説明

三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置

【課題】進相コンデンサの接続を高速にできる、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置を提供する。
【解決手段】三相交流の2つの位相ラインにはスイッチ回路10、11が設けられ、スイッチ回路の各々は、逆並列接続された一対のサイリスタSCR1、SCR2を備え、制御装置は、サイリスタの両端の電圧を検出する手段20と、検出した電圧がゼロレベルより高い、所定値以下になったことを判定する手段21と、所定値以下の電圧が下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する手段22と、上昇点においてトリガ信号を生成して、コントローラからオン信号が送られているとき、サイリスタのゲートにトリガ信号を送るトリガ信号生成手段23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置に関し、特に、三相交流発電機の力率の改善に適した進相コンデンサを高速で接続する、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三相交流発電機において、無効電力に伴なう力率の低下は改善されねばならない。従来から、さまざまな発電機用無効電力補償が提案されている。三相交流発電機の負荷機器の代表的なものとして、三相交流電動機があるが、その無効電力の減少又は相殺のため、三相交流ラインに進相コンデンサを設けて無効電力補償することが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−109649号公報
【特許文献2】特開2006−311686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無効電力補償は、三相交流電動機等の負荷機器へ流れる三相交流ラインの各ラインの電圧と周波数を基に各進相コンデンサの実容量を判断して、負荷機器に通電する電流の位相を制御して、進相コンデンサの容量変化に伴なう力率を改善する。
【0005】
特許文献2に記載の無効電力補償は、誘導電動機による無効電力の量に応じて進相コンデンサの容量が適正になるようにオン・オフして、力率を改善する。
【0006】
特許文献1の無効電力補償も特許文献2の無効電力補償も力率の改善には寄与する。しかし、適正な容量の進相コンデンサを各三相交流ラインへ接続するのに時間的な遅れがあれば、その遅れに伴なって力率改善の効果が遅れる。特許文献1及び特許文献2に記載の装置はいずれも、かかる進相コンデンサの高速の接続には対処していない。
【0007】
一般的に、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置は、三相交流のそれぞれの位相ラインに配置される進相コンデンサと、位相ラインの各々と各進相コンデンサとの間に、接続又は遮断のために設けられたスイッチ回路と、スイッチ回路のそれぞれにオン信号を送るコントローラとを有する。スイッチ回路の各々は、逆並列接続された一対のサイリスタを備えており、サイリスタの両端の電圧がゼロになるゼロ交差(いわゆるゼロクロス)によってオン・オフを行っている。
【0008】
サイリスタを遮断するとき、サイリスタ電流がゼロになるタイミングは三相の位相ラインにおいて位相のずれがあるために、位相ライン毎に異なる。したがっていずれかの位相ラインの電流がゼロになったときにその位相ライン上のサイリスタはオフとなり遮断される。このとき、オフになった位相ラインの電流は電圧より60度進んでいるので電圧のピーク値の86%の電圧が進相コンデンサに印加された状態となる。そして、位相が遅れた別の位相ラインにおいてはさらに電流が流れ続けることになる。従って、先にオフした位相ラインのコンデンサはさらに充電され電源電圧のピーク値を越える現象が生じる。コンデンサ電流は電圧より90度だけ位相が進んでいるため電源電圧の最大値に充電した時にオフになる。このコンデンサ接続において高調波を防止するため直列リアクトルを挿入していると、最初にオフとなった位相ラインの進相コンデンサは電源電圧よりもはるかに高い電圧に充電され、サイリスタの陰極-陽極間の電圧は短時間のうちにゼロレベル(すなわち0ボルト)になることがない。そのため一般のゼロクロス制御方式では、放電リアクトル等により進相コンデンサが電源電圧以下に放電するまで、スイッチ回路がオン状態とならず、次の迅速な接続動作を達成することができなかった。
【0009】
本発明の目的は、進相コンデンサの接続を高速にできる、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によれば、三相交流のそれぞれの位相ラインには進相コンデンサが配置されるようになっており、少なくとも2つの位相ラインには、該位相ラインの各々と前記進相コンデンサとの間に、接続又は遮断のためにスイッチ回路が設けられ、前記スイッチ回路のそれぞれに、該スイッチ回路を接続状態にするようにオン信号を送るコントローラを有する、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置であって、前記スイッチ回路の各々は、逆並列接続された一対のサイリスタを備え、更に、前記スイッチ回路の各々は、前記サイリスタの両端の電圧を検出する手段と、前記検出手段からの信号を受けて前記電圧が、ゼロレベルより高い、所定値以下になったことを判定し、更に、該電圧が前記所定値より下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する手段と、前記上昇点においてトリガ信号を生成して、前記コントローラから前記オン信号が送られているとき、前記サイリスタのゲートに前記トリガ信号を送るトリガ信号生成手段とを備え、前記サイリスタ両端の電圧がゼロ交差する前に前記サイリスタをオン動作させる、ことを特徴とするスイッチング制御装置が提供される。
【0011】
上記のように、サイリスタ両端の電圧がゼロ交差する前にサイリスタをオン動作させるので、進相コンデンサの接続を高速にできる。従って、力率の改善の効果が遅れることがなくなる。
【0012】
上記装置において、前記進相コンデンサは、前記三相交流のラインにデルタ接続されており、2つの位相ラインは、それぞれ、前記スイッチ回路を介して前記進相コンデンサの接続点に接続され、他の1つの位相ラインは、直接、前記進相コンデンサの接続点に接続されている。また、前記三相交流の位相ラインは、三相交流発電機の三相出力のそれぞれに接続されており、該三相交流発電機には、電動機等の負荷機器が接続されており、前記進相コンデンサは、前記発電機に接続された前記負荷機器に伴なう無効電力を相殺又は減少して力率を改善するのに用いられる。
前記コントローラのオン信号は、前記スイッチ回路を接続状態にする指示信号であり、該オン信号の出力の停止は、前記スイッチ回路を遮断状態にする指示信号である。前記コントローラのオン信号は、前記トリガ生成手段に入力されている。前記判定する手段は、前記検出手段からの信号を受けて前記電圧が、ゼロレベルより高い、所定値以下になったことを判定する電圧レベル判定手段と、前記所定値以下の電圧が前記所定値より下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する電圧上昇判定手段とから成る。前記電圧上昇判定手段は、誤りの防止のために、複数回、前記電圧の上昇を判定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る好ましい実施形態、並びに、本発明を理解する上での参考実施形態を説明する。図1において、三相交流発電機1には、電動機等の負荷機器2が接続されている。三相交流発電機の三相交流の位相ラインR、S、Tには、進相コンデンサ3、4及び5が、デルタ接続形態で接続されている。位相ラインR、S、Tと進相コンデンサ3、4、5の間には、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置6が設けられている。三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置6は、例えば、電動機等の負荷機器2の動作に伴なって三相交流の位相ラインR、S、Tに生ずる無効電力を、相殺又は減少する進相コンデンサ3,4、5を適切に接続したり、又はその接続の遮断を行う。
【0014】
三相交流進相コンデンサ容量スイッチング制御装置6は、2つの位相ラインR及びTにデルタ接続された進相コンデンサ3、4、5の接続点7及び9の間に、接続又は遮断のために設けられた、第1スイッチ回路10及び第2スイッチ11と、これらのスイッチ回路10及び11のそれぞれにオン信号を送るコントローラ12とを有する。更に、制御装置6は、発電機1の位相ラインR、S、Tに設けられた電力トランスPT及び電流トランスCTから電力及び電流を受けて、電力等の測定を行う電力測定部13を備え、この電力測定部13の出力がコントローラ12に入力されている。電力測定部13は、三相交流の位相ラインR、S、Tにおける電力、電流、電圧、周波数を測定する。図示のように、第1スイッチ回路10は、位相ラインRに設けられ、第1スイッチ回路10の出力が進相コンデンサの接続点7に接続される。第2スイッチ回路11は、位相ラインTに設けられ、第2スイッチ回路11の出力が進相コンデンサ接続点9に接続される。位相ラインSには、スイッチ回路は設けられずに、位相ラインSが接続点8に直接接続されている。
【0015】
進相コンデンサ3、4、5は、接続点7、8、9によってデルタ接続されている。接続点7及び9の入力側には、突流抑止や高調波防止のために、リアクトル(コイル)14及び15が、直列に設けられている。なお、接続点7と8の間に並列に設けられた抵抗16と接続点8と9の間に並列に設けられた抵抗17とは、進相コンデンサ3、4、5の放電用の抵抗であり、通常、進相コンデンサ3、4、5の収容ボックス(図示せず)に内蔵される。
【0016】
コントローラ12は、電力測定部13で測定された、皮相電力、無効電力、有効電力、電流、電圧、周波数等の測定後の、種々の信号を受ける。なお、本発明の制御に関係するのは、無効電力である。コントローラ12は、無効電力信号を受けた場合、デルタ接続された進相コンデンサ3、4、5を、位相ラインR、S、Tに有効に投入するように、第1スイッチ回路10及び第2スイッチ回路11にオン信号をライン18を介して入力する。このオン信号は、スイッチ回路を接続状態にする接続指令すなわち接続指示信号であり、該オン信号の出力の停止は、スイッチ回路を遮断状態にする切断指令すなわち切断指示信号である。
【0017】
第1スイッチ回路10及び第2スイッチ回路11は、それぞれ、同じ回路で構成されている。各スイッチ回路は、逆並列接続された一対のサイリスタSCR1及びSCR2を備えている。サイリスタSCR1及びSCR2は、陽極−陰極間に順方向電圧が印加された状態でゲートにトリガ信号(オン信号)が加わると、オンになり、陽極−陰極間の電圧がゼロレベルを交差して逆方向電圧が印加される時点でオフになる。位相ラインR−S間及びT−S間には三相交流電圧が印加されるので、逆方向に並列接続されたサイリスタSCR1及びSCR2は、ゲートにトリガ信号が入力されていれば、交互にオンになり、トリガ信号がオン状態にある限り、スイッチ回路10又は11が全体としてオン状態が持続して、位相ラインR及びSのそれぞれが、進相コンデンサ3〜5の切断点7及び9に接続される。
【0018】
ここで、一般のゼロ交差式の三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置における動作を、図1の装置を参考にし、図2及び図3の波形図を参照して説明する。電力測定部13で、無効電力を測定することから始まる。最初は、進相コンデンサ3〜5は投入されていないので、発電機1に接続された負荷機器2に伴なう無効電力を電力測定部13で測定する。負荷機器2が起動すると、無効電力が観測されて電力測定部13はコントローラ12に信号を送る。コントローラ12からは、それに見合った、進相コンデンサ3〜5の投入のためのオン信号が、第1スイッチ回路10及び第2スイッチ回路11に送られる。これによって、力率の改善のために、進相コンデンサ3〜5が三相交流の位相ラインR〜Tに接続されて無効電力を減少又は相殺するように作用しようとする。
【0019】
次に、接続された進相コンデンサ3〜5の接続の遮断を行う場合には、第1スイッチ回路10及び第2スイッチ回路11に、コントローラ12からオン信号の切断が行われ、それが切断指令となる。例えば、第1スイッチ回路図10の場合、図2(A)の波形図において、t0の時点で、サイリスタSCR1及びSCR2に、コントローラ12から切断指令(オン信号の停止)を出力すると、位相ラインRのR相電流がt1の時点で電流が0になり、まず位相ラインRに接続された第1スイッチ回路10のサイリスタSCR1及びSCR2がオフ(遮断)する。このとき、進相コンデンサ側のR−S間電圧は、電源側の電圧を超えていないが、位相ラインTに接続された第2スイッチ回路11のサイリスタSCR1及びSCR2は、まだオン(接続)状態にあるため、進相コンデンサ側電圧は電源側電圧を超えて上昇する。この上昇は、図2(A)及び(B)の波形図において、t2の時点で、位相ラインTに接続されたサイリスタSCR1、SCR2がオフにされるまで継続し、t2の時点では、電源側の電圧を超えてしまうことになる。
【0020】
位相ラインR側が先に切断されているので、位相ラインTの側は、単相接続の電流波形となり、進相コンデンサ側のR−S間電圧は、電源側のR−S間電圧のピーク値に充電された状態で変動が終了する。第1スイッチ回路10及び第2スイッチ回路11のすべてがオフになると、それぞれの進相コンデンサ3〜5は内蔵の放電抵抗16、17により放電するが、放電抵抗16、17と進相コンデンサ3〜5との時定数は1分程度なので、進相コンデンサ側のR−S間電圧は、すぐには電源側の電圧より低くなることはない。図3の(A)〜(C)を参照すると、電源側のR−S間電圧(図3(A))、進相コンデンサ側のR−S間電圧(図3(B))、及びサイリスタSCR1及びSCR2の陽極−陰極間電圧(=電源側のR−S間電圧の−進相コンデンサ側のR−S間電圧:(図3(C))が示されている。図3(C)に示されるように、進相コンデンサ側のR−S間電圧は、すぐには電源側の電圧より低くなることはないので、次回、コントローラ12からオン信号(すなわち接続指令)が送出された時、位相ラインRに接続された第1スイッチ回路10のサイリスタSCR1(又はSCR2)の陽極−陰極間電圧は0になることはなく、放電手段が抵抗16のみの場合、数十秒以上の時間経過がなければ、進相コンデンサ側のR−S間電圧は電源側の電圧以下になりえず、その期間は、ゼロ交差(ゼロクロス)による接続は行えないことになる。
【0021】
上記のゼロ交差式三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置における不具合を解消するのが本発明に係る三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置である。本発明では、ゼロ交差(クロス)によるサイリスタ接続を用いずに、電源側の電圧が、一定値以下(但し、ゼロレベルではない)にったとき、その半波の最少値でトリガ指令を送出してサイリスタの接続動作を行わせることにより、高速に接続動作を行うようにする。
【0022】
図4及び図5を参照して、本発明に係るスイッチ回路10(又は11)を説明する。図4において、スイッチ回路10(又は11)は、逆並列切断された一対のサイリスタSCR1及びSCR2の両端A及びBの電圧差を検出する電圧検出手段20と、電圧検出手段20からの信号を受けて両端A及びBの電圧が、ゼロレベルより高い、所定値以下になったことを判定する電圧レベル判定手段21と、両端A及びBの電圧が前記所定値より下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する電圧の上昇判定手段22と、判定した前記上昇点においてトリガ信号を生成するトリガ信号生成手段23とを備える。トリガ信号生成手段23には、コントローラ12(図1参照)から出力されるオン信号が送られる。トリガ信号生成手段23は、電圧の上昇判定手段22から送られた上昇点信号を受けて、コントローラ12からオン信号が送られているとき、トリガ信号を生成してそのトリガ信号をライン24及び25を通してサイリスタSCR1及びSCR2のゲートに送る。これによって、サイリスタ両端の電圧がゼロ交差する前にサイリスタSCR1又はSCR2をオン動作させる。なお、電圧レベル判定手段21と電圧の上昇判定手段22とトリガ信号生成手段23とは、ASIC等のプロセッサ等で単一の回路で構成してもよい。また、電圧検出手段20には、ADコンバータを設けて、アナログ値をデジタル値に変換するようにしてもよい。
【0023】
図5を参照して、コントローラ12と図4のスイッチ回路10(又は11)の動作を説明する。ステップS01において、コントローラ12は、電力測定部13からの信号に応じて、位相ラインR〜Tに進相コンデンサ3〜5を接続すべき状態、すなわちオン指令を出すべき状態かどうかを判定して、オン指令を発すべきでない場合(No)、ステップS02において、スイッチ回路のサイリスタにはオン信号を出力しない(オフ指令)状態にする。オン指令を発すべき場合(Yes)、ステップS03において、サイリスタの両端A及びBの電圧を、電圧検出手段20で測定する。この電圧の測定値信号は、電圧レベル判定手段21に送られ、規定電圧(所定値)以下であるかどうを判定する(ステップS04)。この規定電圧の所定値は、ゼロレベルよりも高く設定されている。図3(C)のサイリスタの陽極−陰極間電圧の波形図において、0ボルトより高い電圧レベルV0に選定される。規定電圧以下でない場合(No)、ステップS03に戻って、ステップS04の判定を繰り返す。この判定を行うのは、電圧レベル判定手段21である。
【0024】
規定電圧以下である場合(Yes)、再度、サイリスタの両端A及びBの電圧の測定値が読取られて(ステップS05)、電圧が前記所定値より下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する(ステップS06〜S08)。上昇点は、図3(C)の波形図において点Pで示される。なお、上昇していない場合(ステップS06でのNo)、ステップS09に示すように、電圧の上昇の判定を繰り返す(ステップS05及び06)。また、ステップS06の判定が、誤動作であるのを避けるため、上昇の判定を規定数まで行って(ステップS07)、上昇回数が規定値かどうかを判定する(ステップS08)。上昇回数が規定値に達していない場合(No)、ステップS05に戻して、判定を続ける。かかる上昇点の判定を行うのは、電圧の上昇判定手段23である。
【0025】
ステップS08において、上昇判定回数が規定値である場合(Yes)、トリガ信号生成手段23は、トリガ信号を生成して、ライン24及び25を介してサイリスタSCR1及びSCR2のゲートにトリガ信号を送る(ステップS10)。トリガ信号は、コントローラ12で生成されたオン信号の期間による規定の時間幅を有するオン信号として生成される。従って、ステップS11において、そのオン信号の規定時間について、待機する。その後、オン信号が終了した状態になり、進相コンデンサ3〜5の接続が切断される。ステップS12は、スイッチ回路10(又は11)がオフ状態にあるので、サイリスタSCR1及びSCR2の両端A−B間電圧が減少するかどうかを判定する。その電圧が減少していれば(Yes)、正常動作であるので、最初のステップS01に戻る。電圧が減少いない場合(No)、ステップS13で故障と判定して、回路の故障表示を、例えば、コントローラパネル(図示せず)等に表示する。
【0026】
上記のように、本発明の実施形態では、図4のスイッチ回路を用いて、図5の動作を行うことによって、図3(C)の波形図の上昇点Pを見つけて、サイリスタSCR1及びSCR2の陽極−陰極間電圧が、ゼロボルトに下がる前にトリガ信号を生成して、進相コンデンサ3〜5の接続の遅れを防止する。従って、サイリスタ両端の電圧がゼロ交差する前にサイリスタをオン動作させるので、進相コンデンサの接続を高速にでき、力率の改善の効果が遅れることはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】三相交流進相コンデンサ用スイッチング装置のブロック図である。
【図2】(A)は切断指令時の各位相ラインにおける電流波形図、(B)は進相コンデンサ側の位相間電圧の波形図である。
【図3】(A)は電源側の位相ラインR−S間電圧の波形図、(B)は、スイッチ切断時の進相コンデンサ側の位相ラインR−S間電圧の波形図、(C)は、スイッチ切断時のサイリスタの両端の電圧の波形図である。
【図4】第1スイッチ回路又は第2スイッチ回路のブロック図である。
【図5】図4のスイッチ回路の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 三相交流発電機
2 負荷機器
3〜5 進相コンデンサ
6 三相交流進相コンデンサ用スイッチング装置
7〜9 進相コンデンサの接続点
10 第1スイッチ回路
11 第2スイッチ回路
12 コントローラ
13 電力測定部
14、15 リアクトル
16、17 抵抗
20 電圧検出手段
21 電圧レベル判定手段
22 電圧の上昇判定手段
23 トリガ信号生成手段
26 トリガ信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流のそれぞれの位相ラインには進相コンデンサが配置されるようになっており、少なくとも2つの位相ラインには、該位相ラインの各々と前記進相コンデンサとの間に、接続又は遮断のためにスイッチ回路が設けられ、前記スイッチ回路のそれぞれに、該スイッチ回路を接続状態にするようにオン信号を送るコントローラを有する、三相交流進相コンデンサ用スイッチング制御装置であって、
前記スイッチ回路の各々は、逆並列接続された一対のサイリスタを備え、
更に、前記スイッチ回路の各々は、前記サイリスタの両端の電圧を検出する手段と、前記検出手段からの信号を受けて前記電圧が、ゼロレベルより高い、所定値以下になったことを判定し、該電圧が前記所定値より下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する手段と、前記上昇点においてトリガ信号を生成して、前記コントローラから前記オン信号が送られているとき、前記サイリスタのゲートに前記トリガ信号を送るトリガ信号生成手段とを備え、
前記サイリスタ両端の電圧がゼロ交差する前に前記サイリスタをオン動作させる、
ことを特徴とするスイッチング制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記進相コンデンサは、前記三相交流の位相ラインにデルタ接続されており、2つの位相ラインは、それぞれ、前記スイッチ回路を介して前記進相コンデンサの接続点に接続され、他の1つの位相ラインは、直接、前記進相コンデンサの接続点に接続されている、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、前記三相交流の位相ラインは、三相交流発電機の三相出力ラインのそれぞれに接続されており、該三相交流発電機には、電動機等の負荷機器が接続されており、前記進相コンデンサは、前記発電機に接続された前記負荷機器に伴なう無効電力を相殺又は減少して力率を改善するのに用いられる、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置において、前記コントローラのオン信号は、前記スイッチ回路を接続状態にする指示信号であり、該オン信号の出力の停止は、前記スイッチ回路を遮断状態にする指示信号である、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置において、前記コントローラのオン信号は、前記トリガ生成手段に入力されている、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置において、前記判定する手段は、前記検出手段からの信号を受けて前記電圧が、ゼロレベルより高い、所定値以下になったことを判定する電圧レベル判定手段と、前記所定値以下の電圧が前記所定値より下降した状態から上昇に転ずる上昇点を判定する電圧上昇判定手段とから成る、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、前記電圧上昇判定手段は、誤りの防止のために、複数回、前記電圧の上昇を判定する、ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−142129(P2009−142129A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318664(P2007−318664)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(506343704)株式会社トーメック (12)
【Fターム(参考)】