一体的に並置された(co−located)支持繊維及び濾過繊維を含む不織布メルトブローン液体濾過体(media)の製造方法及び製造装置
【課題】メルトブローン不織布繊維構造であって、少なくとも1つの濾過ゾーンが、比較的小さい直径の濾過繊維と一体的に並置された比較的大きい直径の支持繊維から成り、広い範囲の「工作された」物理的性質を有するフィルターカートリッジを提供する。
【解決手段】支持繊維は、これと一体的に並置された濾過繊維と比べて、平均して比較的大きい直径を有する。好ましくは濾過体は、濾過要素の少なくとも1つの環状ゾーン内に配置されている。例えば使い捨て円筒形フィルターカートリッジであり、これは軸方向に細長い中央中空通路12を有し、この通路は濾過体によって取囲まれている。従ってデプスフィルターカートリッジは、1つ又はそれ以上の追加ゾーンZ1、Z2、Z3を互いに対して環状の関係に備えて形成されていてもよい。
【解決手段】支持繊維は、これと一体的に並置された濾過繊維と比べて、平均して比較的大きい直径を有する。好ましくは濾過体は、濾過要素の少なくとも1つの環状ゾーン内に配置されている。例えば使い捨て円筒形フィルターカートリッジであり、これは軸方向に細長い中央中空通路12を有し、この通路は濾過体によって取囲まれている。従ってデプスフィルターカートリッジは、1つ又はそれ以上の追加ゾーンZ1、Z2、Z3を互いに対して環状の関係に備えて形成されていてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に液体濾過の分野に関する。より特定すれば本発明は、メルトブローン液体濾過体の製造方法及び製造装置に関する。本発明により製造されるメルトブローン液体濾過体の好ましい形態において、円筒形使い捨てフィルターカートリッジであって、フィルター体がいくつかの環状に隣接した不織布メルトブローン濾過体層の少なくとも1つに配置されているフィルターカートリッジとして具体化されている。この点に関して、環状に隣接したいくつかの層は、フィルターカートリッジの深さ全体に、選択的液体濾過効率勾配が得られるように、段階のある細孔サイズ/密度を有していてもよい(すなわちいわゆる「デプスフィルターカートリッジ」)。
【背景技術】
【0002】
メルトブローンポリマーの不織布塊体から形成されるデプスフィルターカートリッジはよく知られており、液体濾過の用途に広く用いられるようになっている。一般に、このようなメルトブローンフィルターカートリッジは、メルトブローイングダイと組合わされたオリフィスにポリマーを押出して繊維を形成し、これらの繊維を回転成形マンドレルの方に送ることによって製造される。メルトブローイングの間、不活性ガス(例えば空気)は溶融繊維に作用し、繊維は比較的小さい直径に繊細化され、これらの繊細化された繊維は無作為に成形マンドレルに分配される。従って時間が経過するにつれて、無作為に相互に混ざり合った凝固不織布繊維塊体が、成形マンドレルに形成される。従ってメルトブローイングダイに対するメルトブローン繊維の形成塊体の制御された軸運動によって、無限の長さの円筒形フィルターカートリッジが連続的に形成される。
【0003】
メルトブローイングの間、メルトブローイングダイと組合わされた作業条件の1つ又はそれ以上は、繊維直径及び/又は密度、従って細孔サイズに関して、結果として生じるメルトブローン繊維の様々な属性がそれに応じて得られるように、様々に変えうることは知られている。例えば米国特許第3,904,798号及び第3,801,400号において(これらの各特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)、次のような技術が開示されている。すなわち(i)ポリマーの温度、(ii)ポリマー押出し速度、(iii)成形マンドレルの回転速度、(iv)メルトブローイングダイと成形マンドレルとの距離、及び/又は(v)成形マンドレルと組合わされたアイドラーロールの重量は、既にメルトブローンされている隣接層に対して、メルトブローン繊維の密度を徐々に変えるために、変更してもよいという技術である。
【0004】
米国特許第4,594,202号及び第4,726,901号(これらの各特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)は、メルトブローン繊維の繊維直径を調節によって様々に変えて、実質的な繊維対繊維結合を伴わずに、フィルターカートリッジの半径方向の大きさ(深さ)全体において、繊維直径分散の各レベルに対して実質的に一定のボイド容積を得る技術について開示している。
【0005】
フィルターカートリッジは、使用中、その半径方向の厚みにおいてかなりな圧力降下に耐えるものでなければならない(この圧力降下は、濾過された液体から除去された微粒子の取込みの増加に伴って増す)。フィルターカートリッジが、フィルター体の圧潰を伴なわずに設計上の制限内で圧力降下に耐えうるためには、個別孔あき管状コア(この周りにフィルター体が配置されている)を含ませることがこれまでの通常の方法であった。(この点に関しては、米国特許第3,933,557号、第4,032,688号、及び第4,112,159号参照。これらの各特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている。)
【0006】
メルトブローン繊維の不織布塊体を含む「コアの無い」デプスフィルターカートリッジを形成することも、当技術において提案されている。例えば米国特許第4,240,864号(この特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)は、様々な媒体密度のフィルターを得るために、成形マンドレルに蓄積される繊維へ加える圧力を変えて、コアの無いメルトブローンフィルターカートリッジを製造する技術について開示している。従って、様々な層における繊維の直径は実質的に一定であるにもかかわらず、このような蓄積された繊維への圧力をゾーン毎に変えることによって、最も内側のゾーンが一体型「コア」として用いるのに十分なほど高い密度を有するフィルターカートリッジを製造することができる。
【0007】
さらに最近になって、米国特許第5,340,479号(この特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)は、メルトブローン繊維から形成されているデプスフィルターカートリッジを開示している。これは、フィルター中央部位に支持フィラメントを有し、この直径は、フィルター構造の残りを圧潰せずに支えるのに十分な強さのある構造へと熱結合されるのに十分な大きさを有するものである。比較的大きな直径の繊維のこのゾーンは、従って比較的小さい直径の濾過繊維を取囲んでいる残りの部分に対して、一体型「コア」として機能する。
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,904,798号明細書
【特許文献2】米国特許第3,801,400号明細書
【特許文献3】米国特許第4,594,202号明細書
【特許文献4】米国特許第4,726,901号明細書
【特許文献5】米国特許第3,933,557号明細書
【特許文献6】米国特許第4,032,688号明細書
【特許文献7】米国特許第4,112,159号明細書
【特許文献8】米国特許第4,240,864号明細書
【特許文献9】米国特許第5,340,479号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記フィルターカートリッジは、いくつかの有利な属性を有してはいるが、依然としていくつかの改善が必要である。例えば、環状濾過ゾーンの1つ又はそれ以上に一体型支持構造が備えられている、メルトブローン不織布フィルターカートリッジが提供されるならば特に望ましいであろう。さらに望ましいのは、このような一体型支持構造が連続的に生産されるメルトブローン支持繊維の形態であり、これらの繊維が環状濾過ゾーンの1つ又はそれ以上の内部において、メルトブローン濾過繊維と共に一体的に並置され(すなわち混ざり合い)、従って濾過特性及び圧力降下範囲が、特定の最終用途に適合するために、選択的に「工作(engineered)」されうるものである。本発明が目的とするのは、このようなニーズを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
広義には本発明は、互いに一体的に並置された不織布メルトブローン支持繊維と濾過繊維との塊体から形成される濾過体として具体化されている。支持繊維は平均して、支持繊維と一体的に並置された濾過繊維と比較して、比較的大きい直径を有する。好ましい実施態様において、濾過体は、濾過要素の少なくとも1つの環状ゾーン内に配置されている。例えばこれは、濾過体によって取囲まれている軸方向に細長い中央中空通路を有する、使い捨て円筒形フィルターカートリッジである。
【0011】
従って本発明による円筒形フィルターカートリッジは、好ましくは軸方向に細長い中央中空通路を取囲んでいる、少なくとも1つの環状濾過ゾーンを含むものである。これはまた、並置された比較的大きい直径の支持繊維と、比較的小さい直径の濾過繊維とから一体的に形成されているものである。従って、本発明によるデプスフィルターカートリッジは、互いに対して環状の関係にある1つ又はそれ以上の追加濾過ゾーン(これらの追加濾過ゾーンは、各々、一体的に並置された支持繊維を備えていてもよく、備えていなくてもよい)を有するものとして形成されていてもよい。少なくとも1つの濾過ゾーンが、比較的小さい直径の濾過繊維と一体的に並置された比較的大きい直径の支持繊維から成る、本発明によるメルトブローン不織布繊維構造から生じる結果として、広い範囲の「工作された」物理的性質(例えば濾過、圧力降下許容差等に関するもの)を有するフィルターカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明のその他の側面及び利点は、本発明の好ましい実施態様の次の詳細な記載を注意深く考察すれば、より明らかになるであろう。
【0013】
以下、添付図を参照する。図面において、様々な図面全体の同様な参照番号は、同様な構造要素を示す。
【0014】
本発明によるデプスフィルターカートリッジFCを製造するのに特に適した装置10の1つの形態を、添付図1に従って概略的に示す。図面から分るように、装置10は一般に成形マンドレルを含んでおり、これは長い孔あき管12を具備しており、(これは最終的にはフィルターカートリッジFCのコアを形成するものである)、この管は、歪んだ駆動ローラ14a〜14cによって、軸運動及び回転運動(各々矢印Aa及びAr)のために支持されている。図示されていないが、下流ではもう1組みのローラ14a〜14cが用いられており、これは管12の濾過体の外側表面と接触している。1列のメルトブローイングダイ16a〜16cには、各々の押出機18a〜18cによって供給が行なわれるが、このダイ列は、孔あき管12の軸運動(矢印Aa)に対して平行に並べられ、濾過繊維を孔あき管12の方へ連続的にメルトブローし、これによって各々、フィルターカートリッジFCの少なくとも3つの環状ゾーンZ1〜Z3が生じる(図4も参照)。
【0015】
メルトブローイングダイ16a〜16cはそれ自体が次の点で通常のものである。すなわちこれらには、各々、ライン19を経て加圧流体(例えば加圧空気)流が供給され、この流は、各ダイから排出される繊維メルト流に作用し、個々の繊維を繊細化し、これらを孔あき管12の方へ進ませるという点である。しかしながら、各々のダイ16a〜16cと組合わされた押出機18a〜18c及び/又は空気流を、計量ポンプ20a〜20c及び流量調節器21a〜21cによって個別に調節してもよい。これらの調節器は、マスター調節器MC1と操作によって(operatively)組合わされる。従って押出機は、温度、ポリマー流量等に関して調節しうる一方、空気流は、圧力、流量等について調節することができ、従って所望の直径のメルトブローン繊維を得るために、作業条件をいくつでも選ぶことができる。これらの作業条件は、製造したいと望む所望のフィルターカートリッジFCに応じて、オペレーターがマスター調節器MC1に示すことができ、従って様々な環状ゾーンZ1〜Z3を自動的に製造することができる。
【0016】
孔あき管の軸運動(及び従ってメルトブローイングダイ16a〜16cの操作によって、環状ゾーンZ1〜Z3に各々蓄積されるメルトブローン繊維)は、歪んだ駆動ローラ14a〜14cの回転速度及び回転角度によって調節される。しかしながら最終的には、無限ではあるが予め定められた長さのダイ16a〜16cから来る蓄積メルトブローン繊維から形成された管状部分は、ダイ16a〜16cの列を超えて軸方向に伸びるものである。ついで、通常の切断装置(例えば往復運動をするように備えられていてもよい電動のこぎりMS)は、手動又は自動操作されてもよく、延長された長さを切断し、これによってフィルターカートリッジFCが形成される。このようにして、図1に示されている装置10は、連続的にフィルターカートリッジFCを形成する。ついでフィルターカートリッジFCはさらに、次のサイジング工程(図示されていない)において、最終長さに切断されてもよい。
【0017】
本発明にとって重要な装置10には、少なくとも1つの追加メルトブローイングダイ22aが備えられている。これは、円錐形の収集/移送ローラ23とは、半径方向に間隔をあけて配置された関係にある。ダイ16a〜16cのように、ダイ22aは、次の点で通常の設計のものである。すなわちこのダイは、複数のポリマー繊維メルト流を排出し、これらの流は、加圧流体(例えば空気)流による作用を受け、この流はライン25を経てダイ22aへ供給されるものであるという点である。ダイ22aへポリマーのメルト流を供給する押出機24aの操作は、ダイ22aと組合わされた流体流と共に、各々、調節器27a及び29aによって制御されてもよく、ダイ16aによって形成された濾過繊維の直径と比較して、比較的大きい直径の支持繊維が得られる。調節器27a及び29aは、オペレーターが、所望の直径の支持繊維を得るために必要な作業設定点を入力できるように、操作によってマスター調節器MC2と連結されるものであってもよい。ダイ22aが収集/移送ローラ23に対して配置されるに際しては、ここから出て来る繊細化支持繊維が、ローラ23の回転外側表面に突き当たり、これによって運ばれ、ダイ16a及び/又は16bから出る濾過繊維流に対して向けられ、かつ図2Aに概略的に示されているように、形成しつつあるフィルターカートリッジの表面上へ送られるように配置される。従って、図2(A)に示されているようにダイ22aを配置することによって、ここから出てくる支持繊維流は、実質的に、ダイ16a及び/又は16bから出る濾過繊維流と組合わされた繊細化空気流によって、実質的に影響を受けなくなる。逆も同様である。換言すれば、一方でダイ22aから、他方でダイ16a及び16bから出る、繊維流及びこれらと組合わされた繊細化空気流は、互いに遮られるか、あるいは互いから「隠される」。これは、収集/移送ローラ23が、ダイ22aと、ダイ16a及び16bとの間に置かれているからである。従って適切なプロセス制御を、各々の流に対して実施することができる。
【0018】
ダイ22a及びダイ16aのもう1つの配列が、添付図2(B)に概略的に示されている。図から分るように、ダイ22a及びダイ16aは、実質的に収集/移送ローラ23と同じ平面にあるが、反対側に配置されている。すなわちダイ22a及びダイ16aは、互いに軸方向に向かい合う関係に並べられている。このような配列では、ローラ23は有利にも、図2(A)を参照して前記されたような流れを遮る配置によって、ダイ23aから出る繊維流がダイ16aから出る繊維流を破壊するのを妨げる働きをすることになる。従って本発明によれば、ダイ22aは、収集/移送ローラ23を通る水平平面に対して約0°〜約90°の角度に向けられてもよい。図2(A)に示された実施態様が用いられる場合、ダイ22aは最も好ましくは、収集/移送ローラ23を通る水平平面に対して約45°の角度に向けられる。
【0019】
ダイ22aから出る繊維は、ダイ16a及び/又はダイ16bから出る濾過繊維流に対して向けられるようになるまで、支持繊維がローラ23の回転部分全体において十分に溶融状態に維持されるように高温にある。従ってこのようにして、支持繊維は、ダイ16a及び/又はダイ16bから出る濾過繊維流に対して十分に溶融状態で向けられるので、支持繊維と濾過繊維の少なくともいくつかは、それらが交差する地点において互いに融解結合する。すなわち、支持繊維は十分に軟化されるか又は溶融状態に維持されるので、ローラ23とついで形成されるフィルターカートリッジとの間のロール間隙部位での濾過繊維の衝撃によって、支持繊維及び濾過繊維の少なくともいくつかが、各々の交差地点において互いに融解結合されることになる。この際、このような支持繊維と濾過繊維は、冷却された時、一体的に融合する程度にまでなる。支持繊維及び濾過繊維の少なくともいくつかがこのように融合することは、非常に有利である。この融合は、フィルターカートリッジが、半径方向の厚みにおいて大きい圧力降下に耐える、改善された能力を獲得するのに役立つと考えられるからである。所望であれば、収集/移送ローラ23を、外部手段、例えば抵抗加熱器及び/又は図1の加熱器23aによって概略的に示されているように、ローラ23に通された加熱流体(例えば加熱空気)によって加熱し、濾過繊維に向けられた時に、支持繊維の所望の少なくとも一部溶融特性を得るようにしてもよい。
【0020】
あるいはまた支持繊維ダイ22aは、濾過繊維ダイ16aに対して、図3に示されているように配置されてもよい。図示されているように、支持繊維ダイ22aは、このダイから出る支持繊維が、ダイ16aから出る濾過繊維流と共にエントレインされるように配置してもよい。このもう1つのダイ配列において、ダイ22aは最も好ましくは、ダイ16aに対して実質的に90°の位置に配置されるが、このダイの下流に位置する。このようにして、ダイ22aから出る支持繊維はエントレインされ、ダイ16aから出る濾過繊維と均一に混ざり合い、支持繊維と濾過繊維との両方から成る不織布縒り(entangled)塊体が形成される。ストライキングによって、フィルターカートリッジが形成される。この場合も、支持繊維及び濾過繊維は、図2(A)及び(B)を参照して前記したように、ある程度まで熱接着される。
【0021】
図1〜3を参照して前記された装置を用いて形成された、デプスフィルターカートリッジの一例を添付図4に示す。図4に示されたフィルターカートリッジFCは、中央孔あき管12を取囲む3つの環状濾過ゾーンZ1〜Z3を含んでいる。これは、3つのダイ16a〜16cが装置10に用いられているからである。しかしながら特別なフィルターカートリッジ設計パラメーターによっては、3つのダイ16a〜16cより多い、又は少ないダイを用いてもよい。従って追加のダイ16d及びそれと組合わされた押出機18d及び調節器20d、21dを、ダイ16cの下流に備えて、4つ目の環状濾過ゾーンを形成してもよい。1つ又は2つだけのダイ、例えば同様に、ダイ16a及び/又は16bと、これらに組合わされた各々の押出機18a及び18bを用いて、1つ又は2つだけの対応環状ゾーンを備えたフィルターカートリッジを形成することもできる。
【0022】
同様に、1つ又はそれ以上の他のダイ(例えば図1に示されたダイ22b及びこれと組合わされた押出機24b及び調節器27b、29b)は、ダイ16b〜16c(もしあれば、ダイ16dも)の1つ又はそれ以上と半径方向に間隔があけられた関係に配置されてもよい。従ってその他の環状ゾーンには、ダイ22a及びこれと組合わされた押出機24aによって備えられているものと同様に、比較的大きな直径の支持繊維が備えられていてもよい。同様に、例えば異なるポリマーの非支持繊維を並置するようにこれらの追加ダイ22bをも備えて、環状ゾーンZ1、Z2及び/又はZ3の1つ又はそれ以上において、繊維ミックスを得るようにしてもよい。しかしながらダイ22bは、ダイ22aと同じ押出機24aから供給を受けてもよく、従って同じポリマーの支持繊維が形成される。いずれにしても、ダイ22a及び/又は22bの作業条件は、種々の相対直径の支持繊維が形成されるように選んでもよい。従って例えばダイ22bを用いて、ダイ22aから形成された支持繊維及びダイ16aから形成された濾過繊維と比較して、中間の直径の支持繊維を形成するようにしてもよい。
【0023】
ダイ22a及びダイ16aのうちの1つだけが図2(A)、(B)及び図3に示されているが、これらの図面に関する前記考察は、ダイ22b及びダイ16b〜16dの相対的な向きにも同様に適用できると理解すべきである。
【0024】
前記装置10において、各々、ダイ16a及びダイ22aの操作によって、比較的大きい直径の支持繊維及び比較的小さい直径の濾過繊維が備えられるのは、最も内側の環状ゾーンZ1である。しかしながらこれも前記されているように、その他のゾーンZ2〜Z3の1つ又はそれ以上にも、このように比較的大きな直径の支持繊維が備えられていてもよい。例として挙げられているゾーンZ1を形成する繊維構造の概略図が、添付図5に示されている。
【0025】
比較的小さい直径の濾過繊維30と比較的大きい直径の支持繊維32は、ゾーンZ1内において一体的に並置されている。すなわち濾過繊維30及び支持繊維32は、それらの各々のダイ16a及び22aによってメルトブローンされ、互いに混合されるように、中央管12に突き当たる。従って、この明細書及び添付クレームで用いられている「一体的に並置された」という用語は、比較的小さい直径の濾過繊維30と比較的大きい直径の支持繊維32が、互いに均一に混ざり合っているという意味である。比較的小さい直径の濾過繊維と比較的大きい直径の支持繊維はまた、ある程度まで熱結合されてもよい。すなわち上記で簡単に説明したように、濾過繊維の少なくともいくつかは、各々の交差地点において、支持繊維の少なくともいくつかと熱融合されてもよい。
【0026】
図5に示されているように、比較的大きい直径の支持繊維32は、濾過繊維30の縺れた塊体が占めるオープン部位又はボイドスペースのランダムマトリックスを形成する。従って支持繊維32によって画定されるボイドスペースのこのランダムマトリックスから、濾過繊維30を支持するためのネットワーク構造を生じる。支持繊維32は、濾過カートリッジの濾過特性には実質的に寄与しないと推測される。それに対して全体的な濾過効率は、支持繊維ネットワークのボイドスペースを占める濾過繊維30の塊体によって実質的に決定されると考えられる。しかしながら支持繊維は、圧力の増加による圧潰に抵抗して濾過繊維30を支えることに実質的に寄与すると考えられる。従って使用中、これらの濾過効率を引き延ばすことができる。
【0027】
好ましくは比較的小さい直径の濾過繊維は、平均直径が約1μm〜約50μm、より好ましくは約1μm〜約40μmである。比較的大きい直径の支持繊維は、好ましくは平均直径が約60μm〜約500μmであり、より好ましくは約80μm〜約300μmである。前記濾過繊維直径は、濾過カートリッジの個々の環状ゾーン内の平均直径である。平均濾過繊維直径が約20μmより大きいフィルターカートリッジゾーンには、支持繊維が存在する必要がないであろう。しかしながら比較的大きい直径の支持繊維は、もしフィルターカートリッジゾーン内にあるとすれば、このような支持繊維が用いられている濾過ゾーンを構成する繊維の好ましくは約10〜約60重量%、より好ましくは約20〜約50重量%含まれることになる。
【0028】
事実上、本発明によるフィルターカートリッジFCを形成するためには、メルトブローンされうるあらゆるポリマーを用いることができる。例えばこのようなポリマーは、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマー及びコポリマー)、ポリアミド(例えばナイロン−6、ナイロン−6,6、及びその他のナイロン)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等)、アセタール、フルオロポリマー(例えばエチレン−クロロトリフルオロ−エチレン)、ポリフェニレンスルフィド、生分解性ポリマー(例えばポリ(ラクチド))、液体結晶ポリマー、リサイクルポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン、ビニリデンモノマーのポリマー、例えばビニルクロライド、ビニルアセテート、ビニリデンクロライド及びアクリロニトリル、及びこれらの混合物であってもよい。特に好ましいものは、ポリオレフィン、ポリエステル、及びナイロンである。
【0029】
個別ゾーンZ1〜Z3は、同じポリマーから形成される濾過繊維から成っていてもよい。あるいはフィルターカートリッジの設計者が目指す特別な最終用途に合わせるために、種々のポリマーから形成されていてもよい。同様に、濾過繊維30及び支持繊維32は、同じポリマー又は異なるポリマーから形成されていてもよく、あるいは要望に応じて、同じポリマーの種々のメルトフローインデックスから形成されていてもよい。
【0030】
この発明は、下記の非限定的な実施例を参照すればよりよく理解できよう。
【実施例】
【0031】
A 一般情報
下記実施例において、本発明のカートリッジIC1〜IC6として示されているいくつかのフィルターカートリッジを、本質的には図3に示されている種類の装置を用いて製造したが、次のように修正した。濾過繊維は、3つの通常の6インチ幅メルトブローイングダイから発生したが、これらの各々は、88個の直径0.015インチポリマーオリフィスと、調節可能なエアギャップを備えている。ダイは、図1に示されているように、フィルターカートリッジの支持コアに平行に並べられ、これによって、濾過体の3つの環状ゾーンを含むフィルターカートリッジが形成された。濾過繊維ダイエアギャップのセットは、内部、中間、及び外部ゾーンダイにおいて、各々0.025、0.030、及び0.035インチであった。
【0032】
各ダイには、独立駆動の計量型ポンプから溶融ポリマーが供給された。各計量型ポンプには、3/4インチ直径の24/lL/D押出機(キリオン・エクストルーダーズ・インコーポレイティッド(Killion Extruders,Inc.)モデルKLB 075)によって供給が行なわれた。加熱圧縮空気も3つのダイに供給され、これによって繊維が繊細化され、繊維が支持コアの方へ送られた。実施例においては、種々の空気温度が用いられた。しかしながら各実施例において、3つのダイの各々では空気温度は同じであった。空気流量、ポリマー温度、及びポリマー流量の作業変数は、対応フィルター体ゾーンにおいて所望の直径の濾過繊維を生じるように、各ダイごとに選定された。ダイの表面から支持コアまでの距離(すなわち濾過繊維が繊細化され、空気流によって運ばれる距離)は、すべての実施例において、一定の16インチに維持された。
【0033】
支持繊維は、適切な繊維形成ダイを備えた、単一の1インチ直径の24/1L/D押出機(レインヴィル・カンパニー(Rainville Company))から生じたものである。支持繊維形成には、下記の2つの異なったダイ設計が用いられた。押出機は、高さ及び角度調節器を備えた可動ベースに取り付けられているが、これは、濾過繊維流及びカートリッジに対するダイの位置決めにかなりの柔軟性を与えるものであった。下記実施例において、種々のダイ位置が用いられた。すべての実施例において、支持繊維ダイは、支持繊維が濾過繊維ダイとカートリッジとの間において、濾過繊維流に直接排出されるように配置された。支持繊維ダイは、濾過繊維流に対して約90°の角度が付けられ、濾過繊維流より概算距離約9インチだけ高いところに配置された。支持繊維ダイも、支持繊維が、濾過繊維ダイの出口近くで濾過繊維流に入るように配置された(すなわち濾過繊維ダイの下流に約2インチだけ間隔があけられている)。濾過繊維ダイに供給が行なわれるのと同じ源から、圧縮加熱空気が支持繊維ダイに供給された。従って支持繊維ダイは、濾過繊維ダイと同じ空気温度で操作が行なわれた。支持繊維ダイから排出された空気は、支持繊維を繊細化するため、及びこれらの繊維を濾過繊維流内に送るための両方に利用された。ついで支持繊維は、濾過繊維空気流によってカートリッジに吹き付けられた。空気流量、ポリマー温度、及びポリマー流量の作業変数は、所望の直径の支持繊維を得るために選定された。
【0034】
支持繊維と濾過繊維のどちらも、孔あき支持管に収集された。この管は、約250RPMの一般的速度で回転し、1分あたり約19インチの一般的な率で軸方向に移動するものであった。これらの速度は必要であれば、操作中、一般的に均一なカートリッジ外径を維持するために調節された。
【0035】
他の記載がなければ、下記実施例において濾過繊維も支持繊維も、ポリプロピレンホモポリマー材料から形成された。この材料は、供給時にはメルト流量が38g/10分であり、密度が.904g/cm3である(アモコ・ケミカル・カンパニー(Amoco Chemical Company)、グレード7956)。用いられた孔あき支持管は、直径1.31インチO.D.×1.09インチI.D.の工業規格射出成形ポリプロピレンフィルターコアであった。実施例のカートリッジの大きさは、2.44インチO.D.×1.09インチI.D.×長さ10インチであった。
【0036】
本発明のカートリッジIC1〜IC6に関する平均媒体(medium)ボイド容積及び空気透過性は、次のようにして測定された。
【0037】
平均媒体ボイド容積:%で表わされたカートリッジ内のフィルター体の平均ボイド容積。この特性は、フィルター体のサンプルの大きさ(内径、外径、及び長さ)及び重量を測定し、サンプルの密度を計算して決定された。ついで平均ボイド容積を次のようにして計算した:
平均媒体ボイド容積=(Dr−Dm)/Dr(100)
ここにおいて、Drは樹脂の密度(=.904g/cm3)であり、Dmは媒体の密度である。
【0038】
空気透過性:特定の空気流量において、差圧単位で表示された、完全な未使用フィルターカートリッジの空気透過性。この特性は、2SCFM/10”カートリッジの割合で圧縮空気をカートリッジに流し、同時にカートリッジにおける差圧(水のインチにおける△P)を測定して決定された。流れの方向は内側から外側へ、すなわち最初に孔あき支持管を通り、次に濾過体を通るものであった。
【0039】
本発明のカートリッジIC1〜IC6の平均媒体ボイド容積、空気透過性、及びその他の物理的特性は、下記物理的データ表に示されている。
【0040】
B フィルターカートリッジの性能テスト
実施例のカートリッジの濾過特性は、メムテック・アメリカ・コーポレーション(Memtec America Corporation)技術報告書第1903−T号(1991年)(この全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれる)に記載された手順を用いて評価した。ついでテストサンプルを分析して、下記特性及びデータを得た。
【0041】
当初粒子除去効率:各テストフィルターカートリッジの当初粒子除去効率を、流入及び流出流体サンプルの粒子サイズ分析に基づいて決定した。粒子のサイズ及び数は、電子粒子カウンター(コールター・エレクトロニクス・インコーポレイテッド(Coulter Electronics,Inc.)モデルTAII)を用いて測定した。効率は、ベータ比で表わされており、下記のように計算された:
βx=Ix/Ox
ここにおいて、x=粒子サイズ(マイクロメーター(μm)表示);
βx=粒子サイズxにおけるベータ比;
Ix=流入サンプルにおけるサイズxの粒子の数;及び
Ox=流出サンプルにおけるサイズxの粒子の数。
【0042】
当初粒子除去効率は、ベータ比対粒子サイズのプロットとしてグラフで示した。
【0043】
プラギングデータ:各カートリッジのプラギング性能は、カートリッジにおける差圧(△P)をモニターし、かつその結果を20分毎に記録して評価を行なった。プラギングデータは、△P対実行時間のプロットとしてグラフで示す。
【0044】
濁度効率:各カートリッジの濁度効率を、流入及び流出流体サンプルの濁度測定に基づいて、20分毎に決定した。サンプルの濁度は、比濁度装置(NTU)における通常の濁度計(ハック・ケミカル・カンパニー(Hach Chemical company)モデル2100A)を用いて測定した。次のように20分毎に濁度効率を計算した:
濁度効率%=(Ti−To)/Ti(100)
ここにおいて、Tiは流入濁度であり、Toは流出濁度である。
【0045】
次に濁度効率の結果を、実行時間に対してプロットした。
【0046】
実施例1
実施例1の場合、支持繊維ダイは、1列の9個のノズルを備えており、各ノズルは、設計が米国特許第3,543,332号(引用してここに全て組み込まれる)に開示されている型に似ている。各ノズルは、0.035インチ直径のポリマーオリフィス1個と、0.083インチ直径の空気孔3個を備えているものであった。9個のノズルは、カートリッジの軸に平行に並べられ、18インチの距離にわたって間隔をあけて配置されていた。支持繊維ダイは、支持繊維が濾過繊維流の幅全体に排出されて、カートリッジの各環状ゾーンにおいて支持繊維と濾過繊維との混合物が得られるように配置された。550°Fの装置空気温度を用いた。本発明によるカートリッジ(本発明のカートリッジ1、「IC1」として示されているもの)を製造するための、各ダイにおける作業条件は、次の通りであった。
【0047】
【表1】
【0048】
支持繊維の効果を評価するために、全体が濾過繊維から形成されたカートリッジ(対照カートリッジ1、「CC1」として示されているもの)を上記条件下に製造した。但し、支持繊維ダイは作動していない。ついで2つのカートリッジについて、同じ試験条件下に並べて性能試験を行なった。このテストの結果は、図12(A)〜(C)のグラフに示され、一方、IC1の繊維構造の顕微鏡写真は、図6に示されている。
【0049】
実施例2
この実施例2の場合、支持繊維ダイは、通常の6インチ幅メルトブローイングダイであった。このダイには、0.015インチ直径のポリマーオリフィスが12個と、0.050インチの1組みのエアギャップが備えられている。支持繊維ダイは、支持繊維が主として内部ゾーンにおいて収集され、少しの部分がフィルター体の中間ゾーンにおいて集められるように配置された。空気温度は500°Fであった。本発明によるカートリッジ(本発明のカートリッジ2、「IC2」として示されているもの)を製造するために、各ダイにおいて用いられた作業条件は、次の通りであった。
【0050】
【表2】
【0051】
支持繊維の効果を評価するために、全体が濾過繊維から形成されたカートリッジ(対照カートリッジ2、「CC2」として示されているもの)を上記条件下に製造した。ついで2つのカートリッジについて、性能試験を行なった。このテストの結果は、図13(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC2の繊維構造の顕微鏡写真は、図7に示されている。
【0052】
実施例3
実施例2を繰り返した。但し、支持繊維ダイポリマー流量は、27.4g/分に低下させた。これによって、カートリッジ内の支持繊維含有量が減少した。結果として生じたカートリッジ(本発明のカートリッジ3、「IC3」として示されているもの)について、支持繊維を含まず、同じ条件下に製造された濾過繊維を含むカートリッジ(対照カートリッジ3、「CC3」として示されているもの)と比べた性能テストを実施した。結果は、図14(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC3の繊維構造の顕微鏡写真は、図8に示されている。
【0053】
実施例4
この実施例4の場合、支持繊維ダイは、支持繊維ダイが内部濾過繊維ダイと一列になるように支持繊維ダイを動かすことによってのみ、内部環状ゾーンにおいて繊維を収集するように配置された。製造されたカートリッジの切開及び分析に基づくと、非常に少量の支持繊維が中間ゾーンにおいて収集されたようであった。しかしながら、中間ゾーンにおける支持繊維の割合は、先行実施例よりも少ないと考えられた。支持繊維ポリマーは、10分あたり12グラムのメルト流量を有するポリプロピレン材料であった。(ハイモント・ユー・エス・エー・インコーポレイテッド(Himont USA,Inc.グレードPD 626)。圧縮空気温度500°Fを用いた。ダイにおける作業条件は、次のとおりであった。
【0054】
【表3】
【0055】
結果として生じたカートリッジ(本発明のカートリッジ4、「IC4」として示されているもの)について、前記実施例2及び3の濾過繊維ダイ条件を用いて製造された、支持繊維を含まないカートリッジ(対照カートリッジ4、「CC4」として示されているもの)と比べた性能テストを実施した。結果は図15(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC4の繊維構造の顕微鏡写真は、図9に示されている。
【0056】
実施例5
実施例2の作業条件を繰り返したが、但し、支持繊維ダイポリマー流量は、95.4g/分に増加させた。これによって、支持繊維含有量が増した。この結果生じたカートリッジ(本発明のカートリッジ5、「IC5」として示されているもの)について、実施例2に従って製造された本発明のもう1つのカートリッジ(本発明のカートリッジ6、「IC6」として示されているもの)と比べた性能テストを行なって、種々の支持繊維含有量の効果を評価した。結果は図16(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC5及びIC6の繊維構造の顕微鏡写真は、各々図10及び図11に示されている。
【0057】
【表4】
【0058】
前記実施例1〜4の性能テストの結果が示すところでは、本発明のカートリッジが、一体的に並置された支持繊維及び濾過繊維を含んでいないフィルターカートリッジと比較して、改良された長時間濾過性能を有することが分る。支持繊維を含有させた結果、当初粒子除去効率はわずかに少なくなったが、本発明のカートリッジの除去効率は、濁度効率及びプラギングデータによって示されているように、差圧が時間の経過につれて増加するのに伴って改善される。差圧の漸増は、フィルター体の表面上及びその深さ内において蓄積される粒子の結果生じたものである。粒子がフィルターによって多く除去されればされるほど、その効率は増加する。
【0059】
対照カートリッジも差圧の増加と共に効率が増加するがある時点までである。データによれば、対照カートリッジは、効率がピークに達し、その後下降傾向を示す差圧点に到達することを示している。この効率低下は、フィルター体の変形の結果であると考えられる。この変形は、カートリッジがフィルター収納シールから分離することによって、保持された粒子の放出及び/又はカートリッジバイパスを生じることになるからである。
【0060】
実施例1〜4の各々において、本発明のカートリッジの粒子除去効率は、場合によっては対照カートリッジよりも優れており、テストが終了するまで増加を続けた。本発明のカートリッジの改良された長時間効率は、支持繊維によって与えられる強度の増加から生じるものであると考えられる。支持繊維は、差圧の増加条件下に、フィルター体の構造的一体性を保持する効果があるようである。この効果の程度は、保持された汚物がカートリッジから放出されず、及び/又はバイパス条件がそれ以上進展しない程度までのものである。その結果、フィルターカートリッジが流体流から効率的に粒子を除去及び保持し続ける時間は延長される。従ってこれらの利点は、改良操作成績となって現われ、フィルターカートリッジの使用者にとっては、操作コストが低減されることになる。
【0061】
実施例5の試験結果は、種々の支持繊維含有量でも同様な性能の結果が得られることを示す。
【0062】
本発明は、現在最も便利で好ましい実施態様と考えられるものに関連して記載されているが、本発明は開示されている実施態様には限定されず、逆に添付クレームの精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の配列を包含するものであると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明のフィルターカートリッジを製造するための、1つの好ましいメルトブローイング装置を示す概略透視図である。
【図2】(A)は図1に示されたメルトブローイング装置の概略端面図であり、(B)はこの発明に従って用いうる、もう1つのメルトブローイング装置の概略端面図である。
【図3】この発明のフィルターカートリッジを製造するための、もう1つのメルトブローイング装置の概略端面図である。
【図4】本発明による円筒形フィルターカートリッジの一例を示す、一部断面になった概略透視図である。
【図5】本発明による、並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す概略図である。
【図6】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC1の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図7】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC2の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図8】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC3の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図9】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC4の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図10】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC5の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図11】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC6の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図12】(A)、(B)及び(C)は、実施例1に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図13】(A)、(B)及び(C)は、実施例2に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図14】(A)、(B)及び(C)は、実施例3に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図15】(A)、(B)及び(C)は、実施例4に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図16】(A)、(B)及び(C)は、実施例5に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に液体濾過の分野に関する。より特定すれば本発明は、メルトブローン液体濾過体の製造方法及び製造装置に関する。本発明により製造されるメルトブローン液体濾過体の好ましい形態において、円筒形使い捨てフィルターカートリッジであって、フィルター体がいくつかの環状に隣接した不織布メルトブローン濾過体層の少なくとも1つに配置されているフィルターカートリッジとして具体化されている。この点に関して、環状に隣接したいくつかの層は、フィルターカートリッジの深さ全体に、選択的液体濾過効率勾配が得られるように、段階のある細孔サイズ/密度を有していてもよい(すなわちいわゆる「デプスフィルターカートリッジ」)。
【背景技術】
【0002】
メルトブローンポリマーの不織布塊体から形成されるデプスフィルターカートリッジはよく知られており、液体濾過の用途に広く用いられるようになっている。一般に、このようなメルトブローンフィルターカートリッジは、メルトブローイングダイと組合わされたオリフィスにポリマーを押出して繊維を形成し、これらの繊維を回転成形マンドレルの方に送ることによって製造される。メルトブローイングの間、不活性ガス(例えば空気)は溶融繊維に作用し、繊維は比較的小さい直径に繊細化され、これらの繊細化された繊維は無作為に成形マンドレルに分配される。従って時間が経過するにつれて、無作為に相互に混ざり合った凝固不織布繊維塊体が、成形マンドレルに形成される。従ってメルトブローイングダイに対するメルトブローン繊維の形成塊体の制御された軸運動によって、無限の長さの円筒形フィルターカートリッジが連続的に形成される。
【0003】
メルトブローイングの間、メルトブローイングダイと組合わされた作業条件の1つ又はそれ以上は、繊維直径及び/又は密度、従って細孔サイズに関して、結果として生じるメルトブローン繊維の様々な属性がそれに応じて得られるように、様々に変えうることは知られている。例えば米国特許第3,904,798号及び第3,801,400号において(これらの各特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)、次のような技術が開示されている。すなわち(i)ポリマーの温度、(ii)ポリマー押出し速度、(iii)成形マンドレルの回転速度、(iv)メルトブローイングダイと成形マンドレルとの距離、及び/又は(v)成形マンドレルと組合わされたアイドラーロールの重量は、既にメルトブローンされている隣接層に対して、メルトブローン繊維の密度を徐々に変えるために、変更してもよいという技術である。
【0004】
米国特許第4,594,202号及び第4,726,901号(これらの各特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)は、メルトブローン繊維の繊維直径を調節によって様々に変えて、実質的な繊維対繊維結合を伴わずに、フィルターカートリッジの半径方向の大きさ(深さ)全体において、繊維直径分散の各レベルに対して実質的に一定のボイド容積を得る技術について開示している。
【0005】
フィルターカートリッジは、使用中、その半径方向の厚みにおいてかなりな圧力降下に耐えるものでなければならない(この圧力降下は、濾過された液体から除去された微粒子の取込みの増加に伴って増す)。フィルターカートリッジが、フィルター体の圧潰を伴なわずに設計上の制限内で圧力降下に耐えうるためには、個別孔あき管状コア(この周りにフィルター体が配置されている)を含ませることがこれまでの通常の方法であった。(この点に関しては、米国特許第3,933,557号、第4,032,688号、及び第4,112,159号参照。これらの各特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている。)
【0006】
メルトブローン繊維の不織布塊体を含む「コアの無い」デプスフィルターカートリッジを形成することも、当技術において提案されている。例えば米国特許第4,240,864号(この特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)は、様々な媒体密度のフィルターを得るために、成形マンドレルに蓄積される繊維へ加える圧力を変えて、コアの無いメルトブローンフィルターカートリッジを製造する技術について開示している。従って、様々な層における繊維の直径は実質的に一定であるにもかかわらず、このような蓄積された繊維への圧力をゾーン毎に変えることによって、最も内側のゾーンが一体型「コア」として用いるのに十分なほど高い密度を有するフィルターカートリッジを製造することができる。
【0007】
さらに最近になって、米国特許第5,340,479号(この特許の全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれている)は、メルトブローン繊維から形成されているデプスフィルターカートリッジを開示している。これは、フィルター中央部位に支持フィラメントを有し、この直径は、フィルター構造の残りを圧潰せずに支えるのに十分な強さのある構造へと熱結合されるのに十分な大きさを有するものである。比較的大きな直径の繊維のこのゾーンは、従って比較的小さい直径の濾過繊維を取囲んでいる残りの部分に対して、一体型「コア」として機能する。
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,904,798号明細書
【特許文献2】米国特許第3,801,400号明細書
【特許文献3】米国特許第4,594,202号明細書
【特許文献4】米国特許第4,726,901号明細書
【特許文献5】米国特許第3,933,557号明細書
【特許文献6】米国特許第4,032,688号明細書
【特許文献7】米国特許第4,112,159号明細書
【特許文献8】米国特許第4,240,864号明細書
【特許文献9】米国特許第5,340,479号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記フィルターカートリッジは、いくつかの有利な属性を有してはいるが、依然としていくつかの改善が必要である。例えば、環状濾過ゾーンの1つ又はそれ以上に一体型支持構造が備えられている、メルトブローン不織布フィルターカートリッジが提供されるならば特に望ましいであろう。さらに望ましいのは、このような一体型支持構造が連続的に生産されるメルトブローン支持繊維の形態であり、これらの繊維が環状濾過ゾーンの1つ又はそれ以上の内部において、メルトブローン濾過繊維と共に一体的に並置され(すなわち混ざり合い)、従って濾過特性及び圧力降下範囲が、特定の最終用途に適合するために、選択的に「工作(engineered)」されうるものである。本発明が目的とするのは、このようなニーズを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
広義には本発明は、互いに一体的に並置された不織布メルトブローン支持繊維と濾過繊維との塊体から形成される濾過体として具体化されている。支持繊維は平均して、支持繊維と一体的に並置された濾過繊維と比較して、比較的大きい直径を有する。好ましい実施態様において、濾過体は、濾過要素の少なくとも1つの環状ゾーン内に配置されている。例えばこれは、濾過体によって取囲まれている軸方向に細長い中央中空通路を有する、使い捨て円筒形フィルターカートリッジである。
【0011】
従って本発明による円筒形フィルターカートリッジは、好ましくは軸方向に細長い中央中空通路を取囲んでいる、少なくとも1つの環状濾過ゾーンを含むものである。これはまた、並置された比較的大きい直径の支持繊維と、比較的小さい直径の濾過繊維とから一体的に形成されているものである。従って、本発明によるデプスフィルターカートリッジは、互いに対して環状の関係にある1つ又はそれ以上の追加濾過ゾーン(これらの追加濾過ゾーンは、各々、一体的に並置された支持繊維を備えていてもよく、備えていなくてもよい)を有するものとして形成されていてもよい。少なくとも1つの濾過ゾーンが、比較的小さい直径の濾過繊維と一体的に並置された比較的大きい直径の支持繊維から成る、本発明によるメルトブローン不織布繊維構造から生じる結果として、広い範囲の「工作された」物理的性質(例えば濾過、圧力降下許容差等に関するもの)を有するフィルターカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明のその他の側面及び利点は、本発明の好ましい実施態様の次の詳細な記載を注意深く考察すれば、より明らかになるであろう。
【0013】
以下、添付図を参照する。図面において、様々な図面全体の同様な参照番号は、同様な構造要素を示す。
【0014】
本発明によるデプスフィルターカートリッジFCを製造するのに特に適した装置10の1つの形態を、添付図1に従って概略的に示す。図面から分るように、装置10は一般に成形マンドレルを含んでおり、これは長い孔あき管12を具備しており、(これは最終的にはフィルターカートリッジFCのコアを形成するものである)、この管は、歪んだ駆動ローラ14a〜14cによって、軸運動及び回転運動(各々矢印Aa及びAr)のために支持されている。図示されていないが、下流ではもう1組みのローラ14a〜14cが用いられており、これは管12の濾過体の外側表面と接触している。1列のメルトブローイングダイ16a〜16cには、各々の押出機18a〜18cによって供給が行なわれるが、このダイ列は、孔あき管12の軸運動(矢印Aa)に対して平行に並べられ、濾過繊維を孔あき管12の方へ連続的にメルトブローし、これによって各々、フィルターカートリッジFCの少なくとも3つの環状ゾーンZ1〜Z3が生じる(図4も参照)。
【0015】
メルトブローイングダイ16a〜16cはそれ自体が次の点で通常のものである。すなわちこれらには、各々、ライン19を経て加圧流体(例えば加圧空気)流が供給され、この流は、各ダイから排出される繊維メルト流に作用し、個々の繊維を繊細化し、これらを孔あき管12の方へ進ませるという点である。しかしながら、各々のダイ16a〜16cと組合わされた押出機18a〜18c及び/又は空気流を、計量ポンプ20a〜20c及び流量調節器21a〜21cによって個別に調節してもよい。これらの調節器は、マスター調節器MC1と操作によって(operatively)組合わされる。従って押出機は、温度、ポリマー流量等に関して調節しうる一方、空気流は、圧力、流量等について調節することができ、従って所望の直径のメルトブローン繊維を得るために、作業条件をいくつでも選ぶことができる。これらの作業条件は、製造したいと望む所望のフィルターカートリッジFCに応じて、オペレーターがマスター調節器MC1に示すことができ、従って様々な環状ゾーンZ1〜Z3を自動的に製造することができる。
【0016】
孔あき管の軸運動(及び従ってメルトブローイングダイ16a〜16cの操作によって、環状ゾーンZ1〜Z3に各々蓄積されるメルトブローン繊維)は、歪んだ駆動ローラ14a〜14cの回転速度及び回転角度によって調節される。しかしながら最終的には、無限ではあるが予め定められた長さのダイ16a〜16cから来る蓄積メルトブローン繊維から形成された管状部分は、ダイ16a〜16cの列を超えて軸方向に伸びるものである。ついで、通常の切断装置(例えば往復運動をするように備えられていてもよい電動のこぎりMS)は、手動又は自動操作されてもよく、延長された長さを切断し、これによってフィルターカートリッジFCが形成される。このようにして、図1に示されている装置10は、連続的にフィルターカートリッジFCを形成する。ついでフィルターカートリッジFCはさらに、次のサイジング工程(図示されていない)において、最終長さに切断されてもよい。
【0017】
本発明にとって重要な装置10には、少なくとも1つの追加メルトブローイングダイ22aが備えられている。これは、円錐形の収集/移送ローラ23とは、半径方向に間隔をあけて配置された関係にある。ダイ16a〜16cのように、ダイ22aは、次の点で通常の設計のものである。すなわちこのダイは、複数のポリマー繊維メルト流を排出し、これらの流は、加圧流体(例えば空気)流による作用を受け、この流はライン25を経てダイ22aへ供給されるものであるという点である。ダイ22aへポリマーのメルト流を供給する押出機24aの操作は、ダイ22aと組合わされた流体流と共に、各々、調節器27a及び29aによって制御されてもよく、ダイ16aによって形成された濾過繊維の直径と比較して、比較的大きい直径の支持繊維が得られる。調節器27a及び29aは、オペレーターが、所望の直径の支持繊維を得るために必要な作業設定点を入力できるように、操作によってマスター調節器MC2と連結されるものであってもよい。ダイ22aが収集/移送ローラ23に対して配置されるに際しては、ここから出て来る繊細化支持繊維が、ローラ23の回転外側表面に突き当たり、これによって運ばれ、ダイ16a及び/又は16bから出る濾過繊維流に対して向けられ、かつ図2Aに概略的に示されているように、形成しつつあるフィルターカートリッジの表面上へ送られるように配置される。従って、図2(A)に示されているようにダイ22aを配置することによって、ここから出てくる支持繊維流は、実質的に、ダイ16a及び/又は16bから出る濾過繊維流と組合わされた繊細化空気流によって、実質的に影響を受けなくなる。逆も同様である。換言すれば、一方でダイ22aから、他方でダイ16a及び16bから出る、繊維流及びこれらと組合わされた繊細化空気流は、互いに遮られるか、あるいは互いから「隠される」。これは、収集/移送ローラ23が、ダイ22aと、ダイ16a及び16bとの間に置かれているからである。従って適切なプロセス制御を、各々の流に対して実施することができる。
【0018】
ダイ22a及びダイ16aのもう1つの配列が、添付図2(B)に概略的に示されている。図から分るように、ダイ22a及びダイ16aは、実質的に収集/移送ローラ23と同じ平面にあるが、反対側に配置されている。すなわちダイ22a及びダイ16aは、互いに軸方向に向かい合う関係に並べられている。このような配列では、ローラ23は有利にも、図2(A)を参照して前記されたような流れを遮る配置によって、ダイ23aから出る繊維流がダイ16aから出る繊維流を破壊するのを妨げる働きをすることになる。従って本発明によれば、ダイ22aは、収集/移送ローラ23を通る水平平面に対して約0°〜約90°の角度に向けられてもよい。図2(A)に示された実施態様が用いられる場合、ダイ22aは最も好ましくは、収集/移送ローラ23を通る水平平面に対して約45°の角度に向けられる。
【0019】
ダイ22aから出る繊維は、ダイ16a及び/又はダイ16bから出る濾過繊維流に対して向けられるようになるまで、支持繊維がローラ23の回転部分全体において十分に溶融状態に維持されるように高温にある。従ってこのようにして、支持繊維は、ダイ16a及び/又はダイ16bから出る濾過繊維流に対して十分に溶融状態で向けられるので、支持繊維と濾過繊維の少なくともいくつかは、それらが交差する地点において互いに融解結合する。すなわち、支持繊維は十分に軟化されるか又は溶融状態に維持されるので、ローラ23とついで形成されるフィルターカートリッジとの間のロール間隙部位での濾過繊維の衝撃によって、支持繊維及び濾過繊維の少なくともいくつかが、各々の交差地点において互いに融解結合されることになる。この際、このような支持繊維と濾過繊維は、冷却された時、一体的に融合する程度にまでなる。支持繊維及び濾過繊維の少なくともいくつかがこのように融合することは、非常に有利である。この融合は、フィルターカートリッジが、半径方向の厚みにおいて大きい圧力降下に耐える、改善された能力を獲得するのに役立つと考えられるからである。所望であれば、収集/移送ローラ23を、外部手段、例えば抵抗加熱器及び/又は図1の加熱器23aによって概略的に示されているように、ローラ23に通された加熱流体(例えば加熱空気)によって加熱し、濾過繊維に向けられた時に、支持繊維の所望の少なくとも一部溶融特性を得るようにしてもよい。
【0020】
あるいはまた支持繊維ダイ22aは、濾過繊維ダイ16aに対して、図3に示されているように配置されてもよい。図示されているように、支持繊維ダイ22aは、このダイから出る支持繊維が、ダイ16aから出る濾過繊維流と共にエントレインされるように配置してもよい。このもう1つのダイ配列において、ダイ22aは最も好ましくは、ダイ16aに対して実質的に90°の位置に配置されるが、このダイの下流に位置する。このようにして、ダイ22aから出る支持繊維はエントレインされ、ダイ16aから出る濾過繊維と均一に混ざり合い、支持繊維と濾過繊維との両方から成る不織布縒り(entangled)塊体が形成される。ストライキングによって、フィルターカートリッジが形成される。この場合も、支持繊維及び濾過繊維は、図2(A)及び(B)を参照して前記したように、ある程度まで熱接着される。
【0021】
図1〜3を参照して前記された装置を用いて形成された、デプスフィルターカートリッジの一例を添付図4に示す。図4に示されたフィルターカートリッジFCは、中央孔あき管12を取囲む3つの環状濾過ゾーンZ1〜Z3を含んでいる。これは、3つのダイ16a〜16cが装置10に用いられているからである。しかしながら特別なフィルターカートリッジ設計パラメーターによっては、3つのダイ16a〜16cより多い、又は少ないダイを用いてもよい。従って追加のダイ16d及びそれと組合わされた押出機18d及び調節器20d、21dを、ダイ16cの下流に備えて、4つ目の環状濾過ゾーンを形成してもよい。1つ又は2つだけのダイ、例えば同様に、ダイ16a及び/又は16bと、これらに組合わされた各々の押出機18a及び18bを用いて、1つ又は2つだけの対応環状ゾーンを備えたフィルターカートリッジを形成することもできる。
【0022】
同様に、1つ又はそれ以上の他のダイ(例えば図1に示されたダイ22b及びこれと組合わされた押出機24b及び調節器27b、29b)は、ダイ16b〜16c(もしあれば、ダイ16dも)の1つ又はそれ以上と半径方向に間隔があけられた関係に配置されてもよい。従ってその他の環状ゾーンには、ダイ22a及びこれと組合わされた押出機24aによって備えられているものと同様に、比較的大きな直径の支持繊維が備えられていてもよい。同様に、例えば異なるポリマーの非支持繊維を並置するようにこれらの追加ダイ22bをも備えて、環状ゾーンZ1、Z2及び/又はZ3の1つ又はそれ以上において、繊維ミックスを得るようにしてもよい。しかしながらダイ22bは、ダイ22aと同じ押出機24aから供給を受けてもよく、従って同じポリマーの支持繊維が形成される。いずれにしても、ダイ22a及び/又は22bの作業条件は、種々の相対直径の支持繊維が形成されるように選んでもよい。従って例えばダイ22bを用いて、ダイ22aから形成された支持繊維及びダイ16aから形成された濾過繊維と比較して、中間の直径の支持繊維を形成するようにしてもよい。
【0023】
ダイ22a及びダイ16aのうちの1つだけが図2(A)、(B)及び図3に示されているが、これらの図面に関する前記考察は、ダイ22b及びダイ16b〜16dの相対的な向きにも同様に適用できると理解すべきである。
【0024】
前記装置10において、各々、ダイ16a及びダイ22aの操作によって、比較的大きい直径の支持繊維及び比較的小さい直径の濾過繊維が備えられるのは、最も内側の環状ゾーンZ1である。しかしながらこれも前記されているように、その他のゾーンZ2〜Z3の1つ又はそれ以上にも、このように比較的大きな直径の支持繊維が備えられていてもよい。例として挙げられているゾーンZ1を形成する繊維構造の概略図が、添付図5に示されている。
【0025】
比較的小さい直径の濾過繊維30と比較的大きい直径の支持繊維32は、ゾーンZ1内において一体的に並置されている。すなわち濾過繊維30及び支持繊維32は、それらの各々のダイ16a及び22aによってメルトブローンされ、互いに混合されるように、中央管12に突き当たる。従って、この明細書及び添付クレームで用いられている「一体的に並置された」という用語は、比較的小さい直径の濾過繊維30と比較的大きい直径の支持繊維32が、互いに均一に混ざり合っているという意味である。比較的小さい直径の濾過繊維と比較的大きい直径の支持繊維はまた、ある程度まで熱結合されてもよい。すなわち上記で簡単に説明したように、濾過繊維の少なくともいくつかは、各々の交差地点において、支持繊維の少なくともいくつかと熱融合されてもよい。
【0026】
図5に示されているように、比較的大きい直径の支持繊維32は、濾過繊維30の縺れた塊体が占めるオープン部位又はボイドスペースのランダムマトリックスを形成する。従って支持繊維32によって画定されるボイドスペースのこのランダムマトリックスから、濾過繊維30を支持するためのネットワーク構造を生じる。支持繊維32は、濾過カートリッジの濾過特性には実質的に寄与しないと推測される。それに対して全体的な濾過効率は、支持繊維ネットワークのボイドスペースを占める濾過繊維30の塊体によって実質的に決定されると考えられる。しかしながら支持繊維は、圧力の増加による圧潰に抵抗して濾過繊維30を支えることに実質的に寄与すると考えられる。従って使用中、これらの濾過効率を引き延ばすことができる。
【0027】
好ましくは比較的小さい直径の濾過繊維は、平均直径が約1μm〜約50μm、より好ましくは約1μm〜約40μmである。比較的大きい直径の支持繊維は、好ましくは平均直径が約60μm〜約500μmであり、より好ましくは約80μm〜約300μmである。前記濾過繊維直径は、濾過カートリッジの個々の環状ゾーン内の平均直径である。平均濾過繊維直径が約20μmより大きいフィルターカートリッジゾーンには、支持繊維が存在する必要がないであろう。しかしながら比較的大きい直径の支持繊維は、もしフィルターカートリッジゾーン内にあるとすれば、このような支持繊維が用いられている濾過ゾーンを構成する繊維の好ましくは約10〜約60重量%、より好ましくは約20〜約50重量%含まれることになる。
【0028】
事実上、本発明によるフィルターカートリッジFCを形成するためには、メルトブローンされうるあらゆるポリマーを用いることができる。例えばこのようなポリマーは、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマー及びコポリマー)、ポリアミド(例えばナイロン−6、ナイロン−6,6、及びその他のナイロン)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等)、アセタール、フルオロポリマー(例えばエチレン−クロロトリフルオロ−エチレン)、ポリフェニレンスルフィド、生分解性ポリマー(例えばポリ(ラクチド))、液体結晶ポリマー、リサイクルポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン、ビニリデンモノマーのポリマー、例えばビニルクロライド、ビニルアセテート、ビニリデンクロライド及びアクリロニトリル、及びこれらの混合物であってもよい。特に好ましいものは、ポリオレフィン、ポリエステル、及びナイロンである。
【0029】
個別ゾーンZ1〜Z3は、同じポリマーから形成される濾過繊維から成っていてもよい。あるいはフィルターカートリッジの設計者が目指す特別な最終用途に合わせるために、種々のポリマーから形成されていてもよい。同様に、濾過繊維30及び支持繊維32は、同じポリマー又は異なるポリマーから形成されていてもよく、あるいは要望に応じて、同じポリマーの種々のメルトフローインデックスから形成されていてもよい。
【0030】
この発明は、下記の非限定的な実施例を参照すればよりよく理解できよう。
【実施例】
【0031】
A 一般情報
下記実施例において、本発明のカートリッジIC1〜IC6として示されているいくつかのフィルターカートリッジを、本質的には図3に示されている種類の装置を用いて製造したが、次のように修正した。濾過繊維は、3つの通常の6インチ幅メルトブローイングダイから発生したが、これらの各々は、88個の直径0.015インチポリマーオリフィスと、調節可能なエアギャップを備えている。ダイは、図1に示されているように、フィルターカートリッジの支持コアに平行に並べられ、これによって、濾過体の3つの環状ゾーンを含むフィルターカートリッジが形成された。濾過繊維ダイエアギャップのセットは、内部、中間、及び外部ゾーンダイにおいて、各々0.025、0.030、及び0.035インチであった。
【0032】
各ダイには、独立駆動の計量型ポンプから溶融ポリマーが供給された。各計量型ポンプには、3/4インチ直径の24/lL/D押出機(キリオン・エクストルーダーズ・インコーポレイティッド(Killion Extruders,Inc.)モデルKLB 075)によって供給が行なわれた。加熱圧縮空気も3つのダイに供給され、これによって繊維が繊細化され、繊維が支持コアの方へ送られた。実施例においては、種々の空気温度が用いられた。しかしながら各実施例において、3つのダイの各々では空気温度は同じであった。空気流量、ポリマー温度、及びポリマー流量の作業変数は、対応フィルター体ゾーンにおいて所望の直径の濾過繊維を生じるように、各ダイごとに選定された。ダイの表面から支持コアまでの距離(すなわち濾過繊維が繊細化され、空気流によって運ばれる距離)は、すべての実施例において、一定の16インチに維持された。
【0033】
支持繊維は、適切な繊維形成ダイを備えた、単一の1インチ直径の24/1L/D押出機(レインヴィル・カンパニー(Rainville Company))から生じたものである。支持繊維形成には、下記の2つの異なったダイ設計が用いられた。押出機は、高さ及び角度調節器を備えた可動ベースに取り付けられているが、これは、濾過繊維流及びカートリッジに対するダイの位置決めにかなりの柔軟性を与えるものであった。下記実施例において、種々のダイ位置が用いられた。すべての実施例において、支持繊維ダイは、支持繊維が濾過繊維ダイとカートリッジとの間において、濾過繊維流に直接排出されるように配置された。支持繊維ダイは、濾過繊維流に対して約90°の角度が付けられ、濾過繊維流より概算距離約9インチだけ高いところに配置された。支持繊維ダイも、支持繊維が、濾過繊維ダイの出口近くで濾過繊維流に入るように配置された(すなわち濾過繊維ダイの下流に約2インチだけ間隔があけられている)。濾過繊維ダイに供給が行なわれるのと同じ源から、圧縮加熱空気が支持繊維ダイに供給された。従って支持繊維ダイは、濾過繊維ダイと同じ空気温度で操作が行なわれた。支持繊維ダイから排出された空気は、支持繊維を繊細化するため、及びこれらの繊維を濾過繊維流内に送るための両方に利用された。ついで支持繊維は、濾過繊維空気流によってカートリッジに吹き付けられた。空気流量、ポリマー温度、及びポリマー流量の作業変数は、所望の直径の支持繊維を得るために選定された。
【0034】
支持繊維と濾過繊維のどちらも、孔あき支持管に収集された。この管は、約250RPMの一般的速度で回転し、1分あたり約19インチの一般的な率で軸方向に移動するものであった。これらの速度は必要であれば、操作中、一般的に均一なカートリッジ外径を維持するために調節された。
【0035】
他の記載がなければ、下記実施例において濾過繊維も支持繊維も、ポリプロピレンホモポリマー材料から形成された。この材料は、供給時にはメルト流量が38g/10分であり、密度が.904g/cm3である(アモコ・ケミカル・カンパニー(Amoco Chemical Company)、グレード7956)。用いられた孔あき支持管は、直径1.31インチO.D.×1.09インチI.D.の工業規格射出成形ポリプロピレンフィルターコアであった。実施例のカートリッジの大きさは、2.44インチO.D.×1.09インチI.D.×長さ10インチであった。
【0036】
本発明のカートリッジIC1〜IC6に関する平均媒体(medium)ボイド容積及び空気透過性は、次のようにして測定された。
【0037】
平均媒体ボイド容積:%で表わされたカートリッジ内のフィルター体の平均ボイド容積。この特性は、フィルター体のサンプルの大きさ(内径、外径、及び長さ)及び重量を測定し、サンプルの密度を計算して決定された。ついで平均ボイド容積を次のようにして計算した:
平均媒体ボイド容積=(Dr−Dm)/Dr(100)
ここにおいて、Drは樹脂の密度(=.904g/cm3)であり、Dmは媒体の密度である。
【0038】
空気透過性:特定の空気流量において、差圧単位で表示された、完全な未使用フィルターカートリッジの空気透過性。この特性は、2SCFM/10”カートリッジの割合で圧縮空気をカートリッジに流し、同時にカートリッジにおける差圧(水のインチにおける△P)を測定して決定された。流れの方向は内側から外側へ、すなわち最初に孔あき支持管を通り、次に濾過体を通るものであった。
【0039】
本発明のカートリッジIC1〜IC6の平均媒体ボイド容積、空気透過性、及びその他の物理的特性は、下記物理的データ表に示されている。
【0040】
B フィルターカートリッジの性能テスト
実施例のカートリッジの濾過特性は、メムテック・アメリカ・コーポレーション(Memtec America Corporation)技術報告書第1903−T号(1991年)(この全体の内容は、ここに特に引用して組み込まれる)に記載された手順を用いて評価した。ついでテストサンプルを分析して、下記特性及びデータを得た。
【0041】
当初粒子除去効率:各テストフィルターカートリッジの当初粒子除去効率を、流入及び流出流体サンプルの粒子サイズ分析に基づいて決定した。粒子のサイズ及び数は、電子粒子カウンター(コールター・エレクトロニクス・インコーポレイテッド(Coulter Electronics,Inc.)モデルTAII)を用いて測定した。効率は、ベータ比で表わされており、下記のように計算された:
βx=Ix/Ox
ここにおいて、x=粒子サイズ(マイクロメーター(μm)表示);
βx=粒子サイズxにおけるベータ比;
Ix=流入サンプルにおけるサイズxの粒子の数;及び
Ox=流出サンプルにおけるサイズxの粒子の数。
【0042】
当初粒子除去効率は、ベータ比対粒子サイズのプロットとしてグラフで示した。
【0043】
プラギングデータ:各カートリッジのプラギング性能は、カートリッジにおける差圧(△P)をモニターし、かつその結果を20分毎に記録して評価を行なった。プラギングデータは、△P対実行時間のプロットとしてグラフで示す。
【0044】
濁度効率:各カートリッジの濁度効率を、流入及び流出流体サンプルの濁度測定に基づいて、20分毎に決定した。サンプルの濁度は、比濁度装置(NTU)における通常の濁度計(ハック・ケミカル・カンパニー(Hach Chemical company)モデル2100A)を用いて測定した。次のように20分毎に濁度効率を計算した:
濁度効率%=(Ti−To)/Ti(100)
ここにおいて、Tiは流入濁度であり、Toは流出濁度である。
【0045】
次に濁度効率の結果を、実行時間に対してプロットした。
【0046】
実施例1
実施例1の場合、支持繊維ダイは、1列の9個のノズルを備えており、各ノズルは、設計が米国特許第3,543,332号(引用してここに全て組み込まれる)に開示されている型に似ている。各ノズルは、0.035インチ直径のポリマーオリフィス1個と、0.083インチ直径の空気孔3個を備えているものであった。9個のノズルは、カートリッジの軸に平行に並べられ、18インチの距離にわたって間隔をあけて配置されていた。支持繊維ダイは、支持繊維が濾過繊維流の幅全体に排出されて、カートリッジの各環状ゾーンにおいて支持繊維と濾過繊維との混合物が得られるように配置された。550°Fの装置空気温度を用いた。本発明によるカートリッジ(本発明のカートリッジ1、「IC1」として示されているもの)を製造するための、各ダイにおける作業条件は、次の通りであった。
【0047】
【表1】
【0048】
支持繊維の効果を評価するために、全体が濾過繊維から形成されたカートリッジ(対照カートリッジ1、「CC1」として示されているもの)を上記条件下に製造した。但し、支持繊維ダイは作動していない。ついで2つのカートリッジについて、同じ試験条件下に並べて性能試験を行なった。このテストの結果は、図12(A)〜(C)のグラフに示され、一方、IC1の繊維構造の顕微鏡写真は、図6に示されている。
【0049】
実施例2
この実施例2の場合、支持繊維ダイは、通常の6インチ幅メルトブローイングダイであった。このダイには、0.015インチ直径のポリマーオリフィスが12個と、0.050インチの1組みのエアギャップが備えられている。支持繊維ダイは、支持繊維が主として内部ゾーンにおいて収集され、少しの部分がフィルター体の中間ゾーンにおいて集められるように配置された。空気温度は500°Fであった。本発明によるカートリッジ(本発明のカートリッジ2、「IC2」として示されているもの)を製造するために、各ダイにおいて用いられた作業条件は、次の通りであった。
【0050】
【表2】
【0051】
支持繊維の効果を評価するために、全体が濾過繊維から形成されたカートリッジ(対照カートリッジ2、「CC2」として示されているもの)を上記条件下に製造した。ついで2つのカートリッジについて、性能試験を行なった。このテストの結果は、図13(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC2の繊維構造の顕微鏡写真は、図7に示されている。
【0052】
実施例3
実施例2を繰り返した。但し、支持繊維ダイポリマー流量は、27.4g/分に低下させた。これによって、カートリッジ内の支持繊維含有量が減少した。結果として生じたカートリッジ(本発明のカートリッジ3、「IC3」として示されているもの)について、支持繊維を含まず、同じ条件下に製造された濾過繊維を含むカートリッジ(対照カートリッジ3、「CC3」として示されているもの)と比べた性能テストを実施した。結果は、図14(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC3の繊維構造の顕微鏡写真は、図8に示されている。
【0053】
実施例4
この実施例4の場合、支持繊維ダイは、支持繊維ダイが内部濾過繊維ダイと一列になるように支持繊維ダイを動かすことによってのみ、内部環状ゾーンにおいて繊維を収集するように配置された。製造されたカートリッジの切開及び分析に基づくと、非常に少量の支持繊維が中間ゾーンにおいて収集されたようであった。しかしながら、中間ゾーンにおける支持繊維の割合は、先行実施例よりも少ないと考えられた。支持繊維ポリマーは、10分あたり12グラムのメルト流量を有するポリプロピレン材料であった。(ハイモント・ユー・エス・エー・インコーポレイテッド(Himont USA,Inc.グレードPD 626)。圧縮空気温度500°Fを用いた。ダイにおける作業条件は、次のとおりであった。
【0054】
【表3】
【0055】
結果として生じたカートリッジ(本発明のカートリッジ4、「IC4」として示されているもの)について、前記実施例2及び3の濾過繊維ダイ条件を用いて製造された、支持繊維を含まないカートリッジ(対照カートリッジ4、「CC4」として示されているもの)と比べた性能テストを実施した。結果は図15(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC4の繊維構造の顕微鏡写真は、図9に示されている。
【0056】
実施例5
実施例2の作業条件を繰り返したが、但し、支持繊維ダイポリマー流量は、95.4g/分に増加させた。これによって、支持繊維含有量が増した。この結果生じたカートリッジ(本発明のカートリッジ5、「IC5」として示されているもの)について、実施例2に従って製造された本発明のもう1つのカートリッジ(本発明のカートリッジ6、「IC6」として示されているもの)と比べた性能テストを行なって、種々の支持繊維含有量の効果を評価した。結果は図16(A)〜(C)のグラフに示されているが、一方、IC5及びIC6の繊維構造の顕微鏡写真は、各々図10及び図11に示されている。
【0057】
【表4】
【0058】
前記実施例1〜4の性能テストの結果が示すところでは、本発明のカートリッジが、一体的に並置された支持繊維及び濾過繊維を含んでいないフィルターカートリッジと比較して、改良された長時間濾過性能を有することが分る。支持繊維を含有させた結果、当初粒子除去効率はわずかに少なくなったが、本発明のカートリッジの除去効率は、濁度効率及びプラギングデータによって示されているように、差圧が時間の経過につれて増加するのに伴って改善される。差圧の漸増は、フィルター体の表面上及びその深さ内において蓄積される粒子の結果生じたものである。粒子がフィルターによって多く除去されればされるほど、その効率は増加する。
【0059】
対照カートリッジも差圧の増加と共に効率が増加するがある時点までである。データによれば、対照カートリッジは、効率がピークに達し、その後下降傾向を示す差圧点に到達することを示している。この効率低下は、フィルター体の変形の結果であると考えられる。この変形は、カートリッジがフィルター収納シールから分離することによって、保持された粒子の放出及び/又はカートリッジバイパスを生じることになるからである。
【0060】
実施例1〜4の各々において、本発明のカートリッジの粒子除去効率は、場合によっては対照カートリッジよりも優れており、テストが終了するまで増加を続けた。本発明のカートリッジの改良された長時間効率は、支持繊維によって与えられる強度の増加から生じるものであると考えられる。支持繊維は、差圧の増加条件下に、フィルター体の構造的一体性を保持する効果があるようである。この効果の程度は、保持された汚物がカートリッジから放出されず、及び/又はバイパス条件がそれ以上進展しない程度までのものである。その結果、フィルターカートリッジが流体流から効率的に粒子を除去及び保持し続ける時間は延長される。従ってこれらの利点は、改良操作成績となって現われ、フィルターカートリッジの使用者にとっては、操作コストが低減されることになる。
【0061】
実施例5の試験結果は、種々の支持繊維含有量でも同様な性能の結果が得られることを示す。
【0062】
本発明は、現在最も便利で好ましい実施態様と考えられるものに関連して記載されているが、本発明は開示されている実施態様には限定されず、逆に添付クレームの精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の配列を包含するものであると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明のフィルターカートリッジを製造するための、1つの好ましいメルトブローイング装置を示す概略透視図である。
【図2】(A)は図1に示されたメルトブローイング装置の概略端面図であり、(B)はこの発明に従って用いうる、もう1つのメルトブローイング装置の概略端面図である。
【図3】この発明のフィルターカートリッジを製造するための、もう1つのメルトブローイング装置の概略端面図である。
【図4】本発明による円筒形フィルターカートリッジの一例を示す、一部断面になった概略透視図である。
【図5】本発明による、並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す概略図である。
【図6】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC1の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図7】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC2の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図8】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC3の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図9】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC4の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図10】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC5の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図11】メルトブローンの一体的に並置された支持繊維と濾過繊維との構造的関係を示す、下記実施例において得られた本発明のカートリッジIC6の代表的部分の顕微鏡写真である。
【図12】(A)、(B)及び(C)は、実施例1に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図13】(A)、(B)及び(C)は、実施例2に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図14】(A)、(B)及び(C)は、実施例3に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図15】(A)、(B)及び(C)は、実施例4に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【図16】(A)、(B)及び(C)は、実施例5に従ってテストが実施されたフィルターカートリッジに関する、各々、当初粒子除去効率、プラギングデータ及び濁度効率に対応するグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過体製造方法であって、
(i)メルトブローン繊維の第一流を、第一メルトブローイングダイから成形マンドレルの方へ出すこと;
(ii)メルトブローン繊維の第二流を、第二メルトブローイングダイから、前記成形マンドレルに隣接して配置された収集/移送表面の方へ出して、メルトブローン繊維の前記第二流がメルトブローン繊維の前記第一流から遮られるようにすること;及び
(iii)前記収集/移送表面を動かして、前記第二流の前記メルトブローイン繊維が、前記第一流の前記メルトブローン繊維と接触するように、かつ前記成形マンドレルに送られるようにすること
を含む、濾過体製造方法。
【請求項2】
濾過体製造装置であって、
(i)成形マンドレル;
(ii)メルトブローン繊維の第一流を前記成形マンドレルの方へ出す第一メルトブローイングダイ;
(iii)前記成形マンドレルに隣接して配置される回転収集/移送ローラ;及び
(iv)メルトブローン繊維の第二流を、前記収集/移送ローラの方へ出す第二メルトブローイングダイであって、前記第二メルトブローイングダイは、前記収集/移送ローラに対して、前記収集/移送ローラがメルトブローン繊維の前記第一流からメルトブローン繊維の前記第二流を実質的に遮るような向きにあるもの
を備えており、
(v)前記収集/移送ローラが、前記第二メルトブローイングダイによって出されたメルトブローン繊維の前記第二流を送って、前記第一メルトブローイングダイによって出されたメルトブローン繊維の前記第一流と接触させ、従ってメルトブローン繊維の前記第一流と前記第二流が、前記成形マンドレル上で互いに混ざり合う、濾過体製造装置。
【請求項3】
複数の前記第一メルトブローイングダイには、実質的に軸方向に一直線に、前記成形マンドレルが備えられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
複数の前記第二メルトブローイングダイが備えられている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第一及び第二メルトブローイングダイの少なくとも1つを調節して、そこから出てくる相対的に異なった直径を有するメルトブローン繊維を得るようにするための調節器を備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記収集/移送ローラが円錐形である、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記収集/移送ローラに連結された加熱器を備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項1】
濾過体製造方法であって、
(i)メルトブローン繊維の第一流を、第一メルトブローイングダイから成形マンドレルの方へ出すこと;
(ii)メルトブローン繊維の第二流を、第二メルトブローイングダイから、前記成形マンドレルに隣接して配置された収集/移送表面の方へ出して、メルトブローン繊維の前記第二流がメルトブローン繊維の前記第一流から遮られるようにすること;及び
(iii)前記収集/移送表面を動かして、前記第二流の前記メルトブローイン繊維が、前記第一流の前記メルトブローン繊維と接触するように、かつ前記成形マンドレルに送られるようにすること
を含む、濾過体製造方法。
【請求項2】
濾過体製造装置であって、
(i)成形マンドレル;
(ii)メルトブローン繊維の第一流を前記成形マンドレルの方へ出す第一メルトブローイングダイ;
(iii)前記成形マンドレルに隣接して配置される回転収集/移送ローラ;及び
(iv)メルトブローン繊維の第二流を、前記収集/移送ローラの方へ出す第二メルトブローイングダイであって、前記第二メルトブローイングダイは、前記収集/移送ローラに対して、前記収集/移送ローラがメルトブローン繊維の前記第一流からメルトブローン繊維の前記第二流を実質的に遮るような向きにあるもの
を備えており、
(v)前記収集/移送ローラが、前記第二メルトブローイングダイによって出されたメルトブローン繊維の前記第二流を送って、前記第一メルトブローイングダイによって出されたメルトブローン繊維の前記第一流と接触させ、従ってメルトブローン繊維の前記第一流と前記第二流が、前記成形マンドレル上で互いに混ざり合う、濾過体製造装置。
【請求項3】
複数の前記第一メルトブローイングダイには、実質的に軸方向に一直線に、前記成形マンドレルが備えられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
複数の前記第二メルトブローイングダイが備えられている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第一及び第二メルトブローイングダイの少なくとも1つを調節して、そこから出てくる相対的に異なった直径を有するメルトブローン繊維を得るようにするための調節器を備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記収集/移送ローラが円錐形である、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記収集/移送ローラに連結された加熱器を備えている、請求項2に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−36634(P2008−36634A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237229(P2007−237229)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【分割の表示】特願平8−533317の分割
【原出願日】平成8年4月10日(1996.4.10)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【分割の表示】特願平8−533317の分割
【原出願日】平成8年4月10日(1996.4.10)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York
【Fターム(参考)】
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