説明

ワーク搬送設備

【課題】自動車ボディーなどを前後縦向きに搬送する経路と左右横向きに搬送する経路とが組み合わされたワーク搬送設備を提供する。
【解決手段】ワーク搬送用走行体1は、ワーク支持台車2と、このワーク支持台車2の第一搬送経路L1における走行方向前後の少なくとも一方に隣接する補助台車3とから構成され、第一搬送経路L1には、ワーク支持台車2と補助台車3とを一体に走行させるワーク搬送用走行体駆動手段(22)が併設され、第一搬送経路L1から第二搬送経路L3への分岐点P1には、補助台車3をワーク支持台車2のみを第二搬送経路L3へ直角横向きに分岐導入させる台車分岐手段(24a,24b,25,27)が配設され、第二搬送経路L3には、ワーク支持台車2を、第一搬送経路L1における当該ワーク支持台車2の走行方向に対し直角横向きに走行させるワーク支持台車駆動手段(29)が併設された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送経路が、第一搬送経路と当該第一搬送経路に対して直角横向きに分岐する第二搬送経路とを備えている、ワーク搬送設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のようなワーク搬送設備は、例えば自動車の組立てラインなどにおいて知られている。例えば自動車の組立てラインにおいては、搬送台車上に支持された自動車ボディーの周囲の比較的低い部分に対する作業を行うトリムラインやファイナルラインを構成する第一搬送経路では、搬送台車をして、支持する自動車ボディーの前後方向と平行な縦向きに走行させ、自動車ボディーの下側からエンジンや車軸ユニットなどを組み付ける作業を行うシャーシーラインを構成する第二搬送経路では、搬送台車をして、支持する自動車ボディーの前後方向に対し直交する横向きに走行させるように構成される。一方、前記第一搬送経路では、自動車ボディーを支持する搬送台車上に作業者が搭乗して、支持する自動車ボディーの周囲を歩き回りながら所要の作業を遂行することになるので、支持する自動車ボディーの前後にも搬送台車上の作業床が張り出す大型の搬送台車が必要になり、前記第二搬送経路では、エンジンや車軸ユニットなどの重量物を搭載した取付け部品搭載台車を自動車ボディーの前後下側に進入させて、所要の作業を遂行することになるので、この第二搬送経路において横向きに走行する搬送台車には、自動車ボディーの前後から台車走行方向の左右に張り出す作業床のない小型の搬送台車の方が、大重量の取付け部品搭載台車を搬送台車上に対して乗り降りさせる必要がなくなり、好都合である。
【0003】
上記の観点から、搬送台車として、前記第一搬送経路を縦向きに走行するときは前後方向長さの大きな長大搬送台車として走行させることができるが、前記第二搬送経路を横向きに走行するときには、その横向き走行方向に対して左右方向になる台車の前後方向長さを短縮させることができる、長さ可変の搬送台車を使用するか又は、前記第一搬送経路専用の前後方向長さの大きな長大搬送台車と、前記第二搬送経路専用の前後方向長さの短い短小搬送台車とを利用し、この長大搬送台車と短小搬送台車との間で自動車ボディーを積み替えることが考えられる。而して、上記のような自動車組立てラインで利用可能な従来の長さ可変の搬送台車としては、ワーク支持台車の前後に出退スライド自在な補助台を設けた搬送台車(特許文献1などに記載の搬送台車)や、ワーク支持台車の前後に補助台を起伏自在に軸支した搬送台車などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−362459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1などに記載の長さ可変の搬送台車を利用する場合、単に搬送台車全体の構造が複雑になってコスト高になるばかりでなく、補助台を台車本体に収納又は垂下姿勢に切り換えるのであるから、必然的に補助台の大きさが制限されて当該補助台の有効性が低くなる。又、前記第一搬送経路から第二搬送経路への分岐点や第二搬送経路から第一搬送経路への合流点において、補助台を台車本体に対して出し入れするための手段と当該手段を自動運転するための制御が必要になり、設備全体としてもコスト高になるのを免れない。更に、後者の2種類の搬送台車を利用して自動車ボディーを積み替える方式では、自動車ボディーを積み替える手段と当該手段を自動運転するための制御が必要になり、設備全体の大幅なコストアップを免れないばかりでなく、自動車ボディーを積み替える時間が必要になって、全体のサイクルタイムが長くなり、生産効率が低下することにもなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできるワーク搬送設備を提案するものであって、請求項1に記載の本発明に係るワーク搬送設備は、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、ワーク搬送経路は、第一搬送経路L1と当該第一搬送経路L1に対して直角横向きに分岐する第二搬送経路L3とを備え、ワーク搬送用走行体1は、ワーク支持台車2と、このワーク支持台車2の第一搬送経路L1における走行方向前後の少なくとも一方に隣接する補助台車3とから構成され、第一搬送経路L1には、ワーク支持台車2と補助台車3とを一体に走行させるワーク搬送用走行体駆動手段(摩擦駆動装置22)が併設され、第一搬送経路L1から第二搬送経路L3への分岐点P1には、補助台車3を第一搬送経路L1上に残してワーク支持台車2のみを第二搬送経路L3へ直角横向きに分岐導入させる台車分岐手段(昇降ガイドレール24a,24b、分岐用摩擦駆動装置25、昇降装置27)が配設され、第二搬送経路L3には、ワーク支持台車2を、第一搬送経路L1における当該ワーク支持台車2の走行方向に対し直角横向きに走行させるワーク支持台車駆動手段(摩擦駆動装置29)が併設された構成になっている。
【0007】
上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、第二搬送経路L3の終端(復行側第二搬送経路L4の終端)は、前記分岐点P1と隣り合うように設定した合流点P2において第一搬送経路L2に対し直角に接続し、互いに隣り合う前記分岐点P1と合流点P2との間には、前記分岐点P1において第一搬送経路L1上に残された補助台車3を、前記合流点P2に進入するワーク支持台車2に対する前後隣接位置まで移動させて待機させる補助台車駆動手段(補助台車駆動用摩擦駆動装置28)を併設することができる。
【0008】
ワーク搬送用走行体1は、ワーク支持台車2と、このワーク支持台車2の第一搬送経路L1における走行方向前後何れか一方にのみ隣接する1台の補助台車3又は4とから構成することができるが、請求項3に記載のように、ワーク支持台車2と、このワーク支持台車2の第一搬送経路L1における走行方向前後両側に隣接する2台の補助台車3,4とから、ワーク搬送用走行体1を構成することもできる。
【0009】
又、請求項2及び3に記載の構成を採用する場合、請求項4に記載のように、前記補助台車駆動手段(補助台車駆動用摩擦駆動装置28)は、各補助台車3,4に設けられた摩擦駆動面(縦動用摩擦駆動面18a,18b)の全長より長くない間隔で前記分岐点P1と合流点P2との間の経路に沿って配置された摩擦駆動装置28から構成し、前後に離れて位置する2台の補助台車3,4を、両補助台車3,4間の間隔を保って分岐点P1から合流点P2まで摩擦駆動するように構成することができる。
【0010】
第一搬送経路L1において、前後のワーク搬送用走行体1(ワーク支持台車及び補助台車)を互いに突き合う連続状態で走行させる場合、ワーク搬送用走行体1を構成するワーク支持台車2と補助台車3とは連続一体に走行することになるので、ワーク支持台車2と補助台車3とを敢えて一体に連結する連結手段は不要であるが、請求項5に記載のように、ワーク支持台車2と補助台車3とを互いに連結する連結手段15aを設けて実施することもできる。この場合は、少なくとも前記分岐点P1において、連結手段15aによるワーク支持台車2と補助台車3との連結を何らかの手段で解除する必要がある。
【0011】
ワーク支持台車2と補助台車3とを互いに連結する連結手段15aとしては、如何なる構成のものでも良いが、例えば請求項6に記載のように、前記分岐点P1におけるワーク支持台車2と補助台車3との間の横向きの相対移動を許す状態で互いに上下方向に嵌合するワーク支持台車2側の係合部材17と補助台車3側の被係合部材16とで連結手段15aを構成することができる。更にこの場合、請求項7に記載のように、ワーク支持台車分岐手段は、当該ワーク支持台車2を第二搬送経路L3での走行方向に支持案内する昇降自在な昇降ガイドレール24a,24bと、この昇降ガイドレール24a,24bによって持ち上げられたワーク支持台車2を第二搬送経路L3内へ推進させるワーク支持台車分岐駆動装置(分岐用摩擦駆動装置25)とで構成し、昇降ガイドレール24a,24bによってワーク支持台車2が持ち上げられたとき、前記連結手段15aの係合部材17と被係合部材16とが互いに上下に離脱するか又は嵌合深さが浅くなるように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明の構成によれば、第一搬送経路を自動車組立てラインのトリムラインやファイナルラインとして利用し、第二搬送経路をシャーシーラインとして利用することにより、第一搬送経路と第二搬送経路との間のワーク(自動車ボディー)の積み替えが不要になる。しかも、ワークを前後長さ方向と平行に縦送りする第一搬送経路では、ワーク支持台車とこれに隣接する補助台車とが一体になった長大なワーク搬送用走行体でワークを搬送することになるので、このワーク搬送用走行体上には、ワークの周囲全域にわたって十分な広さの作業床を確保し、第一搬送経路でのワークの周囲に対する所要作業をワーク搬送用走行体に搭乗した作業者により安全且つ容易に行わせることができる。そして第一搬送経路から第二搬送経路への分岐点では、補助台車を残してワーク支持台車のみを台車分岐手段により第二搬送経路へ直角横向きに分岐導入させれば良く、この第二搬送経路では、補助台車が取り除かれた前後長さの短いワーク支持台車のみが横向きにワークを支持搬送するので、当該ワークの前後下側に進入させる取付け部品搭載台車を搬送台車上に対して乗り降りさせないようにして作業を行うことも可能になる。
【0013】
第一搬送経路から第二搬送経路への分岐点には、補助台車を残してワーク支持台車のみを第二搬送経路へ直角横向きに分岐導入させるための台車分岐手段が必要になるが、ワーク(自動車ボディー)の積み替えが不要な、第一搬送経路と第二搬送経路とで共通の搬送台車を使用する設備では、当然に必要な手段であって、別に補助台を台車本体に対して出し入れする手段やその制御が不要になるだけ、大幅なコストダウンを図ることができる。又、台車本体に対して収納したり垂下状態に切り換えることができる補助台を利用する場合と比較して、本発明における補助台車は、台車本体であるワーク支持台車のサイズや強度などによってサイズが制約されるものではなく、当該ワーク支持台車と同一幅で必要十分な前後方向長さを有する大型の補助台車が利用できる。従って、第二搬送経路において横送りされるワーク支持台車は、ワークを安定的に支持することのできる必要最小限のサイズに抑えながら、第一搬送経路において補助台車と組み合わされてワークを縦送りするときには、ワークの周囲、特に前後に必要十分な作業床を確保できる大型長大なワーク搬送用走行体を構成させて、作業性を高めることができる。
【0014】
尚、ワーク搬送設備全体に使用される全てのワーク支持台車専用の補助台車を準備し、第二搬送経路から分岐したワーク支持台車が再び第一搬送経路に合流したとき、待機させておいた当該ワーク支持台車専用の補助台車を、第一搬送経路に合流したワーク支持台車に隣接させて、元のワーク搬送用走行体を構成させるようにすることもできるが、請求項2に記載の構成によれば、少なくとも第一搬送経路上に在席する台数のワーク支持台車と組み合わせることができる補助台車を準備すればよく、最大、第二搬送経路上に在席するワーク支持台車の台数分だけ補助台車を少なくすることができるので、設備全体のコストを下げることができる。勿論、分岐点と合流点との間の補助台車のみを走行させる経路上で、ワーク支持台車1台分又は複数台分の補助台車をストレージさせるように構成しても良い。
【0015】
又、ワーク支持台車の前後何れかにのみ補助台車を組み合わせる場合と比較して、請求項3に記載の構成によれば、第一搬送経路上で縦送りされるワークの周囲に確保できるワーク搬送用走行体上の作業床、特にワークの前後両側に確保できる作業床を格段に増大させることができると同時に、第二搬送経路上で横送りされるワークの前後両端部をワーク支持台車の前後両端から大きく左右両側に張り出させることができ、この第二搬送経路でのワークの前後両端部に対する作業にワーク支持台車が干渉するのを十分に抑制できる。
【0016】
請求項2及び3に記載の構成を採用する場合、請求項4に記載の構成によれば、前記分岐点から合流点までの補助台車のみを走行させる経路において、中間位置のワーク支持台車から切り離された前後2台の補助台車を、その間隔を保ったまま次の合流点まで、比較的簡単な構成により確実に走行させることができる。
【0017】
本発明の構成では、ワーク支持台車と補助台車とを一体に連結する連結手段は必須のものではない。例えば、従来の自動車組立てラインにおけるトリムラインやファイナルラインにおいて採用されているワーク搬送用走行体の駆動方式、即ち、前後のワーク搬送用走行体どうしが互いに当接する連続状態で突き押し駆動させる方式の場合、ワーク支持台車と補助台車とが互いに連結されていなくとも、当該ワーク支持台車と補助台車とが互いに隣接する状態を維持させてワーク搬送用走行体を問題なく走行させることができる。又、第一搬送経路において各ワーク搬送用走行体を一定間隔おきに定速で走行させる場合や、分岐点に1台ずつワーク搬送用走行体を送り込む場合も、互いに隣接するワーク支持台車と補助台車とが、常に摩擦駆動輪によって推力を受ける間隔で摩擦駆動装置を配設すれば良い。
【0018】
しかしながら、請求項5に記載の構成によれば、ワーク支持台車と補助台車とから構成されるワーク搬送用走行体を、従来の1台の台車から成るものと同様に取り扱うことができ、仮にワーク搬送用走行体を一定間隔おきに定速で走行させる場合や、分岐点に1台ずつワーク搬送用走行体を送り込むために摩擦駆動装置を利用する場合でも、1台のワーク搬送用走行体に対して1つの摩擦駆動装置を適用すれば良く、設備コストを下げることができる。この場合に前記分岐点において連結を解除する手段としては、例えば連結手段に設けられた連結解除用操作部を分岐点にワーク搬送用走行体が到達したときに操作するカムや各種アクチュエーターにより構成することができる。又、連結手段を請求項6に記載のように構成すれば、前記分岐点においてワーク支持台車が補助台車に対して同一レベルのまま第二搬送経路側へ横向きに移動する場合でも、そのときのワーク支持台車の横動を利用して、連結を自動的に解除することができるので、連結解除手段として前記のようなカムやアクチュエーターを別途追加する必要がなくなり、安価に本発明を実施することができる。
【0019】
更に、請求項7に記載の構成によれば、前記分岐点においてワーク支持台車を補助台車に対して第二搬送経路側へ横向きに横動させるとき、この横動専用の昇降ガイドレールと当該昇降ガイドレールで支持される横動専用の車輪とで、ワーク支持台車を支持案内することができるので、第一搬送経路上で分岐点に進入するときのワーク搬送用走行体(ワーク支持台車と補助台車)の走行レベルと、ワーク支持台車を補助台車に対して第二搬送経路側へ横向きに横動させるときの走行レベルとを同一に構成する場合よりも、第一搬送経路側の走行ガイド手段(ガイドレールと車輪)と第二搬送経路側へワーク支持台車を横動させるときの走行ガイド手段(ガイドレールと車輪)とが互いに干渉しないように構成することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ワーク搬送用走行体が第一搬送経路上にあるときの平面図である。
【図2】A図は同上の側面図、B図はワーク搬送用走行体におけるワーク支持台車と補助台車との連結手段を示す側面図、C図はワーク支持台車の車輪ユニットを示す正面図である。
【図3】ワーク搬送用走行体におけるワーク支持台車が第一搬送経路上にあるときの正面図である。
【図4】ワーク搬送設備全体のレイアウトを説明する平面図である。
【図5】第一搬送経路から第二搬送経路への分岐点にワーク搬送用走行体が到達した状態での構成の要部を説明する平面図である。
【図6】前記分岐点からワーク搬送用走行体のワーク支持台車が第二搬送経路へ送り出される状態での構成の要部を説明する平面図である。
【図7】A図は図5に示す状態での縦断側面図、B図はA図の状態からワーク支持台車が昇降ガイドレールで持ち上げられた状態を示す側面図である。
【図8】A図は図5に示す状態での正面図、B図はA図の状態からワーク支持台車が昇降ガイドレールで持ち上げられた状態を示す正面図である。
【図9】第二搬送経路上にあるワーク支持台車を示す背面図である。
【図10】第二搬送経路上にあるワーク支持台車を示す側面図である。
【図11】第二搬送経路上にあるワーク支持台車を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図3に示すように、この実施例におけるワーク搬送用走行体1は、ワーク支持台車2と、このワーク支持台車2の第一搬送経路L1における走行方向の前後に隣接配置された2台の補助台車3,4とで構成されている。ワーク支持台車2は、第一搬送経路L1における走行方向の長さに対して左右横幅が大きい横長矩形の平面形状を有するもので、その上面にはワーク(自動車ボディー)Wを支持するワーク支持手段5が設置されている。このワーク支持手段5は、ワークWの左右両側辺を支持する左右一対の昇降支持アーム6a,6bがそれぞれ支柱7a,7bに昇降自在に支持されたものであって、このワーク支持手段5によって支持されたワークWは、その前後両端部がワーク支持台車2から前後に張り出している。又、平面視において、ワークWの左右両外側に位置するワーク支持手段5とワーク支持台車2の左右両側辺との間には、作業者が歩行できる程度の幅の作業床が確保されている。
【0022】
前後2台の補助台車3,4は、互いに同一サイズのもので、その横幅は、ワーク支持台車2の横幅と等しく、第一搬送経路L1における走行方向の長さに関しては、平面視においてワーク支持台車2から前後に張り出すワークWの前後両端よりも更に前後外側に突出して、当該ワークWの前後両端の外側を作業者が歩行できる程度の作業床が確保できる長さを有する。尚、図示例では、前後2台の補助台車3,4の長さは、ワーク支持台車2の長さより少し短いが、ワーク支持台車2の長さと同一か又は逆にワーク支持台車2の長さより長く構成することもできる。
【0023】
ワーク支持台車2と前後2台の補助台車3,4の底部四隅には、縦動用車輪ユニット8a〜8d,9a〜9d、及び10a〜10dが配設されている。各縦動用車輪ユニット8a〜10dは、第一搬送経路L1に敷設された左右一対のガイドレール11a,11b上を転動する車輪12を備えたものであるが、片側のガイドレール10a上を転動する車輪12を備えた各車輪ユニット8a,8b,9a,9b、及び10a,10bには、図2Cにも示すように、当該ガイドレール11aを左右両側から挟む走行方向規制用の左右一対の垂直軸ローラー13が設けられている。勿論、このような左右一対の垂直軸ローラー13を併用する代わりに、各車輪ユニット8a,8b,9a,9b、及び10a,10bの車輪12に代えてガイドレール11aに嵌合する両鍔付き車輪を使用することもできるし、全ての車輪12に片鍔付き車輪を使用して、各台車2〜4の走行方向を規制することもできる。
【0024】
ワーク支持台車2には、前記縦動用車輪ユニット8a〜8dの他に、これら各縦動用車輪ユニット8a〜8dに対して内側中央寄りの位置に、第一搬送経路L1での走行方向に対して直角横向きに走行するための横動用車輪ユニット14a〜14dが配設されている。これら横動用車輪ユニット14a〜14dは、縦動用車輪ユニット8a〜8dと向きが90度異なるだけで全く同一構造のものであって、車輪12を備えると共に、横動方向の片側に位置する横動用車輪ユニット14a,14bには、走行方向規制用の左右一対の垂直軸ローラー13が設けられている。
【0025】
又、ワーク支持台車2と補助台車3,4との互いに連設する端部には、図2Bに示す連結手段15a,15bが設けられている。これら連結手段15a,15bは、補助台車3,4の端部からその全幅にわたって突設された縦断面L字形の被係合部材16と、ワーク支持台車2の両端からその全幅にわたって突設され且つ補助台車3,4側の被係合部材16に上から嵌合する縦断面倒立L字形の係合部材17とから構成され、係合部材17は、被係合部材16に対して、上下方向に嵌合離脱自在であると共に各台車2〜4の左右幅方向にも相対的に嵌合離脱自在に構成されている。
【0026】
ワーク支持台車2及び補助台車3,4の第一搬送経路L1における走行方向と平行な左右両側面は、縦動用摩擦駆動面18a,18bとなっており、この縦動用摩擦駆動面18a,18bとは別に、ワーク支持台車2の底部中央には、第一搬送経路L1における走行方向に対して直角横向きの帯板状部材19が突設され、この帯板状部材19の垂直な両側面が横動用摩擦駆動面20a,20bを形成している。
【0027】
次に上記のように構成されたワーク搬送用走行体1が走行するワーク搬送経路について説明すると、図4に示すように、この実施例におけるワーク搬送経路は、同一直線上で直列する上手側第一搬送経路L1と下手側第一搬送経路L2、上手側第一搬送経路L1の終端から直角横向きに分岐された往行側第二搬送経路L3、及び当該往行側第二搬送経路L3の終端に接続され且つ下手側第一搬送経路L2の始端に直角向きに合流する復行側第二搬送経路L4を備えている。又、上手側第一搬送経路L1から往行側第二搬送経路L3への分岐点P1と、復行側第二搬送経路L4から下手側第一搬送経路L2への合流点P2との間に、直線状の補助台車走行経路L5が構成されている。尚、自動車組立てラインとして利用するときは、上手側第一搬送経路L1はトリムラインとして利用し、往行側第二搬送経路L3及び復行側第二搬送経路L4はシャーシーラインとして利用し、そして下手側第一搬送経路L2はファイナルラインとして利用できる。又、下手側第一搬送経路L2の終端と上手側第一搬送経路L1の始端とは、直線状に連続する復行側第一搬送経路L6によって接続されている。
【0028】
上手側第一搬送経路L1、下手側第一搬送経路L2、及び復行側第一搬送経路L6には、ワーク搬送用走行体1の各台車2〜4の縦動用車輪ユニット8a〜8d,9a〜9d、及び10a〜10dが備える車輪12が転動する左右一対のガイドレール11a,11bが敷設され、往行側第二搬送経路L3及び復行側第二搬送経路L4には、ワーク支持台車2の横動用車輪ユニット14a〜14dが備える車輪12が転動する左右一対のガイドレール21a,21bが敷設されている。又、上手側第一搬送経路L1、下手側第一搬送経路L2、及び復行側第一搬送経路L6には、図1及び図3に示すように、ワーク搬送用走行体1の全長にわたって連続する各台車2〜4の縦動用摩擦駆動面18a,18bを介して当該ワーク搬送用走行体1を推進させる摩擦駆動装置22が併設されている。この摩擦駆動装置22は、左右両側の縦動用摩擦駆動面18a,18bそれぞれに圧接するモーター駆動の摩擦駆動輪22a,22bから構成されている。
【0029】
摩擦駆動装置22は、従来周知のように、前後のワーク搬送用走行体1が互いに当接する数珠つなぎ状態でワーク搬送用走行体1を走行させるか又は、ワーク搬送用走行体1を1台ずつ、所定間隔を保持させながら走行させるかに応じて、走行経路方向の設置間隔が設定される。而して、この摩擦駆動装置22のモーター駆動の摩擦駆動輪22a,22bにより駆動されるワーク搬送用走行体1が上手側第一搬送経路L1を分岐点P1に向かって走行し、分岐点P1にワーク支持台車2が位置する定位置で停止することになる。この分岐点P1には、図5〜図8に示すように、定位置に停止したワーク搬送用走行体1のワーク支持台車2における横動用車輪ユニット14a〜14dの真下に位置する左右一対の昇降ガイドレール24a,24bと、帯板状部材19の往行側第二搬送経路L3に近い側の端部近傍の真下に位置する昇降自在な分岐用摩擦駆動装置25が配設されている。この分岐用摩擦駆動装置25は、帯板状部材19の両側面である横動用摩擦駆動面20a,20bの圧接可能なモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25bを備えている。
【0030】
前記昇降ガイドレール24a,24bと分岐用摩擦駆動装置25とは、分岐点P1の真下の床下ピット26内に設置された昇降装置27の昇降台27a上に設置されている。昇降装置27は、昇降ガイド機構により垂直平行に昇降自在に支持した昇降台27aを適当なアクチュエーターにより下降限と上昇限との間で昇降駆動するものであり、下降限まで下ろされた昇降ガイドレール24a,24bと分岐用摩擦駆動装置25は、図7A及び図8Aに示すように、分岐点P1に進入してくるワーク支持台車2の横動用車輪ユニット14a〜14dや帯板状部材19より下側にあって、これらと干渉しない。又、この分岐点P1から合流点P2までの補助台車走行経路L5には、分岐点P1において定位置に停止したワーク搬送用走行体1の補助台車3,4を、両補助台車3,4間の間隔を保ったまま合流点P2まで駆動する複数台の補助台車駆動用摩擦駆動装置28が併設されている。各補助台車駆動用摩擦駆動装置28は、摩擦駆動装置22と同一構造のものであって、各台車3,4の縦動用摩擦駆動面18a,18bに圧接する左右一対のモーター駆動の摩擦駆動輪28a,28bを備え、補助台車3,4の走行方向の全長(各台車3,4の縦動用摩擦駆動面18a,18bの全長)より長くない間隔で、補助台車走行経路L5に沿って複数台が並列配置されている。
【0031】
ワーク搬送用走行体1が分岐点P1に到達して停止したならば、昇降装置27を稼働させて昇降ガイドレール24a,24bと分岐用摩擦駆動装置25を下降限位置から上昇限位置まで上昇させる。この結果、昇降ガイドレール24a,24bが、分岐点P1の定位置で停止しているワーク支持台車2の横動用車輪ユニット14a〜14dの各車輪12を介して当該ワーク支持台車2を垂直平行に持ち上げると同時に、分岐用摩擦駆動装置25の一対のモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25b間にワーク支持台車2の帯板状部材19が相対的に嵌入し、当該帯板状部材19の左右両横動用摩擦駆動面20a,20bに分岐用摩擦駆動装置25の一対のモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25bが圧接することになる。
【0032】
尚、分岐用摩擦駆動装置25の一対のモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25bは、上昇限位置に達するまでは左右に開いた状態を維持し、上昇限位置に達すると同時に閉動して帯板状部材19の左右両横動用摩擦駆動面20a,20bに圧接するように構成するのが望ましい。勿論、分岐用摩擦駆動装置25は、一対のモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25bの内、第一搬送経路L1の下手側に位置する摩擦駆動輪25aが、分岐点P1の定位置で停止するワーク支持台車2の帯板状部材19を受け止めることができる高さとなるように、昇降台27a上ではなく固定フレーム上に設置し、第一搬送経路L1の上手側に位置する摩擦駆動輪25bは、摩擦駆動輪25aとの間で帯板状部材19を挟み込む作用位置と、上手側第一搬送経路L1の走行方向の帯板状部材19の移動経路より下方の退避位置との間で移動可能に構成することもできる。
【0033】
何れにしても、分岐点P1において昇降ガイドレール24a,24bによりワーク支持台車2が一定レベルまで持ち上げられたとき、図7B及び図8Bに示すように、当該昇降ガイドレール24a,24bの往行側第二搬送経路L3側の端部は、分岐点P1を横断している上手側第一搬送経路L1のガイドレール11a,11bの内、往行側第二搬送経路L3に近い側のガイドレール11bに設けられた切欠き分断部を通過して、往行側第二搬送経路L3に敷設された左右一対のガイドレール21a,21bと接続することになる。又、ワーク支持台車2が一定レベルまで持ち上げられることにより、補助台車走行経路L5に一定間隔おきに配設されている補助台車駆動用摩擦駆動装置28のモーター駆動の摩擦駆動輪28a,28bの内、分岐点P1から往行側第二搬送経路L3に向かって分岐横動するワーク支持台車2の横動経路と重なる位置にある摩擦駆動輪28bよりもワーク支持台車2が上方に離間することになる。更に、ワーク支持台車2と補助台車3,4との間の連結手段15a,15bは、ワーク支持台車2側の係合部材17が補助台車3,4側の被係合部材16から上方に離脱した連結解除状態となっている。
【0034】
従って、この状態で分岐用摩擦駆動装置25のモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25bを稼働することにより、一定レベルまで持ち上げられたワーク支持台車2が帯板状部材19を介して分岐用摩擦駆動装置25から推進力を受け、分岐点P1から直角横向きに往行側第二搬送経路L3に向かって横動することになる。尚、このときのワーク支持台車2の横動経路と重なる位置にある補助台車駆動用摩擦駆動装置28のモーター駆動の摩擦駆動輪28bは、往行側第二搬送経路L3に向かってワーク支持台車2が横動するときに、当該ワーク支持台車2の底部に設けられている縦動用車輪ユニット8a〜8d、横動用車輪ユニット14a〜14d、及び帯板状部材19などと干渉することなく、当該ワーク支持台車2の下側を相対的に通過できる位置に設けられている。
【0035】
往行側第二搬送経路L3及び復行側第二搬送経路L4には、図9〜図11に示すように、ワーク支持台車2の帯板状部材19を介して当該ワーク支持台車2を駆動する摩擦駆動装置29が併設されている。この摩擦駆動装置29は、帯板状部材19の両側の横動用摩擦駆動面20a,20bに圧接するモーター駆動の摩擦駆動輪29a,29bを備えたもので、第一搬送経路L1,L2,L6に併設される摩擦駆動装置22と同様に、前後のワーク支持台車2が互いに当接する数珠つなぎ状態でワーク支持台車2を走行させるか又は、ワーク支持台車2を1台ずつ、所定間隔を保持させながら走行させるかに応じて、走行経路方向の設置間隔が設定される。而して、分岐用摩擦駆動装置25により分岐点P1から往行側第二搬送経路L3にワーク支持台車2が送り込まれるとき、その帯板状部材19(横動用摩擦駆動面20a,20b)から分岐用摩擦駆動装置25のモーター駆動の摩擦駆動輪25a,25bが外れる前に、最初の摩擦駆動装置29のモーター駆動の摩擦駆動輪29a,29b間に帯板状部材19が進入し、それ以降は、この往行側第二搬送経路L3が備える摩擦駆動装置29によってワーク支持台車2が往行側第二搬送経路L3を横向きで走行することになる。
【0036】
往行側第二搬送経路L3から復行側第二搬送経路L4に移ったワーク支持台車2は、当該復行側第二搬送経路L4に併設された摩擦駆動装置29により駆動されて、往行側第二搬送経路L3を走行するときとは逆向きで当該復行側第二搬送経路L4を走行する。そしてこのワーク支持台車2が、当該復行側第二搬送経路L4に併設された最終の摩擦駆動装置29により下手側第一搬送経路L2への合流点P2に送り出される。
【0037】
一方、分岐点P1において残された前後2台の補助台車3,4は、この分岐点P1からワーク支持台車2が往行側第二搬送経路L3に送り出された後、補助台車駆動用摩擦駆動装置28によって補助台車走行経路L5上を下手の合流点P2まで送られる。即ち、補助台車駆動用摩擦駆動装置28は、補助台車3,4の走行方向の全長(各台車3,4の縦動用摩擦駆動面18a,18bの全長)より長くない間隔で、補助台車走行経路L5に沿って複数台が並列配置されているので、当該補助台車駆動用摩擦駆動装置28を稼働させて、補助台車3,4の左右両縦動用摩擦駆動面18a,18bに圧接するモーター駆動の摩擦駆動輪28a,28bにより各補助台車3,4を合流点P2に向けて駆動すると、前後両補助台車3,4は、間にワーク支持台車2の上手側第一搬送経路L1における走行方向の長さ分の空間を保持したまま、補助台車走行経路L5上を下手の合流点P2に向かって走行することになる。補助台車駆動用摩擦駆動装置28は、合流点P2の前後両定位置まで2台の補助台車3,4を送り込めるように配設されており、2台の補助台車3,4は、復行側第二搬送経路L4から下手側第一搬送経路L2への合流点P2の前後定位置まで送り込まれて停止する。
【0038】
一方、合流点P2には、図示省略しているが、分岐点P1に設けられた昇降ガイドレール24a,24bと分岐用摩擦駆動装置25、及びこれらを昇降駆動する昇降装置27と全く同一の、昇降ガイドレールと合流用摩擦駆動装置、及びこれらを昇降駆動する昇降装置が設けられている。従って、上記のように下手側第一搬送経路L2における合流点P2の前後2箇所の定位置に補助台車3,4が待機している状態において、復行側第二搬送経路L4から最終の摩擦駆動装置29により合流点P2にワーク支持台車2が送り出されるとき、この合流点P2に設けられている昇降ガイドレールと合流用摩擦駆動装置、及びこれらを昇降駆動する昇降装置を、分岐点P1における昇降ガイドレール24a,24bと分岐用摩擦駆動装置25、及びこれらを昇降駆動する昇降装置27の動作と逆の動作を以て稼働させることにより、復行側第二搬送経路L4から送り出されるワーク支持台車2を合流用摩擦駆動装置により上昇限位置の昇降ガイドレールで受け継ぎ、合流点P2の定位置まで送り込む。この後、昇降ガイドレールを降下させて、ワーク支持台車2の縦動用車輪ユニット8a〜8dを下手側第一搬送経路L2の左右両ガイドレール11a,11bに移載すると共に、合流用摩擦駆動装置をワーク支持台車2の帯板状部材19から下方に逃がし、更に、連結手段15a,15bのワーク支持台車2側の係合部材17を補助台車3,4側の被係合部材16に上から嵌合させる。
【0039】
上記のように合流点P2において、待機していた前後2台の補助台車3,4間にワーク支持台車2を復行側第二搬送経路L4から送り込んで、各台車2〜4が下手側第一搬送経路L2のガイドレール11a,11b上で連結手段15a,15bにより連結されて、元のワーク搬送用走行体1に復元されたならば、当該下手側第一搬送経路L2に配設されている摩擦駆動装置22を稼働させ、そのワーク搬送用走行体1を駆動して当該下手側第一搬送経路L2上を走行させることができる。下手側第一搬送経路L2の終端に達したワーク搬送用走行体1は、復行側第一搬送経路L6上を経由させて元の上手側第一搬送経路L1に送り込むことができる。
【0040】
以上の説明から明らかなように、ワーク支持台車2の前後両側に補助台車3,4が連結された状態のワーク搬送用走行体1が、上手側第一搬送経路L1、下手側第一搬送経路L2、及び復行側第一搬送経路L6から成る循環経路を走行するときは、図1〜図3に示すように、中央のワーク支持台車2にワーク支持手段5を介して支持されたワーク(自動車ボディー)Wは、その搬送方向の前後両端部の下側に補助台車3,4が存在するので、作業者は、前後走行方向に並ぶ3台の台車2〜4によって形成される、ワーク(自動車ボディー)Wの全周囲から張り出す広い作業床を活用して、ワーク(自動車ボディー)Wの周側部に対する各種作業をワーク搬送用走行体1上に搭乗した状態で容易且つ安全に行なうことができる。勿論このとき、ワーク支持手段5の昇降支持アーム6a,6bを昇降させて、支持するワーク(自動車ボディー)Wの高さを作業内容に応じた最適な高さに調整することができる。
【0041】
上手側第一搬送経路L1の終端(分岐点P1)に達したワーク(自動車ボディー)Wは、当該ワーク(自動車ボディー)Wを支持するワーク支持台車2のみによって往行側第二搬送経路L3へ直角横向きに送り出され、そして当該往行側第二搬送経路L3とこれに連なる復行側第二搬送経路L4上を横向きに搬送されるが、このときは、図9〜図11に示すように、ワーク(自動車ボディー)Wの前後両端部が、ワーク支持台車2上から搬送方向に対して左右両側に大きく張り出す状態になる。従って、往行側第二搬送経路L3及び復行側第二搬送経路L4の左右両側にワーク支持台車2の床面と略同一レベルで固定作業床30を敷設しておき、ワーク支持台車2上のワーク(自動車ボディー)Wは、ワーク支持手段5の昇降支持アーム6a,6bを上昇させてその支持高さを最大に上げておくことにより、エンジンや車輪ユニットなどの大型組付け部品pを搭載した作業台車Cを、前記固定作業床30上でワーク(自動車ボディー)Wの前後両端部の下側位置まで走行させ、当該作業台車C上の大型組付け部品pをワーク(自動車ボディー)Wの前後両端部の底部に取り付ける作業などを、安全な固定作業床30上で遂行することができる。
【0042】
尚、本発明において、上手側第一搬送経路L1、下手側第一搬送経路L2、及び復行側第一搬送経路L6から成る循環経路においてワーク搬送用走行体1を走行させるための駆動方式、往行側第二搬送経路L3及び復行側第二搬送経路L4においてワーク支持台車2を横向きの走行させるための駆動方式、分岐点P1から往行側第二搬送経路L3へワーク支持台車2を送り出すための駆動方式、復行側第二搬送経路L4から合流点P2にワーク支持台車2を送り込むための駆動方式、及び補助台車走行経路L5において前後2台の補助台車3,4を一定間隔に維持しながら分岐点P1から合流点P2まで走行させるための駆動方式などは、上記実施例に示した摩擦駆動方式に限定されるものではないが、摩擦駆動方式を採用する場合でも、実施例の摩擦駆動装置22,25,28,29に限定されない。例えば、上記実施例では、駆動相手側の摩擦駆動面18a,18b,20a,20bそれぞれに圧接する一対のモーター駆動の摩擦駆動輪22a,22b,25a,25b,28a,28b,29a,29bを備えたものを示しているが、モーター駆動の摩擦駆動輪とバックアップローラーとで駆動相手を挟み付ける構造のものでも良いし、場合によっては、駆動相手側の片側の摩擦駆動面にのみ圧接するモーター駆動の摩擦駆動輪のみから成るものであっても良い。
【0043】
又、補助台車走行経路L5において補助台車3,4を分岐点P1から合流点P2まで駆動する駆動装置の構成によっては、昇降ガイドレール24a,24bによりワーク支持台車2を持ち上げる揚程を小さくすることができる。このように、昇降ガイドレール24a,24bによりワーク支持台車2を持ち上げる揚程を小さくしたときは、連結手段15a,15bの被係合部材16と係合部材17とが完全に上下に離脱しない状態で、補助台車3,4に対してワーク支持台車2が直角横向きに横動することになり、連結手段15a,15bの被係合部材16と係合部材17とが上下方向に嵌合し合った状態で左右横方向に相対的に摺動することになるので、例えば、連結手段15a,15bの係合部材17の内側に嵌合する被係合部材16を、係合部材17の長さ方向に並列する複数の垂直軸ローラーから構成して、連結手段15a,15bの連結が解除されるときの摩擦抵抗を小さくすることができる。勿論、連結手段15a,15bは、本発明に必須のものではなく、設ける場合でもその構造は限定されないが、上手側第一搬送経路L1、下手側第一搬送経路L2、及び復行側第一搬送経路L6から成る循環経路においてワーク搬送用走行体1を走行させるための駆動装置の構成によっては、ワーク支持台車2の前後両側に補助台車3,4を隣接させた状態で一体に走行させることができるので、このようなときは連結手段15a,15bは無くとも良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のワーク搬送設備は、自動車ボディーの周側部に対する作業を行なうトリムラインやファイナルラインと、自動車ボディーの前後両端部の下側に対するエンジンや車輪ユニットなどの台車搬送される大型組付け部品の組付け作業をおこなうシャーシーラインから成る自動車組立てラインとして、効果的に活用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 ワーク搬送用走行体
2 ワーク支持台車
3,4 補助台車
5 ワーク支持手段
8a〜8d,9a〜9d,10a〜10d 縦動用車輪ユニット
11a,11b,21a,21b ガイドレール
12 車輪
13 垂直軸ローラー
14a〜14d 横動用車輪ユニット
15 連結手段
16 被係合部材
17 係合部材
18a,18b 縦動用摩擦駆動面
19 帯板状部材
20a,20b 横動用摩擦駆動面
22,25,28,29 摩擦駆動装置
22a,22b,25a,25b,28a,28b,29a,29b モーター駆動の摩擦駆動輪
24a,24b 昇降ガイドレール
26 床下ピット
27 昇降装置
30 固定作業床
C 作業台車
L1 上手側第一搬送経路
L2 下手側第一搬送経路
L3 往行側第二搬送経路
L4 復行側第二搬送経路
L5 補助台車走行経路
L6 復行側第一搬送経路
p 大型組付け部品
P1 分岐点
P2 合流点
W ワーク(自動車ボディー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬送経路は、第一搬送経路と当該第一搬送経路に対して直角横向きに分岐する第二搬送経路とを備え、ワーク搬送用走行体は、ワーク支持台車と、このワーク支持台車の第一搬送経路における走行方向前後の少なくとも一方に隣接する補助台車とから構成され、第一搬送経路には、ワーク支持台車と補助台車とを一体に走行させるワーク搬送用走行体駆動手段が併設され、第一搬送経路と第二搬送経路との分岐点には、補助台車を第一搬送経路上に残してワーク支持台車のみを第二搬送経路へ直角横向きに分岐導入させる台車分岐手段が配設され、第二搬送経路には、ワーク支持台車を、第一搬送経路における当該ワーク支持台車の走行方向に対し直角横向きに走行させるワーク支持台車駆動手段が併設された、ワーク搬送設備。
【請求項2】
第二搬送経路の終端は、前記分岐点と隣り合うように設定した合流点において第一搬送経路に対し直角に接続され、互いに隣り合う前記分岐点と合流点との間には、前記分岐点において第一搬送経路上に残された補助台車を、前記合流点に進入するワーク支持台車に対する前後隣接位置まで移動させて待機させる補助台車駆動手段が併設された、請求項1に記載のワーク搬送設備。
【請求項3】
ワーク搬送用走行体は、ワーク支持台車と、このワーク支持台車の第一搬送経路における走行方向前後両側に隣接する2台の補助台車とから構成されている、請求項1に記載のワーク搬送設備。
【請求項4】
ワーク搬送用走行体は、ワーク支持台車と、このワーク支持台車の第一搬送経路における走行方向前後両側に隣接する2台の補助台車とから構成され、前記補助台車駆動手段は、各補助台車に設けられた摩擦駆動面の全長より長くない間隔で前記分岐点と合流点との間の経路に沿って配置された摩擦駆動装置から構成され、前後に離れて位置する2台の補助台車を、両補助台車間の間隔を保って分岐点から合流点まで摩擦駆動するように構成された、請求項2に記載のワーク搬送設備。
【請求項5】
ワーク支持台車と補助台車とを互いに連結する連結手段が併設され、この連結手段の連結を前記分岐点において解除するように構成された、請求項1〜4の何れか1項に記載のワーク搬送設備。
【請求項6】
連結手段は、前記分岐点におけるワーク支持台車と補助台車との間の横向きの相対移動を許す状態で互いに上下方向に嵌合するワーク支持台車側の係合部材と補助台車側の被係合部材とで構成されている、請求項5に記載のワーク搬送設備。
【請求項7】
ワーク支持台車分岐手段は、当該ワーク支持台車を第二搬送経路での走行方向に支持案内する昇降自在な昇降ガイドレールと、この昇降ガイドレールによって持ち上げられたワーク支持台車を第二搬送経路内へ推進させるワーク支持台車分岐駆動装置とを備え、昇降ガイドレールによってワーク支持台車が持ち上げられたとき、前記連結手段の係合部材と被係合部材とが互いに上下に離脱するか又は嵌合深さが浅くなるように構成された、請求項6に記載のワーク搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−63044(P2011−63044A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212765(P2009−212765)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】