説明

三次元表示装置及び三次元画像表示方法

【課題】 安価な構成で、右眼用ディスプレイが表示する右眼用画像と左眼用ディスプレイが表示する左眼用画像との表示状態を調整し、右眼用画像及び左眼用画像を三次元画像として知覚させることができるようにする。
【解決手段】 左眼用と右眼用ディスプレイとで、輝度調整画像nを右眼用及び左眼用ディスプレイの対応領域aに所定時間毎に交互に表示させ(114)、ユーザから輝度調整指示が入力されると(116、118)、入力された輝度調整指示に基づいて右眼用画像データの輝度を調整することにより、右眼用画像の対応領域aに表示された輝度調整画像nの輝度を調整する(120)。一方、ユーザから輝度調整完了指示が入力されると(116、118)、輝度を調整した輝度調整量を記憶し(122)、輝度調整画像が全ての対応領域に表示され、輝度調整が行われると(124、128)、記憶された輝度調整量に基づいて、輝度調整LUTを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三次元表示装置及び三次元画像表示方法に係り、特に、右眼用画像及び左眼用画像によって三次元画像を表す三次元表示装置及び三次元画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、三次元表示用のゴーグルやディスプレイが普及しており、表示した画像を三次元画像として知覚させるときに、右眼用の画像と左眼用の画像の対応する領域を融合して知覚させ、そのときの視差を注視点の奥行きとして知覚させる。
【0003】
ここで、対応する領域が融合して知覚されるためには、対応する領域の輝度や色度などの表示状態が同一である必要があり、輝度や色度が異なっていると両画像は融合して知覚されない。
【0004】
また、三次元表示用のゴーグルやディスプレイでは、右眼用のディスプレイと左眼用のディスプレイとがそれぞれ設けられており、2つのディスプレイが同一の製品であっても機差により表示状態が異なり、同一の画像信号を受けても表示される輝度や色度が異なることがある。
【0005】
表示状態の違いを調整する表示装置として、複数の表示装置それぞれから発せられる光を輝度測定器又は色度測定器により測定し、測定結果に基づいて画像信号を調整することにより、複数の表示装置の各々から発せられる光の輝度又は色度の差を所定の範囲内とする表示装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−241962
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の表示装置では、表示状態の違いを測定するための測定器が必要となるため、コストがかかってしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、安価な構成で、右眼用ディスプレイが表示する右眼用画像と左眼用ディスプレイが表示する左眼用画像との表示状態を調整し、右眼用画像及び左眼用画像を三次元画像として知覚させることができる三次元表示装置及び三次元画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る三次元表示装置は、三次元画像を表すための右眼用画像データに基づいて右眼用画像を表示する右眼用画像表示手段と、前記三次元画像を表すための左眼用画像データに基づいて左眼用画像を表示する左眼用画像表示手段と、前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に予め定められた調整用画像が交互に表示されるように前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段を制御する表示制御手段と、調整量を入力するための入力手段と、前記入力手段から入力された調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像及び前記左眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像の少なくとも一方の表示状態を調整する調整手段と、前記右眼用画像データに基づいて前記右眼用画像を前記右眼用画像表示手段に表示するとき、及び前記左眼用画像データに基づいて前記左眼用画像を前記左眼用画像表示手段に表示するときに、前記調整手段による調整が終了したときの前記調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段に表示する前記右眼用画像及び前記左眼用画像表示手段に表示する前記左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を補正する補正手段とを含んで構成されている。
【0009】
また、本発明に係る三次元画像表示方法は、三次元画像を表すための右眼用画像データに基づいて右眼用画像を表示する右眼用画像表示手段及び前記三次元画像を表すための左眼用画像データに基づいて左眼用画像を表示する左眼用画像表示手段を備えた三次元表示装置に三次元画像を表示する三次元画像表示方法であって、前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に予め定められた調整用画像が交互に表示されるように前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段を制御し、入力された調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像及び前記左眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像の少なくとも一方の表示状態を調整し、前記右眼用画像データに基づいて前記右眼用画像を前記右眼用画像表示手段に表示するとき、及び前記左眼用画像データに基づいて前記左眼用画像を前記左眼用画像表示手段に表示するときに、前記調整が終了したときの前記調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段に表示する前記右眼用画像及び前記左眼用画像表示手段に表示する前記左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を補正することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に予め定められた調整用画像が交互に表示されるように右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段を制御し、入力された調整量に基づいて、右眼用画像表示手段によって表される調整用画像及び左眼用画像表示手段によって表される調整用画像の少なくとも一方の表示状態を調整し、右眼用画像データに基づいて右眼用画像を右眼用画像表示手段に表示するとき、及び左眼用画像データに基づいて左眼用画像を左眼用画像表示手段に表示するときに、調整が終了したときの調整量に基づいて、右眼用画像表示手段に表示する右眼用画像及び左眼用画像表示手段に表示する左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を補正する。
【0011】
従って、右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に調整用画像を交互に表示することによって、右眼用画像と左眼用画像との表示状態の違いをユーザが認識できるため、安価な構成で、右眼用画像及び左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を調整することができ、ユーザが、右眼用画像と左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚することができる。
【0012】
本発明に係る調整手段は、色度、輝度、又は色度及び輝度を調整することによって表示状態を調整し、補正手段は、色度、輝度、又は色度及び輝度を補正することによって表示状態を補正するようにすることができる。
【0013】
本発明に係る補正手段は、右眼用画像データ及び左眼用画像データの少なくとも一方を補正することにより、表示状態を補正することができる。
【0014】
また、本発明に係る右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段は、印加された電圧に応じて発光する発光素子を備え、補正手段は、右眼用画像表示手段の電圧及び左眼用画像表示手段の電圧の少なくとも一方を補正することにより、表示状態を補正することができる。
【0015】
本発明に係る予め定められた対応する領域を複数設け、表示制御手段は、対応する領域の何れか一つに予め定められた調整用画像が交互に表示されるように右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段を制御し、調整手段による調整が終了した後、他の対応する領域の何れか一つに調整用画像が交互に表示されるように右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段を制御することができる。これによって、右眼用画像及び左眼用画像の表示状態にムラがあっても、複数の対応する領域毎に調整するため、ユーザが、右眼用画像と左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の三次元表示装置及び三次元画像表示方法によれば、右眼用画像表示手段及び左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に調整用画像を交互に表示することによって、右眼用画像と左眼用画像との表示状態の違いをユーザが認識できるため、安価な構成で、右眼用画像及び左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を調整することができ、ユーザが、右眼用画像と左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、三次元表示装置10は、右眼用ディスプレイ12、左眼用ディスプレイ14、後述する画像調整処理ルーチン及び表示処理ルーチンのプログラムを含む各種プログラムやパラメータ等が記憶されたROM16、各種プログラムを実行するCPU18、CPU18による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられるRAM20、三次元画像を表すための右眼用画像データ及び左眼用画像データを格納するためのHDD22、ユーザが入力するための操作部24、及びこれらを相互に接続するためのバス26が設けられている。三次元表示装置10は、例えばゴーグル型となっており、ユーザがゴーグル型の三次元表示装置10を装着すると、右眼の前方に右眼用ディスプレイ12が位置し、左眼の前方に左眼用ディスプレイ14が位置するようになっており、ユーザは、右眼用ディスプレイ12に表示された右眼用画像と左眼用ディスプレイ14に表示された左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚するようになっている。
【0019】
なお、右眼用ディスプレイ12及び左眼用ディスプレイ14は、従来公知のディスプレイの一般的構成を備えたものであればよく、詳細な構成に関する説明は省略する。
【0020】
次に、第1の実施の形態の画像調整処理ルーチンについて図2を用いて説明する。
【0021】
まず、三次元表示装置10の電源をオンにし、ユーザが画像調整を行うことを指示すると、ステップ100で、右眼用ディスプレイ12及び左眼用ディスプレイ14の中央部に最大輝度(例えば、RGBにおいてRの濃度値、Gの濃度値、及びBの濃度値の各々が255)である最大輝度画像データに基づいて最大輝度画像を所定時間毎に交互に表示させる。なお、所定時間とは、人間の視覚特性として、輝度情報が伝達され、輝度の違いが認識できる時間であり、例えば、1/15秒〜1/12秒であり、1秒間に12回、最大輝度画像を表示させるディスプレイを右眼用ディスプレイ12及び左眼用ディスプレイ14の一方から他方に切り替える。
【0022】
そして、ステップ102において、右眼用ディスプレイ12が表示する最大輝度画像及び左眼用ディスプレイ14が表示する最大輝度画像の何れの方が輝度が高いかを選択する入力があったか否かを判定し、操作部24によってユーザが選択すると、ステップ102からステップ104へ進み、輝度の調整及び色度の調整の何れか一方を選択させるメッセージを右眼用ディスプレイ12及び左眼用ディスプレイ14に表示させ、ステップ106で、輝度及び色度の何れか一方を選択する入力があったか否かを判定し、操作部24によってユーザが選択すると、ステップ106からステップ108へ進む。なお、以下では、ステップ102において右眼用ディスプレイ12が選択された場合について説明する。
【0023】
ステップ108では、ステップ106で輝度の調整が選択されたか否かを判定し、輝度の調整が選択されていると、ステップ110で、右眼用ディスプレイ12及び左眼用ディスプレイ14の予め定められた複数の対応領域を示す番号であるaに初期値の1を設定し、ステップ112で、予め定められた複数の輝度調整画像を示す番号であるnに初期値の1を設定する。そして、ステップ114において、で、輝度調整画像nを左眼用ディスプレイ14及び右眼用ディスプレイ12の対応領域aに所定時間毎に交互に表示させる。なお、この所定時間は、例えば、ステップ100と同様に1/12秒とする。そして、ステップ116において、ユーザから輝度調整指示又は輝度調整完了指示があったか否かを判定し、ユーザが操作部24を操作することによって輝度調整指示又は輝度調整完了指示が入力されると、ステップ116からステップ118へ進み、入力された指示が輝度調整完了指示であったか否かを判定し、輝度調整指示であると、ステップ120において、ステップ116で入力された輝度調整指示に基づいて右眼用画像データの輝度を調整することにより、ステップ102で選択された右眼用ディスプレイ12の対応領域aに表示された輝度調整画像nの輝度を調整し、ステップ114へ戻り、引き続き輝度を調整する処理を行う。
【0024】
一方、ステップ116で入力された指示が輝度調整完了指示であると、ステップ118からステップ122へ進み、ステップ120で輝度を調整した輝度調整量をRAM20に記憶し、ステップ124で、nが輝度調整画像の数であるN未満であるか否かを判定し、表示されていない輝度調整画像があると、ステップ126において、nをインクリメントし、ステップ114へ戻り、輝度調整を行う。一方、全ての輝度調整画像が表示されて、輝度調整が終わると、ステップ124の判定が否定され、ステップ128において、aが対応領域の数であるA未満であるか否かを判定し、輝度調整画像が表示されていない領域があると、ステップ130で、aをインクリメントしてステップ112に戻る。
【0025】
一方、全ての対応領域に輝度調整画像が表示され、輝度調整が終了すると、ステップ128の判定が否定され、ステップ132において、記憶された輝度調整量に基づいて、輝度調整ルックアップテーブル(LUT)を生成し、画像調整処理ルーチンを終了する。
【0026】
ここで、複数の対応領域は、右眼用画像と左眼用画像とが融合されて三次元画像として知覚されるときに、右眼用ディスプレイ12と左眼用ディスプレイ14とで重なる領域を対応領域とし、例えば、図3に示すように、中央部の領域と中央部の周辺の4つの周辺部の領域とからなる。上記の画像調整処理ルーチンでは、中央部の対応領域1に輝度調整画像を表示した後、4つの周辺部の対応領域2〜対応領域5に順次輝度調整画像を表示する。また、複数の輝度調整画像には、例えば、Rの濃度値が0、32、64、96、128、160、192、224、255の各々である9個のR画像があり、また、同様に9個のG画像と9個のB画像とがあり、これらの27個の輝度調整画像を順次表示し、輝度を調整する。また、上記のステップ132で生成される輝度調整LUTは、例えば、図4に示すように、濃度値と補正後の濃度値とが記憶されており、この輝度調整LUTがR、G、Bのそれぞれについて設けられ、入力された画像データのR、G、B各々の濃度値に基づいて、補正後の濃度値がR、G、B各々について算出される。また、上記の輝度調整画像の濃度値以外の濃度値に関しては、濃度値が最も近い2つの輝度調整画像の濃度値に対する補正後の濃度の変化率に基づいて、補正後の濃度値を推定し、推定された補正後の濃度値を記憶する。
【0027】
また、輝度調整LUTは、まず、複数の対応領域毎に作成され、上述した複数の対応領域以外の領域については、例えば、上記の複数の対応領域のうち最も近い2つの対応領域の輝度調整LUTの補正後の濃度値を平均し、補正後の濃度値とする。
【0028】
また、ステップ108で、色度調整が選択されたと判定されると、ステップ134において、右眼用ディスプレイ12及び左眼用ディスプレイ14の複数の対応領域を示す番号であるaに初期値の1を設定し、ステップ136で、予め定められた複数の色度調整画像を示す番号であるmに初期値の1を設定する。そして、ステップ138において、左眼用ディスプレイ14及び右眼用ディスプレイ12の対応領域aに所定時間毎に交互に色度調整画像mを表示させる。なお、この所定時間は、人間の視覚特性として、色情報が伝達される時間とし、例えば、ステップ100より長くし、1/5秒〜1秒の間とする。そして、ステップ140において、ユーザからの色度調整指示又は色度調整完了指示があったか否かを判定し、ユーザが操作部24を操作することによって指示が入力されると、ステップ140からステップ142へ進み、入力された指示が色度調整完了指示であるか否かを判定し、色度調整指示であると、ステップ144において、ステップ140で入力された色度調整指示に基づいて、右眼用画像データの色度を調整することにより、ステップ102で選択された右眼用ディスプレイ12の対応領域aに表示された色度調整画像mの色度を調整し、ステップ138へ戻り、引き続き色度を調整する処理を行う。
【0029】
一方、ステップ140で入力された指示が色度調整完了指示であると、ステップ142からステップ146へ進み、ステップ144で色度を調整した色度調整量をRAM20に記憶し、ステップ148で、mが色度調整画像の数であるM未満であるか否かを判定し、表示されていない色度調整画像があると、ステップ150において、mをインクリメントし、ステップ138へ戻り、色度調整を行う。一方、全ての色度調整画像が表示され、色度調整が終了すると、ステップ148の判定が否定され、ステップ152において、aが対応領域の数であるA未満であるか否かを判定し、色度調整画像が表示されていない対応領域があると、ステップ154で、aをインクリメントしてステップ136に戻る。
【0030】
一方、全ての対応領域に色度調整画像が表示され、色度調整が終了すると、ステップ152の判定が否定され、ステップ156において、記憶された色度調整量に基づいて、色度調整ルックアップテーブル(LUT)を生成し、画像調整処理ルーチンを終了する。
【0031】
ここで、複数の色度調整画像は、例えば、代表的な6つの色を表す画像とし、これらの6つの色度調整画像を順次表示し、色度を調整する。また、上記のステップ156で生成される色度調整LUTは、例えば、図5に示すように、上記の6つの色度調整画像に対して、RGBそれぞれの濃度値と補正後のRGBそれぞれの濃度値とが記憶され、6つの色度調整画像以外の色度については、6つの色度調整画像に対する補正後の濃度値に基づいて、補正後のRGBそれぞれの濃度値を推定し、色度調整LUTに記憶しておけばよい。
そして、入力された画像データのR、G、B各々の濃度値に対して、色度調整LUTにより、補正後の濃度値がR、G、B各々について算出される。
【0032】
なお、上記の画像調整処理ルーチンでは、輝度調整及び色度調整の何れか一方が終了すると、画像調整処理ルーチンを終了する場合を説明したが、一方が終了した後に、続けて他方の調整を行うようにしてもよい。
【0033】
次に、第1の実施の形態の表示処理ルーチンを図6を用いて説明する。ユーザによって操作部24が操作され、三次元画像の表示が指示されると、ステップ170において、補正する画像データとして右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れか一方が選択される。上述した画像調整処理ルーチンにおいて、右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れか一方に対して輝度調整又は色度調整が行われたかを示す画像データ補正情報がRAM20に記憶されており、この画像データ補正情報に基づいて、右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れか一方が選択される。本実施の形態では、以下、右眼用画像データが選択された場合を例に説明する。
【0034】
そして、ステップ172において、右眼用画像データ及び左眼用画像データをHDD22から読みこみ、ステップ170における選択に基づいて、右眼用画像データに対して、上記の画像調整処理ルーチンにおいて生成された輝度調整LUT及び色度調整LUTの少なくとも一方に基づいて、データ補正を行う。次のステップ174では、補正された右眼用画像データを表す画像信号を右眼用ディスプレイ12に出力し、左眼用画像データを表す画像信号を左眼用ディスプレイ14に出力し、三次元画像を表示させる。
【0035】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る三次元表示装置によれば、右眼用ディスプレイ及び左眼用ディスプレイの対応領域の各々に輝度調整画像や色度調整画像を所定時間毎に交互に表示することによって、右眼用画像と左眼用画像との輝度や色度の違いをユーザが認識できるため、安価な構成で、右眼用画像及び左眼用画像の少なくとも一方の輝度や色度を調整することができ、ユーザが、右眼用画像と左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚することができる。
【0036】
また、ユーザの感覚で、輝度や色度が同一となるように調整するため、輝度や色度に対する右眼と左眼との知覚の仕方に個人差があっても、対応することができ、右眼用画像と左眼用画像とを確実に融合させて、三次元画像として知覚させることができる。
【0037】
また、右眼用画像及び左眼用画像の領域によってムラがあっても、複数の対応領域毎に輝度や色度を調整するため、ユーザが、右眼用画像と左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚することができる。
【0038】
なお、上記の実施の形態では、輝度調整LUT及び色度調整LUTによって、右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れかを補正する場合を例に説明したが、輝度調整量や色度調整量に基づいて、補正後の濃度値を算出する計算式を決定し、右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れかを補正するようにしてもよい。
【0039】
また、右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れか一方のみを調整したり、補正したりする場合を例に説明したが、右眼用画像データ及び左眼用画像データの何れも調整できるようにし、調整量に基づいて、右眼用画像データ及び左眼用画像データを補正するようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一部分について同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0041】
図7に示すように、第2の実施の形態に係る三次元表示装置200は、印加された電圧に応じて発光素子を発光させる右眼用ディスプレイ202と左眼用ディスプレイ204とを備え、右眼用ディスプレイ202及び左眼用ディスプレイ204の各々は、発光素子の印加電圧を補正する印加電圧補正回路206、208の各々が設けられている。印加電圧補正回路206は、右眼用ディスプレイ202の全ての発光素子の各々に印加する電圧を一定の割合で高くしたり低くしたりすることができるように形成されており、左眼用ディスプレイ204の印加電圧補正回路208も同様である。なお、三次元表示装置200のその他の構成は、第1の実施の形態の構成と同一であるので、その他の構成に関する説明を省略する。
【0042】
次に、第2の実施の形態に係る三次元表示装置200の作用について説明する。第2の実施の形態に係る三次元表示装置200では、右眼用ディスプレイ202と左眼用ディスプレイ204とにおいて同一の発光素子を用いており、発光素子の発光特性は変わらず、発光色度がほとんど変わらないため、発光素子への印加電圧を補正することにより発光強度を調整して、輝度のみを調整する場合について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ処理については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0043】
第2の実施の形態に係る画像調整処理ルーチンについて図8を用いて説明する。まず、三次元表示装置200の電源をオンにし、ユーザが画像調整を行うことを指示すると、ステップ100で、右眼用ディスプレイ202及び左眼用ディスプレイ204の中央部に最大輝度画像を所定時間毎に交互に表示させ、ステップ102において、右眼用ディスプレイ202が表示する最大輝度画像及び左眼用ディスプレイ204が表示する最大輝度画像の何れの方が輝度が高いかを選択する入力があると、ステップ102からステップ110へ進み、第1の実施の形態で説明した予め定められた複数の対応領域を示す番号であるaに初期値の1を設定し、ステップ112で、予め定められた複数の輝度調整画像を示す番号であるnに初期値の1を設定する。なお、本実施の形態では、以下、ステップ102で右眼用ディスプレイ202が選択された場合を例に説明する。
【0044】
そして、ステップ114において、輝度調整画像nを左眼用ディスプレイ204及び右眼用ディスプレイ202の対応領域aに所定時間毎に交互に表示させ、ステップ116において、ユーザから輝度調整指示又は輝度調整完了指示があったか否かを判定し、ステップ118で、入力された指示が輝度調整完了指示であったか否かを判定し、輝度調整指示であると、ステップ120において、ステップ116で入力された輝度調整指示に基づいて右眼用画像データの輝度を調整することにより、ステップ102で選択された右眼用ディスプレイ202の対応領域aに表された輝度調整画像nの輝度を調整し、ステップ114へ戻り、引き続き輝度を調整する処理を行う。
【0045】
一方、ステップ116で入力された指示が輝度調整完了指示であると、ステップ118からステップ122へ進み、ステップ120で輝度を調整した輝度調整量をRAM20に記憶し、ステップ124で、nが輝度調整画像の数であるN未満であるか否かを判定し、表示されていない輝度調整画像があると、ステップ126において、nをインクリメントし、ステップ114へ戻り、輝度調整を行う。一方、全ての輝度調整画像が表示されて、輝度調整が終了すると、ステップ124の判定が否定され、ステップ128において、aが対応領域の数であるA未満であるか否かを判定し、輝度調整画像が表示されていない領域があると、ステップ130で、aをインクリメントしてステップ112に戻る。
【0046】
一方、全ての対応領域において、輝度調整画像が表示され、輝度調整が終了すると、ステップ128の判定が否定され、ステップ220において、記憶された輝度調整量に基づいて、ステップ102で選択された右眼用ディスプレイ202の全ての発光素子毎に印加電圧の補正量を決定する。そして、ステップ222において、ステップ220で決定された全ての発光素子毎の印加電圧の補正量を示す印加電圧補正量情報をステップ102で選択された右眼用ディスプレイ202の印加電圧補正回路206へ出力し、画像調整処理ルーチンを終了する。
【0047】
ここで、複数の輝度調整画像は、例えば、Rの濃度値が255であるR輝度調整画像と、Gの濃度値が255であるG輝度調整画像と、Bの濃度値が255であるB輝度調整画像とし、これらの3つの輝度調整画像を順次表示し、輝度を調整する。また、上記のステップ220で決定される印加電圧の補正量は、例えば、図9に示すように、ステップ122の調整量に基づいて、R調整画像を表示したときの調整完了時の右眼用調整画像データと左眼用調整画像データとのRの濃度値を算出し、図9のグラフにおける原点と算出された2つの濃度値に該当する座標点とを結んだ線上で、輝度調整画像が同一に表示されると推定し、この線の傾きに応じた割合だけ右眼用ディスプレイの発光素子への印加電圧を低下させるように補正量を決定する。この補正量を全ての発光素子について決定し、発光素子毎の補正量を表す印加電圧補正量情報がステップ102で選択された右眼用ディスプレイ202の印加電圧補正回路206に出力される。印加電圧補正回路206では、発光素子への印加電圧を印加電圧補正量情報に基づいて、所定の割合だけ印加電圧を低下させて、低下した印加電圧に応じて発光素子を発光させる。
【0048】
また、複数の対応領域以外の領域については、例えば、上記の複数の対応領域のうち最も近い2つの対応領域における印加電圧の補正量を平均し、対象となっている対応領域の印加電圧の補正量とする。
【0049】
なお、本実施の形態では、印加電圧の補正量を線形変換で決定するようにしたが、この方法は右眼用ディスプレイ12と左眼用ディスプレイ14との発光量の違いが小さいときに有効な手法である。実際の発光量と印加電圧との関係は単純に線形関係ではないため、両者の発光特性の差が大きいときには、もともとのγ特性を考慮して印加電圧の補正量を決定することが望ましい。
【0050】
次に、第2の実施の形態に係る三次元表示装置200の三次元画像を表示する際の動作について説明する。まず、ユーザによって操作部24が操作され、三次元画像の表示が指示されると、右眼用画像データ及び左眼用画像データをHDD22から読みこみ、右眼用画像データを表す画像信号を右眼用ディスプレイ12に出力し、左眼用画像データを表す画像信号を左眼用ディスプレイ14に出力する。そして、左眼用ディスプレイ204では、左眼用画像データを表す画像信号に基づいて左眼用画像を表示し、右眼用ディスプレイ202では、右眼用画像データを表す画像信号に基づいて印加される電圧を印加電圧補正回路206によって補正して、補正された印加電圧によって発光素子を発光させて、右眼用画像を表示し、右眼用ディスプレイ202と左眼用ディスプレイ204とによって三次元画像を表示する。
【0051】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る三次元表示装置によれば、右眼用ディスプレイ及び左眼用ディスプレイの対応領域の各々に輝度調整画像を所定時間毎に交互に表示することによって、右眼用画像と左眼用画像との輝度の違いをユーザが認識できるため、安価な構成で、右眼用画像及び左眼用画像の少なくとも一方の輝度を調整することができ、輝度の調整量に基づいて印加電圧を補正することにより、ユーザが、右眼用画像と左眼用画像とを融合させて三次元画像として知覚することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る三次元表示装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像調整処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る右眼用ディスプレイ及び左眼用ディスプレイの対応領域を示すイメージ図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る輝度調整LUTを示すイメージ図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る色度調整LUTを示すイメージ図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る表示処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る三次元表示装置の構成を示す概略図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る画像調整処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る印加電圧の補正量を説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
10、200 三次元表示装置
12、202 右眼用ディスプレイ
14、204 左眼用ディスプレイ
24 操作部
206、208 印加電圧補正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元画像を表すための右眼用画像データに基づいて右眼用画像を表示する右眼用画像表示手段と、
前記三次元画像を表すための左眼用画像データに基づいて左眼用画像を表示する左眼用画像表示手段と、
前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に予め定められた調整用画像が交互に表示されるように前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段を制御する表示制御手段と、
調整量を入力するための入力手段と、
前記入力手段から入力された調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像及び前記左眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像の少なくとも一方の表示状態を調整する調整手段と、
前記右眼用画像データに基づいて前記右眼用画像を前記右眼用画像表示手段に表示するとき、及び前記左眼用画像データに基づいて前記左眼用画像を前記左眼用画像表示手段に表示するときに、前記調整手段による調整が終了したときの前記調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段に表示する前記右眼用画像及び前記左眼用画像表示手段に表示する前記左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を補正する補正手段と、
を含む三次元表示装置。
【請求項2】
前記調整手段は、色度及び輝度の少なくとも一方を調整することによって前記表示状態を調整し、
前記補正手段は、色度及び輝度の少なくとも一方を補正することによって前記表示状態を補正する請求項1に記載の三次元表示装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記右眼用画像データ及び前記左眼用画像データの少なくとも一方を補正することにより、前記表示状態を補正する請求項1又は2に記載の三次元表示装置。
【請求項4】
前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段は、印加された電圧に応じて発光する発光素子を備え、
前記補正手段は、前記右眼用画像表示手段の前記電圧及び前記左眼用画像表示手段の前記電圧の少なくとも一方を補正することにより、前記表示状態を補正する請求項1又は2に記載の三次元表示装置。
【請求項5】
前記対応する領域を複数設け、
前記表示制御手段は、前記対応する領域の何れか一つに予め定められた調整用画像が交互に表示されるように前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段を制御し、前記調整手段による調整が終了した後、他の対応する領域の何れか一つに前記調整用画像が交互に表示されるように前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段を制御する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の三次元表示装置。
【請求項6】
三次元画像を表すための右眼用画像データに基づいて右眼用画像を表示する右眼用画像表示手段及び前記三次元画像を表すための左眼用画像データに基づいて左眼用画像を表示する左眼用画像表示手段を備えた三次元表示装置に三次元画像を表示する三次元画像表示方法であって、
前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段の対応する領域の各々に予め定められた調整用画像が交互に表示されるように前記右眼用画像表示手段及び前記左眼用画像表示手段を制御し、
入力された調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像及び前記左眼用画像表示手段によって表される前記調整用画像の少なくとも一方の表示状態を調整し、
前記右眼用画像データに基づいて前記右眼用画像を前記右眼用画像表示手段に表示するとき、及び前記左眼用画像データに基づいて前記左眼用画像を前記左眼用画像表示手段に表示するときに、前記調整が終了したときの前記調整量に基づいて、前記右眼用画像表示手段に表示する前記右眼用画像及び前記左眼用画像表示手段に表示する前記左眼用画像の少なくとも一方の表示状態を補正することを特徴とする三次元画像表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−215261(P2006−215261A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27788(P2005−27788)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】