三相配電線の相電圧検出方法、零相電圧検出方法、線間電圧検出方法と、三相配電線の相電圧高調波検出方法、零相電圧高調波検出方法、線間電圧高調波検出方法、それら検出に使用される電圧検出装置
【課題】周囲温度の変化による影響を受けにくい三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧の検出方法を提供する。
【解決手段】三相配電線の各相の夫々と対地間に直列接続される主コンデンサと分圧コンデンサと、分圧コンデンサに並列接続された分圧抵抗と感温抵抗を設け、主コンデンサに、容量が温度変化に反比例して増減しそれに伴ってインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサを、感温抵抗に抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗を使用し、各相の対地間電圧を前記両コンデンサの静電容量に基づいて分圧し、分圧コンデンサによる分圧抵抗と感温抵抗により相電圧を検出するようにした。各相の検出電圧(相電圧)を合成して三相配電線の零相電圧を検出し、検出されたR相とS相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の線間電圧を検出するようにした。
【解決手段】三相配電線の各相の夫々と対地間に直列接続される主コンデンサと分圧コンデンサと、分圧コンデンサに並列接続された分圧抵抗と感温抵抗を設け、主コンデンサに、容量が温度変化に反比例して増減しそれに伴ってインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサを、感温抵抗に抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗を使用し、各相の対地間電圧を前記両コンデンサの静電容量に基づいて分圧し、分圧コンデンサによる分圧抵抗と感温抵抗により相電圧を検出するようにした。各相の検出電圧(相電圧)を合成して三相配電線の零相電圧を検出し、検出されたR相とS相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の線間電圧を検出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧、相電圧高調波、零相電圧高調波、線間電圧高調波の検出方法とそれら検出に使用される電圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧の測定に計器用変成器が使用されている。しかしそれは大型、重量であるため扱いにくい。この課題解決のため、静電容量分圧器の作用を利用した比較的軽量なコンデンサ形変圧器が使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンデンサ形変圧器を用いた従来の測定では、相電圧、零相電圧、線間電圧を簡易に計測しようとすると、検出電圧が周囲温度の変化による影響を受け易く、正確な計測ができない。このため簡易で、安価で、測定精度の高い検出方法と検出装置が求められている。また、近年、省エネルギーや環境保全の推進といった社会的ニーズにより、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを利用した発電システムが急激に増加し、エネルギーの利用コスト低減や安定利用といった消費者ニーズの高まりによりコジェネレーションや廃棄物発電なども着実に増加している。さらに、最近では燃料電池発電等新しい発電技術も開発されてきており、今後この分散型電源は小規模なものを中心に益々増加していくものと予想される。一方、このような小規模分散型電源は、独立して運転されることはまれであり、通常配電系統に連係して運転される。このため、連係された配電系統では供給電圧の規格値逸脱や系統事故時の過負荷現象などの新たな問題の発生が懸念される。これに伴って配電系統では線路の高調波および電圧不平衡などの諸問題が発生し、これらを測定する精度の高い小型軽量で安価なセンサーのニーズがより一層高まっている。例えば現行電圧計測等には電磁形計器用変成器等があるが、形状が大きく重量も重い。一方電磁形とは全く原理・構造を異にし、高電圧回路と大地間の静電容量分圧を利用したコンデンサ形PTがあるが、温度による特性の変化が大きく高精度のものが得にくいなどの欠点がある。本件出願の発明は、これら課題を解決することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本件出願の三相配電線の相電圧検出方法は、請求項1記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出する方法である。
【0005】
本件出願の三相配電線の零相電圧検出方法は、請求項2記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)を合成して三相配電線の零相電圧を検出する方法である。
【0006】
本件出願の三相配電線の線間電圧検出方法は、請求項3記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の相間電圧を検出する方法である。
【0007】
本件出願の三相配電線の相電圧高調波検出方法は、請求項4記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間高調波電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その高調波分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出する方法である。
【0008】
本件出願の三相配電線の零相電圧高調波検出方法は、請求項5記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)高調波を合成して三相配電線の零相電圧高調波を検出する方法である。
【0009】
本件出願の三相配電線の線間電圧高調波検出方法は、請求項6記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相間の高調波検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の高調波検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の高調波検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の線間電圧高調波を検出する方法である。
【0010】
本件出願の三相配電線の電圧検出装置は、請求項7記載のように、三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧、相電圧高調波、零相電圧高調波、線間電圧高調波の検出に使用される電圧検出装置において、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に直列接続される主コンデンサと分圧コンデンサと、分圧コンデンサに並列接続された分圧抵抗と感温抵抗を備えた装置である。
【0011】
本件出願の三相配電線の電圧検出装置は、請求項8記載のように、請求項7記載の三相配電線の電圧検出装置において、主コンデンサは容量の温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサ、感温抵抗は抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗とした装置である。
【0012】
本件出願の三相配電線の電圧検出装置は、請求項4記載の三相配電線の電圧検出装置において、主コンデンサは容量の温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサ、感温抵抗は抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗とした装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の三相配電線の相電圧検出方法、零相電圧検出方法、線間電圧検出方法はいずれも、各相と対地間の電圧を主コンデンサと直列接続された分圧コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサによる分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出するので、主コンデンサとして容量が温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサを、感温抵抗として抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗を使用することにより、周囲の温度が変化してもその影響を受けにくく、正確な電圧検出が可能となり、従来技術の課題を解決できるという効果がある。
【0014】
本発明の電圧検出装置は、前記コンデンサと感温抵抗の組み合わせで構成されるので、周囲の温度変化に対して出力のばらつきの小さな電圧検出装置となる。また、小型、軽量で、取り扱いが容易になり、従来技術の課題を解決できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(コンデンサ形分圧電圧の原理)
コンデンサ形分圧電圧の原理を図1に基づいて説明する。図1のように直列接続された2個のコンデンサ(静電容量が各々C1、C2)に電圧を印加すると電流が流れ、コンデンサの両端の電圧と電流の関係は、
電流=2πf(周波数)×静電容量×電圧となり、
主コンデンサC1と分圧コンデンサC2には同じ電流が流れるので、
2πf×C1(V1−V2)=2πfC2×V2
これにより、
C1×V1=(C1+C2)×V2
となり一次電圧と二次電圧の間には
変圧比=V1/V2=(C1+C2)/C1が成り立つ。
【0016】
(電圧検出装置の原理説明)
図2に本発明のコンデンサ分圧による相電圧検出装置一相分の回路を示す。この電圧検出装置は三相配電線の一相と対地間に主コンデンサC1と分圧コンデンサC2を直列接続し、分圧コンデンサC2に分圧抵抗R1と感温抵抗R2を並列接続してある。この回路の端子1〜端子2間に交流電圧V1(AC2000V)を印加すると、この電圧は主コンデンサ(例えばセラミックコンデンサ)C1に電圧V2(1999.25V)、分圧コンデンサ(例えばフイルムコンデンサ)C2の両端に電圧V3(0.75V)に按分され、分圧抵抗R1と感温抵抗R2を介して端子3〜端子4には電圧V4(0.5V)が出力される。
【0017】
(相電圧検出装置と相電圧検出方法の実施形態)
図3に本発明のコンデンサ分圧による相電圧検出装置を示す。図3ではR相と対地間に主コンデンサC1と分圧コンデンサC2を直列接続し、分圧コンデンサC2に分圧抵抗R1と感温抵抗R2を並列接続し、S相と対地間に主コンデンサC3と分圧コンデンサC4を直列接続し、分圧コンデンサC4に分圧抵抗R3と感温抵抗R4を並列接続し、T相と対地間に主コンデンサC5と分圧コンデンサC6を直列接続し、分圧コンデンサC6に分圧抵抗R5と感温抵抗R6を並列接続してある。これら接続状態においてR、S、Tの各相の相電圧を検出するには、R相の対地間電圧を両コンデンサC1、C2の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC2の出力電圧を分圧抵抗R1、感温抵抗R2によりR相の出力電圧(相電圧)として検出する。S相の対地間電圧を両コンデンサC3、C4の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC4の出力電圧を分圧抵抗R3、感温抵抗R4によりS相の出力電圧(相電圧)として検出する。T相の対地間電圧を両コンデンサC5、C6の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC6の出力電圧を分圧抵抗R5、感温抵抗R6よりT相の出力電圧(相電圧)として検出する。
【0018】
(零相電圧検出装置と零相電圧検出方法の実施形態)
図4に本発明のコンデンサ分圧による零相電圧検出装置の回路を示す。図4ではR相と対地間に主コンデンサC7と分圧コンデンサC8を直列接続し、分圧コンデンサC8に分圧抵抗R7と感温抵抗R8を並列接続し、S相と対地間に主コンデンサC9と分圧コンデンサC10を直列接続し、分圧コンデンサC10に分圧抵抗R9と感温抵抗R10を並列接続し、T相と対地間に主コンデンサC11と分圧コンデンサC12を直列接続し、分圧コンデンサC12に分圧抵抗R11と感温抵抗R12を並列接続してある。これら接続状態において、R、S、Tの各相の零相電圧を検出するには、R相の対地間電圧を両コンデンサC7、C8の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC8の出力電圧を分圧抵抗R7、感温抵抗R8によりR相の出力電圧(相電圧)として検出し、S相の対地間電圧を両コンデンサC9、C10の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC10の出力電圧を分圧抵抗R9、感温抵抗R10によりS相の出力電圧(相電圧)として検出し、T相の対地間電圧を両コンデンサC11、C12の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC12の出力電圧を分圧抵抗R11、感温抵抗R12よりT相の出力電圧(相電圧)として検出する。このようにして検出した三相の相電圧を図4のように合成して三相配電線の零相電圧を検出する。
【0019】
(線間電圧検出装置と線間電圧検出方法の実施形態)
図5に本発明のコンデンサ分圧による線間電圧検出装置の回路を示す。図5ではR相と対地間に主コンデンサC13と分圧コンデンサC14を直列接続し、分圧コンデンサC14に分圧抵抗R13と感温抵抗R14を並列接続し、S相と対地間に主コンデンサC15と分圧コンデンサC16を直列接続し、分圧コンデンサC16に分圧抵抗R15と感温抵抗R16を並列接続し、T相と対地間に主コンデンサC17と分圧コンデンサC18を直列接続し、分圧コンデンサC18に分圧抵抗R17と感温抵抗R18を並列接続してある。これら接続状態においてR相とS相間、S相とT相間、R相とT相間の電圧を検出するには、R相の対地間電圧を両コンデンサC13、C14の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC14の出力電圧を分圧抵抗R13、感温抵抗R14によりR相の出力電圧(相電圧)として検出し、S相の対地間電圧を両コンデンサC15、C16の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC16の出力電圧を分圧抵抗R15、感温抵抗R16によりS相の出力電圧(相電圧)として検出し、T相の対地間電圧を両コンデンサC17、C18の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC18の出力電圧を分圧抵抗R17、感温抵抗R18よりT相の出力電圧(相電圧)として検出する。このようにして検出した三相の相電圧からR−S間の線間電圧、S−T間の線間電圧、R−T間の線間電圧を図5のようにして検出する。
【0020】
本発明では図3〜図5における主コンデンサC1、C3、C5、C7、C9、C11、C13、C15、C17の一例としてセラミックコンデンサを、分圧コンデンサC2、C4、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18の一例としてフイルムコンデンサを使用することができる。それらコンデンサの温度変化特性を図6に示す。図6においてa線がセラミックコンデンサの温度変化特性を、b線がフイルムコンデンサの温度変化特性を示す。セラミックコンデンサは温度が高くなると容量が小さくなり、インピーダンスは大きくなる。温度が低くなると容量が大きくなりインピーダンスは小さくなる。
【0021】
本発明では前記分圧抵抗R1、R3、R5、R7、R9、R11、R13、R15、R17の一例としてカーボン抵抗を、感温抵抗R2、R4、R6、R8、R10、R12、R14、R16、R18の一例としてサーミスタを使用することができる。それら抵抗の温度変化特性を図7に示す。図7においてa線がカーボン抵抗の温度変化特性を、b線が感温抵抗の温度変化特性を示す。感温抵抗(サーミスタ)は温度が高くなると抵抗値が高くなり、温度が低くなると抵抗値は低くなる。
【0022】
(試験例)
本発明の電圧検出方法(高圧取込部の電圧取込計測方式としてのコンデンサ分圧方式)の試験例の仕様を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
(温度特性試験)
表1の仕様の下に、図8の恒温槽に主コンデンサ(C0)と分圧コンデンサ(C1)、固定抵抗(R1)、感温抵抗(R2)を入れ、恒温槽内の温度を−40℃〜+60℃に変化させて、V0=2000Vのときの出力電圧(V2)、出力電圧(V3)を測定した。
図8の緒元は次のとおりである。
C0:250pF
C1:0.655μF
R1:5kΩ 100ppm、固定抵抗
R2:5.1kΩ 2700ppm×2、直列接続、感温抵抗
V0:入力電圧(高圧換算値)
V1:入力電圧(低圧測定値)
V2:出力電圧(温度補償)
V3:コンデンサ出力電圧
T1:110V/6600V
T2:6600V/110V
【0025】
(試験方法)
この試験では前記温度範囲において、+20℃で90分放置→0℃で70分放置→−20℃で70分放置→−40℃で75分放置→+40℃で80分放置→+60℃で60分放置と設定し、夫々の設定温度になってから上記時間放置後に測定した。
【0026】
(試験結果)
測定結果は表2〜表8のとおりであった。この結果をグラフ化すると図9のようになる。これら結果より、周囲温度−40℃〜+60℃に変化したとき、出力電圧V3は周囲温度によって変化するが、出力電圧V2は周囲温度による変化が少ないことがわかる。従来の場合、誤差は約±5%であるが、本発明での誤差は約1%程度である。即ち、本発明によれば、周囲温度が変化してもコンデンサ分圧の欠点である出力電圧の誤差を大幅に改良した精度の高い出力電圧の測定ができることが裏付けられた。
【0027】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0028】
(温度試験結果)
前記したセラミックコンデンサ、フイルムコンデンサ、カーボン抵抗、感温抵抗は、あくまでも、本発明で使用可能なものの一例であり、本発明の目的を達成可能であれば、それら以外のものを使用可能であることはもちろんである。
【0029】
(周波数変化温度特性試験)
表1の仕様の下に、図10の恒温槽に主コンデンサ(C0)と分圧コンデンサ(C1)、固定抵抗(R1)、感温抵抗(R2)を入れ、恒温槽内の温度を−30℃〜+40℃に変化させて、V1=100Vのときの出力電圧(V2)を測定した。
図10の緒元は次のとおりである。
C0:250pF
C1:0.655μF
C2:0.01μF
R1:1.6kΩ 100ppm、固定抵抗
R2:5kΩ 2700ppm×2、直列接続、感温抵抗
V1:入力電圧 100V
V2:出力電圧 33.3mV
入出力比dB=20Log(V2÷(V1×1000))
【0030】
(試験方法)
この試験では前記温度範囲において、+20℃で90分放置→−30℃で70分放置→+40℃で60分放置と設定し、夫々の設定温度になってから上記時間放置後に測定した。
【0031】
(試験結果)
測定結果は表9のとおりであった。この結果をグラフ化すると図11のようになる。これら結果より、周囲温度−30℃〜+40℃に変化したとき、入出力比dBは周囲温度による変化が少ないことがわかる。従来の場合、変動幅は3dB以下であるが、本発明での変動幅は1dB以下である。即ち、本発明によれば、周囲温度が変化してもコンデンサ分圧の欠点である変動幅のバラツキを大幅に改良した精度の高い周波数特性の測定ができることが裏付けられた。
【表9】
【0032】
本発明の三相配電線の相電圧高調波検出方法、三相配電線の零相電圧高調波検出方法、三相配電線の線間電圧高調波検出方法は、前記三相配電線の相電圧検出方法、三相配電線の零相電圧検出方法、三相配電線の線間電圧検出方法の夫々の方法で検出した分圧電圧の波形を、波形観測装置、例えば、データロガで分析することにより測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】既存のコンデンサ分圧回路の原理説明図。
【図2】本発明のコンデンサ形電圧検出装置の基本説明図。
【図3】本発明の相電圧検出装置の一例を示す説明図。
【図4】本発明の零相電圧検出装置の一例を示す説明図。
【図5】本発明の線間電圧検出装置の一例を示す説明図。
【図6】セラミックコンデンサ、フイルムコンデンサの温度特性図。
【図7】カーボン抵抗、感温抵抗の温度特性図。
【図8】本発明の相電圧検出方法の試験回路図の一例。
【図9】本発明の相電圧検出試験の結果を示す入出力温度変化特性の説明図。
【図10】本発明の相電圧検出高調波試験の結果を示す入出力温度変化特性の説明図。
【図11】相電圧検出高調波試験の結果を示す入出力温度変化特性図。
【符号の説明】
【0034】
C1、C3、C5、C7、C9、C11、C13、C15、C17:主コンデンサ
C2、C4、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18:分圧コンデンサ
R1、R3、R5、R7、R9、R11、R13、R15、R17:分圧抵抗
R2、R4、R6、R8、R10、R12、R14、R16、R18:感温抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧、相電圧高調波、零相電圧高調波、線間電圧高調波の検出方法とそれら検出に使用される電圧検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧の測定に計器用変成器が使用されている。しかしそれは大型、重量であるため扱いにくい。この課題解決のため、静電容量分圧器の作用を利用した比較的軽量なコンデンサ形変圧器が使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンデンサ形変圧器を用いた従来の測定では、相電圧、零相電圧、線間電圧を簡易に計測しようとすると、検出電圧が周囲温度の変化による影響を受け易く、正確な計測ができない。このため簡易で、安価で、測定精度の高い検出方法と検出装置が求められている。また、近年、省エネルギーや環境保全の推進といった社会的ニーズにより、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを利用した発電システムが急激に増加し、エネルギーの利用コスト低減や安定利用といった消費者ニーズの高まりによりコジェネレーションや廃棄物発電なども着実に増加している。さらに、最近では燃料電池発電等新しい発電技術も開発されてきており、今後この分散型電源は小規模なものを中心に益々増加していくものと予想される。一方、このような小規模分散型電源は、独立して運転されることはまれであり、通常配電系統に連係して運転される。このため、連係された配電系統では供給電圧の規格値逸脱や系統事故時の過負荷現象などの新たな問題の発生が懸念される。これに伴って配電系統では線路の高調波および電圧不平衡などの諸問題が発生し、これらを測定する精度の高い小型軽量で安価なセンサーのニーズがより一層高まっている。例えば現行電圧計測等には電磁形計器用変成器等があるが、形状が大きく重量も重い。一方電磁形とは全く原理・構造を異にし、高電圧回路と大地間の静電容量分圧を利用したコンデンサ形PTがあるが、温度による特性の変化が大きく高精度のものが得にくいなどの欠点がある。本件出願の発明は、これら課題を解決することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本件出願の三相配電線の相電圧検出方法は、請求項1記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出する方法である。
【0005】
本件出願の三相配電線の零相電圧検出方法は、請求項2記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)を合成して三相配電線の零相電圧を検出する方法である。
【0006】
本件出願の三相配電線の線間電圧検出方法は、請求項3記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の相間電圧を検出する方法である。
【0007】
本件出願の三相配電線の相電圧高調波検出方法は、請求項4記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間高調波電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その高調波分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出する方法である。
【0008】
本件出願の三相配電線の零相電圧高調波検出方法は、請求項5記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)高調波を合成して三相配電線の零相電圧高調波を検出する方法である。
【0009】
本件出願の三相配電線の線間電圧高調波検出方法は、請求項6記載のように、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相間の高調波検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の高調波検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の高調波検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の線間電圧高調波を検出する方法である。
【0010】
本件出願の三相配電線の電圧検出装置は、請求項7記載のように、三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧、相電圧高調波、零相電圧高調波、線間電圧高調波の検出に使用される電圧検出装置において、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に直列接続される主コンデンサと分圧コンデンサと、分圧コンデンサに並列接続された分圧抵抗と感温抵抗を備えた装置である。
【0011】
本件出願の三相配電線の電圧検出装置は、請求項8記載のように、請求項7記載の三相配電線の電圧検出装置において、主コンデンサは容量の温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサ、感温抵抗は抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗とした装置である。
【0012】
本件出願の三相配電線の電圧検出装置は、請求項4記載の三相配電線の電圧検出装置において、主コンデンサは容量の温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサ、感温抵抗は抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗とした装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の三相配電線の相電圧検出方法、零相電圧検出方法、線間電圧検出方法はいずれも、各相と対地間の電圧を主コンデンサと直列接続された分圧コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサによる分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出するので、主コンデンサとして容量が温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサを、感温抵抗として抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗を使用することにより、周囲の温度が変化してもその影響を受けにくく、正確な電圧検出が可能となり、従来技術の課題を解決できるという効果がある。
【0014】
本発明の電圧検出装置は、前記コンデンサと感温抵抗の組み合わせで構成されるので、周囲の温度変化に対して出力のばらつきの小さな電圧検出装置となる。また、小型、軽量で、取り扱いが容易になり、従来技術の課題を解決できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(コンデンサ形分圧電圧の原理)
コンデンサ形分圧電圧の原理を図1に基づいて説明する。図1のように直列接続された2個のコンデンサ(静電容量が各々C1、C2)に電圧を印加すると電流が流れ、コンデンサの両端の電圧と電流の関係は、
電流=2πf(周波数)×静電容量×電圧となり、
主コンデンサC1と分圧コンデンサC2には同じ電流が流れるので、
2πf×C1(V1−V2)=2πfC2×V2
これにより、
C1×V1=(C1+C2)×V2
となり一次電圧と二次電圧の間には
変圧比=V1/V2=(C1+C2)/C1が成り立つ。
【0016】
(電圧検出装置の原理説明)
図2に本発明のコンデンサ分圧による相電圧検出装置一相分の回路を示す。この電圧検出装置は三相配電線の一相と対地間に主コンデンサC1と分圧コンデンサC2を直列接続し、分圧コンデンサC2に分圧抵抗R1と感温抵抗R2を並列接続してある。この回路の端子1〜端子2間に交流電圧V1(AC2000V)を印加すると、この電圧は主コンデンサ(例えばセラミックコンデンサ)C1に電圧V2(1999.25V)、分圧コンデンサ(例えばフイルムコンデンサ)C2の両端に電圧V3(0.75V)に按分され、分圧抵抗R1と感温抵抗R2を介して端子3〜端子4には電圧V4(0.5V)が出力される。
【0017】
(相電圧検出装置と相電圧検出方法の実施形態)
図3に本発明のコンデンサ分圧による相電圧検出装置を示す。図3ではR相と対地間に主コンデンサC1と分圧コンデンサC2を直列接続し、分圧コンデンサC2に分圧抵抗R1と感温抵抗R2を並列接続し、S相と対地間に主コンデンサC3と分圧コンデンサC4を直列接続し、分圧コンデンサC4に分圧抵抗R3と感温抵抗R4を並列接続し、T相と対地間に主コンデンサC5と分圧コンデンサC6を直列接続し、分圧コンデンサC6に分圧抵抗R5と感温抵抗R6を並列接続してある。これら接続状態においてR、S、Tの各相の相電圧を検出するには、R相の対地間電圧を両コンデンサC1、C2の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC2の出力電圧を分圧抵抗R1、感温抵抗R2によりR相の出力電圧(相電圧)として検出する。S相の対地間電圧を両コンデンサC3、C4の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC4の出力電圧を分圧抵抗R3、感温抵抗R4によりS相の出力電圧(相電圧)として検出する。T相の対地間電圧を両コンデンサC5、C6の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC6の出力電圧を分圧抵抗R5、感温抵抗R6よりT相の出力電圧(相電圧)として検出する。
【0018】
(零相電圧検出装置と零相電圧検出方法の実施形態)
図4に本発明のコンデンサ分圧による零相電圧検出装置の回路を示す。図4ではR相と対地間に主コンデンサC7と分圧コンデンサC8を直列接続し、分圧コンデンサC8に分圧抵抗R7と感温抵抗R8を並列接続し、S相と対地間に主コンデンサC9と分圧コンデンサC10を直列接続し、分圧コンデンサC10に分圧抵抗R9と感温抵抗R10を並列接続し、T相と対地間に主コンデンサC11と分圧コンデンサC12を直列接続し、分圧コンデンサC12に分圧抵抗R11と感温抵抗R12を並列接続してある。これら接続状態において、R、S、Tの各相の零相電圧を検出するには、R相の対地間電圧を両コンデンサC7、C8の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC8の出力電圧を分圧抵抗R7、感温抵抗R8によりR相の出力電圧(相電圧)として検出し、S相の対地間電圧を両コンデンサC9、C10の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC10の出力電圧を分圧抵抗R9、感温抵抗R10によりS相の出力電圧(相電圧)として検出し、T相の対地間電圧を両コンデンサC11、C12の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC12の出力電圧を分圧抵抗R11、感温抵抗R12よりT相の出力電圧(相電圧)として検出する。このようにして検出した三相の相電圧を図4のように合成して三相配電線の零相電圧を検出する。
【0019】
(線間電圧検出装置と線間電圧検出方法の実施形態)
図5に本発明のコンデンサ分圧による線間電圧検出装置の回路を示す。図5ではR相と対地間に主コンデンサC13と分圧コンデンサC14を直列接続し、分圧コンデンサC14に分圧抵抗R13と感温抵抗R14を並列接続し、S相と対地間に主コンデンサC15と分圧コンデンサC16を直列接続し、分圧コンデンサC16に分圧抵抗R15と感温抵抗R16を並列接続し、T相と対地間に主コンデンサC17と分圧コンデンサC18を直列接続し、分圧コンデンサC18に分圧抵抗R17と感温抵抗R18を並列接続してある。これら接続状態においてR相とS相間、S相とT相間、R相とT相間の電圧を検出するには、R相の対地間電圧を両コンデンサC13、C14の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC14の出力電圧を分圧抵抗R13、感温抵抗R14によりR相の出力電圧(相電圧)として検出し、S相の対地間電圧を両コンデンサC15、C16の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC16の出力電圧を分圧抵抗R15、感温抵抗R16によりS相の出力電圧(相電圧)として検出し、T相の対地間電圧を両コンデンサC17、C18の静電容量差に基づいて分圧し、分圧コンデンサC18の出力電圧を分圧抵抗R17、感温抵抗R18よりT相の出力電圧(相電圧)として検出する。このようにして検出した三相の相電圧からR−S間の線間電圧、S−T間の線間電圧、R−T間の線間電圧を図5のようにして検出する。
【0020】
本発明では図3〜図5における主コンデンサC1、C3、C5、C7、C9、C11、C13、C15、C17の一例としてセラミックコンデンサを、分圧コンデンサC2、C4、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18の一例としてフイルムコンデンサを使用することができる。それらコンデンサの温度変化特性を図6に示す。図6においてa線がセラミックコンデンサの温度変化特性を、b線がフイルムコンデンサの温度変化特性を示す。セラミックコンデンサは温度が高くなると容量が小さくなり、インピーダンスは大きくなる。温度が低くなると容量が大きくなりインピーダンスは小さくなる。
【0021】
本発明では前記分圧抵抗R1、R3、R5、R7、R9、R11、R13、R15、R17の一例としてカーボン抵抗を、感温抵抗R2、R4、R6、R8、R10、R12、R14、R16、R18の一例としてサーミスタを使用することができる。それら抵抗の温度変化特性を図7に示す。図7においてa線がカーボン抵抗の温度変化特性を、b線が感温抵抗の温度変化特性を示す。感温抵抗(サーミスタ)は温度が高くなると抵抗値が高くなり、温度が低くなると抵抗値は低くなる。
【0022】
(試験例)
本発明の電圧検出方法(高圧取込部の電圧取込計測方式としてのコンデンサ分圧方式)の試験例の仕様を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
(温度特性試験)
表1の仕様の下に、図8の恒温槽に主コンデンサ(C0)と分圧コンデンサ(C1)、固定抵抗(R1)、感温抵抗(R2)を入れ、恒温槽内の温度を−40℃〜+60℃に変化させて、V0=2000Vのときの出力電圧(V2)、出力電圧(V3)を測定した。
図8の緒元は次のとおりである。
C0:250pF
C1:0.655μF
R1:5kΩ 100ppm、固定抵抗
R2:5.1kΩ 2700ppm×2、直列接続、感温抵抗
V0:入力電圧(高圧換算値)
V1:入力電圧(低圧測定値)
V2:出力電圧(温度補償)
V3:コンデンサ出力電圧
T1:110V/6600V
T2:6600V/110V
【0025】
(試験方法)
この試験では前記温度範囲において、+20℃で90分放置→0℃で70分放置→−20℃で70分放置→−40℃で75分放置→+40℃で80分放置→+60℃で60分放置と設定し、夫々の設定温度になってから上記時間放置後に測定した。
【0026】
(試験結果)
測定結果は表2〜表8のとおりであった。この結果をグラフ化すると図9のようになる。これら結果より、周囲温度−40℃〜+60℃に変化したとき、出力電圧V3は周囲温度によって変化するが、出力電圧V2は周囲温度による変化が少ないことがわかる。従来の場合、誤差は約±5%であるが、本発明での誤差は約1%程度である。即ち、本発明によれば、周囲温度が変化してもコンデンサ分圧の欠点である出力電圧の誤差を大幅に改良した精度の高い出力電圧の測定ができることが裏付けられた。
【0027】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0028】
(温度試験結果)
前記したセラミックコンデンサ、フイルムコンデンサ、カーボン抵抗、感温抵抗は、あくまでも、本発明で使用可能なものの一例であり、本発明の目的を達成可能であれば、それら以外のものを使用可能であることはもちろんである。
【0029】
(周波数変化温度特性試験)
表1の仕様の下に、図10の恒温槽に主コンデンサ(C0)と分圧コンデンサ(C1)、固定抵抗(R1)、感温抵抗(R2)を入れ、恒温槽内の温度を−30℃〜+40℃に変化させて、V1=100Vのときの出力電圧(V2)を測定した。
図10の緒元は次のとおりである。
C0:250pF
C1:0.655μF
C2:0.01μF
R1:1.6kΩ 100ppm、固定抵抗
R2:5kΩ 2700ppm×2、直列接続、感温抵抗
V1:入力電圧 100V
V2:出力電圧 33.3mV
入出力比dB=20Log(V2÷(V1×1000))
【0030】
(試験方法)
この試験では前記温度範囲において、+20℃で90分放置→−30℃で70分放置→+40℃で60分放置と設定し、夫々の設定温度になってから上記時間放置後に測定した。
【0031】
(試験結果)
測定結果は表9のとおりであった。この結果をグラフ化すると図11のようになる。これら結果より、周囲温度−30℃〜+40℃に変化したとき、入出力比dBは周囲温度による変化が少ないことがわかる。従来の場合、変動幅は3dB以下であるが、本発明での変動幅は1dB以下である。即ち、本発明によれば、周囲温度が変化してもコンデンサ分圧の欠点である変動幅のバラツキを大幅に改良した精度の高い周波数特性の測定ができることが裏付けられた。
【表9】
【0032】
本発明の三相配電線の相電圧高調波検出方法、三相配電線の零相電圧高調波検出方法、三相配電線の線間電圧高調波検出方法は、前記三相配電線の相電圧検出方法、三相配電線の零相電圧検出方法、三相配電線の線間電圧検出方法の夫々の方法で検出した分圧電圧の波形を、波形観測装置、例えば、データロガで分析することにより測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】既存のコンデンサ分圧回路の原理説明図。
【図2】本発明のコンデンサ形電圧検出装置の基本説明図。
【図3】本発明の相電圧検出装置の一例を示す説明図。
【図4】本発明の零相電圧検出装置の一例を示す説明図。
【図5】本発明の線間電圧検出装置の一例を示す説明図。
【図6】セラミックコンデンサ、フイルムコンデンサの温度特性図。
【図7】カーボン抵抗、感温抵抗の温度特性図。
【図8】本発明の相電圧検出方法の試験回路図の一例。
【図9】本発明の相電圧検出試験の結果を示す入出力温度変化特性の説明図。
【図10】本発明の相電圧検出高調波試験の結果を示す入出力温度変化特性の説明図。
【図11】相電圧検出高調波試験の結果を示す入出力温度変化特性図。
【符号の説明】
【0034】
C1、C3、C5、C7、C9、C11、C13、C15、C17:主コンデンサ
C2、C4、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18:分圧コンデンサ
R1、R3、R5、R7、R9、R11、R13、R15、R17:分圧抵抗
R2、R4、R6、R8、R10、R12、R14、R16、R18:感温抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出することを特徴とする三相配電線の相電圧検出方法。
【請求項2】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)を合成して三相配電線の零相電圧を検出することを特徴とする三相配電線の零相電圧検出方法。
【請求項3】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相の検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の相間電圧を検出することを特徴とする三相配電線の線間電圧検出方法。
【請求項4】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間高調波電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その高調波分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出することを特徴とする三相配電線の相電圧高調波検出方法。
【請求項5】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)高調波を合成して三相配電線の零相電圧高調波を検出することを特徴とする三相配電線の零相電圧高調波検出方法。
【請求項6】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相の検出電圧(相電圧)高調波の電圧差、S相とT相間の検出電圧(高調波相電圧)高調波の電圧差、R相とT相間の高調波検出電圧(相電圧)高調波の電圧差から、夫々の線間電圧高調波を検出することを特徴とする三相配電線の線間電圧高調波検出方法。
【請求項7】
三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧、相電圧高調波、零相電圧高調波、線間電圧高調波の検出に使用される電圧検出装置において、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に直列接続される主コンデンサと分圧コンデンサと、分圧コンデンサに並列接続される分圧抵抗と感温抵抗を備えたことを特徴とする三相配電線の電圧検出装置。
【請求項8】
請求項7記載の三相配電線の電圧検出装置において、主コンデンサは容量が温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサであり、感温抵抗は抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗であることを特徴とする三相配電線の電圧検出装置。
【請求項1】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出することを特徴とする三相配電線の相電圧検出方法。
【請求項2】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)を合成して三相配電線の零相電圧を検出することを特徴とする三相配電線の零相電圧検出方法。
【請求項3】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相の検出電圧(相電圧)の電圧差、S相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差、R相とT相間の検出電圧(相電圧)の電圧差から、夫々の相間電圧を検出することを特徴とする三相配電線の線間電圧検出方法。
【請求項4】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間高調波電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その高調波分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出することを特徴とする三相配電線の相電圧高調波検出方法。
【請求項5】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出された各相の検出電圧(相電圧)高調波を合成して三相配電線の零相電圧高調波を検出することを特徴とする三相配電線の零相電圧高調波検出方法。
【請求項6】
三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に主コンデンサと分圧コンデンサを直列接続して、各相の対地間電圧を両コンデンサの静電容量差に基づいて分圧し、その分圧電圧を分圧抵抗と感温抵抗により検出し、検出されたR相とS相の検出電圧(相電圧)高調波の電圧差、S相とT相間の検出電圧(高調波相電圧)高調波の電圧差、R相とT相間の高調波検出電圧(相電圧)高調波の電圧差から、夫々の線間電圧高調波を検出することを特徴とする三相配電線の線間電圧高調波検出方法。
【請求項7】
三相配電線の相電圧、零相電圧、線間電圧、相電圧高調波、零相電圧高調波、線間電圧高調波の検出に使用される電圧検出装置において、三相配電線のR相、S相、T相の夫々と対地間に直列接続される主コンデンサと分圧コンデンサと、分圧コンデンサに並列接続される分圧抵抗と感温抵抗を備えたことを特徴とする三相配電線の電圧検出装置。
【請求項8】
請求項7記載の三相配電線の電圧検出装置において、主コンデンサは容量が温度変化に反比例して増減しインピーダンスが比例して増減する特性のコンデンサであり、感温抵抗は抵抗値が温度変化に比例して増減する抵抗であることを特徴とする三相配電線の電圧検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−257870(P2009−257870A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105567(P2008−105567)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(598101826)株式会社中島電機製作所 (1)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(598101826)株式会社中島電機製作所 (1)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【Fターム(参考)】
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