説明

不規則な形状の非球形の担持触媒および重質オイル留分の水素化変換方法

本発明は、金属を含む重質炭化水素原料を水素化処理および/または水素化変換を実施する触媒に関する。該触媒は、主に不規則で非球形でありアルミナベースの塊(塊)の形状(粉砕工程から生ずる特有な形状)をなする担体を含み、およびVIB族(新周期表でVI族と表記)および/またはVIII族(新周期表で8,9,10族と表記)から選ばれる少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物を含み、場合によってはリン、ホウ素、ケイ素(または選択された担体に含まれる触媒の一部分を形成しないシリカ)およびハロゲンから構成されるグループから選ばれた少なくとも一つのドーピング元素を含む。該触媒は基本的に複数の針状の小板からそれぞれ作られた複数の近接並置された塊からなり、各塊の小板はお互いに関しておよび塊の中央に関して半径方向に一般的に向けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属を含む重質炭化水素原料を水素化処理および/または水素化変換を実施する触媒に関する。該触媒は、主に不規則で非球形でありアルミナベースの塊(塊)の形状(粉砕工程から生ずる特有な形状)をなする担体を含み、およびVIB族(新周期表でVI族と表記)および/またはVIII族(新周期表で8,9,10族と表記)から選ばれる少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物を含み、場合によってはリン、ホウ素、ケイ素(または選択された担体に含まれる触媒の一部分を形成しないシリカ)およびハロゲンから構成されるグループから選ばれた少なくとも一つのドーピング元素を含む。該触媒は基本的に複数の針状の小板からそれぞれ作られた複数の近接並置された塊からなり、各塊の小板はお互いに関しておよび塊の中央に関して半径方向に一般的に向けられている。その触媒の特有の形状は金属を含有する重質炭化水素の原料の水素化変換/水素化処理に使用する時その性能を改善する。
【背景技術】
【0002】
有機金属錯体を含むオイル留分の水素化精製および/または水素化変換の間にそれらの錯体の大部分が水素、硫化水素、水素化触媒の存在下で分解されることは当業者に知られている。それらの錯体の構成金属は、細孔の内部の表面に結合した固体の硫化物の形で沈澱する。これは特にバナジウム、ニッケル、鉄、ナトリウム、チタン、ケイ素、銅の錯体の場合であり、これらは原油の産出地によって多かれ少なかれ原油中にもともと存在し、蒸留中に高沸点留分、特に残渣に濃縮される傾向がある。これは特に鉄、チタンのような金属を含む石炭液化油の場合である。一般的な用語「水素化脱金属化」は炭化水素中の有機金属錯体の分解(destruction)や解砕(deaggregation)を意味するときに使用される。
【0003】
触媒の細孔内での固体の堆積物の蓄積は、相互に連結した細孔のネットワークのフラクションへの試薬の接近を制御している細孔のいくつかが詰まるまで続き、ネットワークのフラクションは、ほんの少し覆い隠されてもまたは無失活でも,不活性になる。こうしてそのような現象は、触媒の早すぎる大きな不活性化をもたらす。これは特に担持された不均一系触媒の存在下に実施される水素化脱金属化反応の場合である。用語「不均一系」は炭化水素原料に不溶であることを意味する。この場合、周囲の細孔は中央の細孔より早くふさがれることが示される。同様に、細孔の開口部は他の部分より早く塞がれる。細孔の詰まりは、その直径のゆるやかな減少と密接な関係があり、分子の拡散をますます制限し、濃度勾配および多孔性粒子の周囲から内部へかけての堆積の不均質とを顕著にし、さらに要領よく言えば外部における細孔の開口部の全閉塞は非常に早く起こる。粒子のほぼ無失活の内部の空孔への試薬の接近は不可能になり、触媒は早く不活性化される。
【0004】
ここで説明した現象は細孔開口部の閉塞として良く知られている。その存在の証拠と原因の解析は国際科学文献に広く公開されている。
【0005】
金属を含む重質炭化水素留分の水素化処理の触媒は、上に述べた閉塞の問題を避けるため水素化処理に特有な粒子内の拡散の抑制に特に適する細孔の分布(プロファイル)、細孔の構造、形状(幾何学)を持っている担体からなる。
【0006】
通常、触媒はビーズか押出し品の形状で、特定の多孔率を有するアルミナベースの担体と、VIB族金属(好ましくはモリブデン)の硫化物とVIII族金属(好ましくは、NiまたはCo)の硫化物の両者からなる混合硫化物ベースの活性相とからなる。金属は酸化物の状態で担持し、水素化処理の活性化のために硫化される。最適と通常考えられるVIII族元素とVIB族元素の間の原子比、VIII族原子/VIB族原子は0.4から0.6の範囲である。細孔の構造と無関係に0.4より小さい比は、触媒の不活性化を抑え、触媒の耐用年数を延長させることが最近特許文献1(ヨーロッパ特許 EP−A1−1364707(FR−A−2839902))で開示された。
【0007】
当業者は、金属を含む重質炭化水素の原料の水素化精製および/または水素化変換の触媒として二つのタイプのアルミナベースの担体を知っている。これらの担体はそれらの細孔の分布のプロファイルによって大まかに区別されている。
【0008】
双峰(bimodal)の細孔の分布プロファイルを持つ触媒は活性が高いが、しかし多峰(polymodal)の細孔のプロファイルを有する触媒より保持能力には劣る。
【0009】
多峰の細孔のプロファイルは、水銀圧入法により得られた細孔の直径の関数として細孔体積の累積分布のグラフに相当し、それは単峰(monomodal)でもなく双峰でもなく、しかし比較的に連続した細孔分布は二つの極端な直径の値の間にある。それらの極端な値の間に、細孔分布のカーブには水平な段階がない。該多峰分布は、本出願人の特許文献2(US−A−4552650―IFP)に従って得られるハイドラルギライトの急速な脱水、次いでフラッシュアルミナ粉末を塊にすることにより調製されたアルミナの塊で得られる「棘のあるクリの殻」または「ウニ」細孔構造に関連付けられる。調製されたアルミナの塊は、特許文献3(仏国特許FR−A−2764213)および特許文献4(米国特許US−A−6043187)に記載のようにビーズの形状または押出品の形状である。
【0010】
棘のあるクリの殻またはウニの構造は、複数の針状の小板からそれぞれ作られた複数の並べられた塊からなり、おのおのの塊の小板はお互いに関しておよび塊の中央に関して半径方向に一般的に配列されている。針状の小板の少なくとも50%が、長軸に沿った寸法が0.05から5ミクロンメーターの間、好ましくは0.1から2ミクロンメーターの間、および幅に対するこの寸法の比が2から20の間、好ましくは5から15の間、および平均厚みに対するこの寸法の比が、1から5000の間、好ましくは10から200の間にあるものである。針状の小板の塊の少なくとも50%は、1から20ミクロンメーターの間、好ましくは2から10ミクロンメーターの間の平均サイズの偽球状粒子の集積からなる。そのような構造を表すのに有用なかなり適したイメージは、棘のあるクリの殻の担持物またはウニの担持物であり、それゆえ細孔の構造の命名「棘のあるクリの殻」や「ウニ」は当業者が使用している。
【0011】
細孔の大部分は、放射線状に伸びる針状の小板の間の自由空間で構成されている。もともとくさび状であるこれらの細孔は、100から1000Åの連続的に変化する直径を有する。相互に連結した大きな空孔は並んだ塊の間の自由な空間に由来する。
【0012】
多峰の細孔のプロフィルを有するこれらの触媒は、好ましくは以下で特徴づけられる細孔分布(水銀ポロシメトリーにより決定)を有する。
【0013】
・全細孔体積が0.7から2.0cm/gであり、
・100Å以下の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の0から10%の間にあり、
・100から1000Åの間の直径を有する細孔が全細孔体積の40から90&の間にあり、
・1000から5000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から60%の間にあり、
・5000から10000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から50%の間にあり、
・10000Å以上の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から20%の間にある。
【0014】
これらの触媒の比表面積(BET法で測定)は50から250m/gの範囲である。
【0015】
上に述べた細孔の分布の特徴と結びつく「棘のあるクリの殻」や「ウニ」の細孔構造は、水素化脱金属化の高い活性を保ちながら非常に高い保持力を有する水素化精製および/または水素化変換の触媒を作りだす。これらの性能は双峰の触媒では達成できない。その理由は、棘のあるクリの殻やウニの構造にあるメソポアの「くさび形」の形が試薬の濃度勾配を相殺したり、防いだりすることである。これは普通は円柱状の細孔で達成され、この現象は細孔の開口部の閉塞を防ぐのにかなり好ましい形状を形成する。さらに各メソポアや実質的に各細孔は、時期の早い不活性化になる閉塞をすることなく均一な堆積の蓄積に好都合な隙間の大きな空孔に他のものと関係なく接近できる。
【0016】
しかしこれらの触媒は、HDM(水素化脱金属化)、HDAC7(n−ヘプタンに不溶なアスファルテンの水素化変換)、HDCCR(コンラドソン炭素分試験法で測定された炭素質の残渣の水素化変換)のための双峰の触媒より初期活性に関しては活性が低いという不利がある。
【0017】
高い金属含有量(例えば、250ppm以上のNi+V)の炭化水素原料を処理する沸騰床水素化変換の製法において、棘のあるクリの殻やウニの細孔構造を有する触媒の低い初期の性能は、毎日のかなり大きな量の新しい補充の触媒を必要とする。
【0018】
沸騰床水素化変換において触媒はビーズか押出品の形状で使用される。「ビーズ」形状は、流動床はより均一になり、耐摩耗性の性能が「押出品」形状より改良されることを意味する。ビーズはより均一に動き、床の中の固体の均一性は、重力による分離の現象を避けながら良い金属保持レベルを達成することを意味する。ビーズの大きさは、触媒の細孔への分子の拡散に関連する問題を最少にするために望ましい化学的活性の関数として調整できる。金属の捕捉は固定床と比べ沸騰床はかなり高められる。
【0019】
同様に、水素化精製の残渣の固定床プロセスでは、棘のあるクリの殻やウニの細孔構造を有する触媒はHDAC7、HDM,HDCCRの機能の初期の性能に関して劣っている(双峰の触媒と比較して)。しかしそれらは高い金属の含有量(例えば、40ppm以上のNi+V)の炭化水素の原料を処理するのに必要とされる高い保持力を有している。このようにこのタイプの触媒を使うことは、下流のHDS触媒の性能を損なう。それらの触媒はアスファルテンやNi+Vの担持やコーク堆積から不完全にしか守られない。
【0020】
特許文献5(仏国特許FR−A−2534828)は、V族、VI族および/またはVIII族からの金属を一つ以上含む触媒、およびアルミナ、ケイ素、シリカ-アルミナタイプの担体を開示している。該担体は粉砕されるが、オートクレーブ工程がプロセスで実施される時は粉砕操作はオートクレーブ工程の後に計画的に実施される。
【特許文献1】ヨーロッパ特許 EP−A1−1364707号明細書(FR−A−2839902号明細書)
【特許文献2】US−A−4552650―IFP号明細書
【特許文献3】仏国特許FR−A−2764213号明細書
【特許文献4】米国特許US−A−6043187号明細書
【特許文献5】仏国特許FR−A−2534828号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は上記従来技術の問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
驚いたことに本出願人は、主に不規則で非球形であるアルミナベースの塊の形の中の棘のあるクリの殻の構造を有する多峰の触媒は、調製プロセスの工程の中で粉砕工程の位置を変えることで特許文献5(仏国特許FR−A−2534828)のプロセスで得られる触媒よりも改良された強度を有することを発見した。この重要な利点は、触媒を沸騰床反応装置で使用できるようにすることであるが、これは特許文献5(仏国特許FR−A−2534828)の製法により得られた触媒では不可能である。
【0023】
増加する強度に従って、本発明に記載の触媒は、金属を含む重質炭化水素の原料の水素化変換のHDAC7、HDMの活性、安定性、保持の能力に関して最高の性能を発揮する。
【0024】
本発明は、金属を含む重質炭化水素の原料の水素化精製(水素化処理)および/または水素化変換する固定床や沸騰床で使用され、改良された活性、高い保持力、高い安定性の性能と、高い強度の両方を有する触媒に関する。
【0025】
該触媒は、棘のあるクリの殻やウニの細孔構造を有する多孔質のアルミナベースの担体を含み、該担体の形状が不規則で非球形で特徴付けられる。これは主に下に説明されるようなプロセスを用いてアルミナのビーズを粉砕することにより得られる断片の形状である。
【0026】
より正確には、本発明は、アルミナベースの担体と、VIB族および/またはVIII族から選ばれる少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物とを含む触媒であり、担体の細孔構造は複数の針状の小板(acicular platelets)からそれぞれ形成された複数の近接並置された (juxtaposed)塊(agglomerates)から構成され、各塊の小板はお互いに対しおよび塊の中心に対し一般に放射線状に向けられ、該担体は不規則で非球形であり、アルミナのビーズを粉砕して得られた断片(fragments)の形状を主になし、以下の工程に含まれるプロセスを使用して調製される、触媒。
【0027】
a)ビーズの形状で塊を得るために、低い結晶性および/または非晶性の構造を有する活性なアルミナ粉末から造粒化を始める。
【0028】
b)該ビーズを湿った雰囲気中、60℃から100℃で熟成し、次いで乾燥する。
【0029】
c)該ビーズフラクションを回収するために篩にかける。
【0030】
d)該フラクションを粉砕する。
【0031】
e)該粉砕フラクションの少なくとも一部を250℃から900℃の範囲の温度で焼成する。
【0032】
f)これを酸で含浸し、80℃から250℃の範囲の温度で水熱処理をする。
【0033】
g)これを乾燥し、次いで500℃から1100℃の範囲の温度で焼成する。
【0034】
プロセスの最終で得られた担体の粒度分布は、粉砕後に該断片の少なくとも80重量%に外接する(circumscribing)球形の直径が0.05から3mmの範囲であるようなものである。触媒が沸騰床で使用される場合において該直径は好ましくは1.0から2.0mmの間である。さらに好ましくは0.3から1.5mmの間である。固定床の触媒として使用される場合には、該直径は好ましくは1.0から2.0mmの間である。
【0035】
該触媒の活性相はVIB族(新周期表で6族を表記)、好ましくはモリブデンまたはタングステン、から少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物を含み、および/または任意にVIII族(新周期表で8,9,10族と表記)、好ましくはニッケルやコバルト、から少なくとも一つの触媒金属または触媒金属からなる化合物を含む。触媒は、リン、ホウ素、ケイ素、ハロゲン(新周期表ではVIIA族または17族と表記)、好ましくはリンから選ばれた少なくとも一つのドーピング元素をさらに含む。触媒に担持し、およびドーピング元素であるとされるケイ素は、当初の担体中に元々(endogenous)存在するケイ素とは区別される。担持したケイ素は電子線マイクロアナライザを用いて定量分析される。
【0036】
好ましくは触媒は少なくとも一つのVIB族の金属(好ましくはモリブデン)および任意に少なくとも一つのVIII族の非貴金属、好ましくはニッケルからなる。このタイプの好ましい触媒はNi Mo Pである。
【0037】
いかなる特定の理論にも縛られることはしたくはないが、本発明の触媒の改良された性質は触媒の粒子の内部への種(species)の改良された拡散、および、関連して粒子や断片の小さなサイズ、外部表面積/粒子体積の高い比から生じるこれらの特異的形状、および棘のあるクリの殻やウニの細孔によるところであることが明らかである。
【0038】
棘のあるクリの殻やウニの構造のメソポアの「くさび形」の形が、試薬の濃度勾配を相殺したり、防いだりする。これは普通は円柱状の細孔で達成される。担体の小さな粒子のサイズとそれらの特異的な不規則で非球形の形状は、細孔の開口部の閉塞なしに試薬の大きな空孔と各面への均一な進入を促進する。最後に平均の自由行程や粒子や断片内部の有効な直径は、該断片を外接する球形の直径より常に小さい。一方ビーズの場合はそれは厳密に直径と同一である。粒子や断片の大変不規則な形状に拘わらず、それらの各々に球形を外接することは可能で、断片のサイズは該断片を外接する球形の直径で定義される。
【0039】
同じサイズについては、粒子や断片の不規則で非球形の特異的形状は、粒子内での拡散現象を促進する。n−ヘプタン(HDAC7)に不溶なアスファルテンの水素化脱金属(HDM)や水素化変換性能は向上する。
【0040】
VIB族金属の量は、最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表され、1%から20%の範囲、好ましくは5%から15%の範囲である。
【0041】
VIII族非貴金属の量は、最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表され、0%から10%の範囲、好ましくは1%から4%の範囲である。
【0042】
リンの量は、最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表され、0.3%から10%の範囲、好ましくは1%から5%の範囲、さらに好ましくは1.2%から4%の範囲である。
【0043】
ホウ素の量は、最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表され、6%以下、好ましくは2%以下である。
【0044】
リン元素とVIB族元素の間の原子比は、有利には0.3から0.75の範囲である。
【0045】
少なくとも一つのドーピング元素がケイ素の時は、ケイ素量は最終の触媒の重量に対する酸化物の重量で0.1%から10%の範囲である。
【0046】
少なくとも一つのドーピング元素がハロゲン(VIIA族)の時は、ハロゲンの量は最終の触媒に関して重量で5%以下である。
【0047】
担体の調製
アルミナベースの担体は、複数の針状の小板(acicular platelets)からそれぞれ形成された複数の近接並置された塊(juxtaposed agglomerates)から構成され細孔構造を有し、各塊の小板はお互いに対しおよび塊の中心に対し一般に放射線状に向けられ、該担体は不規則で非球形であり、アルミナのビーズを粉砕して得られた断片(fragments)の形状を主になし、以下の工程に含まれるプロセスを使用して調製される。
【0048】
a)ビーズの形状で塊を得るために、低い結晶性および/または非晶性の構造を有する活性なアルミナ粉末から造粒化を始める。
【0049】
b)該ビーズを湿った雰囲気中、60℃から100℃で熟成し、次いで乾燥する。
【0050】
c)該ビーズフラクションを回収するために篩にかける。
【0051】
d)該フラクションを粉砕する。
【0052】
e)該粉砕フラクションの少なくとも一部を250℃から900℃の範囲の温度で焼成する。
【0053】
f)これを酸で含浸し、80℃から250℃の範囲の温度で水熱処理をする。
【0054】
g)これを乾燥し、次いで500℃から1100℃の範囲の温度で焼成する。
【0055】
プロセスの最終で得られた担体の粒度分布は、粉砕後に該断片の少なくとも80重量%を外接する球形の直径が0.05から3mmの範囲であるようなものである。触媒が沸騰床で使用される場合において該直径は好ましくは1.0から2.0mmの間である。さらに好ましくは0.3から1.5mmの間である。固定床の触媒として使用される場合には、該直径は好ましくは1.0から2.0mmの間である。
【0056】
a)造粒化と呼ぶ最初の工程は、仏国特許FR−A−1438497で開示され製法を用いて低い結晶性および/または非晶性の構造を有する活性アルミナの粉末から実質的に球状の塊を作製するのが狙いである。この製法は、低い結晶性および/または非晶性の構造を有する活性アルミナを水溶液で湿らせ、次いでそれを造粒機やペレタイザーで塊にすることからなる。好ましくは、一つのまたはそれ以上の細孔形成剤を造粒の間に加える。使用される特定の細孔形成剤は、木粉、木炭、セルロース、デンプン、ナフタレンであるが、一般的に焼成で除かれるどのような有機化合物でもよい。
【0057】
用語「低い結晶性アルミナの構造」は、X線分析で低温の転位アルミナの結晶相に相当する線が無いか、数本であるX線回折図を示し、本質的にkhi、rho、eta、ガンマー、偽ガンマー相およびそれらの混合物を含むアルミナであることを意味する。使用される活性アルミナは、バイヤライト、ハイドラルギライト、ギブス石、ノルドストランダイトのような水酸化アルミニウム、またはベーム石やダイアスポアのようなアルミニウム オキシハイドロオキサイドの急速な脱水により一般的に得られる。該脱水は、熱ガスを流してどのような適する装置で実施してもよい。装置へ入るガスの入口温度は、約400℃から1200℃まで一般的にいろいろであり、および熱ガスと水酸化物やオキシハイドロオキサイドとの接触時間は一般的に1秒の数分の一と4から5秒の間の範囲である。
【0058】
水酸化物やオキシハイドロオキサイドの急速な脱水により得られた活性アルミナのBET法で測定した比表面積は、一般的に50から400m/gの間であり、粒子の直径は一般的に0.1から300ミクロンメーターの間であり、好ましくは1から120ミクロンメーターの間である。1000℃の焼成による燃焼のロスは一般的に3%から15%の間であり、0.17から0.85の間のHO/Alモル比に相当する。
【0059】
特別な実施においては、バイエル ハイドレート(ハイドラルギライト)の急速な脱水により得られる活性アルミナが使用される。これは容易に商業的に入手でき、安価な水酸化アルミニウムであり、そのような活性アルミナは当業者にはよく知られており、仏国特許FR−A−1108011に記載の調製のプロセスで得られる。
【0060】
用いられる活性アルミナはそのまま、またはNaOで表わされるナトリウムの含有量が重量で1000ppm以下になるように処理された後に使用される。さらに、それは当初の担体中に元々(endogenous)存在するケイ素を重量で100から1000ppmの間を含有する。用いる活性アルミナは、粉砕してもしなくてもよい。
【0061】
b)得られた球状の塊は低温、好ましくは60℃から約100℃の間、で湿った雰囲気で熟成され、次いで一般的に100℃から120℃の温度で乾燥される。
【0062】
c)この段階で実質的にビーズの形状である塊は、所望する最終の粒度分布に適する粒度分布の範囲を選択するために篩に掛けられるのに十分な強度を有する。かくして、例えば、0.7−1.4mmの範囲の大きさの最終の担体を得るために、1.4−2.8mmの範囲のビーズの部分が篩に掛けられ、選択される。1−2mmの範囲の大きさの最後の担体を得るためには2−4mmの大きさの範囲のビーズの部分が選択される。最後に2−3mmの大きさの範囲の最終の担体を得るためには4−6mmの大きさの範囲のビーズ部分が篩に掛けられ、選択される。
【0063】
d)次に選択された大きさの範囲のビーズの部分が粉砕される。この操作は当業者に知られたどのような粉砕機で実施されてもよい。好ましくはボールミルである。それは5から60分続く。好ましくは10から30分である。
【0064】
粉砕工程の終わりにアルミナの担体は、主に非常に不規則で非球形の断片の形状をなす。得られた形状をよりよく定義すると、断片は極めてクリーンな破断面を有さない破壊ビーズの形状、また、平面相を必ずしも有さない不規則なポリヘドロンに最も近い幾何学的形状の固体の形状をなすと言える。用語「主に」は球形の塊が少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%が粉砕の間にそれらの形状に効果的な改質を受けることを意味する。相補的な部分は、完全なままの球状の塊を表す。粉砕は効率が低く、粗い操作であり、およびいつも粒子の無視できない部分が粉砕されないことはよく知られている。十分な機械的強度を有する最終の触媒を得るためには粉砕工程は、焼成と水熱処理(それぞれ工程e)とf))の前に実施される。
【0065】
e)粉砕工程の後、少なくとも断片フラクションが約250℃から約900℃の範囲、好ましくは500℃から850℃範囲の温度で焼成される。焼成されない部分は所望する寸法の範囲内にない微粒子に一般的に相当する。好ましくは全ての粉砕された部分が焼成される。
【0066】
f)次いで担体の酸の含浸が実施され、本発明のプロセスに全部採用されている米国特許US−A−4552650に記載されている方法を用いる水熱処理が続く。
【0067】
・粉砕された塊は、アルミナ担体の少なくとも一部を溶解する少なくとも一つの酸と、溶液中のアルミニウムイオンと結合できるアニオンを供給する少なくとも一つの化合物との混合物を含み、好ましくは該混合物から構成される水媒体中で処理される。該化合物は化学的に該酸とは異なる。
【0068】
・処理され粉砕された塊が水熱的に(またはオートクレーブ中で)同時にまたは連続的に処理される。用語「アルミナ担体の少なくとも一部を溶解する酸」は上で定義した活性アルミナの塊と接触して、アルミニウムイオンの少なくとも一部を溶解する酸を意味する。該酸は、アルミナの塊の少なくとも0.5重量%と多くても15重量%を溶解する。水処理媒体中の濃度は、20重量%以下、好ましくは1重量%から15重量%の範囲である。好ましくは硝酸、塩酸、過塩素酸、硫酸の様な強酸が使用され、または酢酸の様な弱酸が約4以下のpHの水容液になるような濃度で使用される。
【0069】
用語「溶液中のアルミニウムイオンと結合できるアニオンを供給する化合物」は、Al3+カチオンと原子比n(A/Al)が3以下の生成物を形成することができるアニオンAn−を溶液中で放出できる化合物を意味する。
【0070】
これらの化合物の特別の場合は、一般式Al(OH)の塩基塩で表わさられる。ここで0<x<6、ny<6、nはアニオンAの荷電の数を表す。
【0071】
水系処理媒体でのその化合物の濃度は、50重量%以下、好ましくは3重量%と30重量%の範囲である。
【0072】
好ましくは硝酸塩、塩化物、硫酸塩、過塩素酸塩、クロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、ブロモ酢酸塩、ジブロモ酢酸塩アニオンからなるグループから選ばれたアニオンを溶液中で放出できる化合物と一般式RCOO(−)のアニオンが使用され、RはH,CH,C,CHCH,(CHCHのグループから選ばれる基を表す。
【0073】
アニオンAn−を溶液中で放出できる化合物は、該放出を直接、例えば解離によるか、または間接的、例えば、加水分解によるか、どちらかで行う。化合物は鉱酸または有機酸、無水物、有機酸塩または鉱酸塩、エステルからなるグループから特に選ばれる。鉱酸塩のうち、水系媒体に溶解するナトリウム、カリウム、マグネシウムやカルシウムの塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩や希土類塩のような、アルカリ塩やアルカリ土類塩が例示される。
【0074】
この最初の処理は塊の乾式含浸によるか、酸の水溶液に塊を浸漬するかのどちらかで実施される。用語「乾式含浸」は処理される塊の全細孔体積以下に等しい体積の溶液でアルミナの塊と接触させることを意味する。
【0075】
特に好ましい実施では、水媒体は硝酸と酢酸、または硝酸とギ酸の混合物である。
【0076】
水熱処理は約80℃から約250℃の範囲の温度、約5分から約36時間の範囲の時間の間で実施される。
【0077】
この水熱処理ではアルミナのロスはない。
【0078】
好ましくは、温度は120℃から220℃の範囲で、15分から18時間の範囲の間である。
【0079】
この処理は、アルミナの少なくとも一部がベーム石に変換する活性アルミナの塊の水熱処理を構成する。この水熱処理(加圧下)は処理温度に相当する飽和蒸気圧下、または飽和蒸気圧の少なくとも70%の水蒸気の分圧のどちらかで実施される。水熱処理の間に上に述べた生成物を形成するアルミナの少なくとの一部とアニオンを溶解する酸の結合は、本発明の針状の担体の小板の前駆体となる特別なベーム石を生成することになり、これは結晶核から放射線状に成長する。
【0080】
さらに処理混合中の酸および化合物の濃度と、用いられる水熱処理条件とは、アルミナのロスがないようにする。処理に伴う空孔率の増加は処理の間の塊の膨張によるもので、アルミナのロスはない。
【0081】
g)最後に粉砕された塊は、約100℃から200℃の範囲に一般的にある温度で、化学的に結合していない水を除去するに十分な期間、任意に乾燥する。次いで塊は、約500℃から約1100℃の範囲の温度、15分から24時間の範囲の期間、熱活性化を受ける。
【0082】

本発明に記載の方法で得られた主に不規則で非球形の活性アルミナの担体は、一般的に以下の特性を有する。1000℃の焼成で測定した燃焼時のロスは、約1重量%から約15重量%の範囲であり、比表面積は約80から約300m/gの範囲であり、全細孔体積は約0.45から約1.5cm/gである。
【0083】
得られる粉砕アルミナの塊は、また好ましくは以下の特性を有する。
【0084】
・比表面積が75から250m/gの範囲
・沈降した(settled)充填密度が約0.35から0.80g/cmの範囲
・全細孔体積(TPV)が0.5から約2.0cm/g
・水銀ポロシメトリー法を用いて決定された細孔分布は好ましくは以下で特徴付けられる。
【0085】
・100Å以下の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の0から10%の間にあり、
・100から1000Åの間の直径を有する細孔が全細孔体積の40から90&の間にあり、
・1000から5000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から60%の間にあり、
・5000から10000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から50%の間にあり、
・10000Å以上の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から20%の間にある。
【0086】
アルミナ担体を調製する上に述べられた製法は、未処理の塊の細孔サイズに従って細孔体積分布を改質する。それは100から1000Åの範囲の細孔の割合を増加させ、100Å以下の細孔の割合を減少させ、1000から5000Å以下の範囲の細孔の割合を改質して5000Å以上の細孔の割合を減少させる。
【0087】
得られたアルミナの塊は、当業者に良く知られているように希土類、ケイ素、アルカリ土類の金属により熱的に安定化する。特にそれらは米国特許US−A−4061594に記載されている製法を用いれば安定化する。
【0088】
得られた担体への活性相の担持と元素のドーピング
工程g)の終わりで得られた担持物は、少なくとも一つの触媒金属の少なくとも一つの溶液と任意に少なくとも一つのドープで含浸させる。
【0089】
酸化状態での活性相の担持と粉砕されたアルミナの塊への元素のドーピングは、好ましくは当業者に知られた「乾式」含浸法で実施される。含浸は最終の触媒を構成する全ての元素を含む溶液(共含浸)を用いる単一の工程で実施されるのが殊に好ましい。他の含浸の一連が本発明の触媒を得るためには実施されてもよい。
【0090】
担体の調製の間に、特に造粒の工程の間に、金属の一部とドーピング元素の一部さらにそれらの全てを導入することは可能である。
【0091】
使用するVIB族から選ばれる元素の原料は当業者に良く知られている。有利に使用されるモリブデンやタングステンの原料の例としては、酸化物、水酸化物、モリブデン酸、タングステン酸、およびそれらの塩、特にモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウムの様なアンモニウム塩、リンモリブデン酸やリンタングステン酸やそれらの塩、アセチルアセトネート、キサントゲン酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ素化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、オキシ臭化物、オキシヨウ化物、カルボニル錯体、チオモリブデン酸塩、カルボン酸塩である。好ましくは酸化物とモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウムの様なアンモニウム塩とが使われる。
【0092】
使用するVIII族元素の原料は、公知のmonoが使用されてよい。例として硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩や炭酸塩のようなカルボン酸塩、水酸化物および酸化物が挙げられる。
【0093】
好ましいリン(3価)の原料は、オルトリン酸である。しかし、リン酸アルカリ塩、リン酸アンモニウム塩、リン酸ガリウム塩やリン酸アルキルエステルのような塩やエステもまた適する。亜リン酸、例えば次亜リン酸、リンモリブデン酸とその塩、リンタングステン酸とその塩、が好適に使用できる。リン(3価)は、例えばリン酸と、アンモニア、一級と二級アミン、環状アミン、ピリジン類とキノリンから選ばれる化合物およびピロール類から選ばれる化合物のような塩基性窒素含有有機化合物との混合物の形で導入される。
【0094】
ホウ素の原料は、ホウ酸、好ましくは正ホウ素酸HBO,アンモニウムジボレートやペンタボレート、酸化ホウ素とホウ酸エステルである。ホウ素は、例えば水/アルコールの混合物中や水/エタノールアミンの混合物中でホウ酸溶液を用いて導入される。
【0095】
複数のケイ素の原料が利用される。エチルオルソシリケートSi(OEt),シロキサン、シリコーン、フッ化ケイ酸アンモニウム(NHSiFやフッ化ケイ酸ナトリウムNaSiFのようなハロゲン化ケイ酸塩を使用することが可能である。シリコモリブデン酸とその塩、やシリコタングステン酸とその塩もまた好適に使用される。ケイ素は、例えば水/アルコールの混合物中の溶液中ケイ酸エチルで含浸することで添加される。
【0096】
使用されるVIIA族の元素(ハロゲン)の原料は、当業者に良く知られている。例としてフッ化水素酸とその塩の形で導入されるフッ素アニオンがある。該塩は、アルカリ金属、アンモニウムや有機化合物とで形成される。後の場合、塩は有機化合物とフッ化水素酸の反応による反応混合物中に好適に生成する。フッ化ケイ酸アンモニウム(NHSiF、4フッ化ケイ素SiFやフッ化ケイ酸ナトリウムNaSiFのような水中でフッ素アニオンを遊離する加水分解性化合物を使用することができる。フッ素は、例えばフッ化水素酸やフッ化アンモニウムの水溶液で含浸することにより導入される。
【0097】
好適には該担体の含浸の後、本発明の触媒を調製する製法は以下の工程からなる。
【0098】
・10℃から80℃の範囲の温度で湿った雰囲気に湿った固体を置く
・60℃から150℃の範囲の温度で得られた湿った固体を乾燥する
・乾燥後得られた固体を150℃から800℃の範囲の温度で焼成する
焼成は、含浸の溶液が元素状窒素を含む化合物の例である場合は必ずしも必要でない。
【0099】
触媒の特性
水銀ポロシメーターで測定された触媒の細孔分布は以下の通りである。
【0100】
・100Å以下の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の0から10%の間にあり、
・100から1000Åの間の直径を有する細孔が全細孔体積の40から90&の間にあり、
・1000から5000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から60%の間にあり、
・5000から10000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から50%の間にあり、
・10000Å以上の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から20%の間にある。
【0101】
水銀ポロシメーターで決定された本発明の触媒の全細孔体積は0.4から1.8cm/gの範囲である。
【0102】
好ましくは本発明の触媒の沈降した(settled)充填密度は0.35から0.08g/cmの範囲である。
【0103】
好ましくは本発明の触媒においてVHg/2の細孔の直径は300から700Åの範囲である。即ち、細孔分布のグラフの体積が全細孔体積の半分に相当する平均細孔直径は,300から700Å、即ち30から70nmの範囲にある。
【0104】
本発明の触媒はBET法で測定された50から250m/gの範囲の比表面積を有する。
【0105】
沸騰床で本発明の触媒を使用するためには、触媒の機械的強度が決定要因であり、それは触媒がじゃま板を有する円筒中で決められた期間回転する時に生成した微粒子(850μmの篩を通過する粒子)の割合を決定することで測定される。テストの終わりに得られた固体は篩に掛けられ、および微粒子の重量を測定する。摩耗によるロスはASTM D4058−96規格を用いて定量される。
【0106】
次いで摩耗によるロスは以下の式を用いて計算される。
【0107】
摩耗によるロス(%)=100(1−(テスト後の850μm以上の大きさの触媒の重量)/(円筒内に投入された850μm以上の大きさの触媒の重量))
当業者は、この方法で測定した摩耗によるロスが5重量%以下であれば触媒が沸騰床でまた使用できることを普通に推定する。
【0108】
本発明の触媒にはASTM D4058−96規格を用いて定量した摩耗によるロスは5重量%以下、および好ましくは2重量%かそれ以下である。
【0109】
固定床方式での本発明の触媒を使用するためには機械的強度は、粒子の一定量を破壊し、生成した微粒子を回収することからなるシェル(ESH)法を用いて破壊強度を測定して決める。破壊強度は、テストする粒子の量の0.5%に相当する微粒子(微粒子は425μmの篩を通過する粒子)の割合を得るために作用させた力に相当する。普通に使用する方法は、シェル法として知られて「shell method Series SMS1471−74」の参考資料があり、および「Bulk crushing strength−Shell− SMS Method」の参考資料に基づき、Vinci Technologieから販売されている床破壊装置で実施される。
【0110】
一般的に、もしシェル破壊強度が1.0MPa以上であれば、触媒は固定床方式で使用できる。
【0111】
本発明の触媒においてシェル法を用いて測定した破壊強度は1.0MPa以上であり、好ましくは1.5MPaかそれ以上である。
【0112】
本発明は、少なくとも一つの触媒金属と任意のドープの少なくとも一つの溶液を用いて担体を含浸する工程が続く担体の調製方法を含む触媒の調製方法に関する。
【0113】
沸騰床で炭化水素原料を水素化変換/水素化分解/水素化処理する本発明の触媒の利用
本発明の触媒は沸騰床反応装置で、米国特許US−A−4552650に記載のように単独でまたは部分的に断片の形で、および部分的にビーズの形で、または円柱の押出品の形で使用される。
【0114】
原料は、例えば蒸留による常圧の残渣や減圧の残渣、脱アスファルト油、コーキングから生じる残渣のような変換プロセス、固定床、沸騰床、移動床水素化変換から選ばれる残渣である。これらの原料はそのまままたは炭化水素の留分または炭化水素の留分の混合物で希釈して使用する。炭化水素の留分は、例えば、FCCプロセス、分解灯軽油(LCO),分解重質油(HCO)、分解残渣(DO)、スラリーから選択され、またそれらは蒸留から生じる軽油留分、特にVGO(vacuum gas oil)と命名される減圧蒸留により得られる。重質の原料は、石炭液化からの留分、芳香族抽出物、または他の炭化水素の留分を含む。
【0115】
重質の原料は、一般的に300℃以上の始めの沸点、500℃以上の沸点を有する分子の重量が1%以上、重量で1ppm以上のNi+V金属の含有量、および0.05%以上のアスファルテン(ヘプタンで沈澱する)の含有量を有する。
【0116】
一つの実施形態では、変換された流出物の部分は、水素化変換/水素化処理プロセスを運転する装置の上流にリサイクルされる。
【0117】
重質の原料は、粉末の石炭と混合される。この混合物は一般的にスラリーと呼ばれる。これらの原料は石炭の変換からの副生物で、新しい石炭と再度混合される。重質の原料中の石炭の含有量は一般的におよび好ましくは重量比(石炭/原料)で0.25で、0.1から1の間で変わる。石炭は亜炭を含み、それは亜瀝青質の石炭や瀝青炭でもよい。どのタイプの石炭でも第一の反応装置と沸騰床反応装置の全ての両方において本発明で使用できる。
【0118】
そのようなプロセスでは、触媒は、320℃から470℃の範囲の温度、好ましくは400℃から450℃、約3MPaから約30MPaの水素の分圧下、好ましくは10から20MPa、時間当たりの触媒の体積に対する原料の体積比が約0.1から10の空間速度、および100から3000標準立方メーター/立方メーターの範囲にある液状の炭化水素の原料に対するガス状の水素の比、好ましくは200から1200標準立方メーター/立方メーターで一般的に使用される。
【0119】
残渣の水素化変換において、本発明の触媒の特別な応用は、変換される重質の原料と混合される石炭の存在下での触媒の使用である。米国特許US−A−4874506とUS−A−4437973で開示されているように、粉末の石炭は、水素と担持触媒との存在下での変換のために、水素に富んだ炭化水素の原料と混合される。この操作は一般的に沸騰床方式で運転する一つまたはそれ以上の連続した反応装置で実施される。本発明の触媒の使用は、システムの流体力学のふるまいや連続した触媒の取出し装置を改善する。例として液状での石炭の変換は最初の反応装置とHDMで実施され、不純物は同時に捕捉され、次いで最終工程が他の触媒を使用して実施される。
【0120】
本発明の触媒は、処理される原料と接触する前に少なくとも金属種の部分を硫化物に変換する硫化処理を受けるのが好ましい。この硫化活性化処理は当業者に良く知られており、文献に記載のどんな方法を用いて実施してもよい。
【0121】
当業者に知られた一つの従来の硫化方法は、水素と硫化水素の混合物の流れの中で、または水素と硫黄含有分子を含む炭化水素の混合物の流れの中で、150℃から800℃の範囲の温度、好ましくは250℃から600℃の範囲、普通はジグザグの床の反応ゾーンで、固体の混合物を加熱することからなる。
【0122】
固定床方式で炭化水素原料を水素化変換/水素化分解/水素化処理する製法
上で述べられた触媒はまた固定床反応装置で、米国特許US−A−4552650に記載のように単独でまたは一部は断片の形状と一部はビーズの形状で、または押出品の形状で使用できる。
【0123】
原料は、例えば直接蒸留による常圧の残渣や減圧の残渣、脱アスファルト油、コーキングから生じる残渣のような変換プロセス、固定床、沸騰床、移動床水素化変換からの残渣である。これらの原料はそのまままたは炭化水素の留分または炭化水素の留分の混合物で希釈して使用する。炭化水素の留分は、例えば、FCCプロセス、分解灯軽油(LCO),分解重質油(HCO)、分解残渣(DO)、スラリーから選択され、またそれらは蒸留から生じる軽油留分、特にVGO(vacuum gas oil)と命名される減圧蒸留により得られる。重質の原料は、石炭液化からの留分、芳香族抽出物、または他の炭化水素の留分を含む。
【0124】
重質の原料は、一般的に300℃以上の始めの沸点、500℃以上の沸点を有する分子の重量が1%以上、重量で1ppm以上のNi+V金属の含有量、および0.05%以上のアスファルテン(ヘプタンで沈澱する)の含有量を有する。
【0125】
一つの実施態様では、変換された流出物の部分は、水素化変換/水素化処理プロセスを運転する装置の上流にリサイクルされる。
【0126】
そのようなプロセスでは、触媒は、320℃から450℃の範囲の温度、好ましくは350℃から410℃、約3MPaから約30MPaの水素の分圧下、好ましくは10から20MPa、時間当たりの触媒の体積に対する原料の体積比が約0.05から5の空間速度、好ましくは0.2から0.5の時間当たりの触媒の体積に対する原料の体積比、および200から5000標準立方メーター/立方メーターの範囲にある液状の炭化水素の原料に対するガス状の水素の比、好ましくは500から1500標準立方メーター/立方メーターで一般的に使用される。
【0127】
本発明で使用される触媒は、処理される原料と接触する前に少なくとも金属種の部分を硫化物に変換する硫化処理を受けるのが好ましい。この硫化活性化処理は当業者に良く知られており、文献に記載のどんな方法を用いて実施してもよい。
【0128】
当業者に知られた一つの従来の硫化方法は、水素と硫化水素の混合物の流れの中で、または水素と硫黄含有分子を含む炭化水素の混合物の流れの中で、150℃から800℃の範囲の温度、好ましくは250℃から600℃の範囲、普通はジグザグの床の反応ゾーンで、固体の混合物を加熱することからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0129】
以下の実施例はここで説明した発明を説明するが、この範囲に限定されるものでない。
【0130】
実施例1(本発明に相当する粉砕されたアルミナの塊の調製)
出発原料は、熱風(T=1000℃)中でハイドラルギライトの非常に急速な分解により得られたアルミナである。得られた生成物は遷移アルミナ、(khi)と(rho)アルミナ、の混合物で構成される。この粉末の比表面積は300m/gで、燃焼によるロス(LOI)は5%である。
【0131】
アルミナ(粉砕後)は粉末の形状であり、平均の粒子径は7ミクロンメーターである。
【0132】
アルミナは、細孔形成剤(15重量%)として木粉と混合され、所望する粒度分布に適する時間の間、造粒機やペレタイザーで成形される。得られた塊は24時間100℃の水蒸気を通過して熟成工程に付し次いで乾燥する。次いでこれらは篩に掛けられ、粉砕され、最後に焼成される。
【0133】
次いで、これらのビーズは、含浸機のドラムの中で水相に、例えば硝酸と酢酸の混合物を含む溶液で乾式含浸をする。含浸をすると、それらはオートクレーブに導入され、2時間、210℃の温度、20.5バールの圧力で処理される。
【0134】
オートクレーブの出口で、粉砕されたアルミナの塊が100℃で4時間乾燥し、650℃で2時間焼成する本発明に従って得られる。それらの細孔体積は0.95cm/gで多峰性の細孔分布を有する。担体の比表面積は130m/gである。
【0135】
実施例2(アルミナのビーズの調製(本発明に相当しない))
触媒は、粉砕工程を除いて実施例1と同様にしてビーズの形状で調製される。
【0136】
1.4から2.8mmの範囲の粒度分布を有するビーズが選ばれる。
【0137】
実施例3(本発明に相当する粉砕されたアルミナの塊の調製)
この実施例の担体は実施例1と同様にして調製されが、造粒時間と篩掛け−粉砕工程は1.4から2.8mmの大きさの塊を得るために修正される。
【0138】
実施例4(アルミナの塊の調整(本発明に相当しない))
該粉砕工程が、オートクレーブの後に実施されることを除いて、実施例1と同様にして触媒がビーズの形状で得られる。
【0139】
オートクレーブの出口で、乾燥工程(4h、100℃)と焼成工程(2h、650℃)の後、ビーズは1.4から2.8mmの部分を得るために粉砕される。
【0140】
実施例5(実施例1,2,3,4の担体から触媒A,B,C,Dの調製)
モリブデンとニッケルの塩とリン酸からなる水溶液で実施例1,2,3,4の担体を乾式含浸する。モリブデンの前駆体は酸化モリブデンMoOで、ニッケルの前駆体は炭酸ニッケルNi(CO)である。室温で水で飽和した雰囲気で熟成した後、含浸された担体は120℃で一晩乾燥し、乾燥空気中で500℃、2時間焼成する。最終の三酸化モリブデンの含有量は、最終の触媒の重量の9.4%である。最終の酸化ニッケルNiOの含有量は、最終の触媒の重量の2%である。最終の五酸化リンの量は、最終の触媒の2%である。
【0141】
実施例1,2,3,4の担体からそれぞれ導かれた触媒A,B,C,Dの組成と物理化学的特性を表1に示す。
【表1】

【0142】
実施例6(沸騰床で使用するための触媒A,B、C,Dの摩耗に対する機械的抵抗性の比較)
触媒A,B,C,Dの摩耗に対する機械的抵抗性は詳細な説明で示した方法を用いて決定した。
【0143】
表2に触媒A,B,C,Dで得られた結果を示す。
【表2】

【0144】
摩耗テストの終わりで生成した微粒子の量が5重量%より高いので、触媒Dは沸騰床では使用できない。
【0145】
実施例7(沸騰床残渣水素化変換の性能の比較)
触媒A(本発明に相当する),触媒B(本発明に相当しない)、触媒C(本発明に相当する)の性能は、沸騰状態が安定して続く反応装置の内部に触媒を保持する装置を有するチューブ状の反応装置からなるパイロット装置でパイロットテストの比較をした。用いたパイロット装置は、複数の特許、例えば、米国特許US−A−4521295とUS−A−4495060に記載の沸騰床水素化変換残渣のためのH−OIL(登録商標)工業用の装置で代表される。
【0146】
パイロット反応装置には触媒1リッターを充填した。
【0147】
該装置は、表3に示す特性を有する、減圧蒸留からの軽油VDを供給される。
【表3】

【0148】
温度が343℃に上がった時にテスト原料、サファニアタイプの減圧蒸留の残渣(VR)が注入される。反応温度は410℃に上がる。水素の流速は600l/lであり、時間当たりの空間速度は0.3l/l/hである。
【0149】
テスト条件は等温で、これは異なった時期(ages)の性能を直接比較することで触媒の不活性化の測定を可能にする。時期はここでは、原料のm/触媒のkg(m/kg)、で表わされ、触媒の充填重量と対して触媒の上を通過した原料の累積の量を表す。
【0150】
変換の性能、HDM,は以下で定義される。
【0151】
変換(重量%)=(((550℃+での重量%)原料−(550℃+の重量%)テスト)/(550℃+の重量%)原料)×100
HDM(重量%)=(((Ni+V、重量ppm)原料−(Ni+V、重量ppm)テスト)/(Ni+V,重量ppm)原料)×100
次いで、原料がボスカン原油の常圧蒸留の残渣に変えられる。この原料は、触媒の金属の保持力の評価を可能にする。このテストは%HDMを80%から60%の範囲に保つことを目的とする。最終的に反応温度は410℃に保たれる。テストはHDMが60%以下になった時に止める。変換は、良い燃料の安定性を得るため50重量%から60重量%の間に維持される。生成した生成物の安定性を評価するために測定は、テスト後に回収された流出物の350℃+の留分にシェルP値法を用いて実施される。
【0152】
表4は、テストの始め(0.56m/kg)とテストの終わり(1.44m/kg)で触媒A,B,Cの性能を比較した。
【0153】
触媒Dは、テストの二日目の終わり(期間<0.17m/kg)に微粒子の生成が操作上の問題(閉塞、圧力勾配の出現)を生じ、装置が止まるので、初期の活性さえ評価できなかった。
【表4】

【0154】

本発明の粉砕された塊に担持されたHDM触媒は改良された初期HDM特性とより高い安定性を有する。より高いHDM性能は小さい塊サイズの場合に得られる。
【0155】
実施例8(触媒A,B、C,Dの固定床の機械的強度の比較)
下の表5は触媒A,B、C,Dについて記載された方法を用いて実施される固定床の破壊測定の結果を示す。
【表5】

【0156】
触媒Dは、そのシェル破壊強度が1MPa以下であるので、固定床の残渣水素化変換装置での使用には耐えない。
【0157】
実施例9(触媒A,B、Cの固定床残渣水素化変換における性能の比較)
上に述べられた触媒A(本発明に相当)、B(本発明に相当しない)、C(本発明に相当する)の性能は種々の石油残渣の水素化処理の固定床のパイロットテストでの間で比較された。最初の例では中東原産(アラビアン ライト)の常圧蒸留の残渣(AR)を実施し、その後、ベネズエラの極重質粗常圧蒸留の残渣(ボスカン)で実施した。これらの二つの残渣は高い粘度、高いコンラドソン炭素数、高いアスファルテン含有量で特徴付けられる。RAボスカンはまた非常に高いニッケルとバナジウム含有量を有する。
【0158】
これらの残渣の特徴を表6に示す。
【表6】

【0159】
テストは、固定床のチューブ状の反応装置を含む水素化処理パイロット装置で実施された。反応装置は1リットルの触媒が充填された。反応装置内での液体の流れは(残渣+水素)は上向きである。このタイプのパイロット装置は、固定床残渣水素化変換のためのIFPからのHYVAHLの装置の反応装置の一つの操作を代表する。
【0160】
350℃の最終温度で反応装置内でジメチルジスルフィドを補給された軽油留分を循環することによる硫化の工程の後で、装置は、370℃で、HSV(原料l/触媒l/h)が0.5で全圧力が150バールの条件で、アラビアライトの常圧蒸留残渣を300時間、運転した。水素の流速は、原料供給に対して1000l/lの比である。ALARを用いたテスト条件は等温で、これは異なった時期の性能を直接比較することで触媒の不活性化の測定を可能にする。時期(ages)はアラビアン ライト常圧蒸留の残渣を用いた操作の時間で表わされ、テスト温度(370℃)に到達した時をゼロ時間にする。
【0161】
HDM,HDASC7、HDCCRの性能は以下に定義する。
【0162】
HDM(重量%)=(((Ni+V、重量ppm)原料−(Ni+V、重量ppm)テスト)/(Ni+V,重量ppm)原料)×100
HDSAC7(wt%)=(((n−ヘプタンに不溶のアスファルテンのwt%)原料−(n−ヘプタンに不溶のアスファルテンのwt%)テスト)/(n−ヘプタンに不溶のアスファルテンのwt%)原料)×100
HDCCR(wt%)=(((CCRのwt%)原料−(CCRのwt%)テスト)/(CCRのwt%)原料)×100
表7は、テスト開始(50時間)とテスト終了(300時間)での触媒A,B、CのHDM,HDASC7,HDCCRの性能を比較している。
【表7】

【0163】
次いで、原料は、ボスカン常圧蒸留の残渣に変えられる。テスト条件はサイクルの間中約80重量%の一定のHDM比を維持することを目的とする。最後に触媒の不活性化は反応温度を漸次上げることで埋め合わされた。テストは、反応温度が420℃に達すると中止にされた。この温度は工業的な残渣水素化精製装置の循環の最終における温度を表すと考えられる。
【0164】
表8は、3つの触媒に担持したボスカンARから生じたニッケル+バナジウムの量を比較した。
【表8】

【0165】
本発明の塊に担持されたHDM触媒は、ビーズに担持された触媒の性能よりも良いALARに対する初期の性能とBARに対する保持をもたらすことが明らかになる。性能と保持における増加は塊がより小さい時に良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナベースの担体と、VIB族および/またはVIII族から選ばれる少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物とを含む触媒であり、担体の細孔構造は複数の針状の小板(acicular platelets)からそれぞれ形成された複数の近接並置された (juxtaposed)塊(agglomerates)から構成され、各塊の小板はお互いに対しおよび塊の中心に対し一般に放射線状に向けられ、該担体は不規則で非球形であり、アルミナのビーズを粉砕して得られた断片(fragments)の形状を主になし、以下の工程に含まれるプロセスを使用して調製される、触媒。
a)ビーズの形状で塊を得るために、低い結晶性および/または非晶性の構造を有する活性なアルミナ粉末から造粒化を始める。
b)該ビーズを湿った雰囲気中、60℃から100℃で熟成し、次いで乾燥する。
c)該ビーズフラクションを回収するために篩にかける。
d)該フラクションを粉砕する。
e)該粉砕フラクションの少なくとも一部を250℃から900℃の範囲の温度で焼成する。
f)これを酸で含浸し、80℃から250℃の範囲の温度で水熱処理をする。
g)これを乾燥し、次いで500℃から1100℃の範囲の温度で焼成する。
【請求項2】
ASTM D4058−96規格に則って定量された摩耗によるロスが5重量%以下である請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
ASTM D4058−96規格に則って定量された摩耗によるロスが2重量%以下である請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
規格SMS 1471−74に則ったシェル法を用いて測定した破壊強度が1.5MPaかそれ以上である請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
造粒工程a)で少なくとも一つの細孔形成剤を使用する請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
VIB族から選ばれる少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物を含む請求項1〜5の何れかに記載の触媒。
【請求項7】
VIII族(新周期表で8,9,10族と表記)から選ばれる少なくとも一つの触媒金属または触媒金属の化合物からなる請求項1〜6の何れかに記載の触媒。
【請求項8】
リン、ホウ素、ケイ素、ハロゲンからなるグループから選ばれた少なくとも一つのドーピング元素をさらに含む請求項1〜7の何れかに記載の触媒。
【請求項9】
断片の形状をなす担体が、該断片の少なくとも80%に外接する(circumscribing)球形の直径が0.05から3mmの範囲にあるものである請求項1〜8の何れか記載の触媒。
【請求項10】
沸騰床での実施において外接する球形の直径が0.3から1.5mmの範囲である請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
固定床での実施において外接する球形の直径が1.0から2.0mmの範囲である請求項9に記載の触媒。
【請求項12】
最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表わされるVIB族金属の量が、1%から20%の範囲にあり、最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表わされるVIII族金属の量が0から10%である請求項1〜11の何れかに記載の触媒。
【請求項13】
VIB族金属がモリブデンとVIII族金属がニッケルである請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
VIII族の非貴金属の量が1重量%から4重量%の範囲にある請求項1〜13の何れかに記載の触媒。
【請求項15】
ドーピング元素がリンで、最終の触媒の重量に対する酸化物の重量%で表わされるリンの量が0.3%から10%である請求項1〜14の何れかに記載の触媒。
【請求項16】
リンの量が1.2重量%から4重量%の範囲にある請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
さらにホウ素、ケイ素、ハロゲンから形成されるグループから選ばれた少なくとも一つのドーピング元素を含み、かつ、最終の触媒重量に対する酸化物の重量%で表わされる量が、それぞれホウ素が6%以下、ハロゲンが5%以下、ケイ素が0.1%から10%の範囲にある請求項1〜16の何れかに記載の触媒。
【請求項18】
Hgポロシメトリー法で決定された細孔分布が以下で特徴付けられる請求項1〜17の何れかに記載の触媒。
・100Å以下の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の0から10%の間にあり、
・100から1000Åの間の直径を有する細孔が全細孔体積の40から90&の間にあり、
・1000から5000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から60%の間にあり、
・5000から10000Åの間の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から50%の間にあり、
・10000Å以上の平均の直径を有する細孔が全細孔体積の5から20%の間にある。
【請求項19】
沈降した(settled)充填密度が0.35から0.80g/cmの範囲であり、水銀ポロシメトリーで決定された全細孔体積が0.4から1.8cm/gの範囲である請求項1〜18の何れかに記載の触媒。
【請求項20】
VHg/2の細孔直径が300から700Åの範囲にある請求項1〜19の何れかに記載の触媒。
【請求項21】
造粒工程a)で、活性アルミナが水溶液を用いて湿らされ次いで造粒機で塊にされる((agglomerated)請求項1〜20の何れかに記載の触媒。
【請求項22】
工程f)で、担体のアルミナの少なくとも一部を溶解させる少なくとも一つの酸と、該酸とは異なりかつ溶液中でアルミニウムイオンと結合できるアニオンを供給する少なくとも一つの化合物とを含む水溶液で、粉砕フラクションが含浸される請求項1〜21の何れかに記載の触媒。
【請求項23】
工程g)の最終的に得られた担体が、少なくとも一つの触媒金属と任意に少なくとも一つのドーパントの少なくとも一つの溶液で含浸される請求項1〜22の何れかに記載の触媒。
【請求項24】
担体の含浸の後、湿った固体を10℃から80℃の範囲の温度で湿った雰囲気に置き、得られた湿った固体を60℃から150℃の範囲の温度で乾燥し、得られた固体を乾燥の後150℃から800℃の範囲の温度で焼成する請求項23に記載の触媒。
【請求項25】
請求項1〜24の何れかに記載の触媒を用いて金属含有重質炭化水素原料を水素化処理および/または水素化変換する製法。
【請求項26】
該触媒が、沸騰床方式で、温度が320℃から470℃の範囲の温度で、水素分圧が3MPaから30MPaの間で、原料体積/触媒体積/時間の空間速度が約0.1から10で、液状の炭化水素の原料に対する気体の水素の比が100から3000の標準立方メーター/立方メーターの範囲で使用される請求項25に記載の製法。
【請求項27】
該触媒が、沸騰床方式で、温度が320℃から450℃の範囲の温度で、水素分圧が3MPaから30MPaの間で、原料体積/触媒体積/時間の空間速度が約0.05から5で、液状の炭化水素の原料に対する気体の水素の比が200から5000の標準立方メーター/立方メーターの範囲で使用される請求項25に記載の製法
【請求項28】
該触媒が部分的に断片の形状と部分的にビーズの形状または円柱状の押出品の形状で使用される請求項23に記載の製法。

【公表番号】特表2009−520593(P2009−520593A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546509(P2008−546509)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002765
【国際公開番号】WO2007/080288
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(500393413)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (32)
【Fターム(参考)】