説明

一液型エポキシ系構造用接着剤

エポキシ樹脂と、強靭化剤と、構造用接着剤の約5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する反応性液体改質剤と、潜在性アミン系硬化剤と、を含む、一液型エポキシ系構造用接着剤。構造用接着剤は所望により、反応性希釈剤、合成鉱物繊維、充填剤、顔料及びこれらの組み合わせなどを含有してもよい。構造用接着剤は、清潔な表面を有する金属パーツの間に、並びにオイル、加工助剤及び潤滑剤などの炭化水素含有材料で汚れた表面を有する金属パーツの間に、接着接合を形成するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ系構造用接着剤組成物、特に硬化した際に構造組立品において有用な性質を呈するエポキシ系組成物に関する。本発明はまた、構造用接着剤組成物の使用、及び接着部位について、本組成物を用いる加工に関する。
【背景技術】
【0002】
構造用接着剤は、実質的な接着剤の接着強度が室温で6.9MPa(1,000psi)超であるように、木材、複合材料又は金属などの、他の高強度の物質を接着するために使用される物質として定義することができる。構造用接着剤は、一般的に用いられる工業用途から、自動車及び航空宇宙工業における高性能用途までの広範な使用法を有し得る。構造用接着剤を使用して、溶接又は機械的な締結(ナット及びボルト、ネジ及びリベットなど)といった従来の接合技術を置き換えたり又は補完することができる。特に、運送業(例えば、自動車業界、航空機業界又は船舶業界など)においては、構造用接着剤は機械的な締結(mechanical fasteners)の軽量代替物を提示することができる。構造用接着剤として好適であるためには、接着剤は、高い機械的強度及び高い耐衝撃性を有する必要がある。
【0003】
熱硬化エポキシ系接着剤の固有の脆性は、硬化済みエポキシ組成物へより高い耐衝撃性を提供する強化剤を接着剤組成物へ添加することによって克服することができる。このような試みには、エポキシド中でラジカル重合性モノマーからその場重合されたエラストマー系粒子の添加、共重合体安定剤の添加、エラストマー分子若しくは別個のエラストマー前駆体分子の添加、又はコア/シェル型ポリマーの添加が包含される。通常は、十分な強靭化及び/又は耐衝撃性を得るために、かなり大量の強靭化剤を用いなければならない。しかしながら、例えば、コア/シェル型ポリマーなどの大量の強靭化剤は、接着剤組成物の粘度の増大と貧弱な取扱い性をもたらす。したがって、組成物、特に構造用接着剤として好適な組成物(より少量の強靭化剤で同一のあるいは改善された強靭化効果及び/又は耐衝撃性を有する)を提供することが必要とされている。
【0004】
強靭化剤の使用によって、静荷重に対する耐衝撃性は向上したが、良好な耐衝撃性、すなわち、動荷重に対する良好な耐衝撃性を有する構造用エポキシ系接着剤を提供する必要性は依然として存在する。良好な耐衝撃性とは、自動車が衝突した場合に生じるような突然の衝撃を受けた際にエネルギーを吸着する、接着的に接着された構造体(adhesively bonded structure)の能力を意味する。
【0005】
加えて、ある種のアセンブリ用途において、特に、スポット溶接を使用して部品を結合する場合、短時間の硬化時間後に、高い又は向上した接着力及び凝集強さが得られる、高速硬化接着剤が望ましい場合がある。例えば、自動車組立にて使用される自動組立ラインにおいて、所定の部品は、スポット様式(spotwise)誘導硬化にて局所的に結合される。これにより、非硬化領域によって分離された部分的硬化領域がもたらされるが、その他の部品は、本体の完全な硬化に先立って、それに続く加工方法、例えばアセンブリの熱処理によって、加えられてもよい。これらの加熱時間は非常に短く、例えば1分未満の場合がある。しかし、アセンブリの完全硬化前の安全な機械処理を可能とする、十分な接着力及び凝集強さを有するためには、誘導硬化領域が必要である。
【0006】
更に、鉱物油、加工助剤(例えば、深絞り助剤(deep-drawing agents))、潤滑剤(例えば、乾燥潤滑剤、グリース及び土壌(soil))、及び同様物などの炭化水素含有材料で汚された金属表面に対する十分な接着性を提供することは、構造用接着剤にとって有用である。表面からの炭化水素含有物質の除去が、非常に困難であり得ることは、周知である。機械的プロセス、例えば、乾拭き、及び/又は加圧空気の使用は、炭化水素含有物質の薄い層を金属表面上に残す傾向がある。米国特許第6,849,589号に開示されるような液体洗浄組成物は、有効であり得るが、洗浄液が回収及び再利用されるか、又は廃棄されなくてはならないため、加工の観点から、より望ましくない場合がある。加えて、洗浄工程の後に、通常は乾燥時間が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、以下の特性の1つ以上を呈する構造用接着剤について、引き続き必要性が存在している。高い機械強度及び高い耐衝撃性、妥当な硬化時間、清潔な表面に対する接着性、及び様々なオイル及び潤滑剤などの炭化水素含有材料で汚された表面に対する接着性。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本発明はエポキシ樹脂と、強靭化剤と、接着剤の約5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する反応性液体改質剤と、潜在性アミン系硬化剤と、を含む、接着剤を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明はエポキシ樹脂と、強靭化剤と、反応性液体改質剤と、潜在性アミン系硬化剤と、約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、約0重量%〜約1重量%のFeO及び約3重量%のKO+NaOを含む無機鉱物繊維と、を含む、接着剤を提供する。
【0010】
更なる実施形態では、本発明はエポキシ樹脂と、強靭化剤と、接着剤の約5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する反応性液体改質剤と、潜在性アミン系硬化剤と、を含む、接着剤を提供することと、接着剤を2つの基材の少なくとも1つに適用することと、接着剤を2つの基材の間に挟みこんで基材を接合することと、接着接合を形成するために接着剤を硬化することと、を含む、2つの基材間の接着接合を形成する方法を提供する。
【0011】
更に追加的な実施形態では、本発明はエポキシ樹脂と、強靭化剤と、潜在性アミン系硬化剤と、約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、約0重量%〜約1重量%のFeO及び約3重量%のKO+NaOとを含む無機鉱物繊維、を含む、接着剤を提供することと、接着剤を2つの基材の少なくとも1つに適用することと、接着剤を2つの基材の間に挟みこんで基材を接合することと、接着接合を形成するために接着剤を硬化することと、を含む、2つの基材間の接着接合を形成する方法を提供する。
【0012】
本発明の他の特徴及び態様は、発明を実施するための形態を考慮することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のいずれかの実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、以下の記述で説明される構成の詳細及び構成要素の配置の用途に限定されないことが理解されるべきである。本発明には他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、本明細書で使用される専門語句及び専門語は説明を目的としたものであり、発明を限定するものとして見なされるべきではない点は理解されるべきである。「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変形は、それらの後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味するものである。本明細書に引用される任意の数値的な範囲には、低位の値から高位の値までの全ての値を含む。例えば、濃度範囲が1%〜50%のように記載される場合、これは2%〜40%、10%〜30%、又は1%〜3%などの値が本明細書中に明確に列挙されることを意図する。これらは何が具体的に意図されているのかの例に過ぎず、列挙された最も低位の値と最も高位の値との間並びにこれらを含む、数値の全ての可能性のある組み合わせが、本明細書において明確に記載されていると考慮される。
【0014】
本発明は、少なくとも1つのエポキシ樹脂、少なくとも1つの強靭化剤、少なくとも1つの反応性液体改質剤及び少なくとも1つの潜在性アミン系硬化剤を含む、一液型エポキシ系構造用接着剤に関する。構造用接着剤は限定するものではないが、所望により、反応性希釈剤、合成鉱物繊維、充填剤、顔料及びこれらの組み合わせなどの他の成分を含有してもよい。部品を共に結合させる際の溶接又は機械的締結などの従来の接合手段を置き換えたり又は補完したりするために、構造用接着剤を使用してもよい。
【0015】
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は構造用接着剤において架橋可能な構成成分として機能する。用語「エポキシ樹脂」は、1分子あたり少なくとも1つのエポキシ官能基を含有する、任意のモノマー性の、ダイマー性の、オリゴマー性の又はポリマー性のエポキシ材料を意味するものとして本明細書で使用される。このような化合物は、モノマーのエポキシ化合物及びポリマー型のエポキシドを包含し、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式であり得る。モノマー及びオリゴマーエポキシ化合物は、1分子あたりに少なくとも1つの、好ましくは1〜4つの重合可能なエポキシ基を有する。ポリマー型のエポキシド、又はエポキシ樹脂には、多くのペンダントエポキシ基が存在し得る(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーは、平均分子量あたり、数千個のペンダントエポキシ基を有する場合がある)。オリゴマーのエポキシ樹脂、特にポリマーエポキシ樹脂が好ましい。
【0016】
エポキシ樹脂の分子量は、例えば約100g/molの分子量を有する低分子量のモノマー又はオリゴマーエポキシ樹脂から、約50,000g/mol以上の分子量を有するエポキシ樹脂まで変化する場合があり、これらの主鎖及び置換基の性質において大きく変化し得る。例えば、主鎖は任意の種類であってよく、その置換基は、オキシラン環と反応する求核基又は求電子基(活性水素原子など)を有さない、任意の種類であり得る。許容可能な置換基の例は、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、アミド基、ニトリル基、ホスフェート基などである。エポキシ樹脂の混合物も使用することができる。いくつかの実施形態においては、構造用接着剤は、具体的な必要条件について、架橋された構造用接着剤の機械的性質を改質して適合させるために、2つ以上のエポキシ樹脂の混合物を含む。
【0017】
使用され得るエポキシ樹脂の種類には、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)とエピクロロヒドリンの反応生成物、過酸エポキシ、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、エピクロロヒドリンとp−アミノフェノールの反応生成物、エピクロロヒドリンとグリオキサールテトラフェノールの反応生成物などが挙げられる。
【0018】
本発明で特に有用なエポキシドは、グリシジルエーテルタイプのものである。好適なグリシジルエーテルエポキシドはこれらの一般式(I)を含み得る。
【0019】
【化1】

【0020】
式中、
R’は、アルキル、アルキルエーテル、又はアリールであり、
nは、少なくとも1であり、特に1〜4の範囲である。
【0021】
好適な式(I)のグリシジルエーテルエポキシドには、ビスフェノールA及びF、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールのグリシジルエーテルが挙げられる。いくつかの実施形態においては、式(I)のグリシジルエーテルエポキシドは、約170g/mol〜約10,000g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態においては、式(I)のグリシジルエーテルエポキシドは、約200g/mol〜約3,000g/molの範囲の分子量を有する。
【0022】
有用な式(I)のグリシジルエーテルエポキシドには、エポキシ基末端(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)及び芳香族グリシジルエーテル(例えば、これらは二価フェノールを過剰量のエピクロロヒドリンと反応させることにより調製される)を有する、直鎖ポリマーエポキシドが挙げられる。有用な二価フェノールの例には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、及びp,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−1,1−ジナフチルメタンを包含する多核フェノール、並びにジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピレンフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルエタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’、及び4,4’異性体類が挙げられる。
【0023】
好適な、市販の芳香族及び脂肪族エポキシドには、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals GmbH in Rosbach,Germanyから、EPON 828、EPON 872、EPON 1001、EPON 1310及びEPONEX 1510という商品名で入手可能)、DER−331、DER−332及びDER−334(Dow Chemical Co.in Midland,MIから入手可能)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(例えば、Dainippon Ink and Chemicals,Inc.から入手可能なEPICLON 830)、PEG1000DGE(Polysciences,Inc.in Warrington,PAから入手可能)、ジグリシジルエポキシ官能基を含有しているシリコーン樹脂(例えば、Dow Chemical Co.in Midland,MIから入手可能な、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂であるDER 580)、1,4−ジメタノールシクロヘキシルジグリシジルエーテル、及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる。ビスフェノールをベースにしたその他のエポキシ樹脂は、商標名D.E.N.、EPALLOY、及びEPILOXにて市販されている。
【0024】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、約20重量%〜約90重量%のエポキシ樹脂を含み得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は、約40重量%〜約70重量%のエポキシ樹脂を含み得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は、約60重量%〜約70重量%のエポキシ樹脂を含み得る。
【0025】
反応性液体改質剤
接着剤配合物への反応性液体改質剤の添加は、エポキシ樹脂に可撓性を付与し、もたらされる接着剤中の強靭化剤の効果を高める。
【0026】
本発明の反応性液体改質剤は、少なくとも1つのアセトアセトキシ基を好ましくは末端位置に含有している、アセトアセトキシ官能化化合物を含んでもよい。このような化合物には、アルキル、ポリエーテル、ポリオール、ポリエステル、ポリヒドロキシポリエステル、ポリオキシポリオール、又はこれらの組み合わせなどの炭化水素を有するアセトアセトキシ基が挙げられる。
【0027】
アセトアセトキシ官能化化合物はポリマーであり得る。いくつかの実施形態においては、本発明のアセトアセトキシ官能化化合物は、約100g/mol〜約10,000g/molの分子量を有し得る。他の実施形態においては、アセトアセトキシ官能化化合物は、約200g/mol〜約1,000g/molの分子量を有し得る。更に他の実施形態においては、アセトアセトキシ官能化化合物は、約150g/mol〜約4,000g/mol未満又は約3,000g/mol未満の分子量を有し得る。好適な化合物には、一般式(II)
【0028】
【化2】

【0029】
式中、
Xは1〜10、好ましくは1〜3の整数であり、
YはO、S又はNHを表し、好ましくはYはOであり、
Rは、ポリヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアリール又はポリヒドロキシアルキルアリール、ポリオキシアルキル、ポリオキシアリール及びポリオキシアルキルアリール、ポリオキシポリヒドロキシアルキル、−アリール、−アルキルアリール、ポリエーテルポリヒドロキシアルキル、−アリール又は−アルキルアリール、あるいはポリエステルポリヒドロキシアルキル、−アリール又は−アルキルアリールからなる残基の群から選択される残基を表し、Rは炭素原子を介してYに結合する。いくつかの実施形態においては、Rはポリエーテルポリヒドロキシアルキル、−アリール又は−アルキルアリール残基、又はポリエステルポリヒドロキシアルキル、−アリール又は−アルキルアリール残基を表す。
【0030】
残余部分Rは、例えば、2〜20個の又は2〜10個の炭素原子を含有してもよい。残余部分Rは更に、例えば、2〜20個の又は2〜10個の酸素原子を含有してもよい。残余部分Rは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0031】
ポリエステルポリオール残基の例には、多塩基性カルボン酸又は多塩基性カルボン酸無水物と、化学量論的過剰量の多価アルコールとの縮合反応から得ることができ、あるいは多塩基酸、単塩基酸及び多価アルコールの混合物からの縮合反応から得ることができるポリエステルポリオールが挙げられる。多塩基性カルボン酸、一塩基性カルボン酸又はそれらの無水物の例には、2〜18個の炭素原子を有するものが挙げられる。いくつかの実施形態においては、多塩基性カルボン酸、一塩基性カルボン酸又はそれらの無水物は、2〜10個の炭素原子を有する。
【0032】
多塩基性カルボン酸又は多塩基性カルボン酸無水物の例には、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、アゼライン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロフタル酸(例えば、テトラヒドロ酸又はヘキサデヒドロフタル酸)及び対応する無水物並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
一塩基性カルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
多価アルコールには、2〜18個の炭素原子を有するようなものが挙げられる。いくつかの実施形態においては、多価アルコールには、2〜10個の炭素原子を有するようなものが挙げられる。多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタエリスリトール(pentaerythriol)、グリセロールなど、並びにこれらのポリマーが挙げられる。
【0035】
ポリエーテルポリオール残基の例には、ポリアルキレンオキシドから誘導されるものが挙げられる。通常は、ポリアルキレンオキシドは約2〜約8個の炭素原子のアルキレン基を含有する。いくつかの実施形態においては、ポリアルキレンオキシドは、約2〜約4個の炭素原子のアルキレン基を含有する。このアルキレン基は、直鎖又は分岐鎖であってよいが、好ましくは直鎖である。ポリエーテルポリオール残基の例には、ポリエチレンオキシドポリオール残基、ポリプロピレンオキシドポリオール残基、ポリテトラメチレンオキシドポリオール残基、などが挙げられる。
【0036】
R’は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどの、C〜C12の直鎖若しくは分枝鎖又は環状のアルキルを表す。
【0037】
アセトアセトキシ官能化オリゴマーは、ポリヒドロキシ化合物と、アルキルアセトアセテート、ジケテン又は例えば、欧州特許第0 847 420(B1)号に記載されているその他のアセトアセチル化化合物(acetoacetylating compounds)のアセトアセチル化(acetacetylation)により調製することができる。
【0038】
その他のポリヒドロキシ化合物は、アクリレート及び/又はメタクリレートと、ヒドロキシル基を含有する1種以上の不飽和モノマーとのコポリマーであってもよい。ポリヒドロキシポリマーの更なる例には、ヒドロキシル基で末端処理した、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー、ヒドロキシ基で末端処理した、有機ポリシロキサン、ポリテトラヒドロフランポリオール、ポリカーボネートポリオール又はカプロラクトン系ポリオール、が挙げられる。
【0039】
アセトアセトキシ官能化ポリマーは例えば、K−FLEX XM−B301及びK−FLEX 7301(どちらもKing Industries,Norwalk,CTから入手可能)として市販されている。その他のアセトアセトキシ官能化化合物には、MaAcAc 1000MW Oligomer、MaAcAc 2000MW Oligomer、Urethane diAcAc#1及びUrethane diAcAc#2が挙げられ、そのそれぞれについての合成は実施例11に記載される。
【0040】
本発明の反応性液体改質剤はまた、オキサミドも含み得る。好適なオキサミド系改質剤には、オキサミドエステル末端化ポリプロピレンオキシドを挙げることができ、その合成もまた実施例11に記載される。
【0041】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、約5重量%〜約15重量%の反応性液体改質剤を含み得る。その他の実施形態においては、構造用接着剤は、約7重量%〜約12重量%の反応性液体改質剤を含み得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は、約8重量%〜約10重量%の反応性液体改質剤を含み得る。
【0042】
強靭化剤
エポキシ樹脂又は反応性液体改質剤以外の強靭化剤は、硬化したエポキシ樹脂の強靭性を増加させることが可能なポリマーである。強靭性は、硬化した組成物のはく離強度によって測定することができる。典型的な強靭化剤には、コア/シェル型ポリマー、ブタジエンニトリルゴム、アクリルポリマー及びアクリルコポリマーなどが挙げられる。市販の強靭化剤には、Dynamar(商標)Polyetherdiamine HC 1101(3M Corporation in St.Paul,MNから入手可能)及びカルボキシ末端化ブタジエンアクリロニトリル(Emerald Chemical in Alfred,MEから入手可能)が挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、約5重量%〜約55重量%の強靭化剤を含み得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は、約5重量%〜約30重量%の強靭化剤を含み得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は、約5重量%〜約15重量%の強靭化剤を含み得る。
【0044】
好ましい強靭化剤は、コア/シェル型ポリマーである。コア/シェル型ポリマーは、グラフト化可能なエラストマー(その上にシェルをグラフトさせることができるエラストマーを意味する)からなるコアを有するグラフトポリマーを意味すると理解されている。エラストマーは、0℃よりも低いガラス転移温度を有してもよい。典型的には、コアは、ブタジエンポリマー若しくはコポリマー、アクリロニトリルポリマー若しくはコポリマー、アクリレートポリマー若しくはコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含むか又はそれによって構成される。ポリマー又はコポリマーは、架橋されていても、あるいは架橋されていなくてもよい。好ましくは、コアポリマーは架橋されている。
【0045】
コア上には、1種類以上のポリマー、「シェル」、がグラフトされている。典型的にはシェルポリマーは、高いガラス転移温度、すなわち26℃を超えるガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、動的機械熱分析(DMTA)(「高分子化学、基本概念」(ポールC.ヒーメンツ(Paul C. Hiemenz)著、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker)、1984年))によって決定することもできる。
【0046】
「シェル」ポリマーは、スチレンポリマー若しくはコポリマー、メタクリレートポリマー若しくはコポリマー、アクリロニトリルポリマー若しくはコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。このようにして生成された「シェル」は更に、エポキシ基又は酸基によって官能化されてもよい。「シェル」の官能化は、例えば、グリシジルメタクリレート又はアクリル酸との共重合によって実現することもできる。特に、シェルは、アセトアセトキシ部分を含んでよく、その場合には、アセトアセトキシ官能化ポリマーの量を減らしてもよく、あるいはアセトアセトキシ官能化コア/シェル型ポリマーによって完全に置き換えてもよい。
【0047】
使用してもよい典型的なコア/シェル型ポリマーは、例えばポリメチルメタクリレート・シェルなどのポリアクリレート・シェルを含むコア/シェル型ポリマーである。ポリメチルメタクリレート・シェルなどのポリアクリレート・シェルは、架橋されていなくてもよい。
【0048】
典型的に、使用してもよいコア/シェル型ポリマーは、ブタジエンポリマーコア又は例えばブタジエン−スチレンコポリマーコアなどのブタジエンコポリマーコアを含むか、又はそれから構成される。ブタジエン又はブタジエン−スチレンコアなどのブタジエンコポリマーコアは、架橋していてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態においては、本発明に従うコア/シェル型ポリマーは、約10nm〜約1,000nmの粒径を有し得る。他の実施形態においては、コア/シェル型ポリマーは、約150nm〜約500nmの粒径を有し得る。
【0050】
好適なコア/シェル型ポリマー及びそれらの調製については、例えば、米国特許第4,778,851号に記載されている。市販のコア/シェル型ポリマーには、例えば、PARALOID EXL 2600及びPARALOID EXL 2691(Rohm&Haas Company in Philadelphia,PAから入手可能)並びにKANE ACE MX120(Kaneka in Belgiumから入手可能)を挙げることができる。
【0051】
硬化剤
本発明に好適な硬化剤には、潜在性アミン系硬化成分を挙げることができる。用語「潜在性」とは、硬化成分が室温では本質的に非反応性であるが、エポキシ硬化反応の開始温度を一度超えると、急速に反応して硬化を生じることを意味する。これにより、室温(約23±3℃)で、又は硬化剤を活性化させずに穏やかな加温により(すなわち、硬化剤の反応温度未満の温度で)、構造用接着剤を容易に適用することが可能である。
【0052】
好適な潜在性アミンには、例えば、グアニジン、置換されたグアニジン(例えば、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン及びジシアンジアミド)、置換された尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体(例えば、アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂及びメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミン)、環状第三級アミン、芳香族アミン、置換された尿素(例えば、p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(モヌロン)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(フェヌロン)、3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(ジウロン))、第三級アクリル−又はアルキル−アミン(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)フェノール、ピペリジン及びピペリジン誘導体)、イミダゾール誘導体(例えば、2−エチル−2−メチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、N−C〜C12アルキルイミダゾール及びN−アリールイミダゾール)、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。市販の潜在性アミンには、Air Products in Manchester,U.K.から入手可能なANCAMINE(登録商標)シリーズ(2014、2337及び2441)又はAdeka Corp.in Japanから入手可能なAdeka Hardenerシリーズ(EH−3615、EH−4337S及びEH−4342S)が挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、約5重量%〜約25重量%の硬化剤を含み得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は、約10重量%〜約20重量%の硬化剤を含み得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は、約12重量%〜約18重量%の硬化剤を含み得る。
【0054】
他の成分
本組成物は更に、反応性希釈剤、無機鉱物繊維、充填剤及び顔料などの補助剤を含み得る。
【0055】
反応性希釈剤を添加して、接着性組成物の流れ特性を制御してよい。好適な希釈剤は、少なくとも1つの反応性末端部分、及び好ましくは飽和又は不飽和の環状主鎖を有することができる。反応性末端部分にはグリシジルエーテルが挙げられる。好適な希釈剤の例には、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルが挙げられる。市販の反応性希釈剤は例えば、Reactive Diluent 107(Hexion Specialty Chemical in Houston,TXから入手可能)及びEPODIL 757(Air Products and Chemical Inc.in Allentown,PAから入手可能)である。
【0056】
無機鉱物繊維は主に岩、粘土、スラグ又はガラスから製造される、繊維状の無機物である。鉱物繊維には、ガラス繊維(グラスウール及びグラスフィラメント)、ミネラルウール(ロックウール及びスラグウール)及び耐火セラミック繊維が挙げられる。特に好適な鉱物繊維は、10μm未満の平均繊維径を有し得る。鉱物繊維は、約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、0重量%〜約1重量%のFeO、及び約3重量%のKO+NaOを含むことができる。市販の繊維には例えば、COATFORCE(登録商標)CF50及びCOATFORCE(登録商標)CF10(Lapinus Fibres BV in Roermond,The Netherlandsから入手可能)が挙げられる。いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、約0重量%〜約20重量%の鉱物繊維を含み得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は、約2重量%〜約15重量%の鉱物繊維を含み得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は、約4重量%〜約8重量%の鉱物繊維を含み得る。
【0057】
充填剤は、接着促進剤、腐食防止剤及びレオロジー調整剤を含むこともできる。充填剤には、シリカゲル、Caシリケート、ホスフェート、モリブデン酸塩、ヒュームドシリカ、ベントナイト又はウォラストナイト、有機粘土などの粘土、アルミニウム三水和物類、中空ガラス微小球、中空高分子微小球及びカルシウムカーボネートを挙げることもできる。代表的な市販の充填剤には、SHIELDEX AC5(W.R.Grace in Columbia,MD,USAから入手可能な、合成非晶質シリカ、水酸化カルシウム混合物)、CAB−O−SIL TS 720(Cabot GmbH in Hanau,Germanyから入手可能な、ポリジメチルシロキサンポリマーで処理した疎水性ヒュームドシリカ)、AEROSIL VP−R−2935(Degussa in Dusseldorf,Germanyから入手可能な疎水性ヒュームドシリカ)、glass−beads class IV(250〜300マイクロメートル):Micro−billes de verre 180/300(CVP S.A.in Franceから入手可能)、glass bubbles K37:非晶質シリカ(3M Deutschland GmbH in Neuss,Germanyから入手可能)、MINSIL SF 20(Minco Inc.,510 Midway,Tennessee,USAから入手可能)、非晶質の融解シリカ(fused silica)、及びAPYRAL 24 ESF(Nabaltec GmbH in Schwandorf,Germanyから入手可能な、エポキシシラン官能化(2重量%)アルミニウム三水和物)を挙げることができる。本発明の構造用接着剤は、約0重量%〜約50重量%の充填剤を含み得る。
【0058】
色素には、酸化第二鉄、れんが粉、カーボンブラック、酸化チタンなどを含む無機又は有機色素を挙げてもよい。
【0059】
構造用接着剤組成物
本発明の構造用接着剤は、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、少なくとも1つの強靭化剤と、少なくとも1つの反応性液体改質剤と、少なくとも1つの潜在性アミン系硬化剤とを、共に組み合わせることによって製造される。無機鉱物繊維、反応性希釈剤、充填剤及び顔料が挙げられるがこれらに限定されない、その他の成分を配合物に添加してもよい。
【0060】
概して、本発明の構造用接着剤は、容器に1つ以上のエポキシ樹脂を添加することによって製造される。2つ以上のエポキシ樹脂が使用される場合、樹脂は均質化するまで混合される。次いで1つ以上の増粘剤をゆっくりとエポキシ樹脂中に添加して、約15分にわたって混合する。続いてこの混合物を約80℃へと加熱し、この温度を約90分間にわたって維持した。次いでこの混合物を熱源から外し、室温に冷ました。この混合物に室温で1つ以上の反応性液体改質剤を添加し、均質化するまで混合した。次に、混合物に1つ以上の硬化剤を添加し、均質化するまで混合した。この時点で、混合物に反応性充填剤及び/又は鉱物繊維などの他の成分を添加して、十分に混合することができる。全ての成分を添加した後、混合物は密閉容器内で脱気し、密閉した。得られた接着剤は使用までの間室温で保管し、好ましくは接着剤は約4℃で保管する。
【0061】
本発明の構造用接着剤は、硬化させた際に以下の1つ以上の機械的性質を有することができる。重ねせん断強度として測定される、少なくとも17.2MPa(2500psi)の凝集力、耐老化性、妥当な硬化時間、清潔な金属表面への接着、並びに炭化水素含有材料(様々なオイル及び潤滑剤など)で汚された金属表面に対する接着。
【0062】
硬化
部分硬化本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、短時間の熱硬化期間後に所望の凝集力に到達することができる。凝集力は、同一条件にてより長期間組成物を硬化した場合でも依然として増大することもできるので、この種の硬化は、本明細書において部分硬化と呼ばれる。原理上は、部分硬化は任意の加熱方法によって実施することができる。いくつかの実施形態においては、誘導硬化を部分硬化のために使用することができる。誘導硬化は、誘導コイル(それが材料に接近し、その中に交流が流れる)を配置することによって、電導材料中に熱を発生させるための電力を使用した非接触式加熱法である。ワークコイル内の交流は、被加工物中に循環電流を発生させる電磁場を確立する。被加工物中のこの循環電流は、材料の固有抵抗に逆らって流れ、熱を発生する。誘導硬化装置は、例えば、IFF−GmbH in Ismaning,GermanyからのEWSが市販品として入手可能である。
【0063】
完全硬化完全硬化は、サンプルを同一条件で加熱硬化し続けても、凝集力及び/又は接着強度がそれ以上増大しない時点で達成される。完全硬化は、混合物を適切な温度にて、適切な長さの時間、加熱することによって得ることができる。いくつかの実施形態においては、十分な(完全)硬化は、接着剤組成物を約110℃〜210℃の範囲の温度に加熱することによってもたらされ得る。他の実施形態においては、十分な硬化は、接着剤組成物を約120℃〜約180℃の範囲の温度に加熱することによってもたらされ得る。硬化温度に応じて、完全硬化に作用する加熱時間は少なくとも10分であり得る。いくつかの実施形態においては、加熱時間は少なくとも20分である。他の実施形態においては、加熱時間は少なくとも30分である。更に他の実施形態においては、硬化時間は約10分〜約1時間の範囲である。
【0064】
接着強度硬化時に1つ以上の基材上で頑丈で強固な接着を形成することが、エポキシ系接着剤については望ましい。重ねせん断強度試験で試験した際には高いせん断値で、及びT型はく離接着試験で試験した際には高いT型はく離値で接着が凝集的に離れるならば、接着は強固であると見なされる。接着は以下の3つの異なる様式で離れ得る、(1)凝集破壊様式で、両方の金属表面への接着剤の接着部分を残して裂ける、(2)接着破壊様式で、どちらかの金属表面から接着剤が引き離される、又は(3)接着及び凝集破壊の組み合わせ。本発明の構造用接着剤は、重ねせん断強度試験及びT型はく離接着試験中に、接着及び凝集破壊の組み合わせを、より好ましくは凝集破壊を呈し得る。かかる接着剤は、清潔な基材又はオイルの付いた基材に適用することができる。
【0065】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、110℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも20.7MPa(3000psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも24.1MPa(3500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。
【0066】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、125℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも20.7MPa(3000psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも24.1MPa(3500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも27.6MPa(4000psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。
【0067】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、177℃で20分にわたって硬化させた場合に、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。他の実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、少なくとも24.1MPa(3500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも27.6MPa(4000psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。更なる実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも31.0MPa(4500psi)の接着面引っ張り強度を有し得る。
【0068】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、110℃で30分にわたって硬化させた場合に少なくとも5.2N/cm−幅(3.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも12.2N/cm−幅(7.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも17.5N/cm−幅(10.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。
【0069】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、125℃で30分にわたって硬化させた場合に少なくとも26.3N/cm−幅(15.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも52.5N/cm−幅(30.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも70.0N/cm−幅(40.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。
【0070】
いくつかの実施形態においては、本発明の構造用接着剤は、177℃で20分にわたって硬化させた場合に少なくとも43.8N/cm−幅(25.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも78.8N/cm−幅(45lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。更に他の実施形態においては、構造用接着剤は少なくとも96.3N/cm−幅(55lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。
【0071】
本発明の構造用接着剤は、110℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度、及び少なくとも5.2N/cm−幅(3.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。加えて、本発明の構造用接着剤は、125℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも20.7MPa(3000psi)の接着面引っ張り強度、及び少なくとも26.3N/cm−幅(15lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。更に本発明の構造用接着剤は、177℃で20分にわたって硬化させた場合に、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度、及び少なくとも43.8N/cm−幅(25.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。加えて、本発明の構造用接着剤は、177℃で20分にわたって硬化させた場合に、少なくとも31.0MPa(4500psi)の接着面引っ張り強度と、少なくとも43.8N/cm−幅(25.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有し得る。
【0072】
接着剤組成物の使用
本発明の接着剤組成物を使用して、接着剤組成物を、接着させるべき2つの部品の間に適用することによって、及び接着接合を形成するために接着剤を硬化させることによって、溶接又は機械的な締結を補完又は完全に排除することもできる。接着剤は、約42ダイン/cm以上の表面エネルギーを有する任意の部位(すなわち基材)に適用することができる。その上に本発明の接着剤を適用することができる好適な基材には、金属(例えば、スチール、鉄、銅、アルミニウムなどと、これらの合金が含まれる)、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス、エポキシ繊維複合材料(epoxy fiber composites)、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態においては、基材の少なくとも1つは金属である。他の実施形態においては、基材の両方が金属である。
【0073】
基材の表面は、構造用接着剤の適用前に清潔にしてもよい。しかしながら、本発明の構造用接着剤はまた、表面に炭化水素含有材料を有する基材へと接着剤を適用する場合の適用においても有用である。具体的には、構造用接着剤は圧延オイル(mill oil)、切削油、引抜油及び同様のもので汚れたスチール表面へと適用することができる。
【0074】
接着剤接着の分野では、接着剤は、液体、ペースト、及び加熱によって液化可能な半固体又は固体として適用することができ、あるいは接着剤はスプレーとして適用されてもよい。それは、有用な接着の形成に適合する連続ビード、中間ドット、ストライプ、対角線又はその他のあらゆる幾何学的形状として適用することができる。いくつかの実施形態においては、接着剤組成物は液体又はペーストの形態である。
【0075】
接着剤配置の選択肢は、溶着又は機械的締結によって増やしてもよい。溶着は、スポット溶接、連続シーム溶接、又は接着剤組成物と組み合わせることが可能な任意のその他の溶接技術によって行い、機械的にしっかりした結合を形成することができる。
【0076】
本発明の組成物は、構造用接着剤として使用してもよい。特に、それは、船、航空機、又は車、モーターバイク若しくは自転車などのモータークラフトの組立などの輸送手段の組立における構造用接着剤として使用してもよい。特に、接着剤組成物は、ヘムフランジ接着剤として使用してもよい。接着剤は更に、ボディフレーム組立において使用してもよい。組成物は更に、建築における構造用接着剤として、又は家庭及び工業製品における構造用接着剤としても使用することができる。
【0077】
本発明の組成物は更に、溶接添加剤としても使用することができる。
【0078】
組成物は、金属−金属接着剤、金属−炭素繊維接着剤、炭素繊維−炭素繊維接着剤、金属−ガラス接着剤、炭素繊維−ガラス接着剤として使用してもよい。
【0079】
本発明の例示の実施形態は、以下の例で提供される。以下の実施例は、本発明及び本発明を適用するための方法を説明するために存在し、当業者の、同様のものの製造と使用を補助する。実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0080】
用いられる材料
AEROSIL VP−R−2935(Degussa in Dusseldorf,Germanyから入手可能)は、疎水性ヒュームドシリカである。
【0081】
ANCAMINE 2441(Air Products in Allentown,PAから入手可能)は、潜在性修飾ポリアミンである。
【0082】
APYRAL 24 ES2(Nabaltec GmbH in Schwandorf,Germanyから入手可能)は、エポキシシラン−官能化(2%W/W)アルミニウム三水和物充填剤である。
【0083】
CAB−O−SIL TS 720(Cabot GmbH in Hanau,Germanyから入手可能)は、ポリジメチルシロキサンポリマーで処理した疎水性ヒュームドシリカである。
【0084】
COATFORCE(登録商標)CF50(Lapinus Fibres BV in Roermond,The Netherlandsから入手可能)は、鉱物繊維である。
【0085】
DER 732(Dow Chemical in Midland,MIから入手可能)。
【0086】
EPON 828(Hexion Specialty Chemicals in Houston,TXから入手可能)は、およそ187.5のエポキシ当量を有する、ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
【0087】
EPON 872(Hexion Specialty Chemicals in Houston,TXから入手可能)は、およそ625〜725のエポキシ当量を有する、脂肪酸修飾されたビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
【0088】
EPON 1001F(Hexion Specialty Chemicals in Columbus,OHから入手可能)は、液体エポキシ樹脂及びビスフェノールA由来の、525〜550のエポキシ当量を有する低分子量の固体エポキシ樹脂である。
【0089】
EPONEX 1510(Hexion Specialty Chemicals in Houston,TXから入手可能)は、およそ210のエポキシ当量を有する、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
【0090】
直径212〜300μmのガラスビーズ(Sigma−Aldrich in Milwaukee,WI)は、スペーサーとして使用する。
【0091】
IOTGA(TCI America in Portland,ORから入手可能)は、チオグリシド酸のイソオクチルエステルである。
【0092】
JEFFAMINE(登録商標)D−400ポリエーテルアミン(Huntsman Corporation in The Woodlands,Texasから入手可能)。
【0093】
K−FLEX XM−311(King Industries in Norwalk,CTから入手可能)は、ポリウレタンポリオールである。
【0094】
K−FLEX XMB−301(King Industries in Norwalk,CTから入手可能)は、トリアセトアセテート官能性エステルである。
【0095】
K−FLEX UD−320−1000(King Industries in Norwalk,CTから入手可能)はポリウレタンポリオールである。
【0096】
MaAcAc(Aldrich Chemical Company in Milwaukee,WIから入手可能)は、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテートである。
【0097】
ピアノ線(直径0.13mm(0.005”)及び0.25mm(0.010”))(Small Parts Inc.in Miramar,FLから入手可能)。
【0098】
PARALOID EXL 2600(Rohm and Haas Company in Philadelphia,PA,USAから入手可能)は、粒径約250nmのコア/シェル構造(ポリブタジエン−co−ポリスチレン−コポリマー、シェル:ポリメタクリレートを含む、コアを架橋されたゴム)を備えるメタクリレート/ブタジエン/スチレンポリマーである。
【0099】
PARALOID EXL 2691(Rohm and Haas Company in Philadelphia,PA,USAから入手可能)は、粒径約250nmのコア/シェル構造(ポリブタジエン−co−ポリスチレン−コポリマー、シェル:ポリメタクリレートを含む、コアを架橋されたゴム)を備えるメタクリレート/ブタジエン/スチレンポリマーである。
【0100】
PEG1000DGE(Polysciences,Inc.in Warrington,PAから入手可能)は、ポリ(エチレングリコール)(n)ジグリシジルエーテル(CAS No.26403−72−5)(ポリ(エチレングリコール)ユニットnの分子量は1000)であり、およそ600のエポキシ当量を有する。
【0101】
SHIELDEX AC5(W.R.Grace in Columbia,MD,USAから入手可能)は、カルシウム処理したヒュームドシリカ腐食防止剤である。
【0102】
SILANE Z−6040(Dow Corning,Midland,MIから入手可能)は、接着促進剤/カップリング剤である、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランである。
【0103】
SR602(Sartomer Company,Inc.in Exton,PAから入手可能)は、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートである。
【0104】
アセト酢酸t−ブチル(Aldrich Chemical Company in Milwaukee,WIから入手可能)。
【0105】
VAZO−52(DuPont Chemicals in Wilmington,DEから入手可能)は、アゾ系フリーラジカル反応開始剤である。
【0106】
VAZO−67又はAIBN(DuPont Chemicals in Wilmington,DEから入手可能)はアゾイソブチロニトリルである。
【0107】
Zeller−Gmelin KTL N16(Zeller+Gmelin GmbH&Co.KG in Eislingen,Germanyから入手可能)は、深絞りオイル(deep-draw oil)である。
【0108】
試験試料の調製
試験試料の調製は、ASTM規格D6386−99及びSociety for Protective Coatings Surface Preparation Specifications及びPractices Surface Preparation Specification No.1に基づいて行った。
【0109】
清潔なスチールパネルリン酸鉄処理したスチールパネル(Q−Lab Corporation in Cleveland,OHから入手可能の、Type「RS」Steel,10cm(4”)×2.5cm(1”)×0.16cm(0.063”),Square Corners,Iron Phosphated(B−1000)又は冷延スチールパネル(Q−Lab Corporation in Cleveland,OHから入手可能の、Type「S」Steel,30.5cm(12”)×2.5cm(1”)×0.08cm(0.032”),Square Corners,1010CRS)を、ヘプタンとアセトンの50:50混合物でふき取った。次いで、パネルを80℃に維持されたアルカリ洗浄バス(45g/Lの三リン酸ナトリウムと45g/LのAlcono×クリーナー)中に60秒間浸漬した。続いてパネルを脱イオン蒸留水でリンスし、80℃のオーブンで乾燥させた。パネルの下塗りした側(ground side)を全ての試験に使用した。
【0110】
オイルの付いたスチールパネル。コートされるエリアについて3g/mのコーティングを得るために、適切なオイルのMSDMから得た密度データを用いて、清潔にしたスチールに特定の量のオイルを適用することによって、オイルの付いたスチールパネルを用意した。ニトリル手袋の清潔な指先を使用して、オイルを表面上に注意深く均一に塗り広げた。次いで表面にカバーをして、スチールパネルを使用までの24時間にわたって室温で保管した。
【0111】
エッチングしたアルミニウムパネル。最適化したForest Products Laboratory(FLP)プロセスを用いて、アルミニウムパネル(10cm(4”)×17.8cm(7”)×0.16cm(0.063”)又は7.6cm(3”)×20.3cm(8”)×0.064cm(0.025”)2024−T3裸アルミニウム)をエッチングした。88℃に維持されたアルカリ性洗浄剤(15,308.74グラムのISOPREPと166.6〜238.5L(44〜63ガロン)の水)にアルミニウムパネルを10分にわたって浸漬した。洗浄剤からアルミニウムパネルを取り出し、水道水でリンスした。次いで55〜60℃に維持されたFPLエッチングバス(10,697グラムの二クロム酸ナトリウム、72,219グラムの96%硫酸、358グラムの2024T3裸アルミニウムと238.9L(63.1ガロン)の水)に、パネルを10分にわたって浸漬した。エッチングバスから取り出した後、パネルは水道水でリンスし、10分にわたって風乾させ、次いで更に55〜60℃で10分にわたって強制乾燥させた。
【0112】
実施例1:接着剤組成物
表1に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、6種の接着剤組成物を調製した。
【0113】
【表1】

【0114】
エポキシ系接着剤C1の調製100グラムのEPON 828を、0.568L(1パイント)の金属缶に添加した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に20グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で4℃で保管した。使用に先立って接着剤は室温に温め、接着剤中に、1重量%のガラスビーズ(直径212〜300μm)をしっかりと混合した。
【0115】
エポキシ系接着剤K1の調製。100グラムのEPON 828を、0.568L(1パイント)の金属缶に添加した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に13.1グラムのK−FLEX XMB−301を添加し、均質化するまで混合した。次に混合物に22.6グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で4℃で保管した。使用に先立って接着剤は室温に温め、接着剤中に、1重量%のガラスビーズ(直径212〜300μm)をしっかりと混合した。
【0116】
エポキシ系接着剤C2の調製85グラムのEPON 828と15グラムのEPONEX 1510を0.568L(1パイント)の金属缶に添加し、均質化するまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に19.7グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で4℃で保管した。使用に先立って接着剤は室温に温め、接着剤中に、1重量%のガラスビーズ(直径212〜300μm)をしっかりと混合した。
【0117】
エポキシ系接着剤K2の調製。85グラムのEPON 828と15グラムのEPONEX 1510を0.568L(1パイント)の金属缶に添加し、均質化するまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に13.1グラムのK−FLEX XMB−301を添加し、均質化するまで混合した。次に混合物に22.3グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で4℃で保管した。使用に先立って接着剤は室温に温め、接着剤中に、1重量%のガラスビーズ(直径212〜300μm)をしっかりと混合した。
【0118】
エポキシ系接着剤C3の調製90グラムのEPON 828と10グラムのPEG1000を0.568L(1パイント)の金属缶に添加し、均質化するまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に18.8グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤混合物は脱気し、使用までの間密閉容器の中で4℃で保管した。使用に先立って接着剤は室温に温め、接着剤中に、1重量%のガラスビーズ(直径212〜300μm)をしっかりと混合した。
【0119】
エポキシ系接着剤K3の調製。90グラムのEPON 828と10グラムのPEG1000を0.568L(1パイント)の金属缶に添加し、均質化するまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に13.1グラムのK−FLEX XMB−301を添加し、均質化するまで混合した。次に混合物に21.4グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、溶液は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤混合物は脱気し、使用までの間密閉容器の中で4℃で保管した。使用に先立って接着剤は室温に温め、接着剤中に、1重量%のガラスビーズ(直径212〜300μm)をしっかりと混合した。
【0120】
概して、K−FLEX XMB−301を含有している接着剤(K1、K2及びK3)は、以下の実施例2〜5に要約された、接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さの測定値によって説明されるように、K−FLEX XMB−301を含有していないこれらの接着剤(C1、C2及びC3)の性能を上回る向上した性能を呈した。
【0121】
実施例2:清潔なスチール上で110℃で30分にわたって硬化させた、実施例1接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
接着面引っ張り強度接着剤の接着面引っ張り試料を、10cm(4”)×2.5cm(1”)×0.16cm(0.063”)と測定した上記のように清潔にした、調製された鉄のリン酸スチールパネルを用いて作製した。各試料は、ASTM規格D 1002−05に記載されているように作製した。およそ1.3cm(1/2”)幅かつ0.025cm(0.010”)厚の接着剤の細片を、スクレーパーを使用して、2つの被着材の各々の一端に適用した。接着剤内のガラスビーズ(直径212〜300μm)はスペーサーとして供した。ホイルで覆ったボール紙製のシートの上の所定の位置に、片方の被着材を貼り付けた。第2の被着材を、2つの被着材間で1.3cm(1/2”)の界面が重なるように位置あわせし、接着を閉じた。界面を乱さないように気をつけながら、第2の被着材を注意深く所定の位置に貼り付けた。この操作を、それぞれについて5つの接着を最小に、各試験条件で各接着について実施した。110℃に予熱した2つの14#スチールプレートを試料の上に注意深く配置し、プレートを確実に接触させるために十分な圧力を以って、予熱したヒートプレス内に挿入した。試料を110℃で30分にわたって硬化させた。接着剤を硬化させた後、室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、0.25cm/min(0.1”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。破壊荷重を記録した。接着面幅は、ノギスにて測定した。見積もられた接着面引っ張り強度は、破壊荷重/(測定された接着の幅×測定された接着長さ)として算出した。平均及び標準偏差は、特に断りのない限り少なくとも5回の試験の結果から算出した。
【0122】
接着剤のT型はく離接着試料のT型はく離接着強さは、30.5cm(12”)×2.5cm(1”)×0.08cm(.032”)と測定した、上記のように清潔にした、作製された冷延スチール試験試料を用いて実行した。検査用サンプルは、ASTM D−1876に記載されているようにして作製した。試料の2つのセットを隣り合わせて配置し、およそ2.5cm(1”)×22.9cm(9”)×0.25mm(10mil)の接着剤の細片を各被着材に適用した。接着剤内のガラスビーズ(直径212〜300μm)はスペーサーとして供した。接着を閉じ、接着テープを適用して、硬化中に被着材を一体に保持した。アルミホイルのシート間及び更に厚紙の間に接着剤接着を配置した。110℃に予熱した2つの14#スチールプレートを試料の上に注意深く配置し、プレートを確実に接触させるために十分な圧力を以って、予熱したヒートプレス内に挿入した。試料を110℃で30分にわたって硬化させた。接着剤を硬化させた後、室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、30.5cm/min(12”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。荷重データの初期部分は無視した。平均荷重は、約2.5cm(1”)はく離した後に測定した。引用したT型はく離接着強度は、2回のはく離測定の平均値である。
【0123】
清潔なスチールに適用し、110℃で30分にわたって硬化させた各接着剤についての接着面引っ張り強度試験とT型はく離接着強さ試験の結果を、表2に要約する。
【0124】
【表2】

【0125】
接着面引っ張り強度試験の間に全ての接着剤組成物が凝集破壊を呈した。しかしながら、接着剤組成物C1、C2及びC3がT型はく離接着試験の間に接着破壊を呈したのに対して、接着剤組成物K1、K2及びK3は凝集破壊を呈した。
【0126】
実施例3:清潔なスチール上で125℃で30分にわたって硬化させた、実施例1の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
接着剤接着を125℃で硬化させたことを除いて、実施例2に記載されたような接着面引っ張り強度及びT型はく離接着の測定を繰り返した。結果を表3にまとめる。
【0127】
【表3】

【0128】
は4つの接着面引っ張り強度試験試料のみが試験されたことを意味する。
【0129】
接着面引っ張り強度試験の間に全ての接着剤組成物が凝集破壊を呈した。接着剤組成物C1及びC2がT型はく離接着試験の間に接着破壊を呈したのに対して、接着剤組成物C3、K1、K2及びK3は凝集破壊を呈した。
【0130】
実施例4:オイルの付いたスチール上で110℃で30分にわたって硬化させた、実施例1の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
接着面引っ張り強度及びT型はく離接着試料は、3g/mZeller−Gmelin KTL N16 oilでオイルをつけたスチールの試験試料に基づいて、実施例2に記載されるように作製した。接着剤接着は110℃で30分にわたって硬化させた。結果を表4にまとめる。
【0131】
【表4】

【0132】
は4つの接着面引っ張り強度試験試料のみが試験されたことを意味する。
【0133】
接着面引っ張り強度試験の間に全ての接着剤組成物が凝集破壊を呈した。接着剤組成物C3がT型はく離接着試験の間に接着破壊を呈したのに対して、接着剤組成物C1、C2、K1、K2及びK3は明らかな混合様式の破壊を呈した。
【0134】
実施例5:オイルの付いたスチール上で125℃で30分にわたって硬化させた、実施例1の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
接着剤接着を125℃で硬化させたことを除いて、実施例4に記載されるように接着面引っ張り強度及びT型はく離接着の測定を繰り返した。結果を表5に要約する。
【0135】
【表5】

【0136】
接着面引っ張り強度試験の間に全ての接着剤組成物が凝集破壊を呈した。全ての接着剤組成物は、T型はく離接着試験の間に明らかな混合様式の破壊を呈した。
【0137】
実施例6:接着剤組成物
表6に要約され、以下に更に詳細に記載されるように接着剤組成物を調製した。
【0138】
【表6】

【0139】
エポキシ系接着剤K4の調製。75グラムのEPON 828と15グラムのEPONEX 1510と10グラムのEPON 872を0.568L(1パイント)の金属缶に添加し、均質化するまで混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に13.1グラムのK−FLEX XMB−301を添加し、均質化するまで混合した。次に混合物に26.24グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に2グラムのAEROSIL VP−R−2935を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、混合物は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で室温で保管した。
【0140】
実施例7:清潔なスチール上で177℃で20分にわたって硬化させた、実施例6の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
接着面引っ張り強度接着面引っ張り強度試料を、上記のように清潔にした亜鉛めっきしたスチール試験試料(10cm(4”)×2.5cm(1”)×0.16cm(0.063”)として測定された)を用いて作製した。試料は、ASTM規格D1002−05に記載されているように作製した。およそ1/2”幅かつ0.025cm(0.010”)厚の接着剤の細片を、スクレーパーを使用して、2つの被着材の各々の一端に適用した。2本の0.013cm(0.005”)のピアノ線を、スペーサーとして供するために接着の各端に(せん断の向きと平衡に)配置した。接着を閉じ、2.5cm(1”)の大型クリップを用いて挟みつけて、接着剤の塗り広がりを提供するための圧力を供給した。各試験条件について少なくとも5つの接着を作製した。次いで接着剤を、強制空気オーブン中で177℃で20分にわたって硬化させた。硬化後、室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、0.25cm/min(0.1”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。破壊荷重を記録した。接着面幅は、ノギスにて測定した。見積もられた接着面引っ張り強度は、破壊荷重/(測定された接着の幅×測定された接着長さ)として算出した。平均及び標準偏差は、特に断りのない限り少なくとも5回の試験の結果から算出した。
【0141】
接着剤のT型はく離接着強さT型はく離接着試験の試料は、30.5cm(12”)×2.5cm(1”)×0.08cm(.032”)と測定した、上記のように清潔にした、作製された冷延スチール試験試料を用いて作製した。検査用サンプルは、ASTM D−1876に記載されているようにして作製した。試料の2つのセットを隣り合わせて配置し、およそ2.5cm(1”)×22.9cm(9”)×0.25mm(10mil)の接着剤の細片を各被着材に適用した。3本の0.025cm(0.010”)のピアノ線を接着のはく離方向と垂直に、1つは接着の開始部に、1つは接着のおよそ中央部に、そして1つは接着の終止部に配置して、スペーサーとして供した。接着を閉じ、接着テープを適用して、硬化中に被着材を一体に保持した。アルミホイルのシート間及び更に厚紙の間に接着剤接着を配置した。2つの14#スチールプレートを接着剤を塗り広げ易くするために適用した。次いで接着剤を、強制空気オーブン中で177℃で20分にわたって硬化させた。接着剤を硬化させた後、室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、30.5cm/min(12”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。荷重データの初期部分は無視した。平均荷重は、約2.5cm(1”)はく離した後に測定した。見積もられたT字はく離強度は、2回のはく離測定の平均値である。
【0142】
清潔なスチールに適用して、177℃で20分にわたって硬化させた接着剤についての接着面引っ張り強度試験とT型はく離接着強さ試験の結果を、表7に要約する。
【0143】
【表7】

【0144】
K4接着剤組成物は、接着面引っ張り強度試験及びT型はく離接着試験時に凝集破壊を呈した。
【0145】
実施例8:オイルの付いたスチール上で177℃で20分にわたって硬化させた、実施例6の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
実施例7を、3g/mZeller−Gmelin KTL N16 oilでオイルをつけられたスチール試験試料で繰り返した。接着剤接着は177℃で20分にわたって硬化させた。結果を表8にまとめる。
【0146】
【表8】

【0147】
K4接着剤組成物は、接着面引っ張り強度試験及びT型はく離接着試験時に凝集破壊を呈した。
【0148】
実施例9:鉱物繊維を含有する接着剤組成物
表9に要約され、以下に更に詳細に記載されるように、2種の接着剤組成物を調製した。
【0149】
【表9】

【0150】
エポキシ系接着剤C5の調製85グラムのEPON 828を0.568L(1パイント)の金属缶中で15グラムのEPONEX 1510と混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に19.7グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。8グラムのLapinus CoatForce CF50繊維をEPON 828混合物に添加し、混合物を、繊維が混合物中によく分散するまで800RMPで攪拌した(およそ5分間)。プロセスの全ての段階において、混合物は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で室温で保管した。
【0151】
エポキシ系接着剤K5の調製。85グラムのEPON 828を0.568L(1パイント)の金属缶中で15グラムのEPONEX 1510と混合した。15グラムのPARALOID EXL 2691をEPON 828中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に13.1グラムのK−FLEX XMB−301を添加し、均質化するまで混合した。次に混合物に22.3グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。8グラムのLapinus CoatForce CF50繊維をEPON 828混合物に添加し、混合物を、繊維が混合物中によく分散するまで800RMPで攪拌した(およそ5分間)。プロセスの全ての段階において、混合物は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で室温で保管した。
【0152】
実施例10:オイルの付いたスチール上で177℃で20分にわたって硬化させた、実施例9の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
オイルの付いたスチールパネルに適用された各接着剤について、接着面引っ張り強度試験及びT型はく離接着強さ試験を実施例8における手順に従って実施した。接着剤接着は177℃で20分にわたって硬化させた。結果を表10にまとめる。
【0153】
【表10】

【0154】
接着剤組成物C5及びK5は、接着面引っ張り強度及びT型はく離接着試験の両方について凝集破壊を呈した。
【0155】
実施例11:接着剤組成物
表11に要約され、以下に更に詳細に記載されるように接着剤組成物を調製した。
【0156】
【表11】

【0157】
実施例13で合成が提供される
エポキシ系接着剤K6の調製。60グラムのEPON 828、10グラムのEPONEX 1510、20グラムのEPON 1001F及び10グラムのDER 732を0.568L(1パイント)の金属缶に加え、均質化するまで混合した。25グラムのPARALOID EXL 2600をEPON 828混合物中にゆっくりと添加し、15分にわたって混合した。続いてこの混合物を80℃へと加熱し、この温度を90分にわたって維持した。EPON 828混合物を熱源から外し、室温まで冷却させた。一度室温になったならば、混合物に13.1グラムのMaAcAc 2000 MW Oligomer(実施例13に記載されるように調製)を添加し、均質化するまで混合した。次いで混合物に3.8グラムのSILANE Z−6040を添加し、均質化するまで混合した。混合物に8グラムのAPYRAL 24 ES2及び8グラムのSHIELDEX AC5を添加し、3000RPMで60秒間にわたって混合した。次いで混合物に8グラムのCAB−O−SIL TS720を添加し、3000RPMで60秒間にわたって混合した。混合物を室温に戻した。次に混合物に18.67グラムのANCAMINE 2441を添加し、均質化するまで混合した。プロセスの全ての段階において、混合物は継続して攪拌した。全ての材料を添加した後に、得られた接着剤は脱気し、使用までの間密閉容器の中で室温で保管した。
【0158】
実施例12:清潔なスチール及びアルミニウム上で177℃で20分にわたって硬化させた、実施例11の接着剤の接着面引っ張り強度及びT型はく離接着強さ
接着剤の接着面引っ張り強度上記のように清潔にした、亜鉛めっきしたスチール試験試料(10cm(4”)×2.5cm(1”)×0.16cm(.063”)として測定される)、又は上記のFPL手順を用いてエッチングした2024−T3裸アルミニウム(10cm(4”)×17.8cm(7”)×0.16cm(.063”))、のいずれかの作製物を用いて、接着面引っ張り強度試料を作製した。
【0159】
各試料は、ASTM規格D 1002−05に記載されているように作製した。およそ1.3cm(1/2”)幅かつ0.025cm(0.010”)厚の接着剤の細片を、スクレーパーを使用して、2つの被着材の各々の一端に適用した。接着剤内のガラスビーズ(直径212〜300μm)はスペーサーとして供した。ホイルで覆ったボール紙製のシートの上の所定の位置に、片方の被着材を貼り付けた。第2の被着材を、2つの被着材間で1.3cm(1/2”)の界面が重なるように位置あわせし、接着を閉じた。界面を乱さないように気をつけながら、第2の被着材を注意深く所定の位置に貼り付けた。この操作を、それぞれについて5つの接着を最小に、各試験条件で各接着について実施した。177℃に予熱した2つの14#スチールプレートを試料の上に注意深く配置し、プレートを確実に接触させるために十分な圧力を以って予熱したヒートプレス内に挿入した。試料を177℃で20分にわたって硬化させた。接着剤を硬化させた後、室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、0.25cm/min(0.1”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。破壊荷重を記録した。接着面幅は、ノギスにて測定した。見積もられた接着面引っ張り強度は、破壊荷重/(測定された接着の幅×測定された接着長さ)として算出した。平均及び標準偏差は、特に断りのない限り少なくとも5回の試験の結果から算出した。
【0160】
接着剤のT型はく離接着強さ上記のように清潔にした、冷延スチール試験試料(30.5cm(12”)×2.5cm(1”)×0.08cm(.032”)として測定される)、又は上記のFPL手順を用いてエッチングした2024−T3裸アルミニウム(7.7cm(3”)×20cm(8”)×0.064cm(0.025”))、のいずれかの作製物を用いて、T型試験試料を作製した。
【0161】
各試料は、ASTM D−1876に記載されているようにして作製した。冷延スチール試料について、試料の2つのセットを隣り合わせて配置し、およそ2.5cm(1”)×22.9cm(9”)×0.25mm(10mil)の接着剤の細片を各被着材に適用した。接着剤内のガラスビーズ(直径212〜300μm)はスペーサーとして供した。エッチングしたアルミニウム試料について、およそ5cm(2”)×12.7cm(5”)×0.25mm(10mil)の接着剤の細片を2つの被着剤の両方に適用した。真ちゅう製のシム(brass shims)から作製した0.25mm(10mil)厚のスペーサーを、界面の厚さ調整のために、接着領域の端部に適用した。接着を閉じ、接着テープを適用して、硬化中に被着材を一体に保持した。アルミホイルのシート間及び更に厚紙の間に接着剤接着を配置した。177℃に予熱した2つの14#スチールプレートを試料の上に注意深く配置し、プレートを確実に接触させるために十分な圧力を以って予熱したヒートプレス内に挿入した。試料を177℃で20分にわたって硬化させた。接着剤を硬化させた後、より大きい試料を2.5cm(1”)幅の試料へと切断して、2つの2.5cm(1”)幅の試料を得た。室温においての破壊について、Sintech引張試験機で、30.5cm/min(12”/min)のクロスヘッド変位速度を用いて接着を試験した。荷重データの初期部分は無視した。平均荷重は、約2.5cm(1”)はく離した後に測定した。見積もられたT字はく離強度は、2回のはく離測定の平均値である。
【0162】
清潔なスチール及びアルミニウムの両方の上で、177℃で20分にわたって硬化させた接着剤についての接着面引っ張り強度試験とT型はく離接着強さ試験の結果を、表12に要約する。
【0163】
【表12】

【0164】
清潔なスチール及びアルミニウムの両方の上で、接着面引っ張り強度試験及びT型はく離接着試験のどちらを実施しているときにも接着剤組成物は凝集破壊を呈した。
【0165】
実施例13:様々な反応性液体改質剤の合成
オキサミドエステル末端化ポリプロピレンオキシドオキサミドエステル末端化ポリプロピレンオキシドは、以下の反応スキームに従って調製した。
【0166】
【化3】

【0167】
シーブ乾燥させた730.70グラムのジエチルオキサラートと、ヘッドスペースをパージするのに十分な量のアルゴンとを2Lのフラスコに添加した。滴加漏斗を用いて、200.00グラムのJEFFAMINE(登録商標)D−400を激しく攪拌しながら90分にわたって滴加した。蒸留アルゴンスパージ(distillation-argon sparge)(サブ表面(sub-surface))のためのセットアップを用いて、過剰なジエチルオキサラートとエタノールを留去するために、フラスコ内の内容物の温度をゆっくりと150℃へと上昇させた。得られた生成物は、ウィスキーブラウン色の、重量273.2グラムの透明な液体で、3,400cPの粘度を有していた。
【0168】
MaAcAc 1000MW Oligomer。20グラムのMaAcAc、4.75グラムのIOTGA、0.051グラムのVAZO67及び30グラムのエチルアセテートを0.1L(4oz.)ガラス製の重合ボトルに充填した。ボトルは窒素で5分間パージし、密閉し、60℃に維持したウォーターバスに24時間浸した。次いで反応混合物をバスから取り外し、真空下で溶媒を除去した。H NMR(CDCl)における、骨格プロトン(backbone protons)に対しての末端フラグメントプロトン(tail fragment protons)のピーク比は、1分子あたりおよそ4.65の繰り返し単位、又は270のエポキシド当量(EEW)を示した。
【0169】
MaAcAc 2000MW Oligomer。20グラムのMaAcAc、2.32グラムのIOTGA、0.051グラムのVAZO 67及び30グラムのエチルアセテートを0.1L(4oz.)のガラス製の重合瓶に充填した。ボトルは窒素で5分間パージし、密閉し、60℃に維持したウォーターバスに24時間浸した。次いで反応混合物をバスから取り外し、真空下で溶媒を除去した。H NMR(CDCl)における、骨格プロトン(backbone protons)に対しての末端フラグメントプロトン(tail fragment protons)のピーク比は、243のEEWを示した。
【0170】
Urethane diAcAc#1。35グラムのアセト酢酸t−ブチルを20グラムのK−FLEX UD−320−100に添加した。得られた混合物を120℃へと加熱し、vigoreaux凝縮器を用いて一晩還流した。次いで反応生成物を真空下で蒸留して過剰なアセト酢酸t−ブチルを除去した。H NMR(CDCl)は、Urethane diAcAc#1が本質的に純粋であることを裏付ける。
【0171】
Urethane diAcAc#2。50グラムのアセト酢酸t−ブチルを20グラムのK−FLEX XM−311に添加した。得られた混合物を120℃へと加熱し、vigoreaux凝縮器を用いて一晩還流した。次いで反応生成物を真空下で蒸留して過剰なアセト酢酸t−ブチルを除去した。H NMR(CDCl)は、Urethane diAcAc#2が本質的に純粋であることを裏付ける。
【0172】
前述した実施形態は、単なる一例として示されており、本発明の考え方及び原理に対する限定として意図されていない。したがって、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく各要素並びにその構成及び配置における様々な変更が可能である点は認識されるであろう。
【0173】
したがって本発明は、特に、一液型エポキシ系構造用接着剤、及びこの構造用接着剤を用いて部分を接着するための方法を提供する。本発明の種々の特徴及び利点は、添付の請求項に定める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、
強靭化剤と、
接着剤の約5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する反応性液体改質剤と、
潜在性アミン系硬化剤と、を含む、接着剤。
【請求項2】
前記反応性液体改質剤の量が、接着剤の約7重量%〜約12重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記反応性液体改質剤がアセトアセトキシ官能化化合物である、請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記反応性液体改質剤が、以下の一般式を有する化合物であり、
【化1】

式中、
Xは1〜10の整数であり、
YはO、S又はNHであり、
Rはポリヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアリール若しくはポリヒドロキシアルキルアリール、ポリオキシアルキル、ポリオキシアリール及びポリオキシアルキルアリール、ポリオキシポリヒドロキシアルキル、−アリール、−アルキルアリール、ポリエーテルポリヒドロキシアルキル、−アリール若しくは−アルキルアリール、又はポリエステルポリヒドロキシアルキル、−アリール若しくは−アルキルアリールからなる残基の群から選択される残基であり、Rは炭素原子を介してYに結合し、
R’はC〜C12の直鎖若しくは分枝鎖又は環状のアルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項5】
無機鉱物繊維を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項6】
前記接着剤が、110℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項7】
前記接着剤が、110℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも5.2N/cm−幅(3.0lb/in−幅)のT型はく離強さを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項8】
約20重量%〜約90重量%の前記エポキシ樹脂と、約5重量%〜約55重量%の前記強靭化剤と、約5重量%〜約25重量%の前記潜在性アミン系硬化剤と、を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂が、脂肪酸修飾されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む、請求項1〜5及び8のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項10】
エポキシ樹脂と、
強靭化剤と、
反応性液体改質剤と、
潜在性アミン系硬化剤と、
約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、0重量%〜約1重量%のFeO、及び約3重量%のKO+NaOを含む無機鉱物繊維と、を含む、接着剤。
【請求項11】
2つの基材の間に接着接合を形成する方法であって、
エポキシ樹脂と、強靭化剤と、接着剤の約5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する反応性液体改質剤と、潜在性アミン系硬化剤と、を含む、接着剤を提供することと、
前記接着剤を2つの基材の少なくとも1つに塗布すること、
前記接着剤を前記2つの基材の間に挟みこんで前記基材を接合することと、
接着接合を形成するために前記接着剤を硬化することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記反応性液体改質剤が、アセトアセトキシ官能化化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応性液体改質剤が、以下の一般式を有するアセトアセトキシ官能化化合物であり、
【化2】

式中、
Xは1〜10の整数であり、
YはO、S又はNHであり、
Rはポリヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアリール若しくはポリヒドロキシアルキルアリール、ポリオキシアルキル、ポリオキシアリール及びポリオキシアルキルアリール、ポリオキシポリヒドロキシアルキル、−アリール、−アルキルアリール、ポリエーテルポリヒドロキシアルキル、−アリール若しくは−アルキルアリール、又はポリエステルポリヒドロキシアルキル、−アリール若しくは−アルキルアリールからなる残基の群から選択される残基であり、Rは炭素原子を介してYに結合し、
R’はC〜C12の直鎖若しくは分枝鎖又は環状のアルキルである、請求項11又は12に記載の接着剤。
【請求項14】
無機鉱物繊維を更に含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記接着剤が、110℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも17.2MPa(2500psi)の接着面引っ張り強度を有する、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤が、110℃で30分にわたって硬化させた場合に、少なくとも5.2N/cm−幅(3.0lb/in−幅)のT型はく離接着強さを有する、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記接着剤が、約20重量%〜約90重量%の前記エポキシ樹脂と、約5重量%〜約55重量%の前記強靭化剤と、約5重量%〜約25重量%の前記潜在性アミン系硬化剤と、を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項18】
少なくとも1つの基材が炭化水素含有材料で汚染されている、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの基材が金属である、請求項11〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
2つの基材の間に接着接合を形成する方法であって、
エポキシ樹脂と、強靭化剤と、潜在性アミン系硬化剤と、反応性液体改質剤と、約37重量%〜約42重量%のSiO、約18重量%〜約23重量%のAl、約34重量%〜約39重量%のCaO+MgO、0重量%〜約1重量%のFeO、及び約3重量%のKO+NaOを含む無機鉱物繊維と、を含む、接着剤を提供することと、
前記接着剤を2つの基材の少なくとも1つに塗布すること、
前記接着剤を前記2つの基材の間に挟みこんで前記基材を接合することと、
接着接合を形成するために前記接着剤を硬化することと、を含む、方法。
【請求項21】
少なくとも1つの基材が炭化水素含有材料で汚れている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの基材が金属である、請求項20又は21に記載の方法。

【公表番号】特表2011−516694(P2011−516694A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504193(P2011−504193)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/040164
【国際公開番号】WO2009/126862
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】