説明

不織材料/エラストマー積層物に弾性を付与する方法

【課題】不織材料/エラストマー積層物に弾性を付与する方法を提供すること。
【解決手段】幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、特に結合材料、特に接着剤の間置によって前記フィルムに固定された少なくとも1つの不織材料層とを含む積層物に弾性を付与する方法において、2組のかみ合い機構間に積層物を通すために、積層物がウェブの形態に展開されるステップを含み、2組のかみ合い機構の歯が、積層物をその幅の方向に引き伸ばすために、積層物の平面に垂直な方向に互いにかみ合う方法であって、特にテンショナ(tensioner)ロールを、特に2組のかみ合い機構の下流に提供することによって、かみ合い機構間での展開の間に、ウェブに、縦断方向または縦方向の張力が与えられるステップを含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1枚の弾性フィルム、特にエラストマーベース、特に熱可塑性エラストマーベースの少なくとも1枚の弾性フィルムと、この弾性フィルムに固定された少なくとも1つの不織材料層とを含む積層物に弾性を付与する方法に関する。本発明はさらに、このタイプの積層物に弾性を付与する装置およびこのタイプの積層物にも関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1枚の弾性フィルム、特にエラストマーベース、特に熱可塑性エラストマーベースの少なくとも1枚の弾性フィルムと、この弾性フィルムに固定された少なくとも1つの不織材料層とを含む積層物は特に、衣料品分野の応用、特に用便練習用パンツ、成人失禁用具などの使い捨て衣料品において使用され、または医療分野の応用において弾性包帯の形態で使用される。用便練習用パンツの分野では、これらの積層物が、従来から、乳児の腰に巻く腰バンドを形作る部分に使用されている。これらの積層物は特に、おむつが乳児につけられたまま外れないことを保証し、特に面ファスナを支持する弾性タブを実現するために使用される。不織材料のおむつまたはシートの弾性フィルムへの固定は一般に、結合材料、特に接着剤を、不織材料と弾性フィルムの間に連続的に間置し、あるいは不連続な複数のゾーン、特に複数の点または線として間置することによって実現される。不織材料と弾性フィルムとを固定するということは、積層物を引き伸ばすことによって積層物に弾性を付与する必要があるということを意味する。これは、用便練習用パンツの分野において昔から「活性化(activation)」と呼ばれてきた作業である。実際、積層物が引き伸ばされる前、積層物は、現実に弾性を一切持たないか、または、少なくともわずかな弾性を有する不織布を使用する場合には、不織布と比較してわずかな弾性しか持たない。活性化の後、すなわち積層物全体が引き伸ばされた後、積層物は、不織布の繊維の一種の破壊または分離または脱結合(de−cohesion)により、これによって弾性能力が解放された弾性フィルムの弾性に対応する弾性を有する。
【0003】
この活性化を実現するため、互いにかみ合う歯を有する2つの歯付きロールの間に、ウェブ(web)または複合物(composite)の形態の積層物を通すことができることが知られている。ロールの歯は、ウェブの展開方向(縦方向)に対して実質的に垂直に延びる。これらの2組のかみ合い機構(toothing)の間に積層物がある間に歯を互いにかみ合わせると、積層物が引き伸ばされる。2つのロールを出ると、積層物は実質的に、自体がロールに入る前に持っていた形態を取り戻す。しかし、これによって起こる歪みは、積層物が全体として弾性、すなわち、その最初の幅およびその最終的な幅(引き伸ばされていない状態)と、積層物が2つの歯付きロールの間にあるときの最大幅との間の横断弾性を有することを意味する。したがってこの積層物は活性化された。
【0004】
この種の活性化を実現することができることは、従来技術、特に特許文献1からすでに知られている。ウェブは、事実上ゼロの縦断方向の張力でその中に展開され、活性化させる領域に隣接した積層物の外周縁は、歯付きロールの動作中、例えば凹みまたはベルトシステムによって保持される。使用される装置は、全体にかなり複雑であり、特に、積層物の活性化させる領域に隣接した外周縁を保持するための複雑なシステムを必要とする。その上、従来技術のこれらの方法によって得られる積層物は、積層物の外縁の不織材料とエラストマーの間で層間剥離が生じ、すなわちこれらが互いに剥がれる危険性を提示し、この危険性は、強い付着力を有する接着剤またはソルダ線(solder line)、特に超音波ソルダ線をこれらの縁に沿って提供することが必要となる性質のものである。
【0005】
【特許文献1】米国特許第A5167897号明細書
【非特許文献1】Lexique des fils et des etoffes, ISBN: 2-9509924-1-1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述のタイプの積層物に弾性を付与する方法を提案することによって、従来技術の欠点を解決することにある。この方法は、一方で、より単純に実現でき、特に、積層物の活性化させる部分に隣接した外周縁を保持する必要がなく、他方で、エラストマーと不織材料の間の結合が外縁のところで剥がれにくく、そのため、外縁に沿ってソルダ線を提供することを省くことができる可能性がある積層物を得ることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、特に結合材料、特に接着剤の間置によって前記フィルムに固定された少なくとも1つの不織布層とを含む積層物に弾性を付与する方法において、
2組のかみ合い機構間に積層物を通すために、積層物がウェブの形態に展開されるステップを含み、2組のかみ合い機構の歯が、積層物をその幅の方向に引き伸ばすために、積層物の平面に垂直な方向に互いにかみ合う方法であって、
特にテンショナ(tensioner)ロールを、特に2組のかみ合い機構の下流に提供することによって、かみ合い機構間での展開の間に、ウェブに、縦断方向または縦方向の張力が与えられるステップ
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0008】
このように、本発明によれば、特に、その活性化の間、積層物の活性化させる外周縁を保持する複雑な手段を提供する必要がなく、しかし、特に外縁で、そのエラストマーと不織材料の間の結合が、互いから剥がれることに対してより抵抗性があり、そのため超音波ソルダ線を省き、または従来技術の積層物の場合よりも安価な接着剤を提供することができる可能性がある積層物を得ることを可能にする、非常に単純なシステムが得られる。
【0009】
本発明の好ましい一実施形態によれば、幅10mm、100g/m2の活性化させる前記幅の積層物に、少なくとも1ニュートン(N)の張力が加えられ、張力は、好ましくは少なくとも2N/10mm/100g/m2、より好ましくは少なくとも2.5、例えば1.2から8の間、特に2から5の間、例えば2.6である。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態によれば、幅10mm、100g/m2の不織材料層に、少なくとも0.64ニュートン(N)の張力が与えられ、張力は、好ましくは少なくとも0.9N/10mm/100gm2(不織材料)、より好ましくは少なくとも1.2、例えば0.65から3の間、特に1から2の間、例えば1.3である。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態によれば、エラストマーフィルムが押し出され、軟化した状態で不織材料層上に付着され、それにより、次いで複合物が活性化される。
【0012】
このように複合物は、1つまたは2つの不織材料層および中間の接着剤層のみを有する。
【0013】
本発明はさらに、幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、特に結合材料、特に接着剤の間置によってこのフィルムに固定された少なくとも1つの不織材料層とを含む積層物に弾性を付与する装置において、それにより、第1のかみ合い機構と第2のかみ合い機構の間に積層物を通すために積層物を展開する手段を含み、第1および第2のかみ合い機構の歯は、積層物の展開面に実質的に垂直な方向に互いにかみ合う装置であって、展開された積層物に縦断方向の張力を与える手段が提供されていることを特徴とする装置に関する。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態によれば、張力を与える前記手段は、少なくとも1つのアイドラロール、特に第1および第2のかみ合い機構の上流および下流に配置された2つのロールによって構成されている。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態によれば、第1および第2のかみ合い機構の組はそれぞれ、歯付きロールによって構成されている。
【0016】
本発明はさらに、少なくとも1つ、好ましくは2つの不織材料層と、幅を有し、特に結合材料、特に接着剤の間置によって前記少なくとも1つの層に固定され、特に前記2つの不織材料層間に挟み込まれた、少なくとも1枚の弾性フィルムとを含む積層物であって、それにより、積層物は、横断面において、前記幅の中に、前記幅に等しいかまたはそれよりも狭い、前記積層物が活性化された活性化された幅(その弾性は実質的にゼロでなく、すなわち積層物単独のそれよりも大きい)を有し、それによって、前記活性化された幅は、左領域と右領域とを有し、それにより、特に10ニュートンでの伸び試験によって測定された前記積層物の弾性は、前記左領域の少なくとも一部分にわたって、前記活性化された幅の左端から増大し、前記右領域の少なくとも一部分にわたって、前記活性化された幅の右端に向かって低下する積層物に関する。
【0017】
活性化された幅において実質的に一定または一様の弾性を有する従来技術の積層物とは違い、本発明に基づく積層物は、前記幅の端部分よりも中心に向かってより大きな弾性を有する。弾性のこの傾き(または変動)、および、特に、弾性が端でより小さいことは、使用中、特に用便練習用パンツにおいて、積層物が、使用中および使用者がおむつを閉じるたびに、使用者によって実施される多数の連続する引伸し動作の影響の下で、不織材料とエラストマーの間の界面の外縁で互いから剥がれにくいことを意味する。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態によれば、前記10ニュートンでの伸び試験によって測定された弾性(伸び(%))を、測定点から前記活性化された幅の左端までの距離(mm)の関数として再現した曲線は、前記増大部分または左領域のそれぞれの測定点において、50%/mm未満、好ましくは25%/mm未満、より好ましくは20%/mm未満、例えば15%/mm未満、例えば50から5の間、例えば25から5の間、特に15から5の間の実質的にゼロでない傾きを示す。
【0019】
好ましい一実施形態によれば、前記積層物は、それぞれが幅を有する少なくとも2枚の弾性フィルムを含み、右の活性化された幅の弾性曲線は、左の活性化された幅の弾性曲線と鏡面対称であり、特に、左の活性化された幅の右側低下部分における弾性曲線の傾き(絶対値)は、左の活性化された幅の左側増大部分のそれに等しいかまたはそれよりも小さく、特に20未満、特に12未満、特に10未満、特に7未満である。
【0020】
前記弾性曲線は、前記積層物の前記幅の実質的に中央である測定点において最大値を有することが好ましい。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態が図面に示されているが、それらの図は単に例として与えられたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1の装置は、エラストマーフィルムの2つのウェブ201、202を押出しによって形成する2つの押出機101、102を含み、2つのウェブ201、202は、中間冷却ユニット2000で冷却された後に、温度調節されたベルト203とアイドラ204との系によって、2つのロールへ送られ、これらの2つのロールは、これらと同時に、2つの不織材料層301および401を受け取り、2つの不織材料層301および401は、固定ユニット500において不織材料間の接着剤501によって固定され、それにより、弾性フィルムがない部分では不織材料どうしが接着剤501によって互いに貼り合わされる。不織材料301はリール302から引き出される。第2の不織材料401はリール402から引き出される。不織材料301および401と弾性フィルム201、202とによって構成された複合物、すなわち複合物601は次いで、円形ナイフ701を含む幅裁断システム700において正しい幅に裁断され、複合物601は、縦断方向の縁のソルダリングを可能にするソルダリングユニット800に入る。不織材料は最終的に、不織材料を破壊する目的で、活性化ユニット900において活性化される。活性化ユニット900は、歯902を有する第1のロール901と、歯904を有する第2のロール903とを含む。かみ合い機構901の歯は、かみ合い機構904の歯とかみ合う。
【0023】
活性化ユニット900の入口には張力調節アイドラロール1000が配置されており、活性化中の積層物の縦断方向の張力を一定に保つような方法で回転している歯付き活性化ロールの1つを駆動するモータと協力して機能する。
【0024】
歯付きロールの展開速度に対するロール1000の相対的な展開速度は、複合物601が、その移動中に、特に複合物601がかみ合い機構間にあるときに、縦断方向の張力を受けるような速度である。
【0025】
この縦断方向の張力は、(すなわちエラストマーと少なくとも1つの不織材料層の間に界面がある積層物の)幅10mm、100g/m2の活性化させる前記幅の積層物に対して、少なくとも1ニュートン(N)に調節され、この張力は、好ましくは少なくとも2N/10mm/100g/m2、より好ましくは少なくとも2.5、例えば1.2から8の間、特に2から5の間、例えば2.6である。
【0026】
幅10mm、100g/m2の単独の不織材料層に対して、少なくとも0.64ニュートン(N)の不織材料の張力を与えることも可能であり、この張力は、好ましくは少なくとも0.9N/10mm/100g/m2(不織材料)、より好ましくは少なくとも1.2、例えば0.65から3の間、特に1から2の間、例えば1.3である。
【0027】
弾性材料は、熱収縮特性を有し、または熱収縮特性を持たない。弾性材料は、特に、様々なタイプの単量体パターンの共重合体、例えば、交互共重合体、例えばA−B、またはシーケンス(sequence)共重合体、例えばA−A−A−B−B−B、または統計共重合体、例えばA−A−B−A−B−B−A−A−A−B−Aなどのポリマーから形成することができ、その得られるネットワーク全体も、A−B−A型の直鎖状構造、または(A−B)n型(n>2)のラジアル(radial)構造、またはA−B型のジブロック(diblock)構造など、様々な構造を有することができ、それらは、エラストマー、例えば共重合体スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)またはSIBSである。これらのエラストマー相互の混合物、またはこれらのエラストマーと弾性以外のある種の特性を変更する非エラストマーとの混合物も検討することができる。ベース材料のある種の特性(弾性、耐熱性、加工性、UV抵抗性、染料、...)を変更するために、好ましくは高分子量の、スチレンポリビニル、ポリスチレンまたはポリαメチルスチレン、エポキシポリエステル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、またはエチレン/ビニルのある種の酢酸エステルのなどのポリマーを、例えば最高50重量%、好ましくは30重量%未満加えることができる。
【0028】
弾性材料は特に、例えばKRATON D(登録商標)の名称でKraton Polymers社から、またはVECTOR SBC 4211(登録商標)の名称でDEXCO POLYMERS LP社から販売されているスチレン−イソプレン−スチレンとすることができる。ポリウレタンの熱可塑性エラストマー、特にDow Chemical Company社のPELLATHANE(登録商標)2102−75Aも使用することができる。スチレン−ブタジエン−スチレン、特にKraton Polymers社のKRATON D−2122(登録商標)またはDEXCO POLYMERS LP社のVECTOR SBC 4461(登録商標)も使用することができる。スチレン−エチレン/ブチレン、特にKraton Polymers社のKRATON G−2832(登録商標)、またはシーケンス(sequenced)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、特にKRATON(登録商標)G2703も使用することができる。単量体比90/10に従ったイソオクチルアクリラートとアクリル酸の共重合体も使用することができる。Arkema社のシーケンスポリアミドポリエーテル共重合体PEBAX(登録商標)2533も使用することができる。
【0029】
他の可能な材料は、エラストマーの特性を有するポリオレフィンポリマー、主にエチレンおよび/またはプロピレンの共重合体であり、特に、Exxon Mobil Chemical社から販売されているVISTAMAXX VM−1120(登録商標)、またはSantoprene型の荷電ポリマーEPDMなどの、メタロセン触媒反応に由来するものである。
【0030】
さらに、本発明によれば、非反応性ホットメルト接着剤、例えばBostick社のH2511、または反応性PU接着剤、特にBostick社のAX75Eなどの接着剤を使用することが可能である。これらの接着剤は、前述のエラストマーフィルムの化学的性質と同様の化学的性質を有することが好ましい。例えば、これらの接着剤の1つが、化学的官能性を識別するために赤外分光計によって、または物質を分離し定量するために液体クロマトグラフによって分析される場合、エラストマーフィルムの1種または数種の物質の1つまたは複数の成分あるいはそれらの誘導体の痕跡が見つけられることが好ましい。
【0031】
これらの接着剤は、ベースとしてSIS、SBS、SEBSおよびSEPSを有し、同様の化学物質を通してフィルムとの良好な親和性を可能にすることが好ましい。
【0032】
接着剤層の坪量は、好ましくは23g/m2未満、特に15g/m2未満、特に12g/m2未満、より好ましくは8g/m2未満である。
【0033】
不織材料に関しては、ポリプロピレン、ポリエステルおよびこの分野で通常使用されている他のすべての材料を使用することが可能である。不織材料の横断破損のための伸びを利用して、活性化の最大化を容易にすることも可能である。
【0034】
図7は、図1の装置を出た後に得られる積層物などの、活性化かみ合い機構を通過した後の積層物を示す。複合物601は、上不織材料層301および不織材料層401を含み、これらの間には、これらよりも幅の狭い2枚の弾性フィルム201および202が挟み込まれている。
【0035】
図3は、縦方向(X方向)を横切る方向の断面、すなわち図7の積層物が長さ方向に延びるY方向の断面を示す。この積層物は、幅の広い、例えばここでは幅170mmの2つの不織材料層301および401によって構成されている。これらの2つの不織材料層の間には、幅の狭い、例えば幅45から55mmの2枚のエラストマーフィルム201および202が挟み込まれている。2つの接着剤層501が、不織材料をそれぞれ、エラストマーフィルムの1つの面に固定し、エラストマーフィルムがないときには、不織材料をもう一方の不織材料に固定する。
【0036】
弾性フィルムに対して、これらの接着剤層は、互いからある距離を置いた互いに平行なストリップ(strip)の形態を有し、この距離はゼロでもよく、例えば0mmから2mmであり、一方、弾性フィルムがないところでは、接着剤層501は不織材料間で連続している。
【0037】
積層物の形成後、これらの2つの不織材料層は、活性化ロール間に通すことによって、少なくとも1枚のエラストマーフィルムの平面で、活性化される。すなわち、これらの2つのエラストマーの平面のところで、積層物が、エラストマーフィルムの弾性に実質的に対応する横断方向の弾性を有するようにある種の溝を横断方向に形成するため、これらの2つの不織材料の、少なくとも1枚のエラストマーフィルムを覆う部分が、選択的に、横方向(すなわち横断方向)に破壊される。
【0038】
この破壊を実現するため、積層物の上に載せることによって積層物を覆う弾性ストリップの適用によって、溝を形成する中心部分にそれを保持しつつ、積層物を通し、次いで、積層物の不織材料の繊維を互いから分離させるために、積層物およびそれと接触した弾性ストリップは引き伸ばされ、これによってそれらは歪み、この引伸しの間に不織材料、弾性フィルムおよび弾性ストリップを破壊する。この歪みが完了した後、弾性フィルムおよび弾性ストリップは、それらの歪みのない最初の状態に戻り、不織材料は永久に破壊されたままになる。
【0039】
分離(繊維の互いからの脱結合)の後、不織材料の繊維は、接着剤のストリップのところで再群集して、不織材料の小丘(montilule)を形成する傾向がある。一方、接着剤のストリップとストリップの間では、不織材料の繊維が、この破壊により、より希薄化し、よりまばらになる。したがって、不織材料の厚さが、(接着剤のない)中間ゾーンよりも厚く、または、可能性として、極端なケースでは不織材料が一切ないゾーン(接着剤のストリップにおいて)が生じる。積層物が引き伸ばされていない状態では、最大厚さのゾーン(の横断方向に平行なそれらの縁)が互いに側方に接触し、積層物が引き伸ばされると、最大厚さのゾーンは互いに距離をとり、それにより、不織材料のない、または不織材料が相対的に薄い中間ゾーンが出現する。
【0040】
積層物が単一の弾性フィルム203だけを有するケースを示す図6では、中心領域30の少なくとも1つのゾーン(特に中心領域全体)が、端領域31および32のエリアで測定されたこれらの端領域の弾性よりも大きな、具体的には10%、例えば20%大きな弾性を有する。
【0041】
図7では、2つの中心領域30の少なくとも1つのゾーン(特に中心領域全体)が、端領域40、41、42および43のエリアで測定されたこれらの端領域の弾性よりも大きな、具体的には10%、例えば20%大きな弾性を有する。
【0042】
図5では、互いから間隔を置いて配置された接着剤のストリップ501および不織材料301が、(破壊前の不織材料の厚さに比べて)相対的に厚いゾーン22、および積層物が引き伸ばされたときによりはっきりと出現する(破壊前の不織材料の厚さに比べて)相対的に薄いゾーン23を含む。
【0043】
弾性フィルムは、不織材料層上への配置方向に垂直な幅lを有する。弾性フィルムは、不織材料301の側に、平らな表面を有する。縦断面では、この表面が直線の形態をとる。弾性フィルムの材料の中に不織材料の繊維は侵入せず、繊維はすべてこの直線の同じ側にあり、これは、縦断面の如何にかかわらずそうである。
【0044】
図6の積層物の場合、積層物の左側の領域31の弾性は、積層物の前記活性化された幅lの左端33から、この前記幅の中央34に向かって増大する。右側の領域32の弾性は、中央34から右端35に向かって低下する。弾性は、10ニュートンでの伸び試験によって測定することができ、弾性については後述する。
【0045】
図8に示すように、弾性は0.21未満の傾きを有し、前記幅の中心に関して実質的に対称である。
【0046】
図7の積層物の場合、積層物の第1の活性化された幅l1は、弾性が左端36から中央37に向かって増大する左側の領域40と、弾性が中央37から右端38に向かって低下する右側の領域41とを有する。図9に示されているように、左端の傾き(絶対値)は右端の傾きよりも大きい。左端の傾きは0.21未満であり、右端のそれは0.1未満である。
【0047】
積層物の第2の活性化された幅l2は、弾性が左端39から中央44に向かって増大する左側の領域42と、弾性が中央44から右端45に向かって低下する右側の領域43とを有する。図9に示されているように、左端の傾き(絶対値)は右端の傾きよりも大きい。左端の傾きは0.21未満であり、右端のそれは0.1未満である。これらの活性化された2つの幅の弾性曲線は鏡面対称である。
【0048】
中央と比較して端の弾性が低いことは、この積層物が、不織材料とエラストマーの間の結合が剥がれることに対してより抵抗性があることを意味し、特に、この積層物は、弾性が実質的に均一である従来技術の積層物の場合よりもはるかに多くの回数の横方向の引伸し動作(使用者、特に用便練習用パンツの使用者が、本発明の積層物に基づいて実現された閉じタブを引き伸ばすことによって用便練習用パンツを閉じるときに、おしめが、乳児の体の輪郭に弾力的によく適合することを保証するために、使用者によって実施される)の後に初めて互いから剥がれる。その結果、本発明によれば、積層物の縦断方向の縁33、35、36、38、39、45に沿ったソルダ線の提供を省き、またはより低い付着力を有する接着剤を提供することができる。しかし、剥離に対してよりいっそう大きな抵抗性を有する積層物を得るために、本発明の保護の範囲を逸脱することなく、このようなソルダ線または付着力の大きい接着剤を常に提供することを選択することもできることは明白である。
【0049】
10Nでの伸び試験によって弾性を測定し、弾性曲線(図8および9)を得るために、活性化後に、例えば活性化後の幅45mm、長さ45mmの主試料が1つ採取され、次いで、弾性を測定する点を中心に持ち、それぞれ例えば幅5mm、長さ45mmのストリップの形態を有する9つの測定試料が形成される。それぞれの測定試料は、周囲温度23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%、常気圧において、ジョー(jaw)を有するダイナモメータ(dynamometer)(特に下に示されるもの)の助けによって、引き伸ばされていないその最初の長さから、10Nの力で引き伸ばされる。得られる伸びはパーセンテージとして測定される。測定を複数回(少なくとも3回)実施するために、2つのまたは3つの主試料を採取することが好ましく、図8または9のグラフに示されたそれぞれの弾性値に関しては平均値がとられる。
【0050】
それぞれの測定点で、その測定点における弾性曲線の傾き(必ずしも正ではなく、また、水平は傾きを持たない)が、測定試料の幅寸法(連続した2つの測定点間の距離)に対する、その測定点で測定された弾性値と直前の測定点で測定された弾性値の差の比として計算される。
【0051】
このように、例えば、以下の試験によって積層物のレマネンス(remanence)を決定する際に、積層物の弾性を測定することが可能である。
【0052】
試料は、ASTDM 5170規格に定義されたものなどの常気圧、温度23℃+/−2℃、相対湿度50%+/−5%の条件に調節される。
【0053】
使用されるダイナモメータ装置はEN 10002規格に基づき、特には、MTS Systems Corp.社(米)から販売されているSynergie 200、1カラム、およびユーティライゼーションソフトウェアTESTWORKS4.04Bである。
【0054】
試料は、弾性製品(例えば本発明の積層物)をカッタまたは鋏で切断して、縦方向(MD)(図3の平面に垂直)の幅45mm、横方向(CD)(図3水平方向)の長さ60mmの試料にすることによって調製される。
【0055】
図3では概略的に示されているような試験対象の弾性ゾーンのそれぞれの側の2重面でジョーを固定することによってジョー間の試料のすべりおよび破損の開始を防ぐために、(すべり止めの)補強物、例えば不織材料層が配置される。
パラメータは次の通りに選択される:
ジョー間距離:20mm
機械速度:254mm/分
サイクル数:2
製品の伸び:定速で100%
【0056】
下ジョーを固定し、上ジョーの垂直変位によって、製品を100%引き伸ばし、次いで、製品をその位置で30秒間保持し、次いで、一定の速度で初期位置に戻し、そこで60秒間保持し(最初のサイクルの終わり)、次いで、製品を再び100%引き伸ばし、30秒間保持し、次いで初期位置に戻す(2回目のサイクルの終わり)。このようにして、伸び(%)の関数として引伸し力を与える曲線が得られる。これは、以下の計算式によってSETを決定することを可能にするヒステリシスを示す。
SET=L1−L10
【0057】
上式で、
L0:試験の開始時、すなわち最初のサイクルの開始時におけるX軸との交点(伸び(%))
L1:元の位置へ戻り、60秒待った後の2回目のサイクルの開始時におけるX軸との交点(伸び(%))
積層物が得られたら、次いでこれを活性化にかける。すなわち、弾力性のない2枚の不織材料間に閉じ込められた弾性フィルムの弾性能力を解放させる。
【0058】
本発明の場合、活性化後の不織材料の外観は、フィルムの幅およびその弾性特性と同じく、ほとんど変化しなかった。特に、不織材料は触感がよりソフトであり、おむつの着用者の皮膚をあまり刺激しない。
【0059】
不織材料は、ウェブとして配置された布地繊維の、織りまたは編みを除く、機械的および/または化学的および/または熱的結合によって得られた布地表面である(非特許文献1参照)。
【0060】
このように、不織材料は、機械的圧密によって、結合材料との混合によって、または不織材料の部分的な融解によって互いに結びつけられた、小さな寸法の繊維の集合体である。活性化するために本発明に従って不織材料を引き伸ばすと、互いに密集したこれらの小さな繊維は分離し、互いにばらばらになる。この分離は不織材料の破壊を含む。これらの繊維は必ずしも引き伸ばされるわけではなく、それらのサイズを考慮して、それらは一般に引き伸ばされない。繊維を引き伸ばす場合には、いわゆる「インクリメンタル(incremental)」活性化システムを使用することができる。しかし、このシステムは、互いにかみ合う歯付きロールを有する複雑な装置を必要とし、本発明によればこれを省略することができる。
【0061】
本発明において、用語フィルムまたは弾性積層物は、それらの最初の幅の100%の引伸しに対して、直前の試験から、15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満のレマネンスまたはSETを有するフィルムまたは積層物であると理解される。
【0062】
弾性材料は、弾性であるその材料だけによって構成されたフィルムなどの材料であると理解される。弾性は、それに対する負荷を除いた後にその最初の形状を取り戻す物体の物理的特性である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に基づく装置の透視図である。
【図2】図1の装置の図式化された1つの部分の断面図である。
【図3】図1および2の装置に実装された方法によって得られた、2枚の弾性フィルムを有する複合物の概略図である。
【図4】引き伸ばされていない状態の図3の複合物の一部分の断面図である。
【図5】引き伸ばされた状態の図4の複合物の一部分の断面図である。
【図6】図3の複合物に類似した複合物の断面図である。
【図7】図3の複合物の図6に対応する図である。
【図8】本発明に基づく積層物のある幅における幅方向に沿った弾性の変動を示す曲線を再現したグラフの、図6の積層物の場合の一例を示す図である。
【図9】本発明に基づく積層物のある幅における幅方向に沿った弾性の変動を示す曲線を再現したグラフの、図7の積層物の場合の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ、好ましくは2つの不織材料層(301、401)と、幅(l1、l2)を有し、特に結合材料、特に接着剤の間置によって前記少なくとも1つの層に固定され、特に前記2つの不織材料層間に挟み込まれた、少なくとも1枚の弾性フィルム(201、202、203)とを含む積層物であって、それにより、前記積層物は、横断面において、前記幅の中に、前記幅に等しいかまたはそれよりも狭い、前記積層物が活性化された活性化された幅を有し、それにより、前記活性化された幅は、左領域(31、40、42)と右領域(32、41、43)とを有し、特に10ニュートンでの伸び試験によって測定された前記積層物の弾性は、前記左領域の少なくとも一部分にわたって、前記活性化された幅の左端(33、36、39)から増大し、前記右領域の少なくとも一部分にわたって、前記活性化された幅の右端(35、38、45)に向かって低下することを特徴とする積層物。
【請求項2】
前記10ニュートンでの伸び試験によって測定された弾性(伸び(%))を、測定点から前記活性化された幅の左端までの距離(mm)の関数として再現した曲線は、前記増大部分または左領域のそれぞれの測定点において、50%/mm未満、好ましくは25%/mm未満、より好ましくは20%/mm未満、例えば15%/mm未満、例えば50から5の間、例えば25から5の間、特に15から5の間の傾きを示すことを特徴とする請求項1に記載の積層物。
【請求項3】
左右の活性化された幅をそれぞれ有する少なくとも2枚の左右の弾性フィルムを含み、それにより、前記右の活性化された幅の弾性曲線は、前記左の活性化された幅の弾性曲線と鏡面対称であり、前記左の活性化された幅の前記右側低下部分における弾性曲線の傾き(絶対値)は、前記左の活性化された幅の前記左側増大部分のそれに等しいかまたはそれよりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の積層物。
【請求項4】
前記左の活性化された幅の前記右側低下部分(41)の弾性は、20未満、特に12未満、特に10未満、特に7未満であることを特徴とする請求項3に記載の積層物。
【請求項5】
前記弾性曲線は、前記積層物の前記活性化された幅の実質的に中央(34、37、44)の測定点において最大値を有することを特徴とする請求項1から4の一項に記載の積層物。
【請求項6】
幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、特に結合材料、特に接着剤の間置によって前記フィルムに固定された少なくとも1つの不織材料層とを含む積層物に弾性を付与する方法において、
2組のかみ合い機構間に前記積層物を通すために、前記積層物がウェブの形態に展開されるステップを含み、前記2組のかみ合い機構の歯が、前記積層物をその幅の方向に引き伸ばすために、前記積層物の平面に垂直な方向に互いにかみ合う方法であって、
前記歯間での展開の間に、前記ウェブに、縦断方向または縦方向の張力が与えられるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
幅10mm、100g/m2の活性化させる積層物に、少なくとも1ニュートン(N)の張力が与えられ、それにより、前記張力は、好ましくは少なくとも2N/10mm/100g/m2、より好ましくは少なくとも2.5、例えば1.2から8の間、特に2から5の間、例えば2.6である
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
幅10mm、100g/m2の不織材料層に、少なくとも0.64ニュートン(N)の張力が加えられ、それにより、前記張力は、好ましくは少なくとも0.9N/10mm/100gm2(不織材料)、より好ましくは少なくとも1.2、例えば0.65から3の間、特に1から2の間、例えば1.3である
ことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
幅を有する少なくとも1枚の弾性フィルムと、特に結合材料、特に接着剤の間置によって前記フィルムに固定された少なくとも1つの不織材料層とを含む積層物に弾性を付与する装置であって、第1のかみ合い機構と第2のかみ合い機構の間に前記積層物を通すために前記積層物を展開する手段を含み、前記第1および第2のかみ合い機構の歯は、前記積層物の展開面に実質的に垂直な方向に互いにかみ合う装置において、展開された積層物に縦断方向の張力を与える手段が提供されていることを特徴とする装置。
【請求項10】
張力を与える前記手段は、少なくとも1つのアイドラロール、特に前記第1および第2のかみ合い機構の上流および下流の2つのアイドラロールによって構成されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−307898(P2007−307898A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−117274(P2007−117274)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(596170996)
【氏名又は名称原語表記】APLIX
【Fターム(参考)】