説明

不正検知装置、発射ハンドルユニット及び遊技機

【課題】発射ハンドルユニット部分へのコイン等の異物の挿入を検知することができ、発射ハンドルユニット周りの部品の破損防止に寄与することのできる不正検知装置、発射ハンドルユニット及び遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機内に備えられる遊技盤に向けた球の発射強度を調整するための回転ハンドル16とその回転ハンドル16を回転可能かつ実質的に非導通に保持する保持部17との隙間19に異物Eが挿入されたことを検知する不正検知装置であって、隙間19の一方を形成する回転ハンドル16側の第1対向面16aに配置された第1電極部16bと、第1対向面16aに対向して隙間19の他方を形成する保持部17側の第2対向面17aに配置された第2電極部17bと、第1電極部16bと第2電極部17bとの導通に基づき異物Eの挿入を検知するセンサ回路16c,17cとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正検知装置、発射ハンドルユニット及び遊技機に係り、特に、発射ハンドル部分へのコイン等の異物の挿入を検知することのできる不正検知装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、弾球発射された球が遊技領域を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内のゲージ(釘ともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域内に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
近年においては、その遊技領域に向けての球の発射及びその強度調整は回転式の発射ハンドルユニットにより電動で行われることが多い。すなわち、遊技者がパチンコ機の前面下方に配置された回転ハンドルを所定角度回転させることによって、回転角度に応じた発射強度で球が遊技領域に発射されるようになっている。
【0004】
一般に、回転ハンドルにはタッチセンサが設けられ、遊技者が回転ハンドルを直接手で把持しているか否かが検出できるようになっている。また、回転ハンドルの回転量(回転角度)も回転量検出手段によって検出できるようになっている。そして、回転ハンドルを遊技者が直接手で把持しており、かつ所定回転量回転している状態において、その回転量に応じてロータリーソレノイドやモータ等のアクチュエータが発射槌を動作させ、所定の発射強度で球発射が行われるようになっている。
【0005】
タッチセンサによって、遊技者が直接手でハンドルを把持しているか否かを検出することにより、例えば遊技者がパチンコ機から離れた後にも球発射が継続されてしまうという誤動作を防止することができるようになっている。また、回転ハンドルを所定回転量回転させた状態で異物等を用いて固定し、回転ハンドルを把持することなく継続的に一定強度で球発射を継続させるという不正遊技を防止することもできるようになっている。このように、タッチセンサを用いて遊技者が回転ハンドルを直接手で把持しているか否かを検出する構成例として、例えば特許文献1に開示のものがある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−329275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献1に開示の構成によれば、遊技者が回転ハンドルを直接手で把持しているか否かを検出することができるので、回転ハンドル(特許文献1においては、回転レバー20に相当。)と回転ハンドルを保持する保持部(特許文献1においては、機構収容部12に相当。)との隙間にコイン等の異物を咬み込ませ、遊技者が回転ハンドルを把持せずに遊技を継続する不正遊技を防止することができる。
【0008】
しかしながら、遊技者が安定した強度で球発射を行うため、この隙間にコイン等の異物を咬み込ませた上で回転ハンドルを把持して遊技を行う場合もある。遊技者が回転ハンドルを把持しているので、このような遊技を特許文献1に開示の構成で検出することは難しく、有効に防止することができない。
【0009】
隙間にコイン等の異物を咬み込ませることは、回転ハンドルや保持部周りの部品の破損や変形等の原因となり得るため、この隙間へのコイン等の異物の挿入(咬み込ませ)を検出し、異物挿入を利用した不適正な遊技を効果的に防止する構成が望まれている。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたもので、発射ハンドルユニット部分へのコイン等の異物の挿入を検知することができ、異物挿入を利用した不適正な遊技を有効に防止し、ひいては発射ハンドルユニット周りの部品の破損防止に寄与することのできる不正検知装置、発射ハンドルユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての不正検知装置は、遊技機に取り付けられて用いられ、遊技機内に備えられる遊技装置体に向けた遊技媒体の発射強度を調整するための回転ハンドルとその回転ハンドルを回転可能かつ実質的に非導通に保持する保持部との隙間に異物が挿入されたことを検知する不正検知装置であって、隙間の一方を形成する回転ハンドル側の第1対向面に配置された第1電極部と、第1対向面に対向して隙間の他方を形成する保持部側の第2対向面に配置された第2電極部と、第1電極部と第2電極部との導通に基づき異物の挿入を検知する異物挿入検知手段とを有することを特徴とする。
【0012】
回転ハンドルと保持部との隙間にコイン等の導電性を有する異物(例えば、金属の異物。)が挿入されると、第1電極部と第2電極部とが導通状態となり、その導通を異物挿入検知手段が検知するので、回転ハンドルに遊技者が手を触れていても触れていなくても、確実に隙間への異物の挿入を検知することができる。異物挿入検知手段は、例えば、電流発生器と電流計とを有して構成されていてもよい。電流計によって第1電極部と第2電極部とが導通したか否かを検出することができるので、その導通に基づく異物の挿入を検知することができる。もちろん電流計のほかにも、電流の有無によって動作する他の素子、例えば、ブザーやLED等を用いることもできる。
【0013】
なお、保持部側の第2電極部は、保持部の内部側や保持部と回転ハンドルとの隙間の奥の方に配置され、遊技者が遊技する際に通常手で触れることができない位置に配置されることが望ましい。それにより、遊技者の手が接触してしまうことに起因して、第1電極部と第2電極部とが導通してしまうという誤動作を防止することができる。ここにおいて、パチンコ機を遊技機、遊技盤を遊技装置体、球(パチンコ球)を遊技媒体として例示することができるが、もちろんそれに限る必要はない。
【0014】
異物挿入検知手段が、第2電極部と接地部との間の静電容量を検知する第2静電容量検知手段を有してもよい。この構成によれば、隙間に異物の挿入がない場合には第2電極部と接地部との間の静電容量が第2静電容量検知手段によって検知され、隙間に異物の挿入がある場合には第1電極部、異物及び第2電極部を含めた部分と接地部との間の静電容量が第2静電容量検知手段によって検知される。したがって、これらの静電容量の違いにより隙間に異物が挿入されたか否かを確実に検知することができる。
【0015】
回転ハンドルの把持部表面の少なくとも一部に配置され、第1電極部と導通する第3電極部を更に有してもよい。回転ハンドルの把持部表面の少なくとも一部に第3電極部が配置されているので、遊技者が遊技の際に回転ハンドルを把持すると、遊技者の手が第3電極部に接触するようになっている。この構成によれば、隙間に異物の挿入がない場合には第2電極部と接地部との間の静電容量が第2静電容量検知手段によって検知され、隙間に異物の挿入があって遊技者が回転ハンドルを把持していない場合には第1電極部、異物、第2電極部及び第3電極部を含めた部分と接地部との間の静電容量が第2静電容量検知手段によって検知され、隙間に異物の挿入があって遊技者が回転ハンドルを把持している場合には第1電極部、異物、第2電極部、第3電極部及び遊技者の人体を含めた部分と接地部との間の静電容量が第2静電容量検知手段によって検知される。したがって、これらの静電容量の違いにより隙間に異物が挿入されたか否か、更にその際遊技者が回転ハンドルを把持しているか否かを確実に検知することができる。
【0016】
異物挿入検知手段が、第1電極部と接地部との間の静電容量を検知する第1静電容量検知手段と、第1静電容量検知手段による検知結果と第2静電容量検知手段による検知結果とに基づいて、異物の挿入を判断する判断手段とを更に有してもよい。
【0017】
第1静電容量検知手段により、第1電極部と接地部との間の静電容量を検知することができるので、その検知結果と第2静電容量検知手段による検知結果とを比較判断することにより一層確実に隙間への異物の挿入を検知することができ、遊技者が把持部を把持しているか否かをも併せて確実に検知することができる。
【0018】
例えば、両検知結果の差異(又は比率。)が所定範囲内である場合には隙間に異物が挿入されたと判断し、所定範囲を超える場合には隙間への異物の挿入がないと判断することにより確実な異物の挿入検知を行うことができる。また、例えば、両検知結果が同状態を指標する場合には隙間に異物が挿入されたと判断し、異状態を指標する場合には異物の挿入がないと判断することもできる。
【0019】
異物挿入検知手段による検知結果に基づき、異常報知する報知手段又は遊技媒体の発射を禁止する発射禁止手段を更に有してもよい。これにより、隙間への異物挿入が検知された場合に、報知手段により異常報知したり、発射禁止手段により遊技媒体の発射を禁止することができる。したがって、隙間に異物を挿入する不適正な遊技をいち早く周囲の者や遊技店の店員に報知したり、その後の遊技を不可能にすることによって、結果的に不適正な遊技を抑制することができる。
【0020】
報知手段としては、例えばランプ、ブザー、スピーカ又はメッセージ表示装置等が適用可能である。また、発射禁止手段としては、発射用アクチュエータ(例えば、発射モータや発射ソレノイド。)への通電を遮断する制御回路やリレースイッチ等が適用可能である。
【0021】
本発明の他の例示的側面としての発射ハンドルユニットは、上記の第1電極部を備えた回転ハンドルと、上記の第2電極部を備えた保持部と、上記の異物挿入検知手段とを有し、遊技機に取り付けられて用いられることを特徴とする。
【0022】
この発射ハンドルユニットによれば、回転ハンドルと保持部との隙間にコイン等の導電性(例えば、金属。)の異物が挿入されると、第1電極部と第2電極部とが導通状態となり、その導通に基づいて異物挿入検知手段が異物挿入を検知するので、回転ハンドルに遊技者が手を触れていても触れていなくても、確実に隙間への異物の挿入を検知することができる。
【0023】
なお、保持部側の第2電極部は、保持部の内部側や保持部と回転ハンドルとの隙間の奥の方に配置され、遊技者が遊技する際に通常手で触れることができない位置に配置されることが望ましい。それにより、遊技者の手が接触してしまうことに起因して、第1電極部と第2電極部とが導通してしまうという誤動作を防止することができる。
【0024】
本発明の更に他の例示的側面としての遊技機は、遊技機周囲を囲む枠体と、枠体内部に備えられ、遊技媒体による遊技を実現する遊技装置体と、保持部及び回転ハンドルが実質的に枠体前面に配置され、遊技装置体に向けた遊技媒体の発射を実現する上記の発射ハンドルユニットとを有することを特徴とする。
【0025】
この遊技機によれば、回転ハンドルと保持部との隙間への異物の挿入を確実に検知することができるので、そのような不適正な遊技を有効に抑制又は防止することができる。したがって、発射ハンドルユニット周囲の破損や変形等を防止することができ、ひいては部品の耐久性を向上させることができる。不適正な遊技を排除することができるので、結果的にこの遊技機を設置する遊技店において、遊技者に安心で楽しい遊技を提供することができる。なお、ここで「前」とは、遊技機から遊技者に向かう方向を意味する。
【0026】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、発射ハンドルユニット部分の回転ハンドルと保持部との隙間にコイン等の異物が挿入されたことを、回転ハンドル部を遊技者が把持しているか否かに拘らず迅速かつ確実に検知することができるので、そのような不適正な遊技を有効に抑制又は防止することができる。また、異物挿入を防止することにより、発射ハンドルユニット周りの部品の破損や変形を防止することができ、周囲部品の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る遊技機としてのパチンコ機2の外観斜視図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤(遊技装置体)6、球発射装置7(図2参照)、発射ハンドルユニット8、貯留皿ユニット14を有している。
【0029】
パチンコ機2は、いわゆるデジパチタイプ(旧1種)、ハネモノタイプ(旧2種)、権利モノタイプ(旧3種)、電役タイプ(旧電役)、普通機タイプ(旧普通機)若しくはそれらを複合した複合タイプ、又は封入循環タイプ(例えば、組合せ式パチンコ機や雀球機等。)のもの等を含む。また、遊技機としてはパチンコ機の他に、各種ゲーム機やアーケードマシン等を概念することができ、要するに発射ハンドルユニットを用いて遊技媒体を発射するあらゆる遊技機を含む。
【0030】
枠体3は、このパチンコ機2の周囲及び前方を囲むためのものである。パチンコ機2は枠体3により囲まれて、内部に遊技盤(遊技装置体)6その他の各種機構部品を内包し、周囲側面及び前面からのパチンコ機2内部への不正アクセスを防止する機能を有している。例えば、最後方に配置されてパチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤6を保持する機枠9、機枠の更に前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12とを有して枠体が構成されるが、その詳細は説明を省略する。
【0031】
遊技盤6は、このパチンコ機2において、遊技媒体としての球20の流下による遊技を実現するための遊技装置体である。遊技盤6の遊技盤面6aには、略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられ、このレール飾り26の内側面26aが遊技盤面6aに対して立設して遊技領域6bを画定している。その遊技領域6b内の略中央部には、図柄表示装置13が設けられている。そしてその図柄表示装置13の周囲に多数のゲージ27、普通入賞口28、特別入賞口28a、始動入賞口29、大入賞口29a、アウト口30、その他の各種役物(例えば、羽根車等。)が配置されている。
【0032】
球発射装置7により球20が遊技領域6b内の上部に向けて発射されると、球20がゲージ27に衝突してその流下方向を変えつつ遊技領域6b内を流下するようになっている。その流下の途中で、あるものは普通入賞口28に入賞して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものは特別入賞口28aに入賞して普通入賞口28への入賞時よりも多数の景品球払出しの契機となり、あるものはいずれの入賞口にも入賞せずにアウト口30からパチンコ機2の外部へと排出される。
【0033】
遊技盤6には、例えば液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成された図柄表示装置13が配置されている。図柄表示装置13の表示画面上には、例えば、3桁の数字又は文字等より構成される表示図柄が回転又は停止するように映像として表示されるようになっており、また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面上に表示されるようになっている。
【0034】
球20の始動入賞口29への入賞に起因して表示画面上の表示図柄が回転表示を開始し、その停止態様に応じて遊技者に対して種々の利益(例えば、大入賞口29aの開放による球20の大量入賞及び大量払出し。)が付与されるようになっている。また、興趣性を一層向上させるために、遊技の状況に応じて様々な演出映像が表示画面上に表示されるようになっている。
【0035】
球発射装置7は、貯留皿ユニット14からの球20を1個ずつ遊技盤6に向けて弾球発射するためのものであり、図2にその概略構造を示すように、駆動手段7aと発射槌7bとを有している。発射槌7bは、貯留皿ユニット14から送り出されて発射位置15aに保持された球20を往復動作によって直接弾球し、発射レール15b、内側面26aを経由して遊技領域6bの上部へ向けて発射するためのものである。その発射槌7bは、モータやソレノイド等の駆動手段(アクチュエータ)7aによって往復動作するように構成されている。そしてその駆動手段7aは、発射ハンドルユニット8と電気的に接続され、発射ハンドルユニット8からの制御指令に基づいて動作制御されるようになっている。
【0036】
発射ハンドルユニット8は、図1に示すように、パチンコ機2の前面下方部であって通常は正面視右側に配置されている。発射ハンドルユニット8は、遊技者が手で把持回転させることにより球20の発射強度を調整するための回転ハンドル16と、その回転ハンドル16を実質的に非導通に回転可能に保持して略円筒形状に構成され、パチンコ機2の前面であって正面視右下方部分に取り付けられた保持部17とを有して大略構成されている。
【0037】
回転ハンドル16の周囲には把持部18が設けられ、遊技者が把持部18を直接手で把持しつつ回転させることができるようになっている。回転ハンドル16の回転量は回転量センサ(図示せず。)によって検出され、その検出値に応じて駆動手段7aによる球発射強度が調整されるようになっている。
【0038】
図3は、この発射ハンドルユニット8と駆動手段7aとの接続構成を示す概略ブロック図である。図3において、発射ハンドルユニット8の回転ハンドル16と保持部17とは側方断面図で示されている。回転ハンドル16と保持部17との間には、回転ハンドル16の回転のための隙間19が形成されている。この隙間19の一方を形成する回転ハンドル16側の面が第1対向面16aであり、他方を形成する保持部17側の面が第2対向面17aである。通常状態では、回転ハンドル16と保持部17とは実質的に非導通となっている。
【0039】
図4は、発射ハンドルユニット8の内部構成を示す図であって、図4(a)は回転ハンドル16を第1対向面16a側から見た正面図であり、図4(b)は保持部17を第2対向面17a側から見た正面図である。図4(a)、(b)にも示すように、この第1対向面16aには第1電極部16bが配置され、第2対向面17aには第2電極部17bが配置されている。第2対向面17a側の第2電極部17bは、取付け状態で発射ハンドルユニット8の表面に現れない位置に配置され、又は表面に現れるとしても例えば凹部分に配置されることにより、通常使用時に遊技者の手が触れることが殆どないようになっている。
【0040】
第1電極部16bは、遊技者が直接手で把持する把持部18に配置された第3電極部21と導通している。第1電極部16b及び第3電極部21は、例えば回転ハンドル16表面に形成された金属めっき等の表面処理によって構成されてもよい。
【0041】
発射ハンドルユニット8は、第1センサ回路(第1静電容量検知手段)16c、第2センサ回路(第2静電容量検知手段)17c、判定回路(判定手段)23、制御回路24を更に有している。第1電極部16b、第1センサ回路16c、第2電極部17b、第2センサ回路17c、第3電極部21、判定回路23を含んで、不正検知装置が構成される。
【0042】
図3に示すように、第1電極部16bは、第1センサ回路16cに接続されている。この第1センサ回路16cは、第1電極部16b及び第3電極部21と接地部との間の静電容量(図3中に仮想的に示す静電容量Cx1。)を検知するための回路である。そして、第2電極部17bは、第2センサ回路17cに接続されている。この第2センサ回路17cは、第2電極部17bと接地部との間の静電容量(図3中に仮想的に示す静電容量Cx2。)を検知するための回路である。
【0043】
第1センサ回路16cは、遊技者が把持部18を直接手で把持しているか否かを検知するタッチ検出器として機能する。遊技者が把持部18を把持している場合には静電容量Cx1の値は大きく、把持部18に手を触れていない場合には静電容量Cx1の値は小さくなる。したがって、静電容量Cx1の値が所定静電容量値以上か未満かを検知することによって、遊技者が把持部18を手で把持しているか否かを検知することができるようになっている。
【0044】
具体的には、遊技者が把持部18に手を触れていない場合、静電容量Cx1は所定静電容量値未満となる。その場合、端子1bにおける電位が基準電圧Vrefより大きくなり、出力端Aからは一方の状態を示す出力信号(例えば、タッチ無し状態を示す”0”。)が出力される。遊技者が把持部18を手で把持すると、第1センサ回路16cは、第1電極部16b及び第3電極部21を介して遊技者の人体を含めた静電容量を検知することとなるので、静電容量Cx1は所定静電容量値以上となる。その場合、端子1bにおける電位が基準電圧Vref以下となり、出力端Aからは他方の状態を示す出力信号(例えば、タッチ有り状態を示す”1”。)が出力される。
【0045】
第2センサ回路17cも第1センサ回路16cと同様に構成され、静電容量Cx2が所定静電容量値未満である場合に端子2bにおける電位が基準電圧Vrefより大きくなり出力端Bから一方の状態を示す出力信号(例えば、タッチ無し状態を示す”0”。)が出力され、所定静電容量値以上である場合に端子2bにおける電位が基準電圧Vref以下となり出力端Bから他方の状態を示す出力信号(例えば、タッチ有り状態を示す”1”。)が出力されるようになっている。もちろん、ここで、第1センサ回路16cにおける所定静電容量値と第2センサ回路17cにおける所定静電容量値とは全く同じ値である必要はなく、設計上の都合により多少異なる値であってもよい。
【0046】
判定回路23は、第1センサ回路16cからの出力端A及び第2センサ回路17cからの出力端Bに接続されている。出力端Aからの検知結果(出力信号”0”又は”1”。)及び出力端Bからの検知結果(出力信号”0”又は”1”。)に基づいて、隙間19に金属製コイン等の導電性の異物Eが挿入されたか否かを判定する機能を有している。その検知結果と判定結果の関係について、表1に示す。
【0047】
【表1】

出力端Aからの出力信号と出力端Bからの出力信号との組合せに応じて、遊技者が把持部18を把持しているか否かについて、及び隙間19に異物Eが挿入されたか否かについての判定がされるようになっている。
【0048】
例えば、遊技者が把持部18を把持していない場合、静電容量Cx1は所定静電容量値未満となり、第1センサ回路16cはタッチ無し状態を検知して出力端Aから出力信号”0”が出力される。したがって、出力端Aからの出力信号が”0”の場合には、判定回路23は、”遊技者不在”を判定し、遊技者不在を指標する信号を制御回路24に向けて出力する(パターン(1))。
【0049】
なお、遊技者が把持部18を把持していない場合は、隙間19への異物Eの挿入が有っても無くても、出力端Bの出力信号は”0”となる。したがって、この場合は判定回路23が異物Eの挿入の有無に拘わらず、出力端Aの出力信号”0”に基づいて遊技者不在を判定する。
【0050】
遊技者が把持部18を把持している場合、静電容量Cx1は所定静電容量値以上となり、第1センサ回路16cがタッチ有り状態を検知して出力端Aから出力信号”1”が出力される。ここで、隙間19に異物Eが挿入されていない場合には、静電容量Cx2は所定静電容量値未満であり、第2センサ回路17cがタッチ無し状態を検知して出力端Bから出力信号”0”が出力される。したがってこの場合には、判定回路23が”異物挿入無し”を判定し、適正遊技を指標する信号を制御回路24に向けて出力する(パターン(2))。
【0051】
一方、遊技者が把持部18を把持している場合であって、隙間19に異物Eが挿入されている場合には、異物Eを介して第1電極部16bと第2電極部17bとが導通する。それにより、静電容量Cx2は、第1電極部16b、異物E、第2電極部17b、第3電極部21及び遊技者の人体と接地部との間の静電容量となる。静電容量Cx2は静電容量Cx1と同様に所定静電容量値以上となり、第2センサ回路17cが第1センサ回路16cと共にタッチ有り状態を検知して出力端A及び出力端Bから共に出力信号”1”が出力される。したがってこの場合には、判定回路23は、”異物挿入有り”と判定し、不適正遊技を指標する信号を制御回路24に向けて出力する(パターン(3))。
【0052】
制御回路24は、判定回路23から受け取った信号の内容に応じて、様々な制御指令を送出するものである。例えば、判定回路23から遊技者不在を指標する信号を受け取ると(パターン(1))、駆動手段7aに対して球20の発射を禁止、すなわち動作を停止させるための制御指令を送出する発射禁止手段としての機能を発揮する。判定回路23から適正遊技を指標する信号を受け取ると(パターン(2))、駆動手段7aに対して回転量センサの検出値に応じた発射強度で球20の発射を実行させる発射許可手段としての機能も発揮する。判定回路23から不適正遊技を指標する信号を受け取ると(パターン(3))、発射禁止手段としての機能とともに、警告報知ランプ25を点灯して異常報知するための制御指令を送出する報知手段としての機能も発揮する。
【0053】
したがって、例え遊技者が把持部18を直接手で把持している場合であっても、隙間19に導電性の異物Eを挿入している場合には、球20の発射が禁止されるとともに警告報知ランプ25が点灯して異常報知され、このような不適正な遊技が防止できるようになっている。なお、第1センサ回路16c、第2センサ回路17c、判定回路23、制御回路24は、発射ハンドルユニット8とは別に構成され、別の場所に配置されていてももちろん構わない。
【0054】
貯留皿ユニット14は、球発射装置7によって遊技領域6bへ向けて発射するために、発射位置15aへ球20を送り出すべく貯留する機能、パチンコ機2内部から景品として払い出される球20を受け取る機能、ファール球を受け取る機能等を有している。これらの機能を1つの貯留皿で実現するものもあるが、本実施の形態1においては、上皿14aと下皿14bとを別々に構成している。
【0055】
その上皿14aはパチンコ機2の前面側であって前面ガラス10の下方に配置されて球20を貯留する。上皿14aは、球20が入賞口28,28a,29,29a等に入賞することによりパチンコ機2内部から払い出された景品球を受け取る機能、球20を球供給装置(図示せず。)を介して発射位置15aに導くべく貯留する機能を有している。そして、遊技終了時には、遊技者が球排出ボタン14cを操作することにより、球20を上皿14aから下皿14bへと排出することができるようになっている。
【0056】
下皿14bは、上皿14aの更に下方に配置され、上皿14aから排出された球20を受け取る機能、ファール球をパチンコ機2内部から受け取る機能、その更に下方の球箱載置台に載置された球箱に向けて排出落下させるべく球20を貯留する機能を有している。
【0057】
なお、本実施の形態1においては、第1センサ回路16c、第2センサ回路17cにおいて、静電容量Cx1,Cx2と基準電圧Vrefとを各々比較することにより、その比較結果に応じて出力端A,Bから出力信号”0”又は”1”を出力し、出力信号に基づいて判定回路23が異物Eの挿入を判定している。
【0058】
しかしながら、検知された静電容量Cx1,Cx2と基準電圧Vrefとを比較するのでなく、静電容量Cx1と静電容量Cx2との差や比率に応じて判定回路23が異物Eの挿入を判定するように構成することもできる。遊技者が把持部18を把持していない遊技者不在の場合や隙間19に異物Eを挿入した不適正遊技の場合は、静電容量Cx1の値と静電容量Cx2の値は略同じ値となり、適正遊技の場合は、静電容量Cx1の値が静電容量Cx2の値より大きくなる。したがって、例えば、
静電容量差Dc=静電容量Cx1−静電容量Cx2
又は
静電容量比Dr=静電容量Cx1/静電容量Cx2
で定義することにより、静電容量差Dcや静電容量比Drが所定値未満の場合に判定回路23が遊技者不在又は不適正遊技を判定して制御回路24が球発射を禁止し、所定値以上の場合に判定回路23が適正遊技を判定して制御回路24が球発射を許容するように構成することができる。
【0059】
[実施の形態2]
本実施の形態2においては、上記実施の形態と同様に回転ハンドル16側に第1電極部16b及び第3電極部21が配置され、保持部17側に第2電極部17bが配置され、第2電極部と接地部との間の静電容量Cx2が検知可能な構成について説明する。なお、本実施の形態2においては、第1電極部16bと接地部との間の静電容量Cx1を検知する必要はない。
【0060】
予め、第2電極部17bと接地部との間の静電容量Cx2の各状態における値を以下表2に示すように求めておく。
【0061】
【表2】

すなわち、隙間19への異物挿入がない場合の静電容量Cx2は、第2電極部17bと接地部との間の静電容量値P0となる。隙間19への異物挿入があり、かつ把持部18への把持がない場合の静電容量Cx2は、第1電極部16b、異物E、第2電極部17b及び第3電極部21と接地部との間の静電容量値P1となる。隙間19への異物挿入があり、かつ把持部18への把持がある場合の静電容量Cx2は、第1電極部16b、異物E、第2電極部17b、第3電極部21及び遊技者の人体と接地部との間の静電容量値P2となる。
【0062】
したがって、静電容量Cx2の検知結果が判定回路23に入力されるように構成し、判定回路23においてその検知結果とP0,P1,P2とを比較判定することにより、隙間19への異物挿入の有無、把持部18の把持の有無を判定することができる。これにより、把持部18の把持が無い状態における隙間19への異物挿入の有無をP0,P1として区別して検知することができるので、遊技者不在状態における異物挿入の不適正遊技を確実に検知して防止することができる。
【0063】
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3に係る発射ハンドルユニット8と駆動手段7aとの接続構成を示す概略ブロック図である。この発射ハンドルユニット8は、回転ハンドル16、保持部17、電流発生器としての電源33、電流検出手段34、判定回路23、制御回路24を有して構成されている。
【0064】
電源33及び電流検出手段34は、回転ハンドル16側の第1電極部16b及び保持部17側の第2電極部17bと直接に接続されている。隙間19に導電性の異物Eが挿入されていない場合には、第1電極部16bと第2電極部17bとが非導通であるため、電流検出手段34には電流が流れない。しかし、隙間19に異物Eが挿入されると第1電極部16bと第2電極部17bとが導通状態となるため、電流検出手段34に電流が流れる。
【0065】
判定回路23は、電流検出手段34に電流が流れていない場合には適正遊技を判定して、制御回路24に対し適正遊技を指標する信号を出力する。しかし、電流検出手段34に電流が流れている場合には不適正遊技を判定して、制御回路24に対し不適正遊技を指標する信号を出力する。制御回路24は、適正遊技を指標する信号を受け取ると、駆動手段7aに対して球発射を許可する制御指令を送出するが、不適正遊技を指標する信号を受け取ると、駆動手段7aに対して球発射を禁止する制御指令を送出する。これにより、第1電極部16bと第2電極部17bとの導通を検知するのみの簡単な回路構成によって、隙間19に異物Eが挿入された場合の球発射禁止を実現することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の球発射装置及び発射ハンドルユニットの概略構造を示す構成図である。
【図3】図2に示す発射ハンドルユニットと駆動手段との接続構成を示す概略ブロック図である。
【図4】図2に示す発射ハンドルユニットの内部構成を示す図であって、(a)は回転ハンドルを第1対向面側から見た正面図であり、(b)は保持部を第2対向面側から見た正面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る発射ハンドルユニットと駆動手段との接続構成を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
A,B:出力端
Cx1,Cx2:静電容量
E:異物
Vref:基準電圧
1b,2b:端子
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体
4:筐体枠
6:遊技盤(遊技装置体)
6a:遊技盤面
6b:遊技領域
7:球発射装置
7a:駆動手段
7b:発射槌
8:発射ハンドルユニット
9:機枠
10:前面ガラス
12:装飾枠
13:図柄表示装置
14:貯留皿ユニット
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15a:発射位置
15b:発射レール
16:回転ハンドル
16a:第1対向面
16b:第1電極部
16c:第1センサ回路(第1静電容量検知手段)
17:保持部
17a:第2対向面
17b:第2電極部
17c:第2センサ回路(第2静電容量検知手段)
18:把持部
19:隙間
20:球(遊技媒体)
21:第3電極部
22:ヒンジ部
23:判定回路(判定手段)
24:制御回路(発射禁止手段、報知手段)
25:警告表示ランプ
26:レール飾り
26a:内側面
27:ゲージ
28:普通入賞口
28a:特別入賞口
29:始動入賞口
29a:大入賞口
30:アウト口
32:装飾部材
33:電源(電流発生器)
34:電流検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に取り付けられて用いられ、該遊技機内に備えられる遊技装置体に向けた遊技媒体の発射強度を調整するための回転ハンドルとその回転ハンドルを回転可能に保持する保持部との隙間に異物が挿入されたことを検知する不正検知装置であって、
前記隙間の一方を形成する前記回転ハンドル側の第1対向面に配置された第1電極部と、
前記第1対向面に対向して前記隙間の他方を形成する前記保持部側の第2対向面に配置された第2電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との導通に基づき前記異物の挿入を検知する異物挿入検知手段と、を有する不正検知装置。
【請求項2】
前記異物挿入検知手段が、
前記第2電極部と接地部との間の静電容量を検知する第2静電容量検知手段を有する請求項1に記載の不正検知装置。
【請求項3】
前記回転ハンドルの把持部表面の少なくとも一部に配置され、前記第1電極部と導通する第3電極部を更に有する請求項2に記載の不正検知装置。
【請求項4】
前記異物挿入検知手段が、
前記第1電極部と接地部との間の静電容量を検知する第1静電容量検知手段と、
前記第1静電容量検知手段による検知結果と該第2静電容量検知手段による検知結果とに基づいて前記異物の挿入を判断する判断手段と、を更に有する請求項2又は請求項3に記載の不正検知装置。
【請求項5】
前記異物挿入検知手段による検知結果に基づき、異常報知する報知手段又は前記遊技媒体の発射を禁止する発射禁止手段を更に有する請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の不正検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate