説明

不純物除去装置

【課題】 不純物除去剤を無駄なく使用して使い切ることを可能にする。
【解決手段】 2つの固定床反応容器11(17、19)を順次交代で使用している間に、固定床反応容器11(17、19)の不純物除去剤を使い切ると共に、不純物除去剤を交換する。また、2つの固定床反応容器11(17、19)を順次交代で使用している間に、後固定床反応容器12(18、20)の不純物除去剤を使い切ると共に、後固定床反応容器12(18、20)を迂回して原料ガスを流通させている間に、後固定床反応容器12(18、20)の不純物除去剤を交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露点を上回る温度にガス温度を維持して運転する乾式法により不純物除去剤を用いて原料ガスから不純物を除去する不純物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や廃棄物の減量化が求められており、バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスを発電機器(燃料電池やガスエンジン)の燃料ガスとすることが考えられている。燃料電池やガスエンジン等の発電機器の燃料ガスとしては、不純物が含まれていると性能を発揮することができないので、あらかじめ燃料ガスの不純物を発電機器の許容濃度以下まで低減しておく必要がある。バイオマスや廃棄物から製造した原料ガスには環境に与える不純物が含まれているため、水銀やハロゲン化物等の不純物を除去する必要がある。
【0003】
水銀を除去する不純物除去剤(吸収剤)としては、例えば、触媒作用あるいは化学反応性を有する成分を担持させ水銀との化学反応により生成した塩を吸着することで水銀を除去する添着活性炭を用いることが知られている。また、不純物除去剤として、銅を主体とした銅系吸収剤を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。ゴミ焼却設備等の分野では、ハロゲン化物を不純物除去剤(吸収剤)に固定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
水銀を除去する吸収剤やハロゲン化物を除去する吸収剤は、固定床反応容器に充填されて運用されることが考えられる。固定床反応容器は、吸収剤を充填した状態でガスを流通させるだけの簡素な構造であるので、反応器として優れた利点を有している。
【0005】
固定床反応容器では、入口側から出口側に原料ガスが流通する過程で不純物が除去されるので、入口側の吸収剤に比べて出口側の吸収剤が未使用になる傾向にあるのが現状であった。このため、未使用部分が多くあるにも拘らず交換を余儀なくされることがあり、吸収剤の無駄をなくす余地が残されているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−161255号公報
【特許文献2】特開2002−130628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、不純物除去剤を無駄なく使い切ることができる不純物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の不純物除去装置は、原料ガスの流れ方向に沿って並列に複数備えられ、不純物を除去するための不純物除去剤がそれぞれ個別に充填・排出される固定床反応容器と、前記固定床反応容器の前記原料ガスの流れ方向の下流側に備えられる後固定床反応容器と、並列に備えられた前記固定床反応容器のいずれかに前記原料ガスを選択流通させる選択手段と、前記固定床反応容器を流通した前記原料ガスの前記後固定床反応容器への流通を迂回させる迂回経路と、前記固定床反応容器を流通した前記原料ガスを前記後固定床反応容器側もしくは前記迂回路側に選択流通させる迂回選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る本発明の不純物除去装置では、選択手段によりいずれかの固定床反応容器に原料ガスを流通させ、流通した原料ガスを迂回選択手段により後固定床反応容器に流通させる。固定床反応容器の不純物除去剤を使い切った際に、選択手段により他のいずれかの固定床反応容器に原料ガスを流通させ、流通した原料ガスを迂回選択手段により後固定床反応容器に流通させ続ける。流通を停止した側の固定床反応容器の不純物除去剤(使い切った不純物除去剤)を交換し、他のいずれかの固定床反応容器の不純物除去剤を使い切った際に、選択手段により不純物除去剤が交換された固定床反応容器に原料ガスを流通させる。
【0010】
そして、後固定床反応容器の不純物除去剤を使い切る直前まで、並列に備えられた固定床反応容器を順次交代で使用し、後固定床反応容器の不純物除去剤が使い切る直前になった場合、固定床反応容器を順次交代で使用している間に、迂回選択手段により原料ガスを迂回路側に流通させ、後固定床反応容器の不純物除去剤を交換する。これにより、不純物除去剤を無駄なく使い切ることができ、原料ガスの流通を停止させる必要もない。
【0011】
請求項2に係る本発明の不純物除去装置は、請求項1に記載の不純物除去装置において、前記後固定床反応容器の入口側には、前記固定床反応容器を流通した前記原料ガスの状態を検出することで前記不純物除去剤の破過の状況を判断する破過状態検出手段が備えられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る本発明では、後固定床反応容器の入口側に破過状態検出手段を備えたことにより、複数の固定床反応容器に対して一つの破過状態検出手段で不純物除去剤の破過の状況、即ち、使い切りの状況を判断することができる。
【0013】
また、請求項3に係る本発明の不純物除去装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の不純物除去装置において、前記固定床反応容器のそれぞれには、前記不純物除去剤が充填される充填層が前記原料ガスの流れ方向に複数備えられていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る本発明では、それぞれに固定床反応容器に充填層が直列に複数備えられているので、充填層の数により固定床反応容器で不純物除去剤を使い切る時間を設定することができる。
【0015】
また、請求項4に係る本発明の不純物除去装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の不純物除去装置において、前記原料ガスが流通していない前記固定床反応容器の内部に下流側からパージガスを供給するパージガス供給手段が備えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る本発明では、パージガス供給手段により、原料ガスが流通していない固定床反応容器の内部に下流側からパージガスを供給するので、出口側の汚れが顕著ではない出口側からパージガスを供給することができる。
【0017】
また、請求項5に係る本発明の不純物除去装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の不純物除去装置において、前記固定床反応容器に充填される不純物除去剤は、露点を上回る温度にガス温度が維持されて乾式で前記原料ガスの不純物を除去することを特徴とする。また、請求項6に係る本発明の不純物除去装置は、請求項5に記載の不純物除去装置において、ガス化炉で生成されたガスが前記原料ガスとして前記固定床反応容器及び前記後固定床反応容器を流通し、不純物が除去された前記原料ガスは発電手段の燃料として用いられることを特徴とする。
【0018】
請求項5に係る本発明では、露点を上回る温度で原料ガスを流通させて乾式で不純物を除去することができる。請求項6に係る本発明では、ガス化炉で生成されたガスを乾式で精製して発電手段の燃料として用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の不純物除去装置は、不純物除去剤を無駄なく使用して使い切ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る不純物除去装置を備えた乾式ガス精製設備の概略系統図である。
【図2】本発明の一実施例に係る不純物除去装置の固定床反応容器の基本構成図である。
【図3】固定床反応容器のガス流路の概念図である。
【図4】不純物除去剤の充填・排出の基本構成図である。
【図5】固定床反応容器の断面図である。
【図6】固定床反応容器の運用シーケンスの説明図である。
【図7】開閉弁の開閉状況説明図である。
【図8】本発明の実施例の不純物除去装置を備えた乾式ガス精製設備の全体を表す概略系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の不純物除去装置は、バイオマス、廃棄物からなる固形燃料をガス化して得られた原料ガス、即ち、不純物として多種の不純物が入っている原料ガスを精製して燃料電池やガスエンジンの燃料ガスとするガス精製設備の不純物除去装置として適用され、水銀との化学反応により生成した塩を吸着することで水銀を吸収する添着活性炭や、銅を主体として水銀を吸収する銅系吸収剤、ハロゲン化物を吸収するハロゲン化物吸収剤、硫黄化合物を吸収する脱硫剤が不純物除去剤として充填されるものである。
【0022】
そして、不純物除去装置の出口側では、水銀を5μg/mN以下の低濃度に除去すると共に、塩化水素、フッ化水素等のハロゲン化物を1ppm以下の低濃度に除去し、更に、硫黄化合物を1ppm以下の低濃度に除去して不特定の不純物が高い清浄度で除去された燃料ガスを精製し、例えば、溶融炭酸塩型燃料電池、ガスエンジン、ガスタービン等の燃料ガスとして用いるものである。
【0023】
図1に基づいて乾式ガス精製設備の全体を説明する。図1には本発明の一実施例に係る不純物除去装置を備えた乾式ガス精製設備の全体を表す概略系統を示してある。
【0024】
バイオマスガス化炉1で得られた原料ガスは、まず、バグフィルター2に送られる。バグフィルター2の上流にはハロゲン化物除去剤の供給装置を備えており、ハロゲン化物除去剤をバグフィルター2にあらかじめ吹き付けておく(プレコート)か、あるいは原料ガスに吹き込んで原料ガスと共にバグフィルター2に搬送される。
【0025】
こうすることで、原料ガス中のハロゲン化物の一部はハロゲン化物除去剤に吸収されて固定化されるので、バグフィルター2で、ダスト等の固体状不純物が濾過されて除去される際に同時にハロゲン化物の一部も除去される。
【0026】
バグフィルター2を通過した原料ガスは不純物除去装置としての重金属類除去装置3に送られ、重金属類除去装置3では金属水銀蒸気(Hg)をはじめ、活性炭等により塩基性ガス(アンモニア)、重金属類(砒素、セレン等)、有機塩素化合物(ダイオキシン)が吸着除去される(運転温度120℃〜160℃)。
【0027】
重金属類除去装置3で重金属類が除去された原料ガスは熱交換器8で昇温された後、不純物除去装置としてのハロゲン化物除去装置4に送られ、そこで原料ガスに残存している塩化水素やフッ化水素等のハロゲン化物が1ppm以下の低濃度に除去される(運転温度250℃〜450℃)。
【0028】
ハロゲン化物が1ppm以下の低濃度に除去された原料ガスは不純物除去装置としての脱硫装置5に送られ、硫黄化合物が吸収されて除去される(運転温度250℃〜450℃)。硫黄化合物が脱硫除去された原料ガスは燃料ガスとして発電装置6(例えば、溶融炭酸塩型燃料電池、ガスエンジン、ガスタービン等)に送られる。
【0029】
以上の乾式ガス精製システムの概略系統の機能を要約して説明する。
【0030】
図に示した乾式ガス精製システムでは、バグフィルター2によりダスト等の固体状不純物が濾過されて除去される。金属水銀蒸気(Hg)をはじめ重金属類、有機塩素化合物が重金属類除去装置3の不純物除去剤(吸収剤)に吸収されて除去され、水銀が5μg/mN以下の低濃度に除去される。そして、ハロゲン化物除去装置4の不純物除去剤としてのハロゲン化物除去剤に塩化水素やフッ化水素等のハロゲン化物が吸収されてハロゲン化物が1ppm以下の低濃度に除去される。また、硫黄化合物が脱硫装置5の不純物除去剤としての脱硫剤に吸収されて硫黄化合物が1ppm以下の低濃度に除去される。
【0031】
これにより、バイオマスをガス化した原料ガス、即ち、不純物として多種の不純物が入っている原料ガスを発電装置6の燃料ガスとして精製することができる。
【0032】
重金属類除去装置3には、2つの固定床反応容器11と1つの後固定床反応容器12が備えられている。2つの固定床反応容器11は原料ガスの流れ方向に沿って並列に備えられ、固定床反応容器11及び後固定床反応容器12の充填層には、水銀を吸収(除去)するための銅系吸収剤15(不純物除去剤)がペレット状にされて充填されている。固定床反応容器11及び後固定床反応容器12の充填層には、例えば、触媒作用あるいは化学反応性を有する成分を担持させ水銀との化学反応により生成した塩を吸着することで水銀を除去する添着活性炭(不純物除去剤)が充填されてもよい。
【0033】
また、ハロゲン化物除去装置4には、2つの固定床反応容器17と1つの後固定床反応容器18が備えられている。2つの固定床反応容器17は原料ガスの流れ方向に沿って並列に備えられ、固定床反応容器17及び後固定床反応容器18の充填層には、例えば、アルミン酸ナトリウムを含有したハロゲン化物吸収剤16(不純物除去剤)がペレット状にされて充填されている。
【0034】
また、脱硫装置5には、2つの固定床反応容器19と1つの後固定床反応容器20が備えられている。2つの固定床反応容器19は原料ガスの流れ方向に沿って並列に備えられ、固定床反応容器19及び後固定床反応容器20の充填層には、例えば、酸化亜鉛脱硫剤の脱硫剤14(不純物除去剤)が充填されている。
【0035】
詳細は後述するが、重金属類除去装置3、ハロゲン化物除去装置4及び脱硫装置5には、不純物除去剤を充填層に個別に供給する供給手段と、不純物を除去した後の不純物除去剤を充填層から個別に排出する排出手段とが備えられている。供給手段及び排出手段の動作、即ち、不純物除去剤の充填・排出は、不純物除去剤の使用状況に応じて統合して制御されるようになっている。
【0036】
また、不純物除去剤の使用状況に応じ、2つの固定床反応容器11(17、19)のいずれかに原料ガスを流通させると共に(選択流通:選択手段)、後固定床反応容器12(18、20)に原料ガスを流通させる。2つの固定床反応容器11(17、19)を順次交代で使用している間に、後固定床反応容器12(18、20)を迂回して原料ガスを流通させる(迂回路側に選択流通:迂回選択手段)。
【0037】
2つの固定床反応容器11(17、19)を順次交代で使用している間に、固定床反応容器11(17、19)の不純物除去剤を使い切ると共に、不純物除去剤を交換する。また、2つの固定床反応容器11(17、19)を順次交代で使用している間に、後固定床反応容器12(18、20)の不純物除去剤を使い切ると共に、後固定床反応容器12(18、20)を迂回して原料ガスを流通させている間に、後固定床反応容器12(18、20)の不純物除去剤を交換する。
【0038】
これにより、不純物除去剤を無駄なく使い切ることができ、原料ガスの流通を停止させる必要もない。また、2つの固定床反応容器11(17、19)のいずれかに不具合が生じた際に、原料ガスの流通を停止させることなくメンテナンス等の必要な対応が可能になる。
【0039】
図2から図5に基づいて重金属類除去装置3、ハロゲン化物除去装置4及び脱硫装置5の固定床反応容器11(17、19)の構成、及び不純物除去剤の供給手段、排出手段を説明する。図2には本発明の一実施例に係る不純物除去装置の固定床反応容器の基本構成を表す外観、図3には固定床反応容器のガス流路の概念、図4には不純物除去剤の充填・排出の基本構成、図5(a)には図4中のA−A線断面に相当する固定床反応容器の断面、図5(b)には図4中のB−B線断面に相当する固定床反応容器の断面を示してある。
【0040】
固定床反応容器11、17、19、後固定床反応容器12、18、20は基本的に同一であるので、代表して銅系吸収剤15(もしくは添着活性炭)が充填層に対して充填・排出される重金属類除去装置3(固定床反応容器11、後固定床反応容器12)について説明する。ハロゲン化物除去装置4の固定床反応容器17に適用した場合、充填・排出される不純物除去剤はハロゲン化物吸収剤16であり、脱硫装置5の固定床反応容器19に適用した場合、充填・排出される不純物除去剤は脱硫剤14となる。
【0041】
図2に示すように、2つの固定床反応容器11のそれぞれには、銅系吸収剤15(もしくは添着活性炭)が充填される充填層A1、充填層A2及び充填層B1、充填層B2が原料ガスの流れ方向に沿って備えられている。また、後固定床反応容器12には、銅系吸収剤15(もしくは添着活性炭)が充填される充填層Cが備えられている。
【0042】
原料ガスの導入路40から分岐してそれぞれの固定床反応容器11の入口に原料ガスを導くA導入路41及びB導入路42が設けられ、それぞれの固定床反応容器11の出口には固定床反応容器11を流通した原料ガスが排出されるA導出路43及びB導出路44が設けられている。A導出路43及びB導出路44は連結路45で合流され、連結路45は後固定床反応容器12の入口に接続されている。
【0043】
後固定床反応容器12の出口には導出路46が接続され、連結路45と導出路46の間には後固定床反応容器12を迂回する迂回路47が接続されている。連結路45の迂回路47が接続されている部位の上流側には分析流路48が接続され、分析流路48には図示しないガス分析計が設けられている。固定床反応容器11を流通した原料ガスの状態がガス分析計で分析され、銅系吸収剤15(もしくは添着活性炭)の破過の状況が判断される(破過状態検出手段)。
【0044】
また、それぞれの固定床反応容器11の導出路43、44にはパージ路49(図3参照)が接続され、パージ路49を介して導出路43、44には固定床反応容器11に向けてパージガスとしてのNガスが供給される(パージガス供給手段)。また、A導入路41にはA排出路41aが分岐して接続され、B導入路42にはB排出路42aが分岐して接続されている。
【0045】
図3に示すように、A導入路41には開閉弁51が設けられ、開閉弁51により原料ガスが固定床反応容器11側に送られる。B導入路42には開閉弁52が設けられ、開閉弁52により原料ガスが固定床反応容器11側に送られる。A導出路43には開閉弁53が設けられ、開閉弁53により固定床反応容器11からの原料ガスが流通可能とされる。B導出路44には開閉弁54が設けられ、開閉弁54により固定床反応容器11からの原料ガスが流通可能とされる。
【0046】
連結路45の分析流路48の分岐部の下流における迂回路47の分岐部位には切換え弁55が設けられ、切換え弁55により原料ガスの流れが迂回路47に切り換えられる。導出路46の迂回路47の接続部位には切換え弁56が設けられ、切換え弁56により迂回路47から導出路46への原料ガスの流れが許容される。
【0047】
分析流路48には開閉弁58が設けられ、開閉弁58により連結路45に流通する原料ガスを分析計に送ることができる。また、充填層Aを備えた固定床反応容器11側のパージ路49にはパージ弁61が設けられ、パージ弁61により下流側から固定床反応容器11にNガスが供給される。充填層Bを備えた固定床反応容器11側のパージ路49にはパージ弁62が設けられ、パージ弁62により下流側から固定床反応容器11にNガスが供給される。
【0048】
更に、A排出路41aには排出弁63が設けられ、排出弁63により固定床反応容器11をパージしたNガス(パージガス)がA排出路41aから排出される。B排出路42aには排出弁64が設けられ、排出弁64により固定床反応容器11をパージしたNガス(パージガス)がB排出路42aから排出される。
【0049】
図4、図5に基づいて不純物除去剤の供給手段、排出手段を説明する。
【0050】
図4に示すように、固定床反応容器11は、両端に出入り口通路21、22(A導入路41、A導出路43に相当)を備え、出入り口通路21、22に連続して断面積が大きくされた本体部23を備えている。
【0051】
図5(a)に示すように、出入り口通路21(出入り口通路22)の内部は原料ガスの流れに直交する面内が碁盤目状態になる多数の流路に仕切られ、原料ガスが多数の通路に分かれて流れるようになっている。図5(b)に示すように、本体部23の内部は出入り口通路21(出入り口通路22)の内部と同数の流路に仕切られ、本体部23の流路は出入り口通路21(出入り口通路22)流路と連続している。
【0052】
このため、出入り口通路21(出入り口通路22)から流入した原料ガスは、分布が生じない状態で本体部23に均一に流入するようになっている。本体部23の碁盤目状態の流路を横切るように充填層A1及び充填層A2が備えられ、充填層A1及び充填層A2は流路の流れ方向に所定の間を空けて設けられている。充填層A1及び充填層A2には、複数の流路から原料ガスが流入し複数の流路に対して精製ガスが流出するようになっている。原料ガスの流通方向の厚さが薄くなるような形状の充填層A1及び充填層A2を備えたので、圧力損失を充分に少なくすることができる。
【0053】
原料ガスの流通方向に対して、固定床反応容器11の充填層A1及び充填層A2の上部には供給手段24が設けられ、充填層A1及び充填層A2には供給手段24から銅系吸収剤15(不純物除去剤)が個別に充填される。供給手段24には、供給コンベア装置25により銅系吸収剤15が運ばれて貯留される供給サイロ26が備えられ、供給サイロ26と充填層A1及び充填層A2の間は、供給通路27A、27Bで連結されている。供給通路27A、27Bには供給ホッパ28A、28Bが設けられ、供給ホッパ28A、28Bの入口部には入口供給弁29がそれぞれ設けられ、供給ホッパ28A、28Bの出口部には出口供給弁30がそれぞれ設けられている。
【0054】
供給ホッパ28Aと入口供給弁29及び出口供給弁30との間にはNガス流通系が接続され、入口供給弁29及び出口供給弁30の制御及びNガスの供給制御により供給ホッパ28Aの内部が加圧・加温される。同様に、供給ホッパ28Bと入口供給弁29及び出口供給弁30との間にはNガス流通系が接続され、入口供給弁29及び出口供給弁30の制御及びNガスの供給制御により供給ホッパ28Bの内部が加圧・加温される。
【0055】
入口供給弁29を開き出口供給弁30を閉じた状態で、供給サイロ26から銅系吸収剤15が供給通路27A、27Bを通して供給ホッパ28A、28Bに送られる。入口供給弁29を閉じてNガス流通系からNガスを供給することにより、供給ホッパ28A、28Bの銅系吸収剤15が所定の圧力に加圧・加温される。この状態で出口供給弁30を開くことで、加圧・加温された状態の銅系吸収剤15が供給通路27A、27Bを通して充填層A1及び充填層A2に充填される。
【0056】
原料ガスの流通方向に対して、固定床反応容器11の充填層A1及び充填層A2の下部には排出手段34が設けられ、充填層A1及び充填層A2からは、排出手段34により銅系吸収剤15(不純物除去剤)が個別に排出される。即ち、充填層A1及び充填層A2には排出通路35A、35Bが接続され、排出通路35A、35Bは排出コンベア装置36につながっている。排出通路35A、35Bには排出ホッパ37A、37Bが設けられ、排出ホッパ37A、37Bの入口部には入口排出弁38がそれぞれ設けられ、排出ホッパ37A、37Bの出口部には出口排出弁39がそれぞれ設けられている。
【0057】
排出ホッパ37Aと入口排出弁38及び出口排出弁39との間にはNガス流通系が接続され、入口排出弁38及び出口排出弁39の制御及びNガスの給排制御により加圧状態の排出ホッパ37Aに排出された銅系吸収剤15が常圧状態にされる。同様に、排出ホッパ37Bと入口排出弁38及び出口排出弁39との間にはNガス流通系が接続され、入口排出弁38及び出口排出弁39の制御及びNガス流通系の排気制御により加圧状態の排出ホッパ37Bに排出された銅系吸収剤15が常圧状態にされる。
【0058】
出口排出弁39を閉じ入口排出弁38を開いた状態で、使用済みの銅系吸収剤15が加圧されたまま充填層A1及び充填層A2から排出通路35A、35Bを通して排出ホッパ37A、37Bに排出される。入口排出弁38を閉じてNガス流通系により排出ホッパ37A、37Bの内圧を解放することで、原料ガスがNガスでパージされ、使用済みの銅系吸収剤15が安全に排出できる状態にされ、排出ホッパ37A、37Bの使用済みの銅系吸収剤15が常圧状態になる。この状態で、出口排出弁39を開くことで、常圧状態の使用済みの銅系吸収剤15が排出通路35A、35Bを通して排出コンベア装置36に個別に排出される。
【0059】
原料ガスの流通方向に対して、固定床反応容器11の上部に供給手段24が設けられ、固定床反応容器11の下部に排出手段34が設けられているので、不純物除去剤を排出・充填するための機器のために固定床反応容器11の全体の設置面積を広くする必要がない。
【0060】
図4、図5は一方側の固定床反応容器11(充填層A側)を示して説明してあるが、他方側の固定床反応容器11(充填層B側)が適用される場合、出入り口通路21、22がB導入路42、B導出路44に相当し、充填層A1及び充填層A2が充填層B1及び充填層B2に相当する。また、後固定床反応容器12が適用される場合、出入り口通路21、22が連結路45、導出路46に相当し、充填層A1及び充填層A2に代えて充填層Cが備えられる。
【0061】
上述した重金属類除去装置3では、供給手段24、排出手段34の動作、及び、弁部材である開閉弁、切換え弁、パージ弁、排出弁の開閉制御を統合して制御することで、原料ガスの流れを、一方側の固定床反応容器11(充填層A側)から後固定床反応容器12に流れる状態(一方向)、他方側の固定床反応容器11(充填層B側)から後固定床反応容器12に流れる状態(他方向)、一方側の固定床反応容器11(充填層A側)だけを流れる状態(バイパス)、他方側の固定床反応容器11(充填層B側)だけを流れる状態(バイパス)に連続して切換えると共に、新品の銅系吸収剤15(不純物除去剤)の充填、使用済み状態(破過状態)の銅系吸収剤15(不純物除去剤)の排出を組み合わせて実施することができる。
【0062】
これにより、一方側の固定床反応容器11(充填層A1、充填層A2)、他方側の固定床反応容器11(充填層B1、充填層B2)、後固定床反応容器12(充填層C)に充填した銅系吸収剤15(不純物除去剤)を完全に使用済みの状態(破過状態)になるまで使用することができ、しかも、原料ガスの流れを途絶えさせることなく連続的に原料ガスから水銀を除去することができる。ハロゲン化物除去装置4及び脱硫装置5に適用した場合も、同様に、原料ガスの流れを途絶えさせることなく、ハロゲン化物吸収剤16、脱硫剤14を完全破過状態になるまで使用することができる。
【0063】
図6、図7に基づいて原料ガスの流れ状況を具体的に説明する。図6は固定床反応容器に対する原料ガスの流通状況である運用シーケンス、図7は開閉弁、切換え弁、パージ弁、排出弁の開閉状況説明図である。
(1)初期の段階で充填層A1、充填層A2及び充填層B1、充填層B1及び充填層Cの全てに不純物除去剤が新品の状態で充填され、原料ガスが一方側の固定床反応容器11(充填層A1、充填層A2)から後固定床反応容器12(充填層C)に流される。
(2)充填層A1、充填層A2の不純物除去剤により原料ガスが浄化される。
(3)充填層A1、充填層A2の不純物除去剤の破過が検出される。破過の検出は流通するガスの成分を分析することにより行われる。
【0064】
図7に示すように、(1)から(3)の状況では、開閉弁51、53、58、が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが後固定床反応容器12に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は後固定床反応容器12からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
(4)原料ガスが他方側の固定床反応容器11(充填層B1、充填層B2)から後固定床反応容器12に流され(充填層B側に切換え)、充填層B1、充填層B2の不純物除去剤により原料ガスが浄化される。また、一方側の固定床反応容器11(充填層A1、充填層A2)に下流側からNガス(パージガス)が送られ、パージガスがA排出路41aから排出される。
【0065】
図7に示すように、(4)の状況では、開閉弁52、54、58、パージ弁61、排出弁63が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが後固定床反応容器12に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は後固定床反応容器12からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
(5)充填層B1、充填層B2の不純物除去剤により原料ガスが浄化され、充填層A1、充填層A2の不純物除去剤が排出される。
(6)充填層A1、充填層A2に不純物除去剤が充填される。充填層B1、充填層B2の不純物除去剤の破過が検出される。
【0066】
図7に示すように、(5)(6)の状況では、開閉弁52、54、58が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが後固定床反応容器12に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は後固定床反応容器12からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
(7)原料ガスが一方側の固定床反応容器11(充填層A1、充填層A2)から後固定床反応容器12に流され(充填層A側に切換え)、充填層A1、充填層A2の不純物除去剤により原料ガスが浄化される。また、他方側の固定床反応容器11(充填層B1、充填層B2)に下流側からNガス(パージガス)が送られ、パージガスがB排出路42aから排出される。
【0067】
図7に示すように、(7)の状況では、開閉弁51、53、58、パージ弁62、排出弁64が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが後固定床反応容器12に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は後固定床反応容器12からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
(8)充填層A1、充填層A2の不純物除去剤により原料ガスが浄化され、充填層B1、充填層B2の不純物除去剤が排出される。
(9)充填層B1、充填層B2に不純物除去剤が充填される。充填層A1、充填層A2の不純物除去剤の破過が検出される。
【0068】
図7に示すように、(8)(9)の状況では、開閉弁51、53、58、が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが後固定床反応容器12に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は後固定床反応容器12からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
【0069】
(9)から(4)に戻り、以後(4)から(9)の手順がくり返され、充填層A1、充填層A2による原料ガスの浄化、充填層B1、充填層B2による原料ガスの浄化が交互に実施されると共に、充填層Cによりバックアップとして原料ガスの浄化が実施される。充填層Cの不純物除去剤に不純物が蓄積するまで(4)から(9)の手順がくり返され、充填層Cの不純物除去剤に不純物が蓄積した際に、(10)以降の手順となる。(10)の手順は、充填層A1、充填層A2を使用中に充填層Cの不純物除去剤に不純物が蓄積した場合の手順である。
(10)充填層A1、充填層A2の不純物除去剤により原料ガスが浄化され、充填層Cをバイパスして原料ガスが流される。
(11)充填層A1、充填層A2の不純物除去剤により原料ガスが浄化され、充填層Cの不純物除去剤が排出される。
(12)充填層A1、充填層A2の不純物除去剤の破過が検出される。充填層Cに不純物除去剤が充填され、原料ガスが充填層A1、充填層A2から充填層Cに流れされる。
【0070】
図7に示すように、(10)(11)の状況では、開閉弁51、53、58、が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが迂回路47に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は迂回路47からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
【0071】
また、(12)の状況では、開閉弁51、53、58、が開状態にされ、他の弁部材が閉じ状態にされている。そして、切換え弁55は原料ガスが後固定床反応容器12に流れる状態に切換えられ、切換え弁56は後固定床反応容器12からの原料ガスが流通する状態に切換えられている。
【0072】
(12)から(4)に戻り、以後(4)から(9)の手順がくり返され、充填層A1、充填層A2による原料ガスの浄化、充填層B1、充填層B2による原料ガスの浄化が交互に実施されると共に、充填層Cによりバックアップとして原料ガスの浄化が実施される。充填層Cの不純物除去剤に不純物が蓄積した際に(10)、充填層B1、充填層B2を使用していた場合、(10)から(12)の原料ガスの流れは逆になり、(12)から(7)に戻り、以後(7)を起点として(4)から(9)の手順がくり返される。
【0073】
上述した処理により、不純物除去剤の使用状況に応じ、充填層A1、充填層A2もしくは充填層B1、充填層B2のいずれかに原料ガスを流通させると共に、充填層Cに原料ガスを流通させることができ、充填層A1、充填層A2及び充填層B1、充填層B2を順次交代で使用している間に、充填層Cを迂回して原料ガスを流通させることができる。
【0074】
充填層A1、充填層A2もしくは充填層B1、充填層B2のいずれかに原料ガスを流通させて順次交代で使用している間に、破過した不純物除去剤を交換することができ、また、充填層A1、充填層A2もしくは充填層B1、充填層B2のいずれかに原料ガスを流通させて順次交代で使用している間に、充填層Cの不純物除去剤を使い切ると共に、充填層Cを迂回して原料ガスを流通させている間に、充填層Cの不純物除去剤を交換することができる。
【0075】
これにより、充填層A1、充填層A2及び充填層B1、充填層B2及び充填層Cに充填された不純物除去剤を無駄なく使用して使い切ることができ、原料ガスの流通を停止させる必要もない。
【0076】
上述した不純物除去装置によると、不純物除去剤を無駄なく使用して使い切ることができる。このため、原料ガスを精製して燃料電池やガスエンジンの燃料ガスとするガス精製設備の不純物除去装置として適用することで、不純物除去剤の無駄をなくして原料ガスを燃料ガスに精製することができる。
【0077】
上述した実施例では、バイオマスや廃棄物等の固形燃料をガス化して得られた原料ガスを精製するガス精製設備に本発明の不純物除去装置を適用した例を挙げて説明したが、石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasfication Combined Cycle)における石炭ガス化ガスを精製する乾式ガス精製設備に本発明の不純物除去装置を適用することができる。
【0078】
図8に基づいて石炭ガス化複合発電(IGCC)の乾式ガス精製設備に本発明の不純物除去装置を適用した状況を説明する。図8には本発明の実施例の不純物除去装置を備えた乾式ガス精製設備の全体を表す概略系統を示してある。
【0079】
図に示すように、乾式ガス精製設備80には、石炭ガス化炉で生成された石炭ガス化ガスgが所定温度に調整されて導入されるハロゲン化物除去装置81が備えられ、ハロゲン化物除去装置81には、2つの固定床反応容器71と1つの後固定床反応容器72が備えられている。2つの固定床反応容器71は原料ガスの流れ方向に沿って並列に備えられ、固定床反応容器71及び後固定床反応容器72の充填層には、例えば、アルミン酸ナトリウムを含有したハロゲン化物吸収剤73(不純物除去剤)がペレット状にされて充填されている。
【0080】
ハロゲン化物吸収剤73を流通してハロゲン化物が除去された石炭ガス化ガスgは脱硫装置84に送られる。脱硫装置84は、例えば、3塔の反応塔85、86、87が並列に配され、反応塔85、86、87には、亜鉛フェライト脱硫剤がハニカム形状化された触媒を集合させた触媒ブロック88がそれぞれ複数(図示例では4個)充填されている。3塔の反応塔85、86、87への石炭ガス化ガスgの導入は、図示しない切換え手段によりいずれかに切換えられて実施される。
【0081】
脱硫処理では、石炭ガス化ガスgが亜鉛フェライト脱硫剤(触媒ブロック88)に接触することにより、硫化硫黄(HS)や硫化カルボニル(COS)等が除去される。
【0082】
脱硫装置84で硫黄成分が除去された石炭ガス化ガスgはアンモニア分解装置90に送られる。アンモニア分解装置90は、反応容器91、92が並列に配置されている。反応容器91、92にはNi/Al触媒のペレットが充填され、ペレット状に成形された触媒93は、反応容器91、92の筒内部の周囲に、石炭ガス化ガスgの導入方向に沿って(上下方向)充填されている。
【0083】
アンモニア分解装置90では、石炭ガス化ガスgが触媒93を流通してアンモニア成分が窒素に分解される。
【0084】
アンモニア成分が窒素に分解された石炭ガス化ガスgは熱交換装置94に送られ、降温されて水銀除去装置96に送られる。水銀除去装置96は、除去容器95に銅を主体として水銀を吸収する銅系吸収剤97が充填され、石炭ガス化ガスgが導入されて水銀が吸収される。
【0085】
水銀除去装置96で水銀が除去された石炭ガス化ガスgはバグフィルター98に送られる。バグフィルター98で不純物が物理的に濾過された燃料ガスfは、アンモニアが分解された石炭ガス化ガスgの顕熱により、熱交換装置94で昇温され、高温の燃料ガスfとされる。高温の燃料ガスfはタービン設備99の燃焼器に供給される。
【0086】
上述した石炭ガス化複合発電の乾式ガス精製設備80では、ハロゲン化物除去装置81の2つの固定床反応容器71のいずれかに原料ガスを流通させて順次交代で使用している間に、破過したハロゲン化物吸収剤73を交換することができ、また、2つの固定床反応容器71のいずれかに原料ガスを流通させて順次交代で使用している間に、後固定床反応容器72のハロゲン化物吸収剤73を使い切ると共に、後固定床反応容器72を迂回して原料ガスを流通させている間に、後固定床反応容器72のハロゲン化物吸収剤73を交換することができる。
【0087】
これにより、2つの固定床反応容器71及び後固定床反応容器72に充填されたハロゲン化物吸収剤73を無駄なく使用して使い切ることができ、原料ガスの流通を停止させる必要もない。
【0088】
乾式ガス精製設備80は、加圧状態で多量の石炭ガス化ガスgを処理する設備であるため、吸収容量いっぱいまでハロゲン化物を吸収してから使い捨てとなるハロゲン化物吸収剤73を頻繁に交換する必要がある。本発明の不純物除去装置を適用することにより、設備を頻繁に停止してハロゲン化物吸収剤73を交換する必要がなく、また、処理ガス量が膨大であっても無駄なくハロゲン化物吸収剤73を使い切ることが可能になる。
【0089】
このため、石炭ガス化複合発電(IGCC)の乾式ガス精製設備80のハロゲン化物除去装置81に本発明の不純物除去装置を適用することで、不純物除去剤を無駄なく使用して短時間で容易に充填・排出することができる、といった利点を有効に活用することが可能になる。
【0090】
因みに、石炭ガス化複合発電(IGCC)の乾式ガス精製設備80における亜鉛フェライト脱硫剤(触媒ブロック88)及び銅系吸収剤97は再生が可能であり、アンモニア分解用の触媒93は長寿命な触媒であるため、石炭ガス化複合発電(IGCC)の乾式ガス精製設備80のハロゲン化物除去装置81に本発明の不純物除去装置を適用することは吸収容量いっぱいまでハロゲン化物を吸収してから使い捨てとなるハロゲン化物吸収剤73の運用に極めて有効である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、露点を上回る温度にガス温度を維持して運転する乾式法により不純物除去剤を用いて原料ガスから不純物を除去する不純物除去装置に関する。
【符号の説明】
【0092】
1 バイオマスガス化炉
2 バグフィルター
3 重金属類除去装置
4、81 ハロゲン化物除去装置
5、84 脱硫装置
6 発電装置
8 熱交換器
11、17、19、71 固定床反応容器
12、18、20、72 後固定床反応容器
15、97 銅系吸収剤
16、73 ハロゲン化物吸収剤
21、22 出入り口通路
23 本体部
24 供給手段
25 供給コンベア装置
26 供給サイロ
27 供給通路
28 供給ホッパ
29 入口供給弁
30 出口供給弁
34 排出手段
35 排出通路
36 排出コンベア装置
37 排出ホッパ
38 入口排出弁
39 出口排出弁
40 導入路
41 A導入路
42 B導入路
43 A排出路
44 B排出路
45 連結路
46 導出路
47 迂回路
48 分析流路
49 パージ路
51、52、53、54、58 開閉弁
55、56 切換え弁
61、62 パージ弁
63、64 排出弁
80 乾式ガス精製設備
85、86、87 反応塔
88 触媒ブロック
90 アンモニア分解装置
91、92 反応容器
93 触媒
94 熱交換装置
95 除去容器
96 水銀除去装置
98 バグフィルター
99 タービン設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスの流れ方向に沿って並列に複数備えられ、不純物を除去するための不純物除去剤がそれぞれ個別に充填・排出される固定床反応容器と、
前記固定床反応容器の前記原料ガスの流れ方向の下流側に備えられる後固定床反応容器と、
並列に備えられた前記固定床反応容器のいずれかに前記原料ガスを選択流通させる選択手段と、
前記固定床反応容器を流通した前記原料ガスの前記後固定床反応容器への流通を迂回させる迂回経路と、
前記固定床反応容器を流通した前記原料ガスを前記後固定床反応容器側もしくは前記迂回路側に選択流通させる迂回選択手段とを備えた
ことを特徴とする不純物除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の不純物除去装置において、
前記後固定床反応容器の入口側には、前記固定床反応容器を流通した前記原料ガスの状態を検出することで前記不純物除去剤の破過の状況を判断する破過状態検出手段が備えられている
ことを特徴とする不純物除去装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の不純物除去装置において、
前記固定床反応容器のそれぞれには、前記不純物除去剤が充填される充填層が前記原料ガスの流れ方向に複数備えられている
ことを特徴とする不純物除去装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の不純物除去装置において、
前記原料ガスが流通していない前記固定床反応容器の内部に下流側からパージガスを供給するパージガス供給手段が備えられている
ことを特徴とする不純物除去装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の不純物除去装置において、
前記固定床反応容器に充填される不純物除去剤は、露点を上回る温度にガス温度が維持されて乾式で前記原料ガスの不純物を除去する
ことを特徴とする不純物除去装置。
【請求項6】
請求項5に記載の不純物除去装置において、
ガス化炉で生成されたガスが前記原料ガスとして前記固定床反応容器及び前記後固定床反応容器を流通し、不純物が除去された前記原料ガスは発電手段の燃料として用いられる
ことを特徴とする不純物除去装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−218303(P2011−218303A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90942(P2010−90942)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】