説明

上部ランナー

【課題】引戸等の戸板上部において、がたつきや摺動による騒音を生じることなく戸板を安定的に保持し、また塗装の剥げ等によるゴミを発生させないような上部ランナーを提供する。
【解決手段】戸板8の上部に固定される支持部材3と、支持部材3に上下方向へ進退可能に組み付けられた支持軸2と、支持軸2の上端部に取り付けられ、鴨居に設けられたレールに沿って移動可能なガイド部材1と、支持部材3から上方へ突出する方向に支持軸2を付勢する付勢手段4とを備えた上部ランナー10において、ガイド部材1は平面視円形で、かつガイド部材1の上面には径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状の傾斜面11が形成されており、開口部を下向きにしたV字形凹部51を備え、鴨居200に設けられたVレール5に対して、傾斜面11とV字形凹部51が嵌合するようにガイド部材1を上向きに押圧した状態で、ガイド部材1をVレール5に沿って移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸板の下部側で戸板の荷重を支える下荷重タイプの折戸、引戸等に取り付けられ、戸板の上部側の開閉移動を案内する上部ランナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅においては襖や障子に代表される引戸が多用されてきたが、近年、開閉時の省スペース化等の利点から、和室のみならず洋室においても、ドア風の外観を呈する引戸が使用されるようになっている。
さらに、欠点とされてきた開閉時の重さを軽減するために、戸車やレールの改良も進められている。
【0003】
図9は、従来例に係る引戸8の取付構造を示す正面図である。
引戸8の下部には戸車9が装着されて、敷居300に設けられたレール301上を走行するようになっており、戸板8の荷重は下部側で支えられている。
一方、引戸8の上部には上部ランナー100が装着されて、鴨居200に設けられたレール201に沿って移動するようになっている。
【0004】
図10は、従来例に係る引戸8上部における取付構造を示す断面図である。
引戸8の上部に装着される上部ランナー100は、戸板8の上部に固定される支持部材103と、支持部材103に上下方向へ進退可能に組み付けられた支持軸102と、支持軸102の上端部に取り付けられたガイド部材101から構成されている。
支持軸102は、バネ等の付勢手段(図示しない)により、支持部材103から上方へ突出する方向に付勢されている。また、ガイド部材101は、その外周方向に回動自在に取り付けられている。
そして、ガイド部材101が鴨居200に設けられたレール201の間に挿入され、レール201に沿って移動して、戸板8を移動して開閉するようになっている。
【0005】
また、上記従来の上部ランナーを改良したものとして、上部ランナーの支持部材がアウターケースとインナー部とからなり、アウターケースとインナー部との差込角度を変更して戸板の建込みを前後方向に位置調整するようにした発明(特許文献1)、ロック機構を設けてガイド部材を支持部材内に収容させた状態を維持するようにした発明(特許文献2)、支持部材がアウターケースとインナー部とからなり、アウターケースに対してインナー部をスライドさせて戸板の建込みを前後方向に位置調整するようにした発明(特許文献3)が開示されている。
【特許文献1】特許第2863128号公報
【特許文献2】特許第3001188号公報
【特許文献3】特許第3089617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来例においては、上部ランナー100のガイド部材101をレール201に沿って円滑に移動させるために、ガイド部材101の左右の幅よりもレール201の幅を若干広くして遊びを設ける必要があった。そのため、開閉時や風によるがたつきが生じ、騒音が発生していた。
これに対して、がたつきを防止するために遊びを少なくし過ぎると、戸板が僅かでも反った場合に引っ掛かりが生じて、戸板の円滑な開閉が困難となっていた。
【0007】
また、ガイド部をレールに密着させて摺動させるようにした構造の上部ランナーもあるが、開閉時の摺動音が大きく、摺動の際の摩擦によるガイド部やレールの塗装の剥げ等によるゴミの発生の問題があった。特に、木製の鴨居の場合、構造上、レール内の溝底や溝側面の完全に平滑な塗装は不可能であり、塗料が付着していても表面はざらついているので、剥げが生じやすかった。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、引戸等の戸板上部において、がたつきや摺動による騒音を生じることなく戸板を安定的に保持し、また塗装の剥げ等によるゴミを発生させないような上部ランナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の上部ランナーは、戸板(8)の上部に固定される支持部材(3)と、前記支持部材(3)に上下方向へ進退可能に組み付けられた支持軸(2)と、前記支持軸(2)の上端部に取り付けられ、鴨居に設けられたレールに沿って移動可能なガイド部材(1)と、前記支持部材(3)から上方へ突出する方向に前記支持軸(2)を付勢する付勢手段(4)とを備えた上部ランナー(10)において、前記ガイド部材(1)は平面視円形で、かつ前記ガイド部材(1)の上面には径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状の傾斜面(11)が形成されており、開口部を下向きにしたV字形凹部(51)を備え、鴨居(200)に設けられたVレール(5)に対して、前記傾斜面(11)と前記V字形凹部(51)が嵌合するように前記ガイド部材(1)を上向きに押圧した状態で、前記ガイド部材(1)を前記Vレール(5)に沿って移動させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記ガイド部材(1)は、その外周方向に回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ガイド部材(1)の上面中心部に上方へ突出する突出部(12)が設けられ、前記Vレール(5)の底面に沿って形成された溝部(G)に前記突出部(12)を挿入した状態で、前記ガイド部材(1)を前記Vレール(5)に沿って移動させるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記ガイド部材(1)は、含油ゴム又はプラスチックであることを特徴とする。
なお、含油ゴムとは、油成分を入れて製造したゴムであり、含有された油成分の働きにより接触時の滑り性が良好となるようにしたものである。
【0013】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、上端にガイド部材が取り付けられた支持軸が支持部材に上下方向へ進退可能に組み付けられるとともに、付勢手段により支持軸を支持部材から上方へ突出する方向に付勢するので、ガイド部材を上向きに押し上げることができる。
従って、木造住宅によくあるように、鴨居が反って鴨居に設けたレールの位置が当初の取付位置から上下方向に変化してしまった場合でも、付勢された支持軸の上下方向の進退により十分に追従できるので、戸板がレールから外れることがない。また、レールが捩れた場合でも、レールの側面に支持軸が引っ掛かることはなく、戸板の走行に支障が生じない。
さらに、ガイド部材が平面視円形であり、かつ上面に径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状の傾斜面が形成されているので、開口部を下向きにしたV字形凹部を備えたVレールに対して、傾斜面とV字形凹部が嵌合するように当接させることができる。
以上により、傾斜面とV字形凹部が嵌合するようにガイド部材を上向きに押圧した状態で、ガイド部材をVレールに沿って移動させることができ、このときガイド部材はVレールと常時接触した状態にあるので、開閉時や風によるがたつきが生じて騒音が発生することがない。
また、ガイド部材は、Vレールに対して面ではなく線で接触するので、開閉時の抵抗が少ない。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、ガイド部材がその外周方向に回動可能に取り付けられているので、ガイド部材がVレールに沿って移動するときに接触部分で抵抗が生じても、ガイド部材が回転することで抵抗を吸収することができ、スムーズに移動させることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、ガイド部材の上面中心部に上方へ突出する突出部が設けられているので、Vレールの底面に沿って形成された溝部に突出部を挿入することができる。そして、その状態でガイド部材をVレールに沿って移動させるので、突出部と溝部の係合によりガイド部材がVレールからはずれてしまうのを防止し、戸板を安定的に保持することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、ガイド部材が含油ゴム又はプラスチックであるので、Vレールとの接触時に滑りやすく、Vレールに沿ってスムーズに移動させることができる。また、塗装の剥げ等によるゴミの発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態1に係る上部ランナーについて説明する。
図1は、実施形態1に係る上部ランナー10を示す正面図であり、図2は、上部ランナー10を示す断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、上部ランナー10は、ガイド部材1、支持軸2、支持部材3、及びバネ4から構成されている。
支持部材3は有底で略円筒形の形状であり、支持部材3の中心には上下方向に挿入孔が設けられており、その挿入孔に支持軸2が上下方向へ進退可能に組み付けられている。また、支持軸2の下面と支持部材3の底面との間には、支持軸2を支持部材3から上方へ突出する方向に付勢する付勢手段として、バネ4が装着されている。
支持軸2の上端部には、ガイド部材1が取り付けられている。
【0020】
図3は、上部ランナー10のガイド部材1の部分を示す拡大平面図であり、図4は、ガイド部材1の部分を示す拡大断面図である。
図3及び図4に示すように、ガイド部材1は平面視円形であり、その上面には、傾斜面11、中段部13、及び突出部12が、支持軸2の先端部21を中心として同心円を描くように形成されている。
このうち傾斜面11は、ガイド部材1の径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状に形成されており、突出部12は、ガイド部材1の上面中心部から上方へ突出するように設けられている。
また、中段部13は、突出部12の付根側周縁部と傾斜面11の上側周縁部を結ぶように平面を形成している。ただし、中段部13は必ずしも必要ではなく、突出部12の付根側周縁部と傾斜面11の上側周縁部を直接結ぶようにしてもよい。
このように、ガイド部材1は、中心部に突出部12を有する傘型形状に形成されている。
【0021】
ガイド部材1は、支持軸2の上端部を周囲から覆うように取り付けられており、支持軸2の先端部21が上面に露出している。
ガイド部材1は、支持軸2に対して動かないように接着等により固定してもよいが、支持軸2を中心として、ガイド部材1がその外周方向に回動可能となるように取り付けることが好ましい。
また、ガイド部材1の材質は、レールとの接触時にスムーズに移動できるようなものを用いることが好ましい。特に、含油ゴムや、ナイロン、シリコン、テフロン樹脂等の滑り性に優れたプラスチックが適している。なお、含油ゴムとは、油成分を入れて製造したゴムであり、含有された油成分の働きにより接触時の滑り性が良好となるようにしたものである。
【0022】
図5は、実施形態1に係る上部ランナー10を用いた引戸上部における取付構造を示す断面図である。
鴨居200には断面矩形状のレール201が切削され、レール201内にVレール5が嵌装されている。Vレール5は、底壁部52と底壁部52の両端から延びる側壁部53,53により断面略コ字形に形成されており、底壁部52と側壁部53,53により、Vレール5の底面に沿って溝部Gが形成されている。そして、Vレール5は、開口部を下向きにして鴨居200のレール201に取り付けられている。
Vレール5の側壁部53,53の開口部側先端には、幅方向の中心から外側に向けて、かつ開口部側に向けて傾斜するV字形凹部51,51が形成されている。V字形凹部51,51は、上部ランナー10の傾斜面11と嵌合するようになっている。
また、Vレール5の材質は、ガイド部材1との接触時にスムーズに移動できるようなものを用いることが好ましい。特に、アルミ製やプラスチック製のものが適している。
【0023】
Vレール5の底面に形成される溝部Gは、その幅や深さが様々なものを用いることができる。一般的に、溝部Gの幅が広く大型ものは、「Yレール」とも称されるが、本実施形態におけるVレールは、V字形凹部51,51を有するものであればよく、こうした「Yレール」と称されるものも含まれる。
【0024】
上部ランナー10は、その支持部材3が戸板の上部に設けられた縦孔に嵌入されて固定される。そして、戸板を開閉すると、上部ランナー10のガイド部材1がVレール5に沿って移動する。
このとき、ガイド部材1はバネ4により上向きに押圧されるとともに、ガイド部材1の傾斜面11とVレール5のV字形凹部51とが嵌合した状態となり、傾斜面11とV字形凹部51は移動の間、常時接触する。さらに、ガイド部材1は傘型形状であるので、傾斜面11とV字形凹部51の接触部分は面ではなく、線(図3における破線部T1)である。
【0025】
さらに、ガイド部材1の突出部12は、Vレール5の溝部Gに挿入された状態になっている。なお、突出部12の先端と溝部Gの底面との間には隙間が設けられており、ガイド部材1の上方への押圧力は、傾斜面11とV字形凹部51との接触部分で受け止められるようになっている。
【0026】
なお、本実施形態においては、Vレール5をレール201内に嵌め込んで固定する構成としているが、図11及び図12に示すようなVレール50としてもよい。図11は、Vレール50の斜視図であり、図12は、Vレール50の固定状態を示す断面図である。
Vレール50には、側壁部53,53から外側に屈曲する鍔部54,54が形成されており、鍔部54,54には複数のネジ孔55が設けられている。そして、ネジ孔55にネジ80を差し込んで鴨居200に固定する。
これにより、レール201の幅が広すぎる場合でも、Vレール50を固定することができる。
【0027】
実施形態1に係る上部ランナー10によれば、上端にガイド部材1が取り付けられた支持軸2が支持部材3に上下方向へ進退可能に組み付けられるとともに、バネ4により支持軸2を支持部材3から上方へ突出する方向に付勢するので、ガイド部材1を上向きに押し上げることができる。
従って、木造住宅によくあるように、鴨居200が反って鴨居に設けたレール201の位置が当初の取付位置から上下方向に変化してしまった場合でも、付勢された支持軸2の上下方向の進退により十分に追従できるので、戸板がレール201から外れることがない。また、レール201が捩れた場合でも、レール201の側面に支持軸2が引っ掛かることはなく、戸板の走行に支障が生じない。
さらに、ガイド部材1が平面視円形であり、かつ上面に径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状の傾斜面11が形成されているので、開口部を下向きにしたV字形凹部51を備えたVレール5に対して、傾斜面11とV字形凹部51が嵌合するように当接させることができる。
以上により、傾斜面11とV字形凹部51が嵌合するようにガイド部材1を上向きに押圧した状態で、ガイド部材1をVレール5に沿って移動させることができ、このときガイド部材1はVレール5と常時接触した状態にあるので、開閉時や風によるがたつきが生じて騒音が発生することがない。
また、ガイド部材1は、Vレール5に対して面ではなく線で接触するので、開閉時の抵抗が少ない。
【0028】
また、ガイド部材1の上面中心部に上方へ突出する突出部12が設けられているので、Vレール5のV字形凹部51の底面に沿って形成された溝部Gに突出部12を挿入することができる。そして、その状態でガイド部材1をVレール5に沿って移動させるので、突出部12と溝部Gの係合によりガイド部材1がVレール5からはずれてしまうのを防止し、戸板を安定的に保持することができる。
【0029】
また、ガイド部材1をその外周方向に回動可能に取り付けることにより、ガイド部材1がVレール5に沿って移動するときに接触部分で抵抗が生じても、ガイド部材1が回転することで抵抗を吸収することができ、スムーズに移動させることができる。
【0030】
また、ガイド部材1を含油ゴム又はプラスチックで形成することにより、Vレール5との接触時に滑りやすく、Vレール5に沿ってスムーズに移動させることができる。また、塗装の剥げ等によるゴミの発生を防ぐことができる。
さらに、Vレール5をアルミ製やプラスチック製とすることにより、よりスムーズに移動させ、塗装の剥げ等によるゴミの発生をより効果的に防止することができる。
【0031】
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施形態2に係る上部ランナーについて説明する。
実施形態2に係る上部ランナー20は、実施形態1に係る上部ランナー10とほぼ同様の構成であるが、ガイド部材の形状が異なる。
図6は、上部ランナー20のガイド部材6の部分を示す拡大平面図であり、図7は、ガイド部材6の部分を示す拡大断面図である。
【0032】
図6及び図7に示すように、ガイド部材6は平面視円形であり、その上面には、傾斜面61が形成されている。傾斜面61は、ガイド部材6の径方向中心部から径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状に形成されている。実施形態2に係るガイド部材6には、実施形態1に係るガイド部材1と異なり、突出部は形成されていない。
このように、ガイド部材6は、径方向中心部から径方向外周側まで一定角度の傾斜面61を有する傘型形状に形成されている。
ガイド部材6は、支持軸2の上端部全体を覆うように取り付けられており、支持軸2の先端は上面に露出していない。
【0033】
図8は、実施形態2に係る上部ランナー60を用いた引戸上部における取付構造を示す断面図である。
鴨居200には断面矩形状のレール201が切削され、レール201内にVレール7が嵌装されている。
Vレール7には、幅方向の中心から外側に向けて、かつ開口部側に向けて傾斜するV字形凹部71,71が形成されている。V字形凹部71,71は、上部ランナー60の傾斜面61と嵌合するようになっている。実施形態2においては、実施形態1におけるVレール5のような溝部Gは形成されていない。そして、Vレール7は、開口部を下向きにして鴨居200のレール201に取り付けられている。
【0034】
実施形態1に係る上部ランナー10と同様に、戸板を開閉すると、上部ランナー60のガイド部材6がVレール7に沿って移動する。
このとき、ガイド部材6はバネ4により上向きに押圧されるとともに、ガイド部材6の傾斜面61とVレール7のV字形凹部71とが嵌合した状態となり、傾斜面61とV字形凹部71は移動の間、常時接触する。さらに、ガイド部材6は傘型形状であるので、傾斜面61とV字形凹部71の接触部分は面ではなく、線(図6における破線部T2)である。
【0035】
実施形態2に係る上部ランナー60によれば、実施形態1に係る上部ランナー10と同様に、傾斜面61とV字形凹部71が嵌合するようにガイド部材6を上向きに押圧した状態で、ガイド部材6をVレール7に沿って移動させることができ、このときガイド部材6はVレール7と常時接触した状態にあるので、開閉時や風によるがたつきが生じて騒音が発生することがない。
また、ガイド部材6は、Vレール7に対して面ではなく線で接触するので、開閉時の抵抗が少ない。
【0036】
なお、上記実施形態1及び実施形態2においては、戸板として引戸を用いた例を示したが、折れ戸や収納の扉等についても適用可能である。
さらに、背景技術として説明した、上部ランナーの支持部材がアウターケースとインナー部とからなり、アウターケースとインナー部との差込角度を変更して戸板の建込みを前後方向に位置調整するようにした発明(特許文献1)、ロック機構を設けてガイド部材を支持部材内に収容させた状態を維持するようにした発明(特許文献2)、支持部材がアウターケースとインナー部とからなり、アウターケースに対してインナー部をスライドさせて戸板の建込みを前後方向に位置調整するようにした発明(特許文献3)等と組み合わせることが可能であり、さらに効果的な上部ランナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態1に係る上部ランナーを示す正面図である。
【図2】実施形態1に係る上部ランナーを示す断面図である。
【図3】実施形態1に係る上部ランナーのガイド部材の部分を示す拡大平面図である。
【図4】実施形態1に係る上部ランナーのガイド部材の部分を示す拡大断面図である。
【図5】実施形態1に係る上部ランナーを用いた引戸上部における取付構造を示す断面図である。
【図6】実施形態2に係る上部ランナーのガイド部材の部分を示す拡大平面図である。
【図7】実施形態2に係る上部ランナーのガイド部材の部分を示す拡大断面図である。
【図8】実施形態2に係る上部ランナーを用いた引戸上部における取付構造を示す断面図である。
【図9】従来例に係る引戸の取付構造を示す正面図である。
【図10】従来例に係る引戸上部における取付構造を示す断面図である。
【図11】他の実施形態に係るVレールを示す斜視図である。
【図12】他の実施形態に係るVレールの固定状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ガイド部材
2 支持軸
3 支持部材
4 バネ
5 Vレール
6 ガイド部材
7 Vレール
8 戸板
9 戸車
10 上部ランナー
11 傾斜面
12 突出部
13 中段部
21 先端
50 Vレール
51 V字形凹部
52 底壁部
53 側壁部
54 鍔部
55 ネジ孔
60 上部ランナー
61 傾斜面
71 V字形凹部
80 ネジ
100 上部ランナー
101 ガイド部材
102 支持軸
103 支持部材
300 敷居
301 レール
200 鴨居
201 レール
G 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸板の上部に固定される支持部材と、前記支持部材に上下方向へ進退可能に組み付けられた支持軸と、前記支持軸の上端部に取り付けられ、鴨居に設けられたレールに沿って移動可能なガイド部材と、前記支持部材から上方へ突出する方向に前記支持軸を付勢する付勢手段とを備えた上部ランナーにおいて、
前記ガイド部材は平面視円形で、かつ前記ガイド部材の上面には径方向外周側へ向かって下方に傾斜するテーパ状の傾斜面が形成されており、
開口部を下向きにしたV字形凹部を備え、鴨居に設けられたVレールに対して、前記傾斜面と前記V字形凹部が嵌合するように前記ガイド部材を上向きに押圧した状態で、前記ガイド部材を前記Vレールに沿って移動させるようにしたことを特徴とする上部ランナー。
【請求項2】
前記ガイド部材は、その外周方向に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の上部ランナー。
【請求項3】
前記ガイド部材の上面中心部に上方へ突出する突出部が設けられ、前記Vレールの底面に沿って形成された溝部に前記突出部を挿入した状態で、前記ガイド部材を前記Vレールに沿って移動させるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の上部ランナー。
【請求項4】
前記ガイド部材は、含油ゴム又はプラスチックであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の上部ランナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−170081(P2007−170081A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370603(P2005−370603)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】