一時的接着を利用して半導体構造を製造するためのプロセス
【課題】半導体構造を製造するためのプロセスを提供すること。
【解決手段】本発明は、半導体構造を製造するためのプロセスに関し、以下のステップ、すなわち、シード基板(1)と、シード基板(1)を覆う脆弱化された犠牲層(2)とを備えるハンドル基板(1、2)を提供するステップ(E1)と、ハンドル基板(1、2)をキャリア基板(3)と接合するステップ(E2)と、キャリア基板(3)を任意選択で処理するステップ(E3)と、犠牲層(2)においてハンドル基板を分離し、半導体構造を形成するステップ(E4)と、シード基板(1)上に存在する犠牲層(2)の残留物があればそれを除去するステップ(E5)とを備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、半導体構造を製造するためのプロセスに関し、以下のステップ、すなわち、シード基板(1)と、シード基板(1)を覆う脆弱化された犠牲層(2)とを備えるハンドル基板(1、2)を提供するステップ(E1)と、ハンドル基板(1、2)をキャリア基板(3)と接合するステップ(E2)と、キャリア基板(3)を任意選択で処理するステップ(E3)と、犠牲層(2)においてハンドル基板を分離し、半導体構造を形成するステップ(E4)と、シード基板(1)上に存在する犠牲層(2)の残留物があればそれを除去するステップ(E5)とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的用途、光学的用途、またはマイクロエレクトロニクス用途のための半導体構造の生産に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、1つの基板を別の基板に一時的に接着することにより半導体構造を製造するためのプロセスに関する。
【0003】
本発明はまた、そのようなプロセスで利用される半導体の組み立てに関する。
【背景技術】
【0004】
半導体構造を製造するためのプロセスでは、例えば集積回路を備えた層を移動させることができる。そのような移動は、特に、回路を生産するために使用する基板とは異なる基板に回路を取り付けることができるようにするか、そうでなければ回路をスタックして「3D」コンポーネントを形成することができるようにする。
【0005】
移動させるべき薄い層が小さい厚さ(すなわち、200μm未満)のものである場合は、移動中にひびが入ったり割れたりしがちであり、または、より一般的には損傷する可能性がある。
【0006】
移動させるべき層または処理するべき基板を補強するための文書(例えば、特許文献1)から知られる解決策は、移動させるべき層を備える基板にハンドル基板を一時的に接着することにある。したがって、移動させるべき層または処理するべき基板は、自由に取り扱われ、その移動または処理のために必要なすべての製造ステップを受けることができる。
【0007】
文書(例えば、特許文献1)では、ハンドル基板は開裂帯を備え、この開裂帯は、ハンドル基板をプロセスの終わりにこの開裂帯に沿って除去することができるようにする。
【0008】
1つの問題は、そのようなハンドル基板は材料を消費することである。さらに、残りの部分をリサイクルして再利用することは容易でない。これは、研磨作業を実行することが必要であり、それによってプロセスの継続時間が長くなり、コストが増大するからである。
【0009】
材料を消費しない他の知られている解決策は、ハンドル基板を、移動させるべき層を備えた基板に接着剤によって一時的に接着することにある。
【0010】
この場合、移動または処理中は、移動させるべき層とハンドル基板との取り付けに関連する力は接着剤によって維持される。
【0011】
移動または処理が実行された後は、ハンドル基板は除去されてよい。
【0012】
接着剤の使用から問題が生じる。
【0013】
これは、基板上で実行される処理中にまたは移動を使用する半導体構造の製造中に利用される高温にさらされた場合、接着剤が不安定になる可能性があるからである。
【0014】
さらに、接着層は、基板上でいくつかの処理を実行するのに十分に安定した基板の取り付けを可能にすることができない。これは、例えば、基板がグラインディングによって、例えば200ミクロン、50ミクロンまたは40ミクロンの厚さ閾値未満まで薄くされる場合である。このステップにおいて加えられた機械的応力は、十分に堅固ではない接着層に載っている層におけるひずみになり、それによって基板を不均一に薄くすることになる。
【0015】
さらに、処理が実行された後は、接着剤は、化学的除去法(例えば、溶剤に溶かすこと)によって完全に除去される。そのような除去は、製造プロセスの継続時間を長くし、取得された半導体構造を損傷するリスクを増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第0786801号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】C. H. Yun, N. Quitoriano, N.W. Cheung: "Polycrystalline silicon layer transfer by ion-cut", Applied Physics Letters, Vol. 82, No. 10, March 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前述の欠点を軽減することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、半導体構造を製造するためのプロセスに関し、以下のステップ、すなわち、
−シード基板と、シード基板を覆う脆弱化された犠牲層とを備えるハンドル基板を提供するステップと、
−ハンドル基板をキャリア基板と接合するステップと、
−キャリア基板を任意選択で処理するステップと、
−犠牲層においてハンドル基板を分離し、半導体構造を形成するステップと、
−シード基板上に存在する犠牲層の残留物があればそれを除去するステップと
を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のプロセスによって、一方では、ハンドル基板のシード基板の材料を多種多様な材料から選択することができ、他方では、この基板の残りの部分をとりわけ容易なやり方でリサイクルし、同じやり方で再利用することができる。
【0021】
具体的には、分離ステップの後にハンドル基板の残りの部分をリサイクルすることを容易に実行することができ、ハンドル基板のリサイクルを可能にするには犠牲層の簡単な選択的エッチングだけで十分である。
【0022】
このタイプのリサイクルプロセスは、例えば、必然的に文書(例えば、特許文献1)に記載されているプロセスの結果であるような研磨ベースのリサイクル方式よりずっと費用がかからない。
【0023】
本発明の他の特徴は、ハンドル基板は犠牲層で覆われているのでハンドル基板の厚さはリサイクルによって低減されず、リサイクル中に消費されるのは犠牲層だけであるということである。したがって、ハンドル基板は、理論的には無限に再利用可能である。したがって、シリコンハンドル基板の一部分の移動およびそのリサイクルを必要とし、この基板の厚さの一部分がそれらのプロセスで消費される、知られているプロセスに比べて、コスト節減をすることが可能である。
【0024】
下記は、本発明の第1の態様によるプロセスの他の態様である。
−犠牲層が、原子種をハンドル基板の犠牲層に導入することにより脆弱化される。
−シード基板が、|CTE1−CTE2|/CTE1<50%であるように、キャリア基板の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有する。
−ハンドル基板が、シード基板と犠牲層との間に配置された中間層を備え、犠牲層を形成する材料のシード基板への接着を促進する。
−犠牲層が脆弱帯を有し、ハンドル基板の表面と脆弱帯との間に配置された層を画定する。
−プロセスが、分離ステップの前に、キャリア基板をホスト基板に接合することにあるステップを備える。
−シード基板が、ホスト基板の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有するように選択される。
−キャリア基板が、集積回路部を備える。
−分離ステップが、少なくとも200℃の温度でアニールすることによりエネルギーを供給することにある。
−原子種の導入が、ハンドル基板の一部分を、1x1015イオン/cm2から1x1017イオン/cm2までの間の注入量で、および5keVから500keVまでの間のエネルギーで、原子種注入に対してさらすことにある。
−原子種の導入が、ハンドル基板の表面を化学的拡散によってハンドルウェハに浸透する化学種と接触させることにより、原子種をハンドル基板に拡散させることにある。
−原子種の導入が、
o原子種の導入前に、ハンドル基板に閉じ込め層を生成することと、
o原子種の導入後に、導入された種の閉じ込め層への移動を促進する目的でハンドル基板を少なくとも200℃の温度にさらすことと
を含む。
−接合するステップが、ハンドル基板をキャリア基板に接着することにある。
−接合するステップが、分子接着によって達成される。
−犠牲層が、ポリシリコン層である。および
−シード基板が、単結晶基板、または、アモルファス基板もしくは多結晶基板、または、セラミック、または、金属である。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、シード基板および脆弱化された犠牲層を備えたハンドル基板に関する。
【0026】
下記は、本発明の第2の態様によるハンドル基板の他の態様である。
−犠牲層が、1x1016at/cm3から1x1020at/cm3までの間にある密度のHおよび/またはHeを含む。
−犠牲層がポリシリコンで作られる。
−シード基板が、単結晶基板、アモルファス基板もしくは多結晶基板、セラミック、または金属である。
−シード基板が、10オングストローム以下のRMS表面粗度を有する。
−シード基板が、ハンドル基板のキャリア基板との次に続く接合を簡単にする追加の表面層を有する。および
−追加の層が、酸化シリコンで作られる。
【0027】
さらに、第3の態様によれば、本発明は、以下のステップ、すなわち、シード基板上に犠牲層を形成するステップと、原子種を犠牲層に導入するステップとを備えるハンドル基板を製造するためのプロセスに関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、前述の欠点を軽減した半導体構造を製造するためのプロセスを提供することができる。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、純粋に例示的で非限定的であり、添付の図面に関して読まれなければならない以下の説明から、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態によるプロセスの諸ステップを例示する図である。
【図2】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図3】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図4】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図5】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図6】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図7】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図8】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図9】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図10】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図11】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図12】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
すべての図において、同様の要素は同一の参照数字を与えられている。
【0032】
以下の説明は、キャリア基板を支持するためにハンドル基板を利用する半導体構造を製造するためのプロセスにおける諸ステップを例示する図1から図12までに関して与えられる。
【0033】
「半導体構造」という表現は、半導体デバイスの生産において使用される任意の構造を意味すると理解される。半導体構造は、導体、半導体、および/または絶縁体を備えてよい。半導体構造は、それ自体がマイクロコンポーネントまたは完成マイクロコンポーネントもしくは部分的に完成されたマイクロコンポーネントを備えた層でも、または備えない層でもよい。
【0034】
「ハンドル基板」という表現は、その機能が基板または構造のための一時的な機械的支持として働く複合構造を意味すると理解される。
【0035】
「キャリア基板」という表現は、ハンドル基板に−とりわけ一時的に−接合され、処理を受けることができる基板を意味すると理解される。キャリア基板は、例えば、ホスト基板に移動させるべき、完成マイクロコンポーネントまたは部分的に完成されたマイクロコンポーネントを備えた基板でよい。
【0036】
「ホスト基板」という表現は、基板または構造を(通常は移動によって)受け取ることを意図された基板を意味すると理解される。
【0037】
「停止層」という表現は、リサイクル作業中は除去されない第1の層を意味すると理解される。
【0038】
半導体構造を製造するためのプロセスでは、第1のステップE1において、シード基板1およびシード基板1を覆う犠牲層2を備えたハンドル基板1、2が提供される。
【0039】
犠牲層2は脆弱化され、または前もって脆弱化されており、したがって、製造プロセスにおいてハンドル基板に予め脆弱化された犠牲層2を提供するか、または製造プロセスにおいて犠牲層2を脆弱化することが可能である。
【0040】
犠牲層2は、通常、原子種を犠牲層2に導入することにより脆弱化される。分離はポリシリコンが使用された場合にとりわけ容易なので、犠牲層2は、好ましくは、ポリシリコンで作られる。この点に関しては、読者は文書(例えば、非特許文献1)を参照することができる。
【0041】
さらに、シード基板と犠牲層2との間に配置された中間層20が提供されてよく、この中間層は、犠牲層2のシード基板1への良好な接着を保証する。この中間層20は、ハンドル基板の任意選択のリサイクルステップE5中ずっと結合層としても、エッチング停止層としても機能することができ、前記リサイクルステップは、シード基板1上に存在する犠牲層2の残留物があればそれを除去することにある(下記参照)。この層は、犠牲層2が基板1と同じ材料で作られている場合はとりわけ必要であることが分かるであろう。
【0042】
犠牲層2は、シード基板1を覆う。この犠牲層2は、続いてハンドル基板をキャリア基板3と接合することをより容易にする追加の層21で覆われてよい。したがって、この追加の層21は、表面酸化物接着層の形を取ってよい。この層が存在してもしなくても、ハンドル基板の露出面が次に続く組み立てステップE2に適合していることが重要である。したがって、ハンドル基板を分子接着によってキャリア基板と一時的に接合することが予見される場合は、ハンドル基板のRMS表面粗度は、約10オングストローム以下でなければならない。
【0043】
原子種の導入は、シード基板1を覆う犠牲層2に埋め込まれた脆弱帯2’’’を形成する目的を有する。導入される原子種は、単独でも組み合わせてでも、水素イオンもしくはヘリウムイオン、不活性ガスイオン、またはさらにフッ素イオンもしくはホウ素イオンでもよい。水素およびヘリウムは、非常に一般的に注入されるのでとりわけ有利である。
【0044】
したがって、ハンドル基板は、脆弱帯2’’’においてエネルギーを受けた場合(例えば、加熱された場合、および/または機械的応力が加えられた場合)、この帯で分離しがちである。
【0045】
原子種導入のパラメータ、およびとりわけ導入される種の導入量は、ハンドル基板のキャリア基板3との組み立て中にまたは基板3上で実行される処理中に、とりわけこれらの処理が過熱処理ステップを備える場合は、ハンドル基板が脆弱帯に沿って破損または分離しないように調整され得る。
【0046】
これは、以下で説明されるように、次に続く処理ステップ中にハンドル基板をキャリア基板3から分離することができるようにする。
【0047】
脆弱帯を生成するために種がハンドル基板に導入される深さは、主に、種がハンドル基板にそれによって導入されるエネルギーの関数である。導入される種が犠牲層に実際本質的に配置される限りでは、脆弱化された帯の正確な位置は重要ではない。非限定的な例として、原子種は、50nmから数ミクロンまでの間の深さまで犠牲層2に導入されてよい。
【0048】
原子種の導入は、1x1015イオン/cm2から1x1017イオン/cm2までの間の注入量で、および5keVから500keVまでの間のエネルギーで、ハンドル基板の一部分を原子種注入にさらすことにあってよい。
【0049】
あるいは、原子種の導入は、原子種をハンドル基板に拡散させることにあってよい、すなわちハンドル基板の表面を化学拡散によってハンドル基板に浸透する化学種と接触させることから成ってよい。これは、プラズマを使用して達成され得る。
【0050】
この導入はまた、犠牲層2の形成中に、例えば、層の析出中に層に大量の水素を取り入れることにより達成され得る。
【0051】
知られている注入ベースの層移動方式とは対照的に、本発明の文脈では、移動させるべき層を画定するためには、注入する種を正確に特定することは必要がないことが分かるであろう。実際、ボイドまたはプレートレットなどの欠点が過熱処理の影響下で生じることを可能にし、それに続いてそれらの欠点がシード基板1を分離することを可能にするには、層に十分な種を取り入れるだけで十分である。犠牲層2におけるHおよび/またはHe密度は、1x1016at/cm3から1x1020at/cm3までの間にある。ポリシリコン犠牲層2では、この密度は約1x1018at/cm3である。
【0052】
さらに、原子種を導入するいかなる方法が使用されても、種の導入は、閉じ込めと組み合わされてよく、閉じ込めでは、
−種の導入前に、ハンドル基板に閉じ込め層が生成され、
−種の導入後に、ハンドル基板が、導入された種の閉じ込め層への移動を促進する目的で少なくとも100℃の温度にさらされる。
【0053】
前述のように、ステップE2では、ハンドル基板1、2はキャリア基板3と接合される。
【0054】
この組み立てステップE2は、キャリア基板3に機械的支持を提供することができるようにする。
【0055】
有利には、ハンドル基板を形成するシード基板1の材料は、キャリア基板の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選ばれてよい。好ましくは、|CTE1−CTE2|/CTE1<50%であり、ここで、CTE1は、シード基板の熱膨張係数であり、CTE2は、キャリア基板の熱膨張係数である。
【0056】
さらに有利には、シード基板1は、キャリア基板3上で実行される処理に適合した基板の形で提供されることが可能であるシリコンまたは任意の他の材料で作られてよい。
【0057】
したがって、このシード基板1は、数百度、例えば最高500℃での熱処理に耐えることができなければならず、機械的応力に耐えることができなければならず、化学機械研磨(CMP)またはグラインディングに耐えるために化学的に不活性でなければならならず、分子接着ステップ中に変形されることが可能であるように十分に可撓性がなければならない。この点に関して、シード基板1は、場合によっては、単結晶(シリコン、SiC、石英、サファイア)基板、アモルファス基板もしくは多結晶(ポリSiC、ガラス、ガラスセラミック)基板、セラミック(アルミニウムもしくは窒化シリコン、ムライト、アルミナ)、または金属(タングステン、モリブデン)から選ばれる。
【0058】
組み立てステップE2は、ハンドル基板1、2をキャリア基板3に接着することにあってよい。
【0059】
次いでキャリア基板3と接触するのは層2’’である。好ましくは、これは分子接着作業であり、したがって、接着剤または他のいかなる形の接着層をも必要とせず、その限界は序文で述べられている。
【0060】
基板3を支持する基板1と接合された後は、基板3は1つまたは複数の処理を受けることができる。例えば、回路が接合されている場合は、キャリア基板3は、裏側から薄くされ、最終ホスト基板4に接合されるE2’、例えば、接着される。
【0061】
この場合、シード基板1の材料は、最終ホスト基板4の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選ばれる。好ましくは、|CTE1−CTE3|/CTE1<50%であり、ここで、CTE1は、シード基板の熱膨張係数であり、CTE3は、最終ホスト基板の熱膨張係数である。
【0062】
次に、第4のステップにおいて、ハンドル基板は、脆弱化が原子種を導入することにより達成された場合は、犠牲層2において、およびとりわけ脆弱帯2’’’において分離されるE4。
【0063】
あるいは、または補足的に、この分離ステップが実行される前に、キャリア基板3および層2’’をホスト基板4に接合することE30にあるステップが実行されてよい。
【0064】
分離ステップE3は、特に、少なくとも200℃の温度でアニールすることによりエネルギーを供給することにある。この熱処理に加えて、脆弱化された帯に機械的応力を加えて、この分離を達成することができる。
【0065】
したがって、組み立てステップE30が実行される場合は、ハンドル基板は、キャリア基板3を損傷することなくキャリア基板3をホスト基板4上に配置することができるようにする。
【0066】
さらに、ハンドル基板の残りの部分は、犠牲層2’の残留物があればそれを選択的にエッチングすることにより容易にリサイクルされ得る。
【0067】
この目的のために、シード基板1から犠牲層2の残留物があればそれを除去するステップE5が実行される。
【0068】
キャリア基板の残りの部分のリサイクルは、消費されるのは残留層2なので、ハンドル基板の厚さを低減しない。
【0069】
これは、シリコン基板をリサイクルする前にシリコン基板の一部分を移動させ、シリコン基板の厚さの一部分を使い尽くすことを必要とする、知られているプロセスに比べて、基板消費を低減することを可能にする。
【0070】
半導体構造は、上記で説明されたプロセスを使用して取得され、構造は、場合によっては、ホスト基板4、キャリア基板3、および、場合によっては、ハンドル基板の犠牲層に由来する層2’の残留物があればそれから成る。この残留物は、例えば、半導体構造上に存在する犠牲層2の残留物があればそれを除去するステップE5において、研磨すること、または化学的処理を使用することにより、除去される。
【0071】
最後に、製造プロセスは、特に、自由表面を平滑化すること、または層2’’を除去することにあるハンドル基板をリサイクルするステップを備えてよい。
【0072】
そのような平滑化または除去は、グラインディングプロセス、ウェットエッチングプロセス、または化学機械研磨プロセスを使用して達成され得る。
【0073】
中間層20がシード基板1と犠牲層2との間に配置される場合は、中間層20は、停止層として使用され得る。しかし、この中間層が存在しない場合は、シード基板1が停止層として働く。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的用途、光学的用途、またはマイクロエレクトロニクス用途のための半導体構造の生産に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、1つの基板を別の基板に一時的に接着することにより半導体構造を製造するためのプロセスに関する。
【0003】
本発明はまた、そのようなプロセスで利用される半導体の組み立てに関する。
【背景技術】
【0004】
半導体構造を製造するためのプロセスでは、例えば集積回路を備えた層を移動させることができる。そのような移動は、特に、回路を生産するために使用する基板とは異なる基板に回路を取り付けることができるようにするか、そうでなければ回路をスタックして「3D」コンポーネントを形成することができるようにする。
【0005】
移動させるべき薄い層が小さい厚さ(すなわち、200μm未満)のものである場合は、移動中にひびが入ったり割れたりしがちであり、または、より一般的には損傷する可能性がある。
【0006】
移動させるべき層または処理するべき基板を補強するための文書(例えば、特許文献1)から知られる解決策は、移動させるべき層を備える基板にハンドル基板を一時的に接着することにある。したがって、移動させるべき層または処理するべき基板は、自由に取り扱われ、その移動または処理のために必要なすべての製造ステップを受けることができる。
【0007】
文書(例えば、特許文献1)では、ハンドル基板は開裂帯を備え、この開裂帯は、ハンドル基板をプロセスの終わりにこの開裂帯に沿って除去することができるようにする。
【0008】
1つの問題は、そのようなハンドル基板は材料を消費することである。さらに、残りの部分をリサイクルして再利用することは容易でない。これは、研磨作業を実行することが必要であり、それによってプロセスの継続時間が長くなり、コストが増大するからである。
【0009】
材料を消費しない他の知られている解決策は、ハンドル基板を、移動させるべき層を備えた基板に接着剤によって一時的に接着することにある。
【0010】
この場合、移動または処理中は、移動させるべき層とハンドル基板との取り付けに関連する力は接着剤によって維持される。
【0011】
移動または処理が実行された後は、ハンドル基板は除去されてよい。
【0012】
接着剤の使用から問題が生じる。
【0013】
これは、基板上で実行される処理中にまたは移動を使用する半導体構造の製造中に利用される高温にさらされた場合、接着剤が不安定になる可能性があるからである。
【0014】
さらに、接着層は、基板上でいくつかの処理を実行するのに十分に安定した基板の取り付けを可能にすることができない。これは、例えば、基板がグラインディングによって、例えば200ミクロン、50ミクロンまたは40ミクロンの厚さ閾値未満まで薄くされる場合である。このステップにおいて加えられた機械的応力は、十分に堅固ではない接着層に載っている層におけるひずみになり、それによって基板を不均一に薄くすることになる。
【0015】
さらに、処理が実行された後は、接着剤は、化学的除去法(例えば、溶剤に溶かすこと)によって完全に除去される。そのような除去は、製造プロセスの継続時間を長くし、取得された半導体構造を損傷するリスクを増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第0786801号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】C. H. Yun, N. Quitoriano, N.W. Cheung: "Polycrystalline silicon layer transfer by ion-cut", Applied Physics Letters, Vol. 82, No. 10, March 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前述の欠点を軽減することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、半導体構造を製造するためのプロセスに関し、以下のステップ、すなわち、
−シード基板と、シード基板を覆う脆弱化された犠牲層とを備えるハンドル基板を提供するステップと、
−ハンドル基板をキャリア基板と接合するステップと、
−キャリア基板を任意選択で処理するステップと、
−犠牲層においてハンドル基板を分離し、半導体構造を形成するステップと、
−シード基板上に存在する犠牲層の残留物があればそれを除去するステップと
を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のプロセスによって、一方では、ハンドル基板のシード基板の材料を多種多様な材料から選択することができ、他方では、この基板の残りの部分をとりわけ容易なやり方でリサイクルし、同じやり方で再利用することができる。
【0021】
具体的には、分離ステップの後にハンドル基板の残りの部分をリサイクルすることを容易に実行することができ、ハンドル基板のリサイクルを可能にするには犠牲層の簡単な選択的エッチングだけで十分である。
【0022】
このタイプのリサイクルプロセスは、例えば、必然的に文書(例えば、特許文献1)に記載されているプロセスの結果であるような研磨ベースのリサイクル方式よりずっと費用がかからない。
【0023】
本発明の他の特徴は、ハンドル基板は犠牲層で覆われているのでハンドル基板の厚さはリサイクルによって低減されず、リサイクル中に消費されるのは犠牲層だけであるということである。したがって、ハンドル基板は、理論的には無限に再利用可能である。したがって、シリコンハンドル基板の一部分の移動およびそのリサイクルを必要とし、この基板の厚さの一部分がそれらのプロセスで消費される、知られているプロセスに比べて、コスト節減をすることが可能である。
【0024】
下記は、本発明の第1の態様によるプロセスの他の態様である。
−犠牲層が、原子種をハンドル基板の犠牲層に導入することにより脆弱化される。
−シード基板が、|CTE1−CTE2|/CTE1<50%であるように、キャリア基板の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有する。
−ハンドル基板が、シード基板と犠牲層との間に配置された中間層を備え、犠牲層を形成する材料のシード基板への接着を促進する。
−犠牲層が脆弱帯を有し、ハンドル基板の表面と脆弱帯との間に配置された層を画定する。
−プロセスが、分離ステップの前に、キャリア基板をホスト基板に接合することにあるステップを備える。
−シード基板が、ホスト基板の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有するように選択される。
−キャリア基板が、集積回路部を備える。
−分離ステップが、少なくとも200℃の温度でアニールすることによりエネルギーを供給することにある。
−原子種の導入が、ハンドル基板の一部分を、1x1015イオン/cm2から1x1017イオン/cm2までの間の注入量で、および5keVから500keVまでの間のエネルギーで、原子種注入に対してさらすことにある。
−原子種の導入が、ハンドル基板の表面を化学的拡散によってハンドルウェハに浸透する化学種と接触させることにより、原子種をハンドル基板に拡散させることにある。
−原子種の導入が、
o原子種の導入前に、ハンドル基板に閉じ込め層を生成することと、
o原子種の導入後に、導入された種の閉じ込め層への移動を促進する目的でハンドル基板を少なくとも200℃の温度にさらすことと
を含む。
−接合するステップが、ハンドル基板をキャリア基板に接着することにある。
−接合するステップが、分子接着によって達成される。
−犠牲層が、ポリシリコン層である。および
−シード基板が、単結晶基板、または、アモルファス基板もしくは多結晶基板、または、セラミック、または、金属である。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、シード基板および脆弱化された犠牲層を備えたハンドル基板に関する。
【0026】
下記は、本発明の第2の態様によるハンドル基板の他の態様である。
−犠牲層が、1x1016at/cm3から1x1020at/cm3までの間にある密度のHおよび/またはHeを含む。
−犠牲層がポリシリコンで作られる。
−シード基板が、単結晶基板、アモルファス基板もしくは多結晶基板、セラミック、または金属である。
−シード基板が、10オングストローム以下のRMS表面粗度を有する。
−シード基板が、ハンドル基板のキャリア基板との次に続く接合を簡単にする追加の表面層を有する。および
−追加の層が、酸化シリコンで作られる。
【0027】
さらに、第3の態様によれば、本発明は、以下のステップ、すなわち、シード基板上に犠牲層を形成するステップと、原子種を犠牲層に導入するステップとを備えるハンドル基板を製造するためのプロセスに関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、前述の欠点を軽減した半導体構造を製造するためのプロセスを提供することができる。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、純粋に例示的で非限定的であり、添付の図面に関して読まれなければならない以下の説明から、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態によるプロセスの諸ステップを例示する図である。
【図2】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図3】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図4】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図5】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図6】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図7】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図8】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図9】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図10】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図11】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【図12】本発明の一実施形態によるプロセスで見られる一構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
すべての図において、同様の要素は同一の参照数字を与えられている。
【0032】
以下の説明は、キャリア基板を支持するためにハンドル基板を利用する半導体構造を製造するためのプロセスにおける諸ステップを例示する図1から図12までに関して与えられる。
【0033】
「半導体構造」という表現は、半導体デバイスの生産において使用される任意の構造を意味すると理解される。半導体構造は、導体、半導体、および/または絶縁体を備えてよい。半導体構造は、それ自体がマイクロコンポーネントまたは完成マイクロコンポーネントもしくは部分的に完成されたマイクロコンポーネントを備えた層でも、または備えない層でもよい。
【0034】
「ハンドル基板」という表現は、その機能が基板または構造のための一時的な機械的支持として働く複合構造を意味すると理解される。
【0035】
「キャリア基板」という表現は、ハンドル基板に−とりわけ一時的に−接合され、処理を受けることができる基板を意味すると理解される。キャリア基板は、例えば、ホスト基板に移動させるべき、完成マイクロコンポーネントまたは部分的に完成されたマイクロコンポーネントを備えた基板でよい。
【0036】
「ホスト基板」という表現は、基板または構造を(通常は移動によって)受け取ることを意図された基板を意味すると理解される。
【0037】
「停止層」という表現は、リサイクル作業中は除去されない第1の層を意味すると理解される。
【0038】
半導体構造を製造するためのプロセスでは、第1のステップE1において、シード基板1およびシード基板1を覆う犠牲層2を備えたハンドル基板1、2が提供される。
【0039】
犠牲層2は脆弱化され、または前もって脆弱化されており、したがって、製造プロセスにおいてハンドル基板に予め脆弱化された犠牲層2を提供するか、または製造プロセスにおいて犠牲層2を脆弱化することが可能である。
【0040】
犠牲層2は、通常、原子種を犠牲層2に導入することにより脆弱化される。分離はポリシリコンが使用された場合にとりわけ容易なので、犠牲層2は、好ましくは、ポリシリコンで作られる。この点に関しては、読者は文書(例えば、非特許文献1)を参照することができる。
【0041】
さらに、シード基板と犠牲層2との間に配置された中間層20が提供されてよく、この中間層は、犠牲層2のシード基板1への良好な接着を保証する。この中間層20は、ハンドル基板の任意選択のリサイクルステップE5中ずっと結合層としても、エッチング停止層としても機能することができ、前記リサイクルステップは、シード基板1上に存在する犠牲層2の残留物があればそれを除去することにある(下記参照)。この層は、犠牲層2が基板1と同じ材料で作られている場合はとりわけ必要であることが分かるであろう。
【0042】
犠牲層2は、シード基板1を覆う。この犠牲層2は、続いてハンドル基板をキャリア基板3と接合することをより容易にする追加の層21で覆われてよい。したがって、この追加の層21は、表面酸化物接着層の形を取ってよい。この層が存在してもしなくても、ハンドル基板の露出面が次に続く組み立てステップE2に適合していることが重要である。したがって、ハンドル基板を分子接着によってキャリア基板と一時的に接合することが予見される場合は、ハンドル基板のRMS表面粗度は、約10オングストローム以下でなければならない。
【0043】
原子種の導入は、シード基板1を覆う犠牲層2に埋め込まれた脆弱帯2’’’を形成する目的を有する。導入される原子種は、単独でも組み合わせてでも、水素イオンもしくはヘリウムイオン、不活性ガスイオン、またはさらにフッ素イオンもしくはホウ素イオンでもよい。水素およびヘリウムは、非常に一般的に注入されるのでとりわけ有利である。
【0044】
したがって、ハンドル基板は、脆弱帯2’’’においてエネルギーを受けた場合(例えば、加熱された場合、および/または機械的応力が加えられた場合)、この帯で分離しがちである。
【0045】
原子種導入のパラメータ、およびとりわけ導入される種の導入量は、ハンドル基板のキャリア基板3との組み立て中にまたは基板3上で実行される処理中に、とりわけこれらの処理が過熱処理ステップを備える場合は、ハンドル基板が脆弱帯に沿って破損または分離しないように調整され得る。
【0046】
これは、以下で説明されるように、次に続く処理ステップ中にハンドル基板をキャリア基板3から分離することができるようにする。
【0047】
脆弱帯を生成するために種がハンドル基板に導入される深さは、主に、種がハンドル基板にそれによって導入されるエネルギーの関数である。導入される種が犠牲層に実際本質的に配置される限りでは、脆弱化された帯の正確な位置は重要ではない。非限定的な例として、原子種は、50nmから数ミクロンまでの間の深さまで犠牲層2に導入されてよい。
【0048】
原子種の導入は、1x1015イオン/cm2から1x1017イオン/cm2までの間の注入量で、および5keVから500keVまでの間のエネルギーで、ハンドル基板の一部分を原子種注入にさらすことにあってよい。
【0049】
あるいは、原子種の導入は、原子種をハンドル基板に拡散させることにあってよい、すなわちハンドル基板の表面を化学拡散によってハンドル基板に浸透する化学種と接触させることから成ってよい。これは、プラズマを使用して達成され得る。
【0050】
この導入はまた、犠牲層2の形成中に、例えば、層の析出中に層に大量の水素を取り入れることにより達成され得る。
【0051】
知られている注入ベースの層移動方式とは対照的に、本発明の文脈では、移動させるべき層を画定するためには、注入する種を正確に特定することは必要がないことが分かるであろう。実際、ボイドまたはプレートレットなどの欠点が過熱処理の影響下で生じることを可能にし、それに続いてそれらの欠点がシード基板1を分離することを可能にするには、層に十分な種を取り入れるだけで十分である。犠牲層2におけるHおよび/またはHe密度は、1x1016at/cm3から1x1020at/cm3までの間にある。ポリシリコン犠牲層2では、この密度は約1x1018at/cm3である。
【0052】
さらに、原子種を導入するいかなる方法が使用されても、種の導入は、閉じ込めと組み合わされてよく、閉じ込めでは、
−種の導入前に、ハンドル基板に閉じ込め層が生成され、
−種の導入後に、ハンドル基板が、導入された種の閉じ込め層への移動を促進する目的で少なくとも100℃の温度にさらされる。
【0053】
前述のように、ステップE2では、ハンドル基板1、2はキャリア基板3と接合される。
【0054】
この組み立てステップE2は、キャリア基板3に機械的支持を提供することができるようにする。
【0055】
有利には、ハンドル基板を形成するシード基板1の材料は、キャリア基板の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選ばれてよい。好ましくは、|CTE1−CTE2|/CTE1<50%であり、ここで、CTE1は、シード基板の熱膨張係数であり、CTE2は、キャリア基板の熱膨張係数である。
【0056】
さらに有利には、シード基板1は、キャリア基板3上で実行される処理に適合した基板の形で提供されることが可能であるシリコンまたは任意の他の材料で作られてよい。
【0057】
したがって、このシード基板1は、数百度、例えば最高500℃での熱処理に耐えることができなければならず、機械的応力に耐えることができなければならず、化学機械研磨(CMP)またはグラインディングに耐えるために化学的に不活性でなければならならず、分子接着ステップ中に変形されることが可能であるように十分に可撓性がなければならない。この点に関して、シード基板1は、場合によっては、単結晶(シリコン、SiC、石英、サファイア)基板、アモルファス基板もしくは多結晶(ポリSiC、ガラス、ガラスセラミック)基板、セラミック(アルミニウムもしくは窒化シリコン、ムライト、アルミナ)、または金属(タングステン、モリブデン)から選ばれる。
【0058】
組み立てステップE2は、ハンドル基板1、2をキャリア基板3に接着することにあってよい。
【0059】
次いでキャリア基板3と接触するのは層2’’である。好ましくは、これは分子接着作業であり、したがって、接着剤または他のいかなる形の接着層をも必要とせず、その限界は序文で述べられている。
【0060】
基板3を支持する基板1と接合された後は、基板3は1つまたは複数の処理を受けることができる。例えば、回路が接合されている場合は、キャリア基板3は、裏側から薄くされ、最終ホスト基板4に接合されるE2’、例えば、接着される。
【0061】
この場合、シード基板1の材料は、最終ホスト基板4の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように選ばれる。好ましくは、|CTE1−CTE3|/CTE1<50%であり、ここで、CTE1は、シード基板の熱膨張係数であり、CTE3は、最終ホスト基板の熱膨張係数である。
【0062】
次に、第4のステップにおいて、ハンドル基板は、脆弱化が原子種を導入することにより達成された場合は、犠牲層2において、およびとりわけ脆弱帯2’’’において分離されるE4。
【0063】
あるいは、または補足的に、この分離ステップが実行される前に、キャリア基板3および層2’’をホスト基板4に接合することE30にあるステップが実行されてよい。
【0064】
分離ステップE3は、特に、少なくとも200℃の温度でアニールすることによりエネルギーを供給することにある。この熱処理に加えて、脆弱化された帯に機械的応力を加えて、この分離を達成することができる。
【0065】
したがって、組み立てステップE30が実行される場合は、ハンドル基板は、キャリア基板3を損傷することなくキャリア基板3をホスト基板4上に配置することができるようにする。
【0066】
さらに、ハンドル基板の残りの部分は、犠牲層2’の残留物があればそれを選択的にエッチングすることにより容易にリサイクルされ得る。
【0067】
この目的のために、シード基板1から犠牲層2の残留物があればそれを除去するステップE5が実行される。
【0068】
キャリア基板の残りの部分のリサイクルは、消費されるのは残留層2なので、ハンドル基板の厚さを低減しない。
【0069】
これは、シリコン基板をリサイクルする前にシリコン基板の一部分を移動させ、シリコン基板の厚さの一部分を使い尽くすことを必要とする、知られているプロセスに比べて、基板消費を低減することを可能にする。
【0070】
半導体構造は、上記で説明されたプロセスを使用して取得され、構造は、場合によっては、ホスト基板4、キャリア基板3、および、場合によっては、ハンドル基板の犠牲層に由来する層2’の残留物があればそれから成る。この残留物は、例えば、半導体構造上に存在する犠牲層2の残留物があればそれを除去するステップE5において、研磨すること、または化学的処理を使用することにより、除去される。
【0071】
最後に、製造プロセスは、特に、自由表面を平滑化すること、または層2’’を除去することにあるハンドル基板をリサイクルするステップを備えてよい。
【0072】
そのような平滑化または除去は、グラインディングプロセス、ウェットエッチングプロセス、または化学機械研磨プロセスを使用して達成され得る。
【0073】
中間層20がシード基板1と犠牲層2との間に配置される場合は、中間層20は、停止層として使用され得る。しかし、この中間層が存在しない場合は、シード基板1が停止層として働く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造を製造するためのプロセスであって、
シード基板(1)と、前記シード基板(1)を覆う脆弱化された犠牲層(2)とを備えるハンドル基板(1、2)を提供するステップ(E1)と、
前記ハンドル基板(1、2)をキャリア基板(3)と接合するステップ(E2)と、
前記キャリア基板(3)を任意選択で処理するステップ(E3)と、
前記ハンドル基板を前記犠牲層(2)において分離し、前記半導体構造を形成するステップ(E4)と、
前記シード基板(1)上に存在する前記犠牲層(2)の残留物を除去するステップ(E5)と
を備えることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記犠牲層(2)は、原子種を前記ハンドル基板(1、2)の前記犠牲層(2)に導入することにより脆弱化されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記シード基板(1)は、(CTE1−CTE2)/CTE1<50%であるように前記キャリア基板(3)の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ハンドル基板(1、2)は、前記シード基板(1)と前記犠牲層(2)との間に配置された中間層(20)を備え、前記犠牲層(2)を形成する前記材料の前記シード基板(1)への接着を促進することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記犠牲層(2)は、脆弱帯(2’’’)を有し、前記ハンドル基板(1、2)の表面と前記脆弱帯(2’’’)との間に配置された層(2’’)を画定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記分離ステップ(E3)の前に、前記キャリア基板(3)をホスト基板(4)に接合すること(E30)にあるステップを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記シード基板(1)は、前記ホスト基板(4)の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有するように選択されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記キャリア基板(3)は、集積回路部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記分離ステップは、少なくとも200℃の温度でアニールすることによりエネルギーを供給することにあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
原子種の前記導入は、前記ハンドル基板(1、2)の一部分を、1x1015イオン/cm2から1x1017イオン/cm2までの間の注入量でおよび5keVから500keVまでの間のエネルギーで原子種注入に対してさらすことにあることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
原子種の前記導入は、前記ハンドル表面に、化学的拡散によって前記ハンドルウェハに浸透する化学種と接触させることにより、原子種を前記ハンドル基板に拡散させることにあることを特徴とする請求項2乃至10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
原子種の前記導入は、
前記種の導入前に、前記ハンドル基板に閉じ込め層を生成することと、
前記種の導入後に、導入された種の前記閉じ込め層への移動を促進する目的で前記ハンドル基板を少なくとも200℃の温度にさらすことと
を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記接合するステップは、前記ハンドル基板(1、2)を前記キャリア基板(3)に接合することにあることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記接合するステップは、分子接着によって達成されることを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記犠牲層(2)は、ポリシリコン層であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記シード基板(1)は、
単結晶基板、または
アモルファス基板もしくは多結晶基板、または
セラミック、または
金属
であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
シード基板(1)および脆弱化されたポリシリコン犠牲層(2)を備えることを特徴とするハンドル基板。
【請求項18】
前記犠牲層(2)は、1x1016at/cm3から1x1020at/cm3までの間にある密度のHおよび/またはHeを含むことを特徴とする請求項17に記載のハンドル基板。
【請求項19】
前記シード基板(1)は、単結晶基板、アモルファス基板もしくは多結晶基板、セラミック、または金属であることを特徴とする請求項17または18に記載のハンドル基板。
【請求項20】
10オングストローム以下のRMS表面粗度を有することを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のハンドル基板。
【請求項21】
前記ハンドル基板の前記キャリア基板との次に続く接合を簡単にする追加の表面層(21)を有することを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のハンドル基板。
【請求項22】
前記追加の層(21)は、酸化シリコンで作られることを特徴とする請求項21に記載のハンドル基板。
【請求項23】
ハンドル基板を製造するためのプロセスであって、
シード基板(1)上にポリシリコン犠牲層(2)を形成するステップと、
原子種を前記ポリシリコン犠牲層(2)に導入するステップと
を備えることを特徴とするプロセス。
【請求項1】
半導体構造を製造するためのプロセスであって、
シード基板(1)と、前記シード基板(1)を覆う脆弱化された犠牲層(2)とを備えるハンドル基板(1、2)を提供するステップ(E1)と、
前記ハンドル基板(1、2)をキャリア基板(3)と接合するステップ(E2)と、
前記キャリア基板(3)を任意選択で処理するステップ(E3)と、
前記ハンドル基板を前記犠牲層(2)において分離し、前記半導体構造を形成するステップ(E4)と、
前記シード基板(1)上に存在する前記犠牲層(2)の残留物を除去するステップ(E5)と
を備えることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記犠牲層(2)は、原子種を前記ハンドル基板(1、2)の前記犠牲層(2)に導入することにより脆弱化されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記シード基板(1)は、(CTE1−CTE2)/CTE1<50%であるように前記キャリア基板(3)の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ハンドル基板(1、2)は、前記シード基板(1)と前記犠牲層(2)との間に配置された中間層(20)を備え、前記犠牲層(2)を形成する前記材料の前記シード基板(1)への接着を促進することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記犠牲層(2)は、脆弱帯(2’’’)を有し、前記ハンドル基板(1、2)の表面と前記脆弱帯(2’’’)との間に配置された層(2’’)を画定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記分離ステップ(E3)の前に、前記キャリア基板(3)をホスト基板(4)に接合すること(E30)にあるステップを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記シード基板(1)は、前記ホスト基板(4)の熱膨張係数CTE2に近い熱膨張係数CTE1を有するように選択されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記キャリア基板(3)は、集積回路部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記分離ステップは、少なくとも200℃の温度でアニールすることによりエネルギーを供給することにあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
原子種の前記導入は、前記ハンドル基板(1、2)の一部分を、1x1015イオン/cm2から1x1017イオン/cm2までの間の注入量でおよび5keVから500keVまでの間のエネルギーで原子種注入に対してさらすことにあることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
原子種の前記導入は、前記ハンドル表面に、化学的拡散によって前記ハンドルウェハに浸透する化学種と接触させることにより、原子種を前記ハンドル基板に拡散させることにあることを特徴とする請求項2乃至10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
原子種の前記導入は、
前記種の導入前に、前記ハンドル基板に閉じ込め層を生成することと、
前記種の導入後に、導入された種の前記閉じ込め層への移動を促進する目的で前記ハンドル基板を少なくとも200℃の温度にさらすことと
を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記接合するステップは、前記ハンドル基板(1、2)を前記キャリア基板(3)に接合することにあることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記接合するステップは、分子接着によって達成されることを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記犠牲層(2)は、ポリシリコン層であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記シード基板(1)は、
単結晶基板、または
アモルファス基板もしくは多結晶基板、または
セラミック、または
金属
であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
シード基板(1)および脆弱化されたポリシリコン犠牲層(2)を備えることを特徴とするハンドル基板。
【請求項18】
前記犠牲層(2)は、1x1016at/cm3から1x1020at/cm3までの間にある密度のHおよび/またはHeを含むことを特徴とする請求項17に記載のハンドル基板。
【請求項19】
前記シード基板(1)は、単結晶基板、アモルファス基板もしくは多結晶基板、セラミック、または金属であることを特徴とする請求項17または18に記載のハンドル基板。
【請求項20】
10オングストローム以下のRMS表面粗度を有することを特徴とする請求項17乃至19のいずれか一項に記載のハンドル基板。
【請求項21】
前記ハンドル基板の前記キャリア基板との次に続く接合を簡単にする追加の表面層(21)を有することを特徴とする請求項17乃至20のいずれか一項に記載のハンドル基板。
【請求項22】
前記追加の層(21)は、酸化シリコンで作られることを特徴とする請求項21に記載のハンドル基板。
【請求項23】
ハンドル基板を製造するためのプロセスであって、
シード基板(1)上にポリシリコン犠牲層(2)を形成するステップと、
原子種を前記ポリシリコン犠牲層(2)に導入するステップと
を備えることを特徴とするプロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−8968(P2013−8968A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−138156(P2012−138156)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【出願人】(507088071)ソイテック (93)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138156(P2012−138156)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【出願人】(507088071)ソイテック (93)
[ Back to top ]