説明

上位制御装置、下位制御装置、画面の操作権付与方法および画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体

【課題】画面の操作を要求する下位PCに対して特定の画面群の操作権を付与する。
【解決手段】上位PC100は、複数のPMまたはTMを制御する複数の下位PC200と接続されている。上位PC100は、画面データベース150,155に下位PC200に表示可能な画面群を記憶する。画面特定部160は、下位PC200からの画面の操作要求に応じて、画面データベースに記憶された複数の画面群から要求された画面群を特定する。操作権判定部165は、特定された画面群の操作権を、要求した下位PC200に与えるか否かを判定する。操作権判定部165により要求した下位PC200に操作権を与えると判定された場合、操作権付与部170は、特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく、特定された画面群の操作権を下位PC200に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置または搬送装置を制御する下位制御装置の表示部に表示可能な画面群の操作権の付与を制御する上位制御装置、画面の操作を要求する下位制御装置、画面の操作権付与方法および画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板に所定の処理を施す複数の基板処理装置および基板を搬送する搬送装置をクリーンルーム内に配設し、さらに、複数の基板処理装置および搬送装置を制御する下位PC(Personal Computer)をクリーンルーム内の各装置の近傍にそれぞれ設けるとともに、クリーンルーム外に上位PCを設け、ネットワークを介して上位PCと下位PCとが情報をやり取りすることにより、上位PCを用いて基板処理を遠隔的に制御するシステムが提供されている。このシステムによれば、上位PCによる遠隔操作によって、クリーンルーム内へ人が出入りすることを極力抑えることにより、クリーンルーム内の汚染を最小限に留めることができる。
【0003】
このような遠隔制御システムにおいて、上位PCの表示部と下位PCの表示部とは、同じ画面群を共有して表示するようになっており、正常動作中は、上位PCが、画面の操作権を有し、クリーンルーム内の各装置に異常が発生した場合等、特別な状況になると、下位PCが、上位PCから同画面の操作権を一時的に譲り受けるようになっていた(たとえば、特許文献1を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−348605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のシステムによれば、上位PCまたは下位PCのいずれか一方に画面の操作権を移すことはできるものの、画面の操作権を有するPCは必ず一台に限られていた。よって、一方のPCに操作権がある場合、他方のPCに表示された画面を他方のPCを用いて操作することはできず、たとえ、他方のPCへの画面の操作要求を通知したとしても、オペレータは、他方のPCに画面の操作権が移されるまで長い時間待たなければならず効率が悪かった。
【0006】
さらに、近年、クラスタ構造のシステムに含まれる基板処理装置の数は、増加する傾向にある。このため、画面の操作権を有するPC以外の下位PCの数が多くなり、それらの下位PCにて画面を操作したいときであっても、自機に画面の操作権が移されるまで、さらに長い時間待たなければならなかった。この結果、オペレータは、画面の操作権を有するPC(通常、上位PC)の存在する場所まで行って、そのPCの画面を操作しなければならず、非常に不便であった。
【0007】
特に、工場内に導入されたシステムを安定した量産体制に移行させる前段階において、クリーンルーム内の各装置(基板処理装置や搬送装置)が評価機として機能する場合、たとえば、搬送装置に基板が衝突するなど各装置でいろいろなトラブルが発生することが予想される。この場合、上位PCにて遠隔操作するよりも、各装置の近傍に配置された下位PCの画面を操作することにより、各装置の状態を確かめながら各装置の動作を制御する方がやりやすく、効率的である。
【0008】
そこで、本発明は、画面の操作を要求する下位制御装置に対して特定の画面群の操作権を付与するか否かを制御する上位制御装置、画面の操作を要求する下位制御装置、画面の操作権付与方法および画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、基板処理装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第1の下位制御装置と、搬送装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第2の下位制御装置と、にネットワークを介して接続され、上記第1の下位制御装置の表示部に表示される画面群と第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群とを表示可能な表示部を備えるとともに上記第1の下位制御装置および上記第2の下位制御装置を制御する上位制御装置が提供される。
【0010】
この上位制御装置は、上記第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および上記第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ記憶する画面データベースと、上記第1の下位制御装置または上記第2の下位制御装置のいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、上記画面データベースに記憶された複数の画面群から上記操作を要求された画面群を特定する画面特定部と、上記画面特定部により特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えるか否かを判定する操作権判定部と、上記操作権判定部により上記画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えると判定された場合、上記第1の下位制御装置、上記第2の下位制御装置および上記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可するために、上記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更することなく上記特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に付与する操作権付与部とを備える。
【0011】
これによれば、画面を操作する権利を与えるか否かは、操作要求された画面群毎に上位制御装置によって判断される。これにより、下位制御装置により操作要求された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく、操作要求された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に付与することができる。この結果、オペレータは、操作を要求した下位制御装置については、該当下位制御装置の画面を操作することによりトラブルが生じた装置の状態を確認しつつその装置を制御することができ、他の装置については、上位制御装置の画面を遠隔操作することによりシステム全体を統括的に制御することができる。
【0012】
このようにして、各オペレータは、上記第1の下位制御装置、上記第2の下位制御装置および上記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる2以上の制御装置を用いて、異なる画面群に対して同時に別々に操作することができる。これにより、画面を操作することができる制御装置が一台のみに限られ、それ以外の制御装置が操作したいとき、すぐに自己の制御装置を用いて自由に画面を操作することができないという不具合を解消し、操作性の高いシステムをユーザに提供することができる。
【0013】
上記操作権判定部は、上記特定された画面群の操作権が、上記複数の制御装置のうち、上記要求した下位制御装置以外の制御装置に付与されている場合、上記操作権を付与されている制御装置にて実行中の処理が終了した後、上記特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えると判定してもよい。
【0014】
また、上記操作権判定部は、上記上位制御装置により操作を要求された画面群の操作権がいずれかの下位制御装置に付与されている場合、上記いずれかの下位制御装置にて実行中の処理が終了した後、上記要求された画面群の操作権を上記上位制御装置に与えると判定してもよい。
【0015】
これらの判定方法によれば、上位制御装置の操作権判定部のみが、画面の操作権を付与するか否かを判定することができる。これにより、たとえば、同じ画面群に対してほぼ同時に複数の制御装置から操作要求があった場合に生じるデッドロックなど、複数の制御装置が操作権の付与を制御するときに生じる可能性があるシステム上の問題を取り除くことができる。この結果、本来的な業務として重要度が一番高い基板処理を制御する制御系の安定性を低下させることなく、ユーザアビリティを向上させることができる。
【0016】
これにより、オペレータは、より効率よく画面を操作することができるだけでなく、周囲の状況の変化に応じて上位制御装置または下位制御装置の画面をフレキシブルに操作することにより操作ミスを軽減することができる。この結果、製品の生産性を高めることができる。
【0017】
上記操作権判定部は、上記複数の制御装置から同じ画面群の操作が要求された場合、予め定められた優先順位にしたがって、上記複数の制御装置のうち優先順位が高い制御装置から順に上記要求された画面群の操作権を与えると判定してもよい。
【0018】
また、上記操作権判定部は、上記操作を要求した制御装置に対して予め操作権の付与を禁止しているか否かを判定し、禁止している場合、上記操作を要求した制御装置に操作権を与えないと判定してもよい。
【0019】
これによれば、予め定められた条件にしたがって、上記要求された画面群の操作権を要求された制御装置に与えるか否かを判定することができる。たとえば、上位制御装置と下位制御装置とが、ほぼ同じタイミングに同じ画面群の操作を要求した場合、予め上位制御装置の優先順位を下位制御装置より高くしておけば、要求された画面群の操作権を上位制御装置に優先的に付与することができる。
【0020】
この結果、たとえば、いずれかの基板処理装置にトラブルが生じている場合、オペレータは、トラブルが生じている基板処理装置の近傍に配置された下位制御装置の画面を用いて基板処理装置の状態を確かめながら操作することができる。一方、操作を要求された画面群以外の画面群については、その操作権の付与先を変更させることなく、他の制御装置(通常、上位制御装置)により操作できるようになっているので、各制御装置を操作するオペレータの操作の待ち時間を著しく軽減することができる。
【0021】
上位制御装置は、上記操作権付与部により操作権が上記上位制御装置に付与された場合、上記操作権が付与された上位制御装置の表示部に表示された画面を用いて入力された情報を受け付ける入力部と、上記操作権付与部により操作権がいずれかの下位制御装置に付与された場合、上記操作権が付与された下位制御装置の表示部に表示された画面を用いて入力された情報を上記操作権が付与された下位制御装置から受信する通信部と、上記基板処理装置にて実行される複数の基板処理の手順を示したレシピを記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された各レシピに基づき、上記通信部により受信された情報に基づいて実行される所定の処理を、上記入力部により受け付けられた入力情報に基づいて実行される他の所定の処理と並行して実行する処理実行制御部とをさらに備えていてもよい。
【0022】
これによれば、ある画面群の操作権が上位制御装置にある場合、上位制御装置の画面から入力された情報に基づき、入力情報に応じた処理手順にしたがって基板に所定の処理が施される。また、他のある画面群の操作権が下位制御装置にある場合、下位制御装置の画面から入力された情報を上位制御装置が受信することにより、受信情報に応じた処理手順にしたがって基板に他の所定の処理が施される。
【0023】
このように、画面への入力操作が有効になるのは、操作権を有する制御装置のみであり、画面群毎に操作権をいずれかの制御装置に付与しているため、オペレータは、異なる制御装置に表示された、異なる画面群を同時に別々に操作することができる。
【0024】
一方、有効な画面への入力操作に基づいて行われる基板処理制御自体はすべて上位制御装置にて実行される。すなわち、上位制御装置は、各処理手順に示したレシピを用いてプロセスを制御し、下位制御装置は、上位制御装置の指令に基づいて各装置を駆動する。
【0025】
これにより、上位制御装置の処理実行制御部は、操作権を有する複数の制御装置から指示された情報(すなわち、下位制御装置から受信した情報や上位制御装置に入力された情報)に基づき複数の処理を並行して実行するように制御することができる。また、このようにして、画面の操作権の有無にかかわらずすべての実体処理を上位制御装置にて制御することにより、各プロセスを遂行するためのデータの不整合を回避して、システムを安定的に稼働することができる。
【0026】
なお、所定の処理の一例としては、基板処理装置にて実行される基板処理として、有機EL膜蒸着処理、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着薄膜成膜法)処理、エッチング処理、スパッタリング処理が挙げられ、搬送装置にて実行される処理としては、基板の搬送処理が挙げられる。
【0027】
上記上位制御装置の表示部は、上記操作権が付与された下位制御装置の表示部に表示された画面への入力操作に対応して上記通信部により受信された情報に基づき、上記上位制御装置の表示部に表示された画面の内容を更新するようにしてもよい。
【0028】
これによれば、上記上位制御装置の表示画面の内容と上記操作権が付与された下位制御装置の表示画面の内容との整合性を保つことができる。
【0029】
一方、上記上位制御装置の表示部は、下位制御装置のいずれかに上記操作権が付与された場合であって、上記上位制御装置の表示部に上記操作権が付与された画面群を表示することが予め禁止されている場合、上記画面群を表示しないようにしてもよい。
【0030】
これによれば、ある下位制御装置に操作権が付与された画面群は、上位制御装置および他の下位制御装置の画面に表示されない。これにより、重要な情報を操作権のない制御装置の画面に出力することによって重要な情報が流出することを防ぐことができる。
【0031】
上記上位制御装置は、複数の基板処理装置を制御する複数の第1の下位制御装置と接続されるとともに、上記複数の基板処理装置に隣接し、基板を搬送する搬送装置を制御する第2の下位制御装置と接続され、上記画面データベースは、上記複数の第1の下位制御装置の表示部に表示される複数の画面群および上記第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群を画面群毎に管理し、上記記憶部は、上記複数の基板処理装置により実行される複数の基板処理の処理手順をレシピ毎に管理し、上記操作権付与部は、上記画面データベースにより管理された画面群毎に画面の操作権を上記複数の制御装置のいずれかに付与することにより、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可し、上記処理実行制御部は、上記記憶部により管理された各レシピに基づき、上記複数の基板処理装置にて実行される複数の基板処理を並行して排他的に制御してもよい。
【0032】
これによれば、複数の第1の下位制御装置を含んだ2以上の制御装置が、異なる画面群に対して同時に別々に操作することができる。また、上記記憶部により管理された各処理手順に基づき、上記複数の基板処理装置にて実行される複数の基板処理および上記搬送装置にて実行される搬送処理のうちの2以上の処理を並行して排他的に制御することができる。
【0033】
上記複数の第1の下位制御装置は、上記複数の基板処理装置が配設された室内であって、上記複数の基板処理装置の近傍に配置され、上記第2の下位制御装置は、上記複数の基板処理装置が配設された室内と同一室内であって、上記複数の基板処理装置に隣接して配設された上記搬送装置の近傍に配置され、上記上位制御装置は、上記室内から隔離された室外に配置され、各下位制御装置と情報を送受信することにより、上記複数の基板処理装置にて実行される複数の基板処理および上記搬送装置にて実行される搬送処理を制御するとともに、上記各下位制御装置の表示部に表示可能な画面群の操作権の付与を制御するようにしてもよい。
【0034】
これによれば、複数の基板処理装置および搬送装置を、たとえばクリーンルーム内に配設し、さらに、複数の基板処理装置および搬送装置を制御する複数の下位制御装置をクリーンルーム内の制御対象となる装置の近傍に設けるとともに、クリーンルーム外に上位制御装置を設け、ネットワークを介して上位制御装置と下位制御装置とが情報をやり取りすることにより、上位制御装置を用いてクリーンルーム内の各装置を遠隔操作することができる。これにより、クリーンルーム内への人の出入りを極力抑えることにより、クリーンルーム内の汚染を最小限に留めることができる。
【0035】
これに加え、かかる構成によれば、正常動作中は、上位制御装置が画面の操作権を有し、クリーンルーム内の基板処理装置にトラブルが発生した場合等、特別な場合には、下位制御装置が、上位制御装置から特定の画面群の操作権のみを譲り受けることができる。これにより、オペレータは、トラブルが発生した装置に対しては、操作権が付与された下位制御装置の画面を用いてトラブルが発生した装置の状態を確かめながら操作し、他の装置に対しては、たとえば、上位制御装置の画面を操作することにより遠隔制御することができる。
【0036】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画面の操作権を制御する上位制御装置にネットワークを介して接続され、基板処理装置を操作するための画面群または搬送装置を操作するための画面群のいずれかを表示可能な表示部を備える下位制御装置であって、上記下位制御装置の表示部に表示可能な画面群を記憶する画面データベースと、上記画面データベースに記憶された画面群の操作権を要求するための情報を生成する操作権要求部と、上記操作権要求部により生成された操作権要求情報を上記上位制御装置に送信することにより画面の操作を要求し、送信された操作権要求情報に応じて上記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更することなく、上記操作を要求された画面群の操作権が上記上位制御装置により上記下位制御装置に付与された場合、上記操作権を付与された下位制御装置の表示画面を用いて入力された情報を上記上位制御装置に送信する通信部とを備えることにより、上記操作権を付与された下位制御装置から送信された情報に基づいて実行される所定の処理を、上記上位制御装置の表示部に表示された画面を用いて入力された情報に基づいて実行される他の所定の処理と並行して上記上位制御装置に実行させる下位制御装置が提供される。
【0037】
これによれば、下位制御装置からの操作要求に応じて、操作要求された画面群の操作権を(要求された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく)上記要求した下位制御装置に付与することができる。
【0038】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板処理装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第1の下位制御装置と、搬送装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第2の下位制御装置と、にネットワークを介して接続され、上記第1の下位制御装置の表示部に表示される画面群と第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群とを表示可能な表示部を備えるとともに上記第1の下位制御装置および上記第2の下位制御装置を制御する上位制御装置を用いて画面の操作権を付与する方法であって、上記第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および上記第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ画面データベースに記憶し、上記第1の下位制御装置または上記第2の下位制御装置のいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、上記画面データベースに記憶された複数の画面群から上記操作を要求された画面群を特定し、上記特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えるか否かを判定し、上記画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えると判定された場合、上記第1の下位制御装置、上記第2の下位制御装置および上記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可するために、上記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく上記特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に付与する画面の操作権付与方法が提供される。
【0039】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、基板処理装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第1の下位制御装置と、搬送装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第2の下位制御装置と、にネットワークを介して接続され、上記第1の下位制御装置の表示部に表示される画面群と第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群とを表示可能な表示部を備えるとともに上記第1の下位制御装置および上記第2の下位制御装置を制御する上位制御装置を用いて画面の操作権を付与する処理をコンピュータに実行させるための画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体であって、上記第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および上記第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ画面データベースに記憶する処理と、上記第1の下位制御装置または上記第2の下位制御装置のいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、上記画面データベースに記憶された複数の画面群から上記操作を要求された画面群を特定する処理と、上記特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えるか否かを判定する処理と、上記画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に与えると判定された場合、上記第1の下位制御装置、上記第2の下位制御装置および上記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可するために、上記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく上記特定された画面群の操作権を上記要求した下位制御装置に付与する処理とをコンピュータに実行させる画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、画面の操作を要求した制御装置に要求された特定の画面群の操作権を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成及び機能を有する構成要素については、同一符号を付することにより、重複説明を省略する。
【0042】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態にかかる基板処理システムについて、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、基板処理システムの概略図であり、図2は、基板処理システムを構成する各機器の配置図である。
【0043】
(基板処理システム)
基板処理システム10は、上位PC100、下位PC200a〜200e、TM(Transfer Module)、PM(Process Module)1〜PM4を有している。各機器は、たとえば、Ethernet(登録商標)等のネットワーク300によりそれぞれ接続されている。また、上位PC100は、LAN(Local Area Network)400を経由してホストコンピュータ500に接続されている。
【0044】
図2に示したように、下位PC200b〜200e(複数の第1の下位制御装置に相当)は、PM1〜PM4が配設されたクリーンルームCln内であって、PM1〜PM4の近傍にそれぞれ配置されている。下位PC200a(第2の下位制御装置に相当)は、クリーンルームCln内部の各PMの中央にて配設されたTMの近傍に配置されている。
【0045】
上位PC(上位制御装置に相当)は、クリーンルームClnから隔離された室外に配置されている。上位PC100は、下位PC200との間で制御信号を送受信することにより、TMおよびPM1〜PM4をそれぞれ遠隔制御する。具体的には、上位PC100は、TMにて基板を搬送する処理を遠隔操作するとともに、PM1〜PM4にて施される所望の処理を遠隔操作する。これにより、クリーンルーム内への人の出入りを極力抑え、クリーンルーム内の汚染を最小限に留めることができる。ただし、上位PC100は、クリーンルームCln内に配置されていてもよい。
【0046】
下位PC200a、200b、200c、200d、200eは、ディスプレイ200aSD、ディスプレイ200bSD、ディスプレイ200cSD、ディスプレイ200dSD、ディスプレイ200eSDを有していて、TMを操作するための画面群、PM1を操作するための画面群、PM2を操作するための画面群、PM3を操作するための画面群、PM4を操作するたの画面群をそれぞれ表示可能である。上位PC100は、ディスプレイ100MDを有していて、下位PC200b〜200eのディスプレイ200SDに表示され得る画面群を表示可能である。
【0047】
TM,PM1〜PM4には、各内部機器の状態を検知するセンサ群TMs、PM1s、PM2s、PM3s、PM4sがそれぞれ取り付けられていて、その検出値は、安全PLC(Programmable Logic Controller)にそれぞれ入力されるようになっている。安全PLCは、従来、ハードウエア(安全回路)にて構築されていたインターロック条件を、プログラマブル化し、ソフトウエアにて制御することが可能な安全認証されたソフトインターロック装置に相当する。
【0048】
これらの安全PLCには、上位PC100から送信された制御信号も入力される。安全PLCは、制御信号とセンサからの検出値を示した検出信号とを入力することにより、これらの入力信号が予め定められたインターロック条件を1つでも満たす場合には、出力信号を下位PC200に送出しないように制御する。これにより、下位PC200は、インターロック条件を満たす誤出力信号を駆動信号として各モジュール(TM,PM1〜PM4)内の各機器を駆動することにより発生する誤動作、たとえば、混合すると危険なガスを供給するタイミングの誤りや基板を搬送するタイミングの誤りなどを回避することができる。この結果、TMやPM内部の機器を保護するとともに工場内の作業員の安全を確保することができる。
【0049】
ホストコンピュータ500は、上位PC100とデータを送受信することにより、データ管理など基板処理システム10全体を管理する。
【0050】
なお、TMは、基板を搬送する搬送装置に相当し、PM1〜PM4は、基板に所定の処理を施す基板処理装置に相当する。各PMにて実行される所定の処理の一例としては、PM1内のスパッタ機器により実行されるスパッタリング処理、PM2内のエッチャー機器により実行されるエッチング処理、PM3内のCVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着薄膜成膜法)機器により実行される成膜処理、PM4内の有機EL機器により実行される有機EL膜蒸着処理が挙げられる。
【0051】
(PM2の内部構成)
つぎに、PM1〜PM4の内部構成の一例として、エッチング処理を実行するPM2および6層連続有機EL蒸着膜処理を実行するPM4について、図3および図4をそれぞれ参照しながら説明する。
【0052】
PM2は、天井部の略中央部および底部の略中央部が開口された角筒形状の処理容器Cを有している。処理容器Cは、たとえば、表面が陽極酸化処理されたアルミニウムにより構成されている。
【0053】
処理容器Cの内部には、その上方にて上部電極305が設けられている。上部電極305は、処理容器Cの上部の開口周縁に設けられた絶縁材310により処理容器Cに対して電気的に分離されている。上部電極305には、整合回路315を介して高周波電源320が接続されている。整合回路315には、その周囲にてマッチングボックス325が設けられていて、整合回路315の接地筐体となっている。
【0054】
上部電極305には、また、ガスライン330を介して処理ガス供給部335が接続されていて、処理ガス供給部335から供給される所望のガスを複数のガス噴射孔Aから処理容器C内に噴射する。このようにして、上部電極305は、ガスシャワーヘッドとしても機能するようになっている。上部電極305には、温度センサ340が設けられている。温度センサ340は、処理容器内の温度として上部電極305の温度を検出し、その検出値を安全PLCに送信するようになっている。
【0055】
処理容器Cの内部には、その下方にて下部電極345が設けられている。下部電極345は、基板Gを載置するサセプタとしても機能する。下部電極345は、絶縁材350を介して設けられた支持体355により支持されている。これにより、下部電極345は、処理容器Cに対して電気的に分離されている。
【0056】
処理容器Cの底面に設けられた開口の外周近傍には、ベローズ360の一端が装着されている。ベローズ360の他端には、昇降プレート365が固着されている。かかる構成により、処理容器Cの底面の開口部は、ベローズ360および昇降プレート365によって密閉されている。また、下部電極345は、基板Gを載置する位置をプロセスに応じた高さに調整するために、ベローズ360および昇降プレート365と一体となって昇降する。
【0057】
下部電極345は、導電路370、インピーダンス調整部375を介して昇降プレート365に接続されている。上部電極305および下部電極345は、カソード電極およびアノード電極に相当する。処理容器内部は、排気機構380によって所望の真空度まで減圧される。
【0058】
かかる構成により、下位PC200cから送信された駆動信号にしたがってゲートバルブ385の開閉が制御され、これにより処理容器Cの気密を保ちながら基板Gが処理容器Cの内部に搬送された状態にて、処理容器内部に供給されたガスが高周波電力によりプラズマ化され、生成されたプラズマの作用により基板Gに所望のエッチングが施される。
【0059】
(PM4の内部構成)
つぎに、6層連続有機EL蒸着膜処理を実行するPM4の内部構成について、その要部斜視図である図4を参照しながら説明する。PM4では、基板G上に有機EL層を含む6層が連続的に蒸着される。
【0060】
PM4内には、6つの蒸着源410a〜410fが内蔵されている。6つの蒸着源410a〜410fには、異なる種類の成膜材料が納められていて、各蒸着源410に納められたるつぼを、たとえば、200〜500℃程度の高温にすることにより、各種成膜材料を気化させるようになっている。
【0061】
6つの蒸着源410a〜410fには、6つの連結管420a〜420fを介して、6つの吹き出し容器430a〜430fが連結されている。6つの蒸着源410a〜410fにて気化された各種成膜材料は、6つの連結管420a〜420fをそれぞれ通過して、6つの吹き出し容器430a〜430fの上面に設けられた開口OP(吹き出し口)から吹き出される。
【0062】
各吹き出し容器430の間には隔壁440が設けられていて、これら7つの隔壁440のよって各吹き出し容器430を仕切ることにより、各吹き出し容器430から吹き出される成膜材料の気体分子が隣りの吹き出し容器430から吹き出される成膜材料の気体分子に混入することを防ぐようになっている。
【0063】
基板Gは、PM4の天井面近傍にて、スライド機構を備えたステージ(ともに図示せず)に静電吸着していて、7つの隔壁440にて仕切られた各吹き出し容器430a〜430fのわずかに上方を、第1の吹き出し器430a→第2の吹き出し器430b→第3の吹き出し器430c→第4の吹き出し器430d→第5の吹き出し器430e→第6の吹き出し器430fの順に所定の速度で移動する。これにより、基板Gには、各吹き出し容器430a〜430fからそれぞれ吹き出される成膜材料によって、所望の異なる膜が6層連続的に積層されるようになっている。
【0064】
(PCのハードウエア構成)
つぎに、PCのハードウエア構成について、図5を参照しながら説明する。なお、下位PC200のハードウエア構成は上位PC100と同様であるためここでは上位PC100のみについて説明する。
【0065】
上位PC100は、ROM105、RAM110、CPU115、バス120、内部インタフェース(内部I/F)125および外部インタフェース(外部I/F)130を有している。
【0066】
ROM105には、上位PC100にて実行される基本的なプログラムや、異常時に起動するプログラム、各種レシピ等が記録されている。RAM110には、画面の操作権を付与するための処理手順を定めた画面の操作権付与プログラムなどの各種プログラムやデータが蓄積されている。なお、ROM105およびRAM110は、記憶装置の一例であり、EEPROM、光ディスク、光磁気ディスクなどの記憶装置であってもよい。
【0067】
CPU115は、各種レシピにしたがって基板の処理を制御するとともに、画面の操作権の付与を制御する。バス120は、ROM105、RAM110、CPU115、内部インタフェース125および外部インタフェース130の各デバイス間でデータをやりとりする経路である。
【0068】
内部インタフェース125は、データを入力し、必要なデータを図示しないモニタやスピーカ等に出力するようになっている。外部インタフェース130は、ネットワーク300を介して接続されている機器との間でデータを送受信するようになっている。
【0069】
(上位PCの機能構成)
つぎに、上位PC100の機能構成について、上位PC100の各機能をブロックにて示した図6を参照しながら説明する。上位PC100は、TM画面データベース150、PM画面データベース155,画面特定部160,操作権判定部165,操作権付与部170,入力部175、通信部180,記憶部185,処理実行制御部190および表示部195により示される各機能を有している。
【0070】
TM画面データベース150には、下位PC200aのディスプレイ200aSDに表示可能なTM用画面群(TM用画面1〜TM用画面n)が記憶されている。PM画面データベース155には、下位PC200bのディスプレイ200bSDに表示可能なPM1用画面群、下位PC200cのディスプレイ200cSDに表示可能なPM2用画面群、下位PC200dのディスプレイ200dSDに表示可能なPM3用画面群、下位PC200eのディスプレイ200eSDに表示可能なPM4用画面群が画面群毎に記憶されている。なお、TM画面データベース150およびPM画面データベース155は、第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ記憶する画面データベースに相当する。
【0071】
画面特定部160は、下位PC200a〜200eのいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、TM画面データベース150またはPM画面データベース155のいずれかに記憶された複数の画面群から上記操作を要求された画面群を特定する。
【0072】
操作権判定部165は、画面特定部160により特定された画面群の操作権を上記要求した下位PC200に与えるか否かを判定する。操作権判定部165は、現時点で各画面群(TM用画面群、PM1用画面群、PM2用画面群、PM3用画面群、PM4用画面群)の操作権をいずれのPCが持っているかを判定するための判定情報165aを保持している。
【0073】
操作権判定部165は、特定された画面群の操作権が、複数の制御装置(すなわち、上位PC100,下位PC200a〜200e)のうち、上記要求した下位PC200以外のPCに付与されている場合、そのPCにて実行中の処理が終了した後、特定された画面群の操作権を上記要求した下位PC200に与えると判定してもよい。
【0074】
また、上位PC100により画面の操作を要求された場合であって、画面群の操作権がいずれかの下位PC200に付与されている場合、操作権判定部165は、その下位PC200にて実行中の処理が終了した後、上記特定の画面群の操作権を上記上位PC100に与えると判定してもよい。
【0075】
また、操作権判定部165は、複数の制御装置(PC)から同じ画面群の操作が要求された場合、予め定められた優先順位にしたがって、複数の制御装置(PC)のうち優先順位が高い制御装置から順に要求された画面群の操作権を与えると判定してもよい。
【0076】
さらに、操作権判定部165は、操作を要求した制御装置(PC)に対して予め操作権の付与を禁止しているか否かを判定し、禁止している場合、操作を要求した制御装置(PC)に操作権を与えないと判定してもよい。
【0077】
このような判定条件に基づき、要求した下位PC200に特定の画面群の操作権を与えると操作権判定部165により判定された場合、操作権付与部170は、その特定の画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく、特定の画面群の操作権を要求した下位PC200に付与する。これにより、下位PC200a〜200eおよび上位PC100からなる複数のPCのうち、異なる画面群に対して異なるPCが同時に別々に操作することが許可される。
【0078】
このようにして、操作権付与部170により操作権が上位PC100に付与された場合、入力部175は、オペレータが、上位PC100のディスプレイ100MDに表示された画面を用いて入力した情報を受け付ける。しかし、上位PC100がその画面群の操作権を有していない場合、入力情報は受け付けない。すなわち、オペレータは、上位PC100に表示された画面を用いて情報を入力することはできない。
【0079】
一方、操作権付与部170により操作権がいずれかの下位PC200に付与された場合、通信部180は、操作権が付与された下位PC200のディスプレイ200SDに表示された画面を用いて入力された情報を操作権が付与された下位PC200から受信する。
【0080】
記憶部185は、PM1〜PM4にて実行される基板Gへの各種処理の手順をそれぞれ記憶する。PM1にて実行されるスパッタリング処理手順は、スパッタリング用のシステムレシピAに示されている。PM2にて実行されるエッチング処理手順は、エッチング用のシステムレシピBに示されている。PM3にて実行されるCVD処理手順は、CVD用のシステムレシピCに示されている。PM4にて実行されるCVD処理手順は、有機EL用のシステムレシピDに示されている。各システムレシピには、搬送ルート(たとえば、TM→PM1→TM)および各プロセスレシピA〜Dのリンク情報(たとえば、プロセスレシピ名)が定められている。
【0081】
処理実行制御部190は、記憶部185に記憶された対応処理手順に基づき、通信部180により下位PC200の画面操作により入力され、上位PC100により受信された情報に基づいて実行される所定の基板処理を、上位PC100の画面操作に応じて入力部175により受け付けられた入力情報に基づいて実行される他の所定の処理と並行して実行する。
【0082】
表示部195は、操作権が付与された下位PC200のディスプレイ200SDに表示された画面への入力操作に応じて、通信部180により受信された情報に基づき、操作権が付与された下位PC200のディスプレイ200SDに表示された画面の内容と整合性を保つように、上位PC100のディスプレイ100MDに表示された画面の内容を更新する。
【0083】
以上に説明した各部の機能のうち、主に、TM画面データベース150、PM画面データベース155,画面特定部160,操作権判定部165,操作権付与部170,入力部175および表示部195の各機能により、上位PC100および下位PC200に表示される画面の操作権の制御を含む画面に関する処理が制御される(表示画面制御)。一方、主に、記憶部185および処理実行制御部190により、TM,PM1〜PM4にて実行される基板処理および搬送処理が制御される(プロセス実行制御)。
【0084】
なお、以上に説明した上位PC100の各部の機能は、実際には、図5のCPU115が、これらの機能を実現する処理手順を記述したプログラム(レシピを含む)を記憶したROM105やRAM110などの記憶媒体から該当プログラムを読み出し、そのプログラムを解釈して実行することにより達成される。
【0085】
(下位PCの機能構成)
つぎに、下位PC200の機能構成について、下位PC200の各機能をブロックにて示した図7を参照しながら説明する。下位PC200は、画面データベース205,記憶部210、操作権要求部215、入力部220、通信部225、表示部230および駆動制御部235により示される各機能を有している。
【0086】
画面データベース205には、各下位PC200のディスプレイ200SDに表示可能な画面群のみが記憶されている。たとえば、下位PC200bの画面データベース205には、PM1用(スパッタ用)の画面群が記憶されている。下位PC200cの画面データベース205には、PM2用(エッチング用)の画面群が記憶されている。下位PC200dの画面データベース205には、PM3用(CVD用)の画面群が記憶されている。下位PC200eの画面データベース205には、PM4用(有機EL蒸着用)の画面群が記憶されている。下位PC200aの画面データベース205には、PM用画面群の代わりに、TM用(搬送用)の画面群が記憶されている。
【0087】
記憶部210には、PM1〜PM4にて実行される各種プロセスの処理手順が示されたプロセスレシピとして、PM1にて実行されるスパッタリング処理の手順が示されたプロセスレシピA,PM2にて実行されるエッチング処理の手順が示されたプロセスレシピB,PM3にて実行されるCVD処理の手順が示されたプロセスレシピC,PM4にて実行される有機EL蒸着処理の手順が示されたプロセスレシピDが記憶されている。プロセスレシピの一例として、プロセスレシピC(CVD処理)の例を図8に示す。
【0088】
操作権要求部215は、現時点で自己が表示可能な画面群の操作権を有していない場合、画面データベース205に記憶された画面群の操作権を要求するための情報(操作権要求情報)を生成する。
【0089】
入力部220は、自己の下位PC200に操作権が付与されている場合、オペレータが、自己の下位PC200のディスプレイ200SDに表示された画面を用いて入力した情報を受け付ける。すなわち、入力部220は、下位PC200がその画面群の操作権を有している場合、入力情報を下位PC200内に取り込む。しかし、下位PC200がその画面群の操作権を有していない場合、入力情報は受け付けられない。すなわち、オペレータは、下位PC200に表示された画面を用いて情報を入力することはできない。
【0090】
通信部225は、操作権要求部215により生成された操作権要求情報を上位PC100に送信することにより画面の操作を要求し、送信された操作権要求情報に応じて、操作を要求された画面群の操作権が上位PC100により自己の下位PC200に付与された場合、自己の下位PC200のディスプレイ200SDに表示された画面を用いて入力された情報を上位PC100に送信する。
【0091】
表示部230は、操作権が付与された他の下位PC200のディスプレイ200SDまたは上位PC100のディスプレイ100MDに表示された画面を用いて入力された情報を通信部225により受信し、受信した情報に基づき、操作権が付与されたPCのディスプレイに表示された画面の内容と整合性を保つように、自己の下位PC200のディスプレイ200SDに表示された画面の内容を更新する。
【0092】
駆動制御部235は、上位PC100により送信され、通信部225により受信された制御信号に応じて、該当PMの処理手順を示したプロセスレシピに基づき該当PM内の機器を駆動させる駆動信号を生成し、該当PMに送信する。これにより、上位PC100の指令にしたがった下位PC200の指示に応じて該当PMにて所望の基板処理が施される。
【0093】
なお、上位PC100と同様に、以上に説明した下位PC200の各部の機能は、実際には、下位PC200内のCPUがこれらの機能を実現する処理手順を記述したプログラム(レシピを含む)を記憶した記憶媒体から該当プログラムを読み出し、そのプログラムを解釈して実行することにより達成される。
【0094】
(各PCの動作)
つぎに、以上に説明した各PCの機能を用いた画面の操作権付与動作について、図9、図10に示したフローチャートを参照しながら説明する。なお、初期状態では、各画面群の操作権は、すべて上位PC100に付与されているとする。図9は、下位PC200側にて実行される操作要求割込処理を示したフローチャートであり、図10は、上位PC100側にて実行される操作権付与処理を示したフローチャートである。
【0095】
たとえば、PM4の6層連続有機EL装置にてトラブルが発生した場合、オペレータは、上位PC100にて遠隔操作するよりも、PM4の近傍に配置された下位PC200eのディスプレイ200eSDの画面を操作することにより、PM4の状態を確かめながらPM4の動作を制御する方がやりやすく、効率的である。
【0096】
そこで、この場合、オペレータが、下位PC200eのディスプレイ200eSDの画面に表示された操作要求ボタンを押すと、図9のステップ900から操作要求割込処理が開始される。
【0097】
(操作要求割込処理)
入力部220は、操作要求ボタンが押されたことを入力すると、操作権要求部215は、ステップ905にて自己の下位PC200eに操作権があるか否かを判定する。この時点で自己が表示可能な画面群の操作権を有している場合、直ちにステップ995に進んで本割込処理を終了する。一方、この時点で自己が表示可能な画面群の操作権を有していない場合、ステップ910に進み、画面データベース205に記憶されたPM4用の画面群の操作権を要求するための情報(操作権要求情報)を生成し、操作要求割込信号として上位PC100に送信し、ステップ995にて本割込処理を終了する。
【0098】
(操作権付与処理)
上記操作要求割込処理の結果、下位PC200eから操作要求割込信号が送信されると、上位PC100は、これを受けて図10に示したステップ1000から操作権付与処理を開始し、ステップ1005にて、画面特定部160は、操作要求割込信号の操作権要求情報から操作権が要求されている画面群はPM4用の画面群であると特定する。
【0099】
つぎに、ステップ1010に進み、操作権判定部165は、この時点で操作を要求している下位PC200eに操作権の付与を禁止しているか否かを判断する。禁止している場合、直ちにステップ1095に進み本処理を終了するが、禁止していない場合には、ステップ1015に進んで、操作権判定部165は、操作を要求しているPCが、特定された画面群の操作権を既に有しているか否かを判定する。
【0100】
この時点では、操作権は、上位PC100に付与されていて、下位PC200eは、PM4用の画面群の操作権を有していない。そこで、ステップ1020に進み、操作権判定部165は、PM4用の画面群の操作権を有しているPC(この時点では、上位PC100)により実行中の一連の制御処理が終了するまで待ち、終了した後、ステップ1025に進んで、画面操作を要求している下位PC200eに操作権を付与すると判定する。これに応じて、操作権付与部170は、特定されたPM4用の画面群以外の画面群、すなわち、PM1〜PM3用の画面群およびTM用の画面群の操作権を上位PC100に残したまま、これらの操作権の付与先を変更させることなく、PM4用の画面群の操作権のみを下位PC200eに付与し、ステップ1095に進んで本処理を終了する。なお、下位PC200eが、PM4用の画面群の操作権を有している場合には、ステップ1015から直ちにステップ1095に進んで本処理を終了する。
【0101】
以上に説明した操作権の付与処理の結果、図11の上位PC100のディスプレイ100MDに示したように、上位PC100は、PM1用(スパッタ用)画面群、PM2用(エッチャー用)画面群、PM3用(CVD用)画面群の操作権を有し、PM4用(有機EL用)画面群の操作権は有さないことになる。
【0102】
このようにして、オペレータは、自己が操作するPCに、たとえば図11に示した画面を表示することにより、自己が操作するPCの操作権がどのPCに付与されているかを確認することができる。また、図12に下位PC200eのディスプレイ200eSDに示したように、画面左上に「Client(クライアント)」と表示することにより、PM4(有機EL用)画面群の操作権がクライアント側、すなわち、下位PC200側にあることを示すことにより、オペレータは、自己が操作するPCの操作権がどのPCに付与されているかを確認することもできる。
【0103】
このようにして、上位PC100が、操作権付与処理を実行することにより、異なるPCが異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可することができる。具体的には、上記操作権付与処理の結果、PM1〜3用の画面群およびTM用の画面群に含まれる画面は、上位PC100のディスプレイ100MDの表示画面を用いて一のオペレータが操作することができ、PM4用の画面群に含まれる画面は、下位PC200eのディスプレイ200eSDの表示画面を用いて他のオペレータが同時に別々に操作することができる。この結果、トラブルが生じたPM4については、オペレータは、上位PC100の画面を用いて遠隔操作することなく、PM4の近傍に配置された下位PC200eの画面を用いてPM4の状態を確かめながらPM4を操作することができ、これにより、オペレータは、従前よりも著しく効率的に作業を遂行することができる。
【0104】
また、以上に説明した操作権付与判定方法によれば、上位PC100の操作権判定部165のみが、画面の操作権を付与するか否かを判定することができ、下位PC200が、独断で操作権を付与することはできない。これにより、たとえば、同じ画面群に対してほぼ同時に複数のPCから操作要求が合った場合に生じるデッドロックなど、複数のPCにより操作権の付与が制御されるときに生じる可能性があるシステム上の問題を取り除くことができる。この結果、本来的な業務として重要度が一番高い各PMの基板処理の制御を安定的に稼働させながら、ユーザアビリティを向上させることができる。
【0105】
これにより、オペレータは、より効率よく画面を操作することができるだけでなく、周囲の状況の変化に応じて上位PC100または下位PC200にて画面をフレキシブルに操作することができるため、操作ミスを軽減することができ、この結果、さらに、PMでの基板処理を制御する制御系の安定性を向上させて、製品の生産性を高めることができる。
【0106】
また、たとえば、操作権を与えたくないPCを予め特定しておけば、図10のステップ1010にて禁止しているPCに要求された画面群の操作権が付与されることを回避することができる。
【0107】
なお、ステップ1010に示した判定条件だけでなく、つぎ説明する所与の条件にしたがって、要求された画面群の操作権を要求されたPCに与えるか否かを判定することができる。
【0108】
たとえば、上位PC100と下位PC200とが、ほぼ同じタイミングに同じ画面群の操作を要求した場合、予め下位PC200の優先順位を上位PC100より高くしておけば、優先順位が高い下位PC200に要求された画面群の操作権が付与することができる。
【0109】
この結果、たとえば、いずれかのPMにトラブルが生じている場合、オペレータは、PMの近傍に配置された、優先順位が高い下位PC200の画面を用いてPMの状態を確かめながら操作することができる。
【0110】
なお、図10の操作権付与処理は、上位PC100が操作権を要求した場合にも適用される。この場合、操作権判定部165は、ステップ1015にて、上位PC100により操作を要求された画面群の操作権がいずれかの下位PC200に付与されているか否かを判定し、いずれかの下位PC200が操作権を有している場合には、ステップ1020にてそのPCにて実行中の一連の処理が終了するまで待ち、終了後、ステップ1025にて上位PC100に操作権を与えると判定し、これに応じて、操作権付与部170は、上位PC100に操作権を付与する。
【0111】
本実施形態では、以上に説明した割込処理により、異なる画面群の同時操作が可能になると同時に、PM1内で実行される基板処理の排他制御が可能となる。つぎに、このプロセス実行時の排他制御について、図13および図14のフローチャートを参照しながら説明する。図13は、下位PC200側にて実行されるプロセス実行制御情報入力処理を示したフローチャートであり、図14は、上位PC100側にて実行されるプロセス実行制御処理を示したフローチャートである。
【0112】
先程実行された割込処理により、現時点で、下位PC200eは、PM4用の画面群の操作権を有している。また、他のPM用の画面群の操作権は、上位PC100により保持されている。この状況に応じて、オペレータが、下位PC200eの画面を操作すると、図13のステップ1300からプロセス実行制御情報入力処理が開始される。
【0113】
(プロセス実行制御情報入力処理)
つぎに、ステップ1305にて、入力部220は、自己に操作権があるか否かを判定する。この時点では、下位PC200eは、自己のディスプレイ200eSDに表示されたPM4用画面の操作権を有するので、ステップ1310に進み、下位PCのディスプレイ200eSD200eに表示されたPM4用画面を用いて入力された情報を受け付ける。つぎに、ステップ1315に進んで、通信部225は、入力された情報を上位PC100に送信し、ステップ1395に進んで本処理を終了する。
【0114】
一方、自己に操作権がなければ、ステップ1305から直ちにステップにて1395に進んで本処理を終了する。この結果、自己に操作権があれば、オペレータによる下位PC200eの画面の操作は受け付けられ、入力情報としてPC内に取り込まれる。一方、自己に操作権がなければ、オペレータによる下位PC200eの画面の操作は受け付けられず、その入力情報は破棄される。
【0115】
(プロセス実行制御処理)
一方、下位PC200eから入力情報が送信された場合、上位PC100側にて、図14のステップ1400からプロセス実行制御処理が開始され、ステップ1405にて、操作権判定部165は、自己(上位PC100)に操作権があるか否かを判定する。
【0116】
この時点では、PM4用の画面群の操作権は、下位PC200eにある。そこで、ステップ1410に進み、通信部180は、操作権をもついずれかの下位PC200から入力情報を受信したか否かを判定する。
【0117】
この時点では、上位PC100は、先程、図13のプロセス実行情報入力処理を実行することにより下位PC200eから送信された情報を受信している。そこで、ステップ1415に進んで、処理実行制御部190は、下位PC200eから送信された情報に基づき、記憶部185に記憶されたシステムレシピからPM4用(有機EL用)のシステムレシピDを選択する。つぎに、ステップ1420に進み、処理実行制御部190は、システムレシピDにしたがって、基板GをTM→PM4→TMの順に搬送しながら、PM4にてプロセスレシピDに基づき6層連続有機EL蒸着膜形成処理を基板Gに施すための制御信号を生成し、生成された制御信号を該当下位PC200に送信して、ステップ1495に進んで本処理を終了する。
【0118】
一方、PM4用画面群以外の画面群については上位PC100に操作権がある。よって、PM4用画面群以外の画面群については、ステップ1405にて自己(上位PC100)に操作権があると判定し、ステップ1425に進む。入力部175は、ステップ1425にて、上位PC100のディスプレイ100MDに表示された各画面群の画面を用いてオペレータにより入力された情報を受け付け、ステップ1415に進む。処理実行制御部190は、同ステップにて上位PC100の画面から入力された情報に基づき、記憶部185に記憶されたシステムレシピから該当PM用のシステムレシピを選択する。つぎに、ステップ1420に進み、処理実行制御部190は、選択したシステムレシピにしたがって、基板Gに所望の処理を施すための制御信号を生成し、生成された制御信号を該当下位PC200に送信して、ステップ1495に進んで本処理を終了する。
【0119】
(駆動制御処理)
上位PC100から制御信号が送信された場合、該当下位PC200側には、図15のステップ1500から駆動制御処理が開始され、ステップ1505にて、駆動制御部235は、上位PC100から制御信号を受信したか否かを判定する。
【0120】
制御信号を受信していない場合、直ちにステップ1595に進んで本処理を終了するが、この時点では、上位PC100から制御信号を受信しているので、駆動制御部235は、ステップ1510に進み、制御信号に基づき記憶部210から該当プロセスレシピを選択し、ステップ1515に進んで、選択されたプロセスレシピにしたがって該当PM内の機器に駆動信号を送信することにより、各機器を駆動させ、これにより、PM内にて所望の処理を実行させる。
【0121】
以上、本実施形態によれば、画面への入力操作が有効になるのは、操作権を有するPCのみである。また、操作権は、画面群毎にいずれかのPCに付与されている。これにより、本実施形態では、異なる複数のPCにて異なる画面群に対して同時に別々に入力操作ができる。
【0122】
このように、異なる画面群を異なるPCにて同時に操作できるのは、図16に示した各ディスプレイ(ディスプレイ100MDおよびディスプレイ200SD)に表示可能な各画面群が上位PC100の画面データベース150,155および各下位PC200の画面データベース205にて画面群毎に管理されていて、さらに、各実体処理(TM処理、PM1処理、PM2処理、・・・PMn処理)も上位PC100の記憶部185および各下位PC200の記憶部210にて処理の種類毎に管理されているからである。よって、図16にて「横の分断」として示したように、実体処理と画面処理とを分けて画面操作を画面群毎に管理することにより、操作権付与部170は、画面群毎に操作権を付与することができる。これにより、画面群ごとの同時操作を可能にしている。
【0123】
一方、基板Gへの実体処理自体は、すべて上位PC100側にて実行される。これは、上述したように、上位PC100の記憶部185および下位PC200の記憶部210が基板に対する処理手順を処理の種類毎にモジュール化して管理することにより実現される。すなわち、図16にて「縦の分断」として示したように、上位PC100は、モジュール化された各処理手順を別々に用いてプロセスを制御し、下位PC200は、上位PC100の指令に基づいて各処理手順を示したプロセスレシピにより各PM内の機器を駆動する。
【0124】
これにより、上位PC100の処理実行制御部190は、操作権を有する複数のPCを操作して入力した情報(すなわち、下位PC200から受信した情報や上位PC100に入力した情報)に基づき、複数の処理を並行して排他的に実行することができる、また、このようにして、すべての実体処理を上位PC100にて実行することにより、各処理を遂行するためのデータの不整合を回避して、安定的にシステムを稼働することができる。
【0125】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態にかかる基板処理システム10について説明する。第2実施形態では、下位PC200に特定の画面群の操作権が付与された場合、上位PC100のディスプレイ100MDに、その特定された画面群を表示しない点で、操作権の有無にかかわらず、上位PC100のディスプレイ100MDに、すべての画面群を表示可能な第1実施形態にかかる基板処理システム10と動作上相違する。よって、この相違点を中心に本実施形態にかかる基板処理システム10について説明する。
【0126】
(操作権付与処理)
たとえば、下位PC200bから操作要求割込信号が送信されると、上位PC100は、これを受けて、図17に示したステップ1700からから操作権付与処理を開始し、ステップ1005〜1025にて第1実施形態と同様に、画面の操作を要求した下位PC200aにPM1用の画面群の操作権を付与する。その後、ステップ1705に進んで、表示部195は、自己(上位PC100)に各画面群の操作権があるか否かを判定する。
【0127】
この時点で、上位PC100は、PM1用の画面群の操作権を有しない。そこで、ステップ1710に進んで、表示部195は、上位PC100のディスプレイ100MDから操作権を持たないPM1用の画面群の表示を禁止し、ステップ1795に進んで本処理を終了する。
【0128】
これによれば、図18に示したように、上位PC100のディスプレイ100MDには、PM1用の画面群以外の画面群が表示され、PM1用の画面群は表示されない。これにより、本実施形態によれば、ある下位PC200に操作権が付与された画面群は、上位PC100(および他の下位PC200)のディスプレイに表示されない。これにより、重要な情報を操作権のないPCの画面に表示することによって重要な情報が流出することを防ぐことができる。
【0129】
上記実施形態において、各部の動作はお互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができ、これにより、画面の操作権の付与を制御する上位制御装置の実施形態を、画面の操作権を付与する方法の実施形態とすることができる。また、上位制御装置の各部の動作を、各部の処理と置き換えることにより、画面の操作権の付与を制御する上位制御装置の実施形態を、画面の操作権付与プログラムの実施形態とすることができる。また、画面の操作権付与プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させることにより、画面の操作権付与プログラムの実施形態を、プログラムに記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施形態とすることができる。
【0130】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0131】
たとえば、本発明に用いられる基板は、ガラス基板に限られず、たとえばシリコンウエハであってもよい。すなわち、本発明に用いられる基板は、たとえば有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などに用いられる基板であればよく、本発明にかかる基板処理装置は、このような基板に所望の処理を施すことができる装置であればよい。
【0132】
また、本発明にかかる基板処理装置としては、エッチング装置、CVD装置等の他に、コータデベロッパ、洗浄装置、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)装置、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)装置、露光装置、イオンインプランタなどがある。また、本発明にかかる基板処理装置では、熱拡散処理、アッシング処理等を実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1および第2実施形態にかかる基板処理システムの概略図である。
【図2】同実施形態にかかるクリーンルーム内の各機器の配置図である。
【図3】同実施形態にかかるPM2の縦断面である。
【図4】同実施形態にかかるPM4の斜視図である。
【図5】同実施形態にかかるPCのハードウエア構成図である。
【図6】同実施形態にかかる上位PCの機能構成図である。
【図7】同実施形態にかかる下位PCの機能構成図である。
【図8】同実施形態にかかるプロセスレシピCの一部を例示した図である。
【図9】同実施形態にかかる操作要求割り込み処理を示したフローチャートである。
【図10】第1実施形態にかかる操作権付与処理を示したフローチャートである。
【図11】第1および第2実施形態にかかる上位PCのディスプレイにて操作権の有無を表示する画面の一例である。
【図12】同実施形態にかかるPCのディスプレイにて操作権を表示する画面の一例である。
【図13】同実施形態にかかるプロセス実行制御情報入力処理を示したフローチャートである。
【図14】同実施形態にかかるプロセス実行制御処理を示したフローチャートである。
【図15】同実施形態にかかる駆動制御処理を示したフローチャートである。
【図16】第1実施形態にかかる各処理のモジュール化と同時操作および排他制御との関係を説明するための図である。
【図17】第2実施形態にかかる操作権付与処理を示したフローチャートである。
【図18】同実施形態にかかる画面表示を説明するための図である。
【符号の説明】
【0134】
10 基板処理システム
100 上位PC
150 TM画面データベース
155 PM画面データベース
160 画面特定部
165 操作権判定部
170 操作権付与部
175,220 入力部
180,225 通信部
185,210 記憶部
190 処理実行制御部
195、230 表示部
100MD、200SD、200aSD〜200eSD ディスプレイ
200、200a〜200e 下位PC
205 画面データベース
215 操作権要求部
235 駆動制御部
300 ネットワーク
400 LAN
500 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第1の下位制御装置と、搬送装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第2の下位制御装置と、にネットワークを介して接続され、前記第1の下位制御装置の表示部に表示される画面群と第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群とを表示可能な表示部を備えるとともに前記第1の下位制御装置および前記第2の下位制御装置を制御する上位制御装置であって、
前記第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および前記第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ記憶する画面データベースと、
前記第1の下位制御装置または前記第2の下位制御装置のいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、前記画面データベースに記憶された複数の画面群から前記操作を要求された画面群を特定する画面特定部と、
前記画面特定部により特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えるか否かを判定する操作権判定部と、
前記操作権判定部により前記画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えると判定された場合、前記第1の下位制御装置、前記第2の下位制御装置および前記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可するために、前記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更することなく前記特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に付与する操作権付与部とを備える上位制御装置。
【請求項2】
前記操作権判定部は、
前記特定された画面群の操作権が、前記複数の制御装置のうち、前記要求した下位制御装置以外の制御装置に付与されている場合、前記操作権を付与されている制御装置にて実行中の処理が終了した後、前記特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えると判定する請求項1に記載された上位制御装置。
【請求項3】
前記操作権判定部は、
前記上位制御装置により操作を要求された画面群の操作権がいずれかの下位制御装置に付与されている場合、前記いずれかの下位制御装置にて実行中の処理が終了した後、前記要求された画面群の操作権を前記上位制御装置に与えると判定する請求項2に記載された上位制御装置。
【請求項4】
前記操作権判定部は、
前記複数の制御装置から同じ画面群の操作が要求された場合、予め定められた優先順位にしたがって、前記複数の制御装置のうち優先順位が高い制御装置から順に前記要求された画面群の操作権を与えると判定する請求項3に記載された上位制御装置。
【請求項5】
前記操作権判定部は、
前記操作を要求した制御装置に対して予め操作権の付与を禁止しているか否かを判定し、禁止している場合、前記操作を要求した制御装置に操作権を与えないと判定する請求項1〜4のいずれかに記載された上位制御装置。
【請求項6】
前記操作権付与部により操作権が前記上位制御装置に付与された場合、前記操作権が付与された上位制御装置の表示部に表示された画面を用いて入力された情報を受け付ける入力部と、
前記操作権付与部により操作権がいずれかの下位制御装置に付与された場合、前記操作権が付与された下位制御装置の表示部に表示された画面を用いて入力された情報を前記操作権が付与された下位制御装置から受信する通信部と、
前記基板処理装置にて実行される複数の基板処理の手順を示したレシピを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された各レシピに基づき、前記通信部により受信された情報に基づいて実行される所定の処理を、前記入力部により受け付けられた入力情報に基づいて実行される他の所定の処理と並行して実行する処理実行制御部とをさらに備える請求項3〜5のいずれかに記載された上位制御装置。
【請求項7】
前記上位制御装置の表示部は、
前記操作権が付与された下位制御装置の表示部に表示された画面への入力操作に対応して前記通信部により受信された情報に基づき、前記操作権が付与された下位制御装置の表示部に表示された画面の内容と整合性を保つように、前記上位制御装置の表示部に表示された画面の内容を更新する請求項6に記載された上位制御装置。
【請求項8】
前記上位制御装置の表示部は、
下位制御装置のいずれかに前記操作権が付与された場合であって、前記上位制御装置の表示部に前記操作権が付与された画面群を表示することが予め禁止されている場合、前記画面群を表示しない請求項6に記載された上位制御装置。
【請求項9】
前記上位制御装置は、複数の基板処理装置を制御する複数の第1の下位制御装置と接続されるとともに、前記複数の基板処理装置に隣接し、基板を搬送する搬送装置を制御する第2の下位制御装置と接続され、
前記画面データベースは、
前記複数の第1の下位制御装置の表示部に表示される複数の画面群および前記第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群を画面群毎に管理し、
前記記憶部は、
前記複数の基板処理装置により実行される複数の基板処理の処理手順をレシピ毎に管理し、
前記操作権付与部は、
前記画面データベースにより管理された画面群毎に画面の操作権を前記複数の制御装置のいずれかに付与することにより、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可し、
前記処理実行制御部は、
前記記憶部により管理された各レシピに基づき、前記複数の基板処理装置にて実行される複数の基板処理を並行して排他的に制御する請求項6〜8のいずれかに記載された上位制御装置。
【請求項10】
前記複数の第1の下位制御装置は、
前記複数の基板処理装置が配設された室内であって、前記複数の基板処理装置の近傍に配置され、
前記第2の下位制御装置は、前記複数の基板処理装置が配設された室内と同一室内であって、前記複数の基板処理装置に隣接して配設された前記搬送装置の近傍に配置され、
前記上位制御装置は、
前記室内から隔離された室外に配置され、各下位制御装置と情報を送受信することにより、前記複数の基板処理装置にて実行される複数の基板処理および前記搬送装置にて実行される搬送処理を制御するとともに、前記各下位制御装置の表示部に表示可能な画面群の操作権の付与を制御する請求項9に記載された上位制御装置。
【請求項11】
画面の操作権を制御する上位制御装置にネットワークを介して接続され、基板処理装置を操作するための画面群または搬送装置を操作するための画面群のいずれかを表示可能な表示部を備える下位制御装置であって、
前記下位制御装置の表示部に表示可能な画面群を記憶する画面データベースと、
前記画面データベースに記憶された画面群の操作権を要求するための情報を生成する操作権要求部と、
前記操作権要求部により生成された操作権要求情報を前記上位制御装置に送信することにより画面の操作を要求し、送信された操作権要求情報に応じて前記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更することなく、前記操作を要求された画面群の操作権が前記上位制御装置により前記下位制御装置に付与された場合、前記操作権を付与された下位制御装置の表示画面を用いて入力された情報を前記上位制御装置に送信する通信部とを備えることにより、前記操作権を付与された下位制御装置から送信された情報に基づいて実行される所定の処理を、前記上位制御装置の表示部に表示された画面を用いて入力された情報に基づいて実行される他の所定の処理と並行して前記上位制御装置に実行させる下位制御装置。
【請求項12】
基板処理装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第1の下位制御装置と、搬送装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第2の下位制御装置と、にネットワークを介して接続され、前記第1の下位制御装置の表示部に表示される画面群と第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群とを表示可能な表示部を備えるとともに前記第1の下位制御装置および前記第2の下位制御装置を制御する上位制御装置を用いて画面の操作権を付与する方法であって、
前記第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および前記第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ画面データベースに記憶し、
前記第1の下位制御装置または前記第2の下位制御装置のいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、前記画面データベースに記憶された複数の画面群から前記操作を要求された画面群を特定し、
前記特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えるか否かを判定し、
前記画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えると判定された場合、前記第1の下位制御装置、前記第2の下位制御装置および前記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可するために、前記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく前記特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に付与する画面の操作権付与方法。
【請求項13】
基板処理装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第1の下位制御装置と、搬送装置を操作するための画面群を表示可能な表示部を有する第2の下位制御装置と、にネットワークを介して接続され、前記第1の下位制御装置の表示部に表示される画面群と第2の下位制御装置の表示部に表示される画面群とを表示可能な表示部を備えるとともに前記第1の下位制御装置および前記第2の下位制御装置を制御する上位制御装置を用いて画面の操作権を付与する処理をコンピュータに実行させるための画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記第1の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群および前記第2の下位制御装置の表示部に表示可能な画面群をそれぞれ画面データベースに記憶する処理と、
前記第1の下位制御装置または前記第2の下位制御装置のいずれかから送信された画面の操作要求に応じて、前記画面データベースに記憶された複数の画面群から前記操作を要求された画面群を特定する処理と、
前記特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えるか否かを判定する処理と、
前記画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に与えると判定された場合、前記第1の下位制御装置、前記第2の下位制御装置および前記上位制御装置からなる複数の制御装置のうち、異なる制御装置が異なる画面群に対して同時に別々に操作することを許可するために、前記特定された画面群以外の画面群の操作権の付与先を変更させることなく前記特定された画面群の操作権を前記要求した下位制御装置に付与する処理とをコンピュータに実行させる画面の操作権付与プログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−129622(P2008−129622A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310001(P2006−310001)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】