説明

ワートマニン−ラパログコンジュゲートおよびその使用

抗新生物ワートマニンコンジュゲートが、ラパログとワートマニンとを結合することにより形成されることが説明される。そのような連結基は、対象に投与後に除去され得る。上記コンジュゲートの抗新生物投与計画における使用が説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性を有するラパログ−ワートマニンコンジュゲート(rapalog-wortmannin conjugates)に関する。
【背景技術】
【0002】
ワートマニンおよびラパマイシンは、それぞれ、ホスファチジルイノシトール−3(OH)−キナーゼ(PI3K)およびmTORの高度に強力かつ特異的な阻害剤の2つのクラスである。PI3Kは、p85の調節性サブユニットおよびp110の触媒作用のあるサブユニットを含むヘテロ二量体酵素である。成長因子受容体刺激に応答して、PI3Kは、細胞膜における、脂質セカンドメッセンジャーホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸(PIP3)の産生を触媒する。PIP3は、次に、広い範囲の下流細胞基質の活性化に貢献する。PI3Kの下流の最も重要なシグナル伝達メディエーターには、セリン/トレオニンキナーゼAKTおよび哺乳動物のラパマイシン標的(mTOR)が含まれる。AKTは、複数の細胞死/アポトーシスタンパク質および細胞周期因子の直接リン酸化により、主要な生存シグナルを与えて増殖を促進する。mTORは、細胞のタンパク質翻訳の制御を介する、細胞成長の中心的調節因子である。したがって、PI3K/AKT/TOR経路は、細胞の増殖、成長、生存および血管形成にとって最も重要である。
【0003】
【化1】

【0004】
ワートマニン(式(I))は、求電子的フラン環のそのC−20位における開環により、PI3KのATP結合ポケットにあるリシンに結合する、ナノモル濃度での、PI3Kの不可逆的阻害剤であり、それは、動物における腫瘍異種移植に対して抗腫瘍活性を有すると報告されている。[Schultz、R.M.ら、(1995)「In vitro and in vivo antitumor activity of the phosphatidylinositol−3−kinase inhibitor, wortmannin」Anticancer Res.、15、1135〜1140]。ワートマニンに優る改良された性質を有するアナログ(analogs)を探索する努力におけるワートマニン誘導体の合成およびSARの研究が、以前に記載されている。例えば、ジボランによるワートマニンの還元により調製された17β−ヒドロキシワートマニンは、ワートマニンに比較して10倍の活性増大を示し、PI3KのIC50をサブナノモルの範囲に引き下げ、IC50は0.50nMである。しかしながら、C3H動物モデルにおける17β−ヒドロキシワートマニンの抗腫瘍活性は、0.5mg/kgの用量で阻害を示さず、1.0mg/kgの用量で毒性を示した。これらの所見により、本発明者らは、阻害剤効力および抗腫瘍活性にとって、ワートマニンおよび関連アナログの求電子的なC−20位への求核付加が必要であるが、この機構は、観察された毒性に関連しているように思われると結論するに至った[Norman、Bryan H.ら、(1996)「Studies on the Mechanism of Phosphatidylinositol 3−Kinase Inhibition by Wortmannin and Related Analogs」J.Med.Chem.、39、1106〜1111、1109〜1110]。
【0005】
最近、ペグ化された17β−ヒドロキシワートマニン(PEG−17−HWTコンジュゲート)は、in vivoで17β−ヒドロキシワートマニンと比較して、向上した許容性を示すことが見出された[Yu K、ら、(2005)、「PWT−458、A Novel Pegylated−17−Hydroxywortmannin,Inhibits Phosphatidylinositol 3−Kinase Signaling and Suppresses Growth of Solid Tumors」 Cancer Biol Ther 4(5)]。
【0006】
17β−ヒドロキシワートマニンのC−17ヒドロキシル部位におけるアセチル化は、活性における劇的な減少を示し、本発明者らは、「活性部位は、C−17における親油性または立体的かさ高さを受け入れることはできない。」と結論するに至った[Creemer、L.C.ら、(1996)「Synthesis and in Vitro Evaluation of New Wortmannin Esters: Potent Inhibitors of Phosphatidylinositol 3−Kinase」J.Med.Chem.、39、5021〜5024、5022]。この結論は、その後解明された、ワートマニンに結合したPI3KのX線結晶学的構造と一致する[Walker、Edward H.ら、(2000)「Structural Determinants of Phosphoinositide 3−Kinase Inhibition by Wortmannin,LY294002,Quercetin,Myricetin、and Staurosporine」 Molecular Cell、6(4)、909〜919]。
【0007】
他のワートマニン誘導体はC−20環の開いた化合物である。ワートマニンを求核剤とC−20位で反応させることにより、フラン環は開く。そのような開環した化合物は、多様な生物学的活性を示すとともに、毒性および生物学的安定性が改善される[Wipf、Peterら、(2004)「Synthesis and biological evaluation of synthetic viridins derived from C(20)−heteroalkylation of the steroidal PI−3−kinase inhibitor wortmannin」 Org.Biomol.Chem.、2、1911〜1920]。Powisの米国特許出願公開第2003/0109572号を参照されたい。
【0008】
ラパマイシン(シロリムス−式(II))は、ストレプトマイセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)米国NRRL5491により産生される、ピペコリン酸ラクトンに結合した1,2,3−トリカルボニル部分を有する親油性マクロライドである[米国特許第3,929,992号、第3,993,749号]である。他の関連マクロライドには、FK506(タクロリムス)、FK520(アスコマイシンまたはイムノマイシン)、FK525、FK523、アンタスコミシン(antascomicin)、およびメリダマイシンが含まれる。
【0009】
ラパマイシンは、臓器同種移植拒絶の予防および自己免疫疾患の治療において、確立されたまたは予想される治療用途を有する強力な免疫抑制剤である。ラパマイシンおよび関連化合物、例えば、限定はされないが、FK506、FK520、FK523、メリダマイシン、アンタスコミシン、FK525およびツクバマイシンは、「FKBP−リガンド」とみなすことができる。現在までに特徴づけられているラパマイシンの薬理学的作用は、FKBPと称する細胞基質の受容体またはイムノフィリン(この用語は免疫抑制剤結合タンパク質を表す総称である)との相互作用により媒介されると信じられている。
【0010】
分子の化学的に利用し得る部位を使用する多様な合成ラパマイシンアナログが報告されている。誘導体化または置換のために化学的に利用し得る、分子上の部位は、C40およびC28のヒドロキシル基(例えば、米国特許第5,665,772号および第5,362,718号)、C39およびC16のメトキシ基(例えば、国際公開WO96/141807号;米国特許第5,728,710号)、C32、C26およびC9のケト基(例えば、米国特許第5,378,836号、第5,138,051号、第5,665,772号)を含む。トリエンを標的とするC17、C19および/またはC21における水素化の結果、抗真菌活性は保持されたが、免疫抑制は喪失した(例えば、米国特許第5,391,730号および第5,023,262号)。分子の安定性(例えば、C32、C40および/またはC28におけるオキシムの形成、米国特許第5,563,145号、第5,446,048号)、代謝性攻撃に対する抵抗性(例えば、米国特許第5,912,253号)、バイオアベイラビリティ(例えば、米国特許第5,221,670号、第5,955,457号、国際公開WO98/04279号)およびプロドラッグの製造(例えば、米国特許第6,015,815号、第5,432,183号)における有意の改善が、誘導体化により達成された。
【0011】
ラパマイシンアナログは、1つまたは複数のラパマイシンポリケチドシンターゼ遺伝子が、欠失または不活性化された生合成クラスターを含む組み替え菌株を使用して調製された(例えば、国際公開WO2004/007709号、WO2006/016167号)。これらの新規ラパマイシンアナログは、「ラパログ(rapalogs)」と称される。ラパマイシンおよびそのラパログの前臨床試験で、乳癌、結腸癌、前立腺癌および腎細胞癌を含む多くの固体腫瘍のタイプに対する効力が究明された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
必要とされるのは、新生物(neoplasms)の治療のための代替療法である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ラパログ−ワートマニンコンジュゲートを提供する。一実施形態において、コンジュゲートは、式:
ラパログ−L−ワート
またはその薬学的に許容される塩または水和物を有することにより特徴づけられる(式中、ラパログ(Rapalog)は、本明細書において定義され;ワート(Wort)はワートマニンであり、Lはラパログとワートマニンとに結合しているリンカーである)。
【0014】
一実施形態において、ラパログは、41−デスメトキシラパマイシンである。
【0015】
さらなる実施形態において、コンジュゲートは以下の構造:
【0016】
【化2】

(式中、R基およびリンカーは、下で定義する)を有する。適切には、コンジュゲートを対象に投与した後、リンカーは、ラパログまたはワートマニンの一方または両方から、部分的にまたは完全に除去される。
【0017】
他の態様において、本発明は、ラパログ−ワートマニンコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0018】
さらに他の態様において、本発明は、抗新生物療法において有用な医薬の調製のためのラパログワートマニンコンジュゲートの使用を提供する。
【0019】
本発明のさらに他の態様および利点は、当業者にはもちろん明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(実施例2bのコンジュゲート;黒△)のN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加物(adduct)のin vivo有効性を例示する折れ線グラフを示す図である。D5Wビヒクル(vehicle)(グルコース−水)は、対照(●)の役目を果たす。
【図2】図2は、42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのジアリルアミン付加物のin vivo有効性(実施例2aのコンジュゲート;(黒▽);破線)を、41−デスメトキシラパマイシン(黒△;実線)、17−ヒドロキシワートマニンのジアルキルアミン付加物(黒□;実線)、および17−ヒドロキシワートマニンの41−デスメトキシラパマイシン/ジアリルアミン付加物の混合物(◆;実線)と比較して例示する折れ線グラフを示す図である。D5Wビヒクル(グルコース−水)は、対照(●;実線)としての役目を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施形態において、本発明は、ラパログおよびワートマニンをリンカーにより結合することにより形成されるコンジュゲートを提供する。好適には、対象にコンジュゲートを投与した後、リンカーは、ラパログまたはワートマニンの一方または両方から全部もしくは一部を除去される。
【0022】
本発明のラパログ−L−ワートコンジュゲートは、単独の薬剤または2つの物理的(結合していない)組合せのいずれにも優る明確な優位性を提供すると予想される。理論にとらわれることは望まず、ワートマニンのラパログへの共有結合による連結は、ラパログ単独を超えて溶解性を改善するであろうと信じられる。改善された溶解性は、臨床開発および製剤において重要な意味を有する。さらに、癌治療は、おそらく、組成物の種々の組合せのカクテルおよび標準的化学療法からなるであろうから、2種の異なる臨床製剤を必要とする2つの別々の阻害剤よりも、むしろ水に可溶な単一の2成分阻害剤を使用する単純さが、化合物を製剤化する観点から有利である。その上、コンジュゲートは、どちらの単独の薬剤より優れ、また2種の薬剤の物理的組合せよりも優れていると予想される。
【0023】
本明細書において定義したように、用語「ラパログ」は、式(III)のラパログ核を含む免疫抑制化合物であるラパマイシンアナログのクラスを規定する:
【0024】
【化3】

(式中、Rは、OH、エステル、およびエーテルの中から選択され;RはメチルもしくはHであり;Rは、H、OH、エステル、およびエーテルの中から選択され;Rは、OH、エステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、およびホスフェートの中から選択され;R、R、およびRは、H、アルキル、ハロ、およびヒドロキシルの中から独立に選択され;R、Rは、H、HまたはOであり;R10は、H、アルキル、ハロおよびヒドロキシルの中から選択され;X”は結合もしくはCHR11であり;または−CHR−X”−CHR−は、
【0025】
【化4】

であり、R11、R12、およびR13は、H、アルキル、ハロ、およびヒドロキシルの中から独立に選択され;Rは、
【0026】
【化5】

の中から選択され;
14およびR15は、H、OH、ハロゲン、チオール、アミン、アルキル、エステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、スルホネート、ホスフェート、およびテトラゾールの中から独立に選択され;Yは、結合またはCHR16であり;R16は、H、アルキル、ハロゲン、およびヒドロキシルの中から選択され;ただし、該化合物は下記のものを含まない:
i)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケト(=O)であり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHである場合(ラパマイシン)
ii)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−O−CHCH−OHなどのtrans−4−エーテルである場合(RAD001)
iii)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−O−COC(CH)(CHOH)などのtrans−4−エステルである場合(CCI779)
iv)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がcis−4−テトラゾールである場合(ABT578))。
【0027】
他の実施形態において、この式は下記化合物を除外してもよい:
v)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−ホスフェートである場合;
vi)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OHであり、R15がtrans−4−OHある場合(41−デスメチルラパマイシン);
vii)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHである場合(32−デスメチルラパマイシン);
viii)RがOHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHである場合(7−デスメチルラパマイシン);
ix)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、Xが結合であり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHである場合(プロリンラパマイシン)。
【0028】
一実施形態において、R14およびR15は、H、OH、ハロゲン、チオール、アミン、アルキル、エステル、アミド、カーボネート、カルバメート、スルホネート、ホスフェート、テトラゾール、およびLへの結合点の中から独立に選択される。
【0029】
本発明は、式(III)の構造の薬学的に許容される塩および水和物をさらに包含する。
【0030】
式(III)の化合物が本発明のコンジュゲートの構成要素であるとき、R、R、R、R14、R15またはR16の少なくとも1つは、ラパログのコアに対するリンカーの結合点である。一実施形態において、ラパマイシンのLへの結合点は、R(42)またはR(31)である。
【0031】
リンカーは、これらのR基の任意のものに独立に直接結合することができる。他の実施形態において、リンカーは、アルキル、エステル、エーテル、またはチオエステル、およびチオエーテルから選択される架橋基を通して結合する。
【0032】
一実施形態において、Rは、
【0033】
【化6】

であり、Yが結合またはCHR16である場合、R16は、H、アルキル、ハロゲン、およびヒドロキシルの中から選択され、式(IIIa)のラパログを与える:
【0034】
【化7】

ただし、該化合物は、以下のものを含まない:
i)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHである場合(ラパマイシン)
ii)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−O−CHCH−OHなどのtrans−4−エーテルである場合(RAD001)
iii)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−O−COC(CH)(CHOH)などのtrans−4−エステルである場合(CCI779)
iv)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がcis−4−テトラゾールである場合(ABT578)
v)RがOCHであることと組み合わせて、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、R、Rがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−ホスフェートである場合。
【0035】
さらなる実施形態において、Rは、
【0036】
【化8】

であり、RはOMeであり、RはHであり、RはHであり、RはHであり、R、Rはケトであり、R10はHであり、Xは結合またはCHであり、Yは結合またはCHであり、式(IIIb)
【0037】
【化9】

(式中、n’およびn”は1または2の中から独立に選択され、他の全ての基は上で定義したものである)のラパログが得られる。
【0038】
さらに他の実施形態において、n’は1であり、n”は2であり、RはOHであり、R15はtrans−4−OHであり、式(IIIc):
【0039】
【化10】

のラパログを与える。
ただし、該化合物は、RがCHであり、RがOCHであり、かつR14がcis−3−OMeであることは含まない。
【0040】
さらに他の実施形態において、ラパログは、RがMeであり、RがOMeであり、およびR14がHである、式(IIId)
【0041】
【化11】

の41−デスメトキシラパマイシンである。
【0042】
式(III)の化合物を製造する方法は、既に記載されている。例えば、2004年1月22日公開の国際公開WO2004/007709号、2006年2月16日公開のWO2006/016167号、米国特許出願公開第2005/0272132号、第2006/0078980号およびそれらに引用されている文書を参照されたい。そのような化合物を生成させる他の方法は、当業者にはもちろん明らかであろう。
【0043】
上で定義したように、用語「ラパログ」は、例えば、還元もしくは酸化、テトラゾールなどの求核剤による置換により、核上の官能基が修飾されている、例えば、式(IIIa)、式(IIIb)、式(IIIc)、および式(IIId)を含む式(III)のエステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、スルホネート、ホスフェート、テトラジン、オキシム、ヒドラゾンならびにヒドロキシアミン、種々のデスメチルラパマイシン誘導体または開環したラパログなどのラパログ代謝物を含む。用語ラパログは、本明細書において定義された構造の、酸性または塩基性部分のいずれかを含むことによりそのような塩を形成することができる、薬学的に許容される塩も含む。
【0044】
用語「デスメトキシラパマイシン」および「デスメトキシラパログ」は、1つもしくは複数のメトキシ基を欠く(すなわち、OMeを失ってCに結合したHを有する)ラパマイシンまたはラパログ核を指す。一実施形態において、ラパログは、式(IIId)に示したような41−デスメトキシラパマイシンである。
【0045】
用語「デスメチルラパマイシン」および「O−デスメチルラパマイシン」は、特に断らない限り本書類および本明細書全体にわたって互換的に使用される。用語「デスメチルラパマイシン」は、示された塩基性ラパマイシン核を含むが、1つまたは複数のメチル基を欠く免疫抑制化合物のクラスを指す。一実施形態において、ラパマイシン核は、7、32、または41の位置のいずれか、またはそれらの組合せからメチル基を失っている。他のデスメチルラパマイシンの合成は、メチル基がラパマイシン核中の他の位置から失われるように遺伝子操作されてもよい。デスメチルラパマイシンの製造は、既に記載されている。例えば、3−デスメチルラパマイシン[米国特許第6,358,969号]、および17−デスメチルラパマイシン[米国特許第6,670,168号]を参照されたい。
【0046】
用語「デスメチルラパログ」は、例えば、式(IIIa)、式(IIIb)、式(IIIc)、および式(IIId)を含む式(III)で示されるように塩基性ラパログ核を含むが、1つまたは複数のメチル基を欠く免疫抑制化合物のクラスを指す。
【0047】
本明細書に記載したラパログは、ラパマイシン、CCI−779、プロリンラパマイシン、RAD00I(エベロリムス、Novartis)、ABT578(Abbott)、および/またはAP23573[Ariad]を除外することが適当である。一実施形態において、X”がCHであり、R/Rが=OおよびHであり、R14が、OH、エステル、エーテル、およびアミドの中から選択され、R15が、OH、エステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、ホスフェートおよびテトラゾールの中から選択されるときに、Rが、
【0048】
【化12】

である、(IIIa)〜(IIId)を含む式(III)の化合物は、この発明において有用なラパログから除外される。
【0049】
特に断らない限り、「アミド」は、−CONH−であり、炭素原子は通常炭化水素基に結合しており、Nはラパログのコアに対する結合点を形成している。
【0050】
「カーボネート」は、−OC(O)O−基を含む。1個の酸素原子は、通常炭化水素基に結合しており、他の酸素原子が、ラパログコアに対する結合点を形成している。
【0051】
「カルバメート」は、−NH(CO)O−基を含み、窒素または酸素のいずれかが、通常は炭化水素基に結合している。一実施形態において、OまたはNが、ラパログコアに対する結合点を形成している。
【0052】
「スルホネート」は、−S(O)O−基を含み、S原子は、通常、炭化水素基に結合している。Oは、ラパログコアに対する結合点を形成している。
【0053】
「ホスフェート」は、−OP(O)(OR)−基を含み、Oは、ラパログコアに対する結合点を形成しており、Rは、通常、炭化水素基である。
【0054】
「エーテル」は、構造−O−を有し、酸素上の1つの基は、通常、炭化水素基である。Oは、ラパログコアに対する結合点を形成している。
【0055】
「エステル」は、構造−C(O)O−を有し、炭素原子は、通常、炭化水素基に結合しており、Oはラパログコアに対する結合点を形成している。
【0056】
本明細書において使用される、薬学的に許容される塩には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、乳酸、ニコチン酸、コハク酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸、サリチル酸、フェニル酢酸、ステアリン酸、ピリジン、アンモニウム、ピペラジン、ジエチルアミン、ニコチンアミド、ギ酸、尿素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、ケイ皮酸、メチルアミノ、メタンスルホン酸、ピクリン酸、酒石酸、トリエチルアミノ、ジメチルアミノ、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの塩が含まれるが、これらに限定はされない。さらに他の薬学的に許容される塩が当業者に知られている。
【0057】
本発明によるワートマニンは、ワートマニン、およびワートマニン核の誘導体として、化学的にまたは生物学的に修飾されていてもよいが、生物学的活性を保持している化合物を指す。したがって、用語「ワートマニン」は、ワートマニンおよびワートマニンのエステル、エーテル、オキシム、ヒドラゾン、およびヒドロキシアミン、ならびに、核上の官能基が、例えば環元または酸化により修飾されたワートマニン、ワートマニンの代謝物または開環したワートマニンを含む。用語ワートマニンは、酸性または塩基性いずれかの部分を含むことによりそのような塩を形成し得るワートマニンの、薬学的に許容される塩も含む。例えば、米国特許第5,378,725号を参照されたい。
【0058】
一実施形態において、「ワートマニン」は、下に示すコア構造(Ia)を有する化合物のクラスにより特徴づけられる:
【0059】
【化13】

(式中、R20は、O、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、およびエーテルの中から選択され;R21とR22とは、ヘテロ原子Oを介して結合して一緒になるか、またはR21は、エステル、エーテル、チオエーテル、チオエステル、およびアミノ基の中から選択され;R22は、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、エーテル、およびチオエーテルの中から選択され;R23は、OH、エステル、およびエーテルの中から選択され;R24は、O、OH、エステル、カーボネート、およびカルバメートの中から選択される)。
【0060】
本発明のコンジュゲートの形態にあるとき、R20、R21、R22、R23、およびR24の少なくとも1つは、リンカー(L)に対する結合点である。一実施形態において、ワートマニンのLに対する結合点は、R20(17’)またはR24(11’)である。
【0061】
リンカーは、R20〜R24基のいずれかに、独立に直接結合していてもよく、または架橋基を通して結合していてもよい。そのような架橋基は、R20〜R24について上で挙げた基から独立に選択することができる。他の実施形態において、架橋基は、アルキル、エステル、エーテル、またはチオエステル、およびチオエーテルから選択することができる。
【0062】
一実施形態において、R20はO、R24はOAcであり、およびR21とR22とは、ヘテロ原子Oを介して結合して一緒になり、ワートマニンコアを形成する。他の実施形態において、R21は、ジエチルアミン、ジアリルアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、ピペリジン、およびN,N−ジメチル−N’−エチル−エチレンジアミンの中から選択され、R13はOHである。
【0063】
一実施形態において、ワートマニンは、フラン環が開いた、すなわち、R21およびR22が独立の置換基である、開環したワートマニンであってよい。ワートマニンの求電子的なC−20位に対する求核的付加は、フラン環が開いたワートマニン誘導体を生ずる。そのような開環した化合物は、(Wipf、Peterら、(2004)「Synthesis and biological evaluation of synthetic viridins derived from C(20)−heteroalkylation of the steroidal PI−3−kinase inhibitor wortmannin」 Org.Biamol.Chem.、2、1911〜1920);Powisの米国特許出願公開第2003/0109572号;米国特許出願公開第2006−0128793号(出願番号11/248,510、2005年10月10日出願)に記載されている。
【0064】
他の実施形態において、ワートマニンは、17−ヒドロキシワートマニン(Ia)であり、式中、リンカー(L)はワートマニンの17位にある基を通して結合しており、(R20)およびR21、R22、R23、およびR24は、上で定義したものである。
【0065】
17−ヒドロキシワートマニンは、例えばジボランを用いる、ワートマニンの環元により調製することができる。17−ヒドロキシワートマニンおよび他の誘導体は、米国特許出願公開第2004/0213757号および米国特許出願公開第2006−0128793号に従って調製することもできる。さらにワートマニン誘導体は、C−17ヒドロキシル基のアセチル化により誘導することもできる。17−ヒドロキシワートマニンをアミンなどの求核剤で処理して、フラン環の開いた化合物を得ることができる。17−ヒドロキシワートマニンを17位でホルミル化し、次に求核剤で処理してフラン環の開いた化合物を得ることもできる。
【0066】
他の実施形態において、11−O−デスアセチルワートマニンは、文献の手順により調製することができる(Creemer C.L.ら、(1996)、「Synthesis and in vitro Evaluation of New Wortmannin Esters:Potent Inhibitors of Phosphatidylinositol 3−Kinase」、J.Med.Chem.39、5021〜5024)。さらに11−O−デスアセチルワートマニン誘導体は、求核剤によりフラン環が開かれた化合物である。
【0067】
他の実施形態において、ワートマニンは、米国特許出願公開第2004/0213757号および2006−0128793号(通し番号11/248,510、2005年10月13日出願)に記載されたように、PEGなどの水溶性ポリマーと結合(conjugated)していてもよい。
【0068】
ワートマニンの生合成は当技術分野において既知であり、誘導体はワートマニンから合成される。
【0069】
コンジュゲート
本発明は、ラパログとワートマニンとをリンカーを介して結合したコンジュゲートを提供する。好適には、コンジュゲートを対象に投与した後、リンカーは、ラパログまたはワートマニンの一方または両方から除去される。
【0070】
リンカーは、限定されないが、例えば、加水分解、酵素、pH、その他の任意のプロセスにより除去することができる。一実施形態において、リンカーは加水分解性である。他の実施形態において、リンカーは酵素的に切断される。本明細書において使用される用語「加水分解された(hydrolysed)」または「加水分解性(hydrolysable)」および「酵素的に切断された(enzymatically cleaved)」または「酵素的に切断可能な(enzymatically cleavable)」は、リンカー基をin vivoで遊離させる機構を意味する。
【0071】
リンカーは、コンジュゲートを対象に投与後、その結合相手(すなわち、ラパログまたはワートマニン)の一方または両方から完全に除去され得る。そのような実施形態において、その除去後にラパログまたはワートマニンに結合して残るリンカー基の部分はない。他の実施形態において、コンジュゲートを対象に投与後、リンカーは、その結合相手の一方または両方から部分的に除去される。この実施形態において、リンカーは、ラパログとワートマニンとが分離されるように切断されるが、しかしながら、リンカーのある部分は、ラパログまたはワートマニンに結合して残る。一実施形態において、有効量のコンジュゲートを含む組成物は、コンジュゲートが、部分的におよび完全に除去されたリンカー−ラパログおよび/または部分的におよび完全に除去されたリンカー−ワートマニン代謝物の混合物を生ずるように、in vivoで処理され得る。
【0072】
一実施形態において、リンカーは、式(V)により特徴づけられる:
−Z−X−Z− (V)
(式中、ZおよびZは、結合、−O−、−N(R)−、−S−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−OC(=S)N(R)−、−N(R)C(=S)N(R)−、および=N−N(R)−の中から独立に選択され;Rは、出現するごとに、H、アルキル、アルケニル、およびアリールの中から独立に選択され;Xは、分枝していても分枝していなくても、飽和でも不飽和でもよく、オキシ、アミン、スルフィド、アルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、ヒドロキシル、およびハロゲンの1つもしくは複数で場合により置換されていてもよく、ならびに/またはエーテル(−O−)、アミン(−NH−)もしくはスルフィド(−S−)、−S(O)−、NR、−C(=O)N(R)−、−OC(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−OC(=S)N(R)−、−N(R)C(=S)N(R)−、もしくは=N−N(R)−の1つもしくは複数で、もしくはそれらの組合せにより中断(interrupted)されていてもよい、1から16個の炭素原子を有する炭化水素鎖の中から選択することができる。Xは、シクロアルキル、アルキルアリールアルキル、ヘテロアリール、および複素環基の中から選択することもできる。一実施形態において、Zは結合である。すなわち、Lは−Z−X−、−X−、または−X−Z−である。
【0073】
一実施形態において、ラパログまたはwortコアとリンカーとの間のペルオキシド(O−O)、O−N、およびO−S結合は、コンジュゲートから排除される。したがって、リンカーは、末端O、NまたはS基を含み、ラパログまたはwortコアは、基に結合されるようなOを提供しない。
【0074】
本明細書において使用される用語「アルキル」は、直鎖および分枝鎖両方の飽和脂肪族炭化水素基を指す。一実施形態において、アルキル基は、1から約16個の炭素原子を有する。他の実施形態において、アルキル基は、1から10個の炭素原子または1から8個の炭素原子(すなわち、C、C、C、C、C、C、C、C)を有する。1から約6個の炭素原子を有するアルキル基(すなわち、C、C、C、C、CまたはC)は、「低級アルキル」基と称することもできる。さらなる実施形態において、アルキル基は、1から約4個の炭素原子(すなわち、C、C、C、またはC)を有する。特に望ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびtert−ブチルを含む。他の置換基が特定されない限り、アルキル基は、ハロ、CN、COR、C(O)R、C(O)NR、NR、NO、およびORから選択される、1つまたは複数の置換基で場合により置換されていてもよい。他の適当な置換基は、本明細書において、「置換されたアルキル」という定義で記載される。
【0075】
用語「アルキルアリールアルキル」または「アルキルアラルキル」は、アルキル基でそれ自体が置換されているアリール基で置換されているアルキル基を指す。
【0076】
本明細書において使用する用語「アリール」は、芳香族の、単一の環、または縮合もしくは連結して一緒になり、縮合もしくは連結した環の少なくとも1つの部分が、共役した芳香族系を形成する複数の芳香環を含むことができる、例えば、約4から14個の炭素原子の炭素環系を指す。アリール基は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フェナントリル、インデン、ベンゾナフチル、およびフルオレニルを含むが、これらに限定はされない。
【0077】
用語「シクロアルキル」は、本明細書において、環状、飽和脂肪族炭化水素基を指して使用される。一実施形態において、シクロアルキル基は、3から約8個の炭素原子(すなわち、C、C、C、C、C、またはC)を有する。他の実施形態において、シクロアルキル基は、3から約6個の炭素原子(すなわち、C、C、CまたはC)を有する。
【0078】
本明細書において使用する用語「アルコキシ」は、O(アルキル)基を指し、この場合、結合点は酸素−原子を通してであり、アルキル基は上記のように置換され得る。
【0079】
用語ハロ、またはハロゲンは、元素のCl、Br、F、またはIまたはそれらを含む基を指す。
【0080】
本明細書において使用する用語「複素環」または「複素環状」は、安定な、飽和または部分的に不飽和の3から9員の単環または多環複素環を指して、互換的に使用することができる。複素環は、その骨格に、炭素原子ならびに窒素、酸素、および硫黄原子を含む1個または複数のヘテロ原子を有する。一実施形態において、複素環は、環の骨格中に1から約4個のヘテロ原子を有する。複素環が、環の骨格中に窒素または硫黄原子を含むとき、窒素または硫黄原子は酸化され得る。用語「複素環」または「複素環状」は、約6から約14個の炭素原子を含むアリール環に、複素環が縮合している多環も指す。複素環は、生ずる複素環構造が化学的に安定であれば、ヘテロ原子または炭素原子を通してアリール環に結合できる。一実施形態において、複素環は、1から5個の環を有する多環系を含む。
【0081】
種々の複素環基が、当技術分野において知られており、限定されないが、酸素を含む環、窒素を含む環、硫黄を含む環、混合したヘテロ原子を含む環、縮合したヘテロ原子を含む環、およびそれらの組合せを含む。複素環基の例には、限定されないが、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、2−オキソピペラジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、ピラニル、ピロニル、ジオキシニル、ピペラジニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサゾリル、オキサチアゾリル、オキサジニル、オキサチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニルおよびキサンテニルが挙げられる。
【0082】
本明細書において使用する用語「ヘテロアリール」は、安定な芳香族の5から14員の単環または多環の、ヘテロ原子を含む環を指す。ヘテロアリール環は、その骨格中に炭素原子ならびに窒素、酸素、および硫黄原子を含む1個または複数のヘテロ原子を有する。一実施形態において、ヘテロアリール環は、環の骨格中に1から約4個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール環が、環の骨格中に窒素または硫黄原子を含むとき、窒素または硫黄原子は酸化され得る。用語「ヘテロアリール」は、ヘテロアリール環がアリール環と縮合している多環も指す。ヘテロアリール環は、生ずる複素環構造が化学的に安定であれば、ヘテロ原子または炭素原子を通してアリール環に結合することができる。一実施形態において、ヘテロアリール環は、1から5個の環を有する多環系を含む。
【0083】
種々のヘテロアリール基が、当技術分野において知られており、限定されないが、酸素を含む環、窒素を含む環、硫黄を含む環、混合したヘテロ原子を含む環、ヘテロ原子を含む縮合環、およびそれらの組合せが挙げられる。ヘテロアリール基の例には、限定されないが、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミダジニル、ピラジニル、トリアジニル、アゼピニル、チエニル、ジチオリル、オキサチオリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、オキセピニル、チエピニル、ジアゼピニル、ベンゾフラニル、チオナフテン、インドリル、ベンズアゾリル、プリンジニル、ピラノピロリル、イソインダゾリル、インドキサジニル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナプチルリジニル(napthylridinyl)、ベンゾチエニル、ピリドピリジニル、アクリジニル、カルバゾリル、およびプリニル環が挙げられる。
【0084】
本明細書において使用する用語「置換された複素環」および「置換されたヘテロアリール」は、ハロゲン、CN、OH、NO、アミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CからCのペルフルオロアルキル、CからCのペルフルオロアルコキシ、アルコキシ、アリールオキシ、−O−(CからC10のアルキル)もしくは−O−(CからC10の置換されたアルキル)を含むアルキルオキシ、−CO−(CからCl0アルキル)もしくは−CO−(CからC10の置換されたアルキル)を含むアルキルカルボニル、−COO−(CからC10のアルキル)もしくは−COO−(Cから10の置換されたアルキル)を含むアルキルカルボキシ、−C(NH)=N−OH、−SO−(CからC10のアルキル)、−SO−(CからC10の置換されたアルキル)、−O−CH−アリール、アルキルアミノ、アリールチオ、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリールもしくは置換されたヘテロアリールを含む、1つもしくは複数の置換基を有する、複素環またはヘテロアリール基を指し、これらの基は、場合により置換されていてもよい。置換された複素環またはヘテロアリール基は、1、2、3、もしくは4個の置換基を有することができる。
【0085】
用語「アルケニル」は、本明細書において、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する、直鎖および分枝鎖両方のアルキル基を指して使用される。一実施形態において、アルケニル基は、2から約8個の炭素原子(すなわち、C、C、C、C、C、C、またはC)を含む。他の実施形態において、アルケニル基は、1または2個の炭素−炭素二重結合および3から約6個の炭素原子(すなわち、C、C、CまたはC)を有する。
【0086】
用語「アルキニル」基は、本明細書において、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有する直鎖および分枝鎖両方のアルキル基を指して使用される。一実施形態において、アルキニル基は、2から約8個の炭素原子(すなわち、C、C、C、C、C、C、またはC)を有する。他の実施形態において、アルキニル基は、1または2個の炭素−炭素三重結合および3から約6個の炭素原子(すなわち、C、C、C、またはC)を含む。
【0087】
用語「置換されたアルキル」、「置換されたアルケニル」、「置換されたアルキニル」、および「置換されたシクロアルキル」は、限定されないが、水素、ハロゲン、CN、OH、NO、アミノ、アリール、複素環基、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボキシ、アミノ、およびアリールチオを含む1つまたは複数の置換基を、それぞれ有する、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびシクロアルキル基を指す。
【0088】
一実施形態において、ZおよびZは、結合、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)N(R)−、およびOC(=S)N(R)−から独立に選択される。
【0089】
一実施形態において、ラパログとリンカーとの間のO−O、O−NおよびO−Sによる連結は、コンジュゲートから排除される。
【0090】
一実施形態において、ZおよびZは結合であり、Xは、1個または2個以上のO基で場合により置換された、1から10個の炭素原子を含むアルキル鎖である。
【0091】
一実施形態において、Xは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、シクロアルキル、アリール、および複素環基の中から独立に選択される。他の実施形態において、Xは、−O−、−S(O)(nは0から2である)、−N(R)−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)N(R)−、および−OC(=O)N(R)−、から選択される少なくとも1つの基により中断される、1から16個の炭素原子を含むアルキル鎖の中から選択される。一実施形態において、Xは、(CHCHO)、または−(CH−O−(CH−、(nは1から8である)である。他の実施形態において、Xは、(CH、(CHOCH)、(CH、(CH、(CHおよび(CHの中から選択される。
【0092】
一実施形態において、本発明は、ワートマニンと、下式のジカルボン酸リンカー
【0093】
【化14】

(式中、Xは、上で定義したものである)を通して共有結合で結合したラパログを提供する。例えば、Xは、式−(CH−の炭化水素鎖であってもよい(nは1から16である)。あるいは、Xは、式−(CH−O−(CH−(nは1から8である)を有するエーテル連結基により中断された炭化水素鎖であってもよい。
【0094】
リンカーは、ラパログ核(III)に、直接またはR、R、R、R14またはR15基から独立に選択された基の1つを通して結合していてもよい。あるいは、リンカーは、アルキル、オキシム、ヒドラゾン、ヒドロキシルアミン、エステル、エーテル、チオエステル、およびチオエーテルの中から独立に選択された架橋基を通して、ラパログコアに結合していてもよい。
【0095】
一実施形態において、コンジュゲートは、ラパログとワートマニンとを1:1の比で、すなわち、1つのワートマニンに結合した1つのラパログを含む。
【0096】
一実施形態において、コンジュゲートは、式(III)のラパログ核を含む:
【0097】
【化15】

(式中、Rは、OH、エステル、エーテル、および上記の基の1つを通してコアに結合していてもよいリンカーに対する結合点の中から選択され;RはメチルまたはHであり;Rは、H、OH、エステル、エーテル、および上記の基の1つを通してコアに結合していてもよいリンカーに対する結合点の中から選択され;Rは、OH、エステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、ホスフェート、および上記の基の1つを通してコアに結合していてもよいリンカーに対する結合点の中から選択され;R、R、およびRは、H、アルキル、ハロ、ヒドロキシルの中から独立に選択され;R、Rは、H、Hまたは=Oであり;R10は、H、アルキル、ハロまたはヒドロキシルの中から選択され;X”は、結合もしくはCHR11であり;または−CHR−X”−CHR−は、
【0098】
【化16】

であり、
【0099】
11、R12、およびR13は、H、アルキル、ハロ、およびヒドロキシルの中から独立に選択され;Rは、
【0100】
【化17】

の中から選択され、R14およびR15は、H、OH、ハロゲン、チオール、アミン、アルキル、エステルおよびエーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、スルホネート、ホスフェート、テトラゾール、および上記の基の1つを通してコアに結合していてもよいリンカーに対する結合点の中から独立に選択され;Yは、結合またはCHR16であり、R16は、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、および上記の基の1つを通してコアに結合していてもよいリンカーに対する結合点の中から選択される)。
【0101】
一実施形態において、式(III)のラパログは、ラパマイシン、プロリンラパマイシン、CCI−779、RAD001、ABT578(Abbott)、および/またはAP23573[Ariad]を除外する。
【0102】
さらなる実施形態において、リンカーは、ワートマニンコア(I)のR20〜R24基の任意の基に直接、またはこれらの置換基の1つまたは複数に対して選択された基を通して、独立に結合される。さらに他の代替法において、リンカーは、アルキル、エステル、エーテル、またはチオエステル、およびチオエーテルの中から独立に選択された基を通して、ワートマニンコアに結合することもできる。
【0103】
したがって、コンジュゲートのワートマニンコアは、式(Ia)により特徴づけられる:
【0104】
【化18】

(式中、R20は、O、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、エーテル、および選択された基を通してコアに場合により結合しているリンカーに対する結合点、の中から選択され;R21およびR22は、ヘテロ原子Oを介して結合して一緒になるか、またはR21は、エステル、エーテル、チオエーテル、チオエステル、アミノ基、および選択された基を通してコアに場合により結合しているリンカーに対する結合点の中から選択され、R22は、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、エーテル、チオエーテルから選択される基、および選択された基を通してコアに場合により結合しているリンカーに対する結合点の中から選択され;R23は、OH、エステル、エーテル、および選択された基を通してコアに場合により結合しているリンカーに対する結合点の中から選択され;R24は、O、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、および選択された基を通してコアに場合により結合しているリンカーに対する結合点の中から選択され;R20、R21、R22、R23、およびR24の少なくとも1つは、リンカーに対する結合点である)。
【0105】
一実施形態において、種々のワートマニン誘導体について上で説明したように、ワートマニン核は、リンカーに結合していないR20〜R24の任意のところでさらに置換することができる。例えば、ワートマニンは、17−ヒドロキシワートマニンであってもよい。一実施形態において、リンカーは、ワートマニン核に17位で結合する。他の実施形態において、リンカーは、17−ヒドロキシワートマニンに他の位置で結合する。
【0106】
種々のワートマニン−L−Rapの式の例を下に示す:
【0107】
【化19】

【0108】
一実施形態において、R20はリンカーに対する結合点である。他の実施形態において、R20はOである。
【0109】
さらに他の実施形態において、R21はアミノ基である。望ましくは、R21がアミノ基である場合、その式はNR−であり、その場合、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(アルキル)−O−(アルキル)−、−(アルキル)−NR−、−(アルキル)−C(=O)NR−、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、および複素環基の中から独立に選択され;またはRとRとは一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキソ、アミノ、シアノ、C〜Cのペルフルオロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリール、およびヘテロアリールの中から独立に選択された、1から3個の置換基で場合により置換された、3個以下のヘテロ原子を有する3から7員の複素環を形成していてもよく;RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルの中から独立に選択され;またはRとRとは一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキソ、アミノ、シアノおよびC〜Cのペルフルオロアルキルから独立に選択された1から3個の置換基で場合により置換された、3個以下のヘテロ原子を有する、3から7員の環状または複素環を形成する。
【0110】
一実施形態において、R21の式は−NHR−であり、ここでRは、上で定義した通りである。一実施形態において、Rはフェニルである。
【0111】
他の実施形態において、RおよびRは、低級アルキルである。
【0112】
さらに他の実施形態において、R21とR22とはヘテロ原子Oを介して結合して一緒になっている。
【0113】
ワートマニンに対する他の適当な結合点は、当業者にはもちろん明らかであろう。
【0114】
コンジュゲートの調製方法
本明細書中に記載した化合物は、市販の出発原料または文献の手順を使用して調製できる出発原料を使用して、以下のスキームに従って、当業者により容易に調製される。これらのスキームは、「ラパログ」が、ジエステル連結基を通して「ワートマニン」と結合しているコンジュゲートの調製を示す。これらのスキームは、例示の目的で提供された例で、本発明の原理を教示するが、アミド、カーボネート、カルバメート、エーテル、チオ、ヒドラゾンなどの他のタイプの官能基の連結基を通しての、または他の結合位置を通しての、そのようなコンジュゲートは、本明細書で説明した手順およびプロトコルの改変により、またはそれらに従って、容易に入手できることは理解されるであろう。これらの方法、または当技術分野において既知の他の方法の変形は、本明細書で提供された情報を与えられた当業者により、容易に実施することができる。
【0115】
一実施形態において、本発明による、ラパログ(IIIc)の42−OHとワートマニンの17−OHの位置でジエステル連結基により結合した、ラパログ−ワートマニンコンジュゲート1の合成の概略を、スキーム1に示した。
【0116】
【化20】

【0117】
スキーム1に概略を示したように、17−ヒドロキシワートマニン(Ia)は、種々の環状酸無水物でアシル化されて、ヘミ酸(hemiacid)(Ic)を生ずる。これらのジカルボン酸モノエステルは、次に、ラパログ31−トリメチルシリルエーテル(IIIe)と、例えば、N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)または1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]−カルボジイミド塩酸塩(EDC)などのカップリング試薬および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)などの塩基の存在下にカップリングされて、中間体Aを生ずる。それに続く希HSOによる脱保護で、所望の42,17’−結合ワートマニン−ラパログコンジュゲート1が得られる。ラパログ31−トリメチルシリルエーテル(IIIe)は、米国特許第6,277,983号に記載された手順に従って、合成することができる。
【0118】
あるいは、そのようなジエステルが結合したワートマニン−ラパログコンジュゲートは、スキーム2に記載したようにして合成することができる。ジカルボン酸リンカーは、米国特許出願公開第2005−0234087号に記載されたリパーゼ触媒アシル化法により、ラパログの42−OH中に最初に導入した。次に、これらのラパログヘミエステル(IIIf)を、DCC/DMAPの組合せの下で17−ヒドロキシワートマニン(Ia)とカップルさせ、42,17’−結合ワートマニン−ラパログコンジュゲート1を好収率で得た。
【0119】
【化21】

【0120】
一実施形態において、本明細書中に記載した技法を使用して容易に調製できる典型的コンジュゲートは、例えば、下記構造:
【0121】
【化22】

42,17’−結合ワートマニン−サクシネート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート
【0122】
【化23】

42,17’−結合ワートマニン−グルタレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート
【0123】
【化24】

42,17’−結合ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート
【0124】
【化25】

42,17−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート
【0125】
【化26】

42,17’−結合ワートマニン−ジグリコリネート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲートを有するものを含む。
【0126】
一実施形態において、これらのラパログ−ワートマニンコンジュゲート化合物は、チオール、アミン、特に第二級アミン、およびアルコールなどの種々の求核剤によりフラン環の開いた誘導体2に、さらに変換することができる(スキーム3)。これらの求核剤は、例えば、2006年6月15日公開の米国特許出願公開第2006−0128793号に含まれるリストの中から選択することができる。
【0127】
【化27】

(式中、R21’は、NR、SR、およびORの中から選択され、ここで、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(アルキル)−O−(アルキル)、−(アルキル)−NR、−(アルキル)−C(=O)NR、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、および複素環基の中から独立に選択され;またはRとRとは一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキソ、アミノ、シアノ、C〜Cペルフルオロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリール、およびヘテロアリールの中から独立に選択された、1から3個の置換基で場合により置換された、3個以下のヘテロ原子を有する3から7員の複素環を形成し;RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルの中から独立に選択され;またはRとRとは一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキソ、アミノ、シアノおよびC〜Cのペルフルオロアルキルから独立に選択された、1から3個の置換基で場合により置換された、3個以下のヘテロ原子を有する、3から7員のシクロ環または複素環を形成する)。
【0128】
一実施形態における、アミン付加物(adducts)の形態にある典型的コンジュゲート(すなわち、ワートマニン中のフラン環は、種々の第二級アミンにより開環されている)を以下に例示する。
【0129】
【化28】

42,17’−結合ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジエチルアミン付加物
【0130】
【化29】

42,17’−結合ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジアリルアミン付加物
【0131】
【化30】

42,17’−結合ワートマニン−サクシネート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加物
【0132】
【化31】

42,17’−結合ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシン合体、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加物
【0133】
【化32】

42,17’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加物
【0134】
他の実施形態における、ラパログ31−OHおよびワートマニン17−OHの位置を通してのジエステル連結基による、ラパログ−ワートマニンコンジュゲートの合成の概略をスキーム4に示す。ワートマニン17−ジカルボンモノ酸(Ic)を、ラパログ42−TBSエーテル(IIIg)と、例えば、DCC、DIPCまたはEDCなどのカップリング試薬およびDMAPなどの塩基の存在でカップリングさせて、中間体Bを得た。それに続く希HSOを用いる脱保護により、所望の31,17’−結合ワートマニン−ラパマイシンコンジュゲート3が得られる。ラパマイシン42−TBSエーテル(IIIg)は、欧州特許第0507556A1号に記載された手順に従って、合成することができる。
【0135】
【化33】

【0136】
上の調製の例示になる例には、下記の構造が挙げられるが、これに限定されることはない。
【0137】
【化34】

31,17’−リンカーワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート
【0138】
一実施形態において、31,17’−結合ワートマニン−ラパログコンジュゲート3は、R21’を含む求核剤で処理して、スキーム5に示したフラン環の開いたコンジュゲート4を得ることができる。
【0139】
【化35】

【0140】
一実施形態において、下記の適例となる化合物を調製することができる。
【0141】
【化36】

31,17’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加物。
【0142】
【化37】

31,17’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジアリルアミン付加物
【0143】
さらに他の実施形態において、コンジュゲートは、ラパログの42−OHおよびワートマニンの11−OHの結合位置を通して、スキーム6に従って調製することができる。ジエステル結合ワートマニン−ラパログに関して、そのようなコンジュゲート(5)は、例えば、DCC、DIPCまたはEDCなどのカップリング試薬およびDMAPなどの塩基の存在下で、11−デスアセチルワートマニン11−ジカルボンモノ酸(Id)を、ラパログ31−TMSエーテル(IIIe)とカップリングさせ、続いて希HSOを用いて脱保護することにより、良好な全収率で、容易に入手することができる。
【0144】
【化38】

(式中、R、R、R14、Xは、本明細書において定義した通りである)。
【0145】
上記手順を利用して容易に調製できる典型的コンジュゲートは、下記構造を含むが、これに限定されることはない。
【0146】
【化39】

42,11’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメチルラパログコンジュゲート
【0147】
一実施形態において、42,11’−結合ワートマニン−ラパログコンジュゲート5を、R21’を含む求核剤で処理して、スキーム7で示したフラン環の開いたコンジュゲート6を得ることができる。
【0148】
【化40】

(式中、R、R、R14、XおよびR21’は、本明細書において定義した通りである)。
【0149】
一実施形態において、適例となる下記の式の化合物が合成され得る。
【0150】
【化41】

42,11’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ピペリジン付加物
【0151】
【化42】

42,11’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加物
【0152】
さらに他の実施形態において、コンジュゲートは、スキーム8に従って、ラパログ31−OHおよびワートマニン11−OHの結合位置を通して、調製することができる。ジエステル結合ワートマニン−ラパマイシンに関して、コンジュゲート(7)は、例えば、DCC、DIPCまたはEDCなどのカップリング試薬およびDMAPなどの塩基の存在下で、11−デスアセチルワートマニン11−ジカルボンモノ酸(Id)を、ラパログ42−TBSエーテル(IIIg)とカップリングさせ、続いて脱保護させる(例えば、希HSOを用いて)ことにより、高い全収率で、容易に入手することができる。
【0153】
【化43】

(式中、R、R、R14、およびXは、本明細書において定義した通りである)。
【0154】
上記の手順を利用することにより容易に調製できる典型的コンジュゲートには、
【0155】
【化44】

31,11’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート
が含まれる。
【0156】
一実施形態において、31,11’−結合ワートマニン−ラパログコンジュゲート7を、求核剤で処理して、スキーム9に示したように、フラン環の開いたコンジュゲート8を得ることができる。
【0157】
【化45】

(式中、R、R、R14、XおよびR21’は、本明細書において定義した通りである)。
【0158】
一実施形態において、下記の適例となる化合物を調製することができる:
【0159】
【化46】

31,11’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジエチルアミン付加物
【0160】
【化47】

31,11−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加物
【0161】
本明細書中に記載したコンジュゲート中のある置換基の存在は、コンジュゲートの塩が形成されることを可能にできる。適当な塩には、薬学的にまたは生理学的に許容される塩、例えば、有機または無機酸から誘導される酸付加塩、および無機または有機塩基から誘導される塩が含まれる。例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸および類似の既知の許容される酸を含む酸付加塩。無機および有機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、リチウム、またはカリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム、ならびに有機アミン塩、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、モルホリン、およびピペリジン塩などが含まれる。
【0162】
【化48】

42,17’−結合ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチルプロピルジアミン付加物HCI塩
【0163】
当業者は、塩および付加物を容易に選択することができる。コンジュゲート、ならびにラパログおよびワートマニン化合物は、描かれた構造の生物活性により特徴づけられる、本明細書において提供された構造の互変異性の形態を含むことができる。
【0164】
本明細書において論じたコンジュゲートは、細胞または対象による化合物の処理により形成される独特の生成物である「代謝物」も包含する。代謝物は、in vivoで形成されることが望ましい。
【0165】
一実施形態において、本明細書中に記載した遊離塩基コンジュゲートの塩および/または付加物は、溶解性を改善して、その結果コンジュゲートの製剤化を容易にするために望ましい。他の実施形態において、溶解性の改善は、コンジュゲート(例えば、遊離塩基)とコンジュゲートの担体(carrier)として有用な緩衝溶液との組合せにより認められる。そのような緩衝溶液は、本明細書に記載されている。
【0166】
組成物およびコンジュゲートの使用
他の態様において、本発明は、医薬組成物の調製におけるラパログ−L−ワートマニンコンジュゲートの使用を提供する。通常、そのような組成物は、少なくとも、コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む。
【0167】
一実施形態において、コンジュゲートは、所望の経路による送達のために、生理学的に適合性の液体担体と混合される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であってもよい。一実施形態において、担体は、緩衝食塩水溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水、Hepes緩衝食塩水、トリス緩衝食塩水)の中から容易に選択することができ、それらの多くは市販されている。
【0168】
医薬組成物は、1つまたは複数の賦形剤を含むことができる。賦形剤は、種々の目的で組成物に加えられる。
【0169】
希釈剤は、固体の医薬組成物の嵩を増やして、組成物を含む医薬投与形態を、患者および介護者が扱いやすくすることができる。固体組成物の希釈剤には、例えば、微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)試薬)、微細セルロース、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、蔗糖、デキストレート、デキストリン、デキストロ−ス、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標)試薬)、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクが含まれる。
【0170】
錠剤などの剤形に圧縮される固体医薬組成物は、圧縮後、有効成分と他の賦形剤とが結合して一緒になるのに役に立つ機能を有する賦形剤を含むこともできる。固体医薬組成物のための結合剤には、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標)試薬)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標)試薬)、液体グルコース、マグネシウムアルミニウムシリケート、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)およびPlasdone(登録商標)試薬)、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウムおよびデンプンが含まれる。
【0171】
患者の胃の中における圧縮固体医薬組成物の溶解速度は、組成物への崩壊剤の添加により増大させることができる。崩壊剤には、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol(登録商標)およびPrimellose(登録商標)試薬)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、Kollidon(登録商標)およびPolyplasdone(登録商標)試薬)、グアーガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポラクリンカリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート(例えば、Explotab(登録商標)試薬)およびデンプンが含まれる。
【0172】
流動促進剤(glidants)は、圧縮されていない固体組成物の流動性を改善し、かつ投与の正確さを改善するために添加することができる。流動促進剤として機能し得る賦形剤には、コロイド状二酸化ケイ素、マグネシウムトリシリケート、粉末セルロース、デンプン、タルクおよび三塩基性リン酸カルシウムが含まれる。
【0173】
錠剤などの剤形が、粉末組成物の圧縮により作製されるとき、組成物は、パンチおよび鋳型からの圧力にかけられる。幾種類かの賦形剤および有効成分は、パンチおよび鋳型の表面に付着する傾向があり、それは、製品が窪みおよび他の表面の不規則性を有する原因になり得る。付着を減少させて、製品の鋳型からの剥離を容易にするために、潤滑剤(lubricants)を組成物に添加することができる。潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛が含まれる。
【0174】
固体および液体の組成物は、それらの外観を改善するために、および/または患者が製品および単位用量レベルの確認をすることを容易にするために、何らかの薬学的に許容される着色剤を使用して染色することもできる。
【0175】
液体医薬組成物において、コンジュゲートおよびどのような他の固体の賦形剤も、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリンなどの液体担体中に、溶解または懸濁されている。
【0176】
液体医薬組成物は、液体担体に可溶でない有効成分または他の賦形剤を、組成物全体に均一に分散させるために、乳化剤を含むことができる。液体組成物中にあってよい有用な乳化剤は、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アラビアゴム、トラガカント、ツノマタ、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコールおよびセチルアルコールを含む。
【0177】
液体医薬組成物は、製品の口当たりを改善し、および/または胃腸管壁を被覆するために、増粘剤(viscosity enhancing agent)を含んでいてもよい。そのような薬剤には、アラビアゴム、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムまたはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、デンプントラガカントおよびキサンタンガムが含まれる。
【0178】
ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクロース、アスパルテーム、フルクトース、マンニトールおよび転化糖などの甘味剤は、味を改善するために添加することができる。
【0179】
貯蔵安定性を改善するために、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびエチレンジアミンテトラ酢酸などの防腐剤(preservatives)およびキレート剤を、消化に安全なレベルで添加することができる。
【0180】
液体組成物は、グルコン酸、乳酸、クエン酸または酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムなどの緩衝剤を含むこともできる。賦形剤および使用量の選択は、製剤化の研究者が、経験ならびにこの分野における標準的手順および参考資料の検討に基づいて、容易に決定することができる。
【0181】
固体組成物は、粉末、顆粒、凝集物のおよび圧縮された組成物を含む。用量は、経口、バッカル、直腸内、非経口的(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)、吸入および眼内投与に適した用量を含む。いかなる所与の場合にも、最も適当な投与は、治療される病態の性質および重症度に依存するであろう。用量は、単位剤形で便利に提供し、また、製薬の技術分野において周知の方法のいずれかにより調製することができる。
【0182】
剤形は、錠剤、散剤、カプセル剤、坐剤、サッシェ、トローチおよび口内錠などの固体剤形、ならびに液体シロップ剤、懸濁液剤およびエリキシル剤を含む。
【0183】
剤形は、本発明の組成物、例えば、粉末化または顆粒化された固体組成物を、硬質または軟質いずれかの殻の中に含むカプセル剤であってもよい。殻は、ゼラチンから作製することができ、場合によりグリセリンおよびソルビトールなどの可塑剤、ならびに乳白剤または着色剤を含むことができる。
【0184】
有効成分および賦形剤は、当技術分野において既知の方法に従って、組成物および剤形に製剤化することができる。
【0185】
錠剤化またはカプセル充填のための組成物は、湿式顆粒化により調製することができる。湿式顆粒化では、粉末形態の有効成分および賦形剤の一部または全部がブレンドされて、それから粉末を凝集させて顆粒にする液体、通常は水、の存在でさらに混合される。顆粒化されたものを篩いおよび/または粉砕し乾燥して、次に所望の粒子サイズに篩いおよび/または粉砕する。それからすぐに顆粒化物を錠剤化するか、または流動促進剤および/または潤滑剤などの他の賦形剤を加えてから錠剤化することができる。
【0186】
錠剤化する組成物は、乾式ブレンディングにより従来法で調製することができる。例えば、活性成分および賦形剤のブレンドされた組成物は、小塊またはシートに圧縮してから粉砕して、圧縮された顆粒剤にすることができる。圧縮された顆粒剤は、引き続き圧搾して錠剤にすることができる。
【0187】
乾式顆粒化に代わる方法として、直接圧搾技法を使用して、ブレンドされた組成物を直接圧搾することにより、圧縮された剤形にすることもできる。直接圧搾は、顆粒を含まないより均一な錠剤を製する。直接圧搾錠剤化に特によく適した賦形剤には、微結晶性セルロース、噴霧乾燥ラクトース、リン酸二カルシウム二水和物およびコロイダルシリカが含まれる。直接圧搾錠剤化における、これらのおよび他の賦形剤の適当な使用は、直接圧搾錠剤化の特定の製剤化問題の当業者には既知である。
【0188】
カプセル充填物は、錠剤化に関連して説明した上記のブレンドおよび顆粒化物の任意のものを含み得るが、しかしながら、それらは最終錠剤化ステップにはかけられていない。
【0189】
使用および製品
他の態様において、本発明は、対象に本明細書に記載したコンジュゲートの薬学的有効量を投与することを含む抗新生物の手段(anti-neoplastic method)を提供する。そのような新生物(neoplasm)は、前立腺癌、乳癌、腎臓癌、結腸癌、卵巣癌、神経膠腫、軟組織肉腫、肺の神経内分泌腫瘍、子宮頸部癌、子宮癌、頭部および頸部癌、膠芽細胞腫、非小細胞肺癌、膵癌、リンパ腫、黒色腫、および小細胞肺癌の中から、通常は選択される。
【0190】
組合せ療法において、コンジュゲートは、他の薬剤による療法を開始する前、その最中、およびその後に、ならびにそれらの任意の組合せすなわち、他の抗癌療法を開始する前および最中、前および後、最中および後、または前、最中および後に投与することができる。
【0191】
抗癌療法が放射線照射であるとき、線源は、外部(外照射療法)または内部(近接照射療法)のいずれであってもよい。患者に投与される抗癌療法剤の用量は、例えば、薬剤の種類、治療される腫瘍のタイプおよび重症度および薬剤の投与経路を含む多くの要因に依存する。
【0192】
場合により、本発明の方法は、他の有効成分との組合せ投与計画でコンジュゲートを投与することを提供する。そのような有効成分は、例えば、免疫調節剤(例えば、免疫賦活剤または免疫抑制剤)、抗新生物剤、または他の所望の成分の中から、当業者が容易に選択することができる。そのような投与計画が使用されるとき、コンジュゲートは、他の有効成分の投与に先だって、同時に、またはその後に投与することができる。さらに、コンジュゲートおよび他の活性有効構成要素は、同じ投与経路、または別経路により送達することができる。
【0193】
一実施形態において、コンジュゲートは、免疫調節剤(例えば、インターフェロン、インターロイキン(例えば、IL−2)、またはBacillus Calmette−Guerin(BCG))を用いる投与計画で投与される。適当なインターフェロンは、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、またはインターフェロンγを含む、当業者に知られているものから容易に選択される。一実施形態において、インターフェロンはインターフェロンαである。1つのインターフェロンα(IFNα)が、“Intron−A”として市販されている。
【0194】
他の実施形態において、コンジュゲートは、抗VEGFモノクローナル抗体を加えた投与計画で投与される。1つの適当な抗VEGFモノクローナル抗体が、例えば、AVASTINとして利用可能である。
【0195】
腫瘍治療について典型的であるように、投与計画は、疾患の重症度、疾患に対する応答、治療に関係のある何らかの毒性、患者の年齢および健康度を含む多くの要因に基づいて、治療する医師により厳重に監視される。投与計画は、投与経路によって変化すると予想される。
【0196】
組成物の投与は、経口、静脈内(i.v.)、呼吸性(例えば、鼻または気管支内)、輸注、非経口的(i.v.の他に、病変部内、腹腔内および皮下注射など)、腹腔内、経皮(体表ならびに上皮および粘膜組織を含む体内通路の内膜を越える全ての投与を含む)、および膣内(子宮内投与を含む)であってよい。リポソーム媒介送達による、局所、鼻、舌下、尿道、髄腔内、眼または耳からの送達、埋め込み、直腸内、鼻内などの他の投与経路も実行可能である。
【0197】
1週間の投与計画で投与されるとき、コンジュゲートの初期i.v.輸注用量は、約5から約175mg、または約5から約25mgであろうと見積もられる。コンジュゲートの経口用量は、10mg/週から250mg/週、約20mg/週から約150mg/週、約25mg/週から約100mg/週、または約30mg/週から約75mg/週の範囲にあるであろうと見積もられる。ラパログについて、予測される経口用量は、0.1mg/日から25mg/日の間であろう。厳密な用量は、投与する医師が、治療される個々の対象について、経験に基づいて決定するであろう。
【0198】
一実施形態には、単位剤形のコンジュゲート1、1から4、またはそれを超える単位、および場合により他の有効薬剤(例えば、インターフェロンまたは抗VEGFモノクローナル抗体)を含む1つまたは複数の容器を含む製品すなわち医薬品パック(pharmaceutical pack)がさらに含まれる。そのような製品は、例えば、希釈剤、担体、注射器、および/またはコンジュゲート投与のための指示を含む他の構成要素を含んでいてよい。通常、医薬品パックは、哺乳動物1個体のための抗新生物投与計画を含む。
【0199】
他の実施形態において、医薬品パックは、単位剤形にしたラパログ−ワートマニンコンジュゲート1単位を入れた容器、および場合により、他の有効薬剤入りの容器を含む、哺乳動物1個体のための1クールの抗新生物治療薬を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、そのまま投与できる形態でパック中にある。他の実施形態において、本発明の組成物は、濃縮された形態で、場合により、投与する最終溶液を作製するために必要な希釈剤とともに、パック中にある。さらに他の実施形態において、製品は、本発明において有用な化合物を、固体の形態で、および、場合により、本発明において有用な化合物のための適当な溶媒または担体を入れた別の容器とともに含む。
【0200】
さらに他の実施形態において、上記のパック/キットは、他の構成要素、例えば、製品の希釈、混合および/または投与のための指示書、他の容器、注射器、針その他を含む。他のそのようなパック/キットの構成要素は、当業者にはもちろん明らかであろう。
【実施例】
【0201】
以下の実施例は、さらに本発明を例示するが、いかなる意味でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本明細書において開示した本発明の原理の中での変形は、当業者により行われ得ると理解され、および予想されるべきで、そのような改変は、本発明の範囲内に含まれるべきことが意図されている。
【0202】
実施例1:42,17’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートの合成
典型的実施例la(Exemplary example 1a):42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート
CHCl(10mL)中の17−ヒドロキシワートマニン(430mg、1mmol)溶液に、無水スベリン酸(234mg、1.5mmol)、続いてDMAP(153mg、1.25mmol)を加えた。次に、混合物を室温で終夜攪拌した。未精製混合物をヘキサン/アセトンを使用するシリカゲルカラム溶出により精製して、ワートマニン17−ヘミスベレート(200mg)を白色粉末として得た。MS(ESI) m/e 609(M+Na)。
【0203】
1,2−ジクロロエタン(10mL)中ワートマニン17−ヘミスベレート(920mg、1.57mmol)、31−OTMS−41−デスメトキシラパマイシン(1.20g、1.26mmol)および触媒量のDMAP(77mg)の混合物を0から5℃に冷却して、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(318mg、2.52mmol)で処理した。混合物を0から5℃で4時間攪拌し、次に室温に加温して12時間攪拌した。混合物をシリカゲルカラムに供してヘキサン/EtOAcで溶出させた。生成物を含む分画を集めて真空で濃縮し乾燥した。
【0204】
上記生成物をMeCN(12mL)中に溶解して、氷浴で冷却し、希HSO(0.5N、9mL)を滴下して加え、混合物を0〜5℃で反応が完結するまで(約3.5時間)攪拌した。EtOAcを加えて有機層を分離した。有機層は、水、5%NaHCOおよび塩水で洗浄した。真空で溶媒を蒸発させた後、未精製残渣をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(1.54g)を白色発泡体として得た。MS(ESI) (M+Na)+ 1475。
【0205】
以下の代表的化合物は、記載したジカルボン酸無水物を使用して合成することができる。表1を参照されたい。
【0206】
【表1】

【0207】
実施例2:42,17’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのアミン付加物の合成
一般的手順:
実施例1からの42,17’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのTBME中の0℃の溶液に、TBME中のアミンの溶液を加えた。混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりモニターして、反応が完結するまで攪拌した。溶媒を真空で除去した。生成物は、溶媒を用いて粉砕(trituration)するか、またはシリカゲル上のクロマトグラフィーで、CHCl−MeOHを用いて溶出するかのいずれかにより精製した。
【0208】
典型的実施例2a:42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのジアリルアミン付加物
実施例laからの41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(552mg、0.38mmol)のTBME(15mL)中の氷冷溶液に、ジアリルアミン(64mg、0.66mmol)を加えた。次に、混合物を0℃で40時間攪拌した。混合物を真空で約5mLに濃縮して、ヘキサン(30mL)を用いて粉砕した。生成物を、ブフナー漏斗上で黄色粉末として集めた(540mg)、MS:(M)1548。
【0209】
典型的実施例2b:42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加物
実施例laからの41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(552mg、0.38mmol)のTBME(15mL)中の溶液を−30℃に冷却した。TBME(3mL)中のN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン(51mg、0.44mmol)を、10分かけて滴下により加えた。添加後、混合物を−30℃で1時間攪拌してから−20℃に温めて、さらに1時間攪拌した。温度を−15℃ないし−20℃に維持しながら、ヘキサン(20mL)を導入した。生成物をブフナー漏斗上で黄色粉末として集めた(550mg)、MS:(M)1570。
【0210】
以下の代表的化合物は、適当なラパログ−ワートマニンコンジュゲートおよびアミンを使用することにより合成することができる。表2を参照されたい。
【0211】
【表2】

【0212】
実施例3:31,17’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートの合成
典型的実施例3a:31,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート
1,2−ジクロロエタン(2mL)中のワートマニン17−ヘミスベレート(146.5mg、0.25mmol)、41−デスメトキシラパマイシン42−OTBS(200mg、0.2mmol)および触媒量のDMAP(12.2mg、0.1mmol)の混合物を、0〜5℃に冷却して、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(50.4mg、0.4mmol)で処理した。混合物を0から5℃で16時間攪拌した。シリカゲルによる精製で298mg(収率95%)の白色粉末を得た。
【0213】
この白色粉末(295mg)をMeCN(5mL)に溶解して氷浴で冷却した。2N HSO(2mL)を滴下して加えた。添加後、混合物を0から5℃で2.5時間攪拌した。EtOAcを加えて、有機層を分離した。有機層を水、5%NaHCOおよび塩水で洗浄し、続いて真空で溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラム上で精製して、白色発泡体として所望の生成物を得た(242mg、89%)。MS(ESI):(M+Na) 1475。
【0214】
以下の代表的化合物は、適当なワートマニン17−ヘミ酸を使用することにより合成することができる。表3を参照されたい。
【0215】
【表3】

【0216】
実施例4:31,17’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのアミン付加物の合成
一般的手順:
TBME中の実施例3からの31,17’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートの0℃の溶液に、TBME中のアミンの溶液を加えた。混合物を、TLCまたはHPLCによりモニターして、反応が完結するまで攪拌した。溶媒を真空で除去した。生成物は、溶媒を用いて粉砕するか、またはシリカゲル上のクロマトグラフィーで、CHCl−MeOHを用いて溶出するかのいずれかにより精製した。
【0217】
典型的実施例4a:31,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのジアリルアミン付加物
TBME(0.1mL)中のジアリルアミン(3mg)を、実施例3aからの31,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(30mg、0.02mmol)のTBME(0.2mL)中の氷冷溶液に加えた。次に、混合物を0℃で24時間攪拌した。溶媒をN気流により除去して、残渣をヘキサン(1mL)を用いて粉砕した。生成物は、ブフナー漏斗上に黄色粉末として集めた(30mg)、MS(ESI):(M+Na) 1572。
【0218】
典型的実施例4b:31,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加物
実施例3aからの41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(40mg、0.028mmol)のTBME(0.2mL)/CHCl(0.025mL)中の溶液を−30℃に冷却した。TBME(0.1mL)中のN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン(4mg、0.034mmol)を、10分かけて滴下により加えた。添加後、混合物を−30℃で1時間攪拌した。温度を−15℃ないし−20℃に維持しながら、ヘキサン(1mL)を導入した。生成物を、ブフナー漏斗上で黄色粉末として集めた(39mg)、MS:(M) 1570。
【0219】
実施例5:42,11’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートの合成
典型的実施例5a:42,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートの合成
ワートマニン11−ヘミスベレート(87mg、0.16mmol)、41−デスメトキシラパマイシン31−OTMS(134mg、0.14mmol)および触媒量のDMAP(8.5mg、0.07mmol)の1,2−ジクロロエタン(1.5mL)中の混合物を、0〜5℃に冷却して、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(35.3mg、0.28mmol)で処理した。混合物を0〜5℃で5時間攪拌してから室温(RT)に温めて、さらに12時間攪拌した。シリカゲルにより精製して、140mgの白色粉末を得た(収率68%)。
【0220】
上記の白色粉末(140mg)をMeCN(2mL)に溶解して氷浴で冷却し、0.5N HSO(1.5mL)を滴下して加えた。添加後、混合物を0〜5℃で3時間攪拌した。EtOAcを加えて有機層を分離した。有機層は、水、5%NaHCOおよび塩水で洗浄し、続いて真空で溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物を白色発泡体として得た(101mg)。MS(ESI):(M+Na) 1431。
【0221】
下記の代表的化合物は、適当なワートマニン11−ヘミ酸を使用することにより合成することができる。表4を参照されたい。
【0222】
【表4】

【0223】
実施例6:42,11’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのアミン付加物の合成
一般的手順:
実施例5からの42,11’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのTBME中の0℃の溶液に、TBME中のアミンの溶液を加えた。混合物を、TLCまたはHPLCによりモニターして、反応が完結するまで攪拌した。溶媒を真空で除去した。生成物は、溶媒を用いて粉砕するか、またはシリカゲル上のクロマトグラフィーで、CHCl−MeOHを用いて溶出するかのいずれかにより精製した。
【0224】
典型的実施例6a:42,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのピペリジン付加物
実施例6からの42,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(30mg)のCHCl(0.2mL)中の溶液を、氷浴で冷却して、ピペリジン(4mg)で処理した。混合物を30分間攪拌した。溶媒をN気流により除去して、残渣をヘキサン(1mL)を用いて粉砕した。生成物を、ブフナー漏斗上で黄色粉末として(30mg)集めた。MS(ESI):(M) 1492。
【0225】
典型的実施例6b:42,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンのN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加物
実施例6からの42,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(30mg)のTBME(0.2mL)中の溶液を、−30℃に冷却して、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン(4mg)のTBME(0.1mL)中の溶液で処理した。混合物を−30℃で1時間攪拌した。ヘキサン(1mL)を添加した。10分間攪拌した後、生成物を、ブフナー漏斗上で黄色粉末として集めた(31mg)。MS(ESI):(M) 1525。
【0226】
実施例7:31,11’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートの合成
典型的実施例7a:31,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレートワートマニンコンジュゲート
ワートマニン11−ヘミスベレート(87mg、0.16mmol)、41−デスメトキシラパマイシン42−OTBS(140mg、0.14mmol)および触媒量のDMAP(8.5mg、0.07mmol)の1,2−ジクロロエタン(1.5mL)中の混合物を、0〜5℃に冷却して、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(35.3mg、0.28mmol)で処理した。混合物を、0〜5℃で4時間攪拌してからRTに温めて、さらに12時間攪拌した。シリカゲルによる精製で、202mg(収率95%)の白色粉末が得られた。
【0227】
この白色粉末(200mg)をMeCN(3.6mL)に溶解して、氷浴で冷却した。2N HSO(1.5mL)を滴下して加えた。添加後、混合物を0から5℃で2時間攪拌した。EtOAcを加えて有機層を分離した。有機層は、水、5%NaHCOおよび塩水で洗浄し、続いて真空で溶媒を蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルカラム上で精製して、所望の生成物を白色発泡体として得た(142mg、77%)。MS(ESI):(M+Na) 1431。
【0228】
以下の代表的化合物は、適当なワートマニン11−ヘミ酸を使用することにより合成することができる。表5を参照されたい。
【0229】
【表5】

【0230】
実施例8:31,11’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのアミン付加物の合成
一般的手順:
実施例7からの31,11’−結合ラパログ−ワートマニンコンジュゲートのTBME中の0℃溶液に、TBME中のアミンの溶液を加えた。混合物を、TLCまたはHPLCによりモニターして、反応が完結するまで攪拌した。溶媒を真空で除去した。生成物は、溶媒を用いて粉砕するか、またはシリカゲル上のクロマトグラフィーで、CHCl−MeOHを用いて溶出するかのいずれかにより精製した。
【0231】
典型的実施例8a:31,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのジエチルアミン付加物
実施例7aからの31,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(30mg)のCHCl(0.2mL)中の溶液を、氷浴で冷却して、CHCl(0.05mL)中のジエチルアミン(2.2mg)溶液で処理した。混合物を1時間攪拌した。溶媒をN気流により除去して、残渣をヘキサン(1mL)を用いて粉砕した。生成物をブフナー漏斗上で黄色粉末として集めた(28mg)。MS(ESI):(M+Na) 1504。
【0232】
典型的実施例8b:31,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのN,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加物
実施例7aからの31,11’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲート(40mg)のTBME(0.2mL)中の溶液を、−30℃に冷却して、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン(4.5mg)のTBME(0.1mL)中の溶液で処理した。混合物を−30℃で1時間攪拌した。ヘキサン(1mL)を加えた。10分間攪拌した後、生成物をブフナー漏斗上で黄色粉末として集めた(39mg)。MS(ESI):(M) 1525。
【0233】
実施例9:異種移植腫瘍(xenograft tumor)による有効性研究法:
この実施例は、当技術分野において既知の化合物に優る、本明細書において説明したコンジュゲートの、腫瘍サイズを縮小させる能力を例示する。
【0234】
10週齢の雌ヌードマウスの側腹部の皮下に、200μLのU87MG(ヒトグリオバストーマ(human gliobastoma))腫瘍細胞懸濁液を植え付けた。U87MG細胞を完全成長培地に懸濁して、マウス1匹当たり1千万細胞を移植した。腫瘍のサイズがおよそ200mmに達したときに、マウスの病期を決定した(were staged)。病期決定時(at staging)(第0日)の腫瘍担持マウスを、を処置群(n=10)にランダム化した。本明細書に記載したコンジュゲートをD5Wビヒクル(グルコース−水)中で製剤化して、第0日および第7日にIV投与した。表6を参照されたい。
【0235】
【表6】

【0236】
腫瘍の成長は、実験期間中週に2回モニターした。腫瘍サイズは、滑りノギス(sliding vernier calipers)を使用して測定し、腫瘍の質量は、式(長さ×幅)/2を使用して計算した。代表的データを、図1および2に示す。
【0237】
図1は、42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシンスベレート−ワートマニンコンジュゲートのN,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加物(実施例2bのコンジュゲート;黒△)のin vivo有効性を例示する折れ線グラフを示す。D5Wビヒクル(グルコース−水)の役割は、対照(●)である。図2は、42,17’−結合41−デスメトキシラパマイシン−スベレート−ワートマニンコンジュゲートのジアリルアミン付加物(実施例2aのコンジュゲート;(黒▽))のin vivo有効性を、41−デスメトキシラパマイシン(黒△)、17−ヒドロキシワートマニンのジアリルアミン付加物(黒□)、および41−デスメトキシラパマイシン/17−ヒドロキシワートマニンのジアリル付加物の混合物(◆)と比較して例示する折れ線グラフを示す。D5Wビヒクル(グルコース−水)の役割は、対照(●)である。
【0238】
実施例2aおよび2bの化合物は、対照または参照化合物1または参照化合物で治療した腫瘍よりも小さい腫瘍を生じた。さらに、実施例2aおよび2bの化合物は、参照化合物1および2の混合物で達成されたのと同等のサイズの腫瘍を生じた。
【0239】
この明細書中で引用した全ての刊行物は、参照により本明細書中に組み込まれる。本発明は、特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神から逸脱することなく改変がなされ得ることは認識されるであろう。そのような改変は、添付した特許請求の範囲に入ることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化49】

を有するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩
(式中、
Lは、式(III)のラパログのコア構造に結合したリンカーであり;
ワートはワートマニンであり;
は、OH、エステル、エーテル、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
はメチルまたはHであり;
は、H、OH、エステル、エーテル、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
は、OH、エステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、およびホスフェートからなる群から選択され;
、R、およびRは、H、アルキル、ハロゲン、およびヒドロキシルからなる群から独立に選択され;
、Rは、H、Hまたは=Oであり;
10は、H、アルキル、ハロゲンおよびヒドロキシルからなる群から選択され;
X”は、結合もしくはCHR11であり;または
CHR−X”−CHR−は
【化50】

であり;
11、R12、およびR13は、H、アルキル、ハロゲン、およびヒドロキシルからなる群から独立に選択され;
Rは、式A、式B、式C、式D、式E、式FおよびLに対する結合点からなる群から選択され;
【化51】

14およびR15は、H、OH、ハロゲン、チオール、アミン、アルキル、エステル、エーテル、アミド、カーボネート、カルバメート、スルホネート、ホスフェート、テトラゾール、およびLに対する結合点からなる群から独立に選択され;
Yは結合またはCHR16であり;
16は、H、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
式中、R、R、R、R、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、式(III)のLに対する結合点である)。
【請求項2】
式(III)が、
(a)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHであることと;
(b)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−エーテルであることと;
(c)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−エステルであることと;
(d)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がcis−4−テトラゾールであることと;
(e)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−ホスフェートであることと;
(f)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OHであり、R15がtrans−4−OHであることと;
(g)RがOCHであり、RがCHであり、RがOHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHであることと;
(h)RがOHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、XがCHであり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHであることと;
(i)RがOCHであり、RがCHであり、RがOCHであり、RがOHであり、RがHであり、RがHであり、RがHであり、RおよびRがケトであり、R10がHであり、Xが結合であり、Rが式Cであり、Yが結合であり、R14がcis−3−OMeであり、R15がtrans−4−OHであることと
からなる群から選択される置換基の組合せを含まないことを条件とする、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記trans−4−エーテルがtrans−4−O−CHCH−OHであり、かつtrans−4−エステルがtrans−4−O−COC(CH)(CHOH)である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
Lが、in vivoでラパログまたはワートの一方または両方から、全体または一部を除去される、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
Lが加水分解性であるかまたは酵素的に切断される、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
Lが式(V)により特徴づけられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンジュゲート
−Z−X−Z
(V)
(式中、
およびZは、結合、−O−、N(R)、−S−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)C(=O)、−OC(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−OC(=S)N(R)−、−N(R)C(=S)N(R)−、および=N−N(R)−からなる群から独立に選択され;
は、出現するごとに、H、アルキル、アルケニル、およびアリールからなる群から独立に選択され;
Xは、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールアルキル、ヘテロアリール、複素環基;分枝していても分枝していなくても、飽和でも不飽和でもよく、オキシ、アミン、スルフィド、アルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、ヒドロキシル、およびハロゲンの1つもしくは複数で、場合により置換されていてもよく、かつエーテル(−O−)、アミン(−NH−)、スルフィド(−S−)、−S(O)−、NR、−C(=O)N(R)−、−OC(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−OC(=S)N(R)−、−N(R)C(=S)N(R)−、または=N−N(R)の1つもしくは複数で、またはそれらの組合せにより場合により中断されていてもよい、1から16個の炭素原子を有する炭化水素鎖からなる群から選択される)。
【請求項7】
またはZが、−O−、NR、−S−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R)C(=O)−、−OC(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−OC(=S)N(R)−、−N(R)C(=S)N(R)−、および=N−N(R)−からなる群から選択されるとき、Lがそれによりラパログまたはワートに結合する基は、さらなるO基を提供しない、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
Xが、−O−、−S(O)−、NR、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)N(R)−、および−OC(=O)N(R)−からなる群(nは0から2である)から選択される1つまたは複数の基により中断される、1から16個の炭素原子のアルキル鎖からなる群から選択される、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
Lが、式
【化52】

を有する、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
Xが、式−(CH−(nは1から16である)の炭化水素鎖であるか;または
Xが、式
−(CH−O−(CH− (nは1から8である)
のエーテル連結基により中断されている炭化水素鎖である、請求項9に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
およびZが結合であり、Xが、1から10個の炭素原子のアルキル鎖、または1、2、または3個以上のオキシ基で置換された、1から10個の炭素原子のアルキル鎖である、請求項6に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
Xが、C〜Cアルキル、(CHCHO)、−(CH−O−(CH−、C〜Cアルケニル、シクロアルキル、アリール、および複素環基(nは1から8である)からなる群から選択される、請求項6から10のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
Xが、(CH、(CHOCH)、(CH、(CH、(CHおよび(CHからなる群から選択される、請求項12に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
Lが、ラパログ式(III)に、R、R、R、R、R14またはR15の1つを通して結合している、請求項1から13のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
ラパログが、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、または(IIId)
【化53】

(式中、YはCHR16または結合である)、
【化54】

(式中、n’およびn”は独立に1または2である)、
【化55】

(式中、R14は、H、ハロゲン、チオール、アミン、またはアルキルである)、および
【化56】

である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
ワートマニンが、コア構造(Ia)
【化57】

(式中、
20は、O、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、エーテル、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
21とR22とは、ヘテロ原子Oを通して結合して一緒になり;または
21は、エステル、エーテル、チオエーテル、チオエステル、アミノ、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
22は、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、エーテル、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
23は、OH、エステル、エーテル、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
24は、O、OH、エステル、カーボネート、カルバメート、およびLに対する結合点からなる群から選択され;
ここで、R20、R21、R22、R23、およびR24の少なくとも1つは、Lに対する結合点である)
を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
Lが、ワートマニンコアに、R20、R21、R22、R23、またはR24の1つを通して結合している、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
21が、式NRを有し、ここで、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、−(アルキル)−O−(アルキル)−、−(アルキル)−NR−、−(アルキル)−C(=O)NR−、シクロアルキル、アリール、および複素環基からなる群から独立に選択され;ただし、RおよびRの両方がHであることはなく;
またはRとRとは、一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキソ、アミノ、シアノ、C〜Cペルフルオロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立に選択された、1から3個の置換基で場合により置換された、3個以下のヘテロ原子を有する3から7員の複素環を形成していてもよく;
およびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から独立に選択され;または
およびRは、一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルコキシ、オキソ、アミノ、シアノおよびC〜Cペルフルオロアルキルからなる群から独立に選択された、1から3個の置換基で場合により置換された、3個以下のヘテロ原子を有する3から7員の環状または複素環を形成している、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
がHであり、Rがフェニルである;または
およびRが低級アルキルである、請求項18に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
21が、ジエチルアミン、ジアリルアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、ピペリジン、およびN,N−ジメチル−N’−エチル−エチレンジアミンからなる群から選択され、R13が−OHである、請求項18に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
ラパマイシンのLに対する結合点が、R(42)またはR(31)である、請求項1から20のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
ワートマニンのLに対する結合点が、R20(17’)またはR13(11’)である、請求項1から20のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
14およびR15が、H、OH、ハロゲン、チオール、アミン、アルキル、エステル、アミド、カーボネート、カルバメート、スルホネート、ホスフェート、テトラゾール、およびLに対する結合点からなる群から独立に選択される、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
42,17’−連結ワートマニン−スクシネート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
42,17’−連結ワートマニン−グルタレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
42,17’−連結ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
42,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
42,17’−連結ワートマニン−ジグリコリネート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
42,17’−連結ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジエチルアミン付加体;
42,17’−連結ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジアリルアミン付加体;
42,17’−連結ワートマニン−スクシネート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加体;
42,17’−連結ワートマニン−アジペート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加体;
42,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加体;
42,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジアリルアミン付加体;
42,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチルプロピルジアミン付加体HCl塩;
31,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
31,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル1,3−プロパンジアミン付加体;
31,17’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジアリルアミン付加体;
42,11’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
42,11’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ピペリジン付加体;
42,11’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加体;
31,11’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート;
31,11’−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、ジエチルアミン付加体;および
31,11−連結ワートマニン−スベレート−41−デスメトキシラパマイシンコンジュゲート、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン付加体
からなる群から選択される、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
請求項1から24のいずれかに記載のコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項26】
請求項1から24のいずれかに記載のコンジュゲートの薬学的有効量を対象に投与することを含む、新生物を治療する方法。
【請求項27】
新生物が、前立腺癌、乳癌、腎臓癌、結腸癌、卵巣癌、神経膠腫、軟組織肉腫、肺の神経内分泌腫瘍、子宮頸部癌、子宮癌、頭部および頸部癌、膠芽細胞腫、非小細胞肺癌、膵癌、リンパ腫、黒色腫、および小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
コンジュゲートが、静脈内にまたは直接新生物に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
医薬の調製における、請求項1から24のいずれか一項に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項30】
新生物を治療するための医薬の調製における、請求項1から24のいずれか一項に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項31】
前記新生物が、前立腺癌、乳癌、腎臓癌、結腸癌、卵巣癌、神経膠腫、軟組織肉腫、肺の神経内分泌腫瘍、子宮頸部癌、子宮癌、頭部および頸部癌、膠芽細胞腫、非小細胞肺癌、膵癌、リンパ腫、黒色腫、および小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
場合により、希釈剤、担体、注射器、コンジュゲート投与のための指示書、またはそれらの組合せも加えて適切にパッケージされた、請求項1から24のいずれかに記載のコンジュゲートを含む製品。
【請求項33】
本明細書におけるスキーム1から9のいずれか1つで説明した、請求項1に記載のコンジュゲートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−523565(P2010−523565A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502130(P2010−502130)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/004323
【国際公開番号】WO2008/124020
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】