説明

中空部材の締結構造

【課題】簡易な構造で高い入力荷重に耐えうる中空部材の締結構造を提供する。
【解決手段】壁部12Bに対向する壁部12Aには凸座32が嵌合する切り欠き18が設けられ、押出材12が取付側ボディ30に締結される際、壁部12Bが取付面34Aに当接すると同時に、凸座32は切り欠き18に嵌合し、取付面32Aが壁部12Aに内側から当接する。締結時には押出材12の壁部12Bは取付側ボディ30に当接し、作業孔14より押出材12内に挿入されたボルト20Aの先端は取付孔16Aに挿入され、取付面34Aに穿孔されたボルト孔36Aに螺合する。このボルト20Aにより、壁部12Bは取付面34Aに締結される。同時に、取付側ボディ30より突出した凸座32は、押出材12の壁部12Bに設けられた切り欠き18に嵌合する。これにより凸座32の先端に設けられた取付面32Aは、壁部12Aの内側面に正しく当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空部材の締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミ押出材などの中空パイプ部材をボルトで締結する構造が存在する。すなわち、中空のパネル枠体の内部にボルト締結方向にパイプを挟み、パネル枠体同士を締結する構造(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
あるいは中空断面をもつアルミ押出材同士を結合する際、鉄製のカラーを挿入して剛性を確保する構造(例えば、特許文献2参照)や、幅方向外側に張り出すフランジ状のウイング部を設け、ボルトでフレームに締結する構造(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】実開平7−21483号公報
【特許文献2】特開平7−179185号公報
【特許文献3】特開2005−219600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1、2の構成では中空パイプ部材の強度を確保するためのパイプやカラーなどの強度部材を正しくボルト締結位置に固定する必要があり、部品数や工程が増加しコスト高となる虞がある。
【0005】
また上記特許文献3に開示されている構成は押出材の外側に一体化されたフランジ部を設ける必要上、一般的な角パイプ部材の締結構造に応用することはできない。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、簡易な構造で高い入力荷重に耐えうる中空部材の締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明における中空部材の締結構造は、略中空角パイプ形状とされ対向する一対の壁部を備えた中空部材と、前記中空部材の一方の壁部が当接される第1の被締結面と、前記第1の被締結面より前記中空部材側に突出された凸座と、を備えた被締結部材と、前記中空部材の他方の壁部に設けられた作業孔より挿入され、前記一方の壁部に設けられた第1のボルト取付孔に挿通されることで、前記一方の壁部を前記第1の被締結面に締結する第1のボルトと、前記第1の被締結面に穿孔され、前記第1のボルトが螺合する第1のボルト孔と、前記一方の壁部に設けられ前記凸座が嵌合して前記凸座が前記他方の壁部に当接するのを許容する切り欠きまたは開口と、前記凸座の先端に設けられ前記一方の壁部に締結方向と反対側から当接される第2の被締結面と、前記他方の壁部に設けられた第2のボルト取付孔に前記第1のボルトと同一方向から挿通され前記他方の壁部を前記第2の被締結面に締結する第2のボルトと、前記第2の被締結面に穿孔され、前記第2のボルトが螺合する第2のボルト孔と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、対向する一対の壁部を備えた中空部材の締結構造において、一方の壁部は外側から当接する第1の被締結面に第1のボルトで締結され、他方の壁部は一方の壁部に設けられた切り欠きまたは開口に嵌合する凸座に第2のボルトで締結されることで、対向する2つの壁部がそれぞれ別個の被締結面に締結される、簡易で強固な締結構造とすることができる。
【0009】
請求項2に記載の本発明における中空部材の締結構造は、請求項1に記載の構成において、前記他方の壁部が、前記中空部材の内部に長手方向にわたって延設された隔壁であることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、いわゆる日の字断面や目の字断面をもつ中空部材において、外壁部分に替えて隔壁にボルト取付孔を設けることができ、被締結部分の形状により高い自由度を持たせることができる。
【0011】
請求項3に記載の本発明における中空部材の締結構造は、略中空角パイプ形状とされ対向する一対の壁部を備えた中空部材と、前記中空部材の一方の壁部が当接される第1の被締結面と、前記第1の被締結面より前記中空部材側に突出された凸座と、を備えた固定部材と、前記中空部材の他方の壁部に設けられた作業孔より挿入され、前記一方の壁部に設けられた第1のボルト取付孔に挿通されることで、前記一方の壁部を前記第1の被締結面に締結する第1のボルトと、前記第1の被締結面に穿孔され、前記第1のボルトが螺合する第1のボルト孔と、前記一方の壁部に設けられ前記凸座が嵌合して前記凸座が前記他方の壁部に当接するのを許容する切り欠きまたは開口と、前記凸座の先端に設けられ前記一方の壁部に締結方向と反対側から当接される第2の被締結面と、前記他方の壁部に設けられた第2のボルト取付孔に前記第1のボルトと同一方向から挿通され前記他方の壁部を前記第2の被締結面に締結する第2のボルトと、前記第2の被締結面に穿孔され、前記第2のボルトが螺合する第2のボルト孔と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、第1の被締結面と凸座とを固定部材に設け、中空部材は固定部材に締結し、且つ固定部材を被締結部材に固定することで、被締結部材の形状を複雑化せずに簡易で強固な締結構造とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る中空部材の締結構造は上記構成としたので、簡易な構造で高い入力荷重に耐えうるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<構造の概要>
本発明に係る中空部材の締結構造の実施形態を図1〜図10に従って説明する。
【0015】
図1および図2には、本発明が適用された第1実施形態に係る中空部材の締結構造が示されている。
【0016】
図1に示すように、フロアパネルやサイドメンバ等、被締結部位となる取付側ボディ30に、アルミ合金から成り、中空角パイプ形状の断面をもつ押出材12がボルト20Aとボルト20Bとで締結されている。取付側ボディ30は、押出材12を取り付ける際に締結方向位置の基準となる取付面34Aが設けられた基部34と、基部34から押出材12側に突出し先端に取付面32Aが設けられた凸座32とを備えている。
【0017】
中空角パイプ形状の押出材12は互いに対向する一対の壁部12Aと壁部12Bとを備えており、取付側ボディ30の取付面34Aに当接する壁部12Bには取付孔16Aが設けられ、壁部12A上の取付孔16Aと対向する位置には、ボルト20Aを挿入可能な大きさの作業孔14が設けられている。
【0018】
また、壁部12Bに対向する壁部12Aには凸座32が嵌合する切り欠き18が設けられ、押出材12が取付側ボディ30に締結される際、壁部12Bが取付面34Aに当接すると同時に、凸座32は切り欠き18に嵌合し、取付面32Aが壁部12Aに内側から当接する。あるいは切り欠き18に代えて、凸座32をクリアできる大きさの開口が設けられていてもよい。
【0019】
図2(A)には図1のA−A断面が示され、図2(B)には図1のB−B断面が示され、図2(C)には図1のC−C断面が示されている。
【0020】
図2(A)に示すように、締結時には押出材12の壁部12Bは取付側ボディ30に当接し、作業孔14より押出材12内に挿入されたボルト20Aの先端は取付孔16Aに挿入され、取付面34Aに穿孔されたボルト孔36Aに螺合する。このボルト20Aにより、壁部12Bは取付面34Aに締結されている。
【0021】
同時に、取付側ボディ30より突出した凸座32は、押出材12の壁部12Bに設けられた切り欠き18に嵌合する。図2(C)に示すように、取付面32Aと取付面34Aとの段差Hは、押出材12の壁部12Aと壁部12Bとの間隔に壁部12Bの厚みを加えた距離であり、これにより凸座32の先端に設けられた取付面32Aは、壁部12Aの内側面に正しく当接する。
【0022】
図2(B)、図2(C)に示すように、壁部12Aの、凸座32が内側から当接した箇所には取付孔16Bが設けられ、ボルト20Bが壁部12Aの外側から挿入される。凸座32の取付面32Aには取付孔16Bに対応する位置にボルト孔36Bが設けられ、取付孔16Bに挿入されたボルト20Bがボルト孔36Bに螺合することで、壁部12Bを凸座32に締結している。
【0023】
すなわち押出材12は、取付側ボディ30と当接する面である壁部12Bをボルト20Aで取付面34Aに締結され、取付側ボディ30より遠い側の壁部12Aをボルト20Bで取付面32Aに締結されている。
【0024】
取付面34Aに設けられたボルト孔36Aと、取付面32Aに設けられたボルト孔36Bとは、押出材12の長手方向に所定距離だけ離れた壁部12B上の取付孔16Aと壁部12A上の取付孔16Bとに対応し、それぞれボルト20A、ボルト20Bで締結される。これにより押出材12は長手方向および厚み方向に位置の異なる、二箇所の取付孔16A、取付孔16Bで、取付側ボディ30のボルト孔36A、ボルト孔36Bに締結されている。
【0025】
<作用効果>
次に本発明の第1実施形態の作用および効果について説明する。
【0026】
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る中空部材の締結構造は、対向する一対の壁部12Aと壁部12B、すなわち取付側ボディ30に近い面と、遠い面の2点において、壁部12Aと壁部12Bとがボルト20Aとボルト20Bとで直接、取付側ボディ30に締結されている。これにより図9(A)に示すように、押出材112に貫通口116を設けボルト120を挿通し、取付側ボディ130に締結する方法と比較して、ボルト20Aとボルト20Bとで壁部12A、壁部12Bに締結トルクを加えることができるので、ボルト緩みが発生しにくく、より確実に締結することができる。
【0027】
また押出材12に対して穴開け加工、切り欠き加工のみ行っているので、図9(B)、図9(C)に示すように押出材112に中子114を挿入してボルト120との間で面圧を発生させたり、インサート116を挿入して押出材112に溶接し、強度部材とするような方法と比較して部品数や工数が少なく、コストの低い締結構造とすることができる。
【0028】
さらに壁部12A、壁部12Bを曲げずにそのまま取付面32A、取付面34Aに当接させ、締結する構造とされているため、図9(D)に示すように押出材112を締結方向に潰してボルト120で共締めする方法に比較して、壁部12A、壁部12Bにかかる荷重がスムーズに取付部位に伝えられ、より強固な構造とすることができる。
【0029】
すなわち図3(A)に示すように、壁部12Aにかかる荷重(矢印15A)はボルト20Bに、壁部12Bにかかる荷重(矢印15B)はボルト20Aにそれぞれ伝達されるので、図3(B)に示すような片面締結や、図3(C)に示すような共締め構造に比較してスムーズにボルト20へ伝達され、強固な締結構造となる。
【0030】
図3(B)に示す片面締結では、壁部112Bにかかる荷重はボルト120に伝達されるが、壁部112Aにかかる荷重は押出材112の側面を経由して伝えられるので、押出材112の変形等の可能性がある。図3(C)に示す共締め構造では壁部112Aが壁部112Bと当接する箇所である屈曲部113で、壁部112Aにかかる荷重が曲げ・捻り方向の変曲点となる虞がある。これに比較して本実施形態では押出材12にかかる荷重をボルト20A、ボルト20Bの二箇所で効率よく受け止めることができる。
【0031】
さらに本実施形態においては取付側ボディ30に近い面と遠い面である、壁部12Aと壁部12Bの両方をボルト20B、ボルト20Aで取付側ボディ30に締結しているので、図4(A)に示すような厚み方向の荷重(矢印15)に対して、取付角度変化を起こしにくい。
【0032】
図9(E)に示すような片面締結構造では締結した面に荷重が集中しやすく、図4(B)に示すように厚み方向の荷重(矢印15)に対して、ボルト締結されていない壁部112Aは角度変化(断面変化)を起こしやすく、剛性が悪化する虞がある。本実施形態では図4(A)に示すように壁部12Aと壁部12Bの両方が締結され、且つ両者を側面である壁部12Cが結合しているので、剛性が高い構造とすることができる。
【0033】
また図9(A)あるいは図9(E)に示すようにボルト120による一箇所の締結では、図5(B)のように横方向の荷重(例えば矢印17)に対して、ボルト120を中心として回転する方向に力がかかり、また一箇所の締結では締結トルクをかけにくいため取付角度変化等を生じやすい。
【0034】
これに対して図5(A)に示すように、本実施形態では押出材12は長手方向に異なる位置で2箇所を締結されている。このためボルト挿入方向と直交する面内の荷重(例えば矢印17)に対してボルト20Aとボルト20Bの2点で押出材12を支持するため、矢印17のような荷重を受け止めやすい構造とすることができる。
【0035】
さらに図9(E)に示すような片面締結構造では、図6(B)に示すように捻り方向の荷重(矢印19)により断面変形を起こしやすく、捻り剛性が十分でない虞がある。つまり押出材112において、壁部112Bのみを締結した場合は壁部112A側が締結箇所より遠いため捻り方向の加重(矢印19)に対して剛性を維持しにくい。
【0036】
これに対して、図6(A)に示すように、本実施形態では壁部12Aと壁部12Bの両方がそれぞれボルト20B、ボルト20Aで締結されているので、押出材12の長手方向を回転軸として回転させようとする、捻り方向の荷重(矢印19)に対して、側壁となる壁部12Cのみの変形で抑えることができ、押出材12全体として捻り方向の剛性が高く、変形を起こしにくい構造とすることができる。
【0037】
また本実施形態では押出材12を取付側ボディ30に締結する際、2本のボルトで取付面32A、取付面34Aに締結するため、押出材12の寸法精度に厚み方向で多少の誤差があっても、締結時に修正される。すなわち、図9(F)に示すように押出材112の断面より内部に被締結部分132を挿入し、ボルト120で共締めする構造では寸法精度(嵌め合い公差)が厳しく、このため組付性も優れないが、本実施形態では押出材12の切り欠き18に凸座32を挿入する工程を必要とするのみであり、切り欠き18と凸座32との間で要求される寸法精度も緩く、このため組付性も優れた構造とすることができる。
【0038】
さらに上記の理由から、取付側ボディ30が寸法精度を出しにくい鋳物成型であっても問題なく締結することができる。すなわち、取付面34Aは押出材12が正しく当接する形状であれば平面でよく、凸座32は切り欠き18に干渉しなければよいので寸法精度は緩くても問題はない。加えて、切り欠き18の一端が開放されていることで、凸座32と嵌合させる際の作業性が向上する。
【0039】
<第2実施形態>
図7には、本発明の第2実施形態に係る中空部材の締結構造が示されている。
【0040】
図7(A)に示すように、本発明の第2実施形態に係る中空部材の締結構造は、対向する一対の壁である、壁部42Aと壁部42Bとの間に、隔壁42Dを備えた押出材42を取付側ボディ30に締結する構造である。
【0041】
隔壁42Dは、押出材42の長手方向にわたって壁部42Aと壁部42Bとに対して平行に設けられ、取付側ボディ30の取付面34Aに当接する壁部42Bには取付孔46Aが設けられ、壁部42Aと隔壁42D上の取付孔46Aと対向する位置には、ボルト20Aを挿入可能な大きさの作業孔44Aと作業孔45Aが設けられている。
【0042】
また壁部42には取付側ボディ30より突出して設けられた凸座32が嵌合する切り欠き48が設けられている。凸座32の先端に設けられた取付面32Aにはボルト孔36Bが設けられ、隔壁42D上のボルト孔36Bに対向する位置には取付孔46Bが設けられている。さらに取付孔46Bに対向する位置の壁部42Aにはボルト20Bを挿入可能な大きさの作業孔44Bが設けられている。
【0043】
図7(A)のA−A断面である図7(B)に示すように、作業孔44Aと作業孔45Aとを通して挿入されたボルト20Aは取付孔46Aに挿通され、取付側ボディ30のボルト孔36Aに螺合し、壁部42Bが取付側ボディ30の取付面34Aに締結されている。
【0044】
このとき取付側ボディ30より突出した凸座32は、押出材42の壁部42Bに設けられた切り欠き48に嵌合する。これにより図7(C)に示すように、凸座32の取付面32Aは、隔壁42Dに当接する。取付面32Aのボルト孔36Bに、作業孔44Bより挿入されたボルト20Bが螺合することで隔壁42Dを凸座32に締結している。
【0045】
さらに図7(A)のB−B断面である図7(D)に示すように、隔壁42Dにも凸座32が嵌合する切り欠き48Bを設け、凸座32が壁部42Aに内側から当接する構造としてもよい。この場合、壁部42Aには作業孔44Bに代えて取付孔46Bが設けられ、挿通されたボルト20Bにより凸座32と締結されている。
【0046】
<作用効果>
本発明の第2実施形態に係る中空部材の締結構造は、上記の構造とすることにより、単純な角パイプ形状ではなく、所謂日の字断面をもつ押出材42を取付側ボディ30に締結することができる。
【0047】
本実施形態においては、第1実施形態に比較して複雑な構造、かつ高強度な押出材42を締結することができるので、より高い強度の求められる部位に応用可能な構造とすることができる。また、図7に示すように隔壁42Dを一面のみ備えた日の字断面の押出材42のみならず、2面の隔壁を備えた目の字断面の押出材や、さらに複雑な構造の押出材に応用することもできる。
【0048】
<第3実施形態>
図8には、本発明の第3実施形態に係る中空部材の締結構造が示されている。
【0049】
図8(A)および図8(A)のA−A断面である図8(B)に示すように、本発明の第3実施形態に係る中空部材の締結構造は、取付側ボディ30上に取付具50を介して、中空角パイプ形状の押出材12を締結する構成とされている。
【0050】
取付具50は長板状のベース部52と、ベース部52の幅方向に張り出して設けられたフランジ部56と、ベース部52から取付側ボディ30より突出する方向に設けられた凸座54とを備えている。フランジ部56には取付孔57が設けられ、ボルト21が挿入され、取付側ボディ30に設けられたボルト孔36Cに螺合することで取付具50を取付側ボディ30に固定する構造とされている。
【0051】
中空角パイプ形状の押出材12は互いに対向する壁部12Aと壁部12Bとを備えており、取付具50に当接する壁部12Bには取付孔16Aが設けられ、壁部12A上の取付孔16Aと対向する位置には、ボルト20Aを挿入可能な大きさの作業孔14が設けられている。
【0052】
また壁部12Aには取付孔16Bが設けられ、ボルト20Bが挿入される。取付孔16Bに対向する位置の壁部12Bには開口18Bが設けられ、取付具50の凸座54が嵌合する。凸座54の取付面54Aにはボルト孔55が設けられ、ボルト孔55の背面すなわち凸座54の内部に固定されたナット22にボルト20Bが螺合することで、壁部12Aを凸座54に締結している。開口18Bに代えて図1に示す切り欠き18が設けられていてもよい。
【0053】
<作用効果>
本発明の第3実施形態に係る中空部材の締結構造は、上記の構造とすることにより、取付側ボディ30に凸座32を設けることが難しい箇所であっても、取付側ボディ30と押出材12との間に取付具50を介することにより、押出材12を取付側ボディ30に締結することができる。また切り欠き18に代えて開口18Bを設けた場合、近傍の壁部12Bの強度を確保しやすい構造とすることができる。
【0054】
本実施形態においては、第1実施形態に比較して、取付側ボディ30に予め凸座32を設ける必要がないため、大規模な設計変更を必要とせずに押出材12を強固に締結することができる。さらに、取付具50は押出材12の長手方向に延長することもできるので、必要とされる締結強度に応じて、締結箇所を任意に増設することもできる。
【0055】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【0056】
すなわち、上記実施形態ではフロアパネルやサイドメンバ等、被締結部位となる取付側ボディに、アルミ押出材などの中空部材を締結する構造を例としたが、これに限定せず、中空部材を他の部材に締結する構造であれば、本発明を応用することができる。例えば中空部材同士の締結等の構造であっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る中空部材の締結構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示される中空部材の締結構造を拡大して示した断面図である。
【図3】図1に示される中空部材の締結構造の効果を示した断面図である。
【図4】図1に示される中空部材の締結構造の効果を示した断面図である。
【図5】図1に示される中空部材の締結構造の効果を示した平面図である。
【図6】図1に示される中空部材の締結構造の効果を示した断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る中空部材の締結構造を示す斜視図および断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る中空部材の締結構造を示す斜視図および断面図である。
【図9】従来の中空部材の締結構造を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
12 押出材(中空部材)
12A 壁部
12B 壁部
12C 壁部
13A 矢印
13B 矢印
13 矢印
14 作業孔
15 矢印
16A 取付孔
16B 取付孔
17 矢印
18 切り欠き(切り欠きまたは開口)
18B 開口(切り欠きまたは開口)
19 矢印
20A ボルト(第1のボルト)
20B ボルト(第2のボルト)
21 ボルト(固定手段)
22 ナット
30 取付側ボディ(被締結部材)
32 凸座
32A 取付面(第2の被締結面)
34 基部
34A 取付面(第1の被締結面)
36A ボルト孔
36B ボルト孔
36C ボルト孔
42 押出材
42A 壁部
42B 壁部
42D 隔壁
44A 作業孔
44B 作業孔
45A 作業孔
46A 取付孔
46B 取付孔
50 取付具(固定手段)
52 ベース部
54 凸座
54A 取付面
55 ボルト孔
56 フランジ部
57 取付孔
113 屈曲部
114 中子
116 インサート
116 貫通口
120 ボルト
130 取付側ボディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略中空角パイプ形状とされ対向する一対の壁部を備えた中空部材と、
前記中空部材の一方の壁部が当接される第1の被締結面と、前記第1の被締結面より前記中空部材側に突出された凸座と、を備えた被締結部材と、
前記中空部材の他方の壁部に設けられた作業孔より挿入され、前記一方の壁部に設けられた第1のボルト取付孔に挿通されることで、前記一方の壁部を前記第1の被締結面に締結する第1のボルトと、
前記第1の被締結面に穿孔され、前記第1のボルトが螺合する第1のボルト孔と、
前記一方の壁部に設けられ前記凸座が嵌合して前記凸座が前記他方の壁部に当接するのを許容する切り欠きまたは開口と、
前記凸座の先端に設けられ前記一方の壁部に締結方向と反対側から当接される第2の被締結面と、
前記他方の壁部に設けられた第2のボルト取付孔に前記第1のボルトと同一方向から挿通され前記他方の壁部を前記第2の被締結面に締結する第2のボルトと、
前記第2の被締結面に穿孔され、前記第2のボルトが螺合する第2のボルト孔と、
を備えた中空部材の締結構造。
【請求項2】
前記他方の壁部が、前記中空部材の内部に長手方向にわたって延設された隔壁である請求項1に記載の中空部材の締結構造。
【請求項3】
略中空角パイプ形状とされ対向する一対の壁部を備えた中空部材と、
前記中空部材の一方の壁部が当接される第1の被締結面と、前記第1の被締結面より前記中空部材側に突出された凸座と、を備えた固定部材と、
前記中空部材の他方の壁部に設けられた作業孔より挿入され、前記一方の壁部に設けられた第1のボルト取付孔に挿通されることで、前記一方の壁部を前記第1の被締結面に締結する第1のボルトと、
前記第1の被締結面に穿孔され、前記第1のボルトが螺合する第1のボルト孔と、
前記一方の壁部に設けられ前記凸座が嵌合して前記凸座が前記他方の壁部に当接するのを許容する切り欠きまたは開口と、
前記凸座の先端に設けられ前記一方の壁部に締結方向と反対側から当接される第2の被締結面と、
前記他方の壁部に設けられた第2のボルト取付孔に前記第1のボルトと同一方向から挿通され前記他方の壁部を前記第2の被締結面に締結する第2のボルトと、
前記第2の被締結面に穿孔され、前記第2のボルトが螺合する第2のボルト孔と、
を備えた中空部材の締結構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−280004(P2009−280004A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132044(P2008−132044)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】