説明

下段部材の固定装置およびこれを備えた流体制御装置

【課題】 下段部材の上面同士を面一にするレベリング作業を容易とするとともに、弾性部材による振動吸収効果をさらに高めた下段部材の固定装置およびこれを備えた流体制御装置を提供する。
【解決手段】 下段部材2を一旦固定した後に、所要の下段部材2を弾性部材21の弾性力に抗して上方に移動させることで、複数の下段部材2の上面位置を微調整可能な構成とされている。弾性部材21は、ゴムまたは合成樹脂からなる環状体とされ、その内周面の上部および下部に、上下方向の力に対して弾性部材21の弾性曲げ変形を可能とするための切欠き21a,21bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、支持部材上に複数の継手(ブロック継手)を固定し、これらの継手にまたがるように流体制御機器を固定していくことにより組み立てられる流体制御装置において用いられる、支持部材と流体制御機器(上段部材)との間に配置されるブロック継手(下段部材)を支持部材に固定する固定装置に関し、また、この固定装置を備えた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、この発明が対象とする下段部材の固定装置として、図7に示すものが開示されている。
【0003】
図7において、2つのブロック継手(51)が支持部材(52)に取り付けられ、両継手(51)にまたがって上段の流体制御機器(図示略)が取り付けられる。各ブロック継手(51)には、ブロック継手(51)の支持部材(52)への取付け時に、継手固定ボルト(53)が挿通されるボルト挿通孔(54)が設けられている。支持部材(52)には、ブロック継手(51)を支持部材(52)に取り付けるさいに使用されるねじ孔(55)があけられている。
【0004】
各継手(51)のボルト挿通孔(54)は、ボルト頭部(53a)の径より大きい径を有する大径部(54a)と、これに段部(54c)を介して連なりかつボルト頭部(53a)の径とボルト軸部(53b)の径との中間の径を有する小径部(54b)とよりなる。
【0005】
ボルト挿通孔(54)の小径部(54b)に、下端が支持部材(52)に受け止められ上端が大径部(54a)内にある円筒状スペーサ(56)が嵌め入れられている。スペーサ(56)は、ボルト軸部(53b)の径より大きい内径を有しかつボルト頭部(53a)の径よりも小さい外径を有している。このスペーサ(56)に、継手固定ボルト(53)の軸部(53b)が嵌め入れられ、同頭部(53a)がスペーサ(56)の上端面で受け止められている。スペーサ(56)は、継手固定ボルト(53)の締付量を規定するもので、継手固定ボルト(53)をボルト挿通孔(54)に挿通して支持部材(52)のねじ孔(55)にねじ込んでいくと、スペーサ(56)が継手固定ボルト(53)の頭部(53a)と支持部材(52)との間に突っ張らせられ、それ以上の締付けができないようになっている。
【0006】
スペーサ(56)の上端部には、継手固定ボルト(53)の頭部(53a)の径とほぼ等しい外径の円環状のゴムワッシャ(57) が嵌め被せられている。ゴムワッシャ(57)は、継手固定ボルト(53)の頭部(53a)とボルト挿通孔(54)の段部(54c)とにより挟まれている。ゴムワッシャ(57)の上下方向の長さは、継手固定ボルト(53)の締付完了状態において、ゴムワッシャ(57) に圧縮力がかかるように設定されている。したがって、両継手(51)はゴムワッシャ(57) によって支持部材(52)方向に付勢されている。
【0007】
このような下段部材の固定装置によると、ゴムワッシャ(57) は弾性を有しているので、これをさらに圧縮変形させることが可能であり、両継手(51)の上面が面一になっていない場合、上面が低い方の継手(51)を上方に移動させることができる。
【0008】
すなわち、各下段部材(51)を一旦固定した後に、所要の下段部材(51)を弾性部材(57)の弾性力に抗して上方に移動させることで、複数の下段部材(51)の上面位置を微調整可能な構成とされている。これにより、上段部材(51)の取付けを簡単に行うことができるとともに、下段部材(51)と上段部材との間に介在させられるすべてのシール部に適正な押圧力を掛けることができ、シール性が確保される。ここで、特許文献1には、弾性部材としては、断面が方形のゴムワッシャ(57)が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3774800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の下段部材の固定装置によると、下段部材を固定するためのボルトを締め付けていくと、スペーサがボルト頭部と支持部材との間に保持され、このとき、弾性部材が各下段部材を支持部材に向かって付勢するので、各下段部材はがたつかないものとなり、一方、弾性部材を圧縮弾性変形させることによって、上面が低い方の下段部材を支持部材から離れる方向に動かして、下段部材の上面同士を面一にすることができ、これにより、下段部材への上段部材の取付けが容易となるという利点を有している。また、弾性部材が振動を吸収することにより、一旦適切に締め付けられたボルトが振動などの影響を受けて緩むことを防止する点でも有利なものとなっている。
【0011】
しかしながら、断面が方形の弾性部材では、その圧縮弾性変形量が限られていることから、複数の下段部材の上面位置の微調整(レベリング)に際し、下段部材の上面同士を面一にするまで移動させにくいという問題があった。
【0012】
この発明の目的は、下段部材の上面同士を面一にするレベリング作業を容易とするとともに、弾性部材による振動吸収効果をさらに高めた下段部材の固定装置およびこれを備えた流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明による下段部材の固定装置は、支持部材と上段部材との間に配置されるボルト挿通孔付き下段部材をボルトにより支持部材に固定する装置であって、下段部材のボルト挿通孔が、ボルト頭部の径より大きい径を有する大径部およびこれの下方に段部を介して連なりかつボルト頭部の径とボルト軸部の径との中間の径を有する小径部よりなり、ボルト挿通孔小径部に、ボルト軸部の径より大きい内径を有しかつ下端が支持部材に受け止められ上端が大径部内にある円筒状スペーサが嵌め入れられており、ボルト頭部と段部との間に、下段部材を支持部材に向かって付勢する弾性部材が介在させられている下段部材の固定装置において、弾性部材は、その外周面、内周面、上面および下面の少なくとも1カ所に、上下方向の力に対して弾性部材の弾性曲げ変形を可能とするための切欠きが設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
切欠きが設けられる前の弾性部材の断面形状は、方形、円形(長円形、楕円形を含む)、多角形などとされるが、方形(上下方向が長い方形)の4つの角を切り落とした8角形とすることが好ましい。これにより、弾性部材は、ボルト頭部の下面またはスペーサのフランジ下面に当接する上面と、ボルト挿通孔の段部に当接する下面と、ボルト挿通孔の大径部の円周面に当接する外周面と、スペーサの外周面に当接する内周面とを有し、上面、下面、外周面および内周面のうちの少なくとも1つの面に凹所を形成するための切欠きが少なくとも1つ設けられたものとされる。
【0015】
弾性部材は、ゴムまたは合成樹脂からなる環状体とされていることが好ましい。
【0016】
弾性部材は、変形することで下段部材の上方への移動を可能とするもので、圧縮変形のみが可能な弾性部材を使用するものでは、上方への移動可能量が限られるのに対し、弾性部材を弾性曲げ変形可能とすることで、下段部材の上方への移動を小さい力で行うことができ、下段部材の上面同士を面一にするレベリング作業を容易とすることができる。また、弾性部材が弾性変形することで振動を吸収することもできる。
【0017】
スペーサは、フランジ無し(円筒体)とされることがあり、上端部にフランジが設けられていることがある。スペーサがフランジ無しの場合には、弾性体は、ボルトの頭部下面と段差との間に配置され、スペーサがフランジ有りの場合には、弾性体は、スペーサのフランジの下面と段差との間に配置される。好ましくは、弾性部材は、スペーサの上端部に設けられたフランジの下面と段差部との間に配置されているものとされる。
【0018】
切欠きの断面形状は、例えば、略方形とされるが、これに限定されるものではなく、三角形や円弧であってもよい。
【0019】
切欠きは、例えば、弾性部材の内周面または外周面の上部および下部の2カ所にそれぞれ設けられる(断面形状が略横T字形)ことがある。
【0020】
また、切欠きは、例えば、弾性部材の内周面および外周面の上下の中央部にそれぞれ1カ所ずつ計2カ所に設けられる(断面形状が略I字形または略Z字形)ことがある。
【0021】
また、切欠きは、弾性部材の内周面または外周面の上下の中央部に1カ所だけ設けられる(断面形状が略C字形または略コ字形)ことがある。
【0022】
また、切欠きは、弾性部材の内周面または外周面の上部、下部および中央部にそれぞれ1カ所ずつ計3カ所に設けられる(断面形状が略横Π字形)ことがある。
【0023】
また、切欠きは、弾性部材の内周面および外周面の上下の中央部ならびに上面および下面の中央部にそれぞれ1カ所ずつ計4カ所に設けられることがある。
【0024】
切欠きは、上記のものに限定されるものではなく、上下方向の力に対して弾性部材の弾性曲げ変形を可能とするという作用が得られるものであれば、種々変更可能である。
【0025】
この発明による流体制御装置は、上方に開口した流体通路が設けられた複数のブロック継手と、ブロック継手の流体通路に通じている下方に開口した流体通路が設けられた複数の流体制御機器と、ブロック継手の流体通路と流体制御機器の流体通路との突き合わせ面に介在されている複数のシール部と、複数のブロック継手を支持する支持部材と、各ブロック継手を支持部材に取り付ける複数のボルトと、各流体制御機器をブロック継手に取り付ける複数のボルトとを備えている流体制御装置において、ブロック継手が下段部材とされて、これが上記に記載のいずれかの下段部材の固定装置によって支持部材に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0026】
なお、この明細書において、上下は図の上下をいうものとするが、この上下は便宜的なものであり、固定装置および流体制御装置は、図に示した状態で水平面に設置されるほか、上下が逆になって水平面に設置されたり、垂直面に設置されたりすることがある。
【発明の効果】
【0027】
この発明の下段部材の固定装置によると、弾性部材は、ゴムまたは合成樹脂からなる環状体とされ、その外周面、内周面、上面および下面の少なくとも1カ所に、上下方向の力に対して弾性部材の弾性曲げ変形を可能とするための切欠きが設けられているので、圧縮変形のみが可能な弾性部材を使用するものに比べて、下段部材の上下方向の移動を小さい力で行うことができ、下段部材の上面同士を面一にするレベリング作業を容易とすることができる。また、下段部材に振動が加わった際、弾性部材が弾性変形することでこの振動を吸収するので、この発明の下段部材の固定装置を使用した装置(例えば流体制御装置)の振動吸収効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明による下段部材の固定装置が使用された流体制御装置の1実施形態を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図2】この発明による下段部材の固定装置の要部の拡大断面図である。
【図3】図3(a)は、図2の状態から下段部材を上方に移動させた状態を示し、図3(b)は、これに対応する従来品の状態を示している。
【図4】この発明による下段部材の固定装置で使用される弾性部材の例を示す断面図である。
【図5】この発明による下段部材の固定装置で使用される弾性部材の他の例を示す断面図である。
【図6】下段部材の固定装置のレベリング機能を説明する図である。
【図7】従来の下段部材の固定装置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下は、図1の上下をいうものとする。
【0030】
図1は、この発明の下段部材の固定装置が使用された流体制御装置の一例を模式的に示している。流体制御装置(1) は、半導体製造装置等において用いられるもので、上方に開口した流体通路が設けられた複数のブロック継手(下段部材)(2)(3)と、ブロック継手(2)(3)の流体通路に通じている下方に開口した流体通路が設けられた複数の流体制御機器(上段部材)(4)(5)(6)(7)と、ブロック継手(2)(3)の流体通路と流体制御機器(4)(5)(6)(7)の本体(4a)(5a)(6a)(7a)に設けられた流体通路との突き合わせ面に介在されている複数のシール部(図示略)と、複数のブロック継手(2)(3)を支持する支持部材(9)と、各ブロック継手(2)(3)を支持部材(9)に取り付ける複数のボルト(10)と、各流体制御機器(4)(5)(6)(7)をブロック継手(2)(3)に取り付ける複数のボルト(20)とを備えている。
【0031】
後述するように、ブロック継手(2)(3)の固定に際しては、ボルト(10)のほかに、スペーサ(12)および弾性部材(21)が使用されている。
【0032】
図2は、この発明による下段部材の固定装置を拡大して示すもので、下段部材の固定装置は、上記のブロック継手(下段部材)(2)をボルト(10)により支持部材(9)に固定する装置であって、同図に示すように、下段部材(2)に、ボルト頭部(10a)の径より大きい径を有する大径部(11a)およびこれの下方に段部(11c)を介して連なりかつボルト頭部(10a)の径とボルト軸部(10b)の径との中間の径を有する小径部(11b)よりなるボルト挿通孔(11)が設けられ、ボルト挿通孔小径部(11b)に、ボルト軸部(10b)の径より大きい内径を有しかつ下端が支持部材(9)に受け止められ上端が大径部(11a)内にあってボルト頭部(10a)を受け止めるフランジ(12a)付き円筒状スペーサ(12)が嵌め入れられており、スペーサ(12)のフランジ(12a)の下面と段部(11c)との間に、下段部材(2)を下方に(支持部材(9)に向かって)付勢する環状の弾性部材(21)が介在させられている。そして、支持部材(9)と上段部材(4)(5)(6)(7)との間に配置されるボルト挿通孔(11)付き下段部材(2)がボルト(10)により支持部材(9)に取り付けられている。なお、スペーサ(12)は、フランジ(12a)がないものであってもよく、この場合、弾性部材(21)は、ボルト頭部(10a)の下面と段部(11c)との間に介在させられる。
【0033】
この発明による下段部材の固定装置は、弾性部材(21)の形状に特徴があるもので、弾性部材(21)は、ゴムまたは合成樹脂からなる環状体とされるとともに、図2に示す上段部材(上段部材の本体を符号(5a)で示している)固定前の形状において、その外周面の上下部に切欠き(21a)(21b)が設けられていることにより、弾性部材(21)の弾性曲げ変形が可能とされている。
【0034】
図6は、下段部材の固定装置のレベリング機能を説明する図であり、上段部材固定前(図6(a))と後(図6(b))との位置関係を示している。同図において、ボルト(10)はスペーサ(12)を支持部材(9)に固定しており、支持部材(9)に対して、ボルト(10)およびスペーサ(12)は、移動不可能となっている。そして、下段部材(2)は、図6(a)に示すように、スペーサ(12)から弾性部材(E)を介して下向きの力を受けることで、その下面が支持部材(9)に当接して、移動不可能となっている。ゴム製の弾性部材(E)の弾性力は、手の力に比べて小さいので、この弾性力に抗して下段部材(2)に上向きの力を作用させることで、図6(b)に示すように、下段部材(2)を手で上方に持ち上げることができる。したがって、ある下段部材(2)の上面が低い場合には、この下段部材(2)を弾性部材(E)の弾性力に抗して上方に移動させることで、下段部材(2)の上面位置の微調整すなわちレベリングを行うことができる。
【0035】
ここで、図7に示す従来のものでは、弾性部材(E)としてゴムワッシャ(57)が使用されており、このゴムワッシャ(57)は、断面方形とされて、継手固定ボルト(53) の頭部(53a)とボルト挿通孔(54)の段部(54c)との間に形成された空間を埋めるようになされている。したがって、このゴムワッシャ(57)を弾性部材(E)として使用した場合、上段部材固定時に下段部材(2)を移動させる際の移動可能量が限られ、また、下段部材(2)を上方に移動させることによって弾性部材(E)の弾性力(反発力)が大幅に増加するので、レベリング作業が困難になるという問題がある。
【0036】
図2に示すこの発明による下段部材の固定装置の弾性部材(21)は、断面形状が垂直部およびその中央部から径方向外方にのびる水平部からなる略横T字形とされており、かつ、垂直部の内周側の上下の角部が切り落とされた形状とされている。言い換えると、弾性部材(21)は、断面形状が上下に長い長方形の4つの角を切り落とした8角形である環状体を基準として、その外周面の上部および下部に切欠き(21a)(21b)が設けられたものとされている。
【0037】
この発明による下段部材の固定装置の弾性部材(21)は、切欠き(21a)(21b)を有しているので、垂直部の上下端部がこの切欠き(21a)(21b)の断面積を小さくするように弾性曲げ変形することが可能であり、弾性部材(21)が変形したときの形状は、図3(a)に示すものとなる。
【0038】
図3(b)には、比較のために、切欠きが設けられていない弾性部材(30)を使用した場合を示している。図3(b)において、下段部材(2)を上方に移動させる際、早い段階でスペーサ(12)のフランジ(12a)と段部(11c)との間に形成された空間を弾性部材(30)が埋めることになり、反発力が大きくなって、その後の下段部材(2)の上方への移動が困難になる。したがって、上段部材の本体(5a)と下段部材(2)との間に、隙間(G)が残ったままになる可能性がある。
【0039】
これに対し、図2に示す弾性部材(21)は、図3(a)に示すように、上段部材の本体(5a)と下段部材(2)との間に隙間がないものとでき、この状態からさらに弾性曲げ変形可能な状態であることから、レベリング作業が極めて容易となる。また、さらに弾性曲げ変形可能であることから、従来に比べて、振動吸収効果についても有利なものとなっている。
【0040】
上記の例は1例であり、弾性部材の形状は種々変更可能である。例えば、切欠きの数は2つとして、これを設ける位置を変更してもよく、切欠きの数を1つまたは3つ以上とすることもできる。切欠きの数が2つのものを図4に示し、切欠きの数を1つまたは3つ以上としたものを図5に示している。
【0041】
図4(a)に示す弾性部材(21)は、図2に示したものと同じもので、図4(b)に示す弾性部材(22)は、図4(a)のものが弾性部材(21)の外周面の上部および下部の2カ所にそれぞれ切欠き(21a)(21b)が設けられているのに対し、弾性部材(22)の内周面の上部および下部の2カ所にそれぞれ切欠き(22a)(22b)が設けられている(断面形状が内外が逆の略横T字形)ものである。
【0042】
図4(c)に示す弾性部材(23)は、弾性部材(23)の内周面および外周面の上下の中央部にそれぞれ1カ所ずつ計2カ所に切欠き(23a)(23b)が設けられたものである。切欠き(23a)(23b)の断面形状は、上記と同じ略方形状とされ、これにより、弾性部材(23)は、断面形状が略I字形となっている。図4(d)に示す弾性部材(24)は、図4(c)のものと同様、弾性部材(24)の内周面および外周面の上下の中央部にそれぞれ1カ所ずつ計2カ所に切欠き(24a)(24b)が設けられたものであり、その切欠き(24a)(24b)の断面形状が略三角形とされることで、弾性部材(24)は、断面形状が略Z字形となっている。
【0043】
図5(a)に示す弾性部材(25)は、切欠き(25a)が弾性部材(25)の内周面の上下の中央部に1カ所だけ設けられたもので、断面形状が略C字形または略コ字形となっている。切欠き(25a)の断面形状は、断面が方形、三角形、円弧などとすることができる。図示省略するが、同様の切欠き(25a)を内周面ではなく外周面に設けるようにしてもよい。
【0044】
図5(b)に示す弾性部材(26)は、切欠き(26a)(26b)(26c)が弾性部材(26)の内周面の上部、下部および中央部にそれぞれ1カ所ずつ計3カ所に設けられたもので、弾性部材(26)は、断面形状が略横Π字形となっている。図示省略するが、同様の切欠き(26a)(26b)(26c)を内周面ではなく外周面に設けるようにしてもよい。
【0045】
図5(c)に示す弾性部材(27)は、切欠き(27a)(27b)(27c)(27d)が弾性部材(27)の内周面および外周面の上下の中央部ならびに上面および下面の中央部にそれぞれ1カ所ずつ計4カ所に設けられたものである。
【0046】
図4および図5に示す弾性部材(21)(22)(23)(24)(25)(26)(27)は、いずれも、ゴムまたは合成樹脂からなる環状体とされ、その外周面、内周面、上面および下面の少なくとも1カ所に、上下方向の力に対して弾性部材(21)(22)(23)(24)(25)(26)(27)の弾性曲げ変形を可能とするための切欠き(21a)(21b)(22a)(22b)(23a)(23b)(24a)(24b)(25a)(26a)(26b)(26c)(27a)(27b)(27c)(27d)が設けられたものとなっており、下段部材(2)の上面同士を面一にするレベリング作業を容易とするとともに、弾性部材(21)(22)(23)(24)(25)(26)(27)による振動吸収効果をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
(2)(3) ブロック継手(下段部材)
(4)(5)(6)(7) 流体制御機器(上段部材)
(9) 支持部材
(10) ボルト
(10a) ボルト頭部
(11) ボルト挿通孔
(11a) 大径部
(10b) ボルト軸部
(11b) 小径部
(11c) 段部
(12) スペーサ
(21)(22)(23)(24)(25)(26)(27) 弾性部材
(21a)(21b)(22a)(22b)(23a)(23b)(24a)(24b)(25a)(26a)(26b)(26c)(27a)(27b)(27c)(27d) 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と上段部材との間に配置されるボルト挿通孔付き下段部材をボルトにより支持部材に固定する装置であって、下段部材のボルト挿通孔が、ボルト頭部の径より大きい径を有する大径部およびこれの下方に段部を介して連なりかつボルト頭部の径とボルト軸部の径との中間の径を有する小径部よりなり、ボルト挿通孔小径部に、ボルト軸部の径より大きい内径を有しかつ下端が支持部材に受け止められ上端が大径部内にある円筒状スペーサが嵌め入れられており、ボルト頭部と段部との間に、下段部材を支持部材に向かって付勢する弾性部材が介在させられている下段部材の固定装置において、
弾性部材は、その外周面、内周面、上面および下面の少なくとも1カ所に、上下方向の力に対して弾性部材の弾性曲げ変形を可能とするための切欠きが設けられていることを特徴とする下段部材の固定装置。
【請求項2】
弾性部材は、ゴムまたは合成樹脂からなる環状体とされていることを特徴とする請求項1の下段部材の固定装置。
【請求項3】
弾性部材は、スペーサの上端部に設けられたフランジの下面と段差部との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2の下段部材の固定装置。
【請求項4】
切欠きが設けられる前の弾性部材の断面形状は、上下に長い長方形の4つの角を切り落とした8角形とされていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の下段部材の固定装置。
【請求項5】
切欠きは、弾性部材の内周面および外周面のいずれか一方の上部および下部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の下段部材の固定装置。
【請求項6】
切欠きは、弾性部材の内周面および外周面の上下の中央部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに下段部材の固定装置。
【請求項7】
切欠きは、弾性部材の内周面および外周面のいずれか一方の上下の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに下段部材の固定装置。
【請求項8】
切欠きは、弾性部材の内周面および外周面のいずれか一方の上部、下部および中央部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに下段部材の固定装置。
【請求項9】
切欠きは、弾性部材の内周面および外周面の上下の中央部ならびに上面および下面の中央部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに下段部材の固定装置。
【請求項10】
上方に開口した流体通路が設けられた複数のブロック継手と、ブロック継手の流体通路に通じている下方に開口した流体通路が設けられた複数の流体制御機器と、ブロック継手の流体通路と流体制御機器の流体通路との突き合わせ面に介在されている複数のシール部と、複数のブロック継手を支持する支持部材と、各ブロック継手を支持部材に取り付ける複数のボルトと、各流体制御機器をブロック継手に取り付ける複数のボルトとを備えている流体制御装置において、ブロック継手が下段部材とされて、これが請求項1から9までのいずれかに記載の下段部材の固定装置によって支持部材に取り付けられていることを特徴とする流体制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202518(P2012−202518A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69620(P2011−69620)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】