説明

中空糸膜の紡糸方法および中空糸膜

【課題】中空糸膜の製造において糸切れの発生を予防し、かつ品質の安定した中空糸膜の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解してなる紡糸原液を複数の紡糸口金1から吐出し、空中走行部を経た後、凝固浴4に浸漬して中空糸膜を得る乾湿式紡糸法において、空中走行部が外気と遮断するエアギャップ管2により囲まれており、エアギャップ管の内壁と紡糸口金から吐出された紡糸原液との最短距離L1が10mm以上50mm以下となるように調整されていることを特徴とする中空糸膜の紡糸方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解してなる紡糸原液をほぼ一列に等間隔で配置された複数の紡糸口金から吐出し、空中走行部を経た後、凝固浴に浸漬して中空糸膜を得る乾湿式紡糸法に関するものであって、より詳しくは、紡糸速度50m/min以上という高速紡糸においても糸切れの発生が少なく、かつ品質や性能が安定した製品を得ることができる乾湿式紡糸法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶剤に溶解させたポリマーを紡糸する方法には、紡糸口金(ノズル)から吐出された紡糸ポリマー原液を空気中に吐出し、温風などを当てて溶剤の蒸発させる乾式紡糸、ノズルから吐出された紡糸ポリマー原液を凝固液中に吐出し、そこで脱溶媒させて凝固させる湿式紡糸、さらにノズルから一度、空気中を通過させた後に凝固浴で凝固させる乾湿式紡糸などがある。
【0003】
乾湿式紡糸は、空気中を通過させるために、吐出時のドラフト比を比較的広い範囲で変更できること、凝固浴中で急激に凝固させて安定な糸が得られるために、多くの種類の繊維紡糸に使用される。
【0004】
特に、中空糸膜の紡糸では、相分離により膜の細孔を形成させることが多く、異なるドラフト比や凝固条件を様々に組み合わせるため、この乾湿式紡糸を採用することが多い。
【特許文献1】特開2007−105700号公報
【0005】
乾湿式紡糸では、通過する空気部はエアギャップと呼ばれるが、このエアギャップ部の雰囲気を一定に保つことが、品質を安定に保つために重要であり、エアギャップを外部から遮断するために、通気性や通液性のない部材で囲むことがあり、この部分をエアギャップ管と呼ぶ。
【0006】
特許文献2には、乾湿式紡糸方法において空中走行部を断熱構造を有する部材で覆い外気を遮断することで安定して高性能な中空糸膜を製造する技術が開示されている。この発明は、空中走行部が周囲の外乱からの影響を受けないようにし中空糸膜特性の安定化を図るものであるが、膜の生産性に関する記載はなされていない。
【特許文献2】特開平7−194950号公報
【0007】
特許文献3には、乾湿式紡糸方法において空中走行部に通気性を有する伝熱冷却部材を設置して囲い、伝熱冷却部材の一部を凝固液に浸漬して空中走行部を冷却し、中空糸膜の性能向上、透水性能の向上を図る技術が開示されている。本発明は、空中走行部を冷却し、紡糸原液の溶媒蒸発を抑えることで、高い透水性能をもつ中空糸膜を製膜する技術であり、
伝熱冷却部材とノズルから吐出した紡糸原液との距離が記載されているが、この距離が膜の生産性に影響する効果は認めない。
【特許文献3】特開2008−132441号公報
【0008】
特許文献4には、紡糸口金と凝固浴との間の紡糸空間を非密閉状態が保たれるように囲み、その紡糸空間に製膜原液を吐出する熱誘起相分離法による中空糸膜の製造方法が開示されている。この囲いの目的は、周囲の外乱による温度や気流の変動による紡糸空間の溶媒蒸気圧や温度の変化を抑制することであり、発明の効果としては特性のバラツキが小さい中空糸膜を安定して製造できること、紡糸時の糸切れを抑制することが挙げられている。しかし、空中走行部の距離が長くなった場合、また、凝固浴液面からガイドロールまでの距離が長くなると紡糸口金直下での糸切れ、および凝固浴内での糸揺れに伴う糸切れが発生しやすくなるという問題がある。
【特許文献4】特開2004−174408号公報
【0009】
特許文献5には、紡糸口金と凝固浴との間に、筒状のジャケットを設け、このジャケットを冷却あるいは加温することが述べられており、筒の内径が8cmであることから、吐出された中空糸膜と筒の内壁との距離が約4cmであることが読み取れる。しかしながら、この技術は、芯液に凝固性の水溶液を用いるため、口金温度が低く、紡糸速度が10m/minであり、かなり低い速度である。そのため、口金温度が高く、紡糸速度が高い中空糸膜の紡糸には使用できない問題がある。
【特許文献5】特開平3−202131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の問題を解決しようとするものであり、中空糸膜の乾湿式紡糸において、紡糸中の糸切れが少なく、かつ品質が安定した製品を得ることができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、本発明に到達した。本発明は以下の構成を有する。
(1)ポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解してなる紡糸原液を複数の紡糸口金から吐出し、空中走行部を経た後、凝固浴に浸漬して中空糸膜を得る乾湿式紡糸法において、空中走行部が外気と遮断するエアギャップ管により囲まれており、エアギャップ管の内壁と紡糸口金から吐出された紡糸原液との最短距離が10mm以上50mm以下となるように調整されていることを特徴とする中空糸膜の紡糸方法。
(2)エアギャップ管が加熱手段を備えたことを特徴とする(1)に記載の中空糸膜の紡糸方法。
(3)エアギャップ管の加熱温度が紡糸口金温度に対して、±20℃以内であることを特徴とする(1)または(2)に記載の中空糸膜の紡糸方法。
(4)紡糸口金温度が80℃以上160℃以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
(5)紡糸原液のポリマー濃度が10〜30重量%であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
(6)空中走行部の距離が5〜150mmであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
(7)紡糸速度が50〜500m/minであることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
(8)紡糸口金から吐出された紡糸原液の空中走行部におけるノズルドラフトが10〜50であることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
(9)ポリマーがセルロース系ポリマーまたはポリスルホン系ポリマーであることを特徴とする(1)〜(8)いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
(10)(1)〜(9)いずれかに記載の方法により得られたことを特徴とする中空糸膜。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、複数の紡糸口金から吐出された紡糸原液を空中走行部を走行させた後、凝固浴に浸漬して中空糸膜を得る乾湿式紡糸法において、空中走行部を走行する複数の紡糸原液間の温度斑を抑制する配慮がなされているので、紡糸中の糸切れが少なくかつ品質および性能の安定した製品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
乾湿式紡糸法では、ポリマーおよびポリマーに対する溶媒、非溶媒を混合した後、加熱溶解して紡糸原液を調製した後、得られた紡糸原液をニ重管状ノズル(紡糸口金)の外側スリットから吐出すると同時に中心孔より中空形成材を吐出する。紡糸口金から吐出された紡糸原液は、空中走行部(エアギャップ部)を通過させた後、凝固液に浸漬し紡糸原液の凝固、相分離を行なわせる。エアギャップ部では、紡糸原液表面から溶媒が蒸発することで糸状(膜構造)の形成が開始され(ポリマーの核が形成され成長する初期段階)、引き続き凝固浴中で紡糸原液が冷却され、また溶媒と凝固液が置換することにより糸状の形成が完了する(膜構造の基本が決定する)。特に、エアギャップ部での溶媒の蒸発温度や蒸発時間等の条件によって、出来上がった中空糸膜の構造や性能・品質は大きく影響するため、エアギャップ部の条件をコントロールすることは安定した中空糸膜を製造する上で非常に重要である。
【0014】
本発明の中空糸膜の紡糸方法は、複数のノズルから吐出された紡糸原液を空中走行部を経て凝固浴に浸漬して中空糸膜を製造する際に、顕著な作用効果を有する。例えば、複数のノズルが円形状や矩形状に配されているような場合には、内側のノズルと端部付近に配されたノズルでは、吐出された紡糸原液の温度にどうしても差が生じてしまう。これは、ノズル温度と外気温との差が大きいほど、またノズル温度と凝固浴温度との差が大きいほど、その影響は大きくなる。また、複数のノズルがほぼ一直線上に配されたような場合であっても、端側のノズルから吐出された紡糸原液は中ほどのノズルから吐出された紡糸原液に比較して、紡糸安定性が低い傾向がある。このような傾向は、紡糸速度が速くなるにしたがい、またノズルドラフトが大きくなるにしたがい、またエアギャップ長が短すぎても長すぎても、さらに得られる中空糸膜の膜厚が薄くなるほど顕著になる。
【0015】
本発明において、エアギャップ管はエアギャップ管内壁とノズルから吐出した紡糸原液との距離が10mm以上、50mm以下であることが好ましい。エアギャップ管内壁と紡糸原液との距離が10mm未満になると、エアギャップ管内で紡糸原液が揺れた場合、エアギャップ管と紡糸原液が接触して糸切れや変形が発生することがある。エアギャップ管内で糸切れが発生すると、隣接する糸状の走行を邪魔するため次々に糸切れしていってしまうことになる。また、AG管壁と紡糸原液が接近し、紡糸原液がエアギャップ管の温度の影響を受け易くなり、曳糸性が下がって紡糸安定性が悪化することがある。したがって、エアギャップ管内壁とノズルから吐出した紡糸原液との距離は10mm以上がこのましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましい。一方、エアギャップ管内壁と紡糸原液との距離が大きくなると、エアギャップ管のサイズが大きくなり、取り付けが困難になるほか、エアギャップ内部の温度や湿度が一定になるまでの時間が長くなるとか、一定にならないことがあり、糸品質や生産性が安定しにくくなるため50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が特に好ましい。
【0016】
本発明において、エアギャップの距離(紡糸ノズル下面から凝固浴液面までの距離)は5mm以上、150mm以下であることが好ましい。距離が短すぎるとノズルから吐出された紡糸原液に非常に短い距離で大きな力(延伸、ノズルドラフト)がかかることになるので糸切れが増加することがあり、またノズルと凝固浴の温度差が大きい場合は、エアギャップ管の断熱が不十分となって、ノズルや凝固浴の温度差によるエアギャップ管内での温度斑が発生することがあるので、エアギャップの距離は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、15mm以上がさらに好ましい。また距離が長いと、比較的粘度の低い紡糸原液を使用した際に重力の影響を受け易くなりノズル直下での糸切れが起こることがあり、また複数本の中空糸膜を同時に紡糸するときに吐出した紡糸原液が融着しやすくなることがあるので150mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、80mm以下がさらに好ましい。
【0017】
エアギャップ部の条件は中空糸膜の構造や性能・品質に大きな影響を及ぼすが、特に紡糸速度が速くなると、エアギャップ部の通過速度が速くなるため十分に相分離が促進されないという問題がある。そこで、エアギャップの距離を伸ばして相分離時間を長くしようとすると、紡糸口金直下で糸切れが生じやすくなるとか、融着しやすくなるという問題が生じる。そのため、エアギャップ管を加熱することによって紡糸原液の粘度の変化が均一になるように調整することにより安定した中空糸膜の製造、性能、品質を確保することができる。
【0018】
本発明において、ノズルドラフトは10〜50であることが好ましい。ノズルドラフトが10未満になると、紡速にもよるが、糸切れのトラブルは減少する方向だが、エアギャップ部での延伸(ノズルドラフト)が十分ではなく、中空糸膜の性能を高めることができないことがあるので、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。一方、ノズルドラフトが50を超えると、紡糸安定性が低い傾向にあるため、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。
【0019】
紡糸速度は50m/min以上、500m/min以下であることが好ましい。500m/minを超えると、凝固浴での随伴流の影響によって中空糸膜の糸揺れが激しくなり、紡糸安定性が低下するので、500m/min以下が好ましく、300m/min以下がより好ましく、250m/min以下がさらに好ましい。紡糸速度が50m/min未満であるような場合には、エアギャップの距離を短くすることができるので、本願発明を適用するメリットは少ない。本願発明の有効性が顕著になるのは70m/min以上、より顕著になるのは85m/min以上である。
【0020】
エアギャップの加熱温度は口金の温度に対して±20℃以内であることが好ましい。口金温度より20℃を超えて低くなるとエアギャップ管内で溶媒が十分に蒸発せず、紡糸安定性や所期の中空糸膜性能が得られないことがある。エアギャップ管内で積極的に溶媒を蒸発させることにより、紡糸原液の粘度が調整可能となり安定した中空糸膜が得られるので加熱温度は高いほうが好ましく、口金温度に対してマイナス15℃以上がより好ましく、マイナス10℃以上がさらに好ましい。一方、口金温度より20℃を超えて高くなる温度では紡糸原液の粘度が著しく低下し、生産性が低下するといった問題点が生じることがあるので、口金温度よりプラス20℃以下が好ましく、プラス15℃以下がより好ましく、プラス10℃以下がさらに好ましい。エアギャップの加熱温度は、口金温度や紡糸原液粘度との兼ね合いもあり、一概に高くすればよいというものではない。紡糸原液粘度が比較的低い場合には、エアギャップ部における急激な温度低下やエアギャップ内の温度斑を防ぐために保温する意味合いで加熱することもある。一方、紡糸原液の粘度が比較的高く、かつノズル温度が比較的低いような場合には、エアギャップ部をさらに加熱することでエアギャップ部における紡糸原液の相分離が進行し、生産性や性能が高まることがある。
【0021】
本発明において口金の温度は紡糸しようとする中空糸膜の素材や、紡糸原液の組成、得ようとする中空糸膜の性能によって変わるが、エアギャップ内で紡糸原液から溶媒を積極的に蒸発させるためには、80℃以上、160℃以下であることが好ましい。口金温度が80℃以下であると、溶媒の蒸発が少ないため、十分な性能が得られないことがあり、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。一方、口金温度は高すぎると、吐出した紡糸原液の粘度が著しく低下し、生産性が低下するといった問題点が生じることがあるので160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましい。
【0022】
本発明は、エアギャップ管を用いる全ての乾湿式紡糸法に好適に用いることができるが、エアギャップ内で溶媒を蒸発させながら、延伸(ノズルドラフト)を付与する中空糸膜の紡糸に最適である。
ここで、エアギャップを加熱することの効果について説明する。一般的に中空糸膜の紡糸において、性能をコントロールするために紡糸原液の組成や、紡糸口金の温度(ノズル温度)、凝固浴の温度や凝固液中の溶媒の濃度を変更することがある。ここで、一般的に紡糸口金の温度を高めると中空糸膜の細孔径は大きくなるが、口金温度を高めすぎると紡糸原液の粘度が低くなり、口金直下で糸切れが発生しやすくなる問題がある。また、凝固浴は一般的に取扱いが容易なことから水溶液を用いることが多く、そのため凝固浴の温度にはおのずから上限がある。紡糸口金温度に比べ、凝固浴の温度が低い場合には、エアギャップ中で吐出された未凝固の中空糸状ポリマー溶液の温度が急激に低下してしまい、十分な性能が発現できないことがある。よって、エアギャップ中の未凝固の中空糸状ポリマー溶液の温度低下を防ぎ、十分な溶媒の蒸発や、延伸比を上げるために、エアギャップ管を加熱することが有効である。
エアギャップ管を加熱することにより、エアギャップ部での未凝固の中空糸状ポリマー溶液は粘度の急激な変化がなく、またエアギャップ中で外側表面から溶媒が蒸発して、高い性能を得ることができる。
【0023】
前記説明したように本発明は、特に、安定紡糸可能な上限付近の粘度を有する紡糸原液と非凝固性の内液を用いて中空糸膜を製造する乾湿式紡糸法において、高透水量で高透過性の中空糸膜を低コストで得るために口金温度を高める必要があり、かつ高ノズルドラフト、高速で中空糸膜を製造する際に好適に適用されるものである。本発明を適用すれば、糸切れによる生産性の低下を非常に少なくすることが可能となる。例えば、1ヶ月間の連続紡糸における1日あたりの糸切れ回数は、1.5回/日以下というような非常に高い紡糸安定性を実現することが可能である。
【0024】
本発明において、エアギャップ部の温度をコントロールするためにエアギャップ管を加熱するが、エアギャップの材質は熱伝導率ものを用いる必要がある。熱伝導率の高い材質として金属系の材質が挙げられ、チタン、鉄、アルミニウム、銅、銀およびこれらを主成分とする合金などが好ましい材質の例として挙げられる。ステンレス(SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L等)も好ましい材質の典型的な例である。ただし、エアギャップ管は凝固浴の凝固液およびドープから揮発する溶媒と接するためこれらに対する非溶解性、耐腐食性等を考慮する必要がある。また、材料のコストおよび加工性も実用上重要な要因である。これらを総合的に考慮して、ステンレス、アルミニウム、銅が特に好ましい。
【0025】
エアギャップ管を加熱する方法は、特に限定するものではなく、例えば、エアギャップ管の外側から加熱した空気をあてる、エアギャップ管の周りにヒーターを巻きつける、エアギャップ管の中に熱媒を流す、など公知の方法を取ることができるが、エアギャップ管の温度を均一に保つために、ヒーターを巻きつけるか熱媒を流すことが好ましい。また、エアギャップ管の加熱温度とノズルと凝固液の温度が大きく異なる場合、紡糸口金や凝固液がエアギャップ管の温度の影響を受け、紡糸された糸の性能や品質が変動してしまう。このような場合はノズルとエアギャップ管の間、およびエアギャップ管と凝固液の間に断熱材を設置することにより、紡糸口金や凝固液がエアギャップ管の温度の影響を受けることなく紡糸された糸の性能や品質が安定するので好ましい。
【0026】
本発明で紡糸される糸は、乾湿式紡糸法による得られるものであれば、何等限定されるものではなく、どのような種類の糸にも応用できるが、エアギャップ部の雰囲気が紡糸された糸の性能や品質に大きな影響を与える中空糸膜の紡糸に好適に適用される。
【0027】
本発明において、中空糸膜の素材は、溶媒に溶解し、乾湿式紡糸できるものであれば特に制限はなく、セルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリマーが好適に用いられる。中でも、酢酸セルロースや三酢酸セルロースなどのセルロースアセテート系ポリマー、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマーがより好ましく用いられる。紡糸原液中のポリマー濃度は、用いるポリマーの種類や目的とする中空糸膜の性能、物性、品質により適宜設定する必要があるが、本発明においては15〜50重量%が好ましい。
【0028】
セルロースアセテート系ポリマーやポリスルホン系ポリマーに対する溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、セルロース系ポリマーやポリスルホン系ポリマーの凝固および相分離のコントロールのしやすさ、作業安全性、廃棄処理の観点からN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドを用いるのが好ましい。
【0029】
本発明において、紡糸原液のポリマー濃度は、用いるポリマーの種類によっても異なるが、例えばセルロースアセテート系ポリマーを用いる場合には、10〜30重量%であることが好ましい。ポリマー濃度が高すぎると、均一溶解が困難になるとか、紡糸原液の粘度を下げるために紡糸口金温度を高める必要があるとか、口金温度を高くすることにより紡糸原液が劣化するなどの弊害が生じることがある。前記課題の発生を抑えながら、性能や品質を維持するために、紡糸原液のポリマー濃度は27重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらに好ましい。一方、ポリマー濃度が低すぎる場合は、エアギャップ部での温度斑が生じにくいため、本発明を適用しても顕著な効果が得られにくい。したがって、本発明において、紡糸原液のポリマー濃度は13重量%以上がより好ましく、17重量%以上がさらに好ましい。
【0030】
また、紡糸原液に非溶媒を添加する場合には、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が好ましく用いられるが、溶媒との相溶性や洗浄除去性、安全性の観点からトリエチレングリコール、ポリエチレングリコールがより好ましい。ポリエチレングリコールとしては分子量200、400のものを用いるのが、室温で液体であり取り扱い性に優れる点より好ましい。
さらに、製膜溶液には、公知の酸化防止剤や微孔形成剤などの添加剤を必要に応じて加えることができる。
紡糸原液中の溶媒/非溶媒比は紡糸原液の安定性が高まることや均質膜構造を得やすいことなどから97/3〜40/60とするのが好ましい。90/10〜50/50がより好ましく、80/20〜60/40がさらに好ましい。
【0031】
本発明において用いる中空形成材としては、セルロース系ポリマーやポリスルホン系ポリマーに対して活性のある液体、不活性な液体および気体を用いることができる。活性のある液体としては、セルロース系ポリマーやポリスルホン系ポリマーの溶媒および非溶媒および/または水との混合液、不活性な液体としてはノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピルなど、不活性な気体としては窒素、アルゴンなどを用いることが可能である。中空形成材として活性のある液体を用いると、得られる中空糸膜は中空膜内側に緻密層を有する不均一構造となりやすく、また不活性な液体および気体を用いると得られる中空糸膜は均一構造となりやすい。本発明は、中空形成材の種類や特性によらず、いずれの中空形成材に対しても効果を発現することが可能であるが、活性のある液体を用いる場合には、紡糸口金から吐出した直後から中空糸膜内側の凝固が進行するので、エアギャップ内で十分な延伸を付与できないことがあり、エアギャップ管内で十分な延伸を付与しやすい、不活性な流体を用いることが好ましく、取扱いが容易な流動パラフィンやミリスチン酸イソプロピル、窒素、空気が特に好ましい。
【0032】
エアギャップを通過した製膜溶液は、凝固液槽に浸漬し、凝固および相分離を進行させる。ここで凝固液としては、製膜溶液の調製に用いた溶媒および非溶媒と水との混合液を用いるのが好ましい。凝固液組成により得られる中空糸膜の構造、特性が変化するため、溶媒、非溶媒、水の混合比率は目的とする膜構造、膜特性にあわせて試行錯誤により決定する必要がある。本発明において凝固液の調製に用いる溶媒、非溶媒は、製膜溶液の調製に用いたものと同じものを使用することが好ましく、さらに製膜時の経時的な組成変化を抑制するため製膜溶液中の溶媒、非溶媒比と同じにするのが好ましい。
【0033】
本発明の方法は、内径が150〜250μm、膜厚が10〜30μmの中空糸膜を得る際に適用するのが好ましい。特に、膜厚を20μm以下のように比較的薄くする場合には、それだけノズルドラフトを高く設定する必要があり、エアギャップ部の温度条件が可紡性や中空糸膜の品質、性能に顕著に影響を与える。例えば、複数の紡糸口金より吐出された紡糸原液が空中走行部(エアギャップ部)を走行中に、各紡糸原液の温度が均一でない場合には、得られる中空糸膜間で内径斑、膜厚斑が発生することになるし、同一中空糸膜の長さ方向において内径斑、膜厚斑(偏肉)が発生することもあり得る。本発明の方法を適用すれば、中空糸膜の長さ方向における偏肉度が0.6以上を達成することができる。中空糸膜の用途にもよるが、偏肉度が大きいほど性能や品質面で有利になるので、偏肉度は0.7以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましく、0.85以上がさらにより好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の有効性について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
(透水性の測定)
血液浄化器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで封止した。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した血液浄化器の血液流路側へ純水を送り、透析液側から流出した濾液量を測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(mL/hr/mmHg)を算出した。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は膜面積と血液浄化器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は血液浄化器の透水性(mL/hr/mmHg)、Aは血液浄化器の膜面積(m2)である。
【0036】
(ミオグロビンのクリアランス測定)
生理食塩液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(膜面積1.5m2)の血液流路側に、0.01%ミオグロビン透析液水溶液を流量(Qbin)200ml/minで濾過をかけずにシングルパスで流しつつ、透析液側流路に透析液を流量(Qd)500ml/minで流す。最初のミオグロビン原液のミオグロビン濃度(Cbin)と血液浄化器を通って出てきた液のミオグロビン濃度(Cbout)、流量から、血液浄化器のクリアランス(CLmyo)を算出する。測定は37℃で実施する。
CLmyo=(Cbin−Cbout)/Cbin
【0037】
(偏肉度の測定)
中空糸膜100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定する。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
【0038】
(実施例1)
セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)24重量%、N−メチルピロリドン(三菱化学社製)、トリエチレングリコール(三井化学社製)を7対3の重量比で均一に溶解し、紡糸原液の脱泡を行った。得られた紡糸原液を130℃に加温した二重管ノズル(紡糸口金)の外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。吐出後の紡糸原液をエアギャップ長80mm、SUS製のエアギャップ管に熱媒を流し150℃に加熱したエアギャップ管内を通過させた。その時のエアギャップ内壁と吐出ノズルとの最短距離は35mm、ノズルドラフトは15であった。エアギャップ管内を通過した後、30℃の15重量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させた。70℃の洗浄槽を経た後、80℃、65重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥させた後、速度150m/minで巻き取った。凝固浴出口から最終巻き取りまでの延伸比は10%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。
【0039】
(実施例2)
実施例1と同一分率のポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解し紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を150℃に加温した二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。吐出後の紡糸原液をエアギャップ長120mm、SUS製のエアギャップ管に熱媒を流し160℃に加熱したエアギャップ管内を通過させた。その時のエアギャップ内壁と吐出ノズルとの距離は15mm、ノズルドラフトは18である。エアギャップ管内を通過した後、30℃の15重量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させた。70℃の洗浄槽を経た後、80℃、65重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥させた後、速度225m/minで巻き取った。凝固浴出口から最終巻き取りまでの延伸比は10%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。
【0040】
(実施例3)
実施例1と同一分率のポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解し紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を100℃に加温した二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。吐出後の紡糸原液をエアギャップ長25mm、SUS製のエアギャップ管に熱媒を流し100℃に加熱したエアギャップ管内を通過させた。その時のエアギャップ内壁と吐出ノズルとの距離は35mm、ノズルドラフトは30である。エアギャップ管内を通過した後、30℃の15重量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させた。70℃の洗浄槽を経た後、80℃、65重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥させた後、速度85m/minで巻き取った。凝固浴出口から最終巻き取りまでの延伸比は10%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。
【0041】
(実施例4)
実施例1と同一分率のポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解し紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を160℃に加温した二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。吐出後の紡糸原液をエアギャップ長130mm、SUS製のエアギャップ管に熱媒を流し140℃に加熱したエアギャップ管内を通過させた。その時のエアギャップ内壁と吐出ノズルとの距離は40mm、ノズルドラフトは25である。エアギャップ管内を通過した後、30℃の15重量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させた。70℃の洗浄槽を経た後、80℃、65重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥させた後、速度150m/minで巻き取った。凝固浴出口から最終巻き取りまでの延伸比は10%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。
【0042】
(実施例5)
ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製、スミカエクセル4800P)42.5重量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製コリドンK-90)4.5重量%、トリエチレングリコール(三井化学社製)21.2重量%、及びN−メチル2−ピロリドン(三菱化学社製)31.8重量%を混合後、130℃に昇温して均一に溶解した。得られた紡糸原液を脱泡処理した後、130℃に加温したニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。150℃に加熱したエアギャップ管により外気と遮断した、35mmの空中走行部を通過させた。このときのエアギャップ内壁と吐出ノズルとの最短距離は25mm、ノズルドラフトは18であった。その後、5℃の65質量%NMP/TEG(6/4)水溶液中で凝固させ、水洗浴を経た後、87℃、60重量%のグリセリン浴に通過させ、次いでドライヤーで乾燥し、紡糸速度85m/minで巻き上げ、内径200μm、膜厚17μmの中空糸膜を得た。凝固浴出口から最終巻取りまでの延伸比は12%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。
【0043】
(比較例1)
実施例1と同一分率のポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解し紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を130℃に加温した二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。吐出後の紡糸原液をエアギャップ長80mm、SUS製のエアギャップ管に熱媒を流し160℃に加熱したエアギャップ管内を通過させた。その時のエアギャップ内壁と吐出ノズルとの距離は8mm、ノズルドラフトは15である。エアギャップ管内を通過した後、30℃の15重量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させた。70℃の洗浄槽を経た後、80℃、65重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥させた後、速度150m/minで巻き取った。凝固浴出口から最終巻き取りまでの延伸比は10%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。糸切れ頻度が大きく増えたのは、エアギャップ管内での糸揺れによって、エアギャップ管壁と紡糸原液が接近し、紡糸原液の粘度がエアギャップ管からの熱によって下がることにより、曳糸性が低下したためと思われる。
【0044】
(比較例2)
実施例1と同一分率のポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解し紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を170℃に加温した二重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。吐出後の紡糸原液をエアギャップ長170mm、加熱していないエアギャップ管内を通過させた。その時のエアギャップ内壁と吐出ノズルとの距離は60mm、ノズルドラフトは18である。エアギャップ管内を通過した後、30℃の15重量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させた。70℃の洗浄槽を経た後、80℃、65重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥させた後、速度150m/minで巻き取った。凝固浴出口から最終巻き取りまでの延伸比は10%とした。得られた中空糸膜の評価結果および1ヶ月間における糸切れの頻度を表1にまとめた。糸切れ頻度が大きく増えたのは、エアギャップ長を長く取ったにもかかわらず、AG部を加熱せず(保温せず)に紡糸を行なったことにより、AG部で紡糸原液の粘度が急激に高まり曳糸性が低下し、紡糸口金直下での糸切れが起こりやすくなったためと考える。
【0045】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明における中空糸膜の製造方法は、エアギャップ管のサイズ、エアギャップ長、また加熱温度を管理することにより、連続生産において糸切れの発生を防止することができる。このことから、本発明の中空糸膜の製造方法は、経済的かつ安定的に中空糸膜を製造できるという利点を有する。したがって、産業界に寄与することが大である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】紡糸口金〜エアギャップ部〜凝固浴を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1:紡糸口金
2:エアギャップ管
3:中空糸
4:凝固浴
L1:エアギャップ管内壁から紡糸原液までの距離
L2:紡糸口金面から凝固浴液面までの距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー、溶媒、非溶媒を均一に溶解してなる紡糸原液を複数の紡糸口金から吐出し、空中走行部を経た後、凝固浴に浸漬して中空糸膜を得る乾湿式紡糸法において、空中走行部が外気と遮断するエアギャップ管により囲まれており、エアギャップ管の内壁と紡糸口金から吐出された紡糸原液との最短距離が10mm以上50mm以下となるように調整されていることを特徴とする中空糸膜の紡糸方法。
【請求項2】
エアギャップ管が加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項3】
エアギャップ管の加熱温度が紡糸口金温度に対して、±20℃以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項4】
紡糸口金温度が80℃以上160℃以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項5】
紡糸原液のポリマー濃度が10〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項6】
空中走行部の距離が5〜150mmであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項7】
紡糸速度が50〜500m/minであることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項8】
紡糸口金から吐出された紡糸原液の空中走行部におけるノズルドラフトが10〜50であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項9】
ポリマーがセルロース系ポリマーまたはポリスルホン系ポリマーであることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の中空糸膜の紡糸方法。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載の方法により得られたことを特徴とする中空糸膜。

【図1】
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【公開番号】特開2010−142747(P2010−142747A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323768(P2008−323768)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】