説明

中空糸膜モジュール、膜蒸留式淡水生成器および膜蒸留式淡水化装置

【課題】構造がシンプルでコンパクトかつ低コストであり、淡水化処理において無駄な熱エネルギーの消費を抑制することができる中空糸膜モジュールと、前記中空糸膜モジュールを用いた海水利用効率が高い膜蒸留式淡水化装置を提供する。
【解決手段】疎水性の中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、疎水性の膜を通して中空糸膜外部に温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて淡水を生成させる膜蒸留法に用いられる中空糸膜モジュールであって、所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の中空糸膜により構成された中空糸膜束と、中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に凝縮壁として作用するモジュール容器とを備えている中空糸膜モジュール、前記膜蒸中空糸膜モジュールが設けられている膜蒸留式淡水生成器。前記膜蒸留式淡水生成器が設けられている膜蒸留式淡水化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水の淡水化のために用いられる膜蒸留式の中空糸膜モジュール、膜蒸留式淡水生成器および膜蒸留式淡水化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水の淡水化における脱塩法の主な方法には、逆浸透法(RO法)、多重スプレイフラッシュ法(MSF法)および膜蒸留法がある。
【0003】
RO法は、海水を逆浸透膜により濾過して脱塩を行うものであり、脱塩に必要なエネルギーが小さく、設備もコンパクト化が可能である。しかし、逆浸透を行わせるためには高圧ポンプを必要とするため、設備コストが高くなることが避けられない。
【0004】
また、脱塩に必要なエネルギーは小さいものの、濁質による逆浸透膜の汚染を防ぐために精密な前処理を必要とし、ファウリング(生物分泌物などによる汚れや詰まり)対策やスケール対策などのメンテナンスも必要とするため、余分な手間や費用が発生する。
【0005】
このため、海水淡水化の有力な用途である船載用途において、RO法は現状、予備目的にのみ使用されている。
【0006】
MSF法は、前記の船載用途において現在メインに用いられている方法であり、所定温度に加熱された海水を、海水の飽和蒸気圧よりも低い圧力に保たれた空間にスプレーすることにより、蒸発速度を稼ぐ作業を繰り返して脱塩を行うものである。
【0007】
しかし、スプレー空間を設ける必要があるため設備が大型化することが避けられない。また、脱塩に必要なエネルギーがRO法に比べて大きく、廃熱エネルギーなどが脱塩に利用できる環境にあったとしても、十分に低減することができない。
【0008】
以上のような問題点を有するRO法やMSF法に替わる脱塩法として、近年膜蒸留法が、廃熱が使える場合などの淡水化装置として注目されている。
【0009】
この膜蒸留法は、水蒸気のみを透過する疎水性の多孔質膜を用いて、高温海水が多孔質膜を通して発生する水蒸気を凝縮して脱塩を行うものであり、RO法のように高圧ポンプを設ける必要がないため、RO法に比べ設備コストの低減を図ることができ、ファウリング対策やスケール対策もRO法に比べて容易である。
【0010】
また、MSF法のようにスプレー空間を設ける必要がないため、設備をRO法並みにコンパクト化することができる。
【0011】
脱塩に必要なエネルギーはRO法に比べると大きいが、廃熱エネルギーなどを利用できる環境にあれば、RO法並みに低減することが可能である。
【0012】
このような膜蒸留法としては、従来、疎水性の平膜を用いた膜蒸留法(例えば特許文献1)と、疎水性の中空糸膜を用いた膜蒸留法(例えば特許文献2)があった。
【0013】
まず、平膜を用いた特許文献1に記載の膜蒸留法につき、図10を用いて説明する。図10は平膜を用いた膜蒸留装置の基本的な構成を模式的に示す斜視図である。なお、特許文献1においては、平膜を円筒状に配置しているが、理解を容易にするため、図10においては、平板状に模式的に描いている。図10において、51は平膜蒸留装置、52は疎水性の多孔質膜からなる平膜(疎水平膜)、53は温海水層、54は蒸気発生・凝縮層、55は冷却用海水が通っている冷却壁である。
【0014】
図10に示す通り、温海水層53から発生した水蒸気は、疎水平膜52を通過して蒸気発生・凝縮層54で冷却壁55内の冷却用海水と熱交換されることにより冷却されて凝縮し淡水となる。
【0015】
次に、特許文献2に記載の中空糸膜を用いた膜蒸留法につき、図11を用いて説明する。図11は特許文献2に記載の膜蒸留法を用いた熱交換器を長手方向に沿って切断した要部説明図である。図11において、61は中空糸膜、62は高温流体(温海水)、63は低温流体(淡水)である。
【0016】
図11に示す通り、中空糸膜61の外側に高温流体(温海水)62を、内側に低温流体(淡水)63を流すことにより、高温流体62から発生した水蒸気が、中空糸膜61を通過して低温流体63側で凝縮されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開昭62−65705号公報
【特許文献2】特開平5−71882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、前記の平膜を用いた膜蒸留法においては、平膜蒸留装置51の形成に際して、疎水平膜52を支持する構造材を別途用意する必要があるため、余分なコストがかかるという問題があった。
【0019】
また、薄い疎水平膜52を通して温海水層53と淡水や冷却壁55とが近接しているため、温海水層53から無視することができない量の熱が、淡水や冷却壁55に流出して、温海水層53の温度を低下させると共に、淡水や冷却壁55の温度を上昇させるという問題があった。
【0020】
即ち、温度の低下した温海水層53からは蒸発する水蒸気量が減少し、温度の上昇した冷却壁55では冷却効率が低下するために、生成される淡水の量が低下し、同じ膜面積から得られる淡水化量および海水利用効率(所定量の海水から生成される淡水の割合)が低下する。また、得られた淡水は本来暖める必要がないため、無駄な熱エネルギーが消費されている状態になり、熱効率が低下する。
【0021】
一方、従来の中空糸膜を用いた膜蒸留法においては、平膜を用いる場合のように膜を支持する構造材は必要としないが、海水と淡水とが中空糸膜を隔てて隣り合っている点は平膜を用いる場合と同様であるため、やはり加温を必要としない低温流体に無駄な熱エネルギーが奪われ、熱効率が低下する。
【0022】
そして、中空糸膜は、平膜に比べ一般に膜厚が厚いため、蒸発量が少なくなり易いという問題があった。また、平膜のように凝縮器となる冷却壁を温海水に接した膜面の近傍に設置することが困難であるため、装置が複雑化することが避けられないという問題もあった。このような理由から、中空糸膜を用いた膜蒸留装置の実用例が少なかった。
【0023】
本発明は、これら従来技術の問題点に鑑み、構造がシンプルでコンパクトかつ低コストであり、淡水化処理において無駄な熱エネルギーの消費を抑制することができる中空糸膜モジュールと、前記中空糸膜モジュールを用いた海水利用効率が高い膜蒸留式淡水化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者は、以下に記載する手段により前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明を各請求毎に詳しく説明する。
【0025】
請求項1に記載の発明は、
疎水性の中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、疎水性の膜を通して中空糸膜外部に温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて淡水を生成させる膜蒸留法に用いられる中空糸膜モジュールであって、
所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の中空糸膜により構成された中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に、前記凝縮壁として作用するモジュール容器と
を備えていることを特徴とする中空糸膜モジュールである。
【0026】
本請求項の発明における中空糸膜モジュールによる膜蒸留は、はじめに中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させることにより、温海水を疎水性の膜を通して中空糸膜外部の雰囲気に接せしめ、外部雰囲気との界面から発生した水蒸気が中空糸膜の外に放出される。そして、中空糸膜束の内部の中空糸膜から蒸発により発生した水蒸気は、所定の大きさの間隙部が設けられた中空糸膜間を通過して、中空糸膜束の外周に達する。その後、中空糸膜束の最外周の中空糸膜から蒸発により発生した水蒸気と合わさって、空隙部を通って冷却手段により冷却されたモジュール容器の内壁に達し、凝縮されて淡水を生成する。
【0027】
このような膜蒸留が行われる本請求項の発明の中空糸膜モジュールにおいては、空隙部を設けて、中空糸膜束がモジュール容器に収納されている。このため、温海水により高温状態にされる中空糸膜束が、冷却手段により冷却され凝縮壁の役割を果すモジュール容器に近接しておらず、さらに気体により満たされる、あるいは真空状態にされる空隙部の熱伝達率が低いため、温海水からの不必要な熱エネルギーの熱伝導による流出が防止される。
【0028】
また、多数の中空糸膜により中空糸膜束が構成されているため、中空糸膜束の内部の中空糸膜および中空糸膜間は、周囲の中空糸膜に囲まれていることや、冷却手段により冷却されるモジュール容器とは十分に離れた距離にあることにより、極めて高い保温状態に保たれている。そして前記の中空糸膜束とモジュール容器の間に設けられた空隙部による不必要なエネルギーの流出防止効果と相候って、中空糸膜束の内部は、理想的な保温状態にあるということができ、高い熱利用効率および高い海水利用効率を得ることができる。
【0029】
そして、このような中空糸膜モジュールは、構造がシンプルであるため、容易にコンパクト化を図ることができる。
【0030】
本請求項の発明において、相互の中空糸膜束の間に設けられる間隙部の大きさは、各中空糸膜の材質やサイズおよび温海水の温度などを考慮して適宜設定される。
【0031】
また、モジュール容器の内壁と中空糸膜束との間に設けられる所定の空隙部の大きさは、中空糸膜束の断熱性、温海水の蒸発量、生成される淡水の量、淡水の再加熱の防止などの点を考慮して適宜設定される。
【0032】
中空糸膜としては、疎水性で水を通さず水蒸気のみを通す特性を有していることが必要であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の中空糸膜が好ましい。このPTFEは、化学的に安定な材料であるため、ファウリングやスケールなどを除去する際に強力な薬剤洗浄を行うことができる。
【0033】
中空糸膜の気孔率は、小さすぎると蒸発速度が遅くなり、大きすぎると水蒸気だけでなく海水も通過する。これらを考慮すると40〜80%が好ましい。また中空糸膜の孔径は同様の理由で0.05〜3μmが好ましい。
【0034】
前記した通り、中空糸膜の膜厚は平膜に比べて厚いため、初期においては若干蒸発量が低いが、薄い膜は前記したファウリングやスケールなどによりすぐに疎水性を失うのに対し、厚い膜はたとえ内側が親水化しても外側は長く疎水性を保つため有利である。好ましい膜厚は0.1〜0.6mmである。
【0035】
モジュール容器としては、凝縮壁としての役割を果たす必要があるため熱伝導性の良好な金属製を用いることが好ましく、耐食性にも配慮した場合、ステンレス製やチタンコーティング製などを挙げることができる。
【0036】
請求項2に記載の発明は、
前記モジュール容器内の気体を循環させる気体循環手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールである。
【0037】
温海水の蒸発速度は温度が高い温海水の入口側では速く、温度が低い出口側では遅い。このため、モジュール容器内の水蒸気の濃度は入口側で高く、出口側で低くなる。しかし、水蒸気の濃度が高くなり過ぎると、温海水の蒸発速度が低下する。
【0038】
本請求項の発明においては、気体循環手段を備えているため、モジュール容器内に気体の流れを形成させることができ、入口側の水蒸気の濃度が高くなり過ぎることを制御することができ、温海水の蒸発速度の低下を抑制することができる。
【0039】
なお、モジュール容器内の気体は、一般的には空気である。
【0040】
請求項3に記載の発明は、
前記モジュール容器内に外部の空気を導入する空気導入手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールである。
【0041】
本請求項の発明においては、空気導入手段を用いて外部よりモジュール容器内に空気を導入するため、モジュール容器内の水蒸気濃度を低下させて温海水の蒸発速度を高めることができる。なお、導入する空気としては乾燥空気が好ましい。
【0042】
請求項4に記載の発明は、
前記モジュール容器内の空気を吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールである。
【0043】
本請求項の発明においては、吸引手段を用いてモジュール容器内の空気を吸引するため、モジュール容器内の水蒸気濃度を一層低下させて温海水の蒸発速度をより高めることができる。特に真空に近い状態にまで吸引する真空引きは、モジュール容器内の水蒸気濃度をより効果的に低下させることができるため好ましく、前記空気循環手段、空気導入手段より効果が大きく、最も好ましい手段である。
【0044】
請求項5に記載の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュールを用いる膜蒸留式淡水生成器であって、
中空糸膜モジュールのモジュール容器の外壁面に沿って海水流路が設けられていることを特徴とする膜蒸留式淡水生成器である。
【0045】
モジュール容器は凝縮壁の役割を果たすため、冷却される必要がある。このような冷却手段として、本請求項の発明においては、モジュール容器の外壁面に沿って海水流路を設けている。そして、海水流路に冷海水を流すことによりモジュール容器が冷却される。このような冷却手段は単に海水流路を設けるだけであるため、安価でコンパクトな膜蒸留式淡水生成器を提供することができる。
【0046】
また、冷媒として淡水化の原料となる海水を採用しているため、冷媒の調達コストを考慮することなく、効率的な淡水化を図ることができる。
【0047】
さらに、水蒸気が凝縮する際に放出した凝縮熱を吸収した海水は温められるため、この温められた海水を淡水化の原料として用いることにより、海水の加温に必要なエネルギーや時間を節約することが可能となり、コストの上昇を招くことなく、より効率的な淡水化を図ることができる。即ち、淡水化の原料である海水を冷媒として用いるため、凝縮熱を吸収した冷媒である海水を、淡水化の原料とすることができる。
【0048】
請求項6に記載の発明は、
前記モジュール容器の壁面の表面積を増加させる加工が施されていることを特徴とする請求項5に記載の膜蒸留式淡水生成器である。
【0049】
本請求項の発明においては、モジュール容器の壁面を波状に形成する、フィンを設ける、凹凸を設ける、柱を立てるなど、モジュール容器の壁面がその表面積を増加させるように加工されているため、凝集壁の役割を果すモジュール容器と水蒸気との接触面積がより大きくなり、効率的な熱交換が行われる。この結果、水蒸気の凝縮を一層促進することができる。
【0050】
請求項7に記載の発明は、
前記海水流路内にモジュール容器との伝熱効率を上げる伝熱部材が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の膜蒸留式淡水生成器である。
【0051】
本請求項の発明においては、海水流路内にモジュール容器との伝熱効率を上げる伝熱部材を設けているため、モジュール容器内の水蒸気と海水との熱交換を効率的に行なうことができる。伝熱部材としては波状のフィン、薄板状のフィン、凹凸状のフィン、柱などが挙げられる。
【0052】
請求項8に記載の発明は、
略鉛直に立設して設けられた請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の膜蒸留式淡水生成器と、
前記膜蒸留式淡水生成器に設けられた海水流路の下部に海水を供給する海水供給手段と
前記海水流路から排出された海水を貯蔵する海水タンクと、
前記海水タンクに貯蔵されている海水を所定温度に加熱して温海水とする加熱手段と、
前記温海水を中空糸膜モジュールの上側開口部に供給する温海水供給手段と
が設けられていることを特徴とする膜蒸留式淡水化装置である。
【0053】
前記した通り、本発明の中空糸膜モジュールおよび膜蒸留式淡水生成器は、海水利用効率が高く、さらにコンパクト化を図ることができる。
【0054】
そして、モジュール容器に海水流路を設けた膜蒸留式淡水生成器の場合、前記した通り、水蒸気が凝縮する際に放出した凝縮熱を吸収した海水を淡水化の原料として用いることにより、海水の加温に必要なエネルギーや時間を節約して効率的な淡水化を図ることができる。本請求項の発明はこのような、効率的な淡水化を具体的に実施するための装置の発明である。
【0055】
本請求項の装置においては、まずはじめに海水供給手段により海水が膜蒸留式淡水生成器に設けられた海水流路の下部の入口に供給される。
【0056】
なお、海水供給手段により海水流路に供給される海水は原海水であっても、中空糸膜モジュールより排出された海水であってもよい。
【0057】
また、原料海水として通常の海水を使用する場合には、フィルターで濾過した後海水タンクに補給することが好ましい。予めフィルターで濾過することにより、中空糸膜のファウリングやスケールの発生を抑制することができる。しかし膜蒸留法の場合、RO法に比べて前処理は厳格である必要はなく、フィルターとしては2μm以下の平均孔径を有する濾過膜であればよい。
【0058】
上記の平均孔径は、RO法において同様に用いられる濾過膜に要求される平均孔径(0.1μm以下)に比べてはるかに大きく、安価な濾過膜を用いることができる。具体的には親水化処理が施された孔径0.2〜4μmのPTFE製またはPVDF製を好ましく挙げることができる。
【0059】
次に、供給された海水は海水流路を通過する際に、凝縮壁として作用するモジュール容器を冷却すると共に、水蒸気が凝縮する際に放出した凝縮熱を吸収して加温される。
【0060】
次に、加温された海水は海水流路の上部の出口から排出され、排出された海水は、海水タンクに導かれて貯蔵される。
【0061】
次に、加熱手段により膜蒸留に必要な温海水の温度まで加熱される。
【0062】
そして、最後に温海水が貯蔵タンクから温海水供給手段により中空糸膜モジュールの上側開口部に供給され膜蒸留が行なわれる。
【0063】
本請求項の装置は、上記のようにシンプルなシステムの装置であり、また本発明に基づく中空糸膜モジュールおよび膜蒸留式淡水生成器自体も安価でシンプルな構造であり、さらに海水利用効率が高いため、安価でコンパクトであり、さらに海水利用効率の高い膜蒸留式淡水化装置を提供することができる。
【0064】
また、前記の通り、膜蒸留式淡水生成器に設けられた海水流路に海水を通して、モジュール容器の冷却時に加温された海水を淡水化の原料として用いているため、ランニングコストを低減した装置を提供することができる。
【0065】
また、膜蒸留式淡水生成器を略鉛直に設けているため、温海水を中空糸膜モジュールの上側開口部より供給し、温海水を自然流下させて膜蒸留を行なうことができるため、高圧ポンプなど高価な設備や、高いランニングコストを必要としない。
【0066】
本請求項の発明における加熱手段は、特に限定されないが、化学プラントや発電プラントなど他の設備において発生する廃熱を利用することが可能であれば、エネルギーコストを低減することができるため好ましい。また、太陽光などの自然エネルギーを利用することも同様に好ましく、この場合には膜蒸留式淡水化装置の設置箇所についての制約が小さくなる。
【0067】
請求項9に記載の発明は、
原海水と前記膜蒸留式淡水生成器より排出された海水を一部排水し、一部新しい海水と混合する海水混合手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の膜蒸留式淡水化装置である。
【0068】
膜蒸留が行われて膜蒸留式淡水生成器より排出された海水は、前処理済みの海水である。また、排出された海水は冷海水に比べると高い温度を維持している。このため、排出された海水を再利用することにより、コストの低減を図ることができる。一方、再利用することにより供給される海水の塩分濃度は徐々に上昇していき、それに伴い蒸発速度が低下し、水蒸気が発生しにくくなり、さらに塩分の析出による配管詰まりなどが生じやすくなる。
【0069】
しかし、原海水と排水海水とを混合して供給すると、供給される海水の塩分濃度が高くなりすぎることがなく、蒸発速度の低下を制御することができる。本請求項の発明はこのような原海水と排出海水とを混合する海水混合手法が設けられた装置である。
【0070】
そして、両海水の混合比率を工夫することにより、一定の塩分濃度の混合海水を中空糸膜モジュールに供給して安定した運転を行うことが可能となる。
【0071】
塩分濃度が高くなり鹹水状態になった海水は、環境問題を引き起こすためにそのまま捨てることはできない。RO法では塩分濃度は6%程度にしかならず、捨てる際の処理も比較的簡単であるが、膜蒸留法でも上記方法により、同様の海水濃度に保つことが出来る。
【0072】
一方、膜蒸留法では、塩分濃度を6%よりさらに高くすることも出来る。例えば20%程度に設定すればこの鹹水から塩を取ることも容易で、塩分を再利用することにより、環境問題にも容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0073】
本発明によれば、構造がシンプルでコンパクトかつ低コストであり、淡水化処理において無駄な熱エネルギーの消費を抑制することができる中空糸膜モジュールと、前記中空糸膜モジュールを用いた海水利用効率が高い膜蒸留式淡水化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】中空糸膜モジュール本体部を模式的に示す図である。
【図2】中空糸膜モジュール本体に気体循環手段が設けられた中空糸膜モジュールの正面断面図である。
【図3】図2に示す中空糸膜モジュールにさらに冷却手段が設けられた膜蒸留式淡水生成器の模式図である。
【図4】海水流路の構造の他の一例を示す図である。
【図5】膜蒸留式淡水生成器の構造の他の一例を示す図である。
【図6】膜蒸留式淡水生成器を作製する手順を示す図である。
【図7】中空糸膜におけるファウリングの様子を説明する図である。
【図8】膜蒸留式淡水化装置の主要部の構成を模式的に示す斜視図である。
【図9】膜蒸留式淡水化装置における温度関係を示す図である。
【図10】平膜を用いた膜蒸留装置の基本的な構成を模式的に示す斜視図である。
【図11】特許文献2に記載の膜蒸留法を用いた熱交換器を長手方向に沿って切断した要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
【0076】
1.中空糸膜モジュール
最初に、本実施の形態において使用される中空糸膜モジュールにつき、図面に基づき説明する。
【0077】
(1)中空糸膜モジュール本体部
先ず、中空糸膜モジュール本体部につき、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る中空糸膜モジュール本体部を模式的に示したものであり、(a)は正面断面図、(b)は斜視図である。また(c)は、淡水化されている状態を示す図である。
【0078】
図1において、1は中空糸膜であり、多数の中空糸膜1が相互に間隙部2を設けて配置されて中空糸膜束3が構成されている。そして、4はモジュール容器であり、空隙部5を介して中空糸膜束3が収納されている。ここで、間隙部2および空隙部5は、空気などの気体により満たされたり、真空状態にされたりして低い熱伝達率に設定されている。
【0079】
中空糸膜束3の上部より供給された温海水は、中空糸膜1内を自然流下する。このとき温海水は前記した通り断熱性の良い中空糸膜1の中心部の空間にあり、間隙部2および空隙部5は低い熱伝達率に設定されているため十分に保温される。
【0080】
そして、温海水は中空糸膜1から蒸発により発生した水蒸気の気化熱により冷却され、流下するにつれて温度低下する。
【0081】
一方、中空糸膜1から蒸発により発生した水蒸気は、空隙部5および間隙部2を通過してモジュール容器4の内壁に至る。そして、内壁の表面温度は、後に説明する冷却手段により水蒸気の温度よりも低くされており、内壁に至った水蒸気が凝縮されて淡水が生成される。この際、水蒸気から放出された凝縮熱による熱がモジュール容器4に移る。
【0082】
生成された淡水は、モジュール容器4の内壁に沿って自然流下して、図示しない淡水容器に集められるが、中空糸膜束3とは十分な距離の空隙部5が設けられているため、再び加温されることがなく、温海水からの不必要な熱エネルギーの熱伝導による流出を防止することができる。
【0083】
このように、本実施の形態においては海水の淡水化に際して、水蒸気の気化熱(凝縮熱)だけを利用すると共に、温海水からの不必要な熱エネルギーの熱伝導による流出を防止しているため、効率的な淡水化を行なうことができる。
【0084】
(2)気体循環手段
前記したように、水蒸気の濃度は入口側で高く、出口側で低くなり、水蒸気の濃度が高くなり過ぎると、温海水の蒸発速度が低下する。そこで、前記中空糸膜モジュール本体に気体循環手段を設けることにより、気体の流れを形成させて水蒸気の濃度が高くなることを制御し、温海水の蒸発速度の低下を抑制する。
【0085】
これを図2を用いて説明する。図2は、中空糸膜モジュール本体に気体循環手段が設けられた中空糸膜モジュールの正面断面図である。図2において、6は生成された淡水、8は気体循環手段であり、配管9およびファン10により構成されている。また、9aは配管9からモジュール容器4内に空気を供給する空気導入口であり、9bはモジュール容器4内から配管9に空気を排出する空気排出口である。そして、白抜き矢印は、空気の循環方向を示す。
【0086】
空気導入口9aから空気を供給し、空気排出口9bから排出することにより、モジュール容器4内に空気の流れを作り出すことができ、温海水の蒸発速度の低下を抑制することができる。このように、強制的に温海水の蒸発速度の低下を抑制することにより、厚い中空糸膜1を用いた中空糸膜モジュールであっても、十分な蒸発量を確保することができる。
【0087】
2.膜蒸留式淡水生成器
次に本実施の形態における膜蒸留式淡水生成器を用いた冷却手段について図3を用いて説明する。図3は、図2に示す中空糸膜モジュールにさらに冷却手段が設けられた膜蒸留式淡水生成器の模式図であり、(a)は正面断面図、(b)はA−A断面図である。図3において、11は冷却手段としてモジュール容器の外壁に設けられた海水流路であり、海水流路11の内部を冷却用海水(冷媒)12が矢印の方向に流れている。また、31は中空糸膜1に温海水を供給する温海水供給容器であり、温海水は供給配管35から供給されている。また、33は、温海水から生成された淡水の受け容器である。
【0088】
冷却用海水12が海水流路11を通過することにより、モジュール容器4は冷却され、中空糸膜1を通過した温海水の水蒸気がモジュール容器4の内壁に至って凝縮されて淡水を生成する。
【0089】
冷却用海水12は図3に示すように上方に向けて流れている。これは、水蒸気の蒸発に伴い、中空糸膜の下方に行くほど温海水の温度が低下し水蒸気の温度も低下するが、その際にも水蒸気とモジュール容器4との間に十分な温度差を確保して、水蒸気の凝縮を確保するため、未だ熱吸収されていない冷却用海水を海水流路11の下部から供給している。
【0090】
なお、海水流路11の構造としては、図3に示すような空間に冷却用海水12を通すだけでなく、図4に示すように、海水流路11の内筒11aと外筒11bとの間にフィンのような波状の伝熱部材11cを設けることが好ましい。このような伝熱部材11cを設けることにより、モジュール容器4をより一層効果的に冷却することができ、水蒸気の凝縮を一層促進することができる。
【0091】
また、図5に示すように、モジュール容器として波状の内壁面を有するモジュール容器を用いることも好ましく、前記と同様の効果を発揮させることができる。なお、図5において、111はモジュール容器の形状に合わせた海水流路であり、111aはモジュール容器4の外壁に接する海水流路111の内筒であり、また111bは海水流路111の外筒である。
【0092】
3.膜蒸留式淡水化装置
次に、上記の膜蒸留式淡水生成器を用いた膜蒸留式淡水化装置につき説明する。
【0093】
(1)膜蒸留式淡水生成器
本実施の形態において、膜蒸留式淡水生成器は図6に示す手順で準備される。
【0094】
先ず、図6(a)に示すように、多数の中空糸膜1が間隙部を設けて配置されて構成された中空糸膜束3の上部に温海水供給容器31を、下部に中空糸膜1内を自然流下して排出された排出海水を回収する排出海水回収容器32をセットする。
【0095】
次に、図6(b)に示すように、中空糸膜束3をモジュール容器4に収納する。
【0096】
次に、図6(c)に示すように、モジュール容器の外側に海水流路11をセットする。
【0097】
中空糸膜1としては、前記したようにPTFEが、ファウリングなどによっても疎水性が破壊されにくいため好ましく用いられる。ここで、ファウリングについて説明する。
【0098】
図7に、中空糸膜におけるファウリングの様子を示す。図7において、21は中空糸膜、22は中空糸膜の内部を通過中の温海水、23はファウリングである。ファウリング23により、中空糸膜21は親水化し、完全に親水化すると水蒸気だけでなく、水も透過してしまう。このため、次亜塩素酸ソーダ+苛性ソーダの溶液等を用いて薬剤洗浄することによりファウリング等を除く必要がある。
【0099】
(2)膜蒸留式淡水化装置
上記で準備した膜蒸留式淡水生成器を用いて、図8に示す構成の膜蒸留式淡水化装置を組立てる。
【0100】
図8は、本実施の形態における膜蒸留式淡水化装置の主要部の構成を模式的に示す斜視図である。図8において、45は海水タンク、46はヒーターなどの加熱手段、47はフィルターであり、48は中空糸膜に供給される温海水であり、49は混合される原海水に対応して排出海水の一部を廃棄するための配管である。そして、中空糸膜モジュールと海水タンク45、および中空糸膜モジュールとフィルター47は、配管により結ばれている。また、膜蒸留式淡水生成器は略鉛直に立設されている。
【0101】
加熱手段46により所定の温度に加温された温海水が、配管を経由して温海水供給容器31内に供給され、その後、中空糸膜の中心部の空間に供給されて中空糸膜内を自然流下して下部より排出されて排出海水回収容器32に回収される。
【0102】
その間、中空糸膜外部に蒸発した水蒸気は、間隙部および空隙部を通過して海水流路11により冷却されているモジュール容器の内壁に至り、凝縮して淡水6を生成する。
【0103】
熱効率を高めるために、冷海水より高い温度を維持している排出海水を回収し、再度所定の温度まで加温して、温海水として利用することが好ましいが、塩分濃度が高くなっているため、水蒸気の蒸発速度が低下し効率が悪くなる恐れがある。
【0104】
そこで、本実施の形態においては、排出海水の全てを再利用するのではなく、配管49より一部を捨てて、残りを原海水と混合して再利用する。
【0105】
原海水と混合された混合海水は、海水流路11を経由した後、海水タンク45に戻され、再度所定の温度まで加温して、温海水として利用される。
【0106】
海水流路11を通過することにより、混合海水はモジュール容器を冷却すると共に水蒸気の凝縮熱を吸収して加温されるため、海水タンク45における加熱エネルギーを節約することができる。
【0107】
上記の処理を循環させることにより、一定の塩分濃度の温海水が供給されて、一定量の淡水が生成される定常運転が可能となる。
【実施例】
【0108】
上記の構成の膜蒸留式淡水化装置を用いて海水の淡水化処理を行った。なお、本実施例においては、中空糸膜として、外径2mm、内径1mm、肉厚0.5mm、長さ3mのPTFE製の中空糸膜(住友電工ファインポリマー社製、登録商標:ポアフロン、品番TB2311−200)を用いた。なお、この中空糸膜における孔径は2μm、気孔率は80%であった。前記孔径はスチレン粒子99%を捕集できる孔径であり、気孔率は重量と体積から求めた。
【0109】
この中空糸膜2500本を用い、3.5mm間隔で円筒状に配置して、直径約200mmの中空糸膜束を作製した後、SUS製丸筒に収納し、中空糸膜モジュール本体部を作製した。
【0110】
作製された中空糸膜モジュール本体部を組み込み、図8に示す膜蒸留式淡水化装置を作製し、80℃に加温された原海水(予め2μm以下の膜濾過済)を約10L(リットル)/分の流量で供給したところ、1L/分の蒸発量(淡水量)を得た。このときの排出海水の温度は25〜32℃であり、海水流路を経由した排出海水の温度は70℃であった。(図9は、この温度関係を示す図であり、排出海水の温度は30℃として示している。)
【0111】
この結果は、中空糸膜における水蒸気の蒸発量qeを求める計算式による計算結果とほぼ一致している。
【0112】
即ち、外径do、内径di、長さLの中空糸膜の中心部の空間に、温度T1の温海水(塩分濃度C0)が流量Qで供給(差圧p1)され、T2の温度で排出されたとき、この間における水蒸気の蒸発量qeは、以下の式により求めることができる。
qe=Cp・ΔT・Q/Ce
但し、ΔT=T1−T2
Ce:水の蒸発潜熱(約500cal/g)
Cp:海水の比熱(約1cal/g・℃)
【0113】
この式に、本実施例におけるT1:80℃、T2:25〜32℃を入れると、ΔTは約50℃となり、
qe/Q=Cp・ΔT/Ce=1・50/500=0.1
となる。これは供給した海水の10%が蒸発することを示しており、上記の10L/分の供給に対して1L/分の淡水が得られた結果と一致している。
【0114】
本実施例において、排出海水は前処理済であり、このまま廃棄することは非効率であるため、これを回収し、再度所定の温度まで加温して温海水として利用して、高い海水利用効率で定常運転することが望ましい。
【0115】
上記のように、供給した海水の10%が蒸発する場合、排出海水の2/11を原海水と交換することを繰り返して、通常の海水の塩分濃度(3%)の2倍(6%)での定常運転することにより、RO法並みの50%という高い海水利用効率が得られる。
【0116】
即ち、温海水の塩分濃度をC、原海水の塩分濃度をC0、温海水タンクからの供給量をQとしたときの蒸発量の割合がαであると、排出海水の塩分濃度は、C/(1−α)で示すことができる。
【0117】
排出海水をβの割合で原海水と交換した場合、温海水タンクに戻される排出海水の量は、Q・(1−β)となる。温海水タンク内の海水体積Vを一定に保つとき、Cの時間に対する変化は、
dC/dt=−C・Q/V+C/(1−α)・Q/V・(1−β)+C0・Q/V・β
で表すことができる。なお、上式において、第1項はモジュールに出ていく量を示し、第2項は排出海水の戻り量を示し、第3項はVを一定に保つために原海水から補給する量を示している。この式を整理すると、最終的に上式は、
dC/dt=Q/V[−C{1−(1−β)/(1−α)+C0・β}]
で表される。
【0118】
定常運転の場合、dC/dt=0であるため、
−C・(1−α−1+β)+C0・β・(1−α)
=−C・(β−α)+C0・β・(1−α)
=0
となり、βを求めることができる。
【0119】
本実施例においては、前記した通りαは0.1である。また、通常の海水の塩分濃度の2倍での定常運転においては、C=2C0となる。これらの値を用いて上式の計算を行うと、前記したβ=2/11が求められる。
【0120】
以上、本発明の実施の態様を示したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 中空糸膜
2 間隙部
3 中空糸膜束
4 モジュール容器
5 空隙部
6 生成された淡水
8 気体循環手段
9 配管
10 ファン
11 海水流路
12 冷却用海水
21 中空糸膜
22 温海水
23 ファウリング
31 温海水供給容器
32 排出海水回収容器
33 生成された淡水の受け容器
35 供給配管
45 海水タンク
46 加熱手段
47 フィルター
48 温海水
49 廃棄するための配管
51 平膜蒸留装置
52 疎水平膜
53 温海水層
54 蒸気発生・凝縮層
55 冷却壁
61 中空糸膜
62 高温流体
63 低温流体
111 海水流路
11a 内筒
11b 外筒
11c 伝熱部材
9a 空気導入口
9b 空気排出口
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性の中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、疎水性の膜を通して中空糸膜外部に温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて淡水を生成させる膜蒸留法に用いられる中空糸膜モジュールであって、
所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の中空糸膜により構成された中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に、前記凝縮壁として作用するモジュール容器と
を備えていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項2】
前記モジュール容器内の気体を循環させる気体循環手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記モジュール容器内に外部の空気を導入する空気導入手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項4】
前記モジュール容器内の空気を吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の中空糸膜モジュールを用いる膜蒸留式淡水生成器であって、
中空糸膜モジュールのモジュール容器の外壁面に沿って海水流路が設けられていることを特徴とする膜蒸留式淡水生成器。
【請求項6】
前記モジュール容器の壁面の表面積を増加させる加工が施されていることを特徴とする請求項5に記載の膜蒸留式淡水生成器。
【請求項7】
前記海水流路内にモジュール容器との伝熱効率を上げる伝熱部材が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の膜蒸留式淡水生成器。
【請求項8】
略鉛直に立設して設けられた請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の膜蒸留式淡水生成器と、
前記膜蒸留式淡水生成器に設けられた海水流路の下部に海水を供給する海水供給手段と
前記海水流路から排出された海水を貯蔵する海水タンクと、
前記海水タンクに貯蔵されている海水を所定温度に加熱して温海水とする加熱手段と、
前記温海水を中空糸膜モジュールの上側開口部に供給する温海水供給手段と
が設けられていることを特徴とする膜蒸留式淡水化装置。
【請求項9】
原海水と前記膜蒸留式淡水生成器より排出された海水を一部排水し、一部新しい海水と混合する海水混合手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の膜蒸留式淡水化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−167628(P2011−167628A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33474(P2010−33474)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】