説明

万引き防止システム及び買い物袋

【課題】利用者が所有する買い物袋による万引きを防止する。
【解決手段】万引き防止システム1において、電子ペーパ3とICチップ4は、買い物袋2に付され、電子ペーパ3の表示面が透明なときに買い物袋2の中が視認できる。電子ペーパ3は、ICチップ4から受信したデータを表示する。ICチップ4は、リーダライタ5と6、レジ7からの命令やデータにより電子ペーパ3の画像の消去や表示を行う。リーダライタ5は、入口ゲートGT1を通過する買い物袋2のICチップ4に電子ペーパ3の画像消去命令を送信する。リーダライタ6は、出口ゲートGT2を通過する買い物袋2のICチップ4に電子ペーパ3の画像表示命令を送信する。レジ7は、その前を通過する買い物袋2のICチップ4に店の画像情報を送信する。管理サーバ8は、リーダライタ5と6、レジ7から顧客IDを受信し、通過履歴を管理し、それらに画像消去・表示命令や店の画像情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパ付き買い物袋及びそれを用いた万引き防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球環境保護の一環として、レジ袋の無料配布をやめる店が多くなっている。それに伴って、自前の買い物袋(マイバッグ)を持参する人が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−269144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、買い物客がマイバックを店に持ち込むことにより、万引き犯罪が増えることが懸念されている(例えば、平成21年10月23日の中国新聞23面に掲載された記事)。
なお、特許文献1には、電子ペーパを用いてリアルタイムに情報を掲示可能な掲示板提供システムが開示されているが、買い物袋に電子ペーパを取り付けて万引きを防止するものではない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、利用者が所有する買い物袋による万引きを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、万引き防止システムであって、買い物袋の少なくとも一部を構成し、透明になると当該買い物袋の中が外部から視認可能となる電子ペーパと、店舗の入口を通過する前記電子ペーパを透明にする無線信号を送信する第1無線装置と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、店舗の入口で電子ペーパが透明になり、店内では買い物袋の中が見えるので、買い物袋による万引きを防止することができる。
【0006】
また、本発明は、上記万引き防止システムにおいて、前記電子ペーパが、画像を表示すると前記買い物袋の中が外部から視認できないようになっており、前記店舗の出口を通過する前記電子ペーパに画像を表示させる無線信号を送信する第2無線装置をさらに備えることとしてもよい。
この構成によれば、店舗の出口で電子ペーパに画像が表示され、店外で他人に買い物袋の中身を見られるのを防止することができる。
【0007】
また、本発明は、上記万引き防止システムにおいて、前記買い物袋に付され、顧客に固有の顧客IDを記憶するICチップと、レジを通過する前記電子ペーパと通信する第3無線装置と、前記第3無線装置から前記レジを通過した前記買い物袋に付された前記ICチップの顧客IDを取得した場合に、当該顧客IDと、前記顧客が前記レジを通過したことを示すレジ通過情報とを対応付けて記憶し、前記第2無線装置から前記店舗の出口を通過した前記買い物袋に付された前記ICチップの顧客IDを取得した場合に、当該顧客IDに対応付けて前記レジ通過情報が記憶されていないときに、万引きの可能性を示す警報信号を出力するサーバと、をさらに備えることとしてもよい。
この構成によれば、店内に入った後、レジを通らずに店外へ出ようとする買い物客に対して、万引きの可能性を指摘し、警報を出すことができる。
【0008】
また、本発明は、上記万引き防止システムにおいて、前記買い物袋に付され、外部から受信したデータを記憶するICチップと、前記レジを通過した前記買い物袋に付された前記ICチップに、前記顧客が前記レジを通過したことを示すレジ通過情報を送信する第3無線装置と、をさらに備え、前記第2無線装置が、前記店舗の出口を通過した前記買い物袋に付された前記ICチップに前記レジ通過情報が記憶されていないときに、万引きの可能性を示す警報信号を出力することとしてもよい。
この構成によれば、サーバを設けることなく、店内に入った後、レジを通らずに店外へ出ようとする買い物客に対して、万引きの可能性を指摘し、警報を出すことができる。
【0009】
また、本発明は、上記万引き防止システムにおいて、前記買い物袋に付され、外部から受信したデータを記憶するICチップをさらに備え、前記電子ペーパが、透明になった場合に、その旨を示す無線信号を前記第1無線装置に送信し、前記第1無線装置が、前記電子ペーパから透明になった旨を示す無線信号を受信したときに、当該買い物袋の顧客へのインセンティブを示す情報を前記ICチップに送信することとしてもよい。
この構成によれば、買い物袋の透明化、すなわち、買い物袋による万引きの防止に協力してくれた顧客に対してインセンティブを付与することができ、さらなる協力を取り付けることができる。
【0010】
また、本発明は、上記万引き防止システムにおいて、前記買い物袋に付され、画像を記憶するICチップをさらに備え、前記第2無線装置が前記電子ペーパに表示させる画像は、前記ICチップに記憶された画像であることとしてもよい。
【0011】
また、本発明は、上記万引き防止システムにおいて、前記買い物袋に付され、画像を受信し、記憶するICチップをさらに備え、前記第2無線装置が前記電子ペーパに表示させる画像は、前記第3無線装置から送信され、前記ICチップに記憶された画像であることとしてもよい。
【0012】
また、本発明は、少なくとも一部が電子ペーパにより構成された買い物袋であって、前記電子ペーパが、外部から透明化すべき旨の無線信号を受信すると透明になり、前記電子ペーパが透明になると、当該買い物袋の中が外部から視認可能となるように構成されることを特徴とする。
この構成によれば、店舗の入口で電子ペーパを透明にすることにより、店内では買い物袋の中が見えるようになるので、買い物袋による万引きを防止することができる。
【0013】
また、本発明は、上記買い物袋において、前記電子ペーパが、外部から画像を表示すべき旨の無線信号を受信すると画像を表示し、前記電子ペーパが画像を表示すると、当該買い物袋の中が外部から視認できないように構成されることとしてもよい。
この構成によれば、店舗の出口で電子ペーパに画像を表示することにより、店外で他人に買い物袋の中身を見られるのを防止することができる。
【0014】
また、本発明は、上記買い物袋において、画像を記憶するICチップをさらに備え、前記電子ペーパが、前記画像を表示すべき旨の無線信号を受信すると、前記ICチップに記憶された画像を表示することとしてもよい。
【0015】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利用者が所有する買い物袋による万引きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】万引き防止システム1の構成を示す図である。
【図2】電子ペーパ3のハードウェア構成を示す図である。
【図3】ICチップ4のハードウェア構成を示す図である。
【図4】管理サーバ8のハードウェア構成を示す図である。
【図5】ICチップ4の記憶部44に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は顧客情報44Aの構成を示し、(b)は店画像情報44Bの構成を示し、(c)はマイ画像情報44Cの構成を示し、(d)はポイント情報44Dの構成を示す。
【図6】管理サーバ8の記憶部85に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は顧客通過情報85Aの構成を示し、(b)は店画像情報85Bの構成を示す。
【図7】買い物客が入口ゲートGT1を通過する時の万引き防止システム1の処理を示す図である。
【図8】買い物客がレジ7を通過する時の万引き防止システム1の処理を示す図である。
【図9】買い物客が出口ゲートGT2を通過する時の万引き防止システム1の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る万引き防止システムは、顧客が電子ペーパ付きの買い物袋を持って、来店したときに、電子ペーパを透明化して買い物袋の中身が見えるようにするとともに、レジでの精算を行った後、店から退場するときに、買い物袋の中身が見えないように店のPR画像や顧客の好みの画像を電子ペーパに表示する。これによれば、店内では買い物袋の中身が見えるので、万引きを防止することができ、店外では他人により買い物袋の中身が見られるのを防止することができる。
【0019】
<<第1の実施の形態>>
第1の実施の形態は、管理サーバ8を用いて万引き防止システム1を実現するものである。
【0020】
≪システムの構成と概要≫
図1は、万引き防止システム1の構成を示す図である。万引き防止システム1は、電子ペーパ3、ICチップ4、リーダライタ5及び6、レジ7及び管理サーバ8を備える。電子ペーパ3は、ICチップ4から受信したデータを表示する媒体であり、買い物客が所持する買い物袋2の少なくとも一部を構成し、電子ペーパ3の表示面が透明又は半透明になったときに外部から買い物袋2の中が視認可能なように設けられる。なお、電子ペーパ3は、買い物袋2の片面だけに設けられるとその中が視認できないことがあり得るので、買い物袋2の両面に設けられるのが望ましい。ICチップ4は、買い物袋2に付され、リーダライタ5及び6、レジ7から無線通信により受信した命令やデータに基づいて、電子ペーパ3に対する画像の消去や表示、ポイントの記憶等の処理を行う。リーダライタ5は、入口ゲートGT1に設置され、入口ゲートGT1を通過する買い物袋2のICチップ4に対して、無線通信により電子ペーパ3の画像消去命令やポイント情報を送信する。リーダライタ6は、出口ゲートGT2に設置され、出口ゲートGT2を通過する買い物袋2のICチップ4に対して、無線通信により電子ペーパ3の画像表示命令やポイント情報を送信する。レジ7は、店内に設置され、レジ7の前を通過する買い物袋2のICチップ4に対して、無線通信により店の画像情報を送信する。管理サーバ8は、無線又は有線の通信によりリーダライタ5及び6、レジ7から顧客IDを受信し、それらに対して命令やデータを送信する。
【0021】
買い物客は、買い物袋2を所持しながら、入口ゲートGT1を通過して店内に入り、必要な商品を店内専用のかごに入れて、レジ7で精算する。その後、精算した商品を店内専用のかごから買い物袋2に移して、出口ゲートGT2を通過して店外に出る。そして、入口ゲートGT1を通過するときに、買い物袋2の電子ペーパ3に表示された画像が消去され、出口ゲートGT2を通過するときに、買い物袋2の電子ペーパ3に画像が表示される。これにより、店内では買い物袋2の中が外部から視認できるので、万引きを防止することができる。また、店外では買い物袋2に画像を表示して、その中が視認できないようにするので、他人に買い物袋2の中身を見られるのを防止することができる。
【0022】
図2は、電子ペーパ3のハードウェア構成を示す図である。電子ペーパ3は、紙と同様に薄く、柔軟性を有するシート状の電子的な表示媒体であり、受信部31及び表示部32を備える。受信部31は、無線や赤外線による通信で外部(ICチップ4等)からデータを受信し、受信したデータを表示部32に表示させる。表示部32は、受信部31が受信したデータを表示し、データの表示を電源なしで保持するものであり、青・緑・赤の3色の液晶を3層に重ねてフルカラー表示しており、ドライバの位置を液晶シートごとに変えて重なりを減らすことにより、紙と同様の厚みを実現している。なお、電子ペーパ3は、表示部32が外部から視認可能なように、かつ、表示部32が透明又は半透明になったときに外部から買い物袋2の中が視認可能なように買い物袋2に付される。
【0023】
図3は、ICチップ4のハードウェア構成を示す図である。ICチップ4は、通信部41、電子ペーパ送信部42、処理部43及び記憶部44を備え、各部がバス45を介してデータを送受信可能なように接続されている。通信部41は、リーダライタ5及び6、レジ7と無線IP(Internet Protocol)通信等を行う部分であり、例えば、アンテナやNIC(Network Interface Card)等によって実現される。電子ペーパ送信部42は、電子ペーパ3と無線又は赤外線の通信を行う部分である。処理部43は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、ICチップ4全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部44は、処理部43からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、不揮発性メモリによって実現される。
【0024】
図4は、管理サーバ8のハードウェア構成を示す図である。管理サーバ8は、通信部81、表示部82、入力部83、処理部84及び記憶部85を備え、各部がバス86を介してデータを送受信可能なように接続されている。通信部81は、リーダライタ5及び6、レジ7と無線又は有線によるIP通信等を行う部分であり、例えば、アンテナやNIC等によって実現される。表示部82は、処理部84からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。入力部83は、オペレータがデータ(例えば、店画像IDのデータ)を入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。処理部84は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、管理サーバ8全体の制御を行うものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部85は、処理部84からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0025】
なお、リーダライタ5及び6、レジ7は、管理サーバ8と同様に、通信部、処理部及び記憶部を備えるものとする。
【0026】
≪データの構成≫
図5は、ICチップ4の記憶部44に記憶されるデータの構成を示す図である。図5(a)は、顧客情報44Aの構成を示す。顧客情報44Aは、当該ICチップ4の買い物袋2を所持する買い物客に関する情報であり、顧客ID44A1、入口ゲート通過フラグ44A2及びレジ通過フラグ44A3を含む。顧客ID44A1は、当該買い物客に固有のIDである。入口ゲート通過フラグ44A2は、当該買い物客が入口ゲートGT1を通過したことを示すフラグである。レジ通過フラグ44A3は、当該買い物客がレジ7を通過したことを示すフラグである。なお、入口ゲート通過フラグ44A2及びレジ通過フラグ44A3は、第2の実施の形態で用いられる。
【0027】
図5(b)は、店画像情報44Bの構成を示す。店画像情報44Bは、レジ7から受信する、当該店舗の広告画像に関する情報であり、店画像ID44B1及び店画像データ44B2を含む。店画像ID44B1は、当該広告画像に固有のIDであり、店画像情報44Bを記憶していなければ、ゼロが設定される。店画像データ44B2は、当該広告画像のデータであり、電子ペーパ3の表示部32に表示されるものである。
【0028】
図5(c)は、マイ画像情報44Cの構成を示す。マイ画像情報44Cは、当該買い物客の意向に応じて予め記憶される、お気に入りの画像に関する情報であり、マイ画像ID44C1及びマイ画像データ44C2を含む。マイ画像ID44C1は、当該お気に入りの画像に固有のIDであり、マイ画像情報44Cを記憶していなければ、ゼロが設定される。マイ画像データ44C2は、当該お気に入りの画像のデータであり、電子ペーパ3の表示部32に表示されるものである。
【0029】
図5(d)は、ポイント情報44Dの構成を示す。ポイント情報44Dは、当該買い物客のポイントに関する情報であり、店舗ID44D1及びポイントデータ44D2を含む。店舗ID44D1は、店舗に固有のIDである。ポイントデータ44D2は、店舗ごとに貯まっているポイントを示すデータである。これによれば、店舗ごとにポイントを貯めることにより、各店舗で使うことができる。
【0030】
図6は、管理サーバ8の記憶部85に記憶されるデータの構成を示す図である。図6(a)は、顧客通過情報85Aの構成を示す。顧客通過情報85Aは、顧客ID85A1、入口ゲート通過フラグ85A2及びレジ通過フラグ85A3を含む、店内にいる買い物客の人数分のレコードからなる。顧客ID85A1は、買い物客に固有のIDである。入口ゲート通過フラグ85A2は、当該買い物客が入口ゲートGT1を通過したことを示すフラグである。レジ通過フラグ85A3は、当該買い物客がレジ7を通過したことを示すフラグである。
【0031】
図6(b)は、店画像情報85Bの構成を示す。店画像情報85Bは、レジ7に送信する、当該店舗の広告画像に関する情報であり、店画像ID85B1及び店画像データ85B2を含む。店画像ID85B1は、当該広告画像に固有のIDである。店画像データ85B2は、当該広告画像のデータであり、電子ペーパ3の表示部32に表示されるものである。
【0032】
≪システムの処理≫
図7〜9は、万引き防止システム1の処理を示すフローチャートである。本処理は、ICチップ4、リーダライタ5及び6、レジ7、管理サーバ8において、主として処理部が、通信部によりデータを送受信し、記憶部のデータを参照、更新しながら、万引き防止のための処理を行うものである。なお、買い物客が買い物袋2に自分のお気に入り画像を表示したいという意向がある場合には、予めICチップ4の記憶部44にマイ画像情報44Cを保存しておくものとする。
【0033】
図7は、買い物客が入口ゲートGT1を通過する時の万引き防止システム1の処理を示す。入口ゲートGT1に設置されたリーダライタ5は、当該ゲートを通過する買い物袋2のICチップ4が受信できるように、所定の出力により応答要求のメッセージを送信する(S701)。
【0034】
ICチップ4は、通信部41によりリーダライタ5からの応答要求のメッセージを受信し(S702)、当該メッセージに対する応答として、記憶部44から顧客情報44Aの顧客ID44A1を読み出し、当該顧客IDを通信部41によりリーダライタ5に送信する(S703)。リーダライタ5は、ICチップ4から顧客IDを受信し(S704)、当該顧客IDを管理サーバ8に送信する(S705)。
【0035】
管理サーバ8は、通信部81によりリーダライタ5からの顧客IDを受信し、当該顧客ID及びオンのフラグを、顧客通過情報85Aの顧客ID85A1及び入口ゲート通過フラグ85A2として記憶部85に記憶する(S706)。このとき、当該レコードのレジ通過フラグ85A3はオフにする。そして、電子ペーパ3に表示されている画像を消去する命令(画像消去命令)のメッセージをリーダライタ5に送信する(S707)。リーダライタ5は、管理サーバ8から画像消去命令のメッセージを受信し(S708)、当該メッセージを無線信号によりICチップ4に送信する(S709)。
【0036】
買い物袋2のICチップ4は、リーダライタ5から画像消去命令のメッセージを受信し(S710)、電子ペーパ3の表示部32に表示された画像を消去する(S711)。詳細には、電子ペーパ3の受信部31に画像消去命令を送信し、受信部31が受信した画像消去命令に従って、表示部32の画像を消去し、透明又は半透明の状態にする。これにより、買い物袋2の中が外部から視認できるようになり、買い物袋2による万引きを防止する効果を奏する。そして、ICチップ4は、画像消去済のメッセージをリーダライタ5に送信する(S712)。
【0037】
リーダライタ5は、ICチップ4から画像消去済のメッセージを受信すると(S713)、予め記憶している店舗ID及びポイントデータを含むポイント情報を読み出し、当該ポイント情報をICチップ4に送信する(S714)。これは、顧客が来店(来場)しただけであっても、マイバッグの透明化、すなわち、万引きの防止に協力してくれたことに対するインセンティブとして、当該店舗のポイントを付与するものである。ICチップ4は、リーダライタ5からポイント情報を受信し、記憶部44のポイント情報44Dのうち、該当する店舗ID44D1に対応するポイントデータ44D2に対して、受信したポイント情報に含まれるポイントデータの値を加算する(S715)。
【0038】
図8は、買い物客がレジ7を通過する時の万引き防止システム1の処理を示す。レジ7は、当該レジ7の前を通過する買い物袋2のICチップ4が受信できるように、所定の出力により応答要求のメッセージを送信する(S801)。
【0039】
ICチップ4は、通信部41によりレジ7からの応答要求のメッセージを受信し(S802)、当該メッセージに対する応答として、記憶部44から顧客情報44Aの顧客ID44A1を読み出し、当該顧客IDを通信部41によりレジ7に送信する(S803)。レジ7は、ICチップ4から顧客IDを受信し(S804)、当該顧客IDを管理サーバ8に送信する(S805)。
【0040】
管理サーバ8は、通信部81によりレジ7からの顧客IDを受信し、記憶部85の顧客通過情報85Aのうち、該当する顧客ID85A1に対応するレジ通過フラグ85A3をオンに設定する(S806)。そして、記憶部85から店画像情報85Bを読み出し、当該店画像情報をレジ7に送信する(S807)。レジ7は、管理サーバ8から店画像情報を受信し(S808)、当該店画像情報をICチップ4に送信する(S809)。
【0041】
ICチップ4は、レジ7から店画像情報を受信すると(S810)、記憶部44のマイ画像ID44C1がゼロでないか否かにより、マイ画像情報44Cを記憶しているか否かを判定する(S811)。マイ画像情報44Cを記憶していなければ(S811のN)、受信した店画像情報を店画像情報44Bとして記憶部44に記憶する(S812)。マイ画像情報44Cを記憶していれば(S811のY)、「買い物袋2に店の広告は表示せず、自分のお気に入りの画像を表示する」という買い物客の意向を示すので、S812の処理をスキップする。
【0042】
図9は、買い物客が出口ゲートGT2を通過する時の万引き防止システム1の処理を示す。出口ゲートGT2に設置されたリーダライタ6は、当該ゲートを通過する買い物袋2のICチップ4が受信できるように、所定の出力により応答要求のメッセージを送信する(S901)。
【0043】
ICチップ4は、通信部41によりリーダライタ6からの応答要求のメッセージを受信し(S902)、当該メッセージに対する応答として、記憶部44から顧客情報44Aの顧客ID44A1を読み出し、当該顧客IDを通信部41によりリーダライタ6に送信する(S903)。リーダライタ6は、ICチップ4から顧客IDを受信し(S904)、当該顧客IDを管理サーバ8に送信する(S905)。
【0044】
管理サーバ8は、リーダライタ6から顧客IDを受信し、記憶部85の顧客通過情報85Aのうち、該当する顧客ID85A1に対応する入口ゲート通過フラグ85A2及びレジ通過フラグ85A3をチェックする(S906)。そして、2つのフラグの両方がオンではない、例えば、当該買い物客が入口ゲートGT1を通過し、レジ7を通過していなければ(S907のN)、万引きの可能性が考えられるので、その旨の警報を示す音や光を発して、店の担当者に通知する(S908)。詳細には、管理サーバ8が警報信号を警報装置に送信し、警報信号を受信した警報装置が警報音等を発する。これにより、入口ゲートGT1通過時における電子ペーパ3の透明化と併せて、2重の対策で万引き防止を図ることができる。
【0045】
一方、2つのフラグの両方がオンである、すなわち、当該買い物客が入口ゲートGT1及びレジ7をともに通過していれば(S907のY)、来店した後、レジ7で買い物の精算をしており、問題ないので、透明又は半透明になっている買い物袋2に画像を表示する命令(画像表示命令)のメッセージをリーダライタ6に送信する(S909)。なお、買い物客が店外に出ることになるので、記憶部85の顧客通過情報85Aから当該顧客ID85A1のレコードを削除するようにしてもよい。
【0046】
リーダライタ6は、管理サーバ8から画像表示命令のメッセージを受信し(S910)、当該メッセージを無線信号によりICチップ4に送信する(S911)。
【0047】
買い物袋2のICチップ4は、リーダライタ6から画像表示命令のメッセージを受信すると(S912)、記憶部44の店画像ID44B1がゼロでないか否かにより、店画像情報44Bを記憶しているか否かを判定する(S913)。店画像情報44Bを記憶していれば(S913のY)、記憶部44から店画像データ44B2を読み出し、当該店画像データを電子ペーパ3の受信部31に送信することにより、電子ペーパ3の表示部32に店の広告画像を表示させる(S914)。買い物袋2に店の広告画像が表示されることにより、買い物袋2の中が外部から視認できないので、店外に出る買い物客が不快に感じないようにするとともに、買い物袋2に店の宣伝効果を持たせることができる。
【0048】
続いて、ICチップ4は、記憶部44の店画像ID44B1を消去する(S915)。これにより、ICチップ4から店画像情報を消去したことになる。そして、店画像表示済のメッセージをリーダライタ6に送信する(S916)。リーダライタ6は、ICチップ4から店画像表示済のメッセージを受信すると(S917)、予め記憶している店舗ID及びポイントデータを含むポイント情報を読み出し、当該ポイント情報をICチップ4に送信する(S918)。これは、顧客が買い物袋2に店の広告画像を表示してくれたことに対するインセンティブとして、当該店舗のポイントを付与するものである。ICチップ4は、リーダライタ6からポイント情報を受信し、記憶部44のポイント情報44Dのうち、該当する店舗ID44D1に対応するポイントデータ44D2に対して、受信したポイント情報に含まれるポイントデータの値を加算する(S919)。
【0049】
ICチップ4は、S913において記憶部44に店画像情報44Bを記憶していなければ(S913のN)、記憶部44からマイ画像データ44C2を読み出し、当該マイ画像データを電子ペーパ3の受信部31に送信することにより、電子ペーパ3の表示部32にマイ画像を表示させる(S920)。買い物袋2にお気に入りの画像が表示されることにより、買い物袋2の中が外部から視認できないので、店外に出る買い物客が不快に感じないようにすることができる。
【0050】
<<第2の実施の形態>>
第2の実施の形態は、管理サーバ8を設けずに万引き防止システムを実現するものである。そのために、第1の実施の形態における管理サーバ8の記憶部85に記憶されたデータのうち、顧客通過情報85AをICチップ4の記憶部44に記憶し、店画像情報85Bをレジ7に記憶する。各処理の詳細については、図7〜9を用いて、第1の実施の形態との相違点を説明する。
【0051】
まず、買い物客の入口ゲートGT1通過時に、図7に示すS701〜S703の処理が行われた後、リーダライタ5は、ICチップ4から顧客IDを受信すると(S704)、オンに設定した入口ゲート通過フラグをICチップ4に送信し、ICチップ4は、受信した入口ゲート通過フラグを顧客情報44Aの入口ゲート通過フラグ44A2として記憶部44に記憶する。そして、リーダライタ5は、画像消去命令をICチップ4に送信し(S709)、S710〜S715の処理が行われる。なお、S705〜S708の処理は行わない。
【0052】
次に、買い物客のレジ7通過時に、図8に示すS801〜S803の処理が行われた後、レジ7は、ICチップ4から顧客IDを受信すると(S804)、オンに設定したレジ通過フラグをICチップ4に送信し、ICチップ4は、受信したレジ通過フラグを顧客情報44Aのレジ通過フラグ44A3として記憶部44に記憶する。そして、リーダライタ5は、記憶している店画像情報をICチップ4に送信し(S809)、S810〜S812の処理が行われる。なお、S805〜S808の処理は行わない。
【0053】
そして、買い物客の出口ゲートGT2通過時に、図9に示すS901〜S903の処理が行われた後、リーダライタ6は、ICチップ4から顧客IDを受信すると(S904)、ICチップ4に要求して入口ゲート通過フラグ及びレジ通過フラグを取得し、両方のフラグがオンか否かを判定する。両方のフラグがオンの場合、買い物客が入口ゲートGT1及びレジ7ともに通過したということであり、問題ないので、画像表示命令をICチップ4に送信し(S911)、S912〜S920の処理が行われる。両方のフラグともオンではない場合、万引きの可能性があることから、その旨の警報を示す音や光を発する。なお、S905〜S910の処理は行わない。
【0054】
なお、上記実施の形態では、図1に示す万引き防止システム1の各装置(ICチップ4、リーダライタ5及び6、レジ7及び管理サーバ8)を機能させるために、各処理部(CPU)で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る万引き防止システム1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0055】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、電子ペーパ3が透明になると外部から中身が視認可能になる買い物袋2を顧客に持たせて、店舗の入口で電子ペーパ3を透明にすることにより、買い物袋2による万引き犯罪を防止することができる。次に、買い物袋2の透明化に協力してくれた顧客にインセンティブを付与することにより、マイバックの普及促進を図ることができる。そして、店舗の出口で電子ペーパ3に画像が表示され、店外に出るときに買い物袋2の中が見えなくなるので、顧客を不快にせずに済む。さらに、買い物袋2にICチップ4を設けることにより、インセンティブの一環として、店舗ごとのポイントを貯めることができるようになり、ポイントカードの代わりになる。
【0056】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0057】
(1)万引き防止のため、レジ7を通過した時に「精算済」という字も併せて電子ペーパ3に表示し、出口ゲートGT1を通過した時に電子ペーパ3の「精算済」という字を消去することにより、レジ7の精算が済んでいるか否かを容易に判断することができる。一方、出口ゲートGT2を通過した後にICチップ4の画像が電子ペーパ3に表示されることになるので、画像とともに「精算済」を表示する。これにより、店外において、買い物袋2の中に何か物が入っており、かつ、「精算済」と表示されていなければ、万引きと判断して警報を出すこともできる。また、監視カメラで買い物袋2の外観を撮影し、その撮影したデータに対して画像処理を行い、その結果に応じて警報を出すことも可能である。なお、店の広告画像情報を持たない店舗もあるので、買い物袋2のICチップ4にマイ画像情報がなくても、何らかの画像情報を提供するものとする。
【0058】
(2)上記の実施の形態において、出口ゲートGT2を通過した時に、買い物袋2の電子ペーパ3にマイ画像が表示されることがあるが、この場合、来店後レジ7を通過しなくても、ICチップ4にマイ画像が記憶されていれば、そのマイ画像を表示することができる。なお、来店後レジ7を通過せず、かつ、ICチップ4にマイ画像が保存されていなければ、ICチップ4に画像情報が記憶されていないので、出口ゲートGT2を通過しても電子ペーパ3は無画像状態(透明又は半透明)のままになる。
【0059】
(3)入口ゲートGT1と、出口ゲートGT2とが共用になっている場合、2台のリーダライタI及びIIをそれぞれ店外側及び店内側に設置する。そして、リーダライタI→IIの順にICチップ4の顧客IDを受信した場合には、来店したと判断する。一方、リーダライタII→Iの順にICチップ4の顧客IDを受信した場合には、来店したと判断する。
【0060】
(4)ICチップ4を介することなく、リーダライタ5及び6、レジ7から電子ペーパ3の受信部31に対して、画像情報を直接送信して表示部32に画像を表示させたり、画像消去命令を直接送信して表示部32から画像を消去させたりしてもよい。また、リーダライタ5及び6、レジ7が電子ペーパ3から画像消去済のメッセージ等を直接受信するようにしてもよい。
【0061】
(5)上記実施の形態では電子ペーパ3が買い物袋2の少なくとも一部を構成するように記載したが、買い物袋を少なくとも一部が透明なものにし、その透明な面に電子ペーパ3を貼り付けるようにしてもよい。また、全体が透明な買い物袋の外面に電子ペーパ3を貼り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 万引き防止システム
2 買い物袋
3 電子ペーパ
4 ICチップ
43 処理部
44 記憶部
44A 顧客情報
44A1 顧客ID
44A2 入口ゲート通過フラグ
44A3 レジ通過フラグ(レジ通過情報)
5 リーダライタ(第1無線装置)
6 リーダライタ(第2無線装置)
7 レジ(第3無線装置)
8 管理サーバ(サーバ)
84 処理部
85 記憶部
85A 顧客通過情報
85A1 顧客ID
85A2 入口ゲート通過フラグ
85A3 レジ通過フラグ(レジ通過情報)
85B 店画像情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
買い物袋の少なくとも一部を構成し、透明になると当該買い物袋の中が外部から視認可能となる電子ペーパと、
店舗の入口を通過する前記電子ペーパを透明にする無線信号を送信する第1無線装置と、
を備えることを特徴とする万引き防止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の万引き防止システムであって、
前記電子ペーパは、画像を表示すると前記買い物袋の中が外部から視認できないようになっており、
前記店舗の出口を通過する前記電子ペーパに画像を表示させる無線信号を送信する第2無線装置をさらに備える
ことを特徴とする万引き防止システム。
【請求項3】
請求項2に記載の万引き防止システムであって、
前記買い物袋に付され、顧客に固有の顧客IDを記憶するICチップと、
レジを通過する前記電子ペーパと通信する第3無線装置と、
前記第3無線装置から前記レジを通過した前記買い物袋に付された前記ICチップの顧客IDを取得した場合に、当該顧客IDと、前記顧客が前記レジを通過したことを示すレジ通過情報とを対応付けて記憶し、
前記第2無線装置から前記店舗の出口を通過した前記買い物袋に付された前記ICチップの顧客IDを取得した場合に、当該顧客IDに対応付けて前記レジ通過情報が記憶されていないときに、万引きの可能性を示す警報信号を出力する
サーバと、
をさらに備えることを特徴とする万引き防止システム。
【請求項4】
請求項2に記載の万引き防止システムであって、
前記買い物袋に付され、外部から受信したデータを記憶するICチップと、
前記レジを通過した前記買い物袋に付された前記ICチップに、前記顧客が前記レジを通過したことを示すレジ通過情報を送信する第3無線装置と、
をさらに備え、
前記第2無線装置は、前記店舗の出口を通過した前記買い物袋に付された前記ICチップに前記レジ通過情報が記憶されていないときに、万引きの可能性を示す警報信号を出力する
ことを特徴とする万引き防止システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の万引き防止システムであって、
前記買い物袋に付され、外部から受信したデータを記憶するICチップをさらに備え、
前記電子ペーパは、透明になった場合に、その旨を示す無線信号を前記第1無線装置に送信し、
前記第1無線装置は、前記電子ペーパから透明になった旨を示す無線信号を受信したときに、当該買い物袋の顧客へのインセンティブを示す情報を前記ICチップに送信する
ことを特徴とする万引き防止システム。
【請求項6】
請求項2に記載の万引き防止システムであって、
前記買い物袋に付され、画像を記憶するICチップをさらに備え、
前記第2無線装置が前記電子ペーパに表示させる画像は、前記ICチップに記憶された画像である
ことを特徴とする万引き防止システム。
【請求項7】
請求項2に記載の万引き防止システムであって、
前記買い物袋に付され、画像を受信し、記憶するICチップをさらに備え、
前記第2無線装置が前記電子ペーパに表示させる画像は、前記第3無線装置から送信され、前記ICチップに記憶された画像である
ことを特徴とする万引き防止システム。
【請求項8】
少なくとも一部が電子ペーパにより構成された買い物袋であって、
前記電子ペーパは、外部から透明化すべき旨の無線信号を受信すると透明になり、
前記電子ペーパが透明になると、当該買い物袋の中が外部から視認可能となるように構成される
ことを特徴とする買い物袋。
【請求項9】
請求項8に記載の買い物袋であって、
前記電子ペーパは、外部から画像を表示すべき旨の無線信号を受信すると画像を表示し、
前記電子ペーパが画像を表示すると、当該買い物袋の中が外部から視認できないように構成される
ことを特徴とする買い物袋。
【請求項10】
請求項9に記載の買い物袋であって、
画像を記憶するICチップをさらに備え、
前記電子ペーパは、前記画像を表示すべき旨の無線信号を受信すると、前記ICチップに記憶された画像を表示する
ことを特徴とする買い物袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−191929(P2011−191929A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56431(P2010−56431)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】