説明

三面合せ部の密封構造

【課題】簡単な構造でありながら、過圧縮となることなく、三部材接合部における三面合せ部の良好な密封性が得られる三面合せ部の密封構造を提供する。
【解決手段】第一ガスケット7を介して密封状態で締結合体される第一及び第二のシール対象二部材2,3と、シール対象二部材2,3の側部に跨るよう第二ガスケット8を介して密封状態で締結合体される第三シール対象部材4との三部材接合部10における三面合せ部の密封構造である。第一ガスケット7は、前記側部より突出し、断面形状が第三シール対象部材4に向かい漸次拡開するテーパー形状の弾性リップ部91を備え、第二ガスケット8は、弾性リップ部91を受ける弾性受部82を備え、第三シール対象部材4とシール対象二部材2,3との締結合体状態では、弾性リップ部91及び弾性受部82が、圧縮弾性変形を伴って三部材接合部10に介在されるよう構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三部材接合部、例えば、シリンダヘッドとシリンダブロックとフロントカバー(チェーンカバー)との三部材接合部における三面合せ部の密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンにおいては、シリンダヘッドガスケット(以下、ヘッドガスケットと略称する)を介して締結合体されたシリンダヘッドとシリンダブロックに対して、その側部(前側部)に両者の合体方向と直交する方向より両者に跨るようにチェーンカバーが締結合体される。このチェーンカバーは、締結合体されたシリンダヘッド及びシリンダブロックの側面との間に、チェーンやギヤ等の駆動伝達部材の収容空間を確保する為に装着される。この収容空間内には駆動伝達部材を円滑に作動させる為に潤滑オイルが供給される。その為、チェーンカバーの周縁部と、シリンダヘッド及びシリンダブロックの側部周縁部とを相互の合わせ面とし、チェーンカバーは、この合せ面に、ゴムガスケット、液体ガスケット或いはメタルガスケット等のチェーンカバーガスケットを介して密封状態でシリンダヘッド及びシリンダブロックの側部に締結合体される。
【0003】
ところで、シリンダブロックとシリンダヘッドとの合せ面にはヘッドガスケットが介在し、このヘッドガスケットの存在によりその密封精度は高く維持されて両者の締結合体がなされる。しかし、シリンダブロック及びシリンダヘッドの側部は、両者の加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等により、チェーンカバーとの合せ面となる部分に段差が生じることがある。また、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間にヘッドガスケットが介在するから、当該合せ面では、ヘッドガスケットの辺縁部が凹んだ位置にあったり、突出したりして、その連続性がこの部分で分断されることも不可避的に生じる。従って、上記のようなチェーンカバーガスケットを単に介在させるだけでは、シリンダヘッド、シリンダブロック及びチェーンカバーの三部材接合部分では段差や食い違い等の面不均衡に起因する面圧不足が生じ、十分な密封がなされなくなる。その為、三部材接合部分に予め液状ガスケットを塗布充填する等の処置が講じられたりしている。
【0004】
しかし、前記のように液状ガスケットを塗布する場合でも、液状ガスケットが前記段差に追従できず、或いは、液状ガスケットの塗布量の不足などにより、液状ガスケットが剥離してしまい、密封性が低下することが多々生じる。また、エンジン組立工程に液状ガスケットの塗布工程及びその硬化工程も必要とされる上に、塗布前には塗布面の清掃工程も必要とされ、エンジン組立工程の効率化を阻害する一要因ともなっている。
【0005】
前記液状ガスケットを用いない三面合せ部の密封構造の例として、特許文献1乃至3に開示された技術が挙げられる。特許文献1には、硬質性のヘッドガスケットにおけるチェーン(エンド)カバーとの合わせ部に、凹陥部を設け、この凹陥部に弾性材を固着し、この弾性材をチェーンカバーガスケットに弾接させるようにしたチェーンカバーの取付構造が開示されている。また、特許文献2には、チェーンカバー(ケースカバー)ガスケットをメタルガスケットで構成し、前記三部材接合部分(三面合せ部)においてメタルガスケットに貫通孔を形成し、この貫通孔にゴムガスケットを導通一体に保持させると共に、ゴムガスケットの平面部材側(チェーンカバー側)への突出量を、二面合せ部材側(シリンダブロック及びシリンダヘッド側)への突出量より小さく形成したチェーンカバーガスケットが開示されている。更に、特許文献3には、ヘッドガスケットのチェーンカバー側一端部には、チェーンカバーの接合面に近接するシール部材が設けられたヘッドガスケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−147847号公報
【特許文献2】特開平11−37295号公報
【特許文献3】特開2001−271932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1乃至3に開示された技術を応用して構成された三面合せ部の密封構造の実例について、図12を参照して説明する。図12(a)(b)は、自動車用エンジンにおけるシリンダブロック100、シリンダヘッド101及びチェーンカバー102の三部材が接合する部分の密封構造を示し、(a)はこれら三部材100,101,102が互いに締結合体される前の状態を、(b)は同締結合体後の状態を示している。シリンダブロック100とシリンダヘッド101との締結合体は、ヘッドガスケット103を介してボルト(不図示)の締結によってなされる。ヘッドガスケット103は、2枚の金属製板材103a,103aの間にシム103bを介在させて複合したメタルガスケットであって、該ヘッドガスケット103の周縁部分に、図例のようなフルビード部103c及びハーフビード部103dが、また、不図示のシリンダボア開口周り或いは冷却媒体流路開口周りに、適宜フルビード部が形成されている。該ヘッドガスケット103のチェーンカバー102側辺部には、シール部材104が配設されている。このシール部材104は、ヘッドガスケット103の金属製板材103aにおける上記辺部側端部104aに固着一体とされたゴム製の弾性シール部104bを備えている。該弾性シール部104bの長手方向両端部は、チェーンカバー102側に突出するよう形成され、この突出部分がチェーンカバー102の接合面に対向する弾性リップ部104cとされている。
【0008】
チェーンカバー102は、締結合体されたシリンダブロック100及びシリンダヘッド101の側部端面に、両者に跨るよう、メタルガスケットからなるチェーンカバーガスケット105を介して、ボルト(不図示)によって締結合体される。シリンダブロック100及びシリンダヘッド101の締結合体状態では、ヘッドガスケット103のフルビード部103c及びハーフビード部103dや前記不図示のシリンダボア開口周り或いは冷却媒体流路開口周りのフルビード部が圧縮され、その反力に伴う相互の面圧よって、シリンダブロック100及びシリンダヘッド101間の密封性が維持される。また、前記シール部材104の弾性シール部104bが、シリンダブロック100及びシリンダヘッド101のチェーンカバー102側辺縁部間に圧縮状態で挟圧される。
【0009】
更に、チェーンカバー102が、チェーンカバーガスケット105を介し、不図示のボルトによって、締結合体状態のシリンダブロック100及びシリンダヘッド101の側部端面に締結合体され、図12(b)に示すような三部材の締結合体状態が達成される。このような三部材の締結合体状態においては、チェーンカバー102の内部空間がチェーンカバーガスケット105によって密封され、内部に充填される潤滑オイルの外部漏出が阻止される。また、前記弾性シール部104bがシリンダブロック100及びシリンダヘッド101の辺縁部間に圧縮状態で挟圧されることによって、該潤滑オイルのシリンダブロック100及びシリンダヘッド101間への浸入も阻止される。そして、前記弾性リップ部104cは、シリンダブロック100及びシリンダヘッド101間で上下方向に弾性挟圧されると共に、チェーンカバー102の締結圧によって、横方向(シリンダブロック100及びシリンダヘッド101の合体方向に直交する方向)に弾性挟圧され、所謂三面合わせ部に介在してこの部分の密封機能を奏する。
【0010】
ところで、前記弾性リップ部104cは、前記横方向での弾性挟圧により同方向に圧縮されるが、この圧縮度合いがチェーンカバーガスケット105との間の密封性に大きく影響する。この圧縮度合いは、チェーンカバー102の締結圧に、シリンダブロック100及びシリンダヘッド101の締結圧に伴う弾性リップ部104cの横方向への圧延度合いが加わった結果とされる。而して、この圧延度合いを大きくしようとすると、シリンダブロック100及びシリンダヘッド101の締結圧を大きくする必要がある。締結圧を大きくすると、ヘッドガスケット103が過圧縮状態となり、前記フルビード部103c及びハーフビード部103dや前記フルビード部が座屈したり、挟圧されたゴム部が破断したりすることがある。特に、シリンダブロック100及びシリンダヘッド101の端縁角部は、通常図示のように面取り加工が施されており、その為、弾性リップ部104cとの面接触部分が小さくなり、一層前記締結圧を大きくする必要が生じる。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構造でありながら、過圧縮となることなく、三部材接合部における三面合せ部の良好な密封性が得られる三面合せ部の密封構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る三面合せ部の密封構造は、第一ガスケットを介して密封状態で締結合体される第一及び第二シール対象二部材と、該シール対象二部材の合体方向に直交する方向より、締結合体状態の該シール対象二部材の側部に跨るよう第二ガスケットを介して密封状態で締結合体される第三シール対象部材との三部材接合部における三面合せ部の密封構造であって、前記第一ガスケットは、前記三部材接合部において、該シール対象二部材の合体方向に沿った断面形状が前記第三シール対象部材に向かい漸次拡開するテーパー形状の弾性リップ部を備え、前記第二ガスケットは、前記三部材接合部において、前記弾性リップ部を受ける弾性受部を備え、前記第三シール対象部材と、前記シール対象二部材との前記締結合体状態では、前記弾性リップ部及び弾性受部が、圧縮弾性変形を伴って三部材接合部に介在されるよう構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記第一ガスケットが、前記第三シール対象部材側の辺部に沿った弾性シール部を有し、前記弾性リップ部は該弾性シール部の長手方向両端に一体的に連成されているものとすることができる。
【0014】
また、本発明において、前記第二ガスケットが、芯材と、該芯材における前記第三シール対象部材のシール対象空間側辺部に一体固着された弾性シール部と、該弾性シール部と一体の前記弾性受部とよりなり、該弾性受部が、該弾性シール部の途中において、前記芯材に沿って膨出するよう一体的に連成されているものとすることができる。この場合、前記芯材における前記弾性受部の形成部位には、透孔が開設され、前記弾性受部が、該透孔を貫通して該芯材の両面に突出するよう該芯材に一体保持されているものとしても良い。
【0015】
そして、本発明において、前記弾性リップ部及び弾性受部が、ゴム材の成型体からなるものとすることができる。このゴム材としては、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、水添加ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンアクリルゴム、更には、フッ素ゴム等のように密封性に適したゴム材が選択採用される。
【0016】
前記第一及び第二のシール対象二部材を、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドとし、前記第三シール対象部材を、締結合体状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側部に両者に跨るように締結合体されるチェーンカバーとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の三面合せ部の密封構造においては、第一ガスケットを介して密封状態で締結合体される第一及び第二シール対象二部材に対して、第三シール対象部材が、該シール対象二部材の合体方向に直交する方向より、締結合体状態の該シール対象二部材の側部に跨るよう第二ガスケットを介して密封状態で締結合体される。そして、第一ガスケットは、前記テーパー形状の弾性リップ部を備えているから、前記シール対象二部材が締結合体される際、テーパー形状部分の分力作用により、弾性リップ部に対してシール対象二部材の合体方向に直交し且つ第三シール対象部材側に向く膨出を伴う圧延力が惹起される。従って、第三シール対象部材と、前記シール対象二部材との前記締結合体状態では、第三シール対象部材の締結圧に加えて、この圧延力が付加され、前記弾性リップ部及び弾性受部が、共に圧縮弾性変形を伴って三部材接合部に介在され、この部分の良好な密封性が維持される。特に、部分的な過圧縮状態となることはないから、前記のような過圧縮による不具合が生じる懸念がない。また、弾性リップ部は、三次元的な圧縮状態で介在されるから、シール対象二部材同士に設計公差や熱膨張等によって多少の段差が生じても、これを吸収し、良好な密封性が維持される。
【0018】
前記第一ガスケットが、前記第三シール対象部材側の辺部に沿った弾性シール部を有している場合、この弾性シール部は、締結合体状態のシール対象二部材間に圧縮挟圧された状態で介在されることになるから、第三シール対象部材の内部空間に潤滑オイル等が供給される場合は、潤滑オイル等のシール対象二部材間への浸入が阻止される。そして、この弾性シール部の長手方向両端に前記弾性リップ部が一体的に連成されているから、弾性シール部による密封性と弾性リップ部及び前記弾性受部による三面合せ部の密封性とが連続的に発現され、三部材接合構造の総合的な密封機能が確立される。
【0019】
前記第二ガスケットが、芯材と、該芯材における前記第三シール対象部材のシール対象空間側辺部に一体固着された弾性シール部とを備えている場合、第三シール対象部材のシール対象二部材の前記端面に対する締結合体の際、この弾性シール部がシール対象二部材の端面との間に圧縮挟圧され、これによって、シール対象二部材の端面と第三シール対象部材との密封状態の締結合体がなされる。そして、前記弾性受部が、該弾性シール部の途中において、前記芯材に沿って膨出するよう一体的に連成されている場合は、弾性受部と弾性シール部との一体的な成型が可能となる上、第三シール対象部材とシール対象二部材との間の密封性と、三面合せ部の密封性とが一体的に確立される。更に、前記芯材における前記弾性受部の形成部位に、透孔を開設し、前記弾性受部が、該透孔を貫通して該芯材の両面に突出するよう該芯材に一体保持されているものとした場合、芯材による規制が少なくなり、弾性リップ部と弾性受部との複合した弾性変形の吸収性が向上する。
【0020】
そして、弾性リップ部及び弾性受部が、ゴム材の成型体からなるものとした場合は、弾性変形性とその復元弾力性により被シール対象部での面圧が強固となり、より良好な密封性が得られる。
【0021】
本発明において、前記シール対象二部材を、それぞれエンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドとし、前記第三シール対象部材を、締結合体状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側部に両者に跨るように締結合体されるチェーンカバーとした場合、シリンダブロック及びシリンダヘッドの側部にチェーンカバーによって駆動伝達部材の収容空間が確保される。この収容空間は、シール対象空間とされ、上述のような密封構造によって気密的に形成されるから、供給される潤滑オイル等の漏出防止が図られる。また、液状ガスケットを使用しない構造とした場合は、液状ガスケットの使用に伴う工数の増大を招かず、エンジンの組立工程の効率化を図ることができ、極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る三面合せ部の密封構造が適用されるエンジンの一例を示す概略的外観正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る三面合せ部の密封構造の図1におけるA−A線矢視断面図である。
【図3】(a)(b)は、同三面合せ部の密封構造が確立する過程を示す図2のB−B線矢視断面に相当する図であり、(a)は三部材が締結前の状態を、(b)は締結された状態を示す。
【図4】同密封構造に採用される第一ガスケットとしてのヘッドガスケットの一部を示す概略平面図である。
【図5】(a)(b)は、夫々図4におけるC−C線及びD−D線矢視拡大断面図である。
【図6】図3(a)におけるE−E線矢視図である。
【図7】(a)(b)は、図5(a)(b)に対応する部分の変形例を示す図である。
【図8】(a)(b)は、図5(a)(b)に対応する部分の別の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る三面合せ部の密封構造の図2に相当する図である。
【図10】(a)(b)は、第2の実施形態に係る三面合せ部の密封構造が確立する過程を示す図9のF−F線矢視断面に相当する図であり、(a)は三部材が締結前の状態を、(b)は締結された状態を示す。
【図11】(a)(b)は、第3の実施形態に係る三面合せ部の密封構造が確立する過程を示す図10(a)(b)と同様図である。
【図12】(a)(b)は、従来の三部材接合部における三面合せ部の密封構造が確立する過程を示す図3(a)(b)と同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1のエンジン1は、シリンダブロック(第一シール対象部材)2と、該シリンダブロック2の上面に締結合体されるシリンダヘッド(第二シール対象部材)3と、縦方向に合体されたシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部にこれらの合体方向と直交する方向よりこれらに跨るよう締結合体されるチェーンカバー(第三シール対象部材)4と、シリンダブロック2及びチェーンカバー4の下端面にこれらに跨るよう締結合体されるオイルパン5と、シリンダヘッド3及びチェーンカバー4の上端面に両者に跨るよう締結合体されるシリンダヘッドカバー(ロッカーカバー)6とより構成される。
【0024】
このような構成のエンジン1において、締結合体状態のシリンダブロック2とシリンダヘッド3との合わせ面21,31(図3参照)にはメタルガスケット等からなるヘッドガスケット(第一ガスケット)7が介在されている。シリンダブロック2及びシリンダヘッド3は、このヘッドガスケット7を介在させた状態で、シリンダヘッド3側からボルト3a…によって締結合体される。シリンダブロック2及びチェーンカバー4の下端面とオイルパン5との合わせ面には、ゴム等からなるオイルパンガスケット5aが介在され、これらの締結はオイルパン5側からのボルト5b…によってなされる。また、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部とチェーンカバー4との合せ面には、後記するチェーンカバーガスケット(第二ガスケット)8が介在され、これらの締結はチェーンカバー4側からのボルト4a…によってなされる。更に、シリンダヘッド3及びチェーンカバー4の上端面とシリンダヘッドカバー6との合わせ面にはゴム等からなるヘッドカバーガスケット6aが介在され、これらの締結はシリンダヘッドカバー6側からのボルト6b…によってなされる。
【0025】
上記各締結合体状態において、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との合わせ面21,31、シリンダブロック2及びチェーンカバー4とオイルパン5との合わせ面及びシリンダヘッド3及びチェーンカバー4とシリンダヘッドカバー6との合わせ面は、夫々、ヘッドガスケット7、チェーンカバーガスケット8、オイルパンガスケット5a及びヘッドカバーガスケット6aによって、各相互の密封状態が維持される。
【0026】
チェーンカバー4は、図のような締結合体状態では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の側面、オイルパン5の上端面及びシリンダヘッドカバー6の下面との間に、図2に示すように、チェーンやギヤ等の駆動伝達部材(不図示)の収容空間(シール対象空間)4Aを形成する。このシール対象空間4A内には、駆動伝達部材を円滑に作動させる為に潤滑オイル(不図示)が供給される。チェーンカバー4の周縁には鍔部40が周設され、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、オイルパン5及びシリンダヘッドカバー6に対する合せ面はこの鍔部40に形成されると共に、上記各ボルト4aによるチェーンカバー4の締結はこの鍔部40においてなされる。そして、チェーンカバー4の、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に対する合せ面41には、上述の通り、チェーンカバーガスケット8が介在される。
【0027】
ところで、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3とチェーンカバー4のように三部材が互いに対峙するような接合部においては、チェーンカバー4との合せ面となるシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32は、これらの加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ、更には熱膨張の差等により、チェーンカバー4との合せ面となる部分に段差が生じることがある。また、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間にヘッドガスケット7が介在するから、当該合せ面では、ヘッドガスケット7の辺縁部が前側部22,32より凹んだ位置にあったり、突出したりして、その連続性がこの部分で分断されることも不可避的に生じる。従って、上記のようなチェーンカバーガスケット8を単に介在させるだけでは、この部分での十分なシールがなされなくなる。
【0028】
図2及び図3は、シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びチェーンカバー4が対峙する三部材接合部10を示している。また、図4乃至図6はヘッドガスケット7及びチェーンカバーガスケット8の構造を示している。ここで、ヘッドガスケット7及びチェーンカバーガスケット8の構造について先ず説明する。ヘッドガスケット7は、図4及び図5(b)に示すように、2枚の金属製板材7a,7bと、該金属製板材7a,7bの間に介在させたシム7cとよりなる3層構造のガスケットである。該金属製板材7a,7bは、石綿以外の圧縮性無機繊維及び圧縮性有機繊維を含むゴムコンパウンド材を鋼板等からなる金属板の表面にコーティングしたもの(特公平6−84785号公報参照)、或いは、金属板にゴム材のみをコーティングしたものからなり、また、シム7cはステンレス鋼板等からなり、これらはリベット7dにより積層状態で止着一体化されている。この積層一体化は、リベット以外の手段によってなされることも除外するものでない。
【0029】
ヘッドガスケット7は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3における前記合せ面21,31に略合致する大きさとされている。該ヘッドガスケット7における、シリンダボア対応部及び冷却媒体流路対応部には、シリンダボア開口71及び冷却媒体流路開口72がそれぞれ開設され、更に、適宜箇所にはシリンダブロック2及びシリンダヘッド3を締結合体させる為の前記ボルト3a用挿通孔73が開設されている。そして、ヘッドガスケット7の外周近傍部、シリンダボア開口71の周り及び冷却媒体流路開口72の周りには、ハーフビード部74、フルビード部75及びハーフビード部76が夫々加工形成されている。ヘッドガスケット7のチェーンカバー4側の辺部には、ヘッドガスケット7の幅方向に亘るよう、前記金属製板材7bにリベット9aによってシール基板90が止着固定されている。図例では、ヘッドガスケット7を構成する上層の金属製板材7aは、この止着固定部に相当するチェーンカバー4側両角部7aa,7aaが切欠かれ、シール基板90は下層の金属製板材7bにのみ止着固定されているが、上層の金属製板材7aにのみ、或は、合体状態の両金属製板材7a,7bに止着固定するようにしても良い。そして、このシール基板90のチェーンカバー4側辺縁部には、前記ゴム材からなる弾性シール部材9が、該辺縁部を両面に回り込むように加硫一体に成型され、該弾性シール部材9の長手方向両端部は、後記する三部材接合部10に位置する弾性リップ部91,91とされ、弾性リップ部91,91の間の部分がシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の二面合せ部の辺部に位置する弾性シール部92とされる。前記シリンダボア開口71及び冷却媒体流路開口72の数や形成態様は、各種エンジンの仕様によって設定される。
【0030】
チェーンカバーガスケット8は、チェーンカバー4の前記合せ面41に添装される形状に成形された金属板製芯材80と、該芯材80におけるチェーンカバー4の前記シール対象空間4A側辺部に、両面に回り込むように一体固着された弾性シール部81と、該弾性シール部81と一体のマット状に形成された弾性受部82とよりなり、該弾性受部82は該弾性シール部81の途中において、前記シール対象空間4Aの外方側に膨出するよう一体的に連成されている。弾性シール部81と弾性受部82とは、前記ゴム材の成型体からなり、芯材80に対して加硫一体とされる。前記芯材80の両面には、金属製板状スペーサ材80a,80bが一体に添装され、該板状スペーサ材80a,80bは、チェーンカバー4をシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に締着合体させる際に、弾性シール部81の過圧縮を防止するよう機能する。そして、前記芯材80における前記弾性受部82の形成部位には、透孔80cが開設され、該弾性受部82は該透孔80cを貫通して芯材80の両面に突出するよう該芯材80に一体保持されている。
【0031】
図6に示すように、弾性受部82の平面形状を方形としているが、円形、楕円形、その他の形状であっても良い。また、透孔80cの形状も方形に限らず円形等であっても良い。また、前記弾性受部82は前記弾性シール部81の途中において、前記シール対象空間4Aの外方側に膨出するよう一体的に連成されているが、シール対象空間4Aの内方側に膨出するよう一体的に連成されているものでも良い。
【0032】
次に、前記構成のヘッドガスケット7及びチェーンカバーガスケット8を各接合部に介在させて、シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びチェーンカバー4を締結合体させる要領について説明する。図3(a)に示すように、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の間にヘッドガスケット7を配し、前記ボルト3aによって、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3を締結合体させると、前記各ビード部74,75,76の圧縮反作用によって、ヘッドガスケット7がシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の合せ面21,31間に面圧を保有した状態で介在される。これによって、シリンダボア及び冷却媒体流路(いずれも不図示)が密封され、エンジンオイルや冷却媒体の外部漏出が防止される。この時、前記弾性シール部材9の弾性シール部92が、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の辺部によって圧縮状態で挟圧される。該弾性シール部92の基部には、両面にビード部92a,92aが隆起形成されており、このビード部92a,92aの弾性圧縮により、前記合せ面21,31間における面圧の生起がより顕著となる。
【0033】
前記弾性シール部材9の長手方向両端部に形成された弾性リップ部91,91は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の合体方向に沿った断面形状が、チェーンカバー4に向かい漸次拡開するテーパー形状とされ、且つ、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前記前側部(合せ面、チェーンカバー側端面)22,32よりチェーンカバー4側に突出するよう配されるから、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の締結合体の際、テーパー形状部分(テーパー面)91aの分力作用により弾性リップ部91,91の前記突出方向への膨出を伴う圧延力が惹起される。特に図例のシリンダブロック2及びシリンダヘッド3においては、チェーンカバー4との合せ面となる前側部22,32と、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3同士の合せ面21,31との角部が面取部23,33とされており、前記テーパー面91aと、この面取部23,33との形状的特性が相俟って、過重な締結圧を要することなく前記膨出を伴う圧延力が効果的に発現される。
【0034】
シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の締結合体の後、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に沿うようチェーンカバーガスケット8及びチェーンカバー4の鍔部40を配し、前記ボルト4aによって、チェーンカバー4を、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に跨るよう締結合体させる。この締結合体によって、チェーンカバーガスケット8の弾性シール部81及び弾性受部82が、圧縮弾性変形した状態で、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部(合せ面)22,32と、チェーンカバー4における鍔部40の合せ面41との間に介在される。これによって、チェーンカバー4のシール対象空間4Aが密封され、シール対象空間4Aに供給される潤滑オイル(不図示)の外部への漏出が防止される。また、前記弾性シール部材9の弾性シール部92が、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3によって圧縮状態で挟圧されているから、シール対象空間4Aに供給された潤滑オイルが、シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びヘッドガスケット7間の各界面に浸入することが防止される。
【0035】
そして、チェーンカバー4の締結合体の際、チェーンカバーガスケット8の前記弾性受部82が、前記弾性リップ部91の前記圧延力による内部応力を保有した状態で突出する先側部分に弾性的に当接する。この当接は弾性体同士が弾性変形を伴ってなされるから、相互の馴染み性が良く、これにより、当接部分の密封性が確実に得られる。特に、弾性リップ部91が前記内部応力を保有した状態でこの弾性当接がなされるから、弾性リップ部91と弾性受部82とが相互に融合するような弾接状態となり、当接界面での密封性は極めて優れたものとなる。更に、弾性受部82は前記透孔80cを貫通して芯材80の両面に突出するよう該芯材80に一体保持されているから、芯材80による規制が少なく、前記当接に伴う弾性受部82の弾性変形の吸収性が高められる。従って、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に前述のような段差等が生じていても、弾性リップ部91と弾性受部82との相互の弾性変形を伴った当接関係により、これに追随して、チェーンカバー4との三面合せ部における密封性が確実に維持される。
【0036】
しかも、このような密封構造においては、液状ガスケットの使用を殆ど要しないから、液状ガスケットの塗布不足による密封性の低下や、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の熱膨張差が原因の液状ガスケットの剥離による密封性の低下を来たす懸念もない。更に、液状ガスケットの硬化時間を確保する必要がなく、また、液状ガスケット塗布部の事前清掃作業も簡素化することができるから、エンジン組立工程の作業性及び効率化の向上も図ることができる。
尚、図では、弾性リップ部91がシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32よりチェーンカバー4側に突出している例を示したが、突出していない場合でも、テーパー形状部分91aの作用により、前記締結の際に弾性受部82側への圧延が惹起され、弾性受部82との弾性的な当接関係が確立される。
【0037】
図7(a)(b)は、ヘッドガスケット7のチェーンカバー4側辺部に配される弾性リップ部91及び弾性シール部92の変形例を示している。図において、弾性リップ部91と弾性シール部92とは、前記と同様にゴム材による一体成型体からなるが、これらは、ヘッドガスケット7を構成する上側の金属製板材7aのチェーンカバー4側辺部に直接固着されている点で、図5(a)(b)の例と異なる。これらは、ヘッドガスケット7の仕様等に合わせて適宜選択採用される。図7(a)(b)の例では、金属製板材7aのチェーンカバー4側辺部に沿ってフルビード77が形成され、このフルビード77に連なる前記辺部に弾性リップ部91及び弾性シール部92が一体固着されている。また、下側の金属製板材7bにおける対応部位にはハーフビード78が形成されており、これらの上下関係は逆であっても良い。その他の構成は図5(a)(b)と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0038】
図8(a)(b)は、ヘッドガスケット7のチェーンカバー4側辺部に配される弾性リップ部91及び弾性シール部92の別の変形例を示している。図において、弾性リップ部91と弾性シール部92とは、前記と同様にゴム材による一体成型体からなるが、これらは、ヘッドガスケット7を構成する上下の金属製板材7a,7bのチェーンカバー4側辺部に直接固着されている点で、図5(a)(b)及び図7(a)(b)の例と異なる。本実施形態では、金属製板材7a,7bのチェーンカバー4側辺部に沿ってフルビード77,79が形成され、このフルビード77,79に連なる合体状態の前記辺部に弾性リップ部91及び弾性シール部92が一体固着されている。本実施形態も、ヘッドガスケット7の仕様等に合わせて適宜選択採用される。その他の構成は図5(a)(b)と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
【0039】
図9及び図10(a)(b)は、第2の実施形態に係る三面合せ部の密封構造を示している。図9及び図10(a)(b)において、チェーンカバー4の前記合せ面41には、該合せ面41の全周に亘る環状凹溝42が形成され、この凹溝42内に第二ガスケットとしてのチェーンカバーガスケット8が半装入状態で填め込まれている。該チェーンカバーガスケット8は前記と同様にゴム材の成型体からなり、原形は図9の2点鎖線で示すように断面略長円形の環状体とされている。チェーンカバー4が、ボルト4aによって、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に締結合体された時には、鍔部40と前側部22,32との間に、チェーンカバーガスケット8が弾性圧縮状態に介在され、これによって、チェーンカバー4の前記シール対象空間4Aがシールされる。一方、ヘッドガスケット7は、図4、図5、図7或いは図8と同様に構成され、三部材接合部10に相当する部位に弾性リップ部91を有する弾性シール部材9を前記と同様に備えている。該ヘッドガスケット7は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3が締結合体された状態では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前記合せ面21,31間に弾性圧縮状態で介在する。そして、弾性リップ部91も、前記と同様にシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32側に弾性的に圧延されて合せ面21,31間に介在する。
尚、本実施形態におけるチェーンカバーガスケット8の断面形状(原形)は、長円形に限らず、楕円形等のその他の形状であっても良く、また、図では省略したが、側部に環状凹溝42の側壁に弾接する脱落防止突起を備えたものであっても良い。
【0040】
そして、チェーンカバーガスケット8における前記弾性リップ部91に対峙する部分が弾性受部82とされ、チェーンカバー4の締結合体の際、チェーンカバーガスケット8の前記弾性受部82が、凹むような弾性変形を伴い(図9の実線及び図10(b)参照)、前記弾性リップ部91の前記と同様の圧延力による内部応力を保有した状態で突出する先側部分に弾性的に当接する。この当接は、前記のとおり、弾性体同士が弾性変形を伴ってなされるから、相互の馴染み性が良く、これにより、当接部分の密封性が確実に得られる。特に、弾性リップ部91が前記内部応力を保有した状態でこの弾性当接がなされるから、弾性リップ部91と弾性受部82とが相互に融合するような弾接状態となり、当接界面での密封性は極めて優れたものとなる。
【0041】
図11(a)(b)は、第3の実施形態に係る三面合せ部の密封構造を示している。ヘッドガスケット7及びこれに備えられる弾性シール部材9は、前記と同様に構成され、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の締結合体の際には、前記と同様に前記合せ面21,31間に弾性圧縮及び圧延状態で介在する。本実施形態のチェーンカバー4における前記合せ面41の三部材接合部10に相当する部位には、凹部43が凹設され、該凹部43に前記弾性受部82を含むゴム材の成型体からなる弾性受部材820が半装入状態で填め込まれている。この弾性受部材820が設けられた部分を除く前記合せ面41には、全周に亘り液状ガスケット83が塗布され、当該液状ガスケット83と弾性受部材820とにより、第二ガスケットとしてのチェーンカバーガスケット8が構成される。
尚、液状ガスケット83は、弾性受部材820の表面の一部若しくは前面を覆うように塗布されていても良い。また、弾性受部材820及び凹部43の形状も図例に限定されず、他の形状も採用可能である。
【0042】
チェーンカバー4が、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部22,32に締結合体された時には、前記鍔部40と前側部22,32との間に、液状ガスケット83と弾性受部材820が介在され、これによって、チェーンカバー4の前記シール対象空間4A(図2及び図9参照)がシールされる。そして、弾性受部材820における前記弾性リップ部91に対峙する部分が弾性受部82とされ、チェーンカバー4の締結合体の際、該弾性受部82が、凹むような弾性変形を伴い、前記弾性リップ部91の前記と同様の圧延力による内部応力を保有した状態で突出する先側部分に弾性的に当接する。この当接は、前記のとおり、弾性体同士が弾性変形を伴ってなされるから、相互の馴染み性が良く、これにより、当接部分の密封性が確実に得られる。特に、弾性リップ部91が前記内部応力を保有した状態でこの弾性当接がなされるから、弾性リップ部91と弾性受部82とが相互に融合するような弾接状態となり、当接界面での密封性は極めて優れたものとなる。
【0043】
尚、上記各実施形態では、本発明の三面合せ部の密封構造を、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3と、チェーンカバー4との三部材接合部に適用した例を示したが、シリンダブロック2及びチェーンカバー4の下端面とオイルパン5の上端面との三部材接合部、或は、シリンダヘッド3及びチェーンカバー4の上端面とヘッドカバー6の下端面との三部材接合部にも適用すれば、同様の効果を奏する。また、エンジン以外の同様の三部材接合部にも本発明の三面合せ部の密封構造を適用することができる。更に、ヘッドガスケット7及びチェーンカバーガスケット8の形状等は、図例のものに限定されるものではない。加えて、チェーンカバー4が、シリンダブロック2とオイルパン5の側部に跨るように締結合体される仕様のエンジンでも、本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 エンジン
2 シリンダブロック(第一シール対象部材)
22 側部(第三シール対象部材側端面)
3 シリンダヘッド(第二シール対象部材)
32 側部(第三シール対象部材側端面)
4 チェーンカバー(第三シール対象部材)
4A シール対象空間
7 ヘッドガスケット(第一ガスケット)
8 チェーンカバーガスケット(第二ガスケット)
80 芯材
80c 透孔
81 弾性シール部
82 弾性受部
91 弾性リップ部
92 弾性シール部
10 三部材接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ガスケットを介して密封状態で締結合体される第一及び第二のシール対象二部材と、該シール対象二部材の合体方向に直交する方向より、締結合体状態の該シール対象二部材の側部に跨るよう第二ガスケットを介して密封状態で締結合体される第三シール対象部材との三部材接合部における三面合せ部の密封構造であって、
前記第一ガスケットは、前記三部材接合部において、該シール対象二部材の合体方向に沿った断面形状が前記第三シール対象部材に向かい漸次拡開するテーパー形状の弾性リップ部を備え、
前記第二ガスケットは、前記三部材接合部において、前記弾性リップ部を受ける弾性受部を備え、
前記第三シール対象部材と、前記シール対象二部材との前記締結合体状態では、前記弾性リップ部及び弾性受部が、圧縮弾性変形を伴って三部材接合部に介在されるよう構成したことを特徴とする三面合せ部の密封構造。
【請求項2】
請求項1に記載の三面合せ部の密封構造において、
前記第一ガスケットは、前記第三シール対象部材側の辺部に沿った弾性シール部を有し、前記弾性リップ部は該弾性シール部の長手方向両端に一体的に連成されていることを特徴とする三面合せ部の密封構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の三面合せ部の密封構造において、
前記第二ガスケットは、芯材と、該芯材における前記第三シール対象部材のシール対象空間側辺部に一体固着された弾性シール部と、該弾性シール部と一体の前記弾性受部とよりなり、該弾性受部は該弾性シール部の途中において、前記芯材に沿って膨出するよう一体的に連成されていることを特徴とする三面合せ部の密封構造。
【請求項4】
請求項3に記載の三面合せ部の密封構造において、
前記芯材における前記弾性受部の形成部位には、透孔が開設され、前記弾性受部は該透孔を貫通して該芯材の両面に突出するよう該芯材に一体保持されていることを特徴とする三面合せ部の密封構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の三面合せ部の密封構造において、
前記弾性リップ部及び弾性受部は、ゴム材の成型体からなることを特徴とする三面合せ部の密封構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の三面合せ部の密封構造において、
前記第一及び第二のシール対象二部材が、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記第三シール対象部材が、締結合体状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側部に両者に跨るように締結合体されるチェーンカバーであることを特徴とする三面合せ部の密封構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−226641(P2011−226641A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62260(P2011−62260)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】