説明

三次元測定装置

【課題】単純な機構を用いて、単一の動力装置により稼働することで、小型で汎用性が高く、死角や遅延を抑制することができる三次元走査機構を提供する。
【解決手段】動力装置からの動力が下部フランジ6,10に伝達されることで、当該下部フランジ6,10がスタッドボルト4の周囲を軸回りに回転し、当該下部フランジ6,10の軸回りの回転力がリンク機構1,5を介して上部フランジ2,3に伝達されることで当該上部フランジ2,3はスタッドボルト4の外周面を軸回りに螺旋状に回転しながら上下方向に移動可能な構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元空間を走査するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元の走査を必要としているシステムはセキュリティー装置や自動車、ロボット等、数多く挙げられ、今後において様々な装置をより高度化するための核となる技術である。三次元の走査を実現することにより、これらのシステム上において詳細な障害物の検知や環境の認識といった高度な処理内容も実行することができるようになる。しかし、測定手段となるセンサー単体での検出範囲には必ず制限があり、何らかの可動機構を付加することで三次元の走査を実現する必要がある。
【0003】
三次元を走査するための従来から用いられている機構例として、非特許文献1で提案されているような、縦方向の回転軸及び横方向の回転軸の二軸を有した機構(パン・チルト機構)が挙げられる。この機構では、多軸の動きを組み合わせることによって、三次元の走査を実現している。
【0004】
次に、別の機構例として、ミラーやレンズといった光学装置をモーター等の動力装置で調節し、光線の入出角度を偏向することで三次元の走査を実現する機構も特許文献1等で提案されている。
【0005】
また、非特許文献4で提案されている手法では、現在市販されているセンサーの中で、平面的な二次元の走査を行うことに対応したものを利用している。それらのセンサーに機構を付加し動かすことで三次元の領域に対応できるように考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-177014号公報
【特許文献2】特開2008-134163号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Ohno, T.Kawahara, S. Tadokoro, “Development of 3D Laser Scanner for Measuring Uniformand Dense 3D Shapes of Static Objects in Dynamic Environment”, Proc. IEEE Int.Conf. Robotics and Biomimetics, pp.2161-2167, 2008
【非特許文献2】T. Yoshida, K.Irie, E. Koyanagi and M. Tomono, “3D Laser Scanner with Gazing Ability”, Proc.IEEE Int. Conf. Robotics and Automation, pp.3098-3103, 2011
【非特許文献3】J. Morales, J. L. Martinez,A. Mandow, A. Pequeno-Boter, and A. Garcia-Cerezo, “Design and Development of aFast and Precise Low-Cost 3D Laser Rangefinder”, Proc. IEEE Int. Conf.Mechatronics, 2011
【非特許文献4】根元 善太郎(東京理科大),”全方位型3次元小型レーザレンジスキャナの構築と対象物体の抽出”,ROBOMEC2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術には問題点も複数存在している。提案されている手法によっては、構造上の問題や制約により小型化が困難なことから、使用する測定手段が限定され、走査範囲の死角や走査速度の遅延が発生する起因となる。分かり易い例を挙げると、正面から背後へ走査するための急な振り向き動作時における遅れなどで顕著になる。従来の構造では、動力装置の上部にもう一方の動力装置が乗る構造となっているため、慣性モーメントが大きくなることから振り向く速度が遅くなり、認識対象を見逃す状況が発生する。
【0009】
そして、重量や設置面積が増加する問題がある。どの技術や機構においても三次元を走査するために複数の動力装置を組み合わせて用いるため、各動力装置自体が重く大きくなることで問題となる。複雑かつ大型な機構は、設置に要する面積が増大すると共に、重量増加の要因となっている。また、装置面積が大きくなることで、走査範囲が制限され、更に死角が増大する。小型装置ではサイズや重量が制限されることが多いため、大型のセンサーを用いることは困難となる。
【0010】
さらに、機構の種類によって使用するセンサーが限定される問題もある。従来の機構は、測定手段の特性に依存した機構を持つため、使用するセンサーの選択肢が非常に限られたものとなる。測定手段には、赤外線や超音波、レーザー、ミリ波など様々な種類が存在している。種類による特性は一長一短あり、それぞれに得意とする用途があることから、条件に応じて使い分けることが必要とされる。
【0011】
これらを始めとする複数の問題点より、従来の三次元走査機構では、小型な装置や積載重量が少ない装置に搭載することが困難であることから、限定された条件でしか使用できなかった。
【0012】
小型化が困難で設置面積や重量が大きくなる問題の要因として、複数のモーターを使用した複雑な機構が挙げられる。重量物であるモーターを機構上の可動部にも設置しなければならない構造的な制約により、慣性モーメントが増大してしまうことから遅延が発生する。機構によっては、特定のセンサーの特性や機構を流用した機構のため、限定したセンサーしか用いることができない。
【0013】
本発明における課題は、小型かつ軽量で単純な三次元走査機構の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の三次元測定装置は、上下方向に立設されたスタッドボルトと、回転力を供給する一つの動力装置と、前記動力装置の回転力を受けて上下方向に移動することなく前記スタッドボルトの軸回りを回転する下部フランジと、前記動力装置の回転力を受けて上下方向に移動しながら前記スタッドボルトの軸回りを回転する上部フランジと、前記上部フランジと下部フランジのいずれか一方のフランジに伝達された前記回転力を第一アーム及び第二アームを介して他方のフランジに伝達するリンク機構とを備え、前記第一アームはその前端と後端の間で前記上部フランジに軸支されると共に、当該前端には測定手段が取り付けられており、当該後端には前記第二アームの前端が軸支されており、当該第二アームはその後端において前記下部フランジに軸支されており、前記動力装置の回転力を受けて、前記上部フランジが上方に移動して当該上部フランジと前記下部フランジとの間隔が広がると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして上方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が縮径しながら螺旋形状を描き、一方、前記上部フランジが下方に移動して当該上部フランジと下部フランジとの間隔が狭まると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして下方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が拡径しながら螺旋形状を描くことを特徴とする。
また、上下方向に立設されたスタッドボルトと、回転力を供給する一つの動力装置と、前記動力装置の回転力を受けて上下方向に移動することなく前記スタッドボルトの軸回りを回転する下部フランジと、前記スタッドボルトの外周に形成された雄ねじと螺合することで、上下方向に移動しながら当該スタッドボルトの軸回りを回転する上部フランジと、
第一アーム及び第二アームを介して前記下部フランジに伝達された動力を前記上部フランジに伝達するリンク機構をそれぞれ備え、前記第一アームはその前端と後端の間で前記上部フランジに軸支されると共に、当該前端には測定手段が取り付けられており、当該後端には前記第二アームの前端が軸支されており、当該第二アームはその後端において前記下部フランジに軸支されており、前記動力装置の回転力が前記下部フランジに伝達されることで、当該下部フランジが前記スタッドボルトの周囲を軸回りに回転し、当該下部フランジの軸回りの回転力が前記リンク機構を介して前記上部フランジに伝達されることで当該上部フランジは前記スタッドボルトの周囲を軸回りに螺旋状に回転しながら上下方向に移動可能な構成となっており、前記上部フランジが上方に移動して当該上部フランジと前記下部フランジとの間隔が広がると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして上方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が縮径しながら螺旋を描き、一方、前記上部フランジが下方に移動して当該上部フランジと下部フ
ランジとの間隔が狭まると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして下方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が拡径しながら螺旋を描くことを特徴とする。
【0015】
また、前記第一アームが、同一面内で長手方向に互いに平行な第一部材及び第二部材と、当該第一部材の後端と第二部材の前端とを結ぶ第三部材とにより構成されており、第一部材と第三部材との接合箇所において前記上部フランジに軸支されており、第二部材の後端において第二アームの前端に軸支されていることを特徴とする。
また、前記上部フランジが、前記スタッドボルトの雄ねじと螺合するフランジナットと、前記第一アームが軸支されると共にフランジナットの周囲を回転自在なインレットフランジを備えており、インレットフランジがフランジナットの周囲を空転することで、前記下部フランジの軸回りの回転力をフランジナットに伝達しない構成とし、前記第一アームの前端が上下方向への移動を伴わずに回転することで、測定手段の移動軌跡が一定径の円形状を描くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は一つのモーターにより、図1及び図2で示すように半球より広い範囲を天頂から走査することが可能となるため、死角を抑制しつつ小型で軽量に製作できる。また、特定のセンサーに依存した機構ではないために、いかなる種類のセンサーの使用も可能となり、精度に関する設定や設計なども機構の微調整によって容易になる。さらに、一つのモーターと単純構造で実現しているので費用対効果も高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本装置により走査することが可能な検出範囲を示した説明図である。
【図2】図2は本装置により走査することが可能な検出範囲を俯瞰の視点より示した説明図である。
【図3】本装置の組み立て図である。
【図4】本装置の分解図である。
【図5】本装置の下降動作を示した図である。
【図6】本装置の動作概要について示した図である。
【図7】本装置の第二の実施の形態について示した図である。
【図8】本装置の第三の実施の形態について示した図である。
【図9】本装置の第三の実施の形態の分解図である。
【図10】本装置の第三の実施の形態の下降動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。
本実施例における三次元測定装置は図1及び図2に示すような三次元走査を可能する装置である。
本装置は、図3及び図4に示すように、測定手段S、スタッドボルト4、動力装置12、下部フランジ、上部フランジ、第一アーム1及び第二アーム5を備えるリンク機構等から概略構成されている。
スタッドボルト4は立方形状の枠組みを有するベースフレーム15によって上下方向に立設されている。
下部フランジは、ベースボード6と筒体13とボールベアリング14と第一ギヤ10等から概略構成されている。ベースボード6、筒体13、ボールベアリング14及び第一ギヤ10のそれぞれには上下方向にのびた真円形の開口が形成されており、各開口の中心を同一軸線上に一致させた状態で互いに接合されている。
【0019】
スタッドボルト4はこれら一体となった開口に挿入されているが、スタッドボルト4の外周面はフランジナット3の内周面とのみ接触する構成になっている。したがって、下部フランジ(ベースボード6、筒体13、ボールベアリング14及び第一ギヤ10)は一つの動力装置(回転型モーター)の動力を受けてスタッドボルト4の外周を軸回りに回転するが、スタッドボルト4の外周に設けた雄ねじと螺合していないので、回転に伴ってスタッドボルト4に沿って上下方向へ移動することはない。
【0020】
上部フランジは、インレットフランジ2と側面視逆T字状のフランジナット3等から概略構成されている。インレットフランジ2とフランジナット3は接合されており、開口の内周面に雌ねじを有するフランジナット3が、スタッドボルト4の外周に形成された雄ねじと螺合することで、インレットフランジ2とフランジナット3が一体となってスタッドボルト4の外周を上下方向に移動しながら回転するようになっている。
【0021】
リンク機構は第一アーム1及び第二アーム5を介して下部フランジに伝達された動力を上部フランジに伝達するために設けられている。
第一アーム1はその前端と後端の間で上部フランジに軸支されると共に、当該前端には測定手段としてのセンサーが取り付けられており、後端には第二アーム5の前端が軸支されている。
【0022】
より詳細に説明すると、第一アーム1は同一面内で長手方向に互いに平行な第一部材1a及び第二部材1bと、当該第一部材の後端と第二部材の前端とを結ぶ第三部材1cとにより構成されている。そして、第一部材1aと第三部材1cとの接合箇所において上部フランジのインレットフランジ2に軸支(第一ジョイント7)されており、第二部材1bの後端において第二アーム5の前端に軸支(第二ジョイント8)されている。したがって、第一アーム1を側面視した場合には2段の階段状になっている。
第二アーム5はその前端が第一アーム1の後端に軸支されており、その後端が下部フランジのベースボード6に軸支(第三ジョイント9)されている。
以上の通り、3次元測定装置の構成部品のうち、スタッドボルト4に接触しているのはフランジナット3のみとなる。
【0023】
次に、三次元測定装置の動作について図5及び図6を用いて説明する。
まず、動力装置12からの動力が第二ギヤ11を介して下部フランジに伝達されることで、当該下部フランジがスタッドボルト4の周囲を軸回りに回転する。
そして、下部フランジの軸回りの回転力はリンク機構を介して上部フランジへ伝達する。
【0024】
当該回転力を受けた上部フランジはスタッドボルト4の外周面を軸回りに螺旋状に回転しながら上下方向へ移動する。
例えば、上部フランジが上方に移動して当該上部フランジと下部フランジとの間隔が広がると、第一アーム1の前端がスタッドボルト4の軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所(第一ジョイント7)を中心にして上方へ移動していく。したがって、第一アーム1の前端に取り付けた測定手段Sの移動軌跡は次第に縮径しながら螺旋を描くことになる。
【0025】
一方、動力装置の回転を逆方向に変えると、上部フランジが下方に移動していき、上部フランジと下部フランジとの間隔が狭まる。そして、第一アーム1の前端がスタッドボルト4の軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所(第一ジョイント7)を中心にして下方へ移動していく。したがって、測定手段Sの移動軌跡は次第に拡径しながら螺旋を描くことになる。
以上より、図1及び図2に示すような三次元走査が可能となる。
【0026】
また、動力装置であるモーター12の制御は複雑なものは必要なく、上部フランジが上部もしくは下部に到達する前に反転させることができる程度の制御でよいので、単一の動力源により三次元の走査が実現できる。
また、死角や遅延がなく小型で汎用性が高い機構にするという目的を、ただ一つの動力装置とリンクとねじによる螺旋軌道により実現した。
【0027】
[第二の実施の形態]
次に、本発明の第二の実施の形態について説明するが、上記第一の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を用いてその説明を省略する。
図7に示すように、本実施の形態の三次元測定装置は、上部フランジのフランジナット3とインレットフランジ2とが固定されていない点に特徴を有する。
すなわち、上部フランジが、スタッドボルト4の雄ねじと螺合するフランジナット3と、第一アーム1が軸支されると共にフランジナット3の周囲を軸回りに回転自在なインレットフランジ2を備えている。
【0028】
そして、インレットフランジ2がフランジナット3の周囲を空転することで、前記下部フランジの軸回りの回転力をフランジナット3に伝達しない構成となっている。
したがって、第一アーム1の前端は上下方向への移動を伴わずに軸回りに回転するので、測定手段の移動軌跡は一定径の円形状を描くことになり、二次元走査が可能となる。
なお、周知の締結手段を用いてインレットフランジ2とフランジナット3とを連結したり、連結を解除したりすることで、一つの装置において三次元走査と二次元走査との切り換えが可能になる。
【0029】
[第三の実施の形態]
次に、本発明の第三の実施の形態について説明するが、上記第一の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を用いてその説明を省略する。
図8〜図10に示すように、本実施の形態の三次元測定装置は、第一及び第二の実施の形態におけるスタッドボルト4にあたる部品であるフランジボルト16が回転を伴って上下動する点に特徴を有する。
フランジナット3とスタッドボルト4が一体化したフランジボルト16と、ベースフレーム15に固定され、フランジボルト16と螺合するコントロールフランジナット17と、駆動力を伝達するボルトギヤ18とガイドギヤ19を備えている。
【0030】
そして、本実施の形態の構成は、駆動力の伝達する経路が第一の実施の形態と逆になっている。
第一駆動ギヤ20からガイドギヤ19に伝達された駆動力は、ボルトギヤ18によりフランジボルト16に伝達される。フランジボルト16はコントロールフランジナット17と螺合しており、回転を伴い上方もしくは下方へ移動する。フランジボルト16の回転及び上下動は、第一ジョイント7を経由して第一アーム1に伝えられ、測定手段の移動軌跡は螺旋軌道を描く。
したがって、図10に示すような下方へ移動する一連の動作など、第一の実施の形態と異なる構成で同様に三次元の走査を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
小型で汎用性の高い三次元センサーを実現できるので、自動車やロボット等の認識システムやレーダー、防犯システムや動体検知システムへの適応ができる。
【符号の説明】
【0032】
S:測定手段
1:第一アーム
1a:第一部材
1b:第二部材
1c:第三部材
2:インレットフランジ
3:フランジナット
4:スタッドボルト
5:第二アーム
6:ベースボード
7:第一ジョイント
8:第二ジョイント
9:第三ジョイント
10:第一ギヤ
11:第二ギヤ
12:動力装置(モーター)
13:筒体
14:ボールベアリング
15:ベースフレーム
16:フランジボルト
17:コントロールフランジナット
18:ボルトギヤ
19:ガイドギヤ
20:第一駆動ギヤ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に立設されたスタッドボルトと、
回転力を供給する一つの動力装置と、
前記動力装置の回転力を受けて上下方向に移動することなく前記スタッドボルトの軸回りを回転する下部フランジと、
前記動力装置の回転力を受けて上下方向に移動しながら前記スタッドボルトの軸回りを回転する上部フランジと、
前記上部フランジと下部フランジのいずれか一方のフランジに伝達された前記回転力を第一アーム及び第二アームを介して他方のフランジに伝達するリンク機構とを備え、
前記第一アームはその前端と後端の間で前記上部フランジに軸支されると共に、当該前端には測定手段が取り付けられており、当該後端には前記第二アームの前端が軸支されており、当該第二アームはその後端において前記下部フランジに軸支されており、
前記動力装置の回転力を受けて、前記上部フランジが上方に移動して当該上部フランジと前記下部フランジとの間隔が広がると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして上方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が縮径しながら螺旋形状を描き、一方、前記上部フランジが下方に移動して当該上部フランジと下部フランジとの間隔が狭まると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして下方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が拡径しながら螺旋形状を描くことを特徴とする三次元測定装置。
【請求項2】
上下方向に立設されたスタッドボルトと、
回転力を供給する一つの動力装置と、
前記動力装置の回転力を受けて上下方向に移動することなく前記スタッドボルトの軸回りを回転する下部フランジと、
前記スタッドボルトの外周に形成された雄ねじと螺合することで、上下方向に移動しながら当該スタッドボルトの軸回りを回転する上部フランジと、
第一アーム及び第二アームを介して前記下部フランジに伝達された動力を前記上部フランジに伝達するリンク機構をそれぞれ備え、
前記第一アームはその前端と後端の間で前記上部フランジに軸支されると共に、当該前端には測定手段が取り付けられており、当該後端には前記第二アームの前端が軸支されており、当該第二アームはその後端において前記下部フランジに軸支されており、
前記動力装置の回転力が前記下部フランジに伝達されることで、当該下部フランジが前記スタッドボルトの周囲を軸回りに回転し、当該下部フランジの軸回りの回転力が前記リンク機構を介して前記上部フランジに伝達されることで当該上部フランジは前記スタッドボルトの周囲を軸回りに螺旋状に回転しながら上下方向に移動可能な構成となっており、
前記上部フランジが上方に移動して当該上部フランジと前記下部フランジとの間隔が広がると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして上方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が縮径しながら螺旋を描き、一方、前記上部フランジが下方に移動して当該上部フランジと下部フランジとの間隔が狭まると、前記第一アームの前端がスタッドボルトの軸回りに回転しながら上部フランジに軸支されている箇所を中心にして下方へ移動していき、これにより測定手段の移動軌跡が拡径しながら螺旋を描くことを特徴とする三次元測定装置。
【請求項3】
前記第一アームが、同一面内で長手方向に互いに平行な第一部材及び第二部材と、当該第一部材の後端と第二部材の前端とを結ぶ第三部材とにより構成されており、第一部材と第三部材との接合箇所において前記上部フランジに軸支されており、第二部材の後端において第二アームの前端に軸支されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元測定装置。
【請求項4】
前記上部フランジが、前記スタッドボルトの雄ねじと螺合するフランジナットと、前記第一アームが軸支されると共にフランジナットの周囲を回転自在なインレットフランジを備えており、
インレットフランジがフランジナットの周囲を空転することで、前記下部フランジの軸回りの回転力をフランジナットに伝達しない構成とし、前記第一アームの前端が上下方向への移動を伴わずに回転することで、測定手段の移動軌跡が一定径の円形状を描くことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の三次元測定装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88366(P2013−88366A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231194(P2011−231194)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【特許番号】特許第5129384号(P5129384)
【特許公報発行日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【出願人】(511255410)
【Fターム(参考)】