説明

不具合箇所特定機能を備える携帯端末、携帯端末の不具合箇所特定方法及びプログラム

【課題】不具合箇所の検査時間を短縮可能とした不具合箇所特定機能を備える携帯端末、携帯端末の不具合箇所特定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末1の部位別の複数の検査プログラムとエラー履歴の保存領域を有する記憶部14と、携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含む前記エラー履歴を前記記憶部14に保存し、携帯端末の検査時に、前記記憶部14の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行し、前記検査プログラムによる検査結果を出力する制御部(11、12)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不具合箇所等の特定を可能とした不具合箇所特定機能を備える携帯端末、携帯端末の不具合箇所特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機等、携帯端末のエンドユーザーは、携帯端末に故障が生じたと判断すると、携帯端末の販売店等に持ち込んで確認を依頼することになる。これに対し販売店等では、窓口担当者が携帯端末網運営会社や携帯端末製造会社から支給されているマニュアルに従って故障診断を実施して故障の有無を確認して判断している。しかし、かかるマニュアルを頼って実施する故障診断では診断結果の精度及び速度上不十分であり、より高性能な診断システムが望まれている。
【0003】
このような不具合箇所の特定に関する関連技術として、特許文献1には窓口担当者に持ち込まれた携帯端末の修理サービス支援方法が記載されている。この支援方法は、携帯端末に自己診断プログラムと異常内容を表示部に表示するプログラムを含む保守用プログラムが実装されており、稼動中において自己診断プログラムを実行し、例えばハードウェアの異常を検出した場合等に、異常を示すフラグを自己診断結果の記憶領域に記憶しておき、窓口担当者が該携帯電話機に保守用パスワードを入力して保守情報表示を要求する操作を行うと、自己診断結果の領域から読み出したフラグに応じて、コードや簡単な文章として表示部に出力するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2004−194247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように携帯端末のエンドユーザーは、携帯端末に故障が生じたと判断すると、携帯端末の販売店等に持ち込んで正常性の確認を依頼しているが、エンドユーザーが認知した不具合は必ずしも販売店で再現するとは限らないことがある。このような再現率の低い不具合に関する解析には当然に時間がかかり、事象の再現に多くの時間を要するという点で問題がある。
【0006】
また、故障の確認手法としては、通常、携帯端末網運営会社や携帯端末製造会社からあらかじめ支給されているマニュアルに従い故障診断を実施して、故障しているか否かを判断していた。しかし、これらのマニュアルは自動化されていないために診断に多大な時間がかかるのみならず、故障診断を実施する人のスキルにも依存する部分が大きく、判定にもばらつきが生じるのが通常であり、このような診断時間や判断のばらつきが生じるのは問題である。
【0007】
特に近年、携帯端末は年間で多くの機種が開発され発売されている。このことは一機種にかけられる開発期間が短い事を示唆しており、開発期間が短いために問題発生時には効率的かつ短期間で不具合箇所が特定でき有益な情報が得られる解析方法が必要となる。
【0008】
とりわけ、不具合の根源がハードウェアにある場合には対策を急ぐ必要がある。ソフトウェアの不具合であれば、最近の携帯端末の機能にあるソフトウェア更新機能を用いて不具合修正されたソフトウェアにバージョンアップすることが可能であるが、ハードウェアの場合はそう簡単にはいかず、物理的に交換する必要があるからである。さらに、同様のハードウェアで構成される携帯端末を新規に開発している場合などは、早期に不具合箇所を具体的に特定してフィードバックする必要があるからである。
【0009】
前記特許文献1記載の修理サービス支援方法は、保守情報の記憶領域に記憶された自己診断結果の異常を示すフラグを読み出し、該フラグの種類に応じて異常内容を表示部に表示するものであるが、この方法は窓口等でその事象を再現するものではないから、再現による異常を確認するとともに不具合を短時間に特定して問題の早期解決を図ることはできないという問題がある。
【0010】
(目的)
本発明の目的は、以上の課題を解決することを可能とする不具合箇所特定機能を備える携帯端末、携帯端末の不具合箇所特定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の不具合箇所特定機能を備える携帯端末は、携帯端末の部位別の複数の検査プログラムとエラー履歴の保存領域を有する記憶部と、携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含む前記エラー履歴を前記記憶部に保存し、携帯端末の検査時に、前記記憶部の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行し、前記検査プログラムによる検査結果を出力する制御部と、からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の携帯端末の不具合箇所特定方法は、携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含むエラー履歴を保存するステップと、携帯端末の検査時に、エラー発生部位別の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行するステップと、前記検査プログラムによる検査結果を出力するステップと、からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の不具合箇所特定機能を有する携帯端末のプログラムは、携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含むエラー履歴を保存するステップと、携帯端末の検査時に、エラー発生部位別の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行するステップと、前記検査プログラムによる検査結果を出力するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯端末の動作時に保存したエラー履歴を参照して、不具合部位に対する専用の検査プログラムを選択的に自動的に実行して検査結果を出力するため、不具合の再現を可能とし、不具合箇所の特定に要する検査時間を短縮することが可能である。
【0015】
特に、携帯端末の動作時のエラー履歴に残っている部位を検査する検査プログラムのみを実行することにより、診断プログラム等により全ての検査を実行するより検査時間の大幅な短縮が実現できる。
【0016】
また、エラー履歴を参照し検査プログラムを自動的に行うことは、動作モード設定を変更する事で実行可能であるため、高い解析能力を具えた担当者でなくともばらつきの無い解析が可能である。例えば、携帯端末の販売店の店員等でも判断にばらつきの無い不具合解析を実施する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
(構成の説明)
本発明の不具合箇所特定機能を備える携帯端末、携帯端末の不具合箇所特定方法及びプログラムの第1の実施形態の構成及び動作を携帯電話機への適用例により以下説明する。
【0018】
図1は本実施形態の携帯電話機の構成例を示すブロック図である。多くの携帯電話機では、通信を処理するCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)とアプリケーション等を処理するCPU等、少なくとも2個のCPUが別々に搭載されており、本実施形態の携帯電話機としては2つのCPUを有する構成例を示している。
【0019】
本実施形態では通信を処理するCPU(1)11、アプリケーション等を処理するCPU(2)12の2つのCPUと、プログラム及び各種データ等を保存するための書き込み可能なROM(Read Only Memory)14、CPU(1)11及びCPU(2)12によるプログラムの実行、並びにワークエリアとして使用するRAM(Random Access Memory)13、そして周辺デバイス(デバイス)111〜123を有している。
【0020】
つまり、第1のCPU(1)11と、第1のCPU(1)11と接続された複数のデバイス111、112、113、RAM13及びROM14と、RAM13と接続された第2のCPU(2)12と、第2のCPU(2)12と接続された複数のデバイス121、122、123とから構成されている。デバイス111〜123としては、例えば、通信関係のデバイスとして無線送受信部、音声処理部、液晶ディスプレイ等、アプリケーション関係のデバイスとしてはカメラモジュール、スケジュール、キー操作部等がある。CPU(1)11及び/又はCPU(2)12は本発明の制御部として機能し、ROM14は記憶部として機能する。
【0021】
本実施形態の携帯電話機1は、通常の携帯電話機機能とともにエラー判定機能を有する“通常モード”と、携帯電話機の検査、解析機能を有する“検査モード”の2つの動作モードに設定可能である。
【0022】
このためROM14には、ユーザデータ等に加えて、動作モード設定の情報、エラー履歴を含む各種動作履歴、複数の検査プログラム及びこれらを制御するCPU用のプログラムが保存されている。つまり、ROM14には、第1のCPU(1)11用のプログラム及び第2のCPU(2)12用のプログラムが格納された記憶領域と、ユーザデータが格納された記憶領域と、動作モード設定の情報が格納された記憶領域と、エラー履歴を含む各種動作履歴の情報が格納された記憶領域と、複数の検査プログラムが格納された記憶領域と、を備える。
【0023】
ここで、複数の検査プログラムは、エラー発生部位とそのエラー発生回数からなるエラー履歴の単位で、個々のエラー履歴に対応する確認、解析検査のみを短時間で実行するそれぞれ専用の検査プログラムである。
【0024】
例えば、CPU(1)11内部エラーのエラー履歴に基づく専用の検査に、CPU(1)11内部エラー検査用プログラム、CPU(2)12内部エラーのエラー履歴に基づく当該エラー発生部位の専用の検査に、CPU(2)12内部エラーの検査用プログラム、CPU(1)−RAM間エラーのエラー履歴に基づく当該エラー発生部位の専用の検査に、CPU(1)−RAM間エラーの検査用プログラム等として、当該エラー履歴に関連付けてROM14に格納されている。
【0025】
本実施形態の携帯電話機の各部の機能は以下のとおりである。
第1のCPU(1)11はROM14からCPU(1)用の制御プログラムを読み込み、読み込んだプログラムにより制御され、RAM13を作業用のメモリとして使用し、携帯電話機1の通信関連の各種のデバイス111〜113を制御する。
【0026】
第2のCPU(2)12は第1のCPU(1)11及びRAM13又は図示しないバス等を介して、ROM14からCPU(2)用の制御プログラムを読み込み、読み込んだプログラムにより制御され、RAM13を作業用のメモリとして使用し、携帯電話機1のアプリケーション等の各種のデバイス121〜123を制御する。
【0027】
また、本実施形態では第1のCPU(1)11が携帯電話機としての全体機能の制御、動作モードの制御、通常モードでのエラー履歴の収集、参照処理、検査モードでの検査(解析)結果の収集、表示処理等に関する処理を司るものとする。
【0028】
第1及び第2のCPU(1)11、12は、前記各プログラムによる本発明の通常モードでの処理機能として、基地局との通信による位置登録、発着信、通信制御、通話、電子メールの送受信、インターネット接続、カメラ機能、スケジュール機能、表示処理等、通常の携帯電話機能と、携帯電話機1の通常モードでの動作上のエラーの発生を判定し、監視する機能と、エラーが発生したハードウェアの部位等のエラー発生箇所と当該エラーの発生回数からなるエラー履歴の保存機能と、を備える。
【0029】
例えば、第1及び第2のCPU(1)11、12は、通常モードにおいて、CPU内又は各デバイス間とのデータのやり取りを実行する際に、それぞれの処理時間に関し、規定の一定時間(規定時間)でタイムアウトするタイマーを設定し、当該処理の開始時に規定時間以内に通信が完了せず、タイマーがタイムアウトした場合に、当該処理でエラーが発生したと判別、監視する。
【0030】
また、第1及び第2のCPU(1)11、12は、前記判別、監視により検出されたエラーの発生部位を特定し、同部位のエラー発生毎にエラー回数をインクリメントして、エラー発生部位とエラー発生回数を対応付けてエラー履歴として保存する。
【0031】
次に、第1及び第2のCPU(1)11、12は、本発明の検査モードでの処理機能として、通常モードで保存されたエラー履歴のエラー発生部位及びエラー発生回数に基づいて検査プログラムを選定する機能と、選定した検査プログラムの実行により当該エラー発生部位の検査を行う機能と、検査プログラムの実行による検査(解析)結果を表示する機能等を備える。
【0032】
第1及び第2のCPU(1)11、12は、検査モードにおいて、動作履歴の記憶領域を監視し、エラー履歴からエラー発生回数の多い動作履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムとして、予めROM14に格納されている複数の検査プログラムの中から当該部位の検査のために実行すべき検査プログラムを選定する。
【0033】
第1及び第2のCPU(1)11、CPU(2)12は、エラー履歴のエラー発生部位等の情報により選定した検査プログラムをROM14から読み出してロードし、検査を実行する。
【0034】
検査プログラムの選定は1ないし複数の選定が可能であり、CPU(1)11及びCPU(2)12がそれぞれ同時に検査処理を実行するように構成することが可能である。また、CPU(1)11又はCPU(2)12が複数の検査用プログラムをロードして並行処理により検査処理を実行するように構成することが可能である。
【0035】
例えば、CPU(1)とRAM14間のエラー発生回数が所定値以上として検出された携帯電話機においては、CPU(1)とRAM14間のアクセス確認可能な検査プログラムを実行する。また、CPU(1)とRAM14間及びCPU(2)とデバイス122間のエラー発生回数が所定値以上として検出された携帯電話機においては、CPU(1)とCPU(2)において、それぞれ対応する異なる検査プログラムを選定して実行する。
【0036】
各CPU(1)、(2)での検査(解析)結果の情報は第1のCPU(1)で総合的に集計処理され、液晶ディスプレイに表示される。
【0037】
(動作の説明)
次に本実施形態の携帯電話機の動作について説明する。
図2は携帯電話機の動作モードの切り替えを示すフローチャートである。携帯電話機1の検査、解析を行う検査モードの設定か、携帯電話機1を通常に起動する通常モードの設定か、の何れかの動作モードを設定するフローチャートを示している。
【0038】
携帯電話機1の動作モードの設定情報は図1に示すROM14に格納されており、通常は携帯電話機として機能する通常モードとして設定されている。動作モード設定の情報は、携帯電話機1と販売店等に設置する外部制御機器(パソコン等)とをケーブルで接続し専用ソフトを使用して変更できる仕組みとすることができる。
【0039】
販売店等において担当者等が携帯電話機1に外部制御機器(パソコン等)をケーブルで接続し、動作モードの操作が行うと(ステップs21)、CPU(1)11は検査モードの設定か通常モードの設定かを判断し(ステップs22)、通常モードと認識すれば、通常モード設定の情報をROM14に格納し、以降、通常の携帯電話機として機能し(ステップs23)、検査モードと認識すれば検査モードの情報をROM14に格納し、以降、携帯電話機1は検査モードで動作する(ステップs24)。
【0040】
次に本実施形態の携帯電話機の通常モードでのエラー履歴の保存動作につて説明する。
図3は携帯電話機の通常モードにおけるエラー履歴の保存動作を示すフローチャートである。
【0041】
通常モードでは、定期的なエラー検出のタイミングにおいて(ステップs31)、監視対象とする各種の処理に関して、処理の開始から一定時間(規定時間)のタイマーを起動し(ステップs32)、該タイマーのタイムアウト以前(一定時間以内)に当該処理が終了(完了)したか否かを判定し(ステップs33)、当該処理が前記規定時間以内に終了しなかった場合に、当該処理にエラーが発生したとして、動作履歴の記憶領域に当該処理のエラー履歴としてエラー発生部位(箇所)とエラー発生回数を保存する(ステップs34)。
【0042】
以上のエラー履歴の保存処理を繰り返し、例えば、各CPU内やデバイス間とのデータのやり取りを実行する各種の処理に関してそれぞれの規定時間以内に通信等の処理が完了しない場合をエラーと判別し、動作履歴の記憶領域に、エラーの発生したハードウェアの部位と、当該部位のエラー発生の加算数をエラー履歴として記録する。
【0043】
図4はエラー履歴の情報及び保存形態の例を示す図である。エラー履歴はエラー発生部位とエラー発生回数とからなる。本例ではCPU(1)内部エラーの発生回数が5回、CPU(1)とRAM間のエラー発生回数が10回、他の部位(箇所)は0回としてエラー履歴が記録されている。
【0044】
次に本実施形態の携帯端末の検査モードでの不具合箇所の特定動作について説明する。
図5は本実施形態の携帯電話機の検査モードの動作を示すフローチャートである。本実施形態の携帯電話機の動作について図1、4、5を参照して説明する。
【0045】
販売店の担当者等が外部接続機器により携帯電話機1の不具合箇所を特定する検査モードに設定変更すると、CPU(1)11、CPU(2)12は検査モードとなり、図5に示すフローがスタートする。
【0046】
CPU(1)11は携帯電話機1のROM14に保存されている各種動作履歴からエラー履歴を参照し(ステップs41)、エラー発生回数が所定値以上のエラー発生部位を特定して、当該エラー発生部位の検査用の検査プログラムを選定し(ステップs43)、当該エラー発生部位を受け持つCPUがROM14から当該検査プログラムを読み込み、該検査プログラムを実行して解析し(ステップs43)、検査(解析)結果をディスプレイに表示する(ステップs44)。
【0047】
図4に示す例で、前記所定値を1とすると、CPU(1)の内部エラー及びCPU(1)とRAM間エラーが検査対象となり、この場合、CPU(1)がそれぞれの専用の検査プログラムをROM14から読み込んで、実行し、処理時間の確認及びより詳細なエラーの内容を検査する。
【0048】
例えば、CPU(1)とRAM間のエラーが発生していた携帯電話機の場合、CPU(1)がRAM間のアクセス確認が可能な検査プログラムを選定して実行する。検査プログラムは、エラーが発生している個所の処理時間の確認、より詳細なエラーの特定、例えば、処理時間については、エラー履歴の保存時より短い(又は長い)規定時間等により検査し、CPU(1)とRAM間エラーの例では、アクセス(アドレス)のエラーか、リード(読み込み)のエラーか、ライト(書き込み)のエラーか等、ライト又はリードするデータによりエラーに依存性はあるか否か等により検査するプログラムとすることができる。
【0049】
以上のように本実施形態においては、携帯電話機に通常動作で保存したエラー履歴を参照して、実行すべき専用の検査プログラムを判断して選定し、該検査プログラムを携帯端末に対して実行し、検査(解析)結果の不具合箇所やその詳細をディスプレイに表示する。これにより、不具合がある部位を特定するまでの時間の短縮化を図ることが可能である。
【0050】
また、不具合箇所(エラー発生部位)をより詳細に特定することにより、不具合デバイスをメーカーに調査依頼する等の場合におけるデバイスメーカー等での不具合の再現性を高めることも可能となる。
【0051】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、検査プログラムを予めROM14に格納する例を説明したが、このように構成すると貴重なROMの容量を消費する。検査プログラムは、通常の携帯電話機の使用時には、必要がないプログラムであるため、検査プログラムを実行する必要がある時に、検査プログラムを携帯電話機にインストールするように構成することが可能である。
【0052】
本発明の第2の実施形態は、ROMの容量を削減可能とする。
本実施形態では検査プログラムは、例えば販売店等のパソコン内に格納し、携帯電話機の検査、実行時にROM14に書き込む。その際、携帯電話機の通常モードの機能を動作させるため、OS等を除いてCPU(1)用のプログラム、CPU(2)用のプログラムで不要となるプログラムをROM14から販売店等のパソコン等に退避し、ROM14の空いた領域に前記複数の検査用のプログラムを書き込み、検査モードを実行可能に構成する。
【0053】
図6はROMパーテーションの比較を示す図であり、(a)は第2の実施形態のROMパーテーション、(b)は第1の実施形態のROMパーテーションである。
【0054】
図6(a)、(b)に示すように、第2の実施形態では、ROM14の検査プログラムの格納領域は不要となりROMの容量を削減できる。なお、ROM14に格納されているプログラムを検査用プログラムに変更する場合、CPU(1)用、CPU(2)用のプログラムの一部を検査用プログラムに書き換え可能なシステムとし、各種動作履歴などは、書き換え時に消えないようにする。
【0055】
図7は第2の実施形態の処理のフローチャートを示す図である。販売店等における携帯電話機1のプログラムの入れ替えの処理を示している。
【0056】
販売店等において担当者等が携帯電話機1に外部制御機器(パソコン等)をケーブルで接続し、動作モードの操作が行うと(ステップs51)、CPU(1)は現在の動作モードが通常モードの設定か検査モードの設定かを判断し(ステップs52)、通常モードと認識すれば、検査モードの情報をROM14に格納し(ステップs53)、CPU(1)、(2)のプログラムの一部を外部制御機器に退避し(ステップs54)、検査プログラムをROM14の空いた領域に書き込んで検査を可能とする(ステップs55)。ステップs52で検査モードと認識すれば、通常モード設定の情報をROM14に格納し(ステップs56)、検査プログラムを外部制御機器に退避し(ステップs57)、CPU(1)、(2)のプログラムをROM14の空いた領域に格納し、通常の携帯電話機としての動作を可能とする(ステップs58)。
【0057】
第2の実施形態の通常モード及び検査モードの処理は、図3、5に示す第1の実施形態の動作と同じであるためフローチャートについての説明は省略する。
【0058】
以上の構成により、携帯電話機1を通常に使用するユーザーにとって支障はなく、検査用プログラム格納のためのROM容量を第1の実施形態に比べて削減できる。第2の実施形態によればROMのサイズは小さくてよいから低コスト化が可能である。
【0059】
(他の実施形態)
ROMの容量を削減とする他の実施形態として、複数の検査プログラムを圧縮してROMに格納するように構成することができる。検査プログラムは通常モードでの携帯電話機の動作中は使用しないプログラムであるから、圧縮してROMに格納しておき、検査プログラムを使用する時だけ解凍して使用するように構成する。
【0060】
以上の実施形態では第1及び第2のCPU(1)、(2)がそれぞれ携帯電話機のエラー判定、監視及び検査プログラムを実行する構成例で説明したが、これらの処理も第1のCPU(1)が行うように構成することが可能である。
【0061】
また、2つのCPUを用いた携帯電話機の実施形態について説明したが、本発明は任意の個数のCPUを使用する携帯電話機等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態の携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
【図2】携帯電話機の動作モードの切り替えを示すフローチャートである。
【図3】携帯電話機の通常モードにおける動作履歴の保存動作を示すフローチャートである。
【図4】動作履歴の情報及び保存形態の例を示す図である。
【図5】本実施形態の携帯電話機の検査モードの動作を示すフローチャートである。
【図6】ROMパーテーションの比較を示す図であり、(a)は第2の実施形態のROMパーテーション、(b)は第1の実施形態のROMパーテーションである。
【図7】第2の実施形態の処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯電話機
11 CPU(1)
12 CPU(2)
13 RAM
14 ROM
111〜113、121〜123 デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の部位別の複数の検査プログラムとエラー履歴の保存領域を有する記憶部と、携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含む前記エラー履歴を前記記憶部に保存し、携帯端末の検査時に、前記記憶部の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行し、前記検査プログラムによる検査結果を出力する制御部と、からなることを特徴とする不具合箇所特定機能を備える携帯端末。
【請求項2】
前記エラー履歴は、エラー発生部位と当該部位のエラー発生回数からなり、前記制御部は前記エラー履歴のエラー発生回数が所定数以上の場合に、当該エラー発生部位に対応する検査プログラムを選定することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記個々の処理動作の開始から終了までの時間が規定時間を超える場合に、当該処理動作を行った部位をエラー発生部位とし、前記エラー発生部位とエラー発生回数を前記エラー履歴として前記記憶部に保存することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記複数の検査プログラムは、前記記憶部に予め実装されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項5】
前記複数の検査プログラムは、携帯端末の検査時に、外部機器から前記記憶部に書き込まれることを特徴とする請求項1ないし3の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項6】
前記記憶部には、更に携帯端末の制御プログラムが格納されており、前記複数の検査プログラムは、携帯端末の検査時に、前記制御プログラムに一時的に置き換えて格納されることを特徴とする請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
前記検査プログラムは、エラー発生部位のエラー履歴の確認及びエラーの詳細な特定を行う診断機能を有することを特徴とする請求項1ないし6の何れかの請求項記載の携帯端末。
【請求項8】
携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含むエラー履歴を保存するステップと、携帯端末の検査時に、エラー発生部位別の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行するステップと、前記検査プログラムによる検査結果を出力するステップと、からなることを特徴とする携帯端末の不具合箇所特定方法。
【請求項9】
前記エラー履歴は、エラー発生部位と当該部位のエラー発生回数からなり、前記検査プログラムを選定して実行するステップは、前記エラー履歴のエラー発生回数が所定数以上の場合に、当該エラー発生部位に対応する検査プログラムを選定するステップを含むことを特徴とする請求項8記載の不具合箇所特定方法。
【請求項10】
前記エラー履歴を保存するステップは、前記個々の処理動作の開始から終了までの時間が規定時間を超える場合に、当該処理動作を行った部位をエラー発生部位とし、該エラー発生部位とエラー発生回数を前記エラー履歴として保存するステップを含むことを特徴とする請求項8又は9記載の不具合箇所特定方法。
【請求項11】
前記携帯端末の検査時に、外部機器から携帯端末に前記複数の検査プログラムを書き込むステップを含むことを特徴とする請求項8ないし10の何れかの請求項記載の不具合箇所特定方法。
【請求項12】
携帯端末としての個々の処理動作時にエラーを発生したエラー発生部位を含むエラー履歴を保存するステップと、携帯端末の検査時に、エラー発生部位別の複数の検査プログラムから前記エラー履歴のエラー発生部位に対応する検査プログラムを選定して実行するステップと、前記検査プログラムによる検査結果を出力するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする不具合箇所特定機能を有する携帯端末のプログラム。
【請求項13】
前記エラー履歴は、エラー発生部位と当該部位のエラー発生回数からなり、前記検査プログラムを選定して実行するステップは、前記エラー履歴のエラー発生回数が所定数以上の場合に、当該エラー発生部位に対応する検査プログラムを選定するステップを含むことを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【請求項14】
前記エラー履歴を保存するステップは、前記個々の処理動作の開始から終了までの時間が規定時間を超える場合に、当該処理動作を行った部位をエラー発生部位とし、該エラー発生部位とエラー発生回数を前記エラー履歴として保存するステップを含むことを特徴とする請求項12又は13記載のプログラム。
【請求項15】
前記携帯端末の検査時に、外部機器から携帯端末に前記複数の検査プログラムを書き込むステップを含むことを特徴とする請求項12ないし14の何れかの請求項記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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