説明

不特定多数呼出装置

【課題】 数十人から数百人規模の団体旅行の引率者は決められた旅行プログラムで運行する必要から指定された時間に指定された場所へ旅行客全員を呼び出して集合させるための不特定多数呼出装置の提供である。
【解決手段】 団体旅行の引率者が持つ親機マスターの呼び出しSWを押下することにより旅行客全員が持つ子機スレーブの各々に対して無線通信によるポーリング方式でLED点滅、ブザー鳴動、バイブレータ振動あるいはスピーカー音声出力により集合時間であることを旅行客全員に知らせるための不特定多数呼出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、団体旅行などで不特定多数の旅行客が観光地に散会して近辺を散策している場合において、次の観光地へ移動する時間に引率者が参加している旅行客全員を指定場所に集合させるための呼び出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内および海外を含めてパッケージツアーと呼ばれる団体旅行が盛んであるが、引率者は数十人から数百人の団体旅行客を観光地などを案内しながら指定されたプログラムに従って時間通りに運行する際に、観光地で旅行客が散会して観光地の周辺を散策している間に次の移動時間になる場合が多く、旅行客の中には指定された時間になっても指定された場所へ集合しない場合も多々あり引率者は旅行客の安全確保も含めた責任があるので旅行客全員を集めるのに動き回らなくてはならず、また旅行客全員を呼び出す手段もないことから引率者は大変な労苦を強いられているのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
数十人または数百人規模の団体旅行客を引率する引率者が次の移動先への移動のために指定された場所へ引率している旅行客全員を呼び出すための不特定多数呼出装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、近年ブルーテュースと呼ばれる近距離無線通信方式の国際規格が制定され、無線周波数が2400MHzから2500MHz程度、2値FSK変調復調方式、電波出力100mW程度が制度化されるに至っている。通常パソコンなどに採用されている無線LANの方式でもある。団体旅行客が観光地で散会して周辺を散策する範囲はおおよそ100mから200mの距離であるので前記ブルーテュース方式などを用いた団体旅行の引率者が常時持つ親機マスターは携帯電話のような手のひらサイズの携帯端末で団体旅行客の人数設定、子機スレーブの動作機能を設定するプログラム選択などの機能を有し、子機スレーブは団体旅行に参加した旅行客全員が1ケづつ持つものでバッジのような形状であり胸あるいは腕などにクリップで固定するか、紐にぶら下げて首にかけるように装着される。
【0005】
次に親機マスターが子機スレーブに送信するデータは基本が4バイトの32ビットで構成され、最初の送信データは2バイトである16ビットの親機マスターおよび子機スレーブのグループアドレス番号である。次の送信データの2バイトである16ビットの上位桁の1バイトである8ビットが子機スレーブのアドレスとして使用され、下位桁の1バイトである8ビットが子機スレーブの動作機能であるランプまたはLEDの点滅、ブザーの鳴動、バイブレータの振動、スピーカーの音声出力などの選択指定に使用される。親機マスターが管理する子機スレーブアドレスは8ビット使用できるので親機マスターが管理できる子機スレーブの数は最大256台であるが親機マスター自身のアドレスを0とするので子機スレーブアドレスとしては1から255までの255台までとする。なお、親機マスターから子機スレーブに最初に送信されるグループアドレスは2バイトの16ビットであるから親機マスターおよび子機スレーブのアドレスグループ数としては最大65536グループとなり1つのグループの子機スレーブは最大255台であるので、すべてのグループ数で制御できる子機スレーブは最大で約1671万台となる。通常無線通信方式では使用できる周波数帯域に制限があるのでグループ単位でキャリア周波数を決めて周波数の干渉を防止する手段を用いるが、この手段では装置の周波数安定化が求められコスト面および調整面で不利になるのでキャリア周波数は一種類としてグループアドレスおよび子機スレーブアドレスをデジタル処理で行うことによりグループアドレス番号と子機スレーブアドレス番号が一致しなければ子機スレーブからの返信がないので異なるグループアドレス番号を持つ親機マスターおよび子機スレーブのグループ間での干渉は発生しないことになる。また、親機マスターの動作を処理するプログラムは親機マスターに装備されたメモリステックに書き込まれており親機マスターの電源が投入された時にメモリステックからプログラムROMへダウンロードされて使用可能状態になる。これは親機マスターと子機スレーブの動作機能あるいはグループアドレス番号などに変更が生じた場合に簡便に動作機能およびグループアドレス番号などを変更することが可能となる。
【0006】
次に親機マスターが子機スレーブに送信するデータの基本は4バイトであるが、この中の下位2バイトの下位桁8ビットの上位4ビットは前記4バイト以上の送信データがあるかを指定するデータ送信量であり、4ビットなので1から15までの指定が可能で、最大2バイト単位で30バイトまでの子機スレーブの動作パラメータデータを送信することができる。この動作パラメータは、例えば子機スレーブに装備されたランプまたはLEDの点滅間隔時間および点滅回数の設定、ブザー鳴動の鳴動間隔時間および鳴動回数の設定、バイブレータの振動間隔時間および振動回数の設定、スピーカーによる音声出力種類および音声出力回数の設定、子機スレーブ自身のスレーブアドレス番号およびグループアドレス番号設定などの子機スレーブの動作詳細パラメータの設定に使用するものである。
【0007】
次に親機マスターを持つ引率者は旅行客全員を呼び出す際に人数とプログラムを選択し呼び出しSWを押下すると最初の送信データであるグループアドレス番号の2バイト分16ビットを送信し、次に子機スレーブアドレスと動作機能を指示する2バイト分16ビットを送信するので同じグループアドレスとして子機スレーブアドレス1から無線を介して子機スレーブ1にデータを送信し、子機スレープ1が電波受信範囲内にいれば子機スレーブ1は送信されたデータから自分自身のグループアドレスおよび子機スレーブアドレスと一致しているかを判断して同時に送信された動作選択に従いLEDの点滅、ブザーの鳴動、バイブレータの振動あるいはスピーカー音声出力動作を実行するとともに子機スレーブが親機マスターからの送信データを正常受信したとの回答として親機マスターから送信された送信データと同じデータまたは特定の返信コードを無線を介して親機マスターに返信することにより親機マスターは同じグループアドレスのアドレス1の子機スレーブへの呼び出しが完了したと判断できる。次に親機マスターは同じ動作を同じグループアドレスの子機スレーブに対して子機スレーブアドレス2、子機スレーブアドレス3と順次送信して設定された人数分の子機スレーブアドレスすべてから返信があった場合は親機スレーブに装備された緑LEDを点灯させ、1つでも返信のない子機スレーブアドレスがあれば赤LEDを点灯し引率者に知らせることにより旅行客全員に指令が伝わったどうかの確認ができるものである。また赤LEDが点灯した場合はどの子機スレーブからの返信がないかを確認するために親機マスターの番号SWを押下すると未返信の若い子機スレーブアドレス番号を3桁程度表示できる7セグメントLEDあるいは液晶LCDに表示し、再度番号SWを押下すると次の未返信の子機スレーブアドレス番号を番号SWを押すごとに表示すれば引率している人数中で何番の旅行客に集合指示が伝達できなかったかを確認でき旅行客リストに記載された人物を特定できるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の不特定多数呼出装置によれば団体旅行において引率者が親機マスターを持ち、旅行客全員が子機スレーブを持つことにより、観光地で散会して旅行客が観光中に次の移動時間になり指定された場所へ集合する場合に引率者が簡便な方法で旅行客全員を呼び出すことができる不特定多数呼出装置の提供である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の不特定多数呼出装置の一実施の形態を図1〜図6を参照して説明する。本実施の形態において図1は親機マスターの構造概念図を示している。左図が表を示し、右図が裏を示している。親機マスターと子機スレーブの通信を行うための無線アンテナ10。親機マスターの動作機能プログラムを格納するメモリスティック20。赤LED30。子機スレーブの動作を選択するプログラム選択SW40。緑LED50。リセットSW60。人数設定SW70。未返信番号表示器75。未返信番号表示SW76。呼び出しSW80。バッテリー90。電源SW100を有する。
【0010】
次に図2は子機スレーブの構造概念図を示している。左図が表を示し、右図が裏を示している。無線アンテナ110。呼び出しLED120。音声出力スピーカー130。鳴動ブザー140。振動バイブレータ150。バッテリー160。電源SW170を有する。
【0011】
次に図3は親機マスターと子機スレーブとの送受信データの構造を示す状態図である。親機マスターから子機スレーブに対して最初に送信される基本データ構造を示す175。親機マスターから子機スレーブに対して2番目に送信される基本データ構造を示す180。2番目に送信される基本データ構造16ビットの下位8ビットの子機スレーブ動作機能を示す190を有する。
【0012】
次に図4は親機マスターのシステム構成図を示している。親機マスターの機能全体を制御するマイクロCPU200。LED点灯制御インターフェース210。2ケのLED220。プログラムSWインターフェース230。プログラム選択SW240。人数設定SWインターフェース250。人数設定SW260。呼び出しスタートSWおよびリセットSWインターフェース270。呼び出しスタートSWおよびリセットSW280。番号表示インターフェース285。番号表示7セグメントまたはLCD表示器286。制御プログラムを格納するプログラムROM290。制御パラメータを格納するワークRAM300。メモリスティックインターフェース310。着脱式メモリスティック320。変調器および復調器インターフェース330。無線アンテナ340。番号表示SWインターフェース345。番号表示SW346。CPUバス350を有する。
【0013】
次に図5は子機スレーブのシステム構成図を示している。子機スレーブの機能全体を制御するマイクロCPU360。LED点灯制御インターフェース370。呼び出しLED380。スピーカーインターフェース390。音声出力スピーカー400。ブザーインターフェース410。鳴動ブザー420。バイブレータインターフェース430。振動バイブレータ440。制御プログラムを格納するプログラムROM450。制御パラメータを格納するワークRAM460。変調器および復調器インターフェース470。無線アンテナ480。CPUバス490を有する。
【0014】
次に図6は引率者が常時持つ親機マスターと旅行客が持つ子機スレーブ間の通信形態を示す状態図である。親機マスター500。Aさんが持つアドレス#1の子機スレーブ510。Bさんが持つアドレス#2の子機スレーブ520。Nさんが持つアドレス#nの子機スレーブ530を有する。
【実施例】
【0015】
前述した本発明の実施の形態の不特定多数呼出装置の実施例を説明する。
団体旅行の引率者は使用前に図1の親機マスターの電源SW100をオンにすると装備されたメモリスティック20から動作機能プログラムを図4のプログラムROM290へダウンロードする。ダウンロード中は図1の赤LED30が点滅しダウンロードが完了すると赤LED30は消灯する。
【0016】
次に参加している旅行客全員に配布する図2の子機スレーブすべての電源SW170をオンにする。引率者は図1の親機マスターのプログラム選択SW40を選択し参加している旅行客の人数を人数設定SW70に人数をセットする。図2の子機スレーブすべての電源SW170をオンした後にテーブルなどの上に置き引率者は図1の親機マスターの呼び出しSW80を押下すると図3の基本データ構造175のグループアドレスデータと基本データ構造180の下位8ビットに選択された子機スレーブの動作機能であるプログラム番号が設定され、上位8ビットをセットされた人数分のアドレスとして1から順次アドレスをインクリメントして図2の子機スレーブに無線アンテナを介してデータを送信すると受信範囲内にある子機スレーブは選択された、例えばLEDの点滅などの動作機能を実行するとともに親機マスターから送信されたデータを正常に受信したことの回答として親機マスターから送信されたデータと同じデータまたは特定の返信コードを各々の子機スレーブが無線アンテナを介して親機マスターに返信することにより設定されたすべての子機スレーブとの通信が正常に終了したことを確認するものである。すなわち通信方式としては親機マスターから各々の子機スレーブに対してポーリング方式で行うことで子機スレーブ1台ごとに確実に通信ができるかどうかを確認した後に参加している旅行客全員に子機スレーブを配布し旅行客の胸あるいは腕にクリップなどで装着する。
【0017】
次に図3の基本データ構造180の上位8ビットはアドレス0を除く1から255までの子機スレーブを最大255台制御できる子機スレーブアドレスとして使用でき、下位8ビットは組み合わせによりLEDの点滅なら16進HEXコードで01、ブザーの鳴動ならHEXコードで02、バイブレータの振動ならHEXコードで04、スピーカーの音声出力ならHEXコードで08のように個別に設定でき、またHEXコードが03であればLED点滅とブザー鳴動の両方を同時に動作させることが組み合わせで可能であり旅行客が訪問している場所、例えば美術館のような静かな場所であればブザーとスピーカーの使用はできないのでLED点滅とバイブレータ振動のHEXコード05を指定すれば他の観客の迷惑にはならない様にその場所の状況により使い分けができるものである。
【0018】
次に図6は引率者が次の移動があり旅行客全員を呼び出す際に引率者が持つ親機マスター500の呼び出しSWを押下するとポーリング方式で子機スレーブアドレス#1のAさんの子機スレーブ510にデータを送信するとAさんの子機スレーブ510は受信データにより例えばLED点滅指定であればLEDが点滅してAさんに指定場所に戻るように指示を与えると共にAさんの子機スレーブ#1から親機マスター500に対して受信が完了したことを回答する親機マスター500から送信されたデータと同じデータまたは特定の返信コードを返信することにより遠方にいる引率者の親機マスター500に対してAさんの子機スレーブ510に指示が届いたことを知らせるものである。同様にBさんの子機スレーブ520、Nさんの子機スレーブ530と順番に設定された人数分の全アドレスについてポーリング方式で通信することにより旅行客全員の呼び出しが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の不特定多数呼出装置によれば、数十人から数百人規模の団体旅行において引率者が指定された時間に指定された場所へ旅行客全員を集合させる場合、散会して観光を楽しんでいる他の旅行客に迷惑をかけずに引率している旅行客のみを一斉に呼び出す分野に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の不特定多数呼出装置の親機マスターの構造概念図である。
【図2】 本発明の不特定多数呼出装置の子機スレーブの構造概念図である。
【図3】 本発明の不特定多数呼出装置の送受信データの構造状態図である。
【図4】 本発明の不特定多数呼出装置の親機マスターのシステム構成図である。
【図5】 本発明の不特定多数呼出装置の子機スレーブのシステム構成図である。
【図6】 本発明の不特定多数呼出装置の通信形態状態図である。
【符号の説明】
【0021】
10・・・無線アンテナ、20・・・メモリスティック、30・・・赤LED、40・・・プログラム選択SW、50・・・緑LED、60・・・リセットSW、70・・・人数設定SW、75・・・未返信番号表示器、76・・・未返信番号表示SW、80・・・呼び出しSW、90・・・バッテリー、100・・・電源SW、110・・・無線アンテナ、120・・・LED、130・・・スピーカー、140・・・ブザー、150・・・バイブレータ、160・・・バッテリー、170・・・電源SW、175・・・最初の送受信基本データ16ビット構造図、180・・・2番目の送受信基本データ16ビット構造図、190・・・2番目の送受信基本データ下位8ビット構造図、200・・・マイクロCPU、210・・・LEDインターフェース、220・・・LED、230・・・プログラムSWインターフェース、240・・・プログラム選択SW、250・・・人数SWインターフェース、260・・・人数設定SW、270・・・スタート/リセットSWインターフェース、280・・・スタートSW/リセットSW、285・・・番号表示インターフェース、286・・・番号表示器、290・・・プログラムROM、300・・・ワークRAM、310・・・メモリスティックインターフェース、320・・・着脱式メモリスティック、330・・・変調器/復調器インターフェース、340・・・無線アンテナ、345・・・番号表示SWインターフェース、346・・・番号表示SW、350・・・CPUバス、360・・・マイクロCPU、370・・・LEDインターフェース、380・・・LED、390・・・スピーカーインターフェース、400・・・スピーカー、410・・・ブザーインターフェース、420・・・ブザー、430・・・バイブレータインターフェース、440・・・バイブレータ、450・・・プログラムROM、460・・・ワークRAM、470・・・変調器/復調器インターフェース、480・・・無線アンテナ、490・・・CPUバス、500・・・親機マスター、510・・・Aさん子機スレーブ、520・・・Bさん子機スレーブ、530・・・Nさん子機スレーブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の送信機を親機マスターとして不特定多数の人間が持つ受信機である子機スレーブに対して無線を介して一斉に呼び出す手段を有する不特定多数呼出装置。
【請求項2】
親機マスターは子機スレーブを呼び出すための子機スレーブの数を管理する手段と、子機スレーブ個別のアドレスを管理する手段と、子機スレーブを呼び出した時の子機スレーブに付帯したランプまたはLEDを点滅する選択手段と、ブザーを鳴動する選択手段と、バイブレータを振動する選択手段と、スピーカにより音声を発生する選択手段を有する不特定多数呼出装置。
【請求項3】
親機マスターは指定された子機スレーブの数分のアドレスを持ち、子機スレーブのアドレスの若い番号から順次無線を介して子機スレーブを呼び出す手段と、アドレスが一致した子機スレーブから受信確認した信号を無線を介して順次親機マスターに返信する手段を有する不特定多数呼出装置。
【請求項4】
子機スレーブは親機マスターから無線を介して送信された選択信号によりランプまたはLEDを点滅する手段と、ブザーを鳴動する手段と、バイブレータを振動する手段と、スピーカにより音声を発生する手段を有する不特定多数呼出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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