説明

両親媒性マルチブロックコポリマーを含むレンズ

疎水性セグメント及び親水性セグメントを含む両親媒性マルチブロックコポリマーの使用。両親媒性マルチブロックコポリマーは、眼科デバイス、たとえば、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜インプラントなどを形成する際のコモノマーとして、フリーラジカル反応に参加することができる少なくとも1つのチオカルボニルチオ基を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)−含有ブロックコポリマーは、多くの様々な用途に対する機会を与える独特の特性のために、興味深くなってきている。PDMS−含有マクロ分子の格別の特性としては、熱照射及びUV照射に対する高い安定性、低い融点及び高いガラス転移温度、非常に低い表面張力及び良好な通気性が挙げられ、そして、重要なことには、PDMS−マクロ分子は無毒性でありかつ生体適合性であることである。これらの有用かつよく確立された特性のために、ポリジメチルシロキサンは様々なバイオメディカル用途において広く使用されてきたが、用途によっては、その疎水性がしばしば問題となる。このことはポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(PDMA)などの親水性ポリマーを取り込むことにより克服されることができ、そのような親水性ポリマーはマクロ相分離を回避するためにブロックコポリマー中に組み合わされるならば、PDMS相を水中で膨潤させることができそして湿潤化可能にするはずである。これらの2つのポリマーの組み合わせは、また、様々な新規の用途を開く。たとえば、広い範囲の特性を示すが、生体適合性の基本的要求を維持しそしてしばしば、幾つかの他の特性、たとえば、血液適合性、生理学的不活性、酸素透過性、湿潤化性、低弾性率ならびに熱安定性及び酸化安定性を維持する新規の材料の開発が益々必要になる。これらは、しばしば、人工補綴物、インプラント及び眼科用途などの用途で使用される材料のキーパラメータである。
【0002】
ブロックコポリマー中にPDMSセグメントを導入する合成方法はPDMSをスチレン、ポリアミド、イミン及び幾つかのメタクリレートを含む様々なポリマーと組み合わせることを含む。これらのポリマーを合成するために、様々な方法が使用されてきており、その方法としてはリビングラジカル重合技術をベースとするものが挙げられる。その中で、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合及び原子移動ラジカル重合(ATRP)は特にPDMSを含むブロックコポリマーを合成するために最も広く研究されてきた。たとえば、MatyjaszewskiらのJ. Chem. Rev. 2001, 101, 2921-2990はATRPを用いてPDMS−ポリスチレンをベースとするブロックコポリマーを合成している。HaddletonらのJ. Polym. ScL Part A: Polym. Chem. 2001, 39, 1833-1842もATRPを用いてPDMS−ポリ(メチルメタクリレート)トリブロックコポリマーならびにPDMS−ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)を合成しており、そしてそのバルク特性及び表面特性の予備報告を開示している。第三に、RAFT方を用いることにより、PaiらのPolymer 2004, 45, 4383-4389はPDMS−をベースとするトリブロックコポリマーを調製しており、ここで、外側のブロックはN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)及び2−(N−ブチルペルフルオロオクタンフルオロスルホンアミド)エチルアクリレートの2つのモノマーからなる統計コポリマーであった。最近、KennedyらのJ. Polym. Sci .Part A: Polym. Chem. 2007, 45, 4284-4290はRAFT重合によってPDMS−b−PDMS−b−PDMAトリブロックコポリマーを合成し、それは新規のメタクリレート(MA)テレケリック両親媒性ペンタブロックMA−b−PHEA−b−PDMA−b−PDMS−b−PDMA−b−PHEA−MAの合成のための前駆体として使用された。これらの研究の各々において、単官能化もしくは二官能化PDMSマクロ開始剤を用いて、続いて生じるトリブロックコポリマーを成長させた。
【0003】
ジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーはそれら自体が多くの興味深い特性を有するが、(AB)nの形を取る繰り返し単位を有するマルチブロックコポリマーも、魅力的な特性を有し、より単純な類似体とは異なるモルホロジーとなる可能性が潜在的にある。たとえば、このようなマルチブロックコポリマーは凝縮相中に二次的な周期的なミクロドメイン構造を有することが期待される。しかしながら、ジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーと比較して、マルチブロックコポリマー(特にビニルモノマー単位を含むマルチブロックコポリマー)には焦点が当てられていなかった。というのは、このようなマルチブロックコポリマーは合成するのが困難である可能性があるからである。PDMS及びPDMAを含む両親媒性マルチブロックコポリマーは合成されていた。
【0004】
眼科レンズなどのメディカルデバイスは、一般に、2つの主要なクラス、すなわち、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルに小分割されることができる。非ヒドロゲルは評価可能な量の水を吸収せず、一方、ヒドロゲルは水を吸収しそれを平衡状態に保持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒドロゲルはソフトコンタクトレンズ材料として広く使用されている。コンタクトレンズの表面の親水性を増加させることにより、コンタクトレンズの湿潤性が改良されることが知られている。このことは、また、コンタクトレンズの装着快適性と関連している。さらに、レンズの表面はレンズ装着の間の涙液からのタンパク質及び脂質の付着に対するレンズの全体的な感受性に影響を及ぼすことがある。蓄積した付着物は目に不快感を生じさせ又はさらには炎症を生じさせることができる。長時間装着レンズ(すなわち、睡眠前にレンズを毎日取り外すことなく使用されるレンズ)では、表面は特に重要である。というのは、長時間装着レンズは高水準の快適性及び長時間にわたる生体適合性を得るように設計されなければならないからである。このため、改良された表面品質を生じることができる新規の製剤は当該技術分野においてなおも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中において、両親媒性マルチブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーを含む眼科デバイスが実施形態として開示される。本明細書中の詳細な説明及び実施例はPDMS−PDMAブロックコポリマーに関するものであるが、それらは本発明を限定することが意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1はPDMSジオールから出発するエステルをベースとする多官能マクロRAFT剤の合成の模式図である。
【図2】図2はヒドロキシプロピル末端PDMS3b(A)、ヒドロキシプロピル末端PDMSとトリチオカーボネートとの縮合の粗生成物1(B)、及び、精製済みPDMSマクロRAFT剤4b(C)のGPCトレースである。
【図3】図3はアミドをベースとする多官能マクロRAFT剤6a〜cの合成の模式図である。
【図4】図4はPDMS−PDMAマルチブロックコポリマー7a〜c及び8a〜cの合成の模式図である。
【図5】図5はPDMS−PDMAマルチブロックコポリマー8bのH NMRスペクトルである。
【図6】図6はエステルをベースとする二官能マクロRAFT剤11bの合成の模式図である。
【図7】図7は二官能エステルをベースとするマクロRAFT剤11bのクロマトグラフィーである。
【図8】図8は二官能RAFT剤11bのH NMRスペクトルである。
【図9】図9は二官能RAFT剤11bの13C NMRスペクトルである。
【図10】図10はアミドをベースとする二官能マクロRAFT剤13bの合成の模式図である。
【図11】図11はスキーム5において示される二官能アミドをベースとするマクロRAFT剤13bのカラムクロマトグラフィーにより得られたGPCトレースである。
【図12】図12はPDMS−PDMAトリブロックコポリマーの合成の模式図である。
【図13】図13はエステルをベースとする二官能マクロRAFT剤11bの延長である。
【図14】図14はPDMS−PDMAトリブロックコポリマー(DMA/マクロRAFT剤比=80)のH NMRスペクトルである。
【図15】図15はPDMS−PDMAトリブロックコポリマー(DMA/マクロRAFT剤比=400)のH NMRスペクトルである。
【図16】図16はPDMS−PDMAトリブロックコポリマー(DMA/マクロRAFT剤比=80)のH NMRスペクトルである。
【図17】図17はPDMS−PDMAトリブロックコポリマーの13C NMRスペクトルである。
【図18】図18は摩擦係数(COF)対時間の実施例プロットであり、静的(ピーク)及び動的(平均)COF値について得られた値の元を示している。
【図19】図19は正規化静的COF値を示すチャートである。
【図20】図20は正規化動的COF値を示すチャートである。
【図21】図21はDP−02−047の1H NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中において、疎水性セグメント及び親水性セグメントを含む両親媒性マルチブロックコポリマーであって、フリーラジカル反応に参加することができる少なくとも1個のチオカルボニルチオ基を有する両親媒性マルチブロックコポリマーを含む眼科デバイスが開示される。
【0009】
本発明において有用な生体材料の例はKunzlerらの米国特許第5,908,906号明細書、Kunzlerらの同第5,714,557号明細書、Kunzlerらの同第5,710,302号明細書、Laiらの同第5,708,094号明細書、Bamburyらの同第5,616,757号明細書、Bamburyらの同第5,610,252号明細書、Laiの同第5,512,205号明細書、Laiの同第5,449,729号明細書、Kunzlerらの同第5,387,662号明細書及びLaiの同第5,310,779号明細書に教示されており、その特許明細書をあたかもその長さで示されているように本明細書中に参照により取り込む。
【0010】
剛性通気性(RGP)材料は、通常、5wt%未満の水を含む疎水性架橋ポリマー系を含む。本発明により有用なRGP材料としては、Ellisの米国特許第4,826,936号明細書、Ellisの同第4,463,149号明細書、Ellisの同第4,604,479号明細書、Ellisらの同第4,686,267号明細書、Ellisの同第4,826,936号明細書、Ellisらの同第4,996,275号明細書、Baronらの同第5,032,658号明細書、Bamburyらの同第5,070,215号明細書、Valintらの同第5,177,165号明細書、Baronらの同第5,177,168号明細書、Valintらの同第5,219,965号明細書、McGee及びValintの同第5,336,797号明細書、Laiらの同第5,358,995号明細書、Valintらの同第5,364,918号明細書、Bamburyらの同第5,610,252号明細書、Laiらの同第5,708,094号明細書及びValintの同第5,981,669号明細書に教示されている材料が挙げられる。Ellisらの米国特許第5,346,976号明細書はRGP材料を製造するための好ましい方法を教示している。
【0011】
本発明は剛性又は軟質のいずれかの様々なポリマー材料に応用可能である。特に好ましいポリマー材料はコンタクトレンズ、有水晶体眼内レンズ及び無水晶体眼内レンズならびに角膜インプラントを含む眼科デバイスであるが、生体材料を含むすべてのポリマー材料は本発明の範囲に含まれるものと考えられる。ヒドロゲルは、平衡状態で水を含む、水和された架橋ポリマー系を含む。このようなヒドロゲルはシリコーンヒドロゲルであることができ、それは、一般に、約5質量%を超え、そしてより一般的には約10〜約80質量%である含水率を有する。このような材料は、通常、少なくとも1種のシロキサン含有モノマー及び少なくとも1種の親水性モノマーを含む混合物を重合することで調製される。シリコーンヒドロゲルの生成における使用のための応用可能なシロキサン含有モノマー単位は当該技術分野においてよく知られており、そして多くの例は米国特許第4,136,250号明細書、同第4,153,641号明細書、同第4,740,533号明細書、同第5,034,461号明細書、同第5,070,215号明細書、同第5,260,000号明細書、同第5,310,779号明細書及び同第5,358,995号明細書に提供されている。さらに、特定のフッ素化側基、すなわち、−(CF)−Hを有するシロキサン含有モノマーの使用は、米国特許第5,387,662号明細書及び同第5,321,108号明細書に記載されているとおり、親水性モノマー単位とシロキサン含有モノマー単位との間の相容性を改良することが発見されている。
【0012】
本発明の両親媒性マルチブロックコポリマーの疎水性セグメントは好ましくは市販のポリマー疎水性材料から得られ、そしてポリシロキサン、ペルフルオロ化ポリエーテル及びヒドロキシル末端ポリジエンからなる群より選ばれる。ポリシロキサンは化学式[RSiO](式中、Rはメチル、エチル及びフェニルなどの有機基である)を有する混合無機−有機ポリマーである。これらの材料は無機のケイ素−酸素骨格と、4配位であるケイ素原子に結合した有機側基とからなる。ある場合には、有機側基はこのような−Si−O−骨格の2つ以上を結合するために使用されうる。−Si−O−鎖長、側基及び架橋を変更することにより、様々な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができる。ポリシロキサンはGelest, Inc., Morrisville, PAなどの供給者から市販されている。ペルフルオロポリエーテル(PFPE)はエポキシドを重合することにより製造された付加ポリマーをフッ素化することで調製され、そしてAusimont 及びDuPontによりそれぞれ製造されるFomblin及びKrytoxの商品名で市販されている。ヒドロキシル末端ポリジエンは、ヒドロキシル末端ポリブタジエン(HTPB)を含むであろう。HTPBは各末端でヒドロキシル官能基を末端とするブタジエンのポリマーである。それはポリオールとして知られるクラスのポリマーに属する。HTPBは透明で、粘性の液体であって、その一般的な特性は正確に記載されることができない。というのは、HTPBは特定の要求を満たすために様々なグレードで製造されているからである。このため、HTPBはあるクラスの化合物の一般名である。
【0013】
疎水性セグメントに加えて、本発明の両親媒性マルチブロックコポリマーは、また、ブロックコポリマーが相補的な官能基を含む基材と共有結合されるときに良好な表面特性を示す親水性ドメインを含むであろう。親水性ドメインは少なくとも1つの親水性モノマー、たとえば、HEMA、グリセロールメタクリレート、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド又はN,N’−ジメチルアクリルアミド、それらのコポリマー、親水性プレポリマー、たとえば、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、たとえば、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、又は、それらの誘導体を含むであろう。なおもさらなる例は親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーである。親水性モノマーは非イオン性であることができ、たとえば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(メタ)アクリレート)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N−ビニル−2−ピロリドン(又は他のN−ビニルラクタム)、N−ビニルアセトアミド及びそれらの組み合わせである。親水性モノマーのなおもさらなる例は米国特許第5,070,215号明細書に開示されているビニルカーボネート及びビニルカルバメートモノマー、そして米国特許第4,910,277号明細書に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。これらの特許の内容を参照により本明細書中に取り込む。親水性モノマーは、また、アニオン性モノマーであることができ、たとえば、2−メタクリロイルオキシエチルスルホネート塩である。アクリル酸及びメタクリル酸などから誘導される置換アニオン性親水性モノマーも使用でき、ここで、置換基は容易な化学プロセスによって除去されうる。このような置換アニオン性親水性モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸のトリメチルシリルエステルが挙げられ、それは加水分解されて、アニオン性カルボキシル基が再生される。親水性モノマーは、また、カチオン性モノマーであることができ、カチオン性モノマーは3−メタクリルアミドプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩、2−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩及び3−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミンなどのアミン含有モノマーからなる群より選ばれる。他の適切な親水性モノマーは当業者に明らかであろう。
【0014】
本発明の両親媒性マルチブロックコポリマーのフリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基はジチオエステル、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート及びキサンテートからなる群より選ばれ、それは、制御されたフリーラジカル重合において使用される移動剤として作用する。
【0015】
この研究において、我々は、S,S’−ビス(α、α’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネート(I)をトリチオカルボニル基の便利な源として使用した。連鎖移動剤はLaiらのMacromolecules 2002, 35, 6754-6756によって報告されているワンポット合成によって合成された。1の対称構造は両方向に鎖延長されるのに理想的に適しており、そしてアクリルアミドのラジカル重合において高い連鎖移動効率を有することから選択された。また、良好に規定されたマルチブロック両親媒性ブロックコポリマーはマクロRAFT剤としてチオカーボネート−組み込みポリ(エチレンオキシド)を用いてうまく調製されうることが文献から知られている。我々は、ここに、ヒドロキシル又はアミノプロピル末端PDMS残基により結合された新規の多官能及び二官能CTAの合成のための単純かつ効率的な手順を報告する。このように合成されるテレケリックポリマーはN,N−ジメチルアミノアクリルアミドの可逆性付加開裂連鎖移動重合におけるマクロ分子連鎖延長剤であり、その連鎖移動剤は単峰型分子量分布を有する様々な組成の(AB)n型マルチブロック及びABA−型トリブロックコポリマーを合成することができる。
【0016】
ジオール−PDMS前駆体から誘導される多官能PDMSマクロRAFT剤
多官能チオカルボニルチオマクロRAFT剤は、HillmyerらのMacromolecules 2005, 38, 7890-7894によって報告されている手順に従って、若干の変更を行い、様々なモル質量(Mn=1000、2100、5000g/モル)の市販の前駆体ヒドロキシプロピル末端PDMSをトリチオカーボネートにカップリングすることで合成される。RAFT剤1と塩化オキサリルとを3時間の還流下で反応させ、次いで、真空下で過剰量の塩素化剤を除去することで、定量的収量でアセチル塩化物が提供された。ポリマートリチオカーボネート取り込みPDMSマクロRAFT剤は、塩基としてトリエチルアミンを用いて0℃で塩化メチレン中でα,ω−ジヒドロキシプロピルPDMSをトリチオカーボネートとカップリングさせることでポリエステル化によって合成される。フラッシュクロマトグラフィーによって、最初に、未反応PDMSジオールから溶離して多官能マクロRAFT剤を分離させることができた。
【0017】
ヒドロキシプロピル末端PDMS及びその対応するマクロRAFT剤の数平均分子量(Mn)及び多分散(Mw/Mn)をGPCデータから得た。ここで、PDMS前駆体は数平均分子量(Mn)が2100g/モルであり、多分散が1.2であった。重縮合の後に、粗生成物についてのより広くかつ多峰型トレースが現れた。このことは、より高い分子量の所望の主要生成物が未反応PDMSジオール、及び、おそらく、マクロRAFT剤中のエステル基の部分的な塩基加水分解によって形成された、分解PDMS副生成物と混合していることを示す。精製されたPDMSマクロRAFT剤の分子量及び多分散はそれぞれ7,500g/モル及び1.18であることが決定された。
【0018】
GPCから得られたPDMS前駆体の分子量と、PDMSマクロRAFT剤の分子量とを比較することにより、トリチオカーボネート基によって結合された約3〜4のプレポリマーPDMSブロックが存在することが計算される。マクロRAFT剤(PDMS−RAFT)nのH NMRはPDMSプレポリマー鎖中にトリチオカーボネート部分を取り込んでいることを確認した。
【0019】
PDMSジオールに適用したのと同一の手順を出発材料としてPDMSジアミンで繰り返してジアミンタイプのRAFT剤を得た。市販のジアミン出発材料の分子量はそれぞれ1000、2000及び5000で、多分散は2.3であった。生成物の構造をプロトン及び炭素NMR分光測定法ならびにGPC分析によって確認した。
【0020】
PDMS−PDMAマルチブロックコポリマーの合成
PDMS−をベースとするマクロRAFT剤の存在下でDMAのすべての重合をTHF中で60℃で行った。最初に、モノマー/RAFT剤のモル比を80:1に設定し、そして開始剤/RAFT剤モル比を約1:10〜1:5に設定し、AIBNから誘導される鎖の画分を最少化した。次に、同一の条件下(THF、60℃、AIBN)に、DMAを重合したが、モノマー/RAFT剤モル比を変更した。すべての重合を高転化率(70〜90%)で進行させた。
【0021】
THF溶液をヘキサン又はジエチルエーテル中に再沈殿させることでポリマーを単離しそして精製した。ブロックコポリマー中の2つのモノマーの溶解度の変化のために、GPC分析はたたみ込まれるが、基本GPCデータを得ることができた。エステルをベースとするマクロRAFT剤から誘導されるポリマーはアミドをベースとするマクロRAFT剤から得られるポリマー(多分散が約2.3であった)と比較して、低い多分散(通常、1.2〜1.4)を有する。溶離プロファイルは、GPCトレースが、通常、高いモル質量側で小さいショルダーを示す最も高い分子量のポリマーの場合を除いて、特にエステルRAFTから得られるポリマーでは単峰状でかつ対称的であった。
【0022】
二官能チオカルボニルチオRAFT剤は、Lai ら, Macromolecules 2002, 35, 6754-6756によって報告されているワンポット手順によってS−1−ドデシル−S’−(α,α’−ジメチル−α,α”−酢酸)−トリチオカーボネートの調製を行い、次いで、カップリングの前に、対応するアシル塩化物への転化により活性化されたPDMSジオールのジエステル化を行うことを含む2工程手順により合成された。PDMS前駆体のヒドロキシル基に対して1.25倍モル過剰のアシル塩化物を添加して、PDMS末端基の完全な転化を確保した。過剰のアシル塩化物を、反応の最後に過剰量で添加したメタノールでクエンチした。結果として、トリチオカーボネート二酸のあるメチルエステルが副生成物として生成した。
【0023】
アミドをベースとするマクロRAFT剤を合成した。アシル塩化物による市販の末端ジアミン(Mn=2500g/モル)のアミド化はスムーズに進行して、ヘキサン/CHClを溶離剤(勾配溶離50〜100v/v%のヘキサン/CHCl)として用いたシリカゲル上での粗反応混合物のカラムクロマトグラフィーの後に、80%単離収率で生成物を与えた。マクロRAFT剤の構造はプロトン及び炭素NMR分光測定法ならびにGPC分析によって確認された。
【0024】
重合性組成物は、さらに、必要なときに、そして本発明の目的及び効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤及び潤滑剤などの様々な添加剤を含むことができる。
【0025】
本発明において、重合性組成物は、得られるポリマー成形品の最終使用などによって、上記の1種又は少なくとも2種のコモノマー及びオリゴマー及び官能化界面活性剤、そして要求される場合には、1種以上の架橋剤を用いることにより調製されうる。
【0026】
ポリマー成形品が、たとえば、メディカル製品、特に、コンタクトレンズである場合には、重合性組成物は1種以上のケイ素化合物、たとえば、シロキサニル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリルアミド及びシリコーンオリゴマーから適切に調製され、それにより、高酸素透過率のコンタクトレンズが得られる。
【0027】
本発明のモノマー混合物は架橋剤、内部湿潤剤、親水性モノマー単位、強化剤、及び、当該技術分野においてよく知られた他の成分などの追加の成分を含むことができる。
【0028】
必須ではないが、本発明の範囲内の組成物は強化剤を含んでよく、好ましくは、80質量%未満の量、たとえば、約5〜約80質量%、そしてより通常には、約20〜60質量%の量で含んでよい。適切な強化剤の例は米国特許第4,327,203号明細書中に記載されている。これらの強化剤としては、シクロアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、たとえば、メチルアクリレート及びメチルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソプロピルシクロペンチルアクリレート、t−ペンチルシクロヘプチルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソヘキシルシクロペンチルアクリレート及びメチルイソペンチルシクロオクチルアクリレートが挙げられる。適切な強化剤のさらなる例は米国特許第4,355,147号明細書中に記載されている。この文献は多環式アクリレートもしくはメタクリレート、たとえば、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート及びジシクロペンタジエニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート及びアダマンチルメタクリレート、ならびに、イソピノカンフィルアクリレート及びイソピノカンフィルメタクリレートを記載している。強化剤のさらなる例は米国特許第5,270,418号明細書中に提供されている。この文献は枝分かれアルキルヒドロキシルシクロアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミドを記載している。代表的な例としては、4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE)、4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート、メタクリルオキシアミノ−4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキサン、6−イソペンチル−3−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、及び、メタクリルオキシアミノ−2−イソヘキシル−5−ヒドロキシシクロペンタンが挙げられる。
【0029】
内部湿潤剤もこのようなヒドロゲル組成物の湿潤性を増加させるために使用されうる。適切な内部湿潤剤の例としては、米国特許第4,652,622号明細書中に記載されるようなN−アルキエノイルトリアルキルシリルアミネートが挙げられる。これらの剤は下記一般式
CH=C(E)C(O)N(H)CH(G)(CHC(O)OSi(V)
(式中、Eは水素又はメチルであり、
Gは(CHC(O)OSi(V)又は水素であり、
Vはメチル、エチル又はプロピルであり、
qは1〜15の整数であり、
rは1〜10の整数であり、
q+rは1〜15の整数である)で示すことができ、以下においてNATAと呼ぶ。
【0030】
アクリルオキシ−及びメタクリルオキシ−モノ及びジ−カルボキシルアミノ酸(以下において、NAA)はポリシロキサンポリマーに対して望ましい表面湿潤化特性を付与するが、重合が完了する前にシロキサンモノマーを含まないモノマー混合物から沈殿する。NAAは変性されてトリアルキルシリルエステルを生成することができ、それはポリシロキサンポリマー中にもっと容易に取り込まれる。好ましいNAAはトリメチルシリル−N−メタクリルオキシグルタメート、トリエチルシリル−N−メタクリルオキシグルタメート、トリメチル−N−メタクリルオキシ−6−アミノヘキサノエート、トリメチルシリル−N−メタクリルオキシ−アミノドデカノエート及びビス−トリメチルシリル−N−メタクリルオキシアスパルテートである。
【0031】
好ましい湿潤化剤としては、また、アクリル酸及びメタクリル酸ならびにそれらの誘導体が挙げられる。通常、このような湿潤化剤は組成物の5質量%未満を構成する。
【0032】
他の好ましい内部湿潤剤としては、1989年3月7日に発行されたFriendsらの米国特許第4,810,764号明細書中に記載されるようなオキサゾロンが挙げられ、その内容を参照により本明細書中に取り込む。これらの好ましい内部湿潤剤としては、特に、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン(IPDMO)、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン(VDMO)、シクロヘキサンスピロ−4’−(2’−イソプロペニル−2’−オキサゾール−5’−オン)(IPCO)、シクロヘキサンスピロ−4’−(2’−ビニル−2’−オキサゾール−5’−オン)(VCO)及び2−(1−プロペニル)−4,4−ジメチル−オキサゾール−5−オン(PDMO)が挙げられる。このようなオキサゾロンの調製は当該技術分野において知られており、そして米国特許第4,810,764号明細書中に記載されている。
【0033】
これらの好ましい内部湿潤剤は、特に好ましい湿潤剤となる2つの重要な特徴を有する:(1)比較的に無極性でありそして疎水性モノマー(ポリシロキサン及び強化剤)と相容性がある、及び(2)穏やかな加水分解時に高度に極性のアミノ酸に転化され、それにより、実質的な湿潤化特性が付与される。他の成分の存在下に重合されると、コポリマーが生成される。これらの内部湿潤剤はポリシロキサンモノマーの末端及び強化剤と炭素−炭素二重結合によって重合し、バイオメディカルデバイス、特に、コンタクトレンズにおいて特に有用なコポリマー材料を生成する。
【0034】
示されるとおり、主題のヒドロゲル組成物は、親水性モノマー単位を含む。適切な親水性モノマー単位の例として、米国特許第4,259,467号明細書、同第4,260,725号明細書、同第4,440,918号明細書、同第4,910,277号明細書、同第4,954,587号明細書、同第4,990,582号明細書、同第5,010,141号明細書、同第5,079,319号明細書、同第5,310,779号明細書、同第5,321,108号明細書、同第5,358,995号明細書、同第5,387,662号明細書に記載されているものが挙げられ、それらの明細書のすべてを参照により本明細書中に取り込む。好ましい親水性モノマーの例としては、アクリル−及びビニル含有モノマーの両方、たとえば、親水性アクリル−、メタクリル−、イタコン−、スチリル−、アクリルアミド−、メタクリルアミド−及びビニル含有モノマーが挙げられる。
【0035】
好ましい親水性モノマーは、アクリル又はビニル含有のいずれであってもよい。このような親水性モノマーは、それら自体が架橋剤として使用できる。用語「ビニルタイプ」又は「ビニル含有」モノマーは、ビニル基(CH=CQH)を含有するモノマーを指し、そして一般に高度に反応性である。このような親水性ビニル含有モノマーは、比較的に容易に重合することが知られている。「アクリルタイプ」又は「アクリル含有」モノマーは下記式により示されるアクリル基を含むモノマーである。
【0036】
【化1】

【0037】
上式中、Xは好ましくは水素又はメチルであり、Yは好ましくは−O−、−OQ−、−NH−、−NQ−及び−NH(Q)−であり、Qは、通常、アルキル又は置換アルキル基である。このようなモノマーは容易に重合することが知られている。
【0038】
本発明のヒドロゲル中に取り込まれることができる好ましい親水性ビニル含有モノマーとしては、N−ビニルラクタム(たとえば、N−ビニルピロリドン(NVP))、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド)などのモノマーが挙げられ、NVPは最も好ましい。
【0039】
本発明のヒドロゲル中に取り込まれることができる好ましい親水性アクリル含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリル酸及びアクリル酸などの親水性モノマーが挙げられ、DMAは最も好ましい。
【0040】
適切なエチレン系不飽和親水性モノマーとしては、エチレン系不飽和ポリオキシアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(HEMA)及びN−アルキル−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。エチレン系不飽和は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレニル、アルケニル、ビニルカーボネート及びビニルカルバメート基によって提供されうる。好ましい親水性マクロモノマーとしては、分子量が200〜10,000であるメトキシポリオキシエチレンメタクリレートが挙げられ、より好ましいのは分子量が200〜5,000であるメトキシポリオキシエチレンメタクリレートであり、最も好ましいのは分子量が400〜5,000のメトキシポリオキシエチレンメタクリレートである。さらなる好ましい親水性マクロモノマーとしては、分子量が500〜10,000であるポリ(N−ビニルピロリドン)メタクリレートが挙げられる。より好ましいのは、分子量が500〜5,000であるポリ(N−ビニルピロリドンメタクリレート)であり、そして最も好ましいのは分子量が1000〜5,000のポリ(N−ビニルピロリドン)メタクリレートである。他の好ましい親水性マクロモノマーとしては、分子量が500〜10,000であるポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドメタクリレート)が挙げられる。より好ましいのは分子量が500〜5,000のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドメタクリレート)であり、最も好ましいのは分子量が1000〜5,000のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドメタクリレート)である。
【0041】
適切なエチレン系不飽和疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカルバメート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、N−フルオロアルキルビニルカーボネート、N−フルオロアルキルビニルカルバメート、シリコーン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、スチレン系モノマー(スチレン、α−メチルスチレン、ρ−メチルスチレン、ρ−t−ブチルモノクロロスチレン及びρ−t−ブチルジクロロスチレンからなる群より選ばれる)及びポリ[オキシプロピレン(メタ)アクリレート]が挙げられる。好ましい疎水性モノマーとしては、メチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ペルフルオロオクチルメタクリレート、メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)が挙げられる。
【0042】
アクリル含有モノマー及びビニル含有モノマーの両方が本発明に取り込まれる場合に、ビニル重合性基及びアクリル重合性基の両方を有するさらなる架橋剤を用いてよく、たとえば、1994年5月10日に発行された米国特許第5,310,779号明細書の主題である架橋剤であり、その全内容を参照により本明細書中に取り込む。このような架橋剤は、得られるコポリマーを完全にUV−硬化性とするのを助ける。しかしながら、コポリマーは、また、加熱により単独で、又は、UV及び加熱履歴の組み合わせで硬化されうる。コポリマーを硬化させるために要求される光開始剤及び/又は熱開始剤は、当業者によく知られているとおり、モノマー混合物中に含まれるであろう。シリコーン含有ヒドロゲル中に取り込まれうる他の架橋剤としては上記のものが挙げられる。組成物の湿潤性を増加させるための他の技術も本発明の範囲内で使用されてよく、たとえば、当該技術分野においてよく知られているプラズマ表面処理技術は使用されてよい。
【0043】
特に好ましいヒドロゲル組成物は約0.1〜約50質量%の両親媒性マルチブロック及びトリブロックコポリマー、約0.1〜約30質量%の両親媒性マルチブロック及びトリブロックコポリマー、約0.1〜約4.9質量%の両親媒性マルチブロック及びトリブロックコポリマーを含む。
【0044】
本発明において使用されるモノマー混合物はエチレン系不飽和化合物を重合する際に一般的に使用されているようなUV重合又は熱重合又はそれらの組み合わせなどの従来の方法によって所望の形状に容易に硬化されうる。代表的なフリーラジカル熱重合開始剤は有機過酸化物、たとえば、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、ペルオキシジカーボネートなどであり、合計モノマー混合物の約0.01〜1質量%の濃度で使用される。
【0045】
代表的なUV開始剤は当該分野において知られているものであり、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ダロキュア(DAROCUR)1173、1164、2273、1116、2959、3331(EM Industries)及びイルガキュア(IRGACUR)651及び184(Ciba-Geigy)である。
【0046】
両親媒性マルチブロック及びトリブロックコポリマーの他のコモノマーとの重合は、一般に、希釈剤の存在下に架橋剤とともに行われる。その後、重合生成物はゲルの形態となるであろう。もし希釈剤が非水性であるならば、当業者によく知られている抽出及び水和手順の使用により希釈剤ゲルを除去し、そして水で置換しなければならない。キセロゲルを製造するために希釈剤の不在下に重合を行うことも可能である。その後、これらのキセロゲルは水和されて当該技術分野においてよく知られているようなヒドロゲルを形成することができる。
【0047】
上記の重合開始剤に加えて、本発明のコポリマーは当業者に明らかなとおり、他のモノマーを含むこともできる。たとえば、モノマー混合物は、コンタクトレンズの技術において知られているような着色剤又はUV吸収剤を含むことができる。
【0048】
本発明は、 人工補綴物、たとえば、心弁及び眼内レンズ、フィルム、サージカルデバイス、心弁、血管置換物、人工尿管デバイス、人工乳房組織、及び、体の外側の体液と接触することが意図された膜、たとえば、腎臓塩析用膜及び心臓/肺機械など、カテーテル、マウスガード、義歯ライナー、眼科デバイス、特に、コンタクトレンズの製造のために有用に使用されうる材料を提供する。
【0049】
本発明のポリマーはスピンキャスト法(たとえば、米国特許第3,408,429号及び同第3,496,254号明細書に開示されている)、キャストモールディング、旋盤切削又はデバイスの製造のための他の既知の方法によって眼科デバイスに加工されうる。重合は所望の形状に対応したスピニングモールド又は静的モールドのいずれかの中で行われることができる。眼科デバイスは、必要な場合には、機械仕上げにさらに付されてよい。重合を、また、適切なモールド又は容器中で行い、ボタン、プレート又はロッドを形成することができ、その後、それを加工し(たとえば、旋盤加工又はレーザーによる切断又は研磨)、所望の形状を有する眼科デバイスを提供することができる。
【0050】
ヒドロゲル(ソフト)コンタクトレンズの形成において使用されるときに、主題のヒドロゲルは約20〜約90質量%の含水率を有することが好ましい。さらに、このようなヒドロゲルは約20g/mm〜約150g/mm、そしてより好ましくは約30g/mm〜約100g/mmの弾性率を有することが好ましい。
【0051】
本発明の例示として、幾つかの例を下記に提供する。これらの例は本発明の特定の態様をさらに例示するように機能するのみであり、本発明を限定するものと解釈されるべきでない。
【実施例】
【0052】
材料
特に指示しないかぎり、すべての試薬はSigma-Aldrichから購入され、さらなる精製なしに使用された。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用前にメタノールから再結晶化した。N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)を、抑制剤を除去するために塩基性アルミナのカラムを通過させることで精製した。ヒドロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンをSiltech Corporationから購入した。アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンをGelest Inc.から購入した。テトラヒドロフラン(THF)を使用前にCaH上で蒸留した。すべての他の溶剤は試薬グレードであり、受け取ったままのものとして使用した。
【0053】
装置
下記のものを含むモジュラー装置上でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に付した:室温で操作しているウォーターズ515高圧液体クロマトグラフィーポンプ、ウォーターズ717オートサンプラー及びビスコテックLR40屈折率計。1.0mL/分の流速でTHFを連続相として使用した。カラムを市販の直鎖ポリスチレン及びポリ(メチルメタクリレート)標品を用いて検量した。ポリマーアナライト溶液を1.0〜2.5mg/mLで調製し、そして50μlのサンプル注入体積を用いた。ポリマーのH及び13C NMRスペクトルを5mm外径(o.d.)チューブを用いてBruker Avance-400分光計で得た。サンプル濃度は、内部参照として1%TMSを含むCDCl中約25%(w/v)であった。
【0054】
例1:多官能エステルをベースとするPDMSマクロRAFT剤(4b)の合成
塩化オキサリル(5.0mL、57.3ミリモル)を攪拌しながら、室温で窒素下に維持したS,S’−ビス(α,α’−ジメチル−α”−酢酸)トリチオカーボネート1(1.0g、3.6ミリモル)に添加した。添加の最後に、得られた不均一混合物を60℃に3時間温め、明るい黄色の溶液となった。過剰の塩化オキサリルを減圧下に蒸発させ、1.05gのS,S’−ビス(α,α’−ジメチル−α”−アセチルクロリド)トリチオカーボネート(1a)を白色固形分として生じた。アセチルクロリド1aを乾燥メチレンクロリド(50mL)中に溶解させ、そしてヒドロキシプロピル末端PDMSジオール3b(6.77g、3.22ミリモル)の無水塩化メチレン200mL中の溶液中に、0℃で激しく攪拌しながら滴下して添加した。反応混合物を室温で24時間攪拌した後に、溶剤を減圧下に除去し、6.59gの黄色い粘性オイルを提供した。それをヘキサンを用いて短シリカゲルカラムをとおして溶離し、純粋な連鎖移動剤4b(4.90g)を生じた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.61 (t, 4H, 3J= 6.8 Hz, C(O)OCH2), 1.74 (s, 12H, C(S)SC(CH3)2), 1.64-1.59 (m, 4H, C(O)OCH2CH2), 0.56 (dt, 4H, 3J1= 8.4 Hz, 3J2= 4.2 Hz, (CH3)2SiOSiCH2), 0.07 (s, 6H, (CH3)2Si)。 13C NMR (200 MHz, CDCl3) δ 206.0 (s, SC(S)S C(CH3)2), 175.0 (s, C(O)O CH2CH2), 65.5 (t, C(O)O CH2CH2), 54.0 (s, SC(S)S C(CH3)2), 26.6 (t, C(O)O CH2CH2), 22.8 (q, SC(S)S C(CH3)2), 13.9 (t, (CH3)2Si0SiCH2), 0.98 (q,(CH3)2Si)。Mn,GPC= 7,500 g/mol, Mn,NMR= 6,150 g/mol, PD= 1.18。
【0055】
例2:多官能アミドをベースとするPDMSマクロRAFT剤(6b)の合成
3つ口丸底フラスコ中において、8.52g(3.4ミリモル)のPDMSジアミン前駆体5bを塩化メチレン(150mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(1.43g、14.2ミリモル)を添加し、そして溶液を氷水浴中で冷却した。その間、塩化オキサリル(6mL)を、1.0g(3.6ミリモル)のトリチオカーボネート二酸1を含む別の1つ口丸底フラスコに添加した。60℃で2時間攪拌した後に、過剰の塩化オキサリルを減圧下に蒸発させ、そして残留物を50mLの乾燥塩化メチレン中に溶解させ、激しく攪拌しながらPDMSジアミン溶液に滴下して加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。真空下に溶剤を除去し、そして得られた黄色のオイルを、シリカゲルの短プラグをとおしてろ過した(溶離液:CHCl/MeOH 3:1)。合わせた画分の蒸発により、7.92gのマクロRAFT剤6bを提供し、それを次の工程においてさらなる精製なしに使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.4 (bs, 2H, C(O)NH), 3.33-3.14 (m, 4H, C(O)NHCH2), 1.70-1.57 (m, 4H, C(O)NHCH2CH2), 1.53 (s, 12H, C(S)SC(CH3)2), 0.63-0.46 (m, 4H, (CH3)2Si0SiCH2), 0.06 (s, 6H, (CH3)2Si)。Mn,GPC= 6,400 g/mol, Mn,NMR= 6,890 g/mol, PD= 2.30。
【0056】
例3:エステルをベースとする多官能マクロRAFT剤(7b)の存在下におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)の重合
連鎖移動剤4b(2.04g、0.55ミリモル)、開始剤(AIBN、35.8mg、0.22ミリモル)及びモノマー(DMA、4.32g、43.6ミリモル)のTHF(5mL)中の溶液をゴムセプタムを有する丸底フラスコ中に入れた。この溶液を、室温にて30分間、窒素をバブリングすることにより脱酸素した。反応フラスコを、60℃に予熱したオイルバス中に入れた。一定の磁気攪拌下に重合を12時間進行させた。重合の最後に、濃い溶液を室温に冷却した。ポリマーをヘキサン(500mL)中での沈殿により単離し、さらにヘキサン中への2回の続けて行う再沈殿により精製した。単離したマルチブロックコポリマー7bを真空中にて乾燥させ、下記のスペクトル特性の4.38gの無色の固形分を生じた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.28-2.77 (m, 6H, (CH3)2N), 2.73-2.20 (m, 1H, CHC(O)N(CΗ3)2, ポリマー主鎖メチコンプロトン), 2.00-0.90 (m, 2H, CH2CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチレンプロトン), 0.05 (s, 6H, (CH3)2Si)。Mn,GPC= 13,900 g/mol, Mn,NMR =14,100 g/mol, PD= 1.21。
【0057】
例4:アミドをベースとする多官能マクロRAFT剤(8b)の存在下におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)の重合
連鎖移動剤6b(1.0g、0.16ミリモル)、開始剤(AIBN、10.3mg、0.063ミリモル)及びモノマー(DMA、1.24g、12.5ミリモル)のTHF(3mL)中の溶液をゴムセプタムを有する丸底フラスコ中に入れた。この溶液を、室温にて30分間、窒素をバブリングすることにより脱酸素した。反応フラスコを、60℃に予熱したオイルバス中に入れた。一定の磁気攪拌下に重合を15時間進行させた。重合の最後に、濃い溶液を室温に冷却した。ポリマーをヘキサン(500mL)中への2回の続けて行う再沈殿により単離した。1.53gの多官能コポリマー8bを明るい黄色の沈殿物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.21-2.72 (m, 6H, (CH3)2N), 2.70-2.23 (m, 1H, CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチコンプロトン), 1.90-0.96 (m, 2H, CH2CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチレンプロトン), 0.56-0.39 (m, 4H, (CH3)2SiOSiCH2), 0.02 (s, 6H, (CH3)2Si)。13C NMR (200 MHz, CDCl3) δ 174.8 (s, C(O)NH), 174.5 (s, C(O)NH), 37.1, 36.2, 35.8 (ポリマー主鎖炭素), 1.0 (q, (CH3)2Si). Mn,GPC= 14,000 g/mol, Mn,NMR =15,500 g/mol, PD= 1.23。PDMSのメチルシグナルのNMR積分によると、コポリマー中のPDMSブロックは48 %であると決定された。
【0058】
例5:二官能エステルをベースとするPDMSマクロRAFT剤(11b)の合成
塩化オキサリル(4.9mL、56.0ミリモル)を急速に攪拌しながら、室温で窒素雰囲気下にてRAFT−CTA9(2.05g、5.6ミリモル)に添加した。4時間の撹拌の後に、ガスの発生が止まり、そして反応が均一であった。過剰の塩化オキサリルを減圧下に除去し、アシル塩化物10(2.1g)を生じた。それを20mLの無水塩化メチレン中に溶解させた。この溶液を、PDMSジオール3b(4.48g、2.2ミリモル)の80mLの無水塩化メチレン中の溶液に、徐々に滴下して加えた。反応混合物を室温で14時間攪拌した。反応の最後に、メタノール(2mL)を添加して、残りのアシル塩化物をクエンチした。溶剤を減圧下に除去し、6.50gの赤味のあるオイルを提供した。それを塩化メチレン/ヘキサン(勾配溶離5〜50v/v%CHCl/ヘキサン)を溶離剤として用いてシリカゲルカラムをとおして溶離し、副生成物として得られた単官能性RAFT剤12(0.21g、10%)から二官能マクロRAFT剤11b(4.69g、77%)を分離した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.06 (t, 4H, 3J= 6.8 Hz, C(O)OCH2), 3.27 (t, 4H, 3J= 7.2 Hz, C(S)SCH2), 1.70 (s, 12H, C(S)SC(CH3)2), 1.68-1.60 (m, 4H, C(O)OCH2CH2), 1.45-1.19 (m, 20H, CH3(CH2)10), 0.89 (t, 6H, 3J= 6.8 Hz, CH3(CH2)10), 0.54 (dt, 4H, 3J1,= 8.8 Hz, 3J2= 4.0 Hz, (CH3)2SiOSiCH2), 0.09 (s, 6H, (CH3)2Si)。13C NMR (200 MHz, CDCl3) δ 173.0 (s, C(O)O), 68.5 (t, C(O)OCH2), 56.1 (s, C(S)S C(CH3)2), 36.9 (t, C(S)SCH2), 31.9 (t, C(S)SCH2CH2), 29.6, (t, CH3(CH2)9, 2C), 29.5 (t, CH3(CH2)9), 29.4 (t, CH3(CH2)9), 29.3 (t, CH3(CH2)9), 29.1 (t, CH3(CH2)9), 29.0 (t, CH3(CH2)9), 27.9 (t, CH3(CH2)9), 25.4 (q, C(S)SC(CH3)2), 22.7 (t, CH3(CH2)9), 22.4 (t, C(O)OCH2CH2), 14.1 (q, CH3(CH2)10), 14.0 (t, (CH3)2S iOSiCH2), 1.0 (q, (CH3)2Si)。Mn,GPC= 4,740 g/mol, Mn,NMR= 3,800 g/mol, PD= 1.19。
【0059】
例6:二官能アミドをベースとするPDMSマクロRAFT剤(13b)の合成
塩化オキサリル(4.9mL、56.2ミリモル)を、室温で窒素雰囲気下にて固体RAFT剤9(2.05g、5.62ミリモル)に添加した。添加の最後に、混合物を60℃にまで3時間温め、暗赤色溶液が生成した。過剰の塩化オキサリルを真空下に除去し、2.10gの粗アシル塩化物10を生じ、それをさらなる精製なしに次の工程において使用した。塩化メチレン(20mL)中のアシル塩化物の溶液を、アミノプロピル末端(ポリジメチルシロキサン)5b(5.63g、2.25ミリモル)及びトリエチルアミン(1.43g、14.2ミリモル)の100mLの無水塩化メチレン中の溶液に、滴下して加えた。減圧下に溶剤を蒸発させることにより、7.73gの黄色いオイルが提供され、それをヘキサン/塩化メチレン(50〜100v/v%勾配溶離)を用いてシリカゲルカラムをとおして溶離によって精製した。減圧下での溶剤の除去により、5.27g(73%)のPDMSマクロRAFT剤13bを黄色の半固形分材料として提供した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.55 (t, 2H, 3J= 5.6 Hz, C(O)NH), 3.28 (q, 4H, 3J= 7.6 Hz, C(S)SCH2), 3.20 (q, 4H, 3J= 7.6 Hz, CONHCH2), 1.70 (s, 12H, C(S)SC(CH3)2), 1.69-1.61 (m, 4H, C(O)NHCH2CH2), 1.44-1.18 (m, 20H, CH3(CH2)10), 0.89 (t, 6H, 3J= 6.8 Hz, CH3(CH2)10), 0.49 (dt, 4H, 3J,= 8.8 Hz, 3J2= 4.0 Hz, (CH3)2Si0SiCH2), 0.08 (s, 6H, (CH3)2Si)。13C NMR (200 MHz, CDCl3) δ 172.3 (s, C(O)NH), 57.3 (t, C(O)NHCH2), 55.6 (s,C(S)SC(CH3)2), 37.1 (t, C(S)SCH2), 31.9 (t, C(S)SCH2CH2), 29.6 (t, CH3(CH2)9, 2C), 29.5 (t, CH3(CH2)9), 29.4 (t, CH3(CH2)9), 29.3 (t, CH3(CH2)9), 29.1 (t, CH3(CH2)9), 29.0 (t, CH3(CH2)9), 28.9 (t, CH3(CH2)9), 25.3 (q, C(S)SC(CH3)2), 23.2 (t, CH3(CH2)9), 22.7 (t, C(O)OCH2CH2), 15.4 (q, CH3(CH2)10), 14.1 (t, (CH3)2SiOSiCH2), 1.0 (q, (CH3)2Si)。Mn,GPC= 5,800 g/mol, Mn,NMR= 6,830 g/mol, PD= 1.55。
【0060】
例7:エステルをベースとする二官能マクロRAFT剤(14b)の存在下におけるN,N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)の重合
PDMS−RAFTマクロ開始剤11b(739.0mg、0.156ミリモル)、DMA(1.24g、12.5ミリモル)及びAIBN(5.12mg、0.031ミリモル)の混合物をTHF(3mL)中に溶解させ、そして3回の凍結−ポンプ−解凍サイクルを行うことにより脱気した。その後、反応混合物を還流下に16時間加熱した(DMAの転化率はH NMRによって決定して約90%)。この後、粘性反応混合物をTHF(4mL)中において溶解させ、ヘキサン(500mL)中に沈殿させ、トリブロックコポリマー14bを明るい黄色の固形分として提供した。収量:1.63g。PDMSメチルシグナルのNMR積分によると、コポリマー中のPDMSブロックの含有分は約43%であると決定された。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.03-3.86 (m, 4H, C(O)OCH2), 3.40-3.29 (m, 4H, C(S)SCH2), 3.25-2.79 (m, 6H, (CH3)2N), 2.76-2.15 (m, 1H, CHC(O)N(CH3)2, ポリマーメチンプロトン), 1.95-1.47 (m, 2H, CH2CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチレンプロトン), 1.46-1.00 (m, 2H, CH2CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチレンプロトン), 1.26 (s, 18H, CH3(CH2)9), 0.88 (t, 6H, 3J= 6.8 Hz, CH3(CH2)10), 0.60-0.44 (m, 4H, (CH3)2Si0SiCH2), 0.07 (s, 6H, (CH3)2Si)。13C NMR (200 MHz, CDCl3) δ 174.7 (s, C(O)O), 174.5 (s, C(O)O), 37.1, 36.2, 35.8, 34.6, 34.5 (ポリマー主鎖炭素), 31.8 (t, C(S)SCH2CH2), 29.6 (t, CH3(CH2)9, 2C), 29.5 (t, CH3(CH2)9), 29.4 (t, CH3(CH2)9), 29.3 (t, CH3(CH2)9), 29.0 (t, CH3(CH2)9), 28.8 (t, CH3(CH2)9), 27.8 (t, CH3(CH2)9), 25.2 (q, C(S)SC(CH3)2), 22.6 (t, CH3(CH2)9), 22.5 (t, C(O)OCH2CH2), 14.1 (q, CH3(CH2)10), 13.9 (t, (CH3)2Si0SiCH2), 1.0 (q, (CH3)2Si)。Mn,GPC= 9,950 g/mol, Mn,NMR= 10,720, PD= 1.30。
【0061】
例8:二官能アミドをベースとするマクロRAFT剤(15b)の存在下におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)の重合
マクロRAFT剤13b(976.0mg、0.17ミリモル)を50mLシュレンク管中に入れ、次いで、THF(3mL)、AIBN(5.5mg、0.033ミリモル)及びDMA(1.32g、13.3ミリモル)を添加した。その系を窒素で30分間パージし、そして60℃のオイルバス中に22時間入れた。反応混合物を室温に冷却し、そして粘性オイルをTHF(3mL)で希釈した。多量のヘキサン(500mL)中に沈殿させることでポリマーを分離し、1.04gの精製したトリブロックコポリマー15bを黄色の固形分として提供した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.29-5.12 (m, 2H, C(O)NH), 4.92-4.70 (m, 4H, CONHCH2), 3.41- 3.25 (m, 4H, C(S)SCH2), 3.22-2.78 (m, 6H, (CH3)2N), 2.76-2.22 (m, 1H, CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチンプロトン), 1.98-1.46 (m, 2H, CH2CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチレンプロトン), 1.44-0.97 (m, 2H, CH2CHC(O)N(CH3)2, ポリマー主鎖メチレンプロトン), 0.86 (t, 3J= 6.7 Hz, CH3(CH2)10), 0.59-0.42 (m, 4H, (CH3)2SiOSiCH2), 0.06 (s, 6H, (CH3)2Si)。13C NMR (200 MHz, CDCl3) δ 174.8 (s, C(O)NH), 37.1, 36.2, 35.8 (ポリマー主鎖炭素) 31.9 (t, C(S)SCH2CH2), 29.6 (t, CH3(CH2)9, 2C), 29.5 (t, CH3(CH2)9), 29.4 (t, CH3(CH2)9), 29.3 (t, CH3(CH2)9), 29.1 (t, CH3(CH2)9), 22.6 (t, C(O)OCH2CH2), 14.1 (t, (CH3)2Si0SiCH2), 1.0 (q, (CH3)2Si)。Mn,GPC= 8,780 g/mol, Mn,NMR= 9,100 g/mol, PD= 1.24。
【0062】
例9:二官能エステルをベースとするフォムブリン(Fomblin)マクロRAFT剤の合成
塩化オキサリル(6.8mL)を、急速に攪拌しながら室温で窒素雰囲気下にてドデシルトリチオカーボネートRAFT剤9(2.85g、7.8ミリモル)に添加した。3時間の攪拌の後に、ガスの発生が止まり、そして反応物が均一であった。過剰の塩化オキサリルを減圧下に除去し、赤みがかった油状のアシル塩化物(3.06g)を生じ、それを40mLの無水塩化メチレン中に溶解させた。この溶液を、0℃で窒素雰囲気下に、フォムブリンジオール(フォムブリンZ DOL200、7.22g、3.61ミリモル、Solvay)の130mLの30%THF/塩化メチレン溶剤混合物(30mLTHF/100mL塩化メチレン)中の溶液に、2.5時間にわたって徐々に滴下して添加した。反応混合物をさらに15時間、室温で攪拌した。溶剤を減圧下に除去し、10.2gのオレンジ色のオイルを提供した。得られたオイルをジクロロメタン(100mL)中に溶解させ、そして次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過しそして溶剤を除去して、9.25gのオレンジ色のオイルを提供し(H NMR分光測定法によって95%純度)、それは室温で一晩の放置の間に半固体結晶性材料に徐々に変化した。この生成物をさらに精製を行うことなく用いて、フォムブリンに対してPDMAの含有分が低い、中程度及び高い、より多量のトリブロックコポリマーを調製した。
【0063】
例10:二官能フォムブリンRAFT剤を用いたDMAのRAFT重合
シュレンクフラスコにフォムブリンRAFT剤(1.59g、0.60ミリモル)、DMA(2.37g、23.9ミリモル)、AIBN(19.6mg、0.119ミリモル)及び無水THF(5mL)を装填し、そして得られた溶液をオイルバス中で窒素雰囲気下に還流下に加熱した(60℃)。22時間の還流の後に、溶液を周囲温度に到達させ、そして500mLのヘキサン中に沈殿させ、3.37gの明るい黄色の固形分を提供した。Mn,NMR=6,430, Mn,(理論値)=6,460。トリブロック中のフォムブリン=1H NMRにより39%。
【0064】
例11:二官能フォムブリンRAFT剤を用いたDMAのRAFT重合
シュレンクフラスコに、例9のフォムブリンRAFT剤(1.09g、0.41ミリモル)、DMA(811.0mg、8.2ミリモル)、AIBN(13.4mg、0.08ミリモル)及び無水THF(5mL)を装填し、そして得られた溶液をオイルバス中で窒素雰囲気下に還流下に加熱した(60℃)。23時間の還流の後に、溶液を周囲温度に到達させ、そして500mLのヘキサン中に沈殿させ、2.0gの粘性の黄色いオイルを提供した。この材料をジエチルエーテル中に沈殿させ、1.11gの明るい黄色いオイルを提供した。Mn,NMR=4,250, Mn,(理論値)=4,480。トリブロック中のフォムブリン=1H NMRにより59%。
【0065】
例12:キサンテート−フォムブリン−キサンテートRAFT剤の合成
ヒドロキシメチル−末端フォムブリン(9.4g、4.7ミリモル)を無水テトラヒドロフラン(75mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(2.62mL、18.8ミリモル)を、その攪拌されている溶液に添加し、次いで、35mLの無水THF中に溶解されたブロモ-i-プロピオニルブロミド(1.49mL、14.1ミリモル)を滴下して添加した。溶液を一晩室温に放置した。得られた溶液をろ過し、そして減圧下に溶剤を除去した。得られた黄色のオイルを塩化メチレン(200mL)中に溶解させ、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過しそして溶剤を減圧下に除去し、所望の生成物を無色のオイルとして提供した。収量:8.46g。この無色のオイル(フォムブリンジイソプロピルブロミド)(6.02g、2.65ミリモル)を無水エタノール(114mL)中に溶解させた。キサンタン酸カリウム(1.83g、11.41ミリモル)を攪拌されている溶液に添加し、そして溶液を室温で一晩、攪拌し続けた。反応混合物を、水(100mL)を添加することでクエンチし、次いで、ヘキサン(2×100mL)及びジエチルエーテル/ヘキサン溶液(3:7、200mL)で抽出した。溶剤の蒸発の後に、残留物をシリカゲルの短プラグをとおして溶離剤としてヘキサンを用いてろ過し、4.13gのジキサンテートを無色のオイルとして提供した。ジキサンテートをGPC分析及びNMR分光測定法により分析した。
【0066】
例13:二官能性フォムブリンRAFT剤を用いたNVPのRAFT重合
シュレンクフラスコに、例12のフォムブリンジキサンテート(827.0mg、0.37ミリモル)、1−ビニル−2−ピロリドン(4.10g、36.9ミリモル)、AIBN(12.1mg、0.074ミリモル)及び無水THF(7mL)を装填し、そして得られた溶液をオイルバス中で窒素雰囲気下に還流下に加熱した(65℃)。21時間の還流の後に、溶液を周囲温度に到達させた。反応混合物を20mLのTHF中に溶解させ、ジエチルエーテル(600mL)中に沈殿させ、白色固形分としてトリブロックコポリマーを提供した(収量=4.23g)。生成物を1H NMR及びGPC分析により特性化した。
【0067】
例14:両親媒性マルチブロックコポリマーを含むレンズ及び摩擦係数の決定
この研究で評価したレンズは、配合物中に添加された異なる2つのタイプのPVP−PDMS−PVPトリブロックコポリマーを含む、バラフィルコンA(balafilcon A)レンズであった。PVP−PDMS−PVPトリブロックコポリマーは、PDMSジキサンテートの末端から重合したPVPの量の点で異なった。サンプルDP−02−040は1H NMRによる組成として59質量%のPDMS及び41質量%のPVPを有した。サンプルDP−02−047は1H NMRによる組成として19質量%のPDMS及び81質量%のPVPを有した。DP−02−047の1H NMRを図4に示す。バラフィルコンAはUS5,260,000に開示されている。表1は、れンズを加工するために使用された抽出溶剤とともに、各シリーズで用いたコポリマーを示す。すべてのレンズを市販で入手したAcuvue Oasys(登録商標)レンズ(COF値=1)に対して評価した。
【0068】
【表1】

【0069】
トライボロジー的試験をCETRモデルUMT−2マイクロ−トライボメータで行った。各レンズを、レンズの後方面に最初に適合するHDPEホルダーにクランプした。その後、ポリ(プロピレン)クランピングリングを用いてレンズの縁領域を保持した。一旦、レンズをホルダー中に取り付けたら、アセンブリをマイクロ−トライボメータ内の静的クランピングデバイス中に入れた。1mLのリン酸塩緩衝塩類溶液(PBS)を含む、研磨されたステンレススチールディスクを、その後、レンズと接触させ、Fを摩擦測定の運転中にわたって2グラムに調整した。荷重が5秒間平衡化した後に、ステンレススチールディスクを12cm/秒の速度で20秒間、順方向及び逆方向の両方の方向に回転させ、そしてピーク(静的)COF値及び平均(動的)COF値(図1に示す)を記録した。各値は6つのレンズの平均を示す。すべてのデータは、PBS中で試験したレンズの非存在下にレンズホルダーから2gの力で得られた平均値に正規化した。すべてのレンズに対して、PBSをテストイン溶液として用いた。測定したすべてのレンズをポリ(プロピレン)モールドを用いて製造した。
【0070】
結果及び結論
正規化静的COF値及び動的COF値についての結果を図2及び3にそれぞれグラフとして示す。
静的COF値の結果はDP−02−047コポリマーを用いて製造したレンズがIPAレベルの増加とともに、COFの最も有意な変化を有することを示した。DP−02−047のレンズは水中に抽出したときに最も低い静的COFを有し、IPAレベルの増加とともに、静的COFが増加した。水中に抽出したDP−02−047レンズは、また、Acuvue Oasysに最も近い静的COF値を有した。対照レンズも、また、IPAレベルの増加に伴うこの静的COFの増加の傾向を示した。DP−02−040を用いて製造したレンズはこの傾向に従わず、すべてのレンズは非常に類似した低い静的COF値を有した。幾つかのデータでは誤差バーが非常に大きく、これは、レンズが小さく、そしてプラスチックボールに取り付けることが困難であったという事実に基づく可能性がある。
レンズについての動的COF値は同様でありそして抽出溶剤としてのIPAレベルの増加により、動的COF摩擦の増加の傾向を示さない。このシリーズでは、30%IPA中に抽出したトリブロックレンズDP−02−040は最も高い動的COF値を有し、そして30%IPA中に抽出したトリブロックレンズDP−02−047は最も低い動的COF値を有した。すべての他のレンズはAcuvue Oasysに匹敵する動的COF値を有した。
【0071】
当初に示した、また、補正されうる特許請求の範囲は、本明細書中に開示された実施形態及び教示の変形、代替、変更、改良、均等物及び実質的均等物を包含し、それは現在予期せず又は評価していないもので、たとえば、出願人/特許権者などから生まれることがあるものを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性セグメント及び親水性セグメントを含む両親媒性マルチブロックコポリマーを含む、コモノマー混合物の重合化物を含む眼科デバイスであって、前記両親媒性マルチブロックコポリマーはフリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基を少なくとも1個有する、眼科デバイス。
【請求項2】
前記眼科デバイスはコンタクトレンズである、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項3】
前記コンタクトレンズは剛性通気性コンタクトレンズである、請求項2記載の眼科デバイス。
【請求項4】
前記レンズはソフトコンタクトレンズである、請求項2記載の眼科デバイス。
【請求項5】
前記レンズはヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項2記載の眼科デバイス。
【請求項6】
前記レンズは眼内レンズである、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項7】
前記レンズは有水晶体眼内レンズである、請求項6記載の眼科デバイス。
【請求項8】
前記レンズは無水晶体眼内レンズである、請求項6記載の眼科デバイス。
【請求項9】
前記デバイスは角膜インプラントである、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項10】
前記疎水性セグメントはポリシロキサン、ペルフルオロ化ポリエーテル及びポリジエンからなる群より選ばれる、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項11】
前記親水性セグメントは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(メタ)アクリレート)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミド、それらのコポリマー、誘導体及び組み合わせからなる群より選ばれるモノマーの重合化物から形成されている、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項12】
フリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基はジチオエステル、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート及びキサンテートからなる群より選ばれる、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項13】
前記コモノマー混合物の一部として、有機ケイ素化合物をさらに含む、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項14】
前記ケイ素化合物はシロキサニル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリルアミド、シロキシニル(siloxynyl)ビニルカルバメート、重合可能なシロキサンオリゴマー及びマクロモノマーならびにそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項13記載の眼科デバイス。
【請求項15】
モノマー混合物の一部として、架橋剤、内部湿潤剤、親水性モノマー及び強化剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項13記載の眼科デバイス。
【請求項16】
前記親水性モノマーは、親水性アクリル−、メタクリル−、イタコン−、スチレニル−、アクリルアミド−、メタクリルアミド−及びビニル含有モノマーならびにそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項15記載の眼科デバイス。
【請求項17】
前記親水性モノマーは下記式
【化1】

(上式中、Xは水素又はメチルであり、Yは−O−、−OQ−、−NH−、−NQ−及び−NH(Q)−であり、そしてQはアルキル基又は置換アルキル基である)により示されるアクリル基を含有するモノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項16記載の眼科デバイス。
【請求項18】
ビニル含有親水性モノマーは、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項16記載の眼科デバイス。
【請求項19】
前記親水性モノマーはN,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項16記載の眼科デバイス。
【請求項20】
前記コモノマー混合物の一部として、エチレン系不飽和ポリオキシアルキレン、エチレン系不飽和ポリアクリルアミド、エチレン系不飽和ポリビニルピロリドン、エチレン系不飽和ポリビニルアルコール、エチレン系不飽和ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エチレン系不飽和ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エチレン系不飽和N−アルキル−N−ビニルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれるエチレン系不飽和親水性モノマーをさらに含む、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項21】
前記エチレン系不飽和は(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレニル、アルケニル、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート基及びそれらの混合物によって提供される、請求項20記載の眼科デバイス。
【請求項22】
疎水性モノマーをさらに含む、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項23】
前記疎水性モノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカルバメート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、N−フルオロアルキルビニルカーボネート、N−フルオロアルキルビニルカルバメート、シリコーン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、スチレン系モノマー、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ρ−メチルスチレン、ρ−t−ブチルモノクロロスチレン及びρ−t−ブチルジクロロスチレン、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ペルフルオロオクチルメタクリレート、メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項22記載の眼科デバイス。
【請求項24】
アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、ペルオキシジカーボネート及びそれらの混合物からなる群より選ばれるフリーラジカル熱重合開始剤をさらに含む、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項25】
UV開始剤をさらに含む、請求項1記載の眼科デバイス。
【請求項26】
疎水性セグメント及び親水性セグメントを含む両親媒性マルチブロックコポリマーを含み、前記両親媒性マルチブロックコポリマーがフリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基を少なくとも1個有する、重合性混合物を提供すること、
前記重合性混合物を重合条件に付すこと、及び、
前記重合性混合物を所望の形状の眼科デバイスへと成形すること、
を含む、眼科デバイスの形成方法。
【請求項27】
前記疎水性セグメントはポリシロキサン、ペルフルオロ化ポリエーテル及びポリジエンからなる群より選ばれる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記親水性セグメントは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(メタ)アクリレート)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミド、それらのコポリマー、誘導体及び組み合わせからなる群より選ばれるモノマーの重合化物から形成されている、請求項26記載の方法。
【請求項29】
フリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基はジチオエステル、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート及びキサンテートからなる群より選ばれる、請求項26記載の方法。
【請求項30】
重合性混合物を重合条件に付した後に成形の工程を行なう、請求項26記載の方法。
【請求項31】
成形の工程は切断、旋盤加工、研磨及びそれらの組み合わせを含む、請求項26記載の方法。
【請求項32】
前記重合性混合物を重合条件に付す工程の前に、少なくとも1つの末端が官能化されているポロキサマー、少なくとも1つの末端が官能化されている逆ポロキサマー、少なくとも1つの末端が官能化されているポロキサミン、少なくとも1つの末端が官能化されている逆ポロキサアミン及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性界面活性剤を含むコモノマー混合物を含む重合性混合物をモールド中に入れる工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項33】
重合の工程をスピンモールド及び静的モールドからなる群より選ばれるモールド中において行う、請求項32記載の方法。
【請求項34】
重合の工程をボタン、プレート又はロッドを形成するための適切なモールド又は容器において行う、請求項26記載の方法。
【請求項35】
重合した混合物を水和する工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項36】
形成される前記眼科デバイスは剛性通気性コンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、眼内レンズ、有水晶体眼内レンズ、無水晶体眼内レンズ及び角膜インプラントからなる群より選ばれる、請求項26記載の方法。
【請求項37】
疎水性セグメント及び親水性セグメントを含む両親媒性マルチブロックコポリマーであって、フリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基を少なくとも1個有する両親媒性マルチブロックコポリマー。
【請求項38】
前記疎水性セグメントはポリシロキサン、ペルフルオロ化ポリエーテル及びポリジエンからなる群より選ばれる、請求項37記載の両親媒性マルチブロックコポリマー。
【請求項39】
前記親水性セグメントは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、アクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、エチレン系不飽和ポリ(アルキレンオキシド)、環状ラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(メタ)アクリレート)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルアセトアミド、それらのコポリマー、誘導体及び組み合わせからなる群より選ばれるモノマーの重合化物から形成されている、請求項37記載の両親媒性マルチブロックコポリマー。
【請求項40】
フリーラジカル反応に参加することができるチオカルボニルチオ基はジチオエステル、トリチオカーボネート、ジチオカルバメート及びキサンテートからなる群より選ばれる、請求項37記載の両親媒性マルチブロックコポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2011−518347(P2011−518347A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500886(P2011−500886)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/037330
【国際公開番号】WO2009/117374
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】