説明

不活性ガス置換充填包装機

【課題】袋内に被包装物を投入するホッパーが複数連設されているガス置換充填包装機において、コンパクトな装置構成で袋内を不活性ガスで置換する。
【解決手段】袋12内に被包装物2を投入するホッパー31が複数連設されたガス置換充填包装機1において、各ホッパー31に、不活性ガスのブローノズル35を設け、各ホッパー31の外壁31cに、ブローノズル35に連通するガス流路開口端37を設ける。ガス置換充填包装機1は、ホッパー31のガス流路開口端37とガス供給源とを順次連通させるガス流路切替装置90を有する。ガス流路切替装置90は、ホッパー31に当接することにより該ガス流路切替装置90のガス供給口91と前記ガス流路開口端37とを連通させつつホッパー31と同方向に移動してガス流路開口端37に不活性ガスを供給し、ホッパー31から離れてホッパー31と逆方向に移動して当接前の位置に戻る往復運動を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物が充填された袋内を不活性ガスで置換して包装する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を袋に充填すると共に、その袋内を不活性ガスで置換するガス置換充填包装機としては、包装物を袋に充填する複数の充填ロートが回転体の外周縁に沿って配置されている間欠回転型のロータリー式充填包装機において、各充填ロートの側面に不活性ガスのブローノズルを固定したものを使用し、被包装物を袋に充填した後、袋口両端をグリップで引っ張って外気が袋内に浸入することを防止し、袋内に一定時間不活性ガスをブローし、ブローノズルを引き上げ、袋口をトップシールするもの(特許文献1)、被包装物の充填ロートとは別に不活性ガスのブローノズルを設け、袋への被包装物の充填の前後に亘って不活性ガスを充填するもの(特許文献2)、被包装物の充填ノズル内に被包装物を袋内に押し込むプッシャを装着し、そのプッシャに不活性ガスのブローノズルを貫通させ、袋内に被包装物をプッシャで押し込んだ後、不活性ガスを袋内に供給するもの(特許文献3)等がある。
【0003】
また、直送式充填包装機でも、被包装物を袋に充填すると共にその袋に不活性ガスをブローノズルから供給することがなされている(特許文献4)。
【0004】
これらのガス置換充填包装機において、不活性ガスの供給源から個々のブローノズルへの不活性ガスの供給は、ロータリーバルブを用いて切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/029352
【特許文献2】特開2007−126208号公報
【特許文献3】特開2007−269408号公報
【特許文献4】特許4156557
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、不活性ガスの供給源から個々のブローノズルへ不活性ガスを供給するためにロータリーバルブを用いると、ロータリーバルブ自体が高価であり、また装置が大掛かりとなる。
【0007】
これに対し、本発明は、袋内に被包装物を投入するホッパーが複数連設されているガス置換充填包装機において袋内を不活性ガスで置換するにあたり、ロータリーバルブを使用することなく、各ホッパーに設けられた個々のブローノズルへ不活性ガスを切り替え、装置構成をコンパクトにし、ガス置換充填包装機を低コストに得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、袋内に被包装物を投入するホッパーが複数連設されているガス置換充填包装機において、ホッパーに不活性ガスのブローノズルに連通するガス流路を形成し、そのガス流路開口端をホッパーの外壁に設けると共に、ホッパーのガス流路開口端に当接可能なガス供給口を備えたガス流路切替装置を設け、ガス流路切替装置に、ホッパーの移動に同期した往復運動をさせると、そのガス流路切替装置を用いて、順次搬送されてくるホッパーのガス流路開口端に不活性ガスを供給できること、したがって、ロータリーバルブが不要になることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、袋内に被包装物を投入するホッパーが複数連設され、各ホッパーには、不活性ガスのブローノズルが設けられ、該ブローノズルに連通するガス流路開口端が各ホッパーの外壁に設けられ、各ホッパーが袋の移動に同期して移動するガス置換充填包装機であって、
各ホッパーのガス流路開口端と不活性ガス供給源とを順次連通させるガス流路切替装置を有し、
ガス流路切替装置は、ホッパーに当接することにより該ガス流路切替装置のガス供給口とホッパーのガス流路開口端とを連通させつつホッパーと同方向に移動してガス流路開口端に不活性ガスを供給し、ホッパーから離れてホッパーと逆方向に移動して当接前の位置に戻る往復運動を繰り返すガス置換充填包装機を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連設された複数のホッパーの各ガス流路開口端に、ガス流路切替装置のガス供給口を順次当接させ、不活性ガスを供給するので、ロータリーバルブを使用することなく、連設された袋内に次々と不活性ガスを充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施例のガス置換充填包装機の模式図である。
【図2】図2は、ガス置換充填包装機におけるホッパー、予備プッシャ、プッシャ及びガス流路切替装置の動作の概略説明図である。
【図3A】図3Aは、ホッパーの斜視図である。
【図3B】図3Bは、ホッパーの正面図である。
【図3C】図3Cは、ホッパーのA−A切欠断面図である。
【図3D】図3Dは、ホッパーのB−B断面図である。
【図4】図4は、ホッパーの動きと不活性ガスブローのタイミングチャートである。
【図5】図5は、ホッパーの動きと予備押込と押込のタイミングチャートである。
【図6A】図6Aは、ガス流路切替装置とトップカバー付近の平面図である。
【図6B】図6Bは、ホッパーとガス流路切替装置との当接状態を示す、図6AのC−C断面図である。
【図6C】図6Cは、ホッパーとガス流路切替装置との当接状態を示す、図6AのD−D断面図である。である。
【図6D】図6Dは、トップカバーにおける袋の断面図を示す、図6AのE−E断面図である。
【図7A】図7Aは、ガス流路切替装置がホッパーと当接している状態を示す平面図である。
【図7B】図7Bは、ガス流路切替装置がホッパーと離れている状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一または同等の構成要素を表している。
【0013】
図1は、本発明の一実施例のガス置換充填包装機1の模式図であり、図2は、ガス置換充填包装機1におけるホッパー31、予備プッシャ32、プッシャ33及びガス流路切替装置90の動作の概略説明図、図3Aはホッパー31の斜視図、図4はホッパー31の動きとサイドシール用ヒートシールヘッドの動きと不活性ガスブローのタイミングチャートである。
【0014】
このガス置換充填包装機1は、四面体型ティーバッグ等の被包装物2を、三方シール型の平袋に個包装し、かつその袋内に窒素等の不活性ガスを充填する機械であり、概略長尺帯状の外装フィルム11を二つ折りにした状態で連続走行させるフィルム送り手段、二つ折りにした外装フィルム11の対向面の間に被包装物2を供給するホッパー31、この外装フィルム11にサイドシール3を形成するサイドシール形成手段40、サイドシール3により形成された外装フィルム11の袋12内に、ブローノズル35を通して不活性ガスを充填するガス流路切替装置90、袋12にトップシール4を形成するトップシール形成手段60、サイドシール3のシール幅内を切断することにより連続していた袋12を個々の個包装品5に切り離すカッター80を備えている。
【0015】
より詳細には、ガス置換充填包装機1の上流側には、長尺帯状の外装フィルム11が巻回されている原反10が設置され、原反10から巻き戻した外装フィルム11を走行させつつその両側縁が重なるように二つ折りにするためにフィルムガイド20とフィルム寄せガイドバー21が設けられている。この場合、外装フィルム11は、折り山が下向きとなり、両側縁側が上向きとなるように二つ折りにされる。
【0016】
なお、外装フィルム11としては、非通気性でヒートシール可能な種々の外装フィルムを使用することができ、例えば、アルミラミネートフィルム等を使用する。
【0017】
また、フィルム送り手段としては、サーボモータ(図示せず)で駆動される送りローラ22と引きローラ23が設けられている。送りローラ22によって、二つ折りにされた外装フィルム11が矢印a方向に繰り出され、略水平に一定速度で走行する。
【0018】
送りローラ22の下流では、二つ折りにより重なり合っている外装フィルム11の対向面の間に開きガイド24が設けられている。開きガイド24は、横断面がD字型の棒状部材からなり、上流側の板厚が薄く、下流側の板厚がホッパー31のストレートガイド部31aの外径よりも大きく、外装フィルム11の対向面の間に間隙をもたせ、ホッパー31のストレートガイド部31aを容易に挿入できるようにしている。
【0019】
開きガイド24の下流には、固定カム30の周縁部を矢印bのように連続的に旋回しながら上下動する複数のホッパー31が設けられており、さらに、この固定カム30を用いたカム機構により、外装フィルム11と同方向に水平走行しながら上下動すると共に水平方向の戻り走行を行い、これを個々の被包装物2の充填ごとに繰り返す予備プッシャ32が設けられ、予備プッシャ32の下流には、同様にカム機構により、上下動を伴う水平方向の走行と戻り走行を繰り返すプッシャ33が設けられている。
【0020】
ホッパー31としては、その排出口上に被包装物2を安定して受け取れるようにするため、図3Aに示すように、テーパー状の受けを有するテーパー部31bとその下のストレートガイド部31aからなり、ストレートガイド部31aの外側に不活性ガスのブローノズル35を有し、このブローノズル35に連通するガス流路36をテーパー部31bの内部に有し、ガス流路36の開口端37がテーパー部31bの外壁31cに設けられているものが好ましい。
【0021】
ストレートガイド部31aの外形としては、サイドシール3の形成による製袋時にシワを発生させない点から、横断面が小判型のものを使用し、その長径が外装フィルム11の走行方向と平行になるように配置することが好ましい。ストレートガイド部31aの内寸は、プッシャ33による押込がないと、ホッパー31に投入された被包装物2が自重だけではストレートガイド部31a内を落下しない程度とすることが好ましい。これにより、ホッパー31にシャッターを設けることなく、プッシャ33で押し込んだ時点で被包装物2を外装フィルム11上に落とすことができるので、装置構成を大がかりにすることなくサイドシール3への被包装物2の噛み込みを防止することができる。
【0022】
ブローノズル35、ガス流路36及びガス流路開口端37は、このガス置換充填包装機1のホッパー31が特徴的に備えるものである。図3A、図3Bに示したように、ブローノズル35は、横断面小判型のストレートガイド部31aの長径側の両側面上に配置されており、ブローノズル35の開口端35aは、ストレートガイド部31aの下端から下方に突出している。また、2つのガス流路開口端37は、テーパー部31bの外壁31cのうち、ストレートガイド部31aの長径に平行な平面に並列して設けられている。
【0023】
予備プッシャ32とプッシャ33は、それぞれホッパーのストレートガイド部31a内に挿入され、上下動可能な大きさの棒状あるいは筒状部材から形成される。予備プッシャ32の外周には、筒状のノックアウト部材34を、予備プッシャ32と独立的に上下動できるように取り付け、予備プッシャ32で被包装物2をストレートガイド部31a内に押し込んだ後、予備プッシャ32を引き上げる際の被包装物2の連れ上がりをノックアウト部材34で防止することが好ましい。
【0024】
また、プッシャ33の内部にも不活性ガスの配管を設け、プッシャ33の先端部に不活性ガスの吐出孔(図示せず)を設けることが好ましい。
【0025】
外装フィルム11の走行方向において、予備プッシャ32とプッシャ33の間には、ヒートシールヘッド41を外装フィルム11に押圧することによりサイドシール3を形成するサイドシール形成手段40が設けられ、プッシャ33の下流には、サイドシール形成手段40により形成されたサイドシール3を冷却板51で冷却しつつ押圧し、サイドシール3の接着強度を向上させるサイドシール冷却押圧手段50が設けられている。また、プッシャ33の下方には、サイドシール3により形成された袋12の底部に落とされた被包装物2を袋12の外側両面からクランパー45でクランプするクランプ装置が設けられている。このクランプ装置のクランパー45は、開いた状態と、閉じて被包装物2をクランプする状態をとる。
【0026】
ここで、冷却板51は、低温ヒータから形成することができる。冷却板51の温度は、外装フィルム11のシーラントとなっているプラスチックの融点以下に調整する。
【0027】
また、ヒートシールヘッド41とクランパー45と冷却板51は、それぞれ外装フィルム11の押圧時に外装フィルム11と同方向に水平方向に走行し、押圧解除後に水平方向に戻り走行するものであり、この走行と戻り走行を繰り返す。
【0028】
サイドシール冷却押圧手段50の下流には、このガス置換充填包装機1に特徴的なガス流路切替装置90(上流側ガス流路切替装置90a、下流側ガス流路切替装置90b)が2ピッチ分(個包装品5の2個分)設けられている。ガス流路切替装置90には、不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが送り込まれており、ガス供給路切替装置90のガス供給口91から不活性ガスを供給する。図4、図6B、図6Cに示すように、ガス供給口91は、ガス流路開口端37を覆う凹みとして形成されており、かつその凹みは、ガス流路開口端37の開口径よりも上下方向に長い長孔状に形成されている。
【0029】
本実施例のガス置換充填包装機1では、図7A、図7Bに示すように、ガス供給口91は、1ピッチあたり水平方向に2個ずつ形成され、さらに図6B、図6Cに示すように、各ガス供給口91が、上室91a-1、91b-1と下室91a-2、91b-2の2室に分かれて並設されている。図4に示すように、ホッパー31のガス流路開口端37に不活性ガスを供給する間にホッパー31が上下動する変動幅h1が、ガス流路開口端37が形成されているテーパー部31bの外壁部分の高さh2に比して大きい場合には、ガス供給口91を上下2室に分けて形成することにより、ガス流路切替装置90を上下動させなくても、不活性ガスの漏出を防止することができる。
【0030】
また、ガス流路切替装置90は、図6Aに矢印で示したように、サイドシール形成手段40のヒートシールヘッド41やサイドシール冷却押圧手段50の冷却板51と同期して、ホッパー31に向かう前進、ホッパー31に当接した状態での外装フィルム11と同方向の移動、ホッパー31から離れての逆方向の移動を繰り返す。このような外装フィルム11と同方向の移動と逆方向の移動の往復運動の繰り返しのためには、ガス流路切替装置90を、サイドシール形成手段40やサイドシール冷却押圧手段50と共通の往復動作ユニットに搭載すればよい。
【0031】
ガス流路切替装置90の下流には、袋12に不活性ガスを充填した後、袋12の開口端にトップシール形成手段60でトップシールを形成するまでの間、袋12の開口端付近を不活性ガス雰囲気に維持するトップカバー100と、袋12の口が開かないように袋12をその表裏両面から押さえる袋口ガイド101が設けられている。図6Dに示すように、トップカバー100は、袋12の開口端上を覆う断面逆U字状の樋型となっており、その天面から内部に不活性ガスを放出する。
【0032】
このガス置換充填包装機1において、上述したホッパー31、予備プッシャ32、プッシャ33、サイドシール形成手段40、クランパー45、サイドシール冷却押圧手段50及びガス流路切替装置90は、図4及び図5に示すように動作する。なお、図4は、主にホッパー31とガス流路切替装置90との動作を示し、図5は、主に予備プッシャ32とプッシャ33の動作を示す。また、図4及び図5において、符号31rは、ホッパーのストレートガイド部31aの下端中央部の軌跡を表し、図5において、符号32r、34r、33rはそれぞれ予備プッシャ32、ノックアウト部材34、プッシャ33の下端中央部の軌跡を表し、符号41r、51rは、それぞれヒートシールヘッド41、冷却板51の軌跡を表す。また、図5において、縦軸は、外装フィルム11の最下端を基準とした高さ(mm)で、横軸はホッパー基準位置からの距離(mm)である。
【0033】
まず、ホッパー31は図1の矢印bのように旋回しており、このホッパー31に所定の位置で被包装物2が投入されると、その被包装物2は外装フィルム11上まで落下することなく、ホッパー31のストレートガイド部31a上に留まる。この被包装物2に対して、予備プッシャ32が図5の軌跡32rの矢印に示すように降下し、被包装物2をホッパーのストレートガイド部31aの排出口方向に押し込む。
【0034】
この場合、予備プッシャ32は、図5の軌跡32rに示すように、複数回の上下動を繰り返しながら、段階的に被包装物2をストレートガイド部31a内に押し込むようにすることが好ましい。これにより、被包装物2がティーバッグ等の破袋しやすい物であっても、ストレートガイド部31aと予備プッシャ32の間に被包装物2が挟まって破袋することを防止できる。
【0035】
予備プッシャ32による予備押込開始から予備プッシャ32の下端面が最下点になるまで(即ち、予備プッシャ32が被包装物2を最も深く押し込む時点まで)は、ノックアウト部材34の下端面は、軌跡34rに示すように、予備プッシャ32の下端面よりも上にあるが、予備プッシャ32の下端面が最下点に達するまでにノックアウト部材34は予備プッシャ32の外側から下降し、予備プッシャ32の下端面が最下点に達して上昇を開始した直後には、ノックアウト部材34の下端面は予備プッシャ32の下端面よりも下に位置する。そして、予備プッシャ32よりも遅れて上昇する。これにより、予備プッシャ32をストレートガイド部31aから引き上げる際の被包装物2の連れ上がりを防止する。こうして、被包装物2は、ホッパーのストレートガイド部31aの上下方向中間位置に押し込まれる。
【0036】
その後、ホッパー31から予備プッシャ32とノックアウト部材34が完全に引き上げられ、ホッパー31が下降してそのストレートガイド部31aが、二つ折りにされた外装フィルム11の対向面間に挿入され、サイドシール形成手段40のヒートシールヘッド41に近づいていく。
【0037】
ホッパー31がサイドシール形成手段40のヒートシールヘッド41に対して所定の位置に近づいたところで、サイドシール形成手段40のヒートシールヘッド41が、外装フィルム11の対向面間に挿入されているホッパーのストレートガイド部31aに沿って外装フィルム11に押し当てられ、外装フィルム11にサイドシール3を形成する。
【0038】
サイドシール形成手段40で形成したサイドシール3は、サイドシール冷却押圧手段50の冷却板51で押圧することが好ましい。これにより、サイドシールの接着強度を向上させることができる。また、この冷却板51によるサイドシール3の押圧は、当該サイドシール3の上流でのサイドシールの形成のためのヒートシールヘッド41による外装フィルム11の押圧と同時に行うことが好ましい。これにより、冷却板51とヒートシールヘッド41を用いて、ホッパーのストレートガイド部31aの両側で外装フィルム11を押圧することができ、その後のホッパー31の引き上げ時に外装フィルム11が歪むことを防止できる。
【0039】
また、図5に示すように、ヒートシールヘッド41と冷却板51で外装フィルム11を押圧している間に、プッシャ33は、軌跡33rに従って降下し、ホッパー31のストレートガイド部31a内の被包装物2を、サイドシール3により形成される袋12に押し込み、袋12の底部に落とす。この押し込みの間にホッパーのストレートガイド部31aを上昇させ、クランパー45で袋12の表裏から、袋12の底部にある被包装物2をクランプし、被包装物2がクランプされている間にプッシャ33の引き上げを始める。これにより、ホッパー31の引き上げに伴い、被包装物2が袋12の底部からずり上がることを防止できる。プッシャ33は、クランパー45による押圧が解除された後も上昇し、押し込み前の位置に戻るように動く。
【0040】
なお、このガス置換充填包装機では、ガス流路切替装置90を用いてブローノズル35から不活性ガスを袋12内に充填するが、必要に応じて、プッシャ33の先端部に不活性ガスの吐出孔を設け、プッシャ33を袋12内に挿入するときから、プッシャ33を引き上げて袋12から抜き終わるまで、充填ガスの吐出孔から袋12内に不活性ガスを吐出し、袋内の雰囲気を事前に不活性ガスで置換してもよい。これにより、ガス置換効率を高めることができるので好ましい。
【0041】
ガス流路切替装置90は、前述のように、図7Aに示すようにホッパー31に当接した状態での外装フィルム11と同方向の移動と、図7Bに示すように外装フィルム11から離れた状態での逆方向の移動とを繰り返しているところ、ブローノズル35から袋12内への不活性ガスの充填は、プッシャ33による押込以降にホッパー31を上昇させている間に、図6Aに示すように、ガス流路切替装置90をホッパー31に当接させることにより、ガス流路切替装置90のガス供給口91(91a-1(2)、91b-1(2))とホッパー31のガス流路開口端37とを連通させ、ガス供給口91から不活性ガスを供給しつつホッパー31と同方向に移動させる。
【0042】
より具体的には、上流側ガス流路切替装置90aにおいて、まず、図6Bに示すように、ホッパー31のガス流路開口端37とガス供給口の下室91a-2とが当接する。ガス流路切替装置は上流側の同装置90aも下流側の同装置90bも上下方向には移動しないので、ホッパー31を上昇させている間にホッパー31と上流側ガス流路切替装置90aとは上下方向に摺動する。ガス供給口91は上下に並列した長孔状の二室91a-1、91a-2に形成されているので、ホッパー31と上流側ガス流路切替装置90aとの上下方向の摺動により、ホッパー31の上昇前には図6Bに示したようにガス供給口の下室91a-2とガス流路開口端37とが連通していたのが、ホッパー31の上昇途中からは図6Cに示すようにガス供給口の上室91a-1とガス流路開口端37とが連通し、結局、上流側ガス流路切替装置90aとホッパー31とが当接している間中、上流側ガス流路切替装置90aからホッパー31のガス流路開口端37に不活性ガスが供給され、ブローノズル35から袋内12に不活性ガスが充填される(図4、図5の1回目の不活性ガスブロー)。なお、ガス流路開口端37と連通するガス供給口91が下室91a-2から上室91a-1に切り替わる間はガス供給口91から不活性ガスが供給されず、ガス流路開口端37が、ガス供給口の下室91a-2又は上室91a-1と有効に連通している間のみ不活性ガスが供給されるように、ガス流路切替装置90にはガス流路を開閉する電磁弁を設けることが好ましい。
【0043】
上述のようにホッパー31内にガスを供給した上流側ガス流路切替装置90aは、図7Bに示すように一旦ホッパー31から離れてホッパー31と逆方向に移動する。このとき、下流側ガス流路切替装置90bも同様にホッパーと逆方向に移動する。一方、先に上流側ガス流路切替装置90aで不活性ガスが供給されたホッパー31は引き続き上昇し、そのストレートガイド部31aの下端が袋12の上端よりも上に位置するが、ブローノズルの開口端35aは袋12内にある状態で、水平移動を始める。また、上流側及び下流側ガス流路切替装置90a、90bは再度ホッパー31と同方向の移動を始める。そして、先に不活性ガスが供給された当該ホッパーのガス流路開口端37には、下流側ガス流路切替装置90bのガス供給口91b-1が当接し、そのホッパー31と同方向に移動しつつ不活性ガスを供給する(図4、図5の2回目の不活性ガスブロー)。これにより、袋12が殆ど閉じた状態で、ブローノズル35から袋内12に不活性ガスを更に充填することができるので、袋12内のガス置換効率を高めることができる。一方、上流側ガス流路切替装置90aには、先に不活性ガスを供給したホッパー31の次に続くホッパー31に当接し、不活性ガスを供給する。
【0044】
こうして、このガス置換充填包装機1によれば、ホッパー31と同方向の移動と逆方向の移動を繰り返し、ホッパー31と当接している間に不活性ガスを供給するガス流路切替装置90を用いることにより、ロータリーバルブを使用することなく、コンパクトな装置構成で、順次搬送されてくる袋12に不活性ガスを充填することが可能となる。
【0045】
なお、固定カム30を用いたカム機構によるホッパー31、予備プッシャ32、ノックアウト部材34及びプッシャ33の動作、並びにサイドシール形成手段40のヒートシールヘッド41の押圧動作、クランパー45のクランプ動作、サイドシール冷却押圧手段50の冷却板51及びガス流路切替装置90の押圧動作は、単独のサーボモータで駆動させることができる。
【0046】
不活性ガスの充填後、トップシール形成手段60で袋12にトップシールを形成するまでの間、図6Dに示すように、袋12はトップカバー100の下を通過し、袋12の開口部付近が不活性ガス雰囲気におかれるので、袋12内の不活性ガス雰囲気は良好に維持される。したがって、このガス置換充填包装機1によれば、袋12内の酸素濃度を、従前の10%程度から、1〜3%程度に低減させることが可能となる。
【0047】
袋12にトップシール4を形成するトップシール形成手段60としては、例えば、水平方向のシール幅を有するヒートシールヘッドを備えた熱溶着装置を使用することができる。この場合、ヒートシールヘッドは、外装フィルム11と同方向に水平走行しながら外装フィルム11を押圧し、押圧後には水平方向に戻り走行を行うようにする。
【0048】
なお、被包装物2を充填した後の袋12の形状では、袋12の底部に被包装物2が充填されていることにより袋底部では正味の袋幅が厚みにとられるため、袋トップ部に比べて平面視した場合の袋幅が短くなる。そのため、袋連続体は図2に示すように下方へ次第に湾曲し、袋トップの位置が徐々に下がり、水平より傾く事になる。そこで、外装フィルム11の走行路のうちヒートシールヘッドを押し当てる領域では、トップシール形成手段60を、図2に示すようにRを持たせて走行させるか、あるいは傾斜させて走行させ、トップシール4の形成部位を外装フィルム11の上端部とあわせることが好ましい。
【0049】
さらに、トップシール形成手段60として熱溶着装置を使用する場合には、その下流に、トップシール4を冷却しつつ押圧するトップシール冷却押圧手段70を設け、トップシール4の接着強度を向上させることが好ましい。トップシール冷却押圧手段70としては、サイドシール冷却押圧手段50と同様の冷却板を備えたものを使用することができる。
【0050】
本実施例において、トップシール形成手段60の下流のカッター80としては、外装フィルム11の走行方向に連なって形成されている個包装品を、サイドシール3のシール幅内で切断して一つずつの個包装品5に切り離すために、所謂ギロチン式カッターが設けられている。このギロチン式カッターは、カム機構により往復運動する。
【0051】
以上、図1に示した個包装機1に基づいて本発明を具体的に説明したが、本発明は種々の態様をとることができる。例えば、ガス流路切替装置1を用いた不活性ガスの充填を、ホッパー31が水平移動をしている間だけ行うようにしても良い。この場合、ホッパー31とガス流路切替装置1が上下方向に摺接している間にホッパー31のガス流路開口端37に不活性ガスを供給することが不要となるため、ガス流路切替装置1のガス供給口91は長孔にしなくてもよい。
【0052】
また、一つのホッパー31に設けた2つのガス流路開口端37のうち、一方から不活性ガスを供給し、他方から袋12内のガスを吸引してもよい。これにより、袋内の不活性ガスの置換率を向上させることができる。
【0053】
さらに、一つのホッパー31にブローノズル35とガス流路開口端37とを一つずつとしても良い。
【0054】
サイドシール形成手段やトップシール形成手段としては、ロータリー式のシールヘッドを有する熱溶着装置を使用してもよい。また、熱溶着装置に代えて、超音波溶着装置を使用してもよい。
【0055】
カッター80についても、ギロチン式カッターに代えて、ロータリー式カッターを使用してもよい。
【0056】
不活性ガスとしては、窒素ガス、二酸化炭素、それらの混合ガス等を用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ガス置換充填包装機
2 被包装物
3 サイドシール
4 トップシール
5 個包装品
10 原反
11 外装フィルム
12 袋
20 フィルムガイド
21 フィルム寄せガイドバー
22 送りローラ
23 引きローラ
24 開きガイド
30 固定カム
31 ホッパー
31a ストレートガイド部
31b テーパー部
31c 外壁
32 予備プッシャ
33 プッシャ
35 ブローノズル
35a 開口端
36 ガス流路
37 ガス流路開口端
40 サイドシール形成手段
41 ヒートシールヘッド
45 クランパー
50 サイドシール冷却押圧手段
51 冷却板
60 トップシール形成手段
70 トップシール冷却押圧手段
80 カッター
90 ガス流路切替装置
90a 上流側ガス流路切替装置
90b 下流側ガス流路切替装置
91、91a、91b ガス供給口
100 トップカバー
101 袋口ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋内に被包装物を投入するホッパーが複数連設され、各ホッパーには、不活性ガスのブローノズルが設けられ、該ブローノズルに連通するガス流路開口端が各ホッパーの外壁に設けられ、各ホッパーが袋の移動に同期して移動するガス置換充填包装機であって、
各ホッパーのガス流路開口端と不活性ガス供給源とを順次連通させるガス流路切替装置を有し、
ガス流路切替装置は、ホッパーに当接することにより該ガス流路切替装置のガス供給口とホッパーのガス流路開口端とを連通させつつホッパーと同方向に移動してガス流路開口端に不活性ガスを供給し、ホッパーから離れてホッパーと逆方向に移動して当接前の位置に戻る往復運動を繰り返すガス置換充填包装機。
【請求項2】
ガス流路切替装置の上下動の範囲でガス流路切替装置のガス供給口とホッパーのガス流路開口端とが連通するように、ガス供給口が長孔状の凹みに形成されている請求項1記載のガス置換充填包装機。
【請求項3】
ブローノズルが、ホッパーのストレートガイド部の外側両側部にそれぞれ形成されている請求項1または2記載のガス置換充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2011−73715(P2011−73715A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226338(P2009−226338)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(396015057)大紀商事株式会社 (19)
【出願人】(390021669)椿本興業株式会社 (20)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】