説明

ワーク供給装置

【課題】ワーク同士の付着を低減又は未然に防止することを始めとしてワーク同士が付着する問題に適切に対処した新たなワーク供給装置を提供する。
【解決手段】ワーク供給装置は、供給対象物であるワークWを搬送路11(12T)を通じて整列させながら供給先に供給する装置である。搬送路11(12T)は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部41(42)を有し、溝部41(42)の溝幅D(D)は少なくとも二つのワークW1、W2(W3、W4)が搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、溝部41(42)は、各ワークW1、W2(W3、W4)がそれぞれ横断面において少なくとも二点GとG、GとG(GとG、GとG)で溝面41a(42a)に接触している状態では隣接するワーク同士W1、W2(W3、W4)の相対角度θ(θ)が所定角度以上に保たれるような溝形状に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを整列させた状態で供給先に供給するワーク供給装置に係り、特に、複数のワーク同士が付着することへの対処を適正化した新たなワーク供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワーク供給装置は、電子部品等の供給対象物であるワークを貯留する貯留部と、貯留部及び供給先を連絡する搬送路とを有し、搬送路の上流側にある貯留部に投入されるワークを搬送路を介して一列に整列しながら下流側の供給先に対して振動等により供給する装置である。ところが、ワーク自身が粘着性を有する場合やワークが静電気を帯びた状態である場合等に、複数のワーク同士が付着又は結合し、ワークを一列に整列して供給できない不具合が生じる場合がある。
【0003】
かかる不具合に対応すべく付着したワーク同士の分離を実現する構成として、特許文献1には、搬送路などにあるワークを圧縮空気等の気体で上方に吹き上げ、吹き上げたワークを上方に配置した網体に当接して、付着状態のワーク同士を分離する分離機構を有するワーク供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−91384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記分離機構はワーク同士が付着した後に対処するものの、これと異なる観点としてワーク同士が付着することを低減又は未然に防止することができれば、ワークの適切な供給に資すると考えられる。
【0006】
そこで、種々検討を重ねたところ、隣接するワーク同士の相対角度が小さいほど付着を招来しやすくなり、逆に相対角度が大きいほど付着しにくいことがわかった。これは、相対角度が小さくなると、隣接するワーク同士の接触部位が増大して両者に作用する付着力が強くなるためと考えられる。特に、ワーク同士の相対角度がほとんど無い平面に複数のワークがある状態では隣接するワーク同士が面接触して強固な付着状態となる場合があり、これを防止する必要がある。
【0007】
また、上記分離機構は、搬送路にある全てのワークのうち分離機構に至るワークに対してのみ分離機能を限定的に奏するものであり、一つの分離機構が果たす分離能力にもおのずと限界がある。
【0008】
本発明は、かかる新たな見地に基づいてなされたものであって、その目的は、ワーク同士の付着を低減又は未然に防止することを始めとしてワーク同士が付着する問題に適切に対処した新たなワーク供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明に係るワーク供給装置は、供給対象物であるワークを搬送路を通じて整列させながら供給先に供給するワーク供給装置であって、前記搬送路は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部を有し、前記溝部の溝幅は少なくとも二つのワークが搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、前記溝部は、各ワークが前記横断面において少なくとも二点で溝面に接触している状態では隣接するワーク同士の相対角度が所定角度以上に保たれるような溝形状に設定されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、搬送路を構成する溝部に少なくとも二つのワークが並走して隣接状態になり、且つ、各々のワークが横断面において溝面に二点接触して安定した状態となることで隣接するワーク同士の付着を招来しやすい状態になっても溝部の溝形状によって隣接するワーク同士の相対角度が所定角度以上に保たれるので、少なくとも相対角度がほとんど無い状態を避けてワーク同士の面接触による強固な付着状態を防止し、ワーク同士の付着を低減又は未然に防止することができる。所定角度は、ワーク同士の間に作用する付着力の大きさに応じて適切な角度に設定すればよい。
【0012】
また、本発明に係るワーク供給装置は、供給対象物であるワークを搬送路を通じて整列させながら供給先に供給するワーク供給装置であって、前記搬送路は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部を有し、前記溝部の溝幅は少なくとも二つのワークが搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、前記溝部は、隣接するワーク同士が付着している状態では各ワークが前記横断面において一点のみで溝面に接触し当該接触点以外の部位は溝面から浮いた状態になるような溝形状に設定されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、万一、隣接するワーク同士が付着しても各々のワークが横断面において一点のみで溝面に接触しこの接触点以外の部位は溝面から浮いた状態となるので、ワーク同士の付着部位が溝面から浮いた状態となり、かかる部位にワーク同士を分離する剥離力が自重によって働き、ワークの走行中に付着状態を解消することができる。しかも、従来の分離機構では、搬送路にあるワークのうち分離機構に至るワークのみに対して分離機能が発揮されるので、分離機能が限定的に発揮されるものであるが、本発明では、搬送路にある全てのワークに対して分離機能が発揮されるので、分離機能を持続的に全てのワークに対して発揮でき、分離能力を装置全体で向上させることができる。
【0014】
ワークがある位置にかかわらず付着低減効果を均一に発揮させるとともに、ワークが搬送路に付着することを低減するためには、前記横断面における前記溝面は、中心点からの距離が一定である円弧に沿ったR形状をなしていることが好ましい。
【0015】
ワークの安定した供給を実現するとともに作りやすい搬送路を提供するためには、前記横断面における前記溝面は、二つの平面を所定角度で交叉させたV字状をなしていることが効果的である。
【0016】
ワークの移動経路が螺旋状になるボウルフィーダを始めとする供給装置に好適に適用するためには、前記ワークの移動経路が当該ワークを収容するボウルの内周に沿って螺旋状を描き、前記搬送路のうち複数のワークが並走する状態を許容する位置に上記溝形状をなす溝部が設けられていることが望ましい。
【0017】
ワークの移動経路が直線状になるリニアフィーダを始めとする供給装置に好適に適用するためには、前記ワークの移動経路が直線状をなし、前記搬送路のうち複数のワークが並走する状態を許容する位置に上記の溝形状をなす溝部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明した構成であるから、搬送路を構成する溝部の形状によって隣接するワーク同士の相対角度が所定角度以上に保たれるので、少なくとも相対角度がほとんどない状態を避けてワーク同士の面接触による強固な付着状態を回避し、ワーク同士の付着を低減することが可能となるとともに、ワークに応じた所定角度を設定することでワーク同士の付着を未然に防止することが可能となる。このように、かかるワーク同士の付着を低減し又は防止する措置を始めとしてワーク同士が付着する問題に適切に対処することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク供給装置を模試的に示す平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同ワーク供給装置を一部を破断して模式的に示す正面図。
【図4】同ワーク供給装置が供給対象とするワークを模式的に示す斜視図。
【図5】隣接するワーク同士が付着していない状態における図2に示すP部拡大図及びQ部拡大図。
【図6】隣接するワーク同士が付着している状態における図2に示すP部拡大図及びQ部拡大図。
【図7】ワーク同士の相対角度と曲率半径との関係を示す説明図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る溝部断面図及びボウル平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るワーク供給装置を、図面を参照して説明する。
【0021】
ワーク供給装置は、供給対象物として図4(a)に模式的に示す電子部品等のワークWを振動により移動させて所望の供給先に供給する装置であり、図3に示すように、サイドビューLEDやトップビューLED等の電子部品を収容し整列供給するためのボウル1と、このボウル1を支持する支持手段2と、このボウル1に振動を発生させるための電磁駆動部3とを備えている。
【0022】
支持手段2は、一部を破断して図3に模式的に示すように、ボウル1の底部が取り付けられた可動ブロック21と、防振ゴム22aを介して床面に設置される固定ブロック22と、可動ブロック21と固定ブロック22とを連結する板バネ等の連結部23とを有し、可動ブロック21を介してボウル1を可動に支持するものである。
【0023】
電磁駆動部3は、可動ブロック21と固定ブロック22との間に構成され、両ブロック21、22間に電磁吸引力を作用させてボウル1に振動を発生させるものである。具体的には、鉄芯にコイル31aを巻回して構成される電磁石31が固定ブロック22に取り付けられ、可動コア32が電磁石31に対向した状態で可動ブロック21に取り付けられており、コイル31aに対して通電することにより、ボウル1に対して振動を発生させ、この結果、図1に示すようにボウル1内に収納されたワークWがボウル1に形成された搬送路11に沿って移動することになる。
【0024】
図1及び図2に示すように、ボウル1は、平面視ほぼ円形の鉢状をなし、中央部から周縁部へ向けて下向きに傾斜する底面12が多数のワークWを無秩序の姿勢で貯留する貯留部Chに設定されており、さらに、径方向外側へ向かって若干下向き傾斜に設けられるトラックと称される搬送路11が、底面12の周縁部の一部位を起点11sとして周壁13に沿って登り傾斜のスパイラル状に形成されている。この搬送路11はワークWの移動経路となり、振動によってワークWが受ける搬送力のうち径方向外側へ向かう力と搬送路11の傾斜によってワークWは周壁13に接しながら上流側の貯留部Chから下流側の供給先である搬送路出口11eに向けて搬送される。この搬送路11には、図示しない既知のワーク整列手段が種々設けられており、ワーク整列手段によって所定姿勢であるワークWのみが下流側に導かれ、所定姿勢でないワークWが隣接する搬送路11のうち上流側にある搬送路11や貯留部Chに落下して、搬送路出口11eから所定姿勢でワークWが一つずつ供給されるように構成されている。ここでは、なお、本実施形態では、搬送路出口11eにはリニアフィーダLFが接続されており、リニアフィーダLFに対してワークWを整列供給している。
【0025】
ここで、本実施形態において供給対象となるワークWは、図4(a)に示すように、全体形状が略直方体をなすサイドビューLEDと呼ばれる微小な電子部品であり、実装面Waに電極Wbが配置されて、実装面Waに対する側面Wcに発光面Wdが形成されている。この発光面Wdには、粘着性を有する樹脂が塗布又は封止されて形成されているため、ワークW同士が隣接するとその粘着力で容易に結合してしまう。一旦結合してしまうとワークW同士は振動では分離されず、搬送路11を移動した後に上記ワーク整列手段の選別により貯留部Chに戻され、再び搬送路11を移動してワーク整列手段に至り、再び貯留部Chに戻されるという悪循環を繰り返すようになる。ボウル1に投入される全てのワークWのうち結合したワークWが多くなる程、搬送路出口11eから供給されるワークWの数が減るので、供給能力の低下を招来するという不具合が生じる。
【0026】
そこで、本実施形態では、図2及び図5(a)に示すように、上記スパイラル形状の搬送路11に搬送方向に直交する横断面が凹状をなす溝部41を設け、その溝部41の溝幅Dを少なくとも二つのワークW(W1、W2)が搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定している。溝部41を構成する少なくとも一部の溝面41aは中心点Cnからの距離(曲率半径)が一定のRとなる円弧に沿ったR形状をなして走行面を構成している。そして、図5(a)に示すように、溝部41を走行する各々のワークW1、W2のうち一方のワークW1が上記横断面において溝面41aに少なくとも二点G、Gで接触し、他方のワークW2が上記横断面において溝面41aに少なくとも二点G、Gで接触している場合、すなわち隣接するワーク同士W1、W2が付着(結合)していない状態では、隣接するワーク同士W1、W2の相対角度θが所定角度以上に保たれるように溝面41aの溝形状が設定されている。
【0027】
さらに、図6(a)に示すように、この溝部41に付着した状態のワーク同士W5、W6がある場合には、各々のワークW5、W6それぞれが上記横断面において溝面41aに一点G、G10のみで接触し、その接触点G、G10以外の部位が溝面41aから浮いた状態となるように溝面41aの溝形状が設定されている。このように構成すると、ワーク同士W5、W6の付着部位attが溝面41aから浮いた状態となり、かかる付着部位attに対してワーク同士W5、W6を分離する剥離力Fがワークの自重によって働くことになる。
【0028】
一方、図1に示すように、多数のワークWが投入される貯留部Chにおいてもワーク同士の付着を防止するために、本実施形態では、図1及び図2に示すように、貯留部Chを構成する底面12に、底面12の中央部の一部位を起点12Tsとして搬送路11の起点11s近傍に至るまでワークWが走行する搬送路12Tを下り傾斜のスパイラル状に形成している。
【0029】
この搬送路12Tも上記搬送路11と同様に、図2及び図5(b)に示すように、搬送路12Tに搬送方向に直交する横断面が凹状をなす溝部42を設け、その溝部42の溝幅Dを少なくとも二つのワークW(W3、W4)が搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定している。溝部42を構成する溝面42aは複数の曲面のみからなる形状に形成されている。溝面42aを構成する曲面のうち隣接する曲面の曲率半径は互いに異なるように設定されている。そして、上記と同様に、図5(b)に示すように、溝部42を走行する各々のワークW3、W4のうち一方のワークW3が上記横断面において溝面42aに少なくとも二点G、Gで接触し、他方のワークW4が上記横断面において溝面42aに少なくとも二点G、Gで接触している場合、すなわち隣接するワーク同士W3、W4が付着(結合)していない状態では、隣接するワーク同士W3、W4の相対角度θが所定角度以上に保たれるように溝面42aの溝形状が設定されている。
【0030】
さらに、図6(b)に示すように、この溝部42に付着した状態のワーク同士W7、W8がある場合には、各々のワークW7、W8それぞれが上記横断面において溝面42aに一点G11、G12のみで接触し、その接触点G11、G12以外の部位が溝面42aから浮いた状態となるように溝面42aの溝形状が設定されている。このように構成すると、上記と同様にワーク同士W7、W8の付着部位attに対してワーク同士W5、W6を分離する剥離力Fがワークの自重によって働くことになる。
【0031】
上記で述べたワークW同士の相対角度を所望の所定角度以上に保たれるように溝部41(42)の溝形状に中心点Cnからの距離が一定であるR形状を形成するためには、溝形状の曲率半径Rを以下のように算出して求める必要がある。
【0032】
すなわち、図7に示すように、ワークW同士の所望の相対角度をθとし、ワークWの幅をHとし、ワークWの厚みをTとした場合に、中心点Cnを原点とするXY座標においてワークWのうち2つの角部の位置[X,Y]、[X,Y]は以下のように表される。
[X,Y]=[H/2,(H/2)/tan(θ/2)]
[X,Y]=[H/2,(H/2)/{tan(θ/2)+T}]
そして、この角部の位置[X,Y]、[X,Y]から曲率半径Rを以下の式を用いて算出することができる。

【0033】
以上のように、本実施形態に係るワーク供給装置は、供給対象物であるワークWを搬送路11(12T)を通じて整列させながら供給先に供給するにあたり、搬送路11(12T)は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部41(42)を有し、溝部41(42)の溝幅D(D)は少なくとも二つのワークW1、W2(W3、W4)が搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、溝部41(42)は、各ワークW1、W2(W3、W4)がそれぞれ横断面において少なくとも二点GとG、GとG(GとG、GとG)で溝面41a(42a)に接触している状態では隣接するワーク同士W1、W2(W3、W4)の相対角度θ(θ)が所定角度以上に保たれるような溝形状に設定されている。
【0034】
このように、搬送路11を構成する溝部41に少なくとも二つのワークW1、W2が並走して隣接状態になり、且つ、各々のワークW1、W2がそれぞれ横断面において溝面41aに二点接触して安定した状態となることで隣接するワーク同士の付着を招来しやすい状態になっても溝部41の溝形状によって隣接するワーク同士W1、W2の相対角度θが所定角度以上に保たれるので、少なくとも相対角度がほとんど無い状態を避けてワーク同士の面接触による強固な付着状態を防止し、ワーク同士の付着を低減又は未然に防止することが可能となる。所定角度は、ワーク同士の間に作用する付着力の大きさに応じて適切な角度に設定すればよい。
【0035】
また、本実施形態に係るワーク供給装置は、供給対象物であるワークWを搬送路11(12T)を通じて整列させながら供給先に供給するにあたり、搬送路11(12T)は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部41(42)を有し、溝部41(42)の溝幅D(D)は少なくとも二つのワークW5、W6(W7、W8)が搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、溝部41(42)は、隣接するワーク同士W5、W6(W7、W8)が付着している状態では各ワークW5、W6(W7、W8)がそれぞれ横断面において一点G、G10(G11、G12)のみで溝面41a(42a)に接触しこの接触点G、G10(G11、G12)以外の部位は溝面41a(42a)から浮いた状態になるような溝形状に設定されている。
【0036】
このように、万一、隣接するワーク同士W5、W6が付着しても各々のワークW5、W6がそれぞれ横断面において一点G、G10のみで溝面41aに接触しこの接触点G、G10以外の部位は溝面41aから浮いた状態となるので、ワーク同士W5、W6の付着部位attが溝面41aから浮いた状態となり、かかる付着部位attにワーク同士W5、W6を分離する剥離力Fが自重によって働き、ワークの走行中に付着状態を解消することが可能となる。しかも、従来の分離機構では、搬送路にあるワークのうち分離機構に至るワークのみに対して分離機能が発揮されるので、分離機能が限定的に発揮されるものであるが、本発明では、搬送路11(12T)にある全てのワークWに対して分離機能が発揮されるので、分離機能を持続的に全てのワークWに対して発揮でき、分離能力を装置全体で向上させることが可能となる
【0037】
さらに、本実施形態では、搬送方向に直交する横断面における溝面41aの少なくとも一部は、中心点Cnからの距離が一定のRである円弧に沿ったR形状をなしているので、ワークW同士がR形状のどの位置で接しても同じ相対角度が得られるので、ワークがある位置にかかわらず付着低減効果を均一に発揮させることが可能となる。しかも、ワーク単体で走行する際にもワークWの底部の大半が溝面41a(42a)から浮くので、ワークWが搬送路11(12T)に付着することを低減することが可能となる。
【0038】
加えて、本実施形態では、ワークWの移動経路がワークWを収容するボウル1の内周に沿って螺旋状を描き、搬送路11(12T)のうち複数のワークWが並走する状態を許容する位置に上記溝形状をなす溝部41(42)が設けられているので、ワークWの移動経路が螺旋状になるボウルフィーダを始めとする供給装置に好適に適用することが可能となる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0040】
例えば、本実施形態では、溝部41の溝面41aのうちの一部が、中心点Cnからの距離が一定のRである円弧に沿ったR形状をなしているが、溝面全体をR形状に形成してもよい。
【0041】
さらに、図8(a)に示すように、搬送路を構成する溝部141を、少なくとも二つの平面141a、141bを0度以外の所定角度で交差させたV字状をなすように、その溝形状を形成してもよい。このようにすると、搬送路を構成する溝部141が作りやすくなるとともに、ワークWが単体で走行する際にもワークが搬送路を構成する溝部141に沿って暴れずに安定して供給させることが可能となる。
【0042】
さらにまた、本実施形態では、ワークWの移動経路が螺旋状となるボウルフィーダ等の供給装置に適用しているが、ワークWの移動経路を直線状とし、搬送路のうち複数のワークWが並走する状態を許容する位置に上記の溝形状をなす溝部を設けると、ワークWの移動経路が直線状になるリニアフィーダを始めとする供給装置に好適に適用することが可能となる。
【0043】
加えて、図8(b)に示すように、ボウル1の底面12に形成されるスパイラル状の搬送路12Tの代わりに、搬送路112Tを貯留部Chの中央部から貯留部Chの周縁部に向けて放射状に形成してもよい。このように、螺旋状の搬送路11と直線状の搬送路12Tとを組み合わせることも可能である。また、搬送路を走行するワークの移動経路は、螺旋状や直線状をなしているが、これに限定されるものではなく、波状等のその他の形状であってもよい。
【0044】
その他、上記の実施形態では、供給対象物としてサイドビューLEDを例として述べたが、供給対象物たるワークWはサイドビューLEDに限られるものではない。例えば実装面に対する対向面に発光面が形成されるトップビューLEDでもよく、その他のLEDでもよい。さらには、供給の過程でワーク同士が結合するものであれば、LED等の電子部品に限定されるものではなく、例えば食品等を供給対象としてもよい。ワーク同士の結合の原因も粘着性や帯電を原因とするものに限定されるものではない。また、さらには、電磁駆動部は、電磁コイルを用いて電磁吸引力を作用させて振動させる例を述べたが、圧電素子を用いて、電歪によって振動を発生させるものでもよい。
【0045】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
W、W1〜W8…ワーク
11、12T、112T…搬送路
41、42、141…溝部
41a、41a…溝面
、D…溝幅
〜G12…接触点
θ、θ…ワーク同士の相対角度
141a、141b…V字状溝部を構成する平面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給対象物であるワークを搬送路を通じて整列させながら供給先に供給するワーク供給装置であって、
前記搬送路は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部を有し、前記溝部の溝幅は少なくとも二つのワークが搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、前記溝部は、各ワークが前記横断面において少なくとも二点で溝面に接触している状態では隣接するワーク同士の相対角度が所定角度以上に保たれるような溝形状に設定されていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
供給対象物であるワークを搬送路を通じて整列させながら供給先に供給するワーク供給装置であって、
前記搬送路は、搬送方向と直交する横断面が凹状をなす溝部を有し、前記溝部の溝幅は少なくとも二つのワークが搬送方向に向かって並走する状態を許容する寸法に設定されており、前記溝部は、隣接するワーク同士が付着している状態では各ワークが前記横断面において一点のみで溝面に接触し当該接触点以外の部位は溝面から浮いた状態になるような溝形状に設定されていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項3】
前記横断面における前記溝面は、中心点からの距離が一定である円弧に沿ったR形状をなしている請求項1又は2に記載のワーク供給装置。
【請求項4】
前記横断面における前記溝面は、二つの平面を所定角度で交叉させたV字状をなしている請求項1又は2に記載のワーク供給装置。
【請求項5】
前記ワークの移動経路が当該ワークを収容するボウルの内周に沿って螺旋状を描き、前記搬送路のうち複数のワークが並走する状態を許容する位置に上記溝形状をなす溝部が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のワーク供給装置。
【請求項6】
前記ワークの移動経路が直線状をなし、前記搬送路のうち複数のワークが並走する状態を許容する位置に上記の溝形状をなす溝部が設けられている請求項1〜4のいずかに記載のワーク供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−184156(P2011−184156A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52801(P2010−52801)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】