説明

三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法

【課題】検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する際の、検出精度と応答性とを両立させた三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供すること。
【解決手段】検査対象物内に挿入された内視鏡7の三次元形状を検出する三次元形状検出装置を次のように構成する。内視鏡7に設けられ三次元形状を検出する為の検出信号を取得する複数のセンサを備える検出部5と、検出部5が備える複数のセンサにより取得した検出信号に基づいて、内視鏡7の三次元形状を算出し、且つ、後述する間引き処理を行う処理部3と、検出部5による検出信号の取得の際または処理部3による三次元形状の算出の際に時間的なデータ間引き処理を行う対象の内視鏡7の部位を判定する間引き判定手段3aと、を三次元形状検出装置に具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物内(例えば体腔内)に挿入された挿入部材(例えば内視鏡やマニピュレータ等)の三次元形状を検出する三次元形状検出装置、及び、検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は、医療器具として様々な場面で多く用いられている。内視鏡は、長尺で小径の挿入部を、被検体の体腔内部に挿入して用いられる。この挿入部の先端には、撮像手段を備える先端部が設けられている。このような内視鏡によって、例えば体腔内の臓器等の観察や、更には当該内視鏡の処置具チャンネル内に処置具を挿通して各種治療処置を行うことが可能となる。
【0003】
近年、内視鏡下で手術を行う為の腹腔鏡様の処置具や、腹腔鏡に可動関節を設けた器具等が実用化され、ロボット的に内視鏡下で手術を行う機器も実用化されている。
【0004】
一方、内視鏡は工業分野においても多く用いられており、例えばボイラ、タービン、エンジン、及び化学プラント等の内部に存在する傷や腐蝕等の観察・検査に用いられている。
【0005】
ところで、内視鏡は、挿入部の先端側に湾曲自在な部位である湾曲部を備えている。この湾曲部は、湾曲操作ノブが操作されることにより、該操作に従って上下方向または左右方向に湾曲動作される。
【0006】
例えば、内視鏡は、入り組んだ構造の体腔内管路である大腸のように360°のループを描く管腔内に挿入された後に、湾曲操作ノブが操作されることにより、湾曲部が湾曲動作及び捻り動作されて、前記挿入部が、管腔内部において観察・検査対象部位に向けて進入していく。
【0007】
このような操作は、経験の浅い術者にとっては非常に困難である。すなわち、例えば大腸のような複雑に入り組んだ構造の管腔内における深部まで、内視鏡の挿入部を短時間でスムーズに挿入することは、熟練された術者の技術が要求される。従って、経験の浅い術者による場合、内視鏡の挿入部を大腸内における深部まで挿入していく過程で、挿入方向の見失いや、大腸の走行状態を大きく変化させてしまったりする等の虞がある。
【0008】
上述した事情を鑑みて、内視鏡の挿入部の挿入性を向上させる為の技術が従来より各種提案されている。例えば特許文献1には、体腔内に挿入された内視鏡の挿入部の形状を立体的に把握可能とする装置が開示されている。
【0009】
この特許文献1に開示されている技術によれば、2本の光ファイバを対として、これら2本の光ファイバの端面を斜めに切断して、相互に所定の開き角となるように接続したものを用い、この光ファイバ端面の開き角を演算することによって曲がり状態を検出することを可能としている。
【0010】
しかしながら、この特許文献1に開示されている技術では、接合した光ファイバ対を用いる場合、挿入部において、ある一カ所の断面位置での曲がりを検出する為に、4本の光ファイバが必要となってしまう。従って、長さ方向に接合部の位置を違えてそれぞれ4本の光ファイバ対を配置しなければならない。つまり、挿入部の長さ方向における距離分解機能を高くしようとすると(検出カ所の断面位置多くする場合には)、極めて多数の光ファイバ対を設けなければならなくなり、装置の複雑化・大型化を招いてしまう。
【0011】
このような問題を鑑みて、例えば特許文献2には、簡略且つコンパクトな構成で、長尺可撓部材の三次元形状を検出可能とした三次元形状検出装置が提案されている。
【0012】
すなわち、この特許文献2に開示されている技術では、2本のファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating)を対として、このファイバブラッググレーティング対を2組、センサケーブルに設け、光源部からセンサケーブルのファイバブラッググレーティングに信号光が出射された場合に、信号処理部によって、各ファイバブラッググレーティングからの反射回析光を受光し、この反射回析光の波長と、基準となる反射回析光の波長と、を比較してファイバブラッググレーティングの歪み測定を行う。この測定により、長尺可撓部材の三次元形状を検出する。
【0013】
ファイバブラッググレーティングを利用する技術としては、例えば特許文献3に次のような技術が開示されている。すなわち、少なくとも1つのファイバブラッググレーティングを光ファイバに設け、この光ファイバをカテーテルに挿入して、ファイバブラッググレーティングの物理的性質の変化から、カテーテルの曲げ角度を導出するように構成された光ファイバ・ナビゲーションシステムに係る技術が開示されている。
【0014】
特許文献4には、高精度検出の為に温度補償を行う技術が開示されている。この特許文献4に開示されている内視鏡システムによれば、内視鏡を体腔内又は検査対象物内に挿入した状態で、その挿入部の曲がり形状を検出して三次元形状を表示部に表示させたり、制御に利用したりすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平5−91972号公報
【特許文献2】特開2004−251779号公報
【特許文献3】特表2003−515104号公報
【特許文献4】特開2008−173397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述した特許文献に開示されている技術のように、ファイバブラッググレーティングを用いて、内視鏡の挿入部における湾曲形状等の三次元形状を検出する技術においては、実用性の観点からは当然ながら高精度な検出処理が要求される。
【0017】
さらに、内視鏡の場合、その挿入経路や観察対象は各検査毎に異なり、特に人体等の生体内に内視鏡を挿入する場合には、当該内視鏡は、各器官の蠕動運動、鼓動、拍動、及び呼吸等の影響を受けて形状変形し得る。
【0018】
従って、三次元形状検出が高精度であることに加えて、良好な応答性即ち或る程度のリアルタイム性を確保しなければ、実用上の問題が生じる。すなわち、それぞれの瞬間における三次元形状とは異なる三次元形状が検出されてしまう。しかしながら、測定点数を増やして三次元形状の検出を高精度化すると、計測に掛かる時間は必然的に増大してしまう。
【0019】
ここで、電気信号を利用して三次元形状の検出をする方法としては、例えばA/Dコンバータを測定点数分用い、デジタルデータを検出信号として伝送する方法を挙げることができる。しかしながら、測定点数が多くなる程、データの読み込みに要する時間は増大し、データ処理量も多くなってしまう。
【0020】
さらには、A/Dコンバータを測定点数分だけ用意するとコストアップや大型化を招く。このような事情から、A/Dコンバータに時分割処理を行わせる技術も提案されている。しかしながら、このような技術を採用しても、データ処理量自体は変わらない。
【0021】
他方、電気信号の代わりに光信号を用いる場合であっても、コンピュータに取り込むために電気信号に変換すれば、上述の問題と同様の問題が生じる。さらには、ファイバブラッググレーティングを用いる場合には、測定点に応じた帯域をスキャンする必要がある為、多点測定ではスキャン時間が長くなる。この点は、微細な処置をおこなう際には、特に大きなデメリットなる。
【0022】
上述したような事情から、内視鏡の三次元形状の検出においては、良好な検出精度の確保と、良好な応答性の確保と、の両立が困難とされている。
【0023】
ところで、特許文献2〜特許文献4に開示されている技術では、長尺可撓部材の三次元的形状を検出する為の手段としてファイバブラッググレーティングを利用するものの、検出処理の高精度化にのみ着目しており、応答性を向上させる為の具体的な構成及び方法については、開示は勿論、示唆すらされていない。
【0024】
つまり、特許文献2〜特許文献4には、ファイバブラッググレーティングを利用して長尺可撓部材の三次元形状を検出する際の、応答性を向上させる為の技術的思想が開示も示唆も為されておらず、上述の問題が解決されていない。
【0025】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する際の、検出精度と応答性とを両立させた三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による三次元形状検出装置は、
検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する三次元形状検出装置であって、
前記挿入部材に設けられ、前記挿入部材の三次元形状を検出する為の検出信号を取得する複数のセンサを備える検出部と、
前記検出部が備える前記複数のセンサにより取得した検出信号に基づいて、前記挿入部材の三次元形状を算出する三次元形状算出部と、
前記検出部が備える前記複数のセンサのうち、前記挿入部材の所定部位に設けられているセンサに係る処理においては、前記検出部による検出信号の取得の際または前記三次元形状算出部による三次元形状の算出の際に、時間的な間引き処理を行う間引き処理部と、
を具備することを特徴とする。
【0027】
前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様による挿入部材の三次元形状を検出する方法は、
検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する方法であって、
前記挿入部材に設けられ、前記挿入部材の三次元形状に対応する検出信号を複数のファイバブラッググレーティングにより取得する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記複数のファイバブラッググレーティングにより取得した検出信号に基づいて、前記挿入部材の三次元形状を算出する三次元形状算出ステップと、
を有し、
前記検出ステップにおいては、前記ファイバブラッググレーティングによりスキャンする波長帯域を制限することで、前記挿入部材の所定部位については時間的に間引いて検出信号を取得する
ことを特徴とする。
【0028】
前記の目的を達成するために、本発明の第3の態様による挿入部材の三次元形状を検出する方法は、
検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する方法であって、
前記挿入部材に設けられ、前記挿入部材の三次元形状に対応する検出信号を複数のセンサにより取得する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記複数のセンサにより取得した検出信号に基づいて、前記挿入部材の三次元形状を演算する三次元形状演算ステップと、
を有し、
前記三次元形状演算ステップにおいては、前記複数のセンサのうち前記挿入部材の所定部位に設けられたセンサにより取得した検出信号については、時間的な間引き処理を行う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する際の、検出精度と応答性とを両立させた三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る三次元形状検出装置を適用した内視鏡システムの一構成例を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係る三次元形状検出装置の一構成例を示す図。
【図3A】ファイバブラッググレーティングの構造を模式的に示す図。
【図3B】ファイバブラッググレーティングの構造を模式的に示す図。
【図4】ファイバブラッググレーティングの屈折率変化部による反射回折光を取得している状態を示す説明図。
【図5】センサケーブルと制御ユニットとの構成説明図。
【図6】センサケーブルの構成説明図。
【図7】本発明の一実施形態に係る三次元形状検出装置の処理部による三次元形状検出処理の一例を示す図。
【図8】本発明の一実施形態に係る三次元形状検出部の処理部による電圧信号(検出信号)の間引き処理例のタイミングチャートを示す図。
【図9】データの間引きに係る一処理例のフローチャートを示す図。
【図10】屈折率変化部からの反射回折光の波形を示す線図。
【図11】センサケーブルの軸線方向をZ軸としたときの三次元座標軸を示す図。
【図12】変形例Aに係る三次元形状検出装置を適用した内視鏡システムの一構成例を示す図。
【図13】データの間引きに係る一処理例のフローチャートを示す図。
【図14】変形例Bに係る三次元形状検出装置の一構成例を示す図。
【図15】変形例Cに係る三次元形状検出装置の一構成例を示す図。
【図16】変形例Dに係る三次元形状検出装置を適用したマニピュレータシステムの一構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態に係る三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る三次元形状検出装置を適用した内視鏡システムの一構成例を示す図である。同図に示すように、内視鏡システムは、内視鏡7と、処理部3と、検出部5と、間引き判定手段3aと、操作手段71と、駆動手段73と、制御手段75と、表示手段77と、を具備する。
【0033】
前記内視鏡7は、体腔内へ挿入される長尺可撓部材である挿入部7aと、挿入部7aの先端に設けられた支持部7bと、支持部7bにより支持されており撮像手段等が設けられた先端部7cと、を有する。この内視鏡7には、体腔内に挿入された挿入部7aの三次元形状を検出する為の検出部5が設けられている。
【0034】
前記処理部3は、検出部5からの出力に基づいて、体腔内に挿入された内視鏡7の三次元形状を算出する。この処理部3については、図2を参照して後に説明する。
【0035】
前記間引き判定手段3aは、処理部3或いは検出部5による間引き処理(詳細は後述する)の対象となるデータを決定する手段である。この間引き判定手段3aによる処理の詳細は後述する。
【0036】
前記検出部5は、例えば体腔内に挿入された内視鏡7の三次元形状を検出する為の検出部である。この検出部5による処理の詳細は後述する。
【0037】
前記操作手段71は、当該内視鏡システムの操作インターフェイスである。
【0038】
前記駆動手段73は、制御手段75の指示に基づいて内視鏡7を駆動する。
【0039】
前記制御手段75は、当該内視鏡システム全体を統括的に制御する。
【0040】
前記表示手段77は、内視鏡7の先端部7cに設けられた撮像手段による撮像で取得した画像や、処理部3により算出された内視鏡7の三次元形状等を表示する。
【0041】
図2は、図1に示す構成要件のうち、本一実施形態に係る三次元形状検出装置に係る構成を抽出して詳細に示す図である。同図に示すように、三次元形状検出装置1は、処理部3と、間引き判定手段3aと、検出部5と、を有する。
【0042】
前記処理部3は、光源11と、光源制御部12と、アイソレータ13と、光カプラ14と、受光器16と、信号処理部17と、多分岐光カプラ18と、を備える。
【0043】
前記光源11は、例えば、レーザダイオード(LD)であり、光源制御部12による制御の下で所定波長の測定光を発光して、アイソレータ13に出射する。
【0044】
前記アイソレータ13は、光源11で発光された測定光を一方向だけに透過させる素子である。このアイソレータ13は、その出射端に接続された光カプラ14からの光を遮断し、光源11を保護する。
【0045】
前記光カプラ14は、入射した光を分岐する装置である。この光カプラ14には、アイソレータ13と、検出部5の伝送用光ファイバ22と、受光器16と、が接続されている。この光カプラ14は、アイソレータ13から入射された測定光を、後述する検出部5の伝送用光ファイバ22に向けて出射し、且つ、この伝送用光ファイバ22から出射された出力光を、受光器16に向けて出射する。
【0046】
前記受光器16は、光カプラ14から出射された出力光を受光し、光電効果を利用して出力光の光強度に応じた電圧信号(検出信号)を生成して信号処理部17に出力する。なお、受光器16としては、例えばホトダイオードが用いられる。
【0047】
さらには、検出信号として変位信号や歪み信号等を用いて三次元形状検出を行い、必要に応じて温度信号等を用いた補正(温度補償)を行う構成としても勿論よい。温度測定は、形状測定と比較して高い応答性を必要としない為、温度信号は間引いて演算するのには適している信号であるとも言える。
【0048】
前記信号処理部17は、受光器16から出力された電圧信号(検出信号)に基づいて、伝送用光ファイバ22における光損失量を算出し、該算出した光損失量に基づいて、後述する検出部5における光センサSが設けられた箇所の形状を検出(特定)し、該形状を示す演算データを出力する。また、信号処理部17は、後述する間引き判定手段3aによる判定結果に基づいて、間引き処理を実行する。この間引き処理については、後に詳述する。
【0049】
多分岐光カプラ18は、光カプラ14及び複数の多点検出部20(伝送用光ファイバ22)が接続された光分岐器である。この多分岐光カプラ18は、光カプラ14から出射された測定光を、所定の伝送用光ファイバ22内に出射する。また、多分岐光カプラ18は、伝送用光ファイバ22から出射された出力光を、光カプラ14を介して受光器16に出射する。この多分岐光カプラ18による測定光の分岐の切り替えは、数μsecで行われるように構成する。このように構成することで、後述する複数の多点検出部10を処理部3に接続した場合であっても、複数の多点検出部20を時分割処理により切り替えて順次使用することができる。つまり、信号処理部17の処理負担を増大させることなく、多点検出を行うことが可能となる。
【0050】
以上説明したように、処理部3により、検出部5に対して測定光を入光し、且つ、検出部5からの出力光を受光し、この出力光に基づいて内視鏡7の各部位の三次元形状を検出する。この三次元形状の検出処理については、後に具体例を挙げて詳細に説明する。
【0051】
前記検出部5は、複数の多点検出部20を有する。この多点検出部20は、それぞれ、伝送用光ファイバ22と、全反射端24と、光センサSと、を備える。
【0052】
前記伝送用光ファイバ22は、三次元形状検出の対象部材(本例においては、内視鏡7)に設置された光ファイバである。この伝送用光ファイバ22は、高純度の石英ガラスやプラスチックから成る。この伝送用光ファイバ22の一端は処理部3に接続され、他端は全反射端24に接続されている。ここで、伝送用光ファイバ22は伝送損失量が非常に少ない。従って、処理部3と全反射端24との間の距離を必要十分な値に設定することができる。
【0053】
この伝送用光ファイバ22は、処理部3に接続された一端から測定光が入射されると、該測定光を、後述する複数の光センサSに順次伝送する。一方、後述する全反射端24において反射された測定光も順次伝送し、処理部3に向けて出力光として射出する。
【0054】
前記全反射端24は、各伝送用光ファイバ22の先端に配設され、光を全反射する反射鏡である。処理部3から出射され、伝送用光ファイバ22を通じて到達した測定光を全反射して出力光として処理部3に対して射出させる。
【0055】
前記光センサSは、伝送用光ファイバ22から入射された測定光を、当該光センサSの形状変形(歪み・屈曲等)に伴って損失させ、全反射端24又は処理部3に向けて出射させる。換言すれば、光センサSは、その歪み・屈曲等の形状の変化に因り、その内部を通過する測定光(全反射端24により反射された測定光も含む)の光量を変化させる。例えば、光センサSの歪み・屈曲等の度合いが強い程、伝送光量の損失が大きくなる。
【0056】
ここで、各多点検出部20には、それぞれn個の光センサS1〜Snが、伝送用光ファイバ22に対して直列且つ離散的に配設されている。ここで、光センサS1〜Snの形状変形(歪み・屈曲等)による測定光の光損失量Liは、
【数1】

【0057】
と、離散的に設定されている。但し、“A”は光センサS1の光損失量(基準値)を示しており、“i”はセンサ番号を示している。
【0058】
従って、光センサS1〜Snによる測定光の光損失量Liは、当該光センサS1〜Snの形状変化の度合いにより損失量を異ならせる為に、上述した(式1)に示すように離散的に設定される。
【0059】
詳細には、各光センサS1〜Snにおける形状変形による測定光の光損失量を、前記(式1)に示すように設定するのは、形状変形した光センサSの特定を容易にする為である。すなわち、検出部5は、複数の光センサSを有している為、2つ以上の光センサSに同時に形状変形が生じた場合には、検出部5の出力として得られる出力光は、形状変形が生じた光センサSに設定された光損失量の総和だけ損失した強度となる。
【0060】
このとき、例えば、2つの光センサS1,S2による測定光の光損失量の和が、他の光センサ(例えば光センサS3)による測定光の光損失量と略同一であった場合には、光センサS1〜S3のうち何れに形状変形が生じたのかが判別不能となってしまう。
【0061】
そこで、複数の光センサSによる光損失量の和が、他の光センサSによる光損失量(または、他の複数の光センサSによる光損失量の和)と略同一とならないように、各光センサSの光損失量を、前記(式1)に示すように、離散的に設定する。
【0062】
換言すれば、各光センサSの光損失量を、(式1)に示すように離散的に設定することにより、出力として得られる出力光の光損失量に基づいて、形状変形が生じた光センサSを一義的に特定することが可能となる。
【0063】
なお、図2に示す例では、検出部5に設けられた多点検出部20はm個であり、各光センサSには、対応する多点検出部20に付された番号1〜mと、当該光センサ自身に付されたセンサ番号1〜nと、が付記されて“光センサSmn”と表記されている。
【0064】
ところで、光センサSを実現する具体的なセンサ方式としては、例えば、マイクロベンディングセンサ、コアがヘテロ構造を有するヘテロコアセンサ、及びFBG(Fiber Bragg Grating)等を挙げることができる。
【0065】
ここで、医療機器のように低ノイズが要求される機器を想定した場合、電磁気ノイズに起因する懸念事項がない光信号を用いるセンサ方式、すなわちFBGのように光信号を用いたセンサ方式を採用することが好ましいとも言える。さらには、FBGを採用する場合、一本のファイバで多点の計測を行うことができるので、配線数の軽減という観点においても優位性を持つ。
【0066】
以降の説明においては、図2に示す構成を更に具体化し、センサ方式としてFBGを利用する場合(すなわち多点検出部20としてFBGを利用する場合)の構成例及び処理例を詳細に説明する。
【0067】
図3Aは、FBG100の構造を模式的に示す図である。図3Aにおいて、符号100aが付されているのはクラッド部であり、符号100bが付されているのはコア部である。同図に示すように、光ファイバは、クラッド部100a内にコア部100bが挿通されて構成されている。
【0068】
FBG100は、コア部100bにおいて、屈折率が変化する部位、即ち屈折率変化部200が形成されている。ここで、屈折率変化部200は、所定の長さにわたって屈折率が周期的に変化することになり、その全長がセンサ長となる。
【0069】
この光ファイバに、ある特定の波長であるBragg波長の光が入射されると、この屈折率変化部200で反射回折光が得られる。そして、光ファイバが真直ぐな状態、つまり基準状態から曲げられると、屈折率変化部200に歪みが生じて、センサ長が変化する。
【0070】
その結果、センサ長が伸びると反射回折光の波長は、基準状態での波長より長くなり、センサ長が短くなると反射回折光の波長が短くなるようにシフトする。さらに、歪みの度合いに応じて反射回折光の波長シフト量が変化する。
【0071】
そこで、図3Bに示すように、FBG100の長さ方向に所定のピッチ間隔Piをもって複数の屈折率変化部200a,200b,200c,…200nを設ける。しかも、これら各屈折率変化部200a,200b,200c,…200nにおける屈折率を異ならせると、図4に示すように、それぞれの屈折率変化部で反射回折光を生じるBragg波長をλ1,λ2,λ3,…λnと異ならせることができる。
【0072】
従って、光源11からλ1〜λnの波長領域を含む信号光を4本のFBG100内に送り込むと、各屈折率変化部200a,200b,200c,…200nから波長がλ1,λ2,λ3,…λnの反射回折光が生じる。この反射回折光は、FBG100の長さ方向の位置信号と、曲がり方向及び曲がり度合いに関する信号とが含まれている。
【0073】
ここで、説明の便宜上、次のような構成を想定する。すなわち、上述した構成のFBG100を4本用いて、この4本のFBG100を、図5及び図6に示すように、例えばゴム、軟性樹脂等の円柱状または円筒状の可撓性キャリア40の外周部またはその近傍位置に、それぞれ90°の角度をもって配置する。
【0074】
これにより、図6に示すように相互に180°の角度を有する直交二軸X,Y上に、それぞれ対となったFBG100a,FBG100b(Y軸を構成するファイバ対)と、FBG100c,FBG100d(X軸を構成するファイバ対)と、を有するセンサケーブル50が構成される。そして、センサケーブル50の軸線方向において、各FBG100a〜100dにおける各屈折率変化部200a,200b,200c,…200nはそれぞれ同じ断面位置に配置される。センサケーブル50は、光源11、光カプラ14,多分岐光カプラ18及び信号処理部17を内蔵した処理部3に着脱可能に接続されるよう構成されている。
【0075】
そして、処理部3の内部において、光源11からの信号光を光カプラ14,多分岐光カプラ18によってFBG100a〜100dに分岐させて入射し、それらの各屈折率変化部からの反射回折光を信号処理部17に取り込んで所定の信号処理を行う。これによって、センサケーブル50が曲げられると、どの位置がどの方向にどの程度曲げられているかの検出を行うことができ、その三次元的な形状を認識できるようになる。なお、光カプラ14,多分岐光カプラ18に代えて光サーキュレータ等を用いることもできる。
【0076】
以上説明したセンサケーブル50は、長尺可撓部材に設けられている通路内に挿入されており、この長尺可撓部材の三次元的な形状を認識するために用いられる。長尺可撓部材の一例としては、上述したように内視鏡7を挙げることができる。内視鏡7は、体腔内への挿入部7aが連設けられており、この挿入部は挿入経路に追従して任意の方向に曲がる軟性部として構成されている。この軟性部である挿入部の先端には支持部7bを介して先端部7cが連設されている。
【0077】
図7は、本一実施形態に係る三次元形状検出装置1の処理部3による三次元形状検出処理の一例を示す図である。
【0078】
まず、受光器16は、光カプラ14から出射された出力光を受光して電圧信号(検出信号)を生成する(ステップS1)。このステップS1では、例えばスイッチング手段によって、複数の多点検出部20からの出力光を時分割処理により切り替えて順次時系列的に取り込む。
【0079】
詳細には、光源11からはλ1〜λnの波長範囲を含む測定光(直線偏向の光)が出射される。この測定光は光カプラ14・多分岐光カプラ18を介して、本例においてはそれぞれ4本設けられた各FBG1a〜1dの入射端面に分割入射される。
【0080】
各々のFBG1a〜1d内においては、それぞれピッチ間隔Pi毎に設けられた各屈折率変化部2a,2b,2c,…2nでそれぞれ波長λ1,λ2,λ3,…λnの光が、回折反射される。この反射回折された光は、光カプラ14・多分岐光カプラ18を介して受光器16によって受光される。
【0081】
この受光器16は、例えばスイッチング手段によって、FBG1aにおける各屈折率変化部2a〜2n、FBG1bの各屈折率変化部2a〜2nというように、FBG1a〜1dからの反射回折光を順次時系列的に取り込む。
【0082】
以下、処理部3により間引き処理が行われる“間引き処理工程”(ステップS2)について詳細に説明する。図8は、処理部3による電圧信号(検出信号)の間引き処理例のタイミングチャートを示す図である。ここでは、説明の便宜上、内視鏡7の先端部7c及び挿入部7aにおいて、それぞれ3点検出する場合を例に説明する。
【0083】
すなわち、前記ステップS1における処理を完了した後、信号処理部17は、図8に示すタイミングチャートに従って、内視鏡7の先端部7cに設けられた光センサSに対応する電圧信号(検出信号)については間引き処理をせず、且つ、内視鏡7の挿入部7aに設けられた光センサSに対応する電圧信号(検出信号)については間引き処理する(ステップS2)。
【0084】
すなわち、図8に示す例では、内視鏡7の先端部7cにおける3点全てについて検出処理を行い、その後、内視鏡7の挿入部7aにおける1点について検出する。そして、この検出処理を繰り返す過程で、挿入部7aにおいて検出する1点を順次ずらしていく。
【0085】
なお、図8において時間軸の下部には、“従来技術”における検出処理のタイミングが示されている。従来技術では、同図に示すように、内視鏡7の先端部7cと挿入部7aとで重み付けをせずに、単純に順次検出処理を行っている。
【0086】
この“間引き処理工程”は、三次元形状検出において相対的に重要性が低い部位(高い応答性が必要でない部位)についてのデータを間引き処理することで、後段の演算処理量を軽減させる為の処理である。
【0087】
具体的には、間引き処理を行う対象の部位としては、内視鏡7の場合には先端部7cよりも動きが少ない挿入部7aを挙げることができる。
【0088】
この間引き処理を行う部位については、前記間引き判定手段3aが判定する(詳細は後述する)。そして、この間引き判定手段3aの判定結果に基づいて、処理部3(信号処理部17)がデータの間引き処理を実行する。
【0089】
図9は、“間引き処理工程”における実際の間引き処理の一例のフローチャートを示す図である。本例では、間引き判定手段3aは、ユーザによる操作手段71の操作に基づいて間引き処理の対象部位を決定する。
【0090】
まず、間引き判定手段3aは、操作手段71における操作入力が存在するか否かを判定する(ステップS100)。このステップS110をNOに分岐する場合、内視鏡7は操作されていない状態であるので、間引き判定手段3aは、処理部3に間引き処理を行わせる制御信号を出力する(ステップS101)。
【0091】
一方、前記ステップS100をYESに分岐する場合、間引き判定手段3aは、前記操作入力が“動きが発生する部位についての操作入力”であるか否かを判定する(ステップS102)。なお、操作入力によって動きが発生する部位は、設計時に既知な事項である。
【0092】
このステップS102をYESに分岐する場合、間引き判定手段3aは、操作入力によって動きが発生する部位については、処理部3に間引き処理を行わせずに通常の検出処理を行わせ、且つ、動きが発生しない部位については、処理部3に間引き処理を行わせる制御信号を出力する(ステップS103)。
【0093】
具体的には、例えば内視鏡7の先端部7cを動かす場合、設計的に先端部7cが動いても挿入部7aが動かないように構成されていれば、先端部7cについては間引き処理を行わせず、且つ、挿入部7aについては間引き処理を行わせる。また、内視鏡7を前後進させる操作入力の場合には、挿入部7aも消化管に沿って動く(形状が変わる)ので、先端部7cについても挿入部7aについても間引き処理を行わない。他方、前記ステップS102をNOに分岐する場合、前記ステップS101に移行する。
【0094】
上述の処理を行うことで、例えば次のような作用効果を得ることができる。
【0095】
・少なくとも内視鏡7のうち先端部7c(三次元形状検出処理において重要な部位)が操作されていない場合には、内視鏡7の挿入部7aについては間引き処理を行う。
【0096】
・内視鏡7の先端部7cが操作されている場合には、間引き処理を行なわずに、内視鏡7の動きを明確に把握可能に三次元形状検出を行う。
【0097】
・上述の処理により、検出精度と応答性とを両立させることが可能となる。
【0098】
なお、内視鏡以外の処置具に、本一実施形態に係る三次元形状検出装置を適用した場合も、同様の原理で処理を行うことで、同様の効果を得ることができる。
【0099】
ところで、間引き判定手段3aは、操作手段71における操作入力に係る情報を次のように取得する。すなわち、操作手段71における操作入力に応じて自動的に内視鏡7が湾曲動作される構成の場合には、該操作入力に係る情報を間引き判定手段3aが読み取るように構成する。他方、操作手段71における手動の操作入力で内視鏡7を操作する場合には、該手動の操作入力を間引き判定手段3aが検出するように構成する。例えば、操作手段71に操作ダイヤルを設け、この操作ダイヤルにエンコーダを取り付け、このエンコーダの出力を間引き判定手段3aが読み取るように構成すれば良い。
【0100】
以下、“間引き処理工程”における実際の間引き処理方式について、具体例を挙げて説明する。
【0101】
《光学的な間引き処理》
本処理方式では、FBGによりスキャンする帯域自体を狭くすることで、処理を高速化する。
【0102】
ここで、1520〜1570nmの波長を利用してFBGを動作させるとし、測定箇所としては(部位A)及び(部位B)の2部位を想定し、(部位A)については1520〜1540nmの波長を利用し、(部位B)については1550〜1570nmの波長を利用するとする。
【0103】
但し、(部位A)は例えば内視鏡7の挿入部7a等の変形頻度の低い部位であり、(部位B)は例えば内視鏡7の先端部7c等の変形頻度の高い部位であるとする。
【0104】
このとき、変形頻度がより高い(部位B)に対応する波長について、高頻度にサンプリングし、変形頻度が低い(部位A)に対応する波長について、低頻度にサンプリングする。
【0105】
具体的には、処理部3内に波長可変の分光器を設け、該分光器によって入射光或いは出射光を、次のように分光処理する。すなわち、前記分光器によって、所定の頻度で、分光処理の波長を(部位B)に対応する波長の範囲に狭めて分光処理を行う。換言すれば、変形頻度が低い(部位A)については、サンプリング頻度を間引く。これにより、変形頻度が高い(部位B)については高い検出精度を維持し、処理に掛かる時間の短縮(高速サンプリング)も実現することができる。
【0106】
より具体的には、分光処理における間引き処理は、時系列的に次のように分光処理することで行う。
【0107】
<例1>
(部位A)+(部位B)、(部位B)、(部位B)、(部位A)+(部位B)、(部位B)、・・・
<例2>
(部位A)、(部位B)、(部位B)、(部位B)、(部位A)、(部位B)、(部位B)、・・・
但し、上述の各<例>において、(部位○)との表記は、それぞれの部位に対応する波長についてのサンプリング処理を示している。
【0108】
ここで、<例1>を採用する場合、変形頻度が高い(部位B)に対応する検出信号を毎回取得できるという利点がある。一方、<例2>を採用する場合、毎回の分光処理の負荷を同程度の負荷とすることができるという利点がある。
【0109】
なお、前記分光器としては、例えばファブリーペロー干渉計の面間を可変にしたもの等を用いればよい。また、分光処理は、入射光に対して行っても、出射光に対して行っても何れでもよい。
【0110】
本処理方式のように検出部5において間引き処理を行う場合、低価格化や小型化が可能となる利点がある。例えば、A/Dコンバータを用いる場合には、それを低速のものにしてもよいし、時分割処理するものと、毎処理毎に読み込むものと、を使い分けるように構成する等してもよい。
【0111】
《演算による間引き処理》
本処理方式では、スキャンする波長帯域自体は変更せず、スキャンにより取得した検出信号について間引き処理を行う。すなわち、信号処理の際に(部位B)に対応する波長についてのみの処理も行う。
【0112】
例えば、ピーク波長を検出して利用する際には、ピーク波長を検出する処理が必要になるが、この処理の際に帯域を絞る。つまり、センサ方式としてFBGを利用する場合には波長による間引き処理となり、センサ方式としてポテンショメータとA/D変換器を利用する場合にはA/D変換器の信号を読む処理を省くことで、同様の間引き処理を行う。
【0113】
本処理方式のように、信号処理時における間引き処理であっても、処理チャンネル数が多い場合等においては、演算時間短縮及び演算負荷低減に非常に有効である。
【0114】
より具体的には、演算による間引き処理は、時系列的に次のように信号処理することで行う。
【0115】
<例1>
(部位A)+(部位B)、(部位B)、(部位B)、(部位A)+(部位B)、(部位B)・・・
<例2>
(部位A)、(部位B)、(部位B)、(部位B)、(部位A)、(部位B)、(部位B)・・・
但し、上述の各<例>において、(部位○)との表記は、それぞれの部位に対応する波長についてのサンプリング処理を示している。
【0116】
ここで、<例1>を採用する場合、変形頻度が高い(部位B)に対応する信号を毎回処理できるという利点がある。一方、<例2>を採用する場合、毎回の信号処理の負荷を同程度の負荷とすることができるという利点がある。
【0117】
本処理方式は、上述の《光学的な間引き処理》のように分光器を用いてスキャンする帯域を変更することが困難な場合には、非常に有効な手段となる。また、検出信号自体は間引き処理されていないので、間引きパターン(検出パターン)の変更を必要に応じて容易に行うことができる。
【0118】
例えば、操作手段71における操作入力や内視鏡7の動きに応じて、間引きパターン(検出パターン)を容易に変更することができる。例えばセンサ方式としてFBGを利用する場合には、スキャンする全帯域についてのデータを取得し、演算時において必要なデータのみを、所望の間引きパターンで処理することが容易である。また、A/Dコンバータを用いる場合には、サンプリングタイムごとのデータを取得する。
【0119】
なお、以上説明した“間引き処理工程”については、後述する“曲率演算工程(ステップS5)”を実行する以前の段階であればどの段階で行ってもよい。換言すれば、“曲率演算工程(ステップS5)”を実行する前に、三次元形状の検出対象部材のうち重要性が相対的に低い部位(例えば内視鏡7の挿入部7a)に対応するデータを間引き処理すればよい。
【0120】
さらに、間引き処理において、間引き率を漸次調節して段階的な間引き処理を行っても勿論よい。
【0121】
ところで、信号処理部17は、ステップS1において生成された電圧信号(検出信号)に基づいて、各々の出力光のスペクトル分布を得る(ステップS3)。
【0122】
詳細には、信号処理部17は、上述の処理によって取得したFBG1a〜1dからの反射回折光のスペクトル分布を得る。ここで、基準となる屈折率変化部からの反射回折光のスペクトル分布(つまり屈折率変化部に曲げや歪み等がない場合のスペクトル分布)は、図10において実線で示すように表される。一方、屈折率変化部が曲げられると、図10において点線・一点鎖線で示すスペクトル分布となる。
【0123】
続いて、信号処理部17は、次のようなスペクトル解析処理を行う(ステップS4)。すなわち、信号処理部17は、各反射回折光のピーク値を検出し、該検出したピーク値と基準となる波長との差、つまり反射回折光のシフト量を算出する。
【0124】
ここで、反射回折光の波長にシフトがない場合(基準となる反射回折光と実質的に同じである場合)、FBG1a〜1dは真直ぐな状態となっている。一方、波長のシフトがある場合、センサケーブル50は屈曲している。
【0125】
例えば、FBG1a及びFBG1cでは+側に波長がシフトし、且つ、FBG1b及びFBG1dでは−側に波長がシフトしている場合には、FBG1a及びFBG1cでは屈折率変化部が伸びており(FBG1a及びFBG1cは屈曲部位の外周側に位置しており)、且つ、FBG1b及びFBG1dでは屈折率変化部が縮んでいる(FBG1b及びFBG1dは屈曲部位の内周側に位置している)。
【0126】
なお、屈曲部位の曲率半径は、波長のシフト量に応じて変化する。すなわち、波長のシフト量が大きくなればなるほど、屈曲部位の曲率半径は小さくなる。
【0127】
ここで、センサケーブル50においては、FBG1aとFBG1bとでY軸を、またFBG1cとFBG1dとでX軸を構成するものとする。さらに、センサケーブル50の軸線方向をZ軸としたときに、図11に示す三次元座標軸が形成される。この三次元座標軸上にセンサケーブル50の形状、つまり屈曲方向及び屈曲度合いを表示する為に、以下の処理を行う。
【0128】
まず、信号処理部17は、次のような曲率演算を行う(ステップS5)。すなわち、信号処理部17は、FBG1a及びFBG1bの各屈折率変化部2a〜2nにおける基準波長に対する波長シフト量をそれぞれ検出することで、それぞれの屈折率変化部2a〜2nの曲率を算出する。同様に、FBG1c及びFBG1dの屈折率変化部2a〜2nの曲率も算出する。ここで、センサケーブル50における前後の屈折率変化部間の間隔はPである。
【0129】
続いて、信号処理部17は、このステップS5で取得した曲率演算結果を参照して、Y軸湾曲形状を演算する(ステップS6)。すなわち、信号処理部17は、前記ステップS5で取得した曲率演算結果を参照して、FBG1a及びFBG1bの各屈折率変化部の曲率と、前後の屈折率変化部間の間隔Piと、に基づいて、図11に示すY軸を含むZ軸方向の平面VF上でのFBG1a及びFBG1bの軌跡を算出する。
【0130】
同様に、信号処理部17は、前記ステップS5で取得した曲率演算結果を参照して、X軸湾曲形状を演算部する(ステップS7)。FBG1c及びFBG1dの各屈折率変化部の曲率と、前後の屈折率変化部間の間隔Piと、に基づいて、図11に示すX軸を含むZ軸方向の平面HF上でのFBG1c及びFBG1dの軌跡を算出する。
【0131】
そして、信号処理部17は、上述の処理で算出したY軸湾曲形状及びX軸湾曲形状に基づいて、センサケーブル50の三次元形状を示すデータを算出する(ステップS8)。このデータは、センサケーブル50の三次元形状を示すデータであるが、このセンサケーブル50は内視鏡7に設けられた処置具挿通チャンネル内に挿入されている。従って、このステップS8で算出した三次元形状を示すデータは、実質的に内視鏡7の三次元形状を示すデータである。
【0132】
以上説明したように、本一実施形態によれば、検査対象物内(例えば体腔内)に挿入された挿入部材(例えば内視鏡)の三次元形状を検出する際の、検出精度と応答性とを両立させた三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【0133】
具体的には、内視鏡7の三次元形状の検出においては、内視鏡7の部位によって、三次元形状の検出の際に必要な応答性に差異が存在することを利用して、効率的な検出を行う。
【0134】
具体的には、観察や処置の為には、先端部7cについての三次元形状検出は応答性が或る程度高くなければ、操作性が低下してしまう。特に、先端部7cの計測結果を用いてフィードバック制御する場合などは、計測の応答性によって動きの応答性も大きく制限されてしまう。
【0135】
一方、挿入部7aについては、先端部7cについての三次元形状検出のベースとなる為、高精度な計測が要求されるが、応答性は遅くても構わない場合がある。例えば、消化管に挿入する内視鏡では、消化管の動きがあるとは言え、内視鏡の前後進が無ければ、挿入部7aは形状が大きく変化する部分ではない。
【0136】
このような事情を鑑みて、応答性が低くても構わない部位については、データ(検出信号)を時間的に間引いて演算する。これにより、演算処理量を全体として軽減させることができる。つまり、検出対象の部位毎に、検出精度及び応答性を別個に設定することで、三次元形状の計測処理を最適化することができる。
【0137】
より具体的には、本一実施形態によれば、例えばFBGからの歪み情報に基づいて、例えば体腔内に挿入された内視鏡の三次元形状を高精度且つ応答性良く検出することができる三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。また、それらを適用した内視鏡システムを提供することができる。
【0138】
また、特に医療機器においては、誤動作を回避する為にシステムチェック等に演算能力を割り当てるニーズがある為、本一実施形態で得られる“演算処理量を軽減させる”という効果は大きな意味を持つ。なお、本一実施形態に係る三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法は、医療用の内視鏡のみならず、他にも工業用の内視鏡等に適用することも当然ながら可能である。
【0139】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。以下、本一実施形態の種々の変形例について説明する。
【0140】
[変形例A]
以下、前記一実施形態の変形例Aに係る三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法について説明する。なお、説明の重複を避ける為、前記一実施形態との相違点を説明する。
【0141】
図12は、本変形例Aに係る三次元形状検出装置を適用した内視鏡システムの一構成例を示す図である。同図に示すように本変形例Aにおいては、前記間引き判定手段3aが、処理部3における三次元形状検出結果に基づいて、間引き処理の対象部位を判定可能なように接続構成されている。
【0142】
換言すれば、処理部3による三次元形状検出結果を、間引き判定手段3aにフィードバックし、間引き判定手段3aは、この三次元形状検出結果に基づいて、間引き処理の対象部位を決定する。
【0143】
図13は、本変形例Aの“間引き処理工程”における実際の間引き処理の一例のフローチャートを示す図である。本変形例Aでは、処理部3による三次元形状検出結果を間引き判定手段3aにフィードバックさせ、間引き判定手段3aは、この三次元形状検出結果に基づいて間引き処理の対象部位を決定する。
【0144】
まず、間引き判定手段3aは、前回の三次元形状検出結果と今回の三次元形状検出結果とを比較し、三次元形状検出の対象物(例えば内視鏡7)が静止状態であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0145】
より具体的には、このステップS110においては、間引き判定手段3aは、前回の三次元形状検出結果と今回の三次元形状検出結果との差分をとる処理や微分演算等を行い、その結果に基づいて前記判定を行う。なお、速度センサや加速度センサ等を別途設けて、それらにより取得される速度情報や加速度情報に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0146】
前記ステップS110をNOに分岐する場合、内視鏡7には形状変化が生じているので、間引き判定手段3aは、処理部3に間引き処理を行わせずに通常の検出処理を行わせる制御信号を出力する(ステップS113)。
【0147】
一方、前記ステップS110をYESに分岐する場合、内視鏡7には形状変化が殆ど生じていない。この場合、間引き判定手段3aは、前回の三次元形状検出結果と今回の三次元形状検出結果との差異が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS111)。
【0148】
このステップS111をYESに分岐する場合、三次元形状検出対象物(例えば内視鏡7)に実質的には形状変形が生じているので、前記ステップS113に移行する。他方、前記ステップS111をNOに分岐する場合、三次元形状検出対象物(例えば内視鏡7)に実質的に形状変形が生じていないので、処理部3に所定の間引き処理を行わせる制御信号を出力する(ステップS112)。
【0149】
上述の処理を行うことで、例えば次のような作用効果を得ることができる。
【0150】
例えば消化管内に挿入されている内視鏡7が、消化管の動きや、患者の動きによって受動的に形状変形を起こした場合、この形状変化を検出した時点で間引き処理を中止する。なお、間引き処理を完全に中止せずに、間引き処理における間引き率を減少させるように構成しても勿論よい。一方、内視鏡7の形状変形を検出していない場合(内視鏡7に実質的に動きが無い場合)には、所定の間引き処理を行う。
【0151】
また、上述の処理を、内視鏡7を構成する各部位毎に行うことで、内視鏡7のうち実際に動きが生じている部位についての三次元形状検出を、良好な精度及び応答性で行うことができる。
【0152】
なお、一旦動きが生じた部位は、その後も再び動きが生じる可能性が高いので、動きが止まった後も一定時間は静止状態と見做さず、間引き処理を行わないようにしても良い。さらには、間引き処理を行う場合であっても、間引き率を低い値から徐々に高めていくような間引き処理をしてもよい。
【0153】
以上説明したように、本変形例Aによれば、前記一実施形態に係る三次元形状検出装置及び挿入部材の三次元形状を検出する方法と同様の効果を奏する上に、操作手段71における操作入力に関わらず、挿入部材(例えば内視鏡7)に実際に生じている形状変形に基づいて、間引き処理の対象部位を決定することができる三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【0154】
[変形例B]
以下、前記一実施形態の変形例Bに係る三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法について説明する。なお、説明の重複を避ける為、前記一実施形態との相違点を説明する。
【0155】
図14は、本変形例Bに係る三次元形状検出装置の一構成例を示す図である。同図に示すように、本変形例Bにおいては光センサSの代わりに、ポテンショメータPを用いる。すなわち、ポテンショメータPが設けられた部位における回転角度や移動量を、ポテンショメータPにより電圧信号(検出信号)に変換し、該電圧信号(検出信号)に基づいて以降の処理を行う。
【0156】
従って、処理部3においては光学的な処理を行う為の部材は不要となる。つまり、処理部3には、ポテンショメータPから出力された電圧信号(検出信号)を処理する為の信号処理部17を設ければよい。
【0157】
以上説明したように、本変形例Bによれば、前記一実施形態に係る三次元形状検出装置及び挿入部材の三次元形状を検出する方法と同様の効果を奏する上に、ポテンショメータやエンコーダのように電気信号を用いるセンサを採用することで、光信号を用いる場合と比較して、構成を簡略化可能な三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【0158】
[変形例C]
以下、前記一実施形態の変形例Cに係る三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法について説明する。なお、説明の重複を避ける為、前記一実施形態との相違点を説明する。
【0159】
図15は、本変形例Cに係る三次元形状検出装置の一構成例を示す図である。同図に示すように本変形例Cにおいては、検出部5は、内視鏡の先端部に対応する光センサSのみを備える多点検出部20と、挿入部に対応する光センサSのみを備える多点検出部20と、を有する
すなわち、前記一実施形態においては一つの多点検出部20は、先端部に対応する光センサSと挿入部に対応する光センサSとの両者を備えるが、本変形例Cにおいては一つの多点検出部20は、先端部に対応する光センサSのみ或いは挿入部に対応する光センサSのみを備える。
【0160】
以上説明したように、本変形例Bによれば、前記一実施形態に係る三次元形状検出装置及び挿入部材の三次元形状を検出する方法と同様の効果を奏する三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【0161】
[変形例D]
以下、前記一実施形態の変形例Dに係る三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法について説明する。なお、説明の重複を避ける為、前記一実施形態との相違点を説明する。
【0162】
図16は、本変形例Dに係る三次元形状検出装置を適用したマニピュレータシステムの一構成例を示す図である。本変形例Dに係る三次元形状検出装置では、複数の異種センサを複合的に用いて検出部を構成する。
【0163】
ところで、マニピュレータシステムを、内視鏡と一体的または個別的に使用することで、処置等の種々の作業を行うことができる。例えば、マニピュレータシステムは把持作業用に把持部を有しており、その他の処置についても各処置に応じた様々な作業部を有している。換言すれば、マニピュレータシステムは、作業用途に適合するように構成されている。
【0164】
マニピュレータ8は、挿入部8aと、屈曲部8bと、把持部8cと、駆動の為のモータユニットMと、を有する。前記挿入部8a及び前記屈曲部8bには、センサ部材としてFBGが設けられている。前記把持部8cには、センサ部材としてエンコーダが設けられている。屈曲部8b及び把持部8cは、モータユニットMにより駆動される。
【0165】
ここで、三次元形状の検出処理において、他の部位と比較して相対的に高い応答性が必要な把持部8cに設けられたエンコーダからのエンコーダ信号については、サンプリング周期ごとに使用する。他方、前記挿入部8a及び前記屈曲部8bに設けられたFBGからの信号については、サンプリング周期に対して間引いて使用する。
【0166】
なお、前記把持部8cに設けるエンコーダとして光エンコーダを採用することで、電気信号を用いないノイズ耐性の高いシステムを構築することができる。
【0167】
以上説明したように、本変形例Dによれば、前記一実施形態に係る三次元形状検出装置及び挿入部材の三次元形状を検出する方法と同様の効果を奏する上に、複数の異種のセンサを複合的に利用して検出部を構成することができる三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【0168】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【0169】
(付記)
なお、上述の具体的態様から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0170】
(1) 検査対象空間内に挿入される挿入部と、
前記挿入部内に挿通され、複数のブラッグ格子部が形成されると共に前記複数のブラッグ格子部の温度を検出する温度検出部を有するファイバブラッググレーティングと、
前記ファイバブラッググレーティングの一端に入射光を入射させる光源部と、
前記光源部から入射され、前記ファイバブラッググレーティング内で伝送されて前記ブラッグ格子部を透過し、前記ファイバブラッググレーティングの他端から出射された透過光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された透過光におけるブラック波長欠陥情報及びそのブラック波長の偏移量を算出し、前記ファイバブラッググレーティングの歪み量を検出する歪み量検出部と、
前記ファイバブラッググレーティングの温度検出部による温度検出結果を参照して温度変化量を算出し、該温度変化量に基づいて、前記歪み量検出部により検出されたファイバブラッググレーティングに加わる歪み量を補正する補正部と、
前記補正部により補正された前記歪み量に基づいて、前記挿入部の三次元形状を算出する三次元形状算出部と、
前記受光部による受光処理、または、前記三次元形状算出部による算出処理において、処理対象の信号を時間的に間引く処理を行う間引き処理部と、
を具備することを特徴とする三次元形状検出装置。
【0171】
(対応する実施形態)
この(1)に記載の三次元形状検出装置に関する実施形態は、前記一実施形態が対応する。
【0172】
(作用効果)
この(1)に記載の三次元形状検出装置によれば、検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する際の、検出精度と応答性とを両立させた三次元形状検出装置、及び、挿入部材の三次元形状を検出する方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0173】
S…光センサ、 Pi…ピッチ間隔、 P…ポテンショメータ、 M…モータユニット、 1…三次元形状検出装置、 1a〜1d…FBG、 2a〜2n…屈折率変化部、 3…処理部、 3a…間引き判定手段、 5…検出部、 7…内視鏡、 7a…挿入部、 7b…支持部、 7c…先端部、 8…マニピュレータ、 8a…挿入部、 8b…屈曲部、 8c…把持部、 10…多点検出部、 11…光源、 12…光源制御部、 13…アイソレータ、 14…光カプラ、 16…受光器、 17…信号処理部、 18…多分岐光カプラ、 20…多点検出部、 22…伝送用光ファイバ、 24…全反射端、 40…可撓性キャリア、 50…センサケーブル、 71…操作手段、 73…駆動手段、 75…制御手段、 77…表示手段、 100…FBG、 100a…クラッド部、 100b…コア部、 100a〜100d…FBG、 200,200a,200b…屈折率変化部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する三次元形状検出装置であって、
前記挿入部材に設けられ、前記挿入部材の三次元形状を検出する為の検出信号を取得する複数のセンサを備える検出部と、
前記検出部が備える前記複数のセンサにより取得した検出信号に基づいて、前記挿入部材の三次元形状を算出する三次元形状算出部と、
前記検出部が備える前記複数のセンサのうち、前記挿入部材の所定部位に設けられているセンサに係る処理においては、前記検出部による検出信号の取得の際または前記三次元形状算出部による三次元形状の算出の際に、時間的な間引き処理を行う間引き処理部と、
を具備することを特徴とする三次元形状検出装置。
【請求項2】
前記センサは、ファイバブラッググレーティングであり、
前記間引き処理部は、前記ファイバブラッググレーティングによりスキャンする波長帯域を制限することで、前記間引き処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状検出装置。
【請求項3】
前記間引き処理部は、前記三次元形状算出部による処理の際に前記間引き処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状検出装置。
【請求項4】
前記間引き処理部は、
前記挿入部材に対する操作入力情報に基づいて、前記挿入部材の前記所定部位を決定する判定部と、
前記判定部により決定された前記所定部位に設けられているセンサに係る処理においては、前記検出部による検出信号の取得の際または前記三次元形状算出部による三次元形状の算出の際に、時間的な間引き処理を行う間引き部と、
を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の三次元形状検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記挿入部材に対する操作入力情報に基づいて、前記挿入部材に動きが生じているか否かを判定し、
前記間引き部は、前記挿入部材のうち動きが生じていると前記判定部により判定された部位以外の部位について、前記間引き処理を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の三次元形状検出装置。
【請求項6】
前記間引き処理部は、前記挿入部材の形状変形を示す情報に基づいて、前記間引き処理を行う
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の三次元形状検出装置。
【請求項7】
前記間引き処理部は、
前記三次元形状算出部による前回の算出結果と今回の算出結果との差分を検出することで、前記挿入部材の形状変形を示す情報を取得して、前記挿入部材のうち前記形状変形が生じていない部位を検出する変形判定手段と、
前記変形判定手段により、前記形状変形が生じていない部位に設けられているセンサに係る処理においては、前記検出部による検出信号の取得の際または前記三次元形状算出部による三次元形状の算出の際に、時間的な間引き処理を行う間引き部と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の三次元形状検出装置。
【請求項8】
前記検出信号は、光信号及び電気信号のうち少なくとも何れか一方である
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状検出装置。
【請求項9】
前記間引き処理部は、予め設定された間引きパターンによって、前記間引き処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状検出装置。
【請求項10】
前記挿入部材は、第1の部位と、該第1の部位よりも形状変形の頻度が多い第2の部位と、から成り、
前記間引き処理部は、前記挿入部材のうち前記第1の部位に設けられているセンサに係る処理においては、前記検出部による検出信号の取得の際または前記三次元形状算出部による三次元形状の算出の際に、時間的な間引き処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元形状検出装置。
【請求項11】
前記挿入部材は医療用内視鏡であり、前記第1の部位は前記医療用内視鏡の挿入部であり、前記第2の部位は前記医療用内視鏡の先端部である
ことを特徴とする請求項10に記載の三次元形状検出装置。
【請求項12】
検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する方法であって、
前記挿入部材に設けられ、前記挿入部材の三次元形状に対応する検出信号を複数のファイバブラッググレーティングにより取得する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記複数のファイバブラッググレーティングにより取得した検出信号に基づいて、前記挿入部材の三次元形状を算出する三次元形状算出ステップと、
を有し、
前記検出ステップにおいては、前記ファイバブラッググレーティングによりスキャンする波長帯域を制限することで、前記挿入部材の所定部位については時間的に間引いて検出信号を取得する
ことを特徴とする挿入部材の三次元形状を検出する方法。
【請求項13】
検査対象物内に挿入された挿入部材の三次元形状を検出する方法であって、
前記挿入部材に設けられ、前記挿入部材の三次元形状に対応する検出信号を複数のセンサにより取得する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて前記複数のセンサにより取得した検出信号に基づいて、前記挿入部材の三次元形状を演算する三次元形状演算ステップと、
を有し、
前記三次元形状演算ステップにおいては、前記複数のセンサのうち前記挿入部材の所定部位に設けられたセンサにより取得した検出信号については、時間的な間引き処理を行う
ことを特徴とする挿入部材の三次元形状を検出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−104053(P2011−104053A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261229(P2009−261229)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】