説明

上り送信電力制御方法並びに端末装置、基地局装置及び無線通信システム

【課題】端末から基地局へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおいて、エラー率の増大を招くことなく、セル間の干渉を考慮してセル端近くに位置する端末の上り送信電力を下げさせる方法。
【解決手段】この方法は、第一の基地局が、干渉する端末についての端末識別情報と干渉レベルとを検出して、隣接する全ての基地局装置に対し干渉情報を送信するステップと、該端末を配下に置く第二の基地局が、該干渉情報を受信し、該端末に対し、制御情報を送信するステップと、該端末が、該制御情報を受信し、該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信における上り送信電力制御方法、並びに、その方法を実施するための通信端末装置(移動局装置)、基地局装置及び移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システムでは、干渉の削減及び通信品質の安定化を目的として、通信端末装置(以下、単に「端末」ともいう。)としての携帯電話機から基地局装置(以下、単に「基地局」ともいう。)への送信電力を制御する上り送信電力制御が行われている。すなわち、基地局は、端末から受信された信号から信号対干渉電力比を測定し、測定値が目標値より大きければ端末に送信電力を下げるよう指示するコマンドを送信する一方、低ければ端末に送信電力を下げるよう指示するコマンドを送信する。端末は、かかるコマンドを受信して送信電力を制御する(例えば、下記特許文献1〜4参照)。
【0003】
一方、近年においては、携帯電話のデータ通信用の新技術としてHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と称される高速パケット通信規格が提供されている。この技術の下では、伝送路の電波環境に応じて変調・符号化方式(modulation and coding scheme)MCSが動的に変化せしめられる。すなわち、端末は、パイロットチャネルの受信品質を測定し、受信品質に対応したインデックスであるCQI(Channel Quality Indicator)を周期的に基地局に報告する。このCQIの値に基づいて適切な変調方式及び符号化率が選択される。
【0004】
HSDPAでは、変調方式として、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とQPSK(Quadriphase Phase Shift Keying)との2種類が用意されている。16QAMは、QPSKの速度の2倍の速度で送信することができる反面、外乱によるエラーの発生が多くなる。また、符号化率とは、情報ビット数とエラー訂正符号化後のビット数との比をいい、符号化率8/9では、8ビットの情報ビットがエラー訂正符号化処理により9ビットになる。したがって、符号化率が大きいほど、伝送速度は大きくなる一方、エラー訂正能力は悪くなる。
【0005】
また、現在、セル間の干渉を考慮した上り送信電力制御方法として、各基地局が受信信号の電力を測定して干渉情報を基地局間で交換し、下り送信信号を介して、自セル内端末のうちセル端近くに位置する端末の上り送信電力を下げさせるという方法が検討されている。
【0006】
しかし、前述したHSDPAでは、CQI値に基づいて伝送速度が決定される。伝送速度が一定に維持された状態で、セル間干渉に基づく上り送信電力制御により上り送信電力が下げられると、ノイズレベルが大きくなり、その分エラー率が高くなる。エラー率があまりに高くなると、データチャネルだけでなく制御チャネルもエラーとなるため、基地局は、端末からの信号を正常に復調することができず、さらには端末を認識することができなくなる場合がある。そのため、セル端に位置する端末が実質的に「圏外」扱いとされる可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−060848号公報
【特許文献2】特開2003−244069号公報
【特許文献3】特開2006−222849号公報
【特許文献4】特許第2830911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおいて、エラー率の増大を招くことなく、セル間の干渉を考慮してセル端近くに位置する通信端末装置の上り送信電力を下げさせることが可能な上り送信電力制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一つの面によれば、移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける上り送信電力制御方法であって、第一の基地局装置が、該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出するステップと、該第一の基地局装置が、隣接する全ての基地局装置に対し、該端末識別情報と該干渉レベルとを干渉情報として送信するステップと、第二の基地局装置が、該干渉情報を受信し、該端末識別情報に基づいて該通信端末装置が該第二の基地局装置の配下にあることを認識するステップと、該第二の基地局装置が、該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信するステップと、該通信端末装置が、該制御情報を受信するステップと、該通信端末装置が、該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整するステップと、を具備する上り送信電力制御方法が提供される。
【0010】
また、本発明の他の面によれば、移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける上り送信電力制御方法であって、第一の基地局装置が、該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出するステップと、該第一の基地局装置が、該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信するステップと、該通信端末装置が、該制御情報を受信するステップと、該通信端末装置が、該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整するステップと、該第一の基地局装置が、隣接する全ての基地局装置に対し、該制御情報を該通信端末装置に送信した旨の変更情報を送信するステップと、を具備する上り送信電力制御方法が提供される。
【0011】
一つの好適な態様では、該第一の基地局装置が、該第一の基地局装置に対し該通信端末装置が所定の基準以上に再度干渉してきたことを検出するステップと、該第一の基地局装置が、該再度の干渉の検出に応じて、該第一の基地局装置の配下に該通信端末装置を置くステップと、を更に具備される。
【0012】
さらに、本発明によれば、上述の方法の実施に直接使用される通信端末装置、基地局装置及び移動通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
上述した上り送信電力制御方法によれば、セル間の干渉が検出されたとき、上り送信電力が減少せしめられるとともに受信品質情報が品質低下の方向に調整されるため、エラー率の増大を招くことなく、セル間の干渉を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】受信品質情報CQIに応じて変調・符号化方式MCSを定義するテーブルを示す図である。
【図2】セル間の干渉を考慮した上り送信電力制御方法及びその問題点について説明するための図である。
【図3】変調・符号化方式MCSをパラメータとしてブロックエラー率BLERとシンボル電力対干渉電力比ES/I0との関係を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る移動通信システム及び上り送信電力制御方法について説明するための図である。
【図5】携帯電話機の概略構成を示す図である。
【図6】基地局装置の概略構成を示す図である。
【図7】第一実施形態における基地局A、基地局B及び端末の動作を示すシーケンス図である。
【図8】干渉の検出について説明するための図である。
【図9】変調・符号化方式MCSをパラメータとしてブロックエラー率BLERとシンボル電力対干渉電力比ES/I0との関係を示す図であって、本発明による上り送信電力制御方法における効果を説明する図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る移動通信システム及び上り送信電力制御方法について説明するための図である。
【図11】第二実施形態における基地局A、基地局B及び端末の動作を示すシーケンス図である。
【図12】第一又は第二実施形態における動作の後に行われる本発明の第三実施形態に係る制御について説明するための図である。
【図13】第三実施形態における基地局Bの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、端末から基地局へ周期的に報告される受信品質情報CQIに応じて変調・符号化方式MCSが選択される移動通信システムにおけるセル間の干渉、その干渉を考慮した関連技術としての上り送信電力制御、及びその制御の問題点について、図1、図2及び図3を参照して説明する。
【0016】
受信品質情報CQIに応じて変調・符号化方式MCSを定義するCQIテーブルとして、図1に示されるテーブルが用意されていると仮定する。このテーブルは、CQIのインデックス“1”〜“30”に対してMCSのインデックス“1”〜“5”を対応付ける。
【0017】
そして、図2(A)に示されるように、基地局A(符号200)のセル202に位置する端末220がセル202の端部に移動して、隣接する基地局B(符号210)に対して矢印222で示されるように干渉してきた場合を想定する。基地局Aに属する端末220が基地局Bに対して干渉するため、基地局Bは、基地局Aを含む周囲の隣接する基地局に対し、矢印212で示されるように、端末220が干渉してきている旨の通知をする。
【0018】
その通知を受けて、端末220を支配下に置く基地局Aは、矢印204に示されるように、端末220に対し、上り送信電力を下げるように通知する。端末220の現在のCQI値が“5”であると仮定すると、CQI値“5”に対応する変調・符号化方式MCSのインデックス“5”が維持された状態で、送信電力が低下することとなる。
【0019】
ここで、変調・符号化方式MCSをパラメータとしてブロックエラー率BLERとシンボル電力対干渉電力比ES/I0との関係が図3に示される関係にあるとする。送信電力の低下により、端末220は、図3の符号300に示される動作点から、符号302に示される動作点に移行する。すなわち、ブロックエラー率BLERが高くなる。その結果、前述のごとく、図2(B)に示されるように、端末220が実質的に「圏外」扱いとされる可能性が高くなる。
【0020】
以下、上述の問題点を考慮した本発明の実施形態について説明する。図4は、本発明の第一実施形態に係る移動通信システム及び上り送信電力制御方法について説明するための図である。同図において、符号400は基地局A、符号410は基地局B、符号420、430及び432は移動局装置を構成する通信端末装置としての携帯電話機を示す。
【0021】
なお、携帯電話機の概略構成が図5に例示される。同図において、符号502はアンテナ、符号504は送受信部、符号506はベースバンド信号処理部、符号508は制御部、符号510はスピーカ/マイク部、符号512はキー入力部、符号514は表示部、をそれぞれ示す。ここで、ベースバンド信号処理部506は、変調、復調、無線通信制御、音声処理、画像処理、マルチメディアインタフェース処理、等を実行する。また、制御部508は、通信プロトコル処理、アプリケーション処理、等を実行する。
【0022】
また、基地局の概略構成が図6に例示される。同図において、符号602はアンテナ、符号604は送受信信号を増幅する送受信部、符号606は変調、復調、無線通信制御等を行うベースバンド信号処理部、符号608は有線伝送路とのインタフェースである伝送路インタフェース部、符号608は装置全体の制御を行う制御部、をそれぞれ示す。
【0023】
図7は、第一実施形態における基地局A(符号400)、基地局B(符号410)及び端末420の動作を示すシーケンス図である。図4及び図7により、第一実施形態における上り送信電力制御について説明する。図4(A)に示されるように、基地局Aのセル402に位置する端末420がセル402の端部に移動して、隣接する基地局Bに対して矢印422で示されるように干渉してきた場合、基地局Bはその干渉を検出する(ステップ700)。なお、かかる干渉の検出は、図8に示されるように、各端末からの受信電力を測定し、自基地局の配下にない端末からの受信電力の平均値が所定の基準値を超えた場合に干渉と判定することによって行われる。
【0024】
次いで、基地局Bは、図4(A)の矢印412で示されるように、基地局Aを含む隣接する全ての基地局に対し、端末420の識別情報(ID)と干渉レベルとを干渉情報として送信する(ステップ702)。なお、干渉レベルは、例えば、“受信電力平均値−基準値”として算出される。
【0025】
基地局Aは、当該干渉情報を受信し、その端末識別情報が自己の配下にある端末420を示していることを認識する(ステップ710)。次いで、基地局Aは、図4(A)の矢印404に示されるように、端末420に対し、制御情報を送信する(ステップ712)。この制御情報は、干渉を起こしていることを示す干渉フラグと、基地局Bから報告された干渉レベルと、からなる。なお、この制御情報は、端末420宛の制御チャネル若しくはデータチャネルを介して送信され、又は単体の信号として送信される。
【0026】
そして、端末420は、基地局Aからの当該制御情報を受信する(ステップ720)。端末420は、干渉フラグに基づいて干渉を起こしていることを認識し、制御情報に含まれる干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともにCQI値を品質低下の方向に調整する(ステップ722)。また、基地局Aは、基地局Bを含む隣接する全ての基地局に対し、端末420宛に当該制御情報を送信した旨の変更情報を送信し(ステップ714)、図4(B)の矢印406に示されるように、基地局Bとの間で端末420に関する情報を共有する。
【0027】
図4(A)及び(B)に示される例では、端末420は、CQI値を“5”から“3”に下げるように制御される。すると、図1に示されるCQIテーブルに定義されるように、変調・符号化方式MCSのインデックスも“5”から“3”へと変更される。
【0028】
図9は、図3と同様に、変調・符号化方式MCSをパラメータとしてブロックエラー率BLERとシンボル電力対干渉電力比ES/I0との関係を示す図である。図2に示される上り送信電力制御によれば、前述したように、動作点は、300から302へと変化し、エラー率が高くなる。しかし、図4及び図7に示される上り送信電力制御によれば、動作点は、300から900へと変化し、エラー率を高くすることなく、送信電力を下げることができる。
【0029】
かくして、図4(B)において、矢印424で示される、端末420から基地局Bへの干渉波が弱められるとともに、矢印428で示される、端末420から基地局Aへの送信波についても、エラー率が高くなることが防止される。
【0030】
図2に示される制御では、セル端で隣の基地局のセルと重なる箇所にある端末は、送信電力を下げられる上に、それに対する救済措置がないため、結果的にセルが重なる箇所は「圏外」扱いとなる可能性が高い。一方、前述の第一実施形態における制御によれば、そのようなリスクに対してCQIを下げるという救済措置が取られるため、基地局のセルの範囲内であれば、基本的に「圏外」は発生しない。
【0031】
図10は、本発明の第二実施形態に係る移動通信システム及び上り送信電力制御方法について説明するための図であり、図11は、第二実施形態における基地局A、基地局B及び端末の動作を示すシーケンス図である。図10において、符号1000は基地局A、符号1010は基地局B、符号1020、1030及び1032は移動局装置を構成する通信端末装置としての携帯電話機を示す。
【0032】
前述の第一実施形態では、端末から干渉を受けた基地局Bからの連絡を受けて、当該端末を配下に置く基地局Aが、当該端末に制御情報を送信するが、この第二実施形態では、端末から干渉を受けた基地局Bが、当該端末に直接制御情報を送信する。その際、当該端末を配下に置く基地局Aが、CQI値の変更を知らずに以前のCQI値の認識のまま、送信電力を下げられた当該端末から送信信号を受信すると、エラーと認識してしまうため、基地局Bは、基地局Aを含む周囲の基地局に対し、当該端末の設定を変更させた旨の変更情報を送信する。
【0033】
まず、図10(A)に示されるように、基地局Aのセル1002に位置する端末1020がセル1002の端部に移動して、隣接する基地局Bに対して矢印1022で示されるように干渉してきた場合、基地局Bはその干渉を検出する(ステップ1100)。次いで、基地局Bは、図10(A)の矢印1012に示されるように、端末1020に対し、制御情報を送信する(ステップ1102)。この制御情報は、第一実施形態の場合と同様の干渉フラグと干渉レベルとからなる。
【0034】
端末1020は、基地局Bからの当該制御情報を受信する(ステップ1120)。次いで、端末1020は、干渉フラグに基づいて干渉を起こしていることを認識し、制御情報に含まれる干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともにCQI値を品質低下の方向に調整する(ステップ1122)。図10(A)及び(B)に示される例では、端末1020は、CQI値を“5”から“3”に下げるように制御される。
【0035】
また、基地局Bは、図10(B)の矢印1014に示されるように、基地局Aを含む隣接する全ての基地局に対し、端末1020宛に当該制御情報を送信した旨の変更情報を送信する(ステップ1104)。基地局Aは、当該変更情報を受信し、自己の配下にある端末1020のCQI値が変更されたことを認識する(ステップ1110)。上述の第二実施形態においても、第一実施形態による効果と同一の効果が得られる。
【0036】
図12は、前述の第一又は第二実施形態における動作の後に行われる本発明の第三実施形態に係る制御について説明するための図であり、図13は、第三実施形態における基地局Bの動作を示すシーケンス図である。図12において、符号1200は基地局A、符号1210は基地局B、符号1220は移動局装置を構成する通信端末装置としての携帯電話機を示す。
【0037】
この第三実施形態では、基地局Bが干渉を検出したことに基づいて端末が送信電力を下げた状態から、更に当該端末が基地局B方面に移動したことにより、基地局Bが当該端末による再度の干渉を検出した場合、基地局Bは、当該端末のセルを切り替えて当該端末を基地局Bの支配下に置くための処理を行う。
【0038】
まず、図12(A)に示されるように、基地局Bが干渉を検出したことに基づいて端末1220が送信電力を下げた状態、すなわちCQI値“3”の状態にあったとする。その状態から、端末1220が、図12(B)に示されるように、更に基地局B方面に移動したことにより、基地局Bは端末1220による再度の干渉を検出する(図13のステップ1300)。
【0039】
基地局Bは、基地局Bの干渉検出に基づき端末1220が送信電力を下げたことを記録しており、それにもかかわらず端末1220が再び干渉してきたことから、すなわち、端末1220が送信電力低減後の再干渉を起こしたことから、完全に基地局Bのセルに入ってきたことを認識する。そして、図12(C)に示されるように、基地局Bは、端末1220を基地局Bの配下に置き(ステップ1302)、基地局Aを含む隣接する全ての基地局に対し、端末1220を基地局Bの配下に置いた旨を通知する(ステップ1304)。
【0040】
従来のハンドオーバでは、端末の移動、現基地局との接続切断、他基地局への接続要求、次基地局の配下に入る、といった手順が取られ、セル端部に端末が移動して、回線が切断されてから、次の基地局の配下になるまで、2段階の処理が必要となる。一方、上述の第三実施形態では、端末が移動して現基地局から接続を切られた時点で既に次基地局の配下に入っている。
【符号の説明】
【0041】
200,400,1000,1200 基地局装置A
210,410,1010,1210 基地局装置B
220,420,1020,1220 通信端末装置
502 アンテナ
504 送受信部
506 ベースバンド信号処理部
508 制御部
510 スピーカ/マイク部
512 キー入力部
514 表示部
602 アンテナ
604 送受信部
606 ベースバンド信号処理部
608 伝送路インタフェース部
608 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける上り送信電力制御方法であって、
第一の基地局装置が、該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出するステップと、
該第一の基地局装置が、隣接する全ての基地局装置に対し、該端末識別情報と該干渉レベルとを干渉情報として送信するステップと、
第二の基地局装置が、該干渉情報を受信し、該端末識別情報に基づいて該通信端末装置が該第二の基地局装置の配下にあることを認識するステップと、
該第二の基地局装置が、該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信するステップと、
該通信端末装置が、該制御情報を受信するステップと、
該通信端末装置が、該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整するステップと、
を具備する上り送信電力制御方法。
【請求項2】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける上り送信電力制御方法であって、
第一の基地局装置が、該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出するステップと、
該第一の基地局装置が、該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信するステップと、
該通信端末装置が、該制御情報を受信するステップと、
該通信端末装置が、該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整するステップと、
該第一の基地局装置が、隣接する全ての基地局装置に対し、該制御情報を該通信端末装置に送信した旨の変更情報を送信するステップと、
を具備する上り送信電力制御方法。
【請求項3】
該第一の基地局装置が、該第一の基地局装置に対し該通信端末装置が所定の基準以上に再度干渉してきたことを検出するステップと、
該第一の基地局装置が、該再度の干渉の検出に応じて、該第一の基地局装置の配下に該通信端末装置を置くステップと、
を更に具備する、請求項1に記載の上り送信電力制御方法。
【請求項4】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムであって、第一の基地局装置が、
該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出する手段と、
隣接する全ての基地局装置に対し、該端末識別情報と該干渉レベルとを干渉情報として送信する手段と、
を具備し、第二の基地局装置が、
該干渉情報を受信し、該端末識別情報に基づいて該通信端末装置が該第二の基地局装置の配下にあることを認識する手段と、
該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信する手段と、
を具備し、該通信端末装置が、
該制御情報を受信する手段と、
該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整する手段と、
を具備する移動通信システム。
【請求項5】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムであって、第一の基地局装置が、
該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出する手段と、
該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信する手段と、
を具備し、該通信端末装置が、
該制御情報を受信する手段と、
該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整する手段と、
を具備し、該第一の基地局装置が、更に、
隣接する全ての基地局装置に対し、該制御情報を該通信端末装置に送信した旨の変更情報を送信する手段、
を具備する移動通信システム。
【請求項6】
該第一の基地局装置が、更に、
該第一の基地局装置に対し該通信端末装置が所定の基準以上に再度干渉してきたことを検出する手段と、
該再度の干渉の検出に応じて、該第一の基地局装置の配下に該通信端末装置を置く手段と、
を具備する、請求項4に記載の移動通信システム。
【請求項7】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける基地局装置であって、第一の基地局装置として、
該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出する手段と、
隣接する全ての基地局装置に対し、該端末識別情報と該干渉レベルとを干渉情報として送信する手段と、
を具備し、第二の基地局装置として、
該干渉情報を受信し、該端末識別情報に基づいて該通信端末装置が該第二の基地局装置の配下にあることを認識する手段と、
該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信する手段と、
を具備する基地局装置。
【請求項8】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける基地局装置であって、
該基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出する手段と、
該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信する手段と、
隣接する全ての基地局装置に対し、該制御情報を該通信端末装置に送信した旨の変更情報を送信する手段と、
を具備する基地局装置。
【請求項9】
該基地局装置に対し該通信端末装置が所定の基準以上に再度干渉してきたことを検出する手段と、
該再度の干渉の検出に応じて、該基地局装置の配下に該通信端末装置を置く手段と、
を具備する、請求項7に記載の基地局装置。
【請求項10】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおける通信端末装置であって、
基地局装置から、干渉を起こしていることと干渉レベルとを示す制御情報を受信する手段と、
該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整する手段と、
を具備する通信端末装置。
【請求項11】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおいて該基地局装置として設けられるコンピュータを、第一の基地局装置の機能として、
該第一の基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出する手段と、
隣接する全ての基地局装置に対し、該端末識別情報と該干渉レベルとを干渉情報として送信する手段と、
として機能させるとともに、第二の基地局装置の機能として、
該干渉情報を受信し、該端末識別情報に基づいて該通信端末装置が該第二の基地局装置の配下にあることを認識する手段と、
該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信する手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項12】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおいて該基地局装置として設けられるコンピュータを、
該基地局装置に対し所定の基準以上に干渉する通信端末装置についての端末識別情報と干渉レベルとを検出する手段と、
該通信端末装置に対し、干渉を起こしていることと該干渉レベルとを示す制御情報を送信する手段と、
隣接する全ての基地局装置に対し、該制御情報を該通信端末装置に送信した旨の変更情報を送信する手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項13】
該コンピュータを、更に、
該基地局装置に対し該通信端末装置が所定の基準以上に再度干渉してきたことを検出する手段と、
該再度の干渉の検出に応じて、該基地局装置の配下に該通信端末装置を置く手段と、
として機能させる、請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
移動局装置としての通信端末装置から基地局装置へ周期的に報告される受信品質情報に応じて変調及び符号化の方式が選択される移動通信システムにおいて該通信端末装置として設けられるコンピュータを、
基地局装置から、干渉を起こしていることと干渉レベルとを示す制御情報を受信する手段と、
該制御情報に示される該干渉レベルに応じて、送信電力を減少させるとともに受信品質情報を品質低下の方向に調整する手段と、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−102474(P2013−102474A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281645(P2012−281645)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2009−544513(P2009−544513)の分割
【原出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】