説明

一体型温度調節機能付きの人工グラウンド

【課題】温度調節機能付きの人工グラウンドを提供する。
【解決手段】人工芝グラウンド10は裏打ちシート12から突出する広く離間したリボン15の列13を含む。温度調節手段23はリボン15の列13の間の空間において、裏打ちシート12に付着されている。充填物層は裏打ちシート12の上部に設けられ、それによって温度調節手段23を埋設し、かつリボン15を直立して保持する。充填物層は植物栽培のための栽培媒質を含んでもよい。一つの実施形態においては電気ケーブルが除氷のために該グラウンドを加熱するため、あるいは植物の根を温暖に維持するために、人工芝グラウンド内に一体化されている。他の実施形態においては該グラウンドを湿らせるために、穴が開いたフレキシブル管が人工芝グラウンド10内に一体化されており、それにより該水分が蒸発したときに該グラウンドを冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツのための人工グラウンド、および野菜や他の植物を栽培するための人工地表を形成するために、その中に充填物を有する人工芝に関したものであり、より具体的には、該人工地表の温度状態を制御するための温度調節機能付きの人工グラウンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、品質の良い全天候型芝生競技場の構築および娯楽目的及びサッカーやフットボール等の激しいスポーツのためのその管理は、長年にわたる問題であった。
【0003】
この問題を解決する際の最近の試みは、摩耗耐久性に乏しく、かつ相当のメンテナンスを要する天然芝グラウンドに代わって人工グラウンドを使用することである。また、天然芝グラウンドは、部分的または完全に閉塞されたスポーツスタジアム内においては、うまく成長しない。人工芝面は、天然芝面に比べて磨耗耐久性が高く、それ程のメンテナンスも必要とせず、また閉塞されたスタジアム内で使用することができる。改良された人工芝グラウンドは、1997年10月16日にファイルされ、かつ1998年9月10日に公開され、「人工芝」と題された、本出願人のカナダ国特許出願第2,218,314号明細書に記載されている。
この特許出願に記載されている人工芝グラウンドは、芝生繊維の代わりになる合成リボンからなる幅広く離間した列を備える。該リボンは、該リボンの列間の間隔の長さの約2倍の長さを有する。粒状物質が、上記人工芝の基盤の上に覆われており、該粒状物質の厚さは、上記リボンの長さの少なくとも3分の2である。リボンのストリップは、上記基盤またはマットの裏面に塗布された接合剤のストリップによって取り付けられている。該接合剤のストリップは、覆われていないマットの領域から離れており、それにより改良された水はけを実現できる。
【0004】
上記充填物からなる粒状物質は、1999年9月28日に公開された、「人工芝の布設方法」と題された、本出願人の米国特許第5,958,527号明細書に記載されている。
【0005】
開放スタジアムでの寒い気候条件の下で、上記人工芝は、スポーツ競技グラウンドに必要な適切な特性を維持するために、該人工芝を覆う雪または氷を溶かすために加熱することができる。しかし、上記人工芝を非常に暖かい気候条件下で使用した場合には、該芝の冷却が好ましい。
【0006】
電気、流体及び空気加熱システム等の天然及び人工芝グラウンドの両方を温め、かつ、乾燥させるための加熱システムが開発されてきた。電気加熱は、電気抵抗体によって実施され、流体加熱は、加熱流体を加熱管網に流すことにより実施され、また空気加熱は、加熱した空気を分配管網に流すことにより実施される。従来、これらの電気抵抗体、流体加熱管及び空気分配管網は、上記天然芝または人工芝の下の競技場の基盤内に埋設されている。上記電気加熱、流体加熱及び空気加熱の実施例は、それぞれ、1991年11月12日にAlnond等に対して発行された米国特許第5,046,308号明細書、1992年6月9日にHusuに対して発行された米国特許第5,120,158号明細書及び1984年7月31日にCunninghamに対して発行された米国特許第4,462,184号明細書に記載されている。
【0007】
従来、暖かい気候条件の間、人工芝グラウンドは、該人工芝面に水分を供給し、冷却水を該人工芝面の下に循環させることによって冷却しなければならない。このことも、米国特許第4,462,184号明細書に記載されている。
【0008】
さらに、植物の根が必要とする特定温度を満たすために、植物を成長させるための有機成長媒体を有する人工グラウンドのための温度調節システムを有することも好ましい。
【0009】
従来の加熱システムの欠点は、上記電気抵抗体及び管システムは、上記天然芝または人工芝の下の上記競技場内、通常、該競技場の基盤内に埋設されているため、熱エネルギの大部分が無駄になり、かつ該加熱エネルギのうちの少量しか該グラウンドの上面を覆っている雪または氷を溶かすために該表面に到達しないことである。そのため、上記競技場の表面を加熱する場合に、該加熱エネルギの大部分は、上記基盤を加熱することに消費されてしまう。
【0010】
従って、改良された熱効率を有する加熱及び冷却システムを有する人工グラウンドが必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一つの目的は、スポーツ及び他の用途のための温度調節機能付きの人工グラウンドを提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、改良された熱効率を有する加熱システムを含む、スポーツ及び他の用途のための人工グラウンドを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、改良された冷却効率を有する冷却システムを含む、スポーツ及び他の用途のための人工グラウンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、スポーツ及びその他の用途のための温度調節機能付きの人工グラウンドに注目する。該人工グラウンドは、支持基盤上に配置されるようになっているフレキシブルな裏打ちシートを含む人工芝ベースを備えている。粒状物質からなる充填物層は、上記フレキシブルな裏打ちシートの上面上に配置されている。前記粒状物質は、固い細粒と、弾性細粒と、栽培媒質とからなる材料の群のうちの少なくとも1つから選択される。上記人工グラウンドは、さらに、芝生の葉の代わりになり、上記フレキシブルな裏打ちシートから上方へ上記充填物層を突き抜けて突出する人工リボンからなる複数の平行な列を含む。温度調節手段は、上記フレキシブルな裏打ちシートに付着されて、上記人工芝ベース、人工リボン及び充填物層の温度条件を制御可能に調節する。
【0015】
本発明の一つの態様によれば、上記温度調節手段は、電流を熱エネルギに変換する電力源に接続されるようになっているフレキシブルな電気加熱体を備える。本発明の一実施形態によるフレキシブルな電気加熱体は平坦であるので上記フレキシブルな裏打ちシートに積層可能である。本発明の他の実施形態においては、上記フレキシブルな電気加熱体は、上記フレキシブルな裏打ちシートの上面に付着された電気ケーブルを備えている。該電気ケーブルは、上記充填物層の下に埋設されている。上記電気加熱体は、上記人工リボンの列と平行に伸びる細長い部分からなる大部分を有するレイアウトを好ましくは有する。各細長い部分は、上記人工リボンの列の間の空間に配置され、かつ上記フレキシブルな裏打ちシートに積層されている。別法として、上記各細長い部分は、上記電気加熱体が電流を熱エネルギに変換する所定温度よりも高い活性温度を有するホットメルト接着剤によって、上記フレキシブルな裏打ちシートの上面に接着されている。この方法は、現在あるスポーツ競技場を、これらの特徴によって加熱される競技場に変換させるのに利用することができる。
【0016】
上記充填物層は、好ましくは、比較的有効な熱伝導特性を有する熱分配粒状物質を備える。該熱分配粒状物質は、上記グラウンドに弾力性を与えると共に、上記人工ベース、人工リボン及び充填物層の温度状態を効果的に調節するために、上記充填物層の底部に配置され、かつ上記温度調節手段と接触している。
【0017】
本発明の他の実施形態においては、上記充填物層は、上記人工グラウンド上で植物を栽培するための土壌を備える。上記人工リボンは、該土壌を風食に抗して上記人工グラウンド上に保持する。
【0018】
本発明の他の態様によれば、上記温度調節手段は、上記電気加熱体の代わりに用いるフレキシブルな管を備え、その中を流れる水の循環のための水源に接続されるようになっている。温水がその中を循環する場合、上記フレキシブルな管は、上記人工グラウンドのための加熱装置として使用することができる。冷水がその中を循環する場合には、上記フレキシブルな管は、上記人工グラウンドのための冷却装置として使用することができる。該管が冷却装置として使用される場合、上記フレキシブルな管は、好ましくは、細粒灌漑管のように穴が開けられており、該穴によって上記充填物層と流体的に連通している。従って、水分を、上記充填物層に供給することができ、それにより、該水分が蒸発したときに、冷却作用を起こすことができる。また、上記水分は、上記充填物層が、植物栽培のため
に、土等の栽培媒質を含む場合に特に好ましい。植物栽培の構成においては、上記芝生の第2の裏打ちを、水を保持するために非透水性とすることができる。上記システムに供給される水の量は、散水システムを使用したときに、蒸発プロセスを低減するように監視することができる。
【0019】
上記電気加熱体と同様に、比較的細い上記フレキシブルな管は、好ましくは、上記人工リボンの列の間に配置された平行な部分からなる大部分を有するレイアウトで配置され、かつ上記フレキシブルな裏打ちシートの上面に付着され、あるいは代替的に上記フレキシブルな裏打ちシートに一体化されている。
【0020】
上記電気加熱体またはフレキシブルな水管は、上記人工グラウンドの下の上記支持基盤を加熱または冷却する際に、なるべくエネルギ消費を抑えるために、該人工グラウンドに一体化されている。従って、高性能かつ低稼働コストが実現される。上記電気加熱体またはフレキシブルな水管は、有利には現場で、または製造プロセス時に、上記人工グラウンドに固定することができ、それによって、地下システムの構築が高コストではなくなる。
【0021】
本発明の他の利点及び特徴は、本願明細書に後述する好適な実施形態を参照してより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び図2を参照すると、符号10で示された本発明の人工芝面は、フレキシブル裏打ちシート12から上方に突出する人工ストリップまたはリボン15からなる平行な列13を有する、薄いフレキシブル裏打ちシート12を有する。充填物の粒状物質からなる比較的厚い層17は、フレキシブル裏打ちシート12の上面に設けられ、裏打ちシート12は該シートにリボン15をほぼ立位で支持する。裏打ちシート12は、支持基盤(図示せず)上に配置するようになっている。
【0023】
フレキシブル裏打ちシート12は、図3及び図6に示すように、2つの層19、21を備える。上部層21及び底部層19は、共に、編み込んだまたはニードルパンチしたポリプロピレンファブリックとすることができる。プラスチックストリップまたはリボン15は、層19及び21を共に通過して裏打ちシート12を貫通してタフトされている。裏打ちシート12は、2つの層を備えるように示してあるが、該シートは、1つの層またはそれ以上から形成することもできる。フレキシブル裏打ちシート12内の1つまたはそれ以上の層は、良好な水はけを実現するためのニードルパンチした編成ファブリックとすることができる。少なくとも裏打ちシート12内の上部層21は、該層を通じて水分を運ぶ手段を提供するために人工けば状繊維(図示せず)でニードルパンチすることができる。さらに、該けば状繊維は、該表面の水はけを向上させる。
【0024】
リボン15は、比較的幅広くかつ薄いストリップ内に突出されている適当な合成材料で形成することができる。好適なプラスチック材は、柔らかく、かつ良好な耐摩耗性を有するポリエチレンである。しかし、ポリプロピレンも、リボン15の形成に使用することができる。
【0025】
裏打ちシート12及びリボン15の詳細は、本願明細書に援用する本出願人のカナダ国特許出願第2,218,314号明細書に記載されており、これ以上説明しない。
【0026】
リボン15の列13の間隔は、該グラウンドで行われる活動によって異なる。例えば、様々なスポーツ競技者の靴に付けられた滑り止めは、1インチの4分の3程度の平均間隔を有する。フットボール用の滑り止めやサッカー用の滑り止めは、野球用の滑り止めよりも広く離間していてもよい。競馬等のスポーツにおいては、馬の蹄に対応するために、上記列間に、より幅広の間隔を要することが予想される。すなわち、競馬の場合、2・1/4インチまでの上記列間の間隔が必要とされ、それに伴い比例的に長くなる別の用途のための5インチまでのリボンが必要と予想される。
【0027】
リボン15の列13が、5/8インチ〜2・1/4インチ離間しており、かつそのような間隔が、電気加熱体またはフレキシブルな細い水管を、それらの間に配置できるようにするのに適切であることに注意されたい。従って、温度調節システムを本発明の表面10に一体化することが可能である。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、図1及び図2に示すように、絶縁した電気加熱ケーブル部23は、人工リボン15の列13と平行に伸び、かつ人工リボン15の列13の間の空間に設けられている。電気加熱ケーブル部23は、図4に示すように、直列に、または図5に示すように、並列に接続することができる。
【0029】
電気加熱ケーブル部23は、図4に示すように、ホットメルト接着剤25によって裏打ちシート12の上面に接着することができる。ホットメルト接着剤25の活性温度は、電気加熱ケーブル部23のフレキシブル裏打ちシート12との接着がそのままの状態で、かつ過熱によって剥離することがないように、上記加熱体の指定された作動温度よりも高くなっている。
電気加熱ケーブル部23のフレキシブル裏打ちシート12への接着は、現場でまたは製造プロセスでのいずれかにおいて行うことができる。該接着を現場で行う場合、一定量のホットメルト接着剤25が、図4に示すように、裏打ちシート12と電気加熱ケーブル部23との間に塗布される。電気加熱ケーブル部23は、通常の作動電圧よりも高い電圧源を有する電力源(図示せず)に接続され、それにより電気加熱ケーブル部23は、一定量のホットメルト接着剤25を溶融するために、例えば加減抵抗器を使って、上記ホットメルト接着剤25の活性温度まで加熱される。電気加熱ケーブル部23は、上記電源を切り、かつ上記一定量のホットメルト接着剤25が冷めて固くなると、フレキシブル裏打ちシート12に接着される。
別法として、プラスチッククリップ(図示せず)を使用して、電気加熱ケーブル部23を裏打ちシート12に固定することもできる。該クリップは、それ自体を電気加熱ケーブル部23の周り及び裏打ちシート12に付着させるために、裏打ちシート12に刺すことができる。このことは、好ましくは、製造プロセスで行う。
【0030】
本発明の他の実施形態によれば、図3に示すように、電気導管27が、人工グラウンド10の裏打ちシート12内に組み込まれている。電気導管27は、雪を溶かすために屋根の軒を加熱し、それによって、下にいる人に被害を及ぼす落雪の危険性を低減するために使用されるタイプの薄い加熱ケーブルで形成することができる。該ケーブルは、低電圧電気導管とすることもでき、また人工グラウンド10の現場の要求に従って変更することができる。電気導管27は、裏打ちシート12の2つの層19、21の間に積層することができ、あるいは、裏打ちシート12の製造中の追加的な積層プロセスによって、裏打ちシート12の上面に積層することができる。そして、人工リボン15は、電気導管27の部分の間で裏打ちシート12内にタフトされる。
【0031】
図2を参照すると、粒状物質からなる上記充填物層は、フレキシブル裏打ちシート12の上面上に設けられており、該粒状物質は、固い細粒と、弾性細粒と、栽培媒質とからなる少なくとも1つの物質群を含む。本発明の一実施形態においては、一般的にスポーツに使用される人工グラウンド10は、ベース層19と、中間層31と、上層33とで形成された充填物層17を含む。ベース層19は、実質的に、裏打ちシート12の上面のすぐ上に配置された固い細粒からなる。ベース層19の固い細粒は、熱を効率的に放散させることができる、非常に有効でかつ低コストの骨材である砂である。好ましくは、ベース層19の固い細粒は、ベース層19の第1の層として砂を含み、上記砂の上部に添加される、または該砂と混合されるセラミック細粒等の追加的かつ良好な熱放散物質からなる第2の層を付加することができる。これらの細粒は、上記追加的かつ良好な熱放散細粒が、そのような混合が望まれない場合に、該砂の下及び中に落ち込まないように、該砂の細粒のサイズと概して等しいサイズとするべきである。それらの追加的かつ良好な熱放散細粒は、人工グラウンド10の水平面にわたる熱のより均一的な放散を容易にすることができる。それらの熱放散細粒は、その重量の数倍の水分を吸収して、それにより一定期間にわたって水分を放散させることができるため、上記グラウンドを冷却するのに用いることができる。充填物層17の中間層31は、固い砂粒と弾性ゴム細粒との混合物である。該混合物は、2:1より大きいの固い細粒と弾性細粒との重量比に基づいて選択される。充填物層17の上層33は、実質的に、弾性ゴム細粒からなる。上記充填物層全体も、ゴム細粒のみまたは砂のみで形成することも可能である。
【0032】
人工リボン15の上部は、上層33の上面から上方に伸び、好ましくは、充填物層17の上層33の上面を覆うように湾曲している。このことは、充填物層17の上層33を設けた後に、例えば、ワイヤーブラシを用いて該表面上を通過させることにより、あるいは、他のブラシ手段によって実施することができる。人工リボン15の端部は、天然芝の外観により現実的に似せるために、縦に裂かれ、ほつれており、あるいは繊維状構造になっており、かつ互いにゆるい網状組織に織合わせられており、それに伴って、充填物層17の上層33を保持または結合する能力を増加させる。出来上がった人工芝グラウンドは、陸上競技場、競馬の競争路及び娯楽広場等の様々な屋内及び屋外用途に適合することが可能である。充填物層17の詳細は、本願明細書に援用する、本出願人の米国特許第5,958,527号明細書に記載されている。該グラウンドは、やはり、現場で繊維の先端をばらすことを要することなく設置することもできる。
【0033】
上述した充填物層17は、本発明の実施形態に用いることができる一実施例に過ぎず、粒状物質の多くの異なる組合せ、例えば、実質的なゴム、実質的な砂、砂混合物、上に実質的なゴムがある底部上の砂、ゴム及びセラミック、および他の同様の混合物を含むことが可能である。充填物17が熱を放散させるのを促進する、充填物層17への添加物は、砂やセラミック細粒の他にも、例えば、ガラス細粒、小石の粒子、溶岩石細粒、鋼のペレット、石炭スラグ細粒及び他の熱放散または伝達細粒を含む物質の群から選択することができる。該熱放散または伝達細粒は、上記電気加熱ケーブルまたは導管部23、27からの、人工グラウンド10の熱伝達をさらに強めることができ、それによって、人工グラウンド10に必要な加熱ケーブル23または電気導管27の全長を削減するであろう。これにより、設置及び稼
動時における上記システムの総コストが低減される。さらに、人工リボン15、あるいは、リボン15の総数のうちの少なくともいくつかは、人工グラウンド10の充填物層17内の熱伝達をさらに改善するであろう熱反射材料で形成することができる。裏打ちシート12、少なくとも上層21はそれを覆うことで氷及び雪を溶かすために熱を主に上方に向けられるように、反射繊維で形成することができる。
【0034】
人工グラウンド10を野菜や他の植物を栽培するのに利用する場合、充填物層17が、土等の栽培媒体を含むことも可能であることに注意されたい。上記根は、寒い気候条件の間、大気中よりも暖かい温度に維持することができる。このような用途においては、充填物層17は、有機栽培媒体単体、有機栽培媒体及び熱を高めあるいは維持するある種の不活性物質、または有機栽培媒体と水分を有効に保持するセラミックビーズを選択的に含むことができる。充填物層17の成分のバリエーションは、乾燥及び寒さ等の様々な気候条件の下での栽培の困難さを克服するように選択することができる。人工リボン15の織合わせた上方部は、図2に示すように、上記栽培媒体を有する人工グラウンド10を風が強い地域で使用することができるように、風食の影響に対抗して該栽培媒体を有効に保持することができる。
【0035】
初めから設けられている上記加熱システムを要することなく、この種の充填人工グラウンドを利用して競技場や地表面を改装するために必要なのは、圧縮空気で上記充填物を吹き飛ばすことによって該充填物を取り除いた後に、必要な電気加熱ケーブル部を設置し、該ケーブル部を定位置に接着するために上記接着剤を熱溶融することである。そして、上記充填物層は、取り替えられて、電気接続部を、上記人工グラウンドの外辺部に完成させることができる。必要な電気接続部は、該人工グラウンドの外辺部の地下のボックス内に設置して配置することができる。設置後に、加熱システムの補修のために、上記競技グラウンドの下のいかなる領域にもアクセスする必要はない。上記人工グラウンドは、特にスポーツに使用する場合、厳しい天候条件下でも、スポーツイベントを続けられるようにするために、加熱されるように設計される。上記加熱システムを作動させるための恒久的な電源を設置することもできるが、使用機会が少ない場合には、携帯発電装置を必要に応じてリースすることによってコスト節約を実現することができる。
【0036】
稼働中、エネルギ要求を低減するために、測定を行うことが可能である。深雪が人工グラウンド10を覆っている場合、該積もった雪のほとんどは、まず、除雪機、掻き取りあるいは他の方法によって取り除かれ、その後、上記加熱システムは、残った雪を単に処理するのみである。充填物層17を、充填物層17が凝集せず、かつ凍らない指定された状態に維持するために、十分な熱が発生される。人工グラウンド10が一旦、この状態に達すると、上記加熱システムを直ぐにオフにして、エネルギコストを節約することができる。
【0037】
上記加熱ケーブルまたは電気導管23、27に要する必要な始動時間は、ほんの数分である。上記グラウンドを適切に加熱するのに要する時間は、数分または数時間とすることができ、これは、人工グラウンド10の下及び上記基盤内の直列管を環流する加熱流体を利用した従来のシステムよりもはるかに少ない。
【0038】
本発明の他の実施形態においては、図6に示すように、人工グラウンド30は、図1及び図3に示すような電気加熱体部23または電気導管27の代わりに使用される複数のフレキシブルな細管部29を含む。その他の構成要素及び特徴は、図1〜図5を参照して説明した実施形態と同様であり、そのため重複して説明しない。図1〜図5の構成要素と同等の構成要素は、図6において同じ数字で示してある。フレキシブルな細管部29は、図4に示したレイアウトと同様の単一の管からなる一体部とすることができ、あるいは、図5に示すように、平行な管接続部と流体的に連通接続することができる。管部29は、ポンプ及び水源(図示せず)に接続されており、圧力をかけられた水が、管部29を通って循環する。暖かい水が管部29内を循環した場合、充填物層17は加熱される。温暖な天候時に、水温が、人
工グラウンド30の周囲温度より低い場合には、充填物層17を管部29内を循環する冷たい水によって冷却することができる。
【0039】
管部29は、接着剤またはクリップのいずれかによって、フレキシブルな裏打ちシート12に固定することができる。管部29は、裏打ちシート12に積層することもできる。
【0040】
より効率的な冷却結果を得るために、管部29は、好ましくは、管部29が、貫通穴32によって充填物層17と流体的に連通するように、穴が開けられている。圧力をかけられた水は、管部29内を循環し、該水の一部は、管部29の貫通穴32を通って充填物層17に入る。貫通穴32は、管部29に沿って均等に設けられており、水の流れは、充填物層17に入る水が、充填物層17を水浸しにはしないが、充填物層17の粒状物質及び人工リボン15を湿らせるように、制御される。上記砂の毛管現象は、上記水分を上記充填物内の上方に移動させることができ、それに伴って、該充填物内で冷却材として機能する。人工グラウンド30の温度が下がるように、該人工グラウンド内に含まれる水分が蒸発した場合、熱は、充填物層17及び人工リボン15及び裏打ちシート12から除去される。
【0041】
この用途における上記管部内を循環する水の温度は、上記冷却が、熱交換よりもむしろ蒸発によってなされるので、必ずしも周囲温度よりも低くない。
【0042】
このような用途においては、図5に示すレイアウトは、管部29に好適なものである。管部29は、図4に示すような直列に接続した管部29とは対照的に、該管の長さに沿って水圧損を低減するであろう平行形態で接続されている。それによって、上記水分は、人工グラウンド30の全領域内で、より均等に配分される。図6に示す実施形態は、スポーツまたは娯楽場のために使用することができ、あるいは、植物栽培グラウンドとして使用することができ、該用途は、充填物層17のために選択される粒状物質の選択を必然的に決めることになる。
【0043】
図6に示すように、充填物層17内に栽培媒質を含む人工グラウンド30が、野菜や植物を栽培するのに特に有効であることに注意されたい。
【0044】
管部29を介して供給された水分は、冷却媒質として使用することができるだけではなく、充填物層17内で成長する野菜や植物への必要な水分供給も可能にする。適切な水分供給は、人工グラウンド30を水浸しにするのを防ぐと共に、人工グラウンド30の冷却を維持するために、注意深く制御しなければならない。裏打ちシート12に施される第2の裏打ちコーティングを、上記貫通管を通る流れを可能にする水分の量が、特定の植物に対する栽培条件を最大化するのに十分である箇所に対して不浸透性とすることができる。
【0045】
本発明の上述した実施形態に対する変更及び改良は、当業者には明らかであろう。上記の説明は、限定しようとするものではなく、具体例としてのものである。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定すべきものである。
【0046】
本発明の本質をこのようにあまねく説明してきたが、以下、本発明の実施形態に好適な実例として示す添付図面について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】充填物層がない、本発明の一実施形態に係る人工グラウンドの断面図である。
【図2】人工グラウンドの裏打ちシートの上部に設けられた充填物層を示す、図1の断面図と同様の図である。
【図3】充填物層がない、本発明の他の実施形態に係る人工グラウンドの断面図である。
【図4】本発明の人工グラウンドと一体化された温度調節手段のレイアウトの概略図である。
【図5】本発明の人工グラウンドと一体化された温度調節手段の代替のレイアウトの概略図である。
【図6】人工グラウンドの裏打ちシートに付着された管部を示す、本発明の別の実施形態に係る人工グラウンドの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ及び他の用途のための温度調節機能付きの人工グラウンド(10)であって、
支持基盤上に配置されるようになっているフレキシブルな裏打ちシート(12)を含む人工芝ベースと、
フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に配置された粒状物質からなる充填物層(17)であって、前記粒状物質が、固い細粒と、弾性細粒と、栽培媒質とからなる材料の群のうちの少なくとも1つから選択される充填物層と、
芝生の葉の代わりになり、フレキシブルな裏打ちシート(12)から上方へ充填物層(17)を突き抜けて突出する人工リボン(15)からなる複数の平行な列(13)と、
フレキシブルな裏打ちシート(12)に付着されて、前記人工芝ベース、人工リボン(15)及び充填物層(17)の温度条件を制御可能に調節する温度調節手段(23)とを備えている人工グラウンド。
【請求項2】
温度調節手段(23)は、電流を熱エネルギに変換する電力源に接続されるようになっているフレキシブルな電気加熱体(23)、(27)を備えている請求項1に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項3】
フレキシブルな電気加熱体(27)は平坦であり、かつフレキシブルな裏打ちシート(12)に積層されている請求項2に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項4】
フレキシブルな電気加熱体(23)は、充填物層(17)の下に埋設され、フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に付着された電気ケーブル(23)を備えている請求項2に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項5】
フレキシブルな電気加熱体(23)は、人工リボン(15)の列(13)と平行に伸びる細長い部分からなる大部分を有するレイアウトを備え、かつ各細長い部分は、人工リボン(15)の列(13)の間の空間に配置されている請求項2に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項6】
前記各細長い部分は、フレキシブルな裏打ちシート(12)に積層されている請求項5に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項7】
前記各細長い部分は、前記電気加熱体が電流を熱エネルギに変換する所定温度よりも高い活性温度を有するホットメルト接着剤(25)によって、フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に接着されている請求項5に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項8】
温度調節手段(23)は、その中を流れる水の循環のための水源に接続されるようになっている、フレキシブルな管(29)を備えている請求項1に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項9】
フレキシブルな管(29)は穴が開けられており、かつ充填物層(17)と流体的に連通している請求項8に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項10】
フレキシブルな穴が開けられた管(29)は、充填物層(17)の下に埋設されて、フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に付着されている請求項9に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項11】
フレキシブルな穴が開けられた管(29)は、フレキシブルな裏打ちシート(12)に一体化されている請求項9に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項12】
フレキシブルな穴が開けられた管(29)は、人工リボン(15)の列(13)と平行に伸びる穴が開けられた管部からなる大部分を有するレイアウトを備え、各管(29)部は、人工リボン(15)の列(13)の間の空間に配置されている請求項9に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項13】
充填物層(17)は、比較的有効な熱伝導特性を有する熱分配粒状物質を備え、前記熱分配粒状物質は、前記人工ベース、人工リボン(15)及び充填物層(17)の温度状態を効果的に調節すると共に、人工グラウンド(10)に弾力性を与えるために、前記充填物層の底部に配置され、かつ温度調節手段(23)と接触している請求項1に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項14】
前記充填物層(17)は、
フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に配設された固い細粒から実質的になるベース層(19)と、
ベース層(19)上に配設された、選択された重量比からなる、固い細粒と弾力的な細粒との混合物からなる中間層(31)と、
中間層(31)の上に配設された弾力的な細粒から実質的になる上層(33)であって、人工リボン(15)の上部が、上層(33)の上面から上方に伸びている上層とを備えている請求項13に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項15】
前記弾力的な細粒は、ゴムからなる請求項14に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項16】
前記固い細粒は、次の物質、すなわち、セラミックビーズ、ガラス細粒、岩石粒子、溶岩石細粒、鋼ペレット、石炭スラグ細粒のうちの少なくとも1つから選択される請求項14に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項17】
充填物層(17)は、土からなる請求項1に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項18】
充填物層(17)は、ゴムの細粒からなる請求項1に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項19】
充填物層(17)は、砂からなる請求項1に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項20】
スポーツ及び他の用途のための温度調節機能付きの人工グラウンド(10)であって、
支持基盤上に配置されるようになっているフレキシブルな裏打ちシート(12)を含む人工芝ベースと、
フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に配置された粒状物質からなる充填物層(17)であって、前記粒状物質が、固い細粒と、弾性細粒と、栽培媒質とからなる材料の群のうちの少なくとも1つから選択される充填物層と、
芝生の葉の代わりになり、フレキシブルな裏打ちシート(12)から上方へ充填物層(17)を突き抜けて突出する人工リボン(15)からなる複数の平行な列(13)と、
人工リボン(15)の列(13)と平行に伸びる細長い部分からなる大部分を有する電気加熱体(23)であって、各細長い部分が、人工リボン(15)の列(13)の間の空間に配置され、フレキシブルな裏打ちシート(12)に付着され、かつ前記人工芝ベース、人工リボン(15)及び充填物層(17)を制御可能に加熱するための電力源に接続されるようになっている電気加熱体とを備えている人工グラウンド。
【請求項21】
リボン(15)の少なくとも一部は、熱反射材で形成されている請求項20に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項22】
裏打ちシート(12)は、少なくとも部分的に熱反射材で形成されている請求項20に記載の人工グラウンド(10)。
【請求項23】
スポーツ及び他の用途のための温度調節機能付きの人工グラウンド(10)であって、
支持基盤上に配置されるようになっているフレキシブルな裏打ちシート(12)を含む人工芝ベースと、
フレキシブルな裏打ちシート(12)の上面に配置された粒状物質からなる充填物層(17)であって、前記粒状物質が、固い細粒と、弾性細粒と、栽培媒質とからなる材料の群のうちの少なくとも1つから選択される、充填物層と、
芝生の葉の代わりになり、フレキシブルな裏打ちシート(12)から上方へ充填物層(17)を突き抜けて突出する人工リボン(15)からなる複数の平行な列(13)と、
人工リボン(15)の列(13)と平行に伸びる、穴が開いた管部からなる大部分を有するフレキシブルな管(29)であって、
各フレキシブルな管部が、人工リボン(15)の列(13)の間の空間に配置され、かつフレキシブルな裏打ちシート(12)に付着されており、フレキシブルな管(29)は、その穴(32)を介して、充填物層(17)と流体的に連通しており、かつ充填物層(17)に含まれる水分が蒸発したときに、人工グラウンド(10)が冷却されるように、充填物層(17)を湿らせる目的での前記管を流れる水の制御可能な循環のために、水源に接続されるようになっているフレキシブルな管(29)とを備えている人工グラウンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−2149(P2009−2149A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−184753(P2008−184753)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【分割の表示】特願2003−528903(P2003−528903)の分割
【原出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(507003085)フィールドターフ ターケット インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】