説明

不織布シート

【課題】使い捨ておむつ、生理用ナプキン、ワイプス等の吸収性物品用の不織布シートにおいて、軟便のような高粘度排泄物を捕捉するのに適した不織布シートを提供する。
【解決手段】本発明の不織布シートは、第一の面側に長手方向に延びる複数条の畝部と溝部が形成され、第一の面側の第一繊維層および第一の面とは反対の第二の面側の第二繊維層からなり、第二繊維層は潜在捲縮性繊維を含み、第一繊維層は前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では捲縮を発現しない熱融着性繊維を含み、第一の面側から平面視したときに畝部外縁が蛇行を繰り返した形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキン、ワイプス等の吸収性物品用の不織布シート、その製造方法、およびそれを用いた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、刺激物質を含む尿(軟便)や経血のうち、特に高粘性排泄物を表面に残すことなく素早く吸収させることができるマクロな表面構造を維持することができるにもかかわらず、皮膚に対して摩擦刺激の少ない表面特性を有しており、肌触りが良く、かゆみやカブレ等の皮膚トラブルを発生させにくい吸収性物品用の表面シートを開示している。その吸収性物品用の表面シートは、着用時に肌と当接する面側に、凹凸形状が形成されており、その表面シートを用いた吸収性物品の装着時において、凹凸形状は、身体の形状および動きに柔軟に追随して変形し、かつ凹凸形状の凹部が、高粘性排泄物を取り込んで高粘性排泄物と身体とを離間させることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3617637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来例にあっては、凹凸形状は、襞寄せされて多数の襞状部が互いに平行に形成された凹凸形成用シートを、各襞状部同士間において基材シートに接合して形成されており、高粘性液は凹部に取り込まれる。また、表面シートにおける凹凸形成用シートの形成材料としては、特許文献1の段落[0030]に記載されているように、通常の吸収性物品における表面シートとして用いられる材料を、特に制限なく使用することができるとされている。この場合、表面シートにおける凹凸形成用シートの形成材料は、機械方向に対して主にパラレルに配向された繊維が厚み方向に重なった構造になっている。低月齢の赤ちゃんのおむつ交換において、肌に付着した軟便はお尻拭きやティッシュなどを利用して拭いとられるが、拭き取り手間の低減や使用枚数減によるコストメリットなどの観点から、交換時にオムツを開放した際、オムツの表面シートの汚れていない部分(たとえば前方)やフラップやバックシートを利用して、事前にざっと拭き取った後、お尻拭きやティッシュなどでキレイに拭きあげるような使われ方をされるケースが多々見られる。このような場合、表面シートやフラップやバックシートの機能としては従来の吸収やアウター部材の機能としての被覆という観点だけではなく、肌に付いてしまった便を拭い取るような機能が求められる。従来例において、凸部は略直線状に延びているため、単位面積あたりの便捕捉量を高める観点から、表面積をさらに拡大しようとした場合には、凸高さをさらに高くする必要がある。しかし、さらに凸高さを高くしたような場合には、肌への使用感が増大してしまう。また、従来例のように凸部が機械方向に対して主にパラレルに配向された繊維が厚み方向に重なった構造となっているのものでは、便捕捉可能な繊維間隙の形成や圧縮時の繊維間隙維持の観点では、未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件第一発明は、第一の面に長手方向に延びる複数条の畝部と溝部が形成されている不織布シートであって、該不織布シートは、第一の面側の第一繊維層および第一の面とは反対の第二の面側の第二繊維層からなり、第二繊維層は潜在捲縮性繊維を含み、第一繊維層は前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では捲縮を発現しない熱融着性繊維を含み、該不織布シートを第一の面側から平面視したときに畝部外縁が蛇行を繰り返した形状となっていることを特徴とする。
好ましくは、前記畝部において、畝部が延びる方向に沿って相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが形成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記畝部において、少なくとも一部の繊維が屈曲やたわみを生じることによって、三次元でのランダム配向が高められていることを特徴とする。
【0006】
本件第二発明は、
a)潜在捲縮性繊維を含む繊維の集合体をカード機に通して開繊し、潜在捲縮性繊維を含むウェブを形成する工程、
b)前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では捲縮を発現しない熱融着性繊維を含む繊維の集合体をカード機に通して開繊し、熱融着性繊維を含むウェブを形成する工程、
c)潜在捲縮性繊維を含むウェブと熱融着性繊維を含むウェブを重ね合わせて、積層ウェブを形成する工程、
d)積層ウェブに畝部と溝部とが形成され、かつ畝部の連続する方向において繊維の交絡度合いが相対的に高い部分と相対的に低い部分が交互に形成されるよう繊維を再配列させる工程、
f)繊維を再配列したウェブを加熱して、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させる工程、および
g)潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させたウェブを加熱して、熱融着性繊維どうしを互いに交差している部位において融着させる工程、
を含む、不織布シートを製造する方法である。
工程dは、好ましくは、積層ウェブを、交差方向に平行に延びる流体通過部と流体遮断部が機械方向に交互に繰り返して配置された支持体の上に載せて搬送しながら、積層ウェブの熱融着性繊維を含むウェブ側の面に、交差方向に並ぶ複数のノズルから流体を噴射し、機械方向へ平行して延びる複数条の畝部と溝部とを形成する工程である。
工程fは、好ましくは、熱融着性繊維の融着温度よりは低いが、潜在捲縮性繊維が捲縮を発現する温度に、ウェブを加熱する工程である。
好ましくは、工程fを、潜在捲縮性繊維が捲縮により機械方向に収縮しようとする力に対する抗力が小さい状態で行なう。
好ましくは、直前の工程に比べて工程fの搬送速度を遅らせる。
好ましくは、工程fにおいて、フローティングドライヤーを用いる。
好ましくは、工程dと工程fの間に、e)工程dで得られた積層ウェブを工程fに搬送する工程を含む。
好ましくは、工程gの後に、h)工程gで得られたウェブを冷却する工程を含む。
【0007】
本件第三発明は、前記不織布シートを含む吸収性物品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の不織布シートは、軟便のような高粘度排泄物を効率よく捕捉することができる。
第一の面側から平面視したときに、畝部外縁が蛇行を繰り返しながら長手方向に延びていることで単位面積あたりの表面積が大きくなり、対象とする高粘度排泄物に対しての接触機会を増加させることができる。
また、畝部および溝部が連続しており、一定方向でのシート剛性が高められ、形成される捕捉空間が潰され難くなる。
また、畝部高さが長手方向にわたって相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが交互に形成されているような場合には、さらに単位投影面積あたりの実表面積が大きくなり、対象とする高粘度排泄物に対しての接触機会を増加させることができる。
また、畝部において、少なくとも一部の繊維が屈曲やたわみを生じることによって、三次元でのランダム配向が高められている場合には、便捕捉可能な繊維間隙の形成や圧縮時の繊維間隙維持性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の不織布シートの一実施態様の拡大平面図の模式図である。
【図2】図2は、本発明の不織布シートの別の実施態様の拡大平面図の模式図である。
【図3】図3は、図1におけるX−X′線での断面図の模式図である。
【図4】図4は、図1におけるY−Y′線での断面図の模式図である。
【図5】図5は、本発明の不織布シートの製造工程の一例を示す図である。
【図6】図6は、工程dで使用されるノズルの配置の一例を示す図である。
【図7】図7は、工程dで使用される多列化ノズルの例を示す図である。
【図8】図8は、工程dで使用される成形用プレートの一例を示す図である。
【図9】図9は、畝部と溝部が形成される過程を説明する模式図である。
【図10】図10は、工程fで使用することができるフローティングドライヤーを示す図である。
【図11】図11は、便捕捉量の測定法を説明する図である。
【図12】図12は、便拡散面積の測定法を説明する図である。
【図13】図13は、実施例3の不織布シートの第一の面側を長手方向から見た平面斜視写真である。
【図14】図14は、実施例3の不織布シートの第一の面側を幅方向から見た平面斜視写真である。
【図15】図15は、実施例3の不織布シートの平面図写真である。
【図16】図16は、実施例3の不織布シートの幅方向断面の顕微鏡写真である。
【図17】図17は、実施例3の不織布シートの畝部の頂点を通る長手方向に平行な断面の顕微鏡写真である。
【図18】図18は、実施例1の不織布シートの平面図写真である。
【図19】図19は、実施例1の不織布シートの幅方向断面の顕微鏡写真である。
【図20】図20は、実施例1の不織布シートの畝部の頂点を通る長手方向に平行な断面の顕微鏡写真である。
【図21】図21は、比較例1の不織布シートの平面図写真である。
【図22】図22は、比較例1の不織布シートの幅方向断面の顕微鏡写真である。
【図23】図23は、比較例1の不織布シートの畝部の頂点を通る長手方向に平行な断面の顕微鏡写真である。
【図24】図24は、実施例3の不織布シートの畝部の繊維配向を示す写真である。
【図25】図25は、比較例1の不織布シートの畝部の繊維配向を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の不織布シートの一実施形態の拡大平面図の模式図を示す。図2に、本発明の不織布シートの別の実施形態の拡大平面図の模式図を示す。図3は、図1におけるX−X′線での断面図の模式図である。図4は、図1におけるY−Y′線での断面図の模式図である。
【0011】
不織布シート1は、第一の面1aと、これに対向する第二の面1bとを有する。
不織布シート1は、第一の面1a側に、長手方向(以下「MD」ともいう。)に延びる多数条の畝部2および溝部3を有する。畝部2および溝部3は、それらの延びる方向と直交する幅方向(以下「CD」ともいう。)にわたって交互に配列されている。畝部2は、第一の面側から平面視したときに、畝部外縁が蛇行を繰り返しながら長手方向に延びている。ここで述べる蛇行とは、直線距離で15mm以上離れた畝部外縁上の任意の2点を直線で結んだ場合の直線距離(以下、「見かけ長さ」という。)に対して、同2点間において畝部外縁に沿った実測距離(以下、「実質長さ」という。)が、長くなっているもののことを指し、蛇行度合いは次の式で定義する。
蛇行度合い=実質長さ/見かけ長さ
また、ひとつの畝部に注目した場合、畝部にはその幅方向中心を挟んで2本の外縁が存在することとなるが、2本の外縁のうち、より蛇行度合いが大きくなる方の外縁を選び、蛇行度合いを計算するものとする。
なお、2本の外縁の位相は対称であってもよいし、非対称であっても構わない。ここで述べる畝部外縁とは、不織布シートを平面視したときに、畝部高さの50%に相当する部分での輪郭と定義する。
【0012】
畝部外縁の特定ならびに実質長さおよび見かけ長さの測定方法は、次のとおりである。
3Dレーザー変位計(株式会社キーエンス製)を用いて30mm×30mmの範囲で画像取り込みをおこなった後、専用の画像解析ソフトにより以下の手順で画像処理を行う。
(1)画像補正で傾き補正(自動)
(2)画像補正で平滑化(15×15、5回を選択)
(3)上下限設定で表示されている実範囲(=畝部高さ)の50%を下限に設定することで、畝部の50%以下の部分を黒塗りにし、境界線を読み取りやすくする。
(4)以上のように処理した画像をプリントアウトしたものの境界線を丁寧になぞり写し、実質長さおよび見かけ長さを計測する。
(5)測定は20箇所以上でおこない、平均したものを数値として採用する。
【0013】
蛇行度合いは、表面積拡大の観点から、好ましくは1.1〜2.0であり、より好ましくは1.2〜1.5である。この範囲を下回る場合、おおむね直線形状となり、便捕捉量を高めるための表面積拡大にはほとんど影響しない。また、この範囲を超えるような蛇行度合いは畝部および溝部の成形が困難となる。
【0014】
畝部の厚みt(図3参照)は、不織布シート1において吸収または溝部に捕捉される高粘度液と肌との離間および肌触りの観点から、好ましくは0.3〜5mmであり、より好ましくは0.5〜3mmである。この範囲を超えた場合、肌への使用感が増大してしまう。また、この範囲を下回る場合、吸収または溝部に捕捉される高粘度液と肌とが十分に離間されないため、肌への再付着を低減することができない。
【0015】
畝部の頂部と溝部の底部との高低差D(図3参照)は、不織布シート1において実質表面積を大きくするとともに、高粘度液を溝部に取り込む観点から、0.1〜3mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。この範囲を超えるような場合には、必然的に畝部高さが高いものとなり、肌への使用感が増大してしまう。また、この範囲を下回る場合、溝部への取り込み容量がきわめて低いものになってしまう。
【0016】
畝部の厚みtおよび畝部の頂部と溝部の底部との高低差Dは、3Dレーザー変位計(株式会社キーエンス製)を用いて測定する。
【0017】
畝部の高さtはそれが延びる方向(MD)にわたって一定であってもよいが、肌触りと高粘度液の捕捉性の観点から、畝部の高さtが長手方向にわたって相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが交互に形成されていることが好ましい。この場合の相対的に高い部分と相対的に低い部分の高低差D(図4参照)は0.1〜3mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。この範囲を超えるような場合には、必然的に畝部の高さtが高いものとなり、肌への使用感が増大してしまう。また、この範囲を下回る場合、便捕捉量を高めるための表面積拡大にはほとんど影響しない。
【0018】
不織布シート1の幅方向における畝部の幅w(図3参照)は、表面シート1において排泄液の肌への再付着および肌触りの観点から、1〜10mmの範囲であることが好ましく、2〜5mmの範囲がより好ましい。この範囲を超えるような場合には、着用者の肌との接触領域が大きくなることになり、べたつき感や、こすれに起因する刺激感が増加するとともに、畝部上にとどまった高粘度排泄液が肌へ再付着する恐れがある。また、この範囲を下回る場合、畝部と溝部の成形は難しいものとなってしまう。
【0019】
不織布シート1の幅方向における溝部の幅w(図3参照)は、排泄液の肌への再付着および高粘度液の捕捉性の観点から、0.5〜7mmの範囲で幅広部分と幅狭部分を繰り返すことが好ましく、1〜3mmの範囲がより好ましい。この範囲を超えるような場合には、肌が溝部にくい込み、皮膚との接触領域が大きくなることとなる。また、この範囲を下回る場合、凹部への高粘度液の取り込み容量は極めて低いものになってしまう。
【0020】
畝部2を構成する繊維の少なくとも一部が屈曲やたわみを生じることによって、三次元でのランダム配向性が高められている。これにより便捕捉可能な繊維間隙の形成や圧縮時の繊維間隙維持性を高めることができる。
繊維配向の測定は、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−100を用いて行い、以下の測定方法で行った。(1)サンプルを観察台上に長手方向が縦方向になるようにセットし、(2)イレギュラーに手前に飛び出した繊維を除いてサンプルの最も手前の繊維にレンズのピントを合わせ、(3)撮影深度(奥行き)を設定してサンプルの3D画像をPC画面上に作成する。次に、(4)3D画像を2D画像に変換し、(5)測定範囲において長手方向を適時等分する平行線を画面上に複数引く。(6)平行線を引いて細分化した各セルにおいて、繊維配向が長手方向であるか、幅方向であるかを観察し、それぞれの方向に向いている繊維本数を測定する。そして、(7)設定範囲内における全繊維本数に対し、長手方向に向かう繊維配向の繊維本数の割合と、幅方向に向かう繊維配向の繊維本数の割合とを計算することにより、測定・算出することができる。
図24に、実施例3の不織布シートの畝部2の繊維配向を図24に、比較例1の不織布シートの畝部2の繊維配向を図25に示す。図24および図25の写真は、上述の繊維配向の測定に際して撮影した(4)の工程での写真である。
【0021】
図3および図4に示すように、不織布シート1は、第一の面1a側に位置する第一繊維層4と、第二の面1b側に位置する第二繊維層5とを有する多層構造になっている。第一繊維層4と第二繊維層5とは、両者が対向する面において繊維の交絡や熱融着等の方法により一体化されている。
【0022】
第一繊維層4は必須繊維として熱融着性繊維が含まれる繊維層からなり、第二繊維層5は必須繊維として潜在捲縮性繊維が含まれる繊維層から構成されるものである。
【0023】
第一繊維層4を構成する繊維としては、熱可塑性樹脂からなる繊維が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。また、これらの熱可塑性樹脂の組み合わせからなる芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維も用いることができる。
【0024】
第一繊維層4を構成する熱融着性繊維としては、下記に述べる第二繊維層5の収縮により、長手方向に沿って屈曲または撓みを生じさせることによって、畝部2を蛇行させるという観点から、熱収縮性を実質的に有しないか、または第二繊維層5の潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度よりも捲縮開始温度が高いものが好ましい。さらに同様の観点から、第一繊維層4を構成する繊維としては、第二繊維層5の潜在捲縮性繊維が捲縮を発現する温度よりも融着固定される温度の方が高いものが好ましい。
【0025】
また、第一繊維層4を構成する熱融着性繊維の繊度は、不織布シート1の肌触りと吸収性を良好にする観点から、好ましくは1〜5dtexであり、より好ましくは2〜4dtexである。また、繊維長はカード適正の観点から、好ましくは15〜65mm、より好ましくは38〜51mmである。
【0026】
さらに、第一繊維層4は、熱融着性繊維の1種または2種以上から構成されていてもよく、あるいは熱融着性繊維の他に、該繊維と熱融着しない他の繊維を含んで構成されていてもよい。たとえば、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、綿、ウール等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ビニロン等の合成繊維等の中から任意に一種以上を選択して使用することができる。また、その繊維断面形状等も限定されず、分割型複合繊維や異形断面を有する繊維等も任意に使用することができる。この場合、繊維どうしの交点を熱融着可能にする繊維の量は、第一繊維層4の質量の30〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
【0027】
一方、第二繊維層5を構成する潜在捲縮性繊維としては、たとえば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂を成分とする偏芯芯鞘型複合繊維またはサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。また、第二繊維層5を収縮させ、第一繊維層4を構成する繊維を長手方向に沿って屈曲または撓みを生じさせることによって、畝部2を蛇行させるという観点から、ウェブ収縮率が少なくとも40%のものを用いることが好ましい。たとえば、ポリオレフィンポリプロピレン共重合体とポリプロピレンの複合繊維が挙げられる。また、透液性を良好にする観点から、用いる繊度は好ましくは1〜11dtexであり、より好ましくは2〜6dtexである。また、用いる繊維長はカード適正の観点から、好ましくは15〜65mm、より好ましくは38〜51mmである。
【0028】
第二繊維層5は、潜在捲縮性繊維の1種または2種以上から構成されていてもよく、あるいは、潜在捲縮性繊維の他に、非潜在捲縮性複合繊維や該繊維と熱融着しない他の繊維を含んで構成されていてもよい。たとえば、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、綿、ウール等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ビニロン等の合成繊維等の中から任意に一種以上を選択して使用することができる。また、その繊維断面形状等も限定されず、分割型複合繊維や異形断面を有する繊維等も任意に使用することができる。この場合、十分な熱収縮を発現させる観点から、潜在捲縮性繊維が好ましくは10〜95質量%、より好ましくは60〜80質量%用いられる。
【0029】
不織布シート1の収縮工程後の坪量は、製品組み込み時の使用感の観点から35〜150g/mとすることが好ましく、40〜80g/mとすることがより好ましい。たとえば収縮工程後の第一繊維層4の坪量は好ましくは20〜100g/m、より好ましくは30〜60g/mとすることができ、収縮工程後の第二繊維層5の坪量は好ましくは15〜70g/m、より好ましくは20〜50g/mとすることができる。
【0030】
好ましい構成として畝部2は、主として第一繊維層4によって占められている。たとえば畝部2は、図3に示す断面形状における面積基準で50〜80%が、第一繊維層4から構成されており、残りが第二繊維層5から構成されている。一方、溝部3においては、図3に示す断面形状における面積基準で、第一繊維層4と第二繊維層5とがそれぞれ占める割合に、畝部2ほど大きな差はない。たとえば溝部3は、面積基準で40〜70%が第一繊維層4から構成されており、残りが第二繊維層5から構成されている。畝部2において第一繊維層4の割合が大きくなっていることは、第一繊維層4を構成する繊維を長手方向に沿って屈曲または撓みを生じさせることによって、畝部2を蛇行させ、より表面積を大きくするという面で効果的である。
【0031】
不織布シート1は親水化されていることが好ましい。親水化の方法としては、たとえば親水化剤で処理した繊維を原料として用いる方法が挙げられる。また、親水化剤を練り込んだ繊維を原料として用いる方法が挙げられる。さらに、本来的に親水性を有する繊維、たとえば天然系や半天然系の繊維を使用する方法が挙げられる。不織布シート1の製造後にこれに界面活性剤を塗工することでも親水化を行うことができる。
【0032】
次に、本発明の不織布シートを製造する方法について説明する。
本発明の製造方法は、下記の工程を含む。ただし、工程eおよび工程hは必須ではない。
a)潜在捲縮性繊維を含む繊維の集合体をカード機に通して開繊し、潜在捲縮性繊維を含むウェブを形成する工程、
b)前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では捲縮を発現しない熱融着性繊維を含む繊維の集合体をカード機に通して開繊し、熱融着性繊維を含むウェブを形成する工程、
c)潜在捲縮性繊維を含むウェブと熱融着性繊維を含むウェブを重ね合わせて、積層ウェブを形成する工程、
d)積層ウェブに畝部と溝部とが形成され、かつ畝部の連続する方向において繊維の交絡度合いが相対的に高い部分と相対的に低い部分が交互に形成されるよう繊維を再配列させる工程、
e)工程dで得られた積層ウェブを工程fに搬送する工程、
f)繊維を再配列したウェブを加熱して、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させる工程、
g)潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させたウェブを加熱して、熱融着性繊維どうしを互いに交差している部位において融着させる工程、および
h)工程gで得られたウェブを冷却する工程。
【0033】
図5は、本発明の不織布シートの製造工程の一例を示す。ただし、本発明は、この例に限定されるものではない。
図5において、aは工程aを、bは工程bを、cは工程cを、dは工程dを、eは工程eを、fは工程fを、gは工程gを、そしてhは工程hを示す。
【0034】
工程aにおいて、潜在捲縮性繊維を含む繊維の集合体が、容器11からカード機12に運ばれ、カード機12に通されて開繊され、潜在捲縮性繊維を含むウェブ13が形成される。形成された潜在捲縮性繊維を含むウェブ13は、無端ベルト17に載せられて搬送される。
【0035】
工程bにおいて、熱融着性繊維を含む繊維の集合体が、容器14からカード機15に運ばれ、カード機15に通されて開繊され、熱融着性繊維を含むウェブ16が形成される。工程aと工程bの順序は問わない。
【0036】
工程cにおいて、潜在捲縮性繊維を含むウェブ13と熱融着性繊維を含むウェブ16が重ねられ、積層ウェブ18が形成される。図5には、無端ベルト17の上の潜在捲縮性繊維を含むウェブ13の上に、形成された熱融着性繊維を含むウェブ16を重ねる態様が示されているが、必ずしも潜在捲縮性繊維を含むウェブ13の上に熱融着性繊維を含むウェブ16を重ねる必要はなく、熱融着性繊維を含むウェブ16の上に潜在捲縮性繊維を含むウェブ13を重ねて積層ウェブ18を形成してもよい。すなわち、工程aと工程bはどちらが先にあってもよいし、積層ウェブ搬送時は、熱融着性繊維を含むウェブ16が上にあっても、潜在捲縮性繊維を含むウェブ13が上にあってもよい。
【0037】
工程dは、積層ウェブに畝部と溝部とが形成され、かつ畝部の連続する方向において繊維の交絡度合いが相対的に高い部分と相対的に低い部分が交互に形成されるよう繊維を再配列させる工程である。工程dは、好ましくは、積層ウェブを、交差方向に平行に延びる流体通過部と流体遮断部が機械方向に交互に繰り返して配置された支持体の上に載せて搬送しながら、積層ウェブの熱融着性繊維を含むウェブ側の面に、交差方向に並ぶ複数のノズルから流体を噴射し、機械方向へ平行して延びる複数条の畝部と溝部とを形成する工程である。ここで、機械方向とは製造工程においてウェブが搬送される方向をいい、交差方向とはウェブ表面において機械方向に直交する方向をいう。以下、機械方向をMDともいい、交差方向をCDともいう。また、不織布シートの長手方向は機械方向に一致し、不織布シートの幅方向は交差方向に一致する。
【0038】
図5に示す工程dは、機械方向へ回転するサクションドラム19と、交差方向に並ぶ複数のノズル20とを含んでいる。交差方向に並ぶ複数のノズル20は、サクションドラム19の周面に向かって流体を噴射することができるもので、サクションドラム19の周面からは所要寸法だけ離間している。交差方向に並ぶ複数のノズル20は、また、サクションドラム19の軸方向すなわち交差方向CDへ延びる配管(図示せず)に複数のノズル20が所要の間隔をあけて取り付けられているものである。
【0039】
交差方向に並ぶ複数のノズル20は、図6(a)に示すように、1列であってもよいが、繊維のかき分け性の観点から2列以上のノズルを並べて構成されるものが好ましい。たとえば、図6(b)に示すように、ノズル列21,22,23からなり、その取り付け状態の好ましい一例では、ノズル列21,22,23それぞれにおけるノズル20が機械方向において同一線上に位置するように調整されている。また、ノズル列21,22,23は、たとえば、図7に示すように、サクションドラム19の周方向へ30°ずつの間隔をあけて配置することができ、ノズル列21,22,23それぞれにおけるノズル20は、たとえば交差方向におけるピッチPが5mmとなるように配管に取り付けることができる。ノズル列21,22,23からは所要温度の流体を所要の風量で噴射することができる。複数のノズル20から噴射する流体は、その流体自体によって、またはノズル20どうしの流体が相互に干渉することによってウェブにおける繊維の分布状態を乱すことがないように調整されている。そのためには、たとえば坪量35g/mのウェブが直径500mmのサクションドラム19の周面を0.5秒で通過するものであって、ノズル列21,22,23それぞれのノズル20が交差方向に5mmのピッチPで配置してあってサクションドラム19の周面からの離間寸法が5〜8mmに調整してある場合、ウェブ18はサクションドラム19のサクションによって厚さを2〜5mm程度に整えてから、交差方向に並ぶ複数のノズル20の下を通過させることが好ましい。そのときに使用するノズル20の口径は0.5〜1.5mm程度であり、ノズル20からの流体の噴射速度は50〜700m/sであり、サクションドラム19の吸引力は風速2〜7m/sであることが好ましい。
【0040】
ノズルから噴射する流体は、たとえば、常温もしくは所定温度に調整された気体、または、該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルを例示できる。気体として、たとえば、空気、窒素等を例示できる。また、気体は、水蒸気等の液体の蒸気を含むものである。エーロゾルとは、気体中に液体または固体が分散したものであり、以下にその例を挙げる。たとえば、着色のためのインクや、柔軟性を高めるためのシリコーン等の柔軟剤や、帯電防止およびヌレ性を制御するための親水性もしくは撥水性の活性剤や、流体のエネルギーを高めるための酸化チタン、硫酸バリウム等の無機フィラーや、流体のエネルギーを高めると共に加熱処理において凹凸成形維持性を高めるためのポリエチレン等のパウダーボンドや、かゆみ防止のための塩酸ジフェンヒドラミン、イソプロピルメチルフェノール等の抗ヒスタミン剤や、保湿剤や、殺菌剤等を分散させたものを例示できる。ここで、固体は、ゲル状のものを含む。
【0041】
サクションドラム19の周面には、成形用プレートが取り付けられている。図8は、成形用プレートの一例を示す。成形用プレート41は、流体通過部42と流体遮断部43とがサクションドラム19の周方向E(機械方向)へ交互に形成されているもので、流体通過部42には複数の孔44が形成されていて、この孔44がサクションドラム19のサクション機構(図示せず)につながっている。
成形用プレート41の一例において、成形用プレートの流体通過部42は、周方向Eの寸法w42が2〜3mmであって、サクションドラム19の軸方向すなわち交差方向のほぼ全体に延びており、直径0.2〜1mmの多数の孔44が成形用プレートの流体通過部42の面積に対して15〜30%の開口率となるように形成されている。成形用プレートの流体遮断部43は、周方向Eの寸法w43が1.5〜3mmであって、サクションドラム19の軸方向の全体に延びている。成形用プレート41が取り付けられたサクションドラム19の周速は、ウェブの搬送速度に同じである。
【0042】
ウェブは、サクションドラム19の周面に載せられてノズル20の下を通過する。ノズル20からはウェブに向かって流体を噴射する一方、サクションドラム19では、その流体を吸引するためのサクションを作用させる。流体を噴射されたウェブでは、ノズル20の直下にある繊維が交差方向へ平行移動して隣り合うノズル20とノズル20との間に集積し、畝部2を形成することとなる。一方、ノズル20の直下には溝部3を形成することとなる。
【0043】
図9は、本発明の不織布シートの畝部2と溝部3が形成される過程を説明する図である。図9(a)は成形用プレートを示し、図9(b)は工程(d)で得られた熱処理前の不織布シートの平面斜視図であり、図9(c)は図9(b)のc−c′線に沿った断面図であり、図9(d)は図9(b)のa−a′線に沿った断面図であり、図9(e)は図9(b)のb−b′線に沿った断面図である。図9(f)は工程(f)で得られた熱処理後の不織布シートの平面斜視図であり、図9(g)は図9(f)のC−C′線に沿った断面図であり、図9(h)は図9(f)のA−A′線に沿った断面図であり、図9(i)は図9(f)のB−B′線に沿った断面図である。
【0044】
サクションドラム19の周面を形成している成形用プレート41の流体遮断部43では、ウェブに向かって噴射された流体がサクションドラム19の内側へ進まずに、成形用プレート41の表面に沿って交差方向へ流れる。その流体によって、流体遮断部43に載せられている繊維が交差方向へ移動したときには、孔44に対応する肉薄部6がウェブに形成され、流体遮断部43に載せられている繊維のほとんどすべてが交差方向へ移動したときには、孔44に対応する透孔6がウェブに形成される。また、成形用プレート41の流体通過部42に載せられている繊維は、それに向かって噴射された流体の多くが成形用プレート41の孔44を通ってサクションドラム19の内側へ進むと、繊維のうちの一部のものが交差方向へ移動することなくノズル20の直下に残り、隣り合う畝部2どうしをつないでいるブリッジ7を形成する。
【0045】
成形用プレートの流体通過部42に対して成形用プレートの流体遮断部43に相当する部分での繊維のかき分け量は相対的に多くなっており、それによって形成される畝部2においては、成形用プレートの流体通過部42に相当する部分よりも、成形用プレートの流体遮断部43に相当する部分での繊維集合密度は相対的に高くなっており、交絡度合いも高まっている。この繊維集合密度が相対的に高くなっている部分8と相対的に低くなっている部分9は、成形用プレートのパターンに起因して、機械方向に交互に配置されることとなる。
【0046】
工程eは、工程dで得られたウェブ24を、工程fに搬送する工程である。工程eにおいて、ウェブ24は無端ベルト25に載せて搬送される。工程eの搬送速度は、工程dの搬送速度と同一か、または工程dの搬送速度よりもわずかに速い速度である。工程eは、必ずしも必要ではなく、工程dで繊維が再配列されたウェブ24を、工程dから直接、工程fに送ってもよい。しかし、ウェブ24を安定して搬送するために、工程eを設けることが好ましい。
【0047】
工程fは、第二繊維層の潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させるための第一熱処理工程である。
工程dで得られたウェブは、必要に応じて搬送工程eを経て、第一熱処理工程fに送られる。第一熱処理工程fには、第一熱処理乾燥機26が設けられ、ウェブ24は無端ベルト27に載せられて、第一熱処理乾燥機26の中を通され、そこで熱処理が施される。
【0048】
第一熱処理工程fにおいては第二繊維層の繊維の収縮が開始し、かつ第一繊維層の繊維同士が融着固定されない範囲の熱条件で熱処理を行い、第二繊維層の繊維の捲縮を発現させる。ここで、第二繊維層が機械方向に収縮する際、第一繊維層は収縮しないため、第一繊維層を構成する繊維は機械方向に屈曲や撓みを生じることとなる。このとき、前述のように畝部内で繊維集合密度が相対的に高い部分と相対的に低い部分からなるような場合には、相対的に繊維集合密度が低く、交絡度合いが低い部分においては繊維は機械方向に屈曲や撓みを生じやすくなっており、その結果、畝部に蛇行部分や幅広部分を形成することとなる。一方、相対的に繊維集合密度が高く、交絡度合いが高い部分においては繊維の自由度が低くなるため、機械方向に屈曲や撓みを生じ難くなっており、その結果、畝部に蛇行の基点部分や幅狭部分を形成することとなる。
さらに、畝部で相対的に繊維集合密度が低く、交絡度合いが低い部分における繊維の屈曲や撓みは畝部を幅方向へ拡幅させるだけでなく、畝部に嵩高性も付与することとなり、畝部において相対的に高さの高い部分を形成する。また、畝部で相対的に繊維集合密度が低く、交絡度合いが低い部分における繊維の屈曲や撓みはその部分での繊維配向をよりランダムなものとする。
【0049】
また、熱処理乾燥機26内においてウェブに機械方向でのテンションがかかった場合、潜在捲縮性繊維の捲縮発現による第二繊維層の収縮は、相対的に自由度が高くなっている幅方向におこりやすくなるため、第一繊維層の繊維を機械方向で屈曲や撓みを生じさせるのに十分な機械方向への収縮力を得ることができない。そこで、第二繊維層を積極的に機械方向へ収縮させる観点から、潜在捲縮性繊維が捲縮により長さ方向に収縮しようとする力に対する抗力が小さい状態で行なうことが好ましい。その具体的方法としては、直前の工程に比べて工程fの搬送速度を遅らせる方法、フローティングドライヤーを用いる方法などが挙げられる。
【0050】
直前の工程に比べて工程fの搬送速度を遅らせる方法における直前の工程とは、工程eを設けたときは工程eをいい、工程eを設けないときは工程dをいう。第一熱処理工程fの搬送速度を直前の工程の搬送速度より遅くすることにより、潜在捲縮性繊維が捲縮により機械方向に収縮しようとする力に対する抗力を小さくすることができ、第二繊維層の潜在捲縮性繊維の捲縮発現による十分な機械方向への収縮が得られ、蛇行した畝部が形成されやすくなる。たとえば、機械方向に十分な収縮力が発現するとともに、シートが撓んで折れ重ならない範囲として、第一熱処理工程f内の搬送速度を直前の工程の搬送速度の80〜95%にすることが好ましい。
【0051】
潜在捲縮性繊維の捲縮発現による収縮の抵抗の1つは搬送時のラインテンションであるが、もう1つは搬送コンベアとの摩擦である。その摩擦を低減するために、図10に示すようなフローティングドライヤー50を利用することができる。フローティングドライヤー50とは、メッシュコンベア51,52が上下に離間して設置してあり、メッシュコンベア51、52の内側(ウェブ24とは逆側)に熱風吹き出し口53が複数備わっており、他方のメッシュコンベア52,51に向けて熱風を吹きつけウェブ24を他方のメッシュコンベア52,51に移動させながら熱処理を行う。図10に示すように、下側のメッシュコンベア51から熱風を吹きつけた次は上側のメッシュコンベア52から熱風を吹きつけるように交互に上下から熱風を吹きつけることでウェブ24は上下に移動することとなり、メッシュコンベア51,52と接地していない部分ができ、潜在捲縮性繊維が捲縮により機械方向に収縮しようとする力に対する抗力を小さくすることができ、機械方向と交差方向の両方に収縮させるには好ましい方法である。フローティングドライヤーは、直前の工程の搬送速度に比べて第一熱処理工程fの搬送速度を小さくする方法と併用することができ、併用するとより好ましい。
【0052】
第一熱処理工程fの温度は、第一繊維層の熱融着性繊維の融着温度を超えない範囲であり、好ましくは、第二繊維層の潜在捲縮性繊維が捲縮を発現する温度よりも0〜+50℃高い温度であり、より好ましくは+10〜+40℃高い温度である。たとえば、第二繊維層の潜在捲縮性繊維が捲縮を発現する温度が80℃であり、第一繊維層の熱融着性繊維の融点(融点でOK)が130℃である場合は、第一熱処理乾燥機26の温度は、好ましくは80〜130℃であり、より好ましくは90〜120℃である。
【0053】
工程gは、第一繊維層の熱融着性繊維どうしを互いに交差する部位において融着させる第二熱処理工程である。第二熱処理工程gには、第二熱処理乾燥機28が設けられ、工程fで潜在捲縮性繊維が捲縮したウェブは、無端ベルト29に載せられて、第二熱処理乾燥機28の中を通され、そこで熱処理が施される。第二熱処理工程gにおいては、第一繊維層の熱融着繊維の融着温度以上の温度で熱処理を行い、熱融着繊維どうしを互いに交差する部位において融着することで、工程d〜fにおいて形成された第一繊維層の畝部が固定される。
【0054】
第二熱処理工程gの温度は、好ましくは、第一繊維層の熱融着繊維の融点よりも−10〜+40℃高い温度であり、より好ましくは0〜+20℃高い温度である。たとえば、第一繊維層の熱融着性繊維の融点が130℃である場合は、第二熱処理乾燥機28の温度は、好ましくは120〜170℃であり、より好ましくは130〜150℃である。
【0055】
工程hは、工程gで熱融着性繊維どうしが融着したウェブを冷却する工程である。工程gの第二熱処理乾燥機28を出たウェブは、無端ベルト30に載せられて搬送されながら、室温で放冷される。冷却されることによって、第一繊維層の熱融着繊維どうしの互いに交差する部位における融着が固定され、第一繊維層が固定される。冷却されたウェブは、ロール31に巻き取られる。
【0056】
本発明の不織布シートは、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキン、ワイプス等の吸収性物品の部材として好適に使用することができる。特に、使い捨て紙おむつの表面シート、フラップ、バックシート等に好適に使用することができる。また、本発明の不織布シートは、ワイプスを製造するのにも好適に使用することができる。本発明の不織布シートを、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートとして用いる場合は、不織布シートの第一の面(畝部と溝部が形成されている面)が、着用時に肌と当接する面になるように用いる。本発明の不織布シートを使い捨て紙おむつの表面シートの一部に用いる場合は、少なくとも長手方向の中央よりも前側に配置することが好ましい。
【0057】
本発明の不織布シートは、第一の面側から平面視したときに、畝部外縁が蛇行を繰り返しながら長手方向に延びていることで単位投影面積あたりの実表面積が大きくなり、対象とする高粘度排泄物に対しての接触機会を増加させることができる。
また、畝部高さが長手方向にわたって相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが交互に形成されているような場合には、さらに単位投影面積あたりの実表面積が大きくなり、対象とする高粘度排泄物に対しての接触機会を増加させることができる。
また、畝部および溝部が連続しており、一定方向でのシート剛性が高められ、形成される捕捉空間が潰され難くなる。
また、畝部において、少なくとも一部の繊維が屈曲やたわみを生じることによって、三次元でのランダム配向が高められていることで、便捕捉可能な繊維間隙の形成や圧縮時の繊維間隙維持性が向上する。
低月齢の赤ちゃんのおむつ交換において、肌に付着した軟便はお尻拭きやティッシュなどを利用して拭いとられるが、拭き取り手間の低減や使用枚数減によるコストメリットなどの観点から、交換時にオムツを開放した際、オムツの表面シートの汚れていない部分(たとえば前方)やフラップやバックシートを利用して、事前にざっと拭き取った後、お尻拭きやティッシュなどでキレイに拭きあげるような使われ方をされるケースが多々見られる。このような場合、表面シートやフラップやバックシートの機能としては従来の吸収やアウター部材の機能としての被覆という観点だけではなく、肌に付いてしまった便を拭い取るような機能が求められる。本発明の不織布シートは、前述の機能により、おむつ交換時に高粘度排泄物を肌から拭い取ることが容易であり、交換時の手間が軽減される。
【実施例】
【0058】
実施例1
図5に示す製造装置を用いて、不織布シートを製造した。
工程aにおいて、第二繊維層用の繊維として、ポリプロピレン/ポリオレフィンポリプロピレン共重合体潜在捲縮性サイド・バイ・サイド型複合繊維(2.6dtex、繊維長51mm、質量比=50/50、面積収縮率60%)を使用し、坪量15g/mの潜在捲縮性繊維のウェブを作製した。
工程bにおいて、第一繊維層用の繊維として、ポリエステル/ポリエチレン芯鞘型複合繊維(熱融着性繊維、3.0dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50)を使用し、坪量20g/mの熱融着性繊維のウェブを作製した。
工程cにおいて、潜在捲縮性繊維のウェブの上に、熱融着性繊維のウェブを重ね合わせ、積層ウェブを作製した。
工程dにおいて、図8に示す成形用プレート(流体通過部の周方向寸法w42=2.7mm、流体通過部の孔44の直径=0.8mm(45°千鳥)、流体通過部の開口率=22%、流体遮断部の周方向寸法d43=2.3mm)を使用し、口径1.0mm、ピッチ4mmのノズル1列を使用し、噴射する流体として125℃の空気を使用し、250m/sの流速で噴射した。ノズルのサクションドラムからの離間寸法を5.0mmとし、サクションドラムの吸引力は風速5m/sとした。
工程eにおいて、搬送速度を10m/minとした。
工程fにおいて、第一熱処理乾燥機26の温度を120℃、風速を1.0m/s、滞在時間を10秒間、搬送速度を9m/min(工程eに対して90%の搬送速度)とした。
工程gにおいて、第二熱処理乾燥機28の温度を138℃、風速を2.5m/s、滞在時間を10秒間、搬送速度を工程fと同一とした。
工程hにおいて、ウェブを室温で放冷した。
【0059】
実施例2
工程fの搬送速度を8m/min(工程eに対して80%の搬送速度)に変更して、その他は実施例1と同様に、不織布シートを製造した。
【0060】
実施例3
工程dの噴射流体の流速を150m/sに変更し、工程fの搬送速度を7m/min(工程eに対して70%の搬送速度)に変更して、その他は実施例1と同様に、不織布シートを製造した。
【0061】
実施例4
工程fの搬送速度を7m/min(工程eに対して70%の搬送速度)に変更して、その他は実施例1と同様に、不織布シートを製造した。
【0062】
比較例1
工程aを省略し、工程bにおいて坪量35g/mの熱融着性繊維のウェブを作製し、工程fを省略し、工程gの搬送速度を10m/min(工程eに対して100%の搬送速度)に変更して、その他は実施例1と同様に、不織布シートを製造した。
【0063】
比較例2
工程aを省略し、工程bにおいて坪量35g/mの熱融着性繊維のウェブを作製し、工程dおよび工程fを省略し、工程gの搬送速度を10m/min(工程eに対して100%の搬送速度)に変更して、その他は実施例1と同様に、不織布シートを製造した。
【0064】
実施例および比較例で得られた不織布シートについて、仕上がり目付け(坪量)、蛇行度合い、面積増加率、静止荷重時の便捕捉量、荷重動摩擦時の便捕捉量、便拡散面積を評価した。結果を表1に示す。なお、各評価項目の評価方法は次のとおりである。
【0065】
[仕上がり目付け(坪量)]
不織布シートを100mm×100mmのサイズに切断し、電子天秤にて質量を測定し、1mあたりの質量に換算する。N=10の平均を求める。
【0066】
[蛇行度合い]
直線距離で15mm以上離れた畝部外縁上の任意の2点を直線で結んだ場合の直線距離(以下「見かけ長さ」という。)、および同2点間において畝部外縁に沿った実測距離(以下「実質長さ」という。)を測定し、次の式で蛇行度合いを計算する。
蛇行度合い=実質長さ/見かけ長さ
【0067】
[面積増加率]
3Dレーザー変位計(株式会社キーエンス製)を用いて30mm×30mmの範囲で画像取り込みをおこなった後、専用の画像解析ソフトにより以下の手順で表面積を求める。
(1)画像補正で傾き補正(自動)。
(2)画像補正で平滑化(15×15、5回を選択)。
(3)表面積・体積計測実行。
(4)上下限設定で、「上下面を含まない」を選択し、裏面側を測定値から外す。
(5)全体選択し、測定を実行する。
(6)得られたデータのうち表面積を選択範囲で割ったものを面積増加率とする。
【0068】
[静止荷重時の便捕捉量]
(1)平面に置いた人工皮膚61上に5.0gの人工軟便62を静置させる(図11参照)。
なお、人工軟便としては、ベントナイト(株式会社ホージュン製BEN−GEL)112g、粉末セルロース(日本製紙ケミカル株式会社製KCフロック GRADE W−200)222g、イオン交換水1666g、色素(赤色102号)1gを、ハンドミキサーで攪拌し、ダマのない均質な状態にしたものを20℃、60%条件下で24時間静置したものを用いる。使用の際は、その都度、攪拌してから使用する。
(2)100mm×100mmにカットした不織布シートの試料63の肌当接面側を人工皮膚61側にして重ね、さらにその上に濾紙64(ADVANTEC、SIZE:100mm×100mm、TYPE:ANANASHI QUANTITY:1000)、底面が100mm四方で3.5kgの錘65の順で重ね、10秒間静置する。
(3)錘65を取り除き、人工皮膚61への人工軟便残存量、不織布シート試料の人工軟便捕捉量、不織布シート試料裏面までの人工軟便透過量をそれぞれ計測する。
(4)初期量5.0gに対するそれぞれの測定値の割合を算出し、便付着率、便捕捉率、便透過率とする。
(5)さらに一連の測定の後、不織布シート試料63をスキャナーで読み取り、画像解析ソフトUSB Digtal Scale(scalar corporation製)で、図12に示す手順で処理し、拡散面積を求める。
【0069】
[荷重動摩擦時の便捕捉量]
(1)平面に置いた人工皮膚61上に5.0gの人工軟便62を静置させる(図11参照)。人工軟便は、前記のものを用いる。
(2)100mm×100mmにカットした不織布シートの試料63の肌当接面側を人工皮膚61側にして重ね、さらにその上には濾紙64(ADVANTEC、SIZE:100mm×100mm、 TYPE:ANANASHI QUANTITY:1000)、底面が100mm四方で1kgの錘65の順で重ね、不織布シート試料63をおよそ1cm/sのスピードで錘65ごと人工皮膚61上を平行に100mm移動させる。
(3)錘65を取り除き、人工皮膚61への人工軟便残存量、不織布シート試料63の人工軟便捕捉量、不織布シート試料裏面までの人工軟便透過量をそれぞれ計測する。
(4)初期量5.0gに対するそれぞれの測定値の割合を算出し、便付着率、便捕捉率、便透過率とする。
(5)一連の測定の後、不織布シート試料をスキャナーで読み取り、画像解析ソフトUSB Digtal Scale(scalar corporation製)で、前記と同様の手順で処理し、拡散面積を求める。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例3の不織布シートの第一の面側を長手方向から見た平面斜視写真(デジタルカメラ)を図13に、第一の面側を幅方向から見た平面斜視写真(デジタルカメラ)を図14に、第一の面の平面図写真(デジタルカメラ、スキャナー取り込み、等倍)を図15に、幅方向断面の顕微鏡写真(倍率:20倍)を図16に、畝部の頂点を通る長手方向に平行な断面の顕微鏡写真(倍率:20倍)を図17に示す。
実施例1の不織布シートの第一の面の平面図写真(デジタルカメラ、スキャナー取り込み、等倍)を図18に、幅方向断面の顕微鏡写真(倍率:20倍)を図19に、畝部の頂点を通る長手方向に平行な断面の顕微鏡写真(倍率:20倍)を図20に示す。
比較例1の不織布シートの第一の面の平面図写真(デジタルカメラ、スキャナー取り込み、等倍)を図21に、幅方向断面の顕微鏡写真(倍率:20倍)を図22に、畝部の頂点を通る長手方向に平行な断面の顕微鏡写真(倍率:20倍)を図23に示す。
実施例3の不織布シートの畝部の繊維配向を図24に示す。また、比較例1の不織布シートの畝部の繊維配向を図25に示す。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の不織布シートは、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキン、ワイプス等の吸収性物品の部材として好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 不織布シート
2 畝部
3 溝部
4 第一繊維層
5 第二繊維層
6 透孔または肉薄部
7 ブリッジ
8 繊維集合密度が相対的に高くなっている部分
9 繊維集合密度が相対的に低くなっている部分
11 容器
12 カード機
13 ウェブ
14 容器
15 カード機
16 ウェブ
17 無端ベルト
18 積層ウェブ
19 サクションドラム
20 ノズル
21,22,23 ノズル列
24 ウェブ
25 無端ベルト
26 第一熱処理乾燥機
27 無端ベルト
28 第二熱処理乾燥機
29 無端ベルト
30 無端ベルト
31 ロール
41 成形用プレート
42 流体通過部
43 流体遮断部
44 孔
50 フローティングドライヤー
51,52 メッシュコンベア
53 熱風吹き出し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の面に長手方向に延びる複数条の畝部と溝部が形成されている不織布シートであって、該不織布シートは、第一の面側の第一繊維層および第一の面とは反対の第二の面側の第二繊維層からなり、第二繊維層は潜在捲縮性繊維を含み、第一繊維層は前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では捲縮を発現しない熱融着性繊維を含み、該不織布シートを第一の面側から平面視したときに畝部外縁が蛇行を繰り返した形状となっていることを特徴とする不織布シート。
【請求項2】
前記畝部において、畝部が延びる方向に沿って相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の不織布シート。
【請求項3】
前記畝部において、少なくとも一部の繊維が屈曲やたわみを生じることによって、三次元でのランダム配向が高められていることを特徴とする請求項1または2に記載の不織布シート。
【請求項4】
a)潜在捲縮性繊維を含む繊維の集合体をカード機に通して開繊し、潜在捲縮性繊維を含むウェブを形成する工程、
b)前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では捲縮を発現しない熱融着性繊維を含む繊維の集合体をカード機に通して開繊し、熱融着性繊維を含むウェブを形成する工程、
c)潜在捲縮性繊維を含むウェブと熱融着性繊維を含むウェブを重ね合わせて、積層ウェブを形成する工程、
d)積層ウェブに畝部と溝部とが形成され、かつ畝部の連続する方向において繊維の交絡度合いが相対的に高い部分と相対的に低い部分が交互に形成されるよう繊維を再配列させる工程、
f)繊維を再配列したウェブを加熱して、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させる工程、および
g)潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させたウェブを加熱して、熱融着性繊維どうしを互いに交差している部位において融着させる工程、
を含む、不織布シートを製造する方法。
【請求項5】
工程dが、積層ウェブを、交差方向に平行に延びる流体通過部と流体遮断部が機械方向に交互に繰り返して配置された支持体の上に載せて搬送しながら、積層ウェブの熱融着性繊維を含むウェブ側の面に、交差方向に並ぶ複数のノズルから流体を噴射し、機械方向へ平行して延びる複数条の畝部と溝部とを形成する工程であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程fが、熱融着性繊維の融点よりは低いが、潜在捲縮性繊維が捲縮を発現する温度に、ウェブを加熱する工程であることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
工程fを、潜在捲縮性繊維が捲縮により機械方向に収縮しようとする力に対する抗力が小さい状態で行なうことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
直前の工程に比べて工程fの搬送速度を遅らせることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程fにおいて、フローティングドライヤーを用いることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
工程dと工程fの間に、
e)工程dで得られた積層ウェブを工程fに搬送する工程
を含むことを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程gの後に、
h)工程gで得られたウェブを冷却する工程
を含むことを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布シートを含む吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−208297(P2011−208297A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75824(P2010−75824)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】