ワーク搬送装置
【課題】搬送テーブルに設けられた各連通溝内に混入する異物を容易に除去すること。
【解決手段】ワーク搬送装置1Aはテーブルベース1と、テーブルベース1上に回転自在に設けられ外周にワークWを収納する複数のワーク収納孔4を有する搬送テーブル2とを備えている。搬送テーブル2のテーブルベース1側の面に各ワーク収納孔4から半径方向内方へ向かって延びる連通溝8が形成されている。各連通溝8はワーク収納孔4側に底面をもち搬送テーブル2の半径方向内方側に頂点8yをもつ三角錐形状を有する。
【解決手段】ワーク搬送装置1Aはテーブルベース1と、テーブルベース1上に回転自在に設けられ外周にワークWを収納する複数のワーク収納孔4を有する搬送テーブル2とを備えている。搬送テーブル2のテーブルベース1側の面に各ワーク収納孔4から半径方向内方へ向かって延びる連通溝8が形成されている。各連通溝8はワーク収納孔4側に底面をもち搬送テーブル2の半径方向内方側に頂点8yをもつ三角錐形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ形電子部品等のワークを搬送するとともに連通溝を有するワーク搬送装置に係り、とりわけ連通溝内に溜まる異物を容易に排出することができるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ形電子部品等のワークを搬送するワーク搬送装置として、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に配置され外周にワークを収納する複数のワーク収納孔を有する円形の搬送テーブルとを備えたものが知られている。
【0003】
このようなワーク搬送装置において、搬送テーブルのテーブルベース側の面に各ワーク収納孔から半径方向内方へ延びる連通溝が形成されている。
【0004】
またテーブルベースには、搬送テーブルに設けられた連通溝に連通する圧縮エア機構または真空機構が連結されている。
【0005】
このようなワーク搬送装置において、ワークが搬送テーブルのワーク収納孔に収納され、ワーク収納孔内のワークは連通溝に連通する真空機構により吸着保持される。このように真空機構により吸着保持されたワークは、搬送テーブルの回転に伴って搬送される。
【0006】
ところで、ワーク搬送中に連通溝内に異物が混入することがある。このような連通溝内の異物を除去するため、搬送テーブルの連通溝を圧縮エア機構に連通させ、圧縮エア機構から送られる圧縮エアにより連通溝内の異物を除去している。
【0007】
しかしながら、圧縮エア機構からの圧縮エアによって搬送テーブルの連通溝内に混入した異物を除去することは容易ではなく、連通溝内に異物が残ってしまい、この場合はその後のワークの吸着時に真空機構によりワークを十分に吸着できないことも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ワークの搬送中に搬送テーブルの連通溝内に混入する異物を容易かつ確実に除去することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する複数のワーク収納孔を有する円形の搬送テーブルとを備え、搬送テーブルのテーブルベース側の面に、各ワーク収納孔から半径方向内方へ向かって延びる連通溝が形成され、各連通溝はワーク収納孔側に底面をもち、搬送テーブルの半径方向内方側に頂点をもつ三角錐形状を有することを特徴とするワーク搬送装置である。
【0010】
本発明は、各連通溝は、搬送テーブル上の2側面と、開口する側面とを有することを特徴とするワーク搬送装置である。
【0011】
本発明は、各連通溝の頂点は、搬送テーブルのテーブルベース側の面上にあることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0012】
本発明は、テーブルベースの搬送テーブル側の面に、各連通溝に連通する複数の凹部を設けたことを特徴とするワーク搬送装置である。
【0013】
本発明は、テーブルベースの一の凹部は、圧縮エア機構に連通することを特徴とするワーク搬送装置である。
【0014】
本発明は、テーブルベースの他の凹部は、真空機構に連通することを特徴とするワーク搬送装置である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、搬送テーブルに各ワーク収納孔から半径方向内方へ延びる連通溝が設けられ、この連通溝はワーク収納孔側に底面をもち、搬送テーブルの半径方向内方側に頂点をもつ三角錐形状を有するので、連通溝内の異物を半径方向外方に向かう圧縮エア噴出により容易に、しかも確実に排出できるようにする効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明によるワーク搬送装置を示す外観図。
【図2】図2(a)はワークが収納されていないワーク収納孔の拡大図、図2(b)はワークが収納されたワーク収納孔の拡大図。
【図3】図3は搬送テーブルを取り外したときのテーブルベースの表面を示す外観図。
【図4】図4はテーブルベースに設けられた真空通路および分岐通路を示す拡大図。
【図5】図5はテーブルベースに設けられた圧縮エア噴出口および圧縮エア通路を示す拡大図。
【図6】図6は搬送テーブルの裏面を示す図。
【図7】図7はワーク収納孔と連通溝を示す拡大図。
【図8】図8は図1における矢印B方向からみた透視図。
【図9】図9は図1、図3および図6における領域Rの拡大透視図。
【図10】図10は図9におけるX−X’矢視図。
【図11】図11は図1、図3における領域Sの拡大透視図。
【図12】図12は図11におけるY−Y’矢視図。
【図13】図13は図9において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図14】図14は図10において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図15】図15は図11において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図16】図16は図12において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図17】図17は比較例としてのワーク搬送装置の外観図。
【図18】図18は比較例としてのワーク収納孔の拡大図。
【図19】図19は比較例としての搬送テーブルを取り外したときのテーブルベースの表面を示す外観図。
【図20】図20は比較例としての真空通路および分岐通路の拡大図。
【図21】図21は比較例としての圧縮エア噴出口の拡大図。
【図22】図22は比較例としての搬送テーブルの裏面を示す図。
【図23】図23は比較例としてのワーク収納孔と連通溝の拡大図。
【図24】図24は図17における矢印B方向からの透視図。
【図25】図25は図17、図19および図22における領域Rの拡大透視図。
【図26】図26は図25におけるX−X’矢視図。
【図27】図27は図17および図19における領域S’の拡大透視図。
【図28】図28は図27におけるY−Y’矢視図。
【図29】図29は図25において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図30】図30は図26において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図31】図31は図27において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図32】図32は図28において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図33】図33(a)(b)は本発明のワーク搬送装置の変形例を示すワーク収納孔の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1乃至図16は本発明によるワーク搬送装置の一実施の形態を示す図である。
【0019】
図1乃至図3に示すように、ワーク搬送装置1Aは垂直方向に配置されたテーブルベース1と、テーブルベース1上に回転自在に配置され外周にワークWを収納する複数のワーク収納孔4を有する円形の搬送テーブル2とを備えている。
【0020】
また搬送テーブル2のテーブルベース1側の裏面2aに、各ワーク収納孔4から半径方向内方へ向かって延びる細長状の連通溝8が形成されている(図6参照)。
【0021】
ここで図2(a)に示すように、搬送テーブル2のワーク収納孔4は搬送テーブル2を直交する方向からみた場合にV字形状を有している。
【0022】
また図1に示すように、搬送テーブル2は、図示されない駆動機構の作用により中心軸3の周囲に時計まわり(矢印Aの方向)に間歇回転する。また搬送テーブル2のワーク収納孔4は連通溝8によって真空機構6Aに連通され、真空機構6Aによる真空吸引によってワークWを吸着保持する(図8参照)。
【0023】
ここで図1の領域Pにおけるワーク収納孔4の拡大図を図2(a)に示す。また、ワーク収納孔4によりワークWが吸着保持されている様子を図2(b)に示す。
【0024】
図2(a)に示すように、搬送テーブル2のワーク収納孔4は搬送テーブル2の外側に向けて開口し、その形状はV字形となっている。ワーク収納孔4のうち、テーブルベース1側の面には連通溝8の開口部8xが開口しており、開口部8xの形状は三角形となっている。
【0025】
この開口部8xは上述した真空機構6Aに連通し、ワーク収納孔4の真空吸引によりワークWが吸着保持される。
【0026】
ワーク収納孔4がワークWを吸着保持している様子を、図2(b)に示す。図2(b)において、ワークWの形状は6面体となっており、長手方向両端に電極Wa,Wbを有する。ワークWは長手方向が搬送テーブル2の厚さ方向に沿うように、ワーク収納孔4に吸着保持される。
【0027】
搬送テーブル2を取り外したときのテーブルベース1の搬送テーブル2側の表面1aの外観を図3に示す。図3において、二点鎖線Tは搬送テーブル2の外形を表す。テーブルベース1の表面1aには、搬送テーブル2の外形Tよりも内側に円弧形状の溝として形成された真空通路5が設けられている。
【0028】
テーブルベース1の表面1aに形成された真空通路5は、中心軸3の半径方向内方に向かって延びる5つの分岐通路5aを有し、各分岐通路5aはテーブルベース1内に形成された円形の吸引孔6に接続される。吸引孔6はテーブルベース1を貫通して、真空機構6Aに連通している。
【0029】
ここで図4により、図3の領域Qにおける真空通路5と分岐通路5aの拡大図を示す。図4に示すように、真空通路5および分岐通路5aは、テーブルベース1の表面1aに凹部状に形成されている。
【0030】
また、図3に示すように、テーブルベース1の表面1aには、真空通路5が形成する円弧をその一部とする仮想円5xの円周上に圧縮エア噴出口7が形成されている。圧縮エア噴出口7はテーブルベース1を貫通して、圧縮エア機構7Aに連通している(図12参照)。また、圧縮エア噴出口7からテーブルベース1の表面1aにおける搬送テーブル2の外形Tまでの部分には、圧縮エア通路7aが形成されている。
【0031】
ここで図3の領域Sにおける、圧縮エア噴出口7および圧縮エア通路7aの拡大図を図5に示す。図5に示すように、圧縮エア通路7aはテーブルベース1の表面1aに対して凹部状に形成されている。
【0032】
図6は搬送テーブル2の裏面2aを示す図である。図6に示すように、搬送テーブル2の裏面2aには、上述のように各ワーク収納孔4から搬送テーブル2の中心3aに向かって半径方向内方へ延びる連通溝8が形成されている。ここで搬送テーブル2の中心3aは、図1に示す搬送テーブル2の中心軸3に一致している。
【0033】
次にワーク収納孔4と連通溝8の拡大図を図7に示す。図7は図6における領域Rを、搬送テーブル2の裏面2aを上に向けて矢印C方向からみた斜視図である。図7に示すように、連通溝8はワーク収納孔4のV字形の角部に開口部8xを有し、この開口部8xを一端として、搬送テーブル2の中心3a方向に向かって半径方向内方へ延びている。開口部8xから中心3a方向をみた場合、連通溝8は解放された上面と側面8aおよび8bからなる三角形状をもつ。
【0034】
ここで連通溝8の側面8aおよび8bの境界線8Lは、開口部8xから中心3aに近づくにつれて徐々に搬送テーブル2の裏面2aに近づき、連通溝8の他端8yにおいて搬送テーブル2の裏面2a上に至る。すなわち、連通溝8の形状は、一端である開口部8xを底面とし、他端8yを頂点とする三角錐形状を有する。
【0035】
なお、搬送テーブル2の裏面2a上において、連通溝8の他端8yは中心3aを中心とした円周上に配置され、この円周は図3に示す仮想円5xと同心円となっている。このため連通溝8は搬送テーブル2の間歇回転に伴い、真空通路5と圧縮エア噴出口7に連通するようになっている。
【0036】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0037】
まず図1において、搬送テーブル2が間歇回転する。このことにより空のワーク収納孔4が位置N1に到達すると、図示されないフィーダにより搬送テーブル2に向けて搬送されたワークWがワーク収納孔4に収納される。
【0038】
この場合、図3および図7に示すように、位置N1においてテーブルベース1の表面1aに真空通路5が形成されているので、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yが真空通路5に連通する。上述のように真空通路5は分岐通路5a、吸引孔6を経由して真空機構6Aに連通しているので、ワーク収納孔4に収納されたワークWは真空機構6Aによる真空吸引によって吸着保持される。
【0039】
次に搬送テーブル2は、図1の矢印A方向に更に間歇回転する。このことにより、ワーク収納孔4に収納されたワークWは、真空吸引によって吸着保持された状態で、図1および図3に示す搬送テーブル2の範囲M内を搬送される。この搬送テーブル2の範囲Mにおいて、図示されない検査手段によってワークWに対して検査が実施される。
【0040】
ワークWに対する検査の例として、カメラ等を使用した外観検査や、図2(b)に示した電極WaおよびWbにプローブを当接させて測定器等に接続する電気的特性検査がある。
【0041】
次に搬送テーブル2の範囲Mにおいて、ワーク収納孔4に収納されたワークWが真空吸引される様子を図8乃至図10を用いて説明する。図8は、図1における矢印B方向からみた透視図である。
【0042】
図8に示すように、テーブルベース1の表面1aに形成された真空通路5は吸引孔6を経由して真空機構6Aに連通しているため、矢印Jの方向に真空吸引が行われる。ここで図9はテーブルベース1側から搬送テーブル2の裏面2aをみたときの領域R(図1、図3および図6参照)の拡大透視図であり、図10は図9におけるX−X’矢視図である。
【0043】
図9および図10において、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yは、テーブルベース1の表面1aに形成された真空通路5よりも搬送テーブル2の中心3aに近い側に位置している。このため、連通溝8は真空通路5、分岐通路5aおよび吸引孔6を経由して真空機構6Aに連通され、図9および図10において、ワーク収納孔4に収納されたワークWは、開口部8xから他端8yに向けて矢印Jの向きに真空吸引されて吸着保持される。
【0044】
上述のように、ワークWは図1および図3に示す搬送テーブル2の範囲M内を搬送され、この間ワークWに対する検査が行われる。次に検査が終了したワークWは、図1および図3の位置N2に到達する。
【0045】
図3に示すように、位置N2においてはテーブルベース1の表面1aに真空通路5が形成されていないため、ワーク収納孔4に収納されたワークWは吸着保持されない状態となる。ワークWは位置N2において、図示されない吸引手段により図1および図3の矢印Dの方向に吸引されて、ワーク収納孔4から取り外される。
【0046】
空になったワーク収納孔4は、搬送テーブル2の間歇回転により、図1および図3の位置Sに到達する。位置Sにおいて、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yは、テーブルベース1の表面1aに形成された圧縮エア噴出口7に連通する。
【0047】
この様子を図11および図12を用いて説明する。ここで図11はテーブルベース1側から搬送テーブル2の裏面2aをみたときの領域S(図1および図3)の拡大透視図である。また、図12は図11におけるY−Y’矢視図である。
【0048】
図11および図12において、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yは、テーブルベース1の表面1aに形成された圧縮エア噴出口7の内部に位置している。また、圧縮エア噴出口7からテーブルベース1の表面1aにおいて、搬送テーブル2の外形Tまでの部分には、連通溝8に並行して圧縮エア通路7aが形成されている。このため、連通溝8は圧縮エア通路7aおよび圧縮エア噴出口7を経由して圧縮エア機構7Aに連通し、他端8yから開口部8xに向けて矢印Kの向きに圧縮エアが噴出され、真空吸引の際に連通溝8内に紛れ込んだ塵埃等の異物が開口部8xから外部に排出される。
【0049】
このように連通溝8の内部を清掃することによって真空吸引力の低下を防止し、再び図1および図3の位置N1に到達したワーク収納孔4に、新しいワークWが収納される。
【0050】
次に連通溝8内に混入された異物Fについて説明する。図13乃至図16は、それぞれ図9乃至図12に対応しており連通溝8内に異物Fが紛れ込んだ状態を示す。
【0051】
連通溝8内に混入する異物Fは微小な塵埃等であり、これが連通溝8内に混入する原因は2通りある。まず第1は、図1および図3の位置N1においてワークWがワーク収納孔4に収納される際に、図10において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、異物FがワークWよりも先に開口部8xから連通溝8内に吸い込まれることがある。第2に、ワーク収納孔4が位置N1においてワークWを収納することなく、空の状態で図1および図3に示す搬送テーブル2の範囲Mを移動することがあり、その際に、同様に図10において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、開口部8xから連通溝8内に吸い込まれることがある。
【0052】
図13に示すように、異物Fは連通溝8の2方向を囲む側面8aおよび8bに当接するとともに、図14に示すように、テーブルベース1の表面1aにも当接している。このように異物Fは3面に当接しているため、各面8a,8b,1aと異物Fとの間に大きな摩擦力が発生し、矢印Jのような真空吸引が行われても異物Fは連通溝8内に停留した状態となる。この状態で搬送テーブル2の間歇回転により、ワーク収納孔4が図1および図3の位置N2に到達すると、上述のようにワークWはワーク収納孔4から取り外され、さらに搬送テーブル2の間歇回転により、ワーク収納孔4は図1および図3の位置Sに到達する。
【0053】
このとき、図15および図16に示すように、圧縮エア噴出口7から矢印Kの向きに圧縮エアが噴出される。この場合、図16に示すように、位置Sにおいては、連通溝8のテーブルベース1の表面1a側には圧縮エア通路7aが凹部状に形成されており、異物Fのテーブルベース1の表面1a側は開口側面となる。すなわち、位置Sにおいて連通溝8内の異物Fは側面8aおよび8bの2面だけに当接しているため、当接面8a,8bとの間の摩擦力が小さくなる。さらに、上述のように連通溝8の形状は開口部8xを底面とする三角錐形をもつため、圧縮エア噴出口7から噴出される圧縮エアの向きである矢印Kの方向に沿って、連通溝8の断面積が次第に大きくなる。このため、異物Fは圧縮エアの作用により、図15および図16における連通溝8内の停留位置であるF0の位置から容易に離れて開口部8xに向けて移動し、搬送テーブル2の外部に矢印K’のように排出される。
【0054】
なお、上記実施の形態においては、ワーク収納孔4の形状をV字形として説明したが、ワーク収納孔4の形状はV字形に限定されるものではない。図33(a)に示すように、コの字形のワーク収納孔41に三角形の開口部81xを形成し、図33(b)のようにワークWを真空吸引により吸着保持してもよい。
【0055】
また上記実施の形態においては、テーブルベース1の表面1aに凹部状に形成された圧縮エア通路7aが圧縮エア機構7Aに連通し、搬送テーブル2のワーク収納孔4は圧縮エア通路7aに連通溝8を介して連通され、連通溝8内の異物Fを圧縮エアの噴射によりワーク収納孔4から排出する例を示したが、これに限らずテーブルベース1の表面1aに形成された凹部内に小型の清掃ブラシを設置し、この清掃ブラシをモータ等の駆動手段により動作させて連通溝8内の異物Fをワーク収納孔4から排出してもよい。
【0056】
また本実施の形態においては、図2(b)に示すように、ワークWの長手方向両端に2個の電極WaおよびWbが形成されているとして説明したが、ワークの電極が形成される位置は長手方向両端に限定されるものではなく、ワークW1個当たりの電極の個数も2個に限定されるものではない。
【0057】
また本実施の形態においては、テーブルベース1および搬送テーブル2が垂直に設置されている例を説明したが、本発明は、テーブルベース1および搬送テーブル2が水平に設置されている場合や、傾斜して設置されている場合にも適用することができる。
【0058】
次に本発明の比較例について図17乃至図32により説明する。
【0059】
図17乃至図32において、図1乃至図16と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0060】
図17に示す比較例において、ワーク搬送装置10Aは、垂直方向に固定されたテーブルベース10と、テーブルベース10に回転自在に設けられた円形の搬送テーブル20とを備えている。
【0061】
搬送テーブル20は、図示されない駆動機構の作用により中心軸3の周囲に時計まわり(矢印Aの方向)に間歇回転する。搬送テーブル20の外周にはワーク収納孔40が等間隔に形成されている。ワーク収納孔40は後述する連通溝によって図示されない真空機構に連通し、真空吸引によりワークWを吸着保持する。
【0062】
図17に示す領域Pにおけるワーク収納孔40の拡大図を図18(a)に示す。また、ワーク収納孔40が真空吸引によりワークWを吸着保持している様子を図18(b)に示す。図18(a)に示すように、ワーク収納孔40は搬送テーブル20の外側に向けて開口し、その形状はV字形である。ワーク収納孔40において、図17における搬送テーブル20に対向するテーブルベース10の表面10a側の端部には後述する連通溝の開口部80xが開口しており、開口部80xの形状は長方形である。この開口部80xは図示されない真空機構に連通し、ワーク収納孔40は真空吸引によりワークWを吸着保持する。
【0063】
ワーク収納孔40がワークWを吸着保持している様子を、図18(b)に示す。図18(b)において、ワークWの形状は6面体であり、長手方向両端に電極Wa,Wbを有する。ワークWは長手方向が搬送テーブル20の厚さ方向に沿うように、ワーク収納孔40に吸着保持される。
【0064】
搬送テーブル20を取り外したときのテーブルベース10の表面10aの外観を図19に示す。図19において、二点鎖線Tは搬送テーブル20の外形を表す。テーブルベース10の表面10aには、搬送テーブル20の外形Tよりも内側に円弧形状の溝として真空通路5が形成されている。
【0065】
真空通路5には図17に示す中心軸3の方向へ延びる5つの分岐通路5aが接続され、各分岐通路5aはテーブルベース10内に形成された円形の吸引孔6に接続されている。吸引孔6はテーブルベース10を貫通して、図示されない真空機構に連通している。
【0066】
図19の領域Qにおける真空通路5、分岐通路5aおよび吸引孔6の拡大図を図20に示す。
【0067】
図20に示すように、真空通路5、分岐通路5aはテーブルベース10の表面10aに対して凹部状に形成されている。また、図19に示すように、テーブルベース10の表面10aには、真空通路5が形成する円弧をその一部とする仮想円5xの円周上に圧縮エア噴出口7が形成されている。圧縮エア噴出口7はテーブルベース10を貫通して、図示されない圧縮エア機構に連通している。図19の領域S’における圧縮エア噴出口7の拡大図を図21に示す。
【0068】
図22は搬送テーブル20のテーブルベース10側の裏面20aを示す図である。搬送テーブル20の裏面20aには、各ワーク収納孔40から搬送テーブル20の中心3aに向かって連通溝80が形成されている。
【0069】
ここでワーク収納孔40と連通溝80の拡大図を図23に示す。図23は図22における領域Rを、搬送テーブル20の裏面20aを上に向けて矢印C方向からみた斜視図である。連通溝80はワーク収納孔40のV字形の角部に開口部80xを形成し、この開口部80xを一端として、搬送テーブル20の中心3a方向に延びている。
【0070】
開口部80xから中心3a方向をみた断面は、解放された上面と側面80aおよび80bと底面80cとからなる長方形である。連通溝80の底面80cは、開口部80xから中心3aに近づくにつれて徐々に搬送テーブル20の裏面20aに近づき、連通溝80の他端80yにおいて搬送テーブル20の裏面20aに至る。搬送テーブル20の裏面20a上において、連通溝80の他端80yは中心3aを中心とした円周上に配置され、この円周は図19に示す仮想円5xと同心円の関係にある。すなわち、連通溝80は搬送テーブル20の間歇回転に伴い、真空通路5および圧縮エア噴出口7に連通するようになっている。
【0071】
このような比較例としてのワーク搬送装置の動作について以下説明する。図17において、搬送テーブル20の間歇回転により空のワーク収納孔40が位置N1に到達すると、図示されないフィーダにより搬送テーブル20に向けて搬送されたワークWがワーク収納孔40に収納される。
【0072】
図19によれば、位置N1においてテーブルベース10の表面10aに真空通路5が形成されているので、図23に示す搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yは真空通路5に連通する。真空通路5は分岐通路5a、吸引孔6を経由して図示されない真空機構に連通しているので、ワーク収納孔40に収納されたワークWは真空吸引によって吸着保持される。次に、搬送テーブル20は図17の矢印Aの方向に間歇回転し、ワーク収納孔40に収納されたワークWは、真空吸引によって吸着保持された状態で図17および図19の範囲M内を搬送される。
【0073】
次にこの範囲Mにおいて、図示されない検査手段によってワークWに対する検査が実施される。検査の例として、カメラ等を使用した外観検査や、図18(b)に示した電極WaおよびWbにプローブを当接させて測定器等に接続する電気的特性検査がある。範囲Mにおいて、ワーク収納孔40に収納されたワークWが真空吸引される様子を図24乃至図26を用いて説明する。図24は、図17における矢印B方向からの透視図である。テーブルベース10の表面10aに形成された真空通路5は吸引孔6を経由して図示されない真空機構に連通し、矢印Jの方向に真空吸引が行われる。このとき、テーブルベース10側から搬送テーブル20の裏面20aをみたときの、図17、図19および図22における領域Rの拡大透視図を図25に示す。また、図25におけるX−X’矢視図を図26に示す。
【0074】
図25および図26において、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yの位置は、テーブルベース10の表面10aに形成された真空通路5から図22に示す中心3aにやや近い側にある。このため、連通溝80は図19に示す真空通路5、分岐通路5a、吸引孔6を経由して図示されない真空機構に連通し、図25および図26において、ワーク収納孔40に収納されたワークWは、開口部80xから他端80yに向けて矢印Jの向きに真空吸引されて吸着保持される。
【0075】
図17および図19に示す範囲M内を搬送されながら検査を終了したワークWは、図17および図19の位置N2に到達する。図19に示すように、位置N2においてはテーブルベース10の表面10aに真空通路5が形成されていないため、ワーク収納孔40に収納されたワークWは吸着保持されない状態となる。ワークWは位置N2において、図示されない吸引手段により図17および図19の矢印Dの方向に吸引されて、ワーク収納孔40から取り外される。
【0076】
空になったワーク収納孔40は、搬送テーブル20の間歇回転により、図17および図19の位置S’に到達する。位置S’において、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yは、テーブルベース10の表面10aに形成された圧縮エア噴出口7に連通する。
【0077】
この様子を図27および図28を用いて説明する。テーブルベース10側から搬送テーブル20の裏面20aを見たときの、図17、図19における領域S’の拡大透視図を図27に示す。また、図27におけるY−Y’矢視図を図28に示す。
【0078】
図27および図28において、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yの位置は、テーブルベース10の表面10aに形成された圧縮エア噴出口7の内部にある。このため、連通溝80は圧縮エア噴出口7を経由して図示されない圧縮エア機構に連通し、他端80yから開口部80xに向けて矢印Kの向きに圧縮エアが噴出され、真空吸引の際に連通溝80内に紛れ込んだ塵埃等の異物が開口部80xから外部に排出される。このように連通溝80の内部を清掃することによって真空吸引力の低下を防止し、再び図17および図19の位置N1に到達したワーク収納孔40に、新しいワークWが収納される。
【0079】
ここで、比較例としてのワーク搬送装置には以下の問題がある。ワークWは近年非常に小型化しており、図18(b)に示すWの長手方向の寸法は1mm以下、電極WaおよびWbからWの長手方向をみた断面の一辺の寸法は0.5mm程度のものが主流である。このため、ワーク収納孔40の寸法も小さくなり、それに伴って連通溝80の開口部80xの寸法も0.5mm程度に小さくなっている。
【0080】
このように、連通溝80の開口部80xの寸法が小さくなることによって、真空吸引の際に連通溝80内に紛れ込んだ塵埃等の微小な異物が、圧縮エア噴出口7から圧縮エアを噴出しても開口部80xから外部に排出されにくくなっている。
【0081】
この様子を図29乃至図32を用いて説明する。図29乃至図32は、それぞれ図25乃至図28において連通溝80内に異物Fが紛れ込んだ状態を示す。
【0082】
異物Fは微小な塵埃等であり、これが連通溝80内に紛れ込む原因は2通りある。1つ目の原因は、図17および図19の位置N1においてワークWがワーク収納孔40に収納される際に、図26において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、ワークWよりも先に開口部80xから連通溝80内に吸い込まれることである。2つ目の原因は、ワーク収納孔40が位置N1においてワークWを収納することなく、空の状態で図17および図19の範囲Mを移動することがあり、その際に、同様に図26において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、開口部80xから連通溝80内に吸い込まれることである。
【0083】
異物Fは図29に示すように、連通溝80の周囲3方向を囲む側面80aおよび80bと底面80cに当接するとともに、図30に示すように、テーブルベース10の表面10aにも当接している。
【0084】
このように異物Fは4面に当接しているため、各面と異物Fとの間に大きな摩擦力が発生し、矢印Jのような真空吸引が行われても異物Fは連通溝80内に停留した状態となる。この状態で搬送テーブル20の間歇回転により、ワーク収納孔40が図17および図19の位置N2に到達すると、上述のようにワークWはワーク収納孔40から取り外され、さらに搬送テーブル20の間歇回転により、ワーク収納孔40は図17および図19の位置S’に到達する。
【0085】
このとき、図31および図32に示すように、圧縮エア噴出口7から矢印Kの向きに圧縮エアが噴出されるが、上述のように、異物Fが当接する4個の面と異物Fとの間に大きな摩擦力が発生しているため、異物Fは圧縮エアの力に抗して連通溝80内に停留し、異物Fを搬送テーブル20の外部に排出することはむずかしい。
【0086】
こうして、異物Fが連通溝80内に停留した状態でワーク収納孔40が再び図17および図19の位置N1に到達し、次のワークWが収納された場合には、異物Fの作用により真空吸引力が低下してワークWがワーク収納孔40に安定して吸着されなくなる。
【0087】
このため、図17および図19における範囲Mを搬送中のワークWが、ワーク収納孔40から脱落する等の不安定動作が発生する。これを防止するためには、たびたび装置を停止させて搬送テーブル20を取り外し、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80内を清掃する必要があり、装置稼働率の低下を招いている。
【0088】
これに対して本発明によれば、上記で述べたように、搬送テーブル2に、ワーク収納孔4から半径方向内方へ延びる連通溝8が形成され、各連通溝8はワーク収納孔4側に底面をもち、搬送テーブル2の半径方向内方側に頂点8yをもつ三角錐形状を有する。また、位置Sにおいて連通溝8のテーブルベース1の表面1a側に圧縮エア通路7aが凹部状に形成されており、異物Fのテーブルベース1の表面1a側は開口側面となる。このため位置Sにおいて、連通溝8内の異物Fは2面のみに当接することになり、異物Fと連通溝8内との摩擦係数は小さくなる。また上記三角錐形状によって圧縮エア噴出口7から噴出される圧縮エアの半径方向外方へ向かう噴出方向に沿って連通溝8の断面積が大きくなる。このため、連通溝8内に半径方向外方に向かって噴出される圧縮エアによって連通溝8内の異物Fを容易かつ確実に排出することができる。
【符号の説明】
【0089】
1A ワーク搬送装置
1 テーブルベース
1a テーブルベースの表面
2 搬送テーブル
2a 搬送テーブルの裏面
3 中心軸
3a 中心
4 ワーク収納孔
5 真空通路
5a 分岐通路
6 吸引孔
7 圧縮エア噴出口
7a 圧縮エア通路
8 連通溝
8a,8b 連通溝の側面
8x 開口部
8y 連通溝の他端
W ワーク
Wa,Wb 電極
F 異物
【技術分野】
【0001】
本発明はチップ形電子部品等のワークを搬送するとともに連通溝を有するワーク搬送装置に係り、とりわけ連通溝内に溜まる異物を容易に排出することができるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ形電子部品等のワークを搬送するワーク搬送装置として、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に配置され外周にワークを収納する複数のワーク収納孔を有する円形の搬送テーブルとを備えたものが知られている。
【0003】
このようなワーク搬送装置において、搬送テーブルのテーブルベース側の面に各ワーク収納孔から半径方向内方へ延びる連通溝が形成されている。
【0004】
またテーブルベースには、搬送テーブルに設けられた連通溝に連通する圧縮エア機構または真空機構が連結されている。
【0005】
このようなワーク搬送装置において、ワークが搬送テーブルのワーク収納孔に収納され、ワーク収納孔内のワークは連通溝に連通する真空機構により吸着保持される。このように真空機構により吸着保持されたワークは、搬送テーブルの回転に伴って搬送される。
【0006】
ところで、ワーク搬送中に連通溝内に異物が混入することがある。このような連通溝内の異物を除去するため、搬送テーブルの連通溝を圧縮エア機構に連通させ、圧縮エア機構から送られる圧縮エアにより連通溝内の異物を除去している。
【0007】
しかしながら、圧縮エア機構からの圧縮エアによって搬送テーブルの連通溝内に混入した異物を除去することは容易ではなく、連通溝内に異物が残ってしまい、この場合はその後のワークの吸着時に真空機構によりワークを十分に吸着できないことも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ワークの搬送中に搬送テーブルの連通溝内に混入する異物を容易かつ確実に除去することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する複数のワーク収納孔を有する円形の搬送テーブルとを備え、搬送テーブルのテーブルベース側の面に、各ワーク収納孔から半径方向内方へ向かって延びる連通溝が形成され、各連通溝はワーク収納孔側に底面をもち、搬送テーブルの半径方向内方側に頂点をもつ三角錐形状を有することを特徴とするワーク搬送装置である。
【0010】
本発明は、各連通溝は、搬送テーブル上の2側面と、開口する側面とを有することを特徴とするワーク搬送装置である。
【0011】
本発明は、各連通溝の頂点は、搬送テーブルのテーブルベース側の面上にあることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0012】
本発明は、テーブルベースの搬送テーブル側の面に、各連通溝に連通する複数の凹部を設けたことを特徴とするワーク搬送装置である。
【0013】
本発明は、テーブルベースの一の凹部は、圧縮エア機構に連通することを特徴とするワーク搬送装置である。
【0014】
本発明は、テーブルベースの他の凹部は、真空機構に連通することを特徴とするワーク搬送装置である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、搬送テーブルに各ワーク収納孔から半径方向内方へ延びる連通溝が設けられ、この連通溝はワーク収納孔側に底面をもち、搬送テーブルの半径方向内方側に頂点をもつ三角錐形状を有するので、連通溝内の異物を半径方向外方に向かう圧縮エア噴出により容易に、しかも確実に排出できるようにする効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明によるワーク搬送装置を示す外観図。
【図2】図2(a)はワークが収納されていないワーク収納孔の拡大図、図2(b)はワークが収納されたワーク収納孔の拡大図。
【図3】図3は搬送テーブルを取り外したときのテーブルベースの表面を示す外観図。
【図4】図4はテーブルベースに設けられた真空通路および分岐通路を示す拡大図。
【図5】図5はテーブルベースに設けられた圧縮エア噴出口および圧縮エア通路を示す拡大図。
【図6】図6は搬送テーブルの裏面を示す図。
【図7】図7はワーク収納孔と連通溝を示す拡大図。
【図8】図8は図1における矢印B方向からみた透視図。
【図9】図9は図1、図3および図6における領域Rの拡大透視図。
【図10】図10は図9におけるX−X’矢視図。
【図11】図11は図1、図3における領域Sの拡大透視図。
【図12】図12は図11におけるY−Y’矢視図。
【図13】図13は図9において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図14】図14は図10において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図15】図15は図11において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図16】図16は図12において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図17】図17は比較例としてのワーク搬送装置の外観図。
【図18】図18は比較例としてのワーク収納孔の拡大図。
【図19】図19は比較例としての搬送テーブルを取り外したときのテーブルベースの表面を示す外観図。
【図20】図20は比較例としての真空通路および分岐通路の拡大図。
【図21】図21は比較例としての圧縮エア噴出口の拡大図。
【図22】図22は比較例としての搬送テーブルの裏面を示す図。
【図23】図23は比較例としてのワーク収納孔と連通溝の拡大図。
【図24】図24は図17における矢印B方向からの透視図。
【図25】図25は図17、図19および図22における領域Rの拡大透視図。
【図26】図26は図25におけるX−X’矢視図。
【図27】図27は図17および図19における領域S’の拡大透視図。
【図28】図28は図27におけるY−Y’矢視図。
【図29】図29は図25において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図30】図30は図26において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図31】図31は図27において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図32】図32は図28において連通溝内に異物が混入した状態を示す図。
【図33】図33(a)(b)は本発明のワーク搬送装置の変形例を示すワーク収納孔の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1乃至図16は本発明によるワーク搬送装置の一実施の形態を示す図である。
【0019】
図1乃至図3に示すように、ワーク搬送装置1Aは垂直方向に配置されたテーブルベース1と、テーブルベース1上に回転自在に配置され外周にワークWを収納する複数のワーク収納孔4を有する円形の搬送テーブル2とを備えている。
【0020】
また搬送テーブル2のテーブルベース1側の裏面2aに、各ワーク収納孔4から半径方向内方へ向かって延びる細長状の連通溝8が形成されている(図6参照)。
【0021】
ここで図2(a)に示すように、搬送テーブル2のワーク収納孔4は搬送テーブル2を直交する方向からみた場合にV字形状を有している。
【0022】
また図1に示すように、搬送テーブル2は、図示されない駆動機構の作用により中心軸3の周囲に時計まわり(矢印Aの方向)に間歇回転する。また搬送テーブル2のワーク収納孔4は連通溝8によって真空機構6Aに連通され、真空機構6Aによる真空吸引によってワークWを吸着保持する(図8参照)。
【0023】
ここで図1の領域Pにおけるワーク収納孔4の拡大図を図2(a)に示す。また、ワーク収納孔4によりワークWが吸着保持されている様子を図2(b)に示す。
【0024】
図2(a)に示すように、搬送テーブル2のワーク収納孔4は搬送テーブル2の外側に向けて開口し、その形状はV字形となっている。ワーク収納孔4のうち、テーブルベース1側の面には連通溝8の開口部8xが開口しており、開口部8xの形状は三角形となっている。
【0025】
この開口部8xは上述した真空機構6Aに連通し、ワーク収納孔4の真空吸引によりワークWが吸着保持される。
【0026】
ワーク収納孔4がワークWを吸着保持している様子を、図2(b)に示す。図2(b)において、ワークWの形状は6面体となっており、長手方向両端に電極Wa,Wbを有する。ワークWは長手方向が搬送テーブル2の厚さ方向に沿うように、ワーク収納孔4に吸着保持される。
【0027】
搬送テーブル2を取り外したときのテーブルベース1の搬送テーブル2側の表面1aの外観を図3に示す。図3において、二点鎖線Tは搬送テーブル2の外形を表す。テーブルベース1の表面1aには、搬送テーブル2の外形Tよりも内側に円弧形状の溝として形成された真空通路5が設けられている。
【0028】
テーブルベース1の表面1aに形成された真空通路5は、中心軸3の半径方向内方に向かって延びる5つの分岐通路5aを有し、各分岐通路5aはテーブルベース1内に形成された円形の吸引孔6に接続される。吸引孔6はテーブルベース1を貫通して、真空機構6Aに連通している。
【0029】
ここで図4により、図3の領域Qにおける真空通路5と分岐通路5aの拡大図を示す。図4に示すように、真空通路5および分岐通路5aは、テーブルベース1の表面1aに凹部状に形成されている。
【0030】
また、図3に示すように、テーブルベース1の表面1aには、真空通路5が形成する円弧をその一部とする仮想円5xの円周上に圧縮エア噴出口7が形成されている。圧縮エア噴出口7はテーブルベース1を貫通して、圧縮エア機構7Aに連通している(図12参照)。また、圧縮エア噴出口7からテーブルベース1の表面1aにおける搬送テーブル2の外形Tまでの部分には、圧縮エア通路7aが形成されている。
【0031】
ここで図3の領域Sにおける、圧縮エア噴出口7および圧縮エア通路7aの拡大図を図5に示す。図5に示すように、圧縮エア通路7aはテーブルベース1の表面1aに対して凹部状に形成されている。
【0032】
図6は搬送テーブル2の裏面2aを示す図である。図6に示すように、搬送テーブル2の裏面2aには、上述のように各ワーク収納孔4から搬送テーブル2の中心3aに向かって半径方向内方へ延びる連通溝8が形成されている。ここで搬送テーブル2の中心3aは、図1に示す搬送テーブル2の中心軸3に一致している。
【0033】
次にワーク収納孔4と連通溝8の拡大図を図7に示す。図7は図6における領域Rを、搬送テーブル2の裏面2aを上に向けて矢印C方向からみた斜視図である。図7に示すように、連通溝8はワーク収納孔4のV字形の角部に開口部8xを有し、この開口部8xを一端として、搬送テーブル2の中心3a方向に向かって半径方向内方へ延びている。開口部8xから中心3a方向をみた場合、連通溝8は解放された上面と側面8aおよび8bからなる三角形状をもつ。
【0034】
ここで連通溝8の側面8aおよび8bの境界線8Lは、開口部8xから中心3aに近づくにつれて徐々に搬送テーブル2の裏面2aに近づき、連通溝8の他端8yにおいて搬送テーブル2の裏面2a上に至る。すなわち、連通溝8の形状は、一端である開口部8xを底面とし、他端8yを頂点とする三角錐形状を有する。
【0035】
なお、搬送テーブル2の裏面2a上において、連通溝8の他端8yは中心3aを中心とした円周上に配置され、この円周は図3に示す仮想円5xと同心円となっている。このため連通溝8は搬送テーブル2の間歇回転に伴い、真空通路5と圧縮エア噴出口7に連通するようになっている。
【0036】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0037】
まず図1において、搬送テーブル2が間歇回転する。このことにより空のワーク収納孔4が位置N1に到達すると、図示されないフィーダにより搬送テーブル2に向けて搬送されたワークWがワーク収納孔4に収納される。
【0038】
この場合、図3および図7に示すように、位置N1においてテーブルベース1の表面1aに真空通路5が形成されているので、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yが真空通路5に連通する。上述のように真空通路5は分岐通路5a、吸引孔6を経由して真空機構6Aに連通しているので、ワーク収納孔4に収納されたワークWは真空機構6Aによる真空吸引によって吸着保持される。
【0039】
次に搬送テーブル2は、図1の矢印A方向に更に間歇回転する。このことにより、ワーク収納孔4に収納されたワークWは、真空吸引によって吸着保持された状態で、図1および図3に示す搬送テーブル2の範囲M内を搬送される。この搬送テーブル2の範囲Mにおいて、図示されない検査手段によってワークWに対して検査が実施される。
【0040】
ワークWに対する検査の例として、カメラ等を使用した外観検査や、図2(b)に示した電極WaおよびWbにプローブを当接させて測定器等に接続する電気的特性検査がある。
【0041】
次に搬送テーブル2の範囲Mにおいて、ワーク収納孔4に収納されたワークWが真空吸引される様子を図8乃至図10を用いて説明する。図8は、図1における矢印B方向からみた透視図である。
【0042】
図8に示すように、テーブルベース1の表面1aに形成された真空通路5は吸引孔6を経由して真空機構6Aに連通しているため、矢印Jの方向に真空吸引が行われる。ここで図9はテーブルベース1側から搬送テーブル2の裏面2aをみたときの領域R(図1、図3および図6参照)の拡大透視図であり、図10は図9におけるX−X’矢視図である。
【0043】
図9および図10において、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yは、テーブルベース1の表面1aに形成された真空通路5よりも搬送テーブル2の中心3aに近い側に位置している。このため、連通溝8は真空通路5、分岐通路5aおよび吸引孔6を経由して真空機構6Aに連通され、図9および図10において、ワーク収納孔4に収納されたワークWは、開口部8xから他端8yに向けて矢印Jの向きに真空吸引されて吸着保持される。
【0044】
上述のように、ワークWは図1および図3に示す搬送テーブル2の範囲M内を搬送され、この間ワークWに対する検査が行われる。次に検査が終了したワークWは、図1および図3の位置N2に到達する。
【0045】
図3に示すように、位置N2においてはテーブルベース1の表面1aに真空通路5が形成されていないため、ワーク収納孔4に収納されたワークWは吸着保持されない状態となる。ワークWは位置N2において、図示されない吸引手段により図1および図3の矢印Dの方向に吸引されて、ワーク収納孔4から取り外される。
【0046】
空になったワーク収納孔4は、搬送テーブル2の間歇回転により、図1および図3の位置Sに到達する。位置Sにおいて、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yは、テーブルベース1の表面1aに形成された圧縮エア噴出口7に連通する。
【0047】
この様子を図11および図12を用いて説明する。ここで図11はテーブルベース1側から搬送テーブル2の裏面2aをみたときの領域S(図1および図3)の拡大透視図である。また、図12は図11におけるY−Y’矢視図である。
【0048】
図11および図12において、搬送テーブル2の裏面2aに形成された連通溝8の他端8yは、テーブルベース1の表面1aに形成された圧縮エア噴出口7の内部に位置している。また、圧縮エア噴出口7からテーブルベース1の表面1aにおいて、搬送テーブル2の外形Tまでの部分には、連通溝8に並行して圧縮エア通路7aが形成されている。このため、連通溝8は圧縮エア通路7aおよび圧縮エア噴出口7を経由して圧縮エア機構7Aに連通し、他端8yから開口部8xに向けて矢印Kの向きに圧縮エアが噴出され、真空吸引の際に連通溝8内に紛れ込んだ塵埃等の異物が開口部8xから外部に排出される。
【0049】
このように連通溝8の内部を清掃することによって真空吸引力の低下を防止し、再び図1および図3の位置N1に到達したワーク収納孔4に、新しいワークWが収納される。
【0050】
次に連通溝8内に混入された異物Fについて説明する。図13乃至図16は、それぞれ図9乃至図12に対応しており連通溝8内に異物Fが紛れ込んだ状態を示す。
【0051】
連通溝8内に混入する異物Fは微小な塵埃等であり、これが連通溝8内に混入する原因は2通りある。まず第1は、図1および図3の位置N1においてワークWがワーク収納孔4に収納される際に、図10において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、異物FがワークWよりも先に開口部8xから連通溝8内に吸い込まれることがある。第2に、ワーク収納孔4が位置N1においてワークWを収納することなく、空の状態で図1および図3に示す搬送テーブル2の範囲Mを移動することがあり、その際に、同様に図10において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、開口部8xから連通溝8内に吸い込まれることがある。
【0052】
図13に示すように、異物Fは連通溝8の2方向を囲む側面8aおよび8bに当接するとともに、図14に示すように、テーブルベース1の表面1aにも当接している。このように異物Fは3面に当接しているため、各面8a,8b,1aと異物Fとの間に大きな摩擦力が発生し、矢印Jのような真空吸引が行われても異物Fは連通溝8内に停留した状態となる。この状態で搬送テーブル2の間歇回転により、ワーク収納孔4が図1および図3の位置N2に到達すると、上述のようにワークWはワーク収納孔4から取り外され、さらに搬送テーブル2の間歇回転により、ワーク収納孔4は図1および図3の位置Sに到達する。
【0053】
このとき、図15および図16に示すように、圧縮エア噴出口7から矢印Kの向きに圧縮エアが噴出される。この場合、図16に示すように、位置Sにおいては、連通溝8のテーブルベース1の表面1a側には圧縮エア通路7aが凹部状に形成されており、異物Fのテーブルベース1の表面1a側は開口側面となる。すなわち、位置Sにおいて連通溝8内の異物Fは側面8aおよび8bの2面だけに当接しているため、当接面8a,8bとの間の摩擦力が小さくなる。さらに、上述のように連通溝8の形状は開口部8xを底面とする三角錐形をもつため、圧縮エア噴出口7から噴出される圧縮エアの向きである矢印Kの方向に沿って、連通溝8の断面積が次第に大きくなる。このため、異物Fは圧縮エアの作用により、図15および図16における連通溝8内の停留位置であるF0の位置から容易に離れて開口部8xに向けて移動し、搬送テーブル2の外部に矢印K’のように排出される。
【0054】
なお、上記実施の形態においては、ワーク収納孔4の形状をV字形として説明したが、ワーク収納孔4の形状はV字形に限定されるものではない。図33(a)に示すように、コの字形のワーク収納孔41に三角形の開口部81xを形成し、図33(b)のようにワークWを真空吸引により吸着保持してもよい。
【0055】
また上記実施の形態においては、テーブルベース1の表面1aに凹部状に形成された圧縮エア通路7aが圧縮エア機構7Aに連通し、搬送テーブル2のワーク収納孔4は圧縮エア通路7aに連通溝8を介して連通され、連通溝8内の異物Fを圧縮エアの噴射によりワーク収納孔4から排出する例を示したが、これに限らずテーブルベース1の表面1aに形成された凹部内に小型の清掃ブラシを設置し、この清掃ブラシをモータ等の駆動手段により動作させて連通溝8内の異物Fをワーク収納孔4から排出してもよい。
【0056】
また本実施の形態においては、図2(b)に示すように、ワークWの長手方向両端に2個の電極WaおよびWbが形成されているとして説明したが、ワークの電極が形成される位置は長手方向両端に限定されるものではなく、ワークW1個当たりの電極の個数も2個に限定されるものではない。
【0057】
また本実施の形態においては、テーブルベース1および搬送テーブル2が垂直に設置されている例を説明したが、本発明は、テーブルベース1および搬送テーブル2が水平に設置されている場合や、傾斜して設置されている場合にも適用することができる。
【0058】
次に本発明の比較例について図17乃至図32により説明する。
【0059】
図17乃至図32において、図1乃至図16と同一の機能を有する部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0060】
図17に示す比較例において、ワーク搬送装置10Aは、垂直方向に固定されたテーブルベース10と、テーブルベース10に回転自在に設けられた円形の搬送テーブル20とを備えている。
【0061】
搬送テーブル20は、図示されない駆動機構の作用により中心軸3の周囲に時計まわり(矢印Aの方向)に間歇回転する。搬送テーブル20の外周にはワーク収納孔40が等間隔に形成されている。ワーク収納孔40は後述する連通溝によって図示されない真空機構に連通し、真空吸引によりワークWを吸着保持する。
【0062】
図17に示す領域Pにおけるワーク収納孔40の拡大図を図18(a)に示す。また、ワーク収納孔40が真空吸引によりワークWを吸着保持している様子を図18(b)に示す。図18(a)に示すように、ワーク収納孔40は搬送テーブル20の外側に向けて開口し、その形状はV字形である。ワーク収納孔40において、図17における搬送テーブル20に対向するテーブルベース10の表面10a側の端部には後述する連通溝の開口部80xが開口しており、開口部80xの形状は長方形である。この開口部80xは図示されない真空機構に連通し、ワーク収納孔40は真空吸引によりワークWを吸着保持する。
【0063】
ワーク収納孔40がワークWを吸着保持している様子を、図18(b)に示す。図18(b)において、ワークWの形状は6面体であり、長手方向両端に電極Wa,Wbを有する。ワークWは長手方向が搬送テーブル20の厚さ方向に沿うように、ワーク収納孔40に吸着保持される。
【0064】
搬送テーブル20を取り外したときのテーブルベース10の表面10aの外観を図19に示す。図19において、二点鎖線Tは搬送テーブル20の外形を表す。テーブルベース10の表面10aには、搬送テーブル20の外形Tよりも内側に円弧形状の溝として真空通路5が形成されている。
【0065】
真空通路5には図17に示す中心軸3の方向へ延びる5つの分岐通路5aが接続され、各分岐通路5aはテーブルベース10内に形成された円形の吸引孔6に接続されている。吸引孔6はテーブルベース10を貫通して、図示されない真空機構に連通している。
【0066】
図19の領域Qにおける真空通路5、分岐通路5aおよび吸引孔6の拡大図を図20に示す。
【0067】
図20に示すように、真空通路5、分岐通路5aはテーブルベース10の表面10aに対して凹部状に形成されている。また、図19に示すように、テーブルベース10の表面10aには、真空通路5が形成する円弧をその一部とする仮想円5xの円周上に圧縮エア噴出口7が形成されている。圧縮エア噴出口7はテーブルベース10を貫通して、図示されない圧縮エア機構に連通している。図19の領域S’における圧縮エア噴出口7の拡大図を図21に示す。
【0068】
図22は搬送テーブル20のテーブルベース10側の裏面20aを示す図である。搬送テーブル20の裏面20aには、各ワーク収納孔40から搬送テーブル20の中心3aに向かって連通溝80が形成されている。
【0069】
ここでワーク収納孔40と連通溝80の拡大図を図23に示す。図23は図22における領域Rを、搬送テーブル20の裏面20aを上に向けて矢印C方向からみた斜視図である。連通溝80はワーク収納孔40のV字形の角部に開口部80xを形成し、この開口部80xを一端として、搬送テーブル20の中心3a方向に延びている。
【0070】
開口部80xから中心3a方向をみた断面は、解放された上面と側面80aおよび80bと底面80cとからなる長方形である。連通溝80の底面80cは、開口部80xから中心3aに近づくにつれて徐々に搬送テーブル20の裏面20aに近づき、連通溝80の他端80yにおいて搬送テーブル20の裏面20aに至る。搬送テーブル20の裏面20a上において、連通溝80の他端80yは中心3aを中心とした円周上に配置され、この円周は図19に示す仮想円5xと同心円の関係にある。すなわち、連通溝80は搬送テーブル20の間歇回転に伴い、真空通路5および圧縮エア噴出口7に連通するようになっている。
【0071】
このような比較例としてのワーク搬送装置の動作について以下説明する。図17において、搬送テーブル20の間歇回転により空のワーク収納孔40が位置N1に到達すると、図示されないフィーダにより搬送テーブル20に向けて搬送されたワークWがワーク収納孔40に収納される。
【0072】
図19によれば、位置N1においてテーブルベース10の表面10aに真空通路5が形成されているので、図23に示す搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yは真空通路5に連通する。真空通路5は分岐通路5a、吸引孔6を経由して図示されない真空機構に連通しているので、ワーク収納孔40に収納されたワークWは真空吸引によって吸着保持される。次に、搬送テーブル20は図17の矢印Aの方向に間歇回転し、ワーク収納孔40に収納されたワークWは、真空吸引によって吸着保持された状態で図17および図19の範囲M内を搬送される。
【0073】
次にこの範囲Mにおいて、図示されない検査手段によってワークWに対する検査が実施される。検査の例として、カメラ等を使用した外観検査や、図18(b)に示した電極WaおよびWbにプローブを当接させて測定器等に接続する電気的特性検査がある。範囲Mにおいて、ワーク収納孔40に収納されたワークWが真空吸引される様子を図24乃至図26を用いて説明する。図24は、図17における矢印B方向からの透視図である。テーブルベース10の表面10aに形成された真空通路5は吸引孔6を経由して図示されない真空機構に連通し、矢印Jの方向に真空吸引が行われる。このとき、テーブルベース10側から搬送テーブル20の裏面20aをみたときの、図17、図19および図22における領域Rの拡大透視図を図25に示す。また、図25におけるX−X’矢視図を図26に示す。
【0074】
図25および図26において、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yの位置は、テーブルベース10の表面10aに形成された真空通路5から図22に示す中心3aにやや近い側にある。このため、連通溝80は図19に示す真空通路5、分岐通路5a、吸引孔6を経由して図示されない真空機構に連通し、図25および図26において、ワーク収納孔40に収納されたワークWは、開口部80xから他端80yに向けて矢印Jの向きに真空吸引されて吸着保持される。
【0075】
図17および図19に示す範囲M内を搬送されながら検査を終了したワークWは、図17および図19の位置N2に到達する。図19に示すように、位置N2においてはテーブルベース10の表面10aに真空通路5が形成されていないため、ワーク収納孔40に収納されたワークWは吸着保持されない状態となる。ワークWは位置N2において、図示されない吸引手段により図17および図19の矢印Dの方向に吸引されて、ワーク収納孔40から取り外される。
【0076】
空になったワーク収納孔40は、搬送テーブル20の間歇回転により、図17および図19の位置S’に到達する。位置S’において、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yは、テーブルベース10の表面10aに形成された圧縮エア噴出口7に連通する。
【0077】
この様子を図27および図28を用いて説明する。テーブルベース10側から搬送テーブル20の裏面20aを見たときの、図17、図19における領域S’の拡大透視図を図27に示す。また、図27におけるY−Y’矢視図を図28に示す。
【0078】
図27および図28において、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80の他端80yの位置は、テーブルベース10の表面10aに形成された圧縮エア噴出口7の内部にある。このため、連通溝80は圧縮エア噴出口7を経由して図示されない圧縮エア機構に連通し、他端80yから開口部80xに向けて矢印Kの向きに圧縮エアが噴出され、真空吸引の際に連通溝80内に紛れ込んだ塵埃等の異物が開口部80xから外部に排出される。このように連通溝80の内部を清掃することによって真空吸引力の低下を防止し、再び図17および図19の位置N1に到達したワーク収納孔40に、新しいワークWが収納される。
【0079】
ここで、比較例としてのワーク搬送装置には以下の問題がある。ワークWは近年非常に小型化しており、図18(b)に示すWの長手方向の寸法は1mm以下、電極WaおよびWbからWの長手方向をみた断面の一辺の寸法は0.5mm程度のものが主流である。このため、ワーク収納孔40の寸法も小さくなり、それに伴って連通溝80の開口部80xの寸法も0.5mm程度に小さくなっている。
【0080】
このように、連通溝80の開口部80xの寸法が小さくなることによって、真空吸引の際に連通溝80内に紛れ込んだ塵埃等の微小な異物が、圧縮エア噴出口7から圧縮エアを噴出しても開口部80xから外部に排出されにくくなっている。
【0081】
この様子を図29乃至図32を用いて説明する。図29乃至図32は、それぞれ図25乃至図28において連通溝80内に異物Fが紛れ込んだ状態を示す。
【0082】
異物Fは微小な塵埃等であり、これが連通溝80内に紛れ込む原因は2通りある。1つ目の原因は、図17および図19の位置N1においてワークWがワーク収納孔40に収納される際に、図26において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、ワークWよりも先に開口部80xから連通溝80内に吸い込まれることである。2つ目の原因は、ワーク収納孔40が位置N1においてワークWを収納することなく、空の状態で図17および図19の範囲Mを移動することがあり、その際に、同様に図26において矢印Jにより示される真空吸引の作用によって、開口部80xから連通溝80内に吸い込まれることである。
【0083】
異物Fは図29に示すように、連通溝80の周囲3方向を囲む側面80aおよび80bと底面80cに当接するとともに、図30に示すように、テーブルベース10の表面10aにも当接している。
【0084】
このように異物Fは4面に当接しているため、各面と異物Fとの間に大きな摩擦力が発生し、矢印Jのような真空吸引が行われても異物Fは連通溝80内に停留した状態となる。この状態で搬送テーブル20の間歇回転により、ワーク収納孔40が図17および図19の位置N2に到達すると、上述のようにワークWはワーク収納孔40から取り外され、さらに搬送テーブル20の間歇回転により、ワーク収納孔40は図17および図19の位置S’に到達する。
【0085】
このとき、図31および図32に示すように、圧縮エア噴出口7から矢印Kの向きに圧縮エアが噴出されるが、上述のように、異物Fが当接する4個の面と異物Fとの間に大きな摩擦力が発生しているため、異物Fは圧縮エアの力に抗して連通溝80内に停留し、異物Fを搬送テーブル20の外部に排出することはむずかしい。
【0086】
こうして、異物Fが連通溝80内に停留した状態でワーク収納孔40が再び図17および図19の位置N1に到達し、次のワークWが収納された場合には、異物Fの作用により真空吸引力が低下してワークWがワーク収納孔40に安定して吸着されなくなる。
【0087】
このため、図17および図19における範囲Mを搬送中のワークWが、ワーク収納孔40から脱落する等の不安定動作が発生する。これを防止するためには、たびたび装置を停止させて搬送テーブル20を取り外し、搬送テーブル20の裏面20aに形成された連通溝80内を清掃する必要があり、装置稼働率の低下を招いている。
【0088】
これに対して本発明によれば、上記で述べたように、搬送テーブル2に、ワーク収納孔4から半径方向内方へ延びる連通溝8が形成され、各連通溝8はワーク収納孔4側に底面をもち、搬送テーブル2の半径方向内方側に頂点8yをもつ三角錐形状を有する。また、位置Sにおいて連通溝8のテーブルベース1の表面1a側に圧縮エア通路7aが凹部状に形成されており、異物Fのテーブルベース1の表面1a側は開口側面となる。このため位置Sにおいて、連通溝8内の異物Fは2面のみに当接することになり、異物Fと連通溝8内との摩擦係数は小さくなる。また上記三角錐形状によって圧縮エア噴出口7から噴出される圧縮エアの半径方向外方へ向かう噴出方向に沿って連通溝8の断面積が大きくなる。このため、連通溝8内に半径方向外方に向かって噴出される圧縮エアによって連通溝8内の異物Fを容易かつ確実に排出することができる。
【符号の説明】
【0089】
1A ワーク搬送装置
1 テーブルベース
1a テーブルベースの表面
2 搬送テーブル
2a 搬送テーブルの裏面
3 中心軸
3a 中心
4 ワーク収納孔
5 真空通路
5a 分岐通路
6 吸引孔
7 圧縮エア噴出口
7a 圧縮エア通路
8 連通溝
8a,8b 連通溝の側面
8x 開口部
8y 連通溝の他端
W ワーク
Wa,Wb 電極
F 異物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルベースと、
テーブルベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する複数のワーク収納孔を有する円形の搬送テーブルとを備え、
搬送テーブルのテーブルベース側の面に、各ワーク収納孔から半径方向内方へ向かって延びる連通溝が形成され、
各連通溝はワーク収納孔側に底面をもち、搬送テーブルの半径方向内方側に頂点をもつ三角錐形状を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
各連通溝は、搬送テーブル上の2側面と、開口する側面とを有することを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
各連通溝の頂点は、搬送テーブルのテーブルベース側の面上にあることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
テーブルベースの搬送テーブル側の面に、各連通溝に連通する複数の凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
テーブルベースの一の凹部は、圧縮エア機構に連通することを特徴とする請求項3記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
テーブルベースの他の凹部は、真空機構に連通することを特徴とする請求項3記載のワーク搬送装置。
【請求項1】
テーブルベースと、
テーブルベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する複数のワーク収納孔を有する円形の搬送テーブルとを備え、
搬送テーブルのテーブルベース側の面に、各ワーク収納孔から半径方向内方へ向かって延びる連通溝が形成され、
各連通溝はワーク収納孔側に底面をもち、搬送テーブルの半径方向内方側に頂点をもつ三角錐形状を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
各連通溝は、搬送テーブル上の2側面と、開口する側面とを有することを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
各連通溝の頂点は、搬送テーブルのテーブルベース側の面上にあることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
テーブルベースの搬送テーブル側の面に、各連通溝に連通する複数の凹部を設けたことを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
テーブルベースの一の凹部は、圧縮エア機構に連通することを特徴とする請求項3記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
テーブルベースの他の凹部は、真空機構に連通することを特徴とする請求項3記載のワーク搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−251780(P2011−251780A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124794(P2010−124794)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】
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