説明

ワーク旋削装置

【課題】ワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具を工具ホルダの共通の工具装着部に装着可能としつつ、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削をワークの周方向における共通の位置でそれぞれ対応した工具で行えるようにするとともに、内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具との相互間の自動交換を実施できるようにする。
【解決手段】ワーク旋削装置では、立旋盤2が、外向旋回位置と内向旋回位置との間で工具ホルダ18を旋回させるホルダ旋回装置24と、工具ホルダ18が外向旋回位置と内向旋回位置に配置された時に工具ホルダ18をラム14に対して位置固定するためのホルダ固定装置26とを含み、工具ホルダ18は、工具を掴んで保持する状態と工具を放す状態とに切り換え可能な水平工具装着部34を有し、工具交換装置3は、水平移動軸方向において工具の刃先が当該工具交換装置3側へ向かう姿勢で工具を水平工具装着部34に受け渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の内周面及び外周面をもつワークの当該内周面及び外周面を旋削するワーク旋削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物であるワークを上下方向に延びる縦軸回りに回転させながらそのワークの旋削加工を行う立旋盤が知られており、下記特許文献1には、このような立旋盤の一例が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された立旋盤は、縦軸回りに回転可能な回転テーブルと、その回転テーブルを回転させる駆動手段と、回転テーブルの上方で水平方向に延びるクロスレールと、そのクロスレールに沿って移動可能に設けられたサドルと、そのサドルに鉛直方向に移動可能に設けられたラムと、ラムの下端部の側面に水平軸回りに旋回可能に設けられ、複数のバイト工具を保持するタレット型の工具ホルダとを備えている。この立旋盤では、回転テーブルが駆動手段によって回転駆動されることによりその回転テーブル上にセットされたワークを縦軸回りに回転させるとともに、そのワークにサドル及び/又はラムの移動に伴って移送されるバイト工具の刃先を当てて当該ワークの旋削加工を行う。
【0004】
この立旋盤のタレット型の工具ホルダは、それぞれバイト工具を取り付けるための4つの工具取付部を有している。4つの工具取付部は、旋回軸に対して互いに反対向きに配置された2つの工具取付部と、それら2つの工具取付部が並ぶ方向と垂直な方向において旋回軸に対して互いに反対向きに配置された残りの2つの工具取付部とからなる。各工具取付部には、バイト工具がそれぞれねじ止めされることによって取り付けられ、その各工具取付部に取り付けられたバイト工具は、刃先が工具ホルダから径方向外側へ突出するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−71602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、円筒状の内周面及び外周面をもつワークの当該内周面及び外周面を旋削する場合には、ワークの内周面を切削するのに必要な工具の刃先の向きと、外周面を旋削するのに必要な工具の刃先の向きとが互いに逆向きとなるため、その内周面の旋削の場合と外周面の旋削の場合とで使用する工具をそれぞれ対応した向きの刃先を有する工具に交換する必要がある。そして、この工具の交換は、ワークの加工時間の短縮や工具の交換作業に要する作業負担の削減の観点から、自動交換によって実施されることが望ましい。
【0007】
しかしながら、上記の立旋盤では、工具ホルダの工具取付部に工具がねじ止めされるため、その工具を取り外して交換しようとするとねじの脱着が必要であり、工具の自動交換に対応することが困難である。
【0008】
なお、上記の立旋盤では、工具ホルダに設けられた4つの工具取付部のうち旋回軸に対して互いに反対向きに配置された2つの工具取付部が、それぞれ工具の刃先が互いに逆方向へ向かうように対応する工具を保持するため、ワークの旋削を開始する前に予めそれら2つの工具取付部のうちの一方にワークの内周面旋削用の工具を取り付けるとともに他方にワークの外周面旋削用の工具を取り付けておき、ワークの加工中に工具の交換のための工具ホルダへの工具の脱着を行うことなく、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削をそれぞれ対応する工具を用いて行うことも考えられる。
【0009】
しかし、この場合には、工具ホルダが大型化するとともにその構造が複雑になるという問題が生じる。このため、本来は、工具ホルダの共通の工具装着部にワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具を装着できることが望ましい。また、この場合には、ワークの内周面を旋削する位置と外周面を旋削する位置とがワークの周方向において互いに180度反対の位置となる。このため、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削とで旋削条件の差異が大きくなるという問題点が生じる。
【0010】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、円筒状の内周面及び外周面をもつワークの当該内周面及び外周面を旋削加工するワーク旋削装置において、ワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具を工具ホルダの共通の工具装着部に装着可能としつつ、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削をワークの周方向における共通の位置でそれぞれ対応した工具で行えるようにするとともに、内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具との相互間の自動交換を実施できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によるワーク旋削装置は、円筒状の内周面及び外周面をもつワークを上下に延びる姿勢でその軸回りに回転させながらその内周面と外周面をそれぞれ旋削加工可能なワーク旋削装置であって、ワークの内周面を内周面旋削用の工具により旋削する一方、そのワークの外周面を前記内周面旋削用の工具と刃先が逆向きに設けられた外周面旋削用の工具により旋削する立旋盤と、前記立旋盤がワークの旋削に使用する前記内周面旋削用の工具と前記外周面旋削用の工具を相互に自動交換することが可能な工具交換装置とを備え、前記立旋盤は、ワークをその軸方向が上下に延びる姿勢で支持しながら当該ワークの軸回りに回転させるワーク回転装置と、そのワーク回転装置の上方において当該ワーク回転装置によるワークの回転軸に垂直な第1移動軸方向に延びるクロスレールと、前記クロスレールに沿って前記第1移動軸方向に移動可能となるように当該クロスレールに支持されるサドルと、前記サドルを前記クロスレールに沿って前記第1移動軸方向に移送する第1移送装置と、前記ワークの回転軸と平行な第2移動軸方向に移動可能となるように前記サドルに支持されるラムと、前記ラムを前記第2移動軸方向に移送する第2移送装置と、前記ラムの下端に前記ワークの回転軸と平行な工具旋回軸回りに旋回可能に取り付けられ、前記工具をその刃先が前記工具旋回軸から見て外側へ向かうような姿勢で保持する工具ホルダと、前記工具ホルダに保持された前記工具の刃先が前記第1移動軸方向においてワークの径方向外側へ向かうような第1旋回位置とその工具の刃先が前記第1移動軸方向においてワークの径方向内側へ向かうような第2旋回位置との間で前記工具ホルダを前記工具旋回軸回りに旋回させるためのホルダ旋回装置と、前記工具ホルダが前記第1旋回位置と前記第2旋回位置にそれぞれ配置された時にその工具ホルダを前記ラムに対して位置固定するためのホルダ固定装置とを含み、前記工具ホルダは、前記工具を掴んで保持する状態とその工具を放す状態とに切り換え可能な工具装着部を有し、前記工具交換装置は、前記第1移動軸方向において前記工具の刃先が特定の側へ向かう姿勢で前記工具を前記工具装着部に対して受け渡す。
【0012】
このワーク旋削装置では、工具ホルダに保持されている工具の交換時には、工具ホルダの工具装着部が保持していた工具を放すとともに、その工具装着部と工具交換装置との間で工具の受け渡しが自動的に行われるため、ワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具との相互間の自動交換を実施できる。
【0013】
そして、この工具の自動交換の際には、工具の刃先が第1移動軸方向において特定の側へ向かう姿勢で工具が工具交換装置と工具装着部との間で受け渡されるが、このワーク旋削装置では、工具の刃先がワークの径方向外側へ向かうような第1旋回位置とその刃先がワークの径方向内側へ向かうような第2旋回位置との間で工具ホルダを旋回させてその各旋回位置で工具ホルダをラムに対して位置固定できるので、交換された工具の刃先がその工具によるワークの旋削に対応した向きに向いていなくても、その工具の向きを変えてその工具の刃先を適切な向きに向かせることができる。すなわち、工具ホルダの共通の工具装着部にワークの内周面旋削用の工具又は外周面旋削用の工具が装着されたとしても、ワークの内周面旋削用の工具はその刃先がワークの径方向外側へ向かうような姿勢で配置することができるとともに、外周面旋削用の工具はその刃先がワークの径方向内側へ向かうような姿勢で配置することができる。その結果、ワークの周方向における共通の位置でその径方向の内側と外側からそれぞれ対応する工具でワークの内周面の旋削と外周面の旋削とを行うことができる。従って、このワーク旋削装置では、ワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具を工具ホルダの共通の工具装着部に装着可能としつつ、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削をワークの周方向における共通の位置でそれぞれ対応した工具で行えるようにすることができる。
【0014】
上記ワーク旋削装置において、前記ホルダ固定装置は、前記ラムの下端部に固定された第1噛合部材と、前記工具ホルダの上端部に前記第1噛合部材と対向するように固定された第2噛合部材と、前記工具ホルダが前記第1旋回位置又は前記第2旋回位置に配置された時に前記ラムに対して当該工具ホルダを固定するホルダ固定用クランプ機構とを有し、前記第1噛合部材は、前記工具旋回軸の周りに所定間隔で配設され、その工具旋回軸から見て前記ラムの外側へ向かって延びるとともに下向きに突出する複数の第1歯部を有し、前記第2噛合部材は、前記工具旋回軸の周りに前記第1歯部と同じ間隔で配設され、前記工具旋回軸から見て前記工具ホルダの外側へ向かって延びるとともに上向きに突出する複数の第2歯部を有し、前記ホルダ固定用クランプ機構は、前記工具ホルダが前記第1旋回位置又は前記第2旋回位置に配置された時に前記第1噛合部材の前記第1歯部に前記第2噛合部材の前記第2歯部が噛み合うように前記ラムと前記工具ホルダを結合させることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、工具ホルダが第1旋回位置又は第2旋回位置に配置された時にラム側の第1噛合部材の複数の第1歯部と工具ホルダ側の第2噛合部材の複数の第2歯部が噛み合った状態でラムに対して工具ホルダが固定されるので、ワークの旋削時に工具がワークから工具旋回軸回りの応力を受けたとしてもその応力に十分に対抗して工具を工具旋回軸回りに変位しないように確実に保持することができる。
【0016】
上記ワーク旋削装置において、前記工具装着部は、前記工具が基端部から挿嵌される挿嵌口と、前記挿嵌口に工具が挿嵌されたときにはその工具を当該挿嵌口から脱離しないように掴んで保持する一方、前記挿嵌口に挿嵌されている工具を前記工具交換装置へ渡すときにはその工具を放す工具クランプ機構とを有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、挿嵌口に工具が挿嵌されたときにその工具を掴んで保持し、挿嵌口に挿嵌されている工具を工具交換装置へ渡すときにその工具を放すように工具の保持状態を切り換え可能な工具装着部の具体的な構造を構成することができる。
【0018】
上記ワーク旋削装置において、前記工具ホルダは、下から見て前記ラムと重なる領域内に配設されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ラム及び工具ホルダを下から見たそれらの設置領域が、従来の立旋盤のようにラムの側面に工具ホルダが取り付けられた構成に比べて小さくなる。このため、ワークの径方向内側に工具ホルダ及びラムを挿入してそのワークの内周面を旋削加工する場合により内径の小さいワークの加工を行うことができる。
【0020】
上記ワーク旋削装置において、前記ラムに対して前記工具ホルダを着脱可能に連結するホルダ連結装置をさらに備えることが好ましい。
【0021】
この構成では、例えば工具の取付姿勢がそれぞれ異なる複数の工具ホルダや、種類の異なる工具がそれぞれ取り付けられた複数の工具ホルダを用意しておけば、それらの工具に工具ホルダごと容易に交換することが可能であり、工具の交換のバリエーションの幅を広げることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、円筒状の内周面及び外周面をもつワークの当該内周面及び外周面を旋削加工するワーク旋削装置において、ワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具を工具ホルダの共通の工具装着部に装着可能としつつ、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削をワークの周方向における共通の位置でそれぞれ対応した工具で行えるようにするとともに、内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具との相互間の自動交換を実施できるようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるワーク旋削装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるワーク旋削装置の立旋盤のラム及び工具ホルダを下から見た図である。
【図3】ワークを旋削するための工具を水平姿勢で保持するための工具ホルダの正面図である。
【図4】図3に示した工具ホルダから工具を取り外した状態を挿嵌口側から見た図である。
【図5】ラム及び工具ホルダの図2中のV−V線に沿った断面図である。
【図6】ラムの下端部及び工具ホルダの図2中のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】ラムに対して工具ホルダが位置固定された状態を示すラムの下端部及び工具ホルダの図2中のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】ラムに対する工具ホルダの位置固定が解除された状態を示すラムの下端部及び工具ホルダの図7に対応する断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるワーク旋削装置の工具交換装置の縦断面図である。
【図10】ワークを旋削するための工具を鉛直姿勢で保持するための工具ホルダの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
まず、図1〜図10を参照して、本発明の一実施形態によるワーク旋削装置の構成について説明する。
【0026】
本実施形態によるワーク旋削装置は、円筒状の内周面及び外周面をもつワークを上下に延びる姿勢でその軸回りに回転させながらそのワークの内周面と外周面をそれぞれ旋削加工可能であり、そのワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具とを相互に自動交換できるように構成されている。
【0027】
具体的には、このワーク旋削装置は、図1に示すように立旋盤2と、工具交換装置3とを備えている。
【0028】
立旋盤2は、ワークの内周面を内周面旋削用の工具により旋削する一方、そのワークの外周面を内周面旋削用の工具と刃先が逆向きに設けられた外周面旋削用の工具により旋削する。この立旋盤2は、ワーク回転装置4と、一対のコラム5と、クロスレール6と、第1鉛直移送装置8と、サドル10と、水平移送装置12と、ラム14と、図略の第2鉛直移送装置と、工具ホルダ18と、ホルダ連結装置22(図2参照)と、ホルダ旋回装置24(図5参照)と、ホルダ固定装置26(図6参照)とを備えている。
【0029】
ワーク回転装置4は、ワークをその軸方向が上下に延びる姿勢で下から支持しながらそのワークの軸回り(鉛直軸回り)に回転させるものである。このワーク回転装置4は、所定の設置場所に設置されたベース4aと、そのベース4a上に鉛直軸回りに回転可能に設けられたテーブル4bと、そのテーブル4bを回転させる図略の駆動部とを有している。テーブル4bの上面は、水平面となっており、この上面上にワークが当該テーブル4bの回転軸と同軸となるようにセットされる。テーブル4b上にセットされたワークは、前記駆動部によってテーブル4bが回転させられるのに伴ってその軸回りに回転する。このワーク回転装置4では、テーブル4bを上から見て左回りに回転させることにより、ワークを上から見て左回りに回転させる。
【0030】
一対のコラム5は、ワーク回転装置4の両側に分かれて立設されている。各コラム5は、鉛直方向に延びている。
【0031】
クロスレール6は、一対のコラム5に掛け渡されており、ワーク回転装置4のテーブル4bの上方においてワークの回転軸(テーブル4bの回転軸)に垂直な水平移動軸方向に延びている。なお、前記水平移動軸は、本発明の第1移動軸の概念に含まれる。また、クロスレール6は、コラム5に沿って前記水平移動軸に垂直な鉛直方向に延びる第1鉛直移動軸方向に移動可能となるように当該コラム5の前面で支持されている。
【0032】
第1鉛直移送装置8は、クロスレール6をコラム5に沿って前記第1鉛直移動軸方向に移送するものである。この第1鉛直移送装置8は、駆動源としてのサーボモータと、各コラム5の前方の位置にその各コラム5にそれぞれ隣接するように設けられ、鉛直方向に延びる図略のボールねじと、サーボモータの動力を各ボールねじに伝達してその各ボールねじを各々の軸回りに回転させる図略の動力伝達機構とを有する。クロスレール6のうち各ボールねじに対応する位置には、図略のナット部がそれぞれ設けられており、その各ナット部が対応するボールねじにそれぞれ螺合している。このような構成により、サーボモータが駆動されて各ボールねじが共通の一方向に回転すると、ナット部とともにクロスレール6が上方へ移送される一方、各ボールねじがそれとは逆向きの他方向に回転すると、ナット部とともにクロスレール6が下方へ移送されるようになっている。
【0033】
サドル10は、クロスレール6に沿って前記水平移動軸方向に移動可能となるように当該クロスレール6の前面で支持されている。すなわち、サドル10は、テーブル4bの上方においてそのテーブル4bを横切るように移動可能となっている。このサドル10は、鉛直方向に延びている。
【0034】
水平移送装置12は、サドル10をクロスレール6に沿って前記水平移動軸方向に移送するものである。この水平移送装置12は、本発明の第1移送装置の概念に含まれるものである。この水平移送装置12は、クロスレール6に設けられたボールねじと、駆動源としてのサーボモータとを有する。この水平移送装置12のボールねじは、クロスレール6に沿って水平移動軸方向に延びる姿勢で設けられており、サーボモータは、そのボールねじをその軸回りに回転させる。サドル10は、この水平移送装置12のボールねじと螺合するナット部を有している。サドル10は、この水平移送装置12のボールねじがサーボモータによって回転駆動される向きに応じて当該サドル10に設けられたナット部とともに水平移動軸方向において一方側又はその反対側である他方側へ移送される。
【0035】
ラム14は、ワークの回転軸(テーブル4bの回転軸)と平行な第2鉛直移動軸方向(上下方向)に移動可能となるようにサドル10に支持されている。なお、前記第2鉛直移動軸は、本発明の第2移動軸の概念に含まれる。このラム14は、鉛直方向に延びる略直方体状の外径を有するラム本体14aと、略円柱状の外形を有し、ラム本体14aと同軸にそのラム本体14aの下端から下向きに突設された突設部14bとを有する。突設部14bは、図5に示すように、略円筒状の外装体14cと、その外装体14cの内部に同軸に配設された筒状の内装体14dとを有する。これら外装体14c及び内装体14dは、ともにラム本体14aの下端に固定されている。
【0036】
前記図略の第2鉛直移送装置は、ラム14をサドル10に沿って第2鉛直移動軸方向に移送するものである。この第2鉛直移送装置は、本発明の第2移送装置の概念に含まれる。この第2鉛直移送装置は、サドル10に設けられたボールねじと、駆動源としてのサーボモータとを有する。この第2鉛直移送装置のボールねじは、第2鉛直移動軸方向(上下方向)に延びる姿勢で設けられており、サーボモータは、そのボールねじをその軸回りに回転させる。ラム14は、この第2鉛直移送装置のボールねじと螺合するナット部を有している。ラム14は、この第2鉛直移送装置のボールねじがサーボモータによって回転駆動される向きに応じて当該ラム14に設けられたナット部とともに上方又は下方へ移送される。
【0037】
工具ホルダ18は、ワークを旋削するための工具を保持するものであり、ラム14の下端にワークの回転軸と平行な工具旋回軸回りに旋回可能に取り付けられている。工具ホルダ18は、ワークの内周面又は外周面に刃先を当ててその内周面又は外周面の旋削を行うための工具をワークの回転軸に垂直な水平方向に延びる姿勢で保持する。
【0038】
具体的には、工具ホルダ18によって保持される工具としては、外周面旋削用工具31(図3参照)と内周面旋削用工具(図示せず)とがあり、工具ホルダ18は、これら両工具のうちいずれか一方を保持する。
【0039】
外周面旋削用工具31は、ワークの外周面を旋削するためのものであり、内周面旋削用工具は、ワークの内周面を旋削するためのものである。外周面旋削用工具31は、特定方向に延び、その先端にワークを旋削するための刃先31aを有する。この刃先31aは、外周面旋削用工具31の先端部のうち図3の紙面に垂直な方向の手前側に面する部分に設けられている。一方、内周面旋削用工具は、その刃先の向き以外は外周面旋削用工具31と同様に構成されている。すなわち、内周面旋削用工具の刃先は、外周面旋削用工具31の刃先31aと逆向きに設けられており、図3中の外周面旋削用工具31と同様の姿勢で内周面旋削用工具が配置された場合にはその図3の紙面に垂直な方向の奥側に面する部分に刃先が設けられている。
【0040】
そして、工具ホルダ18は、ラム14の下端にワークの回転軸と平行な工具旋回軸(図5参照)回りに旋回可能に取り付けられている。また、工具ホルダ18は、下から見てラム14と重なる領域内に配設されている(図2参照)。そして、工具ホルダ18は、図3に示すように、ホルダ本体部32と、水平工具装着部34とを有する。
【0041】
ホルダ本体部32は、略円柱状の外形を有しており、ラム14の突設部14bの下端にラム14と同軸となるように取り付けられる。このホルダ本体部32は、図6に示すように、略円筒状の外筒36と、その内部に嵌め込まれた有底の円筒状の内筒38と、その内筒38内に設けられた被クランプ部嵌合部40と、内筒38の上端面に取り付けられた端板部42とを有する。外筒36及び内筒38は、その軸心が工具旋回軸に一致するように配置されている。
【0042】
内筒38は、その下端に底部38aを有している。内筒38内の空間は、その下端が底部38aによって閉塞されている一方、その上端が開口されている。
【0043】
被クランプ部嵌合部40は、後述する被クランプ部44と嵌合するものであり、内筒38内の空間において底部38aの上面に取り付けられている。この被クランプ部嵌合部40は、内筒38の底部38aの上面に固定された固定部40aと、その固定部40aから上方へ突設された円筒部40bとを有する。被クランプ部嵌合部40のうち円筒部40bが、被クランプ部44と嵌合する部分であり、この円筒部40bは、内筒38の軸心及び工具旋回軸と同軸となるように配置されている。
【0044】
端板部42は、中央に貫通穴42aが設けられた円盤状に形成されており、内筒38と同軸となるようにその内筒38の上端面に固定されている。なお、この端板部42は、内筒38から取り外し可能である。また、端板部42の貫通穴42aは、内筒38の内径よりも小さい内径を有している。この端板部42のうち内筒38よりも径方向内側へ延出された部分の下面には、複数のピン穴42b(図7参照)が当該端板部42の周方向に所定間隔で設けられている。
【0045】
水平工具装着部34は、ホルダ本体部32の内筒38の底部38aの下面にボルトによって締結されている。この水平工具装着部34は、工具を掴んで保持する状態とその工具を放す状態とに切り換え可能に構成されている。水平工具装着部34は、水平方向における当該水平工具装着部34の一方側に開口し、工具が基端部から挿嵌されてその工具を水平方向に延びる姿勢で保持する挿嵌口34a(図4及び図6参照)と、挿嵌口34aに挿嵌された工具を掴んでこの工具が挿嵌口34aから脱離しないように保持可能な工具クランプ機構(図示せず)とを有する。
【0046】
工具クランプ機構は、水平工具装着部34内に内蔵されている。この工具クランプ機構は、挿嵌口34aに挿嵌された工具の基端部をクランプする図略のクランプ部材と、そのクランプ部材が工具の基端部をクランプする姿勢とクランプを解除する姿勢との間でそのクランプ部材を動作させる図略の駆動部とを有している。工具クランプ機構は、そのクランプ部材の動作により、挿嵌口34aに工具の基端部が挿嵌されたときにその工具の基端部を挿嵌口34aから脱離しないように掴んで保持する一方、挿嵌口34aに挿嵌されている工具を後述するように工具交換装置3へ渡すときにはその工具を放す。
【0047】
ホルダ連結装置22は、ラム14に対して工具ホルダ18を着脱可能に連結するものである。このホルダ連結装置22は、通常はラム14に対して工具ホルダ18を連結しており、工具ホルダ18の交換の際にラム14から工具ホルダ18を脱離可能な状態とする。ホルダ連結装置22は、被クランプ部44と、筒体45と、油圧シリンダ46(図5参照)と、ロッド部48と、バネ部材49と、複数の連結用コレット50とを有する。
【0048】
被クランプ部44は、連結用コレット50によってクランプされるものであり、工具ホルダ18のホルダ本体部32から上方へ突出するようにそのホルダ本体部32に同軸に取り付けられている。この被クランプ部44は、図6に示すように、被クランプ部本体52と、被嵌合部54と、結合部56とを有する。
【0049】
被クランプ部本体52は、当該被クランプ部本体52の下部に配置され、平たい円板状に形成された被クランプ部基部52aと、その被クランプ部基部52aから上方に突設された挿嵌部52bとを有する。
【0050】
被クランプ部基部52aのうち挿嵌部52bの周りに位置する部位には、複数のピン58(図7参照)が設けられている。これらのピン58は、被クランプ部基部52aの周方向に所定間隔で設けられており、前記端板部42のピン穴42bにそれぞれ対応する位置に設けられている。各ピン58の上端部は、基部52aの上面から突出している。
【0051】
被クランプ部基部52aの下面には、被嵌合部54が固定されている。この被クランプ部基部52aと被嵌合部54は、内筒38の底部38aの上面と端板部42のうち内筒38よりも径方向内側に延出された部分の下面との間で内筒38に対して軸方向(上下方向)に相対移動可能に内筒38内に収容されている。
【0052】
被嵌合部54は、前記被クランプ部嵌合部40の円筒部40bと嵌合される部分である。この被嵌合部54は、内筒38の軸心及び工具旋回軸と同軸に配置され、下側が開口した環状の溝部54aを有しており、この溝部54aに円筒部40bが軸方向(上下方向)に移動可能に下側から挿嵌されている。このような構成により、工具ホルダ18は、被クランプ部44に対して相対的にその軸方向(上下方向)に移動可能となっている。なお、工具ホルダ18が被クランプ部44に対して下方へ移動した場合には、図8に示すように端板部42の各ピン穴42bに対応するピン58の上端部がそれぞれ挿嵌され、工具ホルダ18が被クランプ部44に対して上方へ移動した場合には、図7に示すように各ピン穴42bからピン58が脱離する。端板部42の各ピン穴42bに対応するピン58が挿嵌された場合には、工具ホルダ18と被クランプ部44とが相互に工具旋回軸回りに旋回しないように固定される。
【0053】
挿嵌部52bは、端板部42の貫通穴42aを通って上方に延びている。この挿嵌部52bは、上端へ向かうにつれて徐々に小径となる円錐台状の部分を有しており、この部分が筒体45内にその下端から挿嵌される。
【0054】
結合部56は、被クランプ部44のうち連結用コレット50によってクランプされる部分である。この結合部56は、挿嵌部52bの上端部に上方へ突出するように取り付けられている。この結合部56は、挿嵌部52bから突出した部分の軸方向の中間部分が小径となっており、上端部がその中間部分よりも大径となっている。
【0055】
筒体45は、略円筒状に形成されており、ラム14内の中心で上下に延びるように配設されている。この筒体45は、その軸心が工具旋回軸に一致するように配置されている。筒体45は、軸受け60を介してラム14にその軸回りに回転可能に支持されている。筒体45の下端部の内周面は、上方へ向かうにつれて徐々に小径となっており、前記挿嵌部52bの円錐台状の部分に適合した形状を有する。この筒体45の下端部内に挿嵌部52bの円錐台状の部分が挿嵌される。
【0056】
油圧シリンダ46は、図5に示すようにラム14内において筒体45の上方の位置に設けられている。この油圧シリンダ46から下方へロッド部48が延びている。このロッド部48は、その軸心が工具旋回軸に一致するように筒体45内に挿入されている。筒体45内においてロッド部48の周りには、バネ部材49が配設されており、ロッド部48は、このバネ部材49によって上方に付勢されている。油圧シリンダ46は、その内部にピストン部(図示せず)を有しており、このピストン部とロッド部48の上端が結合している。ピストン部は、油圧シリンダ46内で上下に油圧駆動され、それに伴ってロッド部48が上下に駆動される。また、ロッド部48の下端(先端)には、コレット係止部48aが設けられている。コレット係止部48aは、図6に示すように、ロッド部48から下方に突出した直後に小径となって括れた小径部48bと、その小径部48bの下側に連続し、その小径部48bよりも大径の大径部48cとを有する。
【0057】
複数の連結用コレット50は、被クランプ部44の結合部56をクランプするものであり、筒体45内においてコレット係止部48aの周りに配設されている。各連結用コレット50は、その上端部に筒体45の径方向内側へ向かって突出する被係止部50aを有している。この被係止部50aは、コレット係止部48aの小径部48bの周りに嵌り込んでいる。また、各連結用コレット50は、その下端部に筒体45の径方向内側へ向かって突出するクランプ部50bを有する。このクランプ部50bは、被クランプ部44の結合部56をクランプする部分である。また、各連結用コレット50のうち被係止部50aとクランプ部50bとの間の中間部50cは、クランプ部50bが結合部56をクランプしている状態では、下方へ向かうにつれて徐々に筒体45の径方向内側へ向かうように傾斜している。
【0058】
ホルダ連結装置22により工具ホルダ18がラム14に連結される時には、油圧シリンダ46の駆動によりロッド部48とともにコレット係止部48aが上方へ動かされ、コレット係止部48aの大径部48cが各連結用コレット50の被係止部50aに係止して各連結用コレット50を引き上げ、それに伴って各連結用コレット50のクランプ部50bが筒体45の径方向内側へ変位するように各連結用コレット50が揺動して結合部56をクランプする。一方、ホルダ連結装置22による工具ホルダ18とラム14との連結が解除される時には、油圧シリンダ46の駆動によりロッド部48とともにコレット係止部48aが下方へ動かされ、そのコレット係止部48aにより各連結用コレット50が下方へ押されつつコレット係止部48aの大径部48cの外縁により各連結用コレット50の中間部50cが筒体45の径方向外側へ押され、それによって各連結用コレット50が僅かに下方へ移動しながらそのクランプ部50bが筒体45の径方向外側へ変位するように揺動する。その結果、各連結用コレット50のクランプ部50bによる結合部56のクランプが解除され、工具ホルダ18とラム14との連結が解除される。
【0059】
ホルダ旋回装置24(図5参照)は、ラム14内に設けられている。このホルダ旋回装置24は、工具ホルダ18に保持された工具の刃先が水平移動軸方向においてワークの径方向外側の工具交換装置3側へ向かうような外向旋回位置と、その外向旋回位置と180度反対の旋回位置であり、工具の刃先が水平移動軸方向においてワークの径方向内側(工具交換装置3と反対側)へ向かうような内向旋回位置との間で工具ホルダ18を工具旋回軸回りに旋回させるものである。このホルダ旋回装置24は、工具ホルダ18に保持された工具の向きを変更する際に工具ホルダ18を旋回させる。なお、前記外向旋回位置は、本発明の第1旋回位置の概念に含まれ、前記内向旋回位置は、本発明の第2旋回位置の概念に含まれる。このホルダ旋回装置24により工具ホルダ18が外向旋回位置に配置され、その工具ホルダ18によって刃先がワークの径方向外側へ向かうように保持された内周面旋削用工具が、ワークの回転軸の位置を通って水平移動軸方向に延びる直線とワークの内周面が交差する位置でそのワークの内周面を旋削する。一方、このホルダ旋回装置24により工具ホルダ18が内向旋回位置に配置され、その工具ホルダ18によって刃先31aがワークの径方向内側へ向かうように保持された外周面旋削用工具31が、ワークの回転軸の位置を通って水平移動軸方向に延びる直線とワークの外周面が交差する位置でそのワークの外周面を旋削する。
【0060】
ホルダ旋回装置24は、サーボモータ64と、減速機66とを有する。また、ホルダ連結装置22の筒体45及び被クランプ部44がこのホルダ旋回装置24を構成する部材として共用されている。
【0061】
サーボモータ64と減速機66は、ラム本体14aの内部において筒体45よりも上側の位置に設けられている。サーボモータ64の駆動軸は、減速機66に接続されており、サーボモータ64が駆動されることによりその駆動軸から減速機66に回転力が入力される。減速機66は、筒体45に接続されており、サーボモータ64から入力された回転力を減速して筒体45に出力する。
【0062】
筒体45は、被クランプ部44の挿嵌部52bが当該筒体45の下端部内に挿嵌されて結合部56が連結用コレット50によってクランプされている状態では、被クランプ部44と相互に固定されている。そして、筒体45は、この状態において工具ホルダ18が降下すると、減速機66から入力される回転力を被クランプ部44を介して工具ホルダ18に伝達することが可能となる。具体的には、被クランプ部44は、上記したように工具ホルダ18が降下して端板部42のピン穴42bにピン58が挿嵌されると、工具旋回軸回りにおいて工具ホルダ18に対して固定され、この状態で減速機66から筒体45及び被クランプ部44を介して工具ホルダ18に回転力が伝達可能となる。このように、工具ホルダ18に回転力が伝達されることによって、工具ホルダ18は外向旋回位置と内向旋回位置との間で旋回する。
【0063】
ホルダ固定装置26は、工具ホルダ18が外向旋回位置と内向旋回位置にそれぞれ配置された時にその工具ホルダ18をラム14に対して位置固定する。一方、このホルダ固定装置26は、ホルダ旋回装置24が工具の向きを変更するために工具ホルダ18を旋回させる時には、工具ホルダ18をラム14に対して工具旋回軸回りに回転可能とする。
【0064】
具体的には、このホルダ固定装置26は、ラム側カービック68(図6参照)と、ホルダ側カービック70と、ホルダ固定用クランプ機構72とを有する。
【0065】
ラム側カービック68は、ラム14の下端部の内側に配設されており、そのラム14に固定されている。このラム側カービック68は、本発明の第1噛合部材の概念に含まれるものである。ラム側カービック68は、中央に貫通穴を有する円板状に形成されており、工具旋回軸を中心として筒体45の周りに配設されている。ラム側カービック68は、その下面に周方向に等間隔で形成された複数のラム側歯部68aを有する。なお、このラム側歯部68aは、本発明の第1歯部の概念に含まれるものである。ラム側歯部68aは、工具旋回軸から見て放射状にラム14の外側へ向かって延びるとともに下向きに突出している。
【0066】
ホルダ側カービック70は、ホルダ本体部32の端板部42の上面にラム側カービック68と対向するように固定されている。このホルダ側カービック70は、本発明の第2噛合部材の概念に含まれるものである。ホルダ側カービック70は、中央に貫通穴を有する円板状に形成されており、工具旋回軸を中心として被クランプ部44の挿嵌部52bの周りに配設されている。ホルダ側カービック70は、その上面に周方向に等間隔で形成された複数のホルダ側歯部70aを有する。なお、このホルダ側歯部70aは、本発明の第2歯部の概念に含まれるものである。ホルダ側歯部70aは、工具旋回軸から見て放射状に工具ホルダ18の径方向外側へ向かって延びるとともに上向きに突出している。
【0067】
ホルダ固定用クランプ機構72は、工具ホルダ18が外向旋回位置又は内向旋回位置に配置された時にラム14に対して工具ホルダ18を固定するためのものである。このホルダ固定用クランプ機構72は、工具ホルダ18が外向旋回位置又は内向旋回位置に配置された時にラム側カービック68のラム側歯部68aにホルダ側カービック70のホルダ側歯部70aが噛み合うようにラム14と工具ホルダ18とを結合させる。
【0068】
具体的には、ホルダ固定用クランプ機構72は、複数の固定用コレット74と、コレット駆動部材76とを有する。
【0069】
複数の固定用コレット74は、ラム14の突設部14bの外装体14cの内面と内装体14dの外面との間のスペースに設けられており、内装体14dの周方向に所定間隔で配設されている。各固定用コレット74は、その上部に外装体14cの径方向内側へ突出する係止部74aを有するとともに、その下端部に外装体14cの径方向内側へ突出する引掛部74bを有する。引掛部74bは、ホルダ本体部32の端板部42のうち径方向外側に突出した外縁部を引っ掛けて引き上げる部分である。
【0070】
コレット駆動部材76は、リング状に形成されており、外装体14cの内面と内装体14dの外面との間のスペースで上下方向に移動可能に内装体14dに外嵌している。このコレット駆動部材76は、その上部に設けられたピストン部76aと、そのピストン部76aから下方へ延びる作動部76bとを有する。
【0071】
ピストン部76aは、外装体14cの内面と内装体14dの外面との間のスペースのうち上部に設けられた油圧室内に上下方向に移動可能に収容されている。この油圧室内のうちピストン部76aの上側のスペースに油圧が供給されると、その油圧によってコレット駆動部材76は下方へ押動され、油圧室内のうちピストン部76aの下側のスペースに油圧が供給されると、その油圧によってコレット駆動部材76は上方へ押動される。
【0072】
作動部76bの外周面には、当該作動部76bの周方向に延びる溝部76dが形成されており、この溝部76dに固定用コレット74の係止部74aが係合されている。
【0073】
ホルダ固定装置26が工具ホルダ18をラム14に対して固定する時には、コレット駆動部材76を上方へ油圧駆動して作動部76bに各固定用コレット74を引き上げさせ、それに伴って各固定用コレット74がその引掛部74bによって工具ホルダ18の端板部42を引き上げてラム側カービックの68のラム側歯部68aにホルダ側カービック70のホルダ側歯部70aを噛み合わさせてその状態でクランプする。一方、ホルダ固定装置26がラム14に対する工具ホルダ18の固定を解除する時には、コレット駆動部材76を下方へ油圧駆動して各固定用コレット74を降下させ、それに伴って工具ホルダ18が自重により降下し、ラム側カービックの68のラム側歯部68aとホルダ側カービック70のホルダ側歯部70aとの噛合が解除されて工具ホルダ18が旋回可能となる。
【0074】
工具交換装置3(図1参照)は、工具ホルダ18に保持される外周面旋削用工具31と内周面旋削用工具を相互に自動交換することが可能な装置である。この工具交換装置3は、水平移動軸方向においてワーク回転装置4に対して一方側の位置に設けられている。具体的には、この工具交換装置3は、水平移動軸方向においてワークの回転軸(テーブル4bの回転軸)に対して前記各工具によりワークの旋削が行われる位置側へ向かってワーク回転装置4から離間した位置に配設されている。そして、この工具交換装置3は、水平移動軸方向において工具の刃先が当該工具交換装置3側へ向かう姿勢で工具を工具ホルダ18の水平工具装着部34に対して受け渡す。
【0075】
具体的には、工具交換装置3は、図9に示すように、略円柱状の外形を有する筐体81と、その筐体81内に設けられた駆動モータ82と、筐体81内で交換用の工具を保持する工具マガジン83と、駆動モータ82の駆動力を工具マガジン83に伝達する駆動伝達部84とを備えている。
【0076】
筐体81は、ワーク回転装置4側の位置に自動交換用開口部81aを有しているとともに、その自動交換用開口部81aの反対側に手動交換用開口部81bを有している。工具ホルダ18に保持された工具が自動交換される時には、自動交換用開口部81aを通じて工具マガジン83に保持された所定の工具と工具ホルダ18に保持された工具が交換される。また、工具マガジン83に保持されている工具を入れ替える際には、手動交換用開口部81bを通じてその工具の入れ替えが行われる。
【0077】
筐体81には、自動交換用開口部81aを開閉するための自動開閉蓋部81cと、その蓋部81cを開閉動作させる駆動装置81dが設けられており、工具ホルダ18に保持されている工具の自動交換が行われるときには駆動装置81dによって蓋部81cが自動的に開閉される。
【0078】
また、筐体81には、手動交換用開口部81bを開閉するための手動開閉蓋部81eが設けられている。工具マガジン83に保持されている工具の入れ替えが行われるときには手動でこの蓋部81eを開けてその工具の入れ替えが行われる。
【0079】
筐体81内の中心位置には、上下方向(鉛直方向)に延びる旋回軸部85が筐体81に固定されている。工具マガジン83は、この旋回軸部85により旋回可能に支持されている。具体的には、工具マガジン83は、旋回軸部85に対して軸受け86を介して装着された円盤状の旋回盤83aと、工具を保持するための多数の工具支持部83bとを備えている。
【0080】
旋回盤83aは、筐体81内において水平姿勢で配置されており、旋回軸部85を中心として旋回可能である。この旋回盤83aの外縁部近傍の位置には、多数の工具支持部83bが旋回盤83aの周方向に等間隔で設けられている。各工具支持部83bは、旋回盤83a上に立設されており、それぞれ1つずつ工具を支持可能である。各工具支持部83bは、工具を水平方向に延び、かつ、その工具の刃先が旋回盤83aの径方向内側へ向かう姿勢で保持する。各工具支持部83bは、工具を水平に保った状態で上下に挿脱できるように構成されている。
【0081】
そして、この工具交換装置3では、工具ホルダ18の水平工具装着部34と工具の交換を行うときには、駆動モータ82から駆動伝達部84を介して工具マガジン83へ駆動力が伝達されることにより、空きの工具支持部83b又は交換用の工具が支持された工具支持部83bが自動交換用開口部81aに対応する位置に配置されるように工具マガジン83が旋回させられる。
【0082】
なお、工具マガジン83は、多数の工具支持部83bを備えているため、それらの工具支持部83bに旋削の仕上げ精度の異なる各種工具や工具の刃先が損耗したときの交換用の工具を支持させておいて、それらの工具の交換を行うことも可能である。
【0083】
次に、本実施形態によるワーク旋削装置においてワークの内周面と外周面を縦方向(上下方向)に旋削加工する際の動作について説明する。
【0084】
まず、ワークは、テーブル4b上に当該テーブル4bの回転軸と同軸となるようにセットされる。テーブル4bは、駆動部からの駆動力によって回転し、それによってワークがその軸心回りに回転する。この際、ワークは、上から見て左回りに回転させられる。
【0085】
そして、ワークの外周面を旋削する際には、ホルダ連結装置22によりラム14に連結された工具ホルダ18が内向旋回位置に配置され、その工具ホルダ18に保持された外周面旋削用工具31がその刃先31aが水平移動軸方向において工具交換装置3と反対向きのワークの径方向内側へ向かう姿勢で配置される。外周面旋削用工具31は、第1鉛直移送装置8、水平移送装置12及び第2鉛直移送装置によってクロスレール6、サドル10及びラム14が対応する各方向へ移送されることにより、ワークの外側の工具交換装置3側の位置に配置され、その後、第2鉛直移送装置によりラム14が下方に移送されることによって外周面旋削用工具31の刃先31aが回転するワークの外周面を上から下へ移動しながら旋削する。なお、この際、外周面旋削用工具31は、回転するワークから立旋盤2の奥側(クロスレール6側)へ向かう応力を受ける。
【0086】
次に、ワークの内周面を旋削する場合には、工具ホルダ18に保持されている外周面旋削用工具31を内周面旋削用工具に交換するプロセスが行われる。
【0087】
具体的には、第1鉛直移送装置8、水平移送装置12及び第2鉛直移送装置によってクロスレール6、サドル10及びラム14が移送されることにより工具ホルダ18がワークから離れた所定位置に配置される。その後、ラム14内においてホルダ固定用クランプ機構72のコレット駆動部材76が油圧駆動されて下方へ移動する。これにより、各固定用コレット74が降下し、それに伴って、工具ホルダ18が降下する。その結果、ラム側カービック68のラム側歯部68aとホルダ側カービック70のホルダ側歯部70aとの噛み合いが解除されるとともに、端板部42の各ピン穴42bに対応するピン58がそれぞれ挿嵌される。
【0088】
そして、ホルダ旋回装置24のサーボモータ64が駆動され、その駆動力が減速機66により減速されて筒体45へ入力される。これにより、筒体45は、その軸回り(工具旋回軸回り)に被クランプ部44とともに一体的に旋回する。ここで、被クランプ部44は、各ピン58を介して工具ホルダ18と繋がっているため、工具ホルダ18は、筒体45及び被クランプ部44とともに工具旋回軸回りに一体的に旋回する。そして、サーボモータ64は、工具ホルダ18を内向旋回位置から180度旋回させて外向旋回位置に至るまで作動して停止する。その後、コレット駆動部材76が油圧駆動されて上方へ移動する。これにより、各固定用コレット74が上昇し、それに伴って、工具ホルダ18が引き上げられてラム側カービック68のラム側歯部68aとホルダ側カービック70のホルダ側歯部70aとが噛み合わされ、その状態でラム14に対して工具ホルダ18が固定される。
【0089】
一方、工具交換装置3では、自動開閉蓋部81cが開けられ、駆動モータ82により工具マガジン83が旋回させられて自動交換用開口部81aに対応する位置に空きの工具支持部83bが配置される。そして、工具ホルダ18は、保持している外周面旋削用工具31が空きの工具支持部83bに上から差し込まれるように移送され、その後、工具固定用クランプ機構が作動して外周面旋削用工具31のクランプを解除する。この後、工具ホルダ18は、水平移送装置12によるサドル10の移送によって水平移動軸方向においてワーク回転装置4側へ退避し、外周面旋削用工具31が水平工具装着部34の挿嵌口34aから抜き出されて工具交換装置3の工具支持部83bに残置される。
【0090】
次に、工具交換装置3の駆動モータ82により、内周面旋削用工具がセットされた工具支持部83bが自動交換用開口部81aに対応する位置に配置されるように工具マガジン83が旋回させられる。その後、水平移送装置12によりサドル10が水平移動軸方向において工具交換装置3側へ移送されて、工具ホルダ18の水平工具装着部34が自動交換用開口部81a内に差し込まれ、内周面旋削用工具の基端部が水平工具装着部34の挿嵌口34aに挿嵌される。この後、工具固定用クランプ機構が作動して内周面旋削用工具の基端部をクランプする。そして、その後、第2鉛直移送装置によりラム14が上方へ移送されることにより、工具ホルダ18が上昇して内周面旋削用工具を工具支持部83bから外す。このようにして、工具ホルダ18に保持されている工具が外周面旋削用工具31から内周面旋削用工具に交換される。
【0091】
そして、工具ホルダ18は、内周面旋削用工具をその刃先が水平移動軸方向において工具交換装置3側を向く姿勢で保持した状態で、水平移送装置12、第1鉛直移送装置8及び第2鉛直移送装置によるサドル10、クロスレール6及びラム14の移送によってワークの内周面を旋削するための位置(ワークの径方向内側の位置)まで移送される。その後、第2鉛直移送装置によりラム14が下方に移送されることによって回転するワークの内側に工具ホルダ18及びラム14が挿入されるとともに、内周面旋削用工具の刃先が下方へ移動しながらワークの内周面を上から下へ旋削する。なお、この際、内周面旋削用工具は、回転するワークから立旋盤2の奥側(クロスレール6側)へ向かう応力を受ける。
【0092】
以上のようにして、本実施形態のワーク旋削装置によるワークの外周面及び内周面の旋削が行われる。
【0093】
なお、ここでは、工具を縦方向(上下方向)に動かしてワークの外周面及び内周面を旋削する例を示したが、前記外周面旋削用工具31を保持した工具ホルダ18を内向旋回位置に配置し、その外周面旋削用工具31の刃先31aをワークの上端面にそのワークの外周面側から当てて当該ワークの上端面を径方向内側へ向かって旋削することも可能であり、また、前記内周面旋削用工具を保持した工具ホルダ18を外向旋回位置に配置し、その内周面旋削用工具の刃先をワークの上端面にそのワークの内周面側から当てて当該ワークの上端面を径方向外側へ向かって旋削することも可能である。
【0094】
以上説明したように、本実施形態では、工具ホルダ18に保持されている工具の交換時には、工具ホルダ18の水平工具装着部34が保持していた工具を放すとともに、その水平工具装着部34と工具交換装置3との間で工具の受け渡しが自動的に行われるため、ワークの内周面旋削用の工具と外周面旋削用の工具との相互間の自動交換を実施できる。
【0095】
そして、この工具の自動交換の際には、工具の刃先が水平移動軸方向において工具交換装置3側へ向かう姿勢で工具が工具交換装置3と水平工具装着部34との間で受け渡されるが、本実施形態では、工具の刃先がワークの径方向外側へ向かうような外向旋回位置とその刃先がワークの径方向内側へ向かうような内向旋回位置との間で工具ホルダ18を旋回させてその各旋回位置で工具ホルダ18をラム14に対して位置固定できるので、交換された工具の刃先がその工具によるワークの旋削に対応した向きに向いていなくても、その工具の向きを変えて刃先を適切な向きに向かせることができる。すなわち、工具ホルダ18の共通の工具装着部34に内周面旋削用工具と外周面旋削用工具31のいずれが装着されたとしても、内周面旋削用工具はその刃先がワークの径方向外側へ向かうような姿勢で配置することができるとともに、外周面旋削用工具31はその刃先がワークの径方向内側へ向かうような姿勢で配置することができる。その結果、ワークの周方向における共通の位置でその径方向の内側と外側からそれぞれ対応する工具でワークの内周面の旋削と外周面の旋削とを行うことができる。従って、本実施形態では、内周面旋削用工具と外周面旋削用工具31を工具ホルダ18の共通の工具装着部34に装着可能としつつ、ワークの内周面の旋削と外周面の旋削をワークの周方向における共通の位置でそれぞれ対応した工具で行えるようにすることができる。
【0096】
また、本実施形態では、工具ホルダ18が前記各旋回位置に配置された時にラム側カービック68の複数のラム側歯部68aとホルダ側カービック70の複数のホルダ側歯部70aが噛み合った状態でホルダ固定用クランプ機構72によりラム14に対して工具ホルダ18が固定されるので、ワークの旋削時に工具がワークから工具旋回軸回りの応力を受けたとしてもその応力に十分に対抗して工具を工具旋回軸回りに変位しないように確実に保持することができる。
【0097】
また、本実施形態では、工具ホルダ18は、下から見てラム14と重なる領域内に配設されているため、ラム14及び工具ホルダ18を下から見たそれらの設置領域が、従来の立旋盤のようにラムの側面に工具ホルダが取り付けられた構成に比べて小さくなる。このため、ワークの内側に工具ホルダ18及びラム14を挿入してそのワークの内周面を旋削加工する場合により内径の小さいワークの加工を行うことができる。
【0098】
また、本実施形態では、ラム14に対して工具ホルダ18を着脱可能に連結するホルダ連結装置22を備えるため、工具の取付姿勢がそれぞれ異なる複数の工具ホルダ18や、種類の異なる工具、例えば旋削の仕上げ精度の異なる工具がそれぞれ取り付けられた複数の工具ホルダ18を用意しておけば、それらの工具に工具ホルダ18ごと容易に交換することが可能であり、工具の交換のバリエーションの幅を広げることができる。
【0099】
例えば、上記のような内周面旋削用工具又は外周面旋削用工具31を水平姿勢で保持する工具ホルダ18以外に、図10に示すような工具ホルダ18をホルダ連結装置22によりラム14に対して連結することが可能である。
【0100】
この図10に示す工具ホルダ18は、図略の工具をワークの回転軸に平行な鉛直方向に延びる姿勢で保持するためのものである。
【0101】
この図10に示す工具ホルダ18には、例えば、ワークの内周面に径方向内側から刃先を当てるとともに水平移動軸方向においてワークの径方向外側へ移動してワークの内周面に凹部(溝部)を形成したり、ワークの上端面をそのワークの内周面側から径方向外側へ向かって旋削するための内周面旋削用工具や、ワークの外周面に径方向外側から刃先を当てるとともに水平移動軸方向においてワークの径方向内側へ移動してワークの外周面に凹部(溝部)を形成したり、ワークの上端面をそのワークの外周面側から径方向内側へ向かって旋削するための外周面旋削用工具が保持される。また、この内周面旋削用工具と外周面旋削用工具は、上記実施形態で説明した内周面旋削用工具の刃先と外周面旋削用工具31の刃先31aとの関係と同様の関係で互いに逆向きに設けられた刃先をそれぞれ有している。
【0102】
そして、図10の工具ホルダ18は、工具をワークの回転軸に平行な鉛直方向に延び、かつ、それらの先端部が下向きとなる姿勢で保持する。この工具ホルダ18は、上記旋削用工具を水平姿勢で保持する工具ホルダ18のホルダ本体部32と同様に構成されたホルダ本体部32と、鉛直工具装着部88とを有する。
【0103】
鉛直工具装着部88は、ホルダ本体部32の下面に取り付けられている。この鉛直工具装着部88は、前記水平工具装着部34と同様、工具を掴んで保持する状態とその工具を放す状態とに切り換え可能に構成されている。鉛直工具装着部88は、鉛直方向において下向きに開口し、工具が基端部から挿嵌されてその工具を鉛直方向に延びる姿勢で保持する挿嵌口88aを有する。そして、鉛直工具装着部88内には、挿嵌口88aに挿嵌された工具の基端部を掴んで保持する前記水平工具装着部34の工具クランプ機構と同様の工具クランプ機構が内蔵されている。
【0104】
この工具を鉛直姿勢で保持するための工具ホルダ18に係る上記以外の構成は、上記工具を水平姿勢で保持するための工具ホルダ18に係る構成と同様である。
【0105】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0106】
例えば、工具交換装置は、上記のように多数の工具を交換可能な工具マガジンを備えたものでなくてもよい。すなわち、工具マガジンは、少なくとも2つの工具支持部を備えていて、工具ホルダに保持されている工具を外周面旋削用工具と内周面旋削用工具に相互に交換するためだけのものであってもよい。
【0107】
また、工具交換装置は、図10に示した工具を鉛直姿勢で保持するための工具ホルダとの間で工具の交換を行う場合には、工具が鉛直方向に延び、その工具の基端部が上向きとなるような姿勢で支持する工具支持部を備えた工具マガジンを採用すればよい。
【0108】
また、工具交換装置は、上記したような構造のものに限定されず、工具ホルダの工具装着部と工具の自動交換を行えるものであればどのような構造のものであってもよい。
【0109】
また、ホルダ固定装置は、工具ホルダが外向旋回位置又は内向旋回位置に配置された時に工具ホルダをラムに対して位置固定可能なものであれば、上記構成のものに限定されない。
【符号の説明】
【0110】
2 立旋盤
3 工具交換装置
4 ワーク回転装置
6 クロスレール
10 サドル
12 水平移送装置(第1移送装置)
14 ラム
18 工具ホルダ
22 ホルダ連結装置
24 ホルダ旋回装置
26 ホルダ固定装置
34 水平工具装着部(工具装着部)
34a 挿嵌口
68 ラム側カービック(第1噛合部材)
68a ラム側歯部(第1歯部)
70 ホルダ側カービック(第2噛合部材)
70a ホルダ側歯部(第2歯部)
72 ホルダ固定用クランプ機構
88 鉛直工具装着部(工具装着部)
88a 挿嵌口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の内周面及び外周面をもつワークを上下に延びる姿勢でその軸回りに回転させながらその内周面と外周面をそれぞれ旋削加工可能なワーク旋削装置であって、
ワークの内周面を内周面旋削用の工具により旋削する一方、そのワークの外周面を前記内周面旋削用の工具と刃先が逆向きに設けられた外周面旋削用の工具により旋削する立旋盤と、
前記立旋盤がワークの旋削に使用する前記内周面旋削用の工具と前記外周面旋削用の工具を相互に自動交換することが可能な工具交換装置とを備え、
前記立旋盤は、ワークをその軸方向が上下に延びる姿勢で支持しながら当該ワークの軸回りに回転させるワーク回転装置と、そのワーク回転装置の上方において当該ワーク回転装置によるワークの回転軸に垂直な第1移動軸方向に延びるクロスレールと、前記クロスレールに沿って前記第1移動軸方向に移動可能となるように当該クロスレールに支持されるサドルと、前記サドルを前記クロスレールに沿って前記第1移動軸方向に移送する第1移送装置と、前記ワークの回転軸と平行な第2移動軸方向に移動可能となるように前記サドルに支持されるラムと、前記ラムを前記第2移動軸方向に移送する第2移送装置と、前記ラムの下端に前記ワークの回転軸と平行な工具旋回軸回りに旋回可能に取り付けられ、前記工具をその刃先が前記工具旋回軸から見て外側へ向かうような姿勢で保持する工具ホルダと、前記工具ホルダに保持された前記工具の刃先が前記第1移動軸方向においてワークの径方向外側へ向かうような第1旋回位置とその工具の刃先が前記第1移動軸方向においてワークの径方向内側へ向かうような第2旋回位置との間で前記工具ホルダを前記工具旋回軸回りに旋回させるためのホルダ旋回装置と、前記工具ホルダが前記第1旋回位置と前記第2旋回位置にそれぞれ配置された時にその工具ホルダを前記ラムに対して位置固定するためのホルダ固定装置とを含み、
前記工具ホルダは、前記工具を掴んで保持する状態とその工具を放す状態とに切り換え可能な工具装着部を有し、
前記工具交換装置は、前記第1移動軸方向において前記工具の刃先が特定の側へ向かう姿勢で前記工具を前記工具装着部に対して受け渡す、ワーク旋削装置。
【請求項2】
前記ホルダ固定装置は、前記ラムの下端部に固定された第1噛合部材と、前記工具ホルダの上端部に前記第1噛合部材と対向するように固定された第2噛合部材と、前記工具ホルダが前記第1旋回位置又は前記第2旋回位置に配置された時に前記ラムに対して当該工具ホルダを固定するホルダ固定用クランプ機構とを有し、
前記第1噛合部材は、前記工具旋回軸の周りに所定間隔で配設され、その工具旋回軸から見て前記ラムの外側へ向かって延びるとともに下向きに突出する複数の第1歯部を有し、
前記第2噛合部材は、前記工具旋回軸の周りに前記第1歯部と同じ間隔で配設され、前記工具旋回軸から見て前記工具ホルダの外側へ向かって延びるとともに上向きに突出する複数の第2歯部を有し、
前記ホルダ固定用クランプ機構は、前記工具ホルダが前記第1旋回位置又は前記第2旋回位置に配置された時に前記第1噛合部材の前記第1歯部に前記第2噛合部材の前記第2歯部が噛み合うように前記ラムと前記工具ホルダを結合させる、請求項1に記載のワーク旋削装置。
【請求項3】
前記工具装着部は、前記工具が基端部から挿嵌される挿嵌口と、前記挿嵌口に工具が挿嵌されたときにはその工具を当該挿嵌口から脱離しないように掴んで保持する一方、前記挿嵌口に挿嵌されている工具を前記工具交換装置へ渡すときにはその工具を放す工具クランプ機構とを有する、請求項1又は2に記載のワーク旋削装置。
【請求項4】
前記工具ホルダは、下から見て前記ラムと重なる領域内に配設されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワーク旋削装置。
【請求項5】
前記ラムに対して前記工具ホルダを着脱可能に連結するホルダ連結装置をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のワーク旋削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−45681(P2012−45681A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191235(P2010−191235)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000191180)新日本工機株式会社 (51)
【Fターム(参考)】