及びフックの説明図で、(A)が平面、(B)が側面、(C)が横断面をそれぞれ示す。
【図10】ストッパの回転位置の説明図で、(A)が起立姿勢、(B)が中間姿勢、(C)が倒伏姿勢をそれぞれ示す。
【図11】コンベア間のストッパとフックとの位置関係を示す説明図で、(A)が揺動コンベアと上コンベア間、(B)が揺動コンベアと下コンベア間をそれぞれ示す。
【図12】図11のS−S線断面図である。
【図13】図11のT−T線断面図である。
【図14】図11のU−U線断面図である。
【図15】図11のV−V線断面図である。
【図16】揺動コンベアのスライド及び揺動動作を示す模式図である。
【図17】(A)〜(H)は揺動コンベアのスライド及び揺動動作を示す説明図である。
【図18】(I)〜(M)は揺動コンベアのスライド及び揺動動作を示す説明図である。
【図19】図17のC部詳細図である。
【図20】図17のD部詳細図である。
【図21】ワークストッカの変更例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ワークストッカの一例を示す説明図、図2はコンベアの配置を示す説明図で、このワークストッカ1は、架台2の側面に、中間搬送体としての揺動コンベア3と、揺動コンベア3を前後方向(図1の左右方向)へスライドさせて所定の位置で停止させる位置決め装置4と、揺動コンベア3を揺動中心Oを中心に上下に揺動させる揺動装置5と、揺動コンベア3の前方で上下に位置する上側搬送体としての上コンベア6及び下側搬送体としての下コンベア7と、揺動コンベア3の上方に位置するハンドリング装置8とを備えてなる。揺動コンベア3と上コンベア6、下コンベア7との上面には、薄板状のワークW1,W2を前後方向へ所定間隔をおいて収納する縦長箱状のバケット9がそれぞれ載置可能となっている。
【0011】
このワークストッカ1は、未加工のワークW1を収納したバケット9を上コンベア6から揺動コンベア3に搬入し、ハンドリング装置8で隣接するマシニングセンタのローダに未加工のワークW1を供給する一方、ローダから加工済みのワークW2(但し、ワークを区別しない場合は単にWとする。)を受け取って揺動コンベア3上のバケット9に収納し、そのバケット9を揺動コンベア3から下コンベア7へ搬出するものである。
なお、架台2には、キャスター10とレベリングボルト11とが設けられて、ワークストッカ1の移動や設置が容易に行えるようになっている。
【0012】
次に、各構成部について詳述する。
まず、揺動コンベア3、上コンベア6、下コンベア7は、図3,4に示すように、図1で紙面と直交する奥行き方向(架台2の左右方向)において奥側と手前側とにそれぞれ前後方向に長い横断面倒コ字状のフレーム12を並設して、フレーム12,12にバケット9を二列並べて載置可能としている。フレーム12の底面で幅方向の左右には、図5〜8にも示すように、長手方向に4つのローラ13,13・・が所定間隔でそれぞれ回転可能に支持されて、転動面をフレーム12内に露出させている。各コンベアにおいて、左右に隣接するフレーム12,12は、底面間に架設される連結板14により互いに連結されている。
【0013】
位置決め装置4は、ロッドレスシリンダ15を備え、そのロッドレスシリンダ15のスライダ16の上面に連結板14を固定している。このロッドレスシリンダ15は、ベース18上に両端が支持されるチューブ17を備え、チューブ17内に所定のストロークで往復動可能に収容したピストンに、スリットを介して或いは磁気結合によってスライダ16を連結し、ピストンを空気圧によってチューブ17内を移動させることで、スライダ16をチューブ17に沿ってスライドさせる周知の構成である。このスライダ16のスライド位置は、スライダ16に設けた図示しないドッグをセンサによって検出し、図示しない可動ストッパを位置決め用の孔に当接させて設定している。
【0014】
また、ロッドレスシリンダ15のベース18における長手方向の中央は、揺動板19(図1)によって支持されて、この揺動板19が、架台2の側面に設けた上下方向の支持板20に揺動中心Oの位置で回転可能に軸着されている。この揺動中心Oは、揺動コンベア3のローラ13,13・・の上端と接する平面上に設定されている。
【0015】
揺動装置5は、ロッドレスシリンダ15の下方で支持板20へ前方上向きに配置されるエアシリンダ21と、そのエアシリンダ21のピストンロッド22の先端とロッドレスシリンダ15のベース18の前方下面とを連結するくの字状の連結リンク23とを有する。よって、エアシリンダ21の作動によりピストンロッド22を伸縮させることで、揺動中心Oを中心としてロッドレスシリンダ15を揺動させて、図2に示すように、揺動コンベア3を、前方上向きに傾斜する上昇位置(第1の傾斜位置)と、前方下向きに傾斜する下降位置(第2の傾斜位置)との間で上下に揺動可能としている。24は、ロッドレスシリンダ15の下方に設けられた保持部材で、ロッドレスシリンダ15の揺動に伴い、揺動コンベア3の上昇位置と下降位置とでそれぞれ両端がベース18の下面へ交互に当接してロッドレスシリンダ15の傾斜姿勢を保持する。
【0016】
上コンベア6は、架台2に設けたブラケット25を介して、前方へ行くに従って上向きとなる傾斜状に支持されて、下コンベア7は、架台2に設けたブラケット26を介して、前方へ行くに従って下向きとなる傾斜状に支持されている。上コンベア6及び下コンベア7におけるローラ13,13・・の上端と接する平面は、それぞれ延長面上で揺動中心Oと交わっている。
なお、上コンベア6及び下コンベア7においては、奥側よりも手前側のフレーム12が後方寄りとなるように前後にフレーム12の位置をずらして連結板14に取り付けられている。
【0017】
ハンドリング装置8は、ワークWを把持及び把持解除可能なハンド27を備え、そのハンド27を、エアシリンダを用いた制御機構により、上昇位置にある揺動コンベア3と直交する上下方向と、架台2の左右方向とでそれぞれ直線移動させると共に、垂直平面内を旋回移動させるようになっている。すなわち、ハンド27の上下方向の移動によって揺動コンベア3に載置したバケット9に対してワークWの受け渡しを、左右方向の移動で左右2列の揺動コンベア3の選択を、旋回移動によってマシニングセンタのローダとの間でワークWの受け渡しを行うものである。
【0018】
そして、揺動コンベア3の前端と上コンベア6の後端とには、ストッパ装置30と連係部材としてのフック40,41とが設けられ、下コンベア7の後端には、下側連係部材としてのフック42のみが設けられている。
まずストッパ装置30は、図9,10にも示すように、フレーム12の端部から前後方向へ切込み形成されたスリット31内にストッパ32を備えている。このストッパ32は、フレーム12の底面に立設した支持片33へボルト34によって、上端がスリット31を貫通して支持片33から上方へ突出する図10(A)の起立姿勢(係止位置)と、上端が支持片33の上方から退避する同図(C)の倒伏姿勢(係止解除位置)との間で回転可能に軸着されている。なお、支持片33の上端は、バケット9が移動するローラ13の上端よりも低くなっている。
【0019】
また、ストッパ32よりもコンベアの中心側でフレーム12の底面には、取付ブロック35が取り付けられて、この取付ブロック35に、スライド体としての平面視U字状のピアノ線36の両端が遊挿してスライド可能に保持されて、U字状の先端をストッパ32の下端に貫通させている。このピアノ線36がフレーム12の端部側へ突出するスライド位置でストッパ32は起立姿勢となり、上端にバケット9の前後面が当接可能となっている。なお、揺動コンベア3のフレーム12の後端と下コンベア7の前端とには、バケット9の前後面に当接するボルトを用いた固定ストッパ37が設けられている。
一方、フック40〜42は、フレーム12の底面に基端が固定されてフレーム12の端部から先端が突出する棒状体で、突出端には上下方向の切込み43がそれぞれ形成されている。
【0020】
このストッパ装置30は、図11に示すように、揺動コンベア3における各フレーム12の前端ではそれぞれ左側に、上コンベア6における各フレーム12の後端ではそれぞれ右側に設けられている。一方、フック40〜42は、揺動コンベア3の各フレーム12の前端ではそれぞれ右側に、上下コンベア6,7の各フレーム12の後端ではそれぞれ左側に設けられている。すなわち、揺動コンベア3と上下コンベア6,7との間で、ストッパ装置30とフック40〜42とが対峙するように配置したものである。
また、揺動コンベア3と下コンベア7とのフック40,42は、切込み43が上向きとなるように固定され、上コンベア6のフック41は、切込み43が下向きとなるように固定されている。
【0021】
さらに、各コンベアにおいて、ストッパ装置30は奥側(左側)と手前側(右側)とで前後方向の位置を一致させているが、フック40〜42は、同じコンベアでも奥側と手前側とでフレーム12からの突出量を相違させている。以下この突出量の設定について説明する。なお、奥側と手前側とでバケット9やフレーム12、ストッパ装置30、フック40〜42を区別する場合は、符号にA(奥側),B(手前側)を付して説明する。
【0022】
まず、バケット9には、ワークWが前後方向へ25個並べられるようになっており、ロッドレスシリンダ15は、ハンドリング装置8によるワークWの受け渡し位置に対して、ワークW間のピッチと等しい距離ずつスライダ16を移動させることになる(この移動の最小単位をS(シフト)とする)。このワークストッカ1では、揺動中心Oから前方へ遠ざかる方向へ1から29までのポジションが設定され、1〜25がハンドリング装置8によるワークWの受け渡しを行う通常ポジション、図9,10に示す26〜29がストッパ装置30とフック40〜42とを係脱させてバケット9をコンベア間で移動させる搬出入ポジションとなっている。
【0023】
ここで、図11〜13に示すように、揺動コンベア3及び上コンベア6の手前側のフレーム12Bにそれぞれ設けられるフック40B,41Bは、奥側のフレーム12Aにそれぞれ設けられるフック40A,41Aよりも相手側への突出量を大きくして、バケット9に最後のワークWを収納した状態(ポジション25)では、ストッパ装置30Bのピアノ線36の前端とフック40B,41Bの切込み43との間を1Sに設定している。一方、揺動コンベア3及び上コンベア6の奥側のフレーム12A,12A間では、図11及び図14,15に示すように、ストッパ装置30Aのピアノ線36の前端とフック40A,41Aの切込み43との間を3Sに設定している。
これは揺動コンベア3と下コンベア7との間でも同様で、手前側のフレーム12B,12B間では、ストッパ装置30Bのピアノ線36の前端とフック42Bの切込み43との間を1Sとし(図13)、奥側のフレーム12A,12A間では、ストッパ装置30Aのピアノ線36の前端とフック42Aの切込み43との間を3Sとしている(図15)。
【0024】
以上の如く構成されたワークストッカ1の動作を説明する。
図16は、揺動コンベア3のスライド及び揺動動作を示す模式図、図17はその説明図で、まず、スタート時(図16に示すB0、図17(A))は、揺動コンベア3は上昇位置にあり、手前側のフレーム12Bに未加工のワークW1を収納したバケット9Bが、奥側のフレーム12Aに空のバケット9Aがそれぞれ載置されているものとする。このときの揺動コンベア3のポジションは25である。一方、上コンベア6においても、手前側にはワークW1を収納したバケット9Bが、奥側には空のバケット9Aがそれぞれ載置されている。なお、下コンベア7には何れにもバケット9は載置されていない。この状態で、揺動コンベア3のストッパ装置30ではストッパ32が起立姿勢にあって、固定ストッパ37との間でバケット9A,9Bを位置決めしている。
【0025】
ここからハンドリング装置8が、手前側のバケット9BからワークW1をマシニングセンタのローダに供給する。加工が終わった際には、加工済みのワークW2をローダから受け取って奥側のバケット9Aに収納する。このワークWの受け渡しの度に、ロッドレスシリンダ15のスライダ16が1Sずつ後退して揺動コンベア3のポジションを24,23,22・・と移行させるため、手前側のバケット9BではワークW1が順に取り出される。また、奥側のバケット9AではワークW2は後端から前端へ向けて順に並べられる。ポジション1に達すると(図16のB1、図17(B))、手前側のバケット9Bは空になる。
【0026】
ここから手前側と奥側とのバケット9A,9Bを順番に搬出する。
まず、揺動コンベア3が下降位置に揺動し(図16のB2、図17(C))、揺動コンベア3がポジション25までスライドする(図16のB3、図17(D))。これにより、揺動コンベア3は下コンベア7と同一線上に並び、両コンベア3,7のローラ13,13・・の上端に接する平面も同一面上に並ぶが、揺動コンベア3のストッパ装置30A,30Bの各ストッパ32が起立姿勢のままバケット9A,9Bの下降を阻止しているため、バケット9A,9Bは移動しない。
【0027】
次に、揺動コンベア3を上方へ僅かに上昇させ(図16のB4、図17(E)、図19)、そのまま揺動コンベア3を1S移動させてポジション26とすると(図16のB5、図17(F))、図20のように、ポジション25で1S離れていた手前側のストッパ装置30Bのピアノ線36が、下コンベア7のフック42Bの切込み43の上方に達する。
よって、ここから揺動コンベア3を下降位置まで下降させると、ストッパ装置30Bのピアノ線36が下コンベア7のフック42Bの切込み43に係止する(図16のB6、図17(G))。そして、ここから揺動コンベア3を1S前進させてポジション27とすると(図16のB7、図17(H))、フック42Bによってストッパ装置30Bのピアノ線36が後方へスライドする。これによりストッパ32が倒伏姿勢へ回転するため、ストッパ32による係止が解除された空のバケット9Bは、自重によって揺動コンベア3のローラ13上を転動してそのまま下コンベア7のローラ13上へ移乗し、フレーム12Bの後端に設けられた固定ストッパ37に当接して停止する。
【0028】
こうして手前側のバケット9Bの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション26とする(図16のB8、図18(I))。すると、フック42Bに係止されるピアノ線36が前方へスライドし、ストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を上方へ僅かに揺動させると、ピアノ線36がフック42Bから外れる(図16のB9、図18(J)、図20)。
この手前側のバケット9Bの搬出はポジション25〜27の2S間で行われるため、ピアノ線36とフック42Aとの間が3Sとなる奥側のフレーム12Aではストッパ32の解除がなされず、バケット9Aは移動しない。
【0029】
次に、奥側のバケット9Aを搬出する。まず、下降位置より僅かに上方にある揺動コンベア3をそのまま2S前進させてポジション28とする(図16のB10、図18(K))。すると、ストッパ装置30Aのピアノ線36が、下コンベア7のフック42Aの切込み43の上方に位置する。ここから揺動コンベア3が下降位置へ下降すると、ピアノ線36がフック42Aの切込み43に係止する(図16のB11、図18(L))。
次に、揺動コンベア3を1S前進させてポジション29とする(図16のB12、図18(M))。すると、ピアノ線36が後退してストッパ32が倒伏姿勢へ回転するため、ストッパ32による係止が解除された奥側のバケット9Aは、自重によって揺動コンベア3のローラ13上を転動してそのまま下コンベア7のローラ13上へ移乗し、下コンベア7の固定ストッパ37に当接して停止する。
【0030】
こうして奥側のバケット9Aの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション28とする(図16のB13、図18(L))。すると、フック42Aに係止されるピアノ線36が前方へスライドし、ストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を上方へ僅かに揺動させてピアノ線36をフック42Aから外した後(図16のB14、図18(K))、3S後退させてポジション25に戻す(図16のB15)。
【0031】
次に、上コンベア6上のバケット9A,9Bを揺動コンベア3に移乗させる搬入動作を説明する。但し、前述した揺動コンベア3から下コンベア7へのバケット9A,9Bの搬出とは、揺動コンベア3の上下動方向が逆になるだけで動作は同じであるので、図16の模式図のみを用いて説明する。
まず、B15の位置から揺動コンベア3を上昇させて、上昇位置でポジション25となるスタート時A0に位置させる。これにより、揺動コンベア3は上コンベア6と同一線上に並び、両コンベア3,6のローラ13の上端と接する平面も同一平面上に位置するが、上コンベア6のストッパ装置30のストッパ32が起立姿勢のままバケット9A,9Bの下降を阻止しているため、バケット9A,9Bは移動しない。
【0032】
次に、揺動コンベア3を下方へ僅かに下降させた後(A1)、そのまま揺動コンベア3を1S移動させてポジション26とし(A2)、再び揺動コンベア3を上昇位置まで上昇させる(A3)。すると、揺動コンベア3と上コンベア6との手前側のフレーム12B,12B間において、ポジション25で1S離れていた揺動コンベア3のストッパ装置30Bのピアノ線36に、上コンベア6のフック41Bの切込み43が係止すると共に、揺動コンベア3のフック40Bの切込み43が上コンベア6のストッパ装置30Bのピアノ線36に係止する。ここから揺動コンベア3を1S前進させてポジション27とすると(A4)、フック40B,41Bによって互いのピアノ線36がスライドする。これにより互いのストッパ32が倒伏姿勢へ回転するため、上コンベア3上の手前側のバケット9Bは、自重によって上コンベア6のローラ13上を転動してそのまま揺動コンベア3のローラ13上へ移乗し、固定ストッパ37に当接して停止する。
【0033】
こうして手前側のバケット9Bの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション26とする(A5)。すると、フック40B、41Bに係止される互いのピアノ線36がスライドし、互いのストッパ装置30Bのストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を下方へ僅かに揺動させると(A6)、フック40B,41Bがピアノ線36から外れる。
【0034】
次に、上昇位置より僅かに下方にある揺動コンベア3をそのまま2S前進させてポジション28とする(A7)。すると、揺動コンベア3のストッパ装置30Aのピアノ線36が上コンベア6のフック41Aの切込み43の下方に位置すると共に、揺動コンベア3のフック40Aの切込み43が上コンベア6のストッパ装置30Aのピアノ線36の下方に位置する。ここから揺動コンベア3が上昇位置へ上昇すると(A8)、各フック40A,41Aがそれぞれ互いのピアノ線36に係止する。
ここで揺動コンベア3を1S前進させてポジション29とすると(A9)、フック40A,41Aによって互いのピアノ線36がスライドして互いのストッパ32が倒伏姿勢へ回転する。よって、上コンベア3上の奥側のバケット9Aは、自重によって上コンベア6のローラ13上を転動してそのまま揺動コンベア3のローラ13上へ移乗し、固定ストッパ37に当接して停止する。
【0035】
こうして奥側のバケット9Aの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション28とする(A10)。すると、フック40A,41Aに係止されるピアノ線36がそれぞれスライドし、ストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を下方へ僅かに揺動させてピアノ線36とフック40A,41Aとの係止を解除した後(A11)、3S後退させてポジション25に戻し(A12)、スタート時A0へ上昇させる。
【0036】
このように、上記形態のワークストッカ1は、揺動コンベア3と上コンベア6との互いに隣接する端部に、バケット9に係止する起立姿勢と、バケット9への係止を解除する倒伏姿勢とに回転可能なストッパ32をそれぞれ設けると共に、相手側のストッパ32に対向し、上昇位置での位置決め装置4及び揺動装置5による揺動コンベア3のスライド及び揺動でストッパ32と連係してストッパ32を起立姿勢及び倒伏姿勢に移動させるフック40,41をそれぞれ設ける一方、下コンベア7における揺動コンベア3と隣接する端部に、揺動コンベア3のストッパ32に対向し、下降位置での位置決め装置4及び揺動装置5による揺動コンベア3のスライド及び揺動で揺動コンベア3のストッパ32と連係して当該ストッパ32を起立姿勢及び倒伏姿勢に移動させるフック42を設けて、上昇位置での揺動コンベア3のスライド及び揺動に伴い、揺動コンベア3と上コンベア6との間で互いのフック40,41によって互いのストッパ32を倒伏姿勢に移動させて上コンベア6上のバケット9を揺動コンベア3上に搬入可能とし、下降位置での揺動コンベア3のスライド及び揺動に伴い、揺動コンベア3と下コンベア7との間でフック42によって揺動コンベア3のストッパ32を倒伏姿勢に移動させて揺動コンベア3上のバケット9を下コンベア6上に搬出可能としたことを特徴としている。
これにより、バケット9の搬出入に専用の駆動装置を設ける必要がなく、ストッパ32やフック40〜42を設ける簡単な構造でコンベア間のバケット9の移乗が可能となる。よって、コストアップが少ないコンパクトな構成となり、加工ラインでのレイアウトの変更にも容易に対応できて汎用性に優れたものとなる。
【0037】
特にここでは、ストッパ32が、上端がバケット9に当接する起立姿勢と、上端がバケット9から離間する倒伏姿勢との間で回転可能に設けられると共に、その下端に、フレーム12に沿ってスライド可能に保持されるピアノ線36を連結してなり、連係部材及び下側連係部材が、揺動コンベア3の所定のスライド位置でピアノ線36に係止するフック40〜42であって、ピアノ線36にフック40〜42を係止させた状態で揺動コンベア3をスライドさせることで、ストッパ32を倒伏姿勢に回転させてバケット9を搬出入させるようにしている。
これにより、ピアノ線35及びフック40〜42を介してストッパ32の回転を簡単且つ確実に行うことができる。また、ストッパ32やフック等が各コンベアで共用できるため、コストの一層の低減に繋がり、メンテナンスも容易に行える。
【0038】
また、各コンベアにおいて、それぞれバケット9を幅方向に2列並べて搬送可能として、各バケット9の列ごとにストッパ32及びフック40,41若しくはフック42をそれぞれ設けると共に、列間でストッパ32とフック40,41若しくはフック42とが係止する揺動コンベア3のスライド位置を相違させて、列ごとにバケット9をそれぞれ搬出入可能としたことで、ストックできるワークの種類や量が多くなると共に、種類等が相違してもワークを確実に搬出入することができる。
【0039】
なお、上記形態では揺動コンベアの前方のみに上下コンベアを配置してバケットの搬出入を行っているが、図21に示すように揺動コンベア3の後方にも上下コンベア60,70を配置して、揺動コンベア3の後端と後方側の上コンベア60の前端とにもストッパ装置30とフック40,41とを設ける一方、後方側の下コンベア70の前端にフック42を設けてもよい。
この変更例によれば、揺動コンベア3のスライド及び揺動により、後方側の上コンベア60からバケット9を搬入して下コンベア70へ搬出することができる。勿論これに加えて、前方側の上コンベア6から搬入したバケット9を後方側の下コンベア70に搬出したり、逆に後方側の上コンベア60から搬入したバケット9を前方側の下コンベア7に搬出したりすることも可能である。よって、よりフレキシブルな加工ラインが構築可能となる。
【0040】
一方、ストッパと連係部材との関係も、上記形態ではピアノ線等のスライド体にフックを係脱させて連係の切替を行うようにしているが、フックの端部に傾斜面を設けて、フックの接近によってスライド体が傾斜面に乗り上げて切込みに案内されるようにすれば、フックを係止する際に揺動コンベアをフックから離れる方向へ一旦揺動させる必要がなくなり、スライドのみで係止可能となる。
また、スライド体としてはピアノ線に限らず、ストッパに連結したバー部材にフックが係止可能な透孔や切欠きを形成する等、他の形態も採用できる。
さらに、ストッパをトーションバネ等によって起立姿勢へ回転付勢してバケットを固定させ、揺動コンベアのスライドに伴い、連係部材がストッパの下端を押圧することで回転付勢に抗してストッパを倒伏姿勢に回転させてバケットの移乗を可能とする等、具体的な連係構造は適宜変更可能である。
【0041】
そして、コンベア自体の構造も、ローラの数や配置の変更は勿論、ローラにベルトを張設したり等の設計変更が可能である。また、上記形態では各コンベアにバケットを左右方向へ2列並設可能としているが、3列以上並設して各列ごとにストッパと連係部材とを設けてバケットの搬出入を行うことも考えられる。
その他、位置決め装置としてロッドレスシリンダに変えてボールネジ等の他のアクチュエータを採用したり、揺動装置としてモータとギヤとを採用したり等、他の構成部においても構造を適宜変更して差し支えない。また、位置決め装置はコンベアの列ごとに設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・ワークストッカ、2・・架台、3・・揺動コンベア、4・・位置決め装置、5・・揺動装置、6,60・・上コンベア、7,70・・下コンベア、8・・ハンドリング装置、9・・バケット、12・・フレーム、13・・ローラ、15・・ロッドレスシリンダ、16・・スライダ、17・・チューブ、19・・揺動板、20・・支持板、21・・エアシリンダ、22・・ピストンロッド、27・・ハンド、30・・ストッパ装置、32・・ストッパ、36・・ピアノ線、37・・固定ストッパ、40〜42・・フック、43・・切込み。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをストックして搬出入を行うワークストッカに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマシニングセンタ等の工作機械を複数並設して自動加工ラインを構築する際、各工作機械間でワークの受け渡しを行うローダとの間で、未加工のワークの供給と加工済みのワークの受け取りとを行うワークストッカが必要となる。このワークストッカの形態として、特許文献1に記載のように、上下に揺動自在な中継ローラコンベアと、その中継ローラコンベアに対して下り勾配となる搬入路を形成する上部ローラコンベアと、中継ローラコンベアから下り勾配となる搬出路を形成する下部ローラコンベアとを設けて、上部ローラコンベアから未加工のワークを供給して中継ローラコンベアからローダへワークの供給を行い、ローダから中継ローラコンベアへ渡された加工済みのワークを下部ローラコンベアへ搬出するようにする構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−89608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような上下二段の搬入路と搬出路とを形成する場合、中継ローラコンベアに対するワークの受け渡しが問題となる。上記特許文献1では、上部ローラコンベアに設けた間欠送り機構を、中継ローラコンベアを揺動させるアーム部材の動きに連係させて作動させるようにしているが、アーム部材が大型化する等してコストアップに繋がり、コンパクト化の障害にもなる。また、供給の一時停止は上部ローラコンベアに設けた間欠送り機構のみにおいて行い、中継ローラコンベアから下部ローラコンベアへの搬出は、そのまま下り勾配を利用してストッパを設けない構造であるため、上下のローラコンベアを幅方向に複数並設したり、中継ローラコンベアの左右に上下二段のローラコンベアを配置したりするレイアウトの変更には対応できない。
【0005】
そこで、本発明は、コストアップの少ない簡単且つコンパクトな構成で、而もレイアウトの変更にも対応できて汎用性に優れるワークストッカを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ワークを収納可能なバケットを搬送する中間搬送体と、その中間搬送体を搬送方向へスライドさせて所定の位置で停止させる位置決め装置と、中間搬送体を位置決め装置と共に第1の傾斜位置と第2の傾斜位置との間で揺動させる揺動装置と、バケットを搬送して中間搬送体と第1の傾斜位置で延長状に繋がる上側搬送体と、バケットを搬送して中間搬送体と第2の傾斜位置で延長状に繋がる下側搬送体とを備えるワークストッカであって、
中間搬送体と上側搬送体との互いに隣接する端部に、自身に載置されるバケットに係止する係止位置と、バケットへの係止を解除する係止解除位置とに移動可能なストッパをそれぞれ設けると共に、相手側のストッパに対向し、第1の傾斜位置での位置決め装置及び/又は揺動装置による中間搬送体のスライド及び/又は揺動でストッパと連係してストッパを係止位置及び係止解除位置に移動させる連係部材をそれぞれ設ける一方、下側搬送体における中間搬送体と隣接する端部に、中間搬送体のストッパに対向し、第2の傾斜位置での位置決め装置及び/又は揺動装置による中間搬送体のスライド及び/又は揺動で中間搬送体のストッパと連係して当該ストッパを係止位置及び係止解除位置に移動させる下側連係部材を設けて、第1の傾斜位置での中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、中間搬送体と上側搬送体との間で互いの連係部材によって互いのストッパを係止解除位置に移動させて上側搬送体上のバケットを中間搬送体上に搬入可能とし、第2の傾斜位置での中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、中間搬送体と下側搬送体との間で下側連係部材によって中間搬送体のストッパを係止解除位置に移動させて中間搬送体上のバケットを下側搬送体上に搬出可能としたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、ストッパが、上端がバケットに当接する起立姿勢と、上端がバケットから離間する倒伏姿勢との間で回転可能に設けられると共に、その下端に、搬送体に沿ってスライド可能に保持されるスライド体を連結してなり、連係部材及び下側連係部材が、中間搬送体の所定のスライド位置でスライド体に係止するフックであって、スライド体にフックを係止させた状態で中間搬送体をスライドさせることで、ストッパを倒伏姿勢に回転させてバケットを搬出入させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、各搬送体において、それぞれバケットを幅方向に複数列並べて搬送可能として、各バケットの列ごとにストッパ及び連係部材若しくは下側連係部材をそれぞれ設けると共に、列間でストッパと連係部材若しくは下側連係部材とが係止する中間搬送体のスライド位置を相違させて、列ごとにバケットをそれぞれ搬出入可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、バケットの搬出入に専用の駆動装置を設ける必要がなく、ストッパや連係部材を設ける簡単な構造でコンベア間のバケットの移乗が可能となる。よって、コストアップが少ないコンパクトな構成となり、加工ラインでのレイアウトの変更にも容易に対応できて汎用性に優れたものとなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、スライド体及びフックを介してストッパの回転を簡単且つ確実に行うことができる。また、ストッパやフック等が各搬送体で共用できるため、コストの一層の低減に繋がり、メンテナンスも容易に行える。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、ストックできるワークの種類や量が多くなると共に、種類等が相違してもワークを確実に搬出入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ワークストッカの全体図である。
【図2】コンベアの配置を示す説明図で、(A)が揺動コンベアの上昇位置、(B)が揺動コンベアの下降位置をそれぞれ示す。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図2のB矢視図である。
【図5】図3のX−X線断面図である。
【図6】図3のY−Y線断面図である。
【図7】図4のZ−Z線断面図である。
【図8】図3のW−W線断面図である。
【図9】ストッパ装置及びフックの説明図で、(A)が平面、(B)が側面、(C)が横断面をそれぞれ示す。
【図10】ストッパの回転位置の説明図で、(A)が起立姿勢、(B)が中間姿勢、(C)が倒伏姿勢をそれぞれ示す。
【図11】コンベア間のストッパとフックとの位置関係を示す説明図で、(A)が揺動コンベアと上コンベア間、(B)が揺動コンベアと下コンベア間をそれぞれ示す。
【図12】図11のS−S線断面図である。
【図13】図11のT−T線断面図である。
【図14】図11のU−U線断面図である。
【図15】図11のV−V線断面図である。
【図16】揺動コンベアのスライド及び揺動動作を示す模式図である。
【図17】(A)〜(H)は揺動コンベアのスライド及び揺動動作を示す説明図である。
【図18】(I)〜(M)は揺動コンベアのスライド及び揺動動作を示す説明図である。
【図19】図17のC部詳細図である。
【図20】図17のD部詳細図である。
【図21】ワークストッカの変更例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ワークストッカの一例を示す説明図、図2はコンベアの配置を示す説明図で、このワークストッカ1は、架台2の側面に、中間搬送体としての揺動コンベア3と、揺動コンベア3を前後方向(図1の左右方向)へスライドさせて所定の位置で停止させる位置決め装置4と、揺動コンベア3を揺動中心Oを中心に上下に揺動させる揺動装置5と、揺動コンベア3の前方で上下に位置する上側搬送体としての上コンベア6及び下側搬送体としての下コンベア7と、揺動コンベア3の上方に位置するハンドリング装置8とを備えてなる。揺動コンベア3と上コンベア6、下コンベア7との上面には、薄板状のワークW1,W2を前後方向へ所定間隔をおいて収納する縦長箱状のバケット9がそれぞれ載置可能となっている。
【0011】
このワークストッカ1は、未加工のワークW1を収納したバケット9を上コンベア6から揺動コンベア3に搬入し、ハンドリング装置8で隣接するマシニングセンタのローダに未加工のワークW1を供給する一方、ローダから加工済みのワークW2(但し、ワークを区別しない場合は単にWとする。)を受け取って揺動コンベア3上のバケット9に収納し、そのバケット9を揺動コンベア3から下コンベア7へ搬出するものである。
なお、架台2には、キャスター10とレベリングボルト11とが設けられて、ワークストッカ1の移動や設置が容易に行えるようになっている。
【0012】
次に、各構成部について詳述する。
まず、揺動コンベア3、上コンベア6、下コンベア7は、図3,4に示すように、図1で紙面と直交する奥行き方向(架台2の左右方向)において奥側と手前側とにそれぞれ前後方向に長い横断面倒コ字状のフレーム12を並設して、フレーム12,12にバケット9を二列並べて載置可能としている。フレーム12の底面で幅方向の左右には、図5〜8にも示すように、長手方向に4つのローラ13,13・・が所定間隔でそれぞれ回転可能に支持されて、転動面をフレーム12内に露出させている。各コンベアにおいて、左右に隣接するフレーム12,12は、底面間に架設される連結板14により互いに連結されている。
【0013】
位置決め装置4は、ロッドレスシリンダ15を備え、そのロッドレスシリンダ15のスライダ16の上面に連結板14を固定している。このロッドレスシリンダ15は、ベース18上に両端が支持されるチューブ17を備え、チューブ17内に所定のストロークで往復動可能に収容したピストンに、スリットを介して或いは磁気結合によってスライダ16を連結し、ピストンを空気圧によってチューブ17内を移動させることで、スライダ16をチューブ17に沿ってスライドさせる周知の構成である。このスライダ16のスライド位置は、スライダ16に設けた図示しないドッグをセンサによって検出し、図示しない可動ストッパを位置決め用の孔に当接させて設定している。
【0014】
また、ロッドレスシリンダ15のベース18における長手方向の中央は、揺動板19(図1)によって支持されて、この揺動板19が、架台2の側面に設けた上下方向の支持板20に揺動中心Oの位置で回転可能に軸着されている。この揺動中心Oは、揺動コンベア3のローラ13,13・・の上端と接する平面上に設定されている。
【0015】
揺動装置5は、ロッドレスシリンダ15の下方で支持板20へ前方上向きに配置されるエアシリンダ21と、そのエアシリンダ21のピストンロッド22の先端とロッドレスシリンダ15のベース18の前方下面とを連結するくの字状の連結リンク23とを有する。よって、エアシリンダ21の作動によりピストンロッド22を伸縮させることで、揺動中心Oを中心としてロッドレスシリンダ15を揺動させて、図2に示すように、揺動コンベア3を、前方上向きに傾斜する上昇位置(第1の傾斜位置)と、前方下向きに傾斜する下降位置(第2の傾斜位置)との間で上下に揺動可能としている。24は、ロッドレスシリンダ15の下方に設けられた保持部材で、ロッドレスシリンダ15の揺動に伴い、揺動コンベア3の上昇位置と下降位置とでそれぞれ両端がベース18の下面へ交互に当接してロッドレスシリンダ15の傾斜姿勢を保持する。
【0016】
上コンベア6は、架台2に設けたブラケット25を介して、前方へ行くに従って上向きとなる傾斜状に支持されて、下コンベア7は、架台2に設けたブラケット26を介して、前方へ行くに従って下向きとなる傾斜状に支持されている。上コンベア6及び下コンベア7におけるローラ13,13・・の上端と接する平面は、それぞれ延長面上で揺動中心Oと交わっている。
なお、上コンベア6及び下コンベア7においては、奥側よりも手前側のフレーム12が後方寄りとなるように前後にフレーム12の位置をずらして連結板14に取り付けられている。
【0017】
ハンドリング装置8は、ワークWを把持及び把持解除可能なハンド27を備え、そのハンド27を、エアシリンダを用いた制御機構により、上昇位置にある揺動コンベア3と直交する上下方向と、架台2の左右方向とでそれぞれ直線移動させると共に、垂直平面内を旋回移動させるようになっている。すなわち、ハンド27の上下方向の移動によって揺動コンベア3に載置したバケット9に対してワークWの受け渡しを、左右方向の移動で左右2列の揺動コンベア3の選択を、旋回移動によってマシニングセンタのローダとの間でワークWの受け渡しを行うものである。
【0018】
そして、揺動コンベア3の前端と上コンベア6の後端とには、ストッパ装置30と連係部材としてのフック40,41とが設けられ、下コンベア7の後端には、下側連係部材としてのフック42のみが設けられている。
まずストッパ装置30は、図9,10にも示すように、フレーム12の端部から前後方向へ切込み形成されたスリット31内にストッパ32を備えている。このストッパ32は、フレーム12の底面に立設した支持片33へボルト34によって、上端がスリット31を貫通して支持片33から上方へ突出する図10(A)の起立姿勢(係止位置)と、上端が支持片33の上方から退避する同図(C)の倒伏姿勢(係止解除位置)との間で回転可能に軸着されている。なお、支持片33の上端は、バケット9が移動するローラ13の上端よりも低くなっている。
【0019】
また、ストッパ32よりもコンベアの中心側でフレーム12の底面には、取付ブロック35が取り付けられて、この取付ブロック35に、スライド体としての平面視U字状のピアノ線36の両端が遊挿してスライド可能に保持されて、U字状の先端をストッパ32の下端に貫通させている。このピアノ線36がフレーム12の端部側へ突出するスライド位置でストッパ32は起立姿勢となり、上端にバケット9の前後面が当接可能となっている。なお、揺動コンベア3のフレーム12の後端と下コンベア7の前端とには、バケット9の前後面に当接するボルトを用いた固定ストッパ37が設けられている。
一方、フック40〜42は、フレーム12の底面に基端が固定されてフレーム12の端部から先端が突出する棒状体で、突出端には上下方向の切込み43がそれぞれ形成されている。
【0020】
このストッパ装置30は、図11に示すように、揺動コンベア3における各フレーム12の前端ではそれぞれ左側に、上コンベア6における各フレーム12の後端ではそれぞれ右側に設けられている。一方、フック40〜42は、揺動コンベア3の各フレーム12の前端ではそれぞれ右側に、上下コンベア6,7の各フレーム12の後端ではそれぞれ左側に設けられている。すなわち、揺動コンベア3と上下コンベア6,7との間で、ストッパ装置30とフック40〜42とが対峙するように配置したものである。
また、揺動コンベア3と下コンベア7とのフック40,42は、切込み43が上向きとなるように固定され、上コンベア6のフック41は、切込み43が下向きとなるように固定されている。
【0021】
さらに、各コンベアにおいて、ストッパ装置30は奥側(左側)と手前側(右側)とで前後方向の位置を一致させているが、フック40〜42は、同じコンベアでも奥側と手前側とでフレーム12からの突出量を相違させている。以下この突出量の設定について説明する。なお、奥側と手前側とでバケット9やフレーム12、ストッパ装置30、フック40〜42を区別する場合は、符号にA(奥側),B(手前側)を付して説明する。
【0022】
まず、バケット9には、ワークWが前後方向へ25個並べられるようになっており、ロッドレスシリンダ15は、ハンドリング装置8によるワークWの受け渡し位置に対して、ワークW間のピッチと等しい距離ずつスライダ16を移動させることになる(この移動の最小単位をS(シフト)とする)。このワークストッカ1では、揺動中心Oから前方へ遠ざかる方向へ1から29までのポジションが設定され、1〜25がハンドリング装置8によるワークWの受け渡しを行う通常ポジション、図9,10に示す26〜29がストッパ装置30とフック40〜42とを係脱させてバケット9をコンベア間で移動させる搬出入ポジションとなっている。
【0023】
ここで、図11〜13に示すように、揺動コンベア3及び上コンベア6の手前側のフレーム12Bにそれぞれ設けられるフック40B,41Bは、奥側のフレーム12Aにそれぞれ設けられるフック40A,41Aよりも相手側への突出量を大きくして、バケット9に最後のワークWを収納した状態(ポジション25)では、ストッパ装置30Bのピアノ線36の前端とフック40B,41Bの切込み43との間を1Sに設定している。一方、揺動コンベア3及び上コンベア6の奥側のフレーム12A,12A間では、図11及び図14,15に示すように、ストッパ装置30Aのピアノ線36の前端とフック40A,41Aの切込み43との間を3Sに設定している。
これは揺動コンベア3と下コンベア7との間でも同様で、手前側のフレーム12B,12B間では、ストッパ装置30Bのピアノ線36の前端とフック42Bの切込み43との間を1Sとし(図13)、奥側のフレーム12A,12A間では、ストッパ装置30Aのピアノ線36の前端とフック42Aの切込み43との間を3Sとしている(図15)。
【0024】
以上の如く構成されたワークストッカ1の動作を説明する。
図16は、揺動コンベア3のスライド及び揺動動作を示す模式図、図17はその説明図で、まず、スタート時(図16に示すB0、図17(A))は、揺動コンベア3は上昇位置にあり、手前側のフレーム12Bに未加工のワークW1を収納したバケット9Bが、奥側のフレーム12Aに空のバケット9Aがそれぞれ載置されているものとする。このときの揺動コンベア3のポジションは25である。一方、上コンベア6においても、手前側にはワークW1を収納したバケット9Bが、奥側には空のバケット9Aがそれぞれ載置されている。なお、下コンベア7には何れにもバケット9は載置されていない。この状態で、揺動コンベア3のストッパ装置30ではストッパ32が起立姿勢にあって、固定ストッパ37との間でバケット9A,9Bを位置決めしている。
【0025】
ここからハンドリング装置8が、手前側のバケット9BからワークW1をマシニングセンタのローダに供給する。加工が終わった際には、加工済みのワークW2をローダから受け取って奥側のバケット9Aに収納する。このワークWの受け渡しの度に、ロッドレスシリンダ15のスライダ16が1Sずつ後退して揺動コンベア3のポジションを24,23,22・・と移行させるため、手前側のバケット9BではワークW1が順に取り出される。また、奥側のバケット9AではワークW2は後端から前端へ向けて順に並べられる。ポジション1に達すると(図16のB1、図17(B))、手前側のバケット9Bは空になる。
【0026】
ここから手前側と奥側とのバケット9A,9Bを順番に搬出する。
まず、揺動コンベア3が下降位置に揺動し(図16のB2、図17(C))、揺動コンベア3がポジション25までスライドする(図16のB3、図17(D))。これにより、揺動コンベア3は下コンベア7と同一線上に並び、両コンベア3,7のローラ13,13・・の上端に接する平面も同一面上に並ぶが、揺動コンベア3のストッパ装置30A,30Bの各ストッパ32が起立姿勢のままバケット9A,9Bの下降を阻止しているため、バケット9A,9Bは移動しない。
【0027】
次に、揺動コンベア3を上方へ僅かに上昇させ(図16のB4、図17(E)、図19)、そのまま揺動コンベア3を1S移動させてポジション26とすると(図16のB5、図17(F))、図20のように、ポジション25で1S離れていた手前側のストッパ装置30Bのピアノ線36が、下コンベア7のフック42Bの切込み43の上方に達する。
よって、ここから揺動コンベア3を下降位置まで下降させると、ストッパ装置30Bのピアノ線36が下コンベア7のフック42Bの切込み43に係止する(図16のB6、図17(G))。そして、ここから揺動コンベア3を1S前進させてポジション27とすると(図16のB7、図17(H))、フック42Bによってストッパ装置30Bのピアノ線36が後方へスライドする。これによりストッパ32が倒伏姿勢へ回転するため、ストッパ32による係止が解除された空のバケット9Bは、自重によって揺動コンベア3のローラ13上を転動してそのまま下コンベア7のローラ13上へ移乗し、フレーム12Bの後端に設けられた固定ストッパ37に当接して停止する。
【0028】
こうして手前側のバケット9Bの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション26とする(図16のB8、図18(I))。すると、フック42Bに係止されるピアノ線36が前方へスライドし、ストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を上方へ僅かに揺動させると、ピアノ線36がフック42Bから外れる(図16のB9、図18(J)、図20)。
この手前側のバケット9Bの搬出はポジション25〜27の2S間で行われるため、ピアノ線36とフック42Aとの間が3Sとなる奥側のフレーム12Aではストッパ32の解除がなされず、バケット9Aは移動しない。
【0029】
次に、奥側のバケット9Aを搬出する。まず、下降位置より僅かに上方にある揺動コンベア3をそのまま2S前進させてポジション28とする(図16のB10、図18(K))。すると、ストッパ装置30Aのピアノ線36が、下コンベア7のフック42Aの切込み43の上方に位置する。ここから揺動コンベア3が下降位置へ下降すると、ピアノ線36がフック42Aの切込み43に係止する(図16のB11、図18(L))。
次に、揺動コンベア3を1S前進させてポジション29とする(図16のB12、図18(M))。すると、ピアノ線36が後退してストッパ32が倒伏姿勢へ回転するため、ストッパ32による係止が解除された奥側のバケット9Aは、自重によって揺動コンベア3のローラ13上を転動してそのまま下コンベア7のローラ13上へ移乗し、下コンベア7の固定ストッパ37に当接して停止する。
【0030】
こうして奥側のバケット9Aの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション28とする(図16のB13、図18(L))。すると、フック42Aに係止されるピアノ線36が前方へスライドし、ストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を上方へ僅かに揺動させてピアノ線36をフック42Aから外した後(図16のB14、図18(K))、3S後退させてポジション25に戻す(図16のB15)。
【0031】
次に、上コンベア6上のバケット9A,9Bを揺動コンベア3に移乗させる搬入動作を説明する。但し、前述した揺動コンベア3から下コンベア7へのバケット9A,9Bの搬出とは、揺動コンベア3の上下動方向が逆になるだけで動作は同じであるので、図16の模式図のみを用いて説明する。
まず、B15の位置から揺動コンベア3を上昇させて、上昇位置でポジション25となるスタート時A0に位置させる。これにより、揺動コンベア3は上コンベア6と同一線上に並び、両コンベア3,6のローラ13の上端と接する平面も同一平面上に位置するが、上コンベア6のストッパ装置30のストッパ32が起立姿勢のままバケット9A,9Bの下降を阻止しているため、バケット9A,9Bは移動しない。
【0032】
次に、揺動コンベア3を下方へ僅かに下降させた後(A1)、そのまま揺動コンベア3を1S移動させてポジション26とし(A2)、再び揺動コンベア3を上昇位置まで上昇させる(A3)。すると、揺動コンベア3と上コンベア6との手前側のフレーム12B,12B間において、ポジション25で1S離れていた揺動コンベア3のストッパ装置30Bのピアノ線36に、上コンベア6のフック41Bの切込み43が係止すると共に、揺動コンベア3のフック40Bの切込み43が上コンベア6のストッパ装置30Bのピアノ線36に係止する。ここから揺動コンベア3を1S前進させてポジション27とすると(A4)、フック40B,41Bによって互いのピアノ線36がスライドする。これにより互いのストッパ32が倒伏姿勢へ回転するため、上コンベア3上の手前側のバケット9Bは、自重によって上コンベア6のローラ13上を転動してそのまま揺動コンベア3のローラ13上へ移乗し、固定ストッパ37に当接して停止する。
【0033】
こうして手前側のバケット9Bの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション26とする(A5)。すると、フック40B、41Bに係止される互いのピアノ線36がスライドし、互いのストッパ装置30Bのストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を下方へ僅かに揺動させると(A6)、フック40B,41Bがピアノ線36から外れる。
【0034】
次に、上昇位置より僅かに下方にある揺動コンベア3をそのまま2S前進させてポジション28とする(A7)。すると、揺動コンベア3のストッパ装置30Aのピアノ線36が上コンベア6のフック41Aの切込み43の下方に位置すると共に、揺動コンベア3のフック40Aの切込み43が上コンベア6のストッパ装置30Aのピアノ線36の下方に位置する。ここから揺動コンベア3が上昇位置へ上昇すると(A8)、各フック40A,41Aがそれぞれ互いのピアノ線36に係止する。
ここで揺動コンベア3を1S前進させてポジション29とすると(A9)、フック40A,41Aによって互いのピアノ線36がスライドして互いのストッパ32が倒伏姿勢へ回転する。よって、上コンベア3上の奥側のバケット9Aは、自重によって上コンベア6のローラ13上を転動してそのまま揺動コンベア3のローラ13上へ移乗し、固定ストッパ37に当接して停止する。
【0035】
こうして奥側のバケット9Aの移乗が図示しないセンサで確認されると、揺動コンベア3を1S後退させてポジション28とする(A10)。すると、フック40A,41Aに係止されるピアノ線36がそれぞれスライドし、ストッパ32を起立姿勢に復帰させる。ここで揺動コンベア3を下方へ僅かに揺動させてピアノ線36とフック40A,41Aとの係止を解除した後(A11)、3S後退させてポジション25に戻し(A12)、スタート時A0へ上昇させる。
【0036】
このように、上記形態のワークストッカ1は、揺動コンベア3と上コンベア6との互いに隣接する端部に、バケット9に係止する起立姿勢と、バケット9への係止を解除する倒伏姿勢とに回転可能なストッパ32をそれぞれ設けると共に、相手側のストッパ32に対向し、上昇位置での位置決め装置4及び揺動装置5による揺動コンベア3のスライド及び揺動でストッパ32と連係してストッパ32を起立姿勢及び倒伏姿勢に移動させるフック40,41をそれぞれ設ける一方、下コンベア7における揺動コンベア3と隣接する端部に、揺動コンベア3のストッパ32に対向し、下降位置での位置決め装置4及び揺動装置5による揺動コンベア3のスライド及び揺動で揺動コンベア3のストッパ32と連係して当該ストッパ32を起立姿勢及び倒伏姿勢に移動させるフック42を設けて、上昇位置での揺動コンベア3のスライド及び揺動に伴い、揺動コンベア3と上コンベア6との間で互いのフック40,41によって互いのストッパ32を倒伏姿勢に移動させて上コンベア6上のバケット9を揺動コンベア3上に搬入可能とし、下降位置での揺動コンベア3のスライド及び揺動に伴い、揺動コンベア3と下コンベア7との間でフック42によって揺動コンベア3のストッパ32を倒伏姿勢に移動させて揺動コンベア3上のバケット9を下コンベア6上に搬出可能としたことを特徴としている。
これにより、バケット9の搬出入に専用の駆動装置を設ける必要がなく、ストッパ32やフック40〜42を設ける簡単な構造でコンベア間のバケット9の移乗が可能となる。よって、コストアップが少ないコンパクトな構成となり、加工ラインでのレイアウトの変更にも容易に対応できて汎用性に優れたものとなる。
【0037】
特にここでは、ストッパ32が、上端がバケット9に当接する起立姿勢と、上端がバケット9から離間する倒伏姿勢との間で回転可能に設けられると共に、その下端に、フレーム12に沿ってスライド可能に保持されるピアノ線36を連結してなり、連係部材及び下側連係部材が、揺動コンベア3の所定のスライド位置でピアノ線36に係止するフック40〜42であって、ピアノ線36にフック40〜42を係止させた状態で揺動コンベア3をスライドさせることで、ストッパ32を倒伏姿勢に回転させてバケット9を搬出入させるようにしている。
これにより、ピアノ線35及びフック40〜42を介してストッパ32の回転を簡単且つ確実に行うことができる。また、ストッパ32やフック等が各コンベアで共用できるため、コストの一層の低減に繋がり、メンテナンスも容易に行える。
【0038】
また、各コンベアにおいて、それぞれバケット9を幅方向に2列並べて搬送可能として、各バケット9の列ごとにストッパ32及びフック40,41若しくはフック42をそれぞれ設けると共に、列間でストッパ32とフック40,41若しくはフック42とが係止する揺動コンベア3のスライド位置を相違させて、列ごとにバケット9をそれぞれ搬出入可能としたことで、ストックできるワークの種類や量が多くなると共に、種類等が相違してもワークを確実に搬出入することができる。
【0039】
なお、上記形態では揺動コンベアの前方のみに上下コンベアを配置してバケットの搬出入を行っているが、図21に示すように揺動コンベア3の後方にも上下コンベア60,70を配置して、揺動コンベア3の後端と後方側の上コンベア60の前端とにもストッパ装置30とフック40,41とを設ける一方、後方側の下コンベア70の前端にフック42を設けてもよい。
この変更例によれば、揺動コンベア3のスライド及び揺動により、後方側の上コンベア60からバケット9を搬入して下コンベア70へ搬出することができる。勿論これに加えて、前方側の上コンベア6から搬入したバケット9を後方側の下コンベア70に搬出したり、逆に後方側の上コンベア60から搬入したバケット9を前方側の下コンベア7に搬出したりすることも可能である。よって、よりフレキシブルな加工ラインが構築可能となる。
【0040】
一方、ストッパと連係部材との関係も、上記形態ではピアノ線等のスライド体にフックを係脱させて連係の切替を行うようにしているが、フックの端部に傾斜面を設けて、フックの接近によってスライド体が傾斜面に乗り上げて切込みに案内されるようにすれば、フックを係止する際に揺動コンベアをフックから離れる方向へ一旦揺動させる必要がなくなり、スライドのみで係止可能となる。
また、スライド体としてはピアノ線に限らず、ストッパに連結したバー部材にフックが係止可能な透孔や切欠きを形成する等、他の形態も採用できる。
さらに、ストッパをトーションバネ等によって起立姿勢へ回転付勢してバケットを固定させ、揺動コンベアのスライドに伴い、連係部材がストッパの下端を押圧することで回転付勢に抗してストッパを倒伏姿勢に回転させてバケットの移乗を可能とする等、具体的な連係構造は適宜変更可能である。
【0041】
そして、コンベア自体の構造も、ローラの数や配置の変更は勿論、ローラにベルトを張設したり等の設計変更が可能である。また、上記形態では各コンベアにバケットを左右方向へ2列並設可能としているが、3列以上並設して各列ごとにストッパと連係部材とを設けてバケットの搬出入を行うことも考えられる。
その他、位置決め装置としてロッドレスシリンダに変えてボールネジ等の他のアクチュエータを採用したり、揺動装置としてモータとギヤとを採用したり等、他の構成部においても構造を適宜変更して差し支えない。また、位置決め装置はコンベアの列ごとに設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・ワークストッカ、2・・架台、3・・揺動コンベア、4・・位置決め装置、5・・揺動装置、6,60・・上コンベア、7,70・・下コンベア、8・・ハンドリング装置、9・・バケット、12・・フレーム、13・・ローラ、15・・ロッドレスシリンダ、16・・スライダ、17・・チューブ、19・・揺動板、20・・支持板、21・・エアシリンダ、22・・ピストンロッド、27・・ハンド、30・・ストッパ装置、32・・ストッパ、36・・ピアノ線、37・・固定ストッパ、40〜42・・フック、43・・切込み。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを収納可能なバケットを搬送する中間搬送体と、その中間搬送体を搬送方向へスライドさせて所定の位置で停止させる位置決め装置と、前記中間搬送体を前記位置決め装置と共に第1の傾斜位置と第2の傾斜位置との間で揺動させる揺動装置と、前記バケットを搬送して前記中間搬送体と前記第1の傾斜位置で延長状に繋がる上側搬送体と、前記バケットを搬送して前記中間搬送体と前記第2の傾斜位置で延長状に繋がる下側搬送体とを備えるワークストッカであって、
前記中間搬送体と上側搬送体との互いに隣接する端部に、自身に載置される前記バケットに係止する係止位置と、前記バケットへの係止を解除する係止解除位置とに移動可能なストッパをそれぞれ設けると共に、相手側の前記ストッパに対向し、前記第1の傾斜位置での前記位置決め装置及び/又は揺動装置による前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動で前記ストッパと連係して前記ストッパを前記係止位置及び係止解除位置に移動させる連係部材をそれぞれ設ける一方、
前記下側搬送体における前記中間搬送体と隣接する端部に、前記中間搬送体の前記ストッパに対向し、前記第2の傾斜位置での前記位置決め装置及び/又は揺動装置による前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動で前記中間搬送体の前記ストッパと連係して当該ストッパを前記係止位置及び係止解除位置に移動させる下側連係部材を設けて、
前記第1の傾斜位置での前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、前記中間搬送体と上側搬送体との間で互いの前記連係部材によって互いの前記ストッパを前記係止解除位置に移動させて前記上側搬送体上の前記バケットを前記中間搬送体上に搬入可能とし、前記第2の傾斜位置での前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、前記中間搬送体と下側搬送体との間で前記下側連係部材によって前記中間搬送体の前記ストッパを前記係止解除位置に移動させて前記中間搬送体上の前記バケットを前記下側搬送体上に搬出可能としたことを特徴とするワークストッカ。
【請求項2】
前記ストッパが、上端が前記バケットに当接する起立姿勢と、上端が前記バケットから離間する倒伏姿勢との間で回転可能に設けられると共に、その下端に、前記搬送体に沿ってスライド可能に保持されるスライド体を連結してなり、前記連係部材及び下側連係部材が、前記中間搬送体の所定のスライド位置で前記スライド体に係止するフックであって、前記スライド体に前記フックを係止させた状態で前記中間搬送体をスライドさせることで、前記ストッパを倒伏姿勢に回転させて前記バケットを搬出入させることを特徴とする請求項1に記載のワークストッカ。
【請求項3】
前記各搬送体において、それぞれ前記バケットを幅方向に複数列並べて搬送可能として、各前記バケットの列ごとに前記ストッパ及び連係部材若しくは下側連係部材をそれぞれ設けると共に、前記列間で前記ストッパと連係部材若しくは下側連係部材とが係止する前記中間搬送体のスライド位置を相違させて、前記列ごとに前記バケットをそれぞれ搬出入可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のワークストッカ。
【請求項1】
ワークを収納可能なバケットを搬送する中間搬送体と、その中間搬送体を搬送方向へスライドさせて所定の位置で停止させる位置決め装置と、前記中間搬送体を前記位置決め装置と共に第1の傾斜位置と第2の傾斜位置との間で揺動させる揺動装置と、前記バケットを搬送して前記中間搬送体と前記第1の傾斜位置で延長状に繋がる上側搬送体と、前記バケットを搬送して前記中間搬送体と前記第2の傾斜位置で延長状に繋がる下側搬送体とを備えるワークストッカであって、
前記中間搬送体と上側搬送体との互いに隣接する端部に、自身に載置される前記バケットに係止する係止位置と、前記バケットへの係止を解除する係止解除位置とに移動可能なストッパをそれぞれ設けると共に、相手側の前記ストッパに対向し、前記第1の傾斜位置での前記位置決め装置及び/又は揺動装置による前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動で前記ストッパと連係して前記ストッパを前記係止位置及び係止解除位置に移動させる連係部材をそれぞれ設ける一方、
前記下側搬送体における前記中間搬送体と隣接する端部に、前記中間搬送体の前記ストッパに対向し、前記第2の傾斜位置での前記位置決め装置及び/又は揺動装置による前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動で前記中間搬送体の前記ストッパと連係して当該ストッパを前記係止位置及び係止解除位置に移動させる下側連係部材を設けて、
前記第1の傾斜位置での前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、前記中間搬送体と上側搬送体との間で互いの前記連係部材によって互いの前記ストッパを前記係止解除位置に移動させて前記上側搬送体上の前記バケットを前記中間搬送体上に搬入可能とし、前記第2の傾斜位置での前記中間搬送体のスライド及び/又は揺動に伴い、前記中間搬送体と下側搬送体との間で前記下側連係部材によって前記中間搬送体の前記ストッパを前記係止解除位置に移動させて前記中間搬送体上の前記バケットを前記下側搬送体上に搬出可能としたことを特徴とするワークストッカ。
【請求項2】
前記ストッパが、上端が前記バケットに当接する起立姿勢と、上端が前記バケットから離間する倒伏姿勢との間で回転可能に設けられると共に、その下端に、前記搬送体に沿ってスライド可能に保持されるスライド体を連結してなり、前記連係部材及び下側連係部材が、前記中間搬送体の所定のスライド位置で前記スライド体に係止するフックであって、前記スライド体に前記フックを係止させた状態で前記中間搬送体をスライドさせることで、前記ストッパを倒伏姿勢に回転させて前記バケットを搬出入させることを特徴とする請求項1に記載のワークストッカ。
【請求項3】
前記各搬送体において、それぞれ前記バケットを幅方向に複数列並べて搬送可能として、各前記バケットの列ごとに前記ストッパ及び連係部材若しくは下側連係部材をそれぞれ設けると共に、前記列間で前記ストッパと連係部材若しくは下側連係部材とが係止する前記中間搬送体のスライド位置を相違させて、前記列ごとに前記バケットをそれぞれ搬出入可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のワークストッカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−6709(P2012−6709A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144060(P2010−144060)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】
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