説明

不良要因検知装置および不良要因検知方法

【課題】製造工程で生じた外観不良の要因を容易かつ高速に特定することができる不良要因検知方法を提供する。
【解決手段】不良要因検知装置114は、製品の製造後の検査で当該製品の外観から見付けられた不良に関するデータを含む検査結果情報をもとに、当該製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、外観不良を有するエリアである不良エリアを特定し、当該製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データから、不良エリアに関する映像部分を不良要因映像として抽出し、不良要因映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、大型家電製品、自動車などのような大型製品の製造工程、特に、ライン生産を主とする製造工程で生じる傷や汚れなどの外観不良の要因を検知する装置と、その方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大型製品の製造工程では、ライン生産が主流である。ライン生産では、複数の作業員によって、搬送コンベア上を流れる作業対象物に対して、部品の取り付け作業が行われる。部品の取り付け作業が完了した作業対象物(以下、製品と呼称する。)については、検査員によって、製品検査が行われ、傷や汚れなど(以下、外観不良と呼称する。)が検出される。その後、外観不良が検出された製品については、修理員によって、外観不良の確認と修理が行われる。ただし、このときに、製品から、外観不良の確認ができても、外観不良の原因を究明することは困難である。
【0003】
そこで、作業対象物に対してどのような作業をしていたかを確認するために、製造工程での作業を、常時、映像に記録することが行われている。このとき、特許文献1で開示されている技術を用いることで、目視による確認が容易になる。ここで、特許文献1では、物体の個別識別が困難な場面を特定し、特定した場面の表示速度を変更したり、拡大表示したりして、映像内の物体の個別識別を容易にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−042139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、目視による確認が容易になっても、外観不良の要因を特定するために、該当製品の作業映像を、作業開始から作業終了まで、一通り目視で確認する必要がある。さらに、作業工程が複数になれば、外観不良が生じた作業工程と、外観不良の要因とを特定するまでに、非常に多くの時間を要する。また、作業員が、頻繁に、映像に映っていると、作業員に遮られて、製品に対する接触の有無が映像から判断しづらくなり、不良要因の特定までには至らない場合がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みて、製造工程で生じた外観不良の要因を容易かつ高速に特定することができる装置と、その方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係わる不良要因検知装置では、下記に示す特徴を備える。
本発明に係わる不良要因検知装置では、製造時に製品の外観に生じた不良の要因を検知する不良要因検知装置であって、製品の製造後の検査で当該製品の外観から見付けられた不良に関するデータを含む検査結果情報を記憶する検査結果情報記憶部と、当該製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データを記憶する作業映像記憶部と、前記検査結果情報をもとに、当該製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、外観不良を有するエリアである不良エリアを特定し、前記作業映像データから、前記不良エリアに関する映像部分を不良要因映像として抽出する映像抽出部と、前記不良要因映像を表示する映像表示部とを備える。
【0008】
なお、本発明は、不良要因検知装置として実現される以外に、下記に示す不良要因検知方法として実現されるとしてもよい。
本発明に係わる不良要因検知方法では、製造時に製品の外観に生じた不良の要因を検知する不良要因検知方法であって、製品の製造後の検査で当該製品の外観から見付けられた不良に関するデータを含む検査結果情報をもとに、当該製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、外観不良を有するエリアである不良エリアを特定し、当該製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データから、前記不良エリアに関する映像部分を不良要因映像として抽出し、前記不良要因映像を表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膨大な作業映像データから、外観不良の要因の特定に結びつく作業映像のみを抽出することができる。これによって、外観不良の要因を、容易かつ高速に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態における製造ラインの概要を示す図
【図2】(A)作業映像データベースのデータ構造を示す図、(B)通過履歴データベースのデータ構造を示す図、(C)検査結果データベースのデータ構造を示す図
【図3】作業確認用カメラと接触確認用カメラの各配置を示す図
【図4】作業確認用カメラの映像例を示す図
【図5】接触確認用カメラの映像例を示す図
【図6】製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの概要を示す図
【図7】不良要因検知装置の構成を示す図
【図8】不良要因検知装置の動作を示す図
【図9】接触確認用カメラの代わりに、レーザセンサを利用した変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
以下、本発明に係わる実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<概要>
本実施の形態に係わる不良要因検知装置では、製造時に製品の外観に生じた不良の要因を検知する装置であって、製品の製造後の検査で製品の外観から見付けられた不良に関するデータを含む検査結果情報をもとに、製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、外観不良を有するエリアである不良エリアを特定し、製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データから、不良エリアに関する映像部分を不良要因映像として抽出し、不良要因映像を表示する。
【0012】
ここでは、一例として、図1に示すように、製造ライン1で冷蔵庫(大型製品)をライン生産する場合について説明する。具体的には、作業対象の冷蔵庫(以下、作業対象物と呼称する。)、検査対象の冷蔵庫(以下、検査対象物と呼称する。)、修理対象の冷蔵庫(以下、修理対象物と呼称する。)などが、搬送コンベア5上に載せられて、組立工程10、検査工程20、修理工程30に、一定のタクトで、搬送される。
【0013】
<組立工程10>
組立工程10では、作業工程ごとに、作業員11が配置されている。各作業員11によって、搬送コンベア5上を流れる作業対象物12にドアや内装部品などが取り付けられる。これらの作業員11によって、作業対象物12が冷蔵庫に組み立てられる。冷蔵庫に組み立てられたものは、検査対象物として、搬送コンベア5で検査工程20に搬送される。
【0014】
<検査工程20>
検査工程20では、検査員21によって、組立工程10から搬送された検査対象物22が検査される。このとき、検査対象物22の外観に傷や汚れなどの不良(以下、外観不良と呼称する。)も検査される。外観不良が有る検査対象物22は、修理対象物として、搬送コンベア5で修理工程30に搬送される。
【0015】
<修理工程30>
修理工程30では、修理員31によって、検査工程20から搬送された冷蔵庫(修理対象物32)の外観不良の場所と内容が確認される。さらに、修理可能なものは、修理員31によって、修理される。
【0016】
<作業映像>
また、組立工程10では、作業工程ごとに、作業確認用カメラ101と接触確認用カメラ102とが設置されている。作業確認用カメラ101と接触確認用カメラ102とによって、搬送コンベア5上の作業対象物12が常時撮影される。作業確認用カメラ101で撮影されて得られた映像データ(以下、作業確認映像と呼称する。)は、作業映像データベース111に蓄積される。接触確認用カメラ102で撮影されて得られた映像データ(以下、接触確認映像と呼称する。)は、作業映像データベース111に蓄積される。さらに、図2(A)に示すように、タイムスタンプ(撮影開始時刻または撮影終了時刻)と対応付けて、作業工程ごとに、作業確認映像のファイル名と接触確認映像のファイル名とが、セットで、作業映像データベース111に登録される(データ構造121)。
【0017】
例えば、図3に示すように、作業対象物12の側面方向(搬送方向)から見て、作業員11が、作業対象物12の前面側(作業面側)に対して作業を行うとする。この作業工程では、作業対象物12の前面側の斜め上方に作業確認用カメラ101が設置されている。作業対象物12の前面側の真上に接触確認用カメラ102が設置されている。作業確認用カメラ101によって、斜め上方から作業対象物12の前面が撮影される。同時に、接触確認用カメラ102によって、真上から作業対象物12の前面付近が撮影される。これによって、図4に示すように、作業確認映像から、作業員11の作業を確認することができる。図5に示すように、接触確認映像から、作業対象物12に対する作業員11の接触を確認することができる。
【0018】
なお、図3に示すように、カメラC1のように、真横から作業対象物12の前面を撮影すると、作業員11が常に映り込む可能性が高い。このため、作業確認用カメラ101は、映像に映り込みが少ない斜め上方に設置されている。
【0019】
<通過履歴情報>
また、図1に示すように、作業対象物12には、個体識別情報であるバーコード105が貼付されている。組立工程10では、各作業工程の開始ポイントと終了ポイント(次の作業工程の開始ポイント)とにバーコードリーダ106が設置されている。図2(B)に示すように、作業対象物12が各バーコードリーダ106を通過した時間(各作業工程の開始時刻と終了時刻)が、通過履歴情報として、通過履歴データベース112に登録される(データ構造122)。
【0020】
また、図1に示すように、検査工程20では、終了ポイントにバーコードリーダ107が設置されている。図2(B)に示すように、検査対象物22がバーコードリーダ107を通過した時間(検査工程20の終了時刻)も、通過履歴情報として、通過履歴データベース112に登録される(データ構造122)。
【0021】
<検査結果情報>
また、検査工程20では、検査対象物22の外観に傷や汚れなどの不良が有れば、その場所と内容を含むデータが、検査結果情報として、検査結果データベース113に登録される。ここでは、図6に示すように、ドア部品を基準に、検査対象物22の前面全体が、36のエリアに分割されている。上から順に、”A”〜”I”、左から順に、”1”〜”4”が、各エリアに割り当てられている。例えば、製品上部のエリアA−3に汚れが有るとする。また、エリアB−3,B−4のように、複数のエリアにまたがって傷が有るとする。この場合において、図2(C)に示すように、エリアA−3,B−3,B−4に、傷や汚れなどの不良が有ることを示す検査結果情報が、検査結果データベース113に登録される(データ構造123)。
【0022】
なお、以下、外観不良が有るエリアを不良エリアと呼称する。
なお、検査員21の代わりに、画像認識機能を有する装置で、製品の外観検査が実施されるとしてもよい。この場合において、その実施結果が、検査結果情報として検査結果データベース113に登録される。
【0023】
<不良要因検知装置114>
また、修理工程30では、図7に示すように、不良要因検知装置114に接続されているバーコードリーダ116によって、修理対象物32に貼付されているバーコード105が個体識別情報として読み取られる。作業工程で外観不良が生じた場合には、不良要因検知装置114に接続されているモニタ117に、そのときの映像が不良要因映像として表示される。
【0024】
なお、傷や汚れなどの外観不良は、組立作業前から部品自体にある場合と、組立作業中に生じる場合がある。不良要因検知装置114は、作業中に、作業対象物12以外の物体が不良エリアに接触しなかったら、前者の場合と判定する。作業中に、作業対象物12以外の物体が不良エリアに接触したら、後者の場合と判定する。
【0025】
<構成>
次に、不良要因検知装置114の構成について説明する。
ここでは、一例として、不良要因検知装置114は、個体識別情報受付部141、通過履歴情報取得部142、作業映像取得部143、作業映像記憶部144、検査結果情報取得部145、検査結果情報記憶部146、不良要因映像抽出部147、不良要因映像記憶部148、不良要因映像表示部149を備える。
【0026】
個体識別情報受付部141は、バーコードリーダ116を介して、外観不良を有する製品の個体識別情報を受け付ける。ここで、外観不良を有する製品とは、修理対象物32である。個体識別情報とは、修理対象物32に貼付されているバーコード105によって特定される情報である。
【0027】
通過履歴情報取得部142は、個体識別情報受付部141で受け付けられた個体識別情報をもとに、通過履歴データベース112から、通過履歴情報を取得する。ここで、通過履歴情報とは、各作業工程の開始時刻と終了時刻とを含む情報である。
【0028】
作業映像取得部143は、通過履歴情報取得部142で取得された通過履歴情報をもとに、作業映像データベース111から、修理対象物32の各作業工程の作業映像データを取得する。ここで、作業映像データは、作業確認映像と接触確認映像との各映像データのセットである。
【0029】
作業映像記憶部144は、作業映像取得部143で取得された各作業工程の作業映像データを一時的に記憶する。
検査結果情報取得部145は、個体識別情報受付部141で受け付けられた個体識別情報をもとに、検査結果データベース113から、当該製品の検査結果情報を取得する。ここで、検査結果情報とは、当該製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、不良エリアを特定することができるデータを含む情報である。不良エリアとは、外観不良を有するエリアである。
【0030】
検査結果情報記憶部146は、検査結果情報取得部145で取得された検査結果情報を一時的に記憶する。
不良要因映像抽出部147は、作業確認映像を画像解析して、製品以外の物体が不良エリアに映り込んでいるか否かを判定する機能を有する。さらに、接触確認映像を画像解析して、製品以外の物体が製品に接触したか否かを判定する機能を有する。そして、作業映像取得部143で作業映像データの取得が終わると、検査結果情報記憶部146に記憶されている検査結果情報から、全不良エリアを特定する。特定した全不良エリアに対して、作業映像記憶部144に記憶されている各作業工程の作業確認映像と接触確認映像とから、作業工程で当該外観不良が生じた際の映像部分を不良要因映像として抽出する。また、全作業工程で当該外観不良が生じなかった場合には、当該外観不良が作業工程で生じたものでないことを示すメッセージを不良要因映像表示部149に送る。
【0031】
不良要因映像記憶部148は、不良要因映像抽出部147で抽出された不良要因映像を一時的に記憶する。
不良要因映像表示部149は、不良要因映像抽出部147で不良要因映像の抽出が終わると、不良要因映像記憶部148に記憶されている不良要因映像を、モニタ117を介して、表示する。また、不良要因映像抽出部147から送られたメッセージも、モニタ117を介して、表示する。
【0032】
なお、不良要因検知装置114は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを備えるハードウェアである。また、不良要因検知装置114は、ネットワーク(不図示)を介して、作業映像データベース111、通過履歴データベース112、検査結果データベース113にアクセス可能である。さらに、不良要因検知装置114に、バーコードリーダ116、モニタ117などが接続されている。
【0033】
さらに、不良要因検知装置114は、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Silicon Disk Drive)などの記憶装置を備える。この記憶装置に、不良要因検知装置114、バーコードリーダ116、モニタ117などを制御するプログラム、画像処理プログラム、データベース検索プログラム、不良要因検知プログラムなどがインストールされている。これらのプログラムが実行されることによって、不良要因検知装置114の各機能が実現される。
【0034】
なお、不良要因検知装置114は、各作業工程の作業確認用カメラ101と接触確認用カメラ102、複数のバーコードリーダ106、バーコードリーダ107、作業映像データベース111、通過履歴データベース112、検査結果データベース113、バーコードリーダ116、モニタ117を含むとしてもよい。
【0035】
<動作>
次に、不良要因検知装置114の動作について説明する。
図8に示すように、不良要因検知装置114は、バーコードリーダ116を介して、製品の個体識別情報を受け付ける(S1)。受け付けた個体識別情報をもとに、通過履歴データベース112から、当該製品の通過履歴情報を取得する(S2)。取得した通過履歴情報をもとに、作業映像データベース111から、当該製品の各作業工程の作業映像データを取得する(S3)。
【0036】
次に、不良要因検知装置114は、受け付けた個体識別情報をもとに、検査結果データベース113から、当該製品の検査結果情報を取得する(S4)。取得した検査結果情報から、エリアごとに外観不良が有るか否かを判定しながら、全不良エリアを特定する(S5)。
【0037】
次に、不良要因検知装置114は、各不良エリアに対して、下記の処理を実行する(S6)。まず、取得した各作業工程の作業確認映像を画像解析して、不良エリアに製品以外の物体が映り込んでいるか否かを判定する(S7)。判定した結果、製品以外の物体が映り込んでいる場合には(S7:YES)、取得した各作業工程の作業確認映像から、このときの映像部分(以下、作業確認映像部分と呼称する。)を抽出する(S8)。さらに、取得した各作業工程の接触確認映像から、このときの映像部分(以下、接触確認映像部分と呼称する。)を抽出する(S9)。次に、抽出した接触確認映像部分を画像解析して、当該物体が製品に接触したか否かを判定する(S10)。判定した結果、当該物体が製品に接触した場合には(S10:YES)、このときの作業確認映像部分と接触確認映像部分とを不良要因映像として記憶する(S11)。
【0038】
そして、不良要因検知装置114は、各不良エリアに対して、上記の処理を実行すると、抽出した不良要因映像を、モニタ117を介して、表示する(S12)。
なお、不良要因検知装置114は、製品以外の物体が映り込んでいない場合には(S7:NO)、当該不良エリアの不良要因が作業工程で生じたものでないことを、モニタ117を介して、表示する(S13)。同様に、当該物体が製品に接触しなかった場合にも(S10:NO)、当該不良エリアの不良要因が作業工程で生じたものでないことを、モニタ117を介して、表示する(S13)。
【0039】
<まとめ>
以上、本実施の形態によれば、各作業工程の作業映像データ(作業確認映像と接触確認映像)から、製品の不良エリアに関連した映像部分が不良要因映像として抽出される。抽出された不良要因映像のみが表示される。これによって、製品の全作業工程の作業映像が表示されることなく、必要最低限の時間と労力で、不良要因を確認することができる。例えば、作業中に不良が生じた製品の全作業工程の作業映像を目視で確認すると、1時間程度掛かるとする。この場合において、本実施の形態では、その不良に関連する作業映像のみが表示されるので、5分程度で不良要因を確認することができる。不良要因の究明、早期不良対策に活用することができる。
【0040】
<その他>
なお、ここでは、作業工程ごとに、1台の作業確認用カメラ101と1台の接触確認用カメラ102とが設置されている。しかしながら、作業工程ごとに、複数台の作業確認用カメラ101が設置されているとしてもよいし、複数台の接触確認用カメラ102が設置されているとしてもよい。これによって、複数の方向から作業対象物12を撮影することができ、様々なアングルの映像を記録することができる。これに伴い、不良要因映像を抽出する際の判定制度の向上が見込める。
【0041】
なお、図9に示すように、作業対象物12の前面に対する接触有無を判定するために、接触確認用カメラ102の代わりに、レーザセンサ202が設置されているとしてもよい。この場合において、作業対象物12の前面付近の検出対象領域が、1台のレーザセンサ202で走査されるとしてもよいし、複数台のレーザセンサ202で走査されるとしてもよい。
【0042】
具体的には、側面方向から見て、作業対象物12の前面側の真上と真下に、レーザセンサ202の照射ユニットと受光ユニットとが個別に設置されている。照射ユニットから作業対象物12の前面付近にレーザ光が照射される。照射されたレーザ光がレーザセンサ202の受光ユニットで受光される。レーザ光が照射中に、物体がレーザ光を遮ると、レーザ光が遮られたことが受光ユニットで検出される。接触確認映像のファイル名と接触確認映像のタイムスタンプの代わりに、その時の時刻が、受光ユニットから、作業映像データベース111に登録される。
【0043】
また、作業対象物12の側面側にも、レーザセンサ202が設置されているとしてもよい。これによって、作業対象物12の前面と側面とに対する接触有無を判定することができる。接触確認用カメラ102を、作業対象物12の前面側の真上と側面側の真上とのそれぞれに設置した場合と同様の効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、大型家電製品、自動車などのような大型製品の製造工程、特に、ライン生産を主とする製造工程で生じる傷や汚れなどの外観不良の要因を検知する方法と、その装置などとして、利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 製造ライン
5 搬送コンベア
10 組立工程
11 作業員
12 作業対象物
20 検査工程
21 検査員
22 検査対象物
30 修理工程
31 修理員
32 修理対象物
101 作業確認用カメラ
102 接触確認用カメラ
105 バーコード
106,107 バーコードリーダ
111 作業映像データベース
112 通過履歴情報データベース
113 検査結果データベース
114 不良要因検知装置
116 バーコードリーダ
117 モニタ
141 個体識別情報受付部
142 通過履歴情報取得部
143 作業映像取得部
144 作業映像記憶部
145 検査結果情報取得部
146 検査結果情報記憶部
147 不良要因映像抽出部
148 不良要因映像記憶部
149 不良要因映像表示部
202 レーザセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造時に製品の外観に生じた不良の要因を検知する不良要因検知装置であって、
製品の製造後の検査で当該製品の外観から見付けられた不良に関するデータを含む検査結果情報を記憶する検査結果情報記憶部と、
当該製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データを記憶する作業映像記憶部と、
前記検査結果情報をもとに、当該製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、外観不良を有するエリアである不良エリアを特定し、前記作業映像データから、前記不良エリアに関する映像部分を不良要因映像として抽出する映像抽出部と、
前記不良要因映像を表示する映像表示部とを備える
ことを特徴とする不良要因検知装置。
【請求項2】
前記映像抽出部が、前記作業映像データを画像解析して、製品以外の物体が前記不良エリアに接触したか否かを判定し、製品以外の物体が接触した場合には、前記作業映像データから、そのときの映像部分を前記不良要因映像として抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の不良要因検知装置。
【請求項3】
前記作業映像データが、製造時の作業の確認用に映像記録した第1の映像データと、製造時の製品への接触の確認用に映像記録した第2の映像データとからなり、
前記映像抽出部が、前記第1の映像データを画像解析して、製品以外の物体が前記不良エリアに映り込んでいるか否かを判定し、製品以外の物体が映り込んでいる場合には、前記第2の映像データを画像解析して、当該物体が製品に接触したか否かを判定し、当該物体が接触した場合には、前記第2の映像データから、そのときの映像部分を抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載の不良要因検知装置。
【請求項4】
前記映像抽出部が、前記第1の映像データから、当該物体が前記不良エリアに映り込んでいるときの映像部分を抽出する
ことを特徴とする請求項3に記載の不良要因検知装置。
【請求項5】
当該製品の製造時の作業を撮影して、前記第1の映像データとして映像記録する第1のカメラと、
前記第1のカメラと異なる方向から当該製品の製造時の作業を撮影して、前記第2の映像データとして映像記録する第2のカメラとを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の不良要因検知装置。
【請求項6】
前記第1のカメラが、製造時の当該製品の斜め上方に設置されており、
前記第2のカメラが、製造時の当該製品の真上に設置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の不良要因検知装置。
【請求項7】
複数の作業工程を経て当該製品が製造される場合において、
作業工程ごとに、前記第1のカメラと前記第2のカメラとが設置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の不良要因検知装置。
【請求項8】
製品が各作業工程を通過した時刻を含む通過履歴情報が製品ごとに登録されている通過履歴データベースと、
前記検査結果情報が製品ごとに登録されている検査結果データベースと、
各製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データが蓄積されている作業映像データベースと、
製品に割り当てられた個体識別情報を受け付ける個体識別情報受付部と、
前記通過履歴データベースから、前記個体識別情報をもとに、前記通過履歴情報を取得する通過履歴情報取得部と、
前記作業映像データベースから、前記通過履歴情報をもとに、前記作業映像データを取得する作業映像取得部と、
前記検査結果データベースから、前記個体識別情報をもとに、前記検査結果情報を取得する検査結果情報取得部とを備える
ことを特徴とする請求項7に記載の不良要因検知装置。
【請求項9】
当該製品の製造時の作業を撮影して、前記作業映像データとして、映像記録するカメラと、
当該製品に対する接触検出対象領域にレーザを照射して、当該製品に対する接触を検出するレーザセンサとを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の不良要因検知装置。
【請求項10】
製造時に製品の外観に生じた不良の要因を検知する不良要因検知方法であって、
製品の製造後の検査で当該製品の外観から見付けられた不良に関するデータを含む検査結果情報をもとに、当該製品の外観をエリア分割して得られた複数のエリアの中から、外観不良を有するエリアである不良エリアを特定し、
当該製品の製造時の作業を映像記録した作業映像データから、前記不良エリアに関する映像部分を不良要因映像として抽出し、
前記不良要因映像を表示する
ことを特徴とする不良要因検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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