説明

三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物

【課題】造形精度が高く、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供すること。
【解決手段】(A)粉末材料、及び、(B)前記(A)粉末材料を結合する結合剤を含み、前記結合剤の50重量%以上が単官能エチレン性不飽和化合物である三次元造形用材料。支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程及び造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる工程を順次繰り返すことを含み、粉末材料及び結合剤として前記(A)粉末材料及び(B)結合剤を用いる三次元造形物10の製造方法。前記製造方法により製造された三次元造形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、立体的な造形対象物を平行な複数の面で切断した断面形状とし、各断面形状に対応させて粉末材料の薄層を結合剤により結合し、この結合された薄層よりなる断面形状を順次積層させることによって、造形対象物の三次元モデルとなる造形物を作製する技術が知られている。
【0003】
このような技術は、ラピッドプロトタイピングと呼ばれ、部品試作及びデザイン確認用途などに利用することができる。近年、安価かつ高速、さらにはカラーモデリング作製に適するインクジェットを利用する方式のものが提案されており、例えば特許文献1、特許文献2に開示されたものがある。この立体造形の具体的な手順を以下に説明する。
【0004】
特許文献1に記載された立体造形の手順について説明する。まず、ブレード機構により粉末材料を平らな表面上に均一な厚さを有する薄層に拡げ、この粉末材料の薄層表面に、インクジェットノズルヘッドを走査させて、造形対象物を平行な断面により切断した断面形状に対応させて、結合剤を吐出する。結合剤が吐出された領域の粉末材料は、必要な操作を施すことにより、粉末材料を接合状態にするとともに、既に形成済の下層の断面形状とも結合する。そして、造形物全体が完成するまで、粉末材料の薄層を上部に順次積層しながら、結合剤を吐出する工程を繰り返す。最終的に、結合剤が吐出されなかった領域は、粉末材料が個々に独立して互いに接合しない状態であるため、造形物を装置から取り出す際に、粉末材料は容易に除去することができ、目的とする造形物が分離できる。以上の操作により、所望の三次元造形物が製造できる。
【0005】
特許文献2には、三次元プリンターで、粒子材料を選択的に接着して固形物体を形成するための化学組成物であって、前記組成物が非水性有機モノマー化合物を含む組成物が開示されており、前記化合物として、アルコール、エステル、エーテル、シラン、ビニルモノマー、アクリルモノマーまたはメタクリレートモノマー等が例示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2729110号公報
【特許文献2】特表2003−531220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、造形精度が高く、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、以下に記載の<1>〜<7>によって達成された。
<1> (A)粉末材料、及び、(B)前記(A)粉末材料を結合する結合剤を含み、前記結合剤の50重量%以上が単官能エチレン性不飽和化合物であることを特徴とする三次元造形用材料、
<2> 前記単官能エチレン性不飽和化合物が、単官能アクリレート類、単官能メタクリレート類、単官能ビニルオキシ化合物、単官能N−ビニル化合物、単官能アクリルアミド類及び単官能メタアクリルアミド類よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である<1>に記載の三次元造形用材料、
<3> 前記結合剤が、環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物を25重量%以上含む<1>又は<2>に記載の三次元造形用材料、
<4> 前記環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物が式(1)又は式(2)で表される化合物である<3>に記載の三次元造形用材料、
【0009】
【化1】

式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、X1は式(1)に示すエチレン性不飽和二重結合に(−C(O)O−)又は(−C(O)NH−)が結合した第1の二価の連結基を示し、この第1の二価の連結基に単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)−)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、R2は少なくとも1つの環状構造を有する基を表す。
【0010】
【化2】

式(2)中、mは1〜5の整数を表す。
【0011】
<5> 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる結合工程を順次繰り返すことを含み、前記粉末材料及び前記結合剤として<1>〜<4>いずれか1つに記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする三次元造形物の製造方法、
<6> 前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出する<5>に記載の三次元造形物の製造方法、
<7> <5>又は<6>に記載の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、造形精度が高く、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料、及び、三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
I.三次元造形用材料
本発明の三次元造形用材料は、(A)粉末材料、及び、(B)前記(A)粉末材料を結合する結合剤を含み、前記結合剤の50重量%以上が単官能エチレン性不飽和化合物であることを特徴とする。
本発明の三次元造形用材料を用いることにより、造形精度が高く、高強度の三次元造形物が得られる三次元造形用材料を提供できる。
以下、それぞれの成分について詳述する。
【0014】
<(A)粉末材料>
本発明に用いることができる粉末材料としては特に限定されないが、有機共重合体粒子を好ましく用いることができる。
本発明において使用する有機共重合体粒子は、少なくとも2種の単量体(以下、「単量体(a)」、「単量体(b)」ともいう。)の共重合体からなることが好ましい。
単量体(a)の単独重合体の屈折率は1.55〜1.75であり、かつ単量体(b)の単独重合体の屈折率は1.35〜1.55未満であることが好ましい。
【0015】
単量体(a)としては、エチレン性不飽和基に芳香族炭化水素が結合したエチレン性不飽和芳香族化合物が好ましく、ビニル基に芳香族炭化水素が結合したビニル芳香族化合物がより好ましく、置換または無置換のスチレン類が特に好ましく、スチレンが最も好ましい。
置換または無置換のスチレン類としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が例示できる。
【0016】
単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、メタクリル酸エステル類がより好ましく、メタクリル酸の低級アルコール(炭素数1〜4)エステル類がより好ましく、メタクリル酸メチル(MMA)が最も好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」等は「メタクリル酸エステル」又は「アクリル酸エステル」を表し、以下同様とする。
【0017】
単量体(a)及び単量体(b)の組合わせとしては、単量体(a)が置換または無置換のスチレン類であり、単量体(b)がメタクリル酸の低級アルコール(炭素数1〜4)エステル類であることが好ましく、スチレン及びメタクリル酸メチルの組み合わせがより好ましい。
【0018】
以下に、本発明に使用できる有機共重合体粒子の共重合体組成を例示するが、本発明はこれらに限定されない。
共重合体A:スチレン/メタクリル酸メチル(モル比75/25)共重合体
共重合体B:スチレン/メタクリル酸メチル(モル比50/50)共重合体
共重合体C:スチレン/メタクリル酸ブチル(モル比50/50)共重合体
共重合体D:α−メチルスチレン/メタクリル酸メチル(モル比50/50)共重合体
【0019】
粉末材料として使用する有機共重合体粒子の平均粒子径は、0.1〜1,000μmであり、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜300μm、特に好ましくは0.8〜50μmの範囲である。ここで平均粒子径とは体積平均粒径を意味し、例えば、ベックマン・コールター(株)製の精密粒度分布測定装置COULTER MULTISIZERによって測定することができる。
【0020】
粉末材料の形状としては、無定型、球形、平板状、針状、多孔質状等どのようなものでも使用可能であり、球状であることが好ましい。
【0021】
有機共重合体の屈折率n1の範囲は、1.4〜1.7であることが好ましい。
粉末材料としての有機共重合体粒子を結合する結合剤の屈折率をn2とする。エチレン性不飽和化合物を結合剤として使用する場合には、この化合物が重合してできる結合剤の屈折率をn2とする。(n1−n2)は、その絶対値が小さいほど得られる造形物の透明性が高くなる。屈折率の差の絶対値が0.1以下で透明感が高くなり、0.06以下で透明に近い三次元造形物が得られる。ここで、「透明に近い」とは、光路1cmあたり透過率が50%以上のことをいう。
【0022】
<(B)結合剤>
本発明に用いる(B)結合剤は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含有し、前記結合剤の50重量%以上が単官能エチレン性不飽和化合物である。
【0023】
(エチレン性不飽和化合物)
本発明に用いることができるエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物であれば特に限定されないが、単官能アクリレート類、単官能メタクリレート類、単官能ビニルオキシ化合物、単官能N−ビニル化合物、単官能アクリルアミド類及び単官能メタアクリルアミド類よりなる群から選択された単官能重合性化合物であることが好ましい。単官能アクリレート類、単官能メタクリレート類、単官能ビニルオキシ化合物、単官能N−ビニル化合物、単官能アクリルアミド類及び単官能メタアクリルアミド類としては、ポリマーハンドブックに記載の化合物であれば特に限定されない。
【0024】
本発明においては、単官能エチレン性不飽和化合物として、環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物を用いることが好ましい。環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物としては、式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0025】
【化3】

【0026】
式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
1は、式(1)に示すエチレン性不飽和二重結合に(−C(O)O−)又は(−C(O)NH−)が結合した第1の二価の連結基を示し、この第1の二価の連結基に単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)−)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、第1の二価の連結基のみ又は第2の二価の連結基を有する場合はエーテル結合、エステル結合及び炭素数20以下のアルキレン基を有するものが好ましい。
【0027】
2は少なくとも1つの環状構造を有する基であり、単環芳香族基及び多環芳香族基を含む芳香族基、並びに、シクロアルカン骨格、アダマンタン骨格及びノルボルナン骨格を含む脂環式炭化水素基を表す。上記の芳香族基及び脂環炭化水素基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0028】
式(1)中、R2で表される芳香族基として好ましいものは、単環芳香族であるフェニル基のほか、2〜4つの環を有する多環芳香族基であり限定されるものではないが、具体的には、ナフチル基、アントリル基、1H−インデニル基、9H−フルオレニル基、1H−フェナレニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、テトラフェニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、アセナフチレニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、クリセニル基、プレイアデニル基等が好ましく挙げられる。
【0029】
これらの芳香族基は、O、N、S等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基であってもよい。具体的には、フリル基、チエニル基、1H−ピロリル基、2H−ピロリル基、1H−ピラゾリル基、1H−イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、2H−ピラニル基、2H−チオピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基等の単環芳香族複素環基が挙げられる。
【0030】
また、チアントレニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、イソクロメニル基、4H−クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、ピロリジニル基(pyrrolizinyl基)、等の多環芳香族複素環基が挙げられる。
【0031】
上記の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば無水フタル酸や無水フタルイミドのように芳香族基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。
【0032】
また、式(1)のR2は脂環式炭化水素基でもよい。また、O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基でもよい。
脂環式炭化水素基は、炭素数3〜12のシクロアルカン類を有する基でもよい。
上記O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基としては、具体的には、ピロリジニル(pyrrolidinyl)基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルフォリニル基、チオモルフォリニル基などが例示できる。
これらの脂環式炭化水素基及びヘテロ単環を有する脂環式炭化水素基は、1つ以上の置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基が例示できる。また、二価の置換基としてオキシ基(=O)を有していてもよく、脂環式炭化水素基の2以上の置換基で、O、N、S等のヘテロ原子を含む複素環構造を形成していてもよい。
【0033】
また、式(1)のR2は、下記式(I)に示すアダマンタン骨格を有する基又は式(II)に示すノルボルナン骨格を有する脂環式炭化水素基でもよい。
【0034】
【化4】

【0035】
式(I)又は式(II)におけるR3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、q個存在するR3、及び、r個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
【0036】
q個存在するR3、及び、r個存在するR4は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
【0037】
3の置換数qは0〜5の整数を表し、また、R4の置換数rは0〜5の整数を表す。
また、式(I)におけるアダマンタン骨格中の一炭素原子をカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよく、式(II)におけるノルボルナン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
式(II)に示すノルボルナン骨格は式(III)に示すような環状炭化水素構造を有していてもよい。式(III)におけるnは、環状炭化水素構造を表し、その両端はノルボルナン骨格の任意の位置で置換していてもよく、単環構造であっても、多環構造であってもよく、また、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外に、カルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。
【0038】
【化5】

【0039】
前記式(III)で表される環状構造としては、式(IV)、式(V)又は式(VI)で表される構造であることが好ましい。
【0040】
【化6】

【0041】
式(IV)、式(V)及び式(VI)中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換基を表し、s、t及びuはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR5、t個存在するR6、及び、u個存在するR7はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(1)のX1は、式(IV)、式(V)又は式(VI)における下記に示す各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。
式(IV)、式(V)又は式(VI)におけるR5、R6及びR7はそれぞれ独立に置換基を表し、式(IV)、式(V)又は式(VI)における下記各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。R5、R6及びR7における置換基は、式(I)〜式(III)のR3及びR4における置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0042】
【化7】

【0043】
環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピリジニル基、テトラヒドロフルフリル基、ピペリジニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基等の環状構造を有する基を有する化合物が好ましく挙げられる。
【0044】
本発明に用いることができる環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物として、好ましくは、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロデシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、2−ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変成クレゾール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−フタルイミドエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−2−フェニル)エチル(メタ)アクリルアミド、N−ジフェニルメチル(メタ)アクリルアミド、N−フタルイミドメチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1’−ジメチル−3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル))プロピル(メタ)アクリルアミド、5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサシクロヘキサン、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートフェニルエステル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート等を例示できる。
【0045】
さらに、本発明に用いることができる環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物の好ましい具体例を以下のM−1〜M−55に示す。なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
【0046】
【化8】

【0047】
【化9】

【0048】
【化10】

【0049】
【化11】

【0050】
【化12】

【0051】
本発明においては、(M−4)、(M−5)、(M−10)、(M−12)、(M−15)、(M−18)、(M−31)を好ましく用いることができる。
【0052】
本発明において、環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物として、N−ビニル基を有し、環状構造を有する基を有する化合物を使用することが好ましい。中でもN−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルラクタム類を使用することがより好ましく、N−ビニルラクタム類を使用することがさらに好ましい。
本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
【化13】

【0054】
式(2)中、mは1〜5の整数を表し、原材料の入手性の観点から、mは2〜4の整数であることが好ましく、mが2又は4であることがより好ましく、mが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。
N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、良好な三次元造形物強度が得られるので好ましい。
【0055】
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していてもよい。上記N−ビニルラクタム類は結合剤中に1種のみ含有されていてもよく複数種含有されていてもよい。
【0056】
前記単官能エチレン性不飽和化合物として、非環状単官能エチレン性不飽和化合物を好ましく用いることができる。
非環状単官能エチレン性不飽和化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリテトラエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0057】
また、これらの他にも、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体並びにアリルグリシジルエーテル等のアリル化合物の誘導体が例示できる。
【0058】
さらに、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性可撓性(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0059】
本発明に用いることができるエチレン性不飽和化合物は、分子内に含まれるエチレン性不飽和結合1個あたりの分子量が大きいものが好ましい。具体的にはエチレン性不飽和結合1個あたりの分子量が100以上であることが好ましく、100〜500であることがより好ましく、100〜300であることがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、体積収縮を抑制でき、硬化性に優れる。
【0060】
結合剤中に含まれる単官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、50重量%以上であり、50〜90重量%であることが好ましく、60〜90重量%がより好ましく、70〜90重量%がさらに好ましく、75〜90重量%が特に好ましい。単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が50重量%未満であると、硬化収縮により三次元造形物の寸法精度が低下する。
【0061】
結合剤中に含まれる環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、25重量%以上が好ましく、25〜90重量%がより好ましく、50〜90重量%がさらに好ましい。上記の数値の範囲の含有量であると、体積収縮を抑制しつつ、造形物強度に優れる造形物が得られる。
【0062】
本発明において、結合剤は、単官能N−ビニル化合物を、結合剤全体の5〜40重量%含有することが好ましく、より好ましくは10〜35重量%である。上記範囲において他の重合性化合物との良好な重合性を示し、体積収縮を抑制しつつ、造形物強度に優れる三次元造形物が得られる。
【0063】
前記単官能エチレン性不飽和化合物以外に、多官能エチレン性不飽和化合物を併せて使用することが好ましい。多官能エチレン性不飽和化合物を含有することで、硬化性に優れた結合剤が得られる。
【0064】
多官能エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下「PO」ともいう)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物等が挙げられ、中でもプロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0065】
結合剤に対する多官能エチレン性不飽和化合物の含有量は40重量%未満であることが好ましく、1〜35重量%であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、硬化性に優れた結合剤が得られるため好ましい。
【0066】
(光重合開始剤)
本発明において、結合剤は光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を使用することができる。本発明において、ラジカル光重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明に使用する光重合開始剤は、活性放射線による外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。使用する波長は特に限定されないが、好ましくは200〜500nmの波長領域であり、より好ましくは200〜450nmの波長領域である。
【0067】
本発明で好ましく使用できる光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0068】
光重合開始剤としては、透明性の観点から、光重合開始剤を3g/cm2の厚みで製膜した際に、400nmの波長の吸光度が0.3以下の化合物であることが好ましく、0.2以下の化合物であることがより好ましく、0.1以下の化合物であることがさらに好ましい。
上記の中でも、好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物が挙げられる。
本発明における光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
光重合開始剤の含有量は、結合剤の総量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、5〜15重量%であることがさらに好ましい。
また、光重合開始剤は、後述する増感剤を用いる場合、増感剤に対して、光重合開始剤:増感剤の重量比で、200:1〜1:200であることが好ましく、50:1〜1:50であることがより好ましく、20:1〜1:5であることがさらに好ましい。
【0070】
(増感剤)
本発明において、光重合開始剤の活性放射線の照射による分解を促進するために増感剤を結合剤に添加してもよい。
増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより光重合開始剤の化学変化、すなわち、分解、ラジカル、酸又は塩基の生成を促進するものである。また、本発明に用いることのできる増感剤は、着色等の影響が小さい化合物又は量を使用することが好ましい。
本発明における増感剤の含有量は、結合剤の全重量に対して、0.001〜5重量%であることが好ましく、0.01〜3重量%であることがより好ましい。この添加量であると、硬化性が向上し、着色の影響が少ない。
【0071】
増感剤は、使用する光重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350〜450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン)等が挙げられる。
【0072】
より好ましい増感剤の例としては、下記式(II)〜(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0073】
【化14】

【0074】
式(II)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0075】
【化15】

【0076】
式(III)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは式(II)に示したものと同義である。
【0077】
【化16】

【0078】
式(IV)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
【0079】
【化17】

【0080】
式(V)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
【0081】
【化18】

【0082】
式(VI)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又はNR67を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及び、R65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
【0083】
式(II)〜(VI)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。なお、下記具体例におけるPhは、フェニル基を表し、Meはメチル基を表す。
【0084】
【化19】

【0085】
【化20】

【0086】
(共増感剤)
本発明において、結合剤は共増感剤を含有することもできる。
本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、又は、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられる。
具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が例示できる。
【0087】
共増感剤の別の例としてはチオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特表昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報記載のジスルフィド化合物等が挙げられる。
具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が例示できる。
【0088】
また別の例としては、アミノ酸化合物(例えば、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例えば、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例えば、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(例えば、ジエチルホスファイト等)、特開平8−54735号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
【0089】
(界面活性剤)
本発明において、結合剤は界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号公報、同62−183457号公報の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、前記界面活性剤として有機フルオロ化合物やポリシロキサン化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号公報(第8〜17欄)、特開昭62−135826号公報の各公報に記載されたものが挙げられる。これらの中でも、界面活性剤としては、ポリジメチルシロキサンが好ましく例示できる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0090】
(その他の成分)
本発明において、結合剤には、必要に応じて、その他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤、無機粒子、有機粒子等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。重合禁止剤は、結合剤全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
アエロジル(デグサ社製二酸化ケイ素粒子)のような無機粒子や、架橋したポリメチルメタクリレート(PMMA)のような有機粒子を結合剤に添加して、意図的に表面光沢を下げた三次元造形物を形成することができる。
【0091】
結合剤が放射線硬化性であることに鑑み、吐出後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、結合剤は溶剤を含まないことが好ましい。しかし、結合剤の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。
本発明において、溶剤としては、有機溶剤が使用でき、硬化速度の観点から水は実質的に添加しないことが好ましい。
有機溶剤を使用する場合も、その量は少ないほど好ましく、結合剤全体の重量に対し、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%であることがより好ましい。
【0092】
この他に、必要に応じて公知の化合物を結合剤に添加することができる。
例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。
【0093】
(着色剤)
本発明の製造方法において使用できる着色剤は染料と顔料に大別され、染料を好ましく使用することができる。
【0094】
(染料)
染料としては、減色法の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の染料を使用することにより広い範囲の色相を異なる彩度で再現することができる。以下に詳しく述べる。
【0095】
イエロー染料としては、米国特許3,933,501号明細書、同4,022,620号明細書、同4,326,024号明細書、同4,401,752号明細書、同4,248,961号明細書、特公昭58−10739号公報、英国特許1,425,020号明細書、同1,476,760号明細書、米国特許3,973,968号明細書、同4,314,023号明細書、同4,511,649号明細書、欧州特許249,473A号明細書、同502,424A号明細書の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号明細書の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号明細書のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号明細書のカラム1の45〜55行の式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号公報の段落0008の式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号明細書の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号明細書の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号明細書のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))から得られるケトイミン型染料が挙げられる。好ましくは、特開2001−294773号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−26974号公報、特開2003−73598号公報に記載の染料が挙げられ、中でも特開2003−73598号公報に記載の式(Y−II)で表されるピラゾール化合物がより好ましく用いられ、以下に示すY−1が例示できる。
【0096】
【化21】

【0097】
マゼンタ染料としては、特開2001−181549号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−12981号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。中でも特開2002−121414号公報に記載の式(III)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましく用いられ、以下に示すM−1が例示できる。
【0098】
【化22】

【0099】
シアン染料としては、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−3109号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。
特開2002−121414号公報に記載の式(IV−1a)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物並びに式(C−II−1)及び(C−II−2)で表されるフタロシアニン化合物が好ましく用いられ、以下に示すC−1及びC−101が例示できる。
【0100】
【化23】

【0101】
【化24】

【0102】
必要に応じて、CMY3原色に黒(ブラック)染料を併用してもよい。黒染料はCMY3染料を混合して作ることができる。
【0103】
上記以外の染料としては、印刷の技術分野(例えば印刷インキ、感熱インクジェット記録、静電写真記録等のコピー用色材又は色校正版など)で一般に用いられるものを使用することができる。
例えば、有機合成化学協会編「染料便覧」丸善(株)(1970年刊)、安部田貞治、今田邦彦「解説 染料化学」(株)色染社(1988年刊)、大河原信編「色素ハンドブック」(株)講談社(1986年刊)、「インクジェットプリンタ用ケミカルス−材料の開発動向・展望調査−」(株)シーエムシー出版(1997年刊)、甘利武司「インクジェットプリンタ−技術と材料」等に記載の染料類が挙げられる。
【0104】
(顔料)
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いる事ができる。
【0105】
三次元造形物の外表面に彩色するためには、断面形状の輪郭に上記のCMY染料を含む結合剤による着色画像を形成し、この着色画像の直下に白色反射層を設けることが好ましい。白色反射層は、例えばカラープリントにおける下地に相当する役割を有し、白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)を着画像のすぐ内側に使用することが好ましい。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
【0106】
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく、化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、粉末材料や結合剤成分の種類に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0107】
本発明においてCMY染料に替えてCMY顔料を使用することもできる。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0108】
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0109】
シアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0110】
必要に応じてCMY3原色に黒(ブラック)顔料を併用してもよい。黒顔料はCMY3原色を混合して作ることもできるが、カーボンブラック、チタンブラック等が好ましく用いられる。
【0111】
(結合剤の性質)
本発明において、結合剤はインクジェットで吐出することが好ましい。このような使用態様における好ましい物性について説明する。
本発明において、結合剤をインクジェットで吐出する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(好ましくは20〜80℃、より好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、結合剤の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35〜200mPa・sである。
また、本発明において、結合剤の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、より好ましくは23〜28mN/mである。
【0112】
II.三次元造形物の製造方法及び三次元造形物
本発明の三次元造形物の製造方法は、支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる結合工程を順次繰り返すことを含み、前記粉末材料及び前記結合剤として本発明の三次元造形用材料を用いることを特徴とする。
前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出することが好ましい。
以下、本発明の三次元造形物の製造方法を図面を参照しながら説明する。
【0113】
本発明の三次元造形物の製造方法は、上記に記載した粉末材料と結合液との組合せで使用することに特徴があるが、以下はこの製造方法を構成する工程(ステップ)を中心に説明する。
【0114】
図1は、本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について主要な工程を示す模式図である。
本発明の製造方法においては、粉末材料の薄層1が三次元造形部3に設けられた支持体(造形ステージ)4の上に形成される。支持体4は、垂直方向移動部5により支持されており、周囲を枠6により取り囲まれている。粉末供給部から支持体4上に供給された余分の粉末材料上を、Y方向(紙面と垂直な方向)に長く伸びたブレード7がX方向(紙面上左から右方向)に移動することにより薄層1が形成される。このように形成された薄層1の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッド8から、断面形状データにしたがって、結合剤が粉末材料の薄層1上に供給され、結合剤付与領域2を形成する。この結合剤付与領域2は、乾燥手段により水分を蒸発させて硬化させることにより、粉末材料をその結合剤付与領域2において薄層全体の厚さにわたり結合して断面形状を形成し、かつそのすぐ下の断面形状とも結合する。なお、乾燥手段としては、三次元造形部全体を不図示のフードで覆い、温風器により、このフード内の温度調節を行っている。
引き続いて、垂直方向移動部5を1スライスピッチだけ下方に移動させ、新たな粉末材料層を形成する。
新たに形成された薄層の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッドから、隣接する次の断面形状データにしたがって、結合剤が供給され、新たな結合剤付与領域が形成される。この領域を乾燥手段により乾燥させて硬化させることにより粉末材料を結合する。
粉末材料の薄層1の形成、結合剤の供給及び乾燥硬化を必要な回数順次繰り返した後、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離することにより、三次元造形物10を得ることができる。
図2は、上記のような三次元造形物の製造において隣接する各層に形成された断面形状を模式的に示す斜視図である。
【0115】
本発明の三次元造形物の製造方法における好ましい一実施態様について、以下に説明する。以下の5ステップは、(粉末)層形成工程及び着色断面形状形成工程に先立って、3次元形状色彩データ作成工程及び断面毎の着色断面形状データ作成工程を実施するものである。
【0116】
第1ステップでは、コンピュータに、表面に着色模様等が施された三次元造形対象物を表現したモデルデータを作成させる。造形するための基になるモデルデータには、一般の3D−CADモデリングソフトウェアで作成されるカラー三次元モデルデータを使用することができる。また、三次元形状入力装置で計測された三次元着色形状のデータ及びテクスチャを利用することも可能である。
【0117】
第2ステップでは、コンピュータが上記のモデルデータから造形対象物を水平方向にスライスした各断面ごとの断面データを作成する。モデルデータから積層する粉末の一層分の厚みに相当するピッチ(層厚t)でスライスされた断面体を切り出し、断面の存在する領域を示す形状データ及び彩色データを断面データとして作成する。なお、本発明において、「形状データ」及び「彩色データ」を併せて「着色(断面)形状データ」ともいう。
続いて、造形対象物を造形する際における粉末層の厚さ(断面データ作成の際のスライスピッチ)及び積層数(着色形状データのセット数)に関する情報が、コンピュータからパターン作成装置の駆動制御部に入力される。
【0118】
第3ステップでは、造形ステージにおいて三次元造形物を製造する材料となる粉末材料の供給を行う。粉末材料のカウンター回転機構を用いて、粉末材料を均一な厚さを有する層状に敷き詰め、所定量の粉末を供給完了した後、粉末材料の供給を停止する。
なお、本発明において、「層形成工程及び断面形状形成工程を順次繰り返す」とは、(1)新たな層形成工程を完了した後にその新たな層全面に対して断面形状を形成する工程を実施する以外に、(2)新たな層形成工程を実施しながら、その新たな層の形成が完結する前に、新たに形成された層の領域に対して断面形状を形成することを含むものである。後者の例は、特開2002−307562号公報に例示されている。
【0119】
第4ステップでは、駆動制御部の制御の下に、切断面の着色形状データに基づき着色した断面形状を形成する工程である。この工程は非接触の方式を採用することが好ましい。代表例としてインクジェット方式を例にとり以下説明する。
第2ステップで作成された形状データ及び彩色データに基づき、格子状に細分化したCMY各色のビットマップ情報に変換して、インクジェットヘッドをXY平面内に移動させる。そして、移動中に彩色データに基づいて各インクジェット吐出ノズルから紫外線(UV)硬化性結合剤の吐出を適宜に行わせる。結合剤としては、少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用することが好ましい。
【0120】
結合剤を使用する場合、滲み出し防止液として、この化合物と相溶性のない、水、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ジエチルエーテル、プロピルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、炭素数が14までの炭化水素を、単独又は混合物して使用することができる。
【0121】
着色された結合剤としては、減色法の3原色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の組み合わせとすることが好ましい。本発明において、イエローに着色された結合剤を「イエロー結合剤」、マゼンタに着色された結合剤を「マゼンタ結合剤」、シアンに着色された結合剤を「シアン結合剤」という。M染料及びC染料は濃淡2種類に着色した結合剤としてもよい。無色の結合剤は、CMYの色濃度を調節するために使用することができる。また、チタンホワイト等の白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)や黒(ブラック)染料で着色した結合剤(ブラック結合剤)を併用して所望の効果を発現させることができる。
着色した結合剤、無色の結合剤及び白色結合剤の吐出総量は単位面積あたり、例えば1格子点当たり、又は隣接4格子点当たり、一定となるようにすることが好ましい。
なお、着色した断面形状の別の形成工程例として、形状データに基づき無色のUV硬化性結合剤のみを粉末材料に吐出して紫外線照射により硬化した後に、その層の彩色データに基づき、結合剤を含まない通常のCMYインクジェットを結合した粉末材料層上に吐出する2段階の工程とすることもできる。
【0122】
紫外線硬化性結合剤の吐出と同時又は吐出後にUV露光装置により吐出した結合剤の表面にUV露光をおこなうことにより、粉末材料の接合体が生成される。
UV照射の雰囲気を窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気にするとラジカル重合性の重合性化合物の酸素による遅延効果を低減できる。
【0123】
ここで使用するインクジェット方式とは、主としてオンデマンドインクジェット方式を指し、ピエゾオンデマンドインクジェット方式、サーマルオンデマンドインクジェット方式、静電オンデマンドインクジェット方式等が挙げられ、好ましくは、UV硬化性結合剤の安定性から、ピエゾオンデマンドインクジェット方式、静電オンデマンドインクジェット方式が挙げられる。
さらに、第3ステップ及び第4ステップを繰り返しおこなうことで、目的の三次元造形物が得られる。
なお、結合剤が塗布されない粉末材料の領域では粉末が個々に独立した状態を保持している。
【0124】
第5ステップでは、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離して、結合剤により結合された粉末材料の結合体(三次元造形物)を取り出す。なお、結合されなかった粉末材料は回収して、再度材料として利用することが可能である。
第3ステップ〜第4ステップを順次繰り返すことにより、造形対象物を複数の面で切断した切断面に対応する粉末材料の着色した結合体を順次積層形成して三次元造形物を製造することができる。
【0125】
得られた三次元造形物に対して掃除、熱処理、樹脂又はワックス浸透、研磨などの後処理工程を行ってもよい。掃除は、上記三次元造形物をブローすることによって、及びブラシ掛けをして隙間に残されたあらゆる粉を取り除くことによって行われ、余分な粉末材料が取り除かれる。熱処理は、上記三次元造形物の強度及び耐久性を増加させる。ワックス浸透は間隙率を低下させ、上記三次元造形物を耐水性にし、より研磨仕上をしやすくすることができる。研磨仕上は表面平滑性を改良する。
なお、本実施例では、着色模様等が施された三次元造形対象物を例にして説明したが、本発明において、三次元造形対象物はこれに限定されるものではない。すなわち、彩色データを有していない断面形状データに基づいて、単色あるいは無色の三次元造形物を製造することもできることはいうまでもない。
【0126】
(UV露光)
UV硬化性結合剤を硬化させるためのUV露光に関しては、一般に用いられる高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、DeepUVランプ、ハロゲンランプ等が使用可能であり、露光波長は450〜250nm、好ましくは、400〜300nmとすることができる。露光エネルギーは500mJ/cm2以下が好ましく、10〜400mJ/cm2がより好ましい。UV光源からUV透過性の光ファイバーを用いて粉末材料面にUV光を導くことができる。
【0127】
次に本発明に好適な三次元造形物の製造装置について説明する。
本発明の製造装置は、紫外線硬化性化合物を含む結合剤を小滴として支持体の上に形成される粉末材料層に吐出するインクジェットヘッド及び粉末材料層に吐出された結合剤に光を照射する光源を備える。
【0128】
本発明の製造装置には光源として、各インクジェットヘッドから吐出される結合剤の光硬化感度に合った波長光を発する光源が配置されている。
インクジェットヘッドから吐出された結合剤の小滴は粉末材料層に着弾し、光源からの光照射によって完全に硬化する。
【実施例】
【0129】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。
【0130】
〔結合剤製造例1〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤1を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 10重量%
・N−ビニルカプロラクタム(アルドリッチ社製) 25重量%
・前記化合物(M−10) 50重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0131】

【0132】

【0133】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤1と同様にして結合剤2及び3を得た。
【0134】
〔結合剤製造例2〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤4を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 10重量%
・前記化合物(M−1) 25重量%
・前記化合物(M−10) 50重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0135】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤4と同様にして結合剤5及び6を得た。
【0136】
〔結合剤製造例3〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤7を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 10重量%
・N−ビニルカプロラクタム(アルドリッチ社製) 25重量%
・前記化合物(M−10) 25重量%
・アクリル酸ヘキシル 25重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0137】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤7と同様にして結合剤8及び9を得た。
【0138】
〔結合剤製造例4〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤10を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 10重量%
・前記化合物(M−1) 25重量%
・前記化合物(M−10) 25重量%
・アクリル酸ヘキシル 25重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0139】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤10と同様にして結合剤11及び12を得た。
【0140】
〔結合剤製造例5〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤13を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 35重量%
・N−ビニルカプロラクタム(アルドリッチ社製) 25重量%
・前記化合物(M−10) 25重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0141】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤13と同様にして結合剤14及び15を得た。
【0142】
〔結合剤製造例6〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤16を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 35重量%
・前記化合物(M−1) 25重量%
・前記化合物(M−10) 25重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0143】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤16と同様にして結合剤17及び18を得た。
【0144】
〔結合剤製造例7〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤19を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 35重量%
・N−ビニルカプロラクタム(アルドリッチ社製) 25重量%
・前記化合物(M−10) 25重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0145】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤19と同様にして結合剤20及び21を得た。
【0146】
〔結合剤製造例8〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤22を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 35重量%
・前記化合物(M−10) 25重量%
・アクリル酸ヘキシル 25重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0147】
前記化合物(M−10)を表1に記載の化合物に変更した以外は、結合剤22と同様にして結合剤23及び24を得た。
【0148】
〔結合剤製造例9〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、結合剤25を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 35重量%
・アクリル酸ヘキシル 50重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0149】
〔比較例結合剤製造例1〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、比較例結合剤1を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 15重量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート 25重量%
・アクリル酸ヘキシル 45重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0150】
〔比較例結合剤製造例2〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、比較例結合剤2を得た。
・DPCA−60 10重量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート 30重量%
・アクリル酸ヘキシル 45重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0151】
〔比較例結合剤製造例3〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、比較例結合剤3を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬(株)製) 15重量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート 25重量%
・アクリル酸ドデシル 45重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0152】
〔比較例結合剤製造例4〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、比較例結合剤4を得た。
・1−メトキシ−2−プロパノール(東京化成工業(株)製) 20重量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート 20重量%
・アクリル酸ドデシル 45重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0153】
〔比較例結合剤製造例5〕
以下の成分を撹拌機により撹拌し、比較例結合剤5を得た。
・テトラエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業(株)製) 20重量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート 20重量%
・アクリル酸ドデシル 45重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2重量%
・染料(Y−1) 2重量%
【0154】
〔粉末材料〕
粉末材料としては、ポリメチルメタクリレート粒子(ハイパールM−4003 根上工業(株)製)を用いた。
【0155】
<評価法>
(三次元造形物モデル作製)
粉末材料を約100μmの厚さになるようロッドで1層分の粉末材料層を敷設した後、データにもとづいて吐出ノズルから結合剤の吐出を適宜に行わせた。
該UV硬化性結合剤をインクとしたインクジェット方式により、600dpiの解像度(約42μmのドット間隔)で、各ドットが連続した線になるように液滴を吐出した。次いで、約100μmの厚さになるよう粉末材料層を形成して、結合剤を供給することを繰り返すことにより三次元造形物を作製、評価した。
結合剤及び粉末材料として、下記の表1に示す結合剤及び粉末材料を用いて、直径10cm、厚さ2mmのプレートを作製した。
作製した三次元造形物モデルに対して、以下の評価を行った。
【0156】
(造形精度)
三次元造形物の長さを測定し、設計寸法に対する精度により以下のランクに分けた。
◎:寸法誤差0.10%未満
○:寸法誤差1.0%未満
×:寸法誤差1.0%以上
なお、寸法精度1.0%未満が許容範囲である。
【0157】
(強度評価)
作製した直径10cm、厚さ2mmのプレートを、直径9cm(外径9cm、内径7cm)、厚さ1cmのドーナツ状の台に置き、プレートの上から1kgの重りを載せて、プレートが割れるまでの時間を評価した。本評価は時間が長いほど、強度が高いことを示す。
【0158】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について各工程を示す模式図である。
【図2】図1に示した三次元造形物の製造において形成されるいくつかの層の断面形状を模式的に示す斜視図である。
【図3】格子状に細分化された断面データの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0160】
1:薄層
2:結合剤付与領域
3:三次元造形部
4:支持体(造形ステージ)
5:垂直方向移動部
6:枠
7:ブレード
8:インクジェットヘッド
10:三次元造形物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)粉末材料、及び、
(B)前記(A)粉末材料を結合する結合剤を含み、
前記結合剤の50重量%以上が単官能エチレン性不飽和化合物であることを特徴とする
三次元造形用材料。
【請求項2】
前記単官能エチレン性不飽和化合物が、単官能アクリレート類、単官能メタクリレート類、単官能ビニルオキシ化合物、単官能N−ビニル化合物、単官能アクリルアミド類及び単官能メタアクリルアミド類よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の三次元造形用材料。
【請求項3】
前記結合剤が、環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物を25重量%以上含む請求項1又は2に記載の三次元造形用材料。
【請求項4】
前記環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物が式(1)又は式(2)で表される化合物である請求項3に記載の三次元造形用材料。

式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を表し、X1は式(1)に示すエチレン性不飽和二重結合に(−C(O)O−)又は(−C(O)NH−)が結合した第1の二価の連結基を示し、この第1の二価の連結基に単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)−)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、R2は少なくとも1つの環状構造を有する基を表す。

式(2)中、mは1〜5の整数を表す。
【請求項5】
支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、
造形対象物を平行な断面で切断した断面形状になるように前記層における粉末材料を結合剤により結合させる結合工程を順次繰り返すことを含み、
前記粉末材料及び前記結合剤として請求項1〜4いずれか1つに記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする
三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出する請求項5に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−275100(P2009−275100A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126963(P2008−126963)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】