説明

一体型積層構造熱交換器

【課題】マイクロガスタービンや燃料電池等を用いたコジェネレーションシステムなど小型分散型エネルギーシステムの実現のために必須の要素である、小型で高効率の熱交換器を、拡散接合を用いて積層された微細流路を一体構造で実現する。
【解決手段】加熱流路となる透孔21(又は23)が形成された複数の金属板22と、冷却熱流路となる透孔23(又は21)が形成された複数の金属板24とを、透孔が形成されていない複数の金属板25を介して互いに交互に積層し拡散接合して一体の積層構造とし、微細流路を多数積層した一体構造を有するデバイスとして、高流速を流すことが可能で、高い圧力にも耐えることができる高耐圧構造とし、移動熱量の増大を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換器に関し、特に、マイクロガスタービンや燃料電池等を用いたコジェネレーションシステムなど小型分散型のエネルギーシステムの一部を構成し、廃熱などを高効率で利用することによって、システム全体の高効率化を図る一体型積層構造熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在マイクロガスタービンや燃料電池等を用いたコジェネレーションシステムなど小型分散型のエネルギーシステムの開発が活発に行われている。これらは新たな電源として期待され小型化が進んでいる。小型化することよってマイクロガスタービンや燃料電池単体での効率は著しく低下する。そのため熱交換器を用いてシステム全体での効率向上が求められている。
【0003】
従来、熱交換器においてプレートを所定の枚数積層して形成するプレート式熱交換器は知られているが、プレートを溶接で融接するものである(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−356491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような小型のシステムにおいては、マイクロガスタービンや燃料電池単体での効率が著しく低くなるため、所望の実用的な効率までに至っていない。このような小型のエネルギーシステムの効率を実用レベルにまで向上させるためには、高効率の熱交換器を用いて廃熱等を有効利用することが必要不可欠であるが、従来型の熱交換器では、マイクロガスタービンや燃料電池本体のスケールを大幅に越えるものが用いられているのが現状である。
【0006】
即ち、現在の熱交換器では、所望の性能を実現しようとした場合、極めて大型の機器となり、本来の小型分散型のエネルギーシステムとすることができない。そのため、微細流路を用いた熱交換器の研究が行われているが、従来の技術では実際のデバイスとした場合、形成された流路接合部からの漏れが生じる。そのため1気圧を下回る条件でしか使用ができず、高圧高流速をかけることができないという問題がある。
【0007】
伝熱工学の基礎理論としては、流路を小さくするほど均質に加熱・冷却することができるが、流路が微細で短い流路とした場合熱交換可能な熱量は制限を受けることになる。そこで、多数の微細流路に高流速を流すことができれば、交換熱量を増加させ求める効率を得ることができるものと期待される。
【0008】
すなわち、以上の伝熱理論を熱交換器に応用して考えると、小型であっても高効率な熱交換器としては、第1に微細流路を多数有する積層構造であること 第2に高流速を流すことが可能な高耐圧構造であること、が必要条件となる。
【0009】
一方、現在MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム 小型電子機械システム)などによって作製されている微細流路構造の熱交換器においては、形成された流路接合部からの漏れによって高圧での使用が不可能である。
【0010】
本発明は、小型・分散型システムの効率向上を目的としている。従来の技術では熱交換器を燃料電池やマイクロガスタービンと同様に小型化を図ると熱交換効率は悪くなる。本発明が解決しようとする課題は、熱交換器を小型化しても高い熱交換効率を維持することである。
【0011】
マイクロガスタービンや燃料電池等を用いたコジェネレーションシステムなど小型分散型のエネルギーシステムにおいては、マイクロガスタービンや燃料電池単体での効率が低いため、実用的なレベルまで効率を向上させるためには、廃熱等を有効利用することが可能な、小型で高効率な熱交換器の開発が必須の検討課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、加熱流路となる透孔が形成された複数の金属板と、透孔が形成されていない複数の金属板と、冷却熱流路となる透孔が形成された複数の金属板とが互いに交互に積層され、互いに拡散接合して一体の積層構造とされてなる一体型積層構造熱交換器であって、前記加熱流路となる透孔が形成された金属板と前記冷却熱流路となる透孔が形成された複数の金属板とは、前記透孔が形成されていない複数の金属板を介して積層されていることを特徴とする一体型積層構造熱交換器を提供する。
【0013】
前記複数の金属板は、互いに同種の材質で形成されている又は積層方向に交互に異種の材質で形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱交換器は、次のような効果が生じる。
(1)高流速を流すことが可能な高耐圧構造を実現することができ、移動熱量の増大を実現可能である。
(2)小型分散型エネルギーシステムの実現のために必須の要素である熱交換器が小型化でき、しかも高い熱交換効率を維持し、さらに高い圧力にも耐えることを可能とする。
(3)微細な流路を積層するという、通常は製作が難しい構成が比較的容易に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例1を説明する図である。
【図2】本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例1を説明する図である。
【図3】(a)は本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例1を利用した熱交換器ユニットを上から見た図であり、(b)は(a)で示すものを斜めに切断した図であり、(c)はその部分拡大図である。
【図4】図3に示す熱交換器の熱交換特性を示す図である。
【図5】本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例2を説明する図である。
【図6】本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例2を説明する図である。
【図7】本発明に係る一体型積層構造熱交換器の実施例を説明する図である。
【図8】(a)は、本発明に係る一体型積層構造熱交換器が適用された燃料電池システムの構成を示す図であり、(b)は同じく、マイクロガスタービンシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る一体型積層積層構造熱交換器を実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の概要は、多数の微細流路が形成された複数の異種又は同種の金属板を、拡散接合によって積層し一体型積層構造に形成することによって、高い圧力にも耐えることができる高効率の熱交換器としてデバイス化するものであり、燃料電池発電システムやマイクロガスタービンシステムを用いたコジェネレーションシステムなど小型分散型のエネルギーシステムの一部に組み込むことで、廃熱などを高効率で利用可能とし、システム全体の高効率化を図ることが可能となるものである。
【0018】
本発明に係る一体型積層構造熱交換器の基本的な構成について説明する。伝熱の基礎理論として、流路を小さくするほど均質に加熱・冷却(伝熱)することができる。熱交換器の伝熱に寄与する流路が短くても、微細流路を多数設ければ、熱交換器として十分な熱通過率を得ることができる。また大量に熱を交換するためには、大流量の流体を流す必要があり、流路において高流速で流体を流すことが必要となる。
【0019】
本発明者は、このような伝熱理論を実際の熱交換器に応用することで本発明を想到したものである。即ち、小型であっても熱交換器としてより良好な性能を求めると、
(1)微細流路を多数有する積層構造であること、
(2)高流速をかけるために熱交換器自体が高耐圧であること、
が必要条件となる。本発明では、このような構成、特性を有する熱交換器を基本的なコンセプトとした。
【0020】
ところで、微細流路とすることで一本の流路での熱交換は効率的に行われるものの、移動熱量の絶対値は小さい。また、従来技術では、流路接合部からの漏れによって高圧で使用できないなどの問題が指摘されている。そこで、本発明では、流路を一体構造で形成することによって、数十気圧という高い圧力にも耐えることができる微細流路を開発し熱交換器としてデバイス化した。
【0021】
即ち、本発明においては、
(1)多数の微細流路を積層構造とするとともに、
(2)高流速を流せる、
という構造とすることによって移動熱量の増大を実現している。
【0022】
さらにこのような構造を実現するために、
(3)表面に多数の微細流路の形成された複数の金属板を拡散接合を用いて接合し、一体型積層構造とすることにより、積層された多数の微細な流路(微細な流路群)を有する層が積層され一体化して作製し、
(4)高流速を流すことが可能な高耐圧構造、
を実現している。
【0023】
(参考例1)
図1は、本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例1を説明する図である。図1(a)は、この参考例1の一体型積層構造熱交換器1の外観を示す斜視図であり、図1(b)はその平面図である。この一体型積層構造熱交換器1は、外観の全体構成としては、一体的な矩形構造をしている。
【0024】
図1(a)、(b)に示すように流路は、前後方向(縦方向。図の例ではy方向)に延びる流路と左右方向(横方向。図の例ではx方向)に延びる流路があるが、説明の都合上、前後方向(縦方向)に延びる流路を冷却流路3とし、左右方向(横方向)に延びる流路を加熱流路5とする。
【0025】
一体型積層構造熱交換器1は、同一平面内に並設された多数の微細な冷却流路3から成る群(冷却流路群2)と、同一平面内に並設された多数の微細な加熱流路5から成る群(加熱流路群4)が、上下方向に交互に複数積層された構造となっている。
【0026】
図1(a)、(b)において、それぞれの冷却流路群2では、一方向(図の例では矢印y方向)に伸びる多数の微細な冷却流路3がx方向に一定間隔をおいて並設されている。同様に、それぞれの加熱流路群4では、一方向(図の例では矢印x方向)に伸びる多数の微細な加熱流路5がy方向に一定間隔をおいて並設されている。
【0027】
この参考例1の一体型積層構造熱交換器1では、冷却流路群2の冷却流路3と加熱流路5群の加熱流路5は、互いにxy方向に伸び、互いに図1(b)に示すように、直交する方向に伸びるように形成されているが、冷却流路群2の多数の冷却流路3と加熱流路群4の多数の加熱流路5とは、互いに交わって連通しないように、上下方向に位置をずらして積層配置されている。
【0028】
この参考例1の一体型積層構造熱交換器1では、冷却流路群2の冷却流路3と加熱流路群4の加熱流路5は、図1(b)に示すように、互いに直交する方向に伸びるように形成されているが、これはあくまでも一例であり、冷却流路3と加熱流路5は、互いに直交する方向でなくても、互いにどのような角度で交叉(互いに連通する意味ではない。)するように伸びる構成でもよい。例えば、図1(c)に示すような角度αで交叉して形成されていてもよいし、冷却流路及び加熱流路の出入口さえ配置できれば、互いに平行方向でもよい。
【0029】
さらに、この参考例1の一体型積層構造熱交換器1では、冷却流路3と加熱流路5は、それぞれ直線的に形成されているが、直線でなくても曲線でもよい。但し、流路抵抗が増加すると冷却及び加熱流体を送るポンプに負荷が高まるから、エネルギー損失が多くなるので、これらの点も考慮して、冷却流路3と加熱流路5の形状、構造は設計されるべきである。
【0030】
図1に示す本発明に係る一体型積層構造熱交換器1の参考例1の構成を、その製作工程も含めて図2、3においてさらに詳細に説明する。本発明に係る一体型積層構造熱交換器1は、その表面に微細流路の形成された複数の金属板を拡散接合し一体積層構造としたものである。
【0031】
図2は、一体型積層構造熱交換器1の構成要素となる1枚の金属板6(金属の薄板)の構造を説明する図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は正面図、図2(c)は側面図をそれぞれ示す。
【0032】
この図2(a)〜(c)で示すように、金属板6の上面7には縦方向(前後方向)の多数の微細な流路(説明上、「冷却流路3」とする)が形成されており、金属板6の下面8には横方向(左右方向)の多数の微細な流路(説明上、「加熱流路5」とする)が形成されている。
【0033】
ここで重要なことは、前述のとおり、冷却流路3と加熱流路5は交わって連通するようなことのないように、金属板6の上下それぞれの面に形成されている点である。なお、冷却流路3と加熱流路5の水平面内で延びる方向は、適宜設計すればよい。
【0034】
図2(a)に示す構造の金属板6を、互いに異なる材質の材料で形成された金属板6、例えば、互いに異なるA、Bという材質の材料でそれぞれ形成された2種類のAタイプ金属板6A、Bタイプ金属板6Bを、それぞれ複数枚、形成して用意する。もちろん同種の金属板でもよいが、この参考例で異種の金属板で説明する。
【0035】
図2(d)〜(g)は、一体型積層構造熱交換器1の構成要素である金属板6を積層する積層構造を説明する図である。説明を簡単にするために、上下方向に、Aタイプ金属板6AとBタイプ金属板6Bの合計4枚の金属板6を交互に積層する構造について説明する。
【0036】
図2(d)は、積層すべき4枚の金属板6の正面図を示し、図2(e)はその側面図を示す。図2(f)、(g)は、製作される一体型積層構造熱交換器1の正面図、側面図を示す。ところで、Aタイプ金属板6とBタイプ金属板6は、材質が互いに異なるが、それぞれの上下の面に形成された流路を含めてその構造は全く同じである。
【0037】
このような4枚の金属板6を、図2(d)、(e)に示すように、上下に隣接するAタイプ金属板6とBタイプ金属板6の上下の面を交互に表裏を変えて配置し、当接する。例えば、Aタイプの金属板6Aの下面に形成された横方向に延びる加熱流路5に、Bタイプの金属板6Bに形成された横方向に延びる加熱流路5を合致するように、Aタイプの金属板6Aの下面とBタイプの金属板6Bの上面を向き合わせて、当接する。
【0038】
このように、Aタイプの金属板6Aの下面にBタイプの金属板6Bの上面を当接した状態で、真空雰囲気中で、加熱しながら加圧すると、互いに異なる材質のAタイプの金属板6AとBタイプの金属板6Bの材料間の界面9で原子拡散が発生し、分子的構造上、あたかも同一材料の様に拡散接合できる。
【0039】
このようにして、次にBタイプの金属板6Bの下面の冷却流路3に、Aタイプの金属板6Aに形成された縦方向に延びる冷却流路3を合致するように、Bタイプの金属板6Bの下面にAタイプの金属板6Aの上面を当接し、同様に拡散接合する。同様にして順次と、複数の金属板6の上下隣接するものを拡散接合して積層し、一体型積層構造熱交換器1を形成することができる。
【0040】
図3(a)は、以上のようにして形成された本発明に係る一体型積層構造熱交換器1を熱交換器の筐体10内に装入してパッケージした熱交換器ユニット11を上から見た図である。筐体10の前後には、縦方向(前後方向)の流路用の出入口12が設けられており、筐体10の左右に横方向(左右方向)の流路用の出入口13が設けられている。なお、縦方向(前後方向)及び左右方向の流路は、加熱器を取り付ける装置全体の用途、構造等に合わせて冷却流路3、加熱流路5として適宜、選択される。
【0041】
図3(b)は、図3(a)に示した熱交換器ユニット上方から見て斜めに切断した切断面を示し、その切断面の部分拡大図を図3(c)に示す。図3(b)、(c)に示す、熱交換器ユニット11の切断面には、冷却流路3、加熱流路5として、それぞれ利用される前後方向(縦方向の)流路及び横方向(左右方向)の流路の切り口が示されている。
【0042】
図4は、図3に示す本発明に係る熱交換器の試作品について、性能評価をした評価結果を示すグラフである。このグラフは、加熱ガスのレイノルズ数変化に対する、熱交換器の熱通過率の状態を示す図である。気体に対する従来型の熱交換器の性能値(線q)の上限値である約50(W/m2K)と比べ、本発明の性能値(線p)は2倍以上の性能が得られることが示されている。
【0043】
(参考例2)
図5、6は、本発明に係る一体型積層構造熱交換器の参考例2を説明する図である。
参考例1(図1〜3参照)で説明した一体型積層構造熱交換器1では、その要素となる金属板6は、上下面にそれぞれ冷却用或いは加熱用の流路を形成したが、参考例2では、金属板14の上下いずれかの一面にのみ流路を形成する構成としたものである。
【0044】
図5(a)〜(c)に斜視図、正面図、側面図を示すように、Aタイプの金属板14Aの上面に縦方向(前後方向の)流路15を形成する。一方、図5(d)〜(f)に斜視図、正面図、側面図を示すように、Bタイプの金属板14Bの上面に横方向の流路16を形成する。
【0045】
そして、図6(a)、(b)に正面図、側面図を示すように、これらAタイプの金属板14AとBタイプの金属板14Bを複数枚(図5では、説明の都合上4枚)を交互に互いに向き合うようにして当接し、真空雰囲気中で拡散接合する。
【0046】
この場合、互いに異なる材質のAタイプの金属板14AとBタイプの金属板14Bの材料間の界面18で原子拡散が発生し、分子的構造上、あたかも同一材料の様に拡散接合できる。これにより、一体型積層構造熱交換器17が製作される。このようにして製作された参考例2の一体型積層構造熱交換器17の正面図、側面図を図6(c)、(d)に示す。
【実施例】
【0047】
図7は、本発明に係る一体型積層構造熱交換器の実施例を説明する図である。この実施例の一体型積層構造熱交換器20は、図7(a)に示すように、長細い縦方向の流路用透孔21(スリット)が形成された金属板22と、長細い横方向の流路用透孔23(スリット)が形成された金属板24とを、透孔の形成されていない中間金属板25を介して、拡散接合により一体型積層構造に形成されて成る点を特徴とする。
【0048】
具体的には、図7(a)に示すように、長細い横方向の流路用透孔23(スリット)の形成された金属板24の上に中間金属板25を積み重ねて拡散接合し、さらにこの中間金属板25の上に長細い縦方向の流路用透孔21(スリット)が形成された金属板22を積み重ねて拡散接合することにより、図7(b)に平面図で示すように、中間金属板25を介して、縦方向の流路用透孔21と横方向の流路用透孔23が、互いに、連通しないように交叉させて形成される。
【0049】
さらに、図7(c)に平面図及び断面図を示すように、金属板22、24、25から成る一体型積層構造から、縦方向の流路用透孔21と横方向の流路用透孔23が形成されている部分の周囲を切り落として、縦方向の流路用透孔21と横方向の流路用透孔23のそれぞれの両端部が外部に開口し、縦方向の流路26と横方向の流路27が形成される。
【0050】
図7(d)は、同様にしてさらに別の金属板22、中間金属板25、金属板24を次々の積み重ねて形成された一体型積層構造熱交換器20の一部断面を示す図であり、横方向の流路27の上下に中間金属板25を挟んで、縦方向の流路26が、互いに交叉するように、且つ連通しないような構成として形成される。なお、縦方向の流路26と横方向の流路27は、一方が冷却用流路として使用され、他方が加熱用流路として使用される。
【0051】
図8は、本発明に係る熱交換器の適用例を示す図である。図8(a)は、燃料電池からの廃熱を利用するために本発明の熱交換器を設けた構成を示す。このように本発明の熱交換器を設けることにより、吸気ガスの余熱に有効利用でき、燃料電池の全体効率の向上を図ることができる。
【0052】
図8(b)は、マイクロガスタービンにおいて、タービン出口からの排出ガスの熱によって、圧縮器入り口空気温度を上昇させるために、本発明の熱交換器を設けた構成を示す。このように利用することにより、マイクロガスタービンの全体システムの高効率化が可能となる。
【0053】
以上、本発明に係る一体型積層構造熱交換器を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は、特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
【0054】
例えば、一体型積層構造熱交換器を構成する要素である金属板を全て同じ材質の材料で製造し、拡散接合以外の接着剤を利用する接合等を互いに接合してなる一体型積層構造体等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係る一体型積層構造熱交換器は、小型で高効率の熱交換器であるから、その利用分野としては、マイクロガスタービンや燃料電池等を用いたコジェネレーションシステムなど小型分散型のエネルギーシステムに好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 一体型積層構造熱交換器(参考例1)
2 冷却流路群
3 冷却流路
4 加熱流路群
5 加熱流路
6 金属板
6A、14 Aタイプ金属板
6B、14 Bタイプ金属板
7 金属板の上面
8 金属板の下面
9、18 金属間の界面
10 熱交換器の筐体
11 熱交換器ユニット
12、13 流路用の出入口
14 金属板
15 縦方向(前後方向の)流路
16 横方向の流路
17 一体型積層構造熱交換器(参考例2)
20 一体型積層構造熱交換器(実施例)
21 縦方向の流路用透孔(スリット)
22 縦方向の流路用透孔が形成された金属板
23 長細い横方向の流路用透孔
24 長細い横方向の流路用透孔が形成された金属板
25 中間金属板
26 縦方向の流路
27 横方向の流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱流路となる透孔が形成された複数の金属板と、透孔が形成されていない複数の金属板と、冷却熱流路となる透孔が形成された複数の金属板とが互いに交互に積層され、互いに拡散接合して一体の積層構造とされてなる一体型積層構造熱交換器であって、
前記加熱流路となる透孔が形成された金属板と前記冷却熱流路となる透孔が形成された複数の金属板とは、前記透孔が形成されていない複数の金属板を介して積層されていることを特徴とする一体型積層構造熱交換器。
【請求項2】
複数の金属板は、互いに同種の材質で形成されている又は積層方向に交互に異種の材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の一体型積層構造熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−117126(P2010−117126A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14784(P2010−14784)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【分割の表示】特願2004−97612(P2004−97612)の分割
【原出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(307009034)株式会社WELCON (7)
【Fターム(参考)】