説明

不動産物件情報提供支援装置

【課題】ゲスト及びホストの音声に基づき、ゲストに提供しようとする不動産物件情報をより正確に検索できるようにする。
【解決手段】H/G判別部41は、異なる位置に着座するホストとゲストの音声を、集音方向を調整自在な指向性マイク22〜25による検出音の強度に基づき識別する。キーワードテーブル45には、質問キーワードと1つ以上の質問キーワードで分類される質問の種類毎の回答キーワードとが登録されている。キーワード判別部44は、識別されたホストの音声に、登録された質問キーワードのどれが含まれているか及び該質問キーワードに基づく質問の種類を判別し、識別されたゲストの音声に、直近の質問の種類に対応した、登録された回答キーワードのどれが含まれているかを判別し、判別した回答キーワードを該質問の種類と対応させて検索用キーワード記憶部46に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声に含まれているキーワードに基づいて不動産物件情報を自動検索する不動産物件情報提供支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、不動産の購入を希望している顧客側にマイクを配置し、営業担当者がインタビューをして、顧客が発した音声情報からキーワードを抽出し、これに基づき不動産物件情報データベースを検索して、該当情報を提示する不動産物件情報提供装置が開示されている。
【0003】
この装置によれば、不動産物件情報検索装置に対しキーワードを営業担当者がキーボード等で入力する必要がないので、顧客とのコミュニケーションを阻害することなく、不動産物件情報を提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−321916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、顧客と営業担当者の何れが発したキーワードであるかを区別していないので、検索結果が不正確になる原因となる。
【0006】
本発明の目的は、このような問題点に鑑み、ゲスト及びホストの音声に基づき、ゲストに提供しようとする不動産物件情報をより正確に検索することが可能な不動産物件情報提供支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、
キーワードが登録された識別用キーワード記憶手段と、
音声を検出し、該音声に該登録されたキーワードのいずれかが含まれているか否か判別するキーワード判別手段と、
該判別されたキーワードを記憶する検索用キーワード記憶手段と、
検索開始判定手段と、
不動産物件情報が登録された情報データベースと、
該検索開始判定手段が検索開始を判定したことに応答して、該検索用キーワード記憶手段に記憶されているキーワードに基づく条件を満たす情報を該情報データベースに対し検索する検索手段と、
情報検索結果を所定の書式及び媒体で出力する出力手段と、
を備えた不動産物件情報提供支援装置において、
ホストとゲストの音声を識別する話者識別手段をさらに備え、
該キーワード記憶手段には、質問キーワードと1つ以上の質問キーワードで分類される質問の種類毎の回答キーワードとが登録され、
該キーワード判別手段は、該識別されたホストの音声に、該登録された質問キーワードのどれが含まれているか及び該質問キーワードに基づく質問の種類を判別し、該識別されたゲストの音声に、直近の質問の種類に対応した、該登録された回答キーワードのどれが含まれているかを判別し、判別した回答キーワードを該質問の種類と対応させて該検索用キーワード記憶手段に記憶させる。
【発明の効果】
【0008】
上記態様の構成によれば、ホストとゲストの音声を識別する話者識別手段を備え、キーワード記憶手段には、質問キーワードと1つ以上の質問キーワードで分類される質問の種類毎の回答キーワードとが登録され、キーワード判別手段が、該識別されたホストの音声に、該登録された質問キーワードのどれが含まれているか及び該質問キーワードに基づく質問の種類を判別し、該識別されたゲストの音声に、直近の質問の種類に対応した、該登録された回答キーワードのどれが含まれているかを判別し、判別した回答キーワードを該質問の種類と対応させて検索用キーワード記憶手段に記憶させるので、不動産物件情報をより正確に検索することが可能となり、実用性が高いという効果を奏する。
【0009】
本発明の他の目的、特徴的な構成及び効果は、以下の説明を特許請求の範囲及び図面の記載と関係づけて読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係り、インタビュー室での画像形成装置の配置を示す概略ブロック図である。
【図2】図1中の不動産物件情報提供支援装置の概略機能ブロック図である。
【図3】図2中の聞き取り開始終了判定・出力開始判定部の構成を示す概略機能ブロック図である。
【図4】(A)及び(B)は、ホストが画像形成装置側を向いているか否かの判定説明図である。
【図5】図2中のキーワード取得部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図5中のキーワード判別部による処理を示す概略フローチャートである。
【図7】図2中の情報検索処理部の構成を示す概略機能ブロック図である。
【図8】図7中の条件緩和部による処理を示す概略フローチャートである。
【図9】図2中の顔情報等処理部の構成例を示す概略ブロック図である。
【図10】(A)〜(D)は図9で用いられる情報データベースの構成の説明図である。
【図11】図2中の情報加工部の構成例を示す概略機能ブロック図である。
【図12】不動産物件情報提供支援装置の全体動作の概略フローチャートである。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係り、インタビュー室での画像形成装置の配置を示す概略ブロック図である。
【0012】
このインタビュー室には、画像形成装置10がテーブル11の近くに配置され、テーブル11には、ホストH用の椅子12とゲストG用の椅子13及び14とが組み合わされている。
【0013】
画像形成装置10は、その本体15と、不動産物件情報提供支援装置20とから成る。この装置20は、情報処理装置21に、入力装置及び出力装置が接続されて構成されている。この入力装置には、集音方向を手動調整自在な指向性マイク22〜25と、光軸方向を手動調整自在なビデオカメラ26及び27とが含まれている。
【0014】
指向性マイク22〜25はいずれも、好ましくは単一指向性である。指向性マイク22〜25は、それぞれの感度が最大となる方位が放射状になるように配置され、これにより、ホストHの音色を判別することなく、指向性マイク22〜25の出力強度に基づいて、椅子12に着座しているホストHの音声であるのか、椅子13又は椅子14に着座しているゲストGの音声であるのかを区別することが可能となっている。
【0015】
ビデオカメラ26の光軸は椅子12側へ向けられており、ホストHが椅子12に着座しているか否か及びホストHが画像形成装置10側を向いているか否かを画像処理により判定可能となっている。また、ビデオカメラ27は、その光軸が椅子13及び14側に向けられており、椅子13及び14にゲストGが着座しているか否かを判定すること及びゲストGの画像に基づき後述のように個人識別や性別推定等の処理することが可能となっている。
【0016】
上記出力装置には、質問を補助的に発するためのスピーカ28と、自動検索結果の該当物件数を表示するための表示パネル29とが含まれている。椅子12に着座しているホストHが表示パネル29の表示を視認できるように、表示パネル29が画像形成装置10に配置されるとともに、画像形成装置10がテーブル11側に配置されている。
【0017】
図2は、不動産物件情報提供支援装置20の概略機能ブロック図である。
【0018】
情報処理装置21の聞き取り開始終了判定・出力開始判定部30は、ビデオカメラ26及び27からの画像データを処理して、聞き取りの開始及び終了の判定並びに画像形成装置本体15又は電子メールを介した出力開始の判定を行う。
【0019】
図3は、聞き取り開始終了判定・出力開始判定部30の構成を示す概略機能ブロック図である。
【0020】
この判定部30では、ビデオカメラ26及び27からのビデオデータで一時記憶部(フレームメモリ)31内のフレーム画像が更新され、一方、椅子画像記憶部32には、椅子12〜14の画像が予め格納されている。
【0021】
聞き取り開始判定部33は、一時記憶部31内の画像を椅子画像記憶部32内の椅子画像と比較して、人が着座する前に椅子12〜14を識別すると共に、椅子12〜14に人が着座しているか否かを判定する。判定部33は、椅子12に人が着座し、かつ、椅子13又は椅子14に人が着座していると判定すると、聞き取り開始START(信号又は変数)を"true"(活性)にする。着座しているか否かは、椅子位置に顔と判定されるものが存在しその高さが所定範囲内であるか否かにより判定する。
【0022】
出力開始判定部34は、一時記憶部31に含まれるビデオカメラ26からのフレーム画像から、椅子12に着座しているホストHの顔画像を抽出し、ホストHが画像形成装置10側を所定時間、例えば3秒以上継続して向いているか否かを判定し、肯定判定した場合には、検索結果を出力させるための出力開始OUT(信号又は変数)を活性にする。
【0023】
ホストHが画像形成装置10側を向いているか否かの判定は、例えば図4に示すように、顔画像に含まれる1対の目を識別し、目の間隔Dが設定値D0以上であればホストHが画像形成装置10側を向いていると判定する。なお、両耳が顔画像に含まれていれば画像形成装置10側を向いていると判定してもよい。
【0024】
終了判定部35は、椅子12〜14のいずれにも人が着座しておらず、この状態が所定時間、例えば30秒経過したと判定すると、聞き取り終了END(信号又は変数)を活性にする。
【0025】
図2に戻って、指向性マイク22〜25の出力はそれぞれ、互いに同一構成のアンプ221、231、241及び251で増幅され、さらにそれぞれ、互いに同一構成のA/D変換器222、232、242及び252でデジタル値に変換され、音声データとしてキーワード取得部40に供給される。
【0026】
キーワード取得部40は、これら音声データの振幅の比較に基づき、椅子12に着座しているホストHからの質問であるのか、椅子13又は椅子14に着座しているゲストGからの回答であるかを識別すると共に、質問であれば、質問の種類を判別し、この質問判別後設定時間内の回答であれば、該質問種類に関係する回答キーワードを判別し、判別した回答キーワードを質問種類と対応付けて記憶する。
【0027】
図5は、キーワード取得部40の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0028】
H/G判定部41は、A/D変換器222、232、242及び252からの音声データの振幅を比較して、ホストHの音声であるかゲストGの音声であるかを判別する。例えば、A/D変換器222と232の出力振幅の合計と、A/D変換器252とA/D変換器242の出力振幅の合計との差の絶対値が設定値以上で、この差が正であればゲストGの音声であると判定し、負であればホストHの音声と判定する。また、A/D変換器232と242の出力振幅の差が一定値未満であれば、ノイズと判定する。A/D変換器222、232、242及び252の出力は、加算部42で加算されて、一時記憶部43に格納される。
【0029】
ここで、検索対象の物件情報には、キーワード、間取り図及び建物外観写真が含まれている。このキーワードには、家賃、最寄り駅、最寄り駅からの徒歩時間、間取り及び建物種別の値が含まれている。
【0030】
ホストHからゲストGへの質問の種類には、前記キーワードに対応して、家賃、希望物件の最寄り駅、希望物件から最寄り駅までの徒歩時間、希望物件の間取り及び建物の種別がある。これら種別について、ホストHはゲストGに、次のような質問をする。
【0031】
家賃:「ご希望の家賃はおいくらでしょうか」
最寄り駅:「最寄駅の希望はございますでしょうか」
徒歩時間:「最寄り駅から徒歩何分程度の物件まで許容されますでしょうか」
間取り:「どの程度の間取りをご希望されますでしょうか」
建物種別:「アパート、マンション、戸建 のどれをご希望されますでしょうか」
キーワード判別部44は、H/G判定部41がホストHの音声であると判定すると、一時記憶部43の内容とキーワードテーブル45に登録されている質問キーワードとに基づき、前記質問の種類を判別する。
【0032】
例えば、ホストHの質問に「希望」と「家賃」の質問キーワードが音声に含まれていれば、質問の種別が家賃であると判別し、「希望」と「最寄り駅」の質問キーワードが含まれていれば、質問の種類が最寄り駅であると判別し、「徒歩何分」の質問キーワードが含まれていれば、質問の種類が徒歩時間であると判別し、「間取り」と「希望」の質問キーワードが含まれていれば、質問の種類が間取りであると判別し、「アパート」、「マンション」、「戸建」のいずれかと「希望」の質問キーワードが含まれていれば質問の種類が建物種別と判別する。キーワード判別部44はさらに、図6中に示すように、判別した質問の種類のフラグFを立てるとともに、前回立っていたフラグFをリセットする。
【0033】
キーワードテーブル45にはさらに、家賃、最寄り駅、徒歩時間、間取り及び建物種別のそれぞれの質問種類について、例えば、次のような回答キーワードが登録されている。
【0034】
家賃:「1万」、「2万」、・・・、「10万」(1万〜10万の10段階、1万円単位)
最寄り駅:「新宿」、「渋谷」、・・・(山手線内のすべての駅)
徒歩時間:「1分」、「2分」、・・・、「20分」 (1〜20分の20段階、1分単位)
間取り:「1K」、「1DK」、「1LDK」、「2K」、「2DK」、「2LDK」、「3DK」、「3LDK」
建物種別:「アパート」、「マンション」、「戸建」
キーワード判別部44は、H/G判定部41がゲストGの音声であると判定すると、一時記憶部43の内容と、キーワードテーブル45に登録されている回答キーワードのうち直近の質問キーワードに関するものとに基づき、回答キーワードを判別する。キーワード判別部44はさらに、この回答キーワード(現回答キーワード)が、キーワード記憶部46に記憶されている、前記質問キーワードに関する回答キーワード(前回の回答キーワード)と同一であるか否かを判定する。否定判定した場合には、現回答キーワードで前回のキーワードを上書き更新するとともに、検索開始SEARCH(変数又は信号)を活性にする。
【0035】
キーワード記憶部46内の初期値は例えば、次の通りである(最寄り駅は、不動産屋の所在地であると想定)。これらは、上記直近質問キーワードの種類及び前回の回答キーワードに含まれる。
【0036】
家賃:無条件
最寄り駅:新宿
徒歩:無条件
間取り:無条件
建物種別:無条件
図6は、キーワード判別部44による処理を示す概略フローチャートである。
【0037】
(S0)聞き取り開始終了判定・出力開始判定部30からの聞き取り終了ENDが活性であれば、この処理を終了し、そうでなければステップS1へ進む。
【0038】
(S1)H/G判定部41の判定結果がホストHであればステップS2へ進み、ゲストGであればステップS4へ進む。
【0039】
(S2)一時記憶部43内の音声に、質問キーワードが含まれているか否かを判別する。含まれていればステップS3へ進み、そうでなければステップS0へ戻る。
【0040】
(S3)1つ又は2つの質問キーワードが上記質問の種類のどれであるかを上述のように判別し、どれかに該当すればそのフラグFを立てるとともに前回立っていたフラグFをリセットすることにより、現質問の種類を記憶して、ステップS0へ戻る。
【0041】
(S4)一時記憶部43内の音声に、該現質問種類に関する回答キーワードが含まれているか否かを判別し、含まれていればステップS5へ進み、そうでなければステップS0へ戻る。
【0042】
(S5)この現回答キーワードと、キーワード記憶部46に格納されている対応する前回答キーワードとを比較し、両者が一致すればステップS0へ戻り、そうでなければステップS6へ進む。
【0043】
(S6)この現回答キーワードで、キーワード記憶部46内の対応する前回答キーワードを上書きすることにより、回答キーワードを更新する。
【0044】
(S7)検索開始SEARCHを活性にして、ステップS0へ戻る。
【0045】
図2に戻って、情報検索処理部50は、検索開始SEARCHの活性化に応答してキーワード記憶部46内のキーワード群で情報データベースをAND検索し、その結果を出力する。
【0046】
図7は、情報検索処理部50の構成を示す概略機能ブロック図である。
【0047】
情報検索部51は、検索開始SEARCHの活性化に応答して、キーワード記憶部46内の全キーワードの所定条件を満たす(例えば、徒歩時間3分以内はキーワード「3分」の条件を満たすとし、家賃は希望値から1万円安い値までのものを、条件を満たすとし、その他は希望値のみ条件を満たすとする。)物件を、物件情報テーブル52に対し検索し、その結果を検索結果記憶部53に格納する。
【0048】
選択部54は、図2の顔情報等処理部60からゲストGの識別符号(ID)を受け取り、現在から過去に遡って所定期間内に、このIDのゲストGに対し提供済みの物件情報が検索結果記憶部53に含まれているか否かを判別し、含まれていればその物件情報を検索結果記憶部53から削除することにより選択し、選択後の物件数を表示制御部56を介して表示パネル29に表示する。
【0049】
処理判別部57は、検索結果記憶部53内の物件数が5未満であれば条件緩和部58に制御を移し、そうでなければ検索結果を図2の情報加工部70へ渡す。
【0050】
図8は、条件緩和部58による処理を示す概略フローチャートである。
【0051】
(S10)条件緩和の質問種類を示す変数iに0を代入する。
【0052】
(S11)iの値が0、1又は2であれば、それぞれステップS12、S19、S21へ進む。
【0053】
ここで、キーワード記憶部46に含まれる回答キーワードが、徒歩X分、最寄りY駅、家賃Z万円であるとする。
【0054】
(S12)Xに1を加算する。
【0055】
(S13)i=0、緩和値V=X、Yを引数として、質問部59を呼び出す、質問部59はこれに応答して、i=0であれば、「最寄りY駅から徒歩X分の距離ではどうでしょうか」という質問(変数Y、Xに前記引数を与えたもの)の文字列を音声データに変換し、D/A変換器281へ供給する。これにより、この音声データがアナログ化され、さらにローパスフィルタ282を通って、アナログ化に伴う高周波成分が除去され、次いでアンプ283で増幅され、その信号がスピーカ28に供給されて音声に変換され、質問が発せられる。
【0056】
(S14)キーワード取得部40を介して、この質問に対する回答を取得し、この回答が肯定を示すものであればステップS15へ進み、そうでなければステップS17へ進む。
【0057】
(S15)キーワード記憶部46内の徒歩時間を緩和値Vで更新するとともに検索開始SEARCHを活性にする。これにより、上述のようにして、情報検索部51での検索が再度行われ、また、表示パネル29上の物件数Nが更新されることになる。
【0058】
(S16)N≧5であれば条件緩和部58での処理を終了し、そうでなければステップS11へ戻る。
【0059】
(S17)iの値を1だけインクリメントしてステップS11へ戻る。
【0060】
(S18)最寄り駅Yを、時間的又は空間的にその駅から最も近い駅に変更(シフト)する。
【0061】
(S19)i=1、緩和値V=Yを引数として、質問部59を呼び出す、質問部59はこれに応答して、i=1であれば、「最寄り駅Yはどうでしょうか」という質問(変数Yに前記引数を与えたもの)の文字列を音声データに変換し、D/A変換器281へ供給する。これにより、最寄り駅の条件緩和後の質問が発せられる。次にステップS14へ進む。
【0062】
(S20)Zに1を加算する。
【0063】
(S19)i=2、緩和値V=Zを引数として、質問部59を呼び出す、質問部59はこれに応答して、i=2であれば、「家賃Z万円はどうでしょうか」という質問(変数Zに前記引数を与えたもの)の文字列を音声データに変換し、D/A変換器281へ供給する。これにより、家賃の条件緩和後の質問が発せられる。次にステップS14へ進む。
【0064】
このようにして、条件を緩和する質問が自動的に発せられ、ゲストGが肯定回答した場合には緩和後の条件で再検索が行われ、この処理が、N≧5になるか緩和条件が無くなるまで繰り返される。
【0065】
図9は、顔情報等処理部60の構成例を示す概略ブロック図である。
【0066】
顔情報等処理部60では、ビデオカメラ26からのビデオデータが一時記憶部(フレームメモリ)61に格納される。ゲスト検索・登録部62は、聞き取り開始STARTの活性化後において、一時記憶部61内のフレーム画像からゲストGの顔画像を抽出し、顔画像に両耳が写っていれば、これと、所定フォルダ内に保存されている各顔画像との類似度を算出する。該フォルダ内の顔画像は、個人情報データベースの一部である。ゲスト検索・登録部62はさらに、該類似度が設定値以上のものが存在するか否かを調べ、存在すれば最も類似度の高い顔画像を、現在取得したもので更新し、存在しなければ、ゲストGに割り当てるID(シリアル番号)の最大値に1を加えたものをこのゲストGのIDとし、これを顔画像と共に記憶する。例えば図10(D)に示すように、顔画像のファイル名にこのゲストGのIDを付加して該所定フォルダに格納する。
【0067】
一方、特徴量抽出部64は、この登録対象の顔画像を含むゲストGの全体画像から、ゲストGの性別及び年齢層を判別するための特徴量、例えば、ネクタイをしているか否か、スカートをはいているか否か、口紅をつけているか否か、肌の輝度分布等を取得する。分類部65は、この特徴量に基づいて、ゲストGの性別及び年齢層を推定し、図10(A)に示すような、個人情報データベースの一部である個人情報テーブル63に、推定した性別及び年齢層と前記IDとを含む行を追加する。
【0068】
ホストHの質問に応じてゲストGが、電子メールで検索結果を取得したい旨の回答をした場合、画像形成装置10に貼付された2次元コード(不図示)を携帯電話のカメラで撮像させて該2次元コードに含まれるアドレスに、ゲストIDを含む電子メールを送信させる。このゲストIDは、表示パネル29に表示される。出力媒体決定部66は、このメールから、ゲストGの電子メールアドレスを取得し、これを該IDと対応付けて個人情報テーブル63に格納させると共に、出力媒体を紙媒体ではなく電子メールの添付ファイルと決定しその識別符号MEDIAIDを出力する。
【0069】
出力書式決定部67は、分類部65で推定されたゲストGの性別及び年齢層に基づき、図10(B)に示すような、予め手動設定された書式・自動キーワード決定テーブル68を参照して、出力書式識別コードFMTIDを決定する。この出力書式は例えば、老人層と推定された場合に文字を大きくするとか、女性と推定された場合に枠に模様をつけるとかである。
【0070】
書式・自動キーワード決定テーブル68には、性別及び年齢層に応じて自動的に付加するキーワードが記載されている場合があり、現在のゲストGについて、対応するキーワードが存在すれば、キーワード自動付加部69がこれをAUTOKWとして取得し、図5のキーワード記憶部46に格納させる。このキーワードは例えば、若年層の女性に対する「オートロック」である。
【0071】
図11は、情報加工部70の構成例を示す概略機能ブロック図である。
【0072】
情報加工部70のソート部71は、図7の処理判別部57から物件情報を受け取り、優先度テーブル72に定められている優先度に基づきソートし、上位5件をピックアップする。例えば、物件情報を築年数が若い順にソートし、次に、同一築年数については最寄り駅までの徒歩時間が短い順にソートし、この時間が同一のものについては敷金と礼金の合計値が安い順にソートする。
【0073】
選択部73は、ソートされた物件情報が5件を越えていれば、上位5件を選択する。コメント付加部74は、選択された物件情報に対し、物件情報にコメントIDが付加されていれば、コメントIDとコメント文とを対応付けたコメントテーブル75を参照して、コメントIDを該当するもので置換することにより、おすすめコメントを物件情報に付加する。おすすめコメントとは例えば、「比較的築浅で。見た目も綺麗です。」、「駅から近く、通勤通学共に便利です。」、「礼金0・敷金0、初期費用かなり少なめでお引越しが実現。」などである。
【0074】
出力編集部76は、図9の出力書式決定部67で決定された書式FORMATに基づいて、コメント付加部74からの物件情報を編集し、出力制御部80に出力する。出力制御部80では、出力媒体決定部66で決定された出力媒体識別符号MEDIAIDに応じて、画像形成装置本体15に物件情報を印刷させ、或いは電子メールで物件情報ファイルを送信する。
【0075】
図12は、上述のような不動産物件情報提供支援装置20の動作の概略を示すフローチャートである。
【0076】
(S30)ホストHは、画像形成装置10の電源をオンにする。
【0077】
(S31)これにより、ビデオカメラ26及び27による監視が開始される。
【0078】
(S32〜S34)ホストHが椅子12に着席し、ゲストGが椅子13又は14に着席すると、キーワード取得部40によるキーワード聞き取りが開始される。
【0079】
(S35、S36)ホストHの直近の質問に対応したゲストGの回答キーワードが含まれていれば、キーワード記憶部46内の対応する回答キーワードを、これで上書き更新する。
【0080】
(S37〜S39)キーワード記憶部46に格納されている回答キーワードに基づき、不動産物件を検索し、その中から、過去に提供済みのものを除き、その件数を表示パネル29に表示させる。
【0081】
(S40、S41)ホストHがその顔を画像形成装置10の方向へ3秒以上向け続けていれば、ステップS42へ進む。
【0082】
(S42、S43)検索結果の件数Nが5未満であれば条件を緩和する質問を発し、ステップS34へ戻る。
【0083】
(S44)件数Nが5を超えていれば、上位5件を選択する。
【0084】
(S46)物件情報を優先度順にソートし、上位5件をピックアップし、さらにおすすめコメントを付加する。
【0085】
(S47〜S49)画像形成装置10は用紙に物件情報を印刷し、ホストHはそのプリントを取りに行き、ゲストGに提示する。
【0086】
(S50)ゲストGが出力結果に満足しなければステップS34へ戻る。
【0087】
(S51〜S53)ゲストGが結果に満足すると、ゲストGが椅子13又は椅子14から離席し、ホストHも椅子12から離席する。両者の離席後、所定時間、例えば30秒経過すれば、聞き取りを終了し、情報処理装置21の電源をオフにする。
【0088】
以上において、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明には他にも種々の変形例が含まれ、上記実施例で述べた各構成要素の機能を実現する他の構成を用いたもの、当業者であればこれらの構成又は機能から想到するであろう他の構成も、本発明に含まれる。
【0089】
例えば、指向性マイクの数は、2以上であればよい。また、話者識別手段は、複数の指向性マイクの出力強度に基づいてホストとゲストの音声を識別するものに限定されず、例えばホストの母音の音声波形を事前に登録しておき、現音声波形の登録波形に対する類似度を求める前に両波形強度を正規化し、該類似度に基づいてホストとゲストの音声を識別するもの、或いは、音声入力に合わせて画像の口元部分が変化しているのはホストとゲストのいずれであるかを判定することによりホストとゲストの音声を識別するものであってもよい。
【0090】
さらに、ホストH及びゲストGに対する画像形成装置10の設置位置によっては、ビデオカメラは1台のみであってもよい。また、ステップS53で情報処理装置21の電源をオフにする替わりに、情報処理装置21をスリープ状態に移行させて立ち上げ時間を短縮させる構成であってもよい。
【0091】
また、検索開始判定手段は、予め定めた合図情報の入力に基づいて検索開始を判定できるものであればよく、例えば、音声「検索してみましょう」の入力や所定のマーカーの画像入力に基づいて検索開始を判定する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 画像形成装置
11 テーブル
12〜14 椅子
15 画像形成装置本体
20 不動産物件情報提供支援装置
21 情報処理装置
22〜25 指向性マイク
221、231、241、251 アンプ
222、232、242、252 A/D変換器
26、27 ビデオカメラ
28 スピーカ
281 D/A変換器
282 ローパスフィルタ
29 表示パネル
30 聞き取り開始終了判定・出力開始判定部
31、43、61 一時記憶部
32 椅子画像記憶部
33 聞き取り開始判定部
34 出力開始判定部
35 終了判定部
40 キーワード取得部
41 H/G判定部
42 加算部
44 キーワード判別部
45 キーワードテーブル
46 キーワード記憶部
50 情報検索処理部
51 情報検索部
52 物件情報テーブル
53 検索結果記憶部
54 選択部
55 提供済データ記憶部
56 件数表示制御部
57 処理判別部
58 条件緩和部
59 質問部
60 顔情報等処理部
62 G検索・登録部
63 個人情報テーブル
64 特徴量抽出部
65 分類部
66 出力媒体決定部
67 出力書式決定部
68 書式・自動キーワード情報テーブル
69 キーワード自動付加部
70 情報加工部
71 ソート部
72 優先度テーブル
73 選択部
74 コメント付加部
75 コメントテーブル
76 出力編集部
80 出力制御部
START 聞き取り開始
END 聞き取り終了
OUT 出力開始
H ホスト
G ゲスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーワードが登録された識別用キーワード記憶手段と、
音声を検出し、該音声に該登録されたキーワードのいずれかが含まれているか否か判別するキーワード判別手段と、
該判別されたキーワードを記憶する検索用キーワード記憶手段と、
検索開始判定手段と、
不動産物件情報が登録された情報データベースと、
該検索開始判定手段が検索開始を判定したことに応答して、該検索用キーワード記憶手段に記憶されているキーワードに基づく条件を満たす情報を該情報データベースに対し検索する検索手段と、
情報検索結果を所定の書式及び媒体で出力する出力手段と、
を備えた不動産物件情報提供支援装置において、
ホストとゲストの音声を識別する話者識別手段をさらに備え、
該キーワード記憶手段には、質問キーワードと1つ以上の質問キーワードで分類される質問の種類毎の回答キーワードとが登録され、
該キーワード判別手段は、該識別されたホストの音声に、該登録された質問キーワードのどれが含まれているか及び該質問キーワードに基づく質問の種類を判別し、該識別されたゲストの音声に、直近の質問の種類に対応した、該登録された回答キーワードのどれが含まれているかを判別し、判別した回答キーワードを該質問の種類と対応させて該検索用キーワード記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする不動産物件情報提供支援装置。
【請求項2】
該検索開始判定手段は、
ビデオカメラと、
該ビデオカメラで撮像された画像を処理してホストの顔の向きが所定範囲内であるか否かを判定し、継続して設定時間以上肯定判定した場合に検索開始と判定する合図認識手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項3】
該ゲストの顔画像及び訪問日がゲストIDと対応付けて登録される個人情報データベースと、
該撮像された画像からゲストの顔画像を抽出し、該顔画像が該個人情報データベースに未登録であれば、ゲストIDを付与し該顔画像及び訪問日を該ゲストIDと対応付けて該個人情報データベースに登録するゲスト登録手段と、
該情報検索結果及びその日付をゲストIDと対応付けて記憶する情報検索結果記憶手段と、
該抽出した顔画像が該個人情報データベースに既に登録されていれば、そのゲストIDについて、現在から遡って所定期間内の日付の情報検索結果が該情報検索結果記憶手段に記憶されているか否かを判定し、肯定判定した場合には、現在の情報検索結果から該記憶されている情報検索結果を除く検索結果選択手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項4】
該個人情報データベースにはさらに、ゲストの性別及び年齢層が登録項目として設定され、
性別及び年齢層と対応付けられた自動キーワードが選択的に予め登録された自動決定情報記憶手段と、
該ゲストの画像の特徴量に基づき該ゲストの性別及び年齢層を推定してその結果を該個人情報データベースに登録するゲスト分類手段と、
該推定された性別及び年齢層に基づき、該自動決定情報記憶手段から、対応する自動キーワードを読み出し、該自動キーワードを該検索手段での検索条件に付加させる自動決定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項2又は3に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項5】
該自動決定情報記憶手段にはさらに、該性別及び年齢層と対応付けられた書式識別コードが予め登録されており、
該自動決定手段はさらに、該推定された性別及び年齢層に基づき、該自動決定情報記憶手段から、対応する書式コードを読み出し該所定の書式の識別コードとして該出力手段に与える、
ことを特徴とする請求項4に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項6】
電子メール受信部と、
該ゲストからの電子メールにゲストIDが含まれていれば、該個人情報データベース内の対応するゲストIDの行に、該電子メールに付随する電子メールアドレスを登録し、検索結果の情報を電子メールで送信することを示す出力媒体識別コードを該出力手段に与える出力媒体決定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項4又は5に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項7】
該情報データベースにはさらに、出力優先順のキーワードが予め登録されており、
該出力優先順のキーワードに基づき該最終的な検索結果の情報をソートして、該出力手段に与えるソート手段、
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項8】
該情報データベース内の情報には、コメントIDが選択的に付加されており、
該情報データベースにはさらに、コメントIDとお勧めコメント文とが対応付けられて登録されており、
該ソートされた情報にコメントIDが付加されていれば、該コメントIDに対応するコメント文を該コメントIDと置き換えるお勧めコメント付加手段、
をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項9】
該ビデオカメラで撮像された画像を処理して、ホスト及びゲストがそれぞれ、所定位置に存在するか否かを判定し、肯定判定した場合に該キーワード判別手段の動作を開始させる聞き取り開始判定手段、
を更に有することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1つに記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項10】
該ビデオカメラで撮像された画像を処理して、ホスト及びゲストがそれぞれ、所定位置に存在しなくなりこの状態が所定時間経過したか否かを判定し、肯定判定した場合に該キーワード判別手段の動作を終了させる聞き取り終了判定手段、
を更に有することを特徴とする請求項9に記載の不動産物件情報提供支援装置。
【請求項11】
該キーワードに含まれている条件を緩和させた質問を出力する条件緩和手段と、
最終的な検索結果の件数が設定値未満であった場合、該条件緩和手段を動作させる処理判別手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の不動産物件情報提供支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−101226(P2013−101226A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244988(P2011−244988)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【出願人】(593059773)富士ソフト株式会社 (28)
【Fターム(参考)】