説明

一体発泡微細構造物品

【課題】良好な表面微細構造の提供
【解決手段】本発明は、一部は、表面微細構造(14)のある表面を有するポリマー発泡体を備える物品に関し、表面微細構造は、少なくとも1つの大きさ又は寸法が約10ミクロン以上である。微細構造の大きさは(連続的なリブ状の構造でない場合)、最大で約300ミクロン以下であり、概ね、高さが最大で1000ミクロン以下であり、高さが最小で200ミクロン以上である。発泡物品は、ロッド、シリンダ、シートなどを包含する様々な形状で提供されてもよい。発泡体がシートの形態で提供される好ましい実施形態では、発泡体は1対の主面を有し、その一方又は両方に表面微細構造を設けることができる。発泡体支持体および微細構造は、複数の空隙を備え、その空隙の平均サイズは、好ましくは微細構造の最小断面寸法又は大きさよりもかなり小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微孔質ポリマー発泡体で形成されている表面微細構造を有する押出し成形物品の作製に関する。一般に、ポリマー発泡体は、ポリマーマトリックスを備え、ポリマーマトリックス自体の密度より低い密度を特徴とする。密度低下は、マトリックス内に気体が充填されている空隙を作り出す方法(例えば、発泡剤による方法)を包含する、多くの方法で達成される。発泡体の空隙のサイズは、微細構造のサイズより小さい。
【背景技術】
【0002】
標準的な多孔質発泡材料の機械的特性を改善するため、気泡密度がより大きく、気泡サイズがより小さい発泡プラスチックを製造するマイクロセルラープロセスが開発された。このようなプロセスは、例えば、米国特許第4,473,665号明細書に記載されている。該プロセスでは、プラスチック材料に圧力下で気体を均一な濃度で予め飽和させる。次いで、熱力学的不安定性の急激な誘導によって多数の気泡核が発生する。例えば、材料に予め気体を飽和させ、圧力下でガラス転移温度に維持する。材料を急激に低圧力に曝露させて気泡核を発生させ、所望の最終密度に応じて、所望のサイズまで気泡成長を促進し、それによって、中に微孔質空隙又は気泡を有する発泡材料を製造する。次いで、材料を急速に更に冷却又は急冷し、微孔質構造を維持する。このような技術によって、気泡密度、即ち、出発材料の単位体積当りの気泡数が増加し、気泡サイズが標準的な気泡構造中の気泡サイズよりもずっと小さくなる傾向がある。このようにして得られる、様々な熱可塑性樹脂および熱硬化性プラスチックを使用して製造される微孔質発泡材料は、平均気泡サイズが3〜10ミクロンの範囲であり、空隙率が総体積の50%までであり、気泡密度が、最大で出発材料1立方センチメートル当り気泡約10億個となる傾向がある。
【0003】
微孔質発泡プラスチック材料は、米国特許第4,761,256号明細書にも記載されており、該特許明細書には、不活性ガスを含浸させたプラスチック材料のウェブが記載されている。発泡を誘導するため、ウェブは発泡ステーションで再加熱され、発泡プロセスの温度および持続時間は、所望の特性が得られるように、ウェブの形成前に制御される。該プロセスは、発泡プラスチックウェブ材料を連続的に製造するように設計されている。発泡材料中の気泡サイズは、直径2〜9ミクロンの範囲内であると記載されている。
【0004】
米国特許第5,334,359号明細書は、より小さい(例えば、1.0ミクロン以下の)気泡サイズを有することができる発泡材料を記載している。また、報告によれば、この材料は、最大90%までの、又はそれより高い非常に高い空隙率(低い材料密度)から、最小20%までの、又はそれ未満の非常に低い空隙率(高い材料密度)までの広範囲の空隙率パーセンテージを有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、本発明は、表面微細構造のある表面を有するポリマー発泡体を備える物品に関する。表面微細構造は、少なくとも1つの大きさ又は寸法が約10ミクロン以上、好ましくは50ミクロン以上であり、好ましくは、大きさが(連続的なリブ状の構造でない場合)、最大で約300ミクロン以下、好ましくは200ミクロン以下であり、概ね、高さが最大で1000ミクロン以下、好ましくは750ミクロン以下であり、高さが最小で200ミクロン以上、好ましくは300ミクロン以上である。発泡物品は、ロッド、シリンダ、シートなどを包含する様々な形状で提供されてもよい。発泡体がシートの形状で提供される好ましい実施形態では、発泡体は1対の主面を有し、その一方又は両方に表面微細構造を設けることができる。発泡体支持体および微細構造は、複数の空隙を備え、その空隙の平均サイズは、微細構造の最小断面寸法又は大きさよりもかなり小さい。発泡体は、既知の発泡剤で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明による押出し発泡フックストリップを形成する第1の方法の概略図である。
【図2】本発明によるフックストリップの形成に使用される別の方法の概略図である。
【図3】本発明による押出しフックストリップを形成する第2の方法の概略図である。
【図4】図3の方法により形成されたフックファスナの拡大斜視図である。
【図5】図1および図2に示されるような方法で形成された発泡フックの断面顕微鏡写真である。
【図6】図1および図2の方法で形成された発泡フックの反例顕微鏡写真である。
【図7】図3に示されるような方法で形成された発泡フックの顕微鏡写真である。
【図8】図3に示されるような方法で形成された発泡フックの顕微鏡写真である。
【図9】本発明による通気性フックファスナ部材を使用する使い捨て衣類の斜視図である。
【図10】本発明によるフック部材を使用する使い捨て衣類の斜視図である。
【図11】本発明によるフック部材を使用する使い捨て衣類の斜視図である。
【図12】本発明によるフック部材を使用する女性用衛生物品の斜視図である。
【図13】自己係合構造としての本発明の通気性フックファスナの図である。
【図14】身体用ラップとして使用される本発明の通気性フックファスナの図である。
【図15】身体用ラップとして使用される本発明の通気性フックファスナの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ダイおよび/又は型を使用する場合、発泡体の形状は、ダイおよび/又は型表面の形状によって決まる。様々な形状を製造してもよいが、発泡体は、典型的には、表面微細構造を有する連続又は不連続シートの形態に製造される。
【0008】
また、一軸スクリュー、二軸スクリュー、又はタンデム型押出し装置を使用する押出し成形プロセスを使用し、発泡剤(例えば、物理発泡剤又は化学発泡剤)を使用して発泡体を形成してもよい。押出しの温度および圧力条件は、好ましくは、ポリマー材料および発泡剤を均質な溶液又は分散体として維持するのに十分である。好ましくは、ポリマー材料は、押出機から押し出され、純粋なポリマーの溶融温度より30℃以下高い温度で発泡し、それによって、均一な気泡サイズおよび/又は小さい気泡サイズなどの望ましい特性が得られる。物理発泡剤(CO2など)を使用するとき、ポリマーは、一般に、最初は、溶融温度を超える温度に維持される。次いで、物理発泡剤(好ましくは、超臨界状態にある)を溶融ポリマーと一緒に注入(又は、他の方法で混合)し、溶融混合物を押出機内で、好ましくは、圧力を1000psi(13.8MPa)以上に維持しながらポリマーの溶融温度又はTgより50℃未満高い出口温度(T<Tm(又はTg)+50℃)に冷却し、好ましくは、圧力を2000psi以上に維持しながらポリマーの溶融温度又はTgより30℃未満高い出口温度に冷却する。これらの条件で、ポリマー/発泡剤は、概ね、単一相の状態を維持する。溶融混合物がダイを通過する時、溶融物は発泡および膨張し、好ましくは小さく均一な気泡サイズを有する発泡体を形成する。化学発泡剤を使用するとき、発泡剤をポリマーに添加し、混合し、ポリマーのTmを超える温度に加熱して確実に均質に混合し、化学発泡剤の活性化温度に更に加熱すると、その結果、気体が発生する。溶融混合物を押出機内で、好ましくは、物理発泡剤で使用するのと同様に冷却する。一般に、溶融(Tm)状態に到達する前に液体又は固体の化学発泡剤をポリマーに添加する。
【0009】
超臨界流体発泡剤は、材料が超臨界流体状態になるように、臨界温度を超える温度および臨界圧力を超える圧力に維持されている材料と定義することができる。このような状態では、臨界流体は、実質的に、気体と液体の両方として作用する特性を有する。このようにして、臨界状態で、このような流体は液体の溶媒特性を有するが、その表面張力は、液体の表面張力よりもかなり小さく、流体は、気体の性質として、溶質物質中にずっと容易に拡散できる。例えば、二酸化炭素(CO2)は、温度が31℃を超え、圧力が1100psiを超えると、超臨界状態になり得ることが知られている。
【0010】
発泡体を押出ダイから直接、微細構造物品に成形するとき、本発明の発泡体のポリマーマトリックスは、1種類以上の非晶質ポリマー又はポリマーブレンド、並びに、半結晶性ポリマーを含むことができる。ポリマーは、ホモポリマー、又は、ランダムおよびブロックコポリマーを包含するコポリマーであってよい。非晶質ポリマーはTgを有し、Tgは典型的には、構成成分ポリマーのガラス転移温度の(混合物中の各ポリマーの重量パーセントをベースにする)平均である。好適な非晶質ポリマーには、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エラストマー、例えば、スチレンブロックコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS))、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレンとジエンのランダムおよびブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR))、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン−テレフタレート(PETG)が挙げられる。他の非晶質ポリマーの例には、例えば、ポリスチレン−ポリエチレンコポリマー、ポリビニルシクロヘキサン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、芳香族エポキシ、非晶質ポリエステル、非晶質ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマー、ポリフェニレンオキシドアロイ、耐衝撃性ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フッ素化エラストマー、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルイミド、非晶質フルオロポリマー、非晶質ポリオレフィン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンオキシドポリスチレンアロイ、少なくとも1種類の非晶質構成成分を含有するコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
微細構造物品が、中に微細構造を有する型表面との接触により形成されるとき、ポリマーは、ダイから押出した後、溶融状態に維持されなければならない。非晶質ポリマーは、一般に、直ぐに凝固し、このプロセスには好ましくない。半結晶性ポリマーが好ましい。例えば、高密度、中密度、低密度、および直鎖低密度ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリ(1−ブテン)、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、エチレン/スチレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、アイオノマーおよび熱可塑性エラストマー(スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン(SEBS)およびエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM)など)が挙げられる。ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィンが好ましく、最も好ましくは、分枝鎖ポリオレフィンなどの高溶融強度ポリオレフィンである。これらの高溶融強度ポリマーは、発泡体の気泡成長を、独立の微細構造を作り出すのに必要な所望の範囲内に制御するのに役立ち、必要に応じて、表面微細構造の形成中、気泡の崩壊を防止する。好適な半結晶性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリイソブチレン、ポリオレフィンコポリマー、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、ポリエステルコポリマー、フルオロポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、官能化ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、サーリン(SURLYN)(デラウェア州ウィルミントン、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール(E.I.Dupont de Nemours,Wilmington,Delaware))の商品名で入手可能な金属中和ポリオレフィンアイオノマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリビニルブチラール、および、少なくとも1種類の半結晶性化合物を有するコポリマーが挙げられる。好ましい高溶融強度ポリマーは、50重量%以上のプロピレンモノマー単位、好ましくは少なくとも70重量%のプロピレンモノマー単位を含有するホモポリマー又はコポリマーを含み、190℃で25〜60cNの範囲の溶融強度を有する高溶融強度ポリプロピレンである。ポリマーを190℃、0.030cc/秒の速度で、直径2.1mm、長さ41.9mmのキャピラリを通して押出すことにより、伸張粘度計を使用して、溶融強度を測定するのが好都合な場合があり、次いで、ストランドを一定の速度で延伸すると同時に、特定の伸びにおける延伸力を測定する。好ましくは、ポリプロピレンの溶融強度は、国際公開第99/61520号パンフレットに記載されるように、30〜55cNの範囲である。
【0012】
このような高溶融強度ポリプロピレンは、当該技術分野で周知の方法で調製されてもよい。制御された酸素環境中で直鎖プロピレンの照射により調製される、歪硬化伸張粘度を有する高溶融強度ポリプロピレンを記載している米国特許第4,916,198号明細書を参照してもよい。他の有用な方法には、米国特許第4,714,716号明細書、国際公開第99/36466号パンフレット、および国際公開第00/00520号パンフレットに記載される方法など、化合物を溶融ポリプロピレンに添加して、分枝および/又は架橋を誘導する方法が挙げられる。高溶融強度ポリプロピレンは、また、米国特許第5,605,936号明細書に記載されるように、樹脂の照射により調製されてもよい。更に他の有用な方法には、JIラウコラ、「ポリプロピレン発泡体シートおよび二軸配向発泡体フィルム製造の新技術」,VTT出版361、フィンランド技術研究センター、1998年(JI Raukola,“A New Technology To Manufacture Polypropylene Foam Sheet And Biaxial Oriented Faom Film”,VTT Publications 361,Technical Research Center of Finland,1998)、および、米国特許第4,940,736号明細書に記載されるような、二極分子量分布の形成が挙げられる。
【0013】
一般に、発泡性ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマーだけを含んでもよく、又は、50重量%以上のプロピレンモノマー含量を有するコポリマーを含んでもよい。更に、発泡性プロピレンは、プロピレンホモポリマー又はコポリマーと、プロピレンホモポリマー又はコポリマー以外のホモポリマー又はコポリマーとの混合物又はブレンドを含んでもよい。特に有用なプロピレンコポリマーは、プロピレンと1種類以上の非プロピレン系モノマーとのコポリマーである。プロピレンコポリマーには、プロピレンと、エチレン、C3〜C8α−オレフィン、およびC4〜C10ジエンからなる群から選択されるオレフィンモノマーとのランダム、ブロック、およびグラフトコポリマーが挙げられる。プロピレンコポリマーには、プロピレンと、C3〜C8α−オレフィンからなる群から選択されるα−オレフィンとのターポリマーを挙げてもよく、ここで、このようなターポリマーのα−オレフィン含量は、好ましくは45重量%未満である。C3〜C8α−オレフィンには、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、および3−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。C4〜C10ジエンの例には、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、および2,3−ジメチルヘキサジエンなどが挙げられる。
【0014】
高溶融強度ポリマーを使用する場合、少量(50重量%未満)の非晶質ポリマーを高溶融強度ポリマーに添加してもよい。好適な非晶質ポリマーには、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エラストマー、例えば、スチレンブロックコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS))、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレンとジエンのランダムおよびブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR))、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン−テレフタレート(PETG)が挙げられる。他の非晶質ポリマーの例には、例えば、ポリスチレン−ポリエチレンコポリマー、ポリビニルシクロヘキサン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、芳香族エポキシ、非晶質ポリエステル、非晶質ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマー、ポリフェニレンオキシドアロイ、耐衝撃性ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フッ素化エラストマー、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルイミド、非晶質フルオロポリマー、非晶質ポリオレフィン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンオキシドポリスチレンアロイ、少なくとも1種類の非晶質構成成分を含有するコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
高溶融強度ポリプロピレンに加えて、発泡体層は、染料、粒子状材料、着色料、紫外線吸収材料、および無機添加剤など、添加される他の構成成分を含有してもよい。有用な無機添加剤には、ガラス繊維、TiO2、CaCo3、雲母、又は、珪灰石などの高アスペクト比粘土が挙げられる。
【0016】
物理発泡剤又は化学発泡剤のいずれかでポリマー材料を可塑化してもよい、即ち、ポリマー材料のTmおよびTgを低下させてもよい。発泡剤を添加すると、添加しない場合に必要とされ得る温度よりもかなり低い温度で溶融混合物を加工し、発泡させてもよく、場合によっては、ポリプロピレンの溶融温度より低温で加工してもよい。温度が低い方が、発泡体を冷却し、安定化することができる(即ち、更なる気泡成長が阻止され、より小さく、より均一な気泡サイズを得るのに十分な凝固点に到達できる)。
【0017】
本発明で有用な物理発泡剤は、発泡体がダイから押し出される温度と圧力で蒸気である任意の物質であってよい。物理発泡剤は、ポリマー材料中に気体又は超臨界流体として導入、即ち、注入されてもよい。ペンタン、ブタン、および他の有機物質などの可燃性発泡剤を使用してもよいが、使用が容易である(例えば、環境や安全上の問題が少ない)ことから、二酸化炭素、窒素、水、SF6、一酸化二窒素、アルゴン、ヘリウム、希ガス(キセノンなど)、空気(窒素と酸素のブレンド)、および、これらの物質のブレンドなどの不燃性、非毒性で、オゾン層を破壊しない発泡剤が好ましい。他の好適な物理発泡剤には、例えば、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、および、完全に又は部分的にフッ素化されたエーテルが挙げられる。
【0018】
化学発泡剤は、発泡剤の活性化温度より低温でポリマーに添加され、典型的には、押出機に導入する前に室温でポリマー供給物に添加される。次いで、発泡剤を混合し、それをポリプロピレンの溶融温度より高いが化学発泡剤の活性化温度より低い温度で、活性化されていない形態でポリマー全体に分布させる。化学発泡剤は分散した後、混合物を化学発泡剤の活性化温度より高温に加熱することによって、活性化されてもよい。発泡剤を活性化させると、分解(例えば、アゾジカルボンアミドなどの発熱性化学発泡剤)又は反応(例えば、炭酸水素ナトリウム−クエン酸混合物などの吸熱性化学発泡剤)により、N2、CO2、および/又はH2Oなどの気体が放出されるが、気泡形成は系の温度および圧力により抑制される。有用な化学発泡剤は、典型的には、140℃以上の温度で活性化する。
【0019】
化学発泡剤の例には、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニル−セミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドおよびトリヒドラジノトリアジンを包含する、合成のアゾ、カーボネートおよびヒドラジドをベースにする分子が挙げられる。これらの物質の具体例には、セロゲン(Celogen)OT(4,4’オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド))がある。他の化学発泡剤には、二酸化炭素を放出する炭酸水素ナトリウム/クエン酸ブレンドなどの吸熱性反応性物質が挙げられる。具体例には、リーディ・インターナショナル社サフォーム(Reedy International Corp SAFOAM)製品が挙げられる。
【0020】
化学発泡剤又は物理発泡剤のいずれかを用いると、溶融混合物が成形ダイを通して押出機から押し出される時、溶融混合物が曝露される大気圧の方がずっと低いため、発泡剤(又はその分解生成物)が膨張する。このため気泡の形成が起こり、その結果、溶融混合物が発泡する。溶融混合物の出口温度が純粋なポリマーのTmより50℃以下高いとき、発泡剤が溶液から逸散する際、ポリマーのTmの上昇によりポリプロピレンの結晶化が起こり、そのため、発泡体気泡の成長と合体が数秒内に、又は、最も典型的には何分の一秒かで阻止される。この結果、好ましくは、ポリマー材料内に小さく均一な空隙が形成される。出口温度が純粋なポリマーのTmより50℃以下高いとき、発泡剤が溶液から逸散する際、ポリマーの伸張粘度が増加し、ポリプロピレンが急速に結晶化する。高溶融強度ポリマーを使用するとき、伸張粘度の増加挙動はとりわけ顕著である。これらの要因により、発泡体気泡の成長と合体が数秒内に、又は、最も典型的には、何分の一秒かで阻止される。好ましくは、これらの条件で、ポリマー材料内に小さく均一な気泡の形成が起こる。出口温度が純粋なポリマーのTmより50℃を超えて高いとき、ポリマー材料の冷却に、更に長く時間が掛かる場合があり、その結果、不均一で阻止されない気泡の成長が起こる。Tmの上昇に加えて、発泡剤が膨張する際、発泡体の断熱冷却が起こる場合がある。
【0021】
発泡性ポリマー混合物に組み込まれる発泡剤の量は、一般に、密度低下、即ち、[1−純粋なポリマーの密度に対する発泡体の密度の比]×100で測定する時、10%を超える、更に好ましくは20%を超える空隙率を有する発泡体が得られるように選択される。一般に、発泡体の空隙率が大きいと発泡体の密度、重量、および後の最終用途のための材料費は低減する。
【0022】
好ましくは、形成された発泡体は、一軸又は二軸延伸などによって、α転移温度より高くポリマーマトリックス(例えば、ポリプロピレン)の溶融温度より低い温度で互いに垂直な方向に配向される。一般に、二軸延伸では、フィルムはまず一方向に延伸された後、第1の方向に垂直な第2の方向に延伸される。しかし、必要に応じて、両方向で同時に延伸を実施してもよい。二軸配向を所望する場合、2つの主軸に沿って発泡体を逐次的に配向させるのではなく、発泡体を同時に配向させることが好ましい。典型的な逐次配向プロセスでは、フィルムは、まず、1組の回転ローラ上で押出方向に延伸された後、それを横切る方向に、テンタ装置で延伸される。或いは、発泡体は、テンタ装置で機械方向と横方向の両方に延伸されてもよい。発泡体は、二軸延伸では全延伸比(MD×CD)3〜75倍、一軸延伸では1〜10倍、一方向又は両方向に延伸されてもよい。一般に、気泡サイズの小さい発泡体を使用すると、より大きい配向が達成可能であり、100ミクロンより大きい気泡サイズを有する発泡体を20倍より大きく二軸配向させるのは容易ではないが、気泡サイズが50ミクロン以下の発泡体は全延伸比、最大75倍まで延伸できる。更に、平均気泡サイズが小さい発泡体は、延伸後、更に大きい引張強度と破断点伸びを示す。
【0023】
発泡体の最終厚みは、一部には、押出厚み、配向の程度、および任意の追加のプロセスによって決定される。本発明は、従来技術のプロセスによって一般に達成可能なものよりも薄い発泡体を提供する。ほとんどの発泡体は、気泡サイズによって厚みが制限される。本発明では、小さい気泡サイズ(100ミクロン以下)と配向の組合せにより、25ミクロン〜1000ミクロンの発泡体シート厚が可能になり、25ミクロン〜100ミクロンの発泡体シートが容易に作製される。活動的な着用者(例えば、人)との接触が望まれる、又は、あり得る、多くの用途で使用できる柔軟で追従性のある支持体が得られるため、これは、微細構造のフック構造では非常に望ましい。具体的には、微細構造フックを有する発泡フックを、おむつなどの使い捨て吸収性物品で封止タブとして使用することができ、これは、手触りが柔らかく、真珠光沢のある外観のため審美的にも好ましい。フックストリップ又はタブが敏感な表面と接触する他の用途には、医療用ラップ(medical wrap)、スポーツ用ラップ(sport wraps)、ヘッドバンド、農産物用ラップ(produce wraps)、および女性用衛生物品が挙げられる。好適な支持体の軟度は、10〜2000ガーレイ単位、好ましくは10〜200ガーレイ単位とすることができる。
【0024】
好ましくは、発泡体の気泡サイズは、2〜100ミクロン、好ましくは5〜50ミクロンとすることができる。或いは、又は更に、発泡体は、多分散性1.0〜2.0、好ましくは1.0〜1.5、更に好ましくは1.0〜1.2の気泡サイズ分布を有してもよい。
【0025】
ポリマー発泡体表面微細構造は、一般に、少なくとも1つの断面の大きさが、約10ミクロン以上、好ましくは50ミクロン以上であり、微細構造が連続又は不連続のリブなどではなく独立の微細構造である場合、微細構造は、大きさが最大で約300ミクロン以下、好ましくは200ミクロン以下であり、高さが最大で1000ミクロン以下、好ましくは750ミクロン以下であり、高さが最小で200ミクロン以上、好ましくは300ミクロン以上である。微細構造の大きさは、一般に、一面から、反対側の面若しくは対向する面までの、又は二面間(例えば、支持体に接合される微細構造の基部)の微細構造の寸法と見なされ、微細構造の幅、高さ、又は厚み寸法、又は、ある部分の他の何らかの寸法とすることができる。
【0026】
微細構造の最小断面寸法は、概ね、10ミクロン以上である。最小断面寸法は、一般に、微細構造の先端を含めず、一般に、先端から10ミクロン以上の距離で測定される。最小断面寸法は、一般に、長さ、幅、若しくは高さ寸法などの任意の大きさ、又は、微細構造の一表面又は一面から対向する表面又は面まで引くことができる最短距離となる他の任意の大きさとすることができる。微細構造の高さは、概ね、1000ミクロン以下、好ましくは750ミクロン以下である。最小断面寸法に対する発泡体の平均気泡サイズの比は、0.75以下、好ましくは0.5以下である。発泡物品は、ロッド、円筒、シートなどを包含する様々な形状で提供されてもよい。好ましくは、発泡体はシートの形態で提供され、発泡体は1対の主面を有し、その一方又は両方に表面微細構造を設けることができる。発泡体支持体および微細構造は両方とも複数の空隙を有し、その空隙の平均サイズは、微細構造の最小断面寸法又は大きさよりもかなり小さい。
【0027】
また、発泡体を、発泡材料であっても又は発泡材料でなくてもよい他の少なくとも1種類の材料と一緒に共押出しする共押出しプロセスによって、発泡体は多層構成中の少なくとも1つの層を構成することができる。例えば、発泡体は、非発泡支持体と一緒に表面微細構造の一部又は全部を構成することができるか、又は、逆に、発泡体は、非発泡表面微細構造と一緒に支持体の一部又は全部を構成することができる。
【0028】
共押出しプロセスを使用して、2層以上を備える発泡材料を製造してもよい。積層材料又は物品は、適切なフィードブロック(例えば、多層フィードブロック)を有するダイを装備することによって、又はクローレン社(Cloeren Corp.)(テキサス州オレンジ(Orange,Texas))から入手可能な3層ベーンダイなどの多翼型(multi−vaned)ダイ又はマルチマニホールドダイを使用して製造してもよい。複数の隣接する発泡体層を有する材料又は物品は、同じ材料又は異なる材料を含む発泡体層で製造してもよい。本発明の発泡物品は、1つ以上の内部および/又は外部発泡体層を備えてもよい。このような場合、各押出し可能な発泡性材料は、溶融混合物が多層フィードブロック又はマルチマニホールドダイの異なる入口に供給され、ダイから押し出される前に合流する前述の押出成形法の1つを使用して加工されてもよい。これらの層は、押出成形プロセスについて前述されたものと略同様に発泡する。また、多層プロセスを使用して、本発明の発泡体を、非発泡ポリマー材料および他の任意の種類のポリマー材料などの他の種類の材料と一緒に押し出すこともできる。多層物品を製造するとき、類似の粘度を有し、層間接着を提供する材料を使用して隣接する層を形成することが好ましい。
【0029】
隣接する材料層がかなり異なる温度に加熱される場合、異なる材料がダイから押し出される直前までそれらを熱的に隔離するダイ(例えば、米国特許第5,599,602号明細書に開示されているダイ)を使用することができる。これによって、発泡体の溶融若しくは崩壊、又は気泡が膨張し続け合体が起こることなど、異なる材料が接触することによる負の効果が減少するか、又はなくなる。
【0030】
また、発泡性溶融混合物は、添加剤を含んでもよい。好適な添加剤の例には、粘着付与剤(例えば、ロジンエステル、テルペン、フェノール、および、脂肪族合成炭化水素樹脂、芳香族合成炭化水素樹脂、又は、脂肪族合成炭化水素樹脂と芳香族合成炭化水素樹脂の混合物)、可塑剤(物理発泡剤以外)、核形成剤(例えば、タルク、珪素、又はTiO2)、顔料、染料、補強剤、固体フィラー、疎水性又は親水性シリカ、炭酸カルシウム、強化剤、難燃剤、酸化防止剤、微粉砕されたポリマー粒子(例えば、ポリエステル、ナイロン、又はポリプロピレン)、ガラスビーズ、安定剤(例えば、UV安定剤)、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0031】
本発明で形成される好ましい微細構造は、微細構造フックである。連続発泡体フィルム状のフィルム支持体を有する、発泡微細構造フックストリップを形成する第1の方法は、発泡性半結晶性熱可塑性樹脂を、ダイを通して、キャビティを有し連続的に移動する型表面上に押し出す方法である。これは、一般に、図1に示されるようなロール表面3である。溶融発泡体は、一般に、ニップを使用して圧力でキャビティ12内に押し出されるか、又は押し込まれる。図1の場合、ニップは、押出機ダイ8およびロール3により形成されるが、或いは、ポリマーを2つのロール表面間などに押し出すことができる。ニップ又は隙間は、キャビティ上でフィルム支持体30も形成するのに十分である。フィルム支持体は、好ましくは、背面に沿って平滑な表面を有するが、テクスチャー加工された表面又は粗い表面を有することもできる。形成された材料20は、発泡体支持体30から突出する突起又はフック要素28を有し、その材料は取出装置2で型表面から取り外される。キャビティ内に押し出すことを容易にするため、真空を使用してキャビティを減圧排気することができる。
【0032】
キャビティ12は、例えば、米国特許第6,174,476号明細書、又は同第6,540,497号明細書に開示されるような、最終フック要素の形状とすることができる。この場合、略連続的にテーパの付いたフックは、最終的なフック形態の連続的にテーパの付いたフックキャビティから引き出されるか、又は少なくとも部分的に形成されたフック要素である。また、押し出されたストリップ20は、部分的にしか形成されていないフック要素、又は、図2に示されるように、形成されていないフック要素を形成する突起が設けられている発泡体ウェブとすることができる。次いで、その後、これらの突起の先端部分26(又は部分的に形成されたフック要素の先端)を所望の完成フック要素32に形成することができる。これは、好ましい方法では、熱および/又は圧力を使用して先端部分を変形させることにより行われる。熱および圧力の両方を使用する場合、それらを逐次的に加えても、又は同時に加えてもよい。好ましい方法では、熱および圧力は、ニップ21の先端部分26に選択的に加えられる。この場合、少なくとも1つの第1の加熱された表面部材22と少なくとも1つの第2の対向する表面部材24とを有するニップ21が提供される。ニップは隙間を有し、この隙間は、第1の入口隙間間隔と第2の終端隙間間隔によって画定される圧縮ゾーンを有する。第1の隙間間隔は、ウェブの第1の平均厚みに実質的に等しいか、又はそれより小さい。第2の終端隙間間隔は、第1のウェブ厚みより小さく、ニップ21の最小隙間間隔である。最終フックストリップは、突起28上にフック頭部32が形成されている。
【0033】
図2のプロセスで使用する直立突起の配列を有する発泡体を形成するのに好適な具体的方法を図1に示す。予め選択された発泡性熱可塑性樹脂の供給流を、慣用的な手段で押出機6に供給し、押出機6で樹脂を溶融し、加熱された樹脂をダイ8に移送する。ダイ8は、樹脂を幅広の材料リボンとして、細長い穴の形態の型キャビティ12の配列を有する型表面3(例えば、シリンダ)上に押し出し、型キャビティ12には、好ましくは、凝固した樹脂を型キャビティから取り出し易くするようにテーパが付いている。これらの穴又は型キャビティは、好ましくは、直線状(即ち、長さ方向の一軸だけ)のキャビティの形態である。型キャビティを真空装置(図示せず)に接続し、型キャビティ内への樹脂の流動を容易にすることができる。これは、押し出されて型シリンダの内面に入った余分な材料を取り除くため、ドクターブレード又はナイフを必要とすることがある。型キャビティ12は、好ましくは、液体樹脂が入るための開放端を有する型表面と閉鎖端で終端する。この場合、真空を使用し、ダイ8に入る前に型キャビティ12を少なくとも部分的に減圧排気することができる。型表面3は、好ましくは、ダイ8の表面と一致し、それらは、余分な樹脂が、例えば、ダイ側縁部から外に押し出されないように接触している。一体形成されている支持体と直立形ステムを型表面からストリッパロール2などで剥離する前に、型表面およびキャビティを空冷又は水冷等することができる。これによって、熱可塑性材料の直立ステム又はフック28が一体形成されている支持体30のウェブ20が提供される。或いは、押出し成形又は他の既知の技法で、予め形成された支持体などの上に直立ステムを形成することができる。
【0034】
図2のプロセスを更に具体的に説明すると、加熱されたカレンダーロール22は、支持体30から上向きに突出するステム28の遠位端26の所定の部分と接触し、冠状の頭部32を形成する。ロール温度は、樹脂がロール22表面に固着することなく、圧縮ゾーン38のニップによって作り出される圧力で遠位端26を容易に変形させる温度である。更に高い温度、および/又は、ステム先端若しくは遠位端26と加熱されたロール22との更に長い接触時間が可能になるように、高温に対する耐性がある離型コーティングでロール22表面を処理することができる。
【0035】
フックは、概ね、均一な高さを有し、好ましくは高さ約0.10〜1.3mm、更に好ましくは高さ約0.2〜0.5mmである。支持体上で冠状のステムフックの密度は、好ましくは、一平方センチメートル当りフック60〜1,600本であり、好ましい実施形態の1つでは、一平方センチメートル当りフック約100〜700本である。冠状のフックで、頭部に隣接するステム部分の直径は、好ましくは0.07〜0.7mm、更に好ましくは約0.1〜0.3mmである。冠状の頭部は、少なくとも1つの側で、好ましくは2つ以上の側で、好ましくは平均約0.01〜0.3mm、更に好ましくは平均約0.02〜0.25mmだけステムベース部分を過ぎて半径方向に突出し、外面と内面の間の平均厚み(即ち、ステムの軸に平行な方向で測定される)が、好ましくは約0.01〜0.3mm、更に好ましくは約0.02〜0.1mmである。冠状頭部の平均直径(即ち、冠状頭部とステムの軸の半径方向で測定される)、対、冠状頭部の平均厚みの比は、好ましくは1.5:1〜12:1、更に好ましくは2.5:1〜6:1である。
【0036】
ほとんどの面ファスナの用途では、フックは、フックストリップの全表面積にわたって実質的に均一に、通常は、正方形、千鳥状、又は六角形の配列に分布される。両性型の用途では、フックは、好ましくは、係合時に横方向に滑らないように分布される。
【0037】
図4のものなどの、フックを有する発泡フックストリップを形成する第2の方法を図3に概略的に表す。一般に、本方法は、まず、例えば、放電加工により、ベース、およびベース層の上面より上に突出し、形成されるフック部分又は部材の断面形状を有する離間配置されている細長いリブがあるストリップ50を形成するような形状に、開口部が切削加工されているダイ52を通して、押出機51から発泡性熱可塑性樹脂のストリップ50を押出すことを包含する。発泡ストリップ50は、冷却液(例えば、水)が満たされている急冷タンク56を通ってローラ55の周囲で引取られ、その後、リブ(ベース層は含まない)をその長さに沿って離間した位置でカッタ58により横方向にスリット又は切断され、形成されるフック部分のほぼ所望の厚みに対応する長さを有するリブの独立の部分を形成する。任意に、切断前にストリップを延伸し、リブを形成するポリマーに更なる分子配向を提供する、および/又は、リブ、およびリブのスリットにより形成される得られるフック部材のサイズを減少することができる。カッタ58は、往復動又は回転する刃、レーザ、又はウォータージェットなどの任意の慣用的な手段を使用して切断することができるが、好ましくは、リブの長さに対して約60〜80°の角度で配置された刃を使用して切断する。
【0038】
リブの切断後、ストリップ50のベースは、縦方向に、少なくとも2対1の延伸比で、好ましくは約4対1の延伸比で、好ましくは、異なる表面速度で駆動される第1の対のニップローラ60および61と第2の対のニップローラ62および63との間で延伸される。任意に、ストリップ50を横方向に延伸し、ベースに二軸配向を提供することもできる。好ましくは、延伸前にベースを加熱するためローラ61を加熱し、好ましくは延伸されたベースを安定化させるためローラ62を深冷する。延伸によってリブの切断部分間に空間が生じ、次いで、これは、完成したフックファスナ部分70のフック部分又は部材74になる。
【0039】
ここで図4および図5を参照すると、フックファスナ部分10は、薄くて強度のある可撓性フィルム状の発泡支持体11を備え、これは、略平行な上主面および下主面12および13、並びに、支持体11の少なくとも上面12から突出し、離間配置されている複数のフック部材14を有する。支持体は、平面状の表面、又は、引裂抵抗若しくは補強のために所望され得るような表面特徴を有することができる。フック部材14は、それぞれ、一端で支持体11に取り付けられており、好ましくは、支持体11の方に広がって、支持体11との接合部におけるフックの固定および破壊強度を増大させるテーパの付いたセクションを有するステム部分15と、支持体11と反対側のステム部分15の端部にある頭部部分17とを備える。頭部部分17の側部は、2つの反対側にあるステム部分15の側部と同一平面上にあってもよい。頭部部分17は、一方側又は両側でステム部分15を過ぎて突出するフック係合部分又はアームを有する。フック部材は、ステム部分15と反対側に丸い表面18を有し、頭部部分17がループファスナ部分のループ間に入るのに役立つ。また、頭部部分17は、ステム部分15と、支持体11上に突出する頭部部分17の表面との接合部に、横方向に円筒状に窪んだ表面部分も有する。発泡体の気泡サイズは、微細構造フック要素の最小断面大きさよりもかなり小さい。図6は、フック部材65の最小断面大きさより大きい、気泡サイズ範囲を有する発泡体で形成されているフックファスナ部分64の一実施形態である。フック頭部68は、成形不良であるか、又は存在しない。支持体61は不規則であり、その上面および下面62および63は平行ではなく、厚みに顕著なばらつきがある。
【0040】
特定の用途では、非常に低いフック密度が望ましいことが分かった。発泡フックファスナで形成された比較的面積の大きい可撓性フックファスナタブ又はパッチを使用して、嵩高性の低い不織布に取り付けるのに使用するとき、例えば、1平方センチメートル当りフック100本未満、好ましくは70本未満、更には50本未満のフック密度が望ましい。間隔がこのように小さいと、特に、低コストで、且つ、さもなければループ製品として従来は使用されない無効な不織布材料に対して、個々のフック要素の引っ掛け効率が向上することが分かった。また、フックタブ又はパッチは、ベース層を形成するポリマーの好適な選択により、および/又は発泡体ベース層を延伸してその厚みを100μm〜25μmの好ましい範囲に減少することにより可撓性になる。また、二軸配向により、フック密度は面積の大きいフックファスナに所望される範囲に減少する。
【0041】
面積の大きいファスナは、おむつなどの衣類タイプの用途に使用されるとき、2つの係合部位間に安定性を提供する。面積の大きい好適なファスナの表面積は5〜100cm2、好ましくは20〜70cm2である。
【0042】
面積の大きい(特大の)ファスナを物品の外面と係合するように前方又は後方に持って来るとき、特大のファスナは物品の外面のどの部分にも止着できる場合がある。このため、衣類がファスナと最小限のレベルくらいで係合できる場合、特定の取り付け部位又はターゲット取り付けゾーンが不要になる可能性がある。また、面積が大きいとファスナのサイズによる確実な封止も保証される。このように、面積の大きい本発明の発泡フックファスナによって、衣類又は物品の通気性支持体上に別々のループ部品又は他の「合わせ」ファスナ部品が不要になる可能性がある。また、サイズが増大している面積の大きいファスナにより、物品又は衣類の重なり合う部位を安定化させるのに必要な場合がある副ファスナ又は副結合領域(間接的な結合など)が不要になる可能性もある。
【0043】
面積の大きいファスナを使用すると、例えば、前後のウエスト部位のファスニングシステムを安定化させるための追加の結合点又は複数のファスナが不要になり、吸収性物品などの衣類の製造の複雑さが減少する。結合点の追加又は追加のファスナによって製造プロセスの複雑さは増大する。
【0044】
具体的には、面積の大きいフックファスナは、費用のかかるループパッチを必要とせず、嵩高性の比較的低い不織布が設けられているおむつの外面に、直接係合することができる。また、面積の大きい可撓性フックファスナは、接触および取り付け面積が大きく、より安定に衣類を封止するため、封止が不意に開くことも防止できる。また、特大のフックファスナは、その面積が大きく、大きい面積で接触するため、予め止着されたプルオン式の衣類に使用することもでき、衣類を、包装および後の使用に好適な安定性があるものにする。
【0045】
フック密度が低く、面積の大きいこのフックファスナ要素の、フックタブ又はパッチとしての好適な使用例を図9〜図12、図14、および図15に表す。図9では、面積の大きい発泡体ファスニングタブは、当該技術分野で既知のように、おむつ90に取り付けられている不織布ウェブなどの通気性キャリア基材92に取り付けられている。ファスニングタブは、5〜100cm2、好ましくは20〜70cm2のサイズとすることができ、おむつ90の外側カバーを形成する嵩高性の低い不織布94に直接取り付けることができる。典型的には、この嵩高性の低い不織布は、スパンボンドウェブ、結合カードウェブ若しくはエアレイドウェブ、又はスパンレースウェブなどである。図10は、おむつ95のための、このファスニングタブ型の構成の一変形であるが、フックタブ96は、おむつの耳切り取り部分又は縁部位のいずれかで、おむつ95に直接結合している。図11は、プルアップ式のおむつ設計97で使用される面積の大きいフックタブ98の別の実施形態である。この実施形態では、フックタブ98は、プルアップおむつの反対側の面にある好適な合わせ部位99と係合する。もちろん、これらの2つの要素は逆にすることができる。どちらの場合でも、合わせ部位は、おむつの不織布外側カバー又は不織布流体透過性トップシートを形成するのに使用される不織布とすることができる。図12は、女性用衛生物品100に面積の大きいパッチ101として使用されている、本発明のフック材料の一実施形態である。このパッチは、下着への主取り付け要素として使用することができ、任意に、副取り付け要素103を取り付けウィング102に設けることができる。フック密度の低い要素を面積の大きいパッチとしておむつに使用することもでき、ここで、パッチはおむつの外側カバーの一部又は全部を形成することができる。
【0046】
図13は、フック要素を有する面と反対側の面にループ要素85を設けた面積の大きいファスナ80の一実施例である。ループは、織物又は不織布タイプのループであり、面積の大きいフックファスナ80の支持体81に、接着、熱融着、圧着、又は超音波融着、又はこれらの組合せとすることができる結合82により貼着することができる。
【0047】
このタイプの自己係合ファスナ31を、図14にスポーツ用ラップとしての用途で示されるように、ラップ33として使用することができる。また、自己係合ファスナを農産物などの物品用のラップとして使用することもでき、この場合、柔軟性が有益である。図15は医療用ラップとしての自己係合ファスナ46を示し、これは、必要に応じて、吸収パッド44と一緒に使用することができ、又はループ布帛が吸収性である場合、吸収パッドの使用は任意選択的となり得る。
【0048】
試験方法
135°剥離試験
135°剥離試験を使用して、メカニカルファスナフック材料のサンプルをループファスナ材料のサンプルから剥離させるのに必要な力の量を測定した。両面コーティングされている接着テープを使用して、5.1cm×12.7cmのループ試験材料片を5.1cm×12.7cmの鋼製パネルに固定した。ループ材料の横方向がパネルの長い寸法に平行になるように、ループ材料をパネル上に配置した。長い寸法がウェブの機械方向になるように、試験されるメカニカルファスナを1.9cm×2.5cmのストリップに切断した。幅2.5cmの紙リーダー(paper leader)をフックストリップの一端の平滑な面に取り付けた。次いで、ストリップとループ材料の間に1.9cm×2.5cmの接触領域が存在し、ストリップの始端部がパネルの長さに沿っているように、フックストリップをループの中央に配置した。次いで、ストリップとループ材料の積層体を、1000gのローラを使用して、毎分約30.5cmの速度で、各方向で2回、手動で転圧した。次いで、サンプルを135°の剥離ジグに入れた。ジグをインストロン(Instron)(登録商標)モデル1122引張試験機の下顎に入れた。紙リーダーの固定されていない端部を引張試験機の上顎に入れた。毎分30.5cmのクロスヘッド速度、および、毎分50.8cmのチャート速度に設定されたチャート式記録計を使用して、フックストリップが135°の一定角度でループ材料から剥離される時の剥離力を記録した。4つの最高値の平均をグラムで記録した。メカニカルファスナストリップをループ材料から取り外すのに必要な力をg/幅2.54cmの単位で報告した。各フックとループの組合せについて、最低10回の試験を行い、平均を求めた。
【0049】
ループ材料「A」を使用して、メカニカルファスナフック材料の性能を測定した。ループ材料「A」は、米国特許第5,616,394号明細書の実施例1に記載されるものと同様に製造された不織布ループであり、3M社(3M Company)からKN−1971として入手可能である。ループ試験材料は、巻き出して数回転分を廃棄し、「新しい」材料を露出させた後、材料の供給ロールから得られた。このようにして得られるループ試験材料は、比較的圧縮された状態にあり、ループが顕著に再び嵩高くならないうちに、直ぐに剥離試験に使用した。
【0050】
135°ねじり剥離試験
135°ねじり剥離試験を使用して、メカニカルファスナフック材料のサンプルを低プロファイルループファスナ材料のサンプルから剥離させるのに必要な力の量を測定した。長い寸法がウェブの機械方向になるように、試験する1.9cm×2.5cmのメカニカルファスナストリップを切断した。幅2.5cmの紙リーダーをフックストリップの一端の平滑な面に取り付けた。次の手順を使用して、フック材料を低プロファイルループ材料に止着させた。フック材料を、フック側を下にして、おむつの低プロファイルループバックシート材料の上に配置した。中目の研磨紙を底面に付けた7.6cm×7.6cmの寸法の4.1kgの重りをフック材料の上に配置した。フックをバックシートループ材料と係合させるため、おむつを確実に平坦に保持し、おもりを右に45°、次いで左に90°、次いで右に90°、次いで左に45°捻った。次いで、重りを取り除き、おむつを、インストロン(Instron)(登録商標)モデル1122引張試験機の下顎に取り付けられる135°ジグスタンドの表面に当ててしっかり保持した。フック材料に取り付けられている紙リーダーの固定されていない端部を、引張試験機の上顎に入れた。毎分30.5cmのクロスヘッド速度、および、毎分50.8cmのチャート速度に設定されたチャート式記録計を使用し、フックストリップが135°の一定角度でループ材料から剥離される時の剥離力を記録した。4つの最高値の平均をグラムで記録し、g/幅2.54cmの単位で報告した。各おむつで10箇所の異なる位置を試験し、その10箇所の平均を表4に報告する。
【0051】
ループ材料「B」を使用して、メカニカルファスナフック材料の性能を測定した。ループ材料「B」は、ラビング・タッチ(Loving Touch)おむつ・サイズ3のバックシートの不織布側(即ち、外向きの側)である。
【0052】
密度および空隙率
ASTM D792−86を使用して、ウェブの密度を測定した。発泡性ポリマー混合物に組み込まれる発泡剤の量は、一般に、密度低下、即ち、[1−純粋なポリマーの密度に対する発泡体の密度の比]×100で測定する時、10%を超える、更に好ましくは20%を超える空隙率を有する発泡体が得られるように選択される。一般に、発泡体の空隙率が大きいほど、発泡体の密度、重量、および後の最終用途のための材料費が低減する。
【0053】
剛性
ASTM T543に記載されるようなガーレイ剛性(Gurley Stiffness)試験を使用して、ウェブの追従性又は剛性を測定した。
【0054】
不透明度
ASTM D1746を使用して、ウェブの不透明度を測定した。
【0055】
気泡サイズ、および気泡サイズ分布の多分散性
倍率約25倍のズームレンズを装備したライカ(Leica)顕微鏡を使用して、発泡体の断面の光学顕微鏡写真を取った。20個の気泡のサイズを測定し、重量平均サイズおよび数平均サイズを決定した。数平均サイズに対する重量平均サイズの比を気泡サイズ分布の多分散性として報告する。
【0056】
フック寸法
倍率約25倍のズームレンズを装備したライカ(Leica)顕微鏡を使用して、実施例と比較例のフック材料の寸法を測定した。サンプルをx−y可動ステージ上に配置して、ステージを移動させて測定し、最も近いミクロンを得た。最低3つの複製を使用し、各寸法の平均を求めた。ベースフィルムの厚みおよびフックレールの高さを配向工程の前後両方で測定した。
【実施例】
【0057】
実施例1
図1に示されるものと類似の装置を使用して、メカニカルファスナフックウェブを製造した。ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマー(7C06、1.5MFI、ダウ・ケミカル社、ミシガン州ミッドランド(Dow Chemical Corp.,Midland,MI))49%、高溶融強度ポリプロピレンホモポリマー(FH3400、チッソ(株)、日本、東京(Chisso Corp.Tokyo,Japan))49%、および化学発泡剤濃縮物(FM1307H、アゾジカルボンアミド50%/LDPE50%、アムパセット社、ニューヨーク州タリータウン(Ampacet Corp.,Tarrytown,NY))2%のブレンドを、6.35cm一軸スクリュー押出機(24:1L/D)を用い、「隆起形の」バレル温度プロファイル135℃−216℃−177℃、およびダイ温度約204℃を使用して押し出した。発泡剤の気体窒素への分解は、押出機の第2のゾーンで行った。押出物を、放電加工により開口部が切削加工されているダイリップを装備したダイを通して、垂直に下方に押し出した。押出物をダイリップで成形した後、水温約16℃〜20℃に維持した水タンク内で10.4m/分の速度で急冷した。得られる構造物は全体が発泡していた、即ち、ベースフィルム層と直立フックレールの両方が発泡していた。次いで、ウェブを切断ステーションに送り、そこで、リブ(ベース層は含まない)を、ウェブの横方向から測定して23°の角度で横方向に切断した。切断の間隔は254ミクロンであった。リブの切断後、ウェブのベースを第1の対のニップロールと第2の対のニップロール間で約3.5:1の延伸比で縦方向に延伸し、個々のフック要素をフック約8本/cmに更に分離させた。延伸前にウェブを柔軟にするため、第1の対のニップロールの上ロールを143℃に加熱した。1センチメートル当りリブが約10列又はフックに切断されたものが約10個あった。ベースフィルム層の厚みは、約230ミクロンであった。個々のフック要素の幅は、ウェブの横方向で測定する時、約520〜570ミクロンであった。発泡体気泡の平均気泡サイズは53ミクロンであり、多分散性指数は1.08であった。ウェブの断面を図5に示す。
【0058】
実施例2
ベースフィルム層だけを発泡させたこと以外、実施例1と同様にメカニカルファスナフックウェブを製造した。ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマー(C104、1.5MFI、ダウ・ケミカル(Dow Chemical))49%、高溶融強度ポリプロピレンホモポリマー(FH3400)49%、および化学発泡剤濃縮物(FM1307H)2%のブレンドを、6.35cm一軸スクリュー押出機(24:1L/D)を用い、「隆起形の」バレル温度プロファイル135℃−210℃−177℃、およびダイ温度約204℃を使用して押し出し、ベースフィルム層を形成した。C104コポリマーを100%使用して非発泡フックレールを形成し、3.8cm一軸スクリュー押出機(28:1L/D)を用い、供給ゾーンで204℃、最後のゾーンで232℃の傾斜バレルプロファイルを使用して押し出した。2層の成形体が得られるように、第3層の入口を封鎖した状態で、2つの押出機の溶融物流を3層共押出しフィードブロック(クローレン社、テキサス州オレンジ(Cloeren Co.,Orange,TX))に供給した。実施例1と同じ異形押出ダイリップを装備した20cmのダイにフィードブロックを取り付けた。フィードブロックおよびダイを204℃に維持した。押出物をダイリップで成形した後、水温約16℃〜20℃に維持した水タンク内で10.7m/分の速度で急冷した。次いで、ウェブを切断ステーションに送り、そこで、リブ(ベース層は含まない)を、ウェブの横方向から測定して23°の角度で横方向に切断した。切断の間隔は254ミクロンであった。リブの切断後、ウェブのベースを第1の対のニップロールと第2の対のニップロール間で約3.5:1の延伸比で縦方向に延伸し、個々のフック要素をフック約8本/cmに更に分離させた。延伸前にウェブを柔軟にするため、第1の対のニップロールの上ロールを143℃に加熱した。1センチメートル当りリブが約10列又はフックに切断されたものが約10個あった。ベースフィルム層の厚みは、約240ミクロンであった。個々のフック要素の幅は、ウェブの横方向で測定する時、約305〜356ミクロンであった。発泡体気泡の平均気泡サイズは61ミクロンであり、多分散性指数は1.05であった。
【0059】
実施例3
フックレールを発泡させ、ベースフィルム層は発泡させなかったこと以外、実施例2と同様にメカニカルファスナフックウェブを製造した。C104コポリマー49%、FH3400ポリプロピレン49%、および化学発泡剤濃縮物(FM1307H)2%のブレンドを、3.8cm一軸スクリュー押出機(28:1L/D)を用い、「隆起形の」バレル温度プロファイル135℃−210℃−177℃を使用して押し出し、フックレールを形成した。7C06インパクトコポリマー(ユニオンカーバイド社、コネチカット州ダンバリー(Union Carbide Corp.,Danbury,CT))を100%使用して非発泡ベースフィルム層を形成し、6.35cm一軸スクリュー押出機(24:1L/D)を用い、供給ゾーンで204℃、最後のゾーンで232℃の傾斜バレルプロファイルを使用して押し出した。2層の成形体が得られるように、第3層の入口を封鎖した状態で、2つの押出機の溶融物流を3層共押出しフィードブロック(クローレン社、テキサス州オレンジ(Cloeren Co.,Orange,TX))に供給した。異形押出ダイリップを装備した20cmのダイにフィードブロックを取り付けた。フィードブロックおよびダイを204℃に維持した。押出物をダイリップで成形した後、水温約16℃〜20℃に維持した水タンク内で4.6m/分の速度で急冷した。得られる構造物は、頂部から下方にベースの方に測定する時、高さの約70%、発泡した直立フックレールを有する非発泡ベースフィルム層を有した。次いで、ウェブを切断ステーションに送り、そこで、リブ(ベース層は含まない)を、ウェブの横方向から測定して23°の角度で横方向に切断した。切断の間隔は305ミクロンであった。リブの切断後、ウェブのベースを第1の対のニップロールと第2の対のニップロールの間で約3.5:1の延伸比で縦方向に延伸し、個々のフック要素をフック約12本/cmに更に分離させた。延伸前にウェブを柔軟にするため、第1の対のニップロールの上ロールを143℃に加熱した。1センチメートル当りリブが約15列又はフックに切断されたものが約15個あった。ベースフィルム層の厚みは、約165〜240ミクロンであった。個々のフック要素の幅は、ウェブの横方向で測定する時、約200ミクロンであった。発泡体気泡の平均気泡サイズは50ミクロンであり、多分散性指数は1.03であった。
【0060】
実施例4
米国特許第5,845,375号明細書に記載されるミクロ複製成形プロセス、および図1に示されるものと類似の装置を使用して、メカニカルファスナフックウェブを製造した。超低密度ポリエチレン(アフィニティ(AFFINITY)8200、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Corp.))29%、高溶融強度ポリプロピレンホモポリマー(プロファックス(PROFAX)PF814、バセル(Basell)USA)68%、およびFM1307H化学発泡剤濃縮物2%のブレンドを、6.35cm一軸スクリュー押出機(24:1L/D)を用い、「隆起形の」バレル温度プロファイル143℃−232℃−154℃、およびダイ温度約163℃を使用して押し出した。発泡剤の気体窒素への分解は、押出機の第2のゾーンで行った。押出物をライン速度4.3m/分で垂直に下方に押し出して、シリコーンゴムで被覆されたロールと鋼製ロールにより形成されるニップに入れた。ニップ圧力は1.1kg/cm2(15psi)に制御され、ロールの温度は両方とも32℃に維持された。ゴムロールのシリコーンゴム被覆は、米国特許第5,792,411号明細書に記載されるプロセスを使用し、1平方センチメートル当りキャビティ約46個のロール表面密度で、深さ約2300ミクロンのキャビティを有するように機械加工された。発泡体気泡の平均気泡サイズは58ミクロンであり、多分散性指数は1.07であった。発泡溶融物の気泡サイズが小さいため、シリコーンゴム中のキャビティの正確な複製が可能であり、その結果、高さ約760ミクロンの独立の直立発泡突起を有する、厚み約1020ミクロンの発泡ベースフィルムが得られた。
【0061】
比較例C1
7C06コポリマー98%とFM1307H発泡剤2%からなる、ブレンドされた押出物中に高溶融強度ポリプロピレンを使用しなかったこと以外、実施例1と同様にメカニカルファスナフックウェブを製造した。高溶融強度ポリプロピレンを含有しなかったため、押出物中の発泡体気泡サイズが顕著に大きくなり、その結果、ダイリッププロファイルの複製は非常に不良であり、特徴に顕著な歪が生じた。ウェブの断面の光学顕微鏡写真を図6に示す。
【0062】
表1は、切断および配向工程前のウェブの寸法および特性の幾つかを示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表2は、切断および配向工程後のウェブの寸法および特性の幾つかを示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表3は、フック材料切断の幾つかの追加の特性を示す。
【0067】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの外面を有するポリマー発泡体ベース層を備える発泡物品であって、前記外面が、空隙を備える複数の一体発泡された表面微細構造を少なくとも1つの領域に有し、前記微細構造の少なくとも1つの寸法が10ミクロンより大きく、前記発泡体を形成する前記空隙の平均断面寸法が前記微細構造の最小断面寸法より小さい発泡物品。
【請求項2】
前記微細構造の最小断面寸法が幅又は厚み寸法であり、且つ約50ミクロン以上であり、前記微細構造の高さが概ね1000ミクロンであり、前記最小断面寸法に対する前記平均発泡体気泡サイズの比が0.75以下であり、前記ポリマーが、少なくとも一部、190℃で25〜60cNの範囲の溶融強度を有する高溶融強度ポリプロピレンであり、前記ベース層が少なくとも一方向に配向している、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項3】
前記最小断面寸法が約50ミクロン以上の幅寸法であり、前記微細構造の高さが概ね750ミクロン以下であり、前記最小断面寸法に対する前記平均発泡体気泡サイズの比が0.5以下であり、前記ポリマーが、少なくとも一部、190℃で30〜55cNの溶融強度を有する高溶融強度ポリプロピレンであり、前記ベース層が少なくとも一方向に配向している、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項4】
前記最小断面寸法に対する前記発泡体気泡サイズの比が0.75ミクロン以下であり、且つ前記微細構造の高さが最小で200ミクロン以上である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項5】
前記最小断面寸法に対する前記発泡体気泡サイズの比が0.5ミクロン以下であり、且つ微細構造の高さが最小で300ミクロン以上である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項6】
微細構造の断面大きさが最小で50ミクロン以上である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項7】
微細構造の高さが200ミクロン以上である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項8】
微細構造の断面大きさが、最大で300ミクロン以下である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項9】
微細構造の断面大きさが、最大で200ミクロン以下である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項10】
前記ベース層がフィルム層である、請求項1に記載の発泡物品。
【請求項11】
前記発泡体の気泡サイズが5〜50ミクロンであり、気泡サイズの多分散が1〜2である、請求項10に記載の発泡物品。
【請求項12】
前記微細構造がフック構造を備える、請求項10に記載の発泡物品。
【請求項13】
少なくとも1つのフック封止タブおよび合わせ繊維構造を有する使い捨て吸収性物品であって、前記フック封止タブが、少なくとも1つの外面を有するポリマー発泡体ベース層を備え、前記外面が、空隙を備える複数の発泡表面微細構造を少なくとも1つの領域に有し、前記微細構造の少なくとも1つの寸法が10ミクロン未満であり、前記発泡体を形成する前記空隙の断面寸法が前記微細構造の最小断面寸法より小さく、ここで、前記微細構造がフック構造である、使い捨て吸収性物品。
【請求項14】
前記フック構造の高さが約0.1〜1.3mmである、請求項13に記載の発泡物品。
【請求項15】
密度が、フック60〜1000本/cmである、請求項13に記載の発泡物品。
【請求項16】
前記フックが、ステム部分および頭部部分を有する、請求項13に記載の発泡物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−116989(P2011−116989A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−6237(P2011−6237)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2006−517167(P2006−517167)の分割
【原出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】