説明

一体型曲げ部材

本発明には、0〜100層の圧電不活性材料からなる少なくとも1つの層パケット(2)によって分離されている、それぞれ1〜400層の圧電活性材料を有する少なくとも2つの層パケット(1)を有する一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材の製造法が記載され、この場合、活性の層パケットの内部電極は、少なくとも次の材料:a)純粋な銀、b)0%〜最大30%の質量含分を有する非導電性材料を含有し、圧電活性層の材料は、内部電極の材料の溶融温度未満で焼結が可能でありかつ実施もされるような十分な活性を熱処理中で有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された、一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材の製造法、構造部材および該構造部材の使用に関する。
【0002】
弾性材料中、例えばプラスチック構造体またはメンブラン中で振動を励起させるために、通常、電気力学的系が使用される。この場合には、構造体の音波をできるだけ幅広い周波数バンドで均一に高い音圧で放出させることができるかまたは既に振動している構造体を、音波放出が抑制されるように減衰することが目的である。
【0003】
電気力学的振動励振器の欠点は、該電気力学的振動励振器が嵩張るものであり、よりいっそう高い出力の際には重いことである。この電気力学的振動励振器は、高い音圧を維持しながら制限されてのみミニチュア化が可能である。こうして小型の機器への使用は、困難になる。
【0004】
他の選択可能な方法によれば、圧電セラミックを基礎とする多層の曲げ部材が使用される。この曲げ部材は、平面状で振動構造体に取り付けることができ、極めて僅かな取付け空間のみを必要とする。この曲げ部材は、小型の機器への適度な取付けの際に極めて良好な音波の品質で高い音波レベルを形成させることができる。大型の機器への使用は、平面状の簡単な系を生じる。
【0005】
しかし、前記構造部材の製造技術は、極めて費用がかかり、内部電極のために貴金属を使用しなければならない。この理由から、多層の曲げ部材を大衆市場で使用することは、不可能である。大型の構造体、例えば平面状ラウドスピーカーにこの種の曲げ部材を装備する場合には、極めて多数の曲げ部材が必要とされる。この場合も費用の理由から使用は不可能である。
【0006】
その上、この種の曲げ部材は、振動する構造体に関連して定義された周波数で一列の共鳴位置、ひいては放出された音波の特徴のある音質を有する。幅広いバンドの中和の音波放出のために、それぞれの振動する構造体に対して曲げ部材の幾何学的形状を最適化しなければならないことが判明した。更に、多数の曲げ部材を有する大型の構造体には、前記目的のために種々の幾何学的形状の曲げ部材が同時に使用されなければならない。本発明による方法(さらに下記参照)によれば、多種多様の幾何学的形状の曲げ部材を問題なしに実現させることができる。
【0007】
圧電セラミック多層構造部材は、公知技術水準によれば、約1100℃で空気中で焼結される。従って、内部電極として高い溶融温度を有する貴金属だけを使用することができる。卑金属は、酸化されるであろう。従って、通常、40%までのパラジウムを有する銀−パラジウム合金が使用される。しかし、これは、高い材料費と関連している。
【0008】
本発明は、公知技術水準の欠点を排除するという課題を基礎とする。
【0009】
銀は、電気化学的に貴金属に属していると見なされるとしても、以下の本明細書中では貴金属として等級付けされていない。
【0010】
本発明による構造部材は、内部電極として特に純粋な銀を他の貴金属含量なしに含有する。銀は961℃で溶融し、この温度は圧電セラミック材料の存在でなおさらに低下するので、焼結温度は、950℃を超えてはならない。この目的は、つぎの3つの手段によって達成される:
1.低い温度で焼結するPZTセラミックを使用しなければならない。例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19840488号明細書A1中に記載されているような共ドープされたPZT系が適している。その上、材料は、できるだけ微細になるように粉砕されなければならず、高い焼結活性が達成される。
【0011】
2.PZT材料は、焼結の際の銀の拡散混入に対して頑強でなければならない。内部電極から拡散混入する銀は、焼結温度をさらに著しく低下させる。しかし、材料の圧電機械的特性は、可能な限り殆んど影響を及ぼされなかった。この場合も記載された共ドープされたPZT系が適している。
【0012】
3.内部電極は、PZTまたは使用されたセラミック種の添加によって安定化されなければならない。それというのも、このPZTまたは使用されたセラミック種は、さもないと十分にセラミック中に拡散し、このセラミックの性質は変化するかまたはセラミックの導電性は失われるからである。
【0013】
3つの手段の本発明による組合せにより、焼結温度を900℃未満に低下させ、音波変成器として公知技術水準による貴金属含有の曲げ部材変成器と同じ性質を有する多層の曲げ部材を製造することを可能にする。
【0014】
それに応じて、本発明は、0〜100層の圧電不活性材料からなる少なくとも1つの層パケットによって分離されている、それぞれ1〜400層の圧電活性材料を有する少なくとも2つの層パケットを有する一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材の製造法に関し、この場合活性の層パケットの内部電極は、少なくとも次の材料:
a)純粋な銀、
b)0%〜最大30%の質量含分を有する非導電性材料を含有し、圧電活性層の材料は、内部電極の材料の溶融温度未満で焼結が可能でありかつ実施もされるような十分な活性を熱処理中で有している。
【0015】
即ち、圧電不活性材料を有する層パケットは、使用されなくてもよい。
【0016】
圧電活性材料の層パケットは、有利に100未満の層から構成され、好ましくは、10までの層から構成されている。
【0017】
好ましくは、圧電不活性材料の層パケットは、1〜10層から構成されている。
【0018】
本発明による実施形式において、内部電極の銀は、焼結前の出発状態で球状の粒子(粉末)として存在する。
【0019】
内部電極の非導電性材料には、好ましくは20%未満、有利に15%未満の質量含分が使用される。
【0020】
1つの実施形式において、内部電極の材料には、付加的に銀を除外する貴金属30%以下からなる金属合金または金属酸化物混合物が添加される。
【0021】
添加される金属合金または金属酸化物混合物の含量は、10%未満、有利に5%未満を有することができ、或いは0%でもよい。
【0022】
%の記載は、本明細書全体において常に質量%である。好ましい実施形式においては、金属合金または金属酸化物混合物としてパラジウムまたは白金が使用される。
【0023】
内部電極の非導電性材料として、好ましくは殊に5%〜15%の含量を有する共ドープされた材料からなる鉛−チタネート−ジルコネート(PZT)が使用される。
【0024】
焼結の場合、温度は、950℃を超えてはならない。それというのも、銀は961℃で溶融するからである。
【0025】
圧電活性層パケットは、有利にそれぞれ誘電性材料の層で被覆され、この誘電性材料は、例えば厚膜ペーストとして施こされる。
【0026】
内部電極層と極性との関係は、好ましくは内部結合(バイアス)により形成される。
【0027】
好ましくは、バイアスは、焼結前にかけられる。
【0028】
本発明の実施形式においては、フィルム技術および厚膜技術が使用される。
【0029】
殊に請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法により製造された、一体型多層部材または多層の曲げ部材としての本発明による構造部材は、この構造部材がそれぞれ1〜400層の圧電活性材料を有する少なくとも2個の層パケットからなり、この層パケットが0〜100層の圧電不活性材料からなる少なくとも1個の層パケットによって分離されており、その際活性の層パケットの内部電極は、次の材料:
a)純粋な銀および
b)0%〜最大30%の質量含量を有する非導電性材料を含有することによって特徴付けられる。
【0030】
圧電活性層は、200μmより薄手であり、好ましくは、15〜100μmの厚さである。
【0031】
圧電活性層パケットは、構造部材の下側および上側でそれぞれ誘電性材料の不動態の被覆層で被覆されている。
【0032】
不動態の被覆層上には、有利に固定点で平面状の接触領域、厚膜抵抗または調整網状組織が施こされている。
【0033】
構造部材は、任意の平面状の形を有することができ、殊に長方形、円形または卵形のディスク、星形、バーベル形またはスプーン形であることができる。
【0034】
構造部材の形は、有利に所定の固定点で最大の振動振幅の領域が最大の質量を有し、したがって固定点上に伝導される力が最大であるように選択されている。
【0035】
好ましくは、所定の固定点で最大の振動振幅の領域に付加的な質量が備えられ、したがって固定点上に伝導される力は、最大である。
【0036】
有利に関係式
【数1】

は、構造部材の形状それ自体によって所定の時点tで最大であり、上記式中
a(x)は、時点tで点xでの加速度であり、
b(x)は、点xでの幅であり、
t(x)は、点xでの厚さでありかつ
ρ(x)は、点xでの構造部材の厚さであり、xは、固定点からの距離を表わし、およびLは、この固定点からの最大距離を表わす。
【0037】
有利に構造材は、振動を励起させるかまたは吸収するために任意の構造体中で使用され、このことは、構造体の振動が電気信号に変換されるかまたは構造体が音波を放出することを生じる。
【0038】
本発明によれば、構造部材は、マイクロフォンまたはラウドスピーカーとして使用されることができる。
【0039】
また、この構造材は、任意の振動構造体中で逆相の振動を励起させるために使用されてよく、このことは、構造体中で振動が消滅されるかまたは少なくとも減衰されることを生じる。
【0040】
好ましくは、この構造部材は、振動のためのセンサーとして使用されるかまたは振動を消滅させるためのアクチュエーターとして使用される。
【0041】
更に、本発明の特徴は、次に記載されている図から判明する。
【0042】
図1は、活性の層パケット1が貴金属不含材料からなる電極を含む多層の曲げ部材を示す。活性の層パケットは、外側金属化部4により電気的に接触している。構造部材には、PZTからなる被覆層3が備えられており、この被覆層は、電気絶縁を保証することができかつ接続面5を収容することができる。
【0043】
図2は、曲げ部材によって形成される振動に影響を及ぼしかつよりいっそう低い周波数をよりいっそう高い周波数に上昇させる2つの方法を示す。これは、(a)においては添加材料6を取り付けることによって実現され、(f)においては、曲げ部材のスプーン状の形状7によって実現される。(a)における材料は、特に慣性力によって作用し、これに対してスプーン状の領域は、空気抵抗によって作用する。
【0044】
図3は、曲げ部材の可能な構造形を示す。(a)においては、長方形の標準形が表わされている。円形の形状物(b)および(c)は、明らかに高い剛性を有し、実質的な構造体により振動が励起されてもよい。バーベル形(d)およびスプーン形(f)は、むしろよりいっそう低い周波数に適している。星形(e)は、それぞれの曲げ部材に別の調整材料6を取り付けることにより、音響特性において中和するように調整することができる。図3gは、バイアスルーホール(Via-Durchkontaktierung)11および調整材料6を有する星形曲げ部材を示す。
【0045】
図4は、カップリング部材9による振動構造体10への曲げ部材の可能な取付けを示す。カップリング部材および接着部の機械的性質(剛性)は、特に高い周波数に影響を及ぼす。
【0046】
図5は、公知技術水準により貴金属含有内部電極と有する曲げ部材と銀内部電極を有する本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す。(実施例1および実施例2)
図6は、異なる温度で焼結された、異なる銀内分電極を有する2つの本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す。(実施例3および実施例4)
図7は、補助質量を有するかまたは有しない2つの本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す。(実施例6および実施例5)
図8は、バーベル形を有するかまたは有しない2つの本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す。(実施例7および実施例5)
本発明による構造部材の製造:
本発明による曲げ部材の製造のために、フィルム技術が使用される。記載された方法および記載されたパラメーターは、1つの実施例だけに記載される。当業者には、そのつど類似した方法およびパラメーターが開示されている。
【0047】
出発点は、ドイツ連邦共和国特許第1980488号明細書に記載のか焼されたPZT材料、例えば0.98Pb(Zr0.53Ti0.47)O3−0.02Sr(K0.25Nb0.75)O3である。材料は、予め微粉砕され、環状間隙ボールミル中で0.8μmの平均粒度に微粉砕される。
【0048】
生じた粉末から注型スラリーは、公知技術水準により準備され、注型されてエンドレスフィルムに変わり、乾燥され、かつ巻き取られる。このためには、例えばドクターブレード法により作業する注型ベルトが適している。フィルムは、この実施例において乾燥後に70μmの厚さを有し、焼結後に60μmの厚さを有する。
【0049】
このフィルムは、約200×200mmの断片で切り分けられる。内部電極パターンは、スクリーン印刷により印刷される。印刷のレイアウトの形により、曲げ部材の後の寸法は、定義される。本明細書中で記載すべき実施例には、7×30mmの後の寸法である。
【0050】
内部電極ペーストは、上記のPZT粉末10%の含量を有する銀粉末の混合物から製造される。結合剤、例えばエチルセルロースおよび溶剤、例えばテルピネオールは、ペーストの良好な印刷可能性に役立つ。このペーストは、内部電極の厚さが焼結後に約3μmであるように印刷される。
【0051】
印刷されたフィルム断片と乾燥されたフィルム断片は、曲げ部材変成器の構造が生じるように積み重ねられる。本明細書中で記載すべき実施例に関連して、最初に4枚の印刷されたフィルム、1枚の印刷されていないフィルム、4枚の印刷されたフィルムおよびさらに1枚の印刷されていないフィルムが重なり合って積み重ねられる。それによって、それぞれの側に不動態層3、両側に3つの活性層を有するそれぞれ1個のパケット1および中心部に2つの不動態層2を有する曲げ部材が生じる(図1)。
【0052】
更に、積み重ねられたフィルムは、公知技術水準により高められた圧力および温度で圧縮されてラミネートに変わる。
【0053】
更に、このラミネートは、印刷レイアウトにより、例えば鋸引きまたは打ち抜きによって所定の曲げ部材に分離される。
【0054】
この曲げ部材は、500℃の温度で結合材含分が取り除かれ、引続き900℃で焼結される。
【0055】
焼結された構造部材は、狭隘側で研磨され、市販の銀厚膜ペーストからなる基本金属化部4が印刷される。
【0056】
外側に存在する被覆層上には、同じペーストで接続面5が印刷される。この金属化部は、製造の規定により焼き付けられる。
【0057】
更に、構造部材は、120Vの電圧の印加によって、2個の層パケット1内に1つの方向に通過する極性が生じるように極性化される。
【0058】
更に、接続面は、曲げ部材が双極性で動作するように結合されている。構造部材の中心部には、支持部材10が接着され、この支持部材は、振動する構造体9に対する結合を形成する。この支持部材は、小型であり、軽量であり、できるだけ剛性である。通常、振動する構造体からなる同じ材料を使用する場合には、良好な結果が得られる。しかし、当業者にとっては、複合体にそれぞれ別の振動特性を付与する、別の固定方法も容易に推考可能である。
【0059】
実施例:
例1
寸法7×30×0.6mmを有する多層の曲げ部材を上記の方法により製造する(構造4−1−4−1)。内部電極としてAgPd 70/30合金を有する市販の金属ペーストを使用する。構造部材を1000℃で焼結する。
【0060】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである。図5に図示された音圧スペクトルが判明する(グレー色の線)。
【0061】
例2
寸法7×30×0.6mmを有する多層の曲げ部材を上記の方法により製造する(構造4−1−4−1)。内部電極材料として純粋な銀粉末(90%)と微細に粉砕されたPZT粉末(10%)とからなる混合物を使用する。この混合物をエチルセルロースおよびテルピネオールと一緒に攪拌し、混合物50%を含有するペーストに変える。構造部材を900℃で焼結する。
【0062】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである。
【0063】
図5に図示された音圧スペクトルが判明する(黒色の線)。
【0064】
本発明による構造部材が公知技術水準による構造部材と殆んど同一の音圧スペクトルを形成することは、明らかである。
【0065】
例3
寸法7×30×0.66mmを有する多層の曲げ部材を上記の方法により製造する(構造5−0−5−1)。内部電極材料として純粋な銀粉末(90%)と微細に粉砕されたPZT粉末(10%)とからなる混合物を使用する。この混合物をエチルセルロースおよびテルピネオールと一緒に攪拌し、混合物50%を含有するペーストに変える。構造部材を900℃で焼結する。
【0066】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである。
【0067】
図6に図示された音圧スペクトルが判明する(グレー色の線)。
【0068】
例4
寸法7×30×0.66mmを有する多層の曲げ部材を上記の方法により製造する(構造5−0−5−1)。内部電極材料として純粋な銀粉末(80%)と微細に粉砕されたPZT粉末(20%)とからなる混合物を使用する。この混合物をエチルセルロースおよびテルピネオールと一緒に攪拌し、混合物50%を含有するペーストに変える。構造部材を880℃で焼結する。
【0069】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである。
【0070】
図6に図示された音圧スペクトルが判明する(黒色の線)。例3からの構造部材との比較は、著しい差異を示さない。
【0071】
例5
寸法7×30×0.78mmを有する多層の曲げ部材を上記の方法により製造する(構造6−0−6−1)。内部電極材料として純粋な銀粉末(90%)と微細に粉砕されたPZT粉末(10%)とからなる混合物を使用する。この混合物をエチルセルロースおよびテルピネオールと一緒に攪拌し、混合物50%を含有するペーストに変える。構造部材を900℃で焼結する。
【0072】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである(ボルト ピーク/ピーク)。
【0073】
図7に図示された音圧スペクトルが判明する(グレー色の線)。
【0074】
例6
例5からの多層の曲げ部材の両端部にそれぞれ2.8gの付加的な金属重りを備えさせる。接合のために、高弾性の接着剤(シリコーン)を使用する。
【0075】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである。
【0076】
図7に図示された音圧スペクトルが判明する(黒色の線)。
【0077】
2つの構造材の比較は、付加的な重りによって低い周波数が明らかに上昇され、これに反して高い周波数のレベルが減少されることを示す。
【0078】
例7
例5からの多層の曲げ部材の両端部に付加的に酸化アルミニウム支持体からなる21×20×0.63mmの大きさの面を備えさせる。曲げ部材との重なりは、5mmであり、したがってバーベル状の形が生じる。接合のために、高弾性の接着剤(シリコーン)を使用する。
【0079】
曲げ部材を寸法120×90×15mmを有する標準プラスチック箱中に組み込み、オーディオ測定場所中に設置する。この場合、測定マイクロフォンとの距離は、10cmであり、測定電圧は、10Vssである。
【0080】
図8に図示された音圧スペクトルが判明する(黒色の線)。
【0081】
バーベル形なしの曲げ部材(グレー色の線)との比較は、バーベル形によって低い周波数が明らかに上昇され、これに反して高い周波数のレベルが減少されることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】活性の層パケット1が貴金属不含材料からなる電極を含む多層の曲げ部材を示す略図。
【図2】曲げ部材によって形成される振動に影響を及ぼしかつよりいっそう低い周波数をよりいっそう高い周波数に上昇させる2つの方法を示す略図。
【図3】曲げ部材の可能な構造形を示す略図。
【図3g】バイアスルーホール(Via-Durchkontaktierung)11および調整材料6を有する星形曲げ部材を示す略図。
【図4】カップリング部材9による振動構造体10への曲げ部材の可能な取付けを示す略図。
【図5】公知技術水準により貴金属含有内部電極と有する曲げ部材と銀内部電極を有する本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す線図。
【図6】異なる温度で焼結された、異なる銀内分電極を有する2つの本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す線図。
【図7】補助質量を有するかまたは有しない2つの本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す線図。
【図8】バーベル形を有するかまたは有しない2つの本発明による曲げ部材のオーディオスペクトルを示す略図。
【符号の説明】
【0083】
1 活性の層パケット、 3 PZTからなる被覆層、 4 外側金属化部、 5 接続面、 6 添加材料または調整材料、 7 曲げ部材のスプーン状の形状、 9 カップリング部材、 10 振動構造体、 11 バイアスルーホール(Via-Durchkontaktierung)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0〜100層の圧電不活性材料からなる少なくとも1つの層パケット(2)によって分離されている、それぞれ1〜400層の圧電活性材料を有する少なくとも2つの層パケット(1)を有する一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材の製造法において、活性の層パケットの内部電極が少なくとも次の材料:
a)純粋な銀、
b)0%〜最大30%の質量含分を有する非導電性材料を含有し、圧電活性層の材料は、内部電極の材料の溶融温度未満で焼結が可能でありかつ実施もされるような十分な活性を熱処理中で有していることを特徴とする、一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材の製造法。
【請求項2】
圧電活性材料の層パケットは、100層未満、有利に10層までから構成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
圧電不活性材料の層パケットは、1〜10層から構成される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
内部電極の銀は、焼結前の出発状態で球状の粒子(粉末)として存在する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
内部電極の非導電性材料のために20%未満、有利に15%未満の質量含分を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
内部電極の材料に付加的に銀を除外する貴金属30%以下からなる金属合金または金属酸化物混合物を添加する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
添加される金属合金または金属酸化物混合物の含量は、10%未満、有利に5%未満の含量であり、或いは0%でもよい、請求項6記載の方法。
【請求項8】
金属合金または金属酸化物混合物としてパラジウムまたは白金を使用する、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
内部電極の非導電性材料として、殊に5%〜15%の含量を有する共ドープされた材料からなる鉛−チタネート−ジルコネート(PZT)を使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
焼結の場合、温度は、950℃を超えてはならない、それというのも、銀は961℃で溶融するからである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
圧電活性層パケットは、それぞれ誘電性材料の層(3)で被覆され、この誘電性材料は、例えば厚膜ペーストとして施こされる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
内部電極層と極性との関係は、好ましくは内部結合(バイアス)により形成される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
バイアスは、焼結前にかけられる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
フィルム技術および厚膜技術を使用する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
殊に請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法により製造された、一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材において、この構造部材が0〜100層の圧電不活性材料からなる少なくとも1つの層パケット(2)によって分離されている、それぞれ1〜400層の圧電活性材料を有する少なくとも2つの層パケットからなり、この場合活性の層パケットの内部電極は、少なくとも次の材料:
a)純粋な銀および
b)0%〜最大30%の質量含分を有する非導電性材料を含有することを特徴とする、殊に請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法により製造された、一体型多層部材または一体型曲げ部材としての構造部材。
【請求項16】
圧電活性層が200μmより薄手であり、好ましくは、15〜100μmの厚さである、請求項15記載の構造部材。
【請求項17】
圧電活性層パケットが、構造部材の下側および上側でそれぞれ誘電性材料の不動態の被覆層(3)で被覆されている、請求項15または16記載の構造部材。
【請求項18】
不動態の被覆層上には、有利に固定点(8)で平面状の接触領域(5)、厚膜抵抗または調整網状組織が施こされている、請求項17記載の構造部材。
【請求項19】
構造部材が、任意の平面状の形を有し、殊に長方形(a)、円形(b)または卵形(c)のディスク、星形(e)、バーベル形(d)またはスプーン形(f)である、請求項15から18までのいずれか1項に記載の構造部材。
【請求項20】
構造部材の形は、所定の固定点(8)で最大の振動振幅の領域が最大の質量を有し、したがって固定点上に伝導される力が最大であるように選択されている、請求項15から19までのいずれか1項に記載の構造部材。
【請求項21】
所定の固定点(8)で最大の振動振幅の領域に付加的な質量が備えられ、したがって固定点上に伝導される力は、最大である、請求項15から20までのいずれか1項に記載の構造部材。
【請求項22】
関係式:
【数1】

は、構造部材の形状それ自体によって所定の時点tで最大であり、
上記式中
a(x)は、時点tで点xでの加速度であり、
b(x)は、点xでの幅であり、
t(x)は、点xでの厚さでありかつ
ρ(x)は、点xでの構造部材の厚さであり、xは、固定点からの距離を表わし、およびLは、この固定点からの最大距離を表わす、請求項15から21までのいずれか1項に記載の構造部材。
【請求項23】
任意の構造体中で振動を励起させるかまたは吸収するための請求項15から22までのいずれか1項に記載の構造部材の使用であって、このことは、構造体の振動が電気信号に変換されるかまたは構造体が音波を放出することを生じる、上記の使用。
【請求項24】
マイクロフォンまたはラウドスピーカーとしての請求項23記載の構造部材の使用。
【請求項25】
任意の振動構造体中で逆相の振動を励起させるために構造部材が使用され、このことは、構造体中で振動が消滅されることを生じる、請求項23または24記載の構造部材の使用。
【請求項26】
振動のためのセンサーとしてまたは振動を消滅させるためのアクチュエーターとしての請求項23から25までのいずれか1項に記載の構造部材の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3g】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−522793(P2009−522793A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548959(P2008−548959)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069747
【国際公開番号】WO2007/077107
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508095614)セラムテック アクチエンゲゼルシャフト (36)
【氏名又は名称原語表記】CeramTec AG
【住所又は居所原語表記】Fabrikstrasse 23−29, D−73207 Plochingen, Germany
【Fターム(参考)】