説明

不眠症のための行動療法を提供する方法及びシステム

開示されるシステム及び方法は、睡眠問題の有無/重度とそれの正確な性質との自動的な評価を提供する。当該評価は、睡眠パターン、不眠症関連ファクタ及び日中の影響に関する定性的情報と共に、センサにより測定される睡眠パターンに関する定量的情報に基づく。異なるソースの情報(主観的及び客観的データ)を組み合わせることによって、診断は睡眠問題へのさらなる洞察を提供し、より正確になる。さらに、開示されるシステムは、個人に臨床的に該当するシステムの特定のコンポーネントを選択し、個人化されたプログラムを生成するのに利用されてもよい。本システムは、睡眠障害をより良好に対処し、個人が問題を維持し、又はある個人により悪化されるファクタを対象とすることを可能にする自己管理スキルの選択を教示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年6月4日に出願された米国仮特許出願第61/184,165号“System and Method for Managing Insomnia”に対する35U.S.C.119(e)条の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、不眠症を有する患者の認知的行動療法を実現するよう構成されるシステム及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
睡眠障害は一般的である。人口の少なくとも10%が、臨床的に重大であり、公衆衛生の重要性を有する睡眠障害に苦しんでいる。不眠症は、睡眠障害の間違いなく最も一般的な形態である。
【0004】
大部分の不眠症の定義は、関連する日中の不快感を有する睡眠に固有の症状の説明を含む。睡眠の症状は、典型的には、睡眠に入る困難さ、睡眠を維持する困難さ、所望するよりもはるかに早い最終的な目覚め、又は一般にクオリティの低い又は回復しない睡眠を含む。覚醒症状は、疲労、眠気、気分障害、認知的困難及び社会的若しくは職業的な障害に関連する。
【0005】
人口全体における単独の不眠症状の広がりは約30〜50%であり、約9〜15%は慢性的な不眠症問題の結果として重大な日中の障害を報告している。患者人口の過半数では、不眠症は薬により処置される。睡眠薬の市場は、約46億米ドルである。睡眠制限治療などの他の形態の処置は、投薬治療単独よりも長期においてより効果的であることを証拠が示唆するが、広範には普及していない。
【0006】
睡眠問題の性質と重篤性とを評価するための標準的な診断方法、いわゆる、睡眠ログ又は睡眠ダイアリ、すなわち、通常は紙上の質問が大部分のケースにおいて利用され、また、睡眠ログの代替としてアクティグラフが利用可能である。
【0007】
この睡眠ログの主要な問題点は、それの精度が患者の主観的バイアスにより影響を受けることであり、例えば、夜間における睡眠及び覚醒期間を正確に思い出すことは患者にとってしばしば困難である。
【0008】
睡眠及び覚醒段階の自動検出は、バイタルボディサインの測定を必要とするが、既存の解決手段の大部分は、例えば、頭部へのEEGなど電極を装着するため患者の皮膚に貼り付ける又は接着するなどによる接着性の電極に依拠する。これらの電極は、センサに接続されるケーブルや記録装置により睡眠中の患者の障害となる。さらに、安静時間中にケーブルや電極が接続を緩める可能性があり、受信信号の品質を低下させる問題がある。
【0009】
フル装備の睡眠研究室における自動的な睡眠ログによる不眠症の診断はコストがかかり、長時間においては場所が利用可能でなく、このため、不眠症患者の診断能力は制限される。
【0010】
さらに、患者に付いたさらなるセンサ及びケーブルは患者の睡眠を妨害し、夜間の睡眠及び覚醒段階の評価に影響を及ぼし、睡眠記録に影響を与え、誤った診断を導く可能性がある。
【0011】
米国特許出願公報第2004/0225179は、覚醒/睡眠状態を決定する受動的手段を利用する不眠症を治療する自動化された行動方法及びシステムを開示し、参照することによりここに援用される。
【0012】
不眠症は、人口全体において普及した睡眠障害である。しかしながら、実際には、患者は、治療を求めない傾向があり、又は睡眠問題の性質及び重篤性を評価する標準的で適切な方法を利用することなく、GPなどの非睡眠専門家により診断される。これは、薬なしの治療である不眠症のための認知的行動治療(CBT−I)が効果的であり、より持続性のあるものとして示されているが、睡眠問題の現実及び/又は睡眠薬の処方の過小評価を通常もたらす。さらに、より正確な評価とオーダーメードの治療とは、より高い適合性とより良好な治療結果を導く可能性がある。
【発明の概要】
【0013】
開示されたコンセプトの課題は、不眠症を有する患者の認知的行動治療を実行するよう構成されるシステムであって、電子通信を提供するよう構成される通信アセンブリと、少なくとも1つのセンサを有し、睡眠活動データを検出し、前記睡眠活動データを含むセンサシステム信号を提供するよう構成され、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあるセンサシステムと、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、前記センサシステム信号を受信し、前記睡眠活動データを睡眠パターンデータに変換するよう構成される第1処理部と、入力アセンブリを有し、患者入力データを収集するよう構成され、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にある第2処理部と、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、前記睡眠パターンデータと前記患者入力データとを受信し、解析を実行して患者睡眠プロファイルを生成するよう構成される第3処理部と、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、前記患者睡眠プロファイルを解析し、前記患者睡眠プロファイルに関する治療コースを提供するよう構成される第4処理部と、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、ユーザインタフェースを提示するよう構成されるディスプレイとを有するシステムを提供することである。
【0014】
開示されたコンセプトのさらなる課題は、不眠症のための認知的行動治療を提供する方法であって、少なくとも1つの目立たないセンサを有し、睡眠活動データを検出するよう構成されるセンサシステムを利用して、患者の睡眠をモニタするステップと、患者入力データを収集するステップと、患者睡眠プロファイルを生成するため、前記患者入力データ及び前記睡眠活動データを合成するステップと、治療コースを決定するため、前記患者睡眠プロファイルを解析するステップと、ディスプレイ上で前記患者に前記治療コースを提示するステップとを有する方法を提供することである。
【0015】
ここで用いられる“患者”とは、人間だけでなく動物にも適用される。さらに、“患者”という用語は、各人間/動物が疾病状態にあることを意味せず、健康な人間もまた“患者”と呼ばれる。
【0016】
“睡眠/覚醒分類”という用語は、各クラスに属する確率から生じる“覚醒”又は“睡眠”としての対象期間の分類、又は分類手段の出力として提供される“真”又は“偽”の分類を表すが、さらにユーザインタフェース又は何れかの装置上の分類結果の表示を表す。
【0017】
さらに、“pNN50”という用語は、50msより大きな隣接するNNインターバルのインターバル相違数のパーセンテージを表し、“SDNN”という用語は、すべてのNNインターバルの標準偏差を表し、“SDSD”という用語は、隣接するインターバル間の距離の間の標準偏差を表し、“RR_mean”という用語は、RRインターバルの平均期間を表し、“HR_mean”という用語は、平均心拍を表し、“LF”という用語は、心拍可変性基準により規定されるような低周波数範囲を表し、“HF”という用語は、心拍可変性基準により規定されるような高周波数範囲を表し、“RMSSD”という用語は、二乗平均平方根連続差分を表し、“HRV”という用語は、心拍可変性を表す。
【0018】
本発明の上記及び他の特徴は、後述される実施例を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一般的原理を概略的に示す。
【図2】図2は、本発明の第1の好適な実施例の特徴抽出方法の概略的なフローチャートを示す。
【図3】図3は、本発明の第1の好適な実施例の睡眠/覚醒分類方法の概略的なフローチャートを示す。
【図4】図4は、本発明の方法に基づく睡眠制限アルゴリズムを示す。
【図5】図5は、本発明の要素を概略的に示す。
【図6】図6は、不眠症のための認知的行動治療を提供する方法の概略的なフローチャートを示す。
【図6A】図6Aは、不眠症のための認知的行動治療を提供する方法の概略的なフローチャートを示す。
【図7】図7は、睡眠スケジューリングモジュールに関する概略的なフローチャートを示す。
【図8】図8は、関連付けベッド睡眠モジュールに関する概略的なフローチャートを示す。
【図9】図9は、認知的再構成モジュールに関する概略的なフローチャートを示す。
【図10】図10は、対処戦略モジュールに関する概略的なフローチャートを示す。
【図11】図11は、リラクゼーションモジュールに関する概略的なフローチャートを示す。
【図12】図12は、生活スタイルに関する概略的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から参照できるように、本発明の好適な実施例による睡眠/覚醒分類システム100は、後述されるようなECGからの心臓の活動のバイタルボディサインモニタリング及び/又はベッドホイルセンサからの体の動きのための目立たないベッド内センサ101を有する。さらなるステップは、信号の準備中のフィルタリング及びアーチファクト除去のための前処理部102、ECGからの特徴及び/又は体の動き信号を単独で又は組み合わせて抽出する特徴抽出部103、入力されたすべての特徴に従った睡眠/覚醒状態の分類のための睡眠/覚醒分類部104、患者の睡眠制限アルゴリズムのための入力として用いられるベッドにいる時間に対する睡眠時間を計算する睡眠効率計算部105、より健康な睡眠のための規則などを患者に提供する装置106である。
【0021】
睡眠/覚醒分類104、睡眠効率計算105及び睡眠制限アルゴリズム装置106の出力は、主観的パラメータ109のための睡眠ログ質問などのさらなるソースから情報を取得可能な医療専門家や患者107へのフィードバックを提供するのに利用可能である。
【0022】
提案されるシステムのセンサ部に関して、以下の実施例が可能である。すなわち、センサは、心拍、呼吸及び体の動きを測定するための患者の胸部の下方に配置されるフェロエレクトレットホイル(ferro−electret foil)である。
【0023】
あるいは、他の好適な実施例では、患者の胸部領域のマットレスの下方のスラットに接着されたピエゾ抵抗ひずみゲージが、心拍、呼吸及び体の動きを測定するために利用可能である。
【0024】
他の好適な実施例では、ECGのみが利用され、好ましくは、テクスタイルのECGがベッドの枕及びフットマットの電極として一体化される。
【0025】
フェロエレクトレットホイル又はひずみゲージの代わりに、ECGセンサが、胸部及び/又は腹部の周囲の標準的な(誘電性又はピエゾ抵抗)バンドにより測定される呼吸信号と組み合わせることができる。このタイプのセンサはまた、より控えめなものにするため、織物(Tシャツなど)に一体化することが可能である。
【0026】
あるいは、他の実施例では、フェロエレクトレットホイル又はひずみゲージの代わりに、ECGセンサが加速度計信号と合成可能である。当該装置は腕に装着される装置とすることができるが、好ましくは、2D又は3D加速度計が体の動きを測定するため患者の胴体に配置される。また、このタイプのセンサは、より控えめなものにするため、織物(Tシャツなど)に一体化することが可能である。
【0027】
処理部は、図1に参照できるような複数のステップを有する。これらは、生データの前処理、特徴抽出及び睡眠/覚醒分類である。以下のパラグラフでは、各ステップの異なる代替がより詳細に説明される。
【0028】
図1の信号前処理装置102は、直列的、並列的又は繰り返し通過可能な以下のステップ、すなわち、信号の適切なフィルタリングとアーチファクトの除去の1以上を含む。
【0029】
ECG信号のケースでは、異所性収縮の除去が必要となりうる。
【0030】
信号にギャップがあるケースでは、補間が必要となる可能性がある。
【0031】
特徴抽出装置103は、ECGと呼吸信号とからの特徴の抽出を含み、ECGから以下の特徴が導出される。すなわち、時間領域からの統計的な心拍の変動性パラメータ(平均心拍、SDNN、RMSSDなど)、心拍変動性(HRV)スペクトルからのパラメータ(LF、HFなど)、マルチスケールサンプルエントロピー及び進行性DFA(Detrended Fluctuation Analysis)である。
【0032】
フェロエレクトレットホイル、スラットセンサ又は誘電性/ピアゾ抵抗バンドにより測定される呼吸信号から、スペクトルが計算され、LF及びHFパワーが特徴として抽出される。さらに、平均呼吸数が決定される。
【0033】
さらに、特徴抽出装置103は、ECG信号と呼吸信号の双方が利用可能なケースでは、追加的な特徴として双方のスペクトルのコヒーレントパワーを計算することを可能にする。さらに、心拍と呼吸数のレシオが追加的な特徴として導出可能である。
【0034】
さらに、フェロエレクトレットホイル又はスラットセンサ信号から、アクティビティインデックスが大きな体の動きに基づき導出される。
【0035】
本発明の好適な実施例はさらに、次のステップである睡眠/覚醒分類104について、アクティビティインデックスと心臓及び/又は呼吸状態に関する少なくとも1つの追加的な特徴が分類処理の入力として好適な組み合わせとなることを示唆する。
【0036】
少なくとも1つの特徴と、好ましくは、上述した特徴のすべて又は少なくとも一部とのベクトルが、例えば、1分のデータセグメント毎など、対象となる各期間について生成される。
【0037】
さらに、このベクトルは、図3に説明されるように、教師付き学習による標準的なパターン認識アプローチに基づく睡眠/覚醒分類手段104に提供される。この分類手段について、以下のアプローチが、好ましくは利用可能である。すなわち、ベイズ1次又は2次判別分類手段、サポートベクトルマシーン、kNN(k−Nearest−Neighbour)法、ニューラルネットワーク及び隠れマルコフモデルである。
【0038】
分類手段のパラメータは、代表データの大規模なデータベース上で訓練される。
【0039】
睡眠ログにおける主観的質問に関する患者の入力、不眠症重篤性インデックス、不眠症頻度質問又は他の評価を受信し、フィードバックを提供するため、本発明の好適な実施例では、入力部と表示部とがユーザインタフェース装置107に組み合わされる。この装置は、通常のラップトップPC、タッチ画面を備えたタブレットPC、PDAや携帯電話などの携帯装置とすることができる。この装置の処理パワーに応じて、処理部はまた当該装置の一部とすることが可能である。患者へのフィードバックは、ベッドにいる時間、合計の睡眠時間、合計の起きている時間、睡眠効率性、睡眠遅延、覚醒の回数と期間又は簡単化されたヒプノグラムのパラメータの1以上を含むことができる。
【0040】
医療専門家へのフィードバックは、同一のユーザインタフェース108を介し提供可能である。他の実施例では、(USBケーブル、Bluetooth(登録商標)、ZigBee又は他の何れかの通信規格又は装置などを介し)患者のユーザインタフェースから医師のPCに患者データを転送するためのダウンロード処理がある。さらなる他の実施例では、患者データは、インターネット、GSM(登録商標)、UMTS、EDGE、GPRS又は他の何れかのインターネット若しくは携帯電話記憶若しくはシステムを介し医師に(自動)送信可能である。
【0041】
医療専門家へのフィードバックは、上述した特徴のすべてを含むべきである。さらに、それはまた、適切な治療アプローチのために重要な情報を医療専門家に提供する主観的及び客観的データを比較できるように、主観的な睡眠ログの質問に対する患者の回答を含むべきである。これは、例えば、睡眠状態の誤解、客観的睡眠データが通常の睡眠パターンを反映しているが、患者自らは睡眠していたことを認識していないタイプの不眠症のケースにおいて特に重要である。
【0042】
図2において参照できるように、ECGセンサ200により提供されるECG信号は前処理201が実行され、当該前処理は、Rピーク検出、異所性収縮除去、線形補間及び好ましくは4Hzの所定の周波数によるリサンプリングから構成される。その後、結果として得られるRRインターバル系列が考慮され、規格に従う心拍変動性パラメータが周波数及び時間領域において評価される。まず、所定の期間におけるパワースペクトル計算202、好ましくは、対象となる1分間を中心とする時系列の5分間のセグメントが、アドバンスドトレンド除去による自己回帰モデルを用いて計算される。あるいは、フーリエ解析、時間周波数分布、時間可変自己回帰モデリングに基づく他の方法が利用可能である。最後の2つのケースでは、パワースペクトル推定は、ECGのRピークの新たな検出毎など、より短い時間スケールにより更新される。
【0043】
好ましくは0.04〜0.15Hzの低周波数帯LFと0.15〜0.4Hzの高周波数帯HFとにおけるパワースペクトルが、203においてスペクトルの特徴を規定するのに利用され、パワーはLF_norm=LF/(LF+HF)に従って正規化され、LF/HFレシオが計算される。さらに、204において、好ましくは5分間のセグメントである所定の期間におけるRRインターバルの時系列統計は、pNN50(50msより大きな隣接するNNインターバルのインターバル差分の個数のパーセンテージ)、SDNN(すべてのNNインターバルの標準偏差)、SDSD(隣接インターバル間の連続する差分の標準偏差)、RMSSD(二乗平均平方根連続差分)、RR_mean(RRインターバルの平均期間)及びHR_mean(瞬間心拍の平均)など、205における結果として得られる時間領域の特徴を提供する。
【0044】
非線形パラメータはまた、206において、2つの方法を適用によってRRインターバル時系列から抽出される。207において用いられる第1非線形計算方法は、長さ64のウィンドウにおけるトレンド除去前に信号を徐々に統合又は積分することを可能にする進行的DFAである。さらに、平方された信号の部分和がその後に考慮され、これは、任意の所定の期間とすることが可能であるが、好ましくは、1分間の期間の考慮される期間における最大値として規定される、新たな特徴209を抽出する結果として得られる微分された時系列を208において提供する。
【0045】
RRインターバル系列に適用される第2非線形計算方法が、マルチスケールサンプルエントロピーを提供する。第1に、当該系列は、210においてスケール1及び2により粗粒子化され、5分間のセグメントが考慮される。サンプルエントロピー(sampenと後述される)が、1〜10の複数のレベルにより211において計算される。従って、212における以下の特徴、すなわち、レベルk=1〜10についてsampen_scale1_kとsampen_scale2_kとが提供される。
【0046】
図2の下部に参照できるように、ベッドホイルセンサ213により提供されるベッドホイル信号は、ノイズ低減とキャリブレーションとから構成される前処理214が施される。ローパスフィルタリング215の利用は、呼吸信号を導く。当該信号におけるピークの特定は、呼吸インターバル系列を導くことを可能にし、それはまた、216において、線形補間され、好ましくは4Hzの所定のレートによりリサンプリングされる。パワースペクトル217は、好ましくは、アドバンストトレンド除去による自己回帰モデルを用いて計算される。その後、パワースペクトルは、218において、低周波数帯LF(0.04〜0.15Hz)と高周波数帯HF(0.15〜0.4Hz)とに分割及び正規化され、これらは、スペクトル特徴LF_norm_respi及びLF/HF ratio_respiとを規定するのに利用される。さらに、219における小さな及び大きなエネルギーアーチファクトの検出は、220における特徴としても利用される1分間におけるヒューリスティックなアクティビティインデックスを規定することを可能にする。さらに、221におけるバンドパスフィルタリングは、メカニカルな心臓活動を表す、いわゆる心弾動図を提供する。この信号は、心拍変動性信号を取得するためのECG信号の興味深い代替となりうる。最後に、RRインターバルと呼吸インターバル系列とが、222において、対象となる1分間を中心とする5分間における平方コヒーレンス関数を推定することによって合成される。このコヒーレンス関数は、RRインターバル系列の自己スペクトルと乗算され、周波数軸に沿って積分される。223における結果としての特徴は、%によるコヒーレンスパワーの大きさである。また、RRインターバル/呼吸インターバルレシオなどの心肺カップリングを評価する他の特徴を考えることも可能である。
【0047】
図2の右側に参照できるように、好適な実施例は、図3においてさらに説明される分類処理に用いられる特徴ベクトルの各成分を構成する特徴203,205,209,212,223,218,220を含む。
【0048】
図3は、睡眠/覚醒分類のための方法の好適な実施例である。ステップ303は、テストデータセットに属する、少なくとも1つの要素を有するベクトルを提供する特徴抽出処理から得られる情報を表す。判定は、トレーニングデータセット302により訓練される教師付き学習分類手段301に基づく。分類手段304は、ベイズ1次又は2次判別分類手段、サポートベクトルマシーン又はkNN分類手段、及びトレーニングデータセットに基づく教師付きの学習アプローチに基づき、患者が起きているか寝ているか決定する。トレーニングデータがより代表的なものであると、分類304の精度及びパフォーマンスは良好になる。
【0049】
睡眠制限治療は、不眠症を単独で又は薬理学的治療と共に治療するのに利用可能な非薬理学的方法である。細分化された良好でないクオリティの睡眠をもたらす可能性の高い、より多くの睡眠機会を提供するための努力において、ベッドで過ごす時間を増加させるための睡眠障害者間の自然な傾向がある。
【0050】
睡眠制限治療は、実際の睡眠時間までベッドにいる時間を縮小することから構成される。ベッドにいる時間は、その後に通常は前週である所与の期間における睡眠効率計算に基づき調整される。例えば、ある人がベッドで過ごす8時間のうちで毎晩平均して6時間睡眠していることを報告した場合、初期的に処方される睡眠ウィンドウは6時間となるであろう。
【0051】
睡眠効率が80%を超えるときの所与の週において約15〜20分の以降のベッドにいることが許される時間は、睡眠効率が80%以下となるときと同じ時間だけ減少され、睡眠効率が80〜90%の間に低下するとき安定的に維持される。あるいは、治療する人は、85%の睡眠効率に上限を設定してもよい。最適な睡眠期間が達成されるまで、毎週など定期的に調整される。この処理を実現する際の変形は、例えば、過去3〜5日の睡眠効率の移動平均に基づきベッドにいる時間を変更したり、又は睡眠効率の変更に関係なく毎週それを変更することに関するものであってもよい。この処理は、穏やかな睡眠の喪失と睡眠予測不安の軽減とを通じて睡眠継続性を向上させる。過度なに日中の眠気を防ぐため、ベッドにいる時間は、毎晩5時間未満に減少されるべきでない。
【0052】
図4に参照できるように、本発明により提供される睡眠効率計算に基づく睡眠治療方法の好適な実施例がある。
【0053】
第1ステップ401において、医療実施者は、起床時間と就寝時間とを初期化する。ステップ402において、5日間で質問からの情報を含むデータが収集される。
【0054】
ステップ403において、直近5日間の平均的な睡眠効率が計算される。ステップ404において、平均睡眠効率が80%未満、80〜90%の間、又は90%以上であるかケース判定が行われる。
【0055】
平均睡眠効率が80%未満であるケースでは、ステップ406において、患者は15分だけベッドにいる時間を短縮するよう求められ、平均睡眠効率が90%以上であるケースでは、ステップ405において、患者は15分だけ時間を延ばすよう求められる。当該処理が、次の5日間の睡眠情報を収集することによってステップ402において継続される。平均睡眠効率が80〜90%であるケースでは、ステップ407において、ポジティブなフィードバックが患者に提供され、ステップ408において、起床時間と就寝時間とがもう1日維持され、当該処理がステップ403に続く。
【0056】
開示されたコンセプトは、不眠症を有する患者の認知的行動治療を実行するよう構成されるシステム1000として特定され、以下の方法を利用してもよい。システム1000及び方法を説明する前に、以下の定義が記される。
【0057】
ここで用いられる“目立たないセンサ(unobtrusive sensor)”は、付着力のある又は無線など、患者の体に直接付着されないセンサを意味する。患者の体に結合されないセンサは、例えば、患者の胸部に隣接して又は接触して配置されるフェロエレクトレットホイルなどを含み、患者に付着されず、患者は自由に動けるため、“目立たないセンサ”である。他の“目立たないセンサ”は、患者のベッドに接合されたピエゾ抵抗ひずみゲージ、枕、寝具類、パジャマ、ナイトキャップ又は動きを検出するよう構成されるレーダ/ビデオシステムなどの布地に埋め込まれたECGセンサを含む。患者の体に接合される“目立たないセンサ”は、ブレスレットや同様の構成物に設定される何れか小さな/ライトセンサを含む。このような目立たないセンサの一例は、加速時計である。患者と装置との間に延びる配線を有する何れかのセンサは、“目立たないセンサ”でない。
【0058】
ここで用いられる“睡眠活動データ(sleep activity data)”は、自発的又は非自発的にかかわらず、患者の意識状態、すなわち、起きている又は寝ていることの指標である測定可能なアクションを表すデータ、好ましくは、生体データである。
【0059】
ここで用いられる“評価(assessment)”とは、毎週1〜5日間、大変眠いから目がさえているまでなどのスケールにより回答された1以上の質問/記述である。このような回答は、眠い=1ポイント、目がさえる=5ポイントなどの“ポイント”に変換される。複数の質問が関連する場合、ポイントはスコアに合成されてもよい。ポイントの合成は、単純な加算であってもよいが、相乗的合成のための乗数を有してもよい。例えば、評価は、以下の3つの質問/記述を含むものであってもよい。すなわち、(1)眠るまでの困難さ、1=なし、5=ひどい、(2)眠り続ける困難さ、1=なし、5=ひどい、及び(3)午後6時以降にコーヒーを何杯飲むか、の重度をレーティングする。ここで、質問(1)及び(2)に関するポイントは単純な加算により合成されてもよいが、消費されるコーヒーのカップ数などのポイントは乗数であってもよい。さらに、知られているように、評価のための最終的に合成されたスコアは、典型的には、当該評価に関する1以上の所定の閾値と比較される。例えば、1つの評価は、患者の不眠症のレベル又は重度を決定し、他の評価は、患者に関する不眠症のタイプを決定するものであってもよい。命名される評価は、限定することなく、ESS(Epworth Sleepiness Scale)、Pre−Sleep Arousal Scale、Sleep Disturbance Questionnaire、Sleep Hygiene Practice Scale、Caffeine Knowledge Quiz、The Sleep Behavior Self−Rating Scale、The Glasgow Content of Thoughts Inventory、The Glasgow Sleep Effort Scale、(PSQI)Pittsburgh Sleep Quality Index及びMFI(Multidimensional Fatigue Inventory)を含む。
【0060】
ここで用いられる“閾値”とは、ある範囲の値であってもよい。すなわち、“閾値”は、最大値、最小値又は(未)許容値の範囲として存在してもよい。
【0061】
図5に示されるように、不眠症を有する患者に対して認知的行動治療を実行するよう構成されるシステム1000は、通信アセンブリ1002、センサシステム1004、第1処理部1006、第2処理部1008、第3処理部1010、第4処理部1012及びディスプレイ1014を有する。通信アセンブリ1002は、上述されたコンポーネントの間の電子通信を提供するよう構成される。すなわち、各コンポーネントは、通信アセンブリ1002に接続され、電気通信状態にある。通信アセンブリ1002とコンポーネントとは、各種コンポーネントに無線接続されてもよい。通信アセンブリ1002は、好ましくは、インターネットなどの電子通信ネットワーク1001に接続され、電気通信状態にある。
【0062】
センサシステム1004は、少なくとも1つのセンサ1020を有する。センサシステム1004は、睡眠活動データを検出し、睡眠活動データを有するセンサシステム信号を提供するよう構成される。ここで用いられる“睡眠活動データ”とは、少なくとも心拍データ、呼吸数データ及び患者の体の動きデータを含む。知られているように、アクティグラフにより検出される動きデータ及びECGにより検出される心拍データなど、このようなセンサ1020からのデータは、患者が起きているか、又は寝ているか決定又は推定するため組み合わされてもよい。再び、開示される方法に関するECGセンサは目立たないセンサ、すなわち、患者の皮膚に付着されたセンサに接続される配線/リードを有する従来のECGでなく、患者の衣服に搭載されるセンサであることに留意されたい。利用可能な他のセンサは、限定することなく、呼吸努力を検出するよう構成されるインダクタンスプレチスモグラフィー及び心弾動図(心臓活動、呼吸活動及び体の動き活動)を測定するよう構成されるEmfitホイルを含む。
【0063】
センサシステム1004、すなわち、各センサ1020は、通信アセンブリ1002に接続され、電子通信状態にある。各センサ1020は、上述されるような少なくとも1つの特徴を有するセンサ信号を生成するよう構成される目立たないセンサである。少なくとも1つのセンサ1020は、限定することなく、ECGセンサ1022及び/又はアクティグラフセンサ1024であってもよい。ECGセンサ1022は、心拍データと呼吸数データとを検出するよう構成される。心拍データと呼吸数データとは、ECGセンサ1022の信号に含まれる特徴である。アクティグラフセンサ1024は、患者の体の動きデータを検出するよう構成される。患者の体の動きデータは、アクティグラフセンサ1024の信号に含まれる特徴である。具体的なタイプの少なくとも1つのセンサ1020が上述された。従って、少なくとも1つのセンサ1020は、単一の加速度計、単一のアクティグラフなどであってもよい。
【0064】
各処理部、すなわち、第1〜第4処理部1006,1008,1010,1012は、限定することなく、当該分野において知られるようなプログラマブル論理回路(PLC)と通信システム(何れも図示せず)などの動作要素を有する。各処理部1006,1008,1010,1012の動作要素はまた、限定することなく、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)、フラッシュメモリ及び/又はディスク若しくはソリッドステートであってもよいハードドライブなどの記憶装置(図示せず)を有してもよい。記憶装置は、1以上の実行可能命令セット、以下においてルーチン1030と共に、収集されたデータ、ルーチン1030に提供される他のデータ及び電子通信ネットワーク1001を介しダウンロードされるデータを格納するよう構成される。知られているように、各処理部1006,1008,1010,1012に格納されるデータは、通信アセンブリ1002及び電子通信ネットワーク1001を介し、限定することなく、医療専門家のオフィスなどの遠隔地に通信されてもよい。同様に、データ及び/又はルーチン1030は、通信アセンブリ1002及び電子通信ネットワーク1002を介し、限定することなく医療専門家のオフィスなどの遠隔地から各処理部1006,1008,1010,1012にダウンロードされてもよい。各処理部1006,1008,1010,1012の動作要素は、処理部が実現するよう構成される何れかの機能を実行するよう連係して動作する。
【0065】
各処理部1006,1008,1010,1012の動作要素は、好ましくは、ハウジング(概略的に図示)に配置される。2以上の処理部1006,1008,1010,1012の動作要素が、共有されたハウジング(図示せず)に配置され、連係して動作するようにしてもよい。すなわち、例えば、各処理部1006,1008,1010,1012のルーチン1030は、単一のストレージ装置に格納されてもよい。しかしながら、少なくとも1つの処理部1006,1008,1010,1012は、汎用PLCでないPLCを有する。好ましくは、第1処理部1006のPLCは、汎用PLCでない。
【0066】
第1処理部1006は、上述された前処理部102に対応する。すなわち、第1処理部1006は、上述された前処理部102に関するステップを実行するよう構成される。第1処理部1006は、通信アセンブリ1002に接続され、電子通信状態にある。第1処理部1006は、通信アセンブリ1002を介しセンサシステム信号を受信し、睡眠活動データを睡眠パターンデータに変換するよう構成される。睡眠パターンデータは、患者の就床時間、患者の総睡眠時間、患者の総覚醒時間、患者の睡眠効率、患者の入眠潜時、患者の中途覚醒数及び患者のスヌーズ時間を含む。ここで用いられる“就床時間”とは、患者が寝ているか又は起きているかに関係なく、患者がベッドで過ごす時間を意味する。ここで用いられる“総睡眠時間”とは、就床時間の患者が寝ている部分である。ここで用いられる“入眠潜時”とは、患者が就床してから最初に入眠するまでの時間である。ここで用いられる“中途覚醒”とは、就床時間のうち、患者が最初に入眠した時間から朝に最終的に起床した時間までの部分である。ここで用いられる“スヌーズ時間”とは、最後の覚醒から患者がベッドから出るまでの時間である。ここで用いられる“総覚醒時間”とは、就床時間の患者が起きている部分である。ここで用いられる“睡眠効率”とは、総睡眠時間の就床時間に対する比である。ここで用いられる“中途覚醒数”とは、患者が最初に入眠した後の覚醒した回数である。従って、第1処理部1006は、心拍データ、呼吸数データ及び患者の体の動きデータを処理し、患者の就床時間、患者の総睡眠時間、患者の総覚醒時間、患者の睡眠効率、患者の入眠潜時、患者の中途覚醒数及び患者のスヌーズ時間を決定するよう構成される。
【0067】
第2処理部1008は、上述されたユーザインタフェース装置107に対応する。すなわち、第2処理部1008は、上述されたユーザインタフェース装置107に関するステップを実行するよう構成される。第2処理部1008は、好ましくは、ディスプレイ1014を有する。第2処理部1008は、ディスプレイ1014上にユーザインタフェース108を提示するよう構成されるルーチン1030を有する。第2処理部1008は、好ましくは、限定することなく、キーボード1036、マウス1038(又はトラックボール、タッチ画面、マウスと同様の機能を提供する他の何れかの装置)などの1以上の入力装置を有する入力アセンブリ1034を有する。知られるように、患者は、入力アセンブリ1034とユーザインタフェース108を介し患者の入力データを入力してもよい。ユーザインタフェース108は、後述されるように、1以上の評価を提示し、ユーザが睡眠ログにデータを入力することを可能にするよう構成される。第2処理部1008は、通信アセンブリ1002に接続され、電子通信状態にある。
【0068】
第3処理部1010は、上述された特徴抽出部103、睡眠/覚醒分類部104及び睡眠効率計算部106に対応する。すなわち、第3処理部1010は、上述された特徴抽出部103、睡眠/覚醒分類部104及び睡眠効率計算部106に関するステップを実行するよう構成される。第3処理部1010は、通信アセンブリ1002に接続され、電子通信状態である。第3処理部1010は、睡眠パターンデータと患者の入力データとを通信アセンブリ1002を介し受信し、これらに対して解析を実行するよう構成される。この解析は、患者睡眠プロファイルを生成する。ここで用いられる“患者睡眠プロファイル”は、患者の体の動きデータなどの客観的データと、患者の入力データなどの主観的データとを含むデータの集まりである。患者睡眠プロファイルは、患者の睡眠履歴、睡眠パターン、不眠症の定性的及び定量的指標、不眠症に関連するファクタの特定、及び不眠症の日中の重大さの特定を含む。不眠症の日中の重大さは、限定することなく、不良な日中のエネルギー、不良な任意的機能(集中、フォーカス、注意、記憶など)及び不良な気分及び動機を含む。
【0069】
不眠症の定性的指標は、限定することなく、不良から良好や1〜10のLikertスケールなどの睡眠のクオリティの主観的推定を含む。不眠症の定量的指標は、限定することなく、後述されるISI(Insomnia Severity Index)スコア、入眠潜時、中途覚醒及びスヌーズ時間の主観的及び客観的推定を含む。このような不眠症の定量的指標は、標準的な閾値と比較され、例えば、入眠潜時閾値は、30分に設定される。このような比較は、睡眠障害のタイプ(睡眠開始、睡眠維持、早い覚醒などによる問題)を評価するのに利用されてもよい。さらに、睡眠効率の主観的及び客観的推定は、患者が確実に眠っているか評価するため、標準的な閾値(90%など)と比較されてもよい。
【0070】
第3処理部1010は、睡眠パターンデータ、患者入力データ及び患者睡眠プロファイルを電子通信ネットワーク1001を介し医療専門家に送信するよう構成される。
【0071】
第4処理部1012は、上述された睡眠制限アルゴリズム装置106に対応する。すなわち、第4処理部1012は、上述された睡眠制限アルゴリズム装置106に関するステップを実行するよう構成される。第4処理部1012は、通信アセンブリ1002に接続され、電子通信状態にある。第4処理部は、患者睡眠プロファイルを解析するよう構成される。第4処理部1012により実行される解析は、後述される。第4処理部1012はさらに、患者睡眠プロファイルに関する治療を提供するよう構成される。すなわち、第4処理部1012は、複数のインタラクティブ治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070を格納した記憶装置1050を有する。
【0072】
治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070は、一般に不眠症に関連するファクタに関連付けされる。不眠症に関連するファクタは、限定することなく、行動及び認知ファクタを含む。例えば、行動ファクタは、限定することなく、睡眠制限、就床時間のスケジューリング、及び起床時間のスケジューリングを含む。行動ファクタは、患者のパターンの変化、不規則な睡眠/覚醒時間及び/又は患者が保障的戦略に入ったとき、例えば、不良な夜間の睡眠を保障するためより早く就床し、睡眠し、及び/又は昼寝するなどを記録するようにしてもよい。行動ファクタはまた、刺激制御、すなわち、就床・睡眠の関連付けや就床と睡眠中断との間の調整を含む。すなわち、ベッドと就床時間とは、睡眠のきっかけでなく活動のきっかけになる。例えば、患者は、ベッドで起きたまま横たわるかもしれず、それは、就床と睡眠との間の脳の接続を混乱させ、覚醒状態を維持する。他の行動ファクタは、アルコール、カフェイン、ニコチン、夕食習慣、寝室環境など、睡眠に影響を与えうる患者の睡眠前ルーチン及び他の習慣を含む。認知ファクタは、限定することなく、夜間における患者のマインドレーシング(mind racing)、すなわち、就床時間における過覚醒、不安、不眠症の重大際に関する増加など睡眠に関する心配、知覚される睡眠の制御及び予測可能性、睡眠に関する非現実的な予想を含む。
【0073】
各インタラクティブ治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070は、(1)患者がモジュールにアクセスした最初の日に与えられる治療アドバイス、(2)モジュールの残りの日に日常情報により提供される一般情報、及び(3)患者がモジュールにアクセスした最初の日にアクセス可能な目標設定部の3つの部分を含む。治療アドバイスは、標準的なCBT−Iに基づく推奨/介入から構成される。治療アドバイスと日常情報とは、問題を維持するか、又はある患者によって悪化されるファクタを対象とし、患者により特定される目標に関するものであってもよい。すなわち、一般的又はグローバルな目標が睡眠を改善することである一方、患者は、具体的な問題を認識し、当該問題に関する具体的な目標を特定してもよい。例えば、患者は、睡眠サイクルの中間で覚醒した後、より早く入眠し、及び/又はより容易に眠りに戻ることを学習することを所望するかもしれない。あるいは、患者は、午前中によりリフレッシュし、日中のエネルギーを改善し、日中のパフォーマンスを改善し、自分の認知機能(集中、フォーカス、注目及び記憶)を改善し、及び/又は自分の気分及び動機を改善する方法を学習することを所望するかもしれない。あるいは、患者は、実際の睡眠パターンを特定し、又は夜間に何時間睡眠したか決定することを所望してもよい。指導及び/又は他のアドバイスは、グローバルな目標又はより具体的な目標の1以上に関するものであってもよい。
【0074】
第4処理部1012はさらに、患者の睡眠プロファイルに基づき治療命令モジュールの選択及び順序を整理するよう構成される。最後に、第4処理部1012は、整理された治療命令モジュールをディスプレイ1014に提示するよう構成される。
【0075】
ディスプレイ1014は、通信アセンブリ1002に接続され、電子通信状態である。ディスプレイ1014は、上述されたユーザインタフェース108と共に他の何れかの情報を提示するよう構成される。
【0076】
システム100に関する方法を説明する前に、以下の評価が留意される。評価又はその個別部分は、後述される各種解析中に利用される。1つの既知の評価は、以下の質問/記述を含むISIである。
【0077】
不眠症重篤インデックス(ISI)
【0078】
【表1】

【0079】
他の既知の評価であるIFQ(Insomnia Frequency Questionnaire)は、指摘された症状で患者が苦しむ週毎の日数を示す応答を含み、以下の質問/記述を含む。
【0080】
【表2】

【0081】
睡眠ログは、スケールによりレーティングされる質問/記述と、応答が時間及び分により測定される期間である質問/記述との双方を含む。睡眠ログは、以下の質問/記述を含む。
【0082】
【表3】

【0083】
他の睡眠評価は、睡眠に関する患者の信念に関するDBAS−16であり、限定することなく、以下のような患者がレーティングする記述を含む。
【0084】
【表4】

【0085】
不眠症を有する患者に対して認知的行動医療を実行するよう構成されるシステム1000を利用して、患者は、以下のステップを有する方法に従って不眠症の認知的行動治療を受けるようにしてもよい。まず、本方法は、少なくとも1つの目立たないセンサ1020を有するセンサシステム1004を利用して患者の睡眠をモニタリングするステップ2000を有する。上述されるように、センサシステム1004は、睡眠活動データを検出するよう構成される。本方法はさらに、患者入力データを収集するステップ2002、患者入力データ及び睡眠活動データを合成し、患者睡眠プロファイルを生成するステップ2006、治療コースを決定するため、患者睡眠プロファイルを解析するステップ2008、及びディスプレイ1014上で患者に治療コースを提示するステップ2010を有する。
【0086】
少なくとも1つの目立たないセンサを有するセンサシステムを利用して患者の睡眠をモニタリングするステップ2000は、ECGセンサ及びアクティグラフセンサを利用するステップ2020を有する。上述されるように、ECGセンサ1022は、心拍データと呼吸数データとを検出するよう構成され、アクティグラフセンサ1024は、患者の体の動きデータを検出するよう構成される。少なくとも1つの目立たないセンサを有するセンサシステムを利用して患者の睡眠をモニタリングするステップ2000はさらに、心拍データ、呼吸数データ及び患者の体の動きデータを処理し、患者の就床時間、患者の総睡眠時間、患者の総覚醒時間、患者の睡眠効率、患者の入眠潜時、患者の中途覚醒数及び患者のスヌーズ時間の少なくとも1つを決定するステップ2022を有する。
【0087】
患者入力データを収集するステップ2002は、患者の睡眠履歴に関するデータを収集するステップ2030、患者の医療履歴に関するデータを収集するステップ2032、ISI評価を患者に記入させるステップ2034、及び患者に睡眠ログを維持させるステップ2036を有する。上述されるように、患者入力データは、第2処理部2008を介し入力され、より詳細には、入力アセンブリ1034及びユーザインタフェース108を介し入力される。
【0088】
治療コースを決定するため患者睡眠プロファイルを解析するステップ2008は、患者入力データ及び睡眠活動データを解析し、患者の不眠症に寄与するファクタを特定するステップ2038、患者に関する不眠症のタイプを特定するステップ2039、患者の不眠症の重度を決定するため、患者入力データ及び睡眠活動データを解析するステップ2040、日中の活動に対する患者の不眠症の影響の重度を決定するため、患者入力データを解析するステップ2042、患者の不眠症のタイプを決定するため、患者入力データを解析するステップ2044、及び患者の不眠症の重度、日中の活動に対する患者の不眠症の影響の重度及び患者の不眠症のタイプに基づき、治療のための医療専門家の言及、患者へのインタラクティブな治療コースの推奨、治療なしの推奨の1つを患者に推奨するステップ2046を有する。
【0089】
患者がインタラクティブな治療コースが推奨された場合、当該治療は、好ましくは、ユーザインタフェース108を提示するディスプレイ1014を介し患者に提供される。すなわち、治療コースを決定するため患者睡眠プロファイルを解析するステップ2008と、ディスプレイ1014上で患者に治療コースを提示するステップ2010とは、患者睡眠プロファイルに基づき、各モジュールが不眠症の態様に関する複数のインタラクティブ治療命令モジュールを提供するステップ2050、インタラクティブ治療命令モジュールの何れが患者の不眠症に関連するか決定するステップ2052、患者に提示されるインタラクティブ治療命令モジュールのシーケンスを決定するステップ2054、及び所定のシーケンスによりディスプレイ1014上で患者にインタラクティブ治療命令モジュールを提示するステップ2056を有する。
【0090】
上述されるように、各インタラクティブ治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070は、(1)患者がモジュールにアクセスした最初の日に与えられる治療アドバイス、(2)モジュールの残りの日に日常の情報において送信される一般的情報、及び(3)患者がモジュールにアクセスした最初の日にアクセス可能な目標設定部の3つの部分を含む。複数のインタラクティブ治療命令モジュールは、睡眠スケジューリングモジュール1060、関連付けベッド睡眠モジュール1062、認知的再構成モジュール1064、対処戦略モジュール1066、リラクゼーションモジュール1068、及びライフスタイルモジュール1070を含む。上述されるような各インタラクティブ治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070に関する一般的情報に加えて、特定の各モジュールは後述されるようなさらなるプロセスを有する。インタラクティブ治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070は、(1)第4処理部1012、すなわち、第4処理部1012のストレージ装置に格納され、(2)電子通信ネットワーク1001及び通信アセンブリ1002を介し第4処理部1012にダウンロードされ、又は(3)これらの組み合わせであってもよいことがさらに留意されたい。すなわち、第4処理部1012は、各インタラクティブ治療命令モジュール1060,1062,1064,1066,1068,1070の一部を格納し、更新又は追加情報をさらにダウンロードしてもよい。
【0091】
例えば、睡眠スケジューリングモジュール1060が患者に推奨される場合、不眠症の認知的行動治療方法は、第1及び第2睡眠スケジューリングスコアを決定するよう構成される睡眠スケジューリング評価を提供するステップ2060、患者の第1及び第2睡眠スケジューリングスコアを決定するステップ2062、及び患者が不規則な睡眠スケジュールを有しているか決定するステップ2064を有する。患者の第1及び第2睡眠スケジューリングスコアの決定2062は、客観的データと主観的データとの双方に基づくものであってもよい。例えば、限定することなく、睡眠効率データなどの客観的データが、上述されるセンサにより収集される。主観的データは、以下の質問/記述などの評価に基づくものであってもよい。
【0092】
【表5】

【0093】
これらのレーティングは、例えば、回答にスコアを割当て、当該スコアと客観的データとを組み合わせることによって、患者の第1及び第2睡眠スケジューリングスコアに変換される。決定されたファクタに基づき、例えば、患者の第1睡眠スケジューリングスコアが第1睡眠スケジューリング閾値より大きい場合、本方法はさらに、睡眠スケジュールの指導を提供し(2066)、及び/又は患者が不規則な睡眠スケジュールを有し、患者の第2睡眠スケジューリングスコアが第2睡眠スケジューリング閾値より大きい場合、本方法はさらに睡眠スケジュールの指導を提供する(2068)。このモジュール1060と共に他のすべてのモジュール1062,1064,1066,1068,1070において、指導するステップは、患者に情報を提供することによって実行される。好ましくは、当該情報は、ディスプレイ1014を介しテキストメッセージ、電子メール、インスタントメッセージなどの形式により提供される。指導メッセージは、好ましくは、リマインダ、示唆される治療アクション、進捗レポートなどとしてフォーマット化され、典型的には、上述されるような目標に関する。
【0094】
関連付けベッド睡眠モジュールが患者に推奨される場合、不眠症のための認知的行動療法を提供する方法はさらに、関連付けベッド睡眠スコアを決定するよう構成される関連付けベッド睡眠評価を提供するステップ2070、患者の関連付けベッド睡眠スコアを決定するステップ2072、及び患者の関連付けベッド睡眠スコアが関連付けベッド睡眠閾値より大きい場合、関連付けベッド睡眠指導を提供するステップ2074を有する。関連付けベッド睡眠評価は、患者の関連付けベッド睡眠スコアに変換される以下のような質問/記述を有してもよい。
【0095】
【表6】

【0096】
認知的再構成モジュール1064が患者に推奨される場合、不眠症の認知的行動治療を提供する方法はさらに、第1睡眠コンセプトスコアを決定するよう構成される第1睡眠コンセプト評価を提供するステップ2080、及び患者の第1睡眠コンセプトスコアを決定するステップ2082を有する。患者の第1睡眠コンセプトスコアが第1睡眠コンセプト閾値より大きい場合、拡大スコア、知覚された制御スコア及び非現実的予想スコアを決定するため、第2睡眠コンセプト評価を実行する(2084)。対象となる指導は、患者が関連する閾値を超える睡眠コンセプト評価の何れかの特徴に関連して提供される。すなわち、患者の拡大スコアが拡大閾値より大きい場合、拡大指導を提供する(2086)。患者の知覚された制御スコアが知覚された制御閾値より大きい場合、知覚された制御指導を提供する(2088)。さらに、患者の非現実的予想スコアが非現実的予想閾値より大きい場合、非現実的要素の指導を提供する(2089)。睡眠コンセプト評価は、患者の第1及び第2睡眠コンセプトスコアに変換されるISI、IFQ及びDBAS−16からの質問と共に以下の質問/記述を含むものであってもよい。
【0097】
【表7】

【0098】
対処戦略モジュールが患者に推奨される場合、不眠症の認知的行動治療を提供する方法は、対処戦略スコアを決定するよう構成される第1対処戦略評価を提供するステップ2090、対処戦略スコアを決定するステップ2092、及び患者の対処戦略スコアが対処戦略閾値より大きい場合、対処戦略の指導を提供するステップ2094を有する。対処戦略評価は、患者の対処戦略スコアに変換される以下の質問/記述を含むものであってもよい。
【0099】
【表8】

【0100】
リラクゼーションモジュールが患者に推奨される場合、不眠症の認知的行動治療を提供する方法はさらに、移行時間スコア、心配時間スコア及び行動スコアを決定するよう構成されるリラクゼーション評価を提供するステップ2100、及び移行時間スコア、心配時間スコア及び行動スコアを決定するステップ2102を含む。患者の移行時間スコアが移行時間閾値より大きい場合、本方法は、移行時間の指導を提供するステップ2104を有する。患者の心配時間スコアが心配時間閾値より大きい場合、本方法は、心配時間の指導を提供するステップ2106を有する。患者の行動スコアが行動閾値より大きい場合、本方法は、行動指導を提供するステップ2108を有する。リラクゼーション評価は、患者のリラクゼーションスコアに変換される以下のような質問/記述を含むものであってもよい。
【0101】
【表9】

【0102】
ライフスタイルモジュールが患者に推奨される場合、不眠症の認知的行動治療を提供する方法はさらに、物理的活動スコア、アルコールスコア、カフェインスコア、昼寝スコア、ニコチンスコア、摂取スコア(すなわち、食べ物及び/又はカロリ摂取スコア)及び環境スコアを決定するよう構成されるライフスタイル評価を提供するステップ2110、及び物理的活動スコア、アルコールスコア、カフェインスコア、昼寝スコア、ニコチンスコア、摂取スコア及び環境スコアを決定するステップ2111を有する。患者の物理的活動スコアが物理的活動閾値より大きい場合、本方法は、物理的活動の指導を提供するステップ2112を有する。患者のアルコールスコアがアルコール閾値より大きい場合、本方法は、アルコールの指導を提供するステップ2114を有する。患者のカフェインスコアがカフェイン閾値より大きい場合、本方法は、カフェイン指導を提供するステップ2116を有する。患者の昼寝スコアが昼寝閾値より大きい場合、本方法は、昼寝指導を提供するステップ2118を有する。患者のニコチンスコアがニコチン閾値より大きい場合、本方法は、ニコチン指導を提供するステップ2120を有する。患者の摂取スコアが摂取閾値(又は範囲)より大きいか又は小さい場合、本方法は、摂取指導を提供するステップ2122を有する。すなわち、患者が多すぎる食事又は少なすぎる食事をする場合、患者は、摂取閾値範囲を超えることになる。患者の環境スコアが環境閾値より大きい場合、本方法は、環境指導を提供するステップ2124を有する。ライフスタイル評価は、限定することなく、物理的活動スコア、アルコールスコア、カフェインスコア、昼寝スコア、ニコチンスコア、摂取スコア及び環境スコアに変換される以下の質問/記述を含むものであってもよい。
【0103】
【表10】

【0104】
上述されるように、また図6に示されるように、本方法は、好ましくは、患者の現在の不眠症レベルを反映するため、患者の睡眠プロファイルが更新される繰り返しの処理2130である。患者入力データ及び睡眠活動データは毎日更新されてもよいが、好ましくはインタラクティブな治療コースは、毎日より低い頻度で定期的に更新される。好ましくは、インタラクティブな治療コースは毎週更新される。患者の患者睡眠プロファイルが更新されると、治療コースを決定するため患者睡眠プロファイルを解析するステップ2008が繰り返される。すなわち、以下のステップと何れかのサブステップとが繰り返されてもよい。すなわち、患者の不眠症の重度を決定するため患者入力データ及び睡眠活動データを解析するステップ2040、日中の活動に対する患者の不眠症の効果の重度を決定するため患者入力データを解析するステップ2042、患者が受ける不眠症のタイプ、患者の不眠症の重度に基づき日中の活動に対する患者の不眠症の影響の重度及び患者が受ける不眠症のタイプを決定するため患者入力データを解析するステップ2044、及び治療のための医療専門家への照会、患者へのインタラクティブな治療コースの推奨及び治療なしの推奨の1つを患者に推奨するステップ2046がある。
【0105】
さらに、第3処理部1010が電子通信ネットワーク1001を介し医療専門家に睡眠パターンデータ、患者入力データ及び患者睡眠プロファイルを送信するよう構成されるため、治療コースを決定するため患者睡眠プロファイルを解析するステップ2008はまた、医療専門家に睡眠パターンデータ、患者入力データ及び患者睡眠プロファイルを確認させるステップ2050、及び電子通信ネットワーク1001を介し患者に直接的なフィードバックを医療専門家に提供させるステップ2052を有してもよい。これらのステップは、睡眠パターンデータ、患者入力データ及び患者睡眠プロファイルの更新後に繰り返されてもよい。
【0106】
当業者は、本発明の範囲内の多数の変形及び改良を理解するであろう。本方法及びシステムは、好ましくは、自宅にいる不眠症患者のため、自宅若しくはホテルにいる患者のため、病院環境にいる、移動中若しくは自宅にいる移動する患者のために主として利用されるが、入院患者のための可能なアプリケーションがある。また、健康な人や動物のための装置が本発明を利用することもできる。さらに、本発明は図面及び上述された説明において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び説明は例示的なものであって、限定的なものでないとみなされるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されない。
【0107】
開示された実施例に対する他の変形は、図面、開示及び添付した請求項を研究することから請求された発明を実践する当業者により理解及び実現可能である。請求項では、“有する”という用語は他の要素又はステップを排除するものでなく、“ある”という不定冠詞は複数を排除するものでない。ある手段が互いに異なる従属クレームに記載されているという事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に利用可能でないことを示すものでない。請求項における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0108】
本発明の特定の実施例が詳細に説明されたが、開示の全体的な教示に基づきこれらの詳細への各種改良及び代替が開発可能であることは、当業者に理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、単なる例示的なものであり、添付された請求項とそれの何れか及びすべての均等の完全な範囲を提供する本発明の範囲について限定するものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不眠症を有する患者の認知的行動治療を実行するよう構成されるシステムであって、
電子通信を提供するよう構成される通信アセンブリと、
少なくとも1つのセンサを有し、
睡眠活動データを検出し、前記睡眠活動データを含むセンサシステム信号を提供するよう構成され、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあるセンサシステムと、
前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、前記センサシステム信号を受信し、前記睡眠活動データを睡眠パターンデータに変換するよう構成される第1処理部と、
入力アセンブリを有し、患者入力データを収集するよう構成され、前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にある第2処理部と、
前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、前記睡眠パターンデータと前記患者入力データとを受信し、解析を実行して患者睡眠プロファイルを生成するよう構成される第3処理部と、
前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、前記患者睡眠プロファイルを解析し、前記患者睡眠プロファイルに関する治療コースを提供するよう構成される第4処理部と、
前記通信アセンブリに結合され、電子通信状態にあり、ユーザインタフェースを提示するよう構成されるディスプレイと、
を有するシステム。
【請求項2】
前記センサシステムは、各センサが少なくとも1つの特徴を有するセンサ信号を生成するよう構成される目立たないセンサである少なくとも1つのセンサを有する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、ECGセンサとアクティグラフセンサとを有し、
前記ECGセンサは、ECGセンサ信号に含まれる特徴である心拍データと呼吸数データとを検出するよう構成され、
前記アクティグラフセンサは、アクティグラフセンサ信号に含まれる特徴である患者の体の動きデータを検出するよう構成され、
前記第1処理部は、前記ECGセンサ信号から前記心拍データと前記呼吸数データとを抽出するよう構成され、
前記第1処理部は、前記アクティグラフセンサ信号から前記患者の体の動きデータを抽出するよう構成され、
前記第1処理部は、前記心拍データ、前記呼吸数データ及び前記患者の体の動きデータを処理し、前記患者の就床時間、総睡眠時間、総覚醒時間、睡眠効率、入眠潜時、中途覚醒数及びスヌーズ時間の少なくとも1つを決定するよう構成される、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記第3処理部は、電子通信ネットワークに結合され、電子通信状態にあり、前記睡眠パターンデータ、前記患者入力データ及び前記患者睡眠プロファイルを前記電子通信ネットワークを介し医療専門家に送信するよう構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第4処理部は、前記ディスプレイ上に提示されるよう構成される複数の治療命令モジュールを格納した記憶装置を有し、
前記第4処理部はさらに、前記患者睡眠プロファイルに基づき前記治療命令モジュールを整理し、前記整理された治療命令モジュールを前記ディスプレイ上に提示するよう構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
不眠症のための認知的行動治療を提供する方法であって、
少なくとも1つの目立たないセンサを有し、睡眠活動データを検出するよう構成されるセンサシステムを利用して、患者の睡眠をモニタするステップと、
患者入力データを収集するステップと、
患者睡眠プロファイルを生成するため、前記患者入力データ及び前記睡眠活動データを合成するステップと、
治療コースを決定するため、前記患者睡眠プロファイルを解析するステップと、
ディスプレイ上で前記患者に前記治療コースを提示するステップと、
を有する方法。
【請求項7】
前記モニタリングするステップは、心拍データと呼吸数データとを検出するよう構成されるECGセンサと、患者の体の動きデータを検出するよう構成されるアクティグラフセンサとを利用するステップと、
前記心拍データ、前記呼吸数データ及び前記患者の体の動きデータを処理し、前記患者の就床時間、総睡眠時間、総覚醒時間、睡眠効率、入眠潜時、中途覚醒数及びスヌーズ時間の少なくとも1つを決定するステップと、
を有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記収集するステップは、
前記患者の睡眠履歴に関するデータを収集するステップと、
前記患者の医療履歴に関するデータを収集するステップと、
前記患者に不眠症重度インデックスを記入させるステップと、
全期間者に睡眠ログを維持させるステップと、
を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記解析するステップは、
前記患者の不眠症に寄与するファクタを特定するため、前記患者入力データと前記睡眠活動データとを解析するステップと、
前記患者に関する不眠症のタイプを特定するステップと、
を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記解析するステップは、
前記患者の不眠症の重度を決定するため、前記患者入力データと前記睡眠活動データとを解析するステップと、
前記患者の不眠症の日中の活動に対する影響の重度を決定するため、前記患者入力データを解析するステップと、
前記患者の不眠症のタイプを決定するため、前記患者入力データを解析するステップと、
前記患者の不眠症の重度、前記患者の不眠症の日中の活動に対する影響の重度及び前記患者の不眠症のタイプに基づき、処置のための医療専門家への照会、前記患者へのインタラクティブな治療コースの推奨及び処置なしの推奨の1つを前記患者に推奨するステップと、
を有する、請求項8記載の方法。
【請求項11】
インタラクティブな治療コースが推奨される場合、前記患者睡眠プロファイルを解析するステップは、
各モジュールが不眠症の態様に関連する複数のインタラクティブ治療命令モジュールを提供するステップと、
前記患者睡眠プロファイルに基づき、前記インタラクティブ治療命令モジュールの何れが前記患者の不眠症に該当するか決定するステップと、
前記患者に提示する前記インタラクティブ治療命令モジュールのシーケンスを決定するステップと、
前記所定のシーケンスにおいて、ディスプレイ上で前記患者に前記インタラクティブ治療命令モジュールを提示するステップと、
を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記複数のインタラクティブ治療命令モジュールは、睡眠スケジューリングモジュール、関連付けベッド睡眠モジュール、認知的再構成モジュール、対処戦略モジュール、リラクゼーションモジュール及びライフスタイルモジュールを有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記睡眠スケジューリングモジュールが前記患者に推奨される場合、当該方法はさらに、
第1及び第2睡眠スケジューリングスコアを決定するよう構成される睡眠スケジューリング評価を提供するステップと、
前記患者の第1及び第2睡眠スケジューリングスコアを決定するステップと、
患者が不規則な睡眠スケジュールを有しているか決定するステップと、
患者の第1睡眠スケジューリングスコアが第1睡眠スケジューリング閾値より大きい場合、睡眠スケジュールの指導を提供するステップと、
患者が不規則な睡眠スケジュールを有し、患者の第2睡眠スケジューリングスコアが第2睡眠スケジューリング閾値より大きい場合、睡眠スケジュールの指導を提供するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記関連付けベッド睡眠モジュールが前記患者に推奨される場合、当該方法はさらに、
関連付けベッド睡眠スコアを決定するよう構成される関連付けベッド睡眠評価を提供するステップと、
患者の関連付けベッド睡眠スコアが関連付けベッド睡眠閾値より大きい場合、関連付けベッド睡眠の指導を提供するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記認知的再構成モジュールが前記患者に推奨される場合、当該方法はさらに、
第1睡眠コンセプトスコアを決定するよう構成される第1睡眠コンセプト評価を提供するステップと、
患者の第1睡眠コンセプトスコアが第1睡眠コンセプト閾値より大きい場合、拡大スコア、知覚される制御スコア及び非現実的予想スコアを決定するため、第2睡眠コンセプト評価を実行するステップと、
患者の拡大スコアが拡大閾値より大きい場合、拡大の指導を提供するステップと、
患者の知覚される制御スコアが知覚される制御閾値より大きい場合、知覚される制御の指導を提供するステップと、
患者の非現実的予想スコアが非現実的予想閾値より大きい場合、非現実的予想の指導を提供するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記対処戦略モジュールが前記患者に推奨される場合、当該方法はさらに、
対処戦略スコアを決定するよう構成される第1対処戦略評価を提供するステップと、
患者の対処戦略スコアが対処戦略閾値より大きい場合、対処戦略の指導を提供するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記リラクゼーションモジュールが前記患者に推奨される場合、当該方法はさらに、
移行時間スコア、心配時間スコア及び行動スコアを決定するよう構成されるリラクゼーション評価を提供するステップと、
患者の移行時間スコアが移行時間閾値より大きい場合、移行時間の指導を提供するステップと、
患者の心配時間スコアが心配時間閾値より大きい場合、心配時間の指導を提供するステップと、
患者の行動スコアが行動閾値より大きい場合、行動の指導を提供するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記ライフスタイルモジュールが前記患者に推奨される場合、当該方法はさらに、
物理活動スコア、アルコールスコア、カフェインスコア、昼寝スコア、ニコチンスコア、摂取スコア及び環境スコアを決定するよう構成されるライフスタイル評価を提供するステップと、
患者の物理活動スコアが物理活動閾値より大きい場合、物理活動の指導を提供するステップと、
患者のアルコールスコアがアルコール閾値より大きい場合、アルコールの指導を提供するステップと、
患者のカフェインスコアがカフェイン閾値より大きい場合、カフェインの指導を提供するステップと、
患者の昼寝スコアが昼寝閾値より大きい場合、昼寝の指導を提供するステップと、
患者のニコチンスコアがニコチン閾値より大きい場合、ニコチンの指導を提供するステップと、
患者の摂取スコアが摂取閾値より大きい場合、摂取の指導を提供するステップと、
患者の環境スコアが環境閾値より大きい場合、環境の指導を提供するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記患者睡眠プロファイルを解析するステップは、
前記患者入力データ及び前記睡眠活動データからのデータによって前記患者の患者睡眠プロファイルを更新するステップと、
前記患者の不眠症の重度を決定するため前記患者入力データ及び前記睡眠活動データを解析するステップと、前記患者の不眠症の日中の活動に対する影響の重度を決定するため前記患者入力データを解析するステップと、前記患者の不眠症のタイプを決定するため前記患者入力データを解析するステップと、前記患者の不眠症の重度、前記患者の不眠症の日中の活動に対する影響の重度及び前記患者の不眠症のタイプに基づき、処置のための医療専門家への照会、前記患者へのインタラクティブな治療コースの推奨及び処置なしの推奨の1つを前記患者に推奨するステップとを繰り返すステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記患者睡眠プロファイルを解析するステップは、
医療専門家に前記睡眠パターンデータ、前記患者入力データ及び前記患者睡眠プロファイルを確認させるステップと、
前記医療専門家に前記電子通信ネットワークを介し前記患者に直接的なフィードバックを提供させるステップと、
を有する、請求項11記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−528655(P2012−528655A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513716(P2012−513716)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052440
【国際公開番号】WO2010/140117
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】