並流式の蒸気と気体の接触装置
本発明は、蒸留コラム(10)および他の蒸気と気体を接触させる工程を使用する、高い収容力で効率の良い並流式の蒸気と気体を接触させる装置である。装置は、トレイ状の構成ではなく、水平方向の段にモジュール(20)を配置することを特徴とする。モジュールは、並流接触空間(56)を画定し、例示の構成においてモジュール(20)は、液体分配器(22)、デミスタ(24)、収容パン(26)およびダクト(28)を含む。1つの段のモジュールは、下位の段、上位の段またはその両方のモジュールに対して非平行であるように回転される。変形は、デミスタ、液体分配器、ダクト、接触空間など個々の要素および装置の全体の配置に関連する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分留、または質量および/または熱を伝送するために蒸気と気体を接触させる他の形態を実施するための有益な装置に関する。本発明はより詳細には、分留コラム内で炭化水素などの揮発性化学物質を分離するのに有益な、収容性が高く効率の良い並流流動分留装置を可能にする工程および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分留トレイおよびパッキングなど蒸気と気体を接触させるデバイスは、石油および石油製品産業におけるほとんど無限の種類の分離を行うのに利用される。例えば、パラフィン、芳香族およびオレフィンなど多くの多様な炭化水素の分離に分留トレイが使用される。トレイは、種々のアルコール、エーテル、アルキル芳香族、モノマー、溶剤、無機化合物、大気気体など特定の化合物の分離、原油、ナフサおよびLPGを含めた石油由来の分級物などの広範な沸騰性混合物の分離に使用される。蒸気と気体の接触トレイはまた、ガス処理、精製および吸収に使用される。種々の利点および欠点を有する広範な種類のトレイおよび他の接触デバイスが開発されてきた。
【0003】
分留トレイおよびパッキングは、従来の分留装置の主要な形態である。これらは、分留コラム内で行われる蒸気と気体の接触を促進するために化学、石油化学、および石油精製産業で広く使用される。分留コラムの通常の構成は、10から250の個別のトレイを含む。コラム内の各トレイの構造は、同様であることが多いが、構造は、垂直に隣接するトレイ上で交互になる場合があることも知られている。トレイは通常、コラムのトレイ間隔と呼ばれる均一の垂直の距離で水平方向に設置される。この距離は、コラムの異なる部分内で変更されてよい。トレイは、コラムの内面に溶接されたリングによって支持されることが多い。
【0004】
分留は従来より、全体的に下方に向かう液体の流れと、上方に向かう蒸気の流れを有する直交流または対向流接触デバイスで行われてきた。装置のある地点で、蒸気と液体の相が接触して、蒸気と液体の相が成分を交換し、互いに均衡状態に近づくことが可能になる。蒸気と液体は次に、分離され、適切な方向に移動し、適切な流体の別の量と再び接触する。多くの従来の蒸気と液体を接触させるデバイスにおいて、蒸気と液体は、各段で直交流配置で接触する。代替の装置は、従来の多段式接触システムと異なり、装置内での全体の流れが連続して対向流であり、蒸気と液体の相が実際に接触する各段は、並流式の質量送達区域で実行される。
【0005】
従来のトレイを使用した分留工程の際、コラムの底部で生成された蒸気は、一定の液体量を支持するトレイの水平領域の上に広がる多数の小さい穿孔を通って上昇する。液体を通る蒸気の通路は、飛沫と称される泡の層を生成する。飛沫の高度の面領域は、トレイ上の蒸気相と液体相の間の成分の均衡を迅速に確立するのを助ける。飛沫は次いで、蒸気と液体に分離することができる。質量の送達において、蒸気は、液体に比べて揮発性物質の損失が少なく、これにより各トレイを通って上方に進むにつれ、わずかにより揮発性となる。同時に、液体がトレイからトレイに下方に移動するにつれ、液体中のより揮発性の低い化合物の濃度が増す。液体は飛沫から分離し、次の下方のトレイに向かって下方に進む。この連続的な飛沫の形成および蒸気と液体の分離が、各トレイ上で行われる。したがって蒸気と液体の接触装置は、上昇する蒸気と液体を接触させ、次に2つの相を分離し別々の方向に流れるようにする2つの機能を行う。このステップが異なるトレイ上で適切な回数だけ行われるとき、工程は、化学化合物をその相対的揮発性に基づいて分離する。
【0006】
石油精製、化学および石油化学産業においてこの有用性を有する装置の改良を望む結果として、パッキングおよびトレイを含む多くの異なるタイプの蒸気と気体の接触デバイスが開発されてきた。異なる装置は、異なる利点を有する傾向にある。例えば、複数の降水管トレイは、蒸気と気体の高い収容力、および有意の範囲の作動速度にわたって効果的に機能する能力を有する。構成されたパッキングは、圧力降下が少ないため、低圧または真空での動作において有益になる。常に改良が求められる蒸気と気体の接触装置の2つの重要な特徴は、収容力と効率である。並流式接触デバイスは、各段で蒸気と気体の分離を促進するために、デミスタまたは遠心羽根などの蒸気と気体を分離するデバイスを使用することによって、高い収容力を実現する1つの装置であると考えられている。並流式接触デバイスはまた、蒸気と微細な液滴の並流接触によって、高い質量転送効率を実現することができる。
【0007】
平行な配置を有する並流式の蒸気と気体の接触装置は、米国特許第6,682,633号に教示され、これは、コラムまたは他の囲いの水平の層内に配置されるいくつかの構造ユニット内で、蒸気と液体を並流式に接触させるためのモジュラー装置を開示する。構造ユニットは、各段または層において、次のより高い段のモジュールからの降水管用に空間を設けるために、水平に離間して配置される。各段の構造ユニットは、これより上、または下の段の構造ユニットに平行して整列される。降水管は、2つの傾斜した接触チャネルの一方に液体を送達し、接触チャネルは、モジュールの頂部で蒸気および液体を分離チャンバ内に排出する。蒸気は、分離チャンバから上に向かって次のより高いモジュールの接触チャネルへ流れ、液体は、単一の中央降水管を通って次のより下の接触チャネルに向かって下方へ流れる。
【0008】
米国特許第5,837,105号および関連する米国特許第6,059,934号は、トレイ全体に広がる複数の並流接触部分を有する分留トレイを開示する。水溜めに集められた液体は、複数の降水管を通って、次のより下のトレイへと流れ、トレイの蒸気開口を通って上昇する蒸気中に同伴され、トレイ上の2つの分離デバイスの一方の中へと進められる。各分離デバイスからの液体は次に、水溜めの中へと流れる。段の平行および非平行な整列を含めたいくつかの構成が教示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
隣接する段の上に平行な配置を有する蒸気と気体の接触装置内で、液体または蒸気の不均衡な分配が生じた場合、流体を装置の長さに沿って容易に再分配することができないことが知られている。したがって、液体または蒸気の不均衡な分配は、1つの段から次の段へと伝播し、装置の収容力および効率を低下させる恐れがある。したがって、流体を再分配するために、付加的な自由度を有する並流式の蒸気と気体の接触装置が必要とされる。さらにコラム内の比較的狭い領域での穿孔された水平板の使用は、部分的な開放領域が高い場合ですら、圧力降下をかなり増加させる。したがって、非平行の段、および液体処理力を低下させることなく、1つの段から次の下位の段に液体を伝送する構造体を備えた改良された並流式の蒸気と気体の接触装置が必要とされる。さらに、流体が流れて接触するための、コラム間隔を最適に使用するこのようなデバイスは、高い収容力、高い効率および低い圧力降下を実現することが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分留コラムおよび他の蒸気と気体を接触させる工程で使用するための、新規の収容力が高く効率の良い並流式の蒸気と気体の接触装置である。装置は、トレイ状の構造ではなく、水平の段に接触モジュールを配置することを特徴とする。1つの段のモジュールは、下位、上位またはその両方の段のモジュールに対して非平行になるように回転される。接触モジュールは、液体分配器、および接触空間を画定するデミスタを少なくとも含む。上昇する蒸気が、接触空間に進入し、液体分配器から排出された液体を同伴し、それをデミスタに並流式に運ぶ。デミスタは蒸気と気体の分離器としても知られており、蒸気と気体が接触した後、それぞれ上下に別々に流れることができるように、蒸気と気体を分割する。デミスタからの液体は、収容パンの上へ流れ、ダクト内へ流れる。単一の収容パンに関連するダクトはそれぞれ、液体を下位の接触段に関連する別々の液体分離器へと誘導する。変形態は、デミスタ、液体分配器、ダクトおよび接触空間などの個別の要素の数および設計、ならびに装置の全体の構成に関する。
【0011】
一実施形態において、本発明は並流式に蒸気と気体の接触を行うための装置を含む。装置は、1つまたは複数の接触モジュールを有する複数の段を備える。接触モジュールは、接触空間に近接する出口を有する液体分配器、液体分配器に対してほぼ平行に配向された収容パン、少なくとも1つのダクト、およびデミスタを含む。各ダクトは、収容パンに流体連通する上方端部、および別個の下位の液体分配器に液体連通する下方端部を有する。デミスタは、接触空間に近接する入口面、および収容パンの上位にある出口面を有する。少なくとも1つの段の接触モジュールは、別の段の接触モジュールに対して回転される。
【0012】
別の実施形態において、本発明は並流式に蒸気と気体の接触を行うための装置を含む。装置は、少なくとも1つの接触モジュール、および複数の収容パンを有する複数の段を備える。接触モジュールは、一組のほぼ平行に離間したデミスタ、一組のデミスタの間に配置される液体分配器を含む。液体分配器は、デミスタと協働して接触空間を画定し、接触空間に流体連通する出口を有する。1つのモジュールの各デミスタは、接触空間に流体連通する入口面、および段の別個の収容パンの上位の出口面を有する。接触モジュールの少なくとも一部は、一組のデミスタに関連する一組の収容パンの間に配置される。各収容パンは、少なくとも1つのダクトを有し、1つの収容パンの各ダクトは、別個の下位の液体分配器に対して流体連通する。少なくとも1つの段は、2つの段の接触モジュールが、互いに対して非平行に整列するように、別の段に対して回転される。
【0013】
別の形態において、本発明は蒸気と気体を接触させるための方法を含む。方法は、上昇する蒸気流を接触空間内へ進めるステップ、および第1の液体分配器の出口を通って液体を接触空間に誘導するステップを含む。デミスタ内に並流式に流れるように、接触空間内の蒸気流中に液体を同伴させる。デミスタ内の蒸気流から液体を分離する。デミスタから出る液体を収容パンへ送達し、デミスタから出る蒸気流を上位の接触空間に進める。収容パンからの液体を、液体を下位の液体分配器内に誘導する少なくとも1つのダクトの中に進める。収容パンに関連する各ダクトは、液体を別個の下位の液体分配器内へと誘導する。下位の液体分配器は、第1の液体分配器に対して非平行である。
【0014】
本発明の利点は、1つの接触段が垂直に隣接する段に対して非平行に配向され、多方向に蒸気と気体を分配するための自由度が加わることである。液体または蒸気の不均衡な分配が生じた場合、液体は容易に再分配される。したがって、液体または蒸気の不均衡な分配は、1つか2つ程度の段で解消され、これにより従来技術に対して装置の収容力および効率が向上する。本発明はまた、下位の段から上位の接触空間へ上昇する蒸気の通路が比較的妨害されず、これはこれまでの装置と比較して圧力降下が少ないという利点を有する。
【本発明を実施するための最良の形態】
【0015】
対応する参照符号は、複数の図面を通して対応する部分を示す。本明細書に記載された例は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、いずれの方法においても本発明の範囲を限定するものとしては解釈されるべきではない。
【0016】
図1を参照すると、本発明の並流式の蒸気と気体の接触装置の一実施形態が容器10内に示されている。容器10は、例えば蒸留コラム、吸収装置、直接接触熱交換器、または蒸気と気体の接触を行うのに使用される他の容器であってよい。容器10は、本発明による接触段12、および2つの任意の収集器/分配器を含む。コラムの上部は、頂部収集器/分配器14を含み、コラムの下部は、底部収集器/分配器16を含む。簡素化のために、3つの接触段のみが示される。当分野ではよく知られているように、蒸留コラムは、複数の部分を含んでよい。各部分は、いくつかの接触段を含んでよく、各部分の間および/またはそれらの中に複数の流体供給口および/または排出口を含んでよい。また、並流式接触デバイスおよび他の従来の蒸留デバイスなどの異なる接触デバイスが、同一のコラムの同一および/または異なる部分で併用されてもよい。容器10は、典型的には円筒形、または代替として他の任意の形状の形態である外殻11を含む。
【0017】
本実施形態において、図1に示すように、各接触段12は、直接上位の段および下位の段に対して、90°回転して配向される。したがって、各接触段12は、すぐ上位の段に直交する方向で液体を分配し、液体の不均衡な分配を減少させる。他の実施形態において、垂直に隣接する接触段は、0°から90°の回転で配向されてよい。別の実施形態において、接触段は、9°から90°の間で回転される。接触段同士の回転度は、各段で同一でもよく、あるいは変えることもできる。すなわち、本発明は、垂直に隣接する接触段同士の回転度を変更する実施形態も包含する。例示の実施形態において、各接触段12は、複数の接触モジュール20および収容パン26を備える。
【0018】
図2、3および5に示すように、本実施形態の接触モジュール20は、一組のデミスタ24の間に配置された液体分配器22を含む。液体分配器およびデミスタは協働して、並流式に流体が接触する空間56を画定する。接触モジュール20に加えて、各段はまた、複数のダクト28を有する複数の収容パン26を含む。図5は、2つの隣接する段の見下し図を示し、収容パン26、ダクト28および液体分配器22の配置をより明確に示すために、デミスタは排除されている。各段で、収容パン26はほぼ平行であり、容器の断面領域にわたって離間されている。モジュールの液体分配器22は、隣接する収容パン26の各組の間に配置され、これにより収容パン26とモジュール20の交互のパターンとなる。2つのモジュールの間に配置された収容パンは、本明細書では中央収容パンと呼ばれ、モジュールと容器外殻の間に配置された収容パンは、本明細書では端部収容パンと呼ばれる。中央収容パンは、2つの隣接するモジュールを共有することがわかる。図示されない別の実施形態において、一組の収容パンは、各接触モジュール内に組み込まれる。このようなモジュールが、段全体にほぼ平行に整列して配置される際、隣接する液体分配器の各組の間に2つの収容パンがあるように、モジュール同士が隣接する。一般に収容パン26の上の流体伝達空間58内に出現する流体が互いに干渉するいかなる傾向も低減させる目的で、デミスタ24から発散される蒸気を遮断するために、2つの隣接する接触モジュール20の間に任意で垂直バッフル21が含まれる。垂直バッフル21は、隣接する接触モジュール20のデミスタ24の間にほぼ平行に配置される。
【0019】
本実施形態の液体分配器22は、上部に液体分配器入口32、および下部に複数の出口34を有する。2つの傾斜する液体分配器壁30が液体分配器22を下方向に先細にする。ほぼV字型の液体分配器の底部は、先をとがらせる、または曲線にする、または図2に示すように平坦であってよい。段差のある、または傾斜しかつ段差のあるなど、多様な種々の形状の液体分配器を有する代替の実施形態を予想することができる。別の実施形態において、液体分配器の断面形状は、矩形または正方形など一定であってよく、または曲線の、不規則な形状、あるいは所望の接触空間を画定し、そこに液体を送達するように構成されてもよい。しかしながら、V字型液体分配器は、本発明において、各段12の下部のデミスタ24と液体分配器壁30の間の大きな接触空間と、液体処理力を高めるために拡大されたダクト28を収容するための上部の大きな液体分配器入口32とを組み合わせるのに使用される。液体分配器入口32は、ダクト28と係合するように構成される。任意の入口板36が、垂直に隣接する液体分配器の間に配置される。液体分配器板36は、上位の液体分配器22の液体分配器出口34に近接する液体分配器入口を覆う。各入口板36の上の2つのリップ38が、上位の液体分配器22からデミスタ24の上の空間に液体を誘導し、液体は、上昇する蒸気に同伴する。これは、高い効率を保証する付加的利点を実現し、液体が、上位の液体分配器から直接液体分配器22に進入するのを防ぎ、接触する機会が回避される。
【0020】
液体分配器出口34は、液体分配器22の底部に近接する1つまたは複数の列で配置される複数のスロットまたは他のタイプの穿孔によって形成される。出口34は、液体分配器の壁30および/または底部に配置することができる。作動中、液体分配器中の液面により、上昇する蒸気が出口34を通って液体分配器に進入するのを防ぐシールが形成される。穿孔34は好ましくは、液体分配器22の長さに沿って分配され、穿孔はサイズまたは数を変更される、あるいは下位の液体分配器の上の液体分配器22の一部で除去されるように配置されてよい。したがって、液体分配器出口の配置は、1つの液体分配器から下位の液体分配器に直接液体が流れ込むのを回避する別の手段として使用することができる。これらの、および以後考察されるこのような手段の他の組合せは、液体が接触段を回避する可能性を防ぐために使用することができる。
【0021】
デミスタ24は、図3に最もよく見られるように、液体分配器22の長さに沿ってその両側に列を成して延びる。本実施形態の隣接する段でのモジュールの直交関係をより良好に示すために、図3には収容パンが示されていないことを理解されたい。デミスタ列24は、図4Aおよび4Bに示す複数のデミスタユニット40から組み立てることができる。デミスタユニット40はさらに、雄型端部板46と、雌型端部板48とを含んでよく、各板は、接合部を通る流体の漏出を実質的に防ぐシールを形成するために、隣接するデミスタユニット40の相補的端部板と協働する。このような雌雄の端部板は、モジュラーデミスタユニット40からデミスタ列24を構築するのに使用することができる相互連結機構の1つのタイプを提示する。いかなる知られた相互連結機構も使用することができる。他の実施形態において、モジュラーユニット40は、ボルト、クリップ、ピン、クランプ、バンド、または溶接または膠接着など他の知られた手段によって一緒に固定されてもよい。雌雄のタブと、スロットとの組合せなどの機構は、迅速な組み立ておよび解体に関して有利となり得る。デミスタ24のモジュラー構成により、製作者は、長さが変わるデミスタ列24を組み立てるのに、デミスタユニット40を1つまたは少数の標準サイズで製造することが可能になる。いくつかのカスタムサイズのデミスタユニット40は、特に短いデミスタ列24を必要とする、または装置、および入手可能な標準サイズの多様なデミスタユニット40の寸法によって、液体分配器22の長さを適合させる必要がある場合がある。モジュラー設計はさらに、デミスタユニット40は、単一のユニットで形成されたデミスタ列より軽いため、接触モジュール20の組み立てを容易にする利点を有する。しかしながら、他の実施形態においては、単一のデミスタユニット40が、完全なデミスタ列24を画定する。
【0022】
デミスタユニット40は、従来の設計であり得る蒸気と気体を分離する構造体41を備える。蒸気流から液滴を分離するのに種々の知られた設計が使用される。一例は、デミスタを通る流体の流れが方向を何度か変えられ、これにより、同伴する液滴を分離構造体41の一部に衝突させ、デミスタの底部に向けて下方に流れるようにするために、多様なチャネルおよびルーバを有する羽根タイプデミスタなどのミストエリミネータである。知られた蒸気と液体を分離するデバイスの別の例は、メッシュパッドまたは編まれた金属の糸である。これらのミストエリミネータ技術の組合せを使用することもできる。
【0023】
図2に示すように、装置の性能および/または構造の完全性を向上させるために、多様な任意の要素がデミスタと協働するおよび/またはこれらをデミスタ内に組み込むことができる。例えば、入口面として穿孔された入口板42、出口面として穿孔された出口板44および無孔の頂部板45が示される。穿孔された板は、デミスタと協働することができる流量操作装置の1タイプである。流量操作装置の他の非限定的な例は、エキスパンドメタル、多孔質体、メッシュパッド、スクリーン、グリッド、メッシュ、プロフィールワイヤスクリーン、およびハニカムを含める。流量操作装置の部分開放領域は、デミスタの分離効率および圧力降下の両方に影響することがわかっている。流量操作装置の部分開放領域は、デミスタの分離効果および圧力降下を最適化するために、デミスタの別の側、および同一の側で変えることができる。単一のデミスタで多様なタイプの流量操作装置を使用することができる。他の実施形態において、流量操作装置は、デミスタのいくつかのまたは任意の入口面および出口面では使用されない。
【0024】
穿孔入口面42は、液体分配器22に近接する。穿孔出口面44は、穿孔入口面42と反対側のデミスタの側面の大部分、およびデミスタユニット40の底部に沿って延在する。無孔頂部板45は、液体が直接ユニットの頂部からデミスタユニット40を出ていくのを阻止し、蒸気と気体の分離効率を上げる。無孔頂部板45は両側に屈曲ストリップを有し、一方は壁に装着するために液体分配器壁30をたどり、他方は、穿孔出口板44に接続するために、デミスタ40の穿孔出口板44をたどる。また穿孔出口板44の頂部から一定の距離だけ下方に延在する無孔のストリップは、蒸気と気体の分離効率を向上させることがわかっている。一実施形態において、ストリップは、デミスタ出口の高さの10%を覆うように延在する。別の実施形態において、ストリップは、デミスタ出口の高さの30%を覆うように延在する。別の実施形態において、ストリップは、デミスタ出口の高さの50%を覆うように延在する。
【0025】
図2、5、6Aおよび6Bに示す各収容パン26は、平坦なベース50の周りに垂直に延在するリップを含む。デミスタ支持レール52は、成形された金属板をパン26の長手方向に沿って2つのリップにそれぞれ装着することによって形成される。端部収容パンは、デミスタ支持レール52を1つだけ含むことができる。収容パン26内に収集された液体は、複数のダクト28に誘導される。一実施形態において、液体収容パン26は、図6Aおよび6Bに示す任意のバッフル54を含む。支持レール52は、特定のデミスタ列24内でデミスタユニット40のベースに係合する。デミスタユニット40の底部に装着される支持角は支持レール52内に挿入され、デミスタの頂部は、液体分配器入口32に近接して液体分配器壁30に固定される。支持レール52は、たとえデミスタユニット40が液体分配器22に固定される前でも、デミスタユニット40を構造的に支持する。この実施形態において、各中央収容パンは、それぞれ隣接する接触モジュール20からの2つのデミスタ列24を支持し、容器外殻11に近接する端部収容パンは、段の端部モジュールの1つのデミスタを支持する。したがって、単一の収容パン26は、2つの接触モジュールによって共有されてよい。したがって本発明の本実施形態に記載されるように、各段の構造は、少なくともコラムの一部において同一であり、これは装置の製作および設置を簡単にすることができる。
【0026】
複数のダクト28が、収容パン26を通って液体分配器入口32内に延在する。図5に最もよく示されるように、特定の収容パン26を通って延在する各ダクト28は、異なる下位の液体分配器22に液体を誘導する。現在の実施形態において、ダクト28の頂部は、液体が妨げられずに収容パン26からダクト28内に自由に流れることができるように、収容パン26の水平面50と同一面になる。他の実施形態において、ダクトが開口を介して嵌合される際、ダクトは、収容パンの平坦なベース50の上に載置するリップを有することによって、収容パンから下垂してもよい。ダクトはまた、収容パンの下面に設置されてもよい。限定するものではないが、下垂する、ボルト留めする、溶接する、および加圧嵌合するなど、ダクトと収容パンを接続するいずれの従来の手段も使用することができる。収容パンとダクトの間の漏れを回避するために、ガスケットおよび/または密封材を使用してもよい。他の実施形態において、ダクトは、開口が形成される際、切断され折り畳まれる、または押し出すことができる収容パンの平坦なベースの一部によって、少なくとも部分的に画定することができる。さらにダクト28の頂部口は、液体処理能力を増強させ、ダクトの入口が塞がる傾向を低減させるために、図2に示すように液体分配器入口32より大きくし、幅を広げることができる。ダクト28が液体分配器22内に嵌合し、設置を容易にし蒸気が容易に抜けるように空隙が残るように、ダクト28の側壁は傾斜しており、これは図2および7に示されている。出口が、液体分配器22内の液体によって完全に密封されないとき、蒸気は、上位の段からの液体流と共に、すなわち液体分配器出口34を通って液体分配器22内に進入する場合がある。液体分配器22内の蒸気が液体分配器頂部32から適切に排出されない場合、蒸気はダクト28内に追いやられて、ダクトを通る液体流を詰まらせ、深刻な空気の混入、装置の早すぎる張水が生じる恐れがある。したがって、液体分配器22内の蒸気が、ダクト28と液体分配器22の間の空隙、またはダクト28の間の液体分配器22の頂部の開口を通って排出されることは、本発明の利点である。液体を液体分配器22内に流れるようにするために、複数の吐水口または連続する1つのスロットまたは単一の大型の開口によって、ダクト28の底部は開放される。通常の作動状態では、ダクト28は、ダクト28内の液体によって動的に、あるいは液体分配器22内の液体によって静的に蒸気流に対して密封される。
【0027】
図8示す代替の実施形態において、ダクト28は、液体分配器入口32のわずかに下方にのみ延在し、底部にダクト28の断面の主本体と同サイズの開口を有する。ダクト28は、ダクト28内の液体、または液体分配器22内の液体によって密封されない。代わりに密封板37が上に設置され、液体分配器入口32を閉鎖することができる。ダクト28は、蒸気が液体分配器22の頂部からダクト28内に入り込むのを防ぐために、開口によって密封板上に緊密に嵌合される。代替の実施形態において、蒸気が出口34を通って、または上位段からの液体流と共に液体分配器22内に進入する場合、蒸気が液体分配器頂部32から排出されないことから、第1の実施形態は、この代替の実施形態に対して有利である。代わりに蒸気は上位段に向けてダクト28内に押しやられ、これによりダクトを通る液体流が詰まらせる恐れがある。
【0028】
デミスタ24の入口面と液体分配器22の隣接する壁30の間の空間は、図2に示す流体接触空間56を形成する。デミスタユニット40内での流体接触は、蒸気と液体が分離されるまで続く。デミスタ入口の穿孔板42または他の流量操作装置が、デミスタへの流体流の分配を向上させ、蒸気と気体の分離を促進する。入口流量操作装置はまた、流体接触および質量の伝送を向上させることができる。収容パン26の上、およびそれが支持するデミスタ列24間の空間が、流体伝送空間58を画定する。デミスタ列24は、改良された接触空間56との組合せを実現するために、図2に示すように垂直方向から一定の角度で配向されてよく、この接触空間は本実施形態において、減少する流体流に適合するために底部から頂部に向かって減少する空間を有し、流体伝送空間58は、本実施形態において、増加する蒸気流に適合するために低所から高所に増大する空間を有する。
【0029】
液体分配器22および収容パン26は、溶接または他の従来の手段によるなどしてコラムの壁の内面に装着された、図示されない支持リングによって支持されてよい。液体分配器22および収容パン26が作動中所定の位置に維持されるように、液体分配器22および収容パン26は、ボルト留め、クランプ留めされる、あるいは支持リングに固定されてよい。特定の実施形態において、液体分配器22の端部は、図7Bに示すように端部シール59aおよびブラケット59bを含む。端部シール59aは、液体分配器22の端部を密封するために液体分配器22の端部に溶接される。ブラケット59bは、端部シール59aの底部に溶接され、支持リングにボルト留め、クランプ留め、あるいは装着される。デミスタ列24および収容パン26の端部は、端部シール59aおよびブラケット59bにボルト留めされてよい。いくつかの実施形態において、液体分配器22および収容パン26は、接触モジュール20のための主要支持体であるが、実質的に大型のコラムの場合、追加の支持梁を含むことが必要とされる場合もある。さらに、横梁、支柱などの補強機構、厚みを増した材料、追加の支持体を液体分配器22および収容パン26に使用することができる。液体分配器22の端部は、容器の外殻の輪郭をたどるように多様な方法で構成することができる。例えば、図7Aは、液体分配器22の両端が、段付きのまたは連続式に容器の外殻の輪郭をたどることができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、デミスタは成形されたすなわち波形のシート、平坦なシート、および一体式ルーバを有する羽根式ミストエリミネータである。シートおよび一体式ルーバの配置が、デミスタの入口から出口への少なくとも1つの蛇行性の流体流チャネルを形成するように、波形シートおよび平坦なシートが積層される。外部の覆いまたはフレームは、シートまたは板を一緒に保持するのに十分である。いくつかの変形態は、波形シートおよび平坦なシートの順番の積層を含み、いずれにしてもルーバは、波形シート、平坦なシート、またはその両方に形成される。さらに変形態は、ルーバの形状およびサイズ、ならびに波形シートの形状およびサイズ、および外部フレームの構造を含む。このタイプのミストエリミネータの利点は、ルーバを備えた平坦なシートと波形シートの使用を簡素に積み重ねて、自己支持式分離構造体41を形成することである。すなわち積層されたシート、およびそれらが画定する流体流チャネルは、スペーサ、ファスナ、および溶接など他の要素を必要とすることなく、所望の空間を維持することができる。さらに、羽根とルーバの設計の変形態は、高度の蒸気と気体の分離を実現し、許容不可能な圧力の降下を回避することができる。
【0031】
外部フレームは図2のデミスタに関して記載され示されたように、堅固な穿孔された板を含んでよいが、フレームは単に、積層された自己支持式シートの縁部を固定する角度をつけられたまたは平坦なストックであってよい。他の実施形態において、ストラップまたはバンドが、シートを一緒に束ねるフレームを画定する。フレームは、シートを一緒にクランプ留めするために、これらのおよび/または他の一般に知られた多様な要素を有してよい。フレームは、よく知られたいずれかの手段によって固定することができる。非限定的な例は、溶接、ボルト留め、膠接着、結束、クリンプ加工、ヒンジ連結および加圧嵌合を含める。したがって、フレームは、積層されたシートが接する面または接合地点が密封され、シート間の接合地点を通って有意な量の流体が漏出することがないように、シートを一緒に押圧するのに十分である。
【0032】
デミスタの蒸気と気体を分離する構造体を規定するための、積層された波形シートおよび平坦なシートと、一体式ルーバとの使用は、多くの変形態を有し、いくつかの非限定的な例が図9Aから9Gに示される。図9Aに示す分離構造体41は、2つの平坦なシート62に挟まれた成形(波形)シート60を含む。図9Aの左側の仮想線で示されるように、成形シート60を切断および折り曲げることによって、複数の一体式ルーバ64が形成される。同伴する液体と共に蒸気が概ね矢印の方向に流れ、ルーバ64が形成されることによって残された成形シート60の空間を通る。液滴は、ルーバ64によって形成されたポケットに取り込まれ、これによりデミスタの流体流チャネルを通過する蒸気と液体の混合物が数回方向を変えることを要求されながら、液滴は蒸気から分離される。蒸気は、引き続き空間内を進み、液体は、穿孔出口板44の下部に向かって成形シート60に沿って下方に排出される。図9Bの分離構造体41は、成形シート60と平坦なシート62の同様の構造を示すが、ルーバ64は丸みをつけられている。円形の形状により、板を通る圧力降下が減少する。板を通る圧力降下を減少させる別の設計は、図9Cに示す傾斜したルーバ64を使用する。図9Cは、2つのタイプのシートの積層を明確に区別するために、波形シート60と平坦なシート62の間の空間または分離状態を示す。外部フレームが積層されたシートを一緒に固定し、デミスタが完成すると、この空間は除去される。
【0033】
図9Dの分離構造体41は、ルーバ64を有する成形シート60、ならびに波形シート60の間の2つの平坦なシート62aおよび62bを含む。平坦なシート62aおよび62bは、ルーバ66aおよび66bを含む。この構成により、ポケットは、流体流の方向に向かう方向とそこから離れる方向の両方に向き、これにより液体の再同伴が減少し、流量の処理量が増加する。図9Eに概略的に示される代替の実施形態は、図9Dの分離構造体41と同様であるが、傾斜したルーバ64は、板の間を通る圧力降下を減少させるのに使用される。図9Eの分離構造体の別の変形態が図9Fに示され、傾斜ルーバ64および直線ルーバ66aおよび66bを含む。図9Gに示す分離構造体41の別の代替の実施形態では、成形シート60はルーバを含まず、平坦なシート62がルーバ66を含む。例示しない別の実施形態において、ルーバは複数の湾曲部を有してよい。本発明で使用される分離構造体を含むデミスタを容易に製作し設置するには、通常は同様の構成を有するであろう。同様に、デミスタ内の個々の流体流チャネルの構成は、均一である。しかしながら、これらはいずれも不可欠ではない。例えば端部デミスタは、中央デミスタとは異なる構成を有してよく、端部板に近接する流体流チャネルは、同一のデミスタの他の流量チャネルと異なって構成されてよい。
【0034】
代替の実施形態において、デミスタモジュール40は、設計に多くの変形を有し得る従来の分離構造体を使用する。重要な要因は、流れる蒸気流から同伴する液体を分離するのにそれが効果的なことである。現在のところ、これは液滴を固体面に衝突させる液体流中の多数の障害物の回避に関連すると考えられている。図中に示される障害物の逼塞性質は、液体分離を促進する比較的静止状態の領域の形成につながることもある。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、1つまたは複数の収集器/分配器を利用することができる。このようなデバイスは、本発明に不可欠ではないが、装置の各段において蒸気と気体の接触および分離を最大にするために、蒸気流および/または液体流を適切に誘導することによる利点をもたらす。例えば、パイプ分配器70およびトラフ分配器72を含む頂部収集器/分配器14が図1に示される。パイプ分配器70およびトラフ分配器72は、液体を頂部接触段12の液体分配器22内に誘導する。また頂部収集器/分配器14は、頂部段12のデミスタ列24から排出される蒸気を再生利用する。再生利用された蒸気は、次の工程または凝縮器に進められ、一部還流液体としてコラムに再導入されてよい。頂部収集器/分配器または他の同等の手段なしでは、下方に流れる液体は、液体伝送空間58内に流れ、したがって頂部段の蒸気と気体接触空間を回避する恐れがある。またこのような液体流は、上向きの蒸気流を中断させ、1つまたは複数の下位の接触段で効率が低下する場合がある。
【0036】
底部収集器/分配器16は、底部接触段の下に蒸気を分配し、底部段のダクト74からの液体を収集する。蒸気は、ダクト74の下ではなくその間に分配されてよい。再生利用された液体は、次の工程に、または一部蒸気としてコラムに再導入するためのリボイラーに送ることができる。底部段のダクト74は、残りの段とは異なって設計されてよい。例えば、収容パン26の下の複数のダクト74の代わりに1つの連続するダクト74を使用することができる。したがって、収容パン26の開口は修正される。底部収集器/分配器または他の同等の手段なしでは、上昇する蒸気流の一部は、底部段の蒸気と気体接触空間を回避し、液体伝送空間に直接流れ込む。また上昇する蒸気は、底部段から排出される液体を再同伴する、あるいは所望の蒸気と気体の流量パターンを乱すことがある。上記に考察した頂部および底部収集器/分配器に加えて、コラム内のいずれかの地点で補助収集器/分配器が利益をもたらし、1つまたは複数の供給流および/またはサイドカットなど他の任意の生成流などの流体流が導入されるまたは引き出される。
【0037】
中段12の接触モジュール20の液体流を以下に記載する。上位段からの液体は、複数の上位の収容パン26によってダクト28を通って液体分配器22内に誘導される。液体は、液体分配器出口34を通って液体分配器22を出て、液体接触空間56に進入する。上方に向く蒸気の速度は、接触空間56で高速であり、接触空間56に進入する液体は、蒸気に同伴する。接触空間56に進入する液体の一部は、下位液体分配器22の頂部上の入口板36の上に落下する場合がある。リップ38を備えた入口板36は、液体を高速の蒸気速度を有する空間に誘導し、液体は、蒸気に同伴して接触空間56内に戻される。下位液体分配器の入口板36は、蒸気に接触せずに、液体が上位の液体分配器から下位液体分配器へ近道を取るのを阻止する。
【0038】
同伴する液体は、蒸気によって上方にデミスタユニット40の入口面42内に運ばれる。蒸気と気体は、デミスタユニット40内の分離構造体41によって分離され、蒸気は、出口面44を通ってデミスタユニット40を出て、液体伝送空間58に入る。次に蒸気は上位接触段12の接触空間56に向かって上方に移動を続ける。液体は、出口面44の底部を通ってデミスタユニット40を出て、収容パン26の上に流れる。収容パン26は、液体を複数のダクト28の中へ誘導し、各ダクト28は、液体を別々の下位の液体分配器22内へと誘導する。
【0039】
代替の実施形態において、接触段12は、米国特許第6,682,633号に記載されるものと同様の平行段を有する複数の部分で構成される。しかしながら、平行段の各部分は、上位および下位の段に対して回転される。段は1つの部分から別の部分への移行部で、本発明による特徴を含み、非平行部分の間に適切な流体が流れることを可能にする。
【0040】
接触モジュール20の端部は、すなわち密閉する容器の壁11の内面に面するモジュール20の終端部分であり、意図されない接触装置の蒸気または液体の迂回を阻止するために密封されてよい。この実施形態において、モジュール20の端部は、密封構造体の曲率に適合するように先細にされる、または湾曲される。あるいはモジュール20の端部は平坦であり、水平の無孔の延長板が、モジュール20から密封容器の壁までの空隙に及ぶ。
【0041】
当業者は、本発明の基本構成に多くの変形を加えることができることを理解するであろう。例えば液体分配器壁30の傾斜角度は、0°から30°、またはそれ以上に有意に変更することができる。一実施形態において、液体分配器壁30の角度は、実質的に垂直から垂直線から8°までである。別の傾斜面は、デミスタ列24の垂直壁の角度である。一実施形態において、角度は、垂直線から8°であり、この角度は、0°から30°の間で変更することができる。いくつかの実施形態において、デミスタの上部は、デミスタの下部より、モジュールの仮想垂直中央面により近接する。
【0042】
別の変形態は、対象モジュール20を、本装置を使用してコラムの各部分の上、または下、または点在するいずれかの蒸留トレイおよびパッキングと併せて使用することができる。本発明のモジュールはまた、壁が分割された蒸留コラム内に使用することもできる。別の変形態は、包囲する容器またはコラムの形状に関連する。大抵の分留コラムは円筒形であるが、これは本装置に要求されるものではなく、矩形または正方形など異なる断面形状を有するコラムにおいても同様に機能することができる。分留コラムは、10から250またはそれ以上の接触段12を含むことが予想される。モジュール20の設計は、多くの設置場所においてコラム全体で基本的に均一であるが、例えばコラムの異なる部分での流体流の速度変化に適合するために、1つのコラムを変えることもできる。
【0043】
図面は、基本装置に対するすべてのオプションおよび/または付加物を示してはいない。付加物の数は、一般的な機械特性の追加の支持体、ファスナ、ブレースなどを含み、これはほとんど際限なく変更することができるため、非常に冗長なものになる。
【0044】
接触モジュール20は、仮想中央垂直面に対して左右対称であってよく、一組のデミスタの間に液体分配器20を備える図2のモジュールの断面図で見ることができるその長さに沿って、モジュールを二等分する。接触モジュールがさらに収容パンおよび関連するダクトをデミスタの各側に備える別の実施形態も、左右対称であってよい。
【0045】
図10Aおよび10Bは、モジュールが必ずしも左右対称でないことを強調し、本発明のいくつかの追加の非限定的な実施形態を例示するために呈示される。例えば図10Aは、液体分配器22’がその長さ全体が、段の収容パン26のレベルまで延在する必要がないことを示す。液体分配器の端部は、容器の壁に装着された支持リングまで延在することによって、支持されるように構成されてよく、または本明細書で言及した他の支持機構、および当分野でよく知られたものを使用することもできる。液体分配器22’はまた、壁30’および液体分配器の下部または底部が、水平方向より下方向により多くの液体を誘導する出口34’などを多様に構成することができることを示す。デミスタの変形態はまた、垂直に配置され液体分配器の上部から離間する左デミスタ24’によって示される。頂部の無孔の板45’は、液体分配器22’とデミスタ24’の間の空隙にわたって延在するように構成され、並流式に接触した蒸気と気体が次に、段のデミスタを通って流れることによって確実に分離されるように、接触空間56’の上部を実質的に密封する。図示されない別の実施形態において、垂直デミスタ24’は、壁30’の上部で液体分配器に接合する。壁30’は、垂直デミスタ24’と協働して接触空間56’を画定するように構成される。図10Bは、液体分配器22”の頂部が、デミスタ24”の頂部の下にあり、ダクト28”および/または液体分配器壁30”あるいはその一部が、ほぼ垂直である場合を示す。示されるように、出口34”は、対称的に配置される必要はない。デミスタ24”は、垂直または、角度を成した構成のいずれかで収容パンの平坦なベースの上に配置されてよい。デミスタの下方内面は、デミスタ内の分離した液体が、接触空間56”内に戻るように流れるのを阻止するために、堅固な板または収容パンの延長部などによって密封されてよい。一方で、接触空間56”の上部を実質的に密封する必要がある場合、堅固な頂部板45”は、液体分配器まで延在するように構成することができる。示されるように、堅固な頂部板が図10Bに記載されるモジュールの右側のデミスタには使用されない場合でも、デミスタの迂回を阻止するために、接触空間の上部を密封する手段が設けられる。したがって、デミスタはそれらが同一に構成されない場合であっても、ほぼ平行に整列することができることがわかる。
【0046】
接触モジュール20が極めて短い場合があり、対向するデミスタ列24の穿孔出口板44の間の最大距離として幅を測定すると、その長さは幅よりも大きくなることが予想される。モジュール20の長さは、コラム、またはそれが及ぶ容器の内部寸法によって表わされる。モジュール20は自己支持式に製作することができる、またはそれらは、コラムの内部空間にわたって延在する構造部材によって支持されてもよい。デミスタユニット40と同様に、単一のモジュール20内の液体分配器は、コラムの幅にわたって延在してよい、または液体分配器は、コラムにわたって延在するように縦に並べて、または各部分を重ねることによって一緒に結合される2つ以上の個別の部分として製作されてよい。同様に接触モジュール20は、モジュールの各要素を含み、接触モジュール列を形成するために設置される際、縦に並べて接続される組み立て式ユニットとして製作することができる。別の実施形態において、モジュール20は、例えば設置する際、長手方向に結合されるハーフモジュールのユニットとして製作することができる。これは、図2に示すモジュールを、その長さに沿ってモジュールを二等分する仮想中央垂直板に沿って分離しようとする場合に容易に予想され得る。このようなハーフモジュールは、液体分配器および収容パンが、本明細書の教示に一致して完成される場合、完全なモジュールとして機能することができる。したがって、一実施形態においてモジュールは、液体分配器、デミスタおよび少なくとも1つのダクトを有する収容パンを備えてよい。多くの用途において、各段は、複数の接触モジュールを含むが、いくつかの実施形態においては、所望する蒸気と気体の接触を実現するために、1つの段上に単一のモジュールで十分である場合もある。
【0047】
図面は実際の装置の単なる例示であり、縮尺は調整されていない。装置の種々の構成要素のサイズは、装置が適合しなければならない予想される最大流速によって設定される。装置の設計のガイドラインを設けるために、液体分配器22の入口32は、典型的には8cmから25cmの幅を有することに留意されたい。他の実施形態において、幅は10cmから15cmの範囲である。装置の2つの層の同等の地点間の垂直距離は、25cmから75cmの範囲である。他の実施形態において、垂直距離は、30cmから45cmの範囲である。デミスタユニット40は、垂直入口面42と垂直出口面44の間で測定される幅が7cmから20cmである。液体の排水がデミスタユニット40から収容パン26へ容易に行われ、液体流が収容パン26からダクト28に流れるように、デミスタユニット40の底部と収容パン26の間に空隙が形成されるように、デミスタユニット40の底部は、収容パン26の上2.5cmから7.5cmである。他の実施形態において、デミスタユニット40は、収容パンの平坦なベース50の上に載置する。他の実施形態において、デミスタの底部は、収容パン26の上15cmまでである。
【0048】
特定の実施形態によると、穿孔入口板42の代わりにメッシュパッドなどの多孔性のブランケット層が、デミスタユニット40の入口を覆う。この多孔性ブランケットの使用は、特により高い蒸発速度で作動する際、蒸気と気体の分離を促進することがわかっている。多孔性ブランケットは、液滴を脱同伴するために使用される従来のメッシュ材料、またはいわゆる「ミストエリミネータ」であってよい。それは典型的には、高い表面領域の圧力降下の低いブランケットを形成する非常に緩く編まれたより線を備える。メッシュブランケットは、微細な液滴の合体、および分離装置に対する液体分配用である。代替の構造は、分離構造体41内のへこみの中に、またはデミスタユニット40の内側全体にメッシュを装着することである。蒸気と気体の接触および質量の伝送を向上させるために、穿孔された板など他の材料を、接触空間56内に配置することができる。
【0049】
本装置の構造体の材料は、蒸気と気体を接触させる装置に従来使用されるものであってよい。蒸気と気体の複合体に適合可能な構造体の材料、蒸気と気体接触工程の作動条件、および工程で使用される構造体のその他の材料を、本発明のために考慮することができる。一般的な材料は、7ゲージから30ゲージの範囲の標準的厚みの金属を含める。要求される金属の厚みは、金属の強度およびその成分によってある程度変わる。金属は、炭素鋼から、より腐食性の高い状況でのステンレス鋼、またはチタニウムを含めた他の金属まで含めてよい。装置はまた、複合体、および強化プラスチックを含めたポリマー材料から製作することができる。装置は、標準ゲージの金属など単一の材料で製作されてよい、あるいは装置は材料の混合物から製作される。
【0050】
本装置を使用する可能な別の変形態は、液体分配器22内、または触媒蒸留を行うために蒸気または液体を伝送するのに使用される空隙内の他の場所など、装置内の様々な場所での触媒の配置である。触媒の最適な配置は、液体または蒸気相内で所望される反応が生じるか否かによってある程度決定される。
【0051】
分留コラムの作動条件は、コラム内で分離される化合物の物理特性によって限定される。コラムの作動温度および圧力は、コラムの作動コストを最小にし、他の商業的目的に適合するために、これらの範囲内で変更することができる。作動温度は、極低温の分離で使用される超低温から、化合物の熱安定性を試す温度まで及ぶことができる。したがって本工程に好適な条件は、−50℃から400℃の広い範囲の温度を含む。コラムは、液体として存在する供給化合物の少なくとも一部を維持するのに十分な圧力で作動する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の並流式接触モジュールを利用する蒸気と気体を接触させるコラムの断面外略図である。
【図2】モジュールの断面外略図である。
【図3】デミスタおよび液体分配器を示す図1のコラムの段の上面図である。
【図4A】図3のデミスタの図である。
【図4B】図3のデミスタの図である。
【図5】収容パンおよび液体分配器を示す図1のコラムの段の上面図である。
【図6A】図1の収容パンの概略上面図である。
【図6B】図1の収容パンの概略断面図である。
【図7A】図1の液体分配器の概略上面図である。
【図7B】図1の液体分配器の端部の等角図である。
【図8】代替のダクトを有する図1の液体分配器の概略断面図である。
【図9A】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9B】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9C】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である
【図9D】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9E】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9F】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9G】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図10A】本発明の接触モジュールの代替の実施形態を示す図である。
【図10B】本発明の接触モジュールの代替の実施形態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分留、または質量および/または熱を伝送するために蒸気と気体を接触させる他の形態を実施するための有益な装置に関する。本発明はより詳細には、分留コラム内で炭化水素などの揮発性化学物質を分離するのに有益な、収容性が高く効率の良い並流流動分留装置を可能にする工程および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分留トレイおよびパッキングなど蒸気と気体を接触させるデバイスは、石油および石油製品産業におけるほとんど無限の種類の分離を行うのに利用される。例えば、パラフィン、芳香族およびオレフィンなど多くの多様な炭化水素の分離に分留トレイが使用される。トレイは、種々のアルコール、エーテル、アルキル芳香族、モノマー、溶剤、無機化合物、大気気体など特定の化合物の分離、原油、ナフサおよびLPGを含めた石油由来の分級物などの広範な沸騰性混合物の分離に使用される。蒸気と気体の接触トレイはまた、ガス処理、精製および吸収に使用される。種々の利点および欠点を有する広範な種類のトレイおよび他の接触デバイスが開発されてきた。
【0003】
分留トレイおよびパッキングは、従来の分留装置の主要な形態である。これらは、分留コラム内で行われる蒸気と気体の接触を促進するために化学、石油化学、および石油精製産業で広く使用される。分留コラムの通常の構成は、10から250の個別のトレイを含む。コラム内の各トレイの構造は、同様であることが多いが、構造は、垂直に隣接するトレイ上で交互になる場合があることも知られている。トレイは通常、コラムのトレイ間隔と呼ばれる均一の垂直の距離で水平方向に設置される。この距離は、コラムの異なる部分内で変更されてよい。トレイは、コラムの内面に溶接されたリングによって支持されることが多い。
【0004】
分留は従来より、全体的に下方に向かう液体の流れと、上方に向かう蒸気の流れを有する直交流または対向流接触デバイスで行われてきた。装置のある地点で、蒸気と液体の相が接触して、蒸気と液体の相が成分を交換し、互いに均衡状態に近づくことが可能になる。蒸気と液体は次に、分離され、適切な方向に移動し、適切な流体の別の量と再び接触する。多くの従来の蒸気と液体を接触させるデバイスにおいて、蒸気と液体は、各段で直交流配置で接触する。代替の装置は、従来の多段式接触システムと異なり、装置内での全体の流れが連続して対向流であり、蒸気と液体の相が実際に接触する各段は、並流式の質量送達区域で実行される。
【0005】
従来のトレイを使用した分留工程の際、コラムの底部で生成された蒸気は、一定の液体量を支持するトレイの水平領域の上に広がる多数の小さい穿孔を通って上昇する。液体を通る蒸気の通路は、飛沫と称される泡の層を生成する。飛沫の高度の面領域は、トレイ上の蒸気相と液体相の間の成分の均衡を迅速に確立するのを助ける。飛沫は次いで、蒸気と液体に分離することができる。質量の送達において、蒸気は、液体に比べて揮発性物質の損失が少なく、これにより各トレイを通って上方に進むにつれ、わずかにより揮発性となる。同時に、液体がトレイからトレイに下方に移動するにつれ、液体中のより揮発性の低い化合物の濃度が増す。液体は飛沫から分離し、次の下方のトレイに向かって下方に進む。この連続的な飛沫の形成および蒸気と液体の分離が、各トレイ上で行われる。したがって蒸気と液体の接触装置は、上昇する蒸気と液体を接触させ、次に2つの相を分離し別々の方向に流れるようにする2つの機能を行う。このステップが異なるトレイ上で適切な回数だけ行われるとき、工程は、化学化合物をその相対的揮発性に基づいて分離する。
【0006】
石油精製、化学および石油化学産業においてこの有用性を有する装置の改良を望む結果として、パッキングおよびトレイを含む多くの異なるタイプの蒸気と気体の接触デバイスが開発されてきた。異なる装置は、異なる利点を有する傾向にある。例えば、複数の降水管トレイは、蒸気と気体の高い収容力、および有意の範囲の作動速度にわたって効果的に機能する能力を有する。構成されたパッキングは、圧力降下が少ないため、低圧または真空での動作において有益になる。常に改良が求められる蒸気と気体の接触装置の2つの重要な特徴は、収容力と効率である。並流式接触デバイスは、各段で蒸気と気体の分離を促進するために、デミスタまたは遠心羽根などの蒸気と気体を分離するデバイスを使用することによって、高い収容力を実現する1つの装置であると考えられている。並流式接触デバイスはまた、蒸気と微細な液滴の並流接触によって、高い質量転送効率を実現することができる。
【0007】
平行な配置を有する並流式の蒸気と気体の接触装置は、米国特許第6,682,633号に教示され、これは、コラムまたは他の囲いの水平の層内に配置されるいくつかの構造ユニット内で、蒸気と液体を並流式に接触させるためのモジュラー装置を開示する。構造ユニットは、各段または層において、次のより高い段のモジュールからの降水管用に空間を設けるために、水平に離間して配置される。各段の構造ユニットは、これより上、または下の段の構造ユニットに平行して整列される。降水管は、2つの傾斜した接触チャネルの一方に液体を送達し、接触チャネルは、モジュールの頂部で蒸気および液体を分離チャンバ内に排出する。蒸気は、分離チャンバから上に向かって次のより高いモジュールの接触チャネルへ流れ、液体は、単一の中央降水管を通って次のより下の接触チャネルに向かって下方へ流れる。
【0008】
米国特許第5,837,105号および関連する米国特許第6,059,934号は、トレイ全体に広がる複数の並流接触部分を有する分留トレイを開示する。水溜めに集められた液体は、複数の降水管を通って、次のより下のトレイへと流れ、トレイの蒸気開口を通って上昇する蒸気中に同伴され、トレイ上の2つの分離デバイスの一方の中へと進められる。各分離デバイスからの液体は次に、水溜めの中へと流れる。段の平行および非平行な整列を含めたいくつかの構成が教示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
隣接する段の上に平行な配置を有する蒸気と気体の接触装置内で、液体または蒸気の不均衡な分配が生じた場合、流体を装置の長さに沿って容易に再分配することができないことが知られている。したがって、液体または蒸気の不均衡な分配は、1つの段から次の段へと伝播し、装置の収容力および効率を低下させる恐れがある。したがって、流体を再分配するために、付加的な自由度を有する並流式の蒸気と気体の接触装置が必要とされる。さらにコラム内の比較的狭い領域での穿孔された水平板の使用は、部分的な開放領域が高い場合ですら、圧力降下をかなり増加させる。したがって、非平行の段、および液体処理力を低下させることなく、1つの段から次の下位の段に液体を伝送する構造体を備えた改良された並流式の蒸気と気体の接触装置が必要とされる。さらに、流体が流れて接触するための、コラム間隔を最適に使用するこのようなデバイスは、高い収容力、高い効率および低い圧力降下を実現することが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分留コラムおよび他の蒸気と気体を接触させる工程で使用するための、新規の収容力が高く効率の良い並流式の蒸気と気体の接触装置である。装置は、トレイ状の構造ではなく、水平の段に接触モジュールを配置することを特徴とする。1つの段のモジュールは、下位、上位またはその両方の段のモジュールに対して非平行になるように回転される。接触モジュールは、液体分配器、および接触空間を画定するデミスタを少なくとも含む。上昇する蒸気が、接触空間に進入し、液体分配器から排出された液体を同伴し、それをデミスタに並流式に運ぶ。デミスタは蒸気と気体の分離器としても知られており、蒸気と気体が接触した後、それぞれ上下に別々に流れることができるように、蒸気と気体を分割する。デミスタからの液体は、収容パンの上へ流れ、ダクト内へ流れる。単一の収容パンに関連するダクトはそれぞれ、液体を下位の接触段に関連する別々の液体分離器へと誘導する。変形態は、デミスタ、液体分配器、ダクトおよび接触空間などの個別の要素の数および設計、ならびに装置の全体の構成に関する。
【0011】
一実施形態において、本発明は並流式に蒸気と気体の接触を行うための装置を含む。装置は、1つまたは複数の接触モジュールを有する複数の段を備える。接触モジュールは、接触空間に近接する出口を有する液体分配器、液体分配器に対してほぼ平行に配向された収容パン、少なくとも1つのダクト、およびデミスタを含む。各ダクトは、収容パンに流体連通する上方端部、および別個の下位の液体分配器に液体連通する下方端部を有する。デミスタは、接触空間に近接する入口面、および収容パンの上位にある出口面を有する。少なくとも1つの段の接触モジュールは、別の段の接触モジュールに対して回転される。
【0012】
別の実施形態において、本発明は並流式に蒸気と気体の接触を行うための装置を含む。装置は、少なくとも1つの接触モジュール、および複数の収容パンを有する複数の段を備える。接触モジュールは、一組のほぼ平行に離間したデミスタ、一組のデミスタの間に配置される液体分配器を含む。液体分配器は、デミスタと協働して接触空間を画定し、接触空間に流体連通する出口を有する。1つのモジュールの各デミスタは、接触空間に流体連通する入口面、および段の別個の収容パンの上位の出口面を有する。接触モジュールの少なくとも一部は、一組のデミスタに関連する一組の収容パンの間に配置される。各収容パンは、少なくとも1つのダクトを有し、1つの収容パンの各ダクトは、別個の下位の液体分配器に対して流体連通する。少なくとも1つの段は、2つの段の接触モジュールが、互いに対して非平行に整列するように、別の段に対して回転される。
【0013】
別の形態において、本発明は蒸気と気体を接触させるための方法を含む。方法は、上昇する蒸気流を接触空間内へ進めるステップ、および第1の液体分配器の出口を通って液体を接触空間に誘導するステップを含む。デミスタ内に並流式に流れるように、接触空間内の蒸気流中に液体を同伴させる。デミスタ内の蒸気流から液体を分離する。デミスタから出る液体を収容パンへ送達し、デミスタから出る蒸気流を上位の接触空間に進める。収容パンからの液体を、液体を下位の液体分配器内に誘導する少なくとも1つのダクトの中に進める。収容パンに関連する各ダクトは、液体を別個の下位の液体分配器内へと誘導する。下位の液体分配器は、第1の液体分配器に対して非平行である。
【0014】
本発明の利点は、1つの接触段が垂直に隣接する段に対して非平行に配向され、多方向に蒸気と気体を分配するための自由度が加わることである。液体または蒸気の不均衡な分配が生じた場合、液体は容易に再分配される。したがって、液体または蒸気の不均衡な分配は、1つか2つ程度の段で解消され、これにより従来技術に対して装置の収容力および効率が向上する。本発明はまた、下位の段から上位の接触空間へ上昇する蒸気の通路が比較的妨害されず、これはこれまでの装置と比較して圧力降下が少ないという利点を有する。
【本発明を実施するための最良の形態】
【0015】
対応する参照符号は、複数の図面を通して対応する部分を示す。本明細書に記載された例は、本発明のいくつかの実施形態を示すが、いずれの方法においても本発明の範囲を限定するものとしては解釈されるべきではない。
【0016】
図1を参照すると、本発明の並流式の蒸気と気体の接触装置の一実施形態が容器10内に示されている。容器10は、例えば蒸留コラム、吸収装置、直接接触熱交換器、または蒸気と気体の接触を行うのに使用される他の容器であってよい。容器10は、本発明による接触段12、および2つの任意の収集器/分配器を含む。コラムの上部は、頂部収集器/分配器14を含み、コラムの下部は、底部収集器/分配器16を含む。簡素化のために、3つの接触段のみが示される。当分野ではよく知られているように、蒸留コラムは、複数の部分を含んでよい。各部分は、いくつかの接触段を含んでよく、各部分の間および/またはそれらの中に複数の流体供給口および/または排出口を含んでよい。また、並流式接触デバイスおよび他の従来の蒸留デバイスなどの異なる接触デバイスが、同一のコラムの同一および/または異なる部分で併用されてもよい。容器10は、典型的には円筒形、または代替として他の任意の形状の形態である外殻11を含む。
【0017】
本実施形態において、図1に示すように、各接触段12は、直接上位の段および下位の段に対して、90°回転して配向される。したがって、各接触段12は、すぐ上位の段に直交する方向で液体を分配し、液体の不均衡な分配を減少させる。他の実施形態において、垂直に隣接する接触段は、0°から90°の回転で配向されてよい。別の実施形態において、接触段は、9°から90°の間で回転される。接触段同士の回転度は、各段で同一でもよく、あるいは変えることもできる。すなわち、本発明は、垂直に隣接する接触段同士の回転度を変更する実施形態も包含する。例示の実施形態において、各接触段12は、複数の接触モジュール20および収容パン26を備える。
【0018】
図2、3および5に示すように、本実施形態の接触モジュール20は、一組のデミスタ24の間に配置された液体分配器22を含む。液体分配器およびデミスタは協働して、並流式に流体が接触する空間56を画定する。接触モジュール20に加えて、各段はまた、複数のダクト28を有する複数の収容パン26を含む。図5は、2つの隣接する段の見下し図を示し、収容パン26、ダクト28および液体分配器22の配置をより明確に示すために、デミスタは排除されている。各段で、収容パン26はほぼ平行であり、容器の断面領域にわたって離間されている。モジュールの液体分配器22は、隣接する収容パン26の各組の間に配置され、これにより収容パン26とモジュール20の交互のパターンとなる。2つのモジュールの間に配置された収容パンは、本明細書では中央収容パンと呼ばれ、モジュールと容器外殻の間に配置された収容パンは、本明細書では端部収容パンと呼ばれる。中央収容パンは、2つの隣接するモジュールを共有することがわかる。図示されない別の実施形態において、一組の収容パンは、各接触モジュール内に組み込まれる。このようなモジュールが、段全体にほぼ平行に整列して配置される際、隣接する液体分配器の各組の間に2つの収容パンがあるように、モジュール同士が隣接する。一般に収容パン26の上の流体伝達空間58内に出現する流体が互いに干渉するいかなる傾向も低減させる目的で、デミスタ24から発散される蒸気を遮断するために、2つの隣接する接触モジュール20の間に任意で垂直バッフル21が含まれる。垂直バッフル21は、隣接する接触モジュール20のデミスタ24の間にほぼ平行に配置される。
【0019】
本実施形態の液体分配器22は、上部に液体分配器入口32、および下部に複数の出口34を有する。2つの傾斜する液体分配器壁30が液体分配器22を下方向に先細にする。ほぼV字型の液体分配器の底部は、先をとがらせる、または曲線にする、または図2に示すように平坦であってよい。段差のある、または傾斜しかつ段差のあるなど、多様な種々の形状の液体分配器を有する代替の実施形態を予想することができる。別の実施形態において、液体分配器の断面形状は、矩形または正方形など一定であってよく、または曲線の、不規則な形状、あるいは所望の接触空間を画定し、そこに液体を送達するように構成されてもよい。しかしながら、V字型液体分配器は、本発明において、各段12の下部のデミスタ24と液体分配器壁30の間の大きな接触空間と、液体処理力を高めるために拡大されたダクト28を収容するための上部の大きな液体分配器入口32とを組み合わせるのに使用される。液体分配器入口32は、ダクト28と係合するように構成される。任意の入口板36が、垂直に隣接する液体分配器の間に配置される。液体分配器板36は、上位の液体分配器22の液体分配器出口34に近接する液体分配器入口を覆う。各入口板36の上の2つのリップ38が、上位の液体分配器22からデミスタ24の上の空間に液体を誘導し、液体は、上昇する蒸気に同伴する。これは、高い効率を保証する付加的利点を実現し、液体が、上位の液体分配器から直接液体分配器22に進入するのを防ぎ、接触する機会が回避される。
【0020】
液体分配器出口34は、液体分配器22の底部に近接する1つまたは複数の列で配置される複数のスロットまたは他のタイプの穿孔によって形成される。出口34は、液体分配器の壁30および/または底部に配置することができる。作動中、液体分配器中の液面により、上昇する蒸気が出口34を通って液体分配器に進入するのを防ぐシールが形成される。穿孔34は好ましくは、液体分配器22の長さに沿って分配され、穿孔はサイズまたは数を変更される、あるいは下位の液体分配器の上の液体分配器22の一部で除去されるように配置されてよい。したがって、液体分配器出口の配置は、1つの液体分配器から下位の液体分配器に直接液体が流れ込むのを回避する別の手段として使用することができる。これらの、および以後考察されるこのような手段の他の組合せは、液体が接触段を回避する可能性を防ぐために使用することができる。
【0021】
デミスタ24は、図3に最もよく見られるように、液体分配器22の長さに沿ってその両側に列を成して延びる。本実施形態の隣接する段でのモジュールの直交関係をより良好に示すために、図3には収容パンが示されていないことを理解されたい。デミスタ列24は、図4Aおよび4Bに示す複数のデミスタユニット40から組み立てることができる。デミスタユニット40はさらに、雄型端部板46と、雌型端部板48とを含んでよく、各板は、接合部を通る流体の漏出を実質的に防ぐシールを形成するために、隣接するデミスタユニット40の相補的端部板と協働する。このような雌雄の端部板は、モジュラーデミスタユニット40からデミスタ列24を構築するのに使用することができる相互連結機構の1つのタイプを提示する。いかなる知られた相互連結機構も使用することができる。他の実施形態において、モジュラーユニット40は、ボルト、クリップ、ピン、クランプ、バンド、または溶接または膠接着など他の知られた手段によって一緒に固定されてもよい。雌雄のタブと、スロットとの組合せなどの機構は、迅速な組み立ておよび解体に関して有利となり得る。デミスタ24のモジュラー構成により、製作者は、長さが変わるデミスタ列24を組み立てるのに、デミスタユニット40を1つまたは少数の標準サイズで製造することが可能になる。いくつかのカスタムサイズのデミスタユニット40は、特に短いデミスタ列24を必要とする、または装置、および入手可能な標準サイズの多様なデミスタユニット40の寸法によって、液体分配器22の長さを適合させる必要がある場合がある。モジュラー設計はさらに、デミスタユニット40は、単一のユニットで形成されたデミスタ列より軽いため、接触モジュール20の組み立てを容易にする利点を有する。しかしながら、他の実施形態においては、単一のデミスタユニット40が、完全なデミスタ列24を画定する。
【0022】
デミスタユニット40は、従来の設計であり得る蒸気と気体を分離する構造体41を備える。蒸気流から液滴を分離するのに種々の知られた設計が使用される。一例は、デミスタを通る流体の流れが方向を何度か変えられ、これにより、同伴する液滴を分離構造体41の一部に衝突させ、デミスタの底部に向けて下方に流れるようにするために、多様なチャネルおよびルーバを有する羽根タイプデミスタなどのミストエリミネータである。知られた蒸気と液体を分離するデバイスの別の例は、メッシュパッドまたは編まれた金属の糸である。これらのミストエリミネータ技術の組合せを使用することもできる。
【0023】
図2に示すように、装置の性能および/または構造の完全性を向上させるために、多様な任意の要素がデミスタと協働するおよび/またはこれらをデミスタ内に組み込むことができる。例えば、入口面として穿孔された入口板42、出口面として穿孔された出口板44および無孔の頂部板45が示される。穿孔された板は、デミスタと協働することができる流量操作装置の1タイプである。流量操作装置の他の非限定的な例は、エキスパンドメタル、多孔質体、メッシュパッド、スクリーン、グリッド、メッシュ、プロフィールワイヤスクリーン、およびハニカムを含める。流量操作装置の部分開放領域は、デミスタの分離効率および圧力降下の両方に影響することがわかっている。流量操作装置の部分開放領域は、デミスタの分離効果および圧力降下を最適化するために、デミスタの別の側、および同一の側で変えることができる。単一のデミスタで多様なタイプの流量操作装置を使用することができる。他の実施形態において、流量操作装置は、デミスタのいくつかのまたは任意の入口面および出口面では使用されない。
【0024】
穿孔入口面42は、液体分配器22に近接する。穿孔出口面44は、穿孔入口面42と反対側のデミスタの側面の大部分、およびデミスタユニット40の底部に沿って延在する。無孔頂部板45は、液体が直接ユニットの頂部からデミスタユニット40を出ていくのを阻止し、蒸気と気体の分離効率を上げる。無孔頂部板45は両側に屈曲ストリップを有し、一方は壁に装着するために液体分配器壁30をたどり、他方は、穿孔出口板44に接続するために、デミスタ40の穿孔出口板44をたどる。また穿孔出口板44の頂部から一定の距離だけ下方に延在する無孔のストリップは、蒸気と気体の分離効率を向上させることがわかっている。一実施形態において、ストリップは、デミスタ出口の高さの10%を覆うように延在する。別の実施形態において、ストリップは、デミスタ出口の高さの30%を覆うように延在する。別の実施形態において、ストリップは、デミスタ出口の高さの50%を覆うように延在する。
【0025】
図2、5、6Aおよび6Bに示す各収容パン26は、平坦なベース50の周りに垂直に延在するリップを含む。デミスタ支持レール52は、成形された金属板をパン26の長手方向に沿って2つのリップにそれぞれ装着することによって形成される。端部収容パンは、デミスタ支持レール52を1つだけ含むことができる。収容パン26内に収集された液体は、複数のダクト28に誘導される。一実施形態において、液体収容パン26は、図6Aおよび6Bに示す任意のバッフル54を含む。支持レール52は、特定のデミスタ列24内でデミスタユニット40のベースに係合する。デミスタユニット40の底部に装着される支持角は支持レール52内に挿入され、デミスタの頂部は、液体分配器入口32に近接して液体分配器壁30に固定される。支持レール52は、たとえデミスタユニット40が液体分配器22に固定される前でも、デミスタユニット40を構造的に支持する。この実施形態において、各中央収容パンは、それぞれ隣接する接触モジュール20からの2つのデミスタ列24を支持し、容器外殻11に近接する端部収容パンは、段の端部モジュールの1つのデミスタを支持する。したがって、単一の収容パン26は、2つの接触モジュールによって共有されてよい。したがって本発明の本実施形態に記載されるように、各段の構造は、少なくともコラムの一部において同一であり、これは装置の製作および設置を簡単にすることができる。
【0026】
複数のダクト28が、収容パン26を通って液体分配器入口32内に延在する。図5に最もよく示されるように、特定の収容パン26を通って延在する各ダクト28は、異なる下位の液体分配器22に液体を誘導する。現在の実施形態において、ダクト28の頂部は、液体が妨げられずに収容パン26からダクト28内に自由に流れることができるように、収容パン26の水平面50と同一面になる。他の実施形態において、ダクトが開口を介して嵌合される際、ダクトは、収容パンの平坦なベース50の上に載置するリップを有することによって、収容パンから下垂してもよい。ダクトはまた、収容パンの下面に設置されてもよい。限定するものではないが、下垂する、ボルト留めする、溶接する、および加圧嵌合するなど、ダクトと収容パンを接続するいずれの従来の手段も使用することができる。収容パンとダクトの間の漏れを回避するために、ガスケットおよび/または密封材を使用してもよい。他の実施形態において、ダクトは、開口が形成される際、切断され折り畳まれる、または押し出すことができる収容パンの平坦なベースの一部によって、少なくとも部分的に画定することができる。さらにダクト28の頂部口は、液体処理能力を増強させ、ダクトの入口が塞がる傾向を低減させるために、図2に示すように液体分配器入口32より大きくし、幅を広げることができる。ダクト28が液体分配器22内に嵌合し、設置を容易にし蒸気が容易に抜けるように空隙が残るように、ダクト28の側壁は傾斜しており、これは図2および7に示されている。出口が、液体分配器22内の液体によって完全に密封されないとき、蒸気は、上位の段からの液体流と共に、すなわち液体分配器出口34を通って液体分配器22内に進入する場合がある。液体分配器22内の蒸気が液体分配器頂部32から適切に排出されない場合、蒸気はダクト28内に追いやられて、ダクトを通る液体流を詰まらせ、深刻な空気の混入、装置の早すぎる張水が生じる恐れがある。したがって、液体分配器22内の蒸気が、ダクト28と液体分配器22の間の空隙、またはダクト28の間の液体分配器22の頂部の開口を通って排出されることは、本発明の利点である。液体を液体分配器22内に流れるようにするために、複数の吐水口または連続する1つのスロットまたは単一の大型の開口によって、ダクト28の底部は開放される。通常の作動状態では、ダクト28は、ダクト28内の液体によって動的に、あるいは液体分配器22内の液体によって静的に蒸気流に対して密封される。
【0027】
図8示す代替の実施形態において、ダクト28は、液体分配器入口32のわずかに下方にのみ延在し、底部にダクト28の断面の主本体と同サイズの開口を有する。ダクト28は、ダクト28内の液体、または液体分配器22内の液体によって密封されない。代わりに密封板37が上に設置され、液体分配器入口32を閉鎖することができる。ダクト28は、蒸気が液体分配器22の頂部からダクト28内に入り込むのを防ぐために、開口によって密封板上に緊密に嵌合される。代替の実施形態において、蒸気が出口34を通って、または上位段からの液体流と共に液体分配器22内に進入する場合、蒸気が液体分配器頂部32から排出されないことから、第1の実施形態は、この代替の実施形態に対して有利である。代わりに蒸気は上位段に向けてダクト28内に押しやられ、これによりダクトを通る液体流が詰まらせる恐れがある。
【0028】
デミスタ24の入口面と液体分配器22の隣接する壁30の間の空間は、図2に示す流体接触空間56を形成する。デミスタユニット40内での流体接触は、蒸気と液体が分離されるまで続く。デミスタ入口の穿孔板42または他の流量操作装置が、デミスタへの流体流の分配を向上させ、蒸気と気体の分離を促進する。入口流量操作装置はまた、流体接触および質量の伝送を向上させることができる。収容パン26の上、およびそれが支持するデミスタ列24間の空間が、流体伝送空間58を画定する。デミスタ列24は、改良された接触空間56との組合せを実現するために、図2に示すように垂直方向から一定の角度で配向されてよく、この接触空間は本実施形態において、減少する流体流に適合するために底部から頂部に向かって減少する空間を有し、流体伝送空間58は、本実施形態において、増加する蒸気流に適合するために低所から高所に増大する空間を有する。
【0029】
液体分配器22および収容パン26は、溶接または他の従来の手段によるなどしてコラムの壁の内面に装着された、図示されない支持リングによって支持されてよい。液体分配器22および収容パン26が作動中所定の位置に維持されるように、液体分配器22および収容パン26は、ボルト留め、クランプ留めされる、あるいは支持リングに固定されてよい。特定の実施形態において、液体分配器22の端部は、図7Bに示すように端部シール59aおよびブラケット59bを含む。端部シール59aは、液体分配器22の端部を密封するために液体分配器22の端部に溶接される。ブラケット59bは、端部シール59aの底部に溶接され、支持リングにボルト留め、クランプ留め、あるいは装着される。デミスタ列24および収容パン26の端部は、端部シール59aおよびブラケット59bにボルト留めされてよい。いくつかの実施形態において、液体分配器22および収容パン26は、接触モジュール20のための主要支持体であるが、実質的に大型のコラムの場合、追加の支持梁を含むことが必要とされる場合もある。さらに、横梁、支柱などの補強機構、厚みを増した材料、追加の支持体を液体分配器22および収容パン26に使用することができる。液体分配器22の端部は、容器の外殻の輪郭をたどるように多様な方法で構成することができる。例えば、図7Aは、液体分配器22の両端が、段付きのまたは連続式に容器の外殻の輪郭をたどることができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、デミスタは成形されたすなわち波形のシート、平坦なシート、および一体式ルーバを有する羽根式ミストエリミネータである。シートおよび一体式ルーバの配置が、デミスタの入口から出口への少なくとも1つの蛇行性の流体流チャネルを形成するように、波形シートおよび平坦なシートが積層される。外部の覆いまたはフレームは、シートまたは板を一緒に保持するのに十分である。いくつかの変形態は、波形シートおよび平坦なシートの順番の積層を含み、いずれにしてもルーバは、波形シート、平坦なシート、またはその両方に形成される。さらに変形態は、ルーバの形状およびサイズ、ならびに波形シートの形状およびサイズ、および外部フレームの構造を含む。このタイプのミストエリミネータの利点は、ルーバを備えた平坦なシートと波形シートの使用を簡素に積み重ねて、自己支持式分離構造体41を形成することである。すなわち積層されたシート、およびそれらが画定する流体流チャネルは、スペーサ、ファスナ、および溶接など他の要素を必要とすることなく、所望の空間を維持することができる。さらに、羽根とルーバの設計の変形態は、高度の蒸気と気体の分離を実現し、許容不可能な圧力の降下を回避することができる。
【0031】
外部フレームは図2のデミスタに関して記載され示されたように、堅固な穿孔された板を含んでよいが、フレームは単に、積層された自己支持式シートの縁部を固定する角度をつけられたまたは平坦なストックであってよい。他の実施形態において、ストラップまたはバンドが、シートを一緒に束ねるフレームを画定する。フレームは、シートを一緒にクランプ留めするために、これらのおよび/または他の一般に知られた多様な要素を有してよい。フレームは、よく知られたいずれかの手段によって固定することができる。非限定的な例は、溶接、ボルト留め、膠接着、結束、クリンプ加工、ヒンジ連結および加圧嵌合を含める。したがって、フレームは、積層されたシートが接する面または接合地点が密封され、シート間の接合地点を通って有意な量の流体が漏出することがないように、シートを一緒に押圧するのに十分である。
【0032】
デミスタの蒸気と気体を分離する構造体を規定するための、積層された波形シートおよび平坦なシートと、一体式ルーバとの使用は、多くの変形態を有し、いくつかの非限定的な例が図9Aから9Gに示される。図9Aに示す分離構造体41は、2つの平坦なシート62に挟まれた成形(波形)シート60を含む。図9Aの左側の仮想線で示されるように、成形シート60を切断および折り曲げることによって、複数の一体式ルーバ64が形成される。同伴する液体と共に蒸気が概ね矢印の方向に流れ、ルーバ64が形成されることによって残された成形シート60の空間を通る。液滴は、ルーバ64によって形成されたポケットに取り込まれ、これによりデミスタの流体流チャネルを通過する蒸気と液体の混合物が数回方向を変えることを要求されながら、液滴は蒸気から分離される。蒸気は、引き続き空間内を進み、液体は、穿孔出口板44の下部に向かって成形シート60に沿って下方に排出される。図9Bの分離構造体41は、成形シート60と平坦なシート62の同様の構造を示すが、ルーバ64は丸みをつけられている。円形の形状により、板を通る圧力降下が減少する。板を通る圧力降下を減少させる別の設計は、図9Cに示す傾斜したルーバ64を使用する。図9Cは、2つのタイプのシートの積層を明確に区別するために、波形シート60と平坦なシート62の間の空間または分離状態を示す。外部フレームが積層されたシートを一緒に固定し、デミスタが完成すると、この空間は除去される。
【0033】
図9Dの分離構造体41は、ルーバ64を有する成形シート60、ならびに波形シート60の間の2つの平坦なシート62aおよび62bを含む。平坦なシート62aおよび62bは、ルーバ66aおよび66bを含む。この構成により、ポケットは、流体流の方向に向かう方向とそこから離れる方向の両方に向き、これにより液体の再同伴が減少し、流量の処理量が増加する。図9Eに概略的に示される代替の実施形態は、図9Dの分離構造体41と同様であるが、傾斜したルーバ64は、板の間を通る圧力降下を減少させるのに使用される。図9Eの分離構造体の別の変形態が図9Fに示され、傾斜ルーバ64および直線ルーバ66aおよび66bを含む。図9Gに示す分離構造体41の別の代替の実施形態では、成形シート60はルーバを含まず、平坦なシート62がルーバ66を含む。例示しない別の実施形態において、ルーバは複数の湾曲部を有してよい。本発明で使用される分離構造体を含むデミスタを容易に製作し設置するには、通常は同様の構成を有するであろう。同様に、デミスタ内の個々の流体流チャネルの構成は、均一である。しかしながら、これらはいずれも不可欠ではない。例えば端部デミスタは、中央デミスタとは異なる構成を有してよく、端部板に近接する流体流チャネルは、同一のデミスタの他の流量チャネルと異なって構成されてよい。
【0034】
代替の実施形態において、デミスタモジュール40は、設計に多くの変形を有し得る従来の分離構造体を使用する。重要な要因は、流れる蒸気流から同伴する液体を分離するのにそれが効果的なことである。現在のところ、これは液滴を固体面に衝突させる液体流中の多数の障害物の回避に関連すると考えられている。図中に示される障害物の逼塞性質は、液体分離を促進する比較的静止状態の領域の形成につながることもある。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、1つまたは複数の収集器/分配器を利用することができる。このようなデバイスは、本発明に不可欠ではないが、装置の各段において蒸気と気体の接触および分離を最大にするために、蒸気流および/または液体流を適切に誘導することによる利点をもたらす。例えば、パイプ分配器70およびトラフ分配器72を含む頂部収集器/分配器14が図1に示される。パイプ分配器70およびトラフ分配器72は、液体を頂部接触段12の液体分配器22内に誘導する。また頂部収集器/分配器14は、頂部段12のデミスタ列24から排出される蒸気を再生利用する。再生利用された蒸気は、次の工程または凝縮器に進められ、一部還流液体としてコラムに再導入されてよい。頂部収集器/分配器または他の同等の手段なしでは、下方に流れる液体は、液体伝送空間58内に流れ、したがって頂部段の蒸気と気体接触空間を回避する恐れがある。またこのような液体流は、上向きの蒸気流を中断させ、1つまたは複数の下位の接触段で効率が低下する場合がある。
【0036】
底部収集器/分配器16は、底部接触段の下に蒸気を分配し、底部段のダクト74からの液体を収集する。蒸気は、ダクト74の下ではなくその間に分配されてよい。再生利用された液体は、次の工程に、または一部蒸気としてコラムに再導入するためのリボイラーに送ることができる。底部段のダクト74は、残りの段とは異なって設計されてよい。例えば、収容パン26の下の複数のダクト74の代わりに1つの連続するダクト74を使用することができる。したがって、収容パン26の開口は修正される。底部収集器/分配器または他の同等の手段なしでは、上昇する蒸気流の一部は、底部段の蒸気と気体接触空間を回避し、液体伝送空間に直接流れ込む。また上昇する蒸気は、底部段から排出される液体を再同伴する、あるいは所望の蒸気と気体の流量パターンを乱すことがある。上記に考察した頂部および底部収集器/分配器に加えて、コラム内のいずれかの地点で補助収集器/分配器が利益をもたらし、1つまたは複数の供給流および/またはサイドカットなど他の任意の生成流などの流体流が導入されるまたは引き出される。
【0037】
中段12の接触モジュール20の液体流を以下に記載する。上位段からの液体は、複数の上位の収容パン26によってダクト28を通って液体分配器22内に誘導される。液体は、液体分配器出口34を通って液体分配器22を出て、液体接触空間56に進入する。上方に向く蒸気の速度は、接触空間56で高速であり、接触空間56に進入する液体は、蒸気に同伴する。接触空間56に進入する液体の一部は、下位液体分配器22の頂部上の入口板36の上に落下する場合がある。リップ38を備えた入口板36は、液体を高速の蒸気速度を有する空間に誘導し、液体は、蒸気に同伴して接触空間56内に戻される。下位液体分配器の入口板36は、蒸気に接触せずに、液体が上位の液体分配器から下位液体分配器へ近道を取るのを阻止する。
【0038】
同伴する液体は、蒸気によって上方にデミスタユニット40の入口面42内に運ばれる。蒸気と気体は、デミスタユニット40内の分離構造体41によって分離され、蒸気は、出口面44を通ってデミスタユニット40を出て、液体伝送空間58に入る。次に蒸気は上位接触段12の接触空間56に向かって上方に移動を続ける。液体は、出口面44の底部を通ってデミスタユニット40を出て、収容パン26の上に流れる。収容パン26は、液体を複数のダクト28の中へ誘導し、各ダクト28は、液体を別々の下位の液体分配器22内へと誘導する。
【0039】
代替の実施形態において、接触段12は、米国特許第6,682,633号に記載されるものと同様の平行段を有する複数の部分で構成される。しかしながら、平行段の各部分は、上位および下位の段に対して回転される。段は1つの部分から別の部分への移行部で、本発明による特徴を含み、非平行部分の間に適切な流体が流れることを可能にする。
【0040】
接触モジュール20の端部は、すなわち密閉する容器の壁11の内面に面するモジュール20の終端部分であり、意図されない接触装置の蒸気または液体の迂回を阻止するために密封されてよい。この実施形態において、モジュール20の端部は、密封構造体の曲率に適合するように先細にされる、または湾曲される。あるいはモジュール20の端部は平坦であり、水平の無孔の延長板が、モジュール20から密封容器の壁までの空隙に及ぶ。
【0041】
当業者は、本発明の基本構成に多くの変形を加えることができることを理解するであろう。例えば液体分配器壁30の傾斜角度は、0°から30°、またはそれ以上に有意に変更することができる。一実施形態において、液体分配器壁30の角度は、実質的に垂直から垂直線から8°までである。別の傾斜面は、デミスタ列24の垂直壁の角度である。一実施形態において、角度は、垂直線から8°であり、この角度は、0°から30°の間で変更することができる。いくつかの実施形態において、デミスタの上部は、デミスタの下部より、モジュールの仮想垂直中央面により近接する。
【0042】
別の変形態は、対象モジュール20を、本装置を使用してコラムの各部分の上、または下、または点在するいずれかの蒸留トレイおよびパッキングと併せて使用することができる。本発明のモジュールはまた、壁が分割された蒸留コラム内に使用することもできる。別の変形態は、包囲する容器またはコラムの形状に関連する。大抵の分留コラムは円筒形であるが、これは本装置に要求されるものではなく、矩形または正方形など異なる断面形状を有するコラムにおいても同様に機能することができる。分留コラムは、10から250またはそれ以上の接触段12を含むことが予想される。モジュール20の設計は、多くの設置場所においてコラム全体で基本的に均一であるが、例えばコラムの異なる部分での流体流の速度変化に適合するために、1つのコラムを変えることもできる。
【0043】
図面は、基本装置に対するすべてのオプションおよび/または付加物を示してはいない。付加物の数は、一般的な機械特性の追加の支持体、ファスナ、ブレースなどを含み、これはほとんど際限なく変更することができるため、非常に冗長なものになる。
【0044】
接触モジュール20は、仮想中央垂直面に対して左右対称であってよく、一組のデミスタの間に液体分配器20を備える図2のモジュールの断面図で見ることができるその長さに沿って、モジュールを二等分する。接触モジュールがさらに収容パンおよび関連するダクトをデミスタの各側に備える別の実施形態も、左右対称であってよい。
【0045】
図10Aおよび10Bは、モジュールが必ずしも左右対称でないことを強調し、本発明のいくつかの追加の非限定的な実施形態を例示するために呈示される。例えば図10Aは、液体分配器22’がその長さ全体が、段の収容パン26のレベルまで延在する必要がないことを示す。液体分配器の端部は、容器の壁に装着された支持リングまで延在することによって、支持されるように構成されてよく、または本明細書で言及した他の支持機構、および当分野でよく知られたものを使用することもできる。液体分配器22’はまた、壁30’および液体分配器の下部または底部が、水平方向より下方向により多くの液体を誘導する出口34’などを多様に構成することができることを示す。デミスタの変形態はまた、垂直に配置され液体分配器の上部から離間する左デミスタ24’によって示される。頂部の無孔の板45’は、液体分配器22’とデミスタ24’の間の空隙にわたって延在するように構成され、並流式に接触した蒸気と気体が次に、段のデミスタを通って流れることによって確実に分離されるように、接触空間56’の上部を実質的に密封する。図示されない別の実施形態において、垂直デミスタ24’は、壁30’の上部で液体分配器に接合する。壁30’は、垂直デミスタ24’と協働して接触空間56’を画定するように構成される。図10Bは、液体分配器22”の頂部が、デミスタ24”の頂部の下にあり、ダクト28”および/または液体分配器壁30”あるいはその一部が、ほぼ垂直である場合を示す。示されるように、出口34”は、対称的に配置される必要はない。デミスタ24”は、垂直または、角度を成した構成のいずれかで収容パンの平坦なベースの上に配置されてよい。デミスタの下方内面は、デミスタ内の分離した液体が、接触空間56”内に戻るように流れるのを阻止するために、堅固な板または収容パンの延長部などによって密封されてよい。一方で、接触空間56”の上部を実質的に密封する必要がある場合、堅固な頂部板45”は、液体分配器まで延在するように構成することができる。示されるように、堅固な頂部板が図10Bに記載されるモジュールの右側のデミスタには使用されない場合でも、デミスタの迂回を阻止するために、接触空間の上部を密封する手段が設けられる。したがって、デミスタはそれらが同一に構成されない場合であっても、ほぼ平行に整列することができることがわかる。
【0046】
接触モジュール20が極めて短い場合があり、対向するデミスタ列24の穿孔出口板44の間の最大距離として幅を測定すると、その長さは幅よりも大きくなることが予想される。モジュール20の長さは、コラム、またはそれが及ぶ容器の内部寸法によって表わされる。モジュール20は自己支持式に製作することができる、またはそれらは、コラムの内部空間にわたって延在する構造部材によって支持されてもよい。デミスタユニット40と同様に、単一のモジュール20内の液体分配器は、コラムの幅にわたって延在してよい、または液体分配器は、コラムにわたって延在するように縦に並べて、または各部分を重ねることによって一緒に結合される2つ以上の個別の部分として製作されてよい。同様に接触モジュール20は、モジュールの各要素を含み、接触モジュール列を形成するために設置される際、縦に並べて接続される組み立て式ユニットとして製作することができる。別の実施形態において、モジュール20は、例えば設置する際、長手方向に結合されるハーフモジュールのユニットとして製作することができる。これは、図2に示すモジュールを、その長さに沿ってモジュールを二等分する仮想中央垂直板に沿って分離しようとする場合に容易に予想され得る。このようなハーフモジュールは、液体分配器および収容パンが、本明細書の教示に一致して完成される場合、完全なモジュールとして機能することができる。したがって、一実施形態においてモジュールは、液体分配器、デミスタおよび少なくとも1つのダクトを有する収容パンを備えてよい。多くの用途において、各段は、複数の接触モジュールを含むが、いくつかの実施形態においては、所望する蒸気と気体の接触を実現するために、1つの段上に単一のモジュールで十分である場合もある。
【0047】
図面は実際の装置の単なる例示であり、縮尺は調整されていない。装置の種々の構成要素のサイズは、装置が適合しなければならない予想される最大流速によって設定される。装置の設計のガイドラインを設けるために、液体分配器22の入口32は、典型的には8cmから25cmの幅を有することに留意されたい。他の実施形態において、幅は10cmから15cmの範囲である。装置の2つの層の同等の地点間の垂直距離は、25cmから75cmの範囲である。他の実施形態において、垂直距離は、30cmから45cmの範囲である。デミスタユニット40は、垂直入口面42と垂直出口面44の間で測定される幅が7cmから20cmである。液体の排水がデミスタユニット40から収容パン26へ容易に行われ、液体流が収容パン26からダクト28に流れるように、デミスタユニット40の底部と収容パン26の間に空隙が形成されるように、デミスタユニット40の底部は、収容パン26の上2.5cmから7.5cmである。他の実施形態において、デミスタユニット40は、収容パンの平坦なベース50の上に載置する。他の実施形態において、デミスタの底部は、収容パン26の上15cmまでである。
【0048】
特定の実施形態によると、穿孔入口板42の代わりにメッシュパッドなどの多孔性のブランケット層が、デミスタユニット40の入口を覆う。この多孔性ブランケットの使用は、特により高い蒸発速度で作動する際、蒸気と気体の分離を促進することがわかっている。多孔性ブランケットは、液滴を脱同伴するために使用される従来のメッシュ材料、またはいわゆる「ミストエリミネータ」であってよい。それは典型的には、高い表面領域の圧力降下の低いブランケットを形成する非常に緩く編まれたより線を備える。メッシュブランケットは、微細な液滴の合体、および分離装置に対する液体分配用である。代替の構造は、分離構造体41内のへこみの中に、またはデミスタユニット40の内側全体にメッシュを装着することである。蒸気と気体の接触および質量の伝送を向上させるために、穿孔された板など他の材料を、接触空間56内に配置することができる。
【0049】
本装置の構造体の材料は、蒸気と気体を接触させる装置に従来使用されるものであってよい。蒸気と気体の複合体に適合可能な構造体の材料、蒸気と気体接触工程の作動条件、および工程で使用される構造体のその他の材料を、本発明のために考慮することができる。一般的な材料は、7ゲージから30ゲージの範囲の標準的厚みの金属を含める。要求される金属の厚みは、金属の強度およびその成分によってある程度変わる。金属は、炭素鋼から、より腐食性の高い状況でのステンレス鋼、またはチタニウムを含めた他の金属まで含めてよい。装置はまた、複合体、および強化プラスチックを含めたポリマー材料から製作することができる。装置は、標準ゲージの金属など単一の材料で製作されてよい、あるいは装置は材料の混合物から製作される。
【0050】
本装置を使用する可能な別の変形態は、液体分配器22内、または触媒蒸留を行うために蒸気または液体を伝送するのに使用される空隙内の他の場所など、装置内の様々な場所での触媒の配置である。触媒の最適な配置は、液体または蒸気相内で所望される反応が生じるか否かによってある程度決定される。
【0051】
分留コラムの作動条件は、コラム内で分離される化合物の物理特性によって限定される。コラムの作動温度および圧力は、コラムの作動コストを最小にし、他の商業的目的に適合するために、これらの範囲内で変更することができる。作動温度は、極低温の分離で使用される超低温から、化合物の熱安定性を試す温度まで及ぶことができる。したがって本工程に好適な条件は、−50℃から400℃の広い範囲の温度を含む。コラムは、液体として存在する供給化合物の少なくとも一部を維持するのに十分な圧力で作動する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の並流式接触モジュールを利用する蒸気と気体を接触させるコラムの断面外略図である。
【図2】モジュールの断面外略図である。
【図3】デミスタおよび液体分配器を示す図1のコラムの段の上面図である。
【図4A】図3のデミスタの図である。
【図4B】図3のデミスタの図である。
【図5】収容パンおよび液体分配器を示す図1のコラムの段の上面図である。
【図6A】図1の収容パンの概略上面図である。
【図6B】図1の収容パンの概略断面図である。
【図7A】図1の液体分配器の概略上面図である。
【図7B】図1の液体分配器の端部の等角図である。
【図8】代替のダクトを有する図1の液体分配器の概略断面図である。
【図9A】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9B】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9C】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である
【図9D】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9E】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9F】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図9G】本発明の多様な蒸気と気体を分離する構造体の概略端面図である。
【図10A】本発明の接触モジュールの代替の実施形態を示す図である。
【図10B】本発明の接触モジュールの代替の実施形態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並流式に蒸気と気体の接触を行うための装置であって、
少なくとも1つの接触モジュール(20)および複数の収容パン(26)を有する複数の段(12)を備え、前記接触モジュール(20)が、
a)離間して配置される一組のほぼ平行なデミスタ(24)と、
b)前記一組のデミスタ(24)の間に配置され、前記デミスタ(24)と協働して接触空間(56)を画定し、前記接触空間(56)に流体連通する出口(34)を有する液体分配器(22)と、
c)前記接触空間に流体連通する入口面(42)、および前記段の別個の前記収容パン(26)の上位にある出口面(44)を有する各デミスタ(24)とを備え、
前記接触モジュールの少なくとも一部が、それぞれが少なくとも1つのダクト(28)を有する前記一組の収容パン(26)の間に配置され、1つの収容パンの各ダクトが、別個の下位の液体分配器(22)に流体連通し、少なくとも1つの前記段の前記接触モジュールが、別の1つの前記段の接触モジュールに対して非平行に整列する装置。
【請求項2】
前記ダクト(28)のそれぞれが、関連する下位の液体分配器(22)の中に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各ダクトが拡大された口を備え、前記ダクト(28)のそれぞれと、関連する下位の液体分配器(22)の間に蒸気の通路が形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記収容パン(26)の少なくとも1つが、2つのモジュールに共有される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記デミスタ(24)が、前記収容パン(26)によって支持される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上位の液体分配器の底部に近接する前記液体分配器の一部を覆う入口板(36)をさらに備え、前記入口板(36)が、上に向かって流れる蒸気流を有する空間に液体を誘導するように構成された複数の側壁(38)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記収容パン(26)の少なくとも1つが、少なくとも2つの前記ダクト(28)の間に分離バッフル(54)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記接触空間(56)が、前記モジュール(20)の下方向で増大する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記段を含む、実質的に密封された垂直の外部容器(10)をさらに備え、前記容器が、少なくとも1つの供給入口と、2つの流体出口とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
蒸気と気体を接触させるための方法であって、
a)接触空間(56)内に上方に蒸気流を進めるステップと、
b)第1液体分配器(22)の出口(34)を通って前記接触空間(56)内に液体を誘導するステップと、
c)デミスタ(24)内に並流式に流れるように、蒸気中に前記液体を同伴させるステップと、
d)前記デミスタ(24)内の前記蒸気から前記液体を分離するステップと、
e)上位の接触空間(56)に前記デミスタ(24)から出る蒸気流を進めるステップと、
f)前記デミスタから出る前記液体を収容パン(26)に送達するステップと、
g)前記収容パン(26)からの前記液体を、前記液体を下位の液体分配器(22)内に誘導する少なくとも1つのダクト(28)を通って進めるステップとを有し、
前記収容パン(26)の1つに関連する各ダクト(28)が、第1の液体分配器に対して非平行に整列する別個の下位の液体分配器(22)内に液体を送達する方法。
【請求項1】
並流式に蒸気と気体の接触を行うための装置であって、
少なくとも1つの接触モジュール(20)および複数の収容パン(26)を有する複数の段(12)を備え、前記接触モジュール(20)が、
a)離間して配置される一組のほぼ平行なデミスタ(24)と、
b)前記一組のデミスタ(24)の間に配置され、前記デミスタ(24)と協働して接触空間(56)を画定し、前記接触空間(56)に流体連通する出口(34)を有する液体分配器(22)と、
c)前記接触空間に流体連通する入口面(42)、および前記段の別個の前記収容パン(26)の上位にある出口面(44)を有する各デミスタ(24)とを備え、
前記接触モジュールの少なくとも一部が、それぞれが少なくとも1つのダクト(28)を有する前記一組の収容パン(26)の間に配置され、1つの収容パンの各ダクトが、別個の下位の液体分配器(22)に流体連通し、少なくとも1つの前記段の前記接触モジュールが、別の1つの前記段の接触モジュールに対して非平行に整列する装置。
【請求項2】
前記ダクト(28)のそれぞれが、関連する下位の液体分配器(22)の中に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各ダクトが拡大された口を備え、前記ダクト(28)のそれぞれと、関連する下位の液体分配器(22)の間に蒸気の通路が形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記収容パン(26)の少なくとも1つが、2つのモジュールに共有される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記デミスタ(24)が、前記収容パン(26)によって支持される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上位の液体分配器の底部に近接する前記液体分配器の一部を覆う入口板(36)をさらに備え、前記入口板(36)が、上に向かって流れる蒸気流を有する空間に液体を誘導するように構成された複数の側壁(38)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記収容パン(26)の少なくとも1つが、少なくとも2つの前記ダクト(28)の間に分離バッフル(54)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記接触空間(56)が、前記モジュール(20)の下方向で増大する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記段を含む、実質的に密封された垂直の外部容器(10)をさらに備え、前記容器が、少なくとも1つの供給入口と、2つの流体出口とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
蒸気と気体を接触させるための方法であって、
a)接触空間(56)内に上方に蒸気流を進めるステップと、
b)第1液体分配器(22)の出口(34)を通って前記接触空間(56)内に液体を誘導するステップと、
c)デミスタ(24)内に並流式に流れるように、蒸気中に前記液体を同伴させるステップと、
d)前記デミスタ(24)内の前記蒸気から前記液体を分離するステップと、
e)上位の接触空間(56)に前記デミスタ(24)から出る蒸気流を進めるステップと、
f)前記デミスタから出る前記液体を収容パン(26)に送達するステップと、
g)前記収容パン(26)からの前記液体を、前記液体を下位の液体分配器(22)内に誘導する少なくとも1つのダクト(28)を通って進めるステップとを有し、
前記収容パン(26)の1つに関連する各ダクト(28)が、第1の液体分配器に対して非平行に整列する別個の下位の液体分配器(22)内に液体を送達する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2009−519820(P2009−519820A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545913(P2008−545913)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/061689
【国際公開番号】WO2007/081622
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/061689
【国際公開番号】WO2007/081622
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】
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