中継器及びこれを含む配線システム
【課題】通信信号と放送信号に分離する場合に、上記通信信号及び放送信号の減衰を低減する。
【解決手段】中継器4a〜4cの第1のフィルタ部40は、通信信号の周波数帯域成分を通過させる帯域通過フィルタ400と、通信信号の周波数帯域以外の帯域成分を通過させる帯域阻止フィルタ401とを並列に備えている。この第1のフィルタ部40が、帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401を用いて、多重信号から通信信号の周波数帯域成分と放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。抽出した後、放送信号の周波数帯域成分を放送信号として増幅部41に出力し、通信信号の周波数帯域成分を通信信号として第2のフィルタ部42に直接出力する。その後、増幅部41が放送信号を増幅する。第2のフィルタ部42が、第1のフィルタ部40からの通信信号と、増幅部41で増幅された放送信号とを出力する。
【解決手段】中継器4a〜4cの第1のフィルタ部40は、通信信号の周波数帯域成分を通過させる帯域通過フィルタ400と、通信信号の周波数帯域以外の帯域成分を通過させる帯域阻止フィルタ401とを並列に備えている。この第1のフィルタ部40が、帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401を用いて、多重信号から通信信号の周波数帯域成分と放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。抽出した後、放送信号の周波数帯域成分を放送信号として増幅部41に出力し、通信信号の周波数帯域成分を通信信号として第2のフィルタ部42に直接出力する。その後、増幅部41が放送信号を増幅する。第2のフィルタ部42が、第1のフィルタ部40からの通信信号と、増幅部41で増幅された放送信号とを出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信信号及び放送信号が入出力される中継器及び配線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存の建築物には、例えばテレビなどの放送受信機に対する放送用の回線として、例えば同軸ケーブルなどの放送用ケーブルが配線されたテレビ配線システムが構築されている。
【0003】
従来、このような既存の建築物にネットワークシステム(宅内LANシステム)を構築する場合、例えばCAT5ケーブルなどのUTPによってLAN配線を設置するLAN配線システムや、無線LANを設置する無線LANシステム、例えばc.LINK(登録商標)など、テレビ配線システムを利用した配線システムが考えられる。
【0004】
LAN配線システムは、放送用ケーブル以外にLAN専用のケーブルを配線する必要があるので、コストが高くなるという問題があった。また、無線LANシステムは、建築物内部でも電波が届かない場所が発生する可能性が高いという問題があった。
【0005】
これらに対して、テレビ配線システムを利用した配線システムは、建築物に既存のテレビ配線システムを共用することができ、別途LAN専用のケーブルを配線する必要がないので、コストを低減することができることから注目されている。また、無線LANシステムのような問題も発生しない。上記テレビ配線システムは、CATV加入者にとっては、別のプロバイダに加入する必要がなく、CATV網のみで高速通信サービスを利用することができる。
【0006】
ところが、既存のテレビ配線システムを利用した配線システムの場合、上記配線システムを構成する機器が、放送用の周波数帯域の信号だけでなく、通信用の周波数帯域の信号にも対応することが必要である。例えばc.LINKでは、通信信号の周波数帯域が800MHz〜1.5GHzである。また、放送信号は一方向のみの伝送でよいが、通信信号は双方向の伝送であるので、機器も上記伝送に対応させる必要がある。さらに、通信信号と放送信号を個別に例えば増幅などを行う場合、上記通信信号と放送信号に分離することにも対応させる必要がある。このような条件を満たす配線システムとして、特許文献1には、テレビジョン信号(放送信号)及びLAN信号(通信信号)からなる多重信号が信号混合分配器によって本線とバイパスに分配され、ハイパスフィルタを通過したテレビジョン信号が本線を伝送し、ローパスフィルタを通過したLAN信号がバイパスを伝送する受信機/LAN共用配線システムが開示されている。これにより、テレビジョン信号を本線で増幅することができるとともに、LAN信号をバイパスで双方向に伝送することができる。
【特許文献1】WO98/12838号公報(第13,14頁及び第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の配線システムは、放送信号及び通信信号の多重信号を本線とバイパスに分配するので、それぞれに流れる多重信号が元の多重信号の半分になってしまう。つまり、本線及びバイパスに流れる放送信号及び通信信号の大きさがそれぞれ元の放送信号及び通信信号の半分になって減衰してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、通信信号と放送信号に分離する場合に、上記通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる中継器及びこれを含む配線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の中継器の発明は、情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムに設けられた中継器であって、前記伝送路の一方からの前記通信信号及び前記放送信号の多重信号を当該通信信号と当該放送信号に分離して出力する分離手段と、前記分離手段からの前記通信信号及び前記放送信号を分離した状態で伝送する伝送手段と、前記伝送手段からの前記通信信号及び前記放送信号を合成して前記伝送路の他方に出力する合成手段とを備え、前記分離手段が、前記多重信号から前記通信信号の周波数帯域の成分及び前記放送信号の周波数帯域の成分を抽出し、前記通信信号の周波数帯域の成分を前記通信信号とし、前記放送信号の周波数帯域の成分を前記放送信号とすることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、多重信号から周波数帯域ごとに成分を抽出することによって、通信信号と放送信号に分離することができるので、分離後の通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の中継器の発明は、請求項1に記載の発明において、前記伝送手段が、前記放送信号を増幅することを特徴とする。この構成によれば、放送信号が小さい場合に、通信信号にほとんど影響を与えることなく、放送信号に累積した伝送損失を補うことができる。
【0012】
請求項3に記載の中継器の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号を増幅することを特徴とする。この構成によれば、通信信号が小さい場合に、放送信号にほとんど影響を与えることなく、通信信号に累積した伝送損失を補うことができる。
【0013】
請求項4に記載の中継器の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号の回線の電気的開閉を行うことを特徴とする。この構成によれば、通信信号を使用しないときに、情報端末機に記憶されている情報が他に漏れること、及びウイルスが他から侵入することを低減することができる。
【0014】
請求項5に記載の中継器の発明は、請求項4に記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号を増幅する増幅部を備え、前記通信信号の回路を開状態に切り替えたときに、前記増幅部の電源を開状態にすることを特徴とする。この構成によれば、通信信号を使用しない場合、消費電力を低減することができる。
【0015】
請求項6に記載の中継器の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号に対するルータ機能を有することを特徴とする。この構成によれば、共用ケーブル以外での接続を必要とする既存のルータを別途備える必要がないので、配線システムを簡単な構成にすることができる。
【0016】
請求項7に記載の配線システムの発明は、情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムであって、請求項1〜6のいずれかに記載の中継器を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、中継器が、多重信号から周波数帯域ごとに成分を抽出することによって、通信信号と放送信号に分離することができるので、分離後の放送信号及び通信信号の減衰を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、上記通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1,2を用いて説明する。図1は、実施形態1の中継器の構成を示すブロック図である。図2は、実施形態1の配線システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
まず、実施形態1の基本的な構成について説明する。実施形態1の配線システムは、例えば集合住宅などに用いられるものであり、図2に示すように、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えている。この配線システムは、情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用し、例えば同軸ケーブル3aやツイストペアケーブル3bなどの共用ケーブル3で機器間を接続している。
【0021】
放送信号は、衛星放送用の信号と、UHF及びVHF放送用の信号とからなる。衛星放送用の信号の周波数帯域は1032MHz〜2150MHzである。UHF及びVHF放送用の信号の周波数帯域は76MHz〜770MHzである。一方、通信信号の周波数帯域は、できるだけ高周波帯域であるほうがよいが、放送信号の周波数帯域と重複しないようにする必要がある。したがって、通信信号の周波数帯域は、衛星放送用の信号の周波数帯域とUHF及びVHF放送用の信号の周波数帯域との間の770MHz〜1032MHzである。さらに好ましい範囲は、825MHz〜975MHzである。この範囲に設定すると、c.LINKの規格を満たすことができ、c.LINKを利用することができる。
【0022】
幹線部1は、例えば集合住宅などの共通設備であり、メディアコンバータ10と、モデム11と、混合器12と、複数の分岐器13・・・と、中継器4aと、複数の中継器4b・・・とを備えている。また、幹線部1は、接続端子14を介して通信事業者回線15と接続し、入力端16を介してアンテナ17と接続している。通信事業者回線15は、光ファイバケーブルを用いた光通信用回線であり、不特定多数の情報端末機と接続するインターネット網(図示せず)と接続するものである。また、アンテナ17は、例えばBSやCSなどの衛星放送用アンテナ170と、UHF用アンテナ171と、VHF用アンテナ172とを備え、それぞれが屋根などの屋外に設置され、放送局又は人工衛星からの無線電波を受信する。衛星放送用アンテナ170、UHF用アンテナ171及びVHF用アンテナ172のそれぞれからの放送信号は、混合器173によって合成されて屋内に引き込まれる。
【0023】
メディアコンバータ10は、一端で接続端子14を介して通信事業者回線15と接続し、他端でモデム11と接続している。このメディアコンバータ10は、通信事業者回線15用の通信信号を共用ケーブル3用の通信信号に変換し、変換した通信信号をモデム11に出力する。また、メディアコンバータ10は、共用ケーブル3を流れてきたモデム11からの通信信号を通信事業者回線15用の通信信号に変換し、通信事業者回線15に出力する。
【0024】
混合器12は、3つの入出力端の1つでモデム11と接続し、他の1つで入力端16を介してアンテナ17と接続し、残りの1つで中継器4aと接続している。この混合器12は、モデム11からの通信信号と混合器173からの放送信号とを合成し、合成された多重信号を中継器4aに出力する。また、混合器12は、中継器4aからの通信信号をモデム11に出力する。
【0025】
中継器4aは、図1に示すように、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、電源部(図示せず)とを備え、入出力端43で混合器12(図2参照)と接続し、入出力端44で分岐器13(図2参照)と接続している。なお、電源部は中継器4aの動作電源である。
【0026】
第1のフィルタ部40は、帯域通過フィルタ400と、帯域阻止フィルタ401とを並列に備えている。帯域通過フィルタ400は、多重信号のうち通信信号の周波数帯域成分を通過させるものである。一方、帯域阻止フィルタ401は、多重信号のうち通信信号の周波数帯域成分を通過させることを阻止し、上記周波数帯域以外の帯域成分を通過させるものである。つまり、第1のフィルタ部40は、混合器12(図2参照)から通信信号及び放送信号の多重信号を入力し、帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401によって、通信信号の周波数帯域成分と、放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。この第1のフィルタ部40は、各周波数帯域成分を抽出した後、通信信号の周波数帯域成分を通信信号とし、放送信号の周波数帯域成分を放送信号とすることによって、多重信号を通信信号と放送信号に分離する分離手段である。第1のフィルタ部40は、多重信号を通信信号と放送信号に分離した後、通信信号を出力端402から第2のフィルタ部42に直接出力し、放送信号を出力端403から増幅部41に出力する。
【0027】
増幅部41は、例えばRFアンプなどを含む回路構成であり、第1のフィルタ部40から放送信号を入力し、入力された放送信号を増幅する。この増幅部41は、放送信号を増幅した後、増幅した放送信号を第2のフィルタ部42に出力する。
【0028】
第2のフィルタ部42は、帯域阻止フィルタ420を備えている。帯域阻止フィルタ420は、通信信号の周波数帯域以外の帯域成分を透過するものである。この第2のフィルタ部42は、第1のフィルタ部40から入力端421を介して通信信号を入力し、増幅部41から入力端422を介して放送信号を入力する。第2のフィルタ部42は、通信信号及び放送信号を入力した後、通信信号及び放送信号を合成する合成手段である。この第2のフィルタ部42は、通信信号及び放送信号を合成した後、合成した信号を分岐器13(図2参照)に出力する。
【0029】
上記より、中継器4aは、放送信号に対してブースタとしての機能を有するとともに、通信信号に対して入出力端43から入出力端44の方向、及び入出力端44から入出力端43の方向の両方向に伝送させることができる。
【0030】
中継器4bは、中継器4aと同様の構成であり、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを備えている。この中継器4bは、入出力端43で分岐器13(図2参照)と接続し、入出力端44で他の分岐器13(図2参照)と接続している。
【0031】
各分岐器13は、図2に示すように、入出力端130で中継器4a,4bと接続し、入出力端131で宅内部2と接続し、入出力端132で他の中継器4bと接続している。この分岐器13は、入出力端130で入力された中継器4a,4bからの多重信号の一部を宅内部2に出力し、残部を他の中継器4bに出力するものである。また、分岐器13は、入出力端131で入力された宅内部2からの通信信号と、入出力端132で入力された他の分岐器13からの通信信号とを、入出力端130から中継器4a,4bに出力する。
【0032】
一方、各宅内部2は、例えば集合住宅などにおいて世帯ごとに設けられた設備であり、中継器4cと、分配器20と、分配器20の出力端子数と同数の端子部21・・・とを備え、分岐器13の入出力端131と接続している。
【0033】
中継器4cは、中継器4aと同様の構成であり、図1に示すように、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを備えている。この中継器4cは、入出力端43で分岐器13の入出力端131(図2参照)と接続し、入出力端44で分配器20(図2参照)と接続している。
【0034】
分配器20は、図2に示すように、一方で中継器4cと接続し、他方で各端子部21と同軸ケーブルで接続している。この分配器20は、中継器4cからの多重信号を各端子部21に均等に分配して出力する。また、分配器20は、各端子部21からの通信信号を中継器4cに出力する。
【0035】
各端子部21は、例えば同軸ケーブル用接続端子などであり、モデム22を介して、例えばパソコンなどの情報端末機23が接続されたり、例えばテレビなどの放送受信機24が接続されたりするものである。実施形態1では、2つの端子部21,21のそれぞれに、情報端末機23が1台ずつ接続され、残りの2つの端子部21,21のそれぞれに、放送受信機24が1台ずつ接続されている。情報端末機23は、通信信号の内容に基づいた動作を行うとともに、通信信号の送受信を行う。放送受信機24は、放送信号に基づいて映像を表示したり、音声を出力したりする。
【0036】
次に、実施形態1の配線システムにおける放送信号の伝送について説明する。まず、図2に示すように、衛星放送用アンテナ170、UHF用アンテナ171及びVHF用アンテナ172が無線電波を受信する。その後、混合器173が各アンテナからの放送信号を合成する。その後、混合器12が、入力端16を介して混合器12から放送信号を引き込み、通信信号との多重信号として中継器4aに出力する。その後、中継器4aでは、図1に示すように、第1のフィルタ部40が帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401を用いて多重信号を通信信号の周波数帯域成分と放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。抽出した後、放送信号の周波数帯域成分を放送信号として増幅部41に出力する。その後、増幅部41が放送信号を増幅する。その後、第2のフィルタ部42が、増幅した放送信号を分岐器13に出力する。この放送信号が、図2に示すように、1乃至複数の分岐器13を介して宅内部2の中継器4cに出力される。中継器4cでは中継器4aと同様の動作が行われ、図1に示すように、増幅部41で増幅された放送信号が分配器20に出力される。その後、分配器20が、図2に示すように、中継器4cからの放送信号を4つの端子部21・・・に均等に分配する。最後に、放送受信機24が端子部21を介して放送信号を受信する。
【0037】
続いて、実施形態1の配線システムにおける通信信号の伝送について説明する。まず、通信事業者回線15からの通信信号の伝送について説明する。最初に、メディアコンバータ10が通信事業者回線15からの通信信号を共用ケーブル3用の通信信号に変換してモデム11に出力する。その後、混合器12がモデム11からの通信信号を放送信号との多重信号として中継器4aに出力する。その後、中継器4aでは、図1に示すように、第1のフィルタ部40が帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401を用いて多重信号を通信信号の周波数帯域成分と放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。抽出した後、通信信号の周波数帯域成分を通信信号として第2のフィルタ部42に直接出力する。この通信信号が、図2に示すように、1乃至複数の分岐器13を介して宅内部2の中継器4cに出力される。中継器4cでは中継器4aと同様の動作が行われ、図1に示すように、通信信号が第1のフィルタ部40から第2のフィルタ部42に直接伝送し、分配器20に出力される。その後、分配器20が、図2に示すように、中継器4cからの通信信号を4つの端子部21・・・に均等に分配する。最後に、情報端末機23が端子部21及びモデム22を介して通信信号を受信する。
【0038】
続いて、情報端末機23からの通信信号の伝送について説明する。まず、情報端末機23が通信信号を出力する。その後、分配器20が情報端末機23からの通信信号を中継器4cに出力する。中継器4cでは、図1に示すように、通信信号が第2のフィルタ部42から第1のフィルタ部40に直接伝送し、分岐器13に出力される。その後、この通信信号が、図2に示すように、分岐器13、中継器4a,4b、混合器12、モデム11の順に伝送する。最後に、メディアコンバータ10がモデム11からの通信信号を光ファイバケーブル用の通信信号に変換して通信事業者回線15に出力する。
【0039】
以上、実施形態1によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、各中継器4a〜4cでは、多重信号から周波数帯域ごとに成分を抽出することによって、通信信号と放送信号に分離することができるので、分離後の通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる。また、中継器4a〜4cにおいて、放送信号が小さい場合に、増幅部41が放送信号を増幅するので、通信信号にほとんど影響を与えることなく、他の機器を通過することによる信号減衰や共用ケーブル3による信号減衰など、放送信号に累積した伝送損失を補うことができる。これにより、放送信号の劣化を防止することができ、放送信号の長距離伝送が可能となる。
【0040】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図3を用いて説明する。図3は、実施形態2の中継器の構成を示すブロック図である。
【0041】
実施形態2の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0042】
実施形態2の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態1の中継器4a〜4c(図2参照)に代えて、図3に示すような中継器4dを備えている。中継器4dは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを、実施形態1の中継器4a〜4cと同様に備えているとともに、さらに増幅ユニット45を備えている。増幅ユニット45は、2つの分岐部450,451と、2つの増幅部452,453とを備えている。分岐部450,451は、第1のフィルタ部40からの通信信号と第2のフィルタ部42からの通信信号とを分岐するものである。一方、増幅部452は、第1のフィルタ部40からの通信信号を増幅するものである。また、増幅部453は、第2のフィルタ部42からの通信信号を増幅するものである。なお、中継器4dは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4a〜4cと同様である。
【0043】
次に、実施形態2の中継器4d内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、上記多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、分岐部450が第1のフィルタ部40からの通信信号を増幅部452に出力する。増幅部452が上記通信信号を増幅して分岐部451に出力する。分岐部451が増幅部452からの通信信号を第2のフィルタ部42に出力する。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。
【0044】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。最初に、第2のフィルタ部42が上記通信信号を分岐部451に出力する。分岐部451が第2のフィルタ部42からの通信信号を増幅部453に出力する。増幅部453が上記通信信号を増幅して分岐部450に出力する。分岐部450が増幅部453からの通信信号を第1のフィルタ部40に出力する。最後に、第1のフィルタ部40が入出力端43から通信信号を出力する。
【0045】
なお、実施形態2の中継器4d内における放送信号の伝送は、実施形態1の中継器4a〜4c(図1参照)の場合と同様である。また、実施形態2の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送も、中継器4d内における通信信号の伝送以外、実施形態1の配線システムの場合と同様である。
【0046】
以上、実施形態2によれば、中継器4dにおいて、通信信号が小さい場合に、増幅ユニット45が通信信号を増幅するので、放送信号にほとんど影響を与えることなく、他の機器を通過することによる信号減衰や共用ケーブル3による信号減衰など、通信信号に累積した伝送損失を補うことができる。これにより、通信信号の劣化を防止することができ、通信信号の長距離伝送が可能となる。
【0047】
(実施形態3)
本発明の実施形態3について図4を用いて説明する。図4は、実施形態3の中継器の構成を示すブロック図である。
【0048】
実施形態3の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0049】
実施形態3の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態1の中継器4a〜4c(図2参照)に代えて、図4に示すような中継器4eを備えている。中継器4eは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを、実施形態1の中継器4a〜4cと同様に備えているとともに、さらにスイッチ部46を備えている。スイッチ部46は、2つのスイッチ460,461を備え、通信信号の回線の電気的開閉を行うものである。スイッチ460は、例えば利用者による操作ボタンへの操作などによって、接点462と接点463の導通と、接点462と接点464の導通とを切り替えるものである。一方、スイッチ461は、例えば利用者による操作ボタンへの操作などによって、接点465と接点466の導通と、接点465と接点467の導通とを切り替えるものである。スイッチ460とスイッチ461は連動して動作する。具体的には、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わっているとき、スイッチ461は接点465と接点466を導通するように切り替わるように連動して動作する。また、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わっているとき、スイッチ461は接点465と接点467を導通するように切り替わるように連動して動作する。接点464,467はそれぞれ終端となっている。なお、中継器4eは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4a〜4cと同様である。
【0050】
次に、実施形態3の中継器4e内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、上記多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第1のフィルタ部40からの通信信号がスイッチ460,461を介して第2のフィルタ部42に流れる。その後、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。一方、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が切断されるので、第1のフィルタ部40からの通信信号が第2のフィルタ部42に流れない。
【0051】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第2のフィルタ部42からの通信信号がスイッチ461,460を介して第1のフィルタ部40に流れる。その後、第1のフィルタ部40が入出力端43から通信信号を出力する。一方、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が切断されるので、第2のフィルタ部42からの通信信号が第1のフィルタ部40に流れない。
【0052】
なお、実施形態3の中継器4e内における放送信号の伝送は、実施形態1の中継器4a〜4c(図1参照)の場合と同様である。また、実施形態3の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送も、中継器4e内における通信信号の伝送以外、実施形態1の配線システムの場合と同様である。
【0053】
以上、実施形態3によれば、中継器4eにおいて、スイッチ部46によって通信信号を伝送するか否かを切り替えることができる。これにより、通信信号を使用しないときに、情報端末機23に記憶されている情報が通信事業者回線15を介して他に漏れることを低減することができる。また、このときに、ウイルスが他から侵入することを低減することができる。
【0054】
(実施形態4)
本発明の実施形態4について図5を用いて説明する。図5は、実施形態4の中継器の構成を示すブロック図である。
【0055】
実施形態4の配線システムは、実施形態1の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態3の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0056】
実施形態4の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態3の中継器4e(図4参照)に代えて、図5に示すような中継器4fを備えている。中継器4fは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、スイッチ部46とを、実施形態3の中継器4eと同様に備えているとともに、さらに増幅ユニット45を備えている。増幅ユニット45は、実施形態2の増幅ユニットと同様の構成であり、分岐部450が接点463と接続し、分岐部451が接点466と接続している。なお、中継器4fは、上記以外の点において、実施形態3の中継器4eと同様である。
【0057】
次に、実施形態4の中継器4f内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態3と同様に、上記多重信号と通信信号と放送信号に分離する。その後、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第1のフィルタ部40からの通信信号がスイッチ460を介して分岐部450に出力される。分岐部450が第1のフィルタ部40からの通信信号を増幅部452に出力する。増幅部452が上記通信信号を増幅して分岐部451に出力する。分岐部451が、スイッチ461を介して増幅部452からの通信信号を第2のフィルタ部42に出力する。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。なお、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合は、実施形態3の中継器4eの場合と同様である。
【0058】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第2のフィルタ部42からの通信信号がスイッチ461を介して分岐部451に出力される。分岐部451が第2のフィルタ部42からの通信信号を増幅部453に出力する。増幅部453が上記通信信号を増幅して分岐部450に出力する。分岐部450が、スイッチ460を介して増幅部453からの通信信号を第1のフィルタ部40に出力する。最後に、第1のフィルタ部40が入出力端43を通じて通信信号を出力する。なお、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合は、実施形態3の中継器4eの場合と同様である。
【0059】
なお、実施形態4の中継器4f内における放送信号の伝送は、実施形態3の中継器4eの場合と同様である。また、実施形態4の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送も、中継器4f内の通信信号の伝送以外、実施形態3の配線システムの場合と同様である。
【0060】
以上、実施形態4によれば、通信信号を使用しないときに、情報端末機23に記憶されている情報が通信事業者回線15を介して他人に漏れることを低減することができるとともに、通信信号を使用するときに、スイッチ部46の接点463,466間に増幅ユニット45を備えているので、通信信号を増幅することができる。
【0061】
(実施形態5)
本発明の実施形態5について図6を用いて説明する。図6は、実施形態5の中継器の構成を示すブロック図である。
【0062】
実施形態5の配線システムは、実施形態4の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態4の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0063】
実施形態5の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態4の中継器4f(図5参照)に代えて、図6に示すような中継器4gを備えている。中継器4gは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、増幅ユニット45と、スイッチ部46とを、実施形態4の中継器4fと同様に備えているとともに、さらに電源ユニット47を備えている。電源ユニット47は、増幅部452,453の動作電源であり、電源部470と、2つのスイッチ471,472とを備えている。電源部470は、商用電源473と接続し、この商用電源473から電力が供給されるものである。スイッチ471は、一端で電源部470と接続し、他端で増幅部452と接続している。一方、スイッチ472は、一端で電源部470と接続し、他端で増幅部453と接続している。スイッチ471,472は、スイッチ460,461と連動して動作する。具体的には、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっているときに、スイッチ471,472はオン状態(閉状態)になる。これに対して、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっているときに、スイッチ471,472はオフ状態(開状態)になる。これにより、通信信号の回路が閉じているときに、電源部470から増幅部452,453に電力が供給される。これに対して、通信信号の回路が切断されているときでは、電源部470からの電力供給を自動的に切断する。なお、中継器4gは、上記以外の点において、実施形態4の中継器4fと同様である。
【0064】
以上、実施形態5によれば、通信信号を使用しない場合、増幅部452,453が使用されないので、増幅部452,453の動作電源である電源ユニット47からの電力供給を切断することによって、消費電力を低減することができる。
【0065】
(実施形態6)
本発明の実施形態6について図7を用いて説明する。図7は、実施形態6の中継器の構成を示すブロック図である。
【0066】
実施形態6の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0067】
実施形態6の幹線部1は、実施形態1の中継器4b(図2参照)に代えて、図7に示すような中継器4hを備えている。中継器4hは、第1のフィルタ部40と、第2のフィルタ部42と、ルータ機能部48を備えている。ただし、中継器4hは、実施形態1の中継器4bのような増幅部41(図1参照)を備えていない。ルータ機能部48は、第1のフィルタ部40と第2のフィルタ部42の間に設けられた通信信号の回線に挿入されたものであり、通信信号に対するルータ機能を有している。なお、中継器4hは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4bと同様である。
【0068】
次に、実施形態6の中継器4h内における放送信号の伝送について説明する。まず、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、入出力端43から入力された多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、第1のフィルタ部40からの放送信号が第2のフィルタ部42に直接出力される。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から放送信号を出力する。
【0069】
続いて、実施形態6の中継器4h内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、上記多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、第1のフィルタ部40からの通信信号がルータ機能部48を通って第2のフィルタ部42に出力される。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。
【0070】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。最初に、第2のフィルタ部42が上記通信信号をルータ機能部48に出力する。その後、ルータ機能部48から第1のフィルタ部40に通信信号が出力される。最後に、第1のフィルタ部40が入出力端43から通信信号を出力する。
【0071】
なお、実施形態6の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送は、中継器4h内における放送信号及び通信信号の伝送以外、実施形態1の配線システムの場合と同様である。
【0072】
以上、実施形態6によれば、通信信号に対するルータ機能を有するものを中継器として備えることができる。これにより、通信事業者回線15と情報端末機23との間に共用ケーブル3以外での接続を必要とする既存のルータを別途備える必要がないので、配線システムを簡単な構成にすることができる。
【0073】
(実施形態7)
本発明の実施形態7について図8を用いて説明する。図8は、実施形態7の中継器の構成を示すブロック図である。
【0074】
実施形態7の配線システムは、実施形態6の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態6の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0075】
実施形態7の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態6の中継器4h(図7参照)に代えて、図8に示すような中継器4iを備えている。中継器4iは、第1のフィルタ部40と、第2のフィルタ部42と、ルータ機能部48とを、実施形態6の中継器4hと同様に備えているとともに、さらに増幅部41を備えている。つまり、中継器4iは、ルータとブースタとを一体にしたものである。なお、増幅部41は、実施形態1の増幅部と同様である。また、中継器4iは、上記以外の点において、実施形態6の中継器4hと同様である。
【0076】
なお、実施形態7の中継器4iにおける放送信号の伝送は、実施形態1の中継器4a〜4cの場合と同様である。また、実施形態7の中継器4iにおける通信信号の伝送は、実施形態6の中継器4hの場合と同様である。
【0077】
以上、実施形態7によれば、中継器4iがルータの機能とブースタの機能とを備えているので、放送信号を増幅することができるとともに、配線システムの機器の設置スペースを低減することができるとともに、配線システムを構築するときの工程を減少させることができる。
【0078】
(実施形態8)
本発明の実施形態8について図9を用いて説明する。図9は、実施形態8の中継器の構成を示すブロック図である。
【0079】
実施形態8の配線システムは、実施形態7の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態7の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0080】
実施形態8の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態7の中継器4i(図8参照)に代えて、図9に示すような中継器4jを備えている。中継器4jは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、ルータ機能部48とを、実施形態7の中継器4iと同様に備えているとともに、さらに増幅ユニット45を備えている。増幅ユニット45は、実施形態2の増幅ユニットと同様の構成であり、分岐部450がルータ機能部48と接続し、分岐部451が第2のフィルタ部42と接続している。なお、中継器4jは、上記以外の点において、実施形態7の中継器4iと同様である。
【0081】
以上、実施形態8によれば、通信信号に対してルータ機能を施した後又は施す前に、上記通信信号を増幅することができる。
【0082】
なお、実施形態8の変形例として、ルータ機能部を第2のフィルタ部と増幅ユニットの間に備えてもよい。また、ルータ機能部を2つの分岐部間に備えてもよい。このような構成にしても、実施形態8と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(実施形態9)
本発明の実施形態9について図10を用いて説明する。図10は、実施形態9の中継器の構成を示すブロック図である。
【0084】
実施形態9の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0085】
実施形態9の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態1の中継器4a〜4c(図2参照)に代えて、図10に示すような中継器4kを備えている。中継器4kは、第1のフィルタ部40と、第2のフィルタ部42と、増幅ユニット45とを備えている。ただし、中継器4kは、実施形態1の中継器4a〜4cのような増幅部41(図1参照)を備えていない。つまり、中継器4kにおいて、放送信号は、第1のフィルタ部40から第2のフィルタ部42に直接出力されることになる。なお、中継器4kは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4a〜4cと同様である。
【0086】
以上、実施形態9によれば、中継器4kにおいて、通信信号が小さい場合に、放送信号をそのまま出力させる一方、増幅ユニット45が通信信号を増幅するので、放送信号にほとんど影響を与えることなく、他の機器を通過することによる信号減衰や共用ケーブル3による信号減衰など、通信信号に累積した伝送損失を補うことができる。これにより、通信信号の劣化を防止することができ、通信信号の長距離伝送が可能となる。
【0087】
(実施形態10)
本発明の実施形態10について図11を用いて説明する。図11は、実施形態10の配線システムの要部構成を示すブロック図である。なお、図11のAは図2のAで分岐器13と接続する。
【0088】
実施形態10の配線システムは、図11に示すような幹線部1aと、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備え、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0089】
実施形態10の幹線部1aは、実施形態1のような通信事業者回線15(図2参照)に代えて、接続端子14及び保安器18を介してCATV局19と接続している。また、この幹線部1aは、実施形態1のようなメディアコンバータ10、モデム11及び混合器12(図2参照)を備えていない。CATV局19から入出力端を介して入力された放送信号及び通信信号は、中継器4aに直接出力される。なお、幹線部1aは、上記以外の点において、実施形態1の幹線部1(図2参照)と同様である。
【0090】
以上、実施形態10によれば、CATV局19から放送信号及び通信信号を入力する場合であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、実施形態1〜10の変形例として、分岐器の一部又は全てを分配器に置き換えて備えてもよい。このような構成にしても、実施形態1〜10と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(実施形態11)
本発明の実施形態11について図12を用いて説明する。図12は、実施形態11の配線システムの構成を示すブロック図である。
【0093】
実施形態11の配線システムは、例えば戸建住宅などに用いられるものであり、図12に示すように、幹線部1bと、1つの宅内部2とを備えている。
【0094】
実施形態11の幹線部1bは、メディアコンバータ10と、モデム11と、混合器12とを、実施形態1の幹線部1(図2参照)と同様に備えている。ただし、この幹線部1bは、実施形態1の複数の分岐器13・・・、中継器4a及び複数の中継器4b・・・(図2参照)を備えていません。混合器12からの多重信号は、宅内部2の中継器4cに直接出力される。また、宅内部2からの通信信号は、混合器12に直接出力される。なお、幹線部1bは、上記以外の点において、実施形態1の幹線部1と同様である。
【0095】
以上、実施形態11によれば、宅内部2が1つの場合であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、実施形態1〜9,11の他の変形例として、通信事業者回線からの通信信号を入出力する方法として、光通信に代えて、例えばADSLなどのxDSLを用いてもよい。このようにしても、実施形態1〜9,11と同様の効果を得ることができる。
【0097】
なお、実施形態1〜11の変形例として、情報端末機又は放送受信機が接続される端子部の個数は限定されるものではなく、4個以外の個数であってもよい。当然1個であってもよい。このようにしても、実施形態1〜11と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による実施形態1の中継器の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の配線システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明による実施形態2の中継器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明による実施形態3の中継器の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明による実施形態4の中継器の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明による実施形態5の中継器の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明による実施形態6の中継器の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明による実施形態7の中継器の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明による実施形態8の中継器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明による実施形態9の中継器の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明による実施形態10の配線システムの要部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明による実施形態11の配線システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
4a〜4c 中継器
40 第1のフィルタ部
400 帯域通過フィルタ
401 帯域阻止フィルタ
41 増幅部
42 第2のフィルタ部
420 帯域阻止フィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信信号及び放送信号が入出力される中継器及び配線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
既存の建築物には、例えばテレビなどの放送受信機に対する放送用の回線として、例えば同軸ケーブルなどの放送用ケーブルが配線されたテレビ配線システムが構築されている。
【0003】
従来、このような既存の建築物にネットワークシステム(宅内LANシステム)を構築する場合、例えばCAT5ケーブルなどのUTPによってLAN配線を設置するLAN配線システムや、無線LANを設置する無線LANシステム、例えばc.LINK(登録商標)など、テレビ配線システムを利用した配線システムが考えられる。
【0004】
LAN配線システムは、放送用ケーブル以外にLAN専用のケーブルを配線する必要があるので、コストが高くなるという問題があった。また、無線LANシステムは、建築物内部でも電波が届かない場所が発生する可能性が高いという問題があった。
【0005】
これらに対して、テレビ配線システムを利用した配線システムは、建築物に既存のテレビ配線システムを共用することができ、別途LAN専用のケーブルを配線する必要がないので、コストを低減することができることから注目されている。また、無線LANシステムのような問題も発生しない。上記テレビ配線システムは、CATV加入者にとっては、別のプロバイダに加入する必要がなく、CATV網のみで高速通信サービスを利用することができる。
【0006】
ところが、既存のテレビ配線システムを利用した配線システムの場合、上記配線システムを構成する機器が、放送用の周波数帯域の信号だけでなく、通信用の周波数帯域の信号にも対応することが必要である。例えばc.LINKでは、通信信号の周波数帯域が800MHz〜1.5GHzである。また、放送信号は一方向のみの伝送でよいが、通信信号は双方向の伝送であるので、機器も上記伝送に対応させる必要がある。さらに、通信信号と放送信号を個別に例えば増幅などを行う場合、上記通信信号と放送信号に分離することにも対応させる必要がある。このような条件を満たす配線システムとして、特許文献1には、テレビジョン信号(放送信号)及びLAN信号(通信信号)からなる多重信号が信号混合分配器によって本線とバイパスに分配され、ハイパスフィルタを通過したテレビジョン信号が本線を伝送し、ローパスフィルタを通過したLAN信号がバイパスを伝送する受信機/LAN共用配線システムが開示されている。これにより、テレビジョン信号を本線で増幅することができるとともに、LAN信号をバイパスで双方向に伝送することができる。
【特許文献1】WO98/12838号公報(第13,14頁及び第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の配線システムは、放送信号及び通信信号の多重信号を本線とバイパスに分配するので、それぞれに流れる多重信号が元の多重信号の半分になってしまう。つまり、本線及びバイパスに流れる放送信号及び通信信号の大きさがそれぞれ元の放送信号及び通信信号の半分になって減衰してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、通信信号と放送信号に分離する場合に、上記通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる中継器及びこれを含む配線システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の中継器の発明は、情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムに設けられた中継器であって、前記伝送路の一方からの前記通信信号及び前記放送信号の多重信号を当該通信信号と当該放送信号に分離して出力する分離手段と、前記分離手段からの前記通信信号及び前記放送信号を分離した状態で伝送する伝送手段と、前記伝送手段からの前記通信信号及び前記放送信号を合成して前記伝送路の他方に出力する合成手段とを備え、前記分離手段が、前記多重信号から前記通信信号の周波数帯域の成分及び前記放送信号の周波数帯域の成分を抽出し、前記通信信号の周波数帯域の成分を前記通信信号とし、前記放送信号の周波数帯域の成分を前記放送信号とすることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、多重信号から周波数帯域ごとに成分を抽出することによって、通信信号と放送信号に分離することができるので、分離後の通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の中継器の発明は、請求項1に記載の発明において、前記伝送手段が、前記放送信号を増幅することを特徴とする。この構成によれば、放送信号が小さい場合に、通信信号にほとんど影響を与えることなく、放送信号に累積した伝送損失を補うことができる。
【0012】
請求項3に記載の中継器の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号を増幅することを特徴とする。この構成によれば、通信信号が小さい場合に、放送信号にほとんど影響を与えることなく、通信信号に累積した伝送損失を補うことができる。
【0013】
請求項4に記載の中継器の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号の回線の電気的開閉を行うことを特徴とする。この構成によれば、通信信号を使用しないときに、情報端末機に記憶されている情報が他に漏れること、及びウイルスが他から侵入することを低減することができる。
【0014】
請求項5に記載の中継器の発明は、請求項4に記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号を増幅する増幅部を備え、前記通信信号の回路を開状態に切り替えたときに、前記増幅部の電源を開状態にすることを特徴とする。この構成によれば、通信信号を使用しない場合、消費電力を低減することができる。
【0015】
請求項6に記載の中継器の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記伝送手段が、前記通信信号に対するルータ機能を有することを特徴とする。この構成によれば、共用ケーブル以外での接続を必要とする既存のルータを別途備える必要がないので、配線システムを簡単な構成にすることができる。
【0016】
請求項7に記載の配線システムの発明は、情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムであって、請求項1〜6のいずれかに記載の中継器を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、中継器が、多重信号から周波数帯域ごとに成分を抽出することによって、通信信号と放送信号に分離することができるので、分離後の放送信号及び通信信号の減衰を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、上記通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1,2を用いて説明する。図1は、実施形態1の中継器の構成を示すブロック図である。図2は、実施形態1の配線システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
まず、実施形態1の基本的な構成について説明する。実施形態1の配線システムは、例えば集合住宅などに用いられるものであり、図2に示すように、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えている。この配線システムは、情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用し、例えば同軸ケーブル3aやツイストペアケーブル3bなどの共用ケーブル3で機器間を接続している。
【0021】
放送信号は、衛星放送用の信号と、UHF及びVHF放送用の信号とからなる。衛星放送用の信号の周波数帯域は1032MHz〜2150MHzである。UHF及びVHF放送用の信号の周波数帯域は76MHz〜770MHzである。一方、通信信号の周波数帯域は、できるだけ高周波帯域であるほうがよいが、放送信号の周波数帯域と重複しないようにする必要がある。したがって、通信信号の周波数帯域は、衛星放送用の信号の周波数帯域とUHF及びVHF放送用の信号の周波数帯域との間の770MHz〜1032MHzである。さらに好ましい範囲は、825MHz〜975MHzである。この範囲に設定すると、c.LINKの規格を満たすことができ、c.LINKを利用することができる。
【0022】
幹線部1は、例えば集合住宅などの共通設備であり、メディアコンバータ10と、モデム11と、混合器12と、複数の分岐器13・・・と、中継器4aと、複数の中継器4b・・・とを備えている。また、幹線部1は、接続端子14を介して通信事業者回線15と接続し、入力端16を介してアンテナ17と接続している。通信事業者回線15は、光ファイバケーブルを用いた光通信用回線であり、不特定多数の情報端末機と接続するインターネット網(図示せず)と接続するものである。また、アンテナ17は、例えばBSやCSなどの衛星放送用アンテナ170と、UHF用アンテナ171と、VHF用アンテナ172とを備え、それぞれが屋根などの屋外に設置され、放送局又は人工衛星からの無線電波を受信する。衛星放送用アンテナ170、UHF用アンテナ171及びVHF用アンテナ172のそれぞれからの放送信号は、混合器173によって合成されて屋内に引き込まれる。
【0023】
メディアコンバータ10は、一端で接続端子14を介して通信事業者回線15と接続し、他端でモデム11と接続している。このメディアコンバータ10は、通信事業者回線15用の通信信号を共用ケーブル3用の通信信号に変換し、変換した通信信号をモデム11に出力する。また、メディアコンバータ10は、共用ケーブル3を流れてきたモデム11からの通信信号を通信事業者回線15用の通信信号に変換し、通信事業者回線15に出力する。
【0024】
混合器12は、3つの入出力端の1つでモデム11と接続し、他の1つで入力端16を介してアンテナ17と接続し、残りの1つで中継器4aと接続している。この混合器12は、モデム11からの通信信号と混合器173からの放送信号とを合成し、合成された多重信号を中継器4aに出力する。また、混合器12は、中継器4aからの通信信号をモデム11に出力する。
【0025】
中継器4aは、図1に示すように、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、電源部(図示せず)とを備え、入出力端43で混合器12(図2参照)と接続し、入出力端44で分岐器13(図2参照)と接続している。なお、電源部は中継器4aの動作電源である。
【0026】
第1のフィルタ部40は、帯域通過フィルタ400と、帯域阻止フィルタ401とを並列に備えている。帯域通過フィルタ400は、多重信号のうち通信信号の周波数帯域成分を通過させるものである。一方、帯域阻止フィルタ401は、多重信号のうち通信信号の周波数帯域成分を通過させることを阻止し、上記周波数帯域以外の帯域成分を通過させるものである。つまり、第1のフィルタ部40は、混合器12(図2参照)から通信信号及び放送信号の多重信号を入力し、帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401によって、通信信号の周波数帯域成分と、放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。この第1のフィルタ部40は、各周波数帯域成分を抽出した後、通信信号の周波数帯域成分を通信信号とし、放送信号の周波数帯域成分を放送信号とすることによって、多重信号を通信信号と放送信号に分離する分離手段である。第1のフィルタ部40は、多重信号を通信信号と放送信号に分離した後、通信信号を出力端402から第2のフィルタ部42に直接出力し、放送信号を出力端403から増幅部41に出力する。
【0027】
増幅部41は、例えばRFアンプなどを含む回路構成であり、第1のフィルタ部40から放送信号を入力し、入力された放送信号を増幅する。この増幅部41は、放送信号を増幅した後、増幅した放送信号を第2のフィルタ部42に出力する。
【0028】
第2のフィルタ部42は、帯域阻止フィルタ420を備えている。帯域阻止フィルタ420は、通信信号の周波数帯域以外の帯域成分を透過するものである。この第2のフィルタ部42は、第1のフィルタ部40から入力端421を介して通信信号を入力し、増幅部41から入力端422を介して放送信号を入力する。第2のフィルタ部42は、通信信号及び放送信号を入力した後、通信信号及び放送信号を合成する合成手段である。この第2のフィルタ部42は、通信信号及び放送信号を合成した後、合成した信号を分岐器13(図2参照)に出力する。
【0029】
上記より、中継器4aは、放送信号に対してブースタとしての機能を有するとともに、通信信号に対して入出力端43から入出力端44の方向、及び入出力端44から入出力端43の方向の両方向に伝送させることができる。
【0030】
中継器4bは、中継器4aと同様の構成であり、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを備えている。この中継器4bは、入出力端43で分岐器13(図2参照)と接続し、入出力端44で他の分岐器13(図2参照)と接続している。
【0031】
各分岐器13は、図2に示すように、入出力端130で中継器4a,4bと接続し、入出力端131で宅内部2と接続し、入出力端132で他の中継器4bと接続している。この分岐器13は、入出力端130で入力された中継器4a,4bからの多重信号の一部を宅内部2に出力し、残部を他の中継器4bに出力するものである。また、分岐器13は、入出力端131で入力された宅内部2からの通信信号と、入出力端132で入力された他の分岐器13からの通信信号とを、入出力端130から中継器4a,4bに出力する。
【0032】
一方、各宅内部2は、例えば集合住宅などにおいて世帯ごとに設けられた設備であり、中継器4cと、分配器20と、分配器20の出力端子数と同数の端子部21・・・とを備え、分岐器13の入出力端131と接続している。
【0033】
中継器4cは、中継器4aと同様の構成であり、図1に示すように、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを備えている。この中継器4cは、入出力端43で分岐器13の入出力端131(図2参照)と接続し、入出力端44で分配器20(図2参照)と接続している。
【0034】
分配器20は、図2に示すように、一方で中継器4cと接続し、他方で各端子部21と同軸ケーブルで接続している。この分配器20は、中継器4cからの多重信号を各端子部21に均等に分配して出力する。また、分配器20は、各端子部21からの通信信号を中継器4cに出力する。
【0035】
各端子部21は、例えば同軸ケーブル用接続端子などであり、モデム22を介して、例えばパソコンなどの情報端末機23が接続されたり、例えばテレビなどの放送受信機24が接続されたりするものである。実施形態1では、2つの端子部21,21のそれぞれに、情報端末機23が1台ずつ接続され、残りの2つの端子部21,21のそれぞれに、放送受信機24が1台ずつ接続されている。情報端末機23は、通信信号の内容に基づいた動作を行うとともに、通信信号の送受信を行う。放送受信機24は、放送信号に基づいて映像を表示したり、音声を出力したりする。
【0036】
次に、実施形態1の配線システムにおける放送信号の伝送について説明する。まず、図2に示すように、衛星放送用アンテナ170、UHF用アンテナ171及びVHF用アンテナ172が無線電波を受信する。その後、混合器173が各アンテナからの放送信号を合成する。その後、混合器12が、入力端16を介して混合器12から放送信号を引き込み、通信信号との多重信号として中継器4aに出力する。その後、中継器4aでは、図1に示すように、第1のフィルタ部40が帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401を用いて多重信号を通信信号の周波数帯域成分と放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。抽出した後、放送信号の周波数帯域成分を放送信号として増幅部41に出力する。その後、増幅部41が放送信号を増幅する。その後、第2のフィルタ部42が、増幅した放送信号を分岐器13に出力する。この放送信号が、図2に示すように、1乃至複数の分岐器13を介して宅内部2の中継器4cに出力される。中継器4cでは中継器4aと同様の動作が行われ、図1に示すように、増幅部41で増幅された放送信号が分配器20に出力される。その後、分配器20が、図2に示すように、中継器4cからの放送信号を4つの端子部21・・・に均等に分配する。最後に、放送受信機24が端子部21を介して放送信号を受信する。
【0037】
続いて、実施形態1の配線システムにおける通信信号の伝送について説明する。まず、通信事業者回線15からの通信信号の伝送について説明する。最初に、メディアコンバータ10が通信事業者回線15からの通信信号を共用ケーブル3用の通信信号に変換してモデム11に出力する。その後、混合器12がモデム11からの通信信号を放送信号との多重信号として中継器4aに出力する。その後、中継器4aでは、図1に示すように、第1のフィルタ部40が帯域通過フィルタ400及び帯域阻止フィルタ401を用いて多重信号を通信信号の周波数帯域成分と放送信号の周波数帯域成分とを抽出する。抽出した後、通信信号の周波数帯域成分を通信信号として第2のフィルタ部42に直接出力する。この通信信号が、図2に示すように、1乃至複数の分岐器13を介して宅内部2の中継器4cに出力される。中継器4cでは中継器4aと同様の動作が行われ、図1に示すように、通信信号が第1のフィルタ部40から第2のフィルタ部42に直接伝送し、分配器20に出力される。その後、分配器20が、図2に示すように、中継器4cからの通信信号を4つの端子部21・・・に均等に分配する。最後に、情報端末機23が端子部21及びモデム22を介して通信信号を受信する。
【0038】
続いて、情報端末機23からの通信信号の伝送について説明する。まず、情報端末機23が通信信号を出力する。その後、分配器20が情報端末機23からの通信信号を中継器4cに出力する。中継器4cでは、図1に示すように、通信信号が第2のフィルタ部42から第1のフィルタ部40に直接伝送し、分岐器13に出力される。その後、この通信信号が、図2に示すように、分岐器13、中継器4a,4b、混合器12、モデム11の順に伝送する。最後に、メディアコンバータ10がモデム11からの通信信号を光ファイバケーブル用の通信信号に変換して通信事業者回線15に出力する。
【0039】
以上、実施形態1によれば、通信信号と放送信号に分離する場合に、各中継器4a〜4cでは、多重信号から周波数帯域ごとに成分を抽出することによって、通信信号と放送信号に分離することができるので、分離後の通信信号及び放送信号の減衰を低減することができる。また、中継器4a〜4cにおいて、放送信号が小さい場合に、増幅部41が放送信号を増幅するので、通信信号にほとんど影響を与えることなく、他の機器を通過することによる信号減衰や共用ケーブル3による信号減衰など、放送信号に累積した伝送損失を補うことができる。これにより、放送信号の劣化を防止することができ、放送信号の長距離伝送が可能となる。
【0040】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図3を用いて説明する。図3は、実施形態2の中継器の構成を示すブロック図である。
【0041】
実施形態2の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0042】
実施形態2の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態1の中継器4a〜4c(図2参照)に代えて、図3に示すような中継器4dを備えている。中継器4dは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを、実施形態1の中継器4a〜4cと同様に備えているとともに、さらに増幅ユニット45を備えている。増幅ユニット45は、2つの分岐部450,451と、2つの増幅部452,453とを備えている。分岐部450,451は、第1のフィルタ部40からの通信信号と第2のフィルタ部42からの通信信号とを分岐するものである。一方、増幅部452は、第1のフィルタ部40からの通信信号を増幅するものである。また、増幅部453は、第2のフィルタ部42からの通信信号を増幅するものである。なお、中継器4dは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4a〜4cと同様である。
【0043】
次に、実施形態2の中継器4d内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、上記多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、分岐部450が第1のフィルタ部40からの通信信号を増幅部452に出力する。増幅部452が上記通信信号を増幅して分岐部451に出力する。分岐部451が増幅部452からの通信信号を第2のフィルタ部42に出力する。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。
【0044】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。最初に、第2のフィルタ部42が上記通信信号を分岐部451に出力する。分岐部451が第2のフィルタ部42からの通信信号を増幅部453に出力する。増幅部453が上記通信信号を増幅して分岐部450に出力する。分岐部450が増幅部453からの通信信号を第1のフィルタ部40に出力する。最後に、第1のフィルタ部40が入出力端43から通信信号を出力する。
【0045】
なお、実施形態2の中継器4d内における放送信号の伝送は、実施形態1の中継器4a〜4c(図1参照)の場合と同様である。また、実施形態2の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送も、中継器4d内における通信信号の伝送以外、実施形態1の配線システムの場合と同様である。
【0046】
以上、実施形態2によれば、中継器4dにおいて、通信信号が小さい場合に、増幅ユニット45が通信信号を増幅するので、放送信号にほとんど影響を与えることなく、他の機器を通過することによる信号減衰や共用ケーブル3による信号減衰など、通信信号に累積した伝送損失を補うことができる。これにより、通信信号の劣化を防止することができ、通信信号の長距離伝送が可能となる。
【0047】
(実施形態3)
本発明の実施形態3について図4を用いて説明する。図4は、実施形態3の中継器の構成を示すブロック図である。
【0048】
実施形態3の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0049】
実施形態3の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態1の中継器4a〜4c(図2参照)に代えて、図4に示すような中継器4eを備えている。中継器4eは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42とを、実施形態1の中継器4a〜4cと同様に備えているとともに、さらにスイッチ部46を備えている。スイッチ部46は、2つのスイッチ460,461を備え、通信信号の回線の電気的開閉を行うものである。スイッチ460は、例えば利用者による操作ボタンへの操作などによって、接点462と接点463の導通と、接点462と接点464の導通とを切り替えるものである。一方、スイッチ461は、例えば利用者による操作ボタンへの操作などによって、接点465と接点466の導通と、接点465と接点467の導通とを切り替えるものである。スイッチ460とスイッチ461は連動して動作する。具体的には、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わっているとき、スイッチ461は接点465と接点466を導通するように切り替わるように連動して動作する。また、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わっているとき、スイッチ461は接点465と接点467を導通するように切り替わるように連動して動作する。接点464,467はそれぞれ終端となっている。なお、中継器4eは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4a〜4cと同様である。
【0050】
次に、実施形態3の中継器4e内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、上記多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第1のフィルタ部40からの通信信号がスイッチ460,461を介して第2のフィルタ部42に流れる。その後、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。一方、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が切断されるので、第1のフィルタ部40からの通信信号が第2のフィルタ部42に流れない。
【0051】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第2のフィルタ部42からの通信信号がスイッチ461,460を介して第1のフィルタ部40に流れる。その後、第1のフィルタ部40が入出力端43から通信信号を出力する。一方、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が切断されるので、第2のフィルタ部42からの通信信号が第1のフィルタ部40に流れない。
【0052】
なお、実施形態3の中継器4e内における放送信号の伝送は、実施形態1の中継器4a〜4c(図1参照)の場合と同様である。また、実施形態3の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送も、中継器4e内における通信信号の伝送以外、実施形態1の配線システムの場合と同様である。
【0053】
以上、実施形態3によれば、中継器4eにおいて、スイッチ部46によって通信信号を伝送するか否かを切り替えることができる。これにより、通信信号を使用しないときに、情報端末機23に記憶されている情報が通信事業者回線15を介して他に漏れることを低減することができる。また、このときに、ウイルスが他から侵入することを低減することができる。
【0054】
(実施形態4)
本発明の実施形態4について図5を用いて説明する。図5は、実施形態4の中継器の構成を示すブロック図である。
【0055】
実施形態4の配線システムは、実施形態1の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態3の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0056】
実施形態4の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態3の中継器4e(図4参照)に代えて、図5に示すような中継器4fを備えている。中継器4fは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、スイッチ部46とを、実施形態3の中継器4eと同様に備えているとともに、さらに増幅ユニット45を備えている。増幅ユニット45は、実施形態2の増幅ユニットと同様の構成であり、分岐部450が接点463と接続し、分岐部451が接点466と接続している。なお、中継器4fは、上記以外の点において、実施形態3の中継器4eと同様である。
【0057】
次に、実施形態4の中継器4f内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態3と同様に、上記多重信号と通信信号と放送信号に分離する。その後、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第1のフィルタ部40からの通信信号がスイッチ460を介して分岐部450に出力される。分岐部450が第1のフィルタ部40からの通信信号を増幅部452に出力する。増幅部452が上記通信信号を増幅して分岐部451に出力する。分岐部451が、スイッチ461を介して増幅部452からの通信信号を第2のフィルタ部42に出力する。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。なお、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合は、実施形態3の中継器4eの場合と同様である。
【0058】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっている場合、通信信号の回線が閉じるので、第2のフィルタ部42からの通信信号がスイッチ461を介して分岐部451に出力される。分岐部451が第2のフィルタ部42からの通信信号を増幅部453に出力する。増幅部453が上記通信信号を増幅して分岐部450に出力する。分岐部450が、スイッチ460を介して増幅部453からの通信信号を第1のフィルタ部40に出力する。最後に、第1のフィルタ部40が入出力端43を通じて通信信号を出力する。なお、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっている場合は、実施形態3の中継器4eの場合と同様である。
【0059】
なお、実施形態4の中継器4f内における放送信号の伝送は、実施形態3の中継器4eの場合と同様である。また、実施形態4の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送も、中継器4f内の通信信号の伝送以外、実施形態3の配線システムの場合と同様である。
【0060】
以上、実施形態4によれば、通信信号を使用しないときに、情報端末機23に記憶されている情報が通信事業者回線15を介して他人に漏れることを低減することができるとともに、通信信号を使用するときに、スイッチ部46の接点463,466間に増幅ユニット45を備えているので、通信信号を増幅することができる。
【0061】
(実施形態5)
本発明の実施形態5について図6を用いて説明する。図6は、実施形態5の中継器の構成を示すブロック図である。
【0062】
実施形態5の配線システムは、実施形態4の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態4の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0063】
実施形態5の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態4の中継器4f(図5参照)に代えて、図6に示すような中継器4gを備えている。中継器4gは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、増幅ユニット45と、スイッチ部46とを、実施形態4の中継器4fと同様に備えているとともに、さらに電源ユニット47を備えている。電源ユニット47は、増幅部452,453の動作電源であり、電源部470と、2つのスイッチ471,472とを備えている。電源部470は、商用電源473と接続し、この商用電源473から電力が供給されるものである。スイッチ471は、一端で電源部470と接続し、他端で増幅部452と接続している。一方、スイッチ472は、一端で電源部470と接続し、他端で増幅部453と接続している。スイッチ471,472は、スイッチ460,461と連動して動作する。具体的には、スイッチ460が接点462と接点463を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点466を導通するように切り替わっているときに、スイッチ471,472はオン状態(閉状態)になる。これに対して、スイッチ460が接点462と接点464を導通するように切り替わり、スイッチ461が接点465と接点467を導通するように切り替わっているときに、スイッチ471,472はオフ状態(開状態)になる。これにより、通信信号の回路が閉じているときに、電源部470から増幅部452,453に電力が供給される。これに対して、通信信号の回路が切断されているときでは、電源部470からの電力供給を自動的に切断する。なお、中継器4gは、上記以外の点において、実施形態4の中継器4fと同様である。
【0064】
以上、実施形態5によれば、通信信号を使用しない場合、増幅部452,453が使用されないので、増幅部452,453の動作電源である電源ユニット47からの電力供給を切断することによって、消費電力を低減することができる。
【0065】
(実施形態6)
本発明の実施形態6について図7を用いて説明する。図7は、実施形態6の中継器の構成を示すブロック図である。
【0066】
実施形態6の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0067】
実施形態6の幹線部1は、実施形態1の中継器4b(図2参照)に代えて、図7に示すような中継器4hを備えている。中継器4hは、第1のフィルタ部40と、第2のフィルタ部42と、ルータ機能部48を備えている。ただし、中継器4hは、実施形態1の中継器4bのような増幅部41(図1参照)を備えていない。ルータ機能部48は、第1のフィルタ部40と第2のフィルタ部42の間に設けられた通信信号の回線に挿入されたものであり、通信信号に対するルータ機能を有している。なお、中継器4hは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4bと同様である。
【0068】
次に、実施形態6の中継器4h内における放送信号の伝送について説明する。まず、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、入出力端43から入力された多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、第1のフィルタ部40からの放送信号が第2のフィルタ部42に直接出力される。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から放送信号を出力する。
【0069】
続いて、実施形態6の中継器4h内における通信信号の伝送について説明する。まず、多重信号が入出力端43から入力された場合について説明する。最初に、第1のフィルタ部40が、実施形態1と同様に、上記多重信号を通信信号と放送信号に分離する。その後、第1のフィルタ部40からの通信信号がルータ機能部48を通って第2のフィルタ部42に出力される。最後に、第2のフィルタ部42が入出力端44から通信信号を出力する。
【0070】
続いて、通信信号が入出力端44から入力された場合について説明する。最初に、第2のフィルタ部42が上記通信信号をルータ機能部48に出力する。その後、ルータ機能部48から第1のフィルタ部40に通信信号が出力される。最後に、第1のフィルタ部40が入出力端43から通信信号を出力する。
【0071】
なお、実施形態6の配線システムにおける放送信号及び通信信号の伝送は、中継器4h内における放送信号及び通信信号の伝送以外、実施形態1の配線システムの場合と同様である。
【0072】
以上、実施形態6によれば、通信信号に対するルータ機能を有するものを中継器として備えることができる。これにより、通信事業者回線15と情報端末機23との間に共用ケーブル3以外での接続を必要とする既存のルータを別途備える必要がないので、配線システムを簡単な構成にすることができる。
【0073】
(実施形態7)
本発明の実施形態7について図8を用いて説明する。図8は、実施形態7の中継器の構成を示すブロック図である。
【0074】
実施形態7の配線システムは、実施形態6の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態6の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0075】
実施形態7の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態6の中継器4h(図7参照)に代えて、図8に示すような中継器4iを備えている。中継器4iは、第1のフィルタ部40と、第2のフィルタ部42と、ルータ機能部48とを、実施形態6の中継器4hと同様に備えているとともに、さらに増幅部41を備えている。つまり、中継器4iは、ルータとブースタとを一体にしたものである。なお、増幅部41は、実施形態1の増幅部と同様である。また、中継器4iは、上記以外の点において、実施形態6の中継器4hと同様である。
【0076】
なお、実施形態7の中継器4iにおける放送信号の伝送は、実施形態1の中継器4a〜4cの場合と同様である。また、実施形態7の中継器4iにおける通信信号の伝送は、実施形態6の中継器4hの場合と同様である。
【0077】
以上、実施形態7によれば、中継器4iがルータの機能とブースタの機能とを備えているので、放送信号を増幅することができるとともに、配線システムの機器の設置スペースを低減することができるとともに、配線システムを構築するときの工程を減少させることができる。
【0078】
(実施形態8)
本発明の実施形態8について図9を用いて説明する。図9は、実施形態8の中継器の構成を示すブロック図である。
【0079】
実施形態8の配線システムは、実施形態7の配線システムと同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備えているが、実施形態7の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0080】
実施形態8の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態7の中継器4i(図8参照)に代えて、図9に示すような中継器4jを備えている。中継器4jは、第1のフィルタ部40と、増幅部41と、第2のフィルタ部42と、ルータ機能部48とを、実施形態7の中継器4iと同様に備えているとともに、さらに増幅ユニット45を備えている。増幅ユニット45は、実施形態2の増幅ユニットと同様の構成であり、分岐部450がルータ機能部48と接続し、分岐部451が第2のフィルタ部42と接続している。なお、中継器4jは、上記以外の点において、実施形態7の中継器4iと同様である。
【0081】
以上、実施形態8によれば、通信信号に対してルータ機能を施した後又は施す前に、上記通信信号を増幅することができる。
【0082】
なお、実施形態8の変形例として、ルータ機能部を第2のフィルタ部と増幅ユニットの間に備えてもよい。また、ルータ機能部を2つの分岐部間に備えてもよい。このような構成にしても、実施形態8と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(実施形態9)
本発明の実施形態9について図10を用いて説明する。図10は、実施形態9の中継器の構成を示すブロック図である。
【0084】
実施形態9の配線システムは、実施形態1の配線システム(図2参照)と同様に、幹線部1と、複数の宅内部2・・・とを備えているが、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0085】
実施形態9の幹線部1及び各宅内部2は、実施形態1の中継器4a〜4c(図2参照)に代えて、図10に示すような中継器4kを備えている。中継器4kは、第1のフィルタ部40と、第2のフィルタ部42と、増幅ユニット45とを備えている。ただし、中継器4kは、実施形態1の中継器4a〜4cのような増幅部41(図1参照)を備えていない。つまり、中継器4kにおいて、放送信号は、第1のフィルタ部40から第2のフィルタ部42に直接出力されることになる。なお、中継器4kは、上記以外の点において、実施形態1の中継器4a〜4cと同様である。
【0086】
以上、実施形態9によれば、中継器4kにおいて、通信信号が小さい場合に、放送信号をそのまま出力させる一方、増幅ユニット45が通信信号を増幅するので、放送信号にほとんど影響を与えることなく、他の機器を通過することによる信号減衰や共用ケーブル3による信号減衰など、通信信号に累積した伝送損失を補うことができる。これにより、通信信号の劣化を防止することができ、通信信号の長距離伝送が可能となる。
【0087】
(実施形態10)
本発明の実施形態10について図11を用いて説明する。図11は、実施形態10の配線システムの要部構成を示すブロック図である。なお、図11のAは図2のAで分岐器13と接続する。
【0088】
実施形態10の配線システムは、図11に示すような幹線部1aと、複数の宅内部2・・・(図2参照)とを備え、実施形態1の配線システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0089】
実施形態10の幹線部1aは、実施形態1のような通信事業者回線15(図2参照)に代えて、接続端子14及び保安器18を介してCATV局19と接続している。また、この幹線部1aは、実施形態1のようなメディアコンバータ10、モデム11及び混合器12(図2参照)を備えていない。CATV局19から入出力端を介して入力された放送信号及び通信信号は、中継器4aに直接出力される。なお、幹線部1aは、上記以外の点において、実施形態1の幹線部1(図2参照)と同様である。
【0090】
以上、実施形態10によれば、CATV局19から放送信号及び通信信号を入力する場合であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、実施形態1〜10の変形例として、分岐器の一部又は全てを分配器に置き換えて備えてもよい。このような構成にしても、実施形態1〜10と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(実施形態11)
本発明の実施形態11について図12を用いて説明する。図12は、実施形態11の配線システムの構成を示すブロック図である。
【0093】
実施形態11の配線システムは、例えば戸建住宅などに用いられるものであり、図12に示すように、幹線部1bと、1つの宅内部2とを備えている。
【0094】
実施形態11の幹線部1bは、メディアコンバータ10と、モデム11と、混合器12とを、実施形態1の幹線部1(図2参照)と同様に備えている。ただし、この幹線部1bは、実施形態1の複数の分岐器13・・・、中継器4a及び複数の中継器4b・・・(図2参照)を備えていません。混合器12からの多重信号は、宅内部2の中継器4cに直接出力される。また、宅内部2からの通信信号は、混合器12に直接出力される。なお、幹線部1bは、上記以外の点において、実施形態1の幹線部1と同様である。
【0095】
以上、実施形態11によれば、宅内部2が1つの場合であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、実施形態1〜9,11の他の変形例として、通信事業者回線からの通信信号を入出力する方法として、光通信に代えて、例えばADSLなどのxDSLを用いてもよい。このようにしても、実施形態1〜9,11と同様の効果を得ることができる。
【0097】
なお、実施形態1〜11の変形例として、情報端末機又は放送受信機が接続される端子部の個数は限定されるものではなく、4個以外の個数であってもよい。当然1個であってもよい。このようにしても、実施形態1〜11と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による実施形態1の中継器の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の配線システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明による実施形態2の中継器の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明による実施形態3の中継器の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明による実施形態4の中継器の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明による実施形態5の中継器の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明による実施形態6の中継器の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明による実施形態7の中継器の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明による実施形態8の中継器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明による実施形態9の中継器の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明による実施形態10の配線システムの要部構成を示すブロック図である。
【図12】本発明による実施形態11の配線システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
4a〜4c 中継器
40 第1のフィルタ部
400 帯域通過フィルタ
401 帯域阻止フィルタ
41 増幅部
42 第2のフィルタ部
420 帯域阻止フィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムに設けられた中継器であって、
前記伝送路の一方からの前記通信信号及び前記放送信号の多重信号を当該通信信号と当該放送信号に分離して出力する分離手段と、
前記分離手段からの前記通信信号及び前記放送信号を分離した状態で伝送する伝送手段と、
前記伝送手段からの前記通信信号及び前記放送信号を合成して前記伝送路の他方に出力する合成手段と
を備え、
前記分離手段が、前記多重信号から前記通信信号の周波数帯域の成分及び前記放送信号の周波数帯域の成分を抽出し、前記通信信号の周波数帯域の成分を前記通信信号とし、前記放送信号の周波数帯域の成分を前記放送信号とする
ことを特徴とする中継器。
【請求項2】
前記伝送手段が、前記放送信号を増幅することを特徴とする請求項1記載の中継器。
【請求項3】
前記伝送手段が、前記通信信号を増幅することを特徴とする請求項1又は2記載の中継器。
【請求項4】
前記伝送手段が、前記通信信号の回線の電気的開閉を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の中継器。
【請求項5】
前記伝送手段が、前記通信信号を増幅する増幅部を備え、前記通信信号の回路を開状態に切り替えたときに、前記増幅部の電源を開状態にすることを特徴とする請求項4記載の中継器。
【請求項6】
前記伝送手段が、前記通信信号に対するルータ機能を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の中継器。
【請求項7】
情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムであって、
請求項1〜6のいずれか記載の中継器を備える
ことを特徴とする配線システム。
【請求項1】
情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムに設けられた中継器であって、
前記伝送路の一方からの前記通信信号及び前記放送信号の多重信号を当該通信信号と当該放送信号に分離して出力する分離手段と、
前記分離手段からの前記通信信号及び前記放送信号を分離した状態で伝送する伝送手段と、
前記伝送手段からの前記通信信号及び前記放送信号を合成して前記伝送路の他方に出力する合成手段と
を備え、
前記分離手段が、前記多重信号から前記通信信号の周波数帯域の成分及び前記放送信号の周波数帯域の成分を抽出し、前記通信信号の周波数帯域の成分を前記通信信号とし、前記放送信号の周波数帯域の成分を前記放送信号とする
ことを特徴とする中継器。
【請求項2】
前記伝送手段が、前記放送信号を増幅することを特徴とする請求項1記載の中継器。
【請求項3】
前記伝送手段が、前記通信信号を増幅することを特徴とする請求項1又は2記載の中継器。
【請求項4】
前記伝送手段が、前記通信信号の回線の電気的開閉を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の中継器。
【請求項5】
前記伝送手段が、前記通信信号を増幅する増幅部を備え、前記通信信号の回路を開状態に切り替えたときに、前記増幅部の電源を開状態にすることを特徴とする請求項4記載の中継器。
【請求項6】
前記伝送手段が、前記通信信号に対するルータ機能を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の中継器。
【請求項7】
情報端末機用の通信信号が双方向に伝送される伝送路と、前記通信信号と周波数帯域が異なる放送受信機用の放送信号が一方向に伝送される伝送路とを共用する配線システムであって、
請求項1〜6のいずれか記載の中継器を備える
ことを特徴とする配線システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−228298(P2007−228298A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47394(P2006−47394)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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