説明

下枠フラットサッシ

【課題】下枠の左右両端部も含めて敷居面を略平坦状とすることのできる下枠フラットサッシを提供する。
【解決手段】下枠11は室内側端部に室内側に向かって延出されるアングル片15を備え、内障子2は下枠11の敷居面13より下方まで垂下された内障子垂下片2bを備え、下枠11の上面には内障子2が全開状態とされたときに内障子2の下端部に当接する内障子戸当たり部材40が設けられ、内障子戸当たり部材40はアングル片15の室外端部近傍から外レール21近傍に渡る内部材本体部41を備え、内部材本体部41は内レール32を跨ぐ凹状部43を下面に備えると共に、上面42がアングル片15の上面と略同じ高さを有し、内障子2は内障子垂下片2bが設けられた高さ位置で内部材本体部41の側面に当接自在とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体内に内外障子を納めてなると共に下枠の敷居面が略平坦状に形成された下枠フラットサッシに関し、特に内外障子が全開状態とされたときに各障子の下端部に当接する戸当たり部材を下枠の上面に設けた下枠フラットサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を引き違い状に納め、内外障子を案内する内外レールの上端を含む下枠の敷居面を略平坦状に形成した下枠フラットサッシが知られている。下枠フラットサッシにおいては、通常のサッシと同様に、内外障子が全開状態とされたときに各障子の下端部に当接する戸当たり部材が、下枠の上面に設けられる。
【0003】
戸当たり部材は、障子をできるだけ大きく開放するために、縦枠の近傍である下枠の左右両端部にそれぞれ設けられる。そして、各障子が全開状態のときに戸当たり部材に当接することで、障子が枠体に直接衝突することによる衝撃を緩和することができる。このように戸当たり部材を有した下枠フラットサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2004−346505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の下枠フラットサッシは、戸当たり部材として通常のサッシに用いる部品をそのまま使用しており、したがって戸当たり部材は下枠の敷居面から大きく突出していた。すなわち、下枠の敷居面を略平坦状に形成した下枠フラットサッシにおいて、左右端部に上方に突出した部分を有することになり、意匠性を低下させると共に室内外を通行する際の障害となることもあった。
【0005】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、下枠の左右両端部も含めて敷居面を略平坦状とすることのできる下枠フラットサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る下枠フラットサッシは、建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を引き違い状に納め、前記枠体を構成する下枠は前記内外障子を案内する内外レールの上端を含む敷居面が略平坦状に形成された下枠フラットサッシにおいて、
前記下枠は室内側端部に室内側に向かって延出されるアングル片を備え、前記内障子は前記下枠の敷居面より下方まで垂下された内障子垂下片を備え、
前記下枠の上面には前記内障子が全開状態とされたときに該内障子の下端部に当接する内障子戸当たり部材が設けられ、該内障子戸当たり部材は前記アングル片の室外端部近傍から前記外レール近傍に渡る内部材本体部を備え、該内部材本体部は前記内レールを跨ぐ凹状部を下面に備えると共に、上面が前記アングル片の上面と略同じ高さを有し、前記内障子は内障子垂下片が設けられた高さ位置で前記内部材本体部の側面に当接自在とされることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記内障子戸当たり部材は前記凹状部内に前記内レールに係止される弾性変形自在な内部材係止片を有してなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記内障子を構成する内召合せ框の下端部には樹脂製の内障子下端ブロックが設けられ、該内障子下端ブロックは前記内障子垂下片と連続状で端面が前記内障子戸当たり部材に対して当接自在な内障子垂下片延長部を備え、該内障子垂下片延長部は断面中空状に形成されると共に、中空内部に金属製の補強金具が設けられてなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記内障子垂下片には前記内レールの室外面に対して当接する気密材が設けられ、前記内障子下端ブロックの内障子垂下片延長部には、前記内障子垂下片の気密材と連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されてなることを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記外障子は前記下枠の敷居面より下方まで垂下された外障子垂下片を備え、
前記下枠の上面には前記外障子が全開状態とされた時に該外障子の下端部に当接する外障子戸当たり部材が設けられ、該外障子戸当たり部材は前記内障子の室外面近傍から前記外障子の室外面近傍に渡る外部材本体部を備え、該外部材本体部は前記外レールを跨ぐ凹状部を下面に備えると共に、上面が前記アングル片の上面と略同じ高さを有し、前記外障子は外障子垂下片が設けられた高さ位置で前記外部材本体部の側面に当接自在とされることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記外障子戸当たり部材は前記凹状部内に前記外レールに係止される弾性変形自在な外部材係止片を有してなることを特徴として構成されている。
【0012】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記外障子を構成する外召合せ框の下端部には樹脂製の外障子下端ブロックが設けられ、該外障子下端ブロックは前記外障子垂下片と連続状で端面が前記外障子戸当たり部材に対して当接自在な外障子垂下片延長部を備え、該外障子垂下片延長部は断面中空状に形成されると共に、中空内部に金属製の補強金具が設けられてなることを特徴として構成されている。
【0013】
さらにまた、本発明に係る下枠フラットサッシは、前記外障子垂下片には前記外レールの室外面に対して当接する気密材が設けられ、前記外障子下端ブロックの外障子垂下片延長部には、前記外障子垂下片の気密材と連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る下枠フラットサッシによれば、内障子戸当たり部材はアングル片の室外端部近傍から外レール近傍に渡る内部材本体部を備え、内部材本体部は内レールを跨ぐ凹状部を下面に備えると共に、上面がアングル片の上面と略同じ高さを有し、内障子は内障子垂下片が設けられた高さ位置で内部材本体部の側面に当接自在とされることにより、内障子戸当たり部材が下枠の敷居面から大きく突出することがなく、下枠が端部を含めて略平坦となり、平坦度を増すことができる。
【0015】
また、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、内障子戸当たり部材は凹状部内に内レールに係止される弾性変形自在な内部材係止片を有してなることにより、内障子戸当たり部材を下枠に容易に固定することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、内召合せ框の下端部には樹脂製の内障子下端ブロックが設けられ、内障子下端ブロックは内障子垂下片と連続状で端面が内障子戸当たり部材に対して当接自在な内障子垂下片延長部を備え、内障子垂下片延長部は断面中空状に形成されると共に、中空内部に金属製の補強金具が設けられてなることにより、内障子戸当たり部材に当接する内障子垂下片延長部の強度を大きくし、その破損を防止することができる。
【0017】
さらにまた、本発明に係る下枠フラットサッシよれば、内障子下端ブロックの内障子垂下片延長部には内障子垂下片の気密材と連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されてなることにより、内障子の下辺において端部まで連続的な気密をなすことができる。
【0018】
そして、本発明に係る下枠フラットサッシよれば、外障子戸当たり部材は内障子の室外面近傍から外障子の室外面近傍に渡る外部材本体部を備え、外部材本体部は外レールを跨ぐ凹状部を下面に備えると共に、上面がアングル片の上面と略同じ高さを有し、外障子は外障子垂下片が設けられた高さ位置で外部材本体部の側面に当接自在とされることにより、外障子戸当たり部材が下枠の敷居面から大きく突出することがなく、下枠が端部を含めて略平坦となり、平坦度を増すことができる。
【0019】
また、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、外障子戸当たり部材は凹状部内に外レールに係止される弾性変形自在な外部材係止片を有してなることにより、外障子戸当たり部材を下枠に容易に固定することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る下枠フラットサッシによれば、外召合せ框の下端部には樹脂製の外障子下端ブロックが設けられ、外障子下端ブロックは外障子垂下片と連続状で端面が外障子戸当たり部材に対して当接自在な外障子垂下片延長部を備え、外障子垂下片延長部は断面中空状に形成されると共に、中空内部に金属製の補強金具が設けられてなることにより、外障子戸当たり部材に当接する外障子垂下片延長部の強度を大きくし、その破損を防止することができる。
【0021】
さらにまた、本発明に係る下枠フラットサッシよれば、外障子下端ブロックの外障子垂下片延長部には外障子垂下片の気密材と連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されてなることにより、外障子の下辺において端部まで連続的な気密をなすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における下枠フラットサッシの縦断面図を、図2には下枠フラットサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態の下枠フラットサッシは、建物開口部に設けられる枠体1内に内障子2と外障子3が引き違い状に納められてなり、外障子3の室外側にはさらに網戸4が走行自在に納められている。
【0023】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。また枠体1は、金属枠1aの室内側露出面を樹脂枠1bで覆っており、金属枠1aが室内側に直接露出しないようにすることで、断熱性及び意匠性を良好にしている。
【0024】
枠体1を構成する各枠材について見ると、上枠10は金属上枠10aと樹脂上枠10bからなっている。上枠10の内周面には、内障子2を上枠10の長手方向に案内する内案内部10cと、外障子3を上枠10の長手方向に案内する外案内部10dとが形成されている。内案内部10cは、樹脂上枠10bによって構成されており、外案内部10dは、金属上枠10a及び樹脂上枠10bによって構成されている。下枠11は、金属下枠20と樹脂下枠25からなっている。下枠11の詳細な構造については、後述する。
【0025】
縦枠12は、金属縦枠12aと樹脂縦枠12bからなっている。内障子2が配置される側の縦枠12は、内障子2の外周面と対向する位置に内周側に向かって突出する内周突出片12cを有しており、内障子2に設けられる気密材2aが当接することで、枠体1と内障子2との間の気密性を確保する。また、外障子3が配置される側の縦枠12は、外障子3の外周面と対向する位置に内周側に向かって突出する内周突出片12cを有しており、外障子3に設けられる気密材3aが当接することで、枠体1と外障子3との間の気密性を確保する。
【0026】
内障子2と外障子3は、いずれも方形状に框組みされてなる框体5内にガラス板からなるパネル体6を納めて構成され、下端部にはこれらを走行自在とするための戸車7が設けられている。框体5は、枠体1と同様に金属材の室内側露出面を覆うように樹脂材が設けられており、断熱性及び意匠性の向上を図っている。
【0027】
次に、下枠11の構成について詳細に説明する。図3には図1の下枠11付近拡大図を、図4には下枠11の分解断面図を、それぞれ示している。図3に示すように、下枠11は、金属下枠20の室内側露出面を覆うように樹脂下枠25が設けられて構成されている。図4に示すように金属下枠20は、断面中空状に形成されると共に、上面には室外側から順に網戸レール22と外レール21及び室内立ち上がり片23が突出状に形成されている。これら網戸レール22と外レール21及び室内立ち上がり片23は、いずれも上端位置が略同じ高さとなるように形成されている。また、樹脂下枠25は、金属下枠20の上面を覆うように設けられる上面被覆部材26と、金属下枠20の室内側面を覆うように設けられる室内面被覆部材27とからなっている。
【0028】
図4に示すように、金属下枠20の上面には、外レール21と室内立ち上がり片23との間に大きな凹状の領域が形成され、この領域に樹脂下枠25を構成する上面被覆部材26が取付けられる。上面被覆部材26は、金属下枠20の上面を被覆する上面被覆部26aと、金属下枠20の室内立ち上がり片23の室外面を被覆する立ち上がり被覆部26bとで、断面略L字状をなす形状に形成されている。
【0029】
金属下枠20の外レール21よりも室内側の上面には、樹脂枠係合片24が突出状に形成されており、上面被覆部材26は室外端部が樹脂枠係合片24に係合する。また、室内立ち上がり片23の上端近傍には、係合部23aが形成されており、上面被覆部材26の立ち上がり被覆部26bが係合し固定がなされる。
【0030】
上面被覆部材26の上面には、内レール部材30が載置される。内レール部材30は金属材からなり、上面被覆部材26に載置される基部31と、基部31から上方に突出状に形成される内レール32とからなっている。内レール32の上端位置は、外レール21や室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さとなるようにされている。
【0031】
上面被覆部材26の上面被覆部26aには、内レール部材30の基部31を係合させる内レール係合部26cが形成されており、内レール部材30の基部31は内レール係合部26cに係合すると共に、ネジ止めにより上面被覆部材26に対して固定される。この固定に用いられるネジ28は、金属下枠20の上面を貫通して中空内部にまで達しており、これによって内レール部材30を金属下枠20に対しても固定している。
【0032】
このように、内レール32を金属下枠20とは別体の金属材で形成した内レール部材30に設け、この内レール部材30を樹脂材からなる上面被覆部材26に載置固定しているので、内レール32は金属下枠20と熱絶縁されている。したがって、内障子2の荷重を支える内レール32の強度を充分に確保しつつ、これが室内側に露出することによる断熱性の悪化を防ぐことができる。
【0033】
また、内レール32と外レール21の間の領域には、長手方向略全長に渡って中間上面材34が設けられる。中間上面材34は、金属材によって形成されており、上面34aは内障子2の室外面近傍から外障子3の戸車7近傍に渡ると共に、内レール32や外レール21及び室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さとなるように形成されている。
【0034】
中間上面材34を下枠11に固定するため、上面被覆部材26の室外端部上面には上面材取付部品35が設けられる。上面材取付部品35は、樹脂材からなる小片状の部品として形成されており、下枠11の長手方向に沿って所定間隔おきに複数が設けられる。上面材取付部品35は、下枠11に対して取付けられる基部35aを有すると共に、その上面には中間上面材34を固定するための係合片35bが設けられる。
【0035】
上面材取付部品35の下面には、上面被覆部材26及び内レール部材30の室外端部によって形成される凹部29に係合する下面係合部35dが室内側を向くように形成されている。また、上面材取付部品35の室外面には、逆J字状の弾性係合部35cが形成されている。弾性係合部35cは、薄板状に形成されているので、室内外方向に弾性を有しており、その先端が外レール21の上端近傍に形成された鍔部21aに係合することにより、上面材取付部品35を室内側に付勢された状態とする。これにより、下面係合部35dは凹部29側に押しつけられて、上面材取付部品35が下枠11に固定された状態となる。
【0036】
中間上面材34は下面に取付部34bを有しており、この取付部34bが上面材取付部品35の係合片35bと係合することにより、中間上面材34が上面材取付部品35に対して固定される。中間上面材34は、各上面材取付部品35と係合されることにより、長手方向に沿って複数個所で下枠11に対して固定される。
【0037】
金属下枠20の室内側面を被覆するように設けられる室内面被覆部材27は、金属下枠20の室内側面を覆う室内面被覆部27aと、その上端から室内側に向かって延出されるアングル構成部27bとが一体的に形成されて断面略L字状をなすように形成されている。アングル構成部27bは、枠体1の室内側に設けられる床材(図示しない)の上面に当接してネジ止めされ、さらにその上面にはアングルカバー材14が設けられて、下枠11から室内側に延出されたアングル片15を構成する。
【0038】
内レール32と室内立ち上がり片23の間の領域には、室内上面材33が設けられる。室内上面材33は金属材からなり略薄板状をなすように形成される。室内上面材33の室外端部は、内レール32の上端近傍に形成される鍔部32aに係合し、一方で室内上面材33の室内端部は、上面被覆部材26を構成する立ち上がり被覆部26bの上端部分と係合する。
【0039】
そして、室内上面材33は、立ち上がり被覆部26bが被覆する立ち上がり片23に対しては、接触しないようにされている。これにより、室内上面材33は金属下枠20に対しては熱絶縁された状態となっている。また、室内上面材33は、立ち上がり被覆部26bの上端部分と内レール32の上端近傍の鍔部32aにそれぞれ係合し取付けられているため、その上面33aは内レール32や室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さとなっている。
【0040】
このように、内レール32と室内立ち上がり片23の間に金属材からなる室内上面材33を設け、室内上面材33を金属下枠20から熱絶縁されるように固定することで、下枠11上面の強度を大きくしつつ、断熱性も確保することができる。また、室内上面材33が取付けられる内レール部材30も、前述のように金属下枠20からは熱絶縁されているので、より断熱性の高い下枠フラットサッシとすることができる。
【0041】
なお、室内上面材33は、本実施形態では室内端部が樹脂下枠25を構成する上面被覆部材26の立ち上がり被覆部26bの上端と係合し固定されているが、金属下枠20と熱絶縁されていれば、樹脂下枠25を構成する室内面被覆部材27に対して係合固定するようにしてもよい。この場合には、室内上面材33が立ち上がり片23の上方を接触しないように跨ぐ必要があるので、立ち上がり片23の高さを若干低くする必要がある。
【0042】
金属下枠20の外レール21と網戸レール22の間には、室外上面材36が取付けられる。室外上面材36は、金属下枠20の上面及び網戸レール22の室内面にそれぞれ係合して固定されており、上面36aは内レール32や外レール21の上端位置と略同じ高さを有すると共に、網戸4の室内面近傍から外障子3の室外面近傍に渡るように形成されている。
【0043】
室外上面材36の上面36aと中間上面材34の上面34a、及び室内上面材33の上面33aは、これまで説明したようにいずれも網戸レール22、外レール21、内レール32、及び室内立ち上がり片23の上端位置と略同じ高さを有しており、しかもこれらの高さは枠体1の室内側の床材と略同じ高さを有している。これによって下枠11の上面は、全体として室内外に渡って略平坦な敷居面13を構成している。
【0044】
内障子2は、室外面が敷居面13よりも下方まで垂下された内障子垂下片2bを有している。内障子垂下片2bは、内レール32と中間上面材34との間の領域に納められ、内障子2を走行させた際に室内外方向にぶれないようにこれを案内する。内障子垂下片2bには気密材2aが設けられており、この気密材2aは内レール32の室外面に当接して、内障子2と枠体1間の気密性を確保している。
【0045】
外障子3も、室外面が敷居面13よりも下方まで垂下された外障子垂下片3bを有している。外障子垂下片3bは、外レール21と室外上面材36との間の領域に納められ、外障子3を走行させた際に室内外方向にぶれないようにこれを案内する。外障子垂下片3bにも気密材3aが設けられており、この気密材3aは外レール21の室外面に当接して、外障子3と枠体1間の気密性を確保している。また、中間上面材34には室内面に気密材34cが設けられており、この気密材34cが内障子2の室外面に当接することで、気密性をより高くしている。
【0046】
図5には、枠体1の横断面図であって下枠11を平面状に表した図を示している。この図では、枠体1のうち縦枠12付近の両端部のみを示している。図5は図2と同じ方向を向くように描かれており、図中右側に内障子2が、図中左側に外障子3が、それぞれ配置される。下枠11の上面には、内障子2が全開状態とされたときに内障子2に当接するように、図中左側の端部近傍に内障子戸当たり部材40が設けられる。また、外障子3が全開状態とされたときに外障子3に当接するように、図中右側の端部近傍に外障子戸当たり部材45が設けられる。
【0047】
図6には、内障子戸当たり部材40の斜視図を示している。内障子戸当たり部材40は、ブロック状の内部材本体部41からなり、内部材本体部41は上面側に略平面状の上面部42を有し、下面側には下枠11の内レール32を跨ぐ凹状部43が形成されている。
【0048】
図7には、図5のA−A断面図を示している。なお、この図には内障子2及び外障子3も示している。図7に示すように、内障子戸当たり部材40の内部材本体部41は、下枠11のアングル片15の室外端部近傍から外レール21の室内面近傍に渡る室内外方向幅を有している。内部材本体部41の凹状部43は、内レール32を跨いでおり、また凹状部43内には弾性変形可能な突起状の内部材係止片43aが形成されている。内部材係止片43aは、内レール32に形成される鍔部32aに弾性的に係止される。
【0049】
内障子戸当たり部材40が下枠11に取付けられた状態で、内部材本体部41の上面部42は、その高さがアングル片15の上面位置と略同じ高さとなるように形成されている。また、内部材本体部41の側面に対し、内障子2は内障子垂下片2bの高さ位置でのみ当接自在となるようにされている。
【0050】
図8には、外障子戸当たり部材45の斜視図を示している。外障子戸当たり部材45は、ブロック状の外部材本体部46からなり、外部材本体部46は上面側に略平面状の上面部47を有し、下面側には下枠11の外レール21を跨ぐ凹状部48が形成されている。
【0051】
図9には、図5のB−B断面図を示している。なお、この図には内障子2及び外障子3も示している。図9に示すように、外障子戸当たり部材45の外部材本体部46は、内障子2の室外面近傍位置から外障子3の室外面近傍位置に渡る室内外方向幅を有するように形成されている。外部材本体部46の凹状部48は、外レール21を跨いでおり、また凹状部48内には弾性変形可能な突起状の外部材係止片48aが形成されている。外部材係止片48aは、外レール21に形成される鍔部21aに弾性的に係止される。
【0052】
外障子戸当たり部材45が下枠11に取付けられた状態で、外部材本体部46の上面部47は、その高さがアングル片15の上面位置と略同じ高さとなるように形成されている。また、外部材本体部46の側面に対し、外障子3は外障子垂下片3bの高さ位置でのみ当接自在となるようにされている。
【0053】
このように、内障子戸当たり部材40と外障子戸当たり部材45は、いずれも上面部42、47がそれぞれアングル片15の上面位置と略同じ高さとなるように形成されており、これは前述のように下枠11の敷居面13と略同じ高さであることから、各戸当たり部材が敷居面13よりも上方に大きく突出することがなく、下枠11の上面を左右端部付近も含めて平坦状とすることができる。一方で、内障子戸当たり部材40は内障子2に対して内障子垂下片2bの高さ位置では当接自在とされ、外障子戸当たり部材45は外障子3に対して外障子垂下片3bの高さ位置では当接自在とされているので、各障子と確実に当接することができる。
【0054】
次に、内障子2の内障子戸当たり部材40に対する当接部分について説明する。図10には、内障子2の召合せ部分における下端部近傍の拡大斜視図を示している。この図に示すように、内障子2の召合せ部分においては、縦方向の框材である召合せ框61と横方向に框材である下框60とが連結されている。下框60は、端面が召合せ框61の内側面に突き合わされており、両者はビス止めされることにより連結されている。
【0055】
下框60には、前述の内障子垂下片2bが長手方向に沿って形成されている。召合せ框61の下端部には、樹脂材からなる内障子下端ブロック50が取付けられており、この内障子下端ブロック50に形成された内障子垂下片延長部52により、内障子垂下片2bが内障子2の端部まで延長される。そして、内障子垂下片延長部52の端面が内障子戸当たり部材40に当接自在となる。
【0056】
内障子垂下片2bの先端部には、気密材2aを取付けることのできる気密材保持部2cが形成されている。なお、図10では気密材2aは省略している。内障子下端ブロック50の内障子垂下片延長部52には、先端部に気密材2aと連続状となる気密材を保持する気密材延長部53が形成されている。気密材延長部53により、内障子2の下辺において端部にまで連続状に気密材を設けることができ、内障子2と枠体1との間の気密性を高くすることができる。
【0057】
図11には、内障子下端ブロック50の斜視図を示している。この図に示すように、内障子下端ブロック50は、召合せ框61の中空内部に挿入されて固定される挿入部51を備え、その下部に前述の内障子垂下片延長部52が一体的に形成されている。
【0058】
図12には内障子下端ブロック50の図11とは反対側から見た斜視図を示している。この図に示すように、内障子垂下片延長部52は、上半分が断面中空状に形成されており、この中空内部には金属板からなる補強金具54が挿入される。内障子2において内障子戸当たり部材40に当接するのは、内障子下端ブロック50の内障子垂下片延長部52端面のみであるため、中空内部に金属板からなる補強金具54を設けて、その強度を大きくしている。
【0059】
外障子3の召合せ部分も同様の構成を有している。すなわち、外障子下端ブロックが召合せ框の下端に設けられており、外障子下端ブロックには外障子3の外障子垂下片3bを延長する外障子垂下片延長部が設けられてその端面が外障子戸当たり部材45に当接自在とされ、また外障子垂下片延長部の中空内部には金属板からなる補強金具が挿入されて強度を大きくする。また、外障子下端ブロックには外障子3の外障子垂下片3bに設けられる気密材3aと連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されて、外障子3の下辺において連続的な気密をなすようにする。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態の下枠フラットサッシは、金属材の室内側露出面を樹脂材で覆った複合サッシであるが、金属材のみからなる金属サッシであっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態における下枠フラットサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態における下枠フラットサッシの横断面図である。
【図3】図1の下枠付近拡大図である。
【図4】下枠の分解断面図である。
【図5】枠体の横断面図である。
【図6】内障子戸当たり部材の斜視図である。
【図7】図5のA−A断面図である。
【図8】外障子戸当たり部材の斜視図である。
【図9】図5のB−B断面図である。
【図10】内障子の召合せ部分における下端部近傍の拡大斜視図である。
【図11】内障子下端ブロックの斜視図である。
【図12】内障子下端ブロックの図11とは反対側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
4 網戸
5 框体
6 パネル体
7 戸車
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 敷居面
20 金属下枠
21 外レール
22 網戸レール
23 室内立ち上がり片
24 樹脂枠係合片
25 樹脂下枠
26 上面被覆部材
27 室内面被覆部材
29 凹部
30 内レール部材
31 基部
32 内レール
33 室内上面材
34 中間上面材
35 上面材取付部品
40 内障子戸当たり部材
41 内部材本体部
42 上面部
43 凹状部
43a 内部材係止片
45 外障子戸当たり部材
46 外部材本体部
47 上面部
48 凹状部
48a 外部材係止片
50 内障子下端ブロック
51 挿入部
52 内障子垂下片延長部
53 気密材延長部
54 補強金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を引き違い状に納め、前記枠体を構成する下枠は前記内外障子を案内する内外レールの上端を含む敷居面が略平坦状に形成された下枠フラットサッシにおいて、
前記下枠は室内側端部に室内側に向かって延出されるアングル片を備え、前記内障子は前記下枠の敷居面より下方まで垂下された内障子垂下片を備え、
前記下枠の上面には前記内障子が全開状態とされたときに該内障子の下端部に当接する内障子戸当たり部材が設けられ、該内障子戸当たり部材は前記アングル片の室外端部近傍から前記外レール近傍に渡る内部材本体部を備え、該内部材本体部は前記内レールを跨ぐ凹状部を下面に備えると共に、上面が前記アングル片の上面と略同じ高さを有し、前記内障子は内障子垂下片が設けられた高さ位置で前記内部材本体部の側面に当接自在とされることを特徴とする下枠フラットサッシ。
【請求項2】
前記内障子戸当たり部材は前記凹状部内に前記内レールに係止される弾性変形自在な内部材係止片を有してなることを特徴とする請求項1記載の下枠フラットサッシ。
【請求項3】
前記内障子を構成する内召合せ框の下端部には樹脂製の内障子下端ブロックが設けられ、該内障子下端ブロックは前記内障子垂下片と連続状で端面が前記内障子戸当たり部材に対して当接自在な内障子垂下片延長部を備え、該内障子垂下片延長部は断面中空状に形成されると共に、中空内部に金属製の補強金具が設けられてなることを特徴とする請求項1または2記載の下枠フラットサッシ。
【請求項4】
前記内障子垂下片には前記内レールの室外面に対して当接する気密材が設けられ、前記内障子下端ブロックの内障子垂下片延長部には、前記内障子垂下片の気密材と連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されてなることを特徴とする請求項3記載の下枠フラットサッシ。
【請求項5】
前記外障子は前記下枠の敷居面より下方まで垂下された外障子垂下片を備え、
前記下枠の上面には前記外障子が全開状態とされた時に該外障子の下端部に当接する外障子戸当たり部材が設けられ、該外障子戸当たり部材は前記内障子の室外面近傍から前記外障子の室外面近傍に渡る外部材本体部を備え、該外部材本体部は前記外レールを跨ぐ凹状部を下面に備えると共に、上面が前記アングル片の上面と略同じ高さを有し、前記外障子は外障子垂下片が設けられた高さ位置で前記外部材本体部の側面に当接自在とされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の下枠フラットサッシ。
【請求項6】
前記外障子戸当たり部材は前記凹状部内に前記外レールに係止される弾性変形自在な外部材係止片を有してなることを特徴とする請求項5記載の下枠フラットサッシ。
【請求項7】
前記外障子を構成する外召合せ框の下端部には樹脂製の外障子下端ブロックが設けられ、該外障子下端ブロックは前記外障子垂下片と連続状で端面が前記外障子戸当たり部材に対して当接自在な外障子垂下片延長部を備え、該外障子垂下片延長部は断面中空状に形成されると共に、中空内部に金属製の補強金具が設けられてなることを特徴とする請求項5または6記載の下枠フラットサッシ。
【請求項8】
前記外障子垂下片には前記外レールの室外面に対して当接する気密材が設けられ、前記外障子下端ブロックの外障子垂下片延長部には、前記外障子垂下片の気密材と連続状となる気密材を保持する気密材延長部が形成されてなることを特徴とする請求項7記載の下枠フラットサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−70944(P2010−70944A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237843(P2008−237843)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】