説明

一体型プリントヘッドアセンブリ

【課題】圧電マイクロデポジション(PMD)装置において、無効なプリントヘッドを交換することによってもたらされる機械停止時間をできるだけ短くする。
【解決手段】本発明は、工業用のプリント装置と組み合わせて使用するための一体型プリントヘッドアセンブリに関する。一体型プリントヘッドアセンブリは、迅速に取り外され、別のアセンブリと交換することができる内蔵型ユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、個々のプリント装置において使用するための一体型プリントヘッドアセンブリに関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2005年4月25日付けで出願された米国仮特許出願第60/674,584号、同第60/674,585号、同第60/674,588号、同第60/674,589号、同第60/674,590号、同第60/674,591号、及び同第60/674,592号の利益を主張するものである。上記出願の開示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
圧電マイクロデポジション(PMD)装置において、無効なプリントヘッドを交換することによってもたらされる機械停止時間は、できるだけ短くされるべきである。概して、プリントヘッドが故障すると、プリントヘッドを取り替えられるように、PMDのプリント作業全体を停止しなければならない。取り替えられると、プリントヘッドが動作可能であることを保証するために、PMDを生産作業に戻す前にプリントヘッドをオンラインで較正及びテストしなければならない。
【特許文献1】米国特許第6565177号明細書
【特許文献2】米国特許第7036917号明細書
【特許文献3】米国特許第6863364号明細書
【特許文献4】米国特許第6672696号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、較正及びテストは通常、所望よりも時間がかかり、また、機械停止時間をさらに長くする一因となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一体型プリントヘッドアセンブリは、イーサネット(登録商標)又は任意の他のデータ及び制御プロトコル、接続、電源、発射のためのメインプリントX−Yステージ及び液滴分析X−Yステージの両方からのエンコーダ信号、プリント流体材料、並びに真空/圧力を必要とする内蔵型プリンタモジュールであってもよい。各一体型プリントヘッドアセンブリはアレイ状に配置されてもよく、スループットが向上するか又は基板のサイズが大きくなるにつれてさらなるプリントヘッドが必要となるのに応じて、電気的なアーキテクチャ又はソフトウェアのアーキテクチャを設計し直すことなく、より多くの一体型プリントヘッドアセンブリを追加することができる。各一体型プリントヘッドアセンブリは、ユニットがプリントしている際に、すなわちリアルタイムで、液滴速度及び移動速度に基づいて発射位置を計算するのに十分な演算能力を有する。中央コンピュータはこの機能を実行し、そのデータをプリントヘッドに送信することができる。しかし、非限定的な例として、大型フラットパネルディスプレイの製造等、より大きな基板のサイズのために20〜40個のプリントヘッドが必要とされることが一般的になると、中央コンピュータのために必要とされる転送速度は実用的でなくなる可能性がある。
【0005】
各プリントヘッドアセンブリにおいてデータを処理することにより、一体型プリントヘッドアセンブリは、基板の直線的な歪み及び非直線的な歪みを補正することができる。また、一体型プリントヘッドアセンブリの内部でPCとインタフェースすることができ、かつ、流体制御及び圧力制御を供給することもできる設備を用いることで、一体型プリントヘッドアセンブリをオフラインでテスト及び較正することができることにより、生産遅延を制限することができる。設備は、プリントヘッドから噴出された液滴を測定することができ、且つ速度、方向性及び容積を測定することができる光学系を有するであろう。補償アルゴリズムに基づき、これらの上記のパラメータについて必要とされる性能が達成されるまで、新たな駆動波形が一体型プリントヘッドアセンブリにダウンロードされるであろう。達成されると、製造番号、テストの日付、調整時の圧力レベル及び真空レベル、並びに任意の他の望まれる工程情報を付されて一体型プリントヘッドアセンブリ内に位置するデータボードアセンブリの不揮発性メモリに、駆動波形が記憶される。一体型プリントヘッドアセンブリは、PMD製造工具が使用している一体型プリントヘッドの生産アレイ内の故障したプリントヘッドを迅速に交換するために、準備完了状態に維持されるであろう。この設備は、転送準備完了・待機状態に維持されている複数の一体型プリントヘッドアセンブリにサービス提供することができる、1つの液滴検査ユニットを含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の説明は、本質的に単なる例示に過ぎず、決して本教示、その用途及び使用を限定することを意図するものではない。
【0007】
本明細書において定義する場合、用語「流体製造材料」及び「流体材料」は、低粘度の形態を想定することができ、且つ堆積される(例えば、微細構造を形成するためにPMDヘッドから基板上に堆積される)のに適した、いかなる材料をも含むように広く解釈される。流体製造材料は、限定はしないが、ポリマー発光ダイオードディスプレイデバイス(PLED、及びPolyLED)を形成するのに用いることができる発光ポリマー(LEP)を含んでもよい。流体製造材料はまた、プラスチック、金属、蝋、はんだ、はんだペースト、生物医学製品、酸、フォトレジスト、溶剤、接着剤、及びエポキシを含んでもよい。用語「流体製造材料」は、本明細書において「流体材料」と交換可能に言及される。
【0008】
本明細書において定義する場合、用語「堆積」(deposition)は概して、流体材料の個々の小液滴を基板上に堆積させる工程を指す。用語「放出する」、「吐出する」、「パターニングする」、及び「堆積させる」は、本明細書において、例えばPMDヘッドからの流体材料の堆積を特に指して交換可能に使用される。用語「小液滴」及び「液滴」もまた、交換可能に使用される。
【0009】
本明細書において定義する場合、用語「基板」は、PMD等の製造工程中に流体材料を受けるのに適した表面を有するいかなる材料をも含むように広く解釈される。基板は、限定はしないが、ガラス板、ピペットシリコンウェーハ、セラミックタイル、硬質プラスチック及び軟質プラスチック並びに金属のシート及びロールを含む。いくつかの実施形態では、流体材料は、製造工程中(例えば3次元微細構造を形成する際等)に流体材料を受けるのに適した表面も含んでいるため、堆積された流体材料自体が基板を形成することがある。
【0010】
本明細書において定義する場合、用語「微細構造」は概して、高度な精密さで形成され、基板上に適合する大きさにされた構造を指す。種々の基板の大きさは様々であり得るため、用語「微細構造」は特定の大きさに限定されるように解釈されるべきではなく、用語「構造」と交換可能に使用することができる。微細構造は、流体材料の単一の小液滴、小液滴の任意の組み合わせ、又は、2次元層、3次元構造体、及び任意の他の所望の構造等の、小液滴(複数可)を基板上に堆積させることにより形成される任意の構造を含んでもよい。
【0011】
本明細書において言及されるPMDシステムは、ユーザが規定したコンピュータ実行可能な命令に従って流体材料を基板上に堆積させることによって、工程を実行する。用語「コンピュータ実行可能な命令」は、本明細書において「プログラムモジュール」又は「モジュール」とも呼ばれ、概して、限定はしないが、PMD工程を実施するのに必要なコンピュータ数値制御を実行する等のための、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等、又は、特定の抽象データ型を実施するもの若しくは特定のタスクを実行するものを含む。プログラムモジュールは、限定はしないが、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造を記憶することができ、且つ汎用コンピュータ若しくは専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含む、任意のコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。
【0012】
図1を参照すると、一体型プリントヘッドアセンブリ20を組み込んだPMD装置10が示されている。PMD装置10は、基板4をPMD装置10の基板ステージ6上にロードするか又は基板ステージ6から下ろす一対のロボット2を有する。ロボット2の使用はさらに、パターニングされたインクが堆積される基板4の表面を、異物が妨害又は損傷しないように、基板4を清潔な状態に維持するのに役立つ。PMD装置10は、基板4がPMD装置10において適切に位置合わせされていることを保証するのに役立つ、一対のカメラ3及び5を含む光学系も有する。
【0013】
PMD装置10は、PMD装置10の動作を制御するシステム制御/電源モジュール8を有する。これに関して、インクパターン、吐出速度等の動作パラメータは、オペレータによって制御されてもよい。さらに、モジュール8は、PMD10のインクジェット装置14及び液滴検査モジュール16も制御する。インクジェット装置14は、基板4上にインクを堆積させる種々の一体型プリントヘッドアセンブリのアレイ12を有する。
【0014】
種々のインクジェット装置14によって堆積されるインクは、インク供給モジュール7によって装置14に供給される。複数のモジュール7が提供されることで、多様な用途に適した種々の種類のインクを同時に貯蔵することができることを当業者は理解及び認識するであろう。PMD装置10には溶剤洗浄モジュール9も含まれる。溶剤洗浄モジュール9は、種々のインクジェット装置14のプリントヘッドを洗浄するのに用いられる溶剤を、アレイ12のプリントヘッドを洗浄し、且つそれを維持するのに役立つメンテナンスステーション11に提供する。
【0015】
プリントヘッドアレイ12は、図2により明確に示され、概して複数の一体型プリントヘッドアセンブリ20を含む。各一体型プリントヘッドアセンブリ20は、インクジェット装置14内に保持されたプリントヘッドキャリッジ22に挿入される。キャリッジ22は、上側プレート21及び下側プレート23を有する。上側プレート21及び下側プレート23は、それぞれの一体型プリントヘッドアセンブリ20を受け入れる複数の対応したドッキングポート25を備えている。これらのドッキングポート25のそれぞれには、一体型プリントヘッドアセンブリ20のそれぞれのハウジング28に沿って外側に延びる対応するガイドレール部品26と咬合する、ガイドレールアセンブリ24も設けられている。図3Aに示すように、ガイドレール部品26はプリントヘッドハウジング28の底部よりも長く延びており、それによりガイドレール部品26の先端26aが、プリントヘッドキャリッジ22の下側プレート23上の孔(図示せず)内に着座する位置合わせ機構としての役割を果たすことが可能になる。
【0016】
一体型プリントヘッドアセンブリ20の個々の部品が、図3A、図3B、及び図4に示されている。図4に示すように、プリントヘッドアセンブリ20は、参照により本明細書に援用される「液滴分析システム」と題する同時係属中の米国特許出願第60/674,589号に記載されているもの等の液滴分析システムを介して取得された未処理のプリント画像情報の一部を受信し且つ処理するためのデータボードアセンブリ32及びオンボードPC−104プロセッサ34を有する。未処理の画像は、処理後のファイルと比較してサイズがはるかに小さく、そのため、そのベース画像を、非限定的な例としてイーサネット(登録商標)等の適切な接続を介して、各プリントヘッドアセンブリ20に非常に迅速に送信することが可能である。オンボードプロセッサがその後、引き継いでプリント画像を形成する。
【0017】
データボードアセンブリ32は不揮発性メモリを有し、画像情報の処理を支援するのに十分な量、例えば1.5ギガバイトのオンボードダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)も有する。画像は、処理されながらオンボードDRAMに転送され、後にオンボードDRAMにプリントのために記憶される。その後、画像は印刷のために必要な回数だけDRAMから同期読み出しされる。データボードアセンブリには、駆動電子機器38が付随しており、この駆動電子機器38は、非限定的な例としてマルチポート流体駆動ボードを含んでもよい。
【0018】
図5を参照すると、一体型プリントヘッドアセンブリ20はまた、直接プリント流体送出用ノズル43、及び溶剤洗浄廃棄流体除去用ノズル45の、別個のチャネル又はノズル44を有するオンボードプリント流体リザーバ40を有する。リザーバ40内の別個の流体経路47及び49が、小型リザーバ内に収容されているプリント流体を無駄にすることなく、プリントヘッドを溶剤で洗い流すことを可能にする。リザーバ40内の流体は真空ライン(図示せず)によって加圧され、その圧力は、データボードアセンブリ32の不揮発性メモリによって保持されている設定により変更することができる。このようにして、流体のメニスカスを変更して、プリントヘッド30に送られる流体の量を制御することができ、それにより、プリントヘッド30のノズルの噴射を制御する。すなわち、メニスカスの圧力設定は変更することができる。
【0019】
プリントヘッド30に空気を導入することなく、プリントヘッド30を溶剤で洗浄することができ、これは、すべてのノズルがむらなく噴射するようにするためにも重要である。また、廃棄流体除去機構は、プリントヘッドマニホルドを通して流体を流すことを可能にし、ヘッド内の大部分の空気を迅速に除去することにより、ヘッドの準備時間を短縮する。リザーバ40は、プリント流体及び/又は溶剤の液面が低い時にそれを通知する流体レベルセンサ42を有することができる。
【0020】
各一体型プリントヘッドアセンブリ20は、データボードアセンブリ32と、プロセッサ34と、駆動電子機器38と、それぞれのプリント流体リザーバ40とを有する。このように、各アセンブリは内蔵型であり、各アセンブリが独立してデータを処理することができるため、他のプリントヘッドアセンブリ20から分離することができる。1つのアセンブリ20が何らかの理由で故障した場合、残りのアセンブリ20を妨害することなく、そのアセンブリ20をアレイ12から取り除くことができる。さらに、一体型プリントヘッドアセンブリを使用することにより、オペレータが、動作不良のアセンブリ又は損傷したアセンブリと取り替えることができる予備のアセンブリを保管しておくことも可能になる。これらの個々に取り除くことが可能なアセンブリは、機械停止時間を短縮し、生産性を向上させる。
【0021】
オフラインのメンテナンスステーションを診断ツールとして使用して、アセンブリが取り除かれるとアセンブリのそれぞれをテストし、動作不良なアセンブリの問題解決を支援することができる。オフラインのメンテナンスステーションはまた、データをアセンブリにアップロードするソフトウェアを装備されてもよい。例えば、ステーションは、アセンブリがアレイ12に再び挿入される前に、堆積すべきインクパターンをアセンブリにアップロードすることができる。
【0022】
流体リザーバ40をアセンブリ20に一体化することにより、インクを、他のアセンブリ20に影響を与えることなくノズル44を通って迅速且つ効率的にリザーバ内に補充することができる。アセンブリ20が動作不良であるか、又はインク交換が必要であるかに関わりなく、PMD10は、個々のアセンブリを取り除くために電源を切る必要がない。特に、アセンブリ20のうちの1つに、例えばプリントヘッドのノズル内に気泡が存在する、又は別の吐出の問題がある等の問題が生じたとき、PMD装置10の動作を制御するシステム制御/電源モジュール8に重大な警告が送信され、装置10のオペレータに警告するであろう。その後、装置10の電源を切るのではなく、残りのアセンブリが、約10Hz等のより低い周波数で発射(すなわち、インクの吐出)を続けるようにされる。他の低い周波数が適していることもある。低い周波数で、最小限の量のインクが吐出されるが、発射を続けることにより他のアセンブリ20のノズルの詰まりが防止され、それにより、動作不良なアセンブリ20が取り除かれ交換される一方で、残りのアセンブリにさらなる整備が必要とされるのを防ぐことができる。
【0023】
各プリントヘッド30は、プリントヘッドのノズルが基準ブロック46(図3B)を越えて延び、精研削された基準ブロック46に接着される。それにより、参照により本明細書に援用される、「動的プリントヘッド位置合わせアセンブリ」と題する同時係属中の米国仮特許出願第60/674,592号に記載されているビジョンシステムが、妨害なくノズルを視認することが可能になる。基準ブロック46が接着固定具70に取り付けられると、図6に示すように、加えられた力が、ブロック46の1次基準面、2次基準面、及び3次基準面を密接させる。その後、プリントヘッド30は接着固定具70内にロードされ、可動リンクに取り付けられ、可動リンクはプリントヘッド30を基準ブロック46及び接着固定具70内のビジョンシステムに対して位置付ける。
【0024】
次に、固定具内の光学部品が各プリントヘッドの種類に応じて調整されて最初のノズル及び最後のノズルを位置付け、固定カメラがプリントヘッド30の中心にあるノズルを位置付ける。固定具70は、ソフトウェアの制御下で、最初のノズルに焦点を合わせているカメラと位置合わせされるようにプリントヘッド30を動かし、且つ、最後のノズルが最初のノズルと同一線上になるようにプリントヘッドを回転させる。同時に、整合性を保証するために、プリントヘッドアレイの長さが測定される。その後、最初のノズル及び最後のノズルに対する位置合わせのために、プリントヘッドの中心が検査される。位置が合っていなかった場合、プリントヘッド調整アセンブリ74内の機械的アクチュエータを介してプリントヘッドの中心が偏向され、位置が合わせられる。このようにして、プリントヘッドのいかなる湾曲も補正することができる。このことは、プリントヘッドのノズルは、製造公差のため、製造時に位置合わせされていることがほとんどないという点で重要である。
【0025】
位置合わせが完了した後、速硬性接着剤がプリントヘッド30と基準ブロック46との間に注入され、それらをこの状態で固定する。接着固定具70から取り外された後、温度、湿度及び衝撃条件下でプリントヘッド30が基準ブロック46に対して動いてしまうことを防ぐために、さらなる埋め込み用樹脂が塗布される。プリントヘッド30を基準ブロック46に接着した後、ねじ又はボルト等の締結具を使用して、プリントヘッド30を基準ブロック46にさらに固定することができる。完全に接着された状態を確立するために、接着固定具70において光学マスタが使用される。これは、生産が長年にわたるとき、一体型プリントヘッドアセンブリの交換可能性を保証するために、時間経過によって変化してはならない。
【0026】
接着固定具70の基準面は、PMDマシンにおいて、設置された各アセンブリ20について精密に複製され、それにより複数のアセンブリの精密な位置合わせが可能になる。接着固定具70は、PMDマシンのヘッドアレイのネスト内の圧電調整器により、ノズルプレートの絶対的な「Z」軸上の位置、ノズルプレートの基板に対する平行性、及びノズルアレイのX軸上の位置及びY軸上の位置がミクロン以下の精度で位置合わせ可能であることを保証する。これは、PMD装置内の1〜無制限の数のプリントヘッドにわたって、±2ミクロンの正確な位置でノズルが配置されることを確実にする。
【0027】
基準ブロック46は、光学的に位置付けられ接着されたプリントヘッド30と共にばね仕掛けの付勢アセンブリ48に取り付けられ、付勢アセンブリ48は、ブロック46がX軸方向及びY軸方向に動き、且つ垂直軸を中心として回転することを可能にする。このアセンブリ48は、第1の端部50に沿って、ブロックがZ軸方向に動き、且つその水平軸を中心として縦横に揺動することを可能にする対応した固定具52を用いて、プリントヘッドアセンブリハウジング28に連結される。基準ブロック46は、一体型プリントヘッドアセンブリ20の本体に対して浮動することができる。
【0028】
上記のように、プリントヘッド30及び基準ブロック46は、ばね仕掛けの付勢アセンブリ48によってプリントヘッドアセンブリ20の残りの部分から分離することができ、付勢アセンブリ48は、4つのばね64によって一体型プリントヘッドアセンブリの本体62に取り付けられた取り付けプレート60を有することができる。各ばね64は、第1の端部66及び第2の端部68を有する圧縮ばねであってもよい。各ばね64の第1の端部66は、一体型プリントヘッドアセンブリ20の本体62に取り付けられることができ、各ばね64の第2の端部68は据え付けプレート60に取り付けられることができる。結果として、取り付けプレート60は概して、本体62に対しておよそ6自由度で移動可能であり得る。基準ブロック46は取り付けプレート60に取り付けられてプリントヘッド連結ブロックを形成することができ、基準ブロック46が基準面を当接させて動けるように着座し、取り付けプレート60に対して調整されることができるような自由度を与えられる。
【0029】
プリントヘッドキャリッジ22に挿入されると、この浮動アセンブリは、参照により本明細書に援用される、「動的プリントヘッド位置合わせアセンブリ」と題する米国仮特許出願第60/674,592号に記載されているようなキャリッジ22の底部において、1次基準面、2次基準面、及び3次基準面に対して移動し且つ整合することが可能になる。上記の浮動アセンブリは、再現可能な±5ミクロンの位置精度を実現することができる。
【0030】
プリントヘッドアセンブリ20は、電気的接続の切断を必要としないが、各一体型プリントヘッドアセンブリ20は、ハウジング28の第2の端部56に沿って配置され且つプリントヘッドアレイのキャリッジ22内のドッキングポート25に連結されて、一体型プリントヘッドアセンブリ20とアレイ12との間の機械的な連結を提供するラッチアセンブリ54(本明細書において、他の場合はブラインドメイトコネクタと呼ばれる)を有する。可動ハンドル80が、上カバー28c上のロックカム機構58に取り付けられる。ロックカム機構58の端部に位置するマイクロスイッチ82は、ハンドル80が動かされたことを検知する。プリントヘッドアセンブリ20が取り外され、マイクロスイッチ82の接点が開放されると、関連するプリントヘッドアセンブリ20に対する電力が遮断され、アレイネスト78内の磁気クランプ72を取り囲んでいる打ち消しコイル76に電力が送達され、アレイ12内のアセンブリ20を保持する力が効率的にされる。プリントヘッドアセンブリ20が挿入されて、ハンドル80がラッチ位置まで下に動かされると、一体型電子部品に対する電力を復旧させ、且つ打ち消しコイル76に対する電力を除去して、磁気クランプ72が基準ブロック46をアレイネスト78の1次基準(図示せず)へと引張ることが可能になるようにソフトウェアがトリガされる。カム機構58は、ブラインドメイト電気コネクタ54の完全な接続を保証するために、最大約18.14kg(40ポンド)の力を生成する。
【0031】
プリントヘッドキャリッジ22に完全に挿入されると、一体型プリントヘッドアセンブリ20は、磁気クランプアセンブリ72によってその位置に保持される。この磁気クランプアセンブリ72は、図6に示され、且つ上記の「動的プリントヘッド調整アセンブリ」出願に記載されている動的プリントヘッド調整アセンブリ74の一部である。磁気クランプアセンブリ72は一対の磁石を有することができ、各磁石は、電流を流されると磁界を打ち消して一体型プリントヘッドアセンブリ20を取り除くことを可能にする打ち消しコイル76を有する。ハンドル80上のマイクロスイッチ82は、磁界を打ち消した時をシステムに通知する。
【0032】
特許請求される本発明は、その精神及び本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で実施されてもよい。説明された実施形態は、あらゆる点で、限定的ではなく例示的なものとして見なされる。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に受け入れられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本開示の一体型プリントヘッドアセンブリを有する、圧電マイクロデポジション(PMD)装置の斜視図である。
【図2】図1のPMD装置に付属するプリントヘッドアレイの上から見た斜視図である。
【図3A】PMD装置から取り外した、本発明の一体型プリントヘッドアセンブリの組立図である。
【図3B】PMD装置から取り外した、本発明の一体型プリントヘッドアセンブリの組立図である。
【図4】本開示の一体型プリントヘッドアセンブリの部品の分解組立図である。
【図5】本開示のプリント流体リザーバの斜視図である。
【図6】動的プリントヘッド調整アセンブリに係合しようとしている、一体型プリントヘッドアセンブリの分解組立図である。
【図7】基準ブロック及びプリントヘッドを本開示の一体型プリントヘッドアセンブリに連結するために用いられる工程を記述しているフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント装置に含まれる一体型プリントヘッドアセンブリであって、
ハウジングと、
内蔵型プリント流体リザーバと、
プリント流体の流れを制御するためのコンピュータを有するデータボードアセンブリと、
前記ハウジングの第1の端部から延在し、前記データボードアセンブリに電気的に接続される少なくとも1つのプリントヘッドを有する基準ブロックと
を具備する一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記内蔵型プリント流体リザーバは複数の流体チャネルを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記複数の流体チャネルは、プリント流体送出チャネル及び廃棄流体チャネルを含む
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記内蔵型プリント流体リザーバは、プリント流体レベルセンサを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記一体型プリントヘッドアセンブリを前記プリント装置に解放可能に連結するためのラッチアセンブリ
をさらに具備する一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項6】
請求項3に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記ラッチアセンブリは、可動ハンドルによって作動されるロックカム機構を有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記データボードアセンブリは、最大約1.5ギガバイトのオンボードDRAMを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記コンピュータは、オンボードPC−104プロセッサである
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記ハウジングは、前記一体型プリントヘッドアセンブリを前記プリント装置に取り付けるための、外側に延在するガイドレールを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記データボードアセンブリは、基板の直線的な補正及び非直線的な補正の両方のために、前記プリントヘッドの発射データをリアルタイムに内部で処理する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記データボードアセンブリは、前記プリント装置の所定のパラメータを記憶する不揮発性メモリを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記パラメータは、前記プリントヘッドを発射させるための波形情報、メニスカス圧力設定、及び前記プリントヘッドの種類を含む
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項13】
プリント装置に含まれ、且つ、プリントヘッドキャリッジに挿入可能な一体型プリントヘッドアセンブリであって、
プリントヘッドキャリッジと係合する、外側に延在するガイドレールを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置される内蔵型プリント流体リザーバと、
プリント流体の流れを制御するためのコンピュータを有する、前記ハウジング内に配置されるデータボードアセンブリと、
前記ハウジングの第1の端部から延び、前記データボードアセンブリに電気的に接続される少なくとも1つのプリントヘッドを有する基準ブロックと
を具備する一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記内蔵型プリント流体リザーバは、複数の流体チャネルを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記複数の流体チャネルは、プリント流体送出チャネル及び廃棄流体チャネルを含む
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項16】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記内蔵型プリント流体リザーバは、プリント流体レベルセンサを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項17】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記一体型プリントヘッドアセンブリを前記プリント装置に解放可能に連結するためのラッチアセンブリ
をさらに具備する一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記ラッチアセンブリは、可動ハンドルによって作動されるロックカム機構を有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項19】
請求項18に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記ロックカム機構は、前記ハンドルの動きを検知するマイクロスイッチを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記マイクロスイッチは、前記ハンドルが動くと、前記一体型プリントヘッドアセンブリの電源をオフにし、前記プリントヘッドキャリッジ内に位置する前記一体型プリントヘッドアセンブリを前記プリントヘッドキャリッジに固定する磁気クランプを解放する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項21】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記データボードアセンブリは、最大約1.5ギガバイトのオンボードDRAMを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項22】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記コンピュータは、オンボードPC−104プロセッサである
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項23】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記ハウジングは、前記一体型プリントヘッドアセンブリを前記プリント装置に取り付けるための、外側に延在するガイドレールを有する
一体型プリントヘッドアセンブリ。
【請求項24】
請求項13に記載の一体型プリントヘッドアセンブリであって、
前記基準ブロックは、前記基準ブロックが前記ハウジングに対して6自由度で動くことを可能にする複数のばねによって前記ハウジングに連結される
一体型プリントヘッドアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−539076(P2008−539076A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509041(P2008−509041)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015614
【国際公開番号】WO2006/116393
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507353876)ライトレックス コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】